オレゴンのワイナリーが売却予定のブドウをキャンセルされたことが問題になっています(Is it Taint, or Revenge? | Wine-Searcher News & Features)。契約を破棄したワイナリーはブドウが「煙くさかった」ことを理由としていますが、どうやらそれだけえではなさそうな事情が見えてきました。

ケイマス創設者チャック・ワグナーの息子ジョー・ワグナーがその当事者。ジョー・ワグナーはナパのラザフォードにエロウアン(Elouan)というワイナリーを持っており、そこでオレゴンのピノ・ノワールを造っているのです。ブランド名は「The Willametter Journal」。てっきりオレゴンのウィラメット・ヴァレーと関係があるのかと思いきや、実は全く無関係。フロントラベルには「The Willamette region of Oregon's coastal range is a place credited over decades for its vibrant and fresh style.」とあり、裏ラベルにはブドウの出所として「Territory of Oregon」とあります。もちろんAVAでもなんでもなく、オレゴンのテリトリーというだけだとかつて18世紀にオレゴンの一部だったワシントン州やアイダホ州も入ってしまうかもとワイン・サーチャーの記事には書かれています。まあ、確かにAVAの規定には違反していないのではありますが、紛らわしいことは紛らわしい。

で、じゃあどこのブドウかというと、今回キャンセルされたのはオレゴンの南の方にあるローグ・ヴァレーというところのブドウ。実際にそこのブドウだけなのかまでは分かりませんが大半はそうであったようです。

実際、オレゴンでも今年、山火事は多発しており、煙による汚染は懸念材料ではありました。なので生産者側も絶対に大丈夫とまでは言えなかった事情もあるようではあるのですが、オレゴンのプロデューサーA&Zによると、許容範囲に入っているとのこと。

ではどういうことなのか。

実は上記の名称問題はSFクロニクルのエスター・モブリーが記事にしていて、その後問題化しつつあります。オレゴンの生産者がキャンセルの通知を受けたのは問題が広がりつつある時期。もしかすると、このワインが売れなくなる危険を見込んで、予めリスクを下げたのではないかといううがった見方ができてしまうわけです。

商売上手なワグナー家だからそれくらいやりかねないなあ、というのが個人的感想。

果たして実際は? そしてブドウは行き先が決まるのか。オレゴンのワイナリーにはぜひワグナー家を見返してやるくらいのワインを造っていただきたいと思います。