フランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)がナパのワイナリー、ジョセフ・フェルプス(Joseph Phelps)を買収しました(LVMH buys California wine giant Joseph Phelps as high-end drinks market soars)。
ジョセフ・フェルプスは故ジョセフ・フェルプス氏が1973年に設立したワイナリー。以来家族経営を続けてきました。初代のワインメーカーである故ウォルター・シュグが作ったボルドー系ブレンド「インシグニア(Insignia)」で知られるワイナリーです。ナパの様々な銘醸地に自社畑を所有し、そのブレンドで作っているワインです。インシグニア以外にもオークヴィルのバッカス・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンも著名であり、ソノマ・コーストの中でも冷涼なフリーストーンにも畑を開発してピノ・ノワールやシャルドネを作っています。
LVMHとしてはハイエンドのカベルネ・ソーヴィニヨンのブランドがほしかったとのこと。LVMHはシャンパーニュのドン・ペリニオンやモエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、クリュッグを初め、シュヴァル・ブランやシャトー・ディケムなどを持ち、カリフォルニアではニュートンとシャンドンを保有しています。またコルギンの大株主にもなっています。
インシグニアはブランド力があるのはもちろん、生産量もかなり多く、LVMHのニーズに応えやすかった面がありそうです。一方、これまでのオーナーのフェルプス家はあまり表に出ることがなく、どういう経緯だったのかは今回のニュースでも明らかになっていません。
ジョセフ・フェルプスは故ジョセフ・フェルプス氏が1973年に設立したワイナリー。以来家族経営を続けてきました。初代のワインメーカーである故ウォルター・シュグが作ったボルドー系ブレンド「インシグニア(Insignia)」で知られるワイナリーです。ナパの様々な銘醸地に自社畑を所有し、そのブレンドで作っているワインです。インシグニア以外にもオークヴィルのバッカス・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンも著名であり、ソノマ・コーストの中でも冷涼なフリーストーンにも畑を開発してピノ・ノワールやシャルドネを作っています。
LVMHとしてはハイエンドのカベルネ・ソーヴィニヨンのブランドがほしかったとのこと。LVMHはシャンパーニュのドン・ペリニオンやモエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、クリュッグを初め、シュヴァル・ブランやシャトー・ディケムなどを持ち、カリフォルニアではニュートンとシャンドンを保有しています。またコルギンの大株主にもなっています。
インシグニアはブランド力があるのはもちろん、生産量もかなり多く、LVMHのニーズに応えやすかった面がありそうです。一方、これまでのオーナーのフェルプス家はあまり表に出ることがなく、どういう経緯だったのかは今回のニュースでも明らかになっていません。
今年1月に浅草橋駅近くの自社ビルに移転した中川ワイン。その自社ビルで行われるミニ試飲会に参加してきました。普段の試飲会と比べると3分の1くらいのアイテム数で、ゆっくり試飲できます。今回は「中川らしいワイン」がテーマだとのこと。新入荷のワインもいくつか出ていました。
まずは新入荷からイーター(Iter)のピノ・ノワールです。イーターはスパークリングの輸入から始まりましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンが追加され、今回シャルドネとピノ・ノワールも入りました。2300円とリーズナブルな価格帯で、ベリーの味がさわやかでやや軽快なピノ・ノワールです。これからの夏の季節にも向きそうなワインです。
もうひとつ夏向きのワインとしてホーニッグ(Honig)のソーヴィニヨン・ブラン(3500円)です。スタンダードなソーヴィニヨン・ブランで酸がきれい。
リヴァース・マリー(Rivers-Marie)のシャルドネ ソノマ・コースト2019(6500円)です。リヴァース・マリーというと、Vinousで100点を取ったピノ・ノワールや、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージが強いですが、実はシャルドネも美味しいです。これは一番エントリーの位置付けですが、リッチでクリーミー、しかもエレガントですべての要素が溶け込んでいます。クオリティ的には1万円クラスに引けを取らないと思います。
ダックホーン・グループからゴールデンアイ(Goldeneye)のピノ・ノワール。アンダーソン・ヴァレー2019(7000円)とアンダーソン・ヴァレー ゴーワン・クリークヴィンヤード(1万1000円)。冷涼なアンダーソン・ヴァレーのワインであり、酸がよく利いています。果実味もどちらもきれい。単一畑ものはミネラル感もあります。
デコイ(Decoy)のやや高級版であるリミテッドのカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(4400円)。ナパ・ハイランズのヒット以来激戦区になった価格帯ですが、ここで勝負できるだけのリッチさとバランスの良さを併せ持っています。樽もほどよく利いています。
今回の目玉といっていいでしょう。新入荷ワインとなったマウント・ヴィーダー(Mount Veeder)のカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(1万2000円)です。ワイナリーの名前の通り、ナパのマウント・ヴィーダーのブドウを使ったワイン。山のワインらしい強固なタンニンと、ハーブの風味、ジューシーな果実味があり、非常においしい。近年いわゆる「山カベ」で1万円台のものはほとんどなく、大体が2万円以上になっていたので、この価格帯では貴重なワインです。
この後は、プレミアム系のセカンド・ワインシリーズ。
まずはラッド(Rudd)のセカンドのクロスローズ(Crossroads)からカベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル 2017です(1万2500円)。ストラクチャーがしっかりしているのが特徴。
コングスガードのセカンド・セレクション「キングスファーム」のカベルネ・ソーヴィニヨン2018(1万6000円)です。パワフルでフルボディ。酸もしっかりあってバランスもいい。レアものですが、純粋にワインとしてもすばらしい。
先日、単品でも紹介したザ・マスコット(The Mascot)。ハーランとボンド、プロモントリーの若木のブドウを使ったワインです。ハーランのセカンド「メイデン」やボンドのセカンド「メイトリアーク」が非常に入手しにくくなっている中で、2万3000円という価格もありがたいですし、クオリティ的にもよくできているワインです。
まずは新入荷からイーター(Iter)のピノ・ノワールです。イーターはスパークリングの輸入から始まりましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンが追加され、今回シャルドネとピノ・ノワールも入りました。2300円とリーズナブルな価格帯で、ベリーの味がさわやかでやや軽快なピノ・ノワールです。これからの夏の季節にも向きそうなワインです。
もうひとつ夏向きのワインとしてホーニッグ(Honig)のソーヴィニヨン・ブラン(3500円)です。スタンダードなソーヴィニヨン・ブランで酸がきれい。
リヴァース・マリー(Rivers-Marie)のシャルドネ ソノマ・コースト2019(6500円)です。リヴァース・マリーというと、Vinousで100点を取ったピノ・ノワールや、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージが強いですが、実はシャルドネも美味しいです。これは一番エントリーの位置付けですが、リッチでクリーミー、しかもエレガントですべての要素が溶け込んでいます。クオリティ的には1万円クラスに引けを取らないと思います。
ダックホーン・グループからゴールデンアイ(Goldeneye)のピノ・ノワール。アンダーソン・ヴァレー2019(7000円)とアンダーソン・ヴァレー ゴーワン・クリークヴィンヤード(1万1000円)。冷涼なアンダーソン・ヴァレーのワインであり、酸がよく利いています。果実味もどちらもきれい。単一畑ものはミネラル感もあります。
デコイ(Decoy)のやや高級版であるリミテッドのカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(4400円)。ナパ・ハイランズのヒット以来激戦区になった価格帯ですが、ここで勝負できるだけのリッチさとバランスの良さを併せ持っています。樽もほどよく利いています。
今回の目玉といっていいでしょう。新入荷ワインとなったマウント・ヴィーダー(Mount Veeder)のカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(1万2000円)です。ワイナリーの名前の通り、ナパのマウント・ヴィーダーのブドウを使ったワイン。山のワインらしい強固なタンニンと、ハーブの風味、ジューシーな果実味があり、非常においしい。近年いわゆる「山カベ」で1万円台のものはほとんどなく、大体が2万円以上になっていたので、この価格帯では貴重なワインです。
この後は、プレミアム系のセカンド・ワインシリーズ。
まずはラッド(Rudd)のセカンドのクロスローズ(Crossroads)からカベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル 2017です(1万2500円)。ストラクチャーがしっかりしているのが特徴。
コングスガードのセカンド・セレクション「キングスファーム」のカベルネ・ソーヴィニヨン2018(1万6000円)です。パワフルでフルボディ。酸もしっかりあってバランスもいい。レアものですが、純粋にワインとしてもすばらしい。
先日、単品でも紹介したザ・マスコット(The Mascot)。ハーランとボンド、プロモントリーの若木のブドウを使ったワインです。ハーランのセカンド「メイデン」やボンドのセカンド「メイトリアーク」が非常に入手しにくくなっている中で、2万3000円という価格もありがたいですし、クオリティ的にもよくできているワインです。
Twitterの中高年の知り合いが集まった「お達者クラブ」、北は青森、南は福岡からの参加で、思い出したかのようにときどきオンラインで、皆で同じワインを飲むワイン会をしています。今回からは若い女性も2人「介護役」として参加しました。
メンバーなどは安ワイン道場の「2022年6月:稽古日誌」に載っておりますのでここでは割愛。
今回はテーマワインを選んだのは私。選んだのは「オッド・ロット レッド・ブレンド 2019」です。
このワイン、プティ・シラーとプティ・ヴェルドのブレンドというちょっと珍しい(ほかにもありますが)構成。2000円台と比較的リーズナブルな価格で果実味豊か。ジューシーさをしっかりとした酸とタンニンが支えて、甘ったるい仕上がりにはなっていないところもいいワインです。
これを選んだ一番の理由は、プティ・シラーが中心であること。
カリフォルニアらしいブドウ品種というとジンファンデルを思い浮かべる人が多いと思いますが、ジンファンデルはイタリアのプリミディーボと同じ品種であることが判明しており、イタリアでプリミディーボのワインは結構作られているので、実はカリフォルニアの専売特許というわけでもありません。一方、プティ・シラーはシラーとプールサン (Peloursin)という品種を交配したもので、正式名称はデュリフ(Durif、開発した人の名前から取ったもの)。19世紀にフランスで作られた品種ですが、今はカリフォルニア以外ではごくごく少量しか作られていません。また、プティ・シラーは非常に色が濃く、タンニンも酸も豊富な品種で、昔から「歯を紫に染める」ワイン(日本でいうとお歯黒ですね)とも言われていました。そういう意味でも、ジンファンデル以上にカリフォルニア的なブドウではないかと思って選んだわけです。
また、このワインを作っている「シャイド・ファミリー」はモントレーのブドウ畑の約1割を持つ栽培家であり、近年は様々なコスパブランドで名を馳せています。畑はすべてサスティナブル、有機栽培認証も取ろうとしています。モントレーという産地や、シャイドのことも知ってほしいという気持ちで選んだワインです。
介護役の二人が、このワインでなく「カベルネ・ソーヴィニヨン+シラー」のもうひとつのオッド・ロットのワインを買ってしまったというお笑いの一幕もありましたが、せっかくの機会なので、上記のような話も勝手にプレゼンさせていただきました。
カベルネ・ソーヴィニヨン+シラーのワインについてはこちら(コミックのラベルが楽しいユニークなブレンド第2段、味もあなどるなかれ)。
ラベルもユニークでかわいいので、個人的にも気のおけない友人へのプレゼントなどに使わせていただいているワインです。
メンバーなどは安ワイン道場の「2022年6月:稽古日誌」に載っておりますのでここでは割愛。
今回はテーマワインを選んだのは私。選んだのは「オッド・ロット レッド・ブレンド 2019」です。
このワイン、プティ・シラーとプティ・ヴェルドのブレンドというちょっと珍しい(ほかにもありますが)構成。2000円台と比較的リーズナブルな価格で果実味豊か。ジューシーさをしっかりとした酸とタンニンが支えて、甘ったるい仕上がりにはなっていないところもいいワインです。
これを選んだ一番の理由は、プティ・シラーが中心であること。
カリフォルニアらしいブドウ品種というとジンファンデルを思い浮かべる人が多いと思いますが、ジンファンデルはイタリアのプリミディーボと同じ品種であることが判明しており、イタリアでプリミディーボのワインは結構作られているので、実はカリフォルニアの専売特許というわけでもありません。一方、プティ・シラーはシラーとプールサン (Peloursin)という品種を交配したもので、正式名称はデュリフ(Durif、開発した人の名前から取ったもの)。19世紀にフランスで作られた品種ですが、今はカリフォルニア以外ではごくごく少量しか作られていません。また、プティ・シラーは非常に色が濃く、タンニンも酸も豊富な品種で、昔から「歯を紫に染める」ワイン(日本でいうとお歯黒ですね)とも言われていました。そういう意味でも、ジンファンデル以上にカリフォルニア的なブドウではないかと思って選んだわけです。
また、このワインを作っている「シャイド・ファミリー」はモントレーのブドウ畑の約1割を持つ栽培家であり、近年は様々なコスパブランドで名を馳せています。畑はすべてサスティナブル、有機栽培認証も取ろうとしています。モントレーという産地や、シャイドのことも知ってほしいという気持ちで選んだワインです。
介護役の二人が、このワインでなく「カベルネ・ソーヴィニヨン+シラー」のもうひとつのオッド・ロットのワインを買ってしまったというお笑いの一幕もありましたが、せっかくの機会なので、上記のような話も勝手にプレゼンさせていただきました。
カベルネ・ソーヴィニヨン+シラーのワインについてはこちら(コミックのラベルが楽しいユニークなブレンド第2段、味もあなどるなかれ)。
ラベルもユニークでかわいいので、個人的にも気のおけない友人へのプレゼントなどに使わせていただいているワインです。
柳屋にフィールド・レコーディングスのピノ・ノワールが入荷しています。エレガント系ピノ・ノワールとしては極めてコスパ高く、個人的にはコロナ直前の2020年初頭から大プッシュしているワインでありワイナリーなのですが、今一つ扱いが増えないのを残念に思っていました。ようやく柳屋にも入った(以前からシャルドネとオレンジワインの「SKIN」は扱っていましたが)ので、これから人気が上がるのではないかと期待しています。
コスパがいいのも当然で、ワイナリー価格が25ドルですから、仮に1ドル130円としても3250円。消費税を入れたら3500円を超えます。それが税込み3000円そこそこで買えるのですから、にほんの価格はかなりがんばっているのです。
加えて、このワインのブドウの産地であるエドナ・ヴァレーは今でこそマイナー産地ですが、今後このあたりは注目されていくでしょう。今年はエドナ・ヴァレーを含む「SLO(スロー)コースト」AVAが認定され、これからは隣のアロヨグランデとともにSLOコーストとしてブランディングされていくことになると思います。カリフォルニアの中でも一番冷涼な産地であり、冷涼系がもてはやされる時代にマッチしています。
コスパがいいのも当然で、ワイナリー価格が25ドルですから、仮に1ドル130円としても3250円。消費税を入れたら3500円を超えます。それが税込み3000円そこそこで買えるのですから、にほんの価格はかなりがんばっているのです。
加えて、このワインのブドウの産地であるエドナ・ヴァレーは今でこそマイナー産地ですが、今後このあたりは注目されていくでしょう。今年はエドナ・ヴァレーを含む「SLO(スロー)コースト」AVAが認定され、これからは隣のアロヨグランデとともにSLOコーストとしてブランディングされていくことになると思います。カリフォルニアの中でも一番冷涼な産地であり、冷涼系がもてはやされる時代にマッチしています。
ウメムラで「ザ・ペアリング」の5品種セットが送料込みで16856円と安くなっています。
NHK「あてなよる」でザ・ペアリングのソーヴィニヨン・ブランを激賞
この記事で取り上げたソーヴィニヨン・ブランも入っています。番組後はすぐに市場から消え去り、ようやく次の入荷が来ました。
ザ・ペアリングはスクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラに持つ2つのワイナリー「ヒルト(Hilt)」と「ホナタ(Jonata)」のセカンドワインという位置付けです。ヒルトはブルゴーニュ系の品種、ホナタはボルドー系やローヌ系を手掛けています。このセットにはヒルト系のピノ・ノワールとシャルドネ、ホナタ系のレッド(カベルネ・ソーヴィニヨン主体)、シラー、ソーヴィニヨン・ブランと、代表的な5つのワインが入っており、サンタ・バーバラの実力を比較的手頃な価格で体験できます。
NHK「あてなよる」でザ・ペアリングのソーヴィニヨン・ブランを激賞
この記事で取り上げたソーヴィニヨン・ブランも入っています。番組後はすぐに市場から消え去り、ようやく次の入荷が来ました。
ザ・ペアリングはスクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラに持つ2つのワイナリー「ヒルト(Hilt)」と「ホナタ(Jonata)」のセカンドワインという位置付けです。ヒルトはブルゴーニュ系の品種、ホナタはボルドー系やローヌ系を手掛けています。このセットにはヒルト系のピノ・ノワールとシャルドネ、ホナタ系のレッド(カベルネ・ソーヴィニヨン主体)、シラー、ソーヴィニヨン・ブランと、代表的な5つのワインが入っており、サンタ・バーバラの実力を比較的手頃な価格で体験できます。
ウォルト・ディズニーの長女ダイアン(2013年に79歳で死去した)が夫のロンと設立したナパのシルバラード(Silverado)を、ソノマなどカリフォルニア各地にワイナリーを持つウィリアム・フォーリーが買収したとワイン・スペクテーターが報じています。買収金額は1億5000万ドル強(200億円ほど)とのこと。
シルバラードはスタッグス・リープ・ディストリクトにワイナリーを持ち、スタッグス・リープのほか、クームズヴィルやヨントヴィルにも畑を持っています。フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨン「ソロ」は約2万円の高級ワインです。
フォーリーはサンタ・バーバラのフォーリーに始まり、セントラル・コーストではリンコートやファイアーストーン、シャローンなどを持ち、ソノマではチョーク・ヒルやセバスティアーニなどを保有しています。近年ではソノマのフェラーリ・カラーノやシャトー・セント・ジーンなどを買収しています。
ナパではメラス(Merus)などを持っていますが、非常に規模の小さいワイナリーです。シルバラードは現状6万8000ケースですが14万ケースまでは許可を持っており、フォーリーにとっては大幅な拡充となります。
シルバラードはスタッグス・リープ・ディストリクトにワイナリーを持ち、スタッグス・リープのほか、クームズヴィルやヨントヴィルにも畑を持っています。フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨン「ソロ」は約2万円の高級ワインです。
フォーリーはサンタ・バーバラのフォーリーに始まり、セントラル・コーストではリンコートやファイアーストーン、シャローンなどを持ち、ソノマではチョーク・ヒルやセバスティアーニなどを保有しています。近年ではソノマのフェラーリ・カラーノやシャトー・セント・ジーンなどを買収しています。
ナパではメラス(Merus)などを持っていますが、非常に規模の小さいワイナリーです。シルバラードは現状6万8000ケースですが14万ケースまでは許可を持っており、フォーリーにとっては大幅な拡充となります。
カリフォルニアのロゼばかりを持ち寄ったワイン会に参加してきました。
写真の左から
★Daou Discovery Rose Paso Robles 2020 (Grenache, Sauvignon Blanc)
★Pax Trousseau Gris Russian River Valley 2019 (Trousseau)
★Eugenia Rose of Cinsault Central Coast 2017 (Cinsaut)
★Mattiasson Rose California 2020 (Syrah, Grenache)
★Cedarville "Susan Marie" Rose Fair Play 2020 (Syrah, Grenache)
★Flowers Rose Sonoma Coast 2020 (Pinot Noir)
★La Sirena Rosato Amador County 2018 (Primitivo)
★Amuse Bouche Pret a Boire Rose Napa Valley 2017 (Grenache, Syrah)
事前に「泡もあり」と聞いていたので1本くらいは泡があるかと思ったら全部スティルでした。
最初に開けたのは左から3番めのサンソーのロゼ。日本未輸入のものです。8本の中で一番色が薄かったのでこれから開けましたが、意外と味わいはしっかり。オレンジ系の風味が印象的でした。ロゼというよりオレンジワインぽい雰囲気。
2本目はマサイアソン(左から4番目)。私が持参したワインです。これはしみじみ旨いワイン。マサイアソンは全般にしみじみ系ですが、これは特にそれを感じました。
次はフラワーズ(だったかな?)。右から3番めです。意外にも唯一のピノ・ノワール・ベースのロゼです。これは皆大好きな味。やっぱりピノ・ノワールのロゼはいいですね。
パックス(左から2番め)は真っ白のラベルにエンボス加工でPaxの字が入っています(写真だと全然わかりませんが)。トゥルソーグリを使ったワインで、チャーミングな味わい。
ダオ(一番左)はグルナッシュとソーヴィニヨン・ブランのブレンドという珍しい組み合わせ。グルナッシュらしい風味がしっかりあります。酸もきれいで個人的にはかなり気に入ったワインです。
残り3本はブラインド(といってもラインアップは公開)で飲みました。
一番左のアミューズ・ブーシュは見るからに濃厚で、一番しっかりした味わい。赤ワインに近い味を求めるならこれですね。
ラ・シレナは非常に親しみやすい味。ちょっと残糖もあるかもしれません。
シダーヴィルはマロンペーストの風味が面白いワイン。輸入元のMitsyさん持参のワインです。
料理もロゼに合わせた形で用意していただきました。店は西馬込のイルドコリンヌです。
2時半からのワイン会で終わってもまだ6時前。この季節だとまだ外は明るいです。ロゼはこんなシチュエーションにも似合います。
正直、ロゼだけで飽きないかとか、ちょっと心配だったのですが、杞憂でした。ロゼばかり飲む機会とかめったにないので、こんなに違うんだということも分かり面白かったです。
オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)のフラッグシップのシャルドネ「ニュイ・ブランシュ・オー・ボージュ(Nuits-Blanches au Bouge)」。新ヴィンテージの2019年がリリースされ、Wassy'sに入荷しています。
毎年キャッチフレーズが付くこのワイン。2015年の「無二」、2017年の「唯一」と、このところ1年おきに日本語のキャッチフレーズが付いていましたが、2019年は「独歩」と三度日本語となりました。
昨年亡くなった創設者のジム・クレンデネンが日本好きで、コロナ前は年に数回来日するのが当たり前のほどだったほか、二人の子供イザベルさんとノックスさんも日本好き。イザベルさんは日本の漫画が大好きで日本語を勉強していましたし、ノックスさんは、この春まで日本で大学に通っていました。そういったこともあっての日本語キャッチフレーズですが、特に今回は二人がこれからワイナリーを引き継いでいく決意も表しているようです。
まだ若く、経験もほとんどない二人ですが、幸い周囲のワイナリースタッフは変わっていないようですから、ワイン造りもこれまで通り進み、二人も成長していくことだろうと思います。
毎年キャッチフレーズが付くこのワイン。2015年の「無二」、2017年の「唯一」と、このところ1年おきに日本語のキャッチフレーズが付いていましたが、2019年は「独歩」と三度日本語となりました。
昨年亡くなった創設者のジム・クレンデネンが日本好きで、コロナ前は年に数回来日するのが当たり前のほどだったほか、二人の子供イザベルさんとノックスさんも日本好き。イザベルさんは日本の漫画が大好きで日本語を勉強していましたし、ノックスさんは、この春まで日本で大学に通っていました。そういったこともあっての日本語キャッチフレーズですが、特に今回は二人がこれからワイナリーを引き継いでいく決意も表しているようです。
まだ若く、経験もほとんどない二人ですが、幸い周囲のワイナリースタッフは変わっていないようですから、ワイン造りもこれまで通り進み、二人も成長していくことだろうと思います。
ハーラン・ファミリーの作るワインの中で最も安価なマスコット(Mascot)の最新ヴィンテージ2017年が国内に入荷しています。
ハーラン・ファミリーではハーラン・エステートを筆頭として、そのセカンドにメイデン(Maiden)があり、またナパの「グラン・クリュ」のカベルネ・ソーヴィニヨンの畑からテロワールを表現するワインを作るボンド(Bond)にはセカンドとして各畑のブレンドであるメイトリアーク(Matriarch)があります。
また、3つめのプロジェクト「プロモントリー(Promontory)」には「ピナルティマット(Penultimate)」というセカンドと思しきワインが2020年に追加されました。
一方、マスコットはハーランやボンド、プロモントリーの畑から若木のブドウを中心にして作ったもので、今や当主となったウィル・ハーランが、ハーランで働くようになって最初に手掛けたワインでもあります。日本に入り始めたころは4万円近くしましたが、現在は実売2万円程度からと価格もだいぶ下がっています。
実は前述のメイデンやメイトリアークは、輸入元の中川ワインでも現在ほとんど扱いがありません。畑の樹が成熟してきてセカンドに回るものが減り、輸出されなくなっているようです。ピナルティマットについては、そもそもメーリング・リストだけの販売と思われます。
マスコットは若木の成熟で味わいも当初より向上しています。おそらく収穫から5年以内の早飲みならば、ファーストのワインと比べても遜色ないのではないかと思います。実際、ハーランのセミナーではマスコットが一番おいしく感じたという人も珍しくありません。
個人的にはオーパス・ワンのセカンドワイン「オーバチュア」に3万円出すなら、マスコットの2万円の方がだいぶ魅力的に感じます。
円安がしばらく続きそうなことを考えても。今は買い時かもしれません。
トスカニーです。
Wassy'sです。ヴィンテージは2016。
ココスです。ヴィンテージは2016。
しあわせワイン倶楽部です。2016年。
カリフォルニアワインあとりえです。
ハーラン・ファミリーではハーラン・エステートを筆頭として、そのセカンドにメイデン(Maiden)があり、またナパの「グラン・クリュ」のカベルネ・ソーヴィニヨンの畑からテロワールを表現するワインを作るボンド(Bond)にはセカンドとして各畑のブレンドであるメイトリアーク(Matriarch)があります。
また、3つめのプロジェクト「プロモントリー(Promontory)」には「ピナルティマット(Penultimate)」というセカンドと思しきワインが2020年に追加されました。
一方、マスコットはハーランやボンド、プロモントリーの畑から若木のブドウを中心にして作ったもので、今や当主となったウィル・ハーランが、ハーランで働くようになって最初に手掛けたワインでもあります。日本に入り始めたころは4万円近くしましたが、現在は実売2万円程度からと価格もだいぶ下がっています。
実は前述のメイデンやメイトリアークは、輸入元の中川ワインでも現在ほとんど扱いがありません。畑の樹が成熟してきてセカンドに回るものが減り、輸出されなくなっているようです。ピナルティマットについては、そもそもメーリング・リストだけの販売と思われます。
マスコットは若木の成熟で味わいも当初より向上しています。おそらく収穫から5年以内の早飲みならば、ファーストのワインと比べても遜色ないのではないかと思います。実際、ハーランのセミナーではマスコットが一番おいしく感じたという人も珍しくありません。
個人的にはオーパス・ワンのセカンドワイン「オーバチュア」に3万円出すなら、マスコットの2万円の方がだいぶ魅力的に感じます。
円安がしばらく続きそうなことを考えても。今は買い時かもしれません。
トスカニーです。
Wassy'sです。ヴィンテージは2016。
ココスです。ヴィンテージは2016。
しあわせワイン倶楽部です。2016年。
カリフォルニアワインあとりえです。
ナパヴァレーのベストエデュケーターに選ばれた四家さんによる講座が7月3日に表参道のアカデミー・デュ・ヴァンで開催されます(青山校 ここから始める!ナパ・ヴァレーワインの初歩 ~NAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR が語るNAPAの魅力~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン)。
7700円とかなりお得な受講料になっています。試飲予定のワインは以下の6本です。
Silverado Vineyards Sauvignon Blanc Miller Ranch 3,630円(税込)
Shafer Red Shoulder Ranch Chardonnay 10,200円(税込)
Girard Old Vine Zinfandel 5,280円(税込)
Merryvale Carneros Pinot Noir 6,600円(税込)
Duckhorn Merlot Napa Valley 8,690円(税込)
Stonehedge Trophy Premium Cabernet Sauvignon Rutherford 11,000円(税込)
さすが、いいワインが並んでますね。代表的な6品種を網羅しています。
お申し込みはお早めに!
7700円とかなりお得な受講料になっています。試飲予定のワインは以下の6本です。
Silverado Vineyards Sauvignon Blanc Miller Ranch 3,630円(税込)
Shafer Red Shoulder Ranch Chardonnay 10,200円(税込)
Girard Old Vine Zinfandel 5,280円(税込)
Merryvale Carneros Pinot Noir 6,600円(税込)
Duckhorn Merlot Napa Valley 8,690円(税込)
Stonehedge Trophy Premium Cabernet Sauvignon Rutherford 11,000円(税込)
さすが、いいワインが並んでますね。代表的な6品種を網羅しています。
お申し込みはお早めに!
ナパの新世代カルトというべきワイナリーの一つであるレアム・セラーズ(Realm Cellars)がプリチャード・ヒルのナイン・サンズ(Nine Suns)ワイナリーと、その畑ホウイー(Houyi、名前は中国の伝説的な弓の名手から取ったもの)を購入しました。ナイン・サンズのブランドも購入しています。買収額は明らかにしていません。
レアム・セラーズは2002年に設立されたワイナリーですが2011年には倒産寸前にまで追い込まれました。そこからワインメーカーにボルドー出身のブノワ・トゥケを得、ベクストファーからのブドウの調達に成功し、劇的な立て直しに成功します。これまで13本の「パーカー100点」ワインを生み出すなど、そのワインは非常に高く評価されています。
2015年にはすタッグス・リープのハートウェル(Hartwell)を買収、2018年にはクームズヴィルのファレラ(Farella)ヴィンヤードを購入しました。いずれも長年ブドウを買っていた栽培家やワイナリーであり、買収後もその関係を維持しています。ホウイーのブドウもかねてからレアムで使っており、オーナーだったチャン家と非常に良好な関係を持っていました。ナイン・サンズには多くの企業が名乗りを上げていましたが、レアムを選んだのは金額ではなく、将来も関係を維持できると考えたからのようです。実際、チャン家の新しいプロジェクトではホウイーのブドウを使うことになっており、レアムもその関係を続けるとしています。
ホウイー・ヴィンヤードはコルギンのIXエステートの畑に隣接しており、オーヴィッドなどもすぐ近隣にあります。南斜面で比較的暖かく、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植えられています。
プリチャード・ヒルの畑の開発は非常に大変であり、斜面の畑の開発が許可されることも難しくなっています。現在の20弱の畑の数から今後も大きく増えることはないでしょう。レアムにとっては非常に貴重な畑を手に入れたことになります。
レアム・セラーズは2002年に設立されたワイナリーですが2011年には倒産寸前にまで追い込まれました。そこからワインメーカーにボルドー出身のブノワ・トゥケを得、ベクストファーからのブドウの調達に成功し、劇的な立て直しに成功します。これまで13本の「パーカー100点」ワインを生み出すなど、そのワインは非常に高く評価されています。
2015年にはすタッグス・リープのハートウェル(Hartwell)を買収、2018年にはクームズヴィルのファレラ(Farella)ヴィンヤードを購入しました。いずれも長年ブドウを買っていた栽培家やワイナリーであり、買収後もその関係を維持しています。ホウイーのブドウもかねてからレアムで使っており、オーナーだったチャン家と非常に良好な関係を持っていました。ナイン・サンズには多くの企業が名乗りを上げていましたが、レアムを選んだのは金額ではなく、将来も関係を維持できると考えたからのようです。実際、チャン家の新しいプロジェクトではホウイーのブドウを使うことになっており、レアムもその関係を続けるとしています。
ホウイー・ヴィンヤードはコルギンのIXエステートの畑に隣接しており、オーヴィッドなどもすぐ近隣にあります。南斜面で比較的暖かく、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植えられています。
プリチャード・ヒルの畑の開発は非常に大変であり、斜面の畑の開発が許可されることも難しくなっています。現在の20弱の畑の数から今後も大きく増えることはないでしょう。レアムにとっては非常に貴重な畑を手に入れたことになります。
カレラ(Calera)の創設者であり、カリフォルニアのピノ・ノワールのパイオニアの一人であるジョシュ・ジェンセン(Josh Jensen)氏が6月11日に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
ジョシュ・ジェンセンはサンフランシスコの対岸にあるオリンダで歯科医の息子として育ち、一家の友人でサンフランシスコ・フード・アンド・ワイン協会を設立したジョージ・セレックという人からワインを教わりました。エール大学で学んだ後、英国のオックスフォード大学に留学しましたが、オックスフォードではワイン漬けの日々を送っていたとのこと。そのころ、カリフォルニアでワインを作ることを志しました。1969年、ブルゴーニュへ行きDRCで収穫を手伝いました。翌年も収穫を手伝いに行き、DRCのセラー責任者のアンドレ・ノブレにワイナリーで働きたいと告げ、職を得ました。ところが、ラルー・ルロワに嫌われて追い出されてしまい、その後はデュジャックやコンドリューでも収穫を手伝い、米国に帰国しました。
ブルゴーニュで偉大な畑はすべて石灰岩の土壌にあると考えたジョシュは、鉱山監督省で地質分布図を取得し、フォルクスワーゲンのキャンピングカーでカリフォルニアを回りながら地質と気候を調べていきました。塩酸を持ち歩いて、土壌に石灰質があるかを確認していったそうです(石灰質があると水素が発生して泡が出る)。
そうして見つけたのがマウント・ハーランの頂上近くの土地でした。このときに出資したのがビル・リードという人で、前述のセレックやリードといったお世話になった人の名前を畑の名前に付けています。
有名なエピソードとして、カレラの畑のブドウはロマネ・コンティの枝を拾ってきたものからできている、というのがありますが、ジョシュ・ジェンセンは以下のように語っています。
クローンがロマネ・コンティから来たものであろうがあるまいが、それだけでロマネ・コンティのワインと同じ味のワインが造れるわけじゃない。単に、にせものではなくて、素性の知れた、よく選別されたピノ・ノワールの苗を手に入れたということにすぎない。野球のピッチャーにたとえれば、ツーストライクを取ってあとはとどめをさすだけだという心境ではなくて、まだ相手はバッターボックスに立っただけで何でもありという感じかな。
『ロマネ・コンティに挑む~カレラ・ワイナリーの物語~』より
カレラのマウント・ハーランは他のワイナリーからかなり離れたところにあり、山の麓は夏場になると気温40℃近くになるようなところ。畑は標高が高く、海からの風も当たるのでそこまで温度は上がりませんが、周りからは異端の目で見られることが多くありました。
その中でカレラの人気が高かったのが日本。漫画『ソムリエ』において、ブラインドで出されたワインを主人公が最初ロマネ・コンティだと思ったものの、考え直してカレラだと当てた、というエピソードがブームのきっかけになりました。
漫画「ソムリエ」第1巻より(原作 城アラキ、監修 堀賢一、1996年)
以前カレラに問い合わせたときには生産量の4割を日本向けに出荷していると言っており、カレラにとって日本市場が非常に大きいものだったことがわかります。
果実味よりも熟成能力を重視するスタイルも、当初評価が上がらなかった理由の一つだと思いますが、だんだん評論家の評価も上がっていき、重要なワイナリーだとみなされるようになりました。2007年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。
その後、ワインメーカーはマイク・ウォーラーに譲り、2017年にはワイナリーをダックホーンに売却しました。コロナ禍で引退状態になり、その後は健康状態も優れなかったようです。
昨年5月に急死したジム・クレンデネンさんに続き、ピノ・ノワールのパイオニアを失いました。
参考:カレラ・セミナー:セントラル・コーストとジョシュ・ジェンセン・セレクションの違いが分かった
ジョシュ・ジェンセンはサンフランシスコの対岸にあるオリンダで歯科医の息子として育ち、一家の友人でサンフランシスコ・フード・アンド・ワイン協会を設立したジョージ・セレックという人からワインを教わりました。エール大学で学んだ後、英国のオックスフォード大学に留学しましたが、オックスフォードではワイン漬けの日々を送っていたとのこと。そのころ、カリフォルニアでワインを作ることを志しました。1969年、ブルゴーニュへ行きDRCで収穫を手伝いました。翌年も収穫を手伝いに行き、DRCのセラー責任者のアンドレ・ノブレにワイナリーで働きたいと告げ、職を得ました。ところが、ラルー・ルロワに嫌われて追い出されてしまい、その後はデュジャックやコンドリューでも収穫を手伝い、米国に帰国しました。
ブルゴーニュで偉大な畑はすべて石灰岩の土壌にあると考えたジョシュは、鉱山監督省で地質分布図を取得し、フォルクスワーゲンのキャンピングカーでカリフォルニアを回りながら地質と気候を調べていきました。塩酸を持ち歩いて、土壌に石灰質があるかを確認していったそうです(石灰質があると水素が発生して泡が出る)。
そうして見つけたのがマウント・ハーランの頂上近くの土地でした。このときに出資したのがビル・リードという人で、前述のセレックやリードといったお世話になった人の名前を畑の名前に付けています。
有名なエピソードとして、カレラの畑のブドウはロマネ・コンティの枝を拾ってきたものからできている、というのがありますが、ジョシュ・ジェンセンは以下のように語っています。
クローンがロマネ・コンティから来たものであろうがあるまいが、それだけでロマネ・コンティのワインと同じ味のワインが造れるわけじゃない。単に、にせものではなくて、素性の知れた、よく選別されたピノ・ノワールの苗を手に入れたということにすぎない。野球のピッチャーにたとえれば、ツーストライクを取ってあとはとどめをさすだけだという心境ではなくて、まだ相手はバッターボックスに立っただけで何でもありという感じかな。
『ロマネ・コンティに挑む~カレラ・ワイナリーの物語~』より
カレラのマウント・ハーランは他のワイナリーからかなり離れたところにあり、山の麓は夏場になると気温40℃近くになるようなところ。畑は標高が高く、海からの風も当たるのでそこまで温度は上がりませんが、周りからは異端の目で見られることが多くありました。
その中でカレラの人気が高かったのが日本。漫画『ソムリエ』において、ブラインドで出されたワインを主人公が最初ロマネ・コンティだと思ったものの、考え直してカレラだと当てた、というエピソードがブームのきっかけになりました。
漫画「ソムリエ」第1巻より(原作 城アラキ、監修 堀賢一、1996年)
以前カレラに問い合わせたときには生産量の4割を日本向けに出荷していると言っており、カレラにとって日本市場が非常に大きいものだったことがわかります。
果実味よりも熟成能力を重視するスタイルも、当初評価が上がらなかった理由の一つだと思いますが、だんだん評論家の評価も上がっていき、重要なワイナリーだとみなされるようになりました。2007年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。
その後、ワインメーカーはマイク・ウォーラーに譲り、2017年にはワイナリーをダックホーンに売却しました。コロナ禍で引退状態になり、その後は健康状態も優れなかったようです。
昨年5月に急死したジム・クレンデネンさんに続き、ピノ・ノワールのパイオニアを失いました。
参考:カレラ・セミナー:セントラル・コーストとジョシュ・ジェンセン・セレクションの違いが分かった
ソノマの新しいAVA「ポケット・ピーク(Pocket Peak)」がTTB(米国財務省・酒類タバコ税貿易管理局)に申請されました(Petition Filed to Establish Pocket Peak AVA in Sonoma County)。
Pocket Peak AVA | Sonoma County, CA
ポケット・ピークはアレキサンダー・ヴァレーのサブAVAとなります。簡単にいえばアレキサンダー・ヴァレーの北半分の丘陵・山岳地帯です。ちなみにポケット・ピークという名前は近くにある標高2256フィートの山の名前から取ったものです。この山だけでなくガイサー・ピーク(Geyser Peak)、ブラック・マウンテン(Black Mountain)と計3つの山がこの地域を形作っています。
ワイナリーとしては有名なのがジャクソン・ファミリーのストーンストリート。標高の高い畑のカベルネ・ソーヴィニヨンからタニックなワインを生み出します。一般にアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンというと、ふくよかでやわらかな味わいのものが多いですが、それとは一線を画していると言っていいでしょう。
また、昨年オークションで1本100万ドルという史上最高額で落札されたワインを造ったジェシー・カッツのワイナリー「アパチャー・セラーズ」もここにあります。ジェシー・カッツはデビル・プルーフというもう一つのワイナリーで、カリフォルニア初の「100点マルベック」も造っています。アパチャー・セラーズも「山麓の斜面にあるやや冷涼感のあるところでミネラル感のあるカベルネ・ソーヴィニヨン」を造っているとのこと。
ワインの独自性も地域の独自性もかなりしっかりありそうなので、近い将来認められる可能性が高いのではないかと思います。
Pocket Peak AVA | Sonoma County, CA
ポケット・ピークはアレキサンダー・ヴァレーのサブAVAとなります。簡単にいえばアレキサンダー・ヴァレーの北半分の丘陵・山岳地帯です。ちなみにポケット・ピークという名前は近くにある標高2256フィートの山の名前から取ったものです。この山だけでなくガイサー・ピーク(Geyser Peak)、ブラック・マウンテン(Black Mountain)と計3つの山がこの地域を形作っています。
ワイナリーとしては有名なのがジャクソン・ファミリーのストーンストリート。標高の高い畑のカベルネ・ソーヴィニヨンからタニックなワインを生み出します。一般にアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンというと、ふくよかでやわらかな味わいのものが多いですが、それとは一線を画していると言っていいでしょう。
また、昨年オークションで1本100万ドルという史上最高額で落札されたワインを造ったジェシー・カッツのワイナリー「アパチャー・セラーズ」もここにあります。ジェシー・カッツはデビル・プルーフというもう一つのワイナリーで、カリフォルニア初の「100点マルベック」も造っています。アパチャー・セラーズも「山麓の斜面にあるやや冷涼感のあるところでミネラル感のあるカベルネ・ソーヴィニヨン」を造っているとのこと。
ワインの独自性も地域の独自性もかなりしっかりありそうなので、近い将来認められる可能性が高いのではないかと思います。
デカンター誌が毎年開催する世界最大のコンペティションDecanter World Wine Awards(DWWA)の2022年の結果が発表され、米国産ワインがベストインショー1本と4本のプレミアム、9本のゴールドなど合計で314ものメダルを獲得しました。
審査が厳正なことでも知られるこのコンペティションでは41人のマスター・オブ・ワイン、13人のマスターソムリエを含む250人のエキスパートが18244本のワインを審査しました。
ベストインショーに輝いたのはナパのクロ・デュ・ヴァルのヒロンデール・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン2019でした。
プラティナムの4本も3本がナパで1本がカーネロスのソノマ側(Donum East Slope Pinot Noir 2019)でした。ナパの3本はClos du Val Estate Cabernet Franc 2019、Trefethen Cabernet Sauvignon 2019、Matt Parish Special Bottling Petit Verdot 2019です。ちなみに、トレフェセンのカベルネは2年連続ベストインショーという快挙を続けていましたが、今回は惜しくもプラティナムにとどまりました。
ちなみに日本からはプラティナムが1本(安心院 諸矢 甲州 2021)、ゴールドが4本、シルバーが16本、ブロンズが33本という結果でした。
ソノマのムーン・マウンテンAVAにある銘醸畑モンテシッロ(Montecillo)をナパのヨントヴィルにテイスティング・ルームを持つスチュワート・セラーズ(Stewart Cellars)が購入しました。価格などは明らかにされていません。
モンテシッロは1964年に植樹されたカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルの畑で特に秀逸なカベルネ・ソーヴィニヨンで知られています。ソノマ・ヴァレーのワイナリー「ケンウッド(Kenwood)」の畑で、ケンウッドのフラッグシップであるアーティスト・シリーズに使われていました。2014年に欧州大手のペルノ・リカールにワイナリーを売却した後も、創設者のマーク・リーがモンテシッロの畑を所有し続けました。
その後、モンテシッロのブドウをアルノー・ロバーツやベッドロック、デュモルなど気鋭のワイナリーが使うようになり、畑としての名声も上がっていったところでした。例えばアルノー・ロバーツの2019年のモンテシッロ・カベルネ・ソーヴィニヨンはヴィナスで98点。
特にカベルネ・ソーヴィニヨンで50年以上前に植えられた畑は少なく、非常に貴重なものです。実は、そのブロックの生産量が少ないため、リー家が植え替えしようとしたのをモーガンが止めたということもあったそうです。
デュモルの2016年はヴィナスで95点。
スチュワート・セラーズは2000年にマイケル・スチュワートが設立したワイナリーで、これまで自社畑は持たず、ベクストファー家が持つト・カロンやドクター・クレーン、ジョージIIIなどのカベルネ・ソーヴィニヨンを中心にカベルネ・ソーヴィニヨンなどを造ってきました。ワイン・アドヴォケイトでは最高97点を取得しています。
モンテシッロのあるムーン・マウンテンはナパとソノマの境であるマヤカマス・マウンテンズの南端マウント・ヴィーダーのソノマ側にあたります。モンテシッロはその中でもほぼ北東端にあり、マウント・ヴィーダーにかなり近いところにあります。モーガン・トゥエイン・ピーターソンもマウント・ヴィーダーとの違いはほとんどないと言っています。
ちなみに、キスラーのキュベ・キャスリーンのシャルドネの畑であるキスラー・ヴィンヤードも目と鼻の先にあります。
スチュワートは、今後もこれまでモンテシッロのワインを造ってきたワイナリーにブドウの供給を続けるとしています。
モンテシッロは1964年に植樹されたカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルの畑で特に秀逸なカベルネ・ソーヴィニヨンで知られています。ソノマ・ヴァレーのワイナリー「ケンウッド(Kenwood)」の畑で、ケンウッドのフラッグシップであるアーティスト・シリーズに使われていました。2014年に欧州大手のペルノ・リカールにワイナリーを売却した後も、創設者のマーク・リーがモンテシッロの畑を所有し続けました。
その後、モンテシッロのブドウをアルノー・ロバーツやベッドロック、デュモルなど気鋭のワイナリーが使うようになり、畑としての名声も上がっていったところでした。例えばアルノー・ロバーツの2019年のモンテシッロ・カベルネ・ソーヴィニヨンはヴィナスで98点。
特にカベルネ・ソーヴィニヨンで50年以上前に植えられた畑は少なく、非常に貴重なものです。実は、そのブロックの生産量が少ないため、リー家が植え替えしようとしたのをモーガンが止めたということもあったそうです。
スチュワート・セラーズは2000年にマイケル・スチュワートが設立したワイナリーで、これまで自社畑は持たず、ベクストファー家が持つト・カロンやドクター・クレーン、ジョージIIIなどのカベルネ・ソーヴィニヨンを中心にカベルネ・ソーヴィニヨンなどを造ってきました。ワイン・アドヴォケイトでは最高97点を取得しています。
モンテシッロのあるムーン・マウンテンはナパとソノマの境であるマヤカマス・マウンテンズの南端マウント・ヴィーダーのソノマ側にあたります。モンテシッロはその中でもほぼ北東端にあり、マウント・ヴィーダーにかなり近いところにあります。モーガン・トゥエイン・ピーターソンもマウント・ヴィーダーとの違いはほとんどないと言っています。
ちなみに、キスラーのキュベ・キャスリーンのシャルドネの畑であるキスラー・ヴィンヤードも目と鼻の先にあります。
スチュワートは、今後もこれまでモンテシッロのワインを造ってきたワイナリーにブドウの供給を続けるとしています。
Vinousのソノマ・ヴァレーのヴィンヤード・マップが届きました。
サブAVAであるカーネロス(のソノマ側)、ソノマ・マウンテン、ムーン・マウンテン、ベネット・ヴァレー、そしてそれらを除いたヴァレーの中心部分(マップの名前はセントラル・コリドール)と5つに分かれています。
オールド・ヒル・ランチやモンテ・ロッソ、ベッドロックなど古木の重要な畑もたくさんあるこの地域、これまであまり語られてこなかったサブAVAの話も含めて非常に興味深いものです。
ちなみに5つのマップを別々に買うと120ドルですが、まとめて買うと90ドルとかなりお安くなります。海外への送料も含んでいるのは嬉しいところです。
Vinous Maps of Sonoma Valley | Vinous - Explore All Things Wine
オークション・ナパヴァレーの後継となるコレクティブ・ナパヴァレーという慈善プログラムの初のリアルイベント「バレル・オークション」が開催されました。四季ごとに開催されるこのイベント、3月にはオンラインのみでのオークションが開かれ、6月は初のリアルでの(オンラインも可能)オークションとなりました。
(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography
ワイン・サーチャーにW.ブレイク・グレイ氏が書いた記事「Napa Auction a Reserved Affair | Wine-Searcher News & Features」によると、オークション・ナパヴァレーの派手さは失われましたが、ワインが主役となって落ち着いたものになったといいます。実際、2010年代のオークション・ナパヴァレーは出品されるもののほとんどがワインよりもディナーや旅行がメインであり、普通のワイン愛好家には手が届かないものである一方で、参加するビリオネアもやや飽きてしまって最後は落札額も下降気味になっていました。
とはいえ、1000万ドル以上の落札があったオークション・ナパヴァレーと比べると、今回は150万ドルと控えめな落札額でした。一つのロットは基本的に10ケースあり、一番低価格で落札されたものでは1ケース250ドルと、普通にナパのワインを買うよりも安いくらいになったそうです。入札をスマホのアプリからする形式のため。ライブ・オークションといっても従来のような盛り上がりには欠けていた様子です。
それが悪かったということではなく、地に足が着いたイベントになったことを、グレイ氏も評価しているようです。
なお、今回の落札額はナパの子供のメンタルヘルスのために使われます。
次回は11月4~5日にヴィンテージ・セレブレーションとライブ・オークションを開く予定です。
(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography
(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography
ワイン・サーチャーにW.ブレイク・グレイ氏が書いた記事「Napa Auction a Reserved Affair | Wine-Searcher News & Features」によると、オークション・ナパヴァレーの派手さは失われましたが、ワインが主役となって落ち着いたものになったといいます。実際、2010年代のオークション・ナパヴァレーは出品されるもののほとんどがワインよりもディナーや旅行がメインであり、普通のワイン愛好家には手が届かないものである一方で、参加するビリオネアもやや飽きてしまって最後は落札額も下降気味になっていました。
とはいえ、1000万ドル以上の落札があったオークション・ナパヴァレーと比べると、今回は150万ドルと控えめな落札額でした。一つのロットは基本的に10ケースあり、一番低価格で落札されたものでは1ケース250ドルと、普通にナパのワインを買うよりも安いくらいになったそうです。入札をスマホのアプリからする形式のため。ライブ・オークションといっても従来のような盛り上がりには欠けていた様子です。
それが悪かったということではなく、地に足が着いたイベントになったことを、グレイ氏も評価しているようです。
なお、今回の落札額はナパの子供のメンタルヘルスのために使われます。
次回は11月4~5日にヴィンテージ・セレブレーションとライブ・オークションを開く予定です。
(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography
ワシントン州で20個目となるAVA「ロッキー・リーチ(Rocky Reach)」が認定されました。
広大なコロンビア・ヴァレーAVAのサブAVAであり、近隣にはレイク・シェラーンAVAがあります。ロッキー・リーチはコロンビア・ヴァレーの中でも温暖で、かなり南にあるレッド・マウンテンと同じくらいの気温になるといいます。現在はカベルネ・ソーヴィニヨンが中心ですが、ローヌ系品種も植えられています。
この地域にブドウ畑が作られたのは2015年からと、非常に歴史が浅いのも特徴です。ロッキー・ポンド(Rocky Pond)というワイナリーが造ったダブルDという畑が最初のものです。現在ではブドウ畑は8つに増えているとのこと。
このAVAについての非常に詳しい記事をオルカ・インターナショナルが上げています。
ワシントン州に新AVA Rocky Reach ロッキーリーチ|ワシントンとオレゴンのワイン輸入してます。|note
元記事はこちら。
Rocky Reach: an in-depth look at Washington’s newest appellation | Sean P. Sullivan - Washington Wine Report
広大なコロンビア・ヴァレーAVAのサブAVAであり、近隣にはレイク・シェラーンAVAがあります。ロッキー・リーチはコロンビア・ヴァレーの中でも温暖で、かなり南にあるレッド・マウンテンと同じくらいの気温になるといいます。現在はカベルネ・ソーヴィニヨンが中心ですが、ローヌ系品種も植えられています。
この地域にブドウ畑が作られたのは2015年からと、非常に歴史が浅いのも特徴です。ロッキー・ポンド(Rocky Pond)というワイナリーが造ったダブルDという畑が最初のものです。現在ではブドウ畑は8つに増えているとのこと。
このAVAについての非常に詳しい記事をオルカ・インターナショナルが上げています。
ワシントン州に新AVA Rocky Reach ロッキーリーチ|ワシントンとオレゴンのワイン輸入してます。|note
元記事はこちら。
Rocky Reach: an in-depth look at Washington’s newest appellation | Sean P. Sullivan - Washington Wine Report
カルトワインMayaのワイナリーとして知られているダラ・ヴァレ(Dalla Valle)とイタリアの「スーパータスカン」の代表格であるオルネライア(Ornellaia)。この2つの超一流ワイナリーの友情から生まれたプロジェクト「DVO」(名前は両者の頭文字を取ったもの)の国内輸入が始まり、輸入元のJALUXによるセミナーに出席しました。ダラ・ヴァレのワインメーカーであるマヤさんとオルネライアのアクセル・ハインツ氏はナパからのリモートでの参加です。
マヤさんの亡き父グスタフがイタリア出身(有名なスキューバ・ダイビング・グッズのScubaPro創業者)ということもあり、ダラ・ヴァレ家とオルネライアとの間には以前から親交があり、2013年にはマヤさんがインターンでオルネライアで修行しました。さらに、その後マヤさんがボルドーの大学院で修士課程に取り組んだ際も、修士論文のメンターになったのが同じ大学出身だったアクセル・ハインツ氏でした。ちなみにその論文はナパを詳しく掘り下げたもので、新しいブランドの構築をどうすればいいか、といったことにも言及しており、それもDVO設立の元になったとのことです。
オルネライアとしても、以前ロバート・モンダヴィがオルネライアを所有していたことや、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのシンポジウムなどでナパにはなじみがあり、いつかはナパでワインを作りたいという希望があったそうです。そのときに単独で進出するのではなく、ナパに深く根ざした人とパートナーになることを考えていたため、その意味でもダラ・ヴァレがベストマッチであり、同じ価値観を共有できるパートナーだと言います。
プロジェクトを考え始めたのは2015年、2017年から実際にワインを造っています。ただ、2017年は少し難しいヴィンテージだったので、最初のワインとしてリリースするのはやめ、今回の2018年が世界的に初リリースのワインとなっています。2017年もいつかは世に出す予定ですが、まだ時期は決まっていないとのこと。
同じ北半球にあるイタリアとカリフォルニアでは収穫時期も近いため、アクセル氏はあまり頻繁にはナパには来れませんが、ブドウの生育期、収穫時期、ブレンドするときと3回は必ず来ており、それ以外にも綿密に連絡を取り合ってプロジェクトを進めています。コロナ禍においてもサンプルを送るなどで乗り切ったそうです。
ダラ・ヴァレはナパのオークヴィルに自社畑を持っていますが、DVOはこのブドウは使わず、すべて購入したブドウで造っています。両者で作るワインは「間違いなくナパのワインでありながらイタリアの考えを持ったもの」にしようということで、使用するブドウの畑を選んだとのこと。その結果オークヴィル、マウント・ヴィーダー、クームズヴィルの3地域を選びました。オークヴィルのリッチさに、やや冷涼なマウント・ヴィーダーとクームズヴィルのハーブの風味を加えたいという理由です。
使う畑はヴィンテージによっても多少変わりますが、今回リリースした2018年についてはオークヴィル2つ(Wine Spectatorの記事によると、うち一つはVine Hill Ranchのようです)、マウント・ヴィーダー、クームズヴィル各1つとなっています。比率で言うと50:40:10。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン86%でカベルネ・フランが14%。カベルネ・フランはオークヴィルとマウント・ヴィーダーのものです。
マヤさんによると、マウント・ヴィーダーのような山のブドウは、ダラ・ヴァレのブドウと比べて優しく扱うことが必要であり、低い温度でゆっくりと抽出しているそうです。新樽率は70%で22カ月樽熟成後ボトリングしています。樽もダラ・ヴァレのものとは別に選んでいて、ミディアムからミディアムプラスでトーストしてもらっているとのことでした。
試飲しました。
色は非常に濃く、見るからにダーク。パワフルでフルボディのワインです。カシスやブラックベリーの黒果実の風味に加え、レッド・チェリーなどの赤果実の風味もあります。杉や森の下草の香り、スパイス、熟成肉、豊かな酸がナパのカベルネ・ソーヴィニヨンに欧州の雰囲気を加えています。タンニンもきめ細かいですが、かなりしっかりしており、20年以上の長期間の熟成でさらに良くなるだろうと思います。
デビューのリリースとしては非常に完成度の高いワイン。アクセル氏も考えていた方向性がちゃんと出たワインだと自信を持っている様子でした。
このほか、質疑応答ではナパとトスカーナ(ボルゲリ)との違いなどを聞きました。
一番の違いはナパの方が海に近く、その影響を大きく受けていること。特に昼と夜との温度差がナパは非常に大きいとのことでした。一方、トスカーナは灌漑なしで栽培しているのに対し、ナパでは多くの場合灌漑が必要です。また、ナパの方がオープンで、皆で助け合う風潮が強いそうです。
このほか、DVOのトスカーナ版の計画はないのか、という質問には「計画にはなかったが、よく聞かれるので考え始めている」ということで、今後さらに発展があるかもしれません。
ただ、生産量は年間400ケースと非常に少なく、日本に入ってきている数もごく少量です。日本での希望小売価格は5万円。
しばらくは生産量が大きく増えることはなさそうで、かなりのレアワインになりそうです。
カリフォルニア料理の先駆者であり、地産地消などのコンセプトを実証してきたのがバークレーにあるレストラン「シェ・パニーズ」。そこでワインディレクターを長年勤めてきたジョナサン・ウォータースが自転車の事故で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
SFクロニクルなどの追悼記事では、彼のワインリストのポリシーなども書かれていました。
シェ・パニーズのワインリストは何よりもシェ・パニーズの料理に合うものが選ばれていました。例えば新鮮な野菜の風味を殺さない、そんなワインです。ですから、近隣のナパヴァレーのビッグワインが並ぶというわけではなく、トリッキーな味の自然派ワインが並ぶというわけでもありませんでした。
シェ・パニーズの代表的なワインの一つが南仏バンドールのドメーヌ・タンピエのロゼ。シェフのアリス・ウォータースが一番好んでいるワインとも言われています。同じバークレーにあるワインショップ「カーミットリンチ」が輸入しているもので、カーミットリンチのワインはシェ・パニーズのリストで大きな要素を占めています。
SFクロニクルのエスター・モブリーは「究極のシェ・パニーズ・ワインはハウス・レッドであるグリーン・アンド・レッドのジンファンデル」だとさらに述べています。
グリーン・アンド・レッドはナパのチャイルズ・ヴァレーにある小さなワイナリーで、オーナーは1960年代にUCバークレーで教えていてアリス・ウォータースと知り合い、シェ・パニーズの感化されてワイナリーを始めたとのこと。
そのジンファンデルはフレッシュな味わいで、料理を引き立てるものです。また、シェ・パニーズの地産地消のコンセプトにもマッチします。
グリーン・アンド・レッドのジンファンデルは昨年くらいから日本にも入ってきています。ビッグなジンファンデルとは一線を画した味わいで、ぜひ試してみて欲しいワインの一つです。
SFクロニクルなどの追悼記事では、彼のワインリストのポリシーなども書かれていました。
シェ・パニーズのワインリストは何よりもシェ・パニーズの料理に合うものが選ばれていました。例えば新鮮な野菜の風味を殺さない、そんなワインです。ですから、近隣のナパヴァレーのビッグワインが並ぶというわけではなく、トリッキーな味の自然派ワインが並ぶというわけでもありませんでした。
シェ・パニーズの代表的なワインの一つが南仏バンドールのドメーヌ・タンピエのロゼ。シェフのアリス・ウォータースが一番好んでいるワインとも言われています。同じバークレーにあるワインショップ「カーミットリンチ」が輸入しているもので、カーミットリンチのワインはシェ・パニーズのリストで大きな要素を占めています。
SFクロニクルのエスター・モブリーは「究極のシェ・パニーズ・ワインはハウス・レッドであるグリーン・アンド・レッドのジンファンデル」だとさらに述べています。
グリーン・アンド・レッドはナパのチャイルズ・ヴァレーにある小さなワイナリーで、オーナーは1960年代にUCバークレーで教えていてアリス・ウォータースと知り合い、シェ・パニーズの感化されてワイナリーを始めたとのこと。
そのジンファンデルはフレッシュな味わいで、料理を引き立てるものです。また、シェ・パニーズの地産地消のコンセプトにもマッチします。
グリーン・アンド・レッドのジンファンデルは昨年くらいから日本にも入ってきています。ビッグなジンファンデルとは一線を画した味わいで、ぜひ試してみて欲しいワインの一つです。
カリフォルニアのワインメーカーの中でも、他の追随を許さない独自の道を歩んだショーン・サッカリー(Sean Thackrey)が79歳で亡くなりました。10年に及ぶがんとの闘病の末の旅立ちでした。
ショーン・サッカリーはサンフランシスコの北のマリン郡にあるボリナスというヒッピーのコミュニティに住み、アート・ディーラーをしていました。1979年にナパのスタッグス・リープにある銘醸畑Fayのブドウを調達してワイン造りを始めました。
彼は、ワイン造りの古い文献の収集家でもあり、そこで書かれている古くから使われている方法でワインを造りました。例えばギリシャの詩人ヘシオドスが書いたものから、収穫したブドウを1日野ざらしにした後、発酵に移すといった方法を取っていました。科学的にはバクテリアの汚染の可能性があるものですが、彼は古くからやられている方法には意味があるとして、決してそれを変えようとはしませんでした。
その結果、彼のワインは常に「クリーン」だったというわけではないのですが、そこにはある程度寛容だった一方、彼自身が「欠陥がある」と感じたときにはワインを売らない決断をするのもやぶさかではなかったといいます。
彼のワイン造りの姿勢は、現在の「自然派」に多く通じるものがありますが、彼自陣はマーケティング的なレッテルを貼られることを極度に嫌がり、自身を「自然派」とすることはありませんでした。「テロワール」といった言葉も「ゲリマンダーのようなマーケティング的なギミック」だとして嫌っていたといいます。
サッカリーのフラッグシップ・ワイン「オライオン(Orion)」はロバート・パーカーが最高98点、点数の辛いステファン・タンザーも96点を付けたことがあります。セント・ヘレナのロッシ(Rossi)ヴィンヤードの20世紀初頭に植えられたフィールドブレンドのブドウを使ったワインで、プティ・シラーが入っているということ以外、いまだに詳しいことは調べられていません。
孤高のワインを造り続けたショーン・サッカリー、この4月には蔵書をオークションで処分していました(売上は全部で200万ドルに達したといいます)。余命を知ってのことだったのかと思います。
ご冥福をお祈りします。
ショーン・サッカリーはサンフランシスコの北のマリン郡にあるボリナスというヒッピーのコミュニティに住み、アート・ディーラーをしていました。1979年にナパのスタッグス・リープにある銘醸畑Fayのブドウを調達してワイン造りを始めました。
彼は、ワイン造りの古い文献の収集家でもあり、そこで書かれている古くから使われている方法でワインを造りました。例えばギリシャの詩人ヘシオドスが書いたものから、収穫したブドウを1日野ざらしにした後、発酵に移すといった方法を取っていました。科学的にはバクテリアの汚染の可能性があるものですが、彼は古くからやられている方法には意味があるとして、決してそれを変えようとはしませんでした。
その結果、彼のワインは常に「クリーン」だったというわけではないのですが、そこにはある程度寛容だった一方、彼自身が「欠陥がある」と感じたときにはワインを売らない決断をするのもやぶさかではなかったといいます。
彼のワイン造りの姿勢は、現在の「自然派」に多く通じるものがありますが、彼自陣はマーケティング的なレッテルを貼られることを極度に嫌がり、自身を「自然派」とすることはありませんでした。「テロワール」といった言葉も「ゲリマンダーのようなマーケティング的なギミック」だとして嫌っていたといいます。
サッカリーのフラッグシップ・ワイン「オライオン(Orion)」はロバート・パーカーが最高98点、点数の辛いステファン・タンザーも96点を付けたことがあります。セント・ヘレナのロッシ(Rossi)ヴィンヤードの20世紀初頭に植えられたフィールドブレンドのブドウを使ったワインで、プティ・シラーが入っているということ以外、いまだに詳しいことは調べられていません。
孤高のワインを造り続けたショーン・サッカリー、この4月には蔵書をオークションで処分していました(売上は全部で200万ドルに達したといいます)。余命を知ってのことだったのかと思います。
ご冥福をお祈りします。
低アルコール、糖分ゼロ、低カロリーで米国では早くも人気ブランドになったサニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(以下ではサニーと略します)。これまでソーヴィニョン・ブラン、シャルドネとピノ・ノワールがありましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンとロゼが追加されました。インポーターのオルカ・インターナショナルからサンプルをいただき、飲んでみました。
最近では低アルコールだけでなく、アルコール度数1%を下回る「ノンアルコール」のワインも増えてきています。その中でサニーの9%というアルコール度数は中途半端じゃないの、と思われるところもあるかもしれません。確かに、そういう考え方もあると思いますが、私が今まで試した範囲では、やっぱりノンアルコールになるとだいぶ味わいが変わってしまうんですよね。ノンアルコールの市場もあると思いますが、それはどうしてもアルコールがダメな場合に限られてしまうと(今のところは)思っています。
サニーのいいところは、実際に飲んだときに「低アルコール」とか「低カロリー」とかをほとんど意識しないこと。ワインとして普通に美味しいです。それでいて価格も2000円前後とリーズナブルな範囲です。
さて、今回のカベルネ・ソーヴィニヨンとロゼに話を戻しましょう。
まずはカベルネ・ソーヴィニヨンから。前述のようにサニーは糖分ゼロ、いわゆる残糖がありません。実は低価格なカベルネ・ソーヴィニヨンは多くの場合、残糖があります。以前、ワインに砂糖を溶かして味わいがどうなるか試したことがありますが、少量でもワインのふくよかさが大幅に増します。酸のきりっと利いたワインが好まれる白ワインでは残糖ゼロの影響はあまりないですが、カベルネ・ソーヴィニヨンでは大きなハンディとなります。
実際に飲んでみると、やはり多くのカリフォルニアのカベルネやレッド・ブレンド、特に低価格のものでよく見られるふくよかさ、ボディの厚みはあまりありません。肉に合わせるとしても牛肉よりも鶏のもも肉くらいではないでしょうか。それでも、ブラックベリーやカシスの果実味があり、それなりに凝縮感も感じられます。一般的なカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンをイメージするとだいぶ違いますが、決して悪いワインではありません。上にも書いたようにチキンステーキに合わせたい感じです。
さて、もうひとつのロゼですが、インポーターのお勧めのように白ワインと同じくらい冷やして飲みました。オレンジピールやラズベリー、ビン・チェリーの風味にきれいな酸が乗っています。これはかなり美味しいです。低アルコールをいいことにグビグビ飲んでしまいたくなるほど。
冷やして美味しいワインなので、夏に飲むのにとてもいいと思います。「映え」もあるし、ビーチとかキャンプにも合いそうです。
まだ、サニーを扱っているところがあまりないのは残念ですが、見つけたらぜひ試してみてください。
サニーのシャルドネ。ココスです。
最近では低アルコールだけでなく、アルコール度数1%を下回る「ノンアルコール」のワインも増えてきています。その中でサニーの9%というアルコール度数は中途半端じゃないの、と思われるところもあるかもしれません。確かに、そういう考え方もあると思いますが、私が今まで試した範囲では、やっぱりノンアルコールになるとだいぶ味わいが変わってしまうんですよね。ノンアルコールの市場もあると思いますが、それはどうしてもアルコールがダメな場合に限られてしまうと(今のところは)思っています。
サニーのいいところは、実際に飲んだときに「低アルコール」とか「低カロリー」とかをほとんど意識しないこと。ワインとして普通に美味しいです。それでいて価格も2000円前後とリーズナブルな範囲です。
さて、今回のカベルネ・ソーヴィニヨンとロゼに話を戻しましょう。
まずはカベルネ・ソーヴィニヨンから。前述のようにサニーは糖分ゼロ、いわゆる残糖がありません。実は低価格なカベルネ・ソーヴィニヨンは多くの場合、残糖があります。以前、ワインに砂糖を溶かして味わいがどうなるか試したことがありますが、少量でもワインのふくよかさが大幅に増します。酸のきりっと利いたワインが好まれる白ワインでは残糖ゼロの影響はあまりないですが、カベルネ・ソーヴィニヨンでは大きなハンディとなります。
実際に飲んでみると、やはり多くのカリフォルニアのカベルネやレッド・ブレンド、特に低価格のものでよく見られるふくよかさ、ボディの厚みはあまりありません。肉に合わせるとしても牛肉よりも鶏のもも肉くらいではないでしょうか。それでも、ブラックベリーやカシスの果実味があり、それなりに凝縮感も感じられます。一般的なカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンをイメージするとだいぶ違いますが、決して悪いワインではありません。上にも書いたようにチキンステーキに合わせたい感じです。
さて、もうひとつのロゼですが、インポーターのお勧めのように白ワインと同じくらい冷やして飲みました。オレンジピールやラズベリー、ビン・チェリーの風味にきれいな酸が乗っています。これはかなり美味しいです。低アルコールをいいことにグビグビ飲んでしまいたくなるほど。
冷やして美味しいワインなので、夏に飲むのにとてもいいと思います。「映え」もあるし、ビーチとかキャンプにも合いそうです。
まだ、サニーを扱っているところがあまりないのは残念ですが、見つけたらぜひ試してみてください。
サニーのシャルドネ。ココスです。