昨年の春に「ドルーアンが造る高評価のオレゴンピノが格安」という記事で紹介したドルーアンがオレゴンで作るピノ・ノワール「ローズロック」。2019年はワイン・アドヴォケイトでピノ・ノワールが97点、シャルドネはなんと99点という高評価。国内でも税込み5000円強という安さで、一瞬にして売り切れました。
2021年はアドヴォケイトの評価はまだ出ていませんが、ピノ・ノワールはワイン・エンスージアストで94点(エディターズチョイス)、シャルドネはジェームズ・サックリングで94点と、上記ほどではないにしろ、十分に高い評価が出ています。
何よりも、この値上げラッシュの中でピノ・ノワールがまだ5000円台半ば、シャルドネは4000円台というのはありがたい限り。ワイナリー価格はどちらも42ドルなので、1万円近い値段がついても全然不思議ではないところです。
ちなみにドルーアンは元々ドメーヌ・ドルーアンという名前でオレゴンのダンディー・ヒルズのパイオニアの一つとしてオレゴンのワインを切り開いてきました。ローズロックは、近年注目が高まっているエオラ・アミティ・ヒルズに新たに作った畑のブドウを使ったブランドで、ドメーヌ・ドルーアンとは並び立つ関係にあります。
こちらはWassy'sです。
2021年はアドヴォケイトの評価はまだ出ていませんが、ピノ・ノワールはワイン・エンスージアストで94点(エディターズチョイス)、シャルドネはジェームズ・サックリングで94点と、上記ほどではないにしろ、十分に高い評価が出ています。
何よりも、この値上げラッシュの中でピノ・ノワールがまだ5000円台半ば、シャルドネは4000円台というのはありがたい限り。ワイナリー価格はどちらも42ドルなので、1万円近い値段がついても全然不思議ではないところです。
ちなみにドルーアンは元々ドメーヌ・ドルーアンという名前でオレゴンのダンディー・ヒルズのパイオニアの一つとしてオレゴンのワインを切り開いてきました。ローズロックは、近年注目が高まっているエオラ・アミティ・ヒルズに新たに作った畑のブドウを使ったブランドで、ドメーヌ・ドルーアンとは並び立つ関係にあります。
こちらはWassy'sです。
ナパでいま、注目されている品種の一つがカベルネ・フランです。カベルネ・ソーヴィニヨンから植え替えているという話も結構あるそうですし、ブレンド品種としてだけでなく、75%以上カベルネ・フランを使ったヴァラエタル・ワインとしても存在感が増しています。
カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると生産量は1桁違いますが、実はブドウの価格が一番高いのはカベルネ・フラン。近年の人気で引く手あまたになっています。
一方で、ヴィナスのアントニオ・ガッローニは「青臭く、薄く、品種の表現力に乏しく、説得力に欠け、時間を費やす価値のないワインも多く味わった」と書いており、水準に達していないワインも珍しくないようです。カベルネ・フランはカベルネ・ソーヴィニヨンと比べて栽培が難しく、栽培適地もまだ試行錯誤の面があります。ガッローニは「フランはピノ・ノワールのようなものだ。良いときは本当に良い。しかし、悪いときは本当に悪い」とも書いています。
先日、アカデミー・デュ・ヴァンで、私としては初めてカベルネ・フランだけのクラスを行いました。ナパで買ってきたワインが大半であり、初めて飲むワインも多く、凶と出るか吉と出るか、私自身もちょっとどきどきしながらの講座でした。
最初の2本はトルシャード(Truchard)のカベルネ・フランとハドソン(Hudson)のカベルネ・フラン・ブレンド「オールド・マスター」。どちらも冷涼なカーネロスのワインです。冷涼な地域の中でもこの2つのワイナリーはやや丘になった畑も多く、海からの冷気を多少なりとも防ぐことができます。ハドソンはカベルネ・フランやシラーの評価も非常に高く、トルシャードはカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルも作っています。
トルシャードのカベルネ・フランは、一番冷涼感があり、エレガント系の味わい。一方、ハドソンは非常に複雑味のあるワインですが、とにかくまだ若くて固い(ヴィンテージはどちらも2020)。ポテンシャルはむちゃくちゃ感じましたが、もう5年は寝かしたいワインでした。人気も2分でしたが、暑い日でもあり今日のむならトルシャード、というのが私の選択。ちなみにトルシャードのカベルネ・フランは定価45ドルでオールドマスター(150ドル)の3分の1以下の価格。この日のワインの中ではダントツの安さでしたがよくできていました。
次の2本はヴァカ山脈系の山のワインであるファヴィア(Favia)のセロ・スール(Cerro Sur)とマヤカマス系のスプリング・マウンテンにあるキーナン(Keenan)の対決。Faviaはこの日のワインの中で一番濃厚。ヴァカ山脈系らしい日当たりを感じるワイン。一方、キーナンはマヤカマス系らしい緻密なタンニンを感じます。これも甲乙つけ難いワインでしたが、個人的にはセロ・スールの力強さに軍配を上げたい気がしました。
最後の日本はヴァレー・フロア系。ダックホーン(Duckhorn)とデタート(Detert)です。ダックホーンのカベルネ・フランは、カベルネ・フランらしさがあるかどうかちょっと心配でしたが予想以上に美味しく驚きました。
デタートは、かのト・カロン・ヴィンヤードのオリジナルのエリアにある畑。1943年にマーティン・ステリングという人がオリジナルのト・カロンの大部分を取得し、そこの一部に1949年にカベルネ・フランを植えました。これがカリフォルニアで一番古いカベルネ・フランと言われています。マーティン・ステリングが亡くなった後、未亡人が一部をデタート家に売却したのが、現在のデタートとマクドナルドの畑になっています。歴史的にはト・カロンと名乗れる場所ですが、商標の都合でその名前は使えません。
デタートのカベルネ・フランは。その一番古いカベルネ・フランと、より新しいブロックのカベルネ・フランを使っています。深みとエレガントさと両立して素晴らしいワインでした。それでもダックホーンと人気はほぼ2分。ダックホーンも大いに健闘しました。
なお、全体を通して一番好きなワインを挙げてもらったところ、そこではデタートが一番人気でした(私もデタートが1位)。
ところで、カベルネ・フランというと「ピーマン香」と思っている人が多いでしょうが、この日のワイン、冷涼なトルシャードを含めてピーマン香は見当たりませんでした。リースリングのペトロール香と同様、品種の特徴というより、特定の環境で育ったその品種で出やすい一種の欠陥香と言っていいと思います。
カベルネ・フラン好きといってもなかなかこれだけまとめてカベルネ・フランを試飲できる機会はないので、私にとっても勉強になりましたし、とても楽しい試飲でした。「世界が広がった」という感想もいただき、受講生にも喜んでもらえてよかったです。
ワイン・エンスージアスト誌が2022年11月から2023年7月の間にテイスティングした3000以上のカリフォルニアワインの中からトップ10を発表しています(We Tasted Over 3,000 California Wines. Here Are 10 Standouts. | Wine Enthusiast Magazine)。
Ramey 2020 Hyde Vineyard Chardonnay (Carneros-Napa Valley) 99pts
Chappellet 2019 Pritchard Hill Cabernet Sauvignon (Napa Valley) 98pts
Far Niente 2019 Estate Bottled Cabernet Sauvignon (Oakville) 98pts
Samuel Louis Smith 2021 Pelio Vineyard Pinot Noir (Monterey County) 98pts
Epoch 2019 Block B Syrah (Paso Robles Willow Creek District) 98pts
Schramsberg 2004 Reserve Late Disgorged Sparkling Blend (North Coast) 98pts
Ramey 2020 Rochioli Vineyard Chardonnay (Russian River Valley) 98pts
Ramey 2020 Woolsey Road Vineyard Chardonnay (Russian River Valley) 98pts
Scar of the Sea 2021 Bassi Ranch Syrah (San Luis Obispo County) 97pts
Eden Rift 2019 Lansdale Slope Pinot Noir (Cienega Valley) 96pts
なんといっても目立つのはシャルドネの魔術師とも呼ばれるレイミーのシャルドネが3本も入っていることです。2020年のハイドとロキオリ、ウールジー・ロード。ハイドとロキオリは、この前のヴィンテージのものは少量日本にも入っていましたが、このヴィンテージのは見かけていないような気がします。AVAものは8000円くらいで買えて相当美味しいので、もしレイミーのシャルドネを飲んだことがないという人がいたらお薦めです(個人的にはキスラーのジュヴナイルに1万円以上出すんだったら、レイミーのAVAもの買う方が絶対にいいと思っています)。でもハイド飲みたい(笑)。
4番目に入っているサミュエル・ルイス・スミスというワイナリーは初めて知りました。モントレーのピノ・ノワールです。気になりますね。
シュラムスバーグのスパークリングは「J.Schram」がフラッグシップと思われていますが、実はリザーヴというのもあります。しかもこれは50周年記念ということで作られた特別なものですね。飲んでみたいです。
ピノ・ノワールではサミュエル・ルイス・スミスのほか「エデン・リフト」が入っています。シエネガ・ヴァレーというAVAは知らない人が多いと思いますが、カレラのあるマウント・ハーランの麓にあたります。結構古い畑が残っていたりして興味深い地域です。エデン・リフトのワインはいくつか日本にも入っていますが、このピノ・ノワールはなさそうで残念。
Scar of the Seaはナチュラル系の生産者。このワインはラベルがかわいい。日本に入らないですかねえ。
最後にナパのカベルネからはシャペレーのプリチャード・ヒルとファー・ニエンテが入っています。シャペレーのプリチャード・ヒルは唯一「プリチャード・ヒル」の名前を冠したワイン。日本にも少量入ってきますがこのヴィンテージはなさそう。ファー・ニエンテはなんとなく「昔人気だったワイン」くらいに思われていそうですが、カベルネもシャルドネも美味しいと思います。昔はちょっと割高かなあという感じもありましたが、あまり価格は変わっていないので、今はコスパも悪くない(安くはないですが)です。
Ramey 2020 Hyde Vineyard Chardonnay (Carneros-Napa Valley) 99pts
Chappellet 2019 Pritchard Hill Cabernet Sauvignon (Napa Valley) 98pts
Far Niente 2019 Estate Bottled Cabernet Sauvignon (Oakville) 98pts
Samuel Louis Smith 2021 Pelio Vineyard Pinot Noir (Monterey County) 98pts
Epoch 2019 Block B Syrah (Paso Robles Willow Creek District) 98pts
Schramsberg 2004 Reserve Late Disgorged Sparkling Blend (North Coast) 98pts
Ramey 2020 Rochioli Vineyard Chardonnay (Russian River Valley) 98pts
Ramey 2020 Woolsey Road Vineyard Chardonnay (Russian River Valley) 98pts
Scar of the Sea 2021 Bassi Ranch Syrah (San Luis Obispo County) 97pts
Eden Rift 2019 Lansdale Slope Pinot Noir (Cienega Valley) 96pts
なんといっても目立つのはシャルドネの魔術師とも呼ばれるレイミーのシャルドネが3本も入っていることです。2020年のハイドとロキオリ、ウールジー・ロード。ハイドとロキオリは、この前のヴィンテージのものは少量日本にも入っていましたが、このヴィンテージのは見かけていないような気がします。AVAものは8000円くらいで買えて相当美味しいので、もしレイミーのシャルドネを飲んだことがないという人がいたらお薦めです(個人的にはキスラーのジュヴナイルに1万円以上出すんだったら、レイミーのAVAもの買う方が絶対にいいと思っています)。でもハイド飲みたい(笑)。
4番目に入っているサミュエル・ルイス・スミスというワイナリーは初めて知りました。モントレーのピノ・ノワールです。気になりますね。
シュラムスバーグのスパークリングは「J.Schram」がフラッグシップと思われていますが、実はリザーヴというのもあります。しかもこれは50周年記念ということで作られた特別なものですね。飲んでみたいです。
ピノ・ノワールではサミュエル・ルイス・スミスのほか「エデン・リフト」が入っています。シエネガ・ヴァレーというAVAは知らない人が多いと思いますが、カレラのあるマウント・ハーランの麓にあたります。結構古い畑が残っていたりして興味深い地域です。エデン・リフトのワインはいくつか日本にも入っていますが、このピノ・ノワールはなさそうで残念。
Scar of the Seaはナチュラル系の生産者。このワインはラベルがかわいい。日本に入らないですかねえ。
最後にナパのカベルネからはシャペレーのプリチャード・ヒルとファー・ニエンテが入っています。シャペレーのプリチャード・ヒルは唯一「プリチャード・ヒル」の名前を冠したワイン。日本にも少量入ってきますがこのヴィンテージはなさそう。ファー・ニエンテはなんとなく「昔人気だったワイン」くらいに思われていそうですが、カベルネもシャルドネも美味しいと思います。昔はちょっと割高かなあという感じもありましたが、あまり価格は変わっていないので、今はコスパも悪くない(安くはないですが)です。
3月に「ラック&リドル、シャルマ方式のスパークリング製造設備を導入」という記事でソノマのラック&リドルがコッポラの親会社であるデリカートからシャルマ方式のスパークリングワイン醸造設備を購入した話を書きました。このサービスが正式に開始しています。
この設備は元々コッポラの「ソフィア」スパークリングの醸造で使われていたもので、ラック&リドルはソフィアの醸造も担当することになりました。
スパークリング・ワイン専業のカスタム・クラッシュ(委託醸造)として有名なラック&リドルですが、これまでは瓶内二次発酵方式しかありませんでした。もちろん高品質なスパークリング・ワインを作るには瓶内二次発酵が必要ですが、手間も日数もかかります。シャルマ方式(タンク内で2次発酵を行う)であれば、平均で30~45日でスパークリング・ワインが作れるというメリットがあります。
実際、シャルマ方式を基本とするイタリアのプロセッコは近年大人気で米国での輸入も急増しています。ライトなスパークリング・ワインを求める層にアピールできます。
新しいボトリングの設備ではガラス瓶だけでなく、缶のラインもできるそうです。カジュアルなラインのスパークリングが増えてくるかもしれないですね。
ラック&リドル自身にもシャルマのワインのラインアップが増えるのでしょうか。
こちらはブリュット。非常にコスパ高いスパークリング・ワインです。
個人的にはオールマイティなブラン・ド・ノワール、大好きです。ショップはどちらもしあわせワイン倶楽部。
この設備は元々コッポラの「ソフィア」スパークリングの醸造で使われていたもので、ラック&リドルはソフィアの醸造も担当することになりました。
スパークリング・ワイン専業のカスタム・クラッシュ(委託醸造)として有名なラック&リドルですが、これまでは瓶内二次発酵方式しかありませんでした。もちろん高品質なスパークリング・ワインを作るには瓶内二次発酵が必要ですが、手間も日数もかかります。シャルマ方式(タンク内で2次発酵を行う)であれば、平均で30~45日でスパークリング・ワインが作れるというメリットがあります。
実際、シャルマ方式を基本とするイタリアのプロセッコは近年大人気で米国での輸入も急増しています。ライトなスパークリング・ワインを求める層にアピールできます。
新しいボトリングの設備ではガラス瓶だけでなく、缶のラインもできるそうです。カジュアルなラインのスパークリングが増えてくるかもしれないですね。
ラック&リドル自身にもシャルマのワインのラインアップが増えるのでしょうか。
こちらはブリュット。非常にコスパ高いスパークリング・ワインです。
個人的にはオールマイティなブラン・ド・ノワール、大好きです。ショップはどちらもしあわせワイン倶楽部。
オクシデンタル(Occidental、オキシデンタルと読むのとどっちがいいのかはいつも悩んでます)の2020年を水平で全部飲む会があるというのが、参加してきました。これまで1、2本を飲むことはあっても水平で全部というのは初めてです。
主催者のYuta Kanzawaさんがまとめられた資料の一部がこれ。リッジで「オクシデンタル」という畑を使っていたのは私も初めて知りました。
スティーヴ・キスラーと2つのワイナリーの歴史 History of Steve Kistler & two wineries|Yuta Kanzawa
このほかにも畑の資料など大変詳しいものを作っていただいていました。
オクシデンタルの持っている畑の多くはウエスト・ソノマ・コーストに入っています。ウエスト・ソノマ・コーストの中でも比較的標高が低く、ペタルマ・ギャップの方向に冷たい風が入ってくる地域。冷涼地域の中でも冷涼感の強いところです。
最初はラック&リドルのブラン・ド・ノワールで乾杯。これはいつ飲んでも美味しい。
オクシデンタルの1本目は「フリーストーン-オクシデンタル」で複数の畑のブドウを使ったオクシデンタルでは唯一広域の指定のもの。ほかと比べるとちょっとハーブ感がありました。
2本目はオクシデンタル・ステーション。ここはオクシデンタルの畑の中では最も内陸。グリーン・ヴァレーに入ります。確かに味わいもやや青系のフルーツ感が入っています。
3本目のボデガ・リッジと4本目のランニング・フェンス キュヴェ・キャサリンはボデガ・リッジ地域の畑・ボデガ・リッジ・ヴィンヤードの方が標高が高く、ランニング・フェンスの方が低くなっています。標高が高い方が霧の影響が少なく、少し気温も高いと思われます。確かにボデガ・リッジの方がリッチな味わい。
5本目はボデガ・ヘッドランズ キュヴェ・エリザベス。メモがいい加減すぎますが「エレガント」と書いています。ちょっと調子に乗って飲みすすぎたかもしれません。
最後はSWKヴィンヤード。スティーヴ・キスラー氏の頭文字を取った畑です。オクシデンタルの畑の中でも一番涼しいところにあります。オクシデンタルのワインの中でも一番レアで入手も難しいワイン。結果的には味もこれが一つ抜けて美味しかったです。娘の名前をつけたワインより自分の名前のワインの方が美味しいというのは、ちょっとずるい(笑)。
貴重な経験をさせていただきました。
ナパヴァレー・ワイン・ベスト・ソムリエ・アンバサダーの山田琢馬君がソムリエをしているパレスホテルの「グランドキッチン」に行ってきました。
その前にイベントで行ったことはありますが、ちゃんと食事をするのは初めて。歴史あるホテルで「トラディショナルメニュー」という50年以上前から作られているメニューもあります。
ワインは1本だけ持ち込み、後はグラスでいろいろ出してもらいました。
まずはシャンパーニュ。
2009年のHdVのシャルドネ。10年以上経っているとは思えないほどのフレッシュさもあり、美味しい。驚きました。
このトリュフ入りのフレンチフライは絶品。行ったら絶対食べるべきです。
アミューズを色々出していただき、楽しくおいしかったです。
僕が選んだメインは「香川産オリーブ豚ロース肉のプランチャ」。豚肉がジューシーで美味しい。
持ち込んだワインはこれ。1997年のViaderです。
「国産牛フィレ肉のグリル」。牛肉やわらかくて美味しい。
トラディショナルメニューの「ローストビーフ」。これが絶品でむちゃくちゃ美味しい。見た目以上に厚みもあってボリュームもたっぷり。
トラディショナルメニューの「マロンシャンティイ」。これは絶対に食べようと決めていました。美味しい。
ラテアートも琢馬君作成。いろいろありがとうございました。
ホテルにしては価格もリーズナブルですし、料理はどれも安心できる味わい。また行きます。
その前にイベントで行ったことはありますが、ちゃんと食事をするのは初めて。歴史あるホテルで「トラディショナルメニュー」という50年以上前から作られているメニューもあります。
ワインは1本だけ持ち込み、後はグラスでいろいろ出してもらいました。
まずはシャンパーニュ。
2009年のHdVのシャルドネ。10年以上経っているとは思えないほどのフレッシュさもあり、美味しい。驚きました。
このトリュフ入りのフレンチフライは絶品。行ったら絶対食べるべきです。
アミューズを色々出していただき、楽しくおいしかったです。
僕が選んだメインは「香川産オリーブ豚ロース肉のプランチャ」。豚肉がジューシーで美味しい。
持ち込んだワインはこれ。1997年のViaderです。
「国産牛フィレ肉のグリル」。牛肉やわらかくて美味しい。
トラディショナルメニューの「ローストビーフ」。これが絶品でむちゃくちゃ美味しい。見た目以上に厚みもあってボリュームもたっぷり。
トラディショナルメニューの「マロンシャンティイ」。これは絶対に食べようと決めていました。美味しい。
ラテアートも琢馬君作成。いろいろありがとうございました。
ホテルにしては価格もリーズナブルですし、料理はどれも安心できる味わい。また行きます。
「Blind Wine Tasting」のYouTubeチャンネルでスリーのジンファンデルが出題されていました。
最初の方では熟度の高さとか、ジンファンデルかなみたいな意見も出ていました。ドライフルーツぽいけど黒系じゃなくて赤系という分析はさすがだと思います。ただ、意外とタンニンがしっかりしていてストラクチャーがあるあたりでジンファンデルを候補から外してしまう人が多かったのかなと思いました。また、色調がそこまで濃くない(誤解されている人が多いですが、ジンファンデル自体はそれほど色が濃くないブドウです)ので、いろいろと迷った人が多いようでした。「ガリーグ」(野生のハーブ類)という印象を持った人が多かったのも興味深かったです。
イタリアのプリミティーボという意見も出ていましたが、最終的にはグルナッシュ二人に、コルヴィーナ(アマローネ)ということで3人とも旧世界の方に行ってしまいました。また、価格は6000円台とか7000円台と、実際の価格(3400円)の倍近くで考えた人が多かったのが面白かったです。
意外と美味しいジンファンデルを飲んでいる人って少なくて安いジンファンデルのイメージしか持っていないと、なかなか難しいかもしれないですね。それにしてもスリーのコスパはすごいと思います。
しあわせワイン倶楽部です。
トスカニーです。
イタリアのプリミティーボという意見も出ていましたが、最終的にはグルナッシュ二人に、コルヴィーナ(アマローネ)ということで3人とも旧世界の方に行ってしまいました。また、価格は6000円台とか7000円台と、実際の価格(3400円)の倍近くで考えた人が多かったのが面白かったです。
意外と美味しいジンファンデルを飲んでいる人って少なくて安いジンファンデルのイメージしか持っていないと、なかなか難しいかもしれないですね。それにしてもスリーのコスパはすごいと思います。
しあわせワイン倶楽部です。
トスカニーです。
近年ナパのワインメーカーたちを悩ませている問題の一つがブドウの色が落ちてしまうこと。
ニュートンのワインメーカーは華氏105度(摂氏40.5度)の気温が10日間続いた後、かなりの色落ちがあることに気づきました。ドミナスのトッド・モステーロは116度(摂氏46.6度)に達した後、ブドウの中の色素のコンポーネントが半減したと推測しています。
ワインの中の色素でいちばん重要な要素はアントシアニンです。アントシアニンが減ってしまうと、単に色が薄くなるだけでなく、タンニンをより強く感じさせるようになります。アントシアニンはタンニンと結びついて、それがスムーズに感じられるようにする効果があるためです。
ヒートウェーブが毎年のように来るようになると、濃厚さで知られるナパのワインの色も落ちてしまうかもしれませんし、品質にも影響が出てくる可能性があります。
ニュートンのワインメーカーは華氏105度(摂氏40.5度)の気温が10日間続いた後、かなりの色落ちがあることに気づきました。ドミナスのトッド・モステーロは116度(摂氏46.6度)に達した後、ブドウの中の色素のコンポーネントが半減したと推測しています。
ワインの中の色素でいちばん重要な要素はアントシアニンです。アントシアニンが減ってしまうと、単に色が薄くなるだけでなく、タンニンをより強く感じさせるようになります。アントシアニンはタンニンと結びついて、それがスムーズに感じられるようにする効果があるためです。
ヒートウェーブが毎年のように来るようになると、濃厚さで知られるナパのワインの色も落ちてしまうかもしれませんし、品質にも影響が出てくる可能性があります。
ナパのラザフォードにあるワイナリー「ホーニッグ(Honig)」がボトルのネック部分に巻くフォイルを撤廃しました。これに合わせて、顧客に送るポストカードにプールサイドでカメラに背を向け、ビキニ・トップを上に掲げた女性たちの写真を採用して目を引きました。
ホーニッグはサスティナビリティに力を入れているワイナリーの一つで、最近ではボトルの軽量化にも取り組んでいます。
ボトルのフォイルはかつてはコルクをカビなどから守るために意味があるとされてきましたが、現在では単なる飾り以上の意味はありません。多くのワイナリーにとってはロゴを入れるなどブランディングのために使われているのが実情です。
また、ワイナリーにとってはフォイルを撤廃することで、ワイン1本あたり1ドル程度の節約にもなるといいます。
一方で、ワインの美的イメージを損なうのではないかという懸念もありましたが、少なくともホーニッグでは海外のインポーター1社から否定的な反応があっただけで、あとは良好だといいます。
フォイルもないのが当たり前の日が近づいているかもしれません。
「Sebastopol Hills(セバストポール・ヒルズ)」という新しいAVAが7月12日にTTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)に申請されました。
このAVAは現在のロシアン・リバー・ヴァレー(Russian River Valley)の一部で、ウエスト・ソノマ・コースト(West Sonoma Coast)やペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)AVAに接する領域になっています。セバストポールの街の南方で、一部はグリーン・ヴァレー(Green Valley of Russian River Valley)と重なっています。また、ここはWest Sonoma Coastがその一部に加えたいとしていた地域でもあります。
ロシアン・リバー・ヴァレーでは近年「ネイバーフッズ」としてその中を6つの地域に分けてその地域の特徴を打ち出すマーケティングを行っていますが、セバストポール・ヒルズはその一つにもなっています。
Hillsと名が付いている通り、少し標高が高くなっています。気候的にはペタルマ・ギャップに吹き抜ける風の通り道になっており。ロシアン・リバーからの霧も上がってくることから非常に冷涼です。
また、周りの地域と異なる点としては、土壌がほぼGoldridge Soil(ゴールドリッジ・ソイル)という砂に粘土が混じった非常に水はけがよく栄養分の少ない土壌である点。土地に栄養分が少ないため、栽培のコントロールがしやすいといいます。
以前、リトライのテッド・レモンに話を聞いたときに、Sebastopol Hillsは比較的早くAVAになるだろうと言っていましたが、彼自身、この申請の中心人物であり、AVA化を推進しています。
おそらくはこれも将来のWest Sonoma Coastの拡張への一歩と考えているのではないかと思います。
土壌や地形、気候など、かなり特徴的な地域なので、AVAが認められる可能性は非常に高いと思います。
このAVAは現在のロシアン・リバー・ヴァレー(Russian River Valley)の一部で、ウエスト・ソノマ・コースト(West Sonoma Coast)やペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)AVAに接する領域になっています。セバストポールの街の南方で、一部はグリーン・ヴァレー(Green Valley of Russian River Valley)と重なっています。また、ここはWest Sonoma Coastがその一部に加えたいとしていた地域でもあります。
ロシアン・リバー・ヴァレーでは近年「ネイバーフッズ」としてその中を6つの地域に分けてその地域の特徴を打ち出すマーケティングを行っていますが、セバストポール・ヒルズはその一つにもなっています。
Hillsと名が付いている通り、少し標高が高くなっています。気候的にはペタルマ・ギャップに吹き抜ける風の通り道になっており。ロシアン・リバーからの霧も上がってくることから非常に冷涼です。
また、周りの地域と異なる点としては、土壌がほぼGoldridge Soil(ゴールドリッジ・ソイル)という砂に粘土が混じった非常に水はけがよく栄養分の少ない土壌である点。土地に栄養分が少ないため、栽培のコントロールがしやすいといいます。
以前、リトライのテッド・レモンに話を聞いたときに、Sebastopol Hillsは比較的早くAVAになるだろうと言っていましたが、彼自身、この申請の中心人物であり、AVA化を推進しています。
おそらくはこれも将来のWest Sonoma Coastの拡張への一歩と考えているのではないかと思います。
土壌や地形、気候など、かなり特徴的な地域なので、AVAが認められる可能性は非常に高いと思います。
訃報が続きます。サンタ・リタヒルズの銘醸畑サンフォード&ベネディクトで知られるマイケル・ベネディクトが先週、がんで亡くなりました。
マイケル・ベネディクトは植物学を勉強し、UCサンタバーバラで海洋の植物への影響を研究するためサンタ・バーバラ沖のサンタ・クルーズ島に駐在していました。ここは19世紀にワイン作りで栄えていた島だったのですが、そこからインスピレーションを得てワインのブドウを育てるための冷涼な地域を探して、旧友のリチャード・サンフォードとバハ・カリフォルニアからカナダまでを回りました。最終的に見つけたのが最も近いサンタ・バーバラの冷涼な丘でした。
1971年に植樹、当初は51エーカーにカベルネ・ソーヴィニヨンとリースリングを植樹しましたが、うまく行かずピノ・ノワールで成功しました。現在のサンタ・リタ・ヒルズにおける最初のブドウ畑となったのです。
1980年にサンフォードとベネディクトは袂を分かち、サンフォードは自身のワイナリーを設立、マイケルは畑の管理を続けましたが後に売却。以来二人が一緒にワインを作ることはなかったのですが、現在のSanfordのオーナーのTerlato家が畑の権利も買い戻し、マイケルとも良好な関係を持つようになり、再びワインシーンに戻ってきました。その後はいくつかのワイナリーでコンサルティングをしていたようです。
マイケルが亡くなった後、リチャードもその死を悼むコメントをしています。
安らかにお眠りください。
今週、ピゾーニやポール・ラトーなどのインポーターとして知られるilovecalwineの海老原卓也さんがご自宅で亡くなっているのが発見されました。しばらく前から体調が悪いのはご本人のFacebookの投稿で拝見してはいたものの、まさかそこまでとは思っておらず、大変ショックを受けております。
海老原さんと知り合ったのは多分ちょうど20年前くらいだと思います。私がブログで書いたAugust Westの記事に反応してメールをくださったような気がします(古いメールを調べましたが、このころはまだHotmailを使っていて、Hotmailでは10年前くらいまでしかメールが残っていないようです)。当時は海老原さんもまだサラリーマンで、カリフォルニアワイン好きの1人としてCWFC(カリフォルニアワインのファンクラブ)などでご一緒させていただきました。また、海老原さんが個人輸入したPisoniを分けていただいたり、私が個人輸入したRoarやLoringをおわけしたりという間柄でした。
海老原さんは私よりもどんどんのめりこみ、特にピノ・ノワールについてはカリフォルニアのほとんどを制覇したのではないかと思うほど、詳しくなられました。そして脱サラしてインポーターを始められました。
ちなみに、そのあたりのことは「神様が背中を押してくれているような気がしました――ilovecalwine 海老原卓也社長」でインタビューしております。
元々理系で、曲がったことが嫌い。必要最低限のことしかしゃべらないような方だったので、営業トークができるのか、多くの方が心配したと思います。それでも地道に販路が増えていったのは、海老原さんが輸入するワインのクオリティがみなに評価されるものだったからだでしょう。
正直に言いますと、海老原さんとは疎遠だった期間もありました。インポーターを始められてからは、私のブログのスタンスに文句を言われたこともあります。近年はわだかまりも解け、試飲会にも伺うようになりましたが、一緒にワインを飲んで語り合うところまでは戻れませんでした。そんな私でも、もっとああしていれば、こうしていればと悔やむことはあります。より近かった人はさぞかし悔しかろうと思います。人に甘えない、頼らない、そういう方でした。
天国では少し人に甘えてリラックスしてください。
サンタ・クルーズ・マウンテンズ(SCM)にあるワイナリー「Rhys(リース)」のワインメーカー、ジェフ・ブリンクマンとマーケティング担当副社長のジョン・カプラノポーラスが来日し、セミナーが開かれました。コロナ前の2019年以来のRhysのセミナーでした。
以前のものは
カリピノを極めた? リース(Rhys)高品質の秘訣を探る
リースのシャルドネ、ピノ・ノワール その魅力は?
Rhysの本拠地はSCM。アンダーソン・ヴァレーにもベアワロー(Bearwallow)という畑があり、ワイナリー(醸造設備)も持っていますが、メインはSCMになります。
今回のプレゼンの最初のコンテンツがこの画像。SCMのマップですが色分けは土壌の違いを表しています。ある意味これがRhysを象徴するものと言えるでしょう。
北西から南東方向にかけて中央付近に斜めの線が見えます。これがサンアンドレアス断層です。北米大陸の「北アメリカプレート」に西から来た「太平洋プレート」がぶつかることによってできた断層です。
図からわかるように断層付近は土壌が入り組んだ形になっています。プレートのぶつかり合いで、沈み込んだりめくり上がったりするところがあり、下の方にあるはずの古い土壌が表面に出てきたり、逆に新しい土壌が表面を覆ったりといったおとが起こっているからです。
これによってSCMの中では様々な土壌が見られます。そのテロワールを大事に表現しようというのがRhysのワインの根幹にあります。
Rhysの畑はいずれも1から自社で開梱したところ。その場所を選ぶために表土の種類やその厚さ、その下の母岩について詳しく調査するそうです。重要なのは表土が浅いことで、そのために標高が高く斜度が大きいところを選んでいます。多くのブドウ畑が作られる沖積扇状地などの堆積土壌は表土が深くなり、Rhysが求めるブドウはできないといいます。
カリフォルニアは地中海性気候でブドウの生育期間に雨はほとんど降りません。太陽光は有り余るくらいたくさんあります。Rhysではワインにエレガントさや精妙さを出したいと考えているので、そのためには痩せた土地が必要なわけです。SCMは標高、土壌、斜度、水はけのよさが備わっています。土壌ではカルシウムを含んだシェールや、一部には石灰石もあります。そして表土には粘土があることも大事だといいます。Rhysではなるべく灌漑なしの栽培を行おうとしており、保水力がある粘土の層がそれを助けてくれます。
こういった条件を満たす畑で、Rhysはクローンや台木など同じものを使い、密植など栽培もほぼ共通の仕様で作っています。テロワールだけの違いがワインの違いになるようにするためです。なお、木は1ヘクタールあたり1万~1万7000本とかなりの密植で、機械が入れられないため、すべて手作業が必要になるといいます。
醸造もどの畑も基本的には同じ方法で、人の介入も最小限です。
例えばシャルドネの場合、夜に収穫し、梗が付いたままプレス、1日空気に触れたあと樽に入れます。樽は15%新樽でライトトーストのTonnellerie Dany樽。天然酵母で発酵し、1年樽熟成。その間バトナージュはしません。カリフォルニアのワインは十分リッチなのでバトナージュの必要がないと考えています。それからステンレススティールのタンクに移して6~8カ月熟成してボトリングします。なお、マロラクティック発酵は100%行います。酸が高いので全部マロラクティック発酵してもPHは3.5程度までしか上がらないそうです。
Rhysは発酵期間が長いのも特徴です。とはいえ、天然酵母で樽発酵ですから温度管理を特にしているわけではなく、室温自体が12~13℃とかなり低く、発酵が非常にゆっくり進み、ときには断続的に行われるからだそうです。発酵期間が長くなることがワインにどのような影響を与えているかについてははっきりしたことはわかっていませんが、ジェフによると。これまでいいと思ったヴィンテージはどれも発酵期間が長かったときのものだそうです。
ピノ・ノワールの醸造についでです。
ブロックごとにわけて発酵します。梗を残すかどうか、どれくらい残すかはソーティング時に決めます。発酵は1トンの小さなタンクで行います。SCMはすぐワインが濃くなってしまうのでそれが起こらないよう注意するため。パンチダウンはせずに足で踏んで落とします。粒をつぶさずに落とせる。そうです。シャルドネとは異なり、新樽の比率は畑によって違っています。新樽は樽香を移すというよりもタンニンをソフトにするために使っています。斜面の上の方のブドウなど、タンニンが強くなるところで新樽比率が高くなります。1年後に1回タンクに移し、ブレンドを決めてからもう一度樽に入れて5カ月くらい熟成する。
これがピノ・ノワール用の発酵タンクで100個以上あります。
シャルドネもピノ・ノワールも単一畑のほかにSCMのAVAものを作っています。これは比較的早飲みに向いたブレンドで、少し酸を抑えめにしています。ただ、AVAものは単一畑のワインをセレクトした後に残りのワインから作るので、完成するのは一番最後になるそうです。
畑の位置を表したマップです。
畑の話をまとめておきます。
これはアンダーソン・ヴァレーにあるベアワローの畑のマップです。アンダーソン・ヴァレーの中でも海に近い冷涼な地域にあります。ピノ・ノワールはクランベリーの味わいがあって、タンニンはやや低くなります。
SCMのマウント・パハーロ(Mt. Pajaro)。海から4.2kmと近く標高300m。ちょっと窪地。モントレー湾からの風で霧が溜まらないところです。「ストレートにびしっとしたワイン」ができるとのこと。
Rhysのワインの中でもフラッグシップと見られているのがアルパインとホースシューの畑でしょう。この2つの畑、距離的には400mくらいしか離れておらず、斜面の向きもほぼ同じ。両者の一番大きな違いは土壌。アルパインは400万年前と比較的新しい土壌です。若いシェールの岩で、、とてももろく、鉄分も入っています。
一方、ホースシューは1500万年の土壌で、古いシェールのところです。非常に硬い土壌です。
アルパインは灌漑なしで栽培できますが、ホースシューは保水力が少ないためか、灌漑が必要になります。これが関係しているのか、ホースシューの場合はピノ・ノワールで梗を入れずに作るという判断につながります。一方、アルパインは25%ほど全房発酵を使っています。
さて、後はワインのテイスティングコメントと行きたいのですが、実はこの日のテイスティングノートが全部消えてしまいました。久しぶりにこれを思い出しました。orz
というわけで、ここまでで今回のレポートは終わりです。ワインは大変おいしかったです。ただ。今回は畑ごとの違いがどう出ているかという微妙なところが問題になるので、テイスティングノートがないとちょっと厳しいです。いろいろ便宜を図っていただいた中川ワイン様、に感謝と陳謝です。
以前のものは
カリピノを極めた? リース(Rhys)高品質の秘訣を探る
リースのシャルドネ、ピノ・ノワール その魅力は?
Rhysの本拠地はSCM。アンダーソン・ヴァレーにもベアワロー(Bearwallow)という畑があり、ワイナリー(醸造設備)も持っていますが、メインはSCMになります。
今回のプレゼンの最初のコンテンツがこの画像。SCMのマップですが色分けは土壌の違いを表しています。ある意味これがRhysを象徴するものと言えるでしょう。
北西から南東方向にかけて中央付近に斜めの線が見えます。これがサンアンドレアス断層です。北米大陸の「北アメリカプレート」に西から来た「太平洋プレート」がぶつかることによってできた断層です。
図からわかるように断層付近は土壌が入り組んだ形になっています。プレートのぶつかり合いで、沈み込んだりめくり上がったりするところがあり、下の方にあるはずの古い土壌が表面に出てきたり、逆に新しい土壌が表面を覆ったりといったおとが起こっているからです。
これによってSCMの中では様々な土壌が見られます。そのテロワールを大事に表現しようというのがRhysのワインの根幹にあります。
Rhysの畑はいずれも1から自社で開梱したところ。その場所を選ぶために表土の種類やその厚さ、その下の母岩について詳しく調査するそうです。重要なのは表土が浅いことで、そのために標高が高く斜度が大きいところを選んでいます。多くのブドウ畑が作られる沖積扇状地などの堆積土壌は表土が深くなり、Rhysが求めるブドウはできないといいます。
カリフォルニアは地中海性気候でブドウの生育期間に雨はほとんど降りません。太陽光は有り余るくらいたくさんあります。Rhysではワインにエレガントさや精妙さを出したいと考えているので、そのためには痩せた土地が必要なわけです。SCMは標高、土壌、斜度、水はけのよさが備わっています。土壌ではカルシウムを含んだシェールや、一部には石灰石もあります。そして表土には粘土があることも大事だといいます。Rhysではなるべく灌漑なしの栽培を行おうとしており、保水力がある粘土の層がそれを助けてくれます。
こういった条件を満たす畑で、Rhysはクローンや台木など同じものを使い、密植など栽培もほぼ共通の仕様で作っています。テロワールだけの違いがワインの違いになるようにするためです。なお、木は1ヘクタールあたり1万~1万7000本とかなりの密植で、機械が入れられないため、すべて手作業が必要になるといいます。
醸造もどの畑も基本的には同じ方法で、人の介入も最小限です。
例えばシャルドネの場合、夜に収穫し、梗が付いたままプレス、1日空気に触れたあと樽に入れます。樽は15%新樽でライトトーストのTonnellerie Dany樽。天然酵母で発酵し、1年樽熟成。その間バトナージュはしません。カリフォルニアのワインは十分リッチなのでバトナージュの必要がないと考えています。それからステンレススティールのタンクに移して6~8カ月熟成してボトリングします。なお、マロラクティック発酵は100%行います。酸が高いので全部マロラクティック発酵してもPHは3.5程度までしか上がらないそうです。
Rhysは発酵期間が長いのも特徴です。とはいえ、天然酵母で樽発酵ですから温度管理を特にしているわけではなく、室温自体が12~13℃とかなり低く、発酵が非常にゆっくり進み、ときには断続的に行われるからだそうです。発酵期間が長くなることがワインにどのような影響を与えているかについてははっきりしたことはわかっていませんが、ジェフによると。これまでいいと思ったヴィンテージはどれも発酵期間が長かったときのものだそうです。
ピノ・ノワールの醸造についでです。
ブロックごとにわけて発酵します。梗を残すかどうか、どれくらい残すかはソーティング時に決めます。発酵は1トンの小さなタンクで行います。SCMはすぐワインが濃くなってしまうのでそれが起こらないよう注意するため。パンチダウンはせずに足で踏んで落とします。粒をつぶさずに落とせる。そうです。シャルドネとは異なり、新樽の比率は畑によって違っています。新樽は樽香を移すというよりもタンニンをソフトにするために使っています。斜面の上の方のブドウなど、タンニンが強くなるところで新樽比率が高くなります。1年後に1回タンクに移し、ブレンドを決めてからもう一度樽に入れて5カ月くらい熟成する。
これがピノ・ノワール用の発酵タンクで100個以上あります。
シャルドネもピノ・ノワールも単一畑のほかにSCMのAVAものを作っています。これは比較的早飲みに向いたブレンドで、少し酸を抑えめにしています。ただ、AVAものは単一畑のワインをセレクトした後に残りのワインから作るので、完成するのは一番最後になるそうです。
畑の位置を表したマップです。
畑の話をまとめておきます。
これはアンダーソン・ヴァレーにあるベアワローの畑のマップです。アンダーソン・ヴァレーの中でも海に近い冷涼な地域にあります。ピノ・ノワールはクランベリーの味わいがあって、タンニンはやや低くなります。
SCMのマウント・パハーロ(Mt. Pajaro)。海から4.2kmと近く標高300m。ちょっと窪地。モントレー湾からの風で霧が溜まらないところです。「ストレートにびしっとしたワイン」ができるとのこと。
Rhysのワインの中でもフラッグシップと見られているのがアルパインとホースシューの畑でしょう。この2つの畑、距離的には400mくらいしか離れておらず、斜面の向きもほぼ同じ。両者の一番大きな違いは土壌。アルパインは400万年前と比較的新しい土壌です。若いシェールの岩で、、とてももろく、鉄分も入っています。
一方、ホースシューは1500万年の土壌で、古いシェールのところです。非常に硬い土壌です。
アルパインは灌漑なしで栽培できますが、ホースシューは保水力が少ないためか、灌漑が必要になります。これが関係しているのか、ホースシューの場合はピノ・ノワールで梗を入れずに作るという判断につながります。一方、アルパインは25%ほど全房発酵を使っています。
さて、後はワインのテイスティングコメントと行きたいのですが、実はこの日のテイスティングノートが全部消えてしまいました。久しぶりにこれを思い出しました。orz
というわけで、ここまでで今回のレポートは終わりです。ワインは大変おいしかったです。ただ。今回は畑ごとの違いがどう出ているかという微妙なところが問題になるので、テイスティングノートがないとちょっと厳しいです。いろいろ便宜を図っていただいた中川ワイン様、に感謝と陳謝です。
「Old Vine Registry」という世界の古木の畑のデータベース・サイトが誕生しました。これは元々ジャンシス・ロビンソンが中心となって、Excelのデータとしてまとめていたものですが、そこに登録されている畑が1800を超え、もっと使いやすいものにしたいということで誕生しました。サイトの設計やデータの登録などでワインブログVinographyの著者でジャンシス・ロビンソンのサイトのライターでもあるアルダー・ヤロー(Alder Yarrow)がボランティアで携わっており、記事を書いています(Introducing the Old Vine Registry : Vinography)。
登録の条件は35年以上の樹齢の畑となっています。これはオーストラリアのバロッサ・ヴァレーの「Old Vine Charter」や、南アフリカの「Old Vine Project」の基準であり、「The Old Vine Conference」という古木の畑の会議もこれに倣っています。カリフォルニアのHistoric Vineyard Societyは50年を基準にしているので、それよりもだいぶ多くの畑が登録される可能性があります。
畑の登録はボランティア・ベースで行われており、誰でもサイト上で登録申請できます。現状はフランスなどの情報はかなり不足しており、協力が求められています。
また、面白いのは畑の情報が検索できるだけでなく、そこから「Wine-Searcher」を呼び出してその畑のブドウを使ったワインを検索できることです。
例えば「Old Hill Ranch」から呼び出すとこのように、Old Hill Ranchのワインの一覧が表示できます。Cabernet Sauvignonがあるのはこれを見て初めて知りました。
畑のデータは「Creative Commons」のライセンスで公開されており、誰でも無償で利用できます。
志の高いプロジェクトですが、ボランティアベースで運営されているのでいろいろ大変なこともありそうです。協力できる、協力したいという方はぜひ参加してみるといいのではないかと思います。
これまで関西だけで開いていた米国産ワインのイベント「American Wine Day」が初めて東京で開かれます。
日時:2023年8月30日(水) 19:00~21:00
場所:パレスホテル東京 4F 山吹
チケット:1万3000円(税込み)、1000円のクーポンを含む
7月31日までは早割で1万2000円(税込み、1000円クーポン込み)
チケットは前売りのみで当日販売はなし
過去には業界向けのカリフォルニアワイン試飲会で終了後に一般客を有料で入れたことはありましたが(近年はやっていません)、一般向けでこれだけ大きな米国産ワインのイベントはほかにはありません。インポーター19社が出展し、試飲できるワインは200種類を超えます。なお、一部の高級ワインは別料金での試飲となっています。
出展インポーター(五十音順)
ヴィレッジ・セラーズ㈱
大塚食品㈱
オルカ・インターナショナル㈱
Grape Off㈱
(同) 謙 美
GO-TO WINE
サッポロビール㈱
㈱ジリオン
㈱デプトプランニング
㈱中川ワイン
同)NEW YORK WINE TRADERS
ヒースウィック・ジャパン(同)
㈱富士インダストリーズ
布袋ワインズ㈱
ボニリジャパン㈱
㈱リエゾン
WINE TO STYLE㈱
ワインピープル
ワインライフ㈱
米国産ワインですからカリフォルニアワインに強いインポーターはもちろん。オレゴンやワシントンに強いオルカ・インターナショナルや、ニューヨークに強いGO-TO WINEなども出展予定です。
イベントTシャツも販売しています(1枚4000円)
お申し込みはこちらから。
American Wine Day 2023 Tokyo チケット購入 Tickets Purchase
申し込み後に銀行口座に事前振り込みする形になります。クレジットカード決済などの対応はないのでご注意ください。
なお、業界関係者向けには13:00~17:00に試飲会があります。
人類はいつからブドウをワインや生食のために栽培するようになったのか。これまでは8000年ほど前に南コーカサス山脈、現在のジョージアのあたりで始まったというのが定説になっていました。ちょうど手元にあって最近読み直しているヒュー・ジョンソンの『ワイン物語』にも「ソ連のグルジア共和国」と、別の意味で歴史を感じさせる説明が載っています。
この定説を覆す研究がサイエンス誌の2023年3月号で発表されました。数ヶ月前の発表ですが、覚書の意味を含めて記しておきます。
この研究は中国の雲南農業大学など12カ国以上、89人の研究者による研究チームによるもので、栽培品種約2500と野生品種約1000のブドウのゲノムを分析することで起源を明らかにしようとしたものです。
この研究ではブドウの栽培は1万1000年前頃、南コーカサスと中東(現在のレバノン、イスラエル、シリア、ヨルダン)でほぼ同時に始まったとしています。どちらもヴィティス・ヴィニフェラの祖先にあたりヴィティス・シルヴェストリスに属していますが、氷河期前に分かれたもので、遺伝子的には明確に分離できたとのことです。
南コーカサスの方のブドウは黒海の北から欧州方向に多少広がりましたがその広がりは限定的でした。より広い地域に広がったのは中東原産のブドウでした。西ヨーロッパやアジア(ウズベキスタン、イラン、中国)にまで広がっていきました。ヨーロッパには野生の自生種もあったため、それらと交配して変化を遂げていったようです。特に、イタリアあたりでは野生種との交配による新種が現在の固有種につながっていると見られます。現在欧州で栽培されているブドウは基本的には中東原産のものから派生しているようです。例えばマスカット種は10500年前頃にトルコ辺りで生まれたと見られています。スペインのイベリア半島のブドウ種は7740年前頃に分かれたと見られます。
また、今回の研究ではワイン用の栽培の方が生食用の栽培よりも早く始まったという説も否定されています。
過去のブドウの栽培やワインの起源についての研究は、主に考古学的に行われてきました。例えば8000年前のジョージアという説はブドウの種の化石だったり、醸造に使われたカメの破片などから来ていました。今回は遺伝子によるアプローチで新たな光が照らされたと言えます。逆に言うと、ブドウの栽培やワインの醸造という文化がどう広がったかには、解答が得られていないわけであり、両方のアプローチによりまたワインの歴史がわかって来るのではないかと思います。
あと、確認ミスかもしれませんが、研究者の中に日本人らしい名前は見当たりませんでした。ちょっと残念。
ソノマのセバストポールにあるロン・ルービン・ワイナリー(Ron Rubin Winery)が750mlで100%リサイクル可能なボトルを使ったワイン「BLUE BIN」シリーズを発売しました。BLUE BINは米国でリサイクル可能なゴミを入れる青いゴミ箱のこと。
ガラスボトルはワインの製造・流通過程における二酸化炭素排出の30%を占め、一番大きな要素になっています。ロン・ルービン・ワイナリーはパッケージング大手のAmcor社と2年間研究してエコでプレミアム・ワインにも使えるボトルを開発しました。Plasmaxという薄いガラスの層をペットボトルの内側にコーティングする技術を使っているとのこと。
ロン・ルービン・ワイナリーは、社会や公益のために事業を行う企業を認証する「Bコーポレーション」に選ばれているワイナリー・世界で33ワイナリーしか認定を受けていません。
BLUE BINはロゼとソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリジオ、シャルドネの4種類。価格はいずれも15ドル。
前の記事で紹介した「ナパヴァレーの今」のイベントの翌日、今度はナパのワイナリー「ケール(Kale)」の生産者ディナーに参加しました。
創設者でオーナーのケール・アンダーソンはパルメイヤーでワインメーカーをしていたときに若くして「パーカー100点」のワインを作った才人。ケールでは、カベルネ・ソーヴィニヨンではなく、ローヌ系品種をメインに据えてワイン造りをしています。
4月のナパツアーではケールとの生産者ディナーがあり、そのワインに魅せられた人が続出。今回はその一人である八島さんのお店「焼きとりの八兵衛」六本木店でのディナーとなりました。私は残念ながらナパでは別グループだったのでケールのワインは今回が初めてです。
さらに、今回のディナーはケールのワイン+八兵衛の料理のペアリングに加えて、ナパヴァレー・ヴィントナーズ日本代表の小枝絵麻さんによる「ブリッジ食材」を使った一工夫が入っています。
最初のワインは2021 Kale Rose McGah Vineyard。これにゴマカンパチ。そしてブリッジ食材としてスイカと香味野菜を合わせます。ここでスイカを持ってくるという発想がすごいです。
McGahヴィンヤードはナパのラザフォードの畑。McGahファミリーは「スカーレット」というワイナリーもやっており、秀逸なワインを作っています。ケールはこの畑で0.5エーカーだけグルナッシュを作ってもらっており、それを使ったロゼです。カベルネ・ソーヴィニヨンだったら1本100ドルは軽く超えるようなワインができる場所での贅沢なワイン。ロゼはプレスする数時間だけスキンコンタクトして作っています。赤ワインを濃くするために途中で果汁を抜き取る「セニエ」ではなくロゼのためだけに作っていると強調していました。フレッシュな味わいでピーチやオレンジの風味。この有核果実的な風味がブリッジ食材のスイカによく合いました。
次はA-18ヴィンヤードという畑のシャルドネ2020年。アトラスピークの畑で以前はパルメイヤーがシャルドネに使っていたところですが、パルメイヤーの契約がなくなってケールで使えるようになったとのこと。ナパらしいリッチさときれいな酸があります。料理は手羽塩+レモン風味のからし味噌と、えんどう豆の串揚げ+スパイシーレモンマーマレード。ブリッジ食材はどちらもレモン風味ですが酸を利かしすぎるのではなく味噌やマーマレードといったまろやかな食材と混ぜているところがワインとの相性を引き立てます。
次は2017年のシラー「ハイド・ヴィンヤード」。畑には少量のヴィオニエも植えられていて混醸しているとのこと。料理は椎茸にピンクペッパーとイチゴ風味のゆかり、ラムチョップにチェリと赤しそのチャツネ。
シラーは冷涼なカーネロスのものだけあって、ナパのシラーとしてはとても酸が豊か。スパイスの風味もしっかりとあり、北ローヌ系の味わいです。うまい。
そして、まあこのラムチョップが絶品なのですよ。10本くらい食べたかった(笑)。美味しすぎてペアリングのことを忘れていました。
次のワインは2016年のケール「ヘリテージ」McGahヴィンヤード。グルナッシュ・メインのローヌ系ブレンドです。畑は前述のMcGah。料理は和牛串タレ+ほうじ茶と黒ごまのデュッカ、やきおにぎり+カリフォルニアポイントレーのチーズ。
ワインはハイドのシラーの硬質さと比べると柔らかさがありますが、赤果実ときれいな酸でバランスよく仕上がっています。そして焼きおにぎりも激うま。5個くらい食べたかった(笑)。
最後はアトラス・ピークの銘醸畑「ステージコーチ」のブドウを使ったシラーです。ローヌ系の赤が3つ続く中で。これが一番リッチな味わい。料理は「和牛すき焼き+黒七味」と「フォンダンショコラ+味噌、醤油、参照」で、ワインのリッチさとスパイシーさに合わせているのがわかります。
和牛すき焼き。食べなくても美味しいのわかりますね。食べたらもっと美味しいです。
フォンダンショコラ。
今回はケール・アンダーソン本人は残念ながら来日しなかったのですが、パートナーのトレイ・エップライトが参加して、テーブルを回ってワインの解説もしてくれました。ホスピタリティも素晴らしい。
最後の方はだいぶ酔っ払って記憶も怪しいですが、むちゃくちゃ楽しんでいたのは確かです。
創設者でオーナーのケール・アンダーソンはパルメイヤーでワインメーカーをしていたときに若くして「パーカー100点」のワインを作った才人。ケールでは、カベルネ・ソーヴィニヨンではなく、ローヌ系品種をメインに据えてワイン造りをしています。
4月のナパツアーではケールとの生産者ディナーがあり、そのワインに魅せられた人が続出。今回はその一人である八島さんのお店「焼きとりの八兵衛」六本木店でのディナーとなりました。私は残念ながらナパでは別グループだったのでケールのワインは今回が初めてです。
さらに、今回のディナーはケールのワイン+八兵衛の料理のペアリングに加えて、ナパヴァレー・ヴィントナーズ日本代表の小枝絵麻さんによる「ブリッジ食材」を使った一工夫が入っています。
最初のワインは2021 Kale Rose McGah Vineyard。これにゴマカンパチ。そしてブリッジ食材としてスイカと香味野菜を合わせます。ここでスイカを持ってくるという発想がすごいです。
McGahヴィンヤードはナパのラザフォードの畑。McGahファミリーは「スカーレット」というワイナリーもやっており、秀逸なワインを作っています。ケールはこの畑で0.5エーカーだけグルナッシュを作ってもらっており、それを使ったロゼです。カベルネ・ソーヴィニヨンだったら1本100ドルは軽く超えるようなワインができる場所での贅沢なワイン。ロゼはプレスする数時間だけスキンコンタクトして作っています。赤ワインを濃くするために途中で果汁を抜き取る「セニエ」ではなくロゼのためだけに作っていると強調していました。フレッシュな味わいでピーチやオレンジの風味。この有核果実的な風味がブリッジ食材のスイカによく合いました。
次はA-18ヴィンヤードという畑のシャルドネ2020年。アトラスピークの畑で以前はパルメイヤーがシャルドネに使っていたところですが、パルメイヤーの契約がなくなってケールで使えるようになったとのこと。ナパらしいリッチさときれいな酸があります。料理は手羽塩+レモン風味のからし味噌と、えんどう豆の串揚げ+スパイシーレモンマーマレード。ブリッジ食材はどちらもレモン風味ですが酸を利かしすぎるのではなく味噌やマーマレードといったまろやかな食材と混ぜているところがワインとの相性を引き立てます。
次は2017年のシラー「ハイド・ヴィンヤード」。畑には少量のヴィオニエも植えられていて混醸しているとのこと。料理は椎茸にピンクペッパーとイチゴ風味のゆかり、ラムチョップにチェリと赤しそのチャツネ。
シラーは冷涼なカーネロスのものだけあって、ナパのシラーとしてはとても酸が豊か。スパイスの風味もしっかりとあり、北ローヌ系の味わいです。うまい。
そして、まあこのラムチョップが絶品なのですよ。10本くらい食べたかった(笑)。美味しすぎてペアリングのことを忘れていました。
次のワインは2016年のケール「ヘリテージ」McGahヴィンヤード。グルナッシュ・メインのローヌ系ブレンドです。畑は前述のMcGah。料理は和牛串タレ+ほうじ茶と黒ごまのデュッカ、やきおにぎり+カリフォルニアポイントレーのチーズ。
ワインはハイドのシラーの硬質さと比べると柔らかさがありますが、赤果実ときれいな酸でバランスよく仕上がっています。そして焼きおにぎりも激うま。5個くらい食べたかった(笑)。
最後はアトラス・ピークの銘醸畑「ステージコーチ」のブドウを使ったシラーです。ローヌ系の赤が3つ続く中で。これが一番リッチな味わい。料理は「和牛すき焼き+黒七味」と「フォンダンショコラ+味噌、醤油、参照」で、ワインのリッチさとスパイシーさに合わせているのがわかります。
和牛すき焼き。食べなくても美味しいのわかりますね。食べたらもっと美味しいです。
フォンダンショコラ。
今回はケール・アンダーソン本人は残念ながら来日しなかったのですが、パートナーのトレイ・エップライトが参加して、テーブルを回ってワインの解説もしてくれました。ホスピタリティも素晴らしい。
最後の方はだいぶ酔っ払って記憶も怪しいですが、むちゃくちゃ楽しんでいたのは確かです。
6月7日にパレスホテルで「ナパヴァレーの今」というイベントをナパヴァレー・ヴィントナーズ主催で開催しました。今年のナパヴァレー・ワイン・ベスト・ソムリエ・アンバサダーの山田琢馬君と私とのパブリックには初めてのイベントです。参加者もナパヴァレー・ワイン・エキスパートの受験者で、合計30名に参加いただきました。
前半の1時間は琢馬君と私のプレゼンテーションで、4月のナパツアーの報告会。
プレゼンの基本的なところは私が作りましたが、どう掛け合いするかなどはほぼぶっつけ本番。それでもほぼ時間通りに前半が終了と、予想以上にうまくできたと思います。
後半はワインの試飲と食事。ワインも4月のツアーで印象に残ったものから選んでいます。
ウェルカムドリンクに選んだのはトルシャード(Truchard)のルーサンヌ。実は私達にとってもナパについて最初に飲んだワインで、そのフレッシュかつ柔らかみのある味わいに惚れて選んだものです。
白はこのほかTwomeyのソーヴィニヨン・ブランとガーギッチ・ヒルズのシャルドネ。Twomeyのソーヴィニヨン・ブランはナパとソノマ(ロシアン・リバー・ヴァレー)の自社畑のブドウを使っていてナパのリッチさとロシアン・リバー・ヴァレーのエレガントさを併せ持っています。青っぽさはあまりなく酸と果実味のバランスが秀逸です。
ガーギッチ・ヒルズのマイク・ガーギッチは今年で100歳。さすがに現役からは離れていますがまだお元気なようです。シャルドネはマロラクティック発酵なしでいきいきとした味わいがあります。
赤はトレ・サボレスのジンファンデルとシェーファーのカベルネ・ソーヴィニヨン「ワン・ポイント・ファイブ」。
トレ・サボレスはラザフォードで有機栽培の畑を持つワイナリー。ジンファンデルはかなりエレガントなスタイル。「ザクロやボイズンベリーのような赤黒いフルーツの香りに五香粉のようなエキゾチックなスパイスのアクセント」と琢馬君のコメント。
シェーファーは言わずとしれたスタッグす・リープの名門ワイナリー。「適熟したフルーツノートに樽由来のバニラやクローヴ、ハーバルなトーンやわずかに黒鉛のようなアクセント。広がりのあるスムースで緻密な口当たり、タンニンのまろやかさを感じる一本」(琢馬君コメント)。
このほか有料でハドソンのシャルドネとスポッツウッドのエステート・カベルネ・ソーヴィニヨン2010。スポッツウッドはパレスホテルのセラーにあった逸品です。私もお金払って飲みましたが、熟成具合もよく素晴らしい味わいでした。
「初めての共同作業」イベント、まあまあうまくいったのではないかと思っています。
前半の1時間は琢馬君と私のプレゼンテーションで、4月のナパツアーの報告会。
プレゼンの基本的なところは私が作りましたが、どう掛け合いするかなどはほぼぶっつけ本番。それでもほぼ時間通りに前半が終了と、予想以上にうまくできたと思います。
後半はワインの試飲と食事。ワインも4月のツアーで印象に残ったものから選んでいます。
ウェルカムドリンクに選んだのはトルシャード(Truchard)のルーサンヌ。実は私達にとってもナパについて最初に飲んだワインで、そのフレッシュかつ柔らかみのある味わいに惚れて選んだものです。
白はこのほかTwomeyのソーヴィニヨン・ブランとガーギッチ・ヒルズのシャルドネ。Twomeyのソーヴィニヨン・ブランはナパとソノマ(ロシアン・リバー・ヴァレー)の自社畑のブドウを使っていてナパのリッチさとロシアン・リバー・ヴァレーのエレガントさを併せ持っています。青っぽさはあまりなく酸と果実味のバランスが秀逸です。
ガーギッチ・ヒルズのマイク・ガーギッチは今年で100歳。さすがに現役からは離れていますがまだお元気なようです。シャルドネはマロラクティック発酵なしでいきいきとした味わいがあります。
赤はトレ・サボレスのジンファンデルとシェーファーのカベルネ・ソーヴィニヨン「ワン・ポイント・ファイブ」。
トレ・サボレスはラザフォードで有機栽培の畑を持つワイナリー。ジンファンデルはかなりエレガントなスタイル。「ザクロやボイズンベリーのような赤黒いフルーツの香りに五香粉のようなエキゾチックなスパイスのアクセント」と琢馬君のコメント。
シェーファーは言わずとしれたスタッグす・リープの名門ワイナリー。「適熟したフルーツノートに樽由来のバニラやクローヴ、ハーバルなトーンやわずかに黒鉛のようなアクセント。広がりのあるスムースで緻密な口当たり、タンニンのまろやかさを感じる一本」(琢馬君コメント)。
このほか有料でハドソンのシャルドネとスポッツウッドのエステート・カベルネ・ソーヴィニヨン2010。スポッツウッドはパレスホテルのセラーにあった逸品です。私もお金払って飲みましたが、熟成具合もよく素晴らしい味わいでした。
「初めての共同作業」イベント、まあまあうまくいったのではないかと思っています。