The Drink Business誌でワイン業界における最もパワフルな女性50選という記事をやっています。なかなか面白いのですが、50人全部見るのは大変なのでトップ10のみ紹介しましょう(Top 50 most powerful women in wine: 10-1)。

10. LAURA JEWELL MW(49歳)
「MW」とついているのはワイン業界最高の資格であるMaster of Wineを取っているということです。Master of Wineは全世界で297人しかいませんから、それだけでもすごいことです。

この人は英国最大のスーパーマーケットチェーンTescoのワインバイヤーであり、Wine and Spirits Education Trustの会長もしています。このトラスト43年の歴史で初めての女性会長とのこと。

スーパーマーケットがこれだけワインに力を入れているというのは、日本と比べるとうらやましいことです。

9: CORINNE MENTZELOPOULOS(58歳)
1980年からChâteau Margauxのトップを務めている女性です。マルゴーの品質向上にも大きな貢献をしています。

8. JUDY LEISSNER(35歳)
中国のワイナリGraceを2002年に若干24歳にして父から引き継いだ人です。Graceは年間20万ケースほどのワインを作っており、フラグシップの赤ワインはDeep Blueといいます。

中国のワインがこれだけ上位に評価されているということ、日本にいると分かりませんが、世界の目は明らかに日本より中国に向いています。

7. DEBRA MEIBURG MW(51歳)
カリフォルニア生まれですが、香港に長いこと住んでおり、2008年にアジア在住で初めてMaster of Wineになりました。同年、Cathay Pacific Hong Kong International Wine & Spirit Competitionを立ち上げています。

6. DANIÈLE RICARD(73歳)
2012年8月に世界第2の飲料メーカーPernod Ricardの会長に就任した人です。同社は父Paulが1932年に作ったもので、前野会長は兄のPatrickでした。

同社のブランドとして有名なのはシャンパーニュのMummとPerrier-Jouet、オーストラリアのJacob's Creekなど。最近ではNBAスターだった姚明のワインを米国で作ったことがニュースになっています(当ブログでも紹介しました)。

5. LALOU BIZE-LEROY(80歳)
説明不要ですね。ブルゴーニュのルロワの当主です。

4. BARONESS PHILIPPINE DE ROTHSCHILD(79歳)
この方も説明不要でしょう。ボルドーのシャトー・ムートンのトップであり、Opus Oneを含む様々な傘下のワイナリを見ています。

3. ANNETTE ALVAREZ-PETERS(50歳)
米国に本社を持つ会員制倉庫型卸売小売チェーンCostco(コスコ、日本ではコストコ)のワインバイヤーです。ワインだけで年間10億ドルもの売上を誇り、米国の小売で5番め、フランスワインの米国インポーターとしてはトップです。今年は、ワインは「ただの飲み物」であり「トイレットペーパーと変わらない」という発言をして話題になりました(当ブログでも紹介しています)。

2. JANCIS ROBINSON MW(62歳)
説明不要でしょうね。イギリスのワイン評論家として知られているジャンシス・ロビンソンです。昨年は自身のサイトのライターとして米国のブロガーAlder Yarrowを採用して話題になりました(当ブログでも紹介しています)。

1. GINA GALLO(45歳)
この人も言わずと知れた、と言っていいでしょうか。世界最大のワイン会社Galloのチーフワインメーカーです。創設者のErnestとJulioはそれぞれ大叔父、祖父にあたるGallo家の逸材です。米国ではGalloの広告塔としても活躍しているので、Wine Spectatorなどの雑誌を読む人には馴染みの顔でしょう。2009年にはフランス第3のワイン会社Boissetの御曹司Jean-Charles Boissetと結婚しました(当ブログでも紹介しています)。

総括すると、意外と米国女性が少なく、アジアやスーパーのワインバイヤーといったところが上位にランクされているのが印象に残りました。