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Date: 2020/0530 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フォース・リーフ
ロバート・モンダヴィ・ジュニアとアンジェリーナ・モンダヴィの共同プロジェクト「フォース・リーフ(Fourth Leaf)」が活動をやめると発表しました。ロバート・モンダヴィ・ジュニアは故ロバート・モンダヴィの長男マイケルの息子、アンジェリーナ・モンダヴィは故ロバート・モンダヴィの弟の故ピーター・モンダヴィの孫にあたります。二人とも移民一世であるチェザーレ・モンダヴィ(ロバートとピーターの父)から数えて4世にあたるため、「フォース」の名前が入っています。

もともと、フォース・リーフはステーキハウス「モートンズ」の企画として2010年に始まったものでしたが、その後もワインを作っていました。10年を区切りとして今年でやめたようです。

アンジェリーナは今後はダーク・マター(Dark Matter)やエイロフト(Aloft)といったブランドに注力します。ロバート・モンダヴィ・ジュニアはマイケル・モンダヴィやワイ・バイ・ヨシキ(Y by Yoshiki)などのほか、夫婦で作っているラトリッジ&ヴァイン(Rutridge and Vine)などを今後も続けます。

こちらも修正しないと。
【保存版】モンダヴィ・ファミリーの系譜
Date: 2020/0527 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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デュモル(DuMOL)のワイン、実は以前からすごく好きです。かつて「デュモル復活と聞いて鼻血が出そうになった」という記事を書いたことがあったほど。特にシャルドネはオーベール(Aubert)とかピーター・マイケル(Peter Michael)とかと並ぶレベルではないかと思っています。シャルドネのビッグなんとかといったリストにはあまり名前が上がりませんが、かのロバート・パーカーも「好きなワインの中で、シャルドネではトップ6、ピノ・ノワールではトップ12に入る」と言っているほどなのです。

前置きが長くなりましたが、先日のシルバー・オークに続き、デュモル(DuMOL)のウェブセミナーの報告です。ワインメーカーのアンディ・スミス自身の説明という贅沢さ。

デュモルは今年25周年で、アンディ・スミスにとっても22年めになります。かつては、購入ブドウによるワインだけでしたが今は20もの自社畑を持っています。中でもロシアン・リバー・ヴァレーの南西部、標高100~400メートルほどのやや高いところにある畑にこだわって作っています。アンディ・スミスは「自分は(ワインメーカーであるよりも)農夫だと思っている」と今では栽培に最も力を注いでいます。ピノ・ノワールはすでにすべて自社畑。シャルドネはハイドやチャールズ・ハインツ、リッチーといった超有名畑との関係が昔からあるため、それらを維持しつつ自社畑の比率を上げています。クオリティに対してすべての責任を取るためにも自社畑は増やしていきたいとのことでした。

マップ
これは畑のマップ(太平洋側から見たところ)です。小さくてわかりにくいですが、グリーン・ヴァレーのあたりに畑が集中しているのが見て取れると思います。標高にこだわる理由としてアンディ・スミスは「明るくて酸がしっかりして凝縮感もあるワインになる」ことを挙げていました。また、土壌としてゴールドリッジの畑にもこだわっています。砂の成分が多くて水はけがよく、ブドウの粒が小さくなり凝縮感が増すと説明していました。

このほか、ブドウのクローンとしては単一のクローンではなく、既存の畑のカッティングを使った「マサル・セレクション」を選んでいます。シャルドネはオールド・ウェンテやマウント・エデン、ハイド、ピノ・ノワールではカレラ、スワン、マウント・エデンを使っているとのこと。

畑においては「土地を耕さない」「灌漑をしない」「ブドウを過熟させない」ことを決めています。できるだけオーガニックに作っていますが、グリーン・ヴァレーは夏に湿度が高くなるため、防カビ剤を少量使うときもあるそうです。

試飲はシャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンの順です。
最初はハイランド・ディヴァイド シャルドネ 2016。
60% デュモル・オコーネル・エステート・ヴィンヤード (DuMOL O’Connel Estate Vineyards), 40% モレッリ・レーン・ヴィンヤード (Morelli Lane Vineyard)

レモンやオレンジピールの柑橘系の味わいにカスタード、ブリオッシュ、クリームブリュレなど上品な樽の風味。火打ち石、湿った石。余韻長くすばらしいです。やっぱりデュモルのシャルドネは好きです。

次はハイランド・ディヴァイド ピノ・ノワール 2016。
63% デュモル・コーヒー・レーン・エステート (DuMOL Coffee Lane Estate) 37% デュモル・オコーネル・エステート・ヴィンヤード (DuMOL O’Connell Estate Vineyards)
15~35%ホールクラスターを使っており、フレッシュネスとテクスチャを両立しています。
レッド・チェリー、ラズバリー、ストロベリーといった赤系果実の味わいにトースト、リコリスなど。まだ若さを強く感じますがいいワインです。

カベルネ・ソーヴィニヨンはソノマのムーン・マウンテンAVAにあるモンテシーヨ・ヴィンヤードという畑から。1964年に植えられたという古木の畑です。
モンテシーヨ ヴィンヤード ムーン・マウンテン(ソノマカウンティー) カベルネ・ソーヴィニヨン 2014

アンディ・スミスが「ここはカリフォルニアで最も素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンができる畑」と呼ぶところで、標高700メートルにある急勾配の畑です。畑の上からはゴールデンゲートブリッジが見えるという場所。オーガニックで灌漑なしに栽培しており、ブドウの粒は小さく皮は厚くなります。
これはとても複雑な味わいのワイン。コーヒーやタバコ、トースト、土、グラファイトといった風味が前面に出ており、ブラックベリーやブルーベリーなどの果実味が魅力を引き立てます。正直、デュモルでカベルネ・ソーヴィニヨンは試飲するまでシャルドネやピノ・ノワールほどはそそられるものがなかったのですが、これは素晴らしいワインです。この日一番の発見といってもいいかもしれません。

デュモル、久々に試飲しましたが、やっぱりいいですね。非常にレベルの高いワインを作っています。その割には価格もまだそこまで高騰していないので狙い目の一つになります。

JALUXのYouTubeチャンネル

Date: 2020/0526 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が日本向けのウェビナーを5月28日から、4回のシリーズで開催します。開催時間が正午から45分と、受講しやすくなっているのが特徴です。先月開催されたフリーマンのアキコさんのウェビナーが非常に好評だったことから、日本向けのウェビナーを拡充することにしたようです。ただし、アキコさんのときは同時通訳が付いたのに対し、今回は通訳なし。後日英語字幕付きのものが公開されます。

Freeman

【Inside California Winemaking ~ カリフォルニアのワイン造り、その内側 ~】
開催日時: 5月28日(木)から隔週木曜日、正午12:00~12:45
スケジュールとゲスト: ( )内はワイナリー名
5月28日 ネイト・ヴァイス (シルヴァー・オーク&トゥーミー)
6月11日 マイケル・エディ (ルイ・マルティーニ)
6月25日 シャンタル・フォーサン (フラワーズ)
7月 9日 グレッグ・ブリュワー (ブリュワー・クリフトン)

申込みはこちらから(無料です)
Date: 2020/0525 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シルバー・オーク/トゥーミー(Silver Oak/Twomey)のウェブセミナーを受講しました。インターナショナルのセールス・マネージャーであるヴィヴィアン・ゲイさん(この方とは毎年のようにお会いしています)に加え、なかなか来日はしないワインメーカーのネイト・ヴァイスさんも登場するという、ウェビナーならではの豪華な布陣で面白かったです。

「7日間ワインチャレンジ」第5日」でもシルバー・オークを取り上げたように、個人的に思い出深いワイナリーであり、アカデミー・デュ・ヴァンの講座でもシルバー・オーク/トゥーミーだけの回をやっており、このワイナリーについては相当詳しいと自負しています。

それでも実は今回初めて知ったのが名前の由来。
Dunkun Meyer
実は設立当初は「Dunkan Meyer」というワイナリー名でした。レイ・ダンカンという人とジャスティン・マイヤーという人が設立したのが名前の由来ですが、「ドーナツ屋みたい」ということであまり評判がよくなかったそうです。そこでジャスティン・マイヤーの妻のボニー(かつてはボニーズ・ヴィンヤードというフラッグシップの畑で名前が使われていました)が考えた名前がシルバー・オーク。近くを通るシルバラード・トレイルとオークヴィル・クロスロードから拝借した名前だそうです。レイ・ダンカンはそのときコロラドに住んでいたそうですが、思いついてすぐ電話をして即決だったとか。確かにダンカン・マイヤーよりは覚えやすいし数段いい名前だと思います。名前って大事ですね。

シルバー・オークの設立当初からの3つのポリシーは「カベルネ・ソーヴィニヨンだけを作る」「アメリカンオークを使う」「ワインの発売時期を遅くして、発売すぐでもおいしく飲めるようにする」。今もこれを貫いています。

他のワイナリーと一線を画すのがアメリカンオーク(ほかにはリッジがアメリカンオークを使っていますが、あとはほとんど目にしません)の樽を使うこと。アメリカンオークはヴァニラの風味やウイスキーラクトンという香りが比較的強いそうです。自社好みの樽に仕立てるため2015年にはミズーリ州にある樽工場を買収しています。
クーパレイジ
これは樽を焼いているとこの写真ですが、直接火をあてず、間接的な炎で焼くことで焼き具合をコントロールしているそうです。樽の風味は何月に焼くかによっても変わるとのことで、いろいろと実験しているそうです。


試飲は2014年のアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンから。

ヴァニラやココナッツの柔らかいフレーバーに、カシスやブラックベリーの果実味、リコリス、熟成による皮革の風味もでてきています。ミディアムプラスのボディでとても飲みやすい。

カベルネ・ソーヴィニヨンの風味を出しながら、あまり重くならずにすいすい飲めるのが、このワインの魅力で、ほかに似たワインがあまりないと思います。アルコール度数は13.8%と14%未満に抑えています。セパージュは以前はカベルネ・ソーヴィニヨンのみでしたが、近年は数%他の品種もあります。2014年はCS97.7%。新樽率は50%。

次にナパ・ヴァレーの2013年。こちらはCS79%にメルロー15%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが3%ずつ、とよりボルドー・ブレンドに近い形です。ナパの様々な地域のブドウを使っており、バランスを取るためによりボルドー的な作り方にしています。未リリースの近年のものではマルベックも使い始めているとのこと。地球温暖化への対応も兼ねて、複数品種で味わいを調整しているそうです。新樽率は85%。

アレキサンダー・ヴァレーよりは味わいが濃く、タンニンや香りも強く感じます。カシスやブルーベリーなど青系の果実の風味がより強く、ヴァニラやトーストの風味、リコリス、皮革に加えコーヒーやタバコっぽさもあって複雑さがより増しています。アレキサンダー・ヴァレーと比べるとより「普通」のカベルネ・ソーヴィニヨンに近い風味ですが、よくできていて美味しいです。

さて、トゥーミーからはメルローです。トゥーミー(名前はレイ・ダンカンのミドルネームに由来)はナパのソーダ・キャニオンにある自社畑のメルローが余ってしまい、非常にいいできのブドウだったので、それを使ってワインを作りたいと思ったのが設立のきっかけでした。当時のワインメーカーだったダニエル・バロンはボルドーでペトリュスの経験が長く、メルローには一家言ある人。彼がそのメルローを気に入ったのですから、本物です。また、元ペトリュスのジョンクロードベロエがトゥーミーのメルローのコンサルタントに入っています。

ワイン造りはシルバー・オークとは異なり、フレンチオークを使うなど、ボルドーのスタイルにより近いもの。特にワインの澱を取り除くラッキングは機械を使わず手作業で行っているとのこと。これはナパではドミナスとトゥーミーだけだそうです。その方が香りが素晴らしくなるとのこと。

ここのメルローを試飲したのは久しぶりでしたが、非常によくできています。ナパのメルローとしてはトップクラスの一つと言っていいでしょう。とても余韻も長く、長期熟成も可能だと思います。

ヴィンテージは2014年。メルロー 79.7%、カベルネ・ソーヴィニヨン8.3%、カベルネ・フラン7.9%、プティ・ヴェルド 4.1%。新樽率は30%。

一時間はあっという間でした。普通だったら終わった後でぶら下がりで質問できますが、そういうのがしにくいのはウェビナーの弱点ですね。でもこの状況で試飲付きのセミナーが受けられるだけでも大変な贅沢ですが。

それから、シルバー・オーク/トゥーミーのインポーターのJALUXはYouTubeに動画チャンネルを開設しています。ハーシュのジャスミン・ハーシュなどが登場しており、単に米国向けの動画に字幕を付けるのではなく、オリジナルのインタビューになっています。

JALUXのYouTubeチャンネル

Date: 2020/0523 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ニュージーランドの有名ワイナリー「フェルトン・ロード」が今年の収穫についてのビデオを公開しています。


通常は海外からの労働者に頼っている収穫ですが、今年はコロナで労働者が来れないため、一時は収穫をあきらめかけたこともあったそうです。しかし、ボランティアを募り
バブル
収穫する人たちは2、3人のグループで「バブル」を作り、同じコテージに泊まり、一緒に収穫をします。他のバブルとは2メートル以上の距離を保つことで、バブル間の感染を防ぐという考え方です。ワイナリーで働く人達もキャンピングカーに泊まるなど、基本的にワイナリーにいたまま収穫をしたようです。

ワイナリーでは徹底的に除菌を繰り返し、感染を防ぎました。

今年のワインが美味しくできることを期待したいですね。
カリフォルニアも畑作業など、かなり滞っているのではないかと思っていますが、どうなのでしょうか。
Date: 2020/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今、カリフォルニアで最も注目されるワインメーカーの一人であるヴィヴィアナ・ゴンザレス・レーヴ。過去記事では「SFクロニクルが「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」を発表」「これは大注目、パルメイヤー前ワインメーカーの個人プロジェクトのピノが日本上陸」「ビビアナ・ゴンザレス・レーヴのワインがすごい!」で紹介していますが、先日も取り上げたウェイフェアラーの前ワインメーカーであり、ウェイフェアラーをトップクラスのシャルドネとピノ・ノワールのプロデューサーに仕立て上げたのは彼女の功績といっていいでしょう。

現在はウェイフェアラーをやめ、自身のブランドである「カトレヤ」と、夫でピゾーニのワインメーカーであるジェフ・ピゾーニとともに作る「シェアード・ノーツ」の2つのブランドでワインを作っています。その注目のワインメーカーのワインを今買うと、オンラインセミナーに参加できるという特典が付いてきます。

オンラインセミナーは、5月 30日 (土) 12:00-13:00にズーム(Zoom)で開催されます。ワインがセミナーまでに到着するよう、ワイン購入の期限は5月25日の15時となっています(しあわせワイン倶楽部の場合)。

試飲はシャルドネとピノ・ノワールの2018年になるようですが、購入するワインはどちらか片方でも構いません。

Date: 2020/0520 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2020年1月に行われたワイン・エンスージアスト誌の20回目となる「ワイン・スター・アワーズ」の表彰式でワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボーグル(Bogle)の動画をオルカ・インターナショナルが字幕付きでアップしています。

Bogle

ボーグルは今では米国で12番めに大きなブランドで、260万ケースの生産量を持っています。州都サクラメントの南西にあるクラークスバーグという小さな町で家族経営をしています。自社畑のブドウを使って(調達ブドウもあります)、オークの樽で熟成をするという、これだけの規模としては丁寧なワイン作りを続けています。

6世代連続で農業を営んでいますが、ワイン造りを始めたのは50年前。植えたジャガイモがなぜか全滅してしまい、アドバイスをもらおうとしたところ、ここではブドウを植えたほうがいいと言われたのがきっかけだったとか。動画では、そんな設立当初の情景も流されています。


20年前にはあまりスーパーなどで目にしなかったブランドですが、今では安旨の定番に完全になったのは、奇をてらわないワイン造りを続けており、ブランド買収といった米国ではよくある動きにも一切関係しなかったという、ちょっといい話で感動しました。

個人的にはジンファンデルやジンファンデル系ブレンドのファントムあたりが特におすすめです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ボーグル・ヴィンヤーズ ファントム[カリフォルニア][ワイン]
価格:3718円(税込、送料別) (2020/5/20時点)


送料無料のセットもあります。

Date: 2020/0517 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日は、オンラインのワインセミナーの話を書きましたが、ワインを買った人向けに限定で開催するもの(米国では「バーチャル・テイスティング」と呼ぶことが多いようです)も、そこかしこで目にするようになりました。

例えば「イルドコリンヌ」では
1、 5月9日(土) 17:00〜18:30 「ドメーヌテッタ」(岡山) 
ゲスト:高橋竜太社長
2、5月23日(土)13:00〜14:30 「シックスクローヴス」(カリフォルニア、ソノマ) 
ゲスト:平林そのえさん(オーナー兼醸造家) 
3、 6月6日(土) 13:00〜14:30 「トレフェッセン」(カリフォルニアナパ)
ゲスト:ジョン・ルエル氏(CEO)
と、通訳付きリアルタイムで開催。



ワイングロッサリーでは、オルカ・インターナショナルの今川さんによるワシントンとオレゴンのセミナーを配信(リアルタイムではないので双方向性はなし)しています。
オレゴン&ワシントン オンラインセミナー 特別3本セット|ワイングロッサリー

私も今週、クローズドな双方向型のセミナーに参加するのですが、家で一度に複数のワインを開けてしまうと、今度はそれを飲み切るまでがちょっと大変(自分の場合は1本飲むのに最低3日はかかるので)。

ということで、これまでちょっと躊躇していたコラヴァンを導入することにしました。

ちなみに本サイトで最初に紹介した記事を調べたら7年も前でした(国内発売は3年前)。
一度開けたワインを何年間もフレッシュに保つ革命的な新製品「Coravin」が登場

ちょっとランニングコストかかりますが、同じように悩んでいる人にとっては素晴らしい製品だと思います。
日本では当初アルゴンガスが使えず、窒素のボンベだったため、長期の保存(個人的な実験では1年は無理でした)には向きませんでしたが、今はアルゴンガスになったので、数年間飲みかけで置いておいても大丈夫なはずです。


アマゾンではオリジナルセットとして、アルゴンガスのボンベが2本追加で入っています。ほかよりかなりお得。
Date: 2020/0516 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コロナでワイン関係のイベントやセミナーなど、ほとんどなくなってしまっていますが、一方でオンラインのライブセミナーなどで海外のワイナリーの声が直接聞ける機会は増えています。先日お伝えしたフリーマンのアキコさんのセミナーはカリフォルニアワイン協会主催で、同協会が英語でやっているセミナーでは、今週はボニー・ドゥーンのランドール・グラーム、来週はリッジのポール・ドレイパーと伝説級の人物が次々と登場してきています。

ヴィナスもライブでのセミナーに力を入れており、米国だけでなく欧州の生産者も登場しています。米国ではトーマス・リヴァース・ブラウンや、今日紹介するウェイフェアラー(Wayfarer)のオーナーであるクレオ・パルメイヤーなどなど。1時間くらいあるのと英語圏向けでかなり早口なので、なかなか聞くのは大変な部分もありますが、面白いです(こうして睡眠時間が削られていくわけですが……)。

ライブのセミナーなので聴取者からの質問も受け付けることが多くありますが、クレオ・パルメイヤーの回では欧州ではどの国に輸出しているかの質問に答えた後、それ以外の主要輸出先として、カナダと日本を挙げ、日本が海外では最大のマーケットだと言っていました。アントニオ・ガッローニも日本はカリフォルニアワインにとってとても大きな市場だと相槌。
Cleo Pahlmeyer
さらに、昨年売却したパルメイヤー(Pahlmeyer)の時代からずっと日本のインポーターは中川ワインが続けており、パルメイヤー/ウェイフェアラーにとっても、最も長い期間続いている取引先だとのこと。伝統的に欧州のワインが強く、オーストラリアやチリのワインの人気も高い日本で、日本のコンシューマーの教育をすごくよくやっており、ワインもたくさん販売していると絶賛していました。

私も、ワイン・ジャーナリストとして最初に認めてもらったのが中川ワインさんであり、とても勉強させてもらっています。それを記事にしたり、セミナーで話したりすることで、少しはその教育の一部として役立っていたらと思います。

日本で、カリフォルニアの優れたピノ・ノワール、シャルドネというと、キスラーやマーカッシン(マーカッサン)といったところが有名だと思いますが、ウェイフェアラーもこれらに負けないレベルのピノ・ノワールとシャルドネを作っています。パルメイヤー売却時にウェイフェアラーは売らなかったことからも、こちらへの思い入れが伝わると思います。ヴィナスでも最高98点を得ています(ちなみにキスラーのピノは最高98点、マーカッシンは97点)。ソノマ・コーストの中でも太平洋に近く非常に冷涼で、標高が高く霧の影響も少ないというフォートロス・シービューは、ピノ・ノワールとシャルドネで一番注目されている地域と言っても過言ではないでしょう。個人的にも4年くらい前から注目しているワイナリーであり、がんばってほしいと思います。

(中川の話は38分すぎから)

Date: 2020/0515 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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英国のギャルソン・ワインズ(Garçon Wines)という会社がペットボトルの素材を使った、フラットなボトルを開発し、話題になっています。大手ワイン会社のアコレードが提携を発表しており、主力ブランドのハーディーズ(Hardys)で2020年内に採用する予定になっています。
ギャルソン・ワインズ

円筒形のボトルと比べてスペース効率が高く、小さい箱で持ち運べます。
箱
上の写真のような箱を使うと、多くの郵便受け(英国のサイズ)に入れられるとのこと。
ピザ・ボックス
ピザと一つの箱に入れて配達するようなソリューションも考えられています。

難点はボトリングでこれまでのボトリングの装置ではボトル詰めできないため、専用のものが必要になるとのこと。そういう意味では缶のように普及するのは難しいかもしれません。


Date: 2020/0513 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が、ワイナリーがテイスティングルームを再開するための遵守事項などを公開しています(CALIFORNIA WINERY TASTING ROOMS REOPENING PROTOCOLS)。

項目は、絶対に守らないといけない「Must」の項目と、できれば守るべき「Should」の項目からなっており、例えばテイスティングルームの「Distancing and Occcupancy」の項目では、「Must」として予約訪問のみにすることや、マスクなど顔を覆うものを顧客に要求すること、従業員は他の従業員や顧客から6フィートの距離を取ることなどが定められており、「Should」としては、アウトドアのテイスティングを推奨するとか、非接触の支払いをできるようにするなどが挙げられています。

これに伴い、テイスティングルームも徐々に再開に向かうのでしょう。

ところで、ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーの「ワイン・ロード」という業界団体は、テイスティングルームがクローズ中もワインを買うことができるよ、というのをポール・サイモンの「50 Ways to Leave Your Lover」のパロディとして公開しています。



早く平穏な日々が戻りますように。
Date: 2020/0512 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ウメムラでカリフォルニアワインのセットができています。カベルネ・ソーヴィニヨン2本、ピノ・ノワール1本、シャルドネ3本の計6本で、通常2万4673円(10%税込み)のところが1万9800円(10%税込み)と、2割引。ショップは「キャッシュレス5%還元」の対象になっているので、カード決済すれば税込み1万8900円に収まります。

セットの内容は
●アヴィアリー・カベルネ・ソーヴィニョン・カリフォルニア [2018]750ml
●ベルドン・ハイツ カベルネ・ソーヴィニョン ナパ・ヴァレー [2017]750ml
●スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ カリア・シャルドネ [2017]750ml
●アヴィアリー シャルドネ カリフォルニア [2018]750ml
●カレラ セントラル・コースト シャルドネ ジョシュ・ジェンセン・セレクション [2016]750ml
●カレラ セントラル・コースト ピノ・ノワール ジョシュ・ジェンセン・セレクション [2017]750ml

この中で比較的安いのがカレラのセントラル・コースト ジョシュ・ジェンセン・セレクションですから、かなりレベルは高いですね。

ちなみに、ジョシュ・ジェンセン・セレクションについては下のリンク先の記事に詳しく書いているので、興味ある人はご覧になってください。カレラのセントラル・コースト自体、ビエン・ナシードやシエラ・マードレなど単一畑として名のある畑のブドウをたくさん使っているので、むっちゃくちゃコスパ高いです。ジョシュ・ジェンセン・セレクションはそれに自社畑を合わせて、ブレンドを考慮しているかなりのスグレモノです。
カレラ・セミナー:セントラル・コーストとジョシュ・ジェンセン・セレクションの違いが分かった

コロナで外食できない分、宅飲みは増えていますから、こういうセットはありがたいですね。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【特別特別】カリフォルニア 極上紅白ワイン 6本セット
価格:19800円(税込、送料別) (2020/5/12時点)

Date: 2020/0510 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】3日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……



最後は「これはすごい」というワインで締めたいと思います。みなさんご存知のハーラン・エステート。ハーラン家が手掛けるプロジェクトはハーランのほか、ボンドがあり、そして第3のプロジェクトとして始まったのが写真のワイン「プロモントリー(Promontory)」です。

ここの畑はナパのヨントヴィルなのですが、ヨントヴィルでは唯一西側のマヤカマス山脈の山中にあります。ハーラン・エステートの畑からも600メートルくらいしか離れていませんが、土地のキャラクターは大きく異なっています。標高は150~350メートルほどあり、それによる気温の違いもあります。南から来る霧の通り道にあたり、霧が涼しさとともに湿気も与えてくれます。土壌も大きく違います。

1980年代にビル・ハーランがハーラン・エステートのための畑を探していたときに見つけたところなのですが、当時は別のオーナーがおり、2008年にようやく一部を入手、その後買い足して今に至ります。ブドウ畑はあったのですが、荒れ果てており、ブドウも伸び放題の有様でした。

それを少しずつ植え替えながらワインを作っているというのが現在の状況。今出ているワインは完成形ではなく、まだまだこれから進化するワインです。

カスク
樽熟成に写真の大樽を使っているのもここの大きな特徴。小樽による緻密なオークの風味と異なり、おおらかな味わいがします。

ハーラン・エステートの超洗練された味わいに対して、プロモントリーは荒々しさもあり、タンニンも強く感じます。おそらく本当の飲み頃は20~30年くらい熟成した後に来るのではないでしょうか。それまで生きているかどうかもわかりませんが、熟成したプロモントリーをいつか飲んでみたいと思っています。

なお、ここはハーラン系では唯一ナパにテイスティング・ルームを公開しています。メーリング・リストなどに入っていなくても訪問可能です。また、ワインの販売をオーパス・ワンと同様、ボルドーのネゴシアンを通しています。そのため決まったインポーターがないというのもちょっとユニークなところです。

Date: 2020/0509 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】6日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……

ワインの紹介はさんざんしてきているものの、こうやって改まって好きなワインとして挙げるのって意外と悩ましいものです。1日目はカリフォルニアらしさからオールド・ヴァインのジンファンデル、2日目はコスパワイン、3~5日目は思い出のワインと来たので、最後はちょっと高級系かなあと、今これを書きながらまだ何にするか決まっていない始末。

……ようやく決めました。

いろいろなワインメーカーについてこれまで書いてきましたが、「天才」と形容詞を付けているのはこれまで3人だけだと思います。1日目に書いたモーガン・ピーターソンがその一人ですが、後の二人はシラー作りの名人ですが数奇な人生を歩んでいるパックス・マーレと、今日取り上げるトーマス・リヴァース・ブラウン。

トーマスについては最近「どう考えても格安なリヴァース・マリーのピノ・ノワール」という記事でも取り上げています。

リヴァース・マリー

トーマス・リヴァース・ブラウンは、ワインが好きだというだけで東海岸からナパに来て、そこからターリーでジンファンデル作りを少し手伝った後、シュレーダー設立時にワインメーカーとして抜擢されます。ワイン作りの教育を受けておらず、しかもカベルネ・ソーヴィニヨンを醸造したこともない若者を、最初から超一流を目指して作ったワイナリーのワインメーカーに据えたというフレッド・シュレーダーの眼力にも恐れ入りますが、その期待に見事こたえたトーマス・リヴァース・ブラウンもすごいとしかいいようがありません。

今では40あまりのワイナリーのワイン造りを手掛ける超人気のワインメーカーとなったトーマスのプライベート・プロジェクトがリヴァース・マリー(マリーは奥さんの名前から)。ピノ・ノワールとシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンを作っていますが、リヴァース・マリー設立のきっかけになったのがスーマ(Summa)というピノ・ノワール主体の畑を手に入れたことにあるように、彼の一番作りたいのはピノ・ノワールなのだと思います。

今年は、ヴィナスで初めてのピノ・ノワール100点を取るなど、評価も年々すごいことになっています。

リヴァース・マリーに限らず、彼が作るワインはどれも素晴らしいので、もっともっと日本でも知られてほしいと思います。
Date: 2020/0508 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】5日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……

Silver Oak

最初にシルバーオーク(Silver Oak)を飲んだのは、22年前くらいだったと思います。はっきり覚えていませんが、レストランで飲んだのが最初だったような気がします。その後、ワインショップなどでも買うようになりました。自分にとっては高級カベルネ・ソーヴィニヨンの門戸を開いたのがこのワインでした。

アメリカンオークを使った樽の風味や果実味は、それまでワインの入門的に飲んでいたボルドーのワインなどと大きく異なっており、これぞカリフォルニアのワイン、という位置づけになりました。ワイナリーに行ったり、そのころはもう作られていなかったボニーズ・ヴィンヤードの古いワインをワインショップで買って友人たちと飲んだりと、ワインのいろいろな楽しみ方もシルバーオークに教えてもらったような気がします。

シルバーオークはナパと、ソノマのアレキサンダー・ヴァレーの2つのカベルネ・ソーヴィニヨンを作っていますが、パワフルでタニックなナパよりも、赤系の果実の味わいがあって、親しみやすいアレキサンダー・ヴァレーのほうが好きなのは今も変わりません。

Date: 2020/0507 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】4日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……



オーガスト・ウエスト(August West)はロバート・パーカーの掲示板で新しい注目のワイナリーとして挙げられていたのを見て、メーリング・リストに登録したワイナリーでした。

初代ブログの2004年3月10日に記事を書いているのが最初です。
Memorandam

最初のリリースをオーダーしたら、オーナーのエド・カーツマン(Ed Kurtzman)さんからメールが来て、日本に送る方法がわからないからどうしたらいい? と聞かれたのを覚えています。当時のメールを探したのですが、そのころ使っていたHotmailは古いメールが残っていないようで履歴がわかりませんでした(ちなみにGmailが始まったのが2004年4月1日。私は結構初期の招待制のときに登録しましたが、このころはまだ切り替え途中だったようです)。

August Westはそのエド・カーツマンさんがサンタ・ルシア・ハイランズのロゼラ(Rosella's)の畑などで知られるロアー(Roar)のオーナー、ゲイリー・フランシオーニなどと始めたワイナリーです。サンタ・ルシア・ハイランズは、ピゾーニ(Pisoni)のピノ・ノワールで一躍有名になり、その盟友であるゲイリー・フランシオーニのゲイリーズ(Garys')とロゼラのピノ・ノワールが2000年代なかばから、多くのワイナリーで使われるようになりました。その中でもロゼラの人気を高めたのがオーガスト・ウエストと言っても過言ではないでしょう。骨太の味わいが特徴のピゾーニやゲイリーズに対して、ロゼラはエレガントさと親しみやすさを持っており、飲んで楽しくなるワインというと、一番に思いつくのがオーガスト・ウエストのロゼラのピノ・ノワールやシャルドネでした。

今はゲイリー・フランシオーニが離れ、ロゼラのブドウは使えなくなっていますが、オーガスト・ウエストは今でも魅力的なワインを作っています。また、エド・カーツマンさんの個人プロジェクト「サンドラー」はよりコスト・パフォーマンスが高くおすすめのワインです。

エド・カーツマンさんは日本のファンからは「江戸勝」さんと親しみを込めて呼ばれており、フリーマンのアキコさんや、アーサーの桃井さんの師匠でもあります。個人的にはワイン業界のいい人ランキングのトップに位置しています。

その人柄も含めて味わいたいワインです。

ロゼラの最終ヴィンテージです。


Date: 2020/0506 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】3日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……

3本目は古い思い出のワインから。
バッツホール
「カリフォルニアワインの玄関口」を始めた1999年頃によく飲んでいたのがパッツ・アンド・ホール(Patz & Hall)のシャルドネやピノ・ノワールでした。多分初めて入ったメーリング・リストがここだったと思います。5年間くらいメーリング・リストで買っていたので、かなり飲んだと思います。冒頭の写真は当時サイトにアップしたラベル写真の一つ。当時は電話回線でネットにつないでいたので、画像のサイズは小さくないといけなかったのです。

単一畑のシャルドネやピノ・ノワールもここで馴染みになったものが多くあります。シャルドネでは写真に挙げたウールジー・ロード(Woolsey Road)とかダットン・ランチ(Dutton Ranch)、ピノ・ノワールではアルダー・スプリングス(Alder Springs)やハイド(Hyde)などが好みでした。特にウールジー・ロードやアルダー・スプリングスは果実味があまり強くなく、熟成して初めて魅力が出てくるワインで、それまでそういったワインを知らなかったので魅了された記憶があります。

セラーの中には当時買ったワインがまだ数本、残っています。ピークは過ぎてしまったでしょうが、大事に開けたいワインです。
Date: 2020/0505 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】2日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

……


2回目にしてカリフォルニアではなくワシントンのワインです。写真の左から3番目、「ワインズ・オブ・サブスタンス」のカベルネ・ソーヴィニヨンです。

高くて美味しいカベルネ・ソーヴィニヨンはたくさんあります。ハーランとかコルギンとかやっぱりむちゃくちゃ美味しいですが、自分で買うにはちょっと躊躇してしまう価格です。

この「ワインズ・オブ・サブスタンス」のカベルネ・ソーヴィニヨンはお手本のようなカベルネ・ソーヴィニヨン。実売2000円台ですが、その倍の価格でも全然おかしくないくらいの実力があります。13万ケースと生産量はかなりありますが、天然酵母100%で1ヶ月以上も発酵に時間をかけ、樽熟成、ノンフィルターで清澄もなしなど、手間がかかるワイン造りをしています。

その味わいはカシスやブラックベリーの果実味に鉛筆の芯の風味など複雑さもあり、酸も豊かでバランスもすばらしい。

このワインを作っているワシントンの鬼才チャールズ・スミスをして「この価格でこの量でこのレベルのワインが作れるようになるとは想像もしなかった」と言うレベル。2018年にはwine.comで一番売れたワインに輝いています。

実は昔はワシントンのコロンビア・クレストのカベルネ・ソーヴィニヨンが好きで結構よく飲んでいました。ワシントンのカベルネとしては個人的にはそれ以来のヒットです。


Date: 2020/0504 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【7日間ワインチャレンジ】1日目

これはワイン文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きなワインを1日1本、7日間投稿。
ワインについての説明は必要なく、ボトル画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いするというルールです。

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ブックカバーチャレンジが流行っているのでワイン版もあってもいいのではと思って始めてみます。
とはいえブログで人にお願いするのは大変だし読んでもらえるかどうかもわからないので、FBで呼びかけてみようかな。
ということで、とりあえずワイン画像だけアップしてみましょう。



Googleフォト見て思ったのですが、そもそも試飲会やセミナー以外で自分で飲んだワインってあまり写真撮ってないんです。ということでセミナー時の写真ですみません。

紹介したいワインは左から3番めの「ベッドロック オールド・ヴァイン・ジンファンデル」。

100年を超えるようなジンファンデル(実際には他の品種も混植されています)の古木の畑って世界的にも貴重な財産だと思うんです。しかし、古い木はブドウの収量が減ってしまうし、手間もかかります。その分高く売れればいいのですが、実際にはジンファンデルのワインの価格はそれほど高くないので、生産者にとっては財産というよりも負債に感じられてしまうことも多いのです。カベルネ・ソーヴィニヨンなどもっと高く売れる品種に植え替えたほうが経済的にはメリットがあるのです。

そこで、こういう古木の畑を守る運動として「ヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティ」を作ったのがベッドロックのオーナーであるモーガン・ピーターソン。古木の畑の混植の研究でマスター・オブ・ワインも取得しています。それだけでなく、古木の畑のブドウを積極的に買い付け、ときには畑自体を買ってしまうこともあります。

買ったブドウのうち、単一畑などに使われなかったものをブレンドしたのが、この「オールド・ヴァイン・ジンファンデル」です。これはさらに消費者に対しても古木の畑のワインを知ってもらうためのエントリー的な意味を持っており、そのために価格もかなり抑えた形にしているのです。

優れたジンファンデルの生産者はたくさんいますが、このように古木の世界を守ることまでがんばってやっているという点ではベッドロックの右に出る生産者はいないと言ってもいいでしょう(ほかに名前を上げるならリッジくらいでしょうか)。

ワインの説明は必要なくと書いておきながらいきなり語ってしまいましたが、語りたいから紹介するという面もあるのでご容赦を。

Date: 2020/0503 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今週はジンファンデルウィークだとのことで、ジラードのジンファンデル2017を飲んでいます。

ジラードのジンファンデル、15年くらい前は毎月のように買っていた我が家の定番ワインでした。果実の芳醇さと柔らかさのあるワインで、いかにもナパらしいイメージのあるジンファンデルです。

今回久しぶりに飲んでみてもその印象は変わりません。アルコール度数は15%ありますが、柔らかなタンニンのせいか、重さはあまり感じません。レッドチェリー、レッドプラムなどの赤系の果実味にいちじくやプルーンのドライフルーツの風味、ホワイトペッパー、アメリカンオークによる柔らかな甘味があります。意外と酸は高く、それがバランスを取って飲みやすくしているのを感じました。

ソノマやロウダイあたりと比べると古木の畑はあまり残っておらず、それほどメイン品種の扱いを受けていないナパのジンファンデルですが、温暖なカリストガを中心に、美味しいものはたくさん作られています。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると価格がだいぶ抑えられているので、ナパの赤ワインとしてはとっつきやすいのも魅力です。


ほかにもいくつかナパのジンファンデルを紹介しましょう。

フロッグズ・リープはナパの有機栽培のパイオニア。ジンファンデルはここの定番ワインといってもいいでしょう。これも柔らかな味わいで飲みやすいです。

1990年代からジンファンデルのスペシャリストとして知られているターリー。かのヘレン・ターリーの兄がオーナーでかつてはヘレンがワインメーカーだったこともあります。ヘレン・ターリーらしい濃厚で強烈な味わいで知られていましたが、近年ではよりバランスが取れた味わいに変わっています。今でもカリフォルニアのジンファンデルのトップに君臨するワイナリーの一つです。

パリスの審判で知られるシャトー・モンテリーナのジンファンデルは、筋肉質な味わい。ジンファンデルというよりもボルドー系の赤かと思うワインです。これも多くの人に知ってほしいワイン。

フランシスコ・コッポラ監督が作るジンファンデルはおじさんの名前を冠した、コッポラにとっても思い入れのあるワインです。高級系のジンファンデル。

クレーン・アッセンブリーはかの「プリズナー」を生み出したデイブ・フィニーの新しいプロジェクト。100点ワインを輩出しているベクストファー・ドクター・クレーンと元は同じ畑だった「GBクレーン」という畑を取得したことからワイナリーの名前を取っていまう。ここは1880年代のジンファンデルが残っているという貴重な畑で、そのブドウを使ったのがフラッグシップの「エル・ココ」。パーカー95点と高く評価されています。蠱惑的な味わいのワイン。
「ディサイプルズ」の方は、ナパの契約畑のブドウから、GBクレーンと似た味わいを目指して作っているワインで、こちらもパーカー93点という高い評価。

ナパのジンファンデル。ぜひ試してみてください。
Date: 2020/0502 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクルのワイン・エディターであるエスター・モブリーが「バターのようなシャルドネ」を擁護する記事を書いています(In defense of buttery Chardonnay - SFChronicle.com)。SFクロニクルといえば、「New California Wine」を書いたジョン・ボネがいたように、どちらかというと先進的なワインを好む傾向が強いと思っていますがなぜ?

記事のきっかけは「バター・シャルドネ」で知られるジャム・セラーズがザ・ワイン・グループを訴えたこと。今回は「bold and jammy」という言葉をフランジアのパッケージに大きく入れたことが理由ですが、その前から「Rich & Buttery」という名前に付いても訴えていました。
Butter Chardonnay
バターのようなシャルドネというと1980年代にブームになり、その反動で「ABC(Anything But Chardonnay)」という言葉までが生まれるほど、反対派も生まれたタイプのワインです。一般的にカリフォルニアのシャルドネとしてイメージするのもそういうワインが多いでしょう。

近年では、むしろ樽でコテコテのシャルドネを探すほうが大変だったりもしますが、逆に一周回って「コテコテ好き」なマニアも生まれているようです。それに、やっぱり最高級のシャルドネで樽を使っていないことは考えられず、やりすぎでなく使えば高級感が生まれるのは間違いないところ。

また、一般のコンシューマーにとっては樽が効いたバターのようなシャルドネというのは、悪印象より好印象を与える傾向が強いのは、ジャム・セラーズがうまくいっていることでも想像できるでしょう。

記事ではおすすめの「バターのようなシャルドネ」も紹介されています。

Chalk Hill Chardonnay Sonoma Coast 2018
Smith-Madrone Chardonnay Napa Valley Spring Mountain District 2016
Beauregard Chardonnay Santa Cruz Mountains Beauregard Ranch 2018
Qupe Chardonnay “Y Block” Santa Barbara County 2018
Merry Edwards Chardonnay Russian River Valley Olivet Lane 2017
Chappellet Chardonnay Petaluma Gap Calesa Vineyard 2018

冒頭に挙げられたチョークヒルのシャルドネは僕も好きです。コスパも高い。そのあたりの価格帯ではウェンテのシャルドネもいいと思います。

あとは定番過ぎて挙げられなかったのだと思いますがロンバウアーのシャルドネはコテコテ好きには絶大な人気を誇っています。

Date: 2020/0501 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会によるフリーマンのアキコ・フリーマンさんが登場するZoomを使ったウェビナーが4月29日に開かれ600人以上が視聴するという人気でした。
ウェビナー

ホスト役はホーク・ワカワカの名前で知られるイレイン・チューカン・ブラウンさん。彼女の英語の質問を山本香奈さんが逐次通訳し、日本語で返答するアキコさんの発言を、カリフォルニアワイン協会の手島さんがリアルタイムでイレインにWhatsappを通じて伝えるという見事な連携。さらに日本語で視聴者から寄せられた質問は、カリフォルニアワイン協会の扇谷さんが英語にしてイレインに伝えていたようです。かなりの質問も寄せられ、視聴者の関心の高さが伺えました。

動画はそのうちにYouTubeで公開されると思いますが、いくつか面白かったことをピックアップします。

まずは申請中のウエスト・ソノマ・コーストAVAの話。フリーマンは本拠地のワイナリーと「グロリア」の畑はグリーン・ヴァレーにありますが、「ユウキ」の畑はウエスト・ソノマ・コーストに入っており、AVA発起メンバーの6ワイナリーの一つになっています。

このあたりはソノマ・コースト、ロシアン・リバー・ヴァレー、グリーン・ヴァレー、さらにはペタルマ・ギャップ、フォートロス・シービューとAVAがかなり入り組んだ形になっていていろいろややこしいですが、ウエスト・ソノマ・コーストはソノマ・コーストに含まれ、フォートロス・シービューを包含する形で提案されています。

初耳だったのですが、数年前に部分的にオーバーラップするAVAは、今後認められないということになったそうで、ウエスト・ソノマ・コーストはそれを守って提案されていますが、認められた後で、グリーン・ヴァレーもそのうち取り込みたいという希望はあるそうです。今は政府のプロセスもいろいろ止まってしまっていますが、もうAVA認定まではあと一歩というところのようです。

フリーマンのワインではユウキとグロリア、アキコズ・キュベの3つのワインをセミナー中で試飲していました。イレインは、共通性として旨味を挙げていました。サーモンの料理に合うとのことで、特にユウキは醤油や味噌のような旨味系の味付けとの相性が良さそうということでした。

ただ、アキコズ・キュベはかなりしっかりした味わいなので和牛のステーキやラムチョップ、チョコレートケーキにも合うとアキコさん。イレインは和牛の刺し身と合わせたいと言っていました。

フリーマンのワイン以外にはリトライ(Littorai)の「Pivot」とペイ(Peay)の「スキャロップ・シェルフ」の2つのピノ・ノワールを試飲。Pivotはグロリアからかなり近いところにある畑で、リトライのワインは熟成がとてもきれいに進むとアキコさん。イレインによると「リトライは抑制が効いているが、少し筋肉質でボリューム感もある。フリーマンの方がフィネスがある」とのことでした。

ペイはフリーマン同様女性ワインメーカーのワイナリー。スキャロップ・シェルフはフローラルな印象があって、一番女性的でアキコさんの好きなワインだとのこと。

リトライもペイもウエスト・ソノマ・コーストの発起メンバーで「重みを感じずに凝縮感があるのが5つの特徴。骨格と均整がある」とイレイン。こういうワインがソノマの海の近くで作られることを知ってほしいとアキコさん。

そして最後にアキコさんから「実は今スパークリングを作っている」という驚きの発言がありました。2019年のヴィンテージで早摘みしてベースワインを作っているところだそうです。ただ、スパークリングを作るワイナリーの多くが、専用のカスタム・クラッシュ(請負型のワイナリー)を使っているのに対し、フリーマンではすべて自身のワイナリーで行う予定で、ちゃんとできるかどうかはまだわからないそうです。これも楽しみですね。

とても中身が濃く、やはり日本語でわかりやすいため、視聴されていた方々も満足されたのではないでしょうか。

あと、希望としては、ワインがもっと早くわかって自分でも準備できたらよかったと思いました。またこういうセミナーがあるといいですね。

当日の動画はこちらから
Behind the Wines - Japan Special Edition【ビハインド・ザ・ワインズ ~ワインの裏側~ 】日本向け特別編 アキコ・フリーマン - YouTube