2020年の印象に残ったワイン10(前編)」はこちら。


オールド・ヒル・ランチは現存するカリフォルニアで最も古いブドウ畑と言われています。かつてはレーヴェンズウッドのフラッグシップとして知られていましたが、近年は評価も低迷。さらにレーヴェンズウッドの所有権がコンステレーション・ブランズからガロに移ったことで、ワイナリーもほぼ解体状態になってしまいました。そこで、レーヴェンズウッドの創設者であるジョエル・ピーターソンが自身のブランド「ワンス・アンド・フューチャー」でオールド・ヒル・ランチのジンファンデルを作り始めたのがこのワイン。非常にパワフルかつタニック。レイヴンズウッド時代に「ノー・ウィンピー・ワイン(軟弱なワインはつくらない)」という標語を掲げただけのことはあります。非常に重厚かつ重層的な味わい。うまみ要素がこれでもかというほど押し寄せてきます。息子のモーガン・ピーターソンが作るオールド・ヒル・ランチも高評価を得ており、親子で銘醸畑を復活させた格好です。


あと4つはいずれもカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのオークヴィルにある銘醸畑中の銘醸畑「ト・カロン」。この名の付く畑は、ロバート・モンダヴィとベクストファー・ト・カロンの2つがありますが、モンダヴィの方のト・カロンはモンダヴィでのみ作られていました(一部オーパス・ワン専用のブロックもあります)。モンダヴィの親会社であるコンステレーション・ブランズが、著名ワインメーカー「アンディ・エリクソン」に、モンダヴィのト・カロンの畑の中で最良のブドウで作ってもらったのがこの「Highest Beauty」。濃厚ですが極めてバランスもよく高いレベルのワイン。生産量わずか500ケースですから、かなりのレア物。オーパス・ワン買うならこちらを選ぶことを薦めます。


ダオ(Daou)はパソ・ロブレスのワイナリー。コスパはいいけど、やや洗練さが欠けるイメージが合ったパソ・ロブレスでトップクラスのカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています(シャルドネも美味しいです)。写真右のフラッグシップ「Soul of a Lion」はカシスやブラックベリーの果実味に、グラファイトや鉛筆の芯などの風味。シルキーなテクスチャが特徴です。そのシルキーさは「ハーランを彷彿とさせる」(アンディ談)。ナパでこのレベルのワインだったら価格は倍以上だと思います。


こちらは上で引き合いにだしたハーランの最新プロジェクト「プロモントリー」の垂直試飲です。畑はヨントヴィルですがマヤカマスの山中、人里離れたところに畑があります。まだまだ進化中の畑とワイナリー。その進化の過程が見えるような試飲でした。極めて高いポテンシャルを持っているワイナリーです。


最後はハンドレッド・エーカー。ワイン・アドヴォケイトで20回を超える満点を取っているワイナリーです。カベルネ・ソーヴィニヨンの単一畑は3つありますが、それ以外に、ベストの樽を選んで作る「Wrath(レイス)」があります。今回はその4つを一度に試飲しましたが、中でも個人的ベストは2013年のWrath。これは素晴らしいワイン。うまみが口の中を駆け巡るような味わいでした。