ジョセフ・フェルプスのデイビッド・ピアソン社長が来日し、食事を一緒にする機会をいただきました。

ピアソン氏とは昨年春にセミナーでお会いして以来です。
知られざる先進ワイナリー、ジョセフ・フェルプスの魅力を探る

ジョセフ・フェルプスは2022年にLVMHの傘下に入り、オーパス・ワンのCEOを長年務めてきたピアソン氏を社長に迎え入れました。ジョセフ・フェルプスのインシグニアはワインの品質ではナパのトップクラスを長年続けており、オーパス・ワンにも劣らない実績を上げていましたが、マネジメントやブランド構築という点では必ずしもうまく行っていませんでした。そういったことからオーパス・ワンのブランドを築き上げたピアソン氏を選んだようです。

今回は、ざっくばらんにいろいろな話をしながらランチを楽しみました。話の中で興味深かったのは「ラ・プラス・ド・ボルドー」経由での輸出をやめたということ。「ラ・プラス・ド・ボルドー」利用には功罪あるので、ブランド構築を行っている今のタイミングではそれをやめておくというのは、理解できます。

食事中のワインはインシグニアで2022、2021、2019の直近3ヴィンテージ(2020は山火事の影響でなし)に、2016年というラインアップでした。なお、ジョセフ・フェルプスはソノマ・コーストでピノ・ノワールやシャルドネも作っていますが、今回は在庫がなかったそうです。

以下、簡単にワインの感想を記します。

2022 カシスにブルーベリー、ベーキング・スパイス。香りと余韻が素晴らしい。果実の甘やかさに豊かな酸。熱波の年で苦労したワイナリーが多い中、これだけきれいな酸があるのはさすがです。ジョセフ・フェルプスはナパの各地に自社畑を持っており、この年はやや冷涼な畑のブドウの比率を上げているようです。

2021 ブルーベリーにブラックベリー、わずかにレッド・チェリー。バランスよく、パワフルで凝縮感を感じるワイン。

2019 甘やかな果実味に、グラファイトなどの鉱物的な味わい。コーンスープのようなまろやかさ。2021年と比べると、いい意味で軽さを感じるワイン。

2016 第一印象はパーフェクト。すべてが整っているワイン。素晴らしい。

敢えて点数を付けるなら、2022と21は96、19は98、16は100。

ピアソン氏の指揮でこれからジョセフ・フェルプスがどう変わっていくか、期待したいと思います(あまりラグジュアリーになってしまうのは庶民的には困りますが)。