カリフォルニアのワイン業界は1970年代から80年代に参入した世代がぼちぼち引退しており、引退によって、あるいは引退を見越して売却されるケースなどが増えてきています。

1981年に設立されたボニー・ドゥーンは「ローヌ・レンジャー」の先駆けの一つとして大きな足跡を残して来ましたが、今月、ウォールーム・ベンチャーズ(WarRoom Ventures)に売却されました。創設者でワインメーカーのランドール・グラームはワイナリーに残りますが、新しいブドウ品種を開発するプロジェクト(「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる」参照)に専念する形になります。

ランドール・グラームの場合は、世代交代よりもワイナリーの財政的な面やマーケティングにかける労力を減らしたいということが第一のようです。現在のボニー・ドゥーンの規模は、全国展開でディストリビューターに売ってもらうには少なく、逆に顧客に直接売る方法には大きいという中途半端なところがあり、今後はフラッグシップの「ル・シガール・ヴォラン(Le Cigare Volant)」の生産量を増やすなどしていくそうです。また、サンタ・クルーズのテイスティング・ルームは2019年末で閉じたとのこと。

セント・ヘレナのハーブ・ラム・ヴィンヤードは1987年にハーブ・ラム(Herb Lamb、何やら美味しそうな名前ですが人名です)によって植樹され、1990年代にはコルギン(Colgin)のワインで一躍名を高めた畑です。1997年以降は自身でのワイン造りを始めてコルギンとの関係は徐々に解消していきました。2014年にハーブ・ラムが亡くなり、その後は未亡人のジェニファー・ラムがオーナーとなっていましたが、2016年のヴィンテージを最後にハーブ・ラムとしてのワイン造りは終了。最近、トーマス・リヴァース・ブラウンに畑をリースすることを明らかにしました。トーマス・リヴァース・ブラウンは自身のリヴァース・マリーで2016年からハーブ・ラムのワインを始めており、今後はそれが増えていくことになりそうです。
ジェニファー・ラム
写真はジェニファー・ラム