シルバーオークはナパのオークヴィルとソノマのガイザーヴィルの2カ所にワイナリーを持っており、オークヴィルではナパのカベルネを、ガイザーヴィルではアレキサンダー・ヴァレーのカベルネを作ってきました。2017年夏にはソノマの設備をヒールズバーグの近くの新しいファシリティに移す予定で、ガイザーヴィルのワイナリーからは元々出る予定になっていました。新しいワイナリーでは生産量を10万ケース(現在は5万5000ケースほど、最大7万ケース)に増やすとともに、環境に配慮したさまざまな機能を取り入れるようです。
一方、マイケル・デイヴィッドはワイナリーのほか12エーカーのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑も手に入ることになり、ソノマのワインも今後手がけていく意向です。ただし、テイスティング・ルームの開設などは未定としています。
そして、パッツ&ホールの創設者の一人であり、マーケティングを担当していたドナルド・パッツ氏が日本時間の4月28日、パッツ&ホールをやめたことをFacebookで表明しました。
「 After the sale of PATZ & HALL last year my departure was just a matter of time.」とのことで1年前の買収から、やめることは決めていたことが分かります。
今後については具体的なことは明らかにしていませんが、新しいワイナリーを始めるのだろうかと想像しています。
ただ、親日家でたびたび来日していたドナルド・パッツ氏がいなくなることでパッツ&ホールの今後の日本でのプレゼンスがどうなるのかはちょっと心配なところです。個人的には最初にメーリングリストに登録したワイナリーであり、思い入れがあります。まずは、今後のドナルド・パッツ氏に期待したいと思います。
うどんこ病は、発生するための温度や湿度がわかっていますが、その条件を満たすたびに予防用の薬をまくのでは、サスティナブルが重視される今のワイン作りにおいて問題です。
そこで、最新のツールでは、うどんこ病の菌が実際に含まれているかどうかを空気から調べ、存在しているときのみ、薬をまくようにします。ただ菌があるかどうかだけでなく、実際にうどんこ病になっていく状態かどうかをDNAで調べるのだそうです。
ただし、年間使用料は1600ドルとそれなりにします。開発元は、今年は80セットを出荷すると結構な自信を持っています。
サスティナブルもやはりお金がかかりますね.
テメキュラは1960年代にワイン作りが始まった地域ですが、1990年代末期にはピアス病によって壊滅的な打撃を受けました。被害の少なかったワイナリーでも40%のブドウの樹を失うほどの被害でした。
ただ、これによって畑の植え替えを強いられたことが、結果的には品質の向上に結びついたという面もあるようです。
テメキュラの最大のメリットは立地。ロスアンゼルス、サンディエゴ、オレンジカウンティから近く、車で2時間以内の範囲に2000万人の人口を抱えます。
それを活かしてのワインツーリズムを狙って、中国資本が次々と投入されているとのこと。現在のワイナリーの数は40ほどですが、2020年には100と倍増以上になりそう。
そのうち少なくとも5つは中国系のプロジェクトで、中でも最大規模のTwelve Oaksというワイナリーはホテルも備えたリゾートとして開発されているとのこと。2019年のオープンを予定しています。
ロスアンゼルスから比較的近いワイン産地というとサンタバーバラがありますが、LAの空港からでも2時間半くらいかかったと思います。まして、オレンジカウンティなど南の方からは相当な道のりになります。ちなみに映画サイドウェイはサンディエゴから旅に出ていましたから、やっぱり特別なときに行く感じだったのでしょうね。
これからはLAに旅行に行った際に、テメキュラ訪問も考えていいかもしれません。
「セブン‐イレブンのスイーツが、かつてないほど新しく生まれ変わります」とのことで、今回は新しくなった4種類ものスイーツを一気に試食です。
まずはシュークリーム。こrまでの「とろりんシュー」から「THEセブンシュー」へと生まれ変わります。
コンビニのシュークリーム、これまでのものも美味いのですが、クリームのカスタード感が弱いのがやや難点でした。とはいえ、たったの100円ですから十分、と思っていましたが、今回はクリームが全く新しくなっています。玉子として「エグロワイヤル」というブランド卵を使っています。欧州の玉子の味を再現したいということで飼料から見直した玉子だそう。価格も相当違うようです。バニラもバニラビーンズを使っており、シュー生地にはバターを加えています。さらにクリームも75gから80gに増量。
とろりんシューと食べ比べということで、まずは外観から。
見た目はほとんど変わらないです。外側の香りも大きな違いはありませんでした。
割ってみます。
上が「とろりんシュー」で下が「THEセブンシュー」ですが、とろりんシューはクリームがトロトロで、すぐにこぼれそうになるほど。また、中に空間があることから、割ると真ん中は凹んだ形になります。
それに対して新しい「THEセブンシュー」はそもそも生地を2つにわけてもクリームが分かれてくれません。粘度が全然違います。また、クリームが一杯にはいっていて、盛り上がって見えるほどです。
食べてみると、とろりんシューは名前のとおり、とろりとした食感で、液体のように口の中に入ってきます。味はミルクっぽさを少し感じます。それに対してTHEセブンシューは甘みが強く、濃厚な味わい。ミルクっぽさはほとんどありません。これはレベルが高いクリームです。敢えて文句をつけるなら、シュー生地が若干クリームに負けているかも。もう少し歯ごたえのあるシュー生地だったらもっと嬉しかったです。
とはいえ、これまでのコンビニシュークリームとは完全に一線を画すレベルのクリームです。特にカスタード好きな人にはお薦めです。
なお、値段は130円と少し上がっていますが、原料を考えたらしょうがないですね。100円台前半でこれほど美味しいものが食べられるというだけでも満足です。
次はロールケーキのセブンロール。ここからは新作のみの試食です。
写真が下手すぎてへこんでます…
こちらはシュークリームとは対称的にホイップクリームを楽しむもの。今回は微粉砕の小麦粉を使ってロール生地の口溶けをよくするなど、口溶けにこだわったそう。
食べてみると、まずホイップクリームのミルク感が強いです。確かに口溶けよく、甘みはシュークリームよりも弱く感じます。ホイップクリーム好きな人にとってはたまらないのでは(僕はどちらかというとカスタード派です)。
3つめは打って変わって「豆大福」。
これは十勝産の小豆を使っています。また、餅は工場で実際にもち米をついて作っているとのこと。写真で餅の内側に豆が見えると思いますが、これが豆大福の豆で意外とたくさん入っています。少し塩味があり、あんこの甘さと絶妙にマッチします。餅もよく伸びて、食べにくいほど。甘さ控えめでもう4つめのスイーツだというのに、あっという間に一個食べきってしまいました。個人的にはこの味は大好き。
ただ、若干食べにくいのと、外側に粉がたくさんついているので、会社のおやつにできないんですよね。机が粉だらけになってしまいます。豆大福なのだからしょうがないことですが、これが解決されるととてもうれしいです。
最後はセブン得意の和洋折衷スイーツで「生どら焼」。これも十勝産の小豆を使っていますが、どら焼き用に、皮残りが少ないようにしているとのこと。さらにホイップクリームがたっぷりと入っています。記事は専門店のように銅板で焼いています。
ふつうどら焼きというと、生地の両端は閉じているものですが、これはホットケーキのように層になっています。厚みは5cmくらいあります。
割ってみました。
本当に、あんこもホイップクリームもたっぷりはいっているのがわかると思います。皮の香ばしさにホイップクリームの滑らかさ、あんこの甘みとコクが混じり合って、とても美味しい。大きさもたっぷりで、これはとても満足感の高いスイーツです。
今回のスイーツ、シュークリームと豆大福は既に発売されています。ロールケーキと生どら焼は2017年5月2日からだそうです。
試食会では、セブンイレブンのこだわりもいろいろ聞けてとても勉強になりました。これだけのレベルのものをこの価格で全国で販売するのだから、ほんとすごいです。
セブンイレブンは大手3社の中では我が家からは一番行きにくいのですが、ちょっと通ってしまいそうです。
昨年の報告は
2年めのソノマ郡バレル・オークション、昨年実績の1.5倍と好調
今年の落札総額は79万4500ドル。昨年の69万3800ドルより、約10万ドル上回りました。
1番の注目は今年もピノ・ノワール。2年連続で、コスタ・ブラウンの提供したロットが1位になりました。「The Shire of Freestone 」というタイトルで、ソノマ・コーストの複数の畑のブレンドになるようです。落札額の6万ドルも新記録ですが、20ケースなので、1本あたりは285ドル程度。10ケースで4万6000ドルだった昨年を下回ります。
ちなみに1ケースあたりの落札額のトップはプライド・マウンテンで4000ドル。ワインはカベルネでサミット・キュベの25周年となっています。
また、落札額の2番目はシルバーオークのアレキサンダーヴァレー、カベルネです。
3番目はウイリアムズ・セリエムのピノ・ノワール。
ソノマ郡のバレル・オークションはナパに比べると落札額も低く、1本あたり100ドル以下で落札されるものが大多数で、参加への敷居は低そうです。実際、日本から参加された方もいたようです。
それによると答えは「No」とのこと。
これはフロリダ大学のIFAS(Institute of Food and Agricultural Sciences)の学生による研究で、オンラインの業者が販売したデータを元に調べたとのこと。
イタリアのトスカーナの50ワイナリーによる444種の赤ワインのデータで、購入者はイタリアと米国のコンシューマーです。ちなみにワインの31%がオーガニックで、そのうち42%がオーガニックとしての認証を受けており、さらにそのうちの24%(全体の約3%)がオーガニックとラベルに歌っています。
この研究では価格に影響しそうな様々な要素(評論家のポイントなど)を調べた結果、オーガニックかどうかは影響しないという結果になったようです。
ちなみに、以前「「サステイナブル」のワインは高く売れるのか」という記事を書いていますが、そこではサスティナブルなワインに対して1本あたり7ドルも高く払うという結果が出ています。また、「バイオダイナミック」や「ナチュラル・ワイン」という言葉よりも「サスティナブル」の方が受けがいいとなっていたとのこと。
こちらは消費者に直接調査して、多く支払うかどうかを聞いたもの。今回のはおそらく重回帰分析などでその因子の価格に対するパラメーターを計算したのだろうと想像しています。
調査手法が全く違うので、この2つの結果は矛盾するともしないともいいがたいものがあります。
個人的には、今回の調査はオーガニックとラベルに書かれたものの比率がかなり低い上、ラベルに書かれていない場合に消費者がそれを知っていたかどうかが分からないといった要素もあり、ちょっと分析としては弱いような気がしていますが。
生産者(や販売者)にとっては、オーガニックにするかどうかというのはポリシーでもありますがエコノミクスでもあるわけで、この手の調査は気になりますね。
また、日本で似たようなことを調べた結果があるのかどうかも知りたいところです。
今やワイン消費でも中心になってきたミレニアル世代がマリファナ消費でも中心になります。そして、その世代の34%がビールの代わりにマリファナを18%がワインの代わりにマリファナを嗜むようになるとしています。蒸留酒からの置き換えは14%。
マリファナがこういった酒類に取って代わる理由としては「安全、コスト、健康」があるとのこと。マリファナの方が酒より安全で安く、健康にも悪くないと考えられていることがわかります。
マリファナとワインに関しては、ワイナリーが一部でマリファナを作り始めるといった話も出ています(Sonoma makes way for cannabis wine)。
いずれにしろ、今後数年はこのトピックは注目されそうです。
なお、州単位で娯楽目的のマリファナが解禁されていますが、米国全体としてはまだ所持も使用も認められていないことには注意が必要です。例えば日本からの旅行者が現地でマリファナを吸った場合、その後の入国や出国に際して問題になる可能性があります。旅行者は安易に飛びつかないようにしmしょう。
オーヴィッドは2005年からワインを作り始めた比較的新しいワイナリー。畑の管理に最初から有名なDavid Abreuを使うなど、手間暇かけたワイン作りで高い評価を得ています。例えば2013年のHexameter(カベルネ・フランの比率の高いブレンドもの)はWine Advocate誌で99点という評価。
売却の理由などは明らかにされていません。また、ワインメーカーなどワイン作りにも変化はありません。
【追記】イヴニングランドが増えて手が離せなくなったため、現在はストルプマンのワインメーカーはやめてしまったそうです。
過去記事:
IPOBミニインタビューその4――ラジャ・パー、サシ・ムーアマン/サンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コート、ピエドラサッシ
IPOB解散――メンバーはどう受け止めたか(サシ・ムーアマン)
サンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コート、イヴニングランドはいずれもIPOBの発案者であるラジャ・パーとともに手がけるプロジェクトであり、ラジャ・パーが前に出ている印象がありましたが、ワインメーカーはサシ・ムーアマンであり、実際に果たしている役割は非常に大きいようです。
今回のセミナーは、そのサンディとドメーヌ・ド・ラ・コートを中心としたものでした。このワイナリーはどちらもサンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズのブドウを使ってワインを作っています。ドメーヌ・ド・ラ・コートは自社畑専門、サンディの方は購入したブドウ専門でワインを作ります。サシ・ムーアマンによると、「サンディはフィロソフィーを重視」しており、いわゆる自然派ワインに非常に近い作りで、リリース直後から美味しく飲めるようになっています。一方、ドメーヌ・ド・ラ・コートは土地を引き出すことを目標としており、熟成向けワインです。
セミナーではドメーヌ・ド・ラ・コートの各畑の特徴なども解説されましたが、面白かったのが2007年に植えたメモリアスという畑。海からの強い風にさらされるドメーヌ・ド・ラ・コートのは畑の中でも一番涼しいところにあります。
この畑の横ではブドウを接ぎ木ではなく種から育てるプロジェクトをやっています。ピノ・ノワールの種から育てた1万本もの木があるそうです。まだようやく実を付けるようになってきたところで、これからブドウの色や味などを調べ(ピノ・ノワールから、ピノ・ブランやピノ・ムニエのような白ワイン系のブドウが生まれることもあるので)、また花が雄しべも雌しべも持ったものでなければいけない、など実際に使えるブドウを選ぶためには多くのハードルを超えないといけません。1万本のうち本当に使えるのは100本ほどしかないかもしれないとのこと。そうして選んだものを今度は接ぎ木できるように増やすことも必要で、とにかく大変時間がかかります。彼は25年プロジェクトだと言っていました。というわけで、今のメモリアスの畑でそれらのブドウが使われているわけではありませんが、大変夢があるプロジェクトだと思います。
今回の試飲はちょっと変わった趣向で、ブラインドで行われました。ピノ・ノワール3種、シャルドネ3種を飲んでどれがどのワインかを当てるというものです。
ピノ・ノワールはドメーヌ・ド・ラ・コートのブルームス・フィールド2013のほか、ゴールデンアイのゴーワン・クリーク2013、ブルゴーニュからドメーヌ・ジョルジュ・ミュニュレ・ジブールのニュイ・サン・ジョルジュ1級「レ・ヴィーニュ・ロンド」2013でした。ゴールデンアイやダックホーンがアンダーソン・ヴァレーに持つワイナリー。位置は北ですが、多少内陸に入るので、ドメーヌ・ド・ラ・コートよりは暖かい畑です。
並べて見ると1番は色が薄めで透明感があります。赤い果実に加え、レモンのようなかなり強い酸味、還元香も少し感じます。カリフォルニアの味ではないと判断しました。2番めはオレンジのようなフレーバーに、ハーブ。塩っぽさを感じるので、第一感でサンタ・リタ・ヒルズだろうと思いました。3番は一番色が濃く、味わいもダークなフルーツの味わいが一番強くなっています。かすかに甘みもあります。グラファイトっぽさが骨格を作ってしっかりとした味わい。これがゴールデンアイと判断しました。
結果は見事に全部正解。ドメーヌ・ド・ラ・コートは熟成できるワインを目指しているとのことですが、熟成させなくてもとても美味しいです。サンタ・リタ・ヒルズらしさも十分に味わえるいいワインでした。
シャルドネはサンディのサンタ・リタ・ヒルズ2014、ソノマからJCBの#81シャルドネ ソノマ・コースト2014、シャブリからドメーヌ・ヴァンサン・ドーヴィサ プルミエ・クリュ・ヴァイヨン2014。どれも定価6000円台のワインですが、サシ・ムーアマンによると、シャブリは米国ではその倍の価格するとのことでした。
1番はオレンジやレモンなど柑橘系の味わいが強いワイン。香りは意外と甘く、イーストのような香りもあります。ミネラルっぽさもあり、シャブリだろうと判断しました。2番はオレンジにパイナップル、香ばしい香り。3番は色は2番より濃いのですが、味わいはレモンなど、2番よりも酸が高く軽い感じ。ミネラルっぽさもあります。大分悩みましたが、2番をJCB、3番をサンディと判断。
結果はシャブリは正解でしたが、JCBとドメーヌ・ド・ラ・コートは逆でした。これはかなり難しかったです。というかJCBもサンディも同じくらい美味しいです。
セミナーの後は、ドメーヌ・ド・ラ・コート、サンディ、そしてピエドラサッシのワインの試飲。
サンディはシャルドネ5種。サンタ・バーバラ・カウンティ、サンタ・リタ・ヒルズ、リタズ・クラウン、サンフォード&ベネディクト、ベント・ロック。
サンディらしさがつよく現れているのは最初の3つ。ミネラルやレモンのフレーバーがあります。サンフォード&ベネディクトはバランス良く、個人的には一番おいしかったシャルドネでした。ベント・ロックは芳醇。サンディらしさを味わうにはまずは、カウンティやAVAものから飲んでみるのがいいのではないかと思います。
ドメーヌ・ド・ラ・コートはピノ・ノワール3種。サンタ・リタ・ヒルズとブルームス・フィールド、ラ・コート。サンタ・リタ・ヒルズはフルーツっぽさが少ないピノ・ノワール。上品です。ラ・コートは非常に骨格のしっかりしたピノ・ノワール。どれも果実味に頼らないあたりが特徴と言えるでしょう。熟成向きとはいえ、前述のように今飲んでもじゅうぶんおいしく、またサンタ・リタ・ヒルズのテロワールを感じられます。
ピエドロサッシはシラー2つ。PSシラーは3000円台のシラー。カリフォルニアのシラーには珍しく、フルーツっぽさをあまり感じません。コスパの高いワイン。もう1つはリム・ロック・ヴィンヤード。これだけアロヨ・グランデ・ヴァレーのワインです。これも美味しい。
サシ・ムーアマンはシラーが好きでピエドラサッシも自分が好きなものという感じがあります。ストルプマンのシラーもおいしいですし、お薦めです。
さて、ところでタイトルに「武蔵の切れ味」と書きましたが、何のこと?と思った人もいるでしょう。
実は彼は日系2世。本名はムサシというのです。日本向けのワインで「武蔵」ラベルにしたら日本で人気出るだろうに、と思ったのでした。
そんな与太話はさておき、携わっているワイナリーの名前を見るだけで彼の才能は明らか。人柄もすごくいいので、応援したくなる方でした。
ナパグリーンのプログラムはサードパーティによるもので、カリフォルニアグリーンなどの認定機関が関わっています。2000年に始まったもので、2015年にはナパヴァレーヴィントナーズが上記の目標を掲げました。約5年の目標までの期間の中、2年で半数にたっしたというのは順調と言っていいでしょう。
全ワイナリーや栽培者がサスティナビリティのプログラムに参加するという目標はソノマがいち早く掲げましたが、業界団体の数が多く、調整に時間がかかっている印象があります。
ナパもナパヴァレーヴィントナーズに全ワイナリーが加わっているわけではないので、必ずしも一枚岩ではないのかもしれませんが、プログラムの推進には長けている印象があります。
環境にコミットするというのはこれからのワイナリーにとっては必須条件になるのでしょうね。
創設者の一人であり、ワインメーカーであるマイケル・エッツェルはパートナーとして残ります。投資家のロバート・ロイは株式をアンリオに売却しました。なお、マイケル・エッツェルの義理の兄弟であるロバート・パーカーは少量ですが、株式を継続して持っています。
マイケル・エッツェルによると、1年ほど前から売却先を探していたとのこと。金銭的な問題よりも、そろそろ引退して楽をしたいといったことが理由の模様。候補もたくさん現れましたがアンリオが一番好意的だったそうです。
オレゴンでは老舗のドルーアンや、近年ではイヴニングランド(コント・ラフォン)といったワイナリーがフランスから資本を入れています。今後もオレゴンへの注目は高まりそうな気がします。
こちらも参考:
Schrader Cellars: カリフォルニア最高のカベルネ・プロデューサー
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
ーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)
シュレーダーはカベルネ・ソーヴィニヨン専業のワイナリーで、ワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。これまでWine Advocate誌で計15回もの満点を得ています。そのすべてがベクストファー・トカロンの畑のもの。カベルネ・ソーヴィニヨンのクローンなどによって、ベクストファー・トカロンからいくつものワインを作っています。それだけでも稀有の存在。
今回は大半が5万円以下というシュレーダーとしてはかなり安い価格で出ています。ここでは、ワインの名前ごとに分類して示します。また、レイティングはすべてWine Advocate誌のもの
・CCS
クローン4だけを使ったワイン。
2009年 96+
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “CCS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2009] |
2010年 98
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “CCS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2010] |
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “CCS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2011] |
・RBS
クローン337だけを使用
2009年 96
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “RBS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2009] |
2010年 99
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “RBS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2010] |
2011年 91
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “RBS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2011] |
2013年 98
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “RBS”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2013] |
・T6
クローン6のみを使用
2009年 97
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン “T6”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2009] |
・ベクストファー・ト・カロン
基本のもの、クローン3種ブレンド
2000年
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2000] |
マグナム
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2000]1500ml |
2002年 98+
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2002] |
2009年 95
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレーダー カベルネ・ソーヴィニヨン“シュレイダー”ベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤード [2009] |
・オールド・スパーキー
龍のラベル。マグナムのみ。別格扱い
2010年 98
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン"オールドスパーキー MM VIII ベクストファー ト・カロン" オークヴィル [2010] 【1500ml】 |
・LPV(ラス・ピエドラス)
150年ほd前に作られた古い樹の畑
2011年 93
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シュレイダー カベルネ・ソーヴィニヨン ベクストファー・ラス・ピエドラス・ヴィンヤード [2011] |
その中でティップスとして3つが書かれてます。
1つは、いわゆる「セカンド・ワイン」を狙うこと。ナパではハイエンドのカベルネ・ソーヴィニヨンは、生産量を絞り、最高の部分だけを使って作られます。セカンドワインは十分高品質で、トップのワインと比べるとも抑えられます。
次は、ナパ以外を狙うこと。例えば隣りのソノマだと、ナイツ・ヴァレーやアレキサンダー・ヴァレー、ムーン・マウンテンなどがカベルネ・ソーヴィニヨンの産地として知られています。ほかにもサンタ・クルーズ・マウンテンズなど、すばらしいカベルネ・ソーヴィニヨンができる土地はたくさんあります。
3つめは、かつての人気ワイナリーを探すこと。老舗のワイナリーになればなるほど、良質のカベルネ・ソーヴィニヨンをあまり値上がりせずに作っていることがあります。
一つ目のセカンドワインだと例えばシェーファーの「ワンポイントファイブ」、スポッツウッドの「リンデンハースト」、ドミナスの「ナパヌック」などがあります。
3つめの老舗ワイナリーとしてはクロ・デュ・ヴァルなどが記事に取り上げられています。
セカンドワインの例
ナパ以外の産地
老舗ワイナリーのカベルネ
リーダー賞はソノマのガイザーヴィルにあるフランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー。2019年までに調達するブドウすべてをサスティナブルなものにすると決め、栽培農家への指導や援助をしています。ワイナリーの従業員からボランティアでGreen Teamを結成して、いろいろアイデア出しをしているとのこと。
環境賞はナパのスポッツウッド。1992年にはオーガニックに転換。ナパでは2番めに早かったとのこと(1番はフロッグス・リープでしょうか?)。現在はビオディナミに取り組むほか、電力はほとんど太陽光だけなどの環境面への努力をしています。さらに毎年利益の1%を環境団体に寄付しているとのこと。
コミュニティ賞はソノマのサンタ・ローザにあるセント・フランシス。近隣や従業員を巻き込んだ活動で表彰されました。
最後にビジネス賞はモントレー・パシフィック社。セントラル・コーストで6000エーカーのサスティナブル認定を受けた畑を持っているそうです。
ベクストファー・トカロンはハミルトン・クラブが最初に畑を作った1868年の区画に含まれる畑。1993年にボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyard=BV)からベクストファーが入手し、1994~1997年にかけて植樹しました。ちなみにBV時代は「#4」と呼ばれていました。
畑は全部で89エーカーありますが、ブドウの木が植わっているところは83エーカーのようです。そこを2018年の12エーカーから植え替えていくとのこと。2028年までかける計画となっています。
植え替えの理由は収量の低下。最初に植え替えする領域では2014年に1エーカーあたり2.7トンの収穫があったものが、2015年は2トン、2016年は1.4トンにまで下がったそうです。例えば最初の植え替え対象になっているB2というブロックでは、全く実をつけない幹が9%もあったとのこと。トカロンの中でも、3.5%にとどまっているところもあり、大分力が落ちてきているようです。
現在、最初の植え替え対象のブロック(A2、B2)に植わっているのはクローン4というカベルネ・ソーヴィニヨンですが、植え替えに使うのはそれよりわずかに「クリーンアップ」したという4.1。ルートストックは039-16からGRN-3へ、列の向きは325°NW×SEから55°NE×SWとほぼ直角に変わるようです。これは、真夏の夕方の強い日差しの時間帯にブドウの実に直射日光が当たらないようにするためとのこと。木の間隔は8×7フィートから7×5フィートと狭くなります。剪定はバイラテラルコルドンで同じですが、クロスアームを使うとのこと。
現在、ベクストファー・トカロンの顧客は20ワイナリー。収穫1トンあたり平均2万ドルを支払っているそうです。植え替え後、次の収穫開始まで2、3年はかかりますから、その間、ベクストファーとしては1エーカーあたり4万~6万ドルほども収入が低下することになります。
また、ワイナリーへの割当はブロックごとに決まっているのですが、植え替え中は他のブロックのワイナリーへの割当を減らして、植え替え中のブロックのワイナリーに回すとのこと。アンディ・ベクストファーは、これまでの2/3を下回らないようにしたいとしており、他のワイナリーもその方法に納得しているとのことです。
植え替えで樹が若くなることの影響はどうなのでしょうね。間違いなくカリフォルニアで一番高価なブドウの畑ですので、気になるところです。
安ワイン一般として白の方が飲みやすく、赤はなかなか厳しいことが多いと思います。先日飲んだ某「国産ワイン」(日本ワインではありません)は、おいしくなさすぎて、飲みきるまで1週間もかかりました。量が少ないボトルはおいしくなかったときのリスクヘッジにもなりますね。
飲んでみたところ、ブルーベリーのような甘みがちょっと気になるものの、果実味豊かで芳醇な味わい。これならときどき飲んでもいいかな、というレベルでした。これを明日もあさっても飲むことになると、また飽きてきたりして印象が変わるかもしれませんが、飲みきりサイズはそういう意味でもいいですね。
あっさりしていて飲みやすいです。「フルーティーさのなかに桃やマスカットのような華やかなアロマがあり、ほどよいボディーもある」と書いてありましたが、ボディはあまり感じなかったかな。でも安ワインにありがちな嫌な味はなかったので、すいすい飲めてしまいます。正直言って1000円以上出すかと言われると微妙なレベルではありますが、500円は文句なく安いです。
欲を言えば、これが250mlで200円程度で飲めたらもっと嬉しいです。コンビニでワインを買うときって、ちょっと夜に飲みたいとかそういうシチュエーションだと思うんですよね。フルボトルだと最低でも2、3日は続けて飲まないといけないからちょっと敷居が高いです。
というわけで、次はセブンイレブンで250mlのを買ってみたいと思っています(通り道にないのが難点ですが)
なんと2007年は100点(商品ページには98+とありますが、2014年に100点に上方修正されています)なのに税込みで2万円台という超お買い得になっています。
1997年(96)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[1997] |
1998年(95)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[1998] |
2000年(94)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2000] |
2003年(95)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2003] 3000ml |
2004年(99)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2004] |
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2004] 1500ml |
2005年(99)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】《PP97点》 シェーファー カベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2005] |
【春のカリフォルニアワインフェア2017】《RP97点》 シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2005] 1500ml |
2006年(92)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】≪PP97点≫シェーファー カベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2006] |
2007年(100)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】≪PP98+≫シェーファー カベルネソーヴィニヨン "ヒルサイド・セレクト" スタッグスリープディストリクト [2007] |
2008年(93)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】シェーファーカベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト[2008] |
2009年(94)
【春のカリフォルニアワインフェア2017】≪RP98点≫シェーファー カベルネ・ソーヴィニヨン “ヒルサイド・セレクト ”[2009] |
今年も4月、5月の2カ月ですが、いつからいつまで提供するかは店によって違います。4月だけで終わってしまう店も結構あります。上記のリンク先のページで期間などもわかるので、見てみてください。
関東で114軒、関西で82軒のレストランが参加しています。
こんなときに役に立つのが「ヴィナスからオークヴィルとプリチャード・ヒルの畑マップが届いた」で紹介したオークヴィルの地図。裏面の解説7ページのうち1.5ページくらいがトカロンに割かれていました。私のこれまでの知識はモンダヴィのトカロンとベクストファー・トカロンがある、というくらいだったのですが、実はトカロンの話はずっとややこしくこみあっており、それだけで本が一冊書けてしまいそうなくらいのものがあることがわかりました。
そこで、トカロンとは何かという話をまとめておこうというのがこの記事です。なるべく平易に、かつ短く書きたいので、もっと詳しいことが知りたいという人は「The True Story of To-Kalon Vineyard - Sommambulism - Features - GuildSomm」を読んでみてください。
で、まずは大前提としてトカロンはカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンの中で最高の畑の1つであるということ。もりカリフォルニアで「グラン・クリュ」を選ぶとしたら、トカロンがそこに入らないことはあり得ません。もっともわかりやすい「パーカー100点」のワインだけで見ても、トカロンのワインが22本もあります。ちなみに、この全部がトカロンの中でも「ベクストファー・トカロン」のものであり、さらにシュレーダー(Schrader)だけで15本を占めています。このほか、かのオーパス・ワンもメインの畑としてトカロンのブドウを使っていまし、もちろんモンダヴィのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブやフュメ・ブランなどもトカロン産です。
写真:ナパのソーヴィニヨンブランの代表的な畑であるトカロンの「I-ブロック」
このように、トカロンという名前は、やまほど出て来るのですが、実はトカロンの商標はモンダヴィが持っています。プリチャードヒルの商標をシャペレーが持っているようなもので、これ自体問題はないのですが、話がややこしくなる原因の1つにはなっています。
モンダヴィが商標を持っているのに、逆にどうしてベクストファー・トカロンと名乗るのが許されているかというと、2001年にトカロンの名前を使ったことでシュレーダーを提訴し、その和解によって使えるようになったのでした。
そもそも、トカロンというのは19世紀に、ここにブドウ畑を開拓したハミルトン・クラブという人が名付けたもの。ギリシャ語で「最高の美しさ」といった意味合いがあります。この人は、ロバート・モンダヴィが1世紀前に登場したようなビジョナリーだったそうです。
クラブが1868年に購入した240エーカーの土地が、最初のトカロンです。この土地は現在はモンダヴィ、オーパス・ワン、ベクストファー、それにウィルセイ(Wilsey)という人が所有しています。ただ、ウィルセイはここに立っていた家屋を継承しており、畑には絡んでいないようです。クラブは1879年に119エーカーを買い足しており、その土地は現在はモンダヴィとUC Davisに属しています。なお、UC Davisの土地もブドウ畑ではなく、プルーンなどが植わっていたそうです。クラブは1891年にさらに土地を買い足しており、合計で500エーカーほどになりました。1891年の土地はモンダヴィ、オーパス・ワン、マクドナルド、デタート?(Detert)が持っています。
禁酒法があけたあと1943年にマーチン・ステリングという人が大部分の土地の所有者になります。この人はさらに500エーカーほどを買い足しており、それを含めたものが、広い意味でのトカロンということになります。1950年にステリングが亡くなった後、イタリアン・スイス・コロニーを経てチャールズ・クリュッグ・ワイナリーのものになり、ロバート・モンダヴィがそれを手に入れたという形になります。
オーパス・ワンは1981年と2008年に一部の畑を譲り受けました。また、1868年のオリジナル・トカロンの土地のうち89エーカーはボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyard=BV)を経て1993年にアンディ・ベクストファーが入手しています。
このほか1954年にステリング未亡人からヘドウィグ・デタートという人が46エーカーの土地を購入しています。その子孫のガンサー(Gunther)・デタートとアレン・ホートンが土地を2つに分け、どちらもモンダヴィにブドウを供給していました。現在はガンサーの孫のトム・ギャレットがデタート・ワイナリーを興し、アレン・ホートンの孫のアレックス・マクドナルドがマクドナルド・ワイナリーを興しています。
さて、冒頭の話に戻って、2001年にモンダヴィがシュレーダーを提訴した後、逆にベクストファー側は、トカロンは土地の名前であり、オリジナルのトカロンの畑であるからその名前が利用できると主張しました。結局両者は和解し、モンダヴィは依然商標を持っているものの、ベクストファーにトカロンの名前の使用を許可し、ベクストファー・トカロンのブドウを使うワイナリーも、その名前を利用できるようになったわけです。
一方で、マクドナルドやデタートは今もトカロンの名前を使えません。
トカロンと名乗ることの是非にはこのほか、ハミルトン・クラブの元でトカロンのワインにブドウが使われた実績があるかどうかなどを考慮することもあるようですが、話がややこしくなりすぎるのと、そこまで厳密にすることにはさほど意味がないという気がするので、そのあたりは省略します。
トカロンに関しては、そもそもどうしてここで最高のブドウが取れるのかといったことも大きな疑問の1つではあるのですが、そのあたりを考え出すと、夜も眠れなくなっちゃいそうなので、今日はここで切り上げることにします。
2013年の天候は申し分ないものでした。ただ、旱魃の影響で果実は小さく、通常よりも果皮の割合が高くなりました。結果として非常にタニックで長期熟成可能なワインが多くなったようです。リッジ(Ridge)のエリック・バウアーは「今世紀に入ってから一番タニック」だと言っていますが、一方で果実味や酸もしっかりあるため、高いレベルでバランスの良いワインになりました。
同誌は今回、40本近くのワインのレビューを掲載しており5本のワインに満点を付けています。
リッジ モンテ・ベッロ カベルネ・ソーヴィニヨン 2013
フィリップ・トーニ(Philip Togni) カベルネ・ソーヴィニヨン 2013
マクドナルド(MacDonald) カベルネ・ソーヴィニヨン 2013
ダン(Dunn) カベルネ・ソーヴィニヨン トレイラー・ヴィンヤード 2013
ドミナス(Dominus) 2013
リッジ以外は全部ナパです。また、いわゆる「山カベ」がリッジ、フィリップ・トーニ、ダンの3本と多くなっています。
実はこの中でマクドナルドとダンのトレイラーというのは知りませんでした。
マクドナルド(MACDONALD | Oakville, Napa Valley)は、ナパのオークヴィルにあり、実はかのトカロン(To-Kalon)の畑の一部を持っています。マクドナルド家は、ずっとブドウをモンダヴィに売っていましたが2010年から自身のワイナリーでもワインを作り始めたとのこと。これまでのところ、Wine AdvocateにもWine Spectatorにもレビューは載っていません。ただ、価格は500ドルくらいします。
写真はWebサイトからです。
ちょっと脱線しますが、実は同じようにトカロンの一部を持っていて、自身でワイナリーを始めた家族としてDetertというワイナリーもあります(Detert Family Vineyards - Homepage)。ただ、こちらはこれまでのところあまり評価は高くなく、価格もそれほどたかくありません。
話を戻してもう1つのダンのトレイラー(Trailer)はワイナリーのサイトにも掲載されていないワインです。ダンというと、自社畑のハウエル・マウンテンと購入したブドウのナパ・ヴァレーの2種類というのが、これまでの常識で、サイトにもそれしか載っていません。ごくごく限定で作っているのでしょうね。
トレイラーという名前は畑の前にトレーラーが置いてあることから名付けられたそうです。1972年にランディ・ダンが最初に植えた畑で、そのときに寝泊まりするためにトレーラーを置いたとのこと。ただ、残念ながらこの畑は2013年が最後のヴィンテージで2014年に樹を抜いてしまい、2015年に新しい樹を植えたとのこと。
満点5本の中でドミナスだけは既に2013年が日本に入ってきていますが、もう売り切れてしまっているところがほとんどのようです(実は昨日までは売っているところがありましたが、おそらくデカンター誌のを見て買った人がいたのでしょうね)。
Wine Advocate誌では2013年のドミナスは文句なく100点、このほか100点だった2010年や98+の2012年はまだあるのですが。
今年になって、布袋ワインズがロキオリの輸入を始め、昨日は社長の川上さんやコンサルタントの三木(香奈)さんがロキオリを訪れた様子がFacebookにあがっていました。メディアにもめったに登場しない現オーナーのトム・ロキオリ氏自ら畑を案内してくれたとのことで、写真を見るだけでこっちもどきどきでした。
で、ロキオリといえばピノ・ノワールという印象はありますが、実はソーヴィニヨンブランも極めて優秀です。1959年に植えたという古い畑もまだ残っており、その後に植えた畑のものとブレンドしているとのこと。
昨今、ソーヴィニヨンブランでも1万円を超えるものも登場してきており、スクリーミング・イーグルのソーヴィニヨンブランに至っては30万円でも買えないほど。ロバート・パーカーは2013年のものに88点をつけ「価格に困惑してしまう」と書いていますが…
そういう状況を考えると、歴史もあり味もお墨付きのロキオリのソーヴィニヨンブラン(とかスポッツウッドのソーヴィニヨンブラン)あたりはとても貴重な存在だと思います。
カリフォルニアワインあとりえでは、在庫限定でこのワインをセール中。税込みでも5000円を切ります。
その中からまずはアルパイン(Alpine)ヴィンヤードを試飲しました。
畑は太平洋から16kmほどのところ、標高360~450m、最大斜度40%という斜面の畑です。プリシマ層(Purisima Formation)という石灰質の地層のようです。かなり涼しく、急斜面で、根を伸ばすのも大変そうなブドウにとっては過酷な畑のようです。夏場でも最高気温は25℃くらいです。
ワインの色は意外と濃いです。若干濁っているような感じもあります。ベリーに花の香り。味わいは赤系の果実と青系の果実が7:3くらいの感じ。以前飲んだファミリー・ファームが完全にブルゴーニュ寄り、ベアワローが完全にカリフォルニア寄りという感じでしたが、これはその間、どちらかというとベアワローに近いかもしれません。
まだ若さを少し感じます。タンニンもしっかりしています。酸がきれいなのはリースの特徴の1つでしょう。青系の果実味がある程度入ってきても重さを感じずにすうっと飲めてしまいます。
リースのワインは熟成能力もかなりあるようなのですが、これだけおいしいと熟成させるまで我慢するのが大変ですね。
ちなみにWine Advocate誌では94点、Decanter誌では95点だそうです。
参考:最近飲んだワイン: マイケル・デイヴィッド セブン・デッドリー・ジンズ2013
セブン・デッドリー・ジンズはセブン・デッドリー・シン(7 deadly sin=7つの大罪)をもじったもの。in以外のものが入るともじった事自体は意味がなくなってしまいます。マイケル・デイビッド・ワイナリー、急成長の秘密という記事によると以前は7 Deadly Chardなんて名前のものもあったそうなので、それに比べればまだマシかという気はします。
テクニカルシートを見ても品種のブレンド比率などは書かれていません。おそらくジンファンデルやシラーなど、甘みがあってタンニンをあまり感じないようなものが中心になるのだろうと思います。アメリカン・オークを半分くらい使っているのも、樽のあまい香りを付けるためでしょう。
こちらに2匹めの土壌はいるでしょうか。
チャールズ・バンクスは元々スポーツ選手の資産を管理する仕事をしていたのですが、そのときにNBA(バスケット)のスターだったサン・アントニオ・スパーズのティム・ダンカン選手と知り合い、投資に関して助言をしていました。その助言した投資先のうちの1つが、チャールズ・バンクス自身の関連する会社で、ティム・ダンカンの投資によって、チャールズ・バンクスにもフィーが入る形になっていました。そのことを伏せたままティム・ダンカンにアドバイスをしたというのが、今回罪を認めた部分のようです。最悪の場合、懲役20年、25万ドルの罰金、被害者への賠償などが課せられます。
ティム・ダンカンはこのほかにも複数件の訴えをしており、それらについてはまだどうなるか分かりません。
今回の件はワインには関係ありませんが、賠償金の額によっては、マヤカマスのオーナーシップに影響が出ることもあるかもしれません。なお、チャールズ・バンクスはこのほか、テロワール・ライフという会社を通して、キュペやウインド、ギャップ、リバイアサンなどのワイナリーを所有しています。
アイコニックについては、こちらの記事もご覧ください。
4000円以下で美味しいワインを紹介していきたい――アイコニック アンドリュー・ダンバー社長
◎5000円以下
・モーガン G17 シラー 2014 3900円
少し軽めですが、芯もあって酸がきれいなシラー
・サムサラ シラー サンタ・バーバラ 2014 4950円
スパイシーでパワフルなシラー
・ストルプマン ソーヴィニヨンブラン 2016 3300円
青い草の香り、リッチ、シトラス、これはいいです
・ストルプマン パラマリア 2015 3800円
非常にバランスのいいシラー。これが3000円台はびっくりです。
◎5000~10000円
・モーガン ダブルL シャルドネ 7500円
リッチできれいな酸。1クラス上の味わい。おいしい
・メルヴィル シラー エステート 2014 5500円
ふくよかでパワフル、スパイシー
・ストルプマン オリジナルス シラー 2014 6500円
骨格のしっかりしたシラー。1ランク上の味わい
◎1万円超
・クレーン・アッセンブリー エル・ココ 2014 13000円
プリズナーを作ったデイブ・フィニーの新しいプロジェクトのワインです。昨年飲んだときは、ちょっと甘さが気になりました。今回も第一印象は濃くて甘い、だったのですが、後から酸がでてくると、急激に魅力を増してきました。
・フープス カベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル 2012 12800円
オークヴィルらしいきめの細かいタンニン。やや強めの酸が味わいを引き締めています。
・スプリング・マウンテン カベルネ・ソーヴィニヨン 2010 1万3000円
いかにも「山カベ」というがっしりしたワイン。タンニンもしっかり。
全体的にはシラーのコスパが目立ちました。ピノ・ノワールのいいのもあったのですが、コスパを考えるとシラーに魅力を感じるケースが多かったです。
参考:なんと!ヴァーナーがサンタ・クルーズ・マウンテンズのワインを打ち切り
その記事では、畑の所有者であるニーリー(Neely)が、この畑「Spring Ridge」の賃貸契約を打ち切ったのが原因であると書いており、ヴァーナーは今後サンタ・バーバラでワイン作りをすること、またSpring Ridgeの畑の今後については「生産打ち切り後は別のワイナリーがその畑のブドウでワインを作るという噂もありますが、そこは定かではありません」と書いています。
このニーリーが所有する畑について、自身でワイン作りを始めることが明らかになりました。ワイナリーのWebサイトがオープンしています。
Neely Wine
サイトの「ヒストリー」ページによると、畑のフェーズが1980年にヴァーナー兄弟がブドウ(シャルドネとゲヴェルツトラミネール)を植えてから、フェーズ2が1995年にニーリーが畑を購入して、ヴァーナーがワイン作りを行ったこと。ゲヴェルツトラミネールからピノ・ノワールへの植え替え(正確にはゲヴェルツトラミネールにピノ・ノワールを接ぎ木したそうです)をしています。
そして2016年からフェーズ3としてワインメーカーにシャリーニ・セカー(Shalini Sekhar)を迎えたことが書かれています。
この人はスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ、ウィリアムズ・セリエムなどを経て近年はロアー(Roar)のカスタム・クラッシュ向けワインメーカーとしてFurthermoreとWaits-Mast というワイナリーのワインを作ってきました。今後もWaits-Mastのしごとは続けるそうです。2015年にサンフランシスコ・インターナショナル・ワイン・コンペティションにおいてワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれているというから実力はあるのでしょうが、未知数な部分が大分あるのは否めません。
また、「IPOBミニインタビューその3――ロバート・ヴァーナー/ヴァーナー・ワイン」で聞いた話によると、ヴァーナーは畑の管理、特に冬の間の剪定にものすごく力を入れており、それがこれまでの品質に結びついてきたようでした。新しいワインメーカーは収穫以降の醸造には携わってきていますが畑の方まで面倒見られるのだろうかというあたりは心配材料です。
まずは、お手並み拝見といったところでしょうか。
貴重な、ヴァーナー兄弟によるSpring Ridgeの畑のワインです。
コストコで売っていた日本ワインです。エッチングが施されたボトルが何やら高級感を醸し出しているので、ちょっと期待して買ってみました。価格は2000円台後半だったと思います。
写真で分かるように、いろはかなり濃いです。プチ・シラーか何かのよう。味わいも濃いのかと思ったのですが、果実味乏しく、酸がかなり勝った味わい。わずかにスパイスも感じますが、やはり酸っぱい。
結局1本開けるのに5日もかかってしまいました。日にちが経つにつれ、酸もだんだんなじんでそれなりに飲みやすくはなりましたが、残念ながら美味しいと思える味ではなく。
もしかしたら、自分の舌がカリフォルニアワインに慣れすぎているからかもしれませんが、日本ワインの赤で納得できる味のものにはなかなか出会わないですね(そもそもまだほとんど飲んでないですが)。
こんな僕をギャフンと言わせる(古!)ようなワイン、教えてください