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Date: 2022/0531 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ワインセラーに入り切らないワインが一向に減らないため、その消費を兼ねてワイン会を開きました。せっかくなのでセラーにずっといた熟成ワインを中心に飲みました。



ワインのラインアップはこの6本。
Bevan Cellars Sauvignon Blanc Dry Stack Vineyard 2019
Patz&Hall Chardonnay Alder Springs Vineyad 2000
Saint Joseph Lou Dumont lea Selection AOC Saint Joseph 1999
Saintsbury Syrah Rogers Creek Vineyard 2007
Patz&Hall Pinot Noir Pisoni Vineyard 2000
Spottswoode Cabernet Sauvignon 2005

3本目だけローヌのシラーです。ブルゴーニュ「ルー・デュモン」の仲田晃司さんが蔵出し古酒を厳選した「レア・セレクション」として販売されたもの。元々、これとカリフォルニアの熟成シラーを比べてみたいというのも、会の目的の一つでした。

お店は赤坂の「あじる亭Annesso」です。あじる亭は赤坂に2店舗ありますが、こちらに来るのは初めてです。



酸化したワインばっかりだときついなあと1本目は古酒でないソーヴィニョン・ブランです。

Bevan Cellars Sauvignon Blanc Dry Stack Vineyard 2019

ビーヴァン・セラーズのオーナー・ワインメーカーであるラッセル・ビーヴァンは、ワインマニアからワイン造りに転向した中でも稀有の成功例といわれています。ナパとソノマの様々な畑からワインを作っており、ナパのワインでは「パーカー100点」を10回以上取得しています。

このソーヴィニョン・ブランはソノマのベネット・ヴァレーのドライ・スタック・ヴィンヤードのもの。イタリア由来のクローンを使っているとのことです。カリフォルニアでもトップクラスのソーヴィニョン・ブランに名を連ねようとしているワイン。

無濾過で作られているため、ワインに濁りが見られます。ソーヴィニョン・ブランではかなり珍しい。青っぽい要素や、グレープフルーツ的な軽い苦味を伴う酸味もありません。はちみつやメロンの香り、パッションフルーツ、白い花。非常に香り豊かです。甘ったるいわけでもなくほどよい酸味でバランスもいい。とてもレベルの高いソーヴィニョン・ブランです。前の週に飲んだシェアード・ノーツとは全く違ってそれもまた面白い。


暑い日に嬉しいガスパチョ。ソーヴィニョン・ブランにもよく合いました。

Patz&Hall Chardonnay Alder Springs Vineyad 2000

2番めのワインは一番心配だった2000年のシャルドネです。
パッツ&ホールはドナルド・パッツ、ジェームス・ホール(ワインメーカー)と二人のパートナーであるヘザー・パッツ、アン・モーゼスが1988年に設立したワイナリー。当時は珍しかった「ネゴシアン」タイプのワイナリーで、ソノマを中心に優れた畑と契約してシャルドネとピノ・ノワールを造っています。現在はドナルド・パッツ夫妻はパッツ&ホールを離れて別のワイナリーを始めています。アルダー・スプリングス・ヴィンヤードはメンドシーノの畑で、有名なアンダーソン・ヴァレーよりもまだだいぶ北の人里離れたところにある畑です。海から18km程度、標高600~900m、急斜面という厳しい環境でブドウを栽培しています。この畑のワインは、カリフォルニアワインにしては珍しいほど果実味よりもミネラル感などを感じられるもの。2000年のこのワインについてはロバート・パーカーは「バタール・モンラッシェを彷彿とさせる」と書いています。


琥珀から、やや褐色になりかかった色合い。味はまだかろうじて生きています。シャルドネであるのはわかりますが、さすがに熟成のピークは過ぎてしまっています。杏やちょっと紹興酒っぽさもでています。


前菜のお皿はいろいろ乗っていて楽しい。マヨネーズを使っていないポテトサラダがお気に入りでした。

さて次はシラー仏米対決?です。
Saint Joseph Lou Dumont lea Selection AOC Saint Joseph 1999

グラスの写真を取り忘れましたが、茶褐色でかなり熟成は進んでいます。シラーのスパイス感や獣っぽさなどはほとんどなく、赤ワインとしかいいようのない状態。これはこれで美味しくいただきましたが、シラーとして期待するものとはちょっと違うところに行ってしまった感じはありました。


魚介の煮込みです。

Saintsbury Syrah Rogers Creek Vineyard 2007
さて、一方カリフォルニアのシラーはセインツベリーのもの。セインツベリーというとピノ・ノワールが有名ですが、実はシラーも作っています。このワインはインポーターの布袋ワインズがワイナリーの在庫から発掘してきたもの。現在は別の畑の熟成シラーが売られています。

こちらも写真を取り忘れましたが、まだ赤紫色がかなり残っており、若々しさもあります。スパイスやグラファイト、鉛筆の芯、ブルーベリーなどまだまだ元気。本当に15年経っているの? と思うほどでしたが、ボトルには大量の澱が残っておりそこに熟成感を感じました。まだ10年くらいは全然大丈夫そうな雰囲気です。シラー好きとしてはやっぱりこれくらいシラーらしさがある方が美味しく感じます。

Patz&Hall Pinot Noir Pisoni Vineyard 2000
ピゾーニですよ、ピゾーニ! サンタ・ルシア・ハイランズをピノ・ノワールの銘醸産地として世界に認めさせたその立役者といっていいでしょう。パッツ&ホールは1990年代からピゾーニのピノ・ノワールを作っています。私自身ピゾーニの畑のことを最初に知ったのはパッツ&ホールのメーリングリストでのことでした。なかなかこれくらい熟成したピゾーニを飲む機会はないので、私自身この日一番楽しみにしていたワインです。


写真でみてもわかるように、22年経っているとは思えないほどの若々しさ(ちなみに右のグラスがセインツベリーですね)。フランボワーズやザクロなどの赤系果実の風味もしっかりのこっています。熟成によるマッシュルームのような要素もあります。さすがにリリースしたてのような爆発感はないですが、非常にきれいに熟成しつつ、若さも保っておりとても美味しい。ここまで元気とは予想しませんでした。素晴らしい。


料理は赤ワイン煮込みで、この後の稚鮎のパスタは写真撮り忘れました。どちらかというと稚鮎にピノ・ノワールをあわせたほうがよかったかも。

Spottswoode Cabernet Sauvignon 2005
最後はスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨンです。

これは、まだまだ行けるに決まっているだろうと思って出しましたが、その通り。もう10年くらいしたほうが良かったかもしれません。パワフルでしなやか。素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンです。



デザートも美味しゅうございました。店長兼ソムリエの野村美紀子さんには古いワインの抜栓ばかりでだいぶ苦労をおかけしてしまいましたが、気持ちよくサービスしていただきました。

うちのセラーには、これくらいのもう飲んであげたほうがいいだろうなというワインがまだいくらかありますから、お暇な方はお付き合いください。

セインツベリーの熟成シラー。むちゃくちゃお買い得だと思いますよ。

Date: 2022/0530 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、1/3)
新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、2/3)
に続く3回めです。


パックスのトゥルソー2018(5900円)です。フランスのジュラ原産のトゥルソー、ニューカリフォルニア系では人気の品種で、なかなか入手できないワインです。ジュラでは非常に力強いワインを生み出す言われていますが、ニューカリフォルニア系のトゥルソーはそこまでパワフルな印象はなく、赤系果実と旨味がしっかりしたチャーミングな味わいです。


マリエッタのオールド・ヴァイン・レッドは2000年代前半、ロバート・パーカーがコスパ系ワインとして激賞しており、私も見かけると買っていました。ヴィンテージ表記はなく、複数ヴィンテージをブレンドして年に数回ロット番号を付けて出荷されるというユニークなスタイル。最近ではロット71がワイン・アドヴォケイトで94点を取って話題になりました。今回試飲で出ているのはロット73(2500円)。古木らしい深みのある味わいで、これで2500円は相当安いです。

評判のロット71はこちら。



もうひとつコスパ系のジンファンデルでOZV(オー・ジー・ヴィー)のオールド・ヴァイン・ジンファンデル2019(2300円)です。ちょい甘な感じで、このクラスに求められるジンファンデルらしい味わいだと思います。


ラシーヌはブルゴーニュとシャンパーニュとカリフォルニアの4人のコラボで生まれたワイナリーで2017年に最初のワインをリリースした新しいワイナリーです。サンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズをベースにしています。シャルドネも非常にいいのですが、個人的にはピノ・ノワールに特に感銘を受けました。サンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワール2018(10,000円)は実にエレガントで果実味もきれい。銘醸畑サンフォード&ベネディクト2018(18,000円)は複雑さもあり素晴らしい。


トゥエンティ・ロウズのシャルドネ2000(2700円)とカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ2020(3700円)。シャルドネはトロピカル・フルーツの味わい。果実味が爆発しています。樽はそれほど強く感じません。カベルネはジューシーで親しみやすい味わい。


ヴァイン・クリフのカベルネ・ソーヴィニヨン2019(12,000円)。果実味豊かでナパらしい味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャーもしっかりあります。


最後はニューヨークのワインです。ラモロー・ランディング(Lamoreaux Landing)のエステート・レッドキュベNV(3500円)。バランスよく旨味あり、ほっとする味わいのワインです。
Date: 2022/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前半はこちら「新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、前半)」です。2回のつもりでしたが3回にするので、これは中盤ということで。


かなりレアなワインも並ぶ試飲会ですが、さすがにウルトラマリンはなく、ウルトラマリンを作るマイケル・クルーズの「トラディション」とヴァルディギエのペティアンの2つのスパークリングが出ていました。ヴァルディギエはチェリーのような風味で親しみやすく、トラディション(いわゆるRMタイプ)は旨味がしっかりと出ていて、高級感もあります。トラディションはNVですが、今回のは2017年が94%で、リザーブワインが6%入っているそうです。


ちなみにこのあたりはニューカリフォルニア系が並んでいます。アイ・ブランド&ファミリーはイアン・ブランドというワインメーカーのワイナリー。SFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれている優秀なワインメーカーです(「SFクロニクルが2018年のワインメーカーオブザイヤーを発表」。インポーターの紹介文には「キモかわエチケットに似合わぬシリアスで本格派な冷涼系シャルドネ」と書いてあります。とてもきれいでミネラル感もあり、3300円とは思えないレベルのワインです。


同じくアイ・ブランド&ファミリーのカベルネ・フラン2018(5400円)。エレガント系のカベルネ・フラン、美味しいです。


メートル・ド・シェはスコリウム・プロジェクトにいたアレックスとレオ・スティーンで修行したマーティが作る自然派系ワイナリーです。カベルネ・ソーヴィニヨン2019(6800円)はナパのクームズヴィルとアトラスピークの間にあるマウント・ジョージの1000フィートのところにあるガラ・マウンテンというバイオダイナミクスの畑からのもの。これもナパとは思えないほどのエレガントさ。驚きのワインです。ジンファンデル2018(3900円)はベッドロックのモーガンに紹介された畑のものだそう。プラムの風味。価格以上の満足度です。


マサイアソンの入門編レッド・ブレンド「タンデュ」2019(2900円)。バルベーラ、アリアニコ、モンテプルチアーノ。、サンソー、カリニャンというカリフォルニアではかなりのマイナー品種のブレンドですが、堅苦しいことを考えず気軽に飲むのがいいワインです。甘酸っぱくチャーミング。


個人的、この日のトップがこのマヤカマスのカベルネ・ソーヴィニヨン2012。今はアンディ・エリクソンがワインメーカーを務めていますが、これは先代のボブ・トラヴァースの最後のヴィンテージです。当時は資金面などかなり大変なこともあったようですが、クラシックなスタイルをずっと続けています。長熟型のワインですが2012年はいい感じに飲み頃に入っていると思います。これぞ山のカベルネという味わいです。

2回で終わる予定でしたが、もう1回に分けます。
Date: 2022/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シエラフットヒルズのアマドール、エルドラド、カラベラスの3つの郡が災害援助をカリフォルニア州に申請しました(Sierra Foothills Counties File For Disaster Aid, Though Frost Damage Still Being Assessed in West Coast Vineyards)。

4月半ばに起こった低温ではオレゴンのウィラメット・ヴァレーやカリフォルニアのローダイ、シエラフットヒルズなどに被害が生じました。

今回援助を申請した3郡では今年の収穫が最大で60%減ってしまう見込みだといいます。ただ、実際のロスがどれくらいになるかは、芽がダメになった後に出てくる2番目の芽からどれくらいの収穫ができるかに寄っており、簡単には推計できないそうです。

低地のサンホアキン郡では、今のところ災害援助を申請するほどの被害ではないとしています。
Date: 2022/0527 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・イン・スタイル改めWINE TO STYLEになって初めての大きな試飲会が開かれました。合併したナカトのワインも含むため、新世界だけでなく、フランスやイタリアなどのワインも出されていました。268種ものワインがあったため、さすがに全部を試飲するのは無理。新世界のワインを中心に試飲しました。旧世界もいくらか試飲してはいますが、今回の記事では省かせていただきます。


ファー・ニエンテと、その兄弟ワイナリーであるニッケル&ニッケルのシャルドネ2019(13,500円)です。ファー・ニエンテは樽のイメージが強いと思っていましたが、マロラクティック発酵なしの作りであり、樽も思っていたより抑制が効いていて非常によくできていました。ニッケル&ニッケル2020(9200円)の方はカーネロスのトゥルシャードの畑のシャルドネを使っており、ファー・ニエンテよりもさらにエレガント感があります。どちらも非常にいいシャルドネで、この日のシャルドネの白眉といっていいと思います。


ハーンのピノ・ノワール2020(2450円)。AVAはカリフォルニアとなっていますが、モントレーの時差畑のブドウを使っているようです。バランスよく非常にコスト・パフォーマンスの高いワイン。


スミス&フックのレッド・ブレンドとカベルネ・ソーヴィニヨン。ヴィンテージはどちらも2019年、希望小売価格も4700円と同じです。レッド・ブレンドは非常に柔らかさのある味わい。カベルネ・ソーヴィニヨンはシルキーなテクスチャが価格以上の満足感を与えてくれます。バランスも素晴らしい。レッド・ブレンドは今年のサクラ・アワードでダイヤモンド・トロフィーと特別賞の女性ワインメーカー賞を受賞しているそうです。


ミウラのピノ・ノワール、ピゾーニ・ヴィンヤード2016(13,500円)。ピゾーニのワインとしては最安の部類になります。パワフルさがピゾーニらしく、ストラクチャーもしっかりしています。


ザ・ヒルトのエステート・シャルドネとピノ・ノワール。ヴィンテージはどちらも2018で価格は5900円。何度も紹介しているワインですが、やはりこれはいいです。シャルドネはほどよい樽感があり、コクもあります。ピノ・ノワールは果実味に旨味もしっかり。


ザ・ヒルトの兄弟ワイナリーであるホナータのフロール ホワイトワイン2019(12,000円)とトドス・レッドワイン2018(9000円)。フロールはボルドー系の白ワイン。旨味がありしっかりした味わい。トドスは非常にパワフルで濃いワイン。45%シラーに21%カベルネ・ソーヴィニヨン、14%プティ・ヴェルドなど。


アルノー・ロバーツのシラー2018(6200円)。「うまい!」とメモしてあります(笑)。

今日はここまで。前半を紹介しました。後半ではこの日一番と思ったワインが出てきます。
Date: 2022/0525 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ジョシュ・セラーズ(Josh Cellars)は、ジョセフ・カーのワイナリー。ニューヨークのホテルなどで働き、一念発起して2001年にカリフォルニアに移り、ワイナリーを始めました。最初はナパで高級ワインのジョセフ・カーを立ち上げ、2005年に始めたのがカジュアルなジョシュ・セラーズです。当初のワインメーカーはベテランのトム・ラーソンという人。余談ですが、トム・ラーソンがソノマで営むラーソン・ファミリー・ヴィンヤードは今年3月火事でテイスティング・ルームなどが燃えてしまうという災難にあっています。

2010年ころから売上が伸び始め2015年には100万ケースを造るほどになりました。2019年には11ドル以上のワインの売上高で全米ナンバーワンになっており、2021年にはワイン・エンスージアストのアメリカン・ワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。

その代表的なワインがカベルネ・ソーヴィニヨンで、2019年のカベルネ・ソーヴィニヨンやバーボン・バレル熟成のカベルネ・ソーヴィニヨンが、17ドルという価格ながらワイン・エンスージアストで91点と高得点を取っています。カベルネ・ソーヴィニヨンは同誌のエディターズ・チョイスにも選ばれており、バーボン・バレル熟成のものも「バーボン・バレル・スタイルのワインの中でベストの一つ」と評価されています。ちなみにこの両ワインに加えて2020年のシャルドネと2020年のジンファンデルが今年のサクラアワードでゴールドに選ばれています。

価格も実売税込みで2000円台前半からですので、今の為替レートではワイナリー価格より安いくらいです。





Date: 2022/0524 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のTTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)が新しいAVA「West Sonoma Coast」を2022年5月22日に承認しました(TTB Approves California's Newest Sonoma AVA: The West Sonoma Coast)。ソノマでは19番目のサブAVAとなります。

ソノマの太平洋沿岸にはこれまでも「ソノマ・コースト」AVAがありましたが、このAVAはあまりにも広大で、AVAとしての意味が希薄ではないかと以前から考えられていました。実はAVA策定時に、大手ワイナリーのソノマ・カトラー(Sonoma Cutrer)が自社の畑の場所をほぼこのAVAに入れたため、非常に広大になったと言われています。太平洋沿岸だけでなく、南はサン・パブロ湾のほど近くまで、内陸ではロシアン・リバー・ヴァレーAVAのほとんどの部分を含んでいます。

そこで、太平洋沿岸だけの「True Sonoma Coast」のAVAを作ろうというグループができたのが2011年のことでした。ここにはフリーマンやリトライ、ファイラなどが参加していました。AVAの申請を出そうとしたものの、その地域が既存のグリーン・ヴァレーなどと重なっているところがあったため、「完全に包含するのはいいが部分的な重なりは認めない」というTTBの方針変更を受け、なかなか認可されませんでした。

そうしている間に、ソノマ・コーストの中でも太平洋からサンパブロ湾方面につながる谷間の地域は「ペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)」AVAとして2017年に認可されています。

こうして、残る大物AVAとして、今か今かと待ち望まれていたわけですが、トランプ政権時代はAVAの認可が非常に降りにくく(ペタルマ・ギャップは例外中の例外のような感じでした)、バイデン政権になってからはコロナ禍もあり、今まで延びていたのでした。


新しいAVAはソノマ・コーストに完全に含まれ、ロシアン・リバー・ヴァレーやペタルマ・ギャップと接する形になっています。フォートロス・シーヴューは完全に内包しています。

マーカッシンや、ウェイフェアラー、ボアズ・ビュー、フラワーズ、ペイなどの大物ワイナリーの畑も含まれており、あまり使われなかったフォートロス・シーヴューと異なり、今後は多くのワインのラベルに名前が登場することが予想されます。例えばフリーマンでは、「Yu-ki」の畑がウエスト・ソノマ・コーストに入るので、次のボトリングから「Yu-ki」のピノ・ノワールとスパークリングのラベルに使うと表明しています。

今年は3月に「San Luis Obispo Coast(SLOコースト)」AVAが認可され、これで二つの大物AVAが決まったことになります。
Date: 2022/0523 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ネット上では20年来の知り合いであり、でもリアルで合ったのは半年前が初めてという安ワイン道場師範のサイト25周年パーティに参加してきました。場所は豪徳寺駅近くのワインステーションさん。南アフリカワインとオレンジワインを主体とするワインバーです。

ワインは各自の持ち寄り。総勢17名でワインも17種です。
会の詳しいことは「2022年5月:稽古日誌」に記されているので省きますが、私が持って行ったのがシェアード・ノーツ(Shared Notes)の「レ・ルッソン・デ・メートル(Les leçons des maîtres) 2019」です。記事の中でのNaotakaさんのコメントは「カリフォルニアの美味しい白ワイン」。そりゃそうですが、あまりにも情報量がないので、自分の感想を書いておきます。

このワインを選んだのはワインの名前が「師匠(師範)の教え」という意味だからですが、カリフォルニアの中でも素晴らしいソーヴィニヨン・ブランだと思っているからでもあります。

このワインはソーヴィニヨン・ブランとセミヨンを使ったいわゆるボルドー系のブレンドです。シェアード・ノーツではこれとソーヴィニヨン・ブラン100%のロワール系の2つのソーヴィニヨン・ブランだけを作っています。

ワインメーカーは元ウェイフェアラー(Wayfarer)のビビアナ・ゴンザレス・レーヴと、ピゾーニ(Pisoni)のジェフ・ピゾーニという超一流ワインメーカー夫婦。ビビアナはボルドーのシャトー・オー・ブリオンで修行していたことがあり、そのためにこの「師匠の教え」という名前を付けたそうです。

自分の持って行ったワインなので、ちょっとだけ真面目に飲みました。華やかな香りですが、トロピカルというよりは道端の白い花のイメージ。いきいきとした酸味、熟し切る手前の桃、セージのようなハーブ。うっすらと木の香り。

このワイン、新樽100%なのですが、いわゆる樽香ムンムンではありません。ローストをかなり軽くしているそうで、どちらかというと新しい家のようなすがすがしい木の香りに近い感じがします。また、マロラクティック発酵をしていないので酸もフレッシュな感じを保っています。ちなみに、このワインを最初に作るとき、マロラクティック発酵をするかどうかで夫婦げんかがあったそうです。ビビアナは「師匠の教え」通りにマロラクティック発酵をするつもりだったのですが、ジェフがしない方がいいといい、結局はなしにしました。今ではビビアナもしなくて良かったと言っています。

近年増えているソーヴィニヨン・ムスケを使った香りむんむんのソーヴィニヨン・ブランも好きですが、これはこれでとてもスタイルを持っていて好きなワインです。持って行ってよかったと自画自賛。


Date: 2022/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アイコニックワイン・ジャパンの試飲会に参加してきました。2000円から5000円ほどの中程度の価格帯で非常にいいワインをたくさん持っているインポーターで、特にモントレーからサンタ・バーバラまでのセントラル・コーストに強みを持っています。


カモミの「ロッソ・ディ・ナパ2020」(希望小売価格2450円)です。1000円台前半で人気の高かった「ロッソ・ディ・カモミ」はなくなり、ナパのワインになった分値段は上がっていますが、ナパのワインとしては最低価格帯でしょう。実売で安いところは2000円そこそこです。よくできています。


689セラーズの「689」カベルネは今や一番人気のカリフォルニアワインになっていますが、689セラーズはほかにもワインを造っています。この「キラードロップ2019」(3800円)もその一つ。かなりタンニンもしっかりしていて濃いワインですが、バランスは取れています。


昨年登場して一気に人気ワインになった「スラムダンク2019」(2700円)。名前やラベルの魅力もありますが、ワイン自体バランスよく、とても美味しいワインです。1年経ってもやっぱりいいものはいいです。


これも近年コスパワインの製造元として注目されているマイケルポザーン(ポーザン)のワイン。「ジアポーザ」のシャルドネ2018(2900円)。酸がきれいに出ていて、樽も突出せずいい感じです。


先日「2022年のイチオシ!? 「ほぼオーパスワンが5000円」」という記事で紹介したワインの一つですが、これもマイケルポザーンです。「ナパ1847」2018(5000円)。カベルネ・ソーヴィニヨンらしさがしっかり出ていて、この価格帯にしてはストラクチャーもしっかりしています。


ナパのホワイトホール・レーンがソノマのマヤカマス山麓に持つ「ラッシ」の畑のカベルネ・ソーヴィニヨン(2018年、4500円)。これもストラクチャーがしっかりしていて山らしいタンニンが感じられます。好きです。


先日、「ビエン・ナシード・オーナーが造る抜群のコスパワイン」という記事でバラード・レーンを紹介していますが、同じオーナーが造る別ブランドがバレル・バーナー(Barrel Burner)。文字通り樽を効かしたワインですが、樽感はもちろんしっかりあるものの、バランスもよく、いい感じに仕上がっています。シャルドネ2018、カベルネ・ソーヴィニヨン2018いずれも2800円はかなり割安感があります。

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パソ・ロブレスのデナー(Denner)が造るシラー「ダートウォーシッパー2017」(10,500円)。スパイス感や複雑さもしっかりあって美味しいシラー。レベル高いです。パソ・ロブレスがシラーの名産地であることがうなづけるワイン。


パソ・ロブレスのファイヤーストーンのカベルネ・ソーヴィニヨン2017(3240円)。この価格にして非常に完成度の高いワイン。美味しいです。


フィールド・レコーディングスの「ワンダーウォール」シリーズのシャルドネとピノ・ノワール。いずれもヴィンテージは2020年で3300円です。以前はミュージシャンのラベルでしたが、シンプルなラベルに変わってしまいました。ワンダーウォールは複数の畑のブレンドものです。シャルドネもピノ・ノワールもエレガント。シャルドネは特にミネラル感を強く感じます。この価格でこのレベルは恐るべしです。


リアルな動物モチーフのラベルで人気を集めたファブリストの「ブラン・ド・ブラン2019」(3700円)です。これはうまみがしっかりあって思わず「うまっ!」と声が出てしまいました。


サンタ・バーバラのサン・リージュの南ローヌ系ブレンド「オファリング2016」(5000円)。とてもバランスよく美味しい。


サンタ・バーバラの人気ワイナリーメルヴィルの「シラー ドナズ・ブロック2018」(8500円)です。今回はシラーでいいものが目立ちました。複雑さもしっかりあります。


最後もシラーになってしまいました。ストルプマンの「ラ・クローチェ 2019」(1万円)。むちゃくちゃ美味しい。最後の方なのでコメントが雑になってしまいすみません。
Date: 2022/0520 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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故ロバート・モンダヴィの次男ティム・モンダヴィが造るコンティニュアム(Continuum)。今やプリチャード・ヒルのみならず、ナパを代表するワインの一つと言ってもいいでしょう。プリチャード・ヒルに畑を買うときには、存命だったロバート・モンダヴィも畑を見に行ってOKを出した、モンダヴィ翁にとっても最後のプロジェクトとなるワイナリーです。カベルネ・フランが3割程度入ることで、濃厚でありながらも軽さやエレガンスを出している素晴らしいワインです。



先日のWINE TO STYLEの試飲会では最新ヴィンテージの2019を試飲しました。カベルネ・フランの比率は37%とこれまでで一番高くなっています。そのためか、これまで以上にエレガンスさが出てきているように感じました。ちなみに、2018年については「モンダヴィ系プレミアムカベルネの頂点 コンティニュアムが格安」の記事でコメントを書いていますが、カベルネ・フランが31%と上がって、よりエレガントになったと、同じようなことを言っていますね。

そういえば、ハーランも2020年以降、スタイルを少し変えてより軽い作りを目指しているということで、ナパのワインのエレガント志向がこれから強くなってくるのかもしれません。

というわけで2019年も非常に素晴らしかったのですが、残念ながら価格は大幅に上がります。希望小売価格4万5000円。今の為替と近年の高評価を考えたら仕方ないですが、きついですね。

2018年はまだ店頭にはいくらか残っており、3万円台で購入できます。はっきり言って、ナパのワインでこのクオリティで3万円前半はバーゲンといってもいいくらいです。円安が解消されない限りはもう難しいかもしれません。今が買い時なのは間違いありません。

ウメムラです。

ノムリエ・ザ・ネットです。

カリフォルニアワインあとりえです。

柳屋です。

Date: 2022/0518 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのAVAでどこが好きか一つだけ挙げるとしたら、サンタ・クルーズ・マウンテンズ(Santa Cruz Mountains)かなあと思っています。オークヴィルとかソノマ・コーストとかロシアン・リバー・ヴァレーといったメジャーなところではないですが、非常に魅力的なワインが作られる産地です。
SCM
この地図で示したように、サンタ・クルーズ・マウンテンズはサンフランシスコの南方の半島を中心にしたAVAです。シリコンバレーと太平洋の間の山地になります。

歴史的に見ると、境界を標高で決めた初めてのAVAとして重要です。標高で霧の入り具合が決まるからです。

サンタ・クルーズ・マウンテンズで一番有名なワイナリーといえばリッジ(Ridge)です。2006年の「パリスの審判30年後」のブラインド・テイスティングで1位になったモンテベッロのカベルネ・ソーヴィニヨンがこの地域の畑です。というとカベルネ・ソーヴィニヨンが有名なようですが、実はカベルネ・ソーヴィニヨンはサンタ・クルーズ・マウンテンズの中では内陸よりの標高が高いところくらいしかなく、地域でメジャーな品種というわけではありません。太平洋に近いところは非常に冷涼で、酸のくっきりとしたピノ・ノワールやシャルドネが生まれます。個人的には特にこの地域のシャルドネは非常に好きです。リッジやマウント・エデンのシャルドネなど、凛とした味わいがあります。

一方、この地域の弱点はリッジを除くと小規模な生産者ばかりなこと。サンタ・クルーズ・マウンテンズのAVAの面積はナパの1.5倍もありますが、畑の面積は30分の1以下。1300エーカーしかなく、そのうち1割を超える140エーカーほどがリッジの畑です。文字通り山地が中心であり、畑を切り開くのはかなり大変です。特に近年は斜面の畑の開発には自然保護の面からなかなか許可が得られなくなっています。今後も大規模な生産者が登場する可能性は低いでしょう。

反面、小規模な生産者を探す楽しみはある産地だと思います。大量生産ができる地域ではないので、作られるワインはほぼ高級品といってもいいでしょう。アルノー・ロバーツやセリタスといった、注目されている生産者がこの地域のブドウを調達してワインを造っているのは決して偶然ではありません。







Date: 2022/0517 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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どうしてもピノ・ノワールが飲みたくなったのですが、手頃なワインが見当たらず、ちょっといいワインを開けてしまいました。

桃井隆弘さんが作るアーサー・セラーズのピノ・ノワール、2019年のKR Ranchです。KR Ranchは以前はKeefer Ranchと呼んでいましたが、コスタブラウンが畑を買って、その名前が付けられなくなったため変更したのでした。それだけの銘醸畑です。

味わいは赤系のベリーにかつお節系の旨味がたっぷり。酸も強すぎず、癒やし系のワインです。カリフォルニアワインというとガツンとした味わいのものばかりというイメージもありますが、こんな優しくて美味しいワインもあります。

2020年は火事の煙の影響でワイン作れず、今年のリリースはないそうですが、毎年楽しみなワインの一つです。



Date: 2022/0516 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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サンタ・バーバラでグラン・クリュの畑を選ぶとしたら、確実にその一つに入るのがサンタ・マリア・ヴァレーのビエン・ナシードです。そのビエン・ナシードを開拓したオーナーであるミラー・ファミリーが手掛けるコスパ系ブランドの一つがバラード・レーン(Ballard Lane)。サンタ・バーバラの中でも冷涼から温暖まで多様な気候を持つサンタ・イネズ・ヴァレーでワインを造っています。

先日開催されたアイコニックワイン・ジャパンの試飲会で、コスパの高さで一番目を引いたのがここのワインでした。


ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンと5種類いずれも希望小売価格2200円(税抜き)。ワイナリー価格の15ドルと比べても遜色ない、かなり安い値付けになっています。

全種類試飲した中では特にシャルドネとピノ・ノワールが良かったです。シャルドネは樽もしっかり効いたフルボディの作り。そこまではこの価格帯でもほかにも対抗馬がありますが、このワインは特にミネラル感がたっぷり。これは2000円前後のワインではなかなか見られない味わいです。

ピノ・ノワールはプティ・シラーを2%ブレンドしています。ボディは結構しっかりしていて、果実味も豊かですが、これはさらにスパイスの風味が味わえます。プティ・シラーをブレンドした効果でしょうか。2000円前後のピノ・ノワールの中では抜群の出来だと思います。

ヴィンテージはいずれも2018年。非常にコンディションのいい年ですから、そのおかげもあるのでしょう。

ココスです。


Date: 2022/0513 Category: おすすめワイン
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プリズナーは今世紀最大のカリフォルニアワインのヒットブランドと言っていいでしょう。創設者のデイブ・フィニーは何の資金も後ろ盾もなくワイン造りを志し、最初はロバート・モンダヴィで働き始めました。次の年になんとかジンファンデルのブドウを調達してワイン造りを始め、2000年に始めたレッド・ブレンド「ザ・プリズナー」が大ヒットします。近年のレッド・ブレンド・ブームはほぼこのブリズナーのヒットにあやかったものと言っていいでしょう。

このワイナリー「オリン・スイフト」から2016年にはプリズナー・ブランドを約300億円でコンステレーション・ブランズに売却、さらにオリン・スイフトもガロに売却しています。プリズナーは今ではナパにテイスティング・ルームもオープンし。大人気ブランドとしての地位を確立、オリン・スイフトも次々にヒット作を造っています。

このプリズナーのワイン、日本ではネット販売が許可されていなかったのが、今回「アンシャックルド」というカベルネ・ソーヴィニヨンが解禁になりました。同時にこれまで6000円台とちょっと割高感があった価格も税込み4000円台半ばに変更、ワイナリー価格26ドル(税抜き)からみて妥当な範囲になりました。

これまでもプリズナーのワイン、ネットに全く出ていなかったわけではないのですが、割高感からこのサイトではほとんど紹介していなかったのですが、今回の値段なら十分ありなワインだと思います。基本的に果実味のしっかりした濃厚系のワインですので、フルーツ爆弾的なワインが好きな方にお薦めします。

しあわせワイン倶楽部です。


カリフォルニアワインあとりえです。

Date: 2022/0512 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのケイマス(Caymus)がナパに隣接するソラノ(Solano)郡のサスーン・ヴァレー(Suisun Valley)に新しいワイナリーを建設、ケイマス・サスーン(Caymus-Suisun)として力を入れ始めています(Napa’s famous Caymus opens tasting room unexpected Bay Area location)。


テイスティング・ルームは全体がガラス張りで外にいるかのような感覚を得られます。この場所は非常に風が強くそれを感じさせる工夫でもあります。屋外でのテイスティングもできますが、風の強さでグラスが倒れるため、ステムレスのグラスを使っているほどです。

ケイマスがこの場所に滲出した大きな理由は、ナパではワインの製造量を増やせないこと。ケイマスはかつてそれに違反したとして100万ドルの罰金を払ったこともあります。そういうわけで最初はワインの製造やボトル詰めの拠点としてだけ考えており、実際に醸造はこの場所に移転しています。また、ナパではワイナリーにおけるイベントの制限が大きいことも、理由の一つでした。例えばナパのワイナリーでは結婚式は開けません。新しいワイナリーでは150人規模のイベントが可能だとのこと。
ケイマス
サスーン・ヴァレーAVAは、ナパの南東になります。ナパの南東端にあるワイルド・ホース・ヴァレーAVA(KenzoのあるAVAです)はソラノ郡にも入っていて、ソラノ郡のソラノ・カウンティ・グリーン・ヴァレーAVAとも共通部分があります。グリーンバレーの東側に接しているのがサスーン・ヴァレーです。

ケイマスは、実際に進出してからはワイン造りの面でも大きな可能性を見出しているようです。600エーカーの地所を購入し、プティ・シラー(ここではGrand Durifと呼んでいます。なおPetite Sirahの正式名称はDurifです)を造っています。SFクロニクルの記事によるとグルナッシュも素晴らしいものができそうだとのこと。

いろいろなものが高くなりすぎたナパから、田舎的雰囲気を残したソラノへの進出、ケイマスだけではないかもしれません。
Date: 2022/0511 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ドラジェでナパ・ソノマのワイン3本のセットがお得です。
ナパからはトレフェッセンのメルロー2016。先日別の記事でも紹介していますが通常より2割ほども安い5000円台前半になっているワインです。ドラジェの価格は5280円(税込み)。もう1本ナパからはコスパの高いワインを次々に出しているマイケル・ポザーンの中でも人気の高いアナベラ。単体価格は3135円です。
ソノマからはハウス・オブ・カーズのシャルドネ2019。このワイナリーはあまり知りませんが、ケンダル・ジャクソンのワインメーカーなどを務めてきた人のワイナリーだそうです。単体価格は2990円。
合計すると11,405円のところが9900円と1割以上安く、さらに送料も無料です。実質的に2割くらい安くなっている感じですね。

トレフェッセンのメルローだけでも送料いれたら8000円近くの店もあるくらいですから、かなりお得感はあると思います。


Date: 2022/0510 Category: 業界ニュース
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2021年12月には月商6000万円を超えたという楽天の「しあわせワイン倶楽部」。1年前の2020年12月には初めて月商3000万円を超えたとのことであり、1年間で売上倍増の急成長をしています。楽天の「Walk Together」という店舗向けの冊子にも「Rakuten Dream物語」として取り上げられているほどです。この4月には新しいオフィス兼倉庫に引っ越したとのことで、訪問してきました。

左が社長の木之下嘉明さん、右が妻で取締役の木之下麻衣子さん


新しいオフィスは調布駅から徒歩20分くらいのところ。1階が倉庫兼梱包場所、2階が倉庫とオフィスで訪問したときにはまだ2階の倉庫はほぼ空でした。

全くワイン業界とは縁のなく、趣味でワインを飲んでいた木之下さんが独立してワインショップの開業を考え始めたのは2009年頃。前職でECに携わり、ワインでも行けるのではないかと手応えを感じたそうです。2010年にはワインエキスパートを取得、2011年にECのみでワインの販売を始めました。

倉庫は自宅の四畳半。断熱材とエアコンでセラー代わりにしていました。

最初は売上もほとんどなかったそうですが、転機の一つになったのが「ナパ・セラーズ」を扱うようになったこと。



その味わいとコスパで、「これはぜひ扱いたい」と思ってインポーターに問い合わせたそうです。実はこのワインの輸入元はコルドンヴェール。やまやとイオンの合弁会社で、基本的にやまやとイオン系スーパーやショップのためのインポーターです。他のワインショップに卸すことはほとんどないのですが、熱意を認めてもらって取り扱いできるようになったといいます。今楽天で調べてもしあわせワイン倶楽部のほかはやまやでしか扱いがありません。

その後は自社輸入物を増やすなどして(現在は自社輸入はほぼゼロ)徐々に軌道に乗り、当初の自社サイトのみから2015年に楽天での出店も始めました。

しあわせワイン倶楽部でワインを買うと、「おまけ」がたくさんついてくるのに驚きます。クリスタルガイザーのペットボトルに、購入したワインのテイスティングノート、それから当サイトとのコラボによるカリフォルニアワイン・ニュースも同梱していただいています。

ワインは1本ずつラップと紙で巻かれており梱包も丁寧、発送も平日15時までの注文は即日出荷されます。外部に倉庫を借りて出荷を行うことも可能ですが、しあわせワイン倶楽部では梱包と配送こそ力を入れるところだと考えており、新しい倉庫もそれを念頭に作られています。

こういったことで購入した人がファンになりリピート買いすることが右肩上がりの売上につながっています。昨年末の記録も、特別な策を講じたというよりも「年末には一度買った人がだいたい戻ってきて買ってくれる」とリピート客に支えられています。

また、顧客から送ってもらったコルクをコルクリサイクルに使うというプロジェクトも行っており、これも顧客とのつながりに貢献しているとのこと。

会社のミッションは「ワイン文化の定着」。ワインを通じて人生を楽しみ、ワインによって人生を豊かにする人を生み出し続けること。そして未来のビジョンとしては「3世代が一緒にワインを楽しむ社会の実現」だといいます。

売上や利益といった金銭面ではなくこういったビジョンやミッションを大事にしているからこそ、ファンが増える店舗になっているのだということを改めて感じました。

なお、2019年には日本ワインのショップもオープン。今後はシャンパーニュの専門店も予定しています。

私もビジョンの実現に、少しでもお役に立てるよう、協力していきたいと思います。
Date: 2022/0509 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1972年に設立されたワイナリーが今年50周年を迎えます。その多くが今もなおカリフォルニアワインを牽引していると言っても過言ではない名門ワイナリーです(California’s ‘class of 1972’ wineries continue to raise the bar)。

19世紀に急激に広がったカリフォルニアのワイン生産でしたが20世紀に入り、1920年から33年までの禁酒法の期間に多くのワイナリーが廃業に追い込まれました。ワイナリーが減ったこと以上に大きかったのが、消費者が美味しいワインを求めるという嗜好を失ったことで、禁酒法期間の倍以上の30年間ほど、高品質なワイン造りはイングルヌック(Inglenook)やボーリュー(Beaulieu)などごくごくわずかなワイナリーを除いてはほとんど行われていませんでした。

1960年代に入り、ハイツ・セラー(Heitz Cellar)、シュラムスバーグ(Schramsberg)などの今に続く高級ワインのワイナリーが少しずつ誕生してきました。その象徴的存在が1966年に設立されたロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)であり、モンダヴィ傘下で働いた人たちが次々と名門ワイナリーを興すようになるのです。60年代にはすでにスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)がオープンしていますが、その動きがさらに活発になったのが1972年でした。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズによるとこの年、少なくとも8個のワイナリーが開業しており、60年代全体に匹敵するほどでした。ナパでは70年代に40を超えるワイナリーがオープンしていますが、まさにカリフォルニアワインが開花を始めた時期と言っていいでしょう。

1972年にオープンしたのはケイマス(Caymus)やシルバー・オーク(Silver Oak)、ダイヤモンド・クリーク(Diamond Creek)、クロ・デュ・ヴァル(Clos du Val)、マウント・ヴィーダー(Mount Veeder)、スミス・マドローン(Smith Madrone)など。また、そのまではドライ・クリーク・ヴィンヤード(Dry Creek Vineyard)やジョーダン(Jordan)がこの年に生まれています。ケイマスやシルバー・オーク、ジョーダン、ドライ・クリークなど創業した家族が今も経営を続けています。

ちなみに冒頭に写真を載せたシャトー・モンテレーナ(Chareau Montelena)は1882年設立と設立は古いのですが、禁酒法以降は休眠状態であり、1972年にそれを買い取ったジム・バレットによって再生を始めたのでした。翌年のシャルドネが1976年のパリスの審判で1位になったのは周知の通りです。

何百年も続いている欧州の名門に比べれば歴史の短いカリフォルニアワインですが、それでもしっかりと年を刻んできています。50年ともなると、ブドウの樹は植え替えも経ているのが普通であり、シャトー・モンテレーナでも現在3回めの植え替えをしているとのこと。歴史の浅さが品質の低さになるようなことはもうないと言っていいでしょう。

Date: 2022/0508 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーン・ポートフォリオ(ダックホーンやカレラなどを所有する会社)はパソ・ロブレスで289エーカーの畑を購入しました(Duckhorn Acquires 289-acre Paso Robles Vineyard)。ダックホーンにとってはセントラル・コーストではカレラの畑に次ぐ自社畑ということになります。

畑の名前はボトム・ライン・ランチ(Bottom Line Ranch)。パソ・ロブレスのサン・ミゲル・ディストリクトにあり、カベルネ・ソーヴィニヨンが265エーカーに植わっています。サン・ミゲル・ディストリクトはパソ・ロブレスの中でも比較的温暖なところです。

この畑のブドウはデコイやポストマークに使われる見込みです。
Date: 2022/0506 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ郡で、年間5000ガロン(約2100ケース)以下の小規模ワイナリーの開設許可が3年間の期間限定で容易になりました。これまでは開設計画を郡の委員会に提出し、審議の上で認められる必要がありましたが、この期間においては一定の条件を満たすワイナリーであれば、審議不要で開設できます(Napa County Micro-Winery Ordinance Goes Into Effect May 5, 2022 - DPF Law)。

条件としては生産量は201ガロンから5000ガロン、自社で製造設備を有し、75%のブドウは自社畑である必要があります。ワイナリー設備の面積は5000平方フィート(約464平方メートル)以下。ツアー、試飲、小売販売は午前9時から午後6時まで。ツアーや試飲以外のマーケティングイベントは許可されていません。

また、ワイナリーへの訪問者はオーナーや従業員、デリバリー、ビジターなどを含めて1日平均車10往復となっています。少々ややこしいですが、フルタイムのオーナーとパートタイムの従業員がいたらそれで2往復分となり、残り8往復がビジター分となります。車1台で2.6人と計算することになっており1日平均19人のビジターを受け入れられるという計算です。

3年後にこの方式を継続するか打ち切るかを改めて決める予定です。
Date: 2022/0505 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日「レーヴェンスウッド復活、都光の試飲会から美味しかったワイン」という記事で紹介した「ナパ・バイ・ナパ」。もちろんナパ産のワインですが、インポーター資料では希望小売価格5400円となっていました。それが今、半額セールになっており税込みでも2000円台で買えます。

いかにもナパらしい華やかな味わい。5000円台だとブームになったナパ・ハイランズを初め、強力なライバルも多く、これだけが突出しているとは言えないところですが、2000円台ではナパ産のワインはあまりありません。ナパのワイナリーであってもこの価格帯では他地域のブドウを使っていることがほとんどです。

文句なくお買い得です。

カリフォルニアワインあとりえです。



ドラジェです。



セラー専科です。4本1万円で送料無料。

Date: 2022/0504 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのケークブレッド・セラーズ(Cakebread Cellars)の創設者であるジャック・ケークブレッドが4月26日に亡くなりました。92歳でした(Jack Cakebread, Photographer Turned Napa Vintner, Dies at 92 | Wine Spectator)。おわかりになるようにワイナリー名は名字そのものです。意外と知らない人が多いのでは。

ジャック・ケークブレッドはカリフォルニアの生まれ。父親はオークランドで車の修理業者を始めた人でした。10歳のときにコントラコスタ郡に農場を購入してアーモンドやくるみ、ストーンフルーツなどを育てるようになりました。

ジャックは父親の車の修理業を手伝いながらフリーランスで写真家もやっていました。

1972年に「The Treasury of American Wines」という書籍の仕事でナパに行き、ラザフォードの友人宅で食事をしました。そのときに友人に、いつか土地を売るときがあったら僕が買うよといったところ、その日の午後に電話があり、土地を購入することになりました。

その後は近隣に土地を買い足したり、カーネロスにシャルドネやピノ・ノワールのための畑を買ったりして現在に至ります。環境に気を使っているワイナリーの代表格の一つでもあります。

ジャックは2002年に社長を息子のブルースに譲りましたが、2015年まではCEOを続けていました。一緒にワイナリーを始めた妻のドロレスは2020年に亡くなっています。

ナパを築いてきた一人がまた亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

ケークブレッドのフラッグシップはこのワイン。パーカー100点を取っているそのものです。


廉価版のブランドもあります。


Date: 2022/0503 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日「レーヴェンスウッド復活、都光の試飲会から美味しかったワイン」という記事でも紹介したように、ブランド売却後に途絶えていたレーヴェンスウッド(Ravenswood、レーヴェンズウッド)の輸入が再開されました。ヴィントナーズ・ブレンドとローダイの2つのジンファンデルです。早くも柳屋で販売が始まっています。

ヴィントナーズ・ブレンドは2000円前後のジンファンデルのベンチマーク的といってもいいでしょう。安心して飲めるブランドです。一方のローダイは「カントリー・シリーズ」と呼ぶ1ランク上級のジンファンデル。このシリーズ、以前は他の地域のものも輸入されていましたが、その中でもコスパで抜きん出ていたのがローダイで、今回もそれが選ばれたのは納得です。柳屋では税込み2000円台と安くなっています。

1000円近い価格差がありますが、個人的にはこの2本ならローダイを選びたいところです。複雑さが全然違います。これで2000円台はお買い得でしょう。



Date: 2022/0502 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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トレフェッセン(Trefethen)のメルロー 2016が税込み5000円台前半と、安く入荷しています。コロナの影響によるバックヴィンテージの特別入荷で通常の2割引になっているようです。

トレフェッセンはナパのオーク・ノールにある老舗ワイナリーでパリスの審判の3年後の1979年にはゴーミヨ誌による「ワインオリンピック」でシャルドネ世界一にもなったことがあります。

オーク・ノールに自社畑を持ち、そこで多様な品種を栽培しています。ナパの中では冷涼系のカーネロス、カベルネ・ソーヴィニヨンなど温暖系の品種が中心になるヨントヴィルの間という気候を生かしています。ナパの中ではエレガント系のしみじみ美味しいワインを造るワイナリーです。