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Date: 2017/0630 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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日本のamazonが、ワイナリーからのワイン直輸入を開始しました。

Amazonのワイン直輸入のページ

今のところ、フランスワインが中心。例えばボルドーだと「シャトー マルキ・ド・テルム」などが入っています。

このほか少しチリワインも入るといった感じですが、カリフォルニアでもベリンジャーが入っています(必ずしも今回直輸入が始まったということではなく、ベリンジャーなどは以前から直輸入していたようです)。

ベリンジャーでは一押ししているのが「【Amazon.co.jp限定】 銘醸地カリフォルニアから直輸入 品種別飲み比べお買い得ワイン5本セット [USA/赤ワイン/辛口/フルボディ/5本]」というセット。

それぞれの小売価格を調べてみると、左から2番めのファウンダーズ・エステート・カベルネ・ソーヴィニョンが1800円くらい。中央のホワイト・ジンファンデルのスパークリングが1300円くらい。あとは1000円くらいなので6000円強といったところです。送料込みではありますが、今のところ価格がものすごく安いといった感じではありません。

また、配送オプションでクール便を選ぶところがないのが、この季節は気になるところです。自動的にクール便になるのだったら、逆にすごいですが。

ただ、プライム対応でお急ぎ便がただで使えるのは嬉しいですね。明日のパーティに間に合うように、といった注文が可能になります。

というわけで、すぐにこのサービスがヒットするかというと、まだまだではないかと思うのですが、既存のインポーターやワインショップにとっては、「中抜き」で商売できるamazonが直輸入を始めるというのは脅威になるかもしれません。このサービスが今後どう進化していくか注意して見る必要がありそうです。
Date: 2017/0630 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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投資家として知られるチャールズ・バンクスが詐欺で4年間服役することが決まりました(Charles Banks sentenced to four years for defrauding now-retired NBA ...)。

チャールズ・バンクス氏は元NBAのスター、ティム・ダンカン氏にあやまった投資情報を教えて損をさせたとのことで訴えられており、4月には有罪を認めていました。
元スクリーミング・イーグル・オーナー、有罪を認める « カリフォルニアワインのお勝手口

最悪の場合、20年の服役もあり得たので。多分これで決着なのでしょう。
Date: 2017/0629 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の新レビュアーが発表されました(Announcing Our New Reviewer & Review Changes)。

新しく加わったのはジョー・チェルウィスキー(Joe Czerwinski)。Wine Enthusiast誌で18年レビュアーを勤めてきた人で、最後はマネージング・エディターでした。同誌ではニュージーランドやオーストラリア、ローヌを担当。Wine Advocateではニュージーランド、オーストラリア、ローヌのほかラングドックを担当します。このほかWine Advocateでもマネージング・エディターとして、Webサイトのコンテンツのディレクションをします。

ジョー・チェルウィスキー

これまで、個人サイトや個人のニューズレターを発行していた人がWine Advocate誌でレビュアーをする例はありましたが、Wine Enthusiastのようなメジャー誌からWine Advocateへの移籍は初めてではないでしょうか。これも新時代の到来、という気がします。

個人的な印象としてはWine Enthusiastってメジャー誌とはいっても、ワインショップに無料で置いてある雑誌で、Wine AdvocateやVinous、Wine Spectator、英国のDecanterと比べると、ちょっとランクが下とに感じられています(なので、年末のベスト以外はあまり紹介していません)。そこからの移籍ということは、Wine Enthusiastにとっては「認められた」という感じもあるのかな、と思いました。

このほか、先日ジェブ・ダナックが抜けてレビュアー不在となったカリフォルニアのセントラル・コーストは、予想通り編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンが担当することになりました。10月と12月号にレビューが掲載される予定です。ワシントン州のレビュアーは2018年1月までに発表するとのこと。

Date: 2017/0629 Category: グルメ
Posted by: Andy
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珍しくビアガーデンに行ってきました。何年ぶりだろう? もう記憶にないくらい久しぶりです。

最近のビアガーデンは飲み物も食べ物も質が上がっているという話を「東京ビアガーデン情報館」管理人の和田さんに教わり、和田さん主催のパーティに参加したわけです。

場所はヒルトンホテルお台場。ここのビアガーデンの今年のメニューでは、クラフトビール6種類が飲み放題。なかにはボトルで買ったら1本600円以上するという「馨和 KAGUA Rouge」も含まれています。しかも通常であれば料理込みで5500円のところ、7月13日までの平日は4割引。税金とサービス料を含んでも約4000円という安さです。

まずはクラフトビール全種類注文しました。
6種類のクラフトビール

なお、こちらがメニューです。
クラフトビールのメニュー
「馨和 KAGUA Rouge」は山椒が入っているとのことで、エキゾチックなスパイシーさがあります。泡がシルキーできめ細かく美味しいです。このほか、「コエド瑠璃」も気に入りました。「リーフマンス」はベリー系のジュースが入ったビールで、ラズベリーの風味。ピノ・ノワールを飲んでいるかのような味わい。

これ以外に、ワインやハイボールなども飲み放題メニューに含まれています。ちなみに白ワインはチリのソーヴィニヨン・ブランでした。ちょっと味見させてもらいましたが、爽やかで夏向きのワイン。赤はチリのカベルネ・ソーヴィニョンだそうです。

料理はこちら。
ヒルトンお台場
ヒルトンお台場
これは周りにゴマがついたチキン。
ヒルトンお台場
ヒルトンお台場
大食漢の私にとってはちょっとボリューム少なめでしたが、でも一つひとつの料理は美味しく、見た目もさすがにきれいでした。特にムール貝の白ワイン蒸しの汁はとても美味しく、浸して食べるフランスパンをお代わりしてしまいました。

最後の方はワインの話をかなり語ってしまいました。だいぶ酔っ払っていたかもしれません。楽しい晩でした。それにしてもこれで4000円は安すぎです。お台場は若干不便ではありますが、ビール飲むなら行くべきです。

なお、ここは完全屋外ですが、雨が降ったときは室内のレストランの席を使わせてもらえるようです。ホテルのレストランですから、それもまた高級感があっていいかも。
Date: 2017/0627 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのシラーについての歴史的な考察を、Wブレイク・グレイ氏がまとめています(Whatever Happened to California Syrah? | Wine News & Features)。話の内容は、ローヌ・レンジャーのイベントで、「American Rhone」の著者であるパトリック・コミスキー氏が語ったものだとのこと。

1995年にわずか1331エーカーしかなかったシラーの畑は2000年には12699エーカーたと、約10倍に急拡大しました。主に、暑いセントラル・ヴァレーや、沿岸では比較的温暖なパソ・ロブレスがその中心でした。2005年には、さらにその1.5倍にまでシラーの畑は広がり、「next big thing」と言われていました。

しかし、シラーはそのまま花開かずに今まで来ています。

理由は二つあるといいます。一つは、シラーが植えられた地域が温暖すぎて、素晴らしいシラーが少なかったこと。もう一つは、「next big thing」をピノ・ノワールに持っていかれてしまったこと。コンシューマーの興味は完全にピノ・ノワールに行ってしまい、シラーはあまり見向きされなくなってしまいました。

ただ、シラーはミレニアル世代に人気が高い、まろやかな味の「レッド・ブレンド」にジンファンデルなどとともに主要なブレンド品種として使われています。そういった「シラー」という名を表に出さない形ではある程度普及したとも言えます。

ちなみに今後のシラーの普及に重要な街はバークレーだとのこと。レストラン「シェ・パニース」など、美食の街であり、カーミット・リンチなどの輸入業者もあります。そこが、中心になって、シラーの普及を期待しているようです。

ただ、シラーは以前から評論家の評価は高いんですよね。ローヌ好きとしても知られているロバート・パーカーはシネ・クア・ノンなどカリフォルニアのシラーにも高い点を付けていますし、ナパでカベルネ以外で初の満点を取ったのもコルギンのシラーでした。コングスガードやシェーファーといった超一流ワイナリーも素晴らしいシラーを作っています。パソロブレスのサクサムも素晴らしいシラーを作っており、入手もかなり困難です。

そういった高品質でマニアにも引く手数多なシラーがある一方で、普及価格帯のシラーというとこれというのを思いつかないのが、残念なところ。ニーズがないから作られないのか、作られないから売れないのか難しい問題です。



Date: 2017/0626 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの若いワインメーカー3人を取り上げた記事がありました(Three young Sonoma County winemakers turning heads | The Press Democrat)。

登場するのはエリカ・スタンクリフ(Erica Stancliff)とアリソン・クロウ(Alison Crowe)、モーガン・トゥエイン・ピーターソン(Morgan Twain Peterson)です。このうちモーガンはベッドロック(Bedrock)のワインメーカーとして、このブログでもたびたび取り上げていますね。レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソンの息子で、9歳からワインを作っていたのも有名なエピソードです。

エリカ・スタンクリフは、家族経営のトロンベッタ・ファミリー(Trombetta Family Wines)のワインメーカー。10歳のときにメルローの香りを嗅いだだけで完璧な表現をし、家族の友人だった著名ワインメーカーのポール・ホブズに見出されました。ポール・ホブズはそのときから「ワインメーカーになるしかない」と言っていたのですが、本人は獣医志望。ただ、注射が苦手で獣医をあきらめ、あらためてワインメーカーになったとのこと。トロンベッタで最初に作ったシャルドネがWine Enthusiast誌で94点を得るなど、高い評価を得ています。

アリソン・クロウは、現在ナパのプラータ・ワイン・パートナーズに属し、ガーネットというブランドで30ドルクラスのワインを、ピケット・フェンスというブランドでは10ドルクラスのワインを作っています。どちらもコスト・パフォーマンスの高さで評価されています。

モーガンと比べると残りの二人はちょっと知名度が低いですが、今後注目されるかもしれないですね。要チェックです。

モーガン・ピーターソン
Date: 2017/0625 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ファー・ニエンテがナパのラザフォードで畑を購入したとのことです(Far Niente Wine Estates Acquires Prestigious Napa Cabernet Sauvignon ...)。

記事によると、Highway29の西側、ボッシェ・ヴィンヤード(Boche Vineyard、フリーマーク・アビーのカベルネで有名)に隣接しているとのこと。下の地図(Vinousによる)を見ると、他の畑は有力なオーナーがいるのでDecarleという畑ではないかと思います。
image
ガーギッチ・ヒルズの隣とも言えそうですね。

畑の大部分はカベルネ・ソーヴィニョンで、今後はファー・ニエンテ傘下のニッケル&ニッケルで単一畑のカベルネ・ソーヴィニョンを作ることなどを考えているそうです。

ラザフォード・ベンチと呼ばれるナパでも最高級のカベルネ・ソーヴィニョンが作れるエリアですから、このあたりで畑を取得する機会はそうそうないはず。

今年はステージコーチの売却もあり、畑の所有者が変わる年なのでしょうか。
Date: 2017/0622 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年恒例のカリフォルニア・バイザグラス・プロモーションの結果が発表されました。
カリフォルニアワイン バイ・ザ・グラスキャンペーン 2017 優秀店発表

首都圏5軒、関西圏5軒とグループ2軒の計12軒が表彰されました。結構これまでの顔ぶれとは違う感じがして面白いです。

《首都圏》
Wine House PICNIC CLUB(無国籍)東京都・品川区
ハイアットリージェンシー東京 中国料理 翡翠宮(中華)東京都・新宿区
ダイヤ寿司(寿司)東京都・東村山市
AQUILA VOLANS(欧米料理)神奈川県・横浜市
DANDYLION BAR(バー)千葉県・千葉市

《関西圏》
Wine Kitchen Souple 29 (ワイン キッチン スープル ヴァンヌフ )(ワインキッチン)大阪市・北区
THE CITY BAKERY BRASSERIE RUBIN(ベーカリーカフェ)大阪市・北区
江戸堀 BEEF(ステーキ)大阪市・西区
京都洋食ムッシュいとう(洋食)京都府・京都市
神戸イタリアンKIZUNA(イタリアン)神戸市・中央区

《グループ賞》
ホテル ザ・マンハッタン
 マンハッタン・ダイニング「ベラ・ルーサ」
 ホテル ザ・マンハッタン 日本料理「おりじん」
 ホテル ザ・マンハッタン バー&ラウンジ「スプレンディド」
エルワールド
 muse chayamachi
 muse umekita

店によって期間は違いますが、受賞記念でアンコールプロモーションを実施しています。詳しくはお店にお問い合わせください。

なお、今回の受賞のうち、関西のWine Kitchen Souple 29 (ワイン キッチン スープル ヴァンヌフ )は、ワインショップWassy'sさんのレストランです。ショップの上にあるレストランも以前受賞していましたが、今回は大阪駅からも徒歩圏の店。おめでとうございます。
Date: 2017/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・サーチャーの品種ごと検索回数トップ10のシリーズです。
ワイン・サーチャーで最も検索されたカベルネ・ソーヴィニヨンは?
ワイン・サーチャーで最も検索されたシャルドネは?
ワイン・サーチャーで最も検索されたピノ・ノワール

今回はメルロー(The World's Most Wanted Merlots)。

1. Duckhorn Vineyards Merlot, Napa Valley
2. Marilyn Monroe Wines Marilyn Merlot, Napa Valley
3. Pahlmeyer Merlot, Napa Valley
4. Irvine Grand Merlot, Eden Valley
5. Shafer Vineyards Merlot, Napa Valley
6. Emmolo Merlot, Napa Valley
7. Blackstone Winemaker's Select Merlot, California
8. Stags' Leap Winery Merlot, Napa Valley
9. Pride Mountain Vineyards Merlot, California
10. San Giusto a Rentennano La Ricolma Merlot Toscana IGT, Tuscany

1位はダックホーン。先日パラダックスを中心にしたセミナーの記事を書きましたが、ダックホーンのメルローはやっぱりおいしいです。特にスリー・パームス。ただ1位はスリー・パームスではなくレギュラーのメルロー。カリフォルニアのメルローのベンチマーク的ワインだと思います。

2位のマリリン・メルロー(現在はワイナリーの名前はマリリン・ワイン)もメルローでは有名な銘柄。昨日はメリタージュを紹介しましたが、元々メルローから始まったワイナリーです。ラベルばかりが取りざたされますが、中身もしっかりしたワインです。2014年は30周年の記念ワインです。

3位のパルメイヤーはちょっと意外でしたが、実は2013年のメルローにパーカーが96点を付けています。そのあたりが影響しているのでしょうjか。

4位はオーストラリアで5位はシェーファー(Shafer)。シェーファーのメルローも有名ですよね。昔はむしろカベルネよりもメルローの方が人気があったかもしれません。

6位のエモーロは知らなかったのですが、ピノ・ノワールのメイオミ(の以前)と同様、ケイマスのサブブランドのようです。今、人気急上昇中のワイナリーだそうです。実は日本にも少量ですが輸入されています。

7位のブラックストーンはわずか8ドルというワイン。それが上位に入ったのはちょっと驚きでした。

8位のスタッグス・リープ・ワイナリー、9位のプライドは納得。

こうしてみると、カリフォルニアが10本中8本、しかもほとんどがナパでした。すごいですね。



Date: 2017/0620 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のスーパーセール(6月22日午前1時59分まで)で、マリリンのメリタージュが安くなっています。ワイナリー価格でも70ドルですから、それより安いですね。



ラベルはもちろん、マリリン・モンローですが、セクシーすぎず素敵です。

もう一つ紹介するのは日本酒ですが、例のリスト漏れ疑惑のWine Advocate日本酒レビューで最高の98点を取った「亀の翁 3年熟成」です。

ほかの店では2万円くらいするので、安いです。本当の定価は5000円弱のようですが、5月にのみ発売で、限定数しかないので、価格はすぐに上がってしまうようですね。

Date: 2017/0620 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アントニオ・ガッローニがリッジのオールド・ヴィンテージを試飲した話を書いています(Cellar Favorites: Seven Classics from Ridge (Jun 2017) | Vinous - Explore All Things Wine)。

白は1つだけで1985年のモンテベッロ・シャルドネ。1949年に植えた樹が植え替えられる直前の貴重なシャルドネ。ピークは過ぎて酸化もしているけど「面白い」ワインだったよう。

後はフラグシップのカベルネ・モンテベッロ。新しい方のヴィンテージから2001、1985、1984、1976、1968、1967。1969年に着任したポール・ドレーパー以前のワインが2つもあるのが興味深いです。どちらのボトルもすばらしい状態だったようです。

Ridge Monte Bello
写真は今回の試飲とは無関係です。

総じて、素晴らしいワインばかり。なかなか機会はないでしょうが、リッジのオールド・ヴィンテージ、飲んでみたいものです。ただ、見つけるのは大変ですが、価格は今のものとほとんど変わらないですね。




2013年はデカンター誌で100点を取っています。

Date: 2017/0619 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ちょうど1年前のナパ・ツアーでいただいたスプリング・マウンテン(Spring Mountain Vineyard)のワイン(ハーフボトル)を開けました。

Spring Mountain

ナパのカベルネ系としては、それほど濃厚というわけではなく、ミディアム・ボディからややフル・ボディ。カシスやブラックベリーの風味、軽くスパイスや紅茶のフレーバー。タンニンはまろやかになっており、シルキー。これはおいしいです。

カベルネ・フランの印象が少し強いような気がしたので、2~3割入っているかと思いましたが、カベルネ・ソーヴィニョンが86%でカベルネ・フランは12%、メルロー2%でした。

スプリング・マウンテン、日本ではあまり見かけないワイナリーですが、果実味を主張しすぎないあたりの味わいは結構日本人好みなのではないかなあと思います。エチケットはちょっと地味すぎるかなあと思いますけどね…
Date: 2017/0618 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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一日遅れですが、記録のためを兼ねて書いておきます。

米Amazon.comが高級スーパーのホールフーズ(Whole Foods)を137億ドルで買収しました。よくある株式交換でなく、全額キャッシュで払うというからすごいです。これを受けて、米国のスーパーチェーンの株価は軒並み下落。影響の大きさが伺われます。

日本にいるとわからないですが、米国では買い物代行や、店舗での買い物品受取のサービスが普及してきているもよう(主戦場は店舗受け取り、アマゾンのホールフーズ買収 崩れる倉庫と店舗の垣根  :日本経済新聞)。

ネットスーパーだと、受け取るために家にいる必要があるので、働いている人にとっては使いにくいわけですが、店舗で受け取れれば、時間と手間の節約になるし、都合がいい時間に取りにいけるということですね。

ただ、受取サービスを自社で持ちたいならば、記事でホールフーズが提携しているとして取り上げられているインスタカート(Instacart)を買収すれば済むような気もしますが、そうでなくて実店舗を買収したというのは、地域に拠点を作りたいということなのでしょうか。

また、他のスーパーでなくホールフーズだったというのはどうしてでしょうね。ホールフーズは「America's Healthiest Grocery Store」と自称しており、実際オーガニックな食品を数多く扱っています。Amazonの企業文化と合うのだろうかというところは気になります。

Amazon.comのワインビジネスもうまく行っている感じが全くありませんが、テコ入れはあるのでしょうか。日本ではソムリエサービスなども始めていますが(ソムリエや物産展も 知らないと損なアマゾンストア)、あまり知られていないような気もしますし、生鮮品の次はワインにも何かしら動きがあるかもしれないですね。

アマゾンのソムリエサービス

なお、Amazon.comがどういう会社か知るためには以下の本が役に立ちます。

読書感想――「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」ジョブズになりたくない男
Date: 2017/0617 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モンダヴィやオーパス・ワン、昨日の記事で紹介したメイオミなどのブランドを持つコンステレーション・ブランズがナパのカルト的ワイナリーであるシュレーダー・セラーズを買収しました(Exclusive: Constellation Buys Napa Cabernet Star Schrader Cellars | News | News & Features | Wine Spectator)。現在のところ、額は明らかになっていませんが、コンステレーションは上場企業なので、いずれ公開されるはずです。

シュレーダー・セラーズはWine Advocateで20回近く満点を取っているワイナリー。特に、ベクストファー・トカロンの畑からブロック別のワインを作り、高い評価を得ています。ただし、畑もワイナリー設備も持たないため、買収の実体としてはブランドと在庫だけになります。

ワイン作りの体制などはこれまで通り。ワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン、醸造はアウトポストで行います。オーナーだったフレッド・シュレーダーはワイナリーの顔として残り、ワイン作りのディレクションもします。

コンステレーションはトカロンの畑の大部分を持っています。

トカロンについては下の記事に詳しく書いています。
トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】

今回、シュレーダーご傘下に入ったことで、コンステレーションが持つトカロンのブドウの一部もシュレーダーに提供する予定だとのこと。これで、現在2500〜4000ケースだという生産量も増えることが期待されています。

なお、フレッド・シュレーダーはソノマのボアーズ・ビュー、アストン、エステートはこれまで通り保持を続けます。
Date: 2017/0616 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・サーチャーの品種ごと検索回数トップ10のシリーズです。
ワイン・サーチャーで最も検索されたカベルネ・ソーヴィニヨンは?
ワイン・サーチャーで最も検索されたシャルドネは?

今回はピノ・ノワール(10 Most Wanted Pinot Noirs)。

1. Meiomi Pinot Noir, California
2. Sea Smoke Southing Pinot Noir, Sta Rita Hills
3. Marcassin Marcassin Vineyard Pinot Noir, Sonoma Coast
4. Sea Smoke Ten Pinot Noir, Sta Rita Hills
5. Ata Rangi Pinot Noir, Martinborough, New Zealand
6. Kistler Vineyards Kistler Vineyard Pinot Noir, Sonoma Coast
7. Kosta Browne Sonoma Coast Pinot Noir, Sonoma County
8. Weingut Daniel & Marta Gantenbein Pinot Noir, Graubunden, Switzerland
9. Williams Selyem Russian River Valley Pinot Noir, Sonoma County
10. Beaux Frères The Beaux Frères Vineyard Pinot Noir, Ribbon Ridge, Oregon

1位はメイオミ。2015年にケイマスがコンステレーション・ブランズにブランドを売ったことで話題になりました(ケイマスのワグナー家が大ヒットピノ「メイオミ」を売却、その意味するところは?)。それにしてもこの人気はすごいですね。

ちょっと驚きだったのが2位と4位にシー・スモーク(Sea Smoke)が入ったこと。シー・の人気のピークは2007~2009年くらいかと思っていました。確かに、Wine Advocateでは2012年のTenやSouthingがそれぞれ95、92点と高く評価されていますが、これくらいの点数のワインは今では結構ありますから、Sea Smokeだけが突出して多いのは不思議な感じがします。
Sea Smoke New Years

3位のマーカッサン(Marcassin)はわかりますが、Wine Advocateでカリフォルニアのピノ・ノワールとして初めて100点を取ったピーター・マイケル(Peter Michael)がトップ10に入っていないのはちょっと意外なところ。

6位のキスラー(Kistler)、7位のコスタ・ブラウン(Kosta Browne)の人気は根強いですね。全般に10年前くらいから人気だったワイナリーが上位に来ている感じがします。


Date: 2017/0615 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、「ナパのホニッグ、1型糖尿病のためのチャリティ・イベントを開催」という記事を公開しましたが、その記事に書いたように、ホニッグ夫妻の10歳の娘ソフィーが1型糖尿病の患者です。この病気は本当に大変で、24時間血中の糖度を監視して一日数回インスリンを注射しないといけません。寝ているときでさえ気が休まらない病気です。

そこで、ホニッグ家ではこの病気のために特別に訓練された犬を家族の一員に加えることにしました(Service Dog Takes on Double Duty Protecting Her 10-Year-Old Best Friend and the Winery Where She Works)。同家では4匹目の犬となります。


ホニッグというのはドイツ語でハチミツであることから、この犬はハニーと名付けられました。60個の命令を理解し、血中糖度を監視する機械よりも15分も早く、糖度の変化に気付いてソフィアや家族に警告します。



それだけではなく、ハニーはワイナリーのためにも働くことが期待されています。それはコナカイガラムシの出すフェロモンを検知することです。コナカイガラムシはワイナリーにとっては非常に危険な昆虫ですが、見つけるのが困難で一度増えてしまうとなかなか駆除できません。早期に検知することで、被害が広がる前に対策できるようになります。これもハニーの特別に敏感な嗅覚によるものです。

ハニーはまだ訓練中とのことですが、早く活躍できるようになるといいですね。昨年訪問したときには、娘さんの病気のことなどは全く知らなかったので脳天気にバスケットやNFLの話などをしていたのですが、また訪れて話をしたいです(何の役に立つこともできませんが)。
Date: 2017/0615 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのプリチャード・ヒルやアトラス・ピーク、オークヴィルの一部で雹が降り、ブドウにも被害がおよびました(Freak hail storm causes vine damage in some Napa Valley vineyards | Local News | napavalleyregister.com)。

雹の大きさは親指の爪くらいとそれほど大きくなかったようですが、ブドウが開花中の畑では大きなダメージになりました。ただ、開花が済んだ畑も多かったため、それほど大きな被害とはならなかったようです。

ただし、アトラス・ピークのDos Lagos Vineyardsでは収穫の1/3くらいとかなり大きな被害になっています。ヴァレー・フロアのオークヴィルではそこまで大きな被害ではなさそうですが、様子を見に行った人が見た範囲では15%くらいのブドウに影響が出そうとのことです。

今のところ、それほどの被害報告はないようですが、実際のところはよく分からないようですね。
Date: 2017/0614 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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超高級カベルネで知られるシュレーダー・セラーズ(Schrader Cellars)が、ミッドサマー・セラーズ(Midsummer Cellars)というワイナリーを提訴しました(Courtwatch: Schrader Cellars Sues to Protect Double Diamond Trademark)。

理由は「ダブルダイヤモンド(Double Diamond)という商標の侵害。

ダブルダイアモンド

シュレーダーセラーズにはダブルダイヤモンドという廉価版のカベルネのブランドがあります(これまで知らなかったです)。50ドルくらいでナパ・ヴァレー産のボンバーXというカベルネと、レッドヒルズ・レイク・カウンティ産のアンバーノールズというカベルネがあります。

ダブルダイヤモンドは当初2002年にシュレーダーとミッドサマーが共同で商標を取り、2003年から一緒にブドウを仕入れて作っていました。しかし、2004年にはダブルダイアモンドが権利をシュレーダーに売りたいと持ちかけ、売買が成立。2005年には支払いも完了したとのこと(以上はシュレーダーの訴訟資料より)。

しかし、商標登録には依然としてミッドサマーの名前が残っていることから提訴に踏み切ったようです。シュレーダーの主張通りであれば、さほど揉めないような気もしますがどうなのでしょうね。

それより、このワインが気になります。これもトーマス・ブラウンが作ってますからね。
Date: 2017/0613 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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娯楽用マリファナはカリフォルニアに50億ドルの経済効果を持つようになるという試算データが発表されました(Legal marijuana could be a $5-billion boon to California)。

これはカリフォルニア州がスポンサーとなって算出したもの。
マリファナの経済効果

マリファナ市場の29%は、15%の州税などを嫌って、今後も不法な形でやり取りされると見られていますが、6割以上が合法的な娯楽用マリファナになると、この発表では見ています。

なお、ワイン業界のカリフォルニアへの経済効果は2015年で576億ドル(カリフォルニアワイン業界、年間10兆円超える経済効果)。マリファナと比べると約10倍ということになりそうです。

それにしても、これだけ巨大になったワイン産業の10分の1というのは、あなどれない数字です。50億ドルというのは日本円に換算すれば5500億円程度。日本のインスタントラーメンの生産額が大体それくらいに値するようです。これだけの産業がいきなり登場するわけですから、多くの人が躍起になるわけです。
Date: 2017/0612 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ちょっとおいしい白が飲みたくなって、セラーから何となく引き抜いてみたワインがオー・ボン・クリマのシャルドネ ニュイ・ブランシュ・オー・ブージュ2007でした。もったいない気はしましたが、飲みごろを過ぎてしまってももったいないので勢いで開けてしまうことに。

オー・ボン・クリマ、ニュイブランシェ

10年前のヴィンテージですが、ワインは予想以上にフレッシュで、やわらかな酸味が心地よいです。果実味もまだあり、ナッツの風味と合わさって、すばらしいアンサンブルを奏でます。こんなに美味しいとは、とちょっと驚くほど。個人的には96点くらいあげたい。

この後の熟成がどうなっていくのかはよくわかりませんが、おそらくまだ4~5年は相当おいしく飲めるのではないでしょうか。

先日から価格の話をよく書いていますが、このワインは多分買ったときは4000円くらいだったと思います。ニュイ・ブランシュは今も4000円台で買えますから価格あまり変わっていないですね。

1万円程度のシャルドネと比べても全く見劣りしないワインです。オー・ボン・クリマがお買い得というのはこれまでも何回か書いていますが、あらためてそう思いました。

Wassy'sさんには2004年の在庫があります。これも今がいいころかも。


あとは2012年か2013年ですね。2012年は残り僅少。


Date: 2017/0611 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最近、ワイン・サーチャー(Wine-searcher.com)では品種ごとに同サイト内での検索上位トップ10の記事を掲載しています。評論家の評価ともまた違ったものがあり、(主に)米国の消費者の傾向を表しているとも思われ、なかなか興味深い記事です。

ということで、折りを見ていくつか紹介していこうと思いますが、まずはシャルドネから(The 10 Most Wanted Chardonnays | Wine News & Features)。

1. Leeuwin Estate Art Series Chardonnay, Margaret River
2. Rombauer Vineyards Chardonnay, Carneros
3. Chateau Montelena Chardonnay, Napa Valley
4. Marcassin Estate Chardonnay, Sonoma Coast
5. Gaja Gaia & Rey Chardonnay Langhe, Piedmont
6. Kistler Vineyards Kistler Chardonnay, Sonoma Valley
7. Kongsgaard The Judge Chardonnay, Napa Valley
8. Kongsgaard , Napa Valley
9. Far Niente Winery Estate Chardonnay, Napa Valley
10. Cakebread Cellars Chardonnay, Napa Valley

1位と5位以外は全部カリフォルニアで、やはり米国での検索が圧倒的に多いことが伺えます。

カリフォルニア産で評論家の点数が高いものは4位のマーカッサン、6位のキスラー、7位と8位のコングスガード。

それ以外の4つはロンバウアー、シャトー・モンテリーナ、ファー・ニエンテ、ケイクブレッド。

やはりIPOB的な味わいのものは入っておらず、どちらかというとクラシックなシャルドネが人気があるようです。

中でも、割とコテコテの作りを自認しているロンバウアーが一番人気が高いというのが面白いです。僕的にもロンバウアーのシャルドネ、好きですけどね。頻繁に飲むワインというより、ときどき飲んで、ああやっぱりこういうの美味しいよね、って言う感じです。

モンテリーナはパリ・テイスティングで有名になったワインですが、今でもその影響があるのでしょうか。近年、映画などで取り上げられたからでしょうかね。モンテリーナのシャルドネももちろん美味しいですが、ワイナリーとしてはシャルドネで取り上げられるよりも、カベルネ・ソーヴィニヨンで取り上げてほしいだろうなあと思っているような気がします(ボー・バレットさんは、パリ・テイスティングで1位になって一番よかったのは、収入が増えてカベルネ・ソーヴィニヨンを作れるようになったことだ、と言っていました)。今回のトップ10のカリフォルニアの中では一番エレガント系(マロラクティック発酵なしです)かもしれません。

ちなみに、パリ・テイスティングで1位のシャルドネを作ったマイク・ガーギッチのガーギッチ・ヒルズのシャルドネもすごくいいです。あまり知られていませんが、このワイナリーはすべて自社畑でオーガニックを実践しています。

ファー・ニエンテがトップ10に入っていたのはちょっとびっくりでした。なんとなく「昔の名前」的なイメージを持ってしまっていたので。

ケイクブレッドはレストランで不動の人気をほこるワイン。上位に来るのも納得ですが、実は順位は落ち気味なのだそう。2012年12月はシャルドネの検索でトップだったそうです。

Date: 2017/0610 Category: おすすめワイン
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ハーラン系列のボンド(Bond)といえば、ナパの単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンでテロワールを表現することを主体としてますが、一方で、単一畑に入らなかったものをブレンドしたメイトリアーク(Matriarch)のコスパの高さも人気の1つとなっています。

ナパ全体が良ヴィンテージの2013年は単一畑に選ばれなかったものの品質もやはり高くなり、パーカーは95点をつけるでき。「選ぶのが厳しすぎたんじゃないか?」とボンドのワイン作りのチームに冗談を言ったそうです。

その評価の高さもあって、米国では2013年のメイトリアークは200ドルを超えるところがほとんどですが(実際にはそれに10%近くの州税がかかります)、国内の価格は税込みで2万円前後。米国よりも安く買える状態になっています。




ところで、昨日ナパのワインの値上がりの話を書きましたが、ちょっと調べてみたところ、8年前の2009年には、日本におけるメイトリアークの価格は1万円程度でした。20年で4倍ですから8年で倍というのはまあ、そんなもんだろうという数字ではありますが、やはりこれだけ安かったんだからもっと買っておくんだったと思ってしまうのは人情ですね。

さて、8年後にこの記事を読んだらどう思うでしょうね。
Date: 2017/0609 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの価格は1995年と比べて4倍にも上がっているという記事がありました(Napa Cabernet Prices Raise Concern - Wines & Vines)。
グラフ
これはVineyard Economics Seminarというセミナーでトニー・コレイアという不動産コンサルタントが明らかにしたもの。

ナパではカベルネの価格が突出しているため、他の品種は引き抜かれて、カベルネに植え替えられる傾向がかなり強まっているようです。モノカルチャーになりかねないとコレイア氏は警告しています。

また、カベルネに向かない土地までもカベルネが植えられることによって、品質が低下し、ナパの評判を落とすことも懸念しています。

現状はカベルネは不足しており、作れば作っただけ売れるような状況ですが、2008年の不況のときには、売り先に困った人も多かったのですから、またいつカベルネ余りになるかは分かりません。

似たようなことはナパほど極端ではないですが、ソノマのピノ・ノワールでも起こっていて、1995年と比べると現状の価格は3.5倍。カリフォルニア全体では1.5倍程度にとどまっているといいますからこの2箇所は突出しているようです。

全体のストーリーからするとちょっと余談ですが、ガロによるステージコーチの買収も市場にかなりの影響を与えているとか。ステージコーチは2000エーカーもある広大な畑。ガロは現在の契約を尊重するとしていますが、例えば契約の期限がきたときに更新されない可能性は高いでしょう。そのため、発表後は売りに出ているナパの畑はすぐに契約が決まったそうです。
Date: 2017/0608 Category: 業界ニュース
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ナパのホニッグが、1型糖尿病のためのチャリティ・イベントを8月9日に開催します。

1型糖尿病は生活習慣とは関係なく、免疫系の異常によって起こる病気です。ホニッグ家の長女ソフィアさんは5年前、5歳のときに発症し、以後毎日20回以上、血糖値を測り、インシュリン注射をする必要があります。

今回、「Beyond Type 1」というNPOが糖尿病の啓発のため、ニューヨークからサンフランシスコまで患者たちが自転車で横断するというイベントを開催中で、その一環として、ホニッグでのイベントを開催することになりました。

チケットは250ドル。このほか、さまざまなサポーターを募集しています。

(写真右から2人めが、ソフィアさんの母親であるステファニーさん)
ホニッグにて

詳しくはこちら。
Bike Beyond Napa at Honig Vineyard & Winery in Rutherford, CA to benefit Beyond Type 1 | Classy.org
Date: 2017/0608 Category: テイスティング・ノート
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リースのワインはいくつか飲みましたが(最近飲んだワイン~リース・ピノ・ノワール・ファミリー・ファーム・ヴィンヤード2012最近飲んだワイン~リース(Rhys) ピノ・ノワール・ベアワロー・ヴィンヤード 2012最近飲んだワイン:リース・ピノ・ノワール・ホースシュー・ヴィンヤード2013最近飲んだワイン:リース・ピノ・ノワール・アルパイン・ヴィンヤード2013)、シャルドネは初めてです。

Rhys

リースのワイン、ある程度時間がかかるイメージがありましたが、このワインは意外と早く熟成が進んでいる印象です。色はゴールドで比較的濃く、酸味は比較的おだやか。白桃やトロピカルフルーツの香り、ナッツの風味。風味が爆発するというよりも、抑制が効いた感じが他のリースと、やや共通するものがあるように感じました。

ヴァーナーがサンタ・クルーズ・マウンテンを去ってしまい、サンタ・クルーズ・マウンテンのピノ・ノワール、シャルドネは今後リースと、マウント・エデンがリードしていくのでしょう。これからにますます期待したいワイナリーです。



Date: 2017/0607 Category: おすすめワイン
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ドミナスの2013年が入荷してきていますね。日本にもそこそこの本数が入ってきていると思われるので、入荷直後はさまざまなショップで見かけますが、年末くらいになるとほとんどなくなりますから、いつでも買えると思っていると逃してしまいがちなワインです。

2013年はWine Advocate誌で2010年に続く2回目の満点。パーカーは「クリスチャン・ムエックスが作ったワインの中で、フランスも含めて一番深みのあるワインかもしれない」と書いています。

このヴィンテージはここ10年間くらいをみても、ナパではおそらく最高のヴィンテージといっていいでしょう。高評価のワインは非常に多いですが、中でもこのワインはパーカーだけでなく、ヴィナスのアントニオ・ガッローニも満点を付けていますし、ジェームス・サックリングも満点を付けています。ラベルもワイナリーの30周年で、久しぶりにクリスチャン・ムエックスの顔が復活しています。

さすがに2013年は4万円台とかなりの高価格ですが、パーカーもガッローニも満点ということを考えたら、むしろ安い方かもしれません。

なお、パーカーが「ドミナスで最強のバックツーバックのヴィンテージ」と称した2012、2013年の2012年の方だと2万円台。こちらの98+というのも十分すぎるくらい高い評価です。

話はちょっとずれますが、ちょうどWine Spectatorに、ムエックスが昨年初リリースして話題になったワイン「ユリシーズ(Ulysses)」の話が出ています(Christian Moueix's Newest Napa Winery Ulysses | Stirring the Lees with James Molesworth | Blogs | Wine Spectator)。僕も知らなかったのですが、ここの畑、ムエックスがスワンソン(Swanson)から買い取ったところで、スワンソンが得意とするメルローが植わっていたのを、カベルネ・ソーヴィニヨン中心に植え替えたそうです。2011年まではまだ若すぎるということで、ブドウは売却し、2012年からワインを作り始めました。ワイン作りはドミナスとほとんど同じ方法を取っていますが、味わいはだいぶ違うとのこと。ドミナスはダーク・チョコレートの風味が強いといわれますが、ユリシーズはもっと明るくヴィヴィッドな味わいだそうです。

ただ、まだ樹の若さは否めないところで、本領を発揮してくるのは2015ヴィンテージくらいからになりそうです。




2012年も少し再入荷したようです。



ユリシーズのデビュー・ヴィンテージ。味を重視するなら、ドミナス2012買う方がいいと思いますが、最初のヴィンテージの希少性も捨てがたいものがあります。
Date: 2017/0606 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2017年のオークション・ナパ・ヴァレーが開催されました(Napa Vintners Collaborate to Raise $15.7 Million for Community at Annual Auction Napa Valley)。今年の落札総額は1570万ドル。昨年の1430万ドルは上回りましたが、2015年の1580万ドルにはわずかに届きませんでした。

コッポラ監督

今年のイベントはコッポラ家のメンバーがホスピタリティを担当。コッポラ監督自ら、パーティの調理に手を貸しました。

メインのライブ・オークションでのトップロットはコルギン。2007年のマグナムコレクションに、ナパとシャンパーニュの旅行1週間が付いて70万ドルで落札。3ロットあったことから、総額210万ドルになりました。

ライブ・オークション

単一ロットでの最高額はダラ・ヴァッレの72万ドル。6リットルMayaに加え、Naokoさんらと日本旅行1週間が付きます。

ライブ・オークション以外にも、バレル・オークションとネット参加可能なEオークションが開催されました。バレル・オークションのトップロットはハーラン系のThe Mascotが7万3550ドル。EオークションではTORが2万ドルでトップでした。

オークション・ナパ・ヴァレーはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが主催。売上はすべて、子供の教育などのチャリティに使われます。
Date: 2017/0605 Category: 業界ニュース
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前半はこちら
ダックホーン/パラダックス・セミナー 赤ブレンド老舗の気概

さて、後半は試飲です。まず着席でパラダックス(Paraduxx)のワインを5種試飲し、その後は約20種のダックホーン傘下のワインを試飲しました。

パラダックス、日本で販売しているのはメインのカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルのブレンドだけですが、そのほかに10数種類のブレンドを作っています。今回は、その中からサンジョベーゼ、テンプラニーリョ、マルベック、シラーのブレンドを試飲しました。

まずはジンファンデルとのブレンド。カベルネ・ソーヴィニヨンが65%で、ジンファンデルが30%、メルローが5%です。とても色が濃く、ブルーベリーやカシスなど青系のフルーツにペッパーなどのスパイスを感じます。タンニンも酸もかなり強く、ジンファンデル・ブレンドでありながら甘みはあまり感じません。ボリューム感もストラクチャーもあるワイン。このストラクチャーはやはりカベルネ・ソーヴィニヨン中心のブレンドだからでしょうね。アルコール度数は14.9度とそこそこ高いですが、ワインは重さを感じません。酸が効いているからでしょうね。

これ定価6000円は安いです。カベルネ・ソーヴィニヨンでこのレベルだったら1万円してもおかしくないです。

ちょっと脱線しますが、「赤ブレンドのブームは追い風か」という質問をしたのですが、「確かに追い風である」と。ただ「一番売れているオリン・スイフトの『プリズナー』はパラダックスではなく(もう少し普及価格帯の)デコイ(Decoy)とぶつかるワインだ」とのこと。

実際、米国の価格だとパラダックスの方が10数ドル高いのですが、実は日本の価格だとプリズナーはパラダックスの倍もします。1万2000円台なのです。ちょっとびっくりな値段で、ドンさんにそれを教えたら目を丸くしていました。

それでもプリズナー、売れているようですが、それだったらパラダックスの方がずっと上、と思います。

さて、次のサンジョベーゼとのブレンドですが、カベルネ・ソーヴィニヨンは先日ガロに売却されて話題になったステージコーチのもの。サンジョベーゼはアンティノリから買っているそうです。

これはかなりガチガチのワイン。タンニン強く、土っぽさを感じます。と書くとおいしくなさそうですが、個人的にはかなり気に入りました。熟成にかなり時間がかかりそうではありますが。

次のテンプラニーリョとのブレンドは、やや軽く、ボディーにしなやかさを感じます。
4本目のマルベックとのブレンドもやや軽さを感じます。スパイシーな香りがありますが、ストラクチャーはやや軽く、甘酢っぽさもあります。

最後はハウエルマウンテンのシラーのブレンド。これはパワフルでタニック。ヴィナスのヴィンヤード・マップで調べたところ、ダックホーン所有の畑はハウエル・マウンテンの雄Dunnの畑の隣にあるそうです。これはタニックになるわけです。ステージコーチと同様、これも明らかに山のワイン。美味しいです。

なかなか個性的な5本で面白かったですが、さすがにジンファンデルとのブレンドはよくできているなあと思いました。

その後はダックホーンの6ブランドの試飲です。まずはデコイ。2014年のものが6種類(ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、ジンファンデル、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン)です。

白では、ほのかに甘みを感じるソーヴィニヨン・ブランが好印象。赤ではややエレガント系のジンファンデルと、ダックホーンの代名詞的品種であるメルローが好印象。

次はロシアン・リバー・ヴァレーのマイグレーション(Migration)とメンドシーノのアンダーソン・ヴァレーにあるゴールデンアイ(Goldeneye)のピノ・ノワール組。

ゴールデンアイのピノ・ノワール ゴーワン・クリークはかなりのおいしさ。ただ、価格も1万1000円とかなりします。一方、マイグレーションのピノ・ノワール ロシアン・リバー・ヴァレーは5700円とそこそこの価格でおいしいです。コスパを重視するならマイグレーションがお薦め。

次はワシントン州のキャンバスバッグ(Canvasback)。2014年のカベルネ・ソーヴィニヨン レッド・マウンテンは、カリフォルニアのカベルネとは印象が異なる、引き締まった味わい。これもかなりおいしいです。果実味よりも複雑さとかストラクチャーとかを重視するなら、お薦めです。5500円という価格もいいところではないでしょうか。

最後は本家本元のダックホーン。白はソーヴィニヨン・ブランに、近年ついに作り始めたシャルドネ。

ソーヴィニヨン・ブランは草っぽさとかグレープフルーツの風味が、いかにもソーヴィニヨン・ブラン。シャルドネもバランスよく、予想以上においしい。

赤はナパ・ヴァレーのメルロー、メルローのスリー・パームス、カベルネ・ソーヴィニヨン、ザ・ディスカッションという赤ブレンド(ボルドー系)。

ナパ・ヴァレーのメルローはさすがに上手にまとめているなあという印象。
そしてスリー・パームスはやっぱりこの日のハイライト。90年代のメルローブームのときに粗悪なメルローに山ほど当たってきた私としては、映画「サイドウェイ」のマイルズのように「くそったれなメルロー」と言いたい気持ちはよくわかるのですが、このメルローは文句なし。しなやかでエレガント、でもしっかりとストラクチャーもある。1万4000円はもちろん安い価格ではないですが、同価格帯のカベルネ・ソーヴィニヨンを考えたらこちらを選びたくなるケースはままあるでしょう。

カベルネ・ソーヴィニヨンなども悪くはないですが、あえてダックホーンでそれを選ぶ理由は少ないような気がしてしまいました。それだけメルローが美味しいということです。



Date: 2017/0604 Category: 業界ニュース
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スポッツウッドの現行ヴィンテージはパーカーが99+を付けた2013年。次ヴィンテージの2014年はパーカーの評価は96+(2016年12月の評価、同年8月は95+でした)と評価はちょっとだけ下がりますが、価格は5000円ほども上がってしまう見込みのようです。

最近の価格感覚だと、このレベル(常に最高レベルかそれに近いところにいるワイン)のカベルネ・ソーヴィニヨンで2万円台というのはかなりのお買い得。日本市場は6月中には2014年が入ってくるようですから、2013年を買うのは今が最後のチャンスかもしれません。

多分5年後くらいには、「あのころは2万円台前半で買えたんだよなあ」とためいきをついていそうな気がします…(ちなみに10年くらい前はオーパス・ワンは1万円台半ばでしたからね、今は倍以上しますが)。

Date: 2017/0604 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今や手に入らないスパークリングワインのトップになってしまったのがマイケル・クルーズが作るウルトラマリン(Ultramarine)。今回も少量入荷していたようですが、気がつく前に売り切れていました。

ただ、ウルトラマリン以外のスパークリングや、スティル・ワインもいくつか入荷しています。「ニュー・カリフォルニア」と言われるような、マイナー品種のワインが中心です。

これは「タナ」


唯一のブレンドもの


ヴァルディギエ。ヴィナスでは92点。


ペティアン・ナチュレルによる微発泡もの。品種はヴァルディギエです。


マイケル・クルーズに興味がある人はこちらもお薦めです。
「ニューカリフォルニア」の注目株、ブロック・セラーズの魅力
Date: 2017/0602 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌でカリフォルニアのセントラル・コーストなどを担当していたジェブ・ダナック(Jeb Dunnuck)が同誌をやめることが明らかになりました(Wine Critic Jeb Dunnuck Announces Launch of JebDunnuck.com)。7月1日にJebDunnuck.comという有料の個人サイトを立ち上げ、今後はそちらに集中します。

先日、アントニオ・ガッローニの話を書きましたが、彼が2013年初頭に同誌をやめたことがきっかけで、Wine Advocateは本格的なチーム編集体制に移行しました。そのときに採用された一人がジェブ・ダナックで、彼はそれまで個人として有料の紙のニューズレター「Rhone Report」を発行していました。パーカーが「昔の自分を見るようだ」と言ったジェブはローヌ系のワインを得意とする地域、(南フランスはもちろん、カリフォルニアのセントラル・コーストやワシントン州など)を担当していました。

Wine Advocateからは今回の件については何のアナウンスも出ていません。6月末発行の号にはワシントン州の記事が載る予定になっていますから、それがおそらく同誌での最後の仕事になるのでしょう。ジェブによると契約は6月15日で切れるそうです。

今後、セントラル・コーストを誰が担当するのか気になるところです。ソノマの担当になった、編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンがやるのでは? と予想しています。
Date: 2017/0601 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーン(Duckhorn)といえば、ナパのメルローで有名なワイナリーであり、印象的なアヒル(Duck)のラベルでも知られています。また、現在ダックホーン以外に5つあるグループのワイナリーはいずれもカモ科の鳥と関連する言葉をモチーフにしているのも特徴的です。ラベルにもカモ科の鳥があしらわれ、一目でダックホーン関連のワインだとわかります。なお、ダックホーンというのは創設者の名字です。

Paraduxxの試飲ワイン
今回はダックホーン・グループの海外輸出ディレクターであるブライアン・ボストウィック氏および、ナパで赤のブレンドを中心に作っているパラダックス(Paraduxx)のワインメーカーであるドン・ラボード氏が来日し、セミナーを開催しました。
Paraduxxのドン・ラボード ワインメーカー
ダックホーンはパリ・テイスティングと同じ年、1976年にオープンしました。ナパでは40番目のワイナリーでした。そのときに存在したワイナリーで、現在はなくなってしまったところもありますが、ダックホーンは「スリー・パームスの畑のおかげで今まで続けられたと言っても過言ではない」とのことでした。ダックホーンといえば誰もがイメージするのはメルローであり、その最高の畑がスリー・パームスです。

Paraduxx

現在は、ダックホーンのほか、赤のブレンドワインをナパで作るパラダックス、アンダーソン・ヴァレーでピノ・ノワールなどを作るゴールデンアイ(Goldeneye)、ソノマをベースに、比較的普及価格帯のワインを作るデコイ(Decoy)、ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーでピノ・ノワールなどを作るマイグレーション(Migration)、ワシントン州でワインを作るキャンバスバッグ(Canvasback)があります。これらブレンドごとに別々のワインメーカーがいるのも特徴です。

今回のメインのパラダックスはイタリアのティニャネッロ(サンジョベーゼ中心のブレンド)やスペインのベガ・シシリア(テンプラニーリョ中心のブレンド)といった、地域の品種に世界的品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたワインを作るワイナリーをモチーフとして1994年に作られました。

地域の品種として選ばれたのはもちろんジンファンデル。当初はジンファンデル60%というブレンドでした。オシドリと切手のイメージのラベルも好印象でした。このような赤ブレンドだけを作るワイナリーはナパで初めてだったとか。

2004年にワイナリーの建築を始め、現在では14種類のワインを作っています。ただ、メインのブレンドのほかはワイナリーでしか販売していません。

2012年からはブレンドの比率を大きく変え、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にジンファンデルをブレンドする形になりました。

理由は2つあります。まずはブドウの調達の問題。

パラダックスは50エーカーのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑と6エーカーのジンファンデルの畑を持っています。ナパ全体でもジンファンデルは減っており、今では全体の5%くらいしかありません。したがっていいジンファンデルを調達するのがだんだん難しくなってきました。

もう1つはマーケティング的な問題。

レストランにおいて、ジンファンデルの位置付けは、ワインリストで低かったり、全くなかったりします。カベルネ・ソーヴィニヨンのところにリストされる方が客の目にもとまりやすくなります。

また、作るワインの種類が増えて切手のラベルではまかないきれなくなったため、現在は2羽の鳥をあしらったラベルに変わっています。

ラベルは、前のものが素敵だったので、大分残念ですが、あれで毎年10種類以上作るのが大変すぎるというのもわかります。でもやっぱりメインのブランドだけは元のラベル残して欲しかったなあ。

ラベルの話はともかく、ブレンド比率を変えた効果は既に上がっていて、Wine&Spirits誌のレストラン人気ワイン投票にもランクインするようになってきたとのこと。また、ドンさんが初めてワインメーカーとして作った2014年は評論家のジェームズ・サックリングから93点という高評価を得ています。

試飲は後編でお届けします。