ナパの有名ワイナリー「メリーヴェール(Merryvale)」が久々に輸入復活しました。一通り試飲した中からお薦めのワインを紹介します。
メリーヴェール

メリーヴェールはナパの歴史の中でも重要な位置を占めています。前身となったのがサニー・セント・ヘレナ(Sunny St. Helena)というワイナリー。ロバート・モンダヴィが大学卒業後にワインビジネスを始めるにあたって最初に購入したワイナリーです。その後、モンダヴィがチャールズ・クリュッグを買収したことで、しばらく歴史の表舞台から去りましたがハーラン・エステートを作ったビル・ハーランがハーラン設立前の1983年に購入しました。ビル・ハーランはナパの様々な畑からブドウを購入してワインを醸造していました。売れるワインを作るのが目的なのではなく、最良の畑や最良の地域を見極めて、自身のワイナリーのための土地を購入するときのデータを得るためでした。また、このときの経験が後にボンドに生かされます。

ビル・ハーランはハーラン・エステート設立後、メリーヴェールを売ってしまいましたが、その後もワイン・スペクテーターの年間8位を記録するなど、ナパの人気ワイナリーの一つとなっています。

メリーヴェールのワインは、いくつかの階層があります。一番安いのがスターモント(Starmont)、白とロゼは3000円台、赤はピノ・ノワールが4000円台、カベルネ・ソーヴィニヨンが5000円台といったところ。もう一つ「フォワード・キッド(Forward Kid)」というワインで赤のブレンドが6000円です。

その上、メインとなるのがメリーヴェールで6000円前後の価格です(カベルネ・ソーヴィニヨンは1万円)、そして1番上が「プロファイル・コレクション」。ワイン・スペクテーターで年間8位になったワインもプロファイルでした。赤は2万8000円、白は1万円となっています。

さて、このようにワインは階層構造になっているので、品種ごとに複数のワインが輸入されます。そこで今回は品種ごとに特徴とお薦めを見ていきましょう。

まずはソーヴィニョン・ブラン。スターモント(3500円)、メリーヴェール(5800円)があります。スターモントはフレッシュな味ワインですが、メリーヴェールの方はリッチな作りで濃厚です。爽やかさを求めるならスターモント、リッチさを求めるならメリーヴェールがお薦めです。

次にシャルドネ。スターモント(3500円)、メリーヴェール(6000円)、プロファイルシリーズの「シルエット」(1万円)の3種です。スターモントはバランスよくなかなかいい作り、メリーヴェール(6000円)はヴァニラやカスタードなどリッチな味わいです。シルエットは、もっとリッチなのかと思いきや、意外とそうでもなく酸の切れ味が印象的でした。「らしさ」的にはメリーヴェールが好まれそうな気がします。

次にピノ・ノワールはスターモント(4500円)とメリーヴェール(6000円)。スターモントはベリー系の味わいがいいチャーミングなワイン。メリーヴェールも赤系果実がきれいです。これも好みが分かれるでしょう。

カベルネ・ソーヴィニヨンはスターモント(5500円)、メリーヴェール(1万円)、プロファイル(2万8000円)。スターモントはこのクラスにしては珍しいほどタニックでボディがしっかりしています。ソノマのブドウが3分の2入っている関係でしょうか。メリーヴェールはバランスいい作り。プロファイルはパワフルでチョコレートやカカオの風味が強くあります。個人的にはメリーヴェールが一番好みでしたが、ボディを求める人にはスターモントもお薦めです。プロファイルは比較対象というより全く別物です。

ここまで未紹介のものではロゼとフォワード・キッドのレッドワイン、メリーヴェールのメルロー、そして「アンティグア」というデザートワインがありました。この中で個人的に好みだったのがフォワード・キッド。プチ・シラーが47%、ムールヴェードルが19%、シラーが17%、マルベックが17%というなかなかユニークな作りです。プチ・シラーがこれほど入っているのに味わいが重くなく、どちらかというと赤系のベリーが優勢な味わい。シルキーなテクスチャが高級感を醸し出します。美味しゅうございました。

楽天では札幌ワインショップに既に入っていますが、残念ながらフォワード・キッドはないようです。