中川ワインのミニ試飲会から美味しかったワインを紹介します。一部は「輸入復活シニョレッロ、米国のワイナリーも「復活」」で紹介しているのでここではそれ以外のワインを取り上げます。

この日は気温35℃くらいの相当暑い日でしたが30種類の試飲アイテムのうち25アイテムはカベルネ・ソーヴィニヨンなどボルドー系品種のワイン。かなり濃いワインが続きました。ときおりの白ワインがさわやかで、ついつい高評価を与えがちになってしまったのはちょっと反省です。


新入荷のブリオン(Brion)というワイナリーからは4種類のカベルネソーヴィニヨンが出ていました。クームズヴィルのカルドウェル・ヴィンヤード、ヨントヴィルのスリーピング・レディ・ヴィンヤード、オークヴィルのオークヴィル・ランチ・ヴィンヤード、そしてソノマのムーン・マウンテンAVAです。どれもそのAVAらしさもあり素晴らしいカベルネソーヴィニヨン(価格はいずれも5万8000円、税別希望小売価格、以下同)。中でもこのオークヴィルのものはバランスが完璧。リッチでシルキー。ナパのカベルネソーヴィニヨンに求められているものが詰まっています。


パソ・ロブレスの大人気ワイナリー「ダオ(Daou)」の手がける高級ブランド「パトリモニー(Patrimony)」の白です。値段はちょっとびっくりの8万5000円。同じワイナリーの赤より高価格です。ボルドースタイルのソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンドで、しなやかな味わいにきれいな樽感。何というか値段を見なくても高級感が漂ってきます。


パトリモニーの赤もどれも素晴らしい。価格はいずれも6万円とナパの超一流並みですが、品質的にもナパの最上級のものに引けを取りません。写真の右からメルロー、カベルネソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、レッドブレンド(カベルネソーヴィニヨンとカベルネ・フラン)の「カーヴ・デ・ライオンズ」。カベルネソーヴィニヨンだけ試飲ボトルがハーフですが、実際の販売はフルボトルです。
メルローはリッチでチョコレート感があります。カベルネ・ソーヴィニョンは超パワフル。カベルネ・フランもリッチで濃厚ですが、酸の豊かさがバランスを取ります。カーヴ・デ・ライオンズは一番ソフトな味わい。バランスよく口当たりがいい。


ナパのワイナリー「ラッド(Rudd)」の廉価版クロスローズのソーヴィニヨン・ブラン(7800円)。これは暑さ効果を抜きにしても素晴らしい。ボルドースタイルのソーヴィニヨン・ブランで、リッチ感とさわやかさが共存しています。これが1万円切るのは安いと思います。


ラッドの「サマンサズ・カベルネ・ソーヴィニヨン2018」(2万8000円)。しなやかな味わい、ストラクチャーもありテクスチャーがすばらしい。美味しいです。


定番中の定番ですが、ダックホーンのメルロー「スリー・パームス2020」(1万5500円)。メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンほど価格が高騰していないので、コスパが高くなっています。これはチョコレート感とエレガントさが共存。酸も高くカリフォルニアのメルローの代表格と言っていいでしょう。とはいえ、米国で100ドル超えるワインですから、この価格がいつまで維持できるかもわかりませんが。


最後はハーラン系の末っ子「マスコット」の2019年。ちょっと甘やかさがあり、酸とのバランスがよくリッチで美味。サードワインの位置づけですが、以前のセカンドと同レベルのクオリティがあります。