「2 Buck Chuck(2ドルのチャック)」の愛称で知られる「Charles Shaw」などのワインを生み出した、安ワイン界の巨人フレッド・フランジアが亡くなりました。79歳でした(Two Buck Chuck Founder Franzia Dies | Wine-Searcher News & Features)。

Two Buck Chuck

彼が1973年に兄弟やいとことともに作った会社「ブロンコ・ワイン・カンパニー」はワイン・ビジネス・マンスリーによると米国で9番目に大きなワイン会社。近年ではローゼンブラムなどの高級ワイン・ブランドもいくつか買収していますが、それまではForest Glenなどほぼ安ワインに特化して作ってきました。日本ではカルディコーヒーファームで売っている「レッドウッド」がブロンコのワインです。

1980年代から90年代にかけてはNapa Ridge、Napa Creek、Rutherford Vintnersといったブランドを買収し、セントラル・ヴァレーのブドウで作ったワインをこれらのブランドで売ったことから物議を醸しました。その後、これらの地名の入ったブランド名はそのブドウを使っていないといけないことに変わりました。

その裁判の決着後に売り出したのが冒頭に挙げた「Two Buck Chuck」こと「Charles Shaw」。トレーダー・ジョーズだけで売ることでマーケティング費用を省き、ガラス瓶やラベルなども極力安いものを使って作ったワインでした(ある意味SDGsの先駆者でもあります)。地域によって値段は違っていたものの、安いところでは1.99ドルで販売されて大ブームになりました。現在ではさすがに最安でも3ドルとなっていますが、それでもその価格帯では最高のコスパワインと言われています。

Two Buck Chuckが安すぎるとして「どうして水より安く売れるんだ」と聞かれたフレッドが「彼らは水に対して過剰に課金しているんだ、わからないのか?」と言い返したという有名な逸話もあります。

死因については公表されていませんが、セントラル・ヴァレーにあるレッドウッドの自宅で家族に見守られて安らかに亡くなったとのことです。ご冥福をお祈りします。

なお、安ワインのブランドとして知られる「Franzia」はブロンコとは無関係です。フレッド・フランジアの家族が持っていた会社ですが、ブロンコ設立同年の1973年にコカコーラに売却されています(その後、The Wine Groupへ売却)。

もう一つ蛇足を加えると、Franziaを設立したのはテレサ・フランジアという人で、その娘はガロの創設者のアーネスト・ガロと結婚しています。Franzia設立時にアーネストから金を借りたとのこと。