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Date: 2007/0531 Category: 技術系
Posted by: Andy
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これつかったら,ワイナリのページでチェックを入れていって,ドライビング・ディレクションのページを作ってそこで順番指定して,結果を検索,なんてことができるかな。
"This morning, we updated the Google Maps API to add support for driving directions."

Official Google Maps API Blog: Driving Directions Support Added to the Google Maps API

ワイナリ名は,クッキーでローカルに持たせればなんとかなりそう。後は順番指定とかはJavaScriptのツール使って。簡単ではないけど実装はできそうな気がします。

ちなみに元記事によると
Unfortunately, you can't route from New York to Paris. But perhaps you can make a mashup that gives a better suggestion than "Swim across the Atlantic Ocean."

「大西洋を泳いで渡る」は出てこないそうです(笑)。ちょっと残念。

さすがにプラグインに機能として盛り込むのは難しそうですが。
Date: 2007/0530 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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個人的にはJensenにばかり殺到するのは意味がないと思いますが,需要は圧倒的に大きいようなので,紹介しておきます。ちなみに「ジャンセン」という表記を見かけますが正しくは「ジェンセン」です。せっかくだったら同じ出所のブドウの樹を使い,畑だけが違う,Selleck,Mills,Reed,Ryanもお試しください。まさに「テロワール」の違いだけを感じられるはずです。

Date: 2007/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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早いもので,「Two Buck Chuck」(2ドルのチャック)の通称で知られる「Charles Shaw」のワインが登場してから5年経ったそうです。一時ほど話題にはならなくなったものの,この5年間で売った本数は3億本。昨年はカリフォルニアで売られたワインの8%を占めていたそうです。
"I think Two Buck Chuck has helped to make people aware that wine is not just for special occasions"(Michael Mondavi)

Two Buck Chuck still making waves

それまで,カリフォルニアの安ワインというと,ジャグワインと言われるような,「Burgandy」や「Chablis」などと名が付いたものが主流だったと思うのですが,このワインのおかげでローエンドまで,いわゆる「バラエタル」のワインになってきたような気がします。おそらくそれは高級ワインの消費にもつながってきているのでしょう。

ちなみにWineLibrary.tvでもChalres Shawのテイスティングの回があります。このヴログ(Vlog=Video Log)の目的が紹介したワインの販売であることを考えると,他の店(Charles ShawはTrader Joe'sが独占販売しています)のワインを紹介するのは異例のこと。この回,なかなか面白いです。まずいのは本当にまずそうな顔をして飲むあたりが。

ちなみにテイスティング結果はSBが84,CHが67,Gamay(ヌーボー)が56,Merlotが74,Syrahが85,Cabが61でした。Syrahが結構おいしそう。
Date: 2007/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーの最北端に位置するCalistoga。ここには1976年のパリ・テイスティングでシャルドネが1位になり,現在もCabernet Sauvignonが高く評価されているChateau Montelenaや,最高レベルのCabernetやSyrah,Sauvignon Blancを生み出し続けるAraujoといった素晴らしいワイナリがあります。ところがこの地域,これまでAVA(米国ブドウ栽培地域)として指定されていません。もちろん,動きがないわけではなく,MontelenaのオーナーであるBo Barrettを中心に,策定の動きが続いています。
"Chateau Montelena Winery owner Bo Barrett says Napa Valley residents should become involved in a four-year-old push by local winemakers to create a Calistoga appellation."

Napa Valley Register | Vintners bemoan delay of Calistoga AVA

なぜ,AVAとして認められていないかというと,Calistogaの名を冠したワイナリCalistoga CellarsとCalistoga Estateの存在があるからだそうです。実はどちらもCalistogaという名を使っているものの,Calistogaのブドウを一部しか使用していないため,CalistogaがAVAになると,ワイナリ名を変えるか,85%以上Calistogaのブドウを使うようにしないといけません。

理屈で言えばそんなワイナリがCalistogaを冠するのはけしからんとして,AVAを決めてしまったらよさそうな気がしますが,さすがにそうは簡単にいかないようです。

MontelenaもAraujoも今さらAVAが認められたからといって,大きくビジネスに影響することはなさそうな気がしますが,すっきりしませんね。
Date: 2007/0528 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Tantaraというワイナリは,米国でも知る人ぞ知るといった位置づけでしょう。Pisoniからブドウを購入できるのですから実力がないはずはない(Pisoniは売り先を厳しく選別することで知られています)のですが,米国でのレビューを探すと案外見つかりません。ここの最上級キュベEvelynはWine Enthusiast誌で97点を取ったとかで,米国でも90ドル。1万3000円というのはそれほど高くありません。1万円強するPisoniは米国で60ドルくらいなのでそっちはちょっと割高感があります。

● 予約販売分(6月5日発送開始予定)
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Date: 2007/0525 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今日はちょっと個人的な話なので興味ない方はスルーしてください。

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Date: 2007/0524 Category: ワイナリ訪問
Posted by: Andy
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Maboroshi Wine Estatesの私市(きさいち)友宏さんの記事がJapan Timesに載っていました。今に至るまでを振り返っています。
"When Tomohiro Kisaichi told his friends and family he wanted to abandon his cozy life in Japan and move abroad to become a winemaker, they thought he was crazy."

Vintner comes home triumphant | The Japan Times Online

時系列的に追っていくと,奥さんのRebeccaさんは交換留学生として大阪に来て,そこで私市さんと知り合い,卒業直後に結婚。一女をもうけます。私市さんの両親が営む酒屋で働くものの,1991年,娘さんが4歳のときにワイン作りがしたいとフランスに渡ります。

ブルゴーニュで手当たり次第に,働き口を捜したところ,Gevrey-ChambertinのDomaine Armand Rousesauで職を得ます。そこでワイン作りを学ぶものの,天候やフランス人の外国人に対する扱いに不満を感じ,1992年にはSonomaに移り,UC Davisのワイン作りの学科に二人で入学します。一年後に学位を得てHealdsburgのMichel-Schlumbergerに雇われます。

この間,Rebeccaさんはブドウ栽培の方に興味を持つようになり,現在はMaboroshi Wine Estatesの畑のブドウを見ているほか,SL(Simon Levi) Cellarsのワインメーカーも勤めます。Rebeccaさんによると,友宏さんとはワイン作りのスタイルが大きく違うとのこと。ただし,テイストの基本部分は一致しているので一緒に進んで行けるようです。今ではお子さんは二人(19歳と11歳)になり,両親の手伝いをしてくれるそうです。

私市さんご夫妻は今月末に一時帰国。三軒茶屋の「のみ山」さんではワインメーカーズ・ディナーが開かれます。7名限定ということなのでご興味があるかたは早めに(といっても既に木曜日ですが)連絡してみてください。

Date: 2007/0524 Category: ブショネ
Posted by: Andy
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今度はかんちゃんから報告がありました。

デカンタにワインを入れるのではなく,グラスに10cm四方くらいのサランラップを入れたとのこと。この方法でも確かに効果はあったそうです。

ブショネ除去実験の元記事はこちら
実験報告1実験報告2
Date: 2007/0523 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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takuyaさんのmixi日記やブログで話題になった話です。

国際民間航空機関(ICIO)の指示により,2007年3月1日から液体の国際線機内への持ち込みが極めて厳しくなっています。容器は100ml以下に制限され,アルコールは薬品以外はすべて持ち込めません。そのため,ワインも手荷物として預けることが必須になります。

Parkerの掲示板でも話題になっていたのですが,ややこしいのは手荷物として預けるときのルールが航空会社によって異なっており,しかも窓口の職員が自分の会社のルールを知らないことが多いというところにあるようです。例えばダンボールの箱に入ったものはすべて駄目といった対応を取られることもあるとか。

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Date: 2007/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガラス羽シャープシューターが介在するピアス氏病の脅威が続く中,新たな害虫としてYellow Brown Apple Moth(YBAM)という蛾が注目されています。5月16日はCDFA(California Department of Food and Agriculture)がNapaで成虫を発見したと発表。俄然,注目が上がっています。
"The California Department of Food and Agriculture (CDFA) and the U.S. Department of Agriculture (USDA) have confirmed the detection of a single adult light brown apple moth on May 9 in a residential area of Napa. The announcement follows lab confirmation by entomologists with CDFA, and then supporting confirmation by USDA scientists."

Light Brown Apple Moth Detected in Napa

この蛾の幼虫は果実や様々な樹の幹や葉に住んで中を食い荒らしてしまうそうです。元々はオーストラリアにいたようなのですが,米国にまで広がってきました。これ以上の広がりを防ぐ手段を考えているとのこと。
Date: 2007/0521 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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言わずと知れたワイン評論家Robert Parker氏(以下敬称略)の半生を綴った伝記です。特に興味深いのはパーカーがワインを飲み始めた1967年からWine Advocateを創刊する1978年までのところ。先日紹介した「パリスの審判」と重なるところも多く,1960年代から70年代にかけて西海岸ではワイン作りが,東海岸ではワインを飲むことが発展していった様子がうかがえます。

読み物的なクライマックスは1982年のボルドーの評価をめぐるあたりでしょうか。ワインのレビューを書く人も,それまでは群雄割拠たる状況だったのが,このヴィンテージを境にパーカーの一人勝ちになっていったことが描き出されています。

それ以降はむしろ,自らが想像する以上に力を持つようになってしまったパーカーと周囲との軋轢に多くが割かれています。

個人的にはパーカーのことは好きです。まじめで実直であり,テイスティングについては何より一貫性があります。ただ,その生真面目さとやや単一的な価値観,自らの信念に向かって強烈にものを進める部分は一種ブッシュと重なるところを感じてしまいました。

また,これからどうなっていくかを考えると,パーカーの時代というのはそれほど遠くないうちに崩れていくような気がします。一番大きな理由は,一人で全世界をカバーできないこと。もちろん,Wine Advocate誌にはParker以外のReviewerもいますが,彼らがParkerと並ぶ信頼度を得ているかどうかというと,疑問です。また,パーカーが得意とするのはボルドーを中心とするカベルネ系が中心であり,現在急速に発展しているカリフォルニアのピノのような少量多種の世界ではないこと。こういった領域ではPinotReportのようなものの方が中心になっていくのではないかと思います。

まあ,これだけいろいろなことが語られるというだけでも,パーカーの存在の大きさは他を絶しているわけであり,パーカーをよく思う人,悪く思う人(特に悪く思う人は,ほとんどの悪口は既に言い尽くされていることは知っておいてほしいと思います),どちらにも読んでほしい本です。

Date: 2007/0519 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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プレミアム酒販太平にカレラが入荷しています。ジェンセンだけはあっという間に売り切れたようですが,後はまだあります。クローン(ブドウの遺伝子)としてはどれも同じなのにJensenだけがこれだけ売れるのはちょっと異様な感じがします。飲みやすさではジェンセンが一番かもしれませんが,複雑さなどではセレック(Selleck)の方が上かと思うのですが。

カレラ単一畑はこちら
Date: 2007/0518 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ふと思い立ってGoogleのAdWords(検索語に対して広告を出す機能)を使って,ワイン関係のクリック単価を調べてみました。その結果,一番高かったのは何だと思いますか?

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Date: 2007/0517 Category: ワイナリ訪問
Posted by: Andy
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図らずもピノ・ノワール関係の話が三つ連続してしまいますが,三つ目はSanta Lucia Highlandsで初めて消費者向けに行うテイスティング会です。今週土曜日5/19の開催です。場所はParaiso Vineyards。参加費は85ドルです。
"SLH Wine Artisans Tasting May 19, 2007 Join the vintners of the Santa Lucia Highlands for our first-ever consumer tasting. From 3pm to 6pm. Sample limited release gems and hard-to-get vintages, paired to elegant hors d"

Santa Lucia Highlands: Events

参加を予定しているワイナリはManzoni, Morgan, Paraiso, Pisoni, ROAR, Talbott, Tondre, Pelerin, Tudor, McIntyre, Hahn, Belle Glos, Testarossa, Loring and Siduri。PisoniやGary's,Rosella'sのワインが好きだったら,これを逃す手はないでしょう。
Date: 2007/0517 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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麻布十番のレストランCalifornia Wine Gardenで,「SIDEWAYS RETURNS」というイベントをやっており,そこでついにFoxenのSea Smoke 2004が登場します。
"いよいよ始動!!      映画 SIDEWAYS RETURNS"

California Wine Garden

「ついに」というのはこのワイン,ロバート・パーカーが96点を付け,400ケースと少量生産であることから畑の持ち主であるSea Smokeのワイン以上に希少価値が高まっているのです。日本では昨年,今年と柳屋で数本売り出され,すぐに売り切れています。

価格は1万8380円と,レストランとしてはかなり安いもの。例えば米国のオークション・サイトWineCommuneでは一発落札価格が140ドル,WineBidにいたっては225ドルからで出ているほどなのですから。

このワイン5/17~5/23までで限定3本。どうしても飲みたいなら席の予約と同時にワインの予約も必要かも。

なお,昨年1杯だけいただきましたが,Sea Smokeのトップ・キュベTenをさらに強力にしたような素晴らしいワインでした。
Date: 2007/0517 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の新聞はあまたありますが,影響力の大きさで言うと間違いなくナンバーワンになるのがNew York Times。例えば米国の書店に行くと,多くの本の表紙に「New York Times Bestsellar」とうたっているほど。ワインの世界ではほかに権威がいろいろあるので,それほどの影響力があるとは思いませんが,それでも新聞の中ではトップクラスと言っていいでしょう。そのNYタイムズがサンタ・バーバラのピノ25種をテイスティング。ベスト10を選びました

1位になったのはSiduriのClos Pepe 2004(53ドル)。バランスのよさや,明るい果実味などが評価されたそうです。2位はMelville Carrie's 2003(60ドル)。3位は2005 Au Bon Climat La Bauge au Dessus。これは33ドルでベスト・バリューにも選ばれています。

この中で日本で売っているのはSiduriのClos Pepe 2004。53ドルが6480円ですから,現地価格と言っていいでしょう(もっとも,小売では40ドル台前半で売っているところもあります)。Wassy'sとVin du 268と同じ値段だったので両方掲載しておきます。

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Date: 2007/0516 Category: ブショネ
Posted by: Andy
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以前に紹介したブショネのワインを救う方法を,S's Wineのshuzさんが試してくれました(別の報告はこちら)。
"この日開けたのは、パリ16区のセールで購入した、ブリュノ・クレールの03マルサネ。さほど期待もしていなかったのですが、グラスに注いでみてガックリきてしまいました。ブショネです。 まず香りが不自然なほど全くたたない。おかしいなと思ってひと口含んでみると、例の紙粘土味。程度でいえば、重度ではありませんが、中程度のブショネでしょう。いつもの私なら、悪態をつきながら半分ほど飲んで、あとは流しに捨ててしまうところですが、この日は違いました。 Andyさんのブログで報告のあったコレをぜひ試してみようと思いまして。"

SS Wine(S'sWine別館)

詳しくは元記事を読んでいただければと思いますが,結果をかいつまんで報告すると,①5分漬けたもので明らかに効果はあった,②15分漬けたら香りがなくなった,③翌日は雑巾臭で飲めなかった,と漬け過ぎは禁物なようです。

また,デカンタにラップを入れるのがかなり大変だったということで,もっと簡単な方法を考えるといいかもしれません。
Date: 2007/0516 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Colgin,一回しか飲んだことないのですが,衝撃的なおいしさでした。当時はまだCabernet Sauvignonしか作っていませんでしたが,その後ラインナップを拡張し,多分今のフラッグシップはIX。IXにもSyrahとProprietary Redがあり,今回はProprietaryの2004です。49800円というのはむちゃくちゃ高いですが,米国内でも400ドルくらいするのでMLに入っている人以外はしょうがないのかも(ML価格はいくらなんだろう)。ワイン1本にこれだけお金をかけることに意味があると思う人にとっては買う価値があるだろうと思います。

● 5/17(木)以降出荷分
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Date: 2007/0515 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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中国はワインにとって未開拓の市場であり,潜在的には計り知れないほどの大きな市場になる可能性があります。そのため,アメリカ人にとっても中国市場は大きな魅力に映っているようです。しかし,フード・ライターのオリヴィア・ウー氏によると,アメリカ人は中国市場を理解していないということです。
"Cabernet 'is just so wrong,' she said, although it is drunk at official occasions and private banquets because it is the most revered of the noble varieties. 'State officials will make sure they get the best wines, whether they like them or not,' she said."

American wine producers

彼女の主張によるとカベルネは「ステータス」のあるブドウとしてオフィシャルの席で出されるが,中華料理には全く合わないとのこと。乳製品やソースを使わないからだそうです。中国人はそれよりもワインにウイスキーやブランデーを混ぜ,7-upなどのソーダ類まで入れて混ぜたものを好むそうです。ちょっとすごいですね。

では合うワインは何かといえばWu氏は「リースリング」が1番としています。このほかAlbarino, Gruner Veltlinerといった白も合うそうです。
Date: 2007/0513 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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ワイン好き,特にカリフォルニアワインのファンならば1976年のパリ・テイスティングについて,全く知らないことはないと思います。カリフォルニアワインがブラインド・テイスティングでフランスのそうそうたるワインを抑えて一位になった「事件」です。これがきっかけで,「新世界」のワインだからといってフランスワインに劣るわけではないと,カリフォルニアのみならずオーストラリアやチリ,ニュージーランドなど様々な地域で世界品質を目指したワイン作りが行われるようになりました。言わば「フランスワイン至上主義」が崩れる最初の一歩だったのです。

本書の著者であるジョージ・M・テイバー氏は,そのパリ・テイスティングを取材した唯一のジャーナリスト。それもたまたま主催者のワイン学校に通っていたからというのがその縁。彼がTime誌に記事を書いたことで一躍この試飲会のことが世界に知られたのでした。本書は「生き証人」が当時の状況を記すというドキュメンタリーとして価値が高く,読み物としても非常に上質です。カリフォルニアワイン・ファンはもちろんのこと,すべてのワイン好きの方に読んで欲しいと思いました。

内容は大きく三つに分かれています。一つは言うまでもなくパリ・テイスティングそれ自体。試飲会が開催されるまでの経緯についても詳細に追っています。次に,試飲会にいたるまでのカリフォルニアワインの歴史。特に赤で1位になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのワレン・ウイニアルスキーと,シャトー・モンテレーナのジム・バーレット,マイク・ガーギッチの半生については詳しく書かれています。3番目は試飲会の巻き起こした影響としての世界のワイン生産者の動き。

試飲会の話では,これまで明らかになっていなかったこと,例えば白の試飲が終わった後,時間が押していて,赤の準備をしている間に白の結果が発表されたこと,などが書かれており,結果を知っていてもどきどきします。その場に居合わせた人が書くものだけに臨場感がとても高いです。

カリフォルニアワインの歴史のところも,当時の空気を上手に伝えています。例えば試飲会よりもさらに40年近く昔の禁酒法時代やその直後のころのワイン作りについて。当時は衛生観念も低かったため,すぐに腐ってしまうようなワインが中心でした。また,どの品種がどの地域に合うかといった考えもほとんどありませんでした。後年,「画一的」あるいは「化学ワイン」などとして非難されるUCデイヴィスによる様々な啓蒙は,このころのワインを知ることで初めてその意味合いが分かります。また,60年代から70年代にかけての新たな生産者の台頭。世界を目指すことを公言したRobert Mondaviを中心に,ナパ・バレー全体が手に手を取って高品質化にまい進していく様子が伺えます。決して試飲会の勝利はフロックでなかったのです。

三つ目の,後日談のところは,他の二つに比べると,多少平板な感じはありましたが,ジャーナリストとしてはどうしても押さえておきたいところだったのでしょう。

パリ・テイスティングについては,①フランスワインにとって不利な状況で行われた(若いワインではカリフォルニアが有利),②1位と2位の差はわずかであり,カリフォルニアが勝ったといっても統計的には意味がない,など様々な非難があります。筆者はこれらについては否定的。特に①については,主催者のスパリュアがフランスで商売をしている以上,フランスワインが勝つことを望んでいたとしています。このあたり,本書の筆者の立場からすると,自分が報じた歴史的イベントが否定的に取られるのは避けたいと思うのが自然であり,うがった見方をする人がいるかもしれません。本来なら「はめられた」審査員からの「真実」を聞いてみたい感はありますが,それが出てこないということは,やはり筆者の言うことが真実なのだろうと思います。

なお,本書の主な訳は葉山考太郎氏。訳文は悪くありませんが,ところどころ誤訳があるのは気になりました。例えばハイジ・バレット(訳ではバーレット)をスクリーミング・イーグルのオーナーとしていたり。固有名詞のカタカナにもバーレットのようにちょっと違和感があるものもありました。貴重な書籍だけに誤訳は次版で直ることを期待します。

Date: 2007/0511 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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KAJIWARAでロキオリのピノ,シャルドネ,ソヴィニョン・ブランが出ています(柳屋でも出てますがこちらの方が安い)。ピノとシャルドネは割高感がどうしても残りますが,ソヴィニョン・ブランは4280円。米国では32~35ドル程度。35ドルが1ドル120円なら4200円ですから,割高感はほとんどないと言ってもいいでしょう。

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そういえばロキオリのソヴィニョン・ブランってまだ飲んだことなかったような。だれかが飲ませてくれるとかくれないとかいう話が昔ありましたが。
Date: 2007/0509 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Napa Wine Companyというと,醸造設備を他のワイナリに貸すファシリティとして有名ですが,自分のワインも作っているそうです。柳屋でその2001年Cabernetが出ています。2850円という価格は,米国で流通している35ドルと比べてほぼ3分の1。Webサイトではこんなに持ち上げて大丈夫かと思うくらい絶賛していますが,この価格なら,もしだまされていても文句は言えないでしょう。しかも6本買ったら送料無料です(同梱12本まで)。

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というわけで,だまされてもいいかと,僕も買ってみました。下の子のBVだけど,さすがに今から15年置いておくのはきついでしょうかねえ。
Date: 2007/0509 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カレラの人気がテレビ番組「世界バリバリ☆バリュー」で取り上げられたことで再燃しているそうです。特に一番人気のジェンセンは既に日本では入手困難とか。

実はちょうどタイミングよく,カレラのML(メーリング・リスト)向けオファーが届いていました。単一畑のピノであれば,セレック(Selleck)が58ドル,ジェンセン(Jensen)が53ドル(最大6本),リード(Reed)が48ドル(最大2本),ミルズ(Mills)が43ドル,そしてライアン(Ryan)が40ドル(最大2本)です。

ジェンセンの国内価格が9000円前後ですが,消費税や関税,送料など様々なコストを入れたらそれより高くなる可能性が高いと思います。そのあたりをご理解のうえ,購入希望があれば連絡ください。6~12本集まったら注文したいと思います。

問い合わせを受けたので,カレラについて追記します。カレラについては「カリフォルニアのロマネコンティ」といったあだ名がありますが,これはオーナーのジョシュ・ジェンセン氏が,かつてDRC(Domaine de la Romanee-Conti)でアルバイトをしていた際,落ちていた枝を拾って帰ったものが現在のカレラのブドウの木の元になっているという伝説から来たものです。Jensen氏は現在はそれを否定しているようですが,1999年のSan Jose Mercuryの記事には以下のように出ています。
He got his original cuttings from the vines at Romanee-Conti.
"If you get cuttings and plant them in California, it doesn't meawn our wine taste like that-that is, the best of the best, " Jensen says. "It does mean you have the real McCoy, not some clonal variant. You've got pinot noir selected for quality, low yield and top flavor. We started with the right stuff, witth true, genuine pinot noir."

他国からブドウの枝を持ち込むのは法律に違反することなので,否定するようになったのかもしれないと思っています。

日本では90年代後半に漫画「ソムリエ」で主人公がブラインド・テイスティングで出されたCaleraをロマネコンティに間違えそうになったというエピソードがあり,一躍ブームになりました。その後,KistlerやMarcassinなどのピノがWine SpectatorやWine Advocateで高い評価を受け,やや忘れられた存在になりかけていました。一方,米国でも「昔の名前で出ています」という感じだったのが,昨今のピノブームで,ピノに慣れた愛好者が増えたためか,はやりの濃くて分かりやすいピノとは一線を画す,複雑さを重視したCaleraのスタイルを,再評価する動きが出ています。
Date: 2007/0507 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Patz & Hallが20年近く続いたワイナリの間借り生活をやめ,新しいワイナリを作りました。これまではNapaのRutherfordにあるHonigワイナリでワイン作りをしていたのですが,新しいワイナリはSonomaにできるそうです。
"Water Treatment System and Specialized Equipment Are the Focus for New Patz & Hall"

Wine Business - Wine News

細部にこだわるワイナリらしく,独自のポリシーに基づく最先端設備をいろいろ取り入れているそうです。1つは水の浄化システム。ワイナリからの排水はpHが低すぎるため,通常の排水処理で問題になるそうです。ここでは固定物を取り除き,中性に調整してから排出することで,非常にクリーンは排水を実現しているそうです。

また,ワインの清浄化に使うための縦長のタンクを導入しました。Patz & Hallではボトル詰めの際のフィルタリングを行わないため,ボトル詰めの前にワインを“落ち着かせる”必要があります。その専用のタンクで,ワインがより明るくクリアになるそうです。

このほか,ブドウの茎を取らずにプレスするための専用の圧搾機や,独立して温度設定可能な三つの部屋など,「ワインをよくするための技術だけを採用した」とのことです。

Date: 2007/0506 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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David Rameyのワインは高評価の割に,日本での価格は比較的安く,通常でもお買い得度が高いものの1つです。さらに2004のLarkmead Vineayard Cabernet Sauvignonは米国価格でも69ドル以上するのが6980円と実質的には2割くらいも割安になっています。このワイン,Robert Parkerは95点を付けており,下のリンクページにあるレビューコメントを見ても,かなりそそられるものがあります。

● RP95点 【レイミー】 カベルネ・ソーヴィニヨン
"ラークミード・ヴィンヤード" [2004]
輸入元希望小売価格7,500円 のところ
あらかると特価6,980円 (税込7,329円) 送料別
Date: 2007/0504 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのカリストガにある有名ワイナリChateau Montelenaが電力すべてを太陽電池に変えました。220kWの発電設備を備えるそうです。
"Chateau Montelena Winery, the venerable Napa Valley winery that helped bring California wine to global prominence, today announced that 100 percent of its electricity needs will henceforth be met through solar power."

Sun Shines Bright on Chateau Montelena Sustainable Energy Plan
これによって今後25年間の二酸化炭素排出が6625トン削減されるそうです。これは4万本の木による浄化作用に相当するとのこと。

Montelenaは好きなワイナリなので,今後もがんばってほしいです。なお,ここのEstate Cabernetは米国では大人気。WSでは2回ほど超低評価を受けたことがありますが,Wine Advocateでは95点以上の常連。しかも日本の値段は米国と変わりありません。お買い得。

シャトー・モンテリーナ カベルネ・ソーヴィニョン 「ザ・モンテリーナ・エステート」[2002]
CHATEAU MONTELENA Cabernet Sauvignon The Montelena Estate
価格9,800円 (税込10,290円) 送料別
Date: 2007/0503 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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映画監督として知られるFrancis Ford Coppola氏が2005年末に,SonomaのGeyservilleにあるChateau Souverainの施設を買い取ってから1年ちょっと。その新しい名前が発表されました。
"Francis Ford Coppola unveiled the name of his new Sonoma winery Tuesday as only the famed movie director could -- during an one-man multimedia play at the Geyserville winery that will now be known as Rosso & Bianco winery."

Coppola directs winery
新ネームはRosso & Bianco。コッポラの普及ラインのワインのブランド名をそのまま付けました。Napaのワイナリは既にNiebaum-CoppolaからRubicon Estateに名前を変えており,そちらは高級路線。Sonomaと明確に棲み分ける計画のようです。

なお,誤解があるといけないのですが,Chateau Souverainはなくなったわけではありません。ワインは場所を変えて造り続けており,HealdsburgのCellar 360にテイスティング・ルームもあります。
Date: 2007/0502 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Paso RoblesにWestsideという新しいAVAを作ろうとする運動と,11もの新しいAVAを作ろうとする二つの動きがあることは以前に紹介しました。先行するWestsideについてのTTB(The Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)へのパブリックコメントがこのほど締め切られました。3月23日までの予定が4月24日までに延長されたこのコメント,最終的には200を超える数にいたるまで寄せられています。
"There’s a bit of appellation angst brewing in Paso Robles these days. As the public comment period on the Westside AVA petition before the Tax and Trade Bureau (TTB) came to a close on April 24th, the comments were flying and so was the mud."

Paso Robles AVA Division - Paso Robles

これまでの例では,TTBで審査されて却下になることはほとんどないそうなのですが,今回はどうなるんでしょう。コメントをいくつか見る限りでは賛否両論としかいいようがない感じです。
Date: 2007/0501 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Pisoniという畑の名前とMontereyのSanta Lucia Highlandsという地名,Gary Pisoniという型破りな生産者の名前を初めて聞いたのは99年ころだったと思います。それから10年足らずでSonomaのRussian River Calley,Santa BarbaraのSanta Rita Hillsと並ぶ高級ピノの生産地としてSanta Lucia Highlandsの名は知られるようになりました。中でもGary Pisoni/Gary Francisconiの二人のGaryの畑Pisoni,Gary's,Rosella'sという三つの畑はラ・ターシェのクローンを使っているという「伝説」も伴い,別格的な位置付けにあります。その一番兄貴分がPisoni。骨格のはっきりしたスケールの大きなワインを多く生み出しており,やや線が細く,親しみやすいワインが多いRosella's,「深み」でちょっと劣るかと思われるGary'sと比べて,値段もやや高めです。

現地での価格も60ドル以上するものが主体ですが,調べてみたら結構日本でも同等の価格帯で売られているものがありました。自分が飲んだことあるのはOjaiとTestarossa,Nicholsですが,どれもお勧めです。

オーハイ ピノ・ノワール ピゾーニ・ヴィンヤード【2000】
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