いにしえの「芸能人格付けチェック」の番組にもしばしばワインが使われたように,高いワインと安いワインを区別するのは案外難しいものです。これをまじめに研究している人もいます。

4月に公開された論文「Do more expensive wines taste better? Evidence from a large sample ob blind tasting」(リンク先はPDF)は,6000件を超えるデータ(被験者は506人)を使ってこれを調べたものです。

詳しい内容は統計学が分からないと理解できない(僕もあまり分かっていません)ので結果を簡単に紹介します。

被験者全体で見ると「高いワインよりも安いワインを高く評価する」という傾向が出ています。これは,以前の研究とも一致するそうです。ただし,被験者の12%に相当するソムリエコースなどでワインの訓練を受けた人では,高いワインを高く評価する,あるいは少なくとも低くは評価しない,という傾向が見られました。また,この結果から得られた一般人とエキスパートの近似直線は25ドル近辺で交差する,つまり25ドルくらいのワインはエキスパートも素人も同じ程度の評価になることが判明しました。実験に使ったワインは2ドル弱から150ドルのものまで。上下の極端なものを取っても同じ結果だったそうです。

普通の人は安いワインの方がおいしく感じるので,これからはワインに詳しくない人にワインをご馳走するときは安ワインにしましょう*1。僕もエキスパートでなくてよかったです(笑)。

*1 これはあくまでブラインドでの話。実際には,値段や評論家のレイティングといった要素が,味わいの評価にも影響するので,うんちくを語ってご馳走する方が評価はいいかもしれないです。