サンセット・セラーズの後、「ナパを脱出する? ケイマスの新たな挑戦」で書いたケイマスがサスーン・ヴァレーに開いた新しいテイスティング・ルームに伺いました。

このテイスティング・ルーム、かなりの人気のようで、予約はなかなかとれないそうです。今回も予約はいっぱいだったのをサンセット・セラーズから「日本のすごいブロガーが来る」(笑)と交渉していただいて席を用意していただいたとのこと。



全面ガラス張りで美しさがひかります。アップルストアと同じ人が設計しているとのことに、なるほどと感じました。

このサスーン・ヴァレーは西風が強く吹き付けるところ。テイスティング・ルームはその風をうまく通したりブロックしたり、コントロールできるようになっています。空調やライトなどもインテリジェントにコントロールされています。


外光を取り入れる工夫もあります。


ケイマスはヤシの木をトレードマークにしていて、ケイマスにブドウを提供している畑には周囲にヤシの木が植えられています。テイスティングルームも「本山」としてヤシの木が立ち並んでいます。




ここで作っているワインは現在のところこの2種。Grand Durifと呼ぶプティ・シラーと、Walking Foolという名のジンファンデルとプティ・シラーのブレンドです。サスーン・ヴァレーにあるケイマスの畑では、気候変動に耐える品種を試すという面もあり、ヴァルディギエなど多様な品種を実験的に植えていますが、製品として作っているのはこの2つだけです。Walking Foolというのは変わった名前ですが、ケイマスのワグナー家にちなんだエピソードが裏ラベルにかかれています。ワグナー家の当主であるチャック・ワグナーはサスーン・ヴァレーの出身ということで、家族としてのアイデンティティをここに求めているという印象を持ちました。

ワインはモントレーのサンタ・ルシア・ハイランズで作っているメル・ソレイユ(Mer Soleil)などワグナー家のワイナリーの様々なワイン10種ほどを試飲させていただきました。

ワインの中ではサスーン・ヴァレーの2つのワイン、メル・ソレイユのシルバー(樽を使わないシャルドネ)と、リザーブ・シャルドネがよく出来ていました。サスーン・ヴァレーの2つのワインは果実味が濃厚で大柄なワイン。爆発的な果実味は多くの人にアピールできそうです。前の記事でも書きましたが、やっぱりプティ・シラーは面白い。個人的に探究したいテーマになってきました。
メル・ソレイユの2つのワインは対照的。シルバーはマロラクティック発酵もなく、柔らかくリンゴやカリンの風味。酸もほどよくあります。リザーブのシャルドネはバター感もありますが、バランスよくできています。どちらも作りの上手さを感じます。

ナパのケイマスも作りの上手さを感じますが、どのヴィンテージも安定した味わいすぎて、面白みはちょっと少ないかもしれません。ケイマスの味が好きという人にはもちろん、それがいいのだと思いますが。