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Date: 2026/0131 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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UCデーヴィスの研究者が再生可能型のブドウ栽培(Regenerative Agricuture)と従来型の栽培の経済性を比較した研究結果が、American Journal of Enology and Viticulture(AJEV)に掲載されています。

従来型といってもいわゆる慣行栽培ではなく、サスティナブルな栽培との比較になります。
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調査対象はソノマ郡内の4つの中規模なブドウ畑で、ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンについて調べています。再生可能型では不耕起、カバークロップの常在化、堆肥施用、化学除草剤の不使用、羊の放牧による雑草管理と養分循環などが採用しています。一方、従来型では、交互耕起、合成肥料や除草剤の使用、機械による草刈りを行っています。両者の経済比較は、ブドウ畑の寿命を30年と仮定し、正味現在価値(NPV)を用いて行いました。

分析の結果、長期的な収益性は非常に近い水準でした。再生型のNPVは従来型より平均約5%低くなりましたが、経営判断を大きく左右するほどの差ではありませんでした。品種別ではシャルドネでは差が小さく、カベルネ・ソーヴィニヨンでは差が大きいという結果が出ています。

コスト構造を見ると、再生型では堆肥や羊の放牧に追加費用が発生するため、オペレーションのコストは従来型より1ヘクタールあたり約300ドル高くなりました。しかし同時に、耕起、草刈り、除草剤が不要となることでコスト削減が生じるほか、堆肥や家畜糞尿による養分価値、土壌侵食防止効果、炭素隔離による潜在的価値といった間接的な利益があります。これらを換算すると、実質的なコスト差は小さくなることが分かりました。

さらに、再生型では堆肥や羊を外注する場合と、自社でもつ場合も比較しています。ワイン造りの副産物(搾りかす、茎、澱など)を活用した自家堆肥生産は、購入堆肥と比べて約6割のコスト削減が可能であり、長期的には経済的メリットが大きくなります。また、羊を自社保有する場合、飼料費削減や肉製品販売による副収入が得られ、初期投資は必要なものの、外注より有利になる可能性が示唆されています。

感度分析では、再生型導入による収量低下や価格変動の影響が検討されています。最大40%の収量減や±20%の価格変動を想定した場合でも、多くのシナリオで再生型は従来型と同程度の経済性を維持しています。特に、価格プレミアムがあったり、収量低下がわずかであれば、再生型のNPVが上回る可能性があることが分かりました。

Date: 2026/0130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのカリストガにあるダイヤモンド・クリーク(Diamond Creek)。ナパの中でも古くから高品質で知られ、入手困難なワインとして知られてきました。このほどナパ郡に醸造設備の新築や生産量の増加、ビジターの増加などを認められました。ダイヤモンド・クリークが水使用量の削減など、サスティナブルなワイン造りのために努力してきたことが評価された形です。

生産量はこれまで1万ガロン(約4000ケース)が認めらてきたのに対し、倍以上の2万5000ガロン(約1万ケース)が認められるようになりました。ワイナリーのビジターは年間520人から3120人、従業員は5人のフルタイムから8人のフルタイムと2人のパートタイムへと拡張できるようになります。

Diamond Creek
新しいワイナリーは2000平米を超えるもので、貯蔵設備を兼ねます。従来のワイナリーは住居として使用される予定です。

ダイヤモンド・クリークは、2019年に創設者のアル・ブラウンスタインが亡くなり、2020年にルイ・ロデレールが買収しています。
Date: 2026/0127 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Arista
ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーで素晴らしいピノ・ノワールとシャルドネを作るアリスタ(Arista)がワイン造りをやめると発表しました。2025年2月に畑とワイナリーを売却し、その後もブランドは維持する方向でしたが、2024年が最終ヴィンテージになりました。

アリスタはアルとジャニスのマックウイリアムズ夫妻が2002年に立ち上げたワイナリー。少量生産のピノ・ノワールとシャルドネに特化し、ワイン・アドヴォケイトでは最高99点、ワイン・スペクテーターでは最高96点など、非常に高い評価を得ていました。

ただ、夫妻が2025年で80歳を迎えるため、ワイナリーをダウンサイズしたいと息子のマークに相談。前述のように、畑とワイナリーを売却してブランドだけを維持する方向になりました。ただ、実際に当事者となると、ブランドを維持してワインを造っていくためには借金が必要など、ハードルが高いことが分かってきました。本業の不動産ビジネスもあることから、両方を維持するのは困難であると、ブランド継続を断念しました。

ただし、2026年には最終ヴィンテージとなる2024年のワインをリリースする予定であり、その後も倉庫に残ったワインを少しずつ放出していくとのこと。テイスティングなども受け入れを続けると表明しています。
Date: 2026/0124 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部に入っている「リース・フィッチ」が激安です。ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランでどちらも1188円。ワイナリー価格は15ドルで、実売でも11ドルくらいするワインです。現地価格より4割近く安い計算になります。現地の価格帯で言うと、Decoyなどが近いレベルですから、この安さが分かるでしょう。

特にソーヴィニヨン・ブランは前のヴィンテージがWine Enthusiastでベストバイに選ばれています。





3本目はブレッド&バターのレッド・ブレンドです。めったに見かけないレッド・ブレンドですが、残念ながらこのキュベは輸入停止になってしまったそうで、そのために安くなっています。メルローやシラーなど、様々なブドウをブレンドしています。


こちらのショップは柳屋です。


Date: 2026/0113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジンファンデルの普及促進団体ZAP(Zinfandel Advocates & Producers)が2026年に設立35年を迎えます。1月29日から31日にはナパヴァレーで「ZinEX 2026: Weekend Classic」というイベントを開催。試飲会のほかワインメーカーディナーやブドウ畑の見学、セミナーなどが行われます。

ZAPは古木の畑の研究やなどを行うオールド・ヴァイン・カンファレンス(OVC)との関係も深めており、2025年にはOVCのリアル会議をカリフォルニアで開催しました。カリフォルニアで古木の畑を登録するHVS(Histric Vineyard Society)との連携も深めています。

Jake Beckett
一方、悲しいニュースはピーチー・キャニオンの創設者の子供でジェネラルマネージャーを務めていたジェイク・ベケットが急死したという知らせが舞い込んできたことです。2024年のAliveテイスティングではパソ・ロブレスがテーマになっており、ジェイクさんも来日していました。

写真の右から3人目がジェイクさんです。

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ジェイクさんは、これまでの型を破りたいと2004年にピーチー・キャニオンを一度やめてクロニック・セラーズを立ち上げました。2019年にクロニックを売却し、ピーチー・キャニオンに戻っていました。

ピーチー・キャニオンといえば定番はインクレディブル・レッド。ジンファンデルを中心にしたコスパの高いブレンドです。


上が旧ラベルで下が新ラベル。個人的には旧ラベルが好きですが、新ラベルも美味しさは変わりません。
Date: 2026/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨年夏に、ソノマなどで「ワイン産業改善地区計画」が検討されている話を書きました。
参考:
物議を醸すソノマの「ワイン産業改善地区計画」
賛否渦巻く「ワイン産業改善地区計画」

これは、ワイナリーのテイスティング・ルームでの売り上げの一部(1~2%)を地域のマーケティング費用に充て、ワイン産業の底上げを図ろうというもの。
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ソノマの計画は一回ペンディングになったようですが、ローダイは2025年11月にローダイ・ワイナリー事業改善地区(Lodi Winery Business Improvement District=LWBID)が設立されています。ローダイはこれまで栽培家がローダイ・ワイングレープ・コミッションを通じて地域をサポートしてきましたが、今回のLWBIDはワイナリーの出費になります。ローダイ・ワイングレープ・コミッションとは互いに補完しあうような関係をめざしています。ローダイではワイナリーは1.5%支払うことになっています。この1.5%を消費者から徴収するか、消費者の負担は変えずにワイナリーが出すかは自由とされています。

この基金を使って、以下のようなことを予定しています。
・統合広告とアウトリーチキャンペーン
・ビデオ、印刷物、デジタルコンテンツの作成
・メディア、インフルエンサー、旅行ライターとの関わりを拡大
・顧客基盤を拡大するために、ロディと主要市場で特色あるイベントを開催
・貿易および産業アウトリーチ
・地域の標識と観光情報
・ローダイワイングレープコミッションと連携したマーケティング
・あらゆるコミュニケーションチャネルを通じてローダイワインのアイデンティティを強化する

例えば、この基金の前に実施したものでは「予約不要」のキャンペーンで、ワイナリーを訪問する人のしきいを下げるプロモーションを行っています。

これからの時代、消費者に選んでもらえるようにするためには、地域としての情報発信などが重要になってきます。ローダイのプロモーションがどのように成果を上げるのかが注目されています。
Date: 2026/0109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国農務省が「Dietary Guidelines for Americans」を5年ぶりに更新しました。従来のガイドラインは164ページもありましたが、今回は表紙を除いて9ページと、極めてシンプルな形になりました。

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今回一番強調しているのは「本物の食べ物を食べましょう」というシンプルなメッセージ。具体的には「適切な量を食べる」「毎食においてタンパク質摂取を優先する」、「一日を通して野菜や果物を摂取する」、「高度に加工された食品、添加糖、精製炭水化物を制限する」といったことです。

アルコールについては最後に登場し「アルコールを制限すること」としています。より具体的には
・より良い健康状態のためにアルコール摂取量を減らしましょう。
・アルコールを完全に避けるべき人々は妊婦、アルコール依存症からの回復期にある人、飲酒量を制御できない人、アルコールと相互作用する可能性のある薬を服用中または持病がある人です。アルコール依存症の家族歴がある人は、アルコール摂取量と関連する依存行動に注意を払ってください。
という表現になりました。

実は、このガイドラインは2024年のバイデン政権時代に内容の検討が始まっていたのですが、そこでは「アルコール摂取に安全な量はない」といった表現が入る方針になっていました。アルコール業界にとってはかなりの逆風になることが予想されており、また科学的なエビデンスから見て、強すぎる表現であることが懸念されていました。

トランプ政権になったことで、これらの検討はリセットされ、今回の内容に落ち着いたようです。アルコールについては付けたし的な感じであり、これまでのガイドラインと比べてもマイナス面はほとんどないのではないかと考えられています。

とはいえ、「Dry January」として1月は禁酒するといった動きもますます広がっており、ガイドラインとは別にアルコール摂取量が減り続けている状況は変わりません。先日もノンアルをテイスティングメニューに入れたワイナリーの記事を書きましたが、ワイン業界として「No-Lo」(ノーアルコールまたはローアルコール)に対応していくことは一層大事になってくるでしょう。
Date: 2026/0108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・エンスージアストに、米国のマルベックについての記事が出ていました(American Malbec Producers Are Onto Something)。

正直言って、マルベックのバラエタル・ワインはほとんど飲んだことないです。昔ワイナリーで買ったことがありますが、遠い昔過ぎてよく覚えていません。近年だとソノマの注目ワインメーカー「ジェシー・カッツ」がデヴィル・プルーフ(Devil Proof)でマルベックとして初の100点をとったことくらいしか記憶に残っていません。

記事によると「西海岸産のアメリカ産マルベックは、力強さと精密さ、構造と飲みやすさを兼ね備えており、そしておそらく最も重要なのは、本格的な品質と、それでもかなりお財布に優しい価格を兼ね備えている」とのこと。

地域ではナパやパソ・ロブレスで広がっており、アルゼンチンやフランスとは異なるスタイルになってきているとか。

日本では飲む機会があまりないかもしれませんが、気になりますね。
Date: 2026/0106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのラザフォードにあるベラ・オークス(Bella Oaks)と、同じオーナーでセント・ヘレナでワイナリー兼カスタム・クラッシュなどを営むウィーラー・ファームズ(Wheeler Farms)がノンアルコールのテイスティングを始めました。
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ベラ・オークスのツアーでは、オーガニックの畑や、ワイナリーのアート・コレクション(草間彌生さんの作品など)を楽しみ、ウィーラー・ファームズのホスピタリティ・センターでワインの試飲あるいはスパークリング・ティーの試飲ができます。スパークリング・ティーはSUSURRUS(ススラス)というナパの会社のもので、ベラ・オークスの元社員が手掛けています。
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ウィーラーファームは「ゼロ・プルーフ・エクスペリエンス」という名前で季節限定のシェフ特製ドリンク4種類を提供します。いずれも敷地内の菜園と果樹園で採れた食材を使用しています。1月に始まった初回のフライトは、エステート・ソーヴィニヨン・スプリッツ(ノンアルコールのソーヴィニヨン・ブラン果汁、ハーブ、レモン果汁、炭酸水)、オーチャード・ペア・スパイス(洋梨のシュラブの漬け込み、シナモン、ライム果汁、炭酸水)、ジンジャー・タンジェリン・ツイスト(搾りたてのガーデン・タンジェリンとライム果汁、オレンジビターズ、シロップ、ジンジャービール)、そしてキュウリ・フィズ(泡立てたキュウリ果汁、マイヤーレモンとライム果汁、卵白、塩)です。これらの特注ドリンクは、エグゼクティブ シェフのトム ハーダーによる季節の料理とペアリングしています。