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Date: 2017/0331 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンタ・リタ・ヒルズを代表するワイナリーの1つであるブリュワー・クリフトン(Brewer Clifton)の日本への輸入が終了しました。これまでワイン・イン・スタイルが取り扱っていましたが、扱いを中止するとのことです。

ブリュワー・クリフトンには、いろいろな思い出がありますから、それを思うとちょっと残念な気もしますが、実質的には大きな影響はないのではないかとも思います。

というのは、シャトー・イガイタカハの漢字シリーズのシャルドネ、ピノ・ノワールはどれもブリュワー・クリフトンの畑のブドウを使ってグレッグ・ブリュワーが作っているからです。

以前の筆者がグレッグ・ブリュワーにインタビューしたときはタカハのワインについて、次のように語っています。
――シャトー・イガイタカハのワインについて伺います。ブドウはブリュワー・クリフトンの畑のものを使っていると聞いています。
グレッグ:その通りです。

――では、ワインもブリュワー・クリフトンと全く同じになるのでしょうか?
グレッグ:ブリュワー・クリフトンは単一畑のワインです。それに対して、シャトー・イガイタカハの場合は、エモーショナルなものが先に来ます。漢字の意味から、それに合った味わいを出すのがどのワインかを決めるのです。

――そのためにブレンドする場合もあるのですか。
グレッグ:ときにはブレンドすることもあります。
「漢字ワインはエモーショナルなんです――グレッグ・ブリュワー インタビュー後編 」より

また、ブリュワー・クリフトンのピノ・ノワールは全房発酵が特徴の1つですが、以前別のセミナーではタカハの「園」については全房発酵で作っていると言っていました(今も同じかどうかはわかりません)。
シャトー・イガイ・タカハの新作ワインをグレッグ・ブリュワーが解説(後編)」より

同じセミナーでは、シャルドネのクローンについて「美夜の畑はSweeney Canyonのクローン、波紋の畑はSea Smokeのクローン、侍の畑はClone4とHydeのクローン」と語っています。ブリュワー・クリフトンの畑でみるとSweeney Canyonはマチャドの畑、Sea SmokeやHydeは3Dの畑にあるので、それらの畑から来たものと想像できます(これも今も同じかどうかはわかりません)。

ブリュワー・クリフトンのワインとシャトー・イガイタカハのワインを1対1で結びつけることはできませんが、それでもグレッグのワインがこれだけ流通しているのってすごいことだと思います。何よりも日本を愛しているグレッグのことですから、日本で彼のワインが飲めなくなったら、一番悲しむのは彼だと思います。

グレッグ・ブリュワー

今回の輸入停止とは関係ありませんが、こういう自社畑に移行するより前のワインを見つけるとこれはこれで懐かしいものがあります。






なお、復活したダイアトム(Diatom)のワインは、シャトー・イガイタカハと同じワインライフ株式会社が輸入します。
Date: 2017/0329 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナス(Vinous)のアントニオ・ガッローニが2015年のソノマについて概観を公開しています(Sonoma’s Sensational 2015s, Part One (Mar 2017) | Vinous - Explore All Things Wine)。

Old vines

2015年は、4年連続の旱魃で雨が極端に少なかったことと、生育が早かったこと、開花時期に天候が不順で収穫量が大幅に減ったこと、といったかなり極端な天候でした。場所によっては全く結実しなかったところもあるそうです。収穫は30~50%も減りました。特にピノ・ノワールは影響が大きく、ピノ・ノワールよりも開花時期が遅いジンファンデルなどは、比較的影響が少なかったとのことです。

ただ、収量が少なくて味が凝縮したことと、生育が早くて酸が落ちてくる前に実が熟したことから、品質的には非常にいいものが多くなったようです。昨日記事を公開したサークや、1週間ほど前に書いたリヴァース・マリーの2013年も素晴らしいできでしたが、2014年はそれ以上にいいという評判があり、2015年はさらにいいとなると、品質(特にピノ・ノワール)はすごいことになりそうです。

ジンファンデルもシラーもいい年でしたが、シャルドネに関しては、賛否両論あるようです。凝縮感が出過ぎてあまりよくなくなっているところもあるとか。

似たような傾向は2014年にもあったので、2015年は2014年の少し極端バージョンと思えばいいのかもしれません。

このほか興味深いのは、「今年良かったものリスト」として、さまざまなワイナリーや品種などの名前を挙げていること。

・2015年のピノ・ノワール(ドラマチックで豊満なピノ・ノワールになった一方で新鮮さも素晴らしかった)
・カーライル(かつては黒系の果実味だったが赤系に変わった)
・セリタス(2014年のピノは誰もが欲しがる)
・デュモル(素晴らしい)
・フェレン(Ferren)(シャルドネがすばらしい)
・ワンス・アンド・フューチャー(ジョエル・ピーターソンの新プロジェクトはインプレッシブ)
・ポール・ホブズの新ピノ・ノワールFraenkle-Cheshierは、これまでのポール・ホブズのピノのベスト
・リトライ(すばらしい、特に2015のシャルドネが)
・マルティネリ(以前より味わいがフレッシュになった
・オキシデンタル(キスラーの新プロジェクトは息を呑むでき)
・ペイ(これまでの最高)
・リヴァース・マリー(ピノもシャルドネもすばらしい。カベルネもそれくらい真面目に作ってくれたらいいのに)
・ロキオリ(2015年のシャルドネがいい)
・ロシアン・リバー・ヴァレーのジンファンデル(2015年はすばらしい)
・ヴェリテ(すばらしい)
・ウォルター・ハンゼル
Date: 2017/0325 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの有名な畑「ステージコーチ(Stagecoach)」をガロが買収しました(Gallo buys Stagecoach Vineyard - Wines & Vines)。
stagecoach vineyard
ステージコーチはジャン・クラップが1995年に購入した畑。プリチャードヒルとアトラス・ピークにまたがっており、1300エーカーの広大な土地に600エーカーの畑があります。標高は360~530m程度。175のブロックに分かれており、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に16種類の品種がうわっています。また、ナパ・グリーン、カリフォルニア・サスティナブル・ワイングローイング・アライアンスなどの認定を受けています。

ステージコーチ自体のワイナリーはありませんが、ジャン・クラップは兄弟とクラップ・ブラザーズというワイナリーを経営しています。例えばクラップ・ブラザーズのM5ステージコーチ・カベルネ・ソーヴィニヨン2015はWine Advocate誌で96-100点を得ており、その他のワインも高い評価を得ています。

ステージコーチは現在クラップ・ブラザーズを含め90のワイナリーにブドウを供給しており、30のワイナリーがステージコーチの名前を付けたワインを売っています。今回の買収後もその契約を続けることをガロは表明しています。

なお、顧客の中にはシャトー・モンテリーナ、ダリオッシュ、ダックホーン、ヘス・コレクション、カーディナル、パルメイヤー、プライドといった有名ワイナリーが含まれています。

また、ガロ傘下のワイナリーの中ではルイ・マルティニとオリン・スイフトがステージコーチのブドウを購入しています。

急に何かが変わるわけではありませんが、こうして巨大資本に買収されるのはこの先にちょっと不安を感じてしまうのは僕だけではないでしょう。
Date: 2017/0324 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国マサチューセッツ州にあるブランダイス大学の研究者が液垂れしないワインボトルを開発しました(Behold: The drip-free wine bottle! | BrandeisNOW)。

ダニエル・パールマンというこの研究者はワインを注ぐときの液体の流れをビデオに撮って観察し、ボトルにワインが一杯に入っているときに液垂れしやすいここと、ガラスは親水性なため、お尻方向に回った水分が下に落ちずに流れていくこと、を発見しました。

そこで、ボトルの口のすぐ下に切れ込みを入れてみたところ、それ以上後ろに液は回らず、下のグラスに水滴が落ちることがわかりました。


液垂れしないボトル

非常におもしろいですが、世紀の大発明となるのでしょうか。。これが製品として世に出るかどうかが気になります。
Date: 2017/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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長かった今年の冬もようやく終わりに近づき、カリフォルニア全域でブドウの発芽(Bud Break)が始まっているようです(Buds Burst Across California)。

Bud Break at Laetitia

リバモアでは3月6日には発芽が始まり、パソ・ロブレスあたりでももう9割くらいは発芽したそうです。サンタ・クルーズ・マウンテンズはまだ始まったところのもよう。

昨年や一昨年の旱魃中は発芽はかなり早くなる傾向がありましたが、今年は通常の状態に戻ったといってよさそうです。

ただ、発芽のあとしばらくは、霜の影響を一番受けやすい時期。ワイナリーにとっては霜の害を気にするところでもあります。

今年がいいシーズンになりますように。
Date: 2017/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブロガーのW.ブレイク・グレイ氏がWine-Searcherにナパはカベルネが多過ぎるのか、という記事を書いています(Does Napa Have too Much Cab?)。

興味深かったのがボルドーとの価格の比較。Wine-Searcherで検索の人気ワインを調べると、ボルドーのトップ10では450ドル以下のワインは1つ(ランシュ・バージュ)だけ。ナパでは6本が200ドル以上なので、ボルドーのほうが大分高価です。これだけ見ると、ナパのワインが高いとは言えないような気がします。

ところが、トップ101~110で見ると話は大きく変わります。ナパではこの順位でも10本中4本は200ドル超。一方ボルドーでは10本中8本が100ドル未満。60ドル未満も4本あります。つまり、ボルドーは検索人気順位が下がるにつれ、価格もどんどん下がりますが、ナパのワインは人気順位が下がっても価格はさほど変わらないのです。

マスターソムリエで、サンフランシスコのフェリープラザ・ワイン・マーチャントの共同経営者であるピーター・グラノフは、「ナパのワインはランボルギーニの分野にマーケティングを集中している」と語っています。

店舗では、棚のスペースには限界があり、50ドル以上のワインに割ける領域は限られたものになります。その領域にばかりつぎ込むのは戦略としてどうか、というところです。

Ferry Building Wine Merchant


元記事は、多様な品種を保持する話と、価格の話が混在しており、ちょっとわかりにくいところがありますが、個人的には品種の多様性よりも、価格の多様性の方が気になるところです。土地の価格が高くブドウの価格も高くなるため、ワインも高くしたいという気持ちはわかりますが、あまりにも高級ワインに偏りすぎな傾向は否めません。

だからこそ、ナパハイランズなどのようにそこそこの価格で美味しいワインを見つけると嬉しくなるのですけどね。

Date: 2017/0322 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのヨントヴィルにあるミシュラン三つ星レストランのフレンチ・ランドリーが座席の予約システムを従来のオープンテーブル(OpenTable)から、最近人気が高まっているトック(Tock)に変更しました。当初は3月20日~6月30日のチケットを販売し、今後は奇数月の1日に2カ月分を売り出す形に変えるそうです(The French Laundry moves to ticket system - SFGate)。

French Laundry Restaurant/a>

レストランにとって近年悩みのタネとなっているのが予約客のドタキャン(No Show)問題。トックは、従来のような単なる予約ではなく、料理などを含んだ「チケット」を販売する形にして、ドタキャンを防ぎます。

このほか、トックはレストランで開催するイベントのチケット販売にも使えるなどフレキシブルな点も評価されているようです。
Date: 2017/0321 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前編はこちら

トーマス・リヴァース・ブラウン

試飲の4番めから続けます。

4番めはオキシデンタル・リッジ・ヴィンヤーズのピノ・ノワール。Failaなども使っている人気の畑で、リヴァース・マリーは2005年から。ヴィンテージは最後の6番目を除いて2013年です。ここはオキシデンタルの町の近くの丘の斜面にある畑。冷涼な風が拭きますが、日照が多いことから密度の高いワインができます。面白いのは10%ほど除梗なしのブドウを使っていること。果実味が出すぎるのを防ぐためだそうです。新樽率は33%。

果実の香り高く、ラズベリーなど赤系の果実にブルーベリーなど青系の果実が少し混じる印象。カバークロップに使っているペニーロイヤルミントから、ワインにもミンティな感じが少し入っています。バランスよく飲みやすいワイン。ちなみにヴィナスのアントニオ・ガッローニは、このワインの評価が95点と一番高いです(2番めは最初に試飲したスーマ・オールド・ヴァインと5番目に試飲するシルバー・イーグルの94点)。

5番目のシルバー・イーグルは、リヴァース・マリーの中では比較的暖かい、ロシアン・リバー・ヴァレーに入る畑です。畑の中にグリーン・ヴァレーの境界線があるとか。ここは、ソノマで畑の管理者として名高いユリシス・ヴァルデスが管理している畑で、すトーツ・レーン沿いにあることから略してUV-SLとも呼ばれています。「オーベールのちょい古ヴィンテージを試飲、ピノとシャルドネで意外な結果」という記事ではオーベールのUV-SLの試飲も紹介しています。このセミナーまでUV-SLとシルバー・イーグルが同じ畑とは知りませんでした。リヴァース・マリーでは2009年から使っています。

これまでの畑と比べると暖かさを感じるワイン。芳醇です。タンニンも比較的強くスパイシー。ボディーがしっかりしており、いわゆるカリピノのイメージに近くなっています。これも10%除梗なしの全房発酵。味わいがキャンディっぽくなるのを防ぐためとのこと。新樽率は30%。

最後はカンツラー・ヴィンヤードの2014年。リヴァース・マリーでは2012年からここのワインを手がけています。やや南東よりのセバストポル・ヒルと呼ばれる辺りにある畑で近くにはダットン・ランチやマルティネリのボンディ・ホームなどがあります。2000年台にコスタ・ブラウンがここのブドウを使ったピノ・ノワールで、Wine Spectatorを中心に高得点を取り、一躍人気になった畑です。

果実味がガツンと来るあたりはコスタ・ブラウンとも少し共通しているような気がします。どちらかというと青系の果実の味が勝っています。最初に試飲したスーマ・オールド・ヴァインとは、これほど違うのかとびっくりするようなワイン。これが畑の個性ということなのでしょう。無理して1つのスタイルに持っていくのではなく、個性をうまく引き出していることに感心しました。なお、このワインは15%全房発酵。新樽率25%。

どれがいいか選ぶのは難しいですが、比較的万人受けしそうなのがシルバー・イーグル。ピノ・ノワール好きが喜びそうなのが、若いのに熟成したような複雑さがあるスーマ・オールド・ヴァイン。ただ、これは価格も高いため、少しおとなしくなるものの、普通のスーマも捨てがたいワインです。

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さて、セミナーの後は試飲会もありました。実はこちらがさらに超弩級。彼を有名にしたシュレーダーのカベルネ・ソーヴィニヨンや、シュレーダーが手がけるマーカッシン対抗と言われる超高級ピノ・ノワール「ボアズ・ビュー」なども登場しました。

まず、セミナーとヴィンテージ違いの2012年のスーマとシルバー・イーグルのピノ・ノワールを試飲しました。これが面白いことに、2013年とは違ってスーマの方が濃く、シルバー・イーグルの方がエレガントなのです。理由を聞いたところ、2012年は収穫量が多い、スーマの畑の収穫が普通よりも時間がかかってしまったとのこと。その分、糖度が上がって濃いワインになったそうです。一方、シルバー・イーグルの方は全房発酵の比率が少し高く、果実味が抑えられたとのこと。このあたりの全房発酵比率などは今なお試行錯誤があるようです。

ボアーズ・ビュー(Boars' View)はシュレーダーが手がけるソノマ・コーストのピノ・ノワールのプロジェクト。「マーカッサンを見下ろす親イノシシ?」という記事で紹介しています。今回試飲した2014年は4ヴィンテージめ(多分)で、2012年と2013年はWine Advocate誌で95点ついています。畑の管理はユリシス・ヴァルデスです。

香り高くリッチでパワフル。果実味に加え、紅茶のようなニュアンスを感じます。すごく美味しいですが、まだパワー一辺倒の若さのような感じもしました。もっともっとすごいワインがこれからできそうな気がします。「まだポテンシャルを発揮できていないのではないか」と厳し目の質問をしてみたところ、彼も、「まだ樹齢が若いので、ようやく花開いてきたところだ」とのこと。5年後くらいにはピノ・ノワールのカルトになっている可能性はかなり高いと思います。

もう1つのピノ・ノワールはアストンというワイナリー。ここはこれまで知らなかったのですが、ソノマ・コーストの中でもメンドシーノに近い北の端にあるワイナリーで、ここもシュレーダーが関わっており、畑の管理はユリシス・ヴァルデス。ここはまた、冷涼なソノマ・コーストのお手本のようなワインで、酸がとてもきれいです。個人的には今飲むならこのピノ・ノワールが一番好きかもしれません。ピノ好きであればぜひトライしてほしいワインです。

この後はカベルネ・ソーヴィニヨンで、リヴァース・マリー、プリド~ウォーカー、レヴァーナ、シュレーダーとそれぞれ2種類試飲しました。リヴァース・マリーのカリストガは明記していないもののラークミードの畑のもの。かのアイズリー・ヴィンヤードのクローンを使った区画のブドウだとのこと。濃厚というよりは明るい味わい。もう1つはオークヴィルのロア・ヴィンヤード。こちらはオークヴィルらしい上品かつパワフル。複雑さのあるカベルネ・ソーヴィニヨンでした。

プリド~ウォーカーはメランソンとパネクの2つのカベルネ・ソーヴィニヨン。メランソンはプリチャードヒルにある畑。カシスや黒鉛のフレーバー。美味しいです。パネクはセント・ヘレナのヴァレー・フロアにある畑。バランスの良さを感じるカベルネ・ソーヴィニヨン。

レヴァーナはテロワール・シリーズというナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンとエステートのカベルネ・ソーヴィニヨン。テロワール・シリーズは自社の畑とラークミード、シフレットを1/3ずつブレンドしたワイン。周りのワインがすごすぎて、今回はちょっと埋没してしまった印象。エステートのカベルネ・ソーヴィニヨンは赤系の果実と青系の果実をバランス良く感じるワイン。これも美味しい。

そして最後はシュレーダー。GIIIはベクストファーが管理するジョルジュ・ザ・サード(George III)という畑。かつてはボーリューのジョルジュ・ド・ラ・トゥールに使われていた畑です。しっかりしたタンニン、青系の果実、ボリュームあり骨格も強いワイン。何よりもシルキー。レベルが違う感じです。

シュレーダーのもう1つはRBS。これは、ナパでもだれもが最高の畑と認めるベクストファー・ト・カロンのブドウを使ったもの。前編で取り上げたWSとWAのダブル満点ワインCCSとOld Sparkyも同じ畑ですが、ブドウの区画が違っています。これはクローン337というブドウだけを使っています。これはもう言うことないです。ナパの最高峰の1つというのが納得できるワイン。

これでセミナー6種、試飲会12種の計18種の報告は終わりですが、何よりも驚いたのは作るワインの味わいの幅が極めて広いこと。ピノ・ノワールではリヴァース・マリーのスーマ・オールド・ヴァインとカンツラーでは全然違うし、ボアズ・ビューとアストンもまた、全然別のワインです。「みんな違ってそれがいい」という陳腐な表現しか思いつきませんが、これだけそれぞれが個性的で、しかもどれも素晴らしく美味しいというのは、凄いとしかいいようがありません。カベルネ・ソーヴィニヨンも同様です。

修行時代は比較的短いトーマス・リヴァース・ブラウンがどうやってこのような技能を身に着けたのかも興味深いところですが、セミナーでは、ワインショップ時代に多様なワインに触れたことを挙げていました。おそらくその舌の記憶をきちんと持っているのも類稀な才能の1つなのでしょうね。

Date: 2017/0320 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのワインメーカーの中でも、今一番尊敬され、引く手あまたな一人であるのがトーマス・リヴァース・ブラウン。現在45歳を迎えたばかりでありながら、これまでロバート・パーカーのWine Advocate誌でいわゆる「パーカー100点」を20回も取っているのです(中にはパーカー以外のレビュアーがつけたものもあります)。そのうち17回はシュレーダー(Schrader Cellars)が占めていますが、それ以外にもマイバッハ(Mybach)が2回、アウトポスト(Outpost)が1回となっています。

トーマス・リヴァース・ブラウン

ナパのカリストガにあるワインショップでワインのキャリアを始めたトーマスは、1997年にはターリー(Turley)のアシスタント・ワインメーカーに抜擢。2000年にはアウトポストやシュレーダーでワインメーカーになります。当時は無名だったこれらのワイナリーですが、瞬く間に頭角を現し、2008年12月には最初のパーカー100点を獲得しました。当時37歳。最年少でのパーカー100点の記録はいまだに破られていません。また、2007年のシュレーダーのOld SparkyとCCSという2つのワインはWine Advocate誌とWine Spectator誌の両方で100点を取った稀有のワインとなっています。

現在はコンサルタントとして契約しているワイナリーだけでも約40。毎週のように依頼の電話はかかってくるもののほとんど断っているという彼はあまりにも多忙で今回が初来日。
トーマス・リヴァース・ブラウンのコンサルトするワイナリー(一部)

開かれたセミナーでは、彼が妻のジュヌヴィエーヴ・マリー・ウェルシュと作るリヴァース・マリー(Rivers Marie)のピノ・ノワール6種を試飲しました。
リヴァース・マリー
試飲の順序はフラグシップのスーマ・オールド・ヴァイン(Summa Old Vine)が最初という異例の構成。トーマス自身の希望で、軽いワインから重いワインへという順番にしたいというのがその理由です。

スーマはソノマ・コーストでも太平洋から約10kmしか離れていないかなり冷涼な地区にある畑で、1980年代から1990年代にかけてはウィリアムズ・セリエムがここのピノ・ノワールを作って人気を博しました。すぐ南側にはシャルドネで有名なティエリオットの畑があり、リヴァース・マリーはそこのシャルドネも作っています(余談ですが、奥さんはシャルドネ好きで、ティエリオットのシャルドネもリヴァース・マリーで作っています。そちらはトーマスではなく奥さんの意見が多く取り入れられているようです)。

2002年にここのブドウを入手できるようになったのがリヴァース・マリーの発端で、最初はわずか130ケースだったそうです。2010年には畑を買い取り、完全に自社畑として運営しています。

スーマ・オールド・ヴァインは新樽率100%なのですが、それを全く感じさせない作り。紅茶や落ち葉のような香りにオレンジのニュアンス。控えめな赤系の果実味。豊かな酸。非常に複雑な味わいです。100点のカベルネを作る人というと、濃いワイン一辺倒なのかと思いがちですが、驚くほどにエレガントなワインです。

2番めに試飲したスーマは、スーマの畑の中でも比較的樹齢が若いブロックのもの。味わいは、1番めのワインをやや親しみやすくしたような感じ。わずかに青系の果実も感じられる分、最初のワインよりは重くなっています。生産量わずか60ケース。

3番めはソノマ・コーストのピノ・ノワール。主に使われているのはリドル・ランチという畑のピノ・ノワール。それ以外に、単一畑に入れられなかったワインや、スーマの畑の樹間に植えられた樹の実などが使われています。

新樽率0%。豊かな果実味と酸。美味しいです。

長くなったので後編に続きます。

Date: 2017/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週、ブロック・セラーズのクリス・ブロックウェイ氏が来日し、試飲会が開かれました。ブロック・セラーズについては以下の記事で紹介していますが、ワイナリーはサンフランシスコからベイ・ブリッジを渡った対岸のバークレーにある都市型のワイナリーです。カリフォルニア各地の畑のブドウを使ってワインを作っていますが、選ぶ畑がユニーク。非常に急勾配だったり高樹齢だったりするところで、有機栽培やビオディナミなどで育てられているものを使います。
ユニークな都市型ワイナリー「ブロック・セラーズ」のロゼ
バレンタインに大切な人としみじみ飲みたい自然派ニューウェーブ

ワイン作りもナチュラル・イーストを使い、樽は中古のもの、SO2も最低限しか加えない形のいわゆる自然派的です。糖度が低いうちに収穫するため、アルコール度数は13%程度。カリフォルニアワインとしては低めになっています。いわゆる「ニュー・カリフォルニア」の中でもかなり先鋭的な部類に入るでしょう。

ちなみにスパークリングワインの「ウルトラマリン」などで注目を集め、2016年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しているマイケル・クルーズと共通点があるのではないかと聞いたところ、「ヴァルディギエを使っているところなど似ている部分はあると思う」とのこと。ただ、特に意識しているわけではなく、たまたま似たような方向を目指しているようです。また、実はマイケル・クルーズのワインに比べると、ブロック・セラーズのワインはかなり安価。お得感はかなりあります。

なお、今回12種の試飲がありましたが、個々のワインの生産量はかなり少なく、ワイナリーでは売り切れているものもかなりあります。米国で買うより日本の方が手に入りやすい、そういう状況になる可能性の高いワインでもあります。
クリス・ブロックウ ェイ氏

ブドウ品種もほかではあまり使っていないヴァルディギエ(かつてナパ・ガメイと呼ばれていた品種)などを使っています。例えばスパークリングは白がシュナン・ブラン、ロゼがカベルネ・フランを使っています。カベルネ・フランはサンタ・バーバラのハッピーキャニオンの畑ですが、標高差の大きな畑で、下の方は気温が低く、糖度が上がらないためスパークリングに使っているそうです。どちらも酸が非常にきれいなスパークリングでした。

スティルのカベルネ・フランも同じ畑から作っていますが、そちらもカベルネ・フランとしては意外なほどの「薄旨」系。さらっと飲めるワインです。

マイケル・マラ シャルドネ/ブロック・セラーズ

シャルドネはソノマのグレン・エレンの近くにある畑。「ニュー・カリフォルニア」の中でも、幅広い人から支持されているナパのスティーブ・マサイアソンが管理している畑だとのことで、マサイアソンでも同じ畑のワインを作っているそうです。

第1印象はソーヴィニヨンブランかと思うような味わいでシャブリのような酸が特徴です。非常にアロマティックでもあり、印象に残るワイン。クリス・ブロックウェイ氏自身が「今一番好きなワイン」とのこと。

ソノマ・ジンファンデル/ブロック・セラーズ

ジンファンデルはソノマのロシアン・リバー・ヴァレーとソノマ・ヴァレーの2つの畑のブドウを使ったもの。樹齢は20~25年というからオールド・ヴァインというほどではありません。ブロック・セラーズのワインの中では比較的濃い目のワインですが、アルコール度数は12.5%。うまみがあってとても飲みやすいするする飲めてしまうジンファンデルです。おいしいです。

アレキサンダー・ヴァレー カリニャン/ブロック・セラーズ

このカリニャンもおいしいです。1870年代に植えられたという樹齢140年近いとても古い畑、この時代の通例で、畑には複数の品種が植えられています。個人的にはこれを一押し。

ヴァルディギエ/ブロック・セラーズ

こちらが噂のヴァルディギエ。ピノ・ノワールっぽい味わいです。親しみやすくするする飲めるワイン。

ソギ ピノ・ノワール・ガメイ/ブロック・セラーズ

こちらのピノ・ノワールとガメイのブレンドもするする系。ソギ(SOGI)というのはSouth of Gilman Streetの略とのこと。ワイナリーがギルマン・ストリートの南側にあるからだそうです。北側だったらノギになって、今の日本で受けたかもね、というのはしょうもない親父ギャグ的感想です(通訳の香奈さんはあきれて訳してくれませんでした)。

ブロック・セラーズのワインは大部分が5000円以下。3000円台で買えるものも多いので、まずは一度試してみてほしいワインです。

自然派好きな人はシャルドネやスパークリング、カベルネ・フランあたりで「攻めて」みるのはどうでしょう。

おっかなびっくりという人はジンファンデルやカリニャンが安心して飲めると思います。

何も考えず、飲みやすくおいしいワインがいいという人は、以前紹介したラブ・ホワイトやラブ・レッド、ピノ・ノワール/ガメイ、ヴァルディギエあたりをお薦めします。


Date: 2017/0316 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年春に開催されるカリフォルニアワインのバイ・ザ・グラス・キャンペーンを前に、ワイン・インスティチュート主催の試飲会が開かれました。インポーターの数だけで36もある試飲会であり、ワインの数も500以上あったでしょう。さすがに全部試飲したり、試飲したワインすべてのメモを取る余裕はなかったので、気になったワインを順不同で紹介していきます。

大塚食品がオーナーでもあるリッジからはイースト・ベンチのジンファンデル。リッジのワインはちょっとお高いのが難点ではありますが、これは5000円台と、まだ比較的安価です。リットン・スプリングスなどのもつ複雑さはありませんが、しっかりと作られたリッジらしいジンファンデルです。
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オルカ・インターナショナルが新たに輸入を始めたキャノンボール。これはかなりコスパ高いです。
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アキコさんがワインメーカーを務めるフリーマンはインポーターがワイン・イン・スタイルに変わりました。フラグシップのアキコズ・キュベがおいしいですが、エステートのグロリアもかなりいいワインです(どちらもピノ・ノワールです)。
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ワイン・イン・スタイルでは、ブランドごとではなく品種ごとにワインを並べていました(フリーマンは別格扱い)。これはわかりやすくていいですね。ピノ・ノワールの中ではセバスティアーニとクロスバーンが好みでした。
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もう1つ日本人が作るワイン。Nakai Vineyardsは、自社で日本への輸入を始めました。ご夫妻の娘さんが住んでいるという横須賀にテイスティングルームを開くそうです。
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ヴィノスやまざきが輸入する「ハート・オブ・クラウディア」カベルネ・ソーヴィニヨン。同じく同社が輸入しているパライソと共同開発した製品とのことで、コスト・パフォーマンスは抜群です。
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カリフォルニア最古のワイナリーとして知られているブエナ・ヴィスタは現在はジャン・シャルル・ボワセ(JCB)が所有しています。ここもコスパは抜群で、ピノ・ノワールもジンファンデルも2000円台(実売では1000円台のところも)としては最高レベルでしょう。
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これは知らなかったワイナリー「レジオ」(Regio)。このジンファンデルもコスパ高いです。
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カリフォルニアでは絶大な知名度を誇るのになぜか輸入されていなかったBV(ボーリュー・ヴィンヤード)。ついにインポーターが付いたそうです。ここのラザフォードのカベルネ・ソーヴィニヨンはラザフォードのベンチマーク的ワイン。
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一時期ピノ・ノワールで一世を風靡したタンタラ。そこをやめたジェフ・フィンクが現在作っているのがイーサー。味わいもタンタラを彷彿とさせます。
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アイコニック ワイン・ジャパンが新たに輸入を始めたストルプマン。サンタ・バーバラのハッピーキャニオンにあるシラーを得意とするワイナリーです。フクロウラベルが印象的なこのワイン「パラ マリア」は3800円としては凝縮感あり、美味しいです。
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これも「ジャケ買い」したくなったボデガ デ エドガーのトロ・デ・パソ。テンプラニーリョとグルナッシュ、ムールヴェードルというスペイン系のブレンド。味もいいです(パーカー91点)。
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ちょっと高級系ではシャペレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは美味しかったです。力強くエレガント。
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これもジャケ買い銘柄として有名なマリリン・メルロー(現在のワイナリー名はマリリン・ワインズだそうです)ですが、実は味わいもしっかりしたいいワインです。
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Date: 2017/0315 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週はカナダ大使館でカナダの建国150周年祝賀イベントがあり、参加してきました。

カナダの観光局は、すごく魅力的なWebサイトを作って日本向けにカナダ観光をアピールしています。
カナダシアター

祝賀イベントでは、このサイトでカナダ観光局員、秋月菜々役として「モザイク・カナダ」という動画シリーズに出演している安田早紀さんなども参加。
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イベント最後にはカナダの食材を使った料理やワインもありました。
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ワインはスパークリングとソーヴィニヨンブラン、メルローの3種。
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カナダの料理は意外と薄味であっさり系が多く、ワインも比較的あっさりした味わいが多いように感じました。カナダと言うとアイスワインが有名ですが、ドライなワインでも面白いものがありそうです。
Date: 2017/0309 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クサギカメムシ(Brown Marmorated Stink Bug)がカリフォルニア州内で徐々に増加しています。まだカメムシによってワインが汚染されたという事例はないものの、今後注意が必要になるかもしれません。

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地図でピンクのエリアはすでにこのカメムシが住み着いているところ。水色のエリアは発見されたところ。ナパの東隣のYoloでは既に定着しています。

カリフォルニアで最初に発見されたのはロスアンゼルスで2006年のこと。都会を中心に広がる性質があり、サクラメントでも定着し、周りに波及していっているようです。10年でここまで広がってきたということは、今後さらに拡大していく可能性が高そうです。

ブドウ一房あたり3匹のカメムシの混入があると実際に味にも影響が出て来るとのこと。

[追記]当初ワイン1本あたりと書きましたが、ブドウ一房あたりの誤りでした。


ピアス病を媒介するシャープシューターなどと同様、今後コントロールが必要になってくるかもしれません。
Date: 2017/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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CA Drought
数年間続いたカリフォルニア史上最大の旱魃はようやく終わったようです。というか、北カリフォルニアでは洪水が起こるなど、むしろ今では水害の話題が中心になるほど。

それでもサンタ・バーバラあたりなど、セントラル・コーストの南の方や、内陸部ではまだ旱魃状態が続いていたのですが、ようやくほとんどなくなり、過去5年で一番水が多い状態になっています。

例えば1年前の2016年3月初頭では、「中程度の旱魃」の地域が95%以上あったのが2017年2月末には8%台にまで下がりました。また82%あった「深刻な旱魃」の地域(図のオレンジ色)も4%になりました。

ほぼ旱魃は終わったといっていいでしょう。

ただ、サンタ・バーバラはまだ図の「深刻な旱魃」に相当するところが大部分。ここだけ雨が避けているのでしょうか。それでもここ数年よりはよほどましだと思いますが、ちょっと心配です。
Date: 2017/0307 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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書道家白石雪妃(しらいしせつひ)さんと音楽によるライブを楽しみながら、ワインが飲めるイベントが開催されます。ワインが飲めて、アートも楽しめるといってもいいかもしれません。どちらが主でどちらが従かは楽しみ方次第。ワインもポートフォリオなど、すばらしいものが用意されています。
白石雪妃
【日時】
3月29日(水) 19:30~21:30(受付19:00より)

【会場】
CROSS TOKYO
東京都港区赤坂5-4-7 10F
03-5545-5408

【会費】
お1人様 15,000円
(お食事、ウエルカムドリンク、ドリンクチケット5枚込)

ドリンクチケットは5枚あり、以下のように2枚で飲めるものと1枚で飲めるものがあります。そのほかウェルカムドリンクでは珍しいソーヴィニヨン・ブラン100%のスパークリングも供されます。

チケット2枚
PORTFOLIO 2012
PORTFOLIO 2005
Dunn Howell Mountain 2000
Ramy Napa Cab 2007
チケット1枚
Flowers Chardonnay Sonoma
Rombauer Caneros Chardonnay
TOQUADE Sauvignon Blanc 2010
Wind Gap Sonoma Coast Pino Noir 2013
Siduri Pisoni Vineyard 2012
Rafanelli Zinfandel

Welcome Drink - チケット不要♪
Bodokin (スパークリングワイン 100% Sauvignon Blanc )

白石さんはいろいろな音楽家と共演されているようですね、



申し込みは下記メールまで
返信メッセージ確認後に申込み完了となります。
清家 純:seike@mirai-z.com
三木 香奈:kana.ggwine@gmail.com
Date: 2017/0305 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年9月に、Wine Advocate誌としては10数年ぶりに日本酒のレビューを公開し、日本でも大きな話題になりましたが、その後、輸出業者との癒着が明らかになり、結論は白にはなったものの、いろいろグレーな部分が拭いきれない決着になりました。

パーカーの日本酒評価に疑惑、輸入業者と癒着か?
パーカーの「日本酒評価漏洩疑惑」について編集長がコメント、ただし疑惑は晴れず
疑惑のサイトの価格設定に驚愕
Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ
やっと出たWine Advocateの日本酒レビュー漏洩疑公式声明

その顛末は上記のリストを追っていただければわかると思いますが、ともかく疑惑のミレジムはその後の日本酒レビューには一切かかわらないことになっています。なお、疑惑のThe Taste of Sakeのサイトは消されたままになっているようです。また、この件とは関係なく、ル・カヴォーに問い合わせ先について質問をしたところ、ミレジムの電話番号を教えてくれました。ミレジムとル・カヴォーが無関係なんてよく言えたもんだと思ってしまいましたが、毒を吐くのはこれくらいにしておきましょう。

と歯切れの悪い状態のままではありますが、2回めとなる酒のレビューが229号で出ております。
日本酒の記事
今回は、兵庫の灘、広島の西条という酒処をめぐったレポートと日本酒21本のレビュー。

今回は前回のような高得点のものだけでなく、90点以上が6本という結果でした。

1つ96点という高い評価になったのは姫路の本田商店が作る龍力の大吟醸「秋津」。それも最初に作った1996年のものという超レア日本酒でした。

そのほか90点以上のものを紹介すると
91点
・八海山 特別大吟醸
・龍力 吉川米田 純米大吟醸
・山本本家 祝 純米大吟醸
90点
・佐浦浦霞 純米大吟醸
・龍力 上三草 純米大吟醸

でした。
海外に販路を作りたい日本酒の酒蔵にとってはWine Advocate誌のレビューは品質の1つの担保になりますから、われこそはというところは、「なぜうちのを評価しないのだ」と思うのではなく積極的に評価をお願いするのがいいと思います。

Wine Advocate誌のリサ・ペロッティ・ブラウン編集長は info@wineadvocate.com あてに連絡をほしいと自ら求めています。

英語の問題で、どう連絡したらいいかわからないという酒蔵があったら、私もお手伝いできますので、Facebookでメッセージを送るか、gmailのandymatsubaraあてに連絡いただけたらと思います。

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Date: 2017/0305 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の229号が3月2日(日本は3月3日)に発刊されました。カリフォルニアではソノマ・レポートの第1弾としてソノマ・ヴァレーとソノマ・コーストのあたり(ソノマ・マウンテンやベネット・ヴァレーなどを含む)が取り上げられています。

今回の最大のトピックはレビュアーが変わったこと。これまでのロバート・パーカーに代わって、Wine Advocate誌の編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンが担当になりました。リサは以前は拠点をシンガポールに置いており、編集長でありながら、主要地域を1つも担当していなかったわけですが、米国に拠点を移し、ソノマを担当するようになったようです。

今回、約500本のワインがレビューされていますが、うち約3割が2015年で、6割が2014年。残りがそれ以前のヴィンテージでした。前年のレポートで、パーカーは2014年が2013年と同様の良年だが、どちらかというと2014年がいいと書いていましたが、リサも基本的に同評価です。また2015年は旱魃と開花時期の冷え込みで収穫量が大幅に減り、収穫時期が非常に早くなりました。2014年よりも凝縮感があって、やや重いワインになる傾向があるようです。

高評価のワインを一部紹介すると、キスラー(Kistler)のシャルドネ キュヴェ・キャスリーン(Cuvee Cathleeen)2014年が99点と一番の高得点。同年のキスラー・ヴィンヤードのシャルドネも98+。またキスラーから派生したオキシデンタル(Occidental)のキュヴェ・キャサリン ピノ・ノワールも98+。なお、キュヴェ・キャサリン(Cuvee Catherine)の畑のブドウは2000年代初期に植えられたものですが、カレラ・クローンともう1つ別のいわゆる「スーツケース・クローン」があるそうです。カレラ・クローンはブルゴーニュのロマネ・コンティの畑からと言われているクローンであり、もう1つのクローンも著名な畑から来たもののようです。

2015年のワインではロキオリ(Rochioli)のピノ・ノワール ウエスト・ブロックが98+。デュモル(DuMOL)のピノ・ノワール フィン(Finn)が97-99点。

このほかエレガント派の代表格であるリトライ(Littorai)もチャールズ・ハインツのシャルドネ、トリビチュアリのシャルドネ、ヘイヴンのピノ・ノワールが96点とこれまでの最高点タイの高評価。ヴィンテージは2014年。




このほかレイミー(Ramey)やポール・ホブズ(Paul Hobbs)も高い評価でした。
Date: 2017/0303 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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トランプ米大統領は観光保護局などに対し、オバマ政権が作った「水質規制」のルールを見直すようにという大統領令に署名しました(Trump Aims To 'Eliminate' Clean Water Rule)。

トランプ大統領は見直しを求めるにあたって「経済成長を促し、不必要な規制をなくす」ことを念頭に置くようにとしています。

水質規制の条例は1972年に作られたものですが、最初は大きな川だけに適用されていました。しかし、小さな川にも同様の規制が必要なことがわかり、より広範囲に適用する規制をオバマ政権時に決めました。

この規制によって、家を建てるような小規模の開発においても環境コンサルタントによる許可が必要になり、負担がましていたとのこと。

そういう意味ではオバマ政権の規制はちょっと「やり過ぎ」と考えていた人も少なからずいたようです。

しかし、規制がなくなると水質を担保するのが難しくなるのも事実であり、単純になくすのではなく落としどころを見つけるべきでしょう。

トランプ政権に、そういう気があるのかどうかは不明ですが…

Russian River
Date: 2017/0301 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、インポーターの布袋ワインズさんの試飲会に参加しました。そこから価格帯別おすすめワインを紹介します。

実は今回の最大の目玉はロキオリ。これまでは別のインポーターが扱っていたのですが、今回布袋ワインズに移ったのです。しかし、試飲会に私が行ったときにはすでにロキオリはすべてなくなっており、試飲できませんでした。ほかにもいくつかのワインが売り切れになっていました。

今回は4000円以下、4000~8000円、8000円超の3つの価格帯別に紹介します。なお、価格は参考です。

●4000円以下
スリー・シーヴズ ピノ・グリージョ 2015
・スリー・シーヴズ ピノ・グリージョ 2015(1800円)
スリー・シーヴズは1000円台でピノ・グリージョ、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが飲めるワイン。非常にコスパ高いです。ピノ・ノワールが予想以上によかったので特におすすめです。

ブランダー
・ブランダー ソーヴィニヨンブラン ロス・オリヴォス・ディストリクト 2015(2900円)
ブランダーのソーヴィニヨンブランは、かなりボディのしっかりしたソーヴィニヨンブラン。おいしいです。2900円。

ジョエル・ゴット シャルドネ
・ジョエル・ゴット アンオークト・シャルドネ 2015(3300円)
ジョエル・ゴットのシャルドネのノンオーク。ピュアな果実味がよかったです。3000円。

ベンチ ピノ・ノワール
・ベンチ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2014(3300円)
ベンチのピノ・ノワールもコスパ高いです。3300円ですが、5000円クラスの味わい。うまみがしっかりあります。ベンチはカベルネ・ソーヴィニヨンもかなりのできばえ、おすすめです。

キャッスルロック
・キャッスルロック プチシラー 2012(2300円)
・クライン シラー ソノマ(2200円)
キャッスルロックのプチシラーは2000円台とは思えない濃厚さ。となりにあるクラインのシラーもなかなかでした。

●4000~8000円
・ジェイ ブリュット・ロゼ NV(5600円)
ジェイのロゼ・ブリュットは大好きなワインです。見た目もおしゃれ。

ロンバウアー
・ロンバウアー シャルドネ カーネロス 2014(6300円)
ロンバウアーのシャルドネは今となってはむしろ珍しくなったコテコテ系。時々飲むとむっちゃおいしいです。

布袋ワインズ
・カリン シャルドネ キュヴェLD 1994(6100円)
10年以上熟成したワインしか売らない変態的なワイナリー。シャルドネは最新リリースで1995年から1994年へと1年遡ってしまいました。カリンのワインは熟成による旨味が基本なのですが、さすがにちょっと酸化した味わいになっていることも珍しくありません。このシャルドネは20年以上経っているのに酸化のニュアンスがほとんどないことに感心しました。

ホール メルロー
・ホール メルロー ナパ・ヴァレー2012(6000円)
ナパの実力派ホールのメルローはきめ細かく緻密な味わい。これはいいメルローです。

コン・クリーク ヘリック・レッド 2013
・コン・クリーク ヘリック・レッド ナパ・ヴァレー2013(4200円)
カベルネ・ソーヴィニヨンにシラーなどをブレンドしたいまどきのレッド・ブレンド。芳醇でおいしいです。非常にコスパ高いです。

・セゲシオ・ジンファンデル ソノマ・カウンティ 2014(4700円)
セゲシオのジンファンデルにはずれはないですね。単一畑ものもおいしいですが、コスパではこのカウンティものが一番。

●8000円超
・リトライ ピノ・ノワール ハーシュ2013(12000円)
リトライのハーシュはカリフォルニアの冷涼系ピノの代表といってもいいかもしれません。美味しいです。

・ホール カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー2013(9500円)
コスパではメルローが勝りますがカベルネ・ソーヴィニヨンもうまいです。

・クリフ・レイディ カベルネ・ソーヴィニヨン スタッグス・リープ2013(11900円)
クリフ・レイディはナパのお手本的カベルネ・ソーヴィニヨンを作ります。値段は少々張りますがそれだけの価値はあるかと。