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Date: 2021/0227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シャイド・ファミリーの低アルコール・ワイン「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(Sunny with a Chance of Flowers、以下ではサニー)」がワインビジネスマンスリーによる2020年のトップブランド10の一つに選ばれました(Sunny with a Chance of Flowers by Scheid Family Wines Named a 2020 ...)。
sunny
米国のアルコール市場では低アルコールやノンアルコールのものが急激にシェアを伸ばしています。COVID-19で家で飲む機会が増えたことも関係しているのでしょう。

中でも市場を牽引しているのはハード・セルツァー。ハード・セルツァーはライムなどの風味が付いたアルコール入り炭酸飲料で日本で言えば缶チューハイに相当するがアルコール度数は低くなっています。

ワインはそれに比べると遅れていますが、サニーはその中で注目のもの。低アルコール、低カロリーで味わいもちゃんとしています(参考「低カロリー・低アルコールのヘルシーなワイン、味も本格派」)。低アルコールワインは美味しくないという「常識」をくつがえしました。

米国では相変わらず缶入りワインや箱入りワインも好調ですが、低アルコールワインも今後成長分野になってきそうです。



Date: 2021/0226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーン
ナパのワイナリー、ダックホーン(Duckhorn)などを運営するダックホーン・ポートフォリオ(Duckhorn Portfolio)社が上場を申請中であることを2月23日、明らかにしました。上場先はニューヨーク・ストック・イクスチェンジ(NYSE)で、上場後のシンボルは「NAPA」を予定しています。
Duckhorn
ダックホーンは1976年にナパのセント・ヘレナにダックホーン夫妻が設立したワイナリー。ナパの最初の40のワイナリーに含まれているといいます。1978年から作り始めたスリー・パームス・ヴィンヤード(Three Palms Vineyard、現在はダックホーンが所有)のメルローがフラッグシップで、2017年にはワイン・スペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーに輝いています。

名字に含まれるダックをもじったアヒル柄のラベルが特徴で、このほかにも鳥のラベルを使ったブランドとして低価格のデコイ(Decoy)やワシントンなどでワインを作るキャンバスバッグ(Canvasback)、アンダーソン・ヴァレーのゴールデンアイ(Goldeneye)、ソノマ・コーストなど冷涼地域のピノ・ノワールやシャルドネを作るマイグレーション(Migration)、カベルネ・ソーヴィニヨン系のブレンドを作るパラダックス(Paraduxx)、ワシントンのコロンビア・ヴァレーにあるグリーンウイング(Greenwing)といったワイナリーを保有しています。

このほか、買収で手に入れたワイナリーとしてセントラル・コーストのカレラ(Calera)、ソノマのコスタ・ブラウン(Kosta Browne)があります。

カリフォルニアのワイナリーには過去に上場していたところがいくつかありますが、いずれも他社に買収されてしまっています。シャローン(Chalone)はDiageoに買収され、フラッグシップのシャローンは現在はフォーリー(Foley)傘下にあります。レイヴェンズウッド(Ravenswood)はコンステレーション・ブランズに買収され、昨年ガロに売却されました。ロバート・モンダヴィはコンステレーション・ブランズの傘下に入りました。

ダックホーンのほかにはクロ・ペガス(Clos Pegase)などを保有するヴィンテージ・ワイン・エステート(Vintage Wine Estate)も上場を予定しています。

コロナ禍で産業構造が変わりつつある今だから、ということなのだと思いますが、今後どうこれらの会社が変わっていくのか気になるところです。
Date: 2021/0225 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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オンラインWassysでペイのエステート・ピノ・ノワール「ポマリウム2014」がセールになっています。ワイナリー価格の税抜59ドルに対して税込み6600円(税抜6000円)と現地よりも実質的に安くなっています。2014はヴィナスで93点と高い評価です。

ペイはソノマ・コーストの中でも非常に冷涼な地域のパイオニアの一つ。海から6km程度しか離れておらず、真夏でも20℃そこそこまでしか気温が上がりません。その代わり、下がっても10℃台と1年を通じて同じくらいの気温が続き、ブドウの生育期間が長くなります。

ペイはエステートと名の付いた自社畑オンリーのワインを3種類作っています。「アマ」と「スキャロップ・シェルフ」として「ポマリウム」です。畑はクローンや傾斜の向きなどによって25~30のブロックに分けて収穫され、それぞれ独立して醸造されます。そこからブラインドで試飲して、それぞれのエステートのワインを作っていきます。つまり特定の畑やブロックがあるわけでなく、3つ別々のスタイルを実現するためにブレンドを選びます。したがって年によってそれぞれのエステート・ワインの生産量も変わってきます。

スタイルとしては「スキャロップ・シェルフ」がエレガント、「ポマリウム」が筋肉質、「アマ」がその中間で蠱惑的な味わいだとのことです。



Date: 2021/0224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ラスティ
「The Prince of Pinot」ことRusty Gaffney(ラスティ・ガフニー)氏とのオンライン・ミーティング(ilovecalwine主催)に参加しました。ガフニー氏は元眼科医で2001年にリタイアしてから2002年にPinotFileというピノ・ノワール専門の無料のオンライン雑誌を概ね2週間に1回発行しています。通巻450号にも達しています。年齢的にはそろそろ80くらいになっているのではないかと思われますが、すばらしい精力です。
PinotFile
特に年に1回発表する「All Americans」は値段を考慮せずに品質的に最高な米国のピノ・ノワールを選出したものです。2020年はピゾーニのピゾーニ・ヴィンヤード2017が98点でトップとなっています。このほか注目のワイナリーとしてSolisteやBenoviaなどを挙げていました。

また、カリフォルニアのピノ・ノワールのトップAVAとしては1位がソノマ・コースト、2位がアンダーソン・ヴァレー、3位がロシアン・リバー・ヴァレー、4位がサンタ・クルーズ・マウンテンズ、5位がサンタ・ルシア・ハイランズ、6位がサンタ・リタ・ヒルズとのことでした。

彼自身はビッグなピノ・ノワールよりもエレガントなものが好きだとのこと。例えばMarcassinなどはあまり好みではないそうです。また、除梗せずに作るホール・クラスターのピノ・ノワールも複雑な味わいになり好きだとのこと。ホール・クラスターを使っているお薦めのワイナリーとしてはKutchとBig Basinを挙げていました。

オレゴンではエオラ・アミティ・ヒルズに注目しており、プロデューサーとしてはCrisotm、Evetham Wood、Bethel Heights、Walter Scott、Lingua Franca、Temperance Hill Vineyardなどを挙げていました。

このほかクローンの話など、2時間に渡って様々な話をうかがいました。貴重な時間を快く割いていただいたこと感謝です。




Date: 2021/0223 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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初の開催となるオンラインによるナパ・ヴァレーのライブラリー・ワイン・オークションが20日に閉幕しました(Napa Valley Library Wine Auction Reveals Robust Market for Napa Valley Wines)。
ナパ
約100ロットが出展され、総落札額は93万3000ドルに達しました。日本を含む12カ国からビッドがあったそうです。

1981年から続いていたオークション・ナパ・ヴァレーを2020年はコロナ禍でキャンセルし、新たなフォーマットとして登場したライブラリー・オークションですが、当初アナウンスされたようなオークション・ナパ・ヴァレーの代替ではなく、今後もライブラリー・オークションとして続いていくようです。オークション・ナパ・ヴァレーの代替は2022年に改めて登場する見込みです。

今回の売上はナパ・ヴァレーのプロモートのために使われます。その点でも地元への寄付となっていたオークション・ナパ・ヴァレーとは大きく違う点です。
Date: 2021/0222 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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フィールド・レコーディングス(Field Recordings)のシャルドネ「ワンダーウォール(Wonder Wall)」を飲みました。

フィールド・レコーディングスはアンドリュー・ジョーンズという人が作ったワイナリー。パソ・ロブレスなどセントラル・コーストのあまり有名でない畑を足で探し、そこから非常にコストパフォーマンスの高いワインを作っています。ニュー・カリフォルニア系と目されているわけではありませんが、天然酵母を使い、比較的熟度の低いブドウを使ってアルコール度数も比較的低めに抑えていることなど、ニュー・カリフォルニア系に近い特徴を持っているといっていいでしょう。

インポーターの説明には以下のように書かれています。
フィールド レコーディングスはアンドリュー・ジョーンズが自らの足で歩き、出会った畑や人々をワインという形で残した記録です。

得意なアメリカンフットボールで奨学金を受け大学に進学したジョーンズは農業経営学を専攻し、ブドウ栽培に出会います。ブドウ栽培にすっかり虜になったジョーンズはソノマコーストのガロでインターンとして勤め、本人曰く“すっかりはまった!”そうです。その後ブドウの苗木栽培所でアルバイトをしながら大学を卒業し、その後もそこで働き続けました。

仕事でカリフォルニア中を訪れ、特にセントラル・コーストやサン・ホワキン・ヴァレーの生産者を訪問するうち、毎年数百万の新しい苗木が植えられる中で自分用のワインができるほどのブドウを分けてもらうようになりました。こうして畑やブドウの品質を見極める目を養い、ワイン造りをする技術を身に着けていくうちに、知名度はなくともダイヤモンドの原石のように素晴らしいブドウに出会うようになり、そのブドウを使い高品質なワインを造り始めました。すべての畑、すべてのワインにはそれぞれのストーリーがあります。“フィールド・レコーディングス”は単一畑のブドウを使用しており、その土地やテロワールをワインとして記録したものです。いくつかの畑のブドウをブレンドして造ったものは、“ワンダーウォール”としてその大きなポテンシャルをボトルに詰め込みました。

地域や畑の知名度にとらわれず、ブドウの品質にこだわり探し求める彼の目にかなったブドウで造られるワイン達は個々の個性を持ち、それぞれ品種や生産地が異なっていてもどれもが一定の品質基準を保ち、ブドウのクオリティを実感させられる造りです。
今回飲んだワンダーウォール・シャルドネ2018はエドナ・ヴァレーの2つの畑のブレンド。エドナ・ヴァレーは、セントラル・コーストの中でもちょっと地味な地域ですが、海から近く非常に冷涼なところです。熟成はアカシア樽60%、アメリカンオーク樽40%(新樽25%)ということですが、樽感はわずかしかありません。非常に切れのいい酸が特徴的で、洋梨、レモン、りんご、スイカズラなどの香り。多分マロラクティック発酵はなしでしょう。

3000円レベルで、これだけきれいな酸を持つワインはなかなかないと思います。トロピカルフルーツ感や樽のまったりとした味わいを求める人には向きませんが、とてもいいワインです。

Date: 2021/0221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーのワイナリーを200近くも網羅し、ワイナリーの紹介やテイスティングコメントなど詳細に記した「Napa Valley Then & Now」という本があります。ワイン・イン・スタイルの方がFacebookで紹介されていたのですが、Amazon.comで見たら300ドル!? こりゃさすがに買えないなあと思っていたところ、ワイン・イン・スタイルに在庫があり、だいぶ安く買わせていただきました。

しかし…

大著なのは理解していましたが、届いて改めてびっくり。



どうです、この存在感。なんと重量6kgもあります。調べ物をするときにこれ一冊で間に合うような書籍、というのを志したようですが、これを持ってきて開くのが大変です。どこに置こうか、しばし考慮中。

それにしても紙もいいものを使っているし、装丁も凝ってます。300ドルも決して高くはないなと今にして思います。
Date: 2021/0219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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KAT-TUNの新曲のタイトルが「Roar」で、ツアーのオフィシャルグッズにワイングラスが含まれていたことからTwitterのトレンドに「ワイングラス」が入り、オンラインWassy'sさんの以下のツイートからRoar(ロアー)のワインにも注目が集まっています。

KAT-TUNのツアーグッズ発表後、高級ワイン「Roar」がバカ売れの理由 - エキサイトニュース」なんていうニュースも出ていますが、輸入元は「バカ売れ」というほどではないとのこと。ただ、かなりの売れ行きだったのは確かです。



KAT-TUNの亀梨和也君といえば、かつてドラマ「神の雫」で主役を演じたこともあり、酒好きと言われています。なので今回のツアーグッズも亀梨君の趣味で選んだのではないかというもっぱらの評判。確かに私もある歌手の方から、自分で使いたいものをツアーグッズに入れると聞いたことがあります。

では、このRoarどんなワインなのでしょうか。

Roarはカリフォルニアの「サンタ・ルシア・ハイランズ」というところにあるワイナリーです。有名な都市でいうとサンフランシスコから車で3時間くらいでしょうか。水族館で有名なモントレーから近いところです。白ワインのシャルドネと赤ワインのピノ・ノワール、シラーという種類のワインを作っています。中でも人気が高いのはピノ・ノワールです。

有名なワイン評論家ロバート・パーカーが作った「ワイン・アドヴォケイト」という雑誌では100点満点で最高96+という点数をもらっています。ちなみに96点以上のワインというのは「並外れたワインで、その品種の模範的ワインが持つべき要素をすべて持っており、深く複雑な味わいで、見つけるのも買うのも飲むのも特別なワイン」という位置づけになります。Roarのワインはどれも1万円前後とかなり高額ですが、それだけの価値はあります。

できたら大ぶりのグラスを使ってゆっくり時間をかけて飲んでください(もちろんツアーグッズのワイングラスでも)。冷蔵庫で30分くらい冷やした状態から飲んでいくと、ワインの味わいの変化もよりよくわかると思います。ピノ・ノワールという品種は赤ワインの中では比較的繊細で優しい味わいなので、料理もあまりガツンとしたものよりはチキンや豚肉の比較的あっさりとした味付けのものなどが合うと思います。



願わくば、亀梨くんにもRoarのワイン飲んでもらいたいですね。

PS 亀梨くん主演のドラマ「レッドアイズ」は見ているのですが、主題歌が「Roar」というタイトルとは気づいてなかったです。
Date: 2021/0218 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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パーカー94点で現地60ドル(税抜き)が税込み4000円程度と激安になっているセニス(Cenyth)。コラヴァンで1杯飲んでみました。

似たような価格帯で、カベルネ・フラン比率が高いことも共通するワインとして先日紹介したウオーターストーンの「スタジオ・レッド」がありますが(「2月19日まで3割引、カベルネフラン多めのエレガントブレンド」)、それと比べると色は濃い目。香りは非常に強く、グラスを顔に近づける前から香りが漂ってきます。赤スグリ、クランベリー、ブラックベリー、濡れた石、トースト、杉に腐葉土やマッシュルームの風味もあります。2016年とまだ若いですが、少しだけ熟成の風味も出始めているようです。ボディはミディアムプラスからフルボディ。

先日のスタジオ・レッドはかなりエレガントでカベルネ・フランの色彩が強かったですが、セニスはそれほどフランぽさは強くありません。カベルネ・ソーヴィニヨンのような力強さにしなやかさをプラスしたような味わいと言えばいいでしょうか。この凝縮感で4000円はお買い得です。

もう5、6年ほど熟成が進むとさらに美味しくなってきそうなワインです。

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カリフォルニアワインの柳屋

Date: 2021/0217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「グランジ(Grange)」で有名なオーストラリアのワイナリー「ペンフォールズ(Penfolds)」がカリフォルニアワイン4種を発売しました。一番安いワインは50ドル、それから70ドル、149ドル、700ドルとなっています。
ペンフォールズ
ペンフォールズはトレジャリー・ワイン・エステーツ(Treasury Wine Estates)の傘下であり、同じ傘下にはナパのベリンジャー(Beringer)やスターリング(Sterling)、ボーリュー(Beaulieu、BV)、スタッグス・リープ・ワイナリー(Stags' Leap Winery)、エチュード(Etude)、アケイシア(Acacia)、ヒューイット(Hewitt)、ソノマのシャトー・セント・ジーン(Chateau St. Jean)などが含まれています。

今回は、トレジャリー傘下のナパ、ソノマ、パソ・ロブレスの畑からワインを作っています。

50ドルのBin 600はカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズのブレンド、70ドルのBin 704はカベルネ・ソーヴィニヨン、149ドルのBin 149はカベルネ・ソーヴィニヨンで、オーストラリアのカベルネを14.9%ブレンドされています。700ドルのQuantum Bin 98はカベルネ・ソーヴィニヨンですが、オーストラリアのシラーズも22%含んでいるとのことです。オーストラリア・ワインをブレンドしたものは「Wine of the World」とラベルに記されています。ヴィンテージはいずれも2018年です。

醸造や熟成には基本的にはベリンジャーのワイナリーを使っているとのことです。
Date: 2021/0215 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヴィノスやまざきの「ウォーターストーン スタジオ・レッド2015」をサンプルでいただきました。
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ワインの価格や情報を見ずに、試飲した印象は、「カベルネ系だけど、レッドカラントなど赤系の明るい果実の印象が強く、エレガント。ただやせた味わいではなく、芯は通った味わい。価格的には6000円なら十分納得、1万円だとちょっと高いかなあ」という感じでした。

カベルネ・フランが結構入っていそうと思って情報をみたところ、
カベルネ・ソーヴィニョン 48%(うちわけはチャイルズ・ヴァレーのSenseriが42%、カーネロスのTruchardが5%、セントヘレナのTitusが1%)
カベルネ・フラン 23%(セントヘレナのTitus)
メルロー 20%(チャイルズ・ヴァレーのSenseri)
プティ・ヴェルド 5%(パソロブレスのOpolo)
シラー 4%(カーネロスのTruchard)
となっていました。

Truchardのブドウがいろいろなところで使われているとは聞いていましたが、ここにも結構入っていますね。プティ・ヴェルドやシラーが意外と入っているのは、バックボーンをしっかりとさせたりボリュームを付けるためでしょうか。非常にバランスよくできているワインだと思います。濃厚なカベルネよりも少しエレガント系が好きな人にははまりそうな味わいです。ちなみに、セパージュの比率などは異なりますが2014年のものはジェームズ・サックリングが92点を付けています。

価格は実際には税抜き5800円とのことなので、納得価格です。ただ、2月19日まではセールで税抜き3980円と3割引き以上のかなりの割安になっています。これは相当安い。

ウォーターストーンはコロナで需要が減って、一時は廃業も考えていたそうですが、ヴィノスやまざきがワインを相当量買い付けて、ワイナリーを救ったそうです。このワインはそのお礼も兼ねて、すべてヴィノスやまざきに安価で譲ったとか。

その心意気も素晴らしいですね。


Date: 2021/0214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オークション・ナパ・ヴァレーが2020年のイベントをコロナで中止にした後、会場となっていたメドウッド・リゾートがグラス・ファイヤーで焼失といったこともあり、イベントの終了が公表されました。その暫定的後継となるオンライン・オークションが2月20日までの日程で始まっています。
ナパ・ヴァレー・ライブラリー・ワイン・オークション
ライブラリー・ワイン・オークションという名の通り、ワイナリーが在庫(ライブラリー)から放出したワインがオークションにかけられています。ロットの数は全部で96。現状一番高い入札価格が高いもので6000ドル、低いもので1100ドルとなっています。本数などはロットによって大きく異なっており、本数の多いものでは1本あたり30ドル以下と格安になっているものもあります。

全体的にはマグナムボトルを提供するところが目に付きます。マグナムのニーズはコロナ禍でパーティなどができないこともあり、下がっていると思われ、もうちょっと普通サイズのものが多ければよかったのにと個人的には思いました。
Date: 2021/0213 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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現地価格より4割引!? パーカー94点、ヴェリテの弟格」で紹介したセニスの2016年。早くも輸入元は完売とのことで市中在庫限りとなります。私も買いましたがもう少し買いましておこうか考え中です。

ともかくワイナリー60ドルが4000円前後。しかもパーカー94点と過去最高の評価なのですから、これ以上のお買い得はめったにないレベルです。

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カリフォルニアワインの柳屋

Date: 2021/0212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアの昨年のブドウ収穫量を報告する「クラッシュ・レポート」が公開されました(https://www.nass.usda.gov/Statistics_by_State/California/Publications/Specialty_and_Other_Releases/Grapes/Crush/Prelim/2020/202002gcbt00.pdf)。2020年はナパやソノマなどで山火事による煙の被害で収穫量が大幅減少、過去10年で最少となりました。

過去のレポート
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫

収穫量
2020年の収穫量は354万2000トン。2019年から14%減少となりました。8月や9月の山火事で煙の被害を受けたナパやソノマはさらに悪く、ナパは前年より39%減少、カベルネ・ソーヴィニヨンに限ると43%も減っています。ジンファンデルも47%、メルローは42%減少と赤ワイン用のブドウはおしなべて悪く、シャルドネは35%減少と比較的減少幅が少なくてすみました。これは9月の火事の前に収穫を終えたところもあったことや、白ワインでは皮を漬けこまない分煙被害の影響が出にくいといったことが関係していると思われます。

ソノマ(+マリン郡)は前年より36%減少。ピノ・ノワールは38%、メルローは55%、ジンファンデルは44%減。シャルドネも44%減を平均を超えました。

金額
ブドウの価格も下がっています。通常は収穫量が減ると価格は上がることが多いのですが、今回は逆に作用しました。ナパのカベルネは1トン当たり6200ドルで22%下がりました。これは2014年以来の低水準です。ソノマのカベルネ・ソーヴィニヨンは19%、ピノ・ノワールは18%下がっています。供給量が減っても価格が上がらなかったのは前年も供給過剰で、ブドウが余っていたためと見られています。2020年の低収穫で、余剰ブドウはだいぶなくなったそうです。

品種別
品種別でシャルドネ1位とカベルネ・ソーヴィニヨン2位は昨年と同じ。ほかも細かい順位の変動はありますが、特に大きな違いはなさそうです。
Date: 2021/0210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・エンスージアストに「世界最高のワインを生み出す10の畑」という記事が出ています(10 Vineyards Behind the World’s Most Famous Wines | Wine Enthusiast Magazine)。

載っている畑は
・ロマネ・コンティ
・モンラッシェ
・クロ・サン・ジャック
・クロ・デ・ゴワセ
・クレ・ド・セラン
・カンヌビ
・ト・カロン
・シェア(Shea)
・ビエン・ナシード
・オールド・ガーデン

ロマネ・コンティとモンラッシェは説明不要ですね。どちらもブルゴーニュのグランクリュとして世界最高の評価を得ています。文句なしでしょう。

クロ・サン・ジャックもブルゴーニュでジヴリ・シャンベルタンの畑です。ここはプルミエ・クリュですが、グランクリュにならなかったのは「格付けが上がって税金が増えては困る」といった理由があったようです。

次のクロ・デ・ゴワセはシャンパーニュのフィリポナの畑です。これは全然知らなかったです。

クレ・ド・セランはロワールでニコラ・ジョリーが持っている畑です。

次のカンヌビはバローロの畑です。

そしてついにカリフォルニアから「ト・カロン」の畑。ナパのオークヴィルですが説明不要ですよね。

その次はオレゴンからシェア(Shea)。

その次が再びカリフォルニアでビエン・ナシード。
ビエンナシード
そして最後はオーストラリアはバロッサ・ヴァレーの「オールド・ガーデン」。1853年に植えられた古い畑です。

ト・カロンとビエン・ナシード、どちらも文句ないところですが、ピノ・ノワールだったらピゾーニやハーシュあたりも入れたいという感じがします。
Date: 2021/0209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイングラス
WSETって何? という人は「WSETがワインの最初の資格としてお薦めの理由」からご覧ください。

まず、私はアカデミー・デュ・ヴァンのWSETのクラスに通いました。英語ではなく日本語です。ディプロマを絶対に受けるというのであれば英語で受けた方がいいと思いますが、そうでなければ日本語でいいかと思います。私の場合は、アカデミー・デュ・ヴァンのWSETの先生が知り合いだったので、どうせなら知っている人に教えてもらおうというので選んだのですが。

今はオンラインで受けられる授業もあるようです。ただ、試飲についてはフィードバックが大事なので、オンラインでも対面でも試飲をちゃんと教えてもらうことが大事だと思います。

WSETの試験は試飲と理論に分かれます。理論の方はさらに4択問題と記述問題に分かれます。

試飲についてはまずは回答項目に慣れることと、語彙を覚えること、自分でテイスティング・コメントを書くことをやりました。
覚えるものに関しては理論もそうですが、マルマンの「ルーズリーフミニ」という小さいルーズリーフをカード的に使って表に項目名、裏にその内容を書いていきました。

ワインは普段飲まない欧州のものを中心に週に1~2本を飲んではコメントを書くということをやっていました。
あとは、アルコールや酸、糖分、タンニンの多い少ないを味わい分ける練習を少ししました。
これは、「ワインの試飲能力を簡単に高める方法」で紹介している方法ですが、グラスを5種類用意し、基準となるワインをすべてに注ぎます。それから一つのグラスにはレモン汁、一つのグラスには蒸留酒(なるべく香りのないもの、甲類焼酎やウォッカがベター)、砂糖、紅茶のティーバッグを入れます。元記事にはティスプーンで1杯ずつと書いていますが、もっと少なくてもいいと思います。これで、順番にテイスティングして、感じ方がどう変わるかを覚えるという方法です。例えば酸が多ければ唾液が出てくることを感じ、アルコールが多いと熱っぽく感じるなどを体感します。WSETの試飲のこれらの項目を書く練習になります。

理論の方は基本的には教科書の内容をきちんと理解することが求められるので、教科書を読みながら上記のルーズリーフミニにまとめていくことを最初にしました。特に栽培と醸造はきちんと理解しておくことが大事だと思います。醸造では特殊なもの、例えば甘口ワインの作り方やロゼワインの作り方、マセラシオン・カルボニックなどはきちんと書けるようにまとめました。また、酒精強化とスパークリングは理論で必ず出ますから(試飲では出ません)、これも醸造方法をしっかり覚える必要があります。




前回も書きましたが、上記の本は教科書よりも詳しく醸造のことが記されています。教科書レベルより少し上になるのだと思いますが、読む価値はあります。

次に地域別の勉強です。いくらWSETが覚えることが少ないといっても、多少は覚えないといけないので、自分にとっては最大の難関です。

まず、基本的な地理感覚を身に着けないといけないので、これもルーズリーフミニにかんたんな地図を書いて位置関係や関連する地形などを覚えていきました。

ただ、これだけだと覚えきらないので、Excelの表に国名、地方名、地域や原産地呼称、ワインの種類、ブドウの種類、ワインのスタイル、気候、関連する地形などをまとめていき、地域名とそこで作られる品種などを覚えていきました。
エクセル
特に試験1週間前はこれらを覚えることに専念しました。これで理論の選択問題はだいぶできるようになりました。

勉強のスケジュールですが、当初は10月から2月ころまで教室があり、その後ゴールデンウイークに試験を受ける予定でした。そのため試飲の勉強は主に11月から2月ころにしていました。

その後、コロナで試験が延期になり、勉強も一時中断しました。結局8月16日に試験が決まり、7月の後半くらいから改めて理論の方を中心に勉強しました。とはいえ勉強時間は週末に1~2時間程度です。後は前述のように試験直前の1週間は毎日1時間程度やっていました。

これからWSETを受ける人に少しでもヒントになれば幸いです。もし、もっと知りたいという方がいらっしゃったらSNSなどで声をかけてください。
Andy Matsubara(アンディ松原)@カリフォルニアワインさん (@andyma) / Twitter
Andy Matsubara | Facebook
カリフォルニアワイン オフィシャルLINE
Date: 2021/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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これはマジでびっくりです。ソノマ最高峰のボルドー系ワイン「ヴェリテ(Vérité)」の弟格にあたるセニス(Cenyth)の2016年が税込み3960円ととんでもない価格になっています。米国での価格は60ドル(税別)ですから実質4割ほども安いことになります。

品質が悪いワインかといえばそうではなく、ワイン・アドヴォケイトでは94点。ヴィナスでも91~93点でセニス史上最高と評されています。

セニスのワインメーカーはエレーヌ・セイヤン。ヴェリテのワインメーカーであるピエール・セイヤンの娘です。ピエールが高齢でヴェリテのワインメーカーを退き、後任になったのがエレーヌです。そちらに注力するためにセニスの生産を終了することになったそうです。

セニス2016はカベルネ・フランが50%でメルローが33%、カベルネソーヴィニヨンが17%の構成。カベルネ・フラン好きとしても逃せないワインです。


Date: 2021/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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昔はカリフォルニアワイン=安ワインと言われていましたが、近年では1000円を切るカリフォルニアワインで良質なものはなかなか見当たらなくなっていました。そこへ最近登場したのが「ベンド(Bend)」のカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネです。定価990円(税抜き)ですが、税込みでも1000円足らずで購入できます。



このワイン、現地の実売価格で8ドルなので、実は国内価格はほとんど変わらないのですが、さて味は実際のところどうでしょうか。ということで飲んでみました。

カベルネ・ソーヴィニヨンはミディアムプラスのボディ。写真では色は結構濃く見えますが、実際にはそこまでは濃くない感じです。ダークチェリー、レッドプラムなど、赤系からやや黒系の果実の風味。非常にまろやかです。タンニンはほとんど感じません。樽香はありますがそんなに強いイメージではありません。軽く甘さを感じます。甘口というわけではなく、オフドライくらいでしょうか。このクラスのワインでは多少甘みがあった方がボディのふくよかさが保てる印象があります。全体にバランスも悪くなく、美味しいワインです。900円以上の価値はあるでしょう。

もうひとつのシャルドネはライチや白桃、白い花の風味、ミディアムボディで酸は中程度。柔らかな味わいでとても飲みやすいワイン。個人的にはカベルネ・ソーヴィニヨンよりシャルドネの方が好みです。

久々にこの価格帯でいいカリフォルニアワインに出合いました。デイリーワインとしてお楽しみください。


ショップはどちらもしあわせワイン倶楽部です。
Date: 2021/0206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「「マヤ」さんがダラ・ヴァッレの新ワインメーカーに就任」という記事の中で、ダラ・ヴァッレとイタリアのオルネライアがDVO(名称はDalla ValleとOrnellaiaの頭文字を取ったもの)という新しいプロジェクトをやっているという話を書きましたが、これについて、ジェームズ・サックリングがオルネライアとダラ・ヴァッレの両者にインタビューしています(Ornellaia announces new Napa project


これによると、プロジェクトを始めたのは2017年。きっかけは2013年にマヤがオルネライアでインターンをしたことだったそうです。マヤの亡父グスタフはイタリア人であり、それもきっかけの一つになったとか。2020年を含め、4ヴィンテージで既にワインを作っており、2017年はボトル詰めもしています。

ただ、2017年は9月に熱波や山火事があった関係でヴィンテージとしてはそれほどよくありません。そこでより品質が高い2018年を最初のヴィンテージとして今年発売することになります。ただ、2017は売らないということではなく、いずれ販売する予定だとのこと。

また、ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンベースですが、ダラ・ヴァッレの畑ではなくナパのいくつかの畑から購入したブドウで作っています。そのため、AVA表記はナパ・ヴァレーになります。オルネライアのワインメーカーであるアクセル・ハインツによると、将来はDVOの自社畑購入も見据えているとのことで、一過性のプロジェクトではなく長く続くものを志しているようです。

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Date: 2021/0205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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データ
カリフォルニア・サステナブル・ワイン・アライアンス(CSWA)が2020年のアニュアルレポートを公開しました。

昨年の記事:着実に進むサスティナブルなブドウ造り

認証を受けた畑の数は昨年から7%増えて2247に、ワイナリーの数は15%増えて171になりました。前年は畑の数が50%も増えましたが、今年はそれほどの伸びはありませんでした。認証を受けた畑の面積はカリフォルニア全体の32%になります。
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今回、一番成長したのはサステナブルのロゴを付けたワインの数です。前年は100万ケースに近づいたところでしたが、2000年は6倍以上増えて630万ケースに達しました。

カリフォルニアワイン協会も、カリフォルニアワインのイメージとしてサステナブルを前面に打ち出しており、今後さらに重要なキーワードになってくると思います。増えてきたとはいえ、まだまだやるべきこともたくさんあり、今後のアクションプランだけで2500を超えるとしています。
Date: 2021/0203 Category: 業界ニュース
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新ロゴ
カリフォルニアワイン協会が、世界的なブランド・キャンペーンを始めました。ロゴを刷新し、サスティナビリティに重点を置いたブランドの打ち出しをしていきます。
計画は10年にわたり、第一段階ではワイン好きの消費者を中心に認知度と評価を高めることを目標にしています。2年間で1000万ドル以上を投資する予定です。

春からは「ゴールデン・ステート・オブ・マインド ~ 輝くカリフォルニアの想い」キャンペーンとして、デジタル広告や4段階の認定プログラムなどを行います。

2030年には米国ワインの輸出額を25億ドルに上げることを目標にしています。2019年で13億ドルですから倍近くに増やすことになります。このうち約95%をカリフォルニアワインが占めます。
Date: 2021/0202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今をときめく人気ワインメーカー「マイケル・クルーズ(Michael Cruse)」。超入手困難なスパークリング・ワイン「ウルトラマリン(Ultramarine)」が大人気ですが、ニュー・カリフォルニア系の「クルーズ・ワイン」でも知られています。

そのクルーズ・ワインのエントリー的位置づけにあるのが「モンキー・ジャケット(Monkey Jacket)」。
モンキー・ジャケット
オレンジのアクセントが印象的なラベルのワインで、かつてはナパ・ガメイと呼ばれていたヴァルディギエ中心のブレンドとなっています。

でもなぜ「モンキー・ジャケット」なんでしょう?

モンキー・ジャケットとは、かつて水兵が着ていた腰までの長さのピッタリとしたジャケットのことです。
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マイケル・クルーズがワイナリーを立ち上げたときは、フルタイムの仕事をしながら2人の子どももいてとても大変だったそうです。コーヒーとパンク・ミュージックだけではもう眠気覚ましにはならなくて、彼はよく水兵の歌を聞きながら作業していました。

「バンクス・オブ・ニューファンドランド (Banks of Newfoundland)」という、2人の男が女と酒にお金が必要で自分たちのモンキー・ジャケットを質に出してしまい、捕鯨中の海上で低体温で死んでしまうという歌があって、当時はその曲をよく聞いていました。

そこで当時、ワイナリーを「モンキー・ジャケット」というニックネームで呼んでいました。

「最初は単に面白い響きだなと思って使っていただけだったのですが、時がたつにつれ、目の前の作業に対する集中力、出来栄え、そして熱心さを象徴する言葉のようになってきたんです。結局のところは、水兵たちに対する「気を引き締めろよ」という意味の曲ですからね」(マイケル・クルーズ)

2013年にクルーズ・ワインとしてワインを売り出したとき、チャールズ・ハインツのシラーとランチョ・チミレスのヴァルディギエだけしかありませんでした。

ところがこのヴァルディギエがその後ニューヨークでバカ売れしました。そこで価格を抑えつつ生産量を少し増やすために、ヴァルディギエ単体でなくブレンドとして売り出すことになりました。ワイナリーの主力商品になるということで、ニックネームだった「モンキー・ジャケット」を付けたのです。ラベルに帆船が描かれているのも上記の曲から来ています。

ワイナリーのニックネームを冠するほど思い入れのあるワイン。ヴァルディギエ主体でジューシーな味わい。思わずグラスが進んでしまうワインです。



Date: 2021/0201 Category: 業界ニュース
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米国の連邦裁判所は、コンステレーション・ブランズがザ・ヴィンヤード・ハウスをト・カロンの商標と知的財産権違反で訴えていた件でコンステレーション・ブランズの勝訴を認めました。
ラベル
この裁判は、上の図で示したようにザ・ヴィンヤード・ハウスのワイン・ラベルにTo Kalonの文字を使っていたことから起こったもの。To Kalonの商標はコンステレーション・ブランズが保持しており、コンステレーション・ブランズのほかには、かつて裁判で争い、和解したベクストファーだけが「Beckstoffer To-Kalon」として使用を認められています。

今回はコンステレーション・ブランズの勝訴が認められただけでなく、The Vineyard House側はワインにTo Kalonの名称を永久に付けてはいけないとされました。The Vineyard Houseのオーナーはニッケル&ニッケルやファーニエンテのオーナーであるジェレミー・ニッケルです。
Date: 2021/0201 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、WSET(Wine and Spirits Education Trust、ダブリュセットと呼ぶ人もいますが本来はダブリュエスイーティーと読みます)のLevel 3に合格しました。ワインの資格を取ったのはこれが初めてです。



ワインの資格というと日本ソムリエ協会(J.S.A.)のソムリエが有名ですが、ソムリエになるには3年以上、飲食やワイン業界に従事していないといけないため、一般の人は受けられません。その代わりにJ.S.A.にはワインエキスパートという資格があります。ソムリエもワインエキスパートも一次試験は選択式のテストがあり二次試験はテイスティングです。ソムリエの方は加えて論述とサービスのテストもあります。

それに対してWSETはロンドンに本拠地を置く国際的な教育機関です。日本語で受けられる試験としてはワインのレベル1~3、それから日本酒のレベル1があります。ワインの試験は英語のものと内容的には同じです。

WSETをお薦めする理由を挙げます。
・ステップアップしやすい
・世界標準の教育である
・ワインエキスパートと比べると覚えなければいけないことが少ない
・テイスティングはあくまでワインを評価するためのもので、銘柄当ては必要ない
・良いワインはどう作られるかの理屈が理解できるようになる

・ステップアップしやすい
日本語で受けられるレベル1~3は、レベル1が「ワインに関わる仕事を始めようとしている人や、ワインへの関心を追求している人を対象とした、ワインに関する初心者レベルの概要」、レベル2が「業界のプロフェッショナルやワインの愛好家を対象とした、ワインについての知識を深める初級~中級レベルの資格」、レベル3が「ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格」となっています。

例えばレベル1の例題としては
以下のブドウ品種のうち、赤ワインを造るのはどれか?
 a カベルネ・ソーヴィニョン
 b ソーヴィニョン・ブラン
 c リースリング
 d シャルドネ
といったものがあります。試験は30問のマークシートです。基礎的な知識があればできそうですね。学習時間は試験時間の45分を合わせて6時間とされています。

レベル2の例題としては

ドイツとオーストラリアの両国で、上質な白ワインを造ると考えられているブドウの品種はどれか?
 a. メルロー (Merlot)
 b. セミヨン (Semillon)
 c. シラーズ (Shiraz)
 d. リースリング (Riesling)

以下のワイン生産地で、グラン・クリュ (Grand Cru)と表示ができるのはどれか?
 a. シャブリ (Chablis)
 b. ヴーヴレ (Vouvray)
 c. ミネルヴォワ (Minervois)
 d. エルミタージュ (Hermitage)

といった感じで、地域の知識などが加わってきます。また様々なぶどう品種の特徴を学ぶのがレベル2です。本当の初心者でなければレベル2からスタートするのが良さそうです。テストは50問の選択式となっていて、自由論述はありません。レベル2は16時間の講義と1時間の試験、11時間の自習が必要とされています。

レベル3は50問の選択式問題と論述問題、それから試飲となっていて、だいぶ難しくなります。選択式+論述の「理論」と「試飲」それぞれで55%以上の得点が合格条件です。

選択問題では以下のような感じの問題が出ます。

次のうち、ワイン中の微生物の安定化を保証するものはどれか?
 a. 無菌濾過
 b. ラッキング
 c. 深層濾過
 d. 低温発酵

ポートの生産に使用されないのはどのブドウ品種か?
 a. ティンタ・ロリス種
 b. トゥリガ・ナショナル種
 c. ユニ・ブラン種
 d. トゥリガ・フランカ種

次のうち、リベラ・デル・ドゥエロで重要な自然の要因はどれか?
 a. 海洋の影響
 b. 秋に発生する早朝の霧
 c. 標高の高さ
 d. ピレネー山脈から吹き降ろす冷気

このように、栽培や醸造、各国のルールについても知識が必要になります。30時間の講義、2時間半の試験、50時間の自習が必要とされています。

このようにだんだんレベルを上げていけるのがWSETのいいところです。それに対してワインエキスパートは試飲と知識と両方必要という点ではWSETのレベル3相当でしょうか。初心者にはかなりハードルが高いです。

・世界標準の資格である
WSETの資格内容はどの言語で受けても同じです。日本にいて英語で受けることもできます。
また、WSETにはレベル3よりも上の資格としてDiplomaもあります。Diplomaは日本人ではまだ100人足らずというかなり狭き門ですが。また、世界最高のワイン資格であるMaster of Wine(MW)は、WSET Diploma程度の資格を持っていることが応募の条件となっています。実質的にはDiploma取得が必須といっていいでしょう。もしあなたが世界のトップを目指すのならWSETを勉強するべきだと思います。

・ワインエキスパートと比べると覚えなければいけないことが少ない
以降は私の受けたレベル3とソムリエ/ワインエキスパートの比較になります。
記憶力の悪い私にとっては、これは大きなポイントです。ソムリエ/ワインエキスパートでは例えばブルゴーニュのグランクリュとかプルミエ・クリュとかを全部覚えたり、ボルドーの格付けシャトーの名前を全部覚えたりといったことが必要です。
WSETレベル3では、ブルゴーニュのグランクリュの畑名は一応教科書に出ていますが、基本的には村名まで覚えておけば大丈夫です。また、ワインのプロデューサーの名前は覚える必要がありません。カリフォルニア以外のワインの知識に乏しい私にとってはこれは重要でした。学習時間が80時間程度というのも、ソムリエ/ワインエキスパートと比べると格段に短いだろうと思います。

・テイスティングはあくまでワインを評価するためのもので、銘柄当ては必要ない
WSETのテイスティングは系統的テイスティング・アプローチ(SAT)といって、「ワインを正確に描写する能力と、そうした描写を基に妥当な結論を導く能力」を養うことを目的としています。
テイスティングのコメントは外観、香り、味わい、結論に分けて書いていきます。テイスティングで使う語彙は標準化されており、基本的にはその範囲で記述します。誰が書いても同じテイスティング・コメントになるような客観性を求めているのだと思います。
書く項目はソムリエ/ワインエキスパートと大部分共通しているようですが、ソムリエ/ワインエキスパートでは収穫年や生産地、品種を答えなければいけないのに対してWSET Level3ではそれらは必要ありません。飲んで客観的にその内容を評価することが大事であり「当てる」ことを目的としていないからです。

・良いワインはどう作られるかの理屈が理解できるようになる
WSET Level3では論述がかなりの要素を占めます。そこで大事なのは「論理」「理屈」です。例えばボルドーで小石の多い左岸ではカベルネ・ソーヴィニヨンを多く植えて、砂地の多い右岸ではメルローを多く植えるのはなぜか、土壌による温度の保持と品種の特徴とを結びつけて理解するといったことが大事になります。気候や斜面、気候に影響を与える地理的要素などを品種やワインのスタイルなどと結びつけて考えることが必要になります。また、醸造や栽培の方法についても知識が必要なのと同時に「なぜそうするのか」を理解する必要があります。逆に言えばこのように「理屈」でつなげて考えることができれば、覚えること自体はあまり増えずに済むのです。
またWSET Level3では価格と品質について考えることも大事です。安いワイン=品質が低い=悪いではなく、安いワインにも高いワインにも存在価値を認めていて、安いワインはどのように作られるから価格が抑えられるのか、高いワインはどのように作られるから品質が上がって価格が高くなるのかといった違いを理解できるようになります。

長くなったのでWSETの勉強法については別記事にしますが、教科書以外に読んだ本で唯一とても役に立ったものだけ先に紹介しておきます。



教科書の栽培や醸造の説明は「なぜ」の部分がちょっと足りずに理解しきれないところがあったのですが、この本を読んでだいぶすっきりしました。Level3の上のDiplomaを目指す人は必須の書籍の一つと言われているそうです。