シュレーダーやリヴァース・マリーなどで知られるトーマス・リヴァース・ブラウンが新たなカベルネ・ソーヴィニヨンのワイナリーを始めました。ワイナリーの名前はDorsey(ドーシー)。オリジナルのト・カロン・ヴィンヤードの一部だったデタート家の畑のカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランを使っています。

デタートの畑はト・カロン・ヴィンヤードを作ったハミルトン・クラブが1891年に買い足した区画の中に入っています。ト・カロンを後に購入したマーティ・ステリングの未亡人が一部をデタート家に売却しており、それが現在のデタート(Detert)とマクドナルド(Macdonald)の畑になっています。

歴史的にはト・カロンと名乗れるところにある畑ですが、ト・カロンの商標をコンステレーションブランズが所有するため、その名前は使えず、DetertとMacdonaldがそれぞれそのワイナリーとしてワインを造っております。近年はマクドナルドのカベルネ・ソーヴィニヨンは極めて入手困難になっており、デタートのカベルネ・フランも非常に高く評価されています。ちなみにデタートの「East Block」にはカリフォルニアで一番古いカベルネ・フランが植わっています。
デタートとマクドナルドは元々ブドウをロバート・モンダヴィに売っており、コンステレーションブランズに代わってからもそれが続いていましたが、コンステレーションとの契約が終了したことにより、トーマス・リヴァース・ブラウンが買えるようになったそうです。
美辞麗句を並べるようなタイプではなく、これまでも素晴らしい銘醸畑のワインを山ほど手掛けてきたトーマスが「ここのフルーツを入手できるのは本当に素晴らしいことだ」と珍しく手放しで喜んでいます。ちなみに、トーマス以外にボンド、ヘレン・ケプリンガー、ファヴィア、ベッドロックも顧客になったそうです。ボンドの6番目の畑はここになるのか、など興味は尽きません。
ドーシーのカベルネ・フランは既にワイン・スペクテーターで非常に高い評価を得ています。190ドルですから仮に日本に入ってきたとしても5万円程度にはなるでしょう。高嶺の花ではありますが、気になるワインです。私の知る限りではトーマスのカベルネ・フランは初めてではないかと思います。

そういえば、モンダヴィで長年醸造責任者を務めていたジェヌヴィエーヴ・ジャンセンズさんの個人プロジェクト「ポートフォリオ」でもデタートのカベルネ・フランを使っていましたが、ジュヌヴィエーヌさん引退でポートフォリオもブランド終了と聞いています。彼女の契約がデタートと直接だったのか、コンステレーション経由だったのかはわかりませんが。

デタートの畑はト・カロン・ヴィンヤードを作ったハミルトン・クラブが1891年に買い足した区画の中に入っています。ト・カロンを後に購入したマーティ・ステリングの未亡人が一部をデタート家に売却しており、それが現在のデタート(Detert)とマクドナルド(Macdonald)の畑になっています。

歴史的にはト・カロンと名乗れるところにある畑ですが、ト・カロンの商標をコンステレーションブランズが所有するため、その名前は使えず、DetertとMacdonaldがそれぞれそのワイナリーとしてワインを造っております。近年はマクドナルドのカベルネ・ソーヴィニヨンは極めて入手困難になっており、デタートのカベルネ・フランも非常に高く評価されています。ちなみにデタートの「East Block」にはカリフォルニアで一番古いカベルネ・フランが植わっています。
デタートとマクドナルドは元々ブドウをロバート・モンダヴィに売っており、コンステレーションブランズに代わってからもそれが続いていましたが、コンステレーションとの契約が終了したことにより、トーマス・リヴァース・ブラウンが買えるようになったそうです。
美辞麗句を並べるようなタイプではなく、これまでも素晴らしい銘醸畑のワインを山ほど手掛けてきたトーマスが「ここのフルーツを入手できるのは本当に素晴らしいことだ」と珍しく手放しで喜んでいます。ちなみに、トーマス以外にボンド、ヘレン・ケプリンガー、ファヴィア、ベッドロックも顧客になったそうです。ボンドの6番目の畑はここになるのか、など興味は尽きません。
ドーシーのカベルネ・フランは既にワイン・スペクテーターで非常に高い評価を得ています。190ドルですから仮に日本に入ってきたとしても5万円程度にはなるでしょう。高嶺の花ではありますが、気になるワインです。私の知る限りではトーマスのカベルネ・フランは初めてではないかと思います。

そういえば、モンダヴィで長年醸造責任者を務めていたジェヌヴィエーヴ・ジャンセンズさんの個人プロジェクト「ポートフォリオ」でもデタートのカベルネ・フランを使っていましたが、ジュヌヴィエーヌさん引退でポートフォリオもブランド終了と聞いています。彼女の契約がデタートと直接だったのか、コンステレーション経由だったのかはわかりませんが。
ワシントン州を代表するワイナリーの一つである「ハウス・オブ・スミス(House of Smith)」。特にオーナーであるチャールズ・スミスは、その風貌も相まってワシントン州の顔、あるいはワシントン州のロック・スターとも言うべき存在です(彼は実際、ワイン造りの前はロックバンドのツアーマネージャーをしていました)。

House of Smithは傘下にK Vintners、CasaSmith、SIXTOなどのブランドを持っています。直近では合成化学物質不使用、補添加物ゼロ、サスティナブル農法、天然酵母発酵、最小限の酸化防止剤と「ボトルの中身の純粋さ」を追求したReal Wineというブランドを追加しています。
彼の最初のワインが「K Vintners Syrah」で2001年12月2日にリリースされました。今年は25周年ということでシアトルとワラワラにあるテイスティング・ルームで無料試飲を提供します。
ちなみに、「カンフー・ガール」などで知られるチャールズ・スミス・ワインは2016年に売却しており、現在はAckley Brandsという会社が保有しています。また、超コスパのカベルネ・ソーヴィニヨンなどで知られる「ワインズ・オブ・サブスタンス」は2024年にO'Neill Vintnersに売却しています。
リアル・ワイン、個人的にも気になっているワインです。

House of Smithは傘下にK Vintners、CasaSmith、SIXTOなどのブランドを持っています。直近では合成化学物質不使用、補添加物ゼロ、サスティナブル農法、天然酵母発酵、最小限の酸化防止剤と「ボトルの中身の純粋さ」を追求したReal Wineというブランドを追加しています。
彼の最初のワインが「K Vintners Syrah」で2001年12月2日にリリースされました。今年は25周年ということでシアトルとワラワラにあるテイスティング・ルームで無料試飲を提供します。
ちなみに、「カンフー・ガール」などで知られるチャールズ・スミス・ワインは2016年に売却しており、現在はAckley Brandsという会社が保有しています。また、超コスパのカベルネ・ソーヴィニヨンなどで知られる「ワインズ・オブ・サブスタンス」は2024年にO'Neill Vintnersに売却しています。
ウエスト・ソノマ・コーストのワイナリー「アーネスト(Ernest)」がワイナリーを閉じることを発表しました。

アーネストは2012年の創設。エレガントで抑制したスタイルのシャルドネとピノ・ノワールで高い評価を得ていました。2023年には、カリフォルニアワイン協会のテーマ産地がウエスト・ソノマ・コーストとなっており、3月のAliveテイスティングで来日していました。当時はインポーターがなかったのですが、その後、富士インダストリーズが輸入しています。
米国もインフレによって様々なコストが上がり、ワインの消費も低迷しています。アーネストも、かつてはテイスティング・ルームに来た客はケース単位でワインを買っていくのが普通だったのが、試飲だけでワインを買わなかったり、買っても3本程度に落ち込んでしまったといいます。加えて、2022年には畑を二つ購入して生産量を上げており、それも経営難に拍車をかけたようです。
アーネストのオーナーはエリン・ブルックス。アーネストというのは彼女の夫の祖父の名前から取っています。彼女はまたGrand Cruというカスタム・クラッシュを創設していましたが、Grand Cruは手放しています。

アーネストは2012年の創設。エレガントで抑制したスタイルのシャルドネとピノ・ノワールで高い評価を得ていました。2023年には、カリフォルニアワイン協会のテーマ産地がウエスト・ソノマ・コーストとなっており、3月のAliveテイスティングで来日していました。当時はインポーターがなかったのですが、その後、富士インダストリーズが輸入しています。
米国もインフレによって様々なコストが上がり、ワインの消費も低迷しています。アーネストも、かつてはテイスティング・ルームに来た客はケース単位でワインを買っていくのが普通だったのが、試飲だけでワインを買わなかったり、買っても3本程度に落ち込んでしまったといいます。加えて、2022年には畑を二つ購入して生産量を上げており、それも経営難に拍車をかけたようです。
アーネストのオーナーはエリン・ブルックス。アーネストというのは彼女の夫の祖父の名前から取っています。彼女はまたGrand Cruというカスタム・クラッシュを創設していましたが、Grand Cruは手放しています。
ソノマのアレキサンダー・ヴァレーで1月20日に芽吹きが観察されました。例年より1カ月ほども早いといいます。

Mazzoco Sonoma, Soda Rock Winery, Jaxon Keysといったブランドを保有するWilson Enterprisesのアントワーヌ・ファヴェーロによると、アレキサンダー・マウンテンにあるPocket Highlandsで1月20日に80%の芽吹きがあったといいます。この畑は、AVA申請中のPocket Peakに含まれています。標高が高く、霧がかからないため朝晩の冷え込みが少なく穏やかな気候になります。
カリフォルニアはクリスマス頃から2月上旬まで好天が続き、20℃近くにまで上がる日もありました。加えて上記のような地域の特性によって芽吹きが早まったようです。
同じアレキサンダー・ヴァレーにあるRock Pileという畑は標高600mほどで、少し海の影響が大きいところにあり、こちらも芽吹きは始まりましたが15%程度にとどまっています。
早い芽吹きは霜害につながることもあるので、注意が必要です。これらの畑も寒いときは雪が降ることもあるので、気を付けないといけないとファヴェーロも答えています。

Mazzoco Sonoma, Soda Rock Winery, Jaxon Keysといったブランドを保有するWilson Enterprisesのアントワーヌ・ファヴェーロによると、アレキサンダー・マウンテンにあるPocket Highlandsで1月20日に80%の芽吹きがあったといいます。この畑は、AVA申請中のPocket Peakに含まれています。標高が高く、霧がかからないため朝晩の冷え込みが少なく穏やかな気候になります。
カリフォルニアはクリスマス頃から2月上旬まで好天が続き、20℃近くにまで上がる日もありました。加えて上記のような地域の特性によって芽吹きが早まったようです。
同じアレキサンダー・ヴァレーにあるRock Pileという畑は標高600mほどで、少し海の影響が大きいところにあり、こちらも芽吹きは始まりましたが15%程度にとどまっています。
早い芽吹きは霜害につながることもあるので、注意が必要です。これらの畑も寒いときは雪が降ることもあるので、気を付けないといけないとファヴェーロも答えています。
今回、メリーヴェールのセミナーのメモをグーグルのNotebookLMに入れて、ブログ記事を作らせてみたところ、予想をはるかに超えるものが出てきました。自分のライティングスタイルとはかけ離れていますが、こういう記事の方が一般には読まれるのだろうと感じました。そのままコピペします。
ナパ・ヴァレー。この地名を聞いて多くの愛好家が想起するのは、かつての黄金時代を築いた「濃厚で力強いカベルネ・ソーヴィニヨン」のイメージでしょう。しかし、気候変動の波が押し寄せる現代、この聖地は大きな転換期を迎えています。
今回スポットを当てるのは、スイス出身のシュラッター(Schlatter)家が率いる名門「メリーヴェール(Merryvale)」です。1983年、後にカルトワインの頂点を極めるビル・ハーランらとの共同経営で幕を開けたこのワイナリーは、1996年からはシュラッター家が単独オーナーとなり、スイス人らしい「真面目さと頑固さ」をもってナパのテロワールに向き合ってきました。家族経営のワイナリーが希少となった今、彼らがなぜ「涼しさ」を求め、伝統の枠を超えて進化を続けているのか。その知られざる5つの真実を、ナパの歴史と醸造の最前線から紐解きます。
1. 禁酒法後、ナパで最初に再建された「聖地」としての誇り
メリーヴェールのセラーに足を踏み入れることは、ナパ・ヴァレーの歴史そのものに触れることを意味します。現在のワイナリーが建設されたのは1933年。アメリカで禁酒法が廃止されたまさにその年、ナパで最初に再建されたワイナリーとしての歴史を刻んでいます。
この場所が「聖地」と呼ばれる理由は、その年月だけではありません。かつてここを拠点としてワインを造っていた顔ぶれが、あまりにも衝撃的なのです。ロバート・モンダヴィ、クリスチャン・ブラザーズ、名匠リック・フォーマン、そしてパールマイヤー。ナパのDNAを形作ってきた伝説的な造り手たちが、かつてこの壁の中で切磋琢磨していました。ここは単なる醸造所ではなく、ナパ・ワインの復興と隆盛、そして進化を見守り続けてきた象徴的な場所なのです。
2. 「シガーバレル」と熟練の技:伝統の中に息づく科学的革新
メリーヴェールのワイン造りは、極めてイノヴェーティブです。特にソーヴィニヨン・ブランに用いられる「シガーバレル」の導入は、その象徴と言えるでしょう。
葉巻のような細長い形状を持つこの樽は、通常の樽に比べてワインと澱(リー)の接触面積を劇的に増やします。これにより、過度なオークの風味を抑えつつ、豊かなテクスチャーと複雑味を引き出すことが可能になります。さらに、小さなRieger(リーガー)社のタンクやコンクリートファーメンターの使い分け、重力を利用したグラヴィティ・フローなど、醸造設備への投資には一切の妥協がありません。
しかし、真の品質を支えているのは、最新の設備を使いこなす「人」の力だと彼らは断言します。
「セラーで働く人が何より大切なのです。ここには20年、30年と勤め続けているプロフェッショナルたちがいます。彼らの経験こそが、メリーヴェールの品質の根幹なのです」
また、2年前からはコンサルタントにジャン・ハフリンガー氏を招聘しました。以前のフィリップ・メルカ氏がフラッグシップの「プロファイル」に特化していたのに対し、ニュートン等での経験も豊富なハフリンガー氏は、ワイナリー全体のポートフォリオを俯瞰し、一貫した品質向上を目指す「ホリスティック(包括的)」な視点をもたらしています。
3. 理想の「フレッシュネス」を求めて:ソノマ・コーストへの戦略的シフト
今、メリーヴェールが最も情熱を注いでいるのが「フレッシュネス(鮮やかさ)」と「フェノールの成熟」の両立です。
これまでピノ・ノワールの主要拠点だったカーネロスは、近年の気温上昇により、皮が薄く繊細なピノ・ノワールにとって日中の暑さが課題となりつつあります。そこで彼らが下した決断は、より冷涼な「ソノマ・コースト(ペタルマ・ギャップ)」への戦略的なシフトでした。海からの風と霧がもたらす冷気が、ブドウの酸を保ちながらゆっくりと成熟を促します。
この「理想のクーラースポット」を求める姿勢は、ナパ国内の自社畑の拡大にも見て取れます。標高1000フィートに位置する「プロファイル・エステート」に加え、2021〜22年にはマウント・ヴィーダー、2023年にはクームズヴィルと、より涼しく、あるいは標高の高い場所へ自社畑を広げています。気候変動を先読みし、産地の多様性を確保すること。これこそが、彼らが描く未来への航路図なのです。
4. 「Profile」の進化:30年の歳月をかけた「エステート」への到達
メリーヴェールの象徴であるフラッグシップ「Profile(プロファイル)」の変遷は、真のテロワール・ワインへと至る長い旅路そのものです。
かつて2000年ヴィンテージまでは、意外にも「Profile」はすべて買いブドウで造られていました。1996年に待望の自社畑(プロファイル・エステート)を取得し、2001年から徐々にその比率を上げ、2010年にようやく「100%自社畑」という金字塔を打ち立てたのです。
この進化はラベルの変遷にも表れています。95〜98年の「ゴールドラベル」、その後の「ホワイトラベル」、そして現在の洗練されたデザインへ。2018年ヴィンテージを味わえば、カシスや黒鉛のニュアンスと共に、凛とした酸と洗練されたタンニンが共存していることに驚くはずです。それは、かつての「重厚さ」に代わる、現代のナパが到達すべき「優雅なバランス」の証明です。
5. 星座に刻まれた創業の記憶:スターモントが告げる「新たな航海」
最後に、カジュアルラインである「スターモント(Starmont)」に訪れた劇的な変化に触れないわけにはいきません。
刷新されたラベルに描かれているのは、美しい星座の物語です。1989年のファーストリリース当時、ナパの夜空に輝いていた9月・10月の星座がデザインされています。また、ラベルに配された「六分儀(Sextant)」のモチーフは、海での位置を測る道具であり、「新たな産地への旅」を象徴しています。
この六分儀が指し示すのは、サンタバーバラ、モントレー、メンドシーノといった、より広域で冷涼な沿岸部の産地です。現在、先行してソーヴィニヨン・ブランにこの新ラベルが採用されていますが、2023年ヴィンテージ以降、シャルドネやピノ・ノワール、カベルネも順次このデザインへと統合されます。スターモントは今、ナパという枠を超え、カリフォルニアの「涼しさ」を巡る壮大な航海へと漕ぎ出したのです。
結び:家族経営が守り抜く「変えないための、変化」
大手資本による買収が相次ぐナパ・ヴァレーにおいて、シュラッター家のように「欧州的な真面目さ」を貫き、家族経営を守り続けるワイナリーは今や稀有な存在となりました。
彼らが「涼しさ」を求めて産地を広げ、醸造技術を磨き続けるのは、単なる流行への追随ではありません。それは、自分たちが信じる「エレガンス」という本質を、次の100年も変えずに守り抜くための、必然的な挑戦なのです。
次にあなたがメリーヴェールのワインを手に取る時、そのラベルの裏側にある「温度」と「歴史」を感じてみてください。そこには、伝統という重力に安住することなく、常に「未来の羅針盤」を見つめ続ける人々の、静かな情熱が息づいています。
ナパ・ヴァレー。この地名を聞いて多くの愛好家が想起するのは、かつての黄金時代を築いた「濃厚で力強いカベルネ・ソーヴィニヨン」のイメージでしょう。しかし、気候変動の波が押し寄せる現代、この聖地は大きな転換期を迎えています。
今回スポットを当てるのは、スイス出身のシュラッター(Schlatter)家が率いる名門「メリーヴェール(Merryvale)」です。1983年、後にカルトワインの頂点を極めるビル・ハーランらとの共同経営で幕を開けたこのワイナリーは、1996年からはシュラッター家が単独オーナーとなり、スイス人らしい「真面目さと頑固さ」をもってナパのテロワールに向き合ってきました。家族経営のワイナリーが希少となった今、彼らがなぜ「涼しさ」を求め、伝統の枠を超えて進化を続けているのか。その知られざる5つの真実を、ナパの歴史と醸造の最前線から紐解きます。
1. 禁酒法後、ナパで最初に再建された「聖地」としての誇り
メリーヴェールのセラーに足を踏み入れることは、ナパ・ヴァレーの歴史そのものに触れることを意味します。現在のワイナリーが建設されたのは1933年。アメリカで禁酒法が廃止されたまさにその年、ナパで最初に再建されたワイナリーとしての歴史を刻んでいます。
この場所が「聖地」と呼ばれる理由は、その年月だけではありません。かつてここを拠点としてワインを造っていた顔ぶれが、あまりにも衝撃的なのです。ロバート・モンダヴィ、クリスチャン・ブラザーズ、名匠リック・フォーマン、そしてパールマイヤー。ナパのDNAを形作ってきた伝説的な造り手たちが、かつてこの壁の中で切磋琢磨していました。ここは単なる醸造所ではなく、ナパ・ワインの復興と隆盛、そして進化を見守り続けてきた象徴的な場所なのです。
2. 「シガーバレル」と熟練の技:伝統の中に息づく科学的革新
メリーヴェールのワイン造りは、極めてイノヴェーティブです。特にソーヴィニヨン・ブランに用いられる「シガーバレル」の導入は、その象徴と言えるでしょう。
葉巻のような細長い形状を持つこの樽は、通常の樽に比べてワインと澱(リー)の接触面積を劇的に増やします。これにより、過度なオークの風味を抑えつつ、豊かなテクスチャーと複雑味を引き出すことが可能になります。さらに、小さなRieger(リーガー)社のタンクやコンクリートファーメンターの使い分け、重力を利用したグラヴィティ・フローなど、醸造設備への投資には一切の妥協がありません。
しかし、真の品質を支えているのは、最新の設備を使いこなす「人」の力だと彼らは断言します。
「セラーで働く人が何より大切なのです。ここには20年、30年と勤め続けているプロフェッショナルたちがいます。彼らの経験こそが、メリーヴェールの品質の根幹なのです」
また、2年前からはコンサルタントにジャン・ハフリンガー氏を招聘しました。以前のフィリップ・メルカ氏がフラッグシップの「プロファイル」に特化していたのに対し、ニュートン等での経験も豊富なハフリンガー氏は、ワイナリー全体のポートフォリオを俯瞰し、一貫した品質向上を目指す「ホリスティック(包括的)」な視点をもたらしています。
3. 理想の「フレッシュネス」を求めて:ソノマ・コーストへの戦略的シフト
今、メリーヴェールが最も情熱を注いでいるのが「フレッシュネス(鮮やかさ)」と「フェノールの成熟」の両立です。
これまでピノ・ノワールの主要拠点だったカーネロスは、近年の気温上昇により、皮が薄く繊細なピノ・ノワールにとって日中の暑さが課題となりつつあります。そこで彼らが下した決断は、より冷涼な「ソノマ・コースト(ペタルマ・ギャップ)」への戦略的なシフトでした。海からの風と霧がもたらす冷気が、ブドウの酸を保ちながらゆっくりと成熟を促します。
この「理想のクーラースポット」を求める姿勢は、ナパ国内の自社畑の拡大にも見て取れます。標高1000フィートに位置する「プロファイル・エステート」に加え、2021〜22年にはマウント・ヴィーダー、2023年にはクームズヴィルと、より涼しく、あるいは標高の高い場所へ自社畑を広げています。気候変動を先読みし、産地の多様性を確保すること。これこそが、彼らが描く未来への航路図なのです。
4. 「Profile」の進化:30年の歳月をかけた「エステート」への到達
メリーヴェールの象徴であるフラッグシップ「Profile(プロファイル)」の変遷は、真のテロワール・ワインへと至る長い旅路そのものです。
かつて2000年ヴィンテージまでは、意外にも「Profile」はすべて買いブドウで造られていました。1996年に待望の自社畑(プロファイル・エステート)を取得し、2001年から徐々にその比率を上げ、2010年にようやく「100%自社畑」という金字塔を打ち立てたのです。
この進化はラベルの変遷にも表れています。95〜98年の「ゴールドラベル」、その後の「ホワイトラベル」、そして現在の洗練されたデザインへ。2018年ヴィンテージを味わえば、カシスや黒鉛のニュアンスと共に、凛とした酸と洗練されたタンニンが共存していることに驚くはずです。それは、かつての「重厚さ」に代わる、現代のナパが到達すべき「優雅なバランス」の証明です。
5. 星座に刻まれた創業の記憶:スターモントが告げる「新たな航海」
最後に、カジュアルラインである「スターモント(Starmont)」に訪れた劇的な変化に触れないわけにはいきません。
刷新されたラベルに描かれているのは、美しい星座の物語です。1989年のファーストリリース当時、ナパの夜空に輝いていた9月・10月の星座がデザインされています。また、ラベルに配された「六分儀(Sextant)」のモチーフは、海での位置を測る道具であり、「新たな産地への旅」を象徴しています。
この六分儀が指し示すのは、サンタバーバラ、モントレー、メンドシーノといった、より広域で冷涼な沿岸部の産地です。現在、先行してソーヴィニヨン・ブランにこの新ラベルが採用されていますが、2023年ヴィンテージ以降、シャルドネやピノ・ノワール、カベルネも順次このデザインへと統合されます。スターモントは今、ナパという枠を超え、カリフォルニアの「涼しさ」を巡る壮大な航海へと漕ぎ出したのです。
結び:家族経営が守り抜く「変えないための、変化」
大手資本による買収が相次ぐナパ・ヴァレーにおいて、シュラッター家のように「欧州的な真面目さ」を貫き、家族経営を守り続けるワイナリーは今や稀有な存在となりました。
彼らが「涼しさ」を求めて産地を広げ、醸造技術を磨き続けるのは、単なる流行への追随ではありません。それは、自分たちが信じる「エレガンス」という本質を、次の100年も変えずに守り抜くための、必然的な挑戦なのです。
次にあなたがメリーヴェールのワインを手に取る時、そのラベルの裏側にある「温度」と「歴史」を感じてみてください。そこには、伝統という重力に安住することなく、常に「未来の羅針盤」を見つめ続ける人々の、静かな情熱が息づいています。
ナパのメリーヴェール(Merryvale)から社長のレネ・シュラッターさんが来日し、セミナーに参加しました。
メリーヴェールのセミナーは2024年5月以来です。
モンダヴィとハーランの故郷、メリーヴェールの現在地
右はお嬢さん。レネさんは家では奥さんと3人の娘の4人の女性に囲まれているとか。
ロバート・モンダヴィの最初のワイナリーであるサニー・セント・ヘレナに端を発したメリーヴェール。ハーラン・エステートのビル・ハーランの最初のワイナリーでもありました。1996年からはシュラッター家が単独オーナーとして家族経営を続けています。輸入元である中川ワインの中川誠一郎社長によると「家族経営のワイナリーがどんどん減っていく中で貴重なワイナリー」だと言います。
ワインメーカーは前回来日したジェフ・クロフォードで、このほかコンサルタントとしてジャン・ホーフリガーが参加しています。ジャン・ホーフリガーはレネさんと同じスイスの出身で長年の友人。以前はフィリップ・メルカがコンサルタントをしていましたが、メルカは多くの顧客を抱え、メリーヴェールではフラッグシップのプロファール・シリーズしか見られなかったため、全体を見てもらえるコンサルタントを依頼したとのことでした。
醸造では複数の発酵容器を組み合わせて使っています。Rieger社製の小型のステンレスタンク、オープントップのコンクリート、樽などを使用しています。
メリーヴェールのワイナリーはセント・ヘレナの中心地にあり、プロファイルの畑はワイナリーから東側の斜面にあります。標高300m以上と霧のかからない高さです。2021年から2023年にかけては、マウント・ヴィーダーに二つの畑、クームズヴィルに一つの畑と畑を拡充しています。山の畑は昼間の気温が上がりにくいことと、夜間は逆に温度があまり下がらず穏やかな気候になります。クームズヴィルもナパではカーネロスの次くらいに海に近く比較的冷涼です。気候変動への対応として、こういった涼しいところの畑を開拓しているとのことです。
サスティナビリティの取り組みとして、醸造設備では「ナパ・グリーン・サーティファイド・ワイナリー」を、また4つの畑全部でで「フィッシュ・フレンドリー・ファーミング」を取得しています。
また、ピノ・ノワールはこれまでナパのカーネロスのスタンリー・ランチとブラウン・ランチを使ってきましたが、2022年からはソノマ・コースト(ペタルマ・ギャップ)の畑に変えます。カーネロスは冷涼ですが、暑い日もあり、皮が薄いピノ・ノワールはその影響を受けやすいので、さらに涼しいところを探したました。メリーヴェールでは、ワインのフレッシュな味わいを大事にしているので、涼しい地域の畑は重視しているとのころです。
試飲に移ります。ポイントは私の主観です。
最初はソーヴィニヨン・ブラン2023。ポープヴァレーやヨントヴィル、ソノマのブドウ(10%未満)を使っています。発酵槽はシガーバレル、コンクリート、ステンレススティールの樽を併用しています。シガーバレルは澱との接触を増やすのが目的です。
黄金色で柑橘や熟したリンゴを感じます。クリアで伸びる酸、スイカズラ、蜜っぽさもあり美味しいソーヴィニヨン・ブラン。92pt
2本目はシャルドネのシルエット2022
カーネロス スタンレーランチのブロック2Aのブドウを使っています。バニラの香り、蜜、グアバ、カモミール、柔らかいがしっかりした酸、さすがレベルの高いシャルドネです。92pt
2021 カーネロス ピノ・ノワール
カーネロスの銘醸畑スタンリーランチとブラウンランチのピノ・ノワールを使っています。スタンリーランチに植わっているクローンはディジョン667で赤系果実やハーブの風味が特徴、ブラウンランチはポマール・クローンでより濃く、凝縮感があり、アーシーな風味が特徴となります。
赤系果実の風味がありますが、ラズベリーのような軽やかな味ではなく、ザクロのような少し重量感のある味わい。シナモンや紅茶、五香粉など、スパイス系の風味も特徴。89pt
2023 メルロー ナパ・ヴァレー
この年は100%ナパのクームズヴィルの畑のメルローを使っています。一つは前述のクームズヴィルの畑で、もう一つはFaustの畑です。50%新樽で15カ月熟成しています。新樽は樽の風味を付けるためというよりも、タンニンを和らげる効果のためだとのこと。2023年は涼しい年だったので冷涼感のあるメルローに仕上がっているといいます。
ナパのメルローというとちょっと甘やかさを感じるものが多いですが、このワインはハーブの香りなど「セイバリー」な風味が比較的前面に出ています。少しピラジンを感じ、レッド・チェリーなどの赤果実もあります。タンニンは柔らかく、優しい味わい。88pt
2021 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー
プロファイル・エステートとオークノールにあるHardman Vineyardという畑のブドウを使っています。メルローの柔らかさと比べると、こちらはタンニンと堅さを感じる味わい。少しピラジンの風味もあります。ミントやディルのようなハーブや、グラファイトといった果実味以外の要素が多く感じられます。現時点の評価としては88ptとしますが、熟成するとすごく良くなりそうなカベルネ・ソーヴィニヨンです。2021年は干ばつの年で、ブドウの実が小さくなったことが、味わいの堅さにつながっているようです。
最後にフラッグシップであるプロファイルの2018年と2010年(蔵出し)です。2018年は国内での現行のヴィンテージです。プロファイルの畑は認証は取っていませんがオーガニックで栽培。前述のようにフィッシュ・フレンドリー・ファーミングの認証は得ています。
2018 Profile
カベルネ・ソーヴィニヨン82%でカベルネ・フランが17%、プティ・ヴェルドが1%。比較的カベルネ・フランが多い年となっています。
カシスなどの熟した果実に黒鉛、リッチでフルボディで酸も豊かです。しなやかなタンニンでバランスよく素晴らしいワイン。94pt
2010 Profile
プロファイルは従来は買いブドウで造っていましたが、この年からすべて自社畑になっています。
黒系果実にマッシュルームや腐葉土といった熟成による香り。ハーブも感じます。素晴らしくきれいに熟成しています。96pt
セミナーはここまでですが、それ以外のワインも試飲ができました。セカンド的な位置付けになるスターモントはラベルを新しくしています。星座の模様をあしらっていますが、品種ごとに最初にリリースされた年の星空の配置をなぞったものになっています。ソーヴィニヨン・ブランは2024年から、シャルドネとピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンは2023年から変わっています。
2024 スターモント ソーヴィニヨン・ブラン
青リンゴやハーブの風味。穏やかな酸味 86pt
2022 スターモント シャルドネ
柔らかくバランスのいい味わい 88pt
2020 スターモント・ロゼ・ピノ・ノワール
チャーミングな味わい 88pt
2021 スターモント ピノ・ノワール
ピノ・ノワールとしてはややしっかりした系統。青果実の風味もあります 87pt
2019 スターモント カベルネ・ソーヴィニヨン
少し堅さがありますが、フレッシュでバランスの良さは秀逸 90pt
2022 メリーヴェール シャルドネ・ソノマ・コースト
ソノマ・コーストに変わった最初のヴィンテージです。酸がきれいでバランスがいい 91pt
NV アンティグア
酒精強化によるデザートワインです。リッチで甘く、焦がし麦の風味があります。 89pt
メリーヴェールのセミナーは2024年5月以来です。
モンダヴィとハーランの故郷、メリーヴェールの現在地
右はお嬢さん。レネさんは家では奥さんと3人の娘の4人の女性に囲まれているとか。
ロバート・モンダヴィの最初のワイナリーであるサニー・セント・ヘレナに端を発したメリーヴェール。ハーラン・エステートのビル・ハーランの最初のワイナリーでもありました。1996年からはシュラッター家が単独オーナーとして家族経営を続けています。輸入元である中川ワインの中川誠一郎社長によると「家族経営のワイナリーがどんどん減っていく中で貴重なワイナリー」だと言います。
ワインメーカーは前回来日したジェフ・クロフォードで、このほかコンサルタントとしてジャン・ホーフリガーが参加しています。ジャン・ホーフリガーはレネさんと同じスイスの出身で長年の友人。以前はフィリップ・メルカがコンサルタントをしていましたが、メルカは多くの顧客を抱え、メリーヴェールではフラッグシップのプロファール・シリーズしか見られなかったため、全体を見てもらえるコンサルタントを依頼したとのことでした。
醸造では複数の発酵容器を組み合わせて使っています。Rieger社製の小型のステンレスタンク、オープントップのコンクリート、樽などを使用しています。
メリーヴェールのワイナリーはセント・ヘレナの中心地にあり、プロファイルの畑はワイナリーから東側の斜面にあります。標高300m以上と霧のかからない高さです。2021年から2023年にかけては、マウント・ヴィーダーに二つの畑、クームズヴィルに一つの畑と畑を拡充しています。山の畑は昼間の気温が上がりにくいことと、夜間は逆に温度があまり下がらず穏やかな気候になります。クームズヴィルもナパではカーネロスの次くらいに海に近く比較的冷涼です。気候変動への対応として、こういった涼しいところの畑を開拓しているとのことです。
サスティナビリティの取り組みとして、醸造設備では「ナパ・グリーン・サーティファイド・ワイナリー」を、また4つの畑全部でで「フィッシュ・フレンドリー・ファーミング」を取得しています。
また、ピノ・ノワールはこれまでナパのカーネロスのスタンリー・ランチとブラウン・ランチを使ってきましたが、2022年からはソノマ・コースト(ペタルマ・ギャップ)の畑に変えます。カーネロスは冷涼ですが、暑い日もあり、皮が薄いピノ・ノワールはその影響を受けやすいので、さらに涼しいところを探したました。メリーヴェールでは、ワインのフレッシュな味わいを大事にしているので、涼しい地域の畑は重視しているとのころです。
試飲に移ります。ポイントは私の主観です。
最初はソーヴィニヨン・ブラン2023。ポープヴァレーやヨントヴィル、ソノマのブドウ(10%未満)を使っています。発酵槽はシガーバレル、コンクリート、ステンレススティールの樽を併用しています。シガーバレルは澱との接触を増やすのが目的です。
黄金色で柑橘や熟したリンゴを感じます。クリアで伸びる酸、スイカズラ、蜜っぽさもあり美味しいソーヴィニヨン・ブラン。92pt
2本目はシャルドネのシルエット2022
カーネロス スタンレーランチのブロック2Aのブドウを使っています。バニラの香り、蜜、グアバ、カモミール、柔らかいがしっかりした酸、さすがレベルの高いシャルドネです。92pt
2021 カーネロス ピノ・ノワール
カーネロスの銘醸畑スタンリーランチとブラウンランチのピノ・ノワールを使っています。スタンリーランチに植わっているクローンはディジョン667で赤系果実やハーブの風味が特徴、ブラウンランチはポマール・クローンでより濃く、凝縮感があり、アーシーな風味が特徴となります。
赤系果実の風味がありますが、ラズベリーのような軽やかな味ではなく、ザクロのような少し重量感のある味わい。シナモンや紅茶、五香粉など、スパイス系の風味も特徴。89pt
2023 メルロー ナパ・ヴァレー
この年は100%ナパのクームズヴィルの畑のメルローを使っています。一つは前述のクームズヴィルの畑で、もう一つはFaustの畑です。50%新樽で15カ月熟成しています。新樽は樽の風味を付けるためというよりも、タンニンを和らげる効果のためだとのこと。2023年は涼しい年だったので冷涼感のあるメルローに仕上がっているといいます。
ナパのメルローというとちょっと甘やかさを感じるものが多いですが、このワインはハーブの香りなど「セイバリー」な風味が比較的前面に出ています。少しピラジンを感じ、レッド・チェリーなどの赤果実もあります。タンニンは柔らかく、優しい味わい。88pt
2021 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー
プロファイル・エステートとオークノールにあるHardman Vineyardという畑のブドウを使っています。メルローの柔らかさと比べると、こちらはタンニンと堅さを感じる味わい。少しピラジンの風味もあります。ミントやディルのようなハーブや、グラファイトといった果実味以外の要素が多く感じられます。現時点の評価としては88ptとしますが、熟成するとすごく良くなりそうなカベルネ・ソーヴィニヨンです。2021年は干ばつの年で、ブドウの実が小さくなったことが、味わいの堅さにつながっているようです。
最後にフラッグシップであるプロファイルの2018年と2010年(蔵出し)です。2018年は国内での現行のヴィンテージです。プロファイルの畑は認証は取っていませんがオーガニックで栽培。前述のようにフィッシュ・フレンドリー・ファーミングの認証は得ています。
2018 Profile
カベルネ・ソーヴィニヨン82%でカベルネ・フランが17%、プティ・ヴェルドが1%。比較的カベルネ・フランが多い年となっています。
カシスなどの熟した果実に黒鉛、リッチでフルボディで酸も豊かです。しなやかなタンニンでバランスよく素晴らしいワイン。94pt
2010 Profile
プロファイルは従来は買いブドウで造っていましたが、この年からすべて自社畑になっています。
黒系果実にマッシュルームや腐葉土といった熟成による香り。ハーブも感じます。素晴らしくきれいに熟成しています。96pt
セミナーはここまでですが、それ以外のワインも試飲ができました。セカンド的な位置付けになるスターモントはラベルを新しくしています。星座の模様をあしらっていますが、品種ごとに最初にリリースされた年の星空の配置をなぞったものになっています。ソーヴィニヨン・ブランは2024年から、シャルドネとピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンは2023年から変わっています。
2024 スターモント ソーヴィニヨン・ブラン
青リンゴやハーブの風味。穏やかな酸味 86pt
2022 スターモント シャルドネ
柔らかくバランスのいい味わい 88pt
2020 スターモント・ロゼ・ピノ・ノワール
チャーミングな味わい 88pt
2021 スターモント ピノ・ノワール
ピノ・ノワールとしてはややしっかりした系統。青果実の風味もあります 87pt
2019 スターモント カベルネ・ソーヴィニヨン
少し堅さがありますが、フレッシュでバランスの良さは秀逸 90pt
2022 メリーヴェール シャルドネ・ソノマ・コースト
ソノマ・コーストに変わった最初のヴィンテージです。酸がきれいでバランスがいい 91pt
NV アンティグア
酒精強化によるデザートワインです。リッチで甘く、焦がし麦の風味があります。 89pt

ナパでは初めてのワイン・マラソンが5月9日に開催されます。名称は「The Wine Half Marathon - Napa Edition」。ナパでは毎年3月に「Napa Valley Marathon」が開催されていますが、Napa Valley Marathonはシリアス・ランナー向けで、ランナーの憧れであるボストン・マラソンへの参加資格を得やすい(コースが基本的に下り基調で、カーブも少ない)マラソンとして知られています。
それに対して、今回のThe Wine Half Marathonは記録を出すよりも、ワインを楽しみながら走ることを主眼としています。また、フルマラソンはなくハーフマラソンのみとなります。クインテッサのワイナリーがスタート地点で、コース上にはフロッグス・リープやシルバーオークなどのワイナリーがあります。これらのワイナリーがワインを提供することになるのでしょう。

ゴールしたところにもワインのブースが出されるようです。
初回の今回はランナー1000人に限定します。我こそはと思う方はお早めに申し込みください。
サイトはこちら
The Wine Marathon Napa Edition
シリコンバレー・バンクによるワイン業界の分析レポートが発表されました。ワイナリーへのアンケート調査などを通じて、現状を分析するレポートです。総じて厳しい状況が続いていますが、2026年が「底」で、これから良くなっていくのではないかという見方もあります。また、今回のレポートでは成功するワイナリーのためのポイントを明らかにしており、これらは日本のワイナリーにとっても参考になるのではないかと思いました。
昨年のレポートの記事
低迷続く米国のワイン消費、若年層への訴求はいかに

まず、2025年の状況についてですが、「最も難しい年だった」という回答が7%と過去4年で最も多く、厳しい状況がより進んでいることがうかがえます。

その中で、セールスチャンネルとしては、テイスティングルームとワイン・クラブといったいわゆるDtC(消費者との直接のコネクションによる販売)が半分を超え、卸売りは合計3割となっています。昨今、DtCによる販売が低迷しているという記事も見かけるのですが、とはいえ重要度が減っているわけではなく、最重視しなければいけないチャンネルであることは変わりません。

現在の状態を「ポジティブ」と見る数字から「ネガティブ」と見る数字を引いたインデックスを地域別に見ると、ネガティブの割合が一番多いのがソノマで次がナパでした。12ドル以下の安ワイン市場が減っていると言われていますが、プレミアムが多いこれらの地域でネガティブが多いのは意外でした。逆にネガティブが少ないのはワシントン州とヴァージニア州。ワシントンはカナダへの輸出がほぼなくなったことが影響しているのではないかと思っていたのですが、意外とネガティブは少ないようです。

こういった状況で、うまく行っているワイナリーにどういう特徴があるかをまとめたのが上の表です。ほかのページの情報も含め、成功のための条件をまとめると以下のようになります。
1. 「受動的需要」からの決別
最大のメッセージは、「待っていても客は来ない」ということです。観光客任せのテイスティングルーム運営、ディストリビューター依存の販売モデルはもはや機能しません。成功しているワイナリーは、消費者の生活圏や価値観に積極的に入り込み、関係性を設計しています。
2. ワインクラブを中核としたリテンション戦略
成長しているワイナリーに最も強く共通する要素は、ワインクラブを重視していることでする。新規獲得よりも既存顧客の継続率を重視し、クラブを「単なる定期販売」ではなく、ブランドとの関係基盤として位置づけています。特に、離脱予備軍への再エンゲージメントが重要視されています。
3. ホスピタリティの再定義
成功しているワイナリーは、テイスティングルームを「バー」ではなく「舞台」と捉え、予約制・少人数・パーソナライズされた体験を提供しています。重要なのは回転率ではなく、体験の質と記憶への残り方であり、それがクラブ加入率と長期的収益につながっています。
4. SKUの整理とブランドの明確化
上位層のワイナリーほど、SKU数が少なく、メッセージが明確です。品揃えの拡大ではなく、「何のためのワインか」を消費者に伝える力が価格維持と差別化を可能にしています。
5. デジタルは「代替」ではなく「増幅装置」
SNSやメールは、単独で売上を生む魔法のツールではありません。成功事例では、デジタルはあくまでリアルな体験やイベント、クラブ活動を増幅する役割を担っています。無差別な配信ではなく、目的と測定指標を持った運用が不可欠です。
6. 成長の再定義
「成長」とは、量的拡大ではなく、価値密度の向上です。生産量を抑え、需要に見合った供給を行い、顧客一人当たりの価値を高めることが、2026年以降の安定と回復への唯一の道になるでしょう。
今後成長に改めて転換する可能性はあるものの、それには上記のような戦略の変化を推し進めることが必要になってくるでしょう。現状のまま変化しないワイナリーは淘汰されていくのではないかと思います。特に中小規模のワイナリーにとってはDtCのチャンネルが命でもあり、うまくいくワイナリーとそうでないワイナリーが明確に分かれていくのが今年以降ではないでしょうか。
昨年のレポートの記事
低迷続く米国のワイン消費、若年層への訴求はいかに

まず、2025年の状況についてですが、「最も難しい年だった」という回答が7%と過去4年で最も多く、厳しい状況がより進んでいることがうかがえます。

その中で、セールスチャンネルとしては、テイスティングルームとワイン・クラブといったいわゆるDtC(消費者との直接のコネクションによる販売)が半分を超え、卸売りは合計3割となっています。昨今、DtCによる販売が低迷しているという記事も見かけるのですが、とはいえ重要度が減っているわけではなく、最重視しなければいけないチャンネルであることは変わりません。

現在の状態を「ポジティブ」と見る数字から「ネガティブ」と見る数字を引いたインデックスを地域別に見ると、ネガティブの割合が一番多いのがソノマで次がナパでした。12ドル以下の安ワイン市場が減っていると言われていますが、プレミアムが多いこれらの地域でネガティブが多いのは意外でした。逆にネガティブが少ないのはワシントン州とヴァージニア州。ワシントンはカナダへの輸出がほぼなくなったことが影響しているのではないかと思っていたのですが、意外とネガティブは少ないようです。

こういった状況で、うまく行っているワイナリーにどういう特徴があるかをまとめたのが上の表です。ほかのページの情報も含め、成功のための条件をまとめると以下のようになります。
1. 「受動的需要」からの決別
最大のメッセージは、「待っていても客は来ない」ということです。観光客任せのテイスティングルーム運営、ディストリビューター依存の販売モデルはもはや機能しません。成功しているワイナリーは、消費者の生活圏や価値観に積極的に入り込み、関係性を設計しています。
2. ワインクラブを中核としたリテンション戦略
成長しているワイナリーに最も強く共通する要素は、ワインクラブを重視していることでする。新規獲得よりも既存顧客の継続率を重視し、クラブを「単なる定期販売」ではなく、ブランドとの関係基盤として位置づけています。特に、離脱予備軍への再エンゲージメントが重要視されています。
3. ホスピタリティの再定義
成功しているワイナリーは、テイスティングルームを「バー」ではなく「舞台」と捉え、予約制・少人数・パーソナライズされた体験を提供しています。重要なのは回転率ではなく、体験の質と記憶への残り方であり、それがクラブ加入率と長期的収益につながっています。
4. SKUの整理とブランドの明確化
上位層のワイナリーほど、SKU数が少なく、メッセージが明確です。品揃えの拡大ではなく、「何のためのワインか」を消費者に伝える力が価格維持と差別化を可能にしています。
5. デジタルは「代替」ではなく「増幅装置」
SNSやメールは、単独で売上を生む魔法のツールではありません。成功事例では、デジタルはあくまでリアルな体験やイベント、クラブ活動を増幅する役割を担っています。無差別な配信ではなく、目的と測定指標を持った運用が不可欠です。
6. 成長の再定義
「成長」とは、量的拡大ではなく、価値密度の向上です。生産量を抑え、需要に見合った供給を行い、顧客一人当たりの価値を高めることが、2026年以降の安定と回復への唯一の道になるでしょう。
今後成長に改めて転換する可能性はあるものの、それには上記のような戦略の変化を推し進めることが必要になってくるでしょう。現状のまま変化しないワイナリーは淘汰されていくのではないかと思います。特に中小規模のワイナリーにとってはDtCのチャンネルが命でもあり、うまくいくワイナリーとそうでないワイナリーが明確に分かれていくのが今年以降ではないでしょうか。