後半の1本目、メルローから続けます。
メルロー2014円はカシスやブラックベリーの風味。きめ細かなタンニンが印象的です。シルキーな舌触りで上品。
メルローは1990年代にブームになりましたが、その後、映画『サイドウェイ』の呪いで長期低迷に陥りました。実際、ブームのときに作られたメルローの多くは品質が不十分だったのですが、近年はまた品質が上がってきている感じがあります。トレフェッセンでは主に2010年に植え替えた新しい樹の果実を主に使っています。
上の写真でいうと左側のブロックの一番上(北側)の東側です。質の向上には量を減らすことが肝心であることがわかったため、ブドウの枝1本あたり、ブドウの実を1~2個に絞っているとのこと。
お造りのイカは白ワインで食べましたがマグロは赤で。醤油ではなく塩をつけてみました。本当だったら「ワインと食事のマリアージュに「ブリッジ食材」のマジック」で書いたたまり醤油があるとよかったのですが。
また、話が変わりますが、上の写真で示したトレフェッセンのメイン・ランチの畑。平地にただ広がっているように見えますが、実際には土壌が20種類もあるとのこと。畑の北端い緑のところがありますが、そこに枯れた川があり、そのおかげで土壌が多様化したとのこと。
次は2014年の「ドラゴンズ・トゥース」。これだけは品種名が入っておらず、ラベルも他のワインと違っています。このワイン、マルベックとプティ・ヴェルドを中心にしたのブレンドというユニークなもの。マルベックは軽い味わいでプティ・ヴェルドはストラクチャがあります。どちらもボルドー・ブレンドで使われる品種ではありますが、その2つだけブレンドしたのはユニークです。
このブレンドは意図して作ったというより、畑から出てきたもののようです。トレフェッセンのメインランチで、マルベックとプティ・ヴァルドは隣り合った区画。最適な場所を選んでいった結果としてそうなっています。そこで、ワインでもこの二つを中心にしてみることにしたようです。
ブラックベリーとスパイス。杉の風味にヨーグルトのようなニュアンスもあります。とてもきれいでスムーズ。今飲んでも美味しいし、熟成してもおいしいでしょうね。素晴らしいワインです。
料理は西京焼きとクワイの揚げたの。クワイはシャルドネが合います。
最後の3本はカベルネ・ソーヴィニヨン。ヴィンテージ違いで1999年、2008年、2014年です。
1999年はカシスやブルーベリーの味わい。杉の風味。複雑さが出ています。酸が高めで芯が通った印象。
2008年は1999年以上に酸の高さを感じます。果実もブルーベリーというよりは、もっと酸の強いブラックベリー的味わい。
2014年は、まだかなりタニック。若さを感じます。ブルーベリーの風味。これも酸は高め。
モダンな作りのカベルネ・ソーヴィニヨンの場合、熟成していったときに果実味が落ちるだけで、複雑さなどプラスの部分があまり出てこないことがありますが、トレフェッセンの場合はどれもきれいに熟成していっているのが印象的でした。また、どれもオークノールの特徴だという「酸と明るさ」がよく出ていました。
面白いのは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー(数%と比率は低めです)を混ぜて一緒に発酵・熟成させているという話。その方がより味わいがまとまってくるのだとか。
和牛の脂身にカベルネ・ソーヴィニヨンは合わないはずがないですね。どちらもおいしいです。
トレフェッセンは、いわゆる自然派として売っているワインではありませんが、畑では自然農法を取り入れています。ロレンゾ氏によると、日本の自然農法家として知られる福岡正信氏に心酔して、その農法を取り入れているとのこと。その姿勢は、表面的に自然派をなぞっているわけではなく、のめり込んでいると言っても過言ではないレベルですが、それをマーケティング的に使わないところに好感が持てます。
また、畑などの労働者100人をすべて社員として抱えているのもカリフォルニアでは珍しいところです。ワイナリーと畑が隣接していることもあり、収穫は最適なタイミングで行え、収穫したブドウはわずか数分でワイナリーに到着します。
トレフェッセン、想像していた以上に様々なことに取り組み、試行錯誤の結果として今の形に行き着いています。ただ、長く続けるだけの伝統ではなく、いいものにしようとし続けての50年。一般にイメージするカリフォルニアワインとは少し違うかもしれませんが、本物の味わいです。ぜひ飲んでみてほしいです。
個人的には特に、ドライなスタイルで魅力的なリースリングとエレガントでストラクチャーもあるドラゴンズトゥースをお薦めしておきます。
トレフェッセン ドライ・リースリング エステート ナパヴァレー |
トレフェッセン ドラゴンズ・トゥース エステート ナパ・ヴァレー 2015 750ml (ワイン) 【wineday】 |
トレフェッセン・ドライ・リースリング・エステート・ナパ・ヴァレー2016 |
これを低迷と呼ぶべきなのかどうかは難しいところ。落札額が下がった要因の1つとしては、高額で落札されるワインを出品するワイナリーが減ったこと。このオークション用のスペシャル・キュベを用意するのが面倒になったのでしょうか。
例えば、昨年の最高落札額(20万ドル)だったスケアクロウは今年は出ていませんでした。
今年の最高落札額は11万ドルでワイナリーはシルバー・オーク。ワインはなんと240本ですから1本あたりは500ドルもしません。
ただ、ワイン・サーチャーの記事「Napa Wine Auction Prices Stall | Wine News & Features」によると、2016年の品質は極めて高く、近年でも最高と言われた2013年を上回っているとのこと。
派手な落札のニュースがなかったのは、記事を書く立場としてはちょっと残念ですが、それでも十分に高い売上はあるわけで、昨年の火事からの一層の復興を願うばかりです。
トレフェッセンはナパのオークノールにあります。1968年に設立されており、今年は50周年。まだナパにワイナリーが数十程度しかないころからワインを作っています。100%自社畑のブドウを使っており、畑の大部分はワイナリーの周囲のヴァレー・フロアにあります。
トレフェッセンには2016年にナパ・ヴァレー・ヴィントナーズのツアーでナパに行ったときにも訪問しています。当時は2014年の地震で大きく壊れたテイスティング・ルームのある建物の補修中でしたが、現在は補修が完了して再オープンしています。
トレフェッセンはナパのワイナリーの中では、ちょっと地味な存在に感じていました。例えばWine Advocateの評価で見ると、大体90点くらいのワインが多く、ものすごく高評価というわけではありません。
涼しい気候を好むシャルドネやピノ・ノワールも、比較的温暖なところを好むカベルネ・ソーヴィニヨンも、ワイナリーの周囲で栽培しているというのも、ちょっと中途半端な感じがしていました。
いや、ごめんなさい。ほんと、ごめんなさい。
トレフェッセン、おいしいです。確かに濃厚なワインではありませんが、その分食事の邪魔をせず、今回のランチの日本食ともよくなじんでいました。「クラシック」とも言えるこのスタイルは、これまで50年の歴史を経て行き着いたもので、このスタイルに自信を持って取り組んでいるということも、今回よくわかりました。また、古いヴィンテージのものも、とてもきれいに熟成していました。
今回のランチでは9種のワインを飲みました。
1.ドライ・リースリング 2016
2.シャルドネ 1994
3.シャルドネ 2005
4.シャルドネ 2015
5.メルロー 2014
6.ドラゴンズ・トゥース 2014
7.カベルネ・ソーヴィニヨン 1999
8.カベルネ・ソーヴィニヨン 2008
9.カベルネ・ソーヴィニヨン 2014
まずはドライ・リースリングから。リースリングは「ドライ」といっても、そこそこ甘さを残したものも多く、消費者としてワインを選ぶときにはそのあたりがちょっと悩ましく感じられてしまうのですが、このリースリングは残糖が1リットルあたり5gということで、ほとんど甘さは感じません。オレンジやレモンの柑橘系の香りに、きれいで柔らかい酸、余韻に残るフルーツのフレーバー。これは美味しいです。
魚介類に合いますね。料理もすごく美味しい。
次はシャルドネ3種。ヴィンテージ違いで1994年、2005年、2015年です。
これが3種が入ったグラス。どれがどのヴィンテージかわかるでしょうか?
一番色が濃いのが古いのかと思いきや、実は右から1994年、2005年、2015年の順になっています。2005年の色が濃いのは樽の違い。1994年が新樽率15%、2015年が20%なのに対し、この年は78%が新樽。マロラクティック発酵も1994年が0、2015年が4%に対して、21%となっています。トレフェッセンにも濃いワインを指向していた時期があり、2005年が一番その傾向が強かったころ。それが新樽率の高さにつながっています。
飲んでみると1994年はさすがに果実味はだいぶ落ちていますが蜜の香りがすばらしい。ゆでた豆や芋のようなフレーバーがあり、和食の豆類とよく合います。2005年はやはり樽のフレーバーが強く残っており、イースト香のような感じやちょっとひねた感じもあります。悪いワインではありませんが、魅力は1994年の方が強いです。2015年はレモンやオレンジの香り。口に含むと蜜のような味わいもあります。時間が経つに連れ、蜜のフレーバーが増してくるような感じ。これもいいですね。タコの黄身辛子和えに合います。
トレフェッセンは実は(今回「実は」って話がすごく多く、ピノ・ノワールはほとんどマムに売っているとか、ドメーン・シャンドンは最初トレフェッセンで作っていたとかいろいろ面白い話があったのですが、記事に書ききれなくて悩んでいます)シャルドネで輝かしい歴史があります。
1976年のパリ・テイスティングはだれでも知っていますが、1979年にワイン・オリンピックというのが開かれたのはご存知でしょうか。フランスの有名な食の雑誌「ゴー・ミヨ」が主催したもので、33カ国から330のワインを集めて評価しました。その中でシャルドネのベストに選ばれたのがトレフェッセンの1976年でした。
参考:Wine Olympics - Wikipedia
カベルネ・ソーヴィニヨンではスペイン、ピノ・ノワールでもオーストラリアのワインが1位を取っており、フランス勢の低迷のせいかどうかわかりませんが、このイベントはこのとき一回きりだったそうです。
赤ワインは後編で。
グラウンドワークというワイナリーのロゼ。グルナッシュ100%。ドライでさわやか、夏に飲みたくなるようなタイプでした。2530円はお買い得でしょう。
モーガンのソーヴィニヨン・ブラン。豊穣さがあり、酸と果実味がきれいにバランスしています。
アルタマリアのソーヴィニヨン・ブラン。コクがあってレベル高いソーヴィニヨン。
ハグのシャルドネ、1750円。生き生きとした酸が特徴。1000円台という安さです。
パリ(Pali)のシャルドネ「チャームメーカー」。とてもバランスのいいシャルドネ。
メルヴィルのシャルドネ。果実味豊かで酸もきれい
モーガンのシャルドネ「ダブルウィル・ヴィンヤード管理」。これもいいです。
グランドアークのグルナッシュ・ブラン。2980円。酸がとてもきれいなワイン。
パリのピノ・ノワール「ハンティントン」。しっかりとした果実味がおいしい。
メルヴィルのピノ・ノワール エステート。果実味と酸のバランスがいいワイン。
カモミのメルロー。2800円。うまみがすごくあります。
タワー15の「ザ・スウェル」。とてもバランス良くストラクチュアもあります。3000円のカベルネ・ソーヴィニヨンとしてはかなり秀逸。
ストルプマンのシラー「パラマリア」。以前も紹介しましたが、これはレベル高いです。3800円。前ヴィンテージは瞬殺でしたが、今回はどうなるでしょうか。
モーガンのシラー「G17」。コスパ高いワイン。3900円。
デナーのシラー「ダート・ワーシッパー」。1万500円しますが、タンニンとストラクチャーがしっかりしたワイン。
オーストラリアのモリードゥーカーのベルベット・グローブ。3万円という値付けですが、とてもシルキーで美味しいです。価格に納得しました。
ここは3000円台とかのコスパワインが目立つインポーターですが、最後のモリードゥーカーのようなワインもあって面白いです。
辻本氏は、昨年の大火の後、プエルトス・アビエルタス(Puertos Abiertas)という、主にラテン系の家族を支えるコミュニティ・センターに10万ドルを寄付。1000を超える家族の支援につながったといいます。
ナパの労働力を支えているのはメキシコ系の移民ですが、こういった弱い立場のひとが、数多く火事で焼け出されています。それを助けるために、火事の支援ファンド一般ではなく、こういったコミュニティに寄付をするというのは英断ですね。素晴らしいと思います。
参考:Whitehall Lane: WS誌年間5位を2回取った実力派
ラベルはシンプルですが、以前とはデザインが代わっています。
輸入される商品のラインアップは
ソーヴィニヨン・ブラン 2016(希望小売価格4100円)
トレ・レオーニ 2015(カベルネ・ソーヴィニヨンにメルロー、シラー、ジンファンデルをブレンドしたレッド・ブレンド)(希望小売価格4800円)
カベルネ・ソーヴィニヨン 2015(希望小売価格6800円)
カベルネ・ソーヴィニヨン レオナルディーニ・ヴィンヤード 2014(希望小売価格1万3300円)
一般受けしそうなのはトレ・レオーニです。
近年はやりのレッド・ブレンドで、果実味を強く残し、うまみもあります。ちょっと甘みを感じる作り。ラベルもこれだけは別デザインです。
ただ、個人的にはもっとクラシカルな造りでタンニンもしっかりしてストラクチャーのあるカベルネ・ソーヴィニヨンが美味しかったです。
まだ輸入が始まったばかりでお店には出ていないと思いますが、楽しみですね。
このところのおだやかな気候から、氷点下まで下がるということで、ブドウの木にも霜が降りて、せっかく発芽した芽を傷めてしまうおそれがあります。
生産者は、巨大な扇風機を回して空気を循環させたり、水を撒くなどで霜の害を避けようとすることになります。
幸い、まだ発芽は全体の5%程度なので、すべてがやられてしまうことはないと思いますが…。
最初はパルメイアーのワインにブレンドされていましたが、独立したブランドとして造るこおとぉ提唱したのが現社長のクレオさんでした。元々ウェイフェアラー・ファームという農場があったことから名前を取ったそうです。
畑を造ったのはパルメイヤー同様デイビッド・エイブリュー。彼がソノマで手がけた最初の畑だったとのこと。現在は30エーカーの畑を細かなブロックに区切り、ピノ・ノワールを12クローン、シャルドネを4クローン植えています。ピノ・ノワールをこれだけ多くのクローン植えるのはあまり聞いたことがなかったので、その意味を質問したところ、クローンの多様性をブレンドすることによって味に深みを出したいとのこと。ただ、まだ若い畑だけに実験的な側面もあって、いいクローンを見極めるためといったこともあるようです。
ちなみに、醸造設備はなく、ソノマのカスタム・クラッシュで醸造しているそうです。
現在のワインメーカービビアナ・ゴンザレスさんは2012年に就任。最初はウェイフェアラーだけでしたが、現在はパルメイヤーのワインにまで責任を持つようになりました。
試飲は、2014年のシャルドネ、2013年のピノ・ノワール、そして2013年のピノ・ノワール「マザー・ロック」。
シャルドネはパルメイヤーのシャルドネと比べるとピュアで繊細な酸がとてもきれい。蜜の香り、オレンジ・オイル、ヴァニラ。チョークのニュアンスもあります。これはすばらしい。個人的にはスイートスポットに当たったといってもいいくらいのレベル。ここ1~2年で飲んだシャルドネの中でもトップクラスです。例えばオーベールのローレンあたりと比べても遜色ないと思います。ちなみにヴィナスでは94点。ワイン・エンスージアストでは98点!
ピノ・ノワールの2013年はラズベリーの風味。ミネラルや石のニュアンスも出ています。フルボディのピノ・ノワールですが、重くならず、明るさがあります。これもレベル高い。ちなみにヴィナスではこちらも94点。
ピノ・ノワールのマザー・ロックは、「母岩」が深く根を長く伸ばせる2つのブロックのピノ・ノワールを使ったもの。クローンはDijon37、同777、それからマウント・エデンだそうです。こちらは白い花の香り、ストロベリー、ヴァニラ。シルキーなテクスチャできめこまかなタンニン。先程のピノ・ノワールと比べると少し青系の果実味もあり、深い味わい。個人的には明るいトーンのブレンドものの方に軍配を上げたい感じ。ちなみにヴィナスでは93点。
ウェイフェアラーをじっくり試飲したのは初めてでしたが、やはりおいしいですね。これまでピノ・ノワールだけを注目していましたが、シャルドネのおいしさにはびっくりしました。
なお、セミナーの後の試飲コーナーではピノ・ノワールのマザー・ロック以外の特別なキュベ3種も試飲できました。「ゴールデン・ミーン」はポマール・クローンとスワン・クローンのブレンド。ポマールはテクスチャがあり、スワンは軽く香りがいい。両者の良さをだそうとするワインです。
とてもストラクチャーのあるワイン。オレンジのニュアンス。レベル高いです。
「ペイジズ・リッジ」はDijon667だけを使ったワイン。試飲したのは2012年で2013年以降は輸出はしていないとのこと。濃い果実の味わいにスパイスも感じます。深い味わい。
最後の「ザ・トラベラー」はブルゴーニュから持ち込まれたいわゆる「スーツケース・クローン」によるワイン。明るい色合いで酸の高さと複雑な味わいがあり、とても個性的。熟成させたいワインです。
このほか、セカンドワインにあたるジェイソンも試飲しました。シャルドネ、ピノ・ノワール、レッド・ワインとありますが、個人的にはレッド・ワインのバランスの良さが気に入りました。1万円未満のカベルネ・ソーヴィニヨン系ワインとしてかなり秀逸だと思います。ピノ・ノワールも軽めの味わいではありますが、ウェイフェアラーの雰囲気は出ています。
ウェイフェアラー シャルドネ "ウェイフェアラー・ヴィンヤード" フォートロス・シーヴュー [2014] (正規品) Wayfarer |
■ウェイフェアラー ピノ ノワール ウェイフェアラー ヴィンヤード[2013] 750ml WAYFARER Pinot Noir Wayfarer Vineyard[2013]【出荷:7〜10日後】 |
■ウェイフェアラー ピノ ノワール ザ トラベラー[2013] 750ml WAYFARER Pinot Noir The Traveller[2013]【出荷:7〜10日後】 |
パルメイヤーといえば、1990年代に映画『ディスクロージャー』でそのワインが重要な役割を果たして、一躍有名になったワイナリー。「昔の名前で出ています」かと思いきや、2017年にはWine Spectatorの年間9位に選ばれ、再び注目されています。さらにソノマ・コーストに設立したウェイフェアラー(Wayferer)はシュレーダーのボアズ・ビュー(Boar's View)、スティーブ・キスラーのオキシデンタル(Occidental)、マイケル・ブラウンのサーク(Cirq)などと並んで新進の高級ピノ・ノワール/シャルドネの一翼を担っています。2016年にはWine Enthusiast誌で年間1位に選ばれています。個人的にもウェイフェアラーには注目しており、楽しみなセミナーでした。
参考:
Pahlmeyer: 映画「ディスクロージャー」で有名になったプレミアムワイナリ
ハイエンド・ピノ・ファンなら注目、ウェイフェアラー
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」
Wine Enthusiast誌、各種年間トップ100を発表
Wine Spectator今年の9位はパルメイヤー
過去記事にも記していますが、1986年に設立されたパルメイヤーの初代ワインメーカーはダン(Dunn)のランディ・ダン。その後シャルドネ専用のワインメーカーとして迎えたのが現在はハーラン・エステートのワインメーカーであるボブ・リーヴィー。彼等を引き継いだのがヘレン・ターリーと、すばらしく豪華なワインメーカーを次々と採用しています。現在は、パルメイヤー、ウェイフェアラーともビビアナ・ゴンザレスがワインメーカー。彼女はサンタ・ルシア・ハイランズを代表するワイナリー「ピゾーニ」(Pisoni)の2代目ジェフ・ピゾーニの奥さんでもあります。
パルメイヤーの畑で使われているカベルネ・ソーヴィニヨンは、元々ボルドーの超有名ワイナリーの畑からのカッティング、いわゆるスーツケース・クローンだったとのこと。それをUCデイヴィスにあずけて増やしてもらったとか。また、マルベックはムエックスの畑からもらったものだそうです。
当初はクームズヴィルに畑があったそうですが、現在の自社畑はアトラスピークのほぼ南端。ナパ・ヴァレーに向いた西側の斜面と、反対側の東側の斜面に大きく分かれています。標高が高く、どちらも霧がかからないところですが、海からの風を受けやすい西側が涼しく、そちらはシャルドネやメルローが中心。東側はカベルネ・ソーヴィニヨンが中心に植わっているそうです。畑を造ったのはデイビッド・エイブリューとこちらも豪華です。
ワインはワイナリー設立当初から造っているボルドー・ブレンドの「プロプライエタリ」と、メルロー。そして白はシャルドネ。どれも自社畑のブドウが中心ではありますが、他の畑からも少し購入しているので、「エステート」の扱いではありません。なお、プロプライエタリではアトラスピークの著名な畑ステージコーチのブドウも使っています。
また、セカンドの「ジェイソン」は上記に使われなかったブドウや、ウェイフェアラーで使われなかったブドウで造られており、シャルドネとピノ・ノワールと赤ブレンドとなっています。シャルドネはナパとソノマ、両方のブドウを使っていることになります。
試飲はウェイフェアラーから行ったのですが、そちらは後編に回し、まずはパルメイヤーから報告します。
試飲したのはWine Spectator年間9位になったそのもののシャルドネ2015。それからメルローの2014年と、プロプライエタリ・レッド2014年。
シャルドネはゴージャスという言葉が似合うワイン。いかにもナパのシャルドネという、バニラやオレンジ、ハチミツなどのすばらしい香りと濃厚な果実味を持っています。100%新樽を使っていますが樽の風味は強すぎません。金髪美人が似合うようなワイン。最近はなかなかここまで衒いなくリッチなシャルドネはあまり見かけませんが、おいしいです。ちなみにWine SpectatorだけでなくWine Advocateでも96点の高い評価。
メルローはさわやかな花の香り。カシスやブラックベリーの味わい。思った以上にタニックでフルボディ。しっかりとしたストラクチャーがありますが、しなやかでシルキーな舌触り。これはいいですね。ナパの高級メルローとしてダックホーンのスリー・パームス・ヴィンヤードに匹敵するくらいのレベルだと思います。ちなみにWine Advocateでは94点。
最後はプロプライエタリ・レッド。これは試飲したときは若干閉じているような気がしました。カシスやブルーベリーの青い果実味にかなり強いタンニン。杉のフレーバー。相当長熟型だと思います。おそらくもう5年くらいしてから飲んだ方がずっと美味しくなるでしょう。レベルは高いですが、今飲むならメルローをお薦めします。ちなみにAdvocateでは94点。Spectatorでは95点。
パルメイヤーのワインを飲むのは随分久しぶりな気がしますが、どれもレベルは高いです。特に、シャルドネのゴージャスさはわかりやすく多くの人にアピールするワインだと思います。メルローの高品質にもちょっと驚きました。
ウェイフェアラーとジェイソンの試飲は後編で。
今回の最後に、昨年10月の大火事のときの写真を挙げておきます。
火と煙の奥に見えるのがパルメイヤーのアトラスピークの畑(西側)。アトラス・ファイアーという名が付いたとおり、アトラスピークで発生した火事であり、この後山を降りてスタッグス・リープ方面にも被害をもたらしました。パルメイヤーの畑のすぐそばまで火事が来ましたが、ブドウ畑は防火帯的な役割を果たし、また消防の献身的な活動で、大きな被害をまぬがれたとのことです。
ナパを応援するために、ワインを飲んで、また機会があればワイナリーに来て欲しいとのことでした。
パルメイヤー シャルドネ ナパヴァレー [2015]白ワイン アメリカ カリフォルニア |
■パルメイヤー メルロー[2014] 【出荷:7〜10日後】 |
■パルメイヤー プロプライエタリー レッド ナパ ヴァレー[2014] 750ml Proprietary Red Napa Valley[2014]【出荷:7〜10日後】 |
このところの高温と乾燥が早い芽吹きにつながったとのこと。また、ここ数年で植え替えが広がり、若い木は早く芽吹く傾向があることも影響しているとのこと。
芽吹きは南のカーネロスから始まっています。また、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの白ブドウが先に芽吹くそうです。
ただ、早すぎる芽吹きには2つの懸念もあります。1つは霜害。もう一つは水不足です。
霜害は春先の夜に急に気温が下がることによって起こります。水不足は生育期間が長くなることによって、懸念となります。
何はともあれ、新しいシーズンの始まりを祝したいですね。
このところの高温と乾燥が早い芽吹きにつながったとのこと。また、ここ数年で植え替えが広がり、若い木は早く芽吹く傾向があることも影響しているとのこと。
芽吹きは南のカーネロスから始まっています。また、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの白ブドウが先に芽吹くそうです。
ただ、早すぎる芽吹きには2つの懸念もあります。1つは霜害。もう一つは水不足です。
霜害は春先の夜に急に気温が下がることによって起こります。水不足は生育期間が長くなることによって、懸念となります。
何はともあれ、新しいシーズンの始まりを祝したいですね。
2018年2月17日(土)午前10時から、シャトー・イガイタカハのサイトでこの390本の先行予約を受け付けます。追加生産などは一切ない製品なので、まずは「Ch.igai Takaha / ご利用規約」から会員登録をすることをお薦めします。
7500円というのは、日本酒としてはかなり高額ですが、それがこれだけ人気というのはすばらしいですね。日本酒はいいものでも安すぎると言われていますから、その状況を変える一石としても面白いと思います。「ワインラバーに飲ませたい日本酒」、どういう仕上がりなのでしょうね。
これまで、ワインはコルクを通して空気を取り入れ、それが熟成の元になると言われていました。しかし、ロペス博士によるとそれは全く起こらず、熟成の元になるのは、コルクの中に元々入っている空気だとのこと。これが瓶詰め後、数年かけてワインに取り込まれることによって熟成が進むとしています。
博士はこれを実験で確かめたとのことですが、どこまで信憑性はあるのでしょうか。今後の追試などに期待したいと思います。
なお「コルクはどれだけ酸素を透過させるのか、100年がかりの実験が始まる」といった話もありましたね。これは無意味なものになってしまうのでしょうか。
例えばロスアンゼルスのダウンタウンは昨年7月1日以降の降雨が50mm程度。平年の4分の1以下だといいます。1月にはサンタバーバラで洪水のニュースがありましたが、南カリフォルニアではそれがほぼ唯一の降雨。以降、暑く乾いた日が続いています。
サンフランシスコも18日連続で降雨なし。あと10日続くと雨季としては9番目の長さの雨が降らない日の連続記録となります。
現在の予報では今後もまとまった雨は見込めそうにないとのことで、昨年ようやく終わった旱魃がまた始まる恐れが濃厚になってきています。
非常に興味深いインタビューなのですが、あまりにも長くてなかなか読みきれず、1月に公開されてから、今までかかってしまいました。
ティーガンは、ターリーのワインメーカーであるほか、ロウダイにカーシェンマン(Kirschenmann)というジンファンデルの古木の畑を持ち、またサンドランズ(Sandlands)という個人ブランドのワイナリーもやっています。サンドランズはロウダイにワイン造りの設備を今後持つ予定だといいます。
いろいろ興味深いインタビューですが、いくつかポイントを挙げると、まずターリーのスタイルが変わったことについて。これはワイン造りの方針が変わったというよりも、より生産者と密接にワイン造りをするようになったことが影響しているとのこと。ジンファンデルというのは意外に収穫のタイミングが難しいブドウで、6日間で糖度が9も上がってしまうことがあるとか。ジンファンデルの単一畑だけで26種も造っているターリーにとっては最適な収穫をするのが、かつては生産者任せのところがあったようです。それをより密接にやることによってスタイルが変わっていったとしています。
また、ターリーの中では比較的安価で、入手しやすいジュヴナイルについても語っています。
ターリーが扱う畑の多くは古木の畑ですが、やはりブドウが死んでしまう場合もあり、90年代なかばから植え替えを進めているそうです。多くの「Old Vine」を名乗るワインは、植え替えた新しいものも混ぜて造られているそうですが(Old Vineについてはワイナリーが自主的に名乗るもので、規定は全くありません)、ターリーの場合は収穫を分けて造っています。その若木のさまざまな畑のものをブレンドしているのがジュヴナイルということ。現在は樹齢が平均で18年に達しているというから、若木といっても、古木ではないというだけで十分熟成した樹になっています。ナパの樹の平均年齢がこれくらいだということですから、ナパであれば古木に近づいているとさえ言えるようです。
ちなみに100年くらいの畑だと2~4割ほども植え替えが必要だとのこと。
では、古木のワインがなぜおいしいかということですが、1つには古木は育ちすぎたり、ぶどうの実を付け過ぎたり、また逆に少なすぎたりといったことがあまりないとのころ。自然の調整能力を身に着けていることが味の安定にもつながっているようです。
通常、ワインを造るブドウは垣根をなすように列になるよう剪定されます。ワイヤーを張り、それに沿って枝を這わせるわけですが、ジンファンデルの古木の畑ではヘッドトレインといって1つ1つの樹が株をなすような形になっているのが一般的です。垣根造りの方が収穫量が増えるとか、日当たりがよくなるといったことはあるのですが、ヘッドトレインの方が自然でブドウのリズムに合っていると、しています。なので、ターリーでは植え替え時にもヘッドトレインを採用しているとのこと。
自身のカーシェンマン(Kirschenmann)の畑については、まだ自らのブランドではワインを造っていないものの(ターリーとの競合になってしまうため)、オーナーのラリー・ターリーと話し合っているそうです。現在はこの畑のジンファンデルはターリーで造っているほか、モーガン・トゥエイン・ピーターソンのベッドロックで「シュミット・ロード」というワインに使われています。
この後者ですが、モーガンが所有しているKatushasという畑がカーシェンマンの隣にあり、どちらもシュミット・ロードに沿っていることから、この名前を付けているそうです。
この土地は、ロウダイの「Mokelumne River」というサブAVAにありますが、3方向が川になっている土地で、ピノ・ノワールかと思うほどデリケートなワインができるそうです。実はここにはカリフォルニアでは珍しい石灰岩の地層があり、それがワインのデリケートな味わいにつながっているとか。川が屈曲しているのもその地層を避けて通っているからのようです。
地図で見ると赤で示したあたりのようです。
というわけでごく一部を抜粋しただけでもそこそこの長さになってしまいましたが、興味深いインタビューなので、ジンファンデル・ラバーの方はがんばって読んでみてください。
ターリー ジンファンデル ジュヴナイル [2015] |
まずはオレゴンから。上記の理由により、オレゴンはパスしてしまうことも一瞬考えたのですが、ここのオレゴンのラインアップは魅力的なのでやっぱりパスできませんでした。
IPOBの中心人物だったラジャ・パーとサシ・ムーアマンがオーナーになったイヴニング・ランド。個人的にはミネラル感たっぷりなこのシャルドネ(セブン・スプリングス 2014)が気に入りました。
リングア・フランカのピノ・ノワールはオレゴンの中ではカリフォルニアにちょっと近い感じ。どちらも旨味がしっかりあり、「ジョシュア、ジュンイチ&シリ 2015」の方は果実味も結構乗っています。
カリフォルニアに移ります。ポール・ホブズでは廉価版のクロスバーンのシャルドネ「ソノマ・コースト2016」(3980円)のコスパがすばらしかったです。樽も効いたフルボディのシャルドネ。
ポール・ホブズのピノ・ノワール、ロシアン・リバー・ヴァレー2015。ロシアン・リバー・ヴァレーらしい濃厚なピノ・ノワール。
久しぶりのクロペガス、シャルドネ ミツコズ・ヴィンヤード2015。フルボディなシャルドネ。
ロバート・モンダヴィの息子ティムがプリチャードヒルで造る高級カベルネ「コンティニュアム(Continuum)」の2014年。パワフルさよりもバランスとエレガントさを感じます。コルギンのナンバー・ナインを優しくしたような感じ。ポートフォリオにも通じるものがあります。
アラウホ改めアイズリー・ヴィンヤードになってからは初めて試飲しました。これも非常にバランスのいいワイン。ただ、本領を発揮するのは10年以上熟成してからだと思います。セカンドのアルタグラシアもタニックだけどうまみもあって美味しい。
フランシス・コッポラのワイナリーはいくつかのシリーズを造っていますが、これは下から2番めの「ヴォトル・サンテ」。シャルドネはバランス良く果実味あって、なかなかいいです。
これはミドルレンジのダイヤモンド・コレクションのクラレット2016。カシスやブラックベリーの風味豊かで酸とのバランスがいい。
同じくコッポラからダイヤモンドより1ランク上のディレクターズ・カット。これは「グレート・ムービーズ」という名画を題材に取ったラベルを使ったもので「オズの魔法使い」はソノマとモントレーのブドウを使ったメルローです。この価格帯としてはおいしいメルローで、うまみを感じます。
フリーマンのピノ・ノワールはいいですね。これはソノマ・コーストと自社畑のブドウを使った「グロリア」。どちらも果実味とうまみがたっぷり入ったワインです。グロリアの方がやや濃くて味わいが強い感じ。エレガントさが好きならソノマ・コーストの方がいいでしょう。
ジラードのプティ・シラー。果実味爆弾と呼びたくなる味わい。カリフォルニアらしさがほしかったら最高なワインです。
ガーギッチ・ヒルズのシャルドネはもっと評価されていいと、ずっと思ってます。これは新しい2014年のヴィンテージですが、果実味とエレガントさがあっておいしいです。
ハーン(Hahn)の中では上級のサンタ・ルシア・ハイランズ(SLH)のピノ・ノワール。SLHらしい濃厚な果実味。これを5000円以下で味わえるのはコスパ高いです。
スクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラで造るホナータ(Jonata)。これはシラーを中心にしたブレンド「トドス」。タニックですが果実味もしっかりあってバランス良くおいしい。
同じオーナーのヒルト(Hilt)のシャルドネとピノ・ノワール。シャルドネはスパイス感がありレモンの風味。おいしいです。ピノ・ノワールはうまみがあっておいしい。どちらもレベル高いです。
米国では大人気のピノ・ノワール「メイオミ」。甘い甘いと言われていますが、意外とバランス良く、飲みやすいワイン。ピノ・ノワール・マニアよりも入門的なワインだとは思いますが、思ったよりずっとおいしい。
ピーター・マイケルのシャルドネです。問答無用のおいしさ。
セバスチャーニのピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨン。どちらもコスパ高いです。
アルノー・ロバーツのピノ・ノワール。こちらはピノ・ノワール・マニアが泣いて喜びそうなピノ・ノワール。クラリー・ランチの2015年。ただ輸入量は極小です。
ファイラのピノ・ノワール3種。ソノマ・コーストはコスパ高いです。オクシデンタル・リッジはIPOB系としてはかなり濃厚。もちろん酸もしっかりでバランスは取れています。個人的一押しはオレゴンのセブン・スプリングス(最初の方で試飲したイヴニング・ランドの畑です)のピノ・ノワール。うまみがすごいです。
最後はウルトラマリンが超人気のクルーズ・ワインから、「モンキー・ジャケット」という赤ブレンドと、チャールズ・ハインツ(ウルトラマリンの畑です)のシラー。モンキー・ジャケットはうまみと酸のバランスよくするする飲めてしまうワイン。シラーも濃厚というよりもうまみがたっぷり乗っていておいしい。
次回は今回試飲できなかった1000円台のワインなどをしっかり試飲したいです。
2016年の報告はこちら:2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫
収穫量は4,233,288トンで、2年連続400万トン超。2016年の4,217,154トンから0.5%とごくわずかだけ増えました。
これはワイン用だけでなく、生食やレーズン用も含んでいますが、ほとんどがワイン用。赤ワイン用が2,242,984トンと半分を超えていますが、2016年からは1.6%減っています。一方白ワイン用は1,764,152トンで2016年から0.7%増。
1トン当たりの価格で見ると赤ワイン用が $961.76と2016年から4.6%上がり、白ワイン用は$586.73で2%下がりました。また、地域別の価格ではナパが$5,204.98ドル。平均の6.7倍もの価格になっています。また、この価格は2016年より11%も値上がりしています。2番めのソノマとマリンは$2,803.52。2016年より8.2%上がり歴代最高値となっています。
品種別の収穫量は以前としてシャルドネがトップで14.5%ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンが14.2%でかなり迫っています。2016年の速報値ではそれぞれ16.0%、13.3%で2.7ポイント開きがあったのがわずか0.3ポイント。2018年の収穫ではついに逆転が起こるかもしれません。
昨年来日したシェーファーのダグ・シェーファー氏も畑が防火帯として役立ったと言っていましたが、実際にブドウ畑で火が食い止められたところは少なからずあったようです。
ただ、火に直接あたったブドウの樹はダメージを受けており、その影響についてはまだわからないというのが実情です。
もう一つ、大火関連で、先日サンタ・ローザがPG&Eをいつくかの火災の原因と結論つけた話を書きましたが、ナパ郡はPG&Eを提訴することを決めました。すでにメンドシーノ、レイク、ソノマの各郡も同様の意向を示しており、意向としては出揃ったことになります。
ただ、被害額に関してはまだ結論は出ていません。ソノマは最大2500万ドルとしているようです。
フォーリーはサンタ・バーバラで始まり2007年ころから矢継ぎ早に様々なワイナリーを買収。リンコート、ファイアストーン、シャローン、ランカスター、EOS、チョークヒル、セバスチャーニ、メラスなどが傘下にあります。現在はチョークヒルを本拠地としています。カリフォルニアだけでなくオレゴン州、ワシントン州やニュージーランドにもワイナリーを保有しています。
一方、バンシーは2009年に始まった新しいブランド。畑は持たず、ソノマ・コーストを中心にさまざまな畑からブドウを買い付けてワインを造っています。リックショー(Rickshaw)というブランドも持っています。
バンシーにとっては、様々なワイナリーや畑を保持するフォーリーからブドウの供給を受けられるようになるというメリットがあります。またワインの販売にもフォーリーのネットワークを利用できます。フォーリーにとっては製品のポートフォリオが充実するとともに、10年足らずで大きく成長したバンシーの方法論を学ぶという面もあるようです。
今回の「発見」は2軒の家を焼いた火事の1つと、1/2エーカーの被害となった火事というごく小さなものですが、この問題に関しては既にソノマがPG&Eを提訴することを決めているなど、さまざまな訴訟が絡んでいます。
今のところサンタ・ローザはPG&Eを提訴するかどうか決めていないようですが、今後に大きく影響しそうな「発見」です。
まずはオーハイのソーヴィニヨン・ブラン「マッキンリー・ヴィンヤード」2015。ソーヴィニヨン・ブランとしては比較的高価な4200円というワインですが、酸も果実味もしっかりしていてメリハリのある味わい。とてもレベルの高いソーヴィニヨン・ブランだと思います。
もう1つソーヴィニヨン・ブランは「コクレル(Coquerel)」というワイナリーのテロワール・コクレル2015。オーハイを上回る5400円の高級ソーヴィニヨン・ブランですが香りがすばらしく、クリーミーな味わい。ちょっとソーヴィニヨン・ブランとは思えないくらいの個性と美味しさを持ったワインです。これは初めて飲んだと思いますが素晴らしいです。
ロドニー・ストロングのシャルドネ ソノマ・カウンティ2015。3000円はコスパ高いです。トロピカルフルーツの味わいに豊かな酸。万人受けしそうなシャルドネです。
ダックホーン傘下のマイグレーションは当初メンドシーノのアンダーソン・ヴァレーのワインを中心としていましたが、現在はカリフォルニア全域の涼しい地域のブドウを使ってシャルドネとピノ・ノワールを造っています。これはロシアン・リバー・ヴァレーのシャルドネ2014年(5000円)。最近減っている樽の風味を利かしたシャルドネ。といってもロンバウアーのようなコテコテな造りではなく、とてもバランスのいいワインなんです。完成度高いワインです。
もう1つダックホーン系からデコイのワインを紹介します。デコイはダックホーンのセカンドワイン的位置づけでしたが、現在も比較的安価であることは変わらないものの、ワイナリーはソノマに移転。ブドウも自社畑を含むソノマのブドウで造る、より独立性の高いワイナリーになっています。今回各品種とも3900円に値下げ。どれもソノマのAVA表示ではありますが、実はかなり有名な畑からもブドウを買っており、価格以上の価値のあるワインを造っています。
今回はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しましたが、個人的にはボルドー品種のメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンが特にレベルが高く感じられました。メルローはブルーベリーやカシスの風味でミディアム・ボディ。カベルネ・ソーヴィニヨンはよりがっしりした味わいでブラックベリーの風味。やっぱりダックホーン系だけあってメルローは上手ですね。
オレゴンのクリストム(Cristom)のピノ・ノワール マウント・ジェファーソン・キュベ2015。旨味がしっかりあって非常に高いレベルでバランスのいいワイン。カリフォルニアのピノ・ノワールのような果実味の押し出しはないですが、代わりに複雑さがあるので、熟成にも向くと思います。
リヴァース・マリーのピノ・ノワール ソノマ・コースト2014。これも酸と果実味、旨味のバランスが非常にいいです。リヴァース・マリーのワインは最近たびたび紹介しています。5800円というのは、もちろん安価ではないのですが、トーマス・リヴァース・ブラウンのワインとしては安く、しかも内容も充実しているので、一度は飲んでみてほしいです。
というわけでもう一つリヴァース・マリーのピノ・ノワール シルバー・イーグル・ヴィンヤード2013。これはかなりボディーのしっかりしたピノ・ノワールで果実味も豊か。おいしいです。
ティエラ・ディヴィナ(Tiera Divina)というワイナリーも初めて試飲したような気がします。「ザ・ジン」という名前のジンファンデル。ジンファンデルでは珍しい今風のラベルですが、スパイシーで果実味豊か。最近はジンファンデルを多く入れたレッド・ブレンドが流行っていますが、ちょっとまろやかすぎるものが多いように感じています。個人的にはこれくらいスパイシーさがあった方がおいしいと思います。
今回はちょっとダックホーンシリーズのようになっていますが、これは本家本元。ワインオブザイヤーを取ったスリー・パームス・ヴィンヤードのものは人気で品薄ですが(ちなみに過去2回ほどの試飲会ではスリー・パームス出ていて、試飲会レポートで絶賛しています)、このメルローもさすがの出来栄え。パワフルでレベルの高いメルローです。
ルイスのアレックス・ブレンド2015。シラー50%、メルロー30%、カベルネ・フラン11%、カベルネ・ソーヴィニヨン9%というブレンド。ベルベットのような舌触り。パワフルかつタニックな味わい。とても魅力のあるワインです。
チリの「ラウラ・ハートウィッグ」というワイナリーのグラン・レゼルヴァ コンチャグワ・ヴァレー エディション・デ・ファミリアというカベルネ・ソーヴィニヨン系のブレンド(CS46%、マルベック27%、プティ・ヴェルド24%、カベルネ・フラン3%)。タニックでパワフルな造り。3000円台とは思えないレベルの高さです。
先日の4000円台のお薦めには紹介できなかった(5000円台なので)のですが、これもバランス良くレベルの高いカベルネ・ソーヴィニヨンです。
高額ワインを得意とする中川ワインですが、今回はコスパが高いものが目立った印象です。この記事でも1万円を超えるものはルイスのアレックス・ブレンドだけ、というのはちょっと珍しい結果です。
日本酒を作るのは三重県鈴鹿市にある清水清三郎商店。元々「作(ザク)」という日本酒を作っていました。
価格は税抜きで7500円。
2017年は出荷量が15.3%、売り上げは15.5%の伸び。売り上げは過去6年間の成長率である12%の成長でした。売り上げは26億9000万ドルに達しています。
なかでも成長が著しいのがソノマ。販売量で23%、売り上げでは25%の成長。売り上げでは全米の26%を占めるまでになりました。