「日本が唯一のマスター・オブ・ワインを失ったわけ」の記事は、おかげさまで2日で1万7000ビューという、このブログのほぼ1カ月分(笑)のアクセスをいただきました。Facebookの「いいね!」も3000を超えました。公開する前は、「せっかく許可をいただいて訳すのに全然反応がなかったらどうしよう」とちょっと心配していたのですが、予想以上に多くの人に読んでいただけているようです。
Twitterでの感想や、はてブ、Gunosyのコメントなど気づいた範囲でできるだけ拝見しております。一番アクセスが多いFacebookでは、私がフォローや友達になっているところは分かりますが、そうでない場合はどなたにシェアいただいたか分からないので残念ながら分からない部分が多くあります。
厳しいコメント、暖かいコメント、さまざまいただいた中で、一番いいなと思ったものを紹介いたします。大阪のワインショップWassy'sの鷲谷良亮さんが書いたものです(許可いただいております)。特に、ネッド氏の記事を読んで「あー、この人ただめんどくさくなって日本から逃げただけなんじゃない」と思った人に見ていただけたらと思います。
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ネッドと私の出逢いはワッシーズのオープン頃に遡るのでもう15年は前だと思います。フーデックスの会場で当時ワッシーズで共同輸入していた某イタリアワインの生産者ブースでした、トスカーナやピエモンテのブースに人だかりができるなか、私がいたシチリアブースは閑散としていました。そこに突然、日本語を喋るガイジンが入ってきて熱心にテイスティング「これオイシイと思う、どこで買える?」と名刺交換したのがネッドでした。
その後も、ワインに関係ある無しに係らずなぜか、ところどころで再会し、オーストリアツアーも一緒にまわったり地元の居酒屋を探検したりと、なぜか縁のある付き合いで、その折にふれて彼のワイン観について聞いていました。その考え一言で言うと
「ワインは味、ブランドやラベルじゃない」
なので、、、マーケティングで売れている、歴史的な知名度でうれているワイン、大して美味しくないワインを口先のコメントとか怪しい理論を振りかざして売っている業界関係者、等に対しては常に辛辣な意見をもってましたが、、、そのベースにあるのは。
自分はお客様を楽しませるためにワインを売っているので、お客様は美味しいワインを欲しているのであって、決してラベルや歴史や薀蓄を望んでいるのでは無い、ほんとうに美味しいワイン見つけて紹介するのが重要と言う考えでした、彼の怒りはお客様を裏切っている業界関係者に対する怒りでした、それは最初にあったときから一切ブレの無い彼の意見でした。
良く考えればなぜネッドがMWを目指したか?と言う話しはした事がありませんでしたが、最近のカレをみているとMWになる事で、閉塞した今の状況を変えられるかも知れない、考えているのかな~と思う所はありました。で、実際にカレはMWになりました。
これはホンマニ凄い事です。頭のええ人が本気で勉強して何年もかかっても合格できない事もある位難しいんです、世界中にたった300人程度しか居ない本当のワインのプロです。
なのに、、日本のワイン業界では彼の偉業はほぼ取り上げられる事もなく、何かの意見も求められる事もありませんでした。
MWになれば、日本のワイン業界はオレの話しをもっと聞いてくれる、、どこかでネッドはそう思っていたんだと思います。しかし現実は彼が記事に書いたとおりで、、、
もうオレができる事は無い。。と思ってもしゃあ無いよね。日本の事は好きやしずっと居たいと言うてましたが、好きな国に必要ないと言われたら。。さすがに居てられないよね。
と言うわけで今回の記事、、、批判うけるやろーな~(ーー;)
私は彼なりの(毒のある)愛情表現やと思ってます。
これで目を覚ませ!と言うてる気がします。
結構どぎつい事かいてますし、ヒドイ事も言うてますけど。。。。
コレまで経緯に免じて怒りは割り引いて読んであげて下さい。
これからも私もネッドもワイン業界にいるので、また世界のどこかでひょっこり出会うと思います。こう言う不器用な事しか出来ない(と私は思っている)ネッドはこれからも私の大事な友達です。
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Twitterでの感想や、はてブ、Gunosyのコメントなど気づいた範囲でできるだけ拝見しております。一番アクセスが多いFacebookでは、私がフォローや友達になっているところは分かりますが、そうでない場合はどなたにシェアいただいたか分からないので残念ながら分からない部分が多くあります。
厳しいコメント、暖かいコメント、さまざまいただいた中で、一番いいなと思ったものを紹介いたします。大阪のワインショップWassy'sの鷲谷良亮さんが書いたものです(許可いただいております)。特に、ネッド氏の記事を読んで「あー、この人ただめんどくさくなって日本から逃げただけなんじゃない」と思った人に見ていただけたらと思います。
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ネッドと私の出逢いはワッシーズのオープン頃に遡るのでもう15年は前だと思います。フーデックスの会場で当時ワッシーズで共同輸入していた某イタリアワインの生産者ブースでした、トスカーナやピエモンテのブースに人だかりができるなか、私がいたシチリアブースは閑散としていました。そこに突然、日本語を喋るガイジンが入ってきて熱心にテイスティング「これオイシイと思う、どこで買える?」と名刺交換したのがネッドでした。
その後も、ワインに関係ある無しに係らずなぜか、ところどころで再会し、オーストリアツアーも一緒にまわったり地元の居酒屋を探検したりと、なぜか縁のある付き合いで、その折にふれて彼のワイン観について聞いていました。その考え一言で言うと
「ワインは味、ブランドやラベルじゃない」
なので、、、マーケティングで売れている、歴史的な知名度でうれているワイン、大して美味しくないワインを口先のコメントとか怪しい理論を振りかざして売っている業界関係者、等に対しては常に辛辣な意見をもってましたが、、、そのベースにあるのは。
自分はお客様を楽しませるためにワインを売っているので、お客様は美味しいワインを欲しているのであって、決してラベルや歴史や薀蓄を望んでいるのでは無い、ほんとうに美味しいワイン見つけて紹介するのが重要と言う考えでした、彼の怒りはお客様を裏切っている業界関係者に対する怒りでした、それは最初にあったときから一切ブレの無い彼の意見でした。
良く考えればなぜネッドがMWを目指したか?と言う話しはした事がありませんでしたが、最近のカレをみているとMWになる事で、閉塞した今の状況を変えられるかも知れない、考えているのかな~と思う所はありました。で、実際にカレはMWになりました。
これはホンマニ凄い事です。頭のええ人が本気で勉強して何年もかかっても合格できない事もある位難しいんです、世界中にたった300人程度しか居ない本当のワインのプロです。
なのに、、日本のワイン業界では彼の偉業はほぼ取り上げられる事もなく、何かの意見も求められる事もありませんでした。
MWになれば、日本のワイン業界はオレの話しをもっと聞いてくれる、、どこかでネッドはそう思っていたんだと思います。しかし現実は彼が記事に書いたとおりで、、、
もうオレができる事は無い。。と思ってもしゃあ無いよね。日本の事は好きやしずっと居たいと言うてましたが、好きな国に必要ないと言われたら。。さすがに居てられないよね。
と言うわけで今回の記事、、、批判うけるやろーな~(ーー;)
私は彼なりの(毒のある)愛情表現やと思ってます。
これで目を覚ませ!と言うてる気がします。
結構どぎつい事かいてますし、ヒドイ事も言うてますけど。。。。
コレまで経緯に免じて怒りは割り引いて読んであげて下さい。
これからも私もネッドもワイン業界にいるので、また世界のどこかでひょっこり出会うと思います。こう言う不器用な事しか出来ない(と私は思っている)ネッドはこれからも私の大事な友達です。
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「ついに来た!『天才』Morganが作るBedrockが国内正式輸入開始」という記事で紹介したベッドロック(これまではベドロックと書いていましたが、輸入元がベッドロックとしているのでそれに合わせます)。ここのところワインを飲む余裕がなかったのですが、やっと落ち着いてきたので開けてみました。
ミディアム・ボディで梅のような酸味を持つジューシーな果汁がいかにもジンファンデルという感じ。それに加えてハーブやスパイスの様々な要素を感じます。フィールド・ブレンド(畑に複数の品種が植わっている状態)の効果によるものなのでしょう、
これは美味しいです。系統としてはリッジのリットン・スプリングスあたりにちょっと似ているかな? でももっと繊細な感じもあります。
なお、楽天ではカリフォルニアワインあとりえにつづいて、Wassy's、柳屋でも販売始まっています。
ミディアム・ボディで梅のような酸味を持つジューシーな果汁がいかにもジンファンデルという感じ。それに加えてハーブやスパイスの様々な要素を感じます。フィールド・ブレンド(畑に複数の品種が植わっている状態)の効果によるものなのでしょう、
これは美味しいです。系統としてはリッジのリットン・スプリングスあたりにちょっと似ているかな? でももっと繊細な感じもあります。
なお、楽天ではカリフォルニアワインあとりえにつづいて、Wassy's、柳屋でも販売始まっています。
日本に住んでいる唯一のマスター・オブ・ワイン取得者だったネッド・グッドウィン氏が、最近日本を去って故郷であるオーストラリアに帰りました。なぜ彼は日本を去ったのか、香港誌への寄稿に思いの丈を綴っています(The Galapagos Problem | Prestige Hong Kong、同じものがジャンシス・ロビンソンのサイトでも公開されています、Why Japan has lost its MW)。
そこには日本のワイン業界に対する閉塞感がにじみ出ています。日本のワイン関係者は、これを重く受け止めるべきではないかと思います。僕のような素人が偉そうなことを言ってもうしわけありませんが、ワインは楽しむもの、それが一番大事なことだと思うのです。
しかし、せっかくの彼の文章も英語のままでは、日本で知られないままであろうと思い、ネッド・グッドウィン氏の許可を得て翻訳することにしました。語学力不足により、意味不明になってしまったところも多々ありますが、氏の気持ちは伝わるのではないかと期待します(誤訳などについては修正しますのでご指摘ください)。また、これを拡散いただけたら幸いです。
【追記】沢井昭司さんに、訳文についていろいろ教えていただき、修正しました。
ガラパゴス化の問題 2014年3月6日
日本には、ほとんど11年間住んでいました。この国はいろいろな意味で私にとってはいい国でした。そうでなければここまで長く住んでいなかったでしょう。交換留学生として15歳のときに福井県の田舎にきた思い出のときが、このような地球上で最も外に対して閉じていて、奇妙な場所に住む土台を築きました。しかし、そろそろ引き払うときが来たようです、少なくともしばらくの間は。
福島の原子力発電所の大事故とその余波によって、同僚や友達が帰って行きました。私にとって、さらに悪いことは日本が再び右傾化していることです。安倍総理とその縁故からの悪臭が漂っています。教師は過去の軍国主義の風味がある国歌を歌うことを拒否して首になっています。秘密保護法は施行され、ほかにも日本を再び「誇りある国」に戻そうという力がここかしこで起こっています、それがどういう意味であろうとも。教科書は官僚主義に振り回され、歴史をなかったものであるかのようにシュレッダーにかけています。これはワインには関係ありませんが、ワインを楽しむことや家族とその生活に影響を及ぼしているのは確かです。
日本に住んでいる間、私はワインのバイヤーや教育者としてプライベートなコレクターやロックスター、大使館、航空会社などをコンサルティングする機会を得てきました。しかし、2010年に日本で唯一のマスター・オブ・ワインになって以来、増えた仕事の多くは海外から来たものでした。このこともあって、私はワイン界の多くのことが日本では気付かれなかったり単純に無視されたりしていることに気が付きました。もちろん、日本には独自の固有なトレンドがあります。日本人はそれを日本の「独自性」として感じています。この言葉は一方では文化的に均一化してゆくという国際的な流れを受け流すことを試みるということについて、そして他方では過去への言及を減らし、現在を容認するものとして、安倍総理の下での新たな牽引力を得ています。結局のところ、もし日本人が独自のテイストを持つのであれば、歴史と現状についての独自な展望もあるのでしょう。
独自性の幻想は危険です。それは心を閉ざし、エリート主義に陥ることの根幹です。ワインに携わる多くの日本人が素晴らしいサービスを提供し、細部にまで注意を払い、知識を得るために努力する、それはまさしく賞賛すべきそして典型的な日本的な姿です。一方で、そのような細部へのこだわりはワインの本質的な役割である喜びをもたらすもの、少なくとも私はそう思っています、を不明瞭にしてしまう危険があります。
日本のソムリエはワインのフォイルを使って見事な置物を作ったり、テロワールに熱狂したりします。しかしワインがおいしい飲み物や、会話の潤滑剤、記憶の化身として喜びをもたらすことを消費者に伝えるてはいません。ワインは積極的に販売されることはなく、自らを奨励するものとして使われています。ワインは得意気にできるものであり、バッジや古臭いスーツや精巧なオーナメントとして自分の身を飾るものなのです。男性も、女性も、犬さえも、誰もがいわゆるソムリエです。しかしソムリエ資格を取った人の中で実際にワインの仕事をしている人はごく少数です。資格は、肩書が実際の価値や才能よりも重要な文化の中で、単に履歴書を飾るものなのです。さらに、議論や討論よりも対面や調和を重んじる文化においては批評というものは存在しないのです。
「クラシックな」とか「自然な」といった不明瞭な描写がワインのサークルでは交わされますが、何十年ものデフレや不況、知らないものへの恐れ、の後で好まれるワインはそういうものではありません。そのような状況で価格は下がり、大幅なディスカウントが起こり、不安定な商売に従事するセールスパーソンは実際の価値がある地域からのワインを勧める能力がありません。結果としてリスクが避けられると思う地域からの安価で品質が低いワインが売られることになります。
例えば、安いボルドーはおそらく地球上のワインの中で最も魅力が薄いワインだと思うのですが、南ローヌやスペインのワイン、その他のもっとコスト・パフォーマンスが高く、少なくとも新たな消費者を魅了するのに役立つ可能性のあるワインよりも多く売られています。結果として特定の異端を除いてはワインシーンは瀕死の状態です。30年にも渡って一人あたりのワイン消費は2リットル周辺をさまよっているのです。
ワインの喜びをもたらすものという潜在的な力は日本ではワイン業界で働く人によって否定されることがしばしばあります。グラスワインを飲んだお客さんに2杯めを勧めなかったり、空のグラスを埋めたりしないことは日本の「独自性」だと言われました。同じように最初のボトルを空けてしまったグループに次の1本を勧めなかったり、お客さんが選んだワインよりちょっとお金を出せばずっといい品質のワインが買えることを勧めなかったりするのも、同じような文化によるものです。
このことは技術やアイデアにおいて日本以外の国において消滅したり好まれなくなったものが、日本では流行ったりするのとよく似ています。このような独自性は日本では「ガラパゴス化」として知られています。ガラパゴス化は、日本で男女間の給料や役割に大きな隔たりがあること(女性は消費や高いレベルの生活の牽引力であるのに)、ATMで海外のカードが使えないこと、ソムリエ組織が時代に逆行していること、そして日本のWebサイトデザインが多くの情報を与える一方でどうやってそれを使うのか直接的な説明がないこととも共通しています。JALのサイトがその一例ですが、ほかにもたくさんあります。
このようなガラパゴス化は社会学的に、また政治的に築かれているのかもしれません。しかし、それは概して、ワイン関係であろうとなかろうと有害なものです。ほかの場所で何が起こっているのかを知ることができず、無知に陥り、昔ながらの我か彼かの意識に根ざす狭量さの証拠です。日本人は貧乏でもなければ教育を受けていないわけでもないことが、さらに苛立たしく感じます。ただ、ほとんどの場合、これらの偏狭さは恐れから来たものです。無知への恐れ、海外のやり方への恐れ、外国語への恐れ、面目を失うことの恐れ。例えば、最近のANAの広告をみてください。金髪のカツラを付け、ピノキオのような長い鼻をした海外の乗客が描かれていました。しかし、最大の恐れは、日本がやってきた方法と違う方法がよりよいかもしれないという可能性に対する恐れなのでしょう。例えそれが、外国のやり方であっても。
実際、多くの日本人の流行仕掛け人は、世界の他の地域で起こっているワイン作りやスタイルや飲み方のトレンドを知りません。だから、数が増えつつある家庭で飲む人と、役立つ情報を共有できません。さらに悪いことには彼らの多くは「クラシック」な地域以外のワインは捨て置く主義の上で成り立っています。これらの主義、日本で、特に日本ソムリエ協会で、ワインの階級を支えているのです。繰り返しますが、彼らはエリート主義に依っている一方で、無知に寄りかかり、コミュニケーションスキルは低いままです。他の地域がほとんど顧みられていないことを理解するには、ソムリエの教科書でボルドーとブルゴーニュにどれほどのページが割かれているかを見れば、一目瞭然です。
それでも、この国とは切っても切れない関係にあり、多くのレベルで精神的であり、かつ神聖であって、若いころの越前大野におけるもっとも素晴らしい経験が今日まで残したものに根付いている、そういう日本の多くの面が、私は好きなのです。私は日本の一時滞在者ではあり続けます。根強い自己中心主義や必要なリスクを負わないといったことはあっても多くのレベルで社会的に発展した場所だからです。また生活するのに安全でまっとうなところなのです。このことには乾杯したいと思います。
しかし、私はワインが社会が進化する流れの中で飲まれるときを楽しみに待ちたいのです。バブル時代と失われた世代の混じりあいだけでなく、地震、長引く不況とそれに基づくつまらない仕事などの近年の傷跡が生み出すのですが、取り敢えずは安全であっても見当違いになりつつある確立した規範、つまり人生における筏のようなものにしがみつくことを強いられているようには、もはや感じない社会が出現する時を楽しみにしています。私はより高品質な生活への機会が育まれるような社会を待ちたいのです。よりよい都市設計や住居、レジャー、時間よりも才能が評価される公正な労働時間と給料、修正主義でない歴史、きれいな環境へのポリシーを。そして、ワインを飲むことに対し、ステータスや対面だったり、鼻や口で味わうこと無く目で味わいながら分析的に議論するものではなく、こういった進歩のシンボルとして、本能的に楽しくアプローチができるようになることを楽しみに待ちたいと思っています。
結局のところ、ワインは美しいものであり、多くのカルチャーや気候からやってくるのです。しかし、人がそれを理解できるまで、ワインは飲んで楽しむためにそこにあるのだという単純な原則を理解することは難しいのです。
(了)
こちらもお読みいただけたら幸いです。
ネッド・グッドウィン氏の記事にいただいた感想から
日本のワインシーンは本当に閉鎖的か? ネッド・グッドウィンの記事に米ライターが反論
そこには日本のワイン業界に対する閉塞感がにじみ出ています。日本のワイン関係者は、これを重く受け止めるべきではないかと思います。僕のような素人が偉そうなことを言ってもうしわけありませんが、ワインは楽しむもの、それが一番大事なことだと思うのです。
しかし、せっかくの彼の文章も英語のままでは、日本で知られないままであろうと思い、ネッド・グッドウィン氏の許可を得て翻訳することにしました。語学力不足により、意味不明になってしまったところも多々ありますが、氏の気持ちは伝わるのではないかと期待します(誤訳などについては修正しますのでご指摘ください)。また、これを拡散いただけたら幸いです。
【追記】沢井昭司さんに、訳文についていろいろ教えていただき、修正しました。
ガラパゴス化の問題 2014年3月6日
日本には、ほとんど11年間住んでいました。この国はいろいろな意味で私にとってはいい国でした。そうでなければここまで長く住んでいなかったでしょう。交換留学生として15歳のときに福井県の田舎にきた思い出のときが、このような地球上で最も外に対して閉じていて、奇妙な場所に住む土台を築きました。しかし、そろそろ引き払うときが来たようです、少なくともしばらくの間は。
福島の原子力発電所の大事故とその余波によって、同僚や友達が帰って行きました。私にとって、さらに悪いことは日本が再び右傾化していることです。安倍総理とその縁故からの悪臭が漂っています。教師は過去の軍国主義の風味がある国歌を歌うことを拒否して首になっています。秘密保護法は施行され、ほかにも日本を再び「誇りある国」に戻そうという力がここかしこで起こっています、それがどういう意味であろうとも。教科書は官僚主義に振り回され、歴史をなかったものであるかのようにシュレッダーにかけています。これはワインには関係ありませんが、ワインを楽しむことや家族とその生活に影響を及ぼしているのは確かです。
日本に住んでいる間、私はワインのバイヤーや教育者としてプライベートなコレクターやロックスター、大使館、航空会社などをコンサルティングする機会を得てきました。しかし、2010年に日本で唯一のマスター・オブ・ワインになって以来、増えた仕事の多くは海外から来たものでした。このこともあって、私はワイン界の多くのことが日本では気付かれなかったり単純に無視されたりしていることに気が付きました。もちろん、日本には独自の固有なトレンドがあります。日本人はそれを日本の「独自性」として感じています。この言葉は一方では文化的に均一化してゆくという国際的な流れを受け流すことを試みるということについて、そして他方では過去への言及を減らし、現在を容認するものとして、安倍総理の下での新たな牽引力を得ています。結局のところ、もし日本人が独自のテイストを持つのであれば、歴史と現状についての独自な展望もあるのでしょう。
独自性の幻想は危険です。それは心を閉ざし、エリート主義に陥ることの根幹です。ワインに携わる多くの日本人が素晴らしいサービスを提供し、細部にまで注意を払い、知識を得るために努力する、それはまさしく賞賛すべきそして典型的な日本的な姿です。一方で、そのような細部へのこだわりはワインの本質的な役割である喜びをもたらすもの、少なくとも私はそう思っています、を不明瞭にしてしまう危険があります。
日本のソムリエはワインのフォイルを使って見事な置物を作ったり、テロワールに熱狂したりします。しかしワインがおいしい飲み物や、会話の潤滑剤、記憶の化身として喜びをもたらすことを消費者に伝えるてはいません。ワインは積極的に販売されることはなく、自らを奨励するものとして使われています。ワインは得意気にできるものであり、バッジや古臭いスーツや精巧なオーナメントとして自分の身を飾るものなのです。男性も、女性も、犬さえも、誰もがいわゆるソムリエです。しかしソムリエ資格を取った人の中で実際にワインの仕事をしている人はごく少数です。資格は、肩書が実際の価値や才能よりも重要な文化の中で、単に履歴書を飾るものなのです。さらに、議論や討論よりも対面や調和を重んじる文化においては批評というものは存在しないのです。
「クラシックな」とか「自然な」といった不明瞭な描写がワインのサークルでは交わされますが、何十年ものデフレや不況、知らないものへの恐れ、の後で好まれるワインはそういうものではありません。そのような状況で価格は下がり、大幅なディスカウントが起こり、不安定な商売に従事するセールスパーソンは実際の価値がある地域からのワインを勧める能力がありません。結果としてリスクが避けられると思う地域からの安価で品質が低いワインが売られることになります。
例えば、安いボルドーはおそらく地球上のワインの中で最も魅力が薄いワインだと思うのですが、南ローヌやスペインのワイン、その他のもっとコスト・パフォーマンスが高く、少なくとも新たな消費者を魅了するのに役立つ可能性のあるワインよりも多く売られています。結果として特定の異端を除いてはワインシーンは瀕死の状態です。30年にも渡って一人あたりのワイン消費は2リットル周辺をさまよっているのです。
ワインの喜びをもたらすものという潜在的な力は日本ではワイン業界で働く人によって否定されることがしばしばあります。グラスワインを飲んだお客さんに2杯めを勧めなかったり、空のグラスを埋めたりしないことは日本の「独自性」だと言われました。同じように最初のボトルを空けてしまったグループに次の1本を勧めなかったり、お客さんが選んだワインよりちょっとお金を出せばずっといい品質のワインが買えることを勧めなかったりするのも、同じような文化によるものです。
このことは技術やアイデアにおいて日本以外の国において消滅したり好まれなくなったものが、日本では流行ったりするのとよく似ています。このような独自性は日本では「ガラパゴス化」として知られています。ガラパゴス化は、日本で男女間の給料や役割に大きな隔たりがあること(女性は消費や高いレベルの生活の牽引力であるのに)、ATMで海外のカードが使えないこと、ソムリエ組織が時代に逆行していること、そして日本のWebサイトデザインが多くの情報を与える一方でどうやってそれを使うのか直接的な説明がないこととも共通しています。JALのサイトがその一例ですが、ほかにもたくさんあります。
このようなガラパゴス化は社会学的に、また政治的に築かれているのかもしれません。しかし、それは概して、ワイン関係であろうとなかろうと有害なものです。ほかの場所で何が起こっているのかを知ることができず、無知に陥り、昔ながらの我か彼かの意識に根ざす狭量さの証拠です。日本人は貧乏でもなければ教育を受けていないわけでもないことが、さらに苛立たしく感じます。ただ、ほとんどの場合、これらの偏狭さは恐れから来たものです。無知への恐れ、海外のやり方への恐れ、外国語への恐れ、面目を失うことの恐れ。例えば、最近のANAの広告をみてください。金髪のカツラを付け、ピノキオのような長い鼻をした海外の乗客が描かれていました。しかし、最大の恐れは、日本がやってきた方法と違う方法がよりよいかもしれないという可能性に対する恐れなのでしょう。例えそれが、外国のやり方であっても。
実際、多くの日本人の流行仕掛け人は、世界の他の地域で起こっているワイン作りやスタイルや飲み方のトレンドを知りません。だから、数が増えつつある家庭で飲む人と、役立つ情報を共有できません。さらに悪いことには彼らの多くは「クラシック」な地域以外のワインは捨て置く主義の上で成り立っています。これらの主義、日本で、特に日本ソムリエ協会で、ワインの階級を支えているのです。繰り返しますが、彼らはエリート主義に依っている一方で、無知に寄りかかり、コミュニケーションスキルは低いままです。他の地域がほとんど顧みられていないことを理解するには、ソムリエの教科書でボルドーとブルゴーニュにどれほどのページが割かれているかを見れば、一目瞭然です。
それでも、この国とは切っても切れない関係にあり、多くのレベルで精神的であり、かつ神聖であって、若いころの越前大野におけるもっとも素晴らしい経験が今日まで残したものに根付いている、そういう日本の多くの面が、私は好きなのです。私は日本の一時滞在者ではあり続けます。根強い自己中心主義や必要なリスクを負わないといったことはあっても多くのレベルで社会的に発展した場所だからです。また生活するのに安全でまっとうなところなのです。このことには乾杯したいと思います。
しかし、私はワインが社会が進化する流れの中で飲まれるときを楽しみに待ちたいのです。バブル時代と失われた世代の混じりあいだけでなく、地震、長引く不況とそれに基づくつまらない仕事などの近年の傷跡が生み出すのですが、取り敢えずは安全であっても見当違いになりつつある確立した規範、つまり人生における筏のようなものにしがみつくことを強いられているようには、もはや感じない社会が出現する時を楽しみにしています。私はより高品質な生活への機会が育まれるような社会を待ちたいのです。よりよい都市設計や住居、レジャー、時間よりも才能が評価される公正な労働時間と給料、修正主義でない歴史、きれいな環境へのポリシーを。そして、ワインを飲むことに対し、ステータスや対面だったり、鼻や口で味わうこと無く目で味わいながら分析的に議論するものではなく、こういった進歩のシンボルとして、本能的に楽しくアプローチができるようになることを楽しみに待ちたいと思っています。
結局のところ、ワインは美しいものであり、多くのカルチャーや気候からやってくるのです。しかし、人がそれを理解できるまで、ワインは飲んで楽しむためにそこにあるのだという単純な原則を理解することは難しいのです。
(了)
こちらもお読みいただけたら幸いです。
ネッド・グッドウィン氏の記事にいただいた感想から
日本のワインシーンは本当に閉鎖的か? ネッド・グッドウィンの記事に米ライターが反論
柳屋にカレラのピノ・ノワール2011年が2種類入ってきています。ライアンとド・ヴィリエ。2011年は気候が不安定で生産量が3割も減ってしまったとのことで、値段もちょっと高めになっているようです。
なお、柳屋では一番人気のジェンセン入荷の案内を受ける条件として、これら他の単一畑を事前に買っておく必要があるとのこと。これまで以上にジェンセンは入手しにくくなる可能性があるので、どうしてもジェンセンほしいという人は、買っておいた方がいいかもしれません。
市場にはまだ2010年ものも残っているので、「今買うなら2010年」という判断も当然ありだと思います。個人的には、今買うなら2010年のド・ヴィリエかミルズかなあと。やまやのミルズ2010が送料込みで5980円というのは相当安いです。
なお、柳屋では一番人気のジェンセン入荷の案内を受ける条件として、これら他の単一畑を事前に買っておく必要があるとのこと。これまで以上にジェンセンは入手しにくくなる可能性があるので、どうしてもジェンセンほしいという人は、買っておいた方がいいかもしれません。
市場にはまだ2010年ものも残っているので、「今買うなら2010年」という判断も当然ありだと思います。個人的には、今買うなら2010年のド・ヴィリエかミルズかなあと。やまやのミルズ2010が送料込みで5980円というのは相当安いです。
Wine Advocate誌の掲示板にロバート・パーカーが書いた書き込みによると、2014年初夏に新しいライフスタイル誌を創刊するそうです(Some upcoming news)。
雑誌の名前は「100 Points by Robert Parker」。Wine Advocate誌とは独立しており、ワイン以外の広告を受け入れるとしています。
ライフスタイル誌とはいっても、タイトルが示すように、ワインのレビューが全く載らないとは想像できません。Wine Spectator誌のようになるのでしょうか。
"I am also very excited to announce a new lifestyle magazine called "100 Points by Robert Parker." Separate and apart from TWA,it will accept non-wine related advertising."
雑誌の名前は「100 Points by Robert Parker」。Wine Advocate誌とは独立しており、ワイン以外の広告を受け入れるとしています。
ライフスタイル誌とはいっても、タイトルが示すように、ワインのレビューが全く載らないとは想像できません。Wine Spectator誌のようになるのでしょうか。
関東も今週はすっかり暖かくなって、桜の開花も近づいてきました。来週末あたりが花見のピークになりそうな気がします。
お花見にワインを飲む人も多いと思いますが、今週中には手配しておくのが無難でしょう。来週火曜日には消費税も上がるのでご注意のほどを。
今年のお薦めは、なんといってもLucyの「桜」ロゼ。ワインメーカーJeffの来日を記念して日本専用のラベルを付けたものです。ワイン1本について1ドルが乳がんの研究用に寄付されます。Lucyのロゼはこのブログでも何回も紹介していますが、個人的にはカリフォルニアのロゼで一番のお気に入り。ピノ・ノワール・ベースで味わいも華やかかつピュア。
ただのロゼじゃなくて泡のロゼがいいよ、という人にはこれも何度も紹介しているJ(ジェイ)のロゼ・スパークリングが一押しです。このボトルの美しさはぜひ実際に見てください。
美しさ、華やかさではこちらも負けないのがコッポラのソフィア・ロゼ。これはスパークリングではありません。独特のボトル形状がきれいです。
ソフィアにはスパークリングもあります。ロゼではありませんが、これも人気高いワインです。ラッピングが桜色です。缶もあるので、外での花見のときなど、便利です。
お花見にワインを飲む人も多いと思いますが、今週中には手配しておくのが無難でしょう。来週火曜日には消費税も上がるのでご注意のほどを。
今年のお薦めは、なんといってもLucyの「桜」ロゼ。ワインメーカーJeffの来日を記念して日本専用のラベルを付けたものです。ワイン1本について1ドルが乳がんの研究用に寄付されます。Lucyのロゼはこのブログでも何回も紹介していますが、個人的にはカリフォルニアのロゼで一番のお気に入り。ピノ・ノワール・ベースで味わいも華やかかつピュア。
ただのロゼじゃなくて泡のロゼがいいよ、という人にはこれも何度も紹介しているJ(ジェイ)のロゼ・スパークリングが一押しです。このボトルの美しさはぜひ実際に見てください。
美しさ、華やかさではこちらも負けないのがコッポラのソフィア・ロゼ。これはスパークリングではありません。独特のボトル形状がきれいです。
ソフィアにはスパークリングもあります。ロゼではありませんが、これも人気高いワインです。ラッピングが桜色です。缶もあるので、外での花見のときなど、便利です。
ナパで倉庫に保管した約40万ドル分のワインが盗まれるという事件がありました($400,000 of Wine Stolen From Napa Warehouse | Wine News & Features)。
盗まれた総数は350ケース(4200本)。市場価格にして40万ドル(1本あたり95ドル)。
盗まれたワインのうち55ケースは犯人の納屋から発見されており、犯人の部屋からもいくつかのワインと現金7万3150ドルが発見されています。
事件の全容はまもなく解明すると思われますが、ワインショップにとって、思わぬ弊害が生じています。
犯人はワインの一部をワインショップに直接売り、ショップはそれを陳列していました。これが問題になります。
ワインショップはワインを正当なブローカー経由でしか買えないことになっています。犯人から直接買ったとなると、この法律が形骸化して運用されているということになります。
ワインショップにとっては摘発を受ける可能性があるとのことです。
まだしばらく余波がありそうな事件です。
盗まれた総数は350ケース(4200本)。市場価格にして40万ドル(1本あたり95ドル)。
盗まれたワインのうち55ケースは犯人の納屋から発見されており、犯人の部屋からもいくつかのワインと現金7万3150ドルが発見されています。
事件の全容はまもなく解明すると思われますが、ワインショップにとって、思わぬ弊害が生じています。
犯人はワインの一部をワインショップに直接売り、ショップはそれを陳列していました。これが問題になります。
ワインショップはワインを正当なブローカー経由でしか買えないことになっています。犯人から直接買ったとなると、この法律が形骸化して運用されているということになります。
ワインショップにとっては摘発を受ける可能性があるとのことです。
まだしばらく余波がありそうな事件です。
日本コカコーラの緑茶ブランド「綾鷹」。開発に協力した宇治の老舗「上林春松本店」の当主である上林秀敏氏と、急須を使ったお茶の入れ方や、お茶の葉をブレンドする「合組(ごうぐみ)」を体験するイベントが開かれ参加してきました。
急須で入れたような味わいのお茶を目指したという綾鷹ですが、今回は急須でおいしいお茶を淹れる方法や、合組(ごうぐみ)という、茶葉のブレンドを決めるやり方を教わりました。
急須のお茶の淹れ方は、湯冷ましでお湯を冷ますことと、急須を揺すったりしないこと、茶碗ごとに均等になるように少しずつ注ぐことがポイント。
合組では、今回5種類の茶葉が用意され、それの味わいを自分で確かめてブレンドを考えます。
味わいの確かめ方は次の3通り。
まず、生の茶葉を手でしっかり握り、感触を確かめます。そしてその香りをかぎます。
次に、茶こしに茶葉を入れ茶碗に入れた茶葉にお湯を注ぎ、香りをかぎます。
最後に、茶こしをはずして茶を味わいます。
一見、舌で味わうのが一番よく分かりそうな気がしますが、実際にはこれが一番難しかったです。合組では香りをしっかり立たせるためか、茶葉の量をお茶碗いっぱいを淹れるときの適量よりも遥かに多く使います。どうしても苦味が目立ってしまうため、本来の味わいが分かりにくいのです。
最後にブレンド比率を決めて紙に書きます。今回は1つのテーブルにつき、一人の合組を実際に作っていただき試飲しました。
合組は、これまで体験したことがないものであり、とてもおもしろく感じました。ワイン以上にお茶の香りや味わいを表現することの難しさも感じました。
今回のイベントは、特別に開催したものですが、急須で入れたお茶の味わいを広げるための「綾鷹茶会」は3月から全国各地で開催しています。機会があったら参加してみてください。
急須で入れたような味わいのお茶を目指したという綾鷹ですが、今回は急須でおいしいお茶を淹れる方法や、合組(ごうぐみ)という、茶葉のブレンドを決めるやり方を教わりました。
急須のお茶の淹れ方は、湯冷ましでお湯を冷ますことと、急須を揺すったりしないこと、茶碗ごとに均等になるように少しずつ注ぐことがポイント。
合組では、今回5種類の茶葉が用意され、それの味わいを自分で確かめてブレンドを考えます。
味わいの確かめ方は次の3通り。
まず、生の茶葉を手でしっかり握り、感触を確かめます。そしてその香りをかぎます。
次に、茶こしに茶葉を入れ茶碗に入れた茶葉にお湯を注ぎ、香りをかぎます。
最後に、茶こしをはずして茶を味わいます。
一見、舌で味わうのが一番よく分かりそうな気がしますが、実際にはこれが一番難しかったです。合組では香りをしっかり立たせるためか、茶葉の量をお茶碗いっぱいを淹れるときの適量よりも遥かに多く使います。どうしても苦味が目立ってしまうため、本来の味わいが分かりにくいのです。
最後にブレンド比率を決めて紙に書きます。今回は1つのテーブルにつき、一人の合組を実際に作っていただき試飲しました。
合組は、これまで体験したことがないものであり、とてもおもしろく感じました。ワイン以上にお茶の香りや味わいを表現することの難しさも感じました。
今回のイベントは、特別に開催したものですが、急須で入れたお茶の味わいを広げるための「綾鷹茶会」は3月から全国各地で開催しています。機会があったら参加してみてください。
Paso Robles(パソ・ロブレス)のシラーの雄、Saxum(サクサム)。パソ・ロブレスではAlbanと並ぶWine Advocate誌100点を取ったワイナリです。
日本には100点が発表された2009年ころからパタッと輸入が止まってしまっていたのですが、このほどようやく輸入再開とのこと。
ただ…
高い…
いや、以前の値段が安すぎたのは確かなのです。米国で150ドル近くで流通しているときに日本では1万円以下(多くは6000円台)で売っていたのですから。
今回は実勢価格に近づいたと言えなくはないのですが、ワイナリ価格が100ドルに到達していないことを考えると、正規輸入の価格はせめて1万円台にしてほしかったなあと思ってしまいました。
美味しいんだけどね…
日本には100点が発表された2009年ころからパタッと輸入が止まってしまっていたのですが、このほどようやく輸入再開とのこと。
ただ…
高い…
いや、以前の値段が安すぎたのは確かなのです。米国で150ドル近くで流通しているときに日本では1万円以下(多くは6000円台)で売っていたのですから。
今回は実勢価格に近づいたと言えなくはないのですが、ワイナリ価格が100ドルに到達していないことを考えると、正規輸入の価格はせめて1万円台にしてほしかったなあと思ってしまいました。
美味しいんだけどね…
Vin du 268(ヴァン・ドゥ・ニロヤ)の杉本セレクションにシャトー・イガイ・タカハのピノ・ノワール3種のセットが出ています。送料込みで2万3900円。ワイン代だけ考えると、バラで買うのと変わりませんが、ソムリエナイフが付属します。
このソムリエナイフ、単品で買ったら5000円するもので、刃物の町として知られる岐阜県関市で作られています。つや消しのブラックで精悍なスタイル。切れ味よく使いやすいです。
僕も最近はこのソムリエナイフをメインで使っています。
同じようにシャルドネのセットもあります。ちょっといいソムリエナイフをほしい人にお薦めです。
なお、ワインについては先月の記事をご覧ください(シャトー・イガイ・タカハの新作ワインをグレッグ・ブリュワーが解説(後編))。
このソムリエナイフ、単品で買ったら5000円するもので、刃物の町として知られる岐阜県関市で作られています。つや消しのブラックで精悍なスタイル。切れ味よく使いやすいです。
僕も最近はこのソムリエナイフをメインで使っています。
同じようにシャルドネのセットもあります。ちょっといいソムリエナイフをほしい人にお薦めです。
なお、ワインについては先月の記事をご覧ください(シャトー・イガイ・タカハの新作ワインをグレッグ・ブリュワーが解説(後編))。
ワインライターで、最近Jackson Familyのコミュニケーションとワイン教育担当になったSteve Heimoff(スティーブ・ハイモフ)氏が、中国でカリフォルニアワインがフランスのワインほど売れない理由について考察しています(How come the Chinese don’t love California wine the way they love French wine? | STEVE HEIMOFF| WINE BLOG)。
フランスのワインの方が位が上に見えるという意見が多いですが、フランスのほうがアメリカよりもマーケティングにお金をかけているからという意見もかなり多いようです。
日本でも、フランスワインの方がカリフォルニアワインよりも上というイメージが圧倒的に強いと思います。
なんとかカリフォルニアワインにもっと目を向けてほしいと思っているのですが、なかなか難しいものです。
フランスのワインの方が位が上に見えるという意見が多いですが、フランスのほうがアメリカよりもマーケティングにお金をかけているからという意見もかなり多いようです。
日本でも、フランスワインの方がカリフォルニアワインよりも上というイメージが圧倒的に強いと思います。
なんとかカリフォルニアワインにもっと目を向けてほしいと思っているのですが、なかなか難しいものです。
少雨が話題になるカリフォルニアですが、気温もとても高かったことが判明しました(California Just Had Its Warmest Winter on Record | Mother Jones)。
NOAA(アメリカ海洋大気庁)の記録によると2013年12月から2014年2月のカリフォルニアの気温は20世紀の平均よりも4.4°F(2.4℃)高く、119年の記録のうちで過去最高だったとのこと。一方降水量は少ない方から3番めとのことで、実は少雨よりも高温の方が記録破りだったようです。
上の図で赤やオレンジは平年よりも高温だったところ、水色は低かったところを示します。数字は119年の記録のうち低い方から何番目だったかということ。ナイアガラの凍結が話題になったように、北東部、特に五大湖周辺は非常に寒かったことが分かります。
一方、こちらは降水量。南西で少なく北東で多かったことが分かります。
記録も気になりますが、米国はこういうデータの図示が上手だなあと改めて感心。日本の気象庁にも頑張ってほしいです。
NOAA(アメリカ海洋大気庁)の記録によると2013年12月から2014年2月のカリフォルニアの気温は20世紀の平均よりも4.4°F(2.4℃)高く、119年の記録のうちで過去最高だったとのこと。一方降水量は少ない方から3番めとのことで、実は少雨よりも高温の方が記録破りだったようです。
上の図で赤やオレンジは平年よりも高温だったところ、水色は低かったところを示します。数字は119年の記録のうち低い方から何番目だったかということ。ナイアガラの凍結が話題になったように、北東部、特に五大湖周辺は非常に寒かったことが分かります。
一方、こちらは降水量。南西で少なく北東で多かったことが分かります。
記録も気になりますが、米国はこういうデータの図示が上手だなあと改めて感心。日本の気象庁にも頑張ってほしいです。
10年以上熟成でニューリリースのカリン・セラーズが再登場記事で紹介したカリン・セラーズ。カリフォルニアワインあとりえのメルマガによると、輸入追加がおぼつかない状況のようです。
ここのワイン、10年以上寝かした上で、他のワイナリのニューリリースよりも安いくらいの値段で出ているわけで、よほど酔狂な人がオーナーだと思われます。実際、相当の変人ぶりなようで輸入元が連絡を取ろうとしても取れない状態が続いているとのこと。ワイナリにいっても留守で会えなかったというからビックリです。
また、ひょんなことで輸入追加があるかもしれませんが、ないかもしれない、なんとも言えない状況です。
気になっている人は早めに買っておきましょう。
楽天で「カリン・セラーズ」を検索
ここのワイン、10年以上寝かした上で、他のワイナリのニューリリースよりも安いくらいの値段で出ているわけで、よほど酔狂な人がオーナーだと思われます。実際、相当の変人ぶりなようで輸入元が連絡を取ろうとしても取れない状態が続いているとのこと。ワイナリにいっても留守で会えなかったというからビックリです。
また、ひょんなことで輸入追加があるかもしれませんが、ないかもしれない、なんとも言えない状況です。
気になっている人は早めに買っておきましょう。
楽天で「カリン・セラーズ」を検索
まあ、とりあえずこのビデオを見てください。
Guzzle Buddyと名付けたこのデバイス、ソノマのJordan Wineryが作ったものです(Cougar Town Guzzle Buddy Jordan episode: wine infomercial spoof | The Jordan Journey)。
役に立つかどうかといえば、真面目な反論はいくらでもできるでしょうけれど、テレビ番組で取り上げてもらうという努力は敬服すべきでしょう。もしかしたら本当にこのデバイスを製品化するのかもしれません。
Jordanというと、2012年には江南スタイルのビデオを公開したこともあり、動画を使ったマーケティングに熱心に取り組んでいます。
こういう取り組みは応援したいです。
Guzzle Buddyと名付けたこのデバイス、ソノマのJordan Wineryが作ったものです(Cougar Town Guzzle Buddy Jordan episode: wine infomercial spoof | The Jordan Journey)。
役に立つかどうかといえば、真面目な反論はいくらでもできるでしょうけれど、テレビ番組で取り上げてもらうという努力は敬服すべきでしょう。もしかしたら本当にこのデバイスを製品化するのかもしれません。
Jordanというと、2012年には江南スタイルのビデオを公開したこともあり、動画を使ったマーケティングに熱心に取り組んでいます。
こういう取り組みは応援したいです。
Bedrockは、今いちばん気になっているワイナリの1つなんだけど、どこか日本に輸入しないのだろうか http://t.co/ocunUM0qVY #fb
— Andy Matsubara (@andyma) 2014, 1月 7
とTwitterでつぶやいてから2カ月ちょっと。ついにBedrock(ベドロック、ベッドロック)の国内販売が始まりました(もちろん、輸入開始決定とこのつぶやきは何の関係もありません)。
Bedrockに興味があるのは、まずオーナーでありワインメーカーでもあるMorgan Twain Peterson(モーガン・トウェイン・ピーターソン)への興味、それからBedrockが作るワインそのものへの興味です。
まず、モーガン・トウェイン・ピーターソンですが
・ジンファンデルのゴッドファーザーとも言われるジョエル・ピーターソンの子供
・5歳からワイン作りを始め、レストランに実際にワインを卸していた
・ソノマを中心とした古木の畑の登録・保全に力を入れていること
・米国で30人ほどのMaster of Wine保持者であること
と、その才能と積極的な活動に興味を惹かれます。ちなみにWine SpectatorはZinfandel Renaissance with Bedrock Wine Co.という彼自身を紹介するビデオを公開しています。
そしてBedrockですが
・濃いワイン好きのロバート・パーカーにも、IPOB推進派のジョン・ボネにも、Wine Spectatorにも高く評価されていること、
・古木の畑のワインを積極的に作っており、それらの畑に植わっている聞いたこともないようなブドウ品種のワインも作っていること
が気になるところです。
簡単にまとめると、ソノマの歴史を背負い、かつ新しいソノマ、新しいカリフォルニアワインの体現者でもあるのです。
さて、Bedrockのワインは、少量多品種で毎年15種類ほどもつくられていますが、今回はソノマ・ヴァレーのOld Vineジンファンデルとロレンツォ・ヘリテージ・レッドの2種が輸入されています。
前者は1500ケースと一番生産量が多い、主力ワイン。40%が自社畑、残りがソノマの様々な古い畑のブレンドです。後者はDry Creek ValleyのTeldeschi(テルデスキ)Vineyardの単一畑。1900年~1940年に植えられた畑で、60%がジンファンデル、25%がカリニャン、あとはプチ・シラー、Alicante Bouschet、Cinsualt、Valdigue、その他という構成。いかにもBedrockらしいワインです。どちらもワイナリでは売り切れです。
なお、WAでは前者が90点、後者が92-94点となっています。
これからBedrockのワインの輸入が増えるためにも、このワインはぜひ買ってほしいです。
個人的には『無敵のカリフォルニアワイン講座《ソノマ編》』を読みながら飲んでいただけたら一番うれしく思います。
昨日、状況はちょっと改善したかも、という記事を書きましたがUnited States Drought Monitor > Home > State Drought Monitorというページを見ると、数字の上ではまだまだ厳しい状況は続いています。
ソノマは大部分がD2(シビアな旱魃)で済んでいますが、ナパは大半がD3(極端な旱魃)、セントラル・コーストはほとんどがD4(例外的な旱魃)という状態です。
そろそろ雨季も終わり。3月中にもう一雨もふた雨もほしいところです。
ソノマは大部分がD2(シビアな旱魃)で済んでいますが、ナパは大半がD3(極端な旱魃)、セントラル・コーストはほとんどがD4(例外的な旱魃)という状態です。
そろそろ雨季も終わり。3月中にもう一雨もふた雨もほしいところです。
先日、子供にiPhoneを買ったのですが、設定が意外と大変でした。
au IDを設定して、メールアドレスを取得するまでは順調でしたが、最初にハマったのはApple IDの設定。メールアドレスを設定したEZwebのアドレスにしたのですが、送られてくるメールに入っているリンクが開けません。
メールはデフォルトで「メッセージ」アプリで取得するようにしていたのですが、URLとして自動認識する部分がパラメータを含んでいなかったためです。メッセージアプリ中で範囲選択することもできなかったので、一度メール全体をコピーしてメモ帳に貼り付け、そこからURLを範囲選択してSafariに貼り付けるというかなり面倒な手順を踏むことになってしまいました。
こういう状況って頻繁に起こりそうな気がするのですが、みんな解決できているのでしょうか? そもそも自動認識の範囲がおかしいことにも気がつかない人が多いのではないかと思うのですが…
その後、ブラウズするサイトを制限するための設定をしました。au版iPhoneの場合、安心アクセスというアプリをブラウザとして使い、Safariは使わないように機能制限するという方法を取ります。これは無事に設定できました。
ところが、メールを「メッセージ」で取得するのは使い勝手が悪いので、「メール」アプリに切り替えようとして、また問題が起こりました。
設定画面を開くためのリンクがSMSで「メッセージ」に来るのですが、これがまた開きません。
考えてみれば当たり前ですが、Safariが使えないようになっているからです。
リンクをコピーして「安心アクセス」に貼りこんでみましたが、それでもダメ。設定画面が開きません。
結局、一時的にSafariを有効にして解決しましたが、うーんなんだかなあ、という感じでした。Safariが使えないとアプリからSafariを呼び出すものがことごとく動かない恐れがあります。Apple自身がSafariでアクセス制限の機能を入れられるようにしてくれないと、結局使い勝手の悪さでSafariをオンにせざるを得ず、アクセス制限の意味がなくなってしまうのではないかと思いました。
お子さんにiPhoneをもたせている皆さんはどう解決しているのでしょう?
au IDを設定して、メールアドレスを取得するまでは順調でしたが、最初にハマったのはApple IDの設定。メールアドレスを設定したEZwebのアドレスにしたのですが、送られてくるメールに入っているリンクが開けません。
メールはデフォルトで「メッセージ」アプリで取得するようにしていたのですが、URLとして自動認識する部分がパラメータを含んでいなかったためです。メッセージアプリ中で範囲選択することもできなかったので、一度メール全体をコピーしてメモ帳に貼り付け、そこからURLを範囲選択してSafariに貼り付けるというかなり面倒な手順を踏むことになってしまいました。
こういう状況って頻繁に起こりそうな気がするのですが、みんな解決できているのでしょうか? そもそも自動認識の範囲がおかしいことにも気がつかない人が多いのではないかと思うのですが…
その後、ブラウズするサイトを制限するための設定をしました。au版iPhoneの場合、安心アクセスというアプリをブラウザとして使い、Safariは使わないように機能制限するという方法を取ります。これは無事に設定できました。
ところが、メールを「メッセージ」で取得するのは使い勝手が悪いので、「メール」アプリに切り替えようとして、また問題が起こりました。
設定画面を開くためのリンクがSMSで「メッセージ」に来るのですが、これがまた開きません。
考えてみれば当たり前ですが、Safariが使えないようになっているからです。
リンクをコピーして「安心アクセス」に貼りこんでみましたが、それでもダメ。設定画面が開きません。
結局、一時的にSafariを有効にして解決しましたが、うーんなんだかなあ、という感じでした。Safariが使えないとアプリからSafariを呼び出すものがことごとく動かない恐れがあります。Apple自身がSafariでアクセス制限の機能を入れられるようにしてくれないと、結局使い勝手の悪さでSafariをオンにせざるを得ず、アクセス制限の意味がなくなってしまうのではないかと思いました。
お子さんにiPhoneをもたせている皆さんはどう解決しているのでしょう?
記録にないほどの低雨量が続いていたカリフォルニアですが、2月は打って変わって雨が多い月になりました。例えばナパのカーネロスでは1月末時点で9カ月間の雨量が1.4インチ(約36mm)しかなかったのが、2月は7.8インチ(約198mm)と、それまでの13カ月間の総雨量の倍、過去8年間で3番めに雨量の多い月となったそうです。
The Gray Report: Northern California drought update, in two picturesには、1月と3月にStags Leapの畑で撮影した写真が掲載されています。1月の方は見るからに水気のなさそうな状態であるのに対し、3月の方はマスタードでしょうか、ブドウの樹の間にカバークロップの緑と黄色い花が広がっています。
サンタ・バーバラは2月も雨量が1.2インチ(約30mm)と少なく、すべての地域が緩和されたわけではありませんが、ノース・コーストに関しては危機的な状況から脱出したと言っても良さそうです。
The Gray Report: Northern California drought update, in two picturesには、1月と3月にStags Leapの畑で撮影した写真が掲載されています。1月の方は見るからに水気のなさそうな状態であるのに対し、3月の方はマスタードでしょうか、ブドウの樹の間にカバークロップの緑と黄色い花が広がっています。
サンタ・バーバラは2月も雨量が1.2インチ(約30mm)と少なく、すべての地域が緩和されたわけではありませんが、ノース・コーストに関しては危機的な状況から脱出したと言っても良さそうです。
昨年秋に出版された『The New California Wine』。米国では数多く出ているカリフォルニアワインの本の中でも注目の1冊です。
2013年ころからIPOB(In Pursuit of Balance)というグループが注目を集め始めているのは、このブログでも何回も紹介しています。最近ではLioco、Sandhiといったワイナリが来日してセミナーを開いたのにも参加しています(全カリフォルニアが注目するIPOB、創設者ラジャ・パーが語る、IPOBのLiocoとSandhi、Domane de la Côteを試飲)。
このグループの推進役の一人であり、強力なスポークスパーソンでもあるのが本書の著者であるJon Bonne(ジョン・ボネ)氏です。SFクロニクル紙のワインライターで、2006年にW. Blake Gray氏の後を継いでクロニクルのライターになった人です。
ニューヨークから来たボネ氏は、カリフォルニアワインにはあまり馴染みがなく、その力強いスタイルにもあまり好感を持たなかったようです。それが取材を進めるうちに、発見していったのが、濃い一辺倒ではないスタイルを模索する新しいワイナリで、最初は仲間内のグループだったIPOBを広報・宣伝するようになってきたと見られます。
本書は、前半ではカリフォルニアワインの通常は書かれない裏側の世界が描かれています。ワイン版の「不都合な真実」と言ってもいいかもしれません。といってもネガティブなことばかりではありません。例えば、このところの水不足でテーマに上る灌漑についていえば、どうしてカリフォルニアの大部分のワイナリでは灌漑をするのかなどについて、歴史的な事情などを含めて詳しく説明しています。また、灌漑をしないというワイナリのことについても書かれています。カリフォルニアの安ワインを支えるセントラル・ヴァレーの畑の話なども、なかなか面白かったです。いろいろな面から、これまでのマジョリティと新しい動きを解説していると言っていいでしょう。マニアックなカリフォルニアワインファンにお薦めの内容です。
後半は主にワインの紹介。当然ながらIPOBのワイナリが多数紹介されています。実は『無敵のカリフォルニアワイン講座《ソノマ編》』にも、これを見て追加したワイナリがいくつかあります。後半は普通のカリフォルニアワインファンにも読みやすい内容です。
実は、IPOBには既存のワイン評論家、例えばロバート・パーカーやWine Spectator誌のジェームズ・ローブはやや否定的な見解を示しています。
実際、これがカリフォルニアワインのマジョリティになるかどうかというと難しいところはあるでしょう。それでも、これまでよりもカリフォルニアワインの世界が広がるのではないかと、個人的には期待しています。
本書を読むには、書いてあることをすべて真に受けるのではなく、いろいろな視点の1つとして読むリテラシーも必要なように思いました。
なお、本書を単行本で日本で買うと3500円以上しますが(米国でも35ドル)、電子書籍版だと1000円台。Kindleだけでなく、Kobo版もあります。僕はKoboで3割引クーポン使って買いました。かなりお得です。
楽天ブックス(電子書籍)はこちら
2013年ころからIPOB(In Pursuit of Balance)というグループが注目を集め始めているのは、このブログでも何回も紹介しています。最近ではLioco、Sandhiといったワイナリが来日してセミナーを開いたのにも参加しています(全カリフォルニアが注目するIPOB、創設者ラジャ・パーが語る、IPOBのLiocoとSandhi、Domane de la Côteを試飲)。
このグループの推進役の一人であり、強力なスポークスパーソンでもあるのが本書の著者であるJon Bonne(ジョン・ボネ)氏です。SFクロニクル紙のワインライターで、2006年にW. Blake Gray氏の後を継いでクロニクルのライターになった人です。
ニューヨークから来たボネ氏は、カリフォルニアワインにはあまり馴染みがなく、その力強いスタイルにもあまり好感を持たなかったようです。それが取材を進めるうちに、発見していったのが、濃い一辺倒ではないスタイルを模索する新しいワイナリで、最初は仲間内のグループだったIPOBを広報・宣伝するようになってきたと見られます。
本書は、前半ではカリフォルニアワインの通常は書かれない裏側の世界が描かれています。ワイン版の「不都合な真実」と言ってもいいかもしれません。といってもネガティブなことばかりではありません。例えば、このところの水不足でテーマに上る灌漑についていえば、どうしてカリフォルニアの大部分のワイナリでは灌漑をするのかなどについて、歴史的な事情などを含めて詳しく説明しています。また、灌漑をしないというワイナリのことについても書かれています。カリフォルニアの安ワインを支えるセントラル・ヴァレーの畑の話なども、なかなか面白かったです。いろいろな面から、これまでのマジョリティと新しい動きを解説していると言っていいでしょう。マニアックなカリフォルニアワインファンにお薦めの内容です。
後半は主にワインの紹介。当然ながらIPOBのワイナリが多数紹介されています。実は『無敵のカリフォルニアワイン講座《ソノマ編》』にも、これを見て追加したワイナリがいくつかあります。後半は普通のカリフォルニアワインファンにも読みやすい内容です。
実は、IPOBには既存のワイン評論家、例えばロバート・パーカーやWine Spectator誌のジェームズ・ローブはやや否定的な見解を示しています。
実際、これがカリフォルニアワインのマジョリティになるかどうかというと難しいところはあるでしょう。それでも、これまでよりもカリフォルニアワインの世界が広がるのではないかと、個人的には期待しています。
本書を読むには、書いてあることをすべて真に受けるのではなく、いろいろな視点の1つとして読むリテラシーも必要なように思いました。
なお、本書を単行本で日本で買うと3500円以上しますが(米国でも35ドル)、電子書籍版だと1000円台。Kindleだけでなく、Kobo版もあります。僕はKoboで3割引クーポン使って買いました。かなりお得です。
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Santa Lucia Highlandsを代表するワイナリPisoniが作るロゼLucyの2013年版が入荷しています。この春、ワインメーカーのJeff Pisoniが初来日するのを記念して、「桜」の字が書かれたラベルを特別に日本向に使っています。
楽天ではWassy'sに入荷中。表示は2012年となっていますが、桜ラベルなので2013年のものだとおもいます。
ちなみにWassy'sは3月8~10日に店長ハダノリさんの誕生日を記念して送料390円のサンキューセールを開催中です。
Lucyロゼは、個人的にも好きなロゼ。お薦めです。
楽天ではWassy'sに入荷中。表示は2012年となっていますが、桜ラベルなので2013年のものだとおもいます。
ちなみにWassy'sは3月8~10日に店長ハダノリさんの誕生日を記念して送料390円のサンキューセールを開催中です。
Lucyロゼは、個人的にも好きなロゼ。お薦めです。
キタザワでマルティネッリ(マルティネリ)のワイン3種がビックリするほど安くでています。3月9日までの限定。
一番すごいのはシャルドネのThree Sisters Vineyardが4599円というもの。米国の価格でも80ドル近いワインです。この畑はMartinelliがMarcassin(マーカッサン)にブドウを提供している畑の1つであり、マーカッサンのものだと米国でも200ドル、日本だと3万円台です。
このほかMartinelli Roadのシャルドネやソノマ・コーストのピノ・ノワールも現地価格より全然安い値段。
売り切れ前にぜひ。
ちなみにマーカッサンのものは
一番すごいのはシャルドネのThree Sisters Vineyardが4599円というもの。米国の価格でも80ドル近いワインです。この畑はMartinelliがMarcassin(マーカッサン)にブドウを提供している畑の1つであり、マーカッサンのものだと米国でも200ドル、日本だと3万円台です。
このほかMartinelli Roadのシャルドネやソノマ・コーストのピノ・ノワールも現地価格より全然安い値段。
売り切れ前にぜひ。
ちなみにマーカッサンのものは
難産だったソノマ編がようやく発売になりました。まずはAmazon限定です。Kindle端末および、iOSあるいはAndroidのスマホやタブレットで読めます。価格はナパ編より100円安い400円にしました。
今回試しにロイヤリティ率が70%のKDPセレクトという契約にしてみたため、他のプラットフォームでは3カ月販売できません。ただし、ナパ編を発売当初に購入いただいた方にはソノマ編の無償配布があります。セキュアに行う方法を検討しているので、しばらくお待ちください。
また、ナパ編とソノマ編を合体させたものを3月中をメドに作りたいと思っています。ナパ編も修正したいところはいろいろある(出版後買収によってオーナーが変わっていたりとか)のですが、直し始めるときりがないので、多分いまの内容のまま合わせることになるでしょう。価格は800円か750円か。ナパ編をお持ちでない方は、待たれるのが賢明かもしれません。
さて、ソノマ編ですが、掲載ワイナリ数は目標の100を大幅に超えて118に達しました。先日ワインを紹介したKalin Cellars(これはソノマとサンフランシスコの間にあるワイナリで、今回は便宜上サンフランシスコの項目に入れています)を最後に押し込んだり、IPOBのLiocoを加えたりと、最後のほうでいくつか駆け込みで追加した結果です。
Russian River Valleyが46ワイナリと圧倒的に多く、Sonoma Valleyが23で続きます。
今回、改めて強く感じたのはソノマの多様性です。ナパはカベルネ・ソヴィニョンが圧倒的に王者の位置にあり、「パーカー・ポイント」などの評論家のレイティングでヒエラルキーができている感がありましたが、ソノマは全く違います。
もちろん、カベルネ・ソヴィニョンに力を入れているワイナリもありますが、ジンファンデルやメルロー、ローヌ品種に力を入れるワイナリもあるし、高級路線よりも庶民的なワインを目指すワイナリもナパよりずっと多くあります。Russian River ValleyやSonoma Coastはピノ・ノワールとシャルドネが中心です。
また、19世紀から続く古いワイナリが多くある一方で、創設10年足らずで注目を集める気鋭のワイナリもたくさんあります。
さらに、日本人ががんばっているワイナリも多くあります。ナパよりも楽しみ方がたくさんあるのがソノマです。
そのあたりの魅力をできるだけ伝えたいと思いながら書いたのですが、いかがでしょうか。買われた方はAmazonでレビューいただけたらうれしいです(辛口のレビューも反省材料として歓迎します)。
ところで、Amazonで「カリフォルニアワイン」で検索してみたところ、新しい本(紙の)が2冊ほど出ているのに気付きました。
1つは『ワインで旅するカリフォルニア』という本。著者は桑田英彦さんという方で、音楽関係の本などを書かれています。「カリフォルニア観光局認定」というのが売りで「ナパやソノマだけでなく、カリフォルニア全域を網羅しているワイナリーのガイドブック、しかも全65ヶ所も紹介している本は日本初!」だそうです。
カリフォルニア全域で65ワイナリってちょっと少ないような気もしますが、どうなんでしょうね。入門用としてはいいかもしれません(実は僕もソノマ編が一段落したら100円くらいで売るような入門編をつくろうかとも思ってます)。全144ページというから、紙の本換算で推定299ページというナパ編、ソノマ編と比べるとかなり分量は少ないです。
もう1つは『評伝長沢鼎―カリフォルニア・ワインに生きた薩摩の士』という本。長沢鼎ゆかりのワイナリParadise Ridgeもソノマにあります。これは読んでみたい。
今回試しにロイヤリティ率が70%のKDPセレクトという契約にしてみたため、他のプラットフォームでは3カ月販売できません。ただし、ナパ編を発売当初に購入いただいた方にはソノマ編の無償配布があります。セキュアに行う方法を検討しているので、しばらくお待ちください。
また、ナパ編とソノマ編を合体させたものを3月中をメドに作りたいと思っています。ナパ編も修正したいところはいろいろある(出版後買収によってオーナーが変わっていたりとか)のですが、直し始めるときりがないので、多分いまの内容のまま合わせることになるでしょう。価格は800円か750円か。ナパ編をお持ちでない方は、待たれるのが賢明かもしれません。
さて、ソノマ編ですが、掲載ワイナリ数は目標の100を大幅に超えて118に達しました。先日ワインを紹介したKalin Cellars(これはソノマとサンフランシスコの間にあるワイナリで、今回は便宜上サンフランシスコの項目に入れています)を最後に押し込んだり、IPOBのLiocoを加えたりと、最後のほうでいくつか駆け込みで追加した結果です。
Russian River Valleyが46ワイナリと圧倒的に多く、Sonoma Valleyが23で続きます。
今回、改めて強く感じたのはソノマの多様性です。ナパはカベルネ・ソヴィニョンが圧倒的に王者の位置にあり、「パーカー・ポイント」などの評論家のレイティングでヒエラルキーができている感がありましたが、ソノマは全く違います。
もちろん、カベルネ・ソヴィニョンに力を入れているワイナリもありますが、ジンファンデルやメルロー、ローヌ品種に力を入れるワイナリもあるし、高級路線よりも庶民的なワインを目指すワイナリもナパよりずっと多くあります。Russian River ValleyやSonoma Coastはピノ・ノワールとシャルドネが中心です。
また、19世紀から続く古いワイナリが多くある一方で、創設10年足らずで注目を集める気鋭のワイナリもたくさんあります。
さらに、日本人ががんばっているワイナリも多くあります。ナパよりも楽しみ方がたくさんあるのがソノマです。
そのあたりの魅力をできるだけ伝えたいと思いながら書いたのですが、いかがでしょうか。買われた方はAmazonでレビューいただけたらうれしいです(辛口のレビューも反省材料として歓迎します)。
ところで、Amazonで「カリフォルニアワイン」で検索してみたところ、新しい本(紙の)が2冊ほど出ているのに気付きました。
1つは『ワインで旅するカリフォルニア』という本。著者は桑田英彦さんという方で、音楽関係の本などを書かれています。「カリフォルニア観光局認定」というのが売りで「ナパやソノマだけでなく、カリフォルニア全域を網羅しているワイナリーのガイドブック、しかも全65ヶ所も紹介している本は日本初!」だそうです。
カリフォルニア全域で65ワイナリってちょっと少ないような気もしますが、どうなんでしょうね。入門用としてはいいかもしれません(実は僕もソノマ編が一段落したら100円くらいで売るような入門編をつくろうかとも思ってます)。全144ページというから、紙の本換算で推定299ページというナパ編、ソノマ編と比べるとかなり分量は少ないです。
もう1つは『評伝長沢鼎―カリフォルニア・ワインに生きた薩摩の士』という本。長沢鼎ゆかりのワイナリParadise Ridgeもソノマにあります。これは読んでみたい。
全品ポイント2倍に加えて、期間限定の割引で、カレラのピノ・ノワール「ジョシュ・ジェンセン・セレクション」が出ています。通常のセントラル・コーストにエステートのブドウをミックスした特別版です。以前あったCuvee Vと同じようなものと思えばいいでしょう。
追記:Cuvee Vは今もあるそうです。ヴィノラム輸入がCuvee Vで、JALUX輸入がジョシュ・ジェンセン・セレクションだとのこと(Tomoさん、ありがとうございます)。無知をさらけ出してしまいました^^;
近年、カレラの普通のセントラル・コーストも品質向上が著しいので十分お薦めなのですが、ちょっと上を期待するなら、これもありかと思います。
なお、ここは送料390円とかなり安め。同梱の送料が無料になるセットもあります。
期間限定ではないですが、個人的に大好きなフォックスグローブのシャルドネが税抜き1000円台になっているのも、お買い得です。通常、この価格はラベル破損ものなどに限られています。樽を使っていないシャープな味わいのシャルドネで、日本食にも合わせやすいと思います。
先日紹介したカリン・セラーズも安く3種類買えますので、再掲しておきます。
追記:Cuvee Vは今もあるそうです。ヴィノラム輸入がCuvee Vで、JALUX輸入がジョシュ・ジェンセン・セレクションだとのこと(Tomoさん、ありがとうございます)。無知をさらけ出してしまいました^^;
近年、カレラの普通のセントラル・コーストも品質向上が著しいので十分お薦めなのですが、ちょっと上を期待するなら、これもありかと思います。
なお、ここは送料390円とかなり安め。同梱の送料が無料になるセットもあります。
期間限定ではないですが、個人的に大好きなフォックスグローブのシャルドネが税抜き1000円台になっているのも、お買い得です。通常、この価格はラベル破損ものなどに限られています。樽を使っていないシャープな味わいのシャルドネで、日本食にも合わせやすいと思います。
先日紹介したカリン・セラーズも安く3種類買えますので、再掲しておきます。
柳屋に珍しいワインが入荷しています。Byronのワインメーカーが作っていたIOというシラー。2006年まで作られていたようですが、現在は作られていないワイン、その2004年版です。
当時のワイナリ価格が50ドル、現在の流通価格でも30ドル台。それが今回は2780円という現地価格以下になっています。ちなみに当時のインポーター価格は9500円だったとか…
カリフォルニアのシラーで10年ものというのは、案外飲む機会がないもので、これはかなり貴重かつ格安です。
このページに載っているシラーはどれも美味しそう…例えばWA97点のリレントレスとか…
当時のワイナリ価格が50ドル、現在の流通価格でも30ドル台。それが今回は2780円という現地価格以下になっています。ちなみに当時のインポーター価格は9500円だったとか…
カリフォルニアのシラーで10年ものというのは、案外飲む機会がないもので、これはかなり貴重かつ格安です。
このページに載っているシラーはどれも美味しそう…例えばWA97点のリレントレスとか…
人気のオーパス・ワンは、税抜きで3万円をわずかに切るというのが現在のギリギリの線。3%消費税が上がればそれだけで1000円変わってきてしまいます。
ロバート・モンダヴィ直系のコンティニュームは、高評価で入手も困難です。個人的にも飲みたいワインの1つ。
ハーランは手が届きませんが、Bondならまだ単一畑でも3万円台です。このワインはWAで98+。
高評価で1万円台のドミナス2007。
以前は1万円切ることもあったスポッツウッド。2010年がWA100点でさらに高値になりそうですが、これはお買い得。WAでの評価が94から97+に上がっています。
ロバート・モンダヴィ直系のコンティニュームは、高評価で入手も困難です。個人的にも飲みたいワインの1つ。
ハーランは手が届きませんが、Bondならまだ単一畑でも3万円台です。このワインはWAで98+。
高評価で1万円台のドミナス2007。
以前は1万円切ることもあったスポッツウッド。2010年がWA100点でさらに高値になりそうですが、これはお買い得。WAでの評価が94から97+に上がっています。
一昨年、ヨミウリ・オンラインの記事で取り上げられ、話題になったカリン・セラーズ(カリフォルニアのR・アンポー ウマミを表現)。日本への輸入も始まりましたが、当初の国内入荷分が売り切れてからは再入荷もなく、しばらく日本では買えない状態が続いていました。
このほどインポーターが変わり、ヴィンテージも新しくなって再入荷が始まっています。
ここの特徴はなんといっても超長期熟成。今回の入荷で一番ヴィンテージが新しいものでセミヨンの2000年。ピノ・ノワールは1999年、シャルドネにいたっては1995年ですからほとんど20年近く経っています。これが2014年に出荷が始まった新リリースなのです。
ワイナリのページを見ると、昨年11月に1993年のシャルドネをリリースしていたり、最近のリリースの中に1988年のスパークリングがあったりと、タイム・スリップでもしたかのようなものばかり。
これで日本でも5000円以下なのですから、ワイナリの商売として成り立つのかどうか心配になってくるほどです。
ワインの中身もバッタモンでもなんでもなく、セミヨンはWine Advocate誌で93点、シャルドネは92点(ピノ・ノワールはまだ評価なし)、という高得点が付いています。
パーカー自身、ここのワインのファンであり、1981年のピノ・ノワールなどをまだセラーに残していると書いています。「尋常でない天才による信じられないようなワイン」というのは最上級の賛辞といっていいでしょう。
僕も前回買い損なったので今回は購入しました。
リンクが表示できないのですが、カリフォルニアワインあとりえにも入荷しています。価格はちょっと安め。
このほどインポーターが変わり、ヴィンテージも新しくなって再入荷が始まっています。
ここの特徴はなんといっても超長期熟成。今回の入荷で一番ヴィンテージが新しいものでセミヨンの2000年。ピノ・ノワールは1999年、シャルドネにいたっては1995年ですからほとんど20年近く経っています。これが2014年に出荷が始まった新リリースなのです。
ワイナリのページを見ると、昨年11月に1993年のシャルドネをリリースしていたり、最近のリリースの中に1988年のスパークリングがあったりと、タイム・スリップでもしたかのようなものばかり。
これで日本でも5000円以下なのですから、ワイナリの商売として成り立つのかどうか心配になってくるほどです。
ワインの中身もバッタモンでもなんでもなく、セミヨンはWine Advocate誌で93点、シャルドネは92点(ピノ・ノワールはまだ評価なし)、という高得点が付いています。
パーカー自身、ここのワインのファンであり、1981年のピノ・ノワールなどをまだセラーに残していると書いています。「尋常でない天才による信じられないようなワイン」というのは最上級の賛辞といっていいでしょう。
僕も前回買い損なったので今回は購入しました。
リンクが表示できないのですが、カリフォルニアワインあとりえにも入荷しています。価格はちょっと安め。