「英デカンター誌のベスト・イン・ショーにトレフェッセンのカベルネ
」で紹介したように、トレフェッセンのカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネが今年、英デカンター誌で非常に高く評価されました。
先日、トレフェッセンの他のワインも試飲する機会がありましたが、その中でも気に入ったワインが2つありました。一つはカベルネ・フラン 2017、もう一つはドラゴンズ・トゥース 2017です。
カベルネ・フランはナパでも珍しいカベルネ・フラン100%のワイン。ドラゴンズ・トゥースはマルベックが54%で中心的存在というさらに珍しいワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン25%にプティ・ヴェルドが16%入っているのも相当ユニーク。残り5%はメルローです。
カベルネ・フランはいかにもフランらしい青っぽい味わいを持ったもの。ナパの最高級のカベルネ・フランでは青っぽさを感じないものも多いですが、これはあえてフランっぽさを出しているのがいい感じです。カベルネ・ソーヴィニヨンより軽やかさがあり、きれいな果実味と相まって美味しいです。
ドラゴンズ・トゥースは逆に重厚感にあふれています。濃厚でパワフル、タンニンもしっかりしています。トレフェッセンはカベルネ・ソーヴィニヨンもどちらかというとエレガントな作りですから、このワイナリーでは随一といっていいほどのパワフルタイプです。
トレフェッセンはナパのオーク・ノールにあります。ハイウェイ29沿いにワイナリーがあり、その周りを取り囲む400エーカーの「メイン・ランチ」とマヤカマスの山の方にある40エーカーの「ヒルスプリング」の2つの自社畑ですべてのワインのブドウを作っています。メイン・ランチには9つの品種。ヒルスプリングにはボルドー系の5品種が植わっています。
オーク・ノールはカーネロスの北、ヨントヴィルの南でナパの中では比較的冷涼なところ。メイン・ランチは20もの土壌に分かれており、それぞれに合った品種を植え、収穫時期を変えることで、一つの畑で様々な品種をうまく育てることに成功しています。ナパの中では比較的価格も抑えられていますから、ぜひ多くの人に飲んでほしいワインです。
ドラゴンズ・トゥースは上記のテイスティングとはヴィンテージが異なります。
デカンターで最高の賞を取ったのはこちらです。
」で紹介したように、トレフェッセンのカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネが今年、英デカンター誌で非常に高く評価されました。
先日、トレフェッセンの他のワインも試飲する機会がありましたが、その中でも気に入ったワインが2つありました。一つはカベルネ・フラン 2017、もう一つはドラゴンズ・トゥース 2017です。
カベルネ・フランはナパでも珍しいカベルネ・フラン100%のワイン。ドラゴンズ・トゥースはマルベックが54%で中心的存在というさらに珍しいワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン25%にプティ・ヴェルドが16%入っているのも相当ユニーク。残り5%はメルローです。
カベルネ・フランはいかにもフランらしい青っぽい味わいを持ったもの。ナパの最高級のカベルネ・フランでは青っぽさを感じないものも多いですが、これはあえてフランっぽさを出しているのがいい感じです。カベルネ・ソーヴィニヨンより軽やかさがあり、きれいな果実味と相まって美味しいです。
ドラゴンズ・トゥースは逆に重厚感にあふれています。濃厚でパワフル、タンニンもしっかりしています。トレフェッセンはカベルネ・ソーヴィニヨンもどちらかというとエレガントな作りですから、このワイナリーでは随一といっていいほどのパワフルタイプです。
トレフェッセンはナパのオーク・ノールにあります。ハイウェイ29沿いにワイナリーがあり、その周りを取り囲む400エーカーの「メイン・ランチ」とマヤカマスの山の方にある40エーカーの「ヒルスプリング」の2つの自社畑ですべてのワインのブドウを作っています。メイン・ランチには9つの品種。ヒルスプリングにはボルドー系の5品種が植わっています。
オーク・ノールはカーネロスの北、ヨントヴィルの南でナパの中では比較的冷涼なところ。メイン・ランチは20もの土壌に分かれており、それぞれに合った品種を植え、収穫時期を変えることで、一つの畑で様々な品種をうまく育てることに成功しています。ナパの中では比較的価格も抑えられていますから、ぜひ多くの人に飲んでほしいワインです。
ドラゴンズ・トゥースは上記のテイスティングとはヴィンテージが異なります。
デカンターで最高の賞を取ったのはこちらです。
カリフォルニアのモントレーに広大な自社畑を持つシャイド・ファミリーの新作「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(Sunny with a Chance of Flowers)をいただきました。低カロリー、低アルコールを売りにしているワインです。こういったワインは「美味しくない」というのが相場ですが、このワインはいい方に期待が裏切られました。
ラインアップは白ワインがシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン。赤ワインがピノ・ノワールです。アルコール度数はいずれも9%、カロリーは5オンスあたり85kcalとなっています。
アルコール度数は明らかに低いですね。カリフォルニアワインの場合だと14%程度のものが多いですから、2/3程度になっています。一方、カロリーはちょっとわかりにくいですが、100gあたりに換算すると60kcal程度。普通のワインが100gあたり75kcal程度と言われていますから2割弱低カロリーになっています。
どうやってこれを実現しているのかというと、残糖がないように完全に発酵させ、一部のワインを抜き取って、アルコールを除去し、ブレンドしているとのこと。おそらく逆浸透膜法を使ってアルコールを抜いているのかと思います。
実際に飲んでみました。
シャルドネは、残糖がないにもかかわらず、ちょっとトロピカルフルーツのフレーバーも感じます。パイナップル、パッションフルーツや、リンゴ、レモンの風味。バニラのフレーバーもあります。予想以上に本格的なワイン。美味しいです。
ソーヴィニヨン・ブランはとても爽やか。グレープフルーツに青い草、濡れた石。伸びやかな酸が気持ちいいです。これもかなりの本格派。
ピノ・ノワールは残糖がない分、かなり酸味の強いタイプになるので、多少好みが分かれそうな気がします。イチゴやラズベリーのジューシーな味わいがきれいでキュートなワイン。
いずれもアルコール度が低いので、すいすい飲めてしまいます。逆に飲み過ぎには注意が要るかも。
希望小売価格はいずれも1950円。輸入元のオルカ・インターナショナルのサイトから直接買うこともできます。
ラベルも爽やかでおしゃれだし、ヘルシーで美味しい。価格もいい感じでこれは人気出るのではないでしょうか。特にシャルドネはもうちょっと高級かなと思うくらいの出来でした。
敢えて難を言うなら名前が長くて覚えにくいこと。米国では通称「サニー・ワイン」と呼んでいるようなので、その名前が広がるのがいいのかなと思います。
オルカ・インターナショナルのサイト
ラインアップは白ワインがシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン。赤ワインがピノ・ノワールです。アルコール度数はいずれも9%、カロリーは5オンスあたり85kcalとなっています。
アルコール度数は明らかに低いですね。カリフォルニアワインの場合だと14%程度のものが多いですから、2/3程度になっています。一方、カロリーはちょっとわかりにくいですが、100gあたりに換算すると60kcal程度。普通のワインが100gあたり75kcal程度と言われていますから2割弱低カロリーになっています。
どうやってこれを実現しているのかというと、残糖がないように完全に発酵させ、一部のワインを抜き取って、アルコールを除去し、ブレンドしているとのこと。おそらく逆浸透膜法を使ってアルコールを抜いているのかと思います。
実際に飲んでみました。
シャルドネは、残糖がないにもかかわらず、ちょっとトロピカルフルーツのフレーバーも感じます。パイナップル、パッションフルーツや、リンゴ、レモンの風味。バニラのフレーバーもあります。予想以上に本格的なワイン。美味しいです。
ソーヴィニヨン・ブランはとても爽やか。グレープフルーツに青い草、濡れた石。伸びやかな酸が気持ちいいです。これもかなりの本格派。
ピノ・ノワールは残糖がない分、かなり酸味の強いタイプになるので、多少好みが分かれそうな気がします。イチゴやラズベリーのジューシーな味わいがきれいでキュートなワイン。
いずれもアルコール度が低いので、すいすい飲めてしまいます。逆に飲み過ぎには注意が要るかも。
希望小売価格はいずれも1950円。輸入元のオルカ・インターナショナルのサイトから直接買うこともできます。
ラベルも爽やかでおしゃれだし、ヘルシーで美味しい。価格もいい感じでこれは人気出るのではないでしょうか。特にシャルドネはもうちょっと高級かなと思うくらいの出来でした。
敢えて難を言うなら名前が長くて覚えにくいこと。米国では通称「サニー・ワイン」と呼んでいるようなので、その名前が広がるのがいいのかなと思います。
オルカ・インターナショナルのサイト
オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)のフラッグシップのピノ・ノワールといえば、娘の名前を付け様々な畑からのいいブドウを使ったイザベルか、息子の名前を付けて銘醸畑ビエン・ナシードの中でもよりすぐりのワインを作るノックス・アレキサンダーを思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、この2つは毎年作られるオー・ボン・クリマを代表する素晴らしいワインですが、実はめったに作られない「幻」と言ってもいいフラッグシップがあります。それが「ラーム・ド・グラップ(Larms de Grappe)」。2001年と2005年に作られてから10年以上も作られていませんでしたが2016年に久々に作られ、それがようやく出荷されて国内にも入って来ています。
なぜ、こんなにも作られないのかというと、100%除梗なしの全房発酵のワインだから。
英語でホール・クラスターと呼ばれる全房発酵で作ったワインは茎からの抽出による複雑さが味わいを深めますが、一方で青臭くなったりタンニンがきつくなったりとデメリットもあります。有名なところではDRCが全房発酵を行っています。一方、オー・ボン・クリマのピノ・ノワールの場合はイザベルもノックスも基本的にはすべて除梗します。創設者ジム・クレンデネンが師匠と仰ぐアンリ・ジャイエに倣っています。
オー・ボン・クリマの場合は、全房発酵を行っても茎からの青みが出ないような年だけこのワインを作っているのです。とはいえ前回作られた2005年のものを近年試飲したことがありますが、10年以上熟成していてもまだタンニンがかなり強く、ガチガチのワインで正直言って美味しく飲むのはちょっと難しいかもと感じました。
今回2016年のものを試飲しましたが、これは非常にいいです。全房らしい深みや複雑さがきちんとあり、一方で今飲んでも十分おいしく、バランスもよく作られています。今飲んでも2005年よりもずっと飲みやすいし、10年以上の熟成も可能だと思います。2005年のものは実売2万円を超えますが、今回は価格も抑えられています。手に入れる価値のあるフラッグシップになったと思います。ヴィナスのアントニオ・ガッローニは95+とかなり高い評価を付けています。
なお、畑はビエン・ナシードと双璧をなすサンタ・バーバラの銘醸畑サンフォード・アンド・ベネディクトです。
もちろん、この2つは毎年作られるオー・ボン・クリマを代表する素晴らしいワインですが、実はめったに作られない「幻」と言ってもいいフラッグシップがあります。それが「ラーム・ド・グラップ(Larms de Grappe)」。2001年と2005年に作られてから10年以上も作られていませんでしたが2016年に久々に作られ、それがようやく出荷されて国内にも入って来ています。
なぜ、こんなにも作られないのかというと、100%除梗なしの全房発酵のワインだから。
英語でホール・クラスターと呼ばれる全房発酵で作ったワインは茎からの抽出による複雑さが味わいを深めますが、一方で青臭くなったりタンニンがきつくなったりとデメリットもあります。有名なところではDRCが全房発酵を行っています。一方、オー・ボン・クリマのピノ・ノワールの場合はイザベルもノックスも基本的にはすべて除梗します。創設者ジム・クレンデネンが師匠と仰ぐアンリ・ジャイエに倣っています。
オー・ボン・クリマの場合は、全房発酵を行っても茎からの青みが出ないような年だけこのワインを作っているのです。とはいえ前回作られた2005年のものを近年試飲したことがありますが、10年以上熟成していてもまだタンニンがかなり強く、ガチガチのワインで正直言って美味しく飲むのはちょっと難しいかもと感じました。
今回2016年のものを試飲しましたが、これは非常にいいです。全房らしい深みや複雑さがきちんとあり、一方で今飲んでも十分おいしく、バランスもよく作られています。今飲んでも2005年よりもずっと飲みやすいし、10年以上の熟成も可能だと思います。2005年のものは実売2万円を超えますが、今回は価格も抑えられています。手に入れる価値のあるフラッグシップになったと思います。ヴィナスのアントニオ・ガッローニは95+とかなり高い評価を付けています。
なお、畑はビエン・ナシードと双璧をなすサンタ・バーバラの銘醸畑サンフォード・アンド・ベネディクトです。
スモール・ヴァインズ(Small Vines)のロシアン・リバー・ヴァレー・ピノ・ノワール 2008がしあわせワイン倶楽部に25%引きで入荷しています。2013年のコンクール「日本で飲もう最高のワイン」の赤ワイン・フルボディ部門で、専門家・愛好家両方の最高レベルであるプラチナを取り、さらに1本だけ選ばれるベストワインも獲得したというワインそのものです。
スモール・ヴァインズはソノマでポール・スローン(Paul Sloan)という人が作ったワイナリー。この人は元々ブドウ畑の管理の会社をやっていて、カリフォルニアでは珍しい1m×1mの密植で、樹の高さも1.5m以下くらいに抑えています。PinotFileや、今はなくなってしまったPinot Reportといったピノ・ノワールの専門媒体で高く評価され、日本にも一時期輸入されていました。今回はおそらくその倉庫から出てきたものなのでしょう。私も、2007年のロシアン・リバー・ヴァレー・ピノ・ノワールを飲んだことがありますが、「ピュアな果実味があり、エレガントながらもフレーバーはしっかりとしている、とてもいいピノ・ノワール」と感想を書いています。
おそらく保存状態はいいでしょうから、ほどよく熟成した味わいも楽しめるのではないかと思います。
スモール・ヴァインズはソノマでポール・スローン(Paul Sloan)という人が作ったワイナリー。この人は元々ブドウ畑の管理の会社をやっていて、カリフォルニアでは珍しい1m×1mの密植で、樹の高さも1.5m以下くらいに抑えています。PinotFileや、今はなくなってしまったPinot Reportといったピノ・ノワールの専門媒体で高く評価され、日本にも一時期輸入されていました。今回はおそらくその倉庫から出てきたものなのでしょう。私も、2007年のロシアン・リバー・ヴァレー・ピノ・ノワールを飲んだことがありますが、「ピュアな果実味があり、エレガントながらもフレーバーはしっかりとしている、とてもいいピノ・ノワール」と感想を書いています。
おそらく保存状態はいいでしょうから、ほどよく熟成した味わいも楽しめるのではないかと思います。
平林園枝さんが作るシックス・クローヴズ(Six Cloves)の3ヴィンテージ目のワインが国内に入っています。最初のヴィンテージはシャルドネだけ(リトライなどで修行した日本人の造るワインデビュー作)、2年めはスティーブ・マサイアソンのシャルドネにピノ・ノワール(平林園枝さんの第2作を改めて試飲、やっぱりこれは美味しい)、3年目はどうなるのかと思っていたら、予想もしない方向で進化していました。
3ヴィンテージ目はシャルドネとプリミティーヴォに赤ブレンドの3種類(記事公開当初ピノ・ノワールも入れていましたが、2019はピノ・ノワールはなく今回試飲したのは前ヴィンテージの2018でした)。いずれもヴィンテージは2019です。なお、シックス・クローヴズはブドウ畑は持っておらず、ブドウはすべて購入、醸造はソノマのメドロック・エイムズで行っています。
シャルドネは2018年と同じくスティーブ・マサイアソンのリンダ・ヴィスタ(ナパ)の畑。柑橘系の風味に酸がきれいに伸びてくる印象のワイン。白い花の香り。たおやかでしなやかなワインです。前ヴィンテージ同様、とてもおいしい。
ピノ・ノワール(2018年)はソノマ・コーストのブドウを使ったもの。畑はペタルマ・ギャップ。これも酸が印象的なワイン。
ここまでは前ヴィンテージからの踏襲で、驚きはなかったのですが、残り2種類の赤ワインはびっくりしました。
一つはソノマ・ヴァレーのプリミティーヴォ(ジンファンデル)。ソノマのケンウッドにあるBenguerel(ベンゲレル)という畑で、オーガニックかつ灌漑なしでブドウを育てています。そのブドウを除梗なしで醸造しています。平林さんのブログ(Whole Cluster Fermented Primitivo?Really?)に詳しく書かれていますが、除梗なしで醸造するというのは彼女の夢の一つで、その難しさはゲイリー・ファレルで働いたときにワインメーカーのテレサからよく聞かされたそうです。
しかも今回は天然酵母にこだわったため、醸造はかなり大変でした。除梗しないということはブドウの実に傷や穴がない状態なので果汁が出てくることもなくさらに酵母も与えていないため、そもそも発酵が始まるのかどうかも定かではありません。そこで昔ながらの足でブドウを踏み潰すストンピングによって果汁を出して発酵をうながしたそうです。
そのワインの味わいはふくよかで赤系のピュアな果実味があり、酸がしっかりしているのと同時に、味に深みもありバランスもいい。一般的なジンファンデルの味わいとは大きく異なりますが、非常にレベルの高いワイン。個人的にはこのヴィンテージのイチオシです。
そして最後がカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを半分ずつ使った赤ブレンド。これも驚きでなんと畑はソノマとナパの南端に当たるロス・カーネロス(ソノマ側)にあります。海に近く冷涼なため、ブドウの糖度はあまり上がりません。糖度が22度とカリフォルニアにしては低い状態で収穫しています。一般的な赤ブレンドというと、やや濃い目で甘めの作りになったものが多いですが、これは冷涼感あふれる味わいで全く意表を突かれました。
ピノ・ノワールを含めた4種に共通しているのはやはり冷涼感があり、いずれも酸がきれいに感じられること。そのピュアさが引き立つシャルドネと、果実味とのバランスが素晴らしかったプリミティーヴォが今回は特に良かったです。
3ヴィンテージ目はシャルドネとプリミティーヴォに赤ブレンドの3種類(記事公開当初ピノ・ノワールも入れていましたが、2019はピノ・ノワールはなく今回試飲したのは前ヴィンテージの2018でした)。いずれもヴィンテージは2019です。なお、シックス・クローヴズはブドウ畑は持っておらず、ブドウはすべて購入、醸造はソノマのメドロック・エイムズで行っています。
シャルドネは2018年と同じくスティーブ・マサイアソンのリンダ・ヴィスタ(ナパ)の畑。柑橘系の風味に酸がきれいに伸びてくる印象のワイン。白い花の香り。たおやかでしなやかなワインです。前ヴィンテージ同様、とてもおいしい。
ピノ・ノワール(2018年)はソノマ・コーストのブドウを使ったもの。畑はペタルマ・ギャップ。これも酸が印象的なワイン。
ここまでは前ヴィンテージからの踏襲で、驚きはなかったのですが、残り2種類の赤ワインはびっくりしました。
一つはソノマ・ヴァレーのプリミティーヴォ(ジンファンデル)。ソノマのケンウッドにあるBenguerel(ベンゲレル)という畑で、オーガニックかつ灌漑なしでブドウを育てています。そのブドウを除梗なしで醸造しています。平林さんのブログ(Whole Cluster Fermented Primitivo?Really?)に詳しく書かれていますが、除梗なしで醸造するというのは彼女の夢の一つで、その難しさはゲイリー・ファレルで働いたときにワインメーカーのテレサからよく聞かされたそうです。
しかも今回は天然酵母にこだわったため、醸造はかなり大変でした。除梗しないということはブドウの実に傷や穴がない状態なので果汁が出てくることもなくさらに酵母も与えていないため、そもそも発酵が始まるのかどうかも定かではありません。そこで昔ながらの足でブドウを踏み潰すストンピングによって果汁を出して発酵をうながしたそうです。
そのワインの味わいはふくよかで赤系のピュアな果実味があり、酸がしっかりしているのと同時に、味に深みもありバランスもいい。一般的なジンファンデルの味わいとは大きく異なりますが、非常にレベルの高いワイン。個人的にはこのヴィンテージのイチオシです。
そして最後がカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを半分ずつ使った赤ブレンド。これも驚きでなんと畑はソノマとナパの南端に当たるロス・カーネロス(ソノマ側)にあります。海に近く冷涼なため、ブドウの糖度はあまり上がりません。糖度が22度とカリフォルニアにしては低い状態で収穫しています。一般的な赤ブレンドというと、やや濃い目で甘めの作りになったものが多いですが、これは冷涼感あふれる味わいで全く意表を突かれました。
ピノ・ノワールを含めた4種に共通しているのはやはり冷涼感があり、いずれも酸がきれいに感じられること。そのピュアさが引き立つシャルドネと、果実味とのバランスが素晴らしかったプリミティーヴォが今回は特に良かったです。
シュレーダー(Schrader)などのワインメーカーとして知られているトーマス・リヴァース・ブラウンのプライベート・ブランド「リヴァース・マリー(Rivers-Marie)」(Marieは奥さんのミドルネーム)。ソノマのピノ・ノワールやシャルドネをメインとしていますが、カベルネ・ソーヴィニョンもレベルが高く、しかもコスパもよいことで知られています。
カベルネ・ソーヴィニョンだけでも、いくつかの畑のワインを作っていますが、2016年から加わったのがセント・ヘレナのハーブ・ラム(Herb Lamb)ヴィンヤード。1990年代にはコルギン(Colgin)のワインの畑として一世を風靡したところです(当時のコルギンのワインはハーブ・ラムのみでした)。
その後、フィロキセラで植え替えを余儀なくされ、2007年を最後にコルギンとしてのワインはなくなり、自身のブランドとして続けていました。そして、2016年からこの畑のワインを作り始めたのがリヴァース・マリーで、この年のワインはワイン・アドヴォケイトやヴィナスで95点を超える高い評価を得ました(国内未輸入)。
2017年は山火事による煙汚染の影響でワインは作られず、今回2018年のものが輸入されてきました。試飲の第一印象はとにかく華やかなワイン。果実味強く、重さをあまり感じません。といって薄かったり軽かったりするワインというわけではなく、ジューシーでナパのカベルネ・ソーヴィニョンらしいきめ細やかなタンニンがあり、満足感の高いワインです。これも94、5点は付くのではないかと思います。
実は2020年からはハーブ・ラムのオーナーの引退によって畑自体をトーマス・リヴァース・ブラウンにリースすることになったため、今後は自社畑という扱いになります。おそらくブドウの品質もさらに上がり、リヴァース・マリーを代表するワインの一つ、というかナパのトップクラスの一員になっていくだろうと思います。
カベルネ・ソーヴィニョンだけでも、いくつかの畑のワインを作っていますが、2016年から加わったのがセント・ヘレナのハーブ・ラム(Herb Lamb)ヴィンヤード。1990年代にはコルギン(Colgin)のワインの畑として一世を風靡したところです(当時のコルギンのワインはハーブ・ラムのみでした)。
その後、フィロキセラで植え替えを余儀なくされ、2007年を最後にコルギンとしてのワインはなくなり、自身のブランドとして続けていました。そして、2016年からこの畑のワインを作り始めたのがリヴァース・マリーで、この年のワインはワイン・アドヴォケイトやヴィナスで95点を超える高い評価を得ました(国内未輸入)。
2017年は山火事による煙汚染の影響でワインは作られず、今回2018年のものが輸入されてきました。試飲の第一印象はとにかく華やかなワイン。果実味強く、重さをあまり感じません。といって薄かったり軽かったりするワインというわけではなく、ジューシーでナパのカベルネ・ソーヴィニョンらしいきめ細やかなタンニンがあり、満足感の高いワインです。これも94、5点は付くのではないかと思います。
実は2020年からはハーブ・ラムのオーナーの引退によって畑自体をトーマス・リヴァース・ブラウンにリースすることになったため、今後は自社畑という扱いになります。おそらくブドウの品質もさらに上がり、リヴァース・マリーを代表するワインの一つ、というかナパのトップクラスの一員になっていくだろうと思います。
ソノマ・ヴァレーにあるオールド・ヒル・ランチは1852年から続く、おそらくカリフォルニアで現存する最も古いブドウ畑です。植え替えによって、今残っている一番古い樹は1880年代と考えられていますが、それでも140年近くたっていることになります。
かつてはレイヴンズウッドのフラッグシップとして知られたワインですが、オーナーだったジョエル・ピーターソンが醸造から離れた今世紀になってからは品質もぱっとしないという評価が固まってきていました。
ところが2019年に驚くべき話が飛び込んできました。2018年からジョエル・ピーターソンの息子のモーガンが自身のワイナリー「ベッドロック」でオールド・ヒル・ランチのワインを作り始めたというのです(「ベッドロックのフラッグシップ・ワインの垂直試飲」で既報)。さらにジョエル・ピーターソンが自身で作るワンス・アンド・フューチャーでもオールド・ヒル・ランチのジンファンデルを作り始めました。
先日、そのワンス・アンド・フューチャー版を試飲する機会があったのですが、これがすばらしかったのです。
非常にパワフルかつタニック。レイヴンズウッド時代に「ノー・ウィンピー・ワイン(軟弱なワインはつくらない)」という標語を掲げただけのことはあります。非常に重厚かつ重層的な味わい。うまみ要素がこれでもかというほど押し寄せてきます。今回はベッドロック版はありませんでしたが、両方飲み比べたらおそらくワイナリーの個性がよりはっきり出ると思います。
すでに、ベッドロックの自社畑ベッドロックのワインを両方で作っていますが、そこでもワンス・アンド・フューチャーはパワフル、ベッドロックは複雑と、個性が分かれていました。
ちなみに2018年のオールド・ヒル、ヴィナスはベッドロック版に96点、ワンス・アンド・フューチャー版に95点と非常に高い評価を付けています。ジンファンデルファンであったら必ず飲むべきワインと言ってもいいでしょう。
ベッドロック版は既にインポーター完売だそうです。
かつてはレイヴンズウッドのフラッグシップとして知られたワインですが、オーナーだったジョエル・ピーターソンが醸造から離れた今世紀になってからは品質もぱっとしないという評価が固まってきていました。
ところが2019年に驚くべき話が飛び込んできました。2018年からジョエル・ピーターソンの息子のモーガンが自身のワイナリー「ベッドロック」でオールド・ヒル・ランチのワインを作り始めたというのです(「ベッドロックのフラッグシップ・ワインの垂直試飲」で既報)。さらにジョエル・ピーターソンが自身で作るワンス・アンド・フューチャーでもオールド・ヒル・ランチのジンファンデルを作り始めました。
先日、そのワンス・アンド・フューチャー版を試飲する機会があったのですが、これがすばらしかったのです。
非常にパワフルかつタニック。レイヴンズウッド時代に「ノー・ウィンピー・ワイン(軟弱なワインはつくらない)」という標語を掲げただけのことはあります。非常に重厚かつ重層的な味わい。うまみ要素がこれでもかというほど押し寄せてきます。今回はベッドロック版はありませんでしたが、両方飲み比べたらおそらくワイナリーの個性がよりはっきり出ると思います。
すでに、ベッドロックの自社畑ベッドロックのワインを両方で作っていますが、そこでもワンス・アンド・フューチャーはパワフル、ベッドロックは複雑と、個性が分かれていました。
ちなみに2018年のオールド・ヒル、ヴィナスはベッドロック版に96点、ワンス・アンド・フューチャー版に95点と非常に高い評価を付けています。ジンファンデルファンであったら必ず飲むべきワインと言ってもいいでしょう。
ベッドロック版は既にインポーター完売だそうです。
ハーラン・エステート(Harlan Estate)を擁するハーラン・ファミリーのブランドには、ほかにボンド(Bond)とプロモントリー(Promontory)がありますが、セカンド格のワインでも今では3万円を下らないのが実情です。その中で、ハーラン、ボンド、プロモントリーの若木のブドウを使ったマスコット(Mascot)の希望小売価格が1万円さがって2万3000円になりました。
しあわせワイン倶楽部では税抜きで1万9800円まで下げています。
先日「『私の中のハーランが…』と彼女は言った」という記事で、アカデミー・デュ・ヴァンで行ったハーラン系6種類を試飲するセミナーの報告をしましたが、ここでもマスコットもちろん試飲しています。
ヴィンテージは2014年と意外と古いのですが、若木を使っているせいか、比較的味わいも若々しく、タンニンも比較的強く感じます。今飲むならデカンタージュして飲むのがいいかもしれません。ちなみにセミナーのときは1時間半前に抜栓してダブルデカンタ(1回デカンタに移してからさらにボトルに戻す)して提供しています。
しあわせワイン倶楽部では税抜きで1万9800円まで下げています。
先日「『私の中のハーランが…』と彼女は言った」という記事で、アカデミー・デュ・ヴァンで行ったハーラン系6種類を試飲するセミナーの報告をしましたが、ここでもマスコットもちろん試飲しています。
ヴィンテージは2014年と意外と古いのですが、若木を使っているせいか、比較的味わいも若々しく、タンニンも比較的強く感じます。今飲むならデカンタージュして飲むのがいいかもしれません。ちなみにセミナーのときは1時間半前に抜栓してダブルデカンタ(1回デカンタに移してからさらにボトルに戻す)して提供しています。
エノテカがケンダル・ジャクソン(Kendall-Jackson)のヴィントナーズ・リザーヴ・シリーズの5本セットを限定で25%引きで販売しています。ネットのみの扱いです。
品種はカベルネ・ソーヴィニョン、ピノ・ノワール、ジンファンデル、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン。ヴィンテージはソーヴィニョン・ブランが2019年で後は2018年です。
中でもシャルドネはケンダル・ジャクソンの代名詞的存在。あえて残糖を多くした作りで一世を風靡したので、甘いワインというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、少なくとも今は不自然な甘さはなく、カリフォルニアのシャルドネの代表格の一つだと思います。2018年もヴィナスで90点が付いています。
品種はカベルネ・ソーヴィニョン、ピノ・ノワール、ジンファンデル、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン。ヴィンテージはソーヴィニョン・ブランが2019年で後は2018年です。
中でもシャルドネはケンダル・ジャクソンの代名詞的存在。あえて残糖を多くした作りで一世を風靡したので、甘いワインというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、少なくとも今は不自然な甘さはなく、カリフォルニアのシャルドネの代表格の一つだと思います。2018年もヴィナスで90点が付いています。
ワイナートのカリフォルニア・ピノ・ノワール特集で最高の99点を獲得し、「瞬殺」になったリトライ(Littorai)のピヴォット(Pivot)ヴィンヤードがしあわせワイン倶楽部に再入荷しています。
リトライのオーナーのテッド・レモンはビオディナミ(バイオダイナミクス)の実践者として知られており、カリフォルニアでも多くのワインメーカーに尊敬されています。カリフォルニアのワインメーカーの中でも哲学を感じる人の一人です。
ピヴォットはそんなリトライの自社畑であり、それだけ大事なワインと言えるでしょう。
リトライのオーナーのテッド・レモンはビオディナミ(バイオダイナミクス)の実践者として知られており、カリフォルニアでも多くのワインメーカーに尊敬されています。カリフォルニアのワインメーカーの中でも哲学を感じる人の一人です。
ピヴォットはそんなリトライの自社畑であり、それだけ大事なワインと言えるでしょう。