SFクロニクルに、2020年のナパのワインについての記事が掲載されていました。2020年は8月に北カリフォルニア各地で落雷から発生したLNUコンプレックス・ファイアーがあり、9月にはスプリング・マウンテンなどに大きな被害を出したグラス・ファイアーが発生しました。特に、グラス・ファイアーはナパのヴァレー・フロアを横断して東側の山麓にまで被害を広げました。

これらによってシェイファーなど、多くのワイナリーが醸造をあきらめました。その中でもアイズリー・ヴィンヤードやドミナスなどいくつかのトップクラスのワイナリーが2020年のワインをリリースすることに決めています。

とはいえトータルではナパで2020年のワイン(特にカベルネ・ソーヴィニヨン)を作らない決断をしたワイナリーは過半数に及ぶと推定されています。

煙で汚染されたブドウで作ったワインがどういう味わいになるか、どうすれば除去できるのか、といった問題はこれまで考えられてこなかったため、どのワイナリーも明確な答えを持たないまま、試行錯誤を重ねています。知見を集めるという意味でも2020年のワインを作ることには意味があったように思います。

少なくとも、クロニクルの記者エスター・モブリーが試飲した範囲では、煙汚染を感じたワインはなかったそうです。

2021年、2022年は幸いにしてワイン産地に影響を与えるような火事はありませんでした。ただ、これで最後ということはなく今後も同じような火事は必ず起こります。この教訓はどのように生かされるのでしょうか。