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Date: 2024/1026 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アイコニック ワイン・ジャパンが2024年9月に開いた試飲会から美味しかったワインを紹介します。


まずはコスパで人気のブランドジ・アトム。定番のカベルネや今回初登場のピノ・ノワールもよかったですが、個人的には2022年のシャルドネ(2200円)がほどよい樽感で美味しかったです。


人気の689セラーズ、実は689以外にもいろいろなブランドがあり、いずれも秀逸なコスパなのですが、その一つが「ザ・ハイプ」(2020年、3100円)。濃厚なんだけど酸もあってバランスよく美味しいです。


スラムダンク(2021年、3300円)はいまさら紹介しなくても定番になっている気もしますが、やっぱりよくできているワインです。ワインメーカーはフィリップ・メルカの右腕であるメイヤン・コチスキー。普段は高級ワインを造っている人ですが、バリュー系でも腕を見せるのはさすがだと思います。


アルタマリアのシャルドネ ゴールドコースト・ヴィンヤード2015(3400円)。9年熟成で熟成感が出てきていますが、酸もきれいでおいしい。


ストルプマンのシラー「クランチー・ロースティ」(2022年、5300円)。カルボニック・マセレーションを使って作るユニークなシラーです。カルボニック・マセレーションならではのフレッシュ感とうまみがあります。


サンタ・バーバラを代表する銘醸畑ビエン・ナシードを擁するミラー家のもう一つの畑がソロモン・ヒルズ。ビエン・ナシードよりも海に近く極めて冷涼な畑。シャルドネ2021(12300円)は果実が柔らかく酸高いワイン。
もう一つビエン・ナシードのピノ・ノワール2021(16400円)はエレガントなワイン。時間をかけて飲みたい
味わい。


バレル・バーナーのカベルネ・ソーヴィニヨン。樽香に特徴のあるワイナリーです。カベルネ・ソーヴィニヨン2021(3500円)はバーボン・バレルを使って熟成したワイン。樽感は意外とほどよいレベルで、樽香除いてもうまい。


ユニオン・サクレのリースリング2021(4100円)。ドライ・リースリングとありますが、少し甘みもあります。酸良くおいしい。



同じくユニオン・サクレからゲヴェルツ・トラミネールのオレンジワイン(4100円)。きれいでおいしい。


もう一つユニオン・サクレからピノ・ノワール2022(5800円)。ジューシーできれいな味わい。


動物のラベルが印象的なフィールド・レコーディングズからアルバリーニョ2023(3800円)。フレッシュでおいしいワイン。


フィールド・レコーディングスのワンダーウォール・ピノ・ノワール(2023年、4000円)はきれい系ピノ・ノワール。もう一つのフィクション・レッド(3800円)はバランスよくジューシーなワイン。


同じくフィールド・レコーディングスのリジェネレーター・ジンファンデル2022(3800円)。ジンファンデルのスパイシーな面が出たワイン。グリップ感ありうまい。


グラウンドワークのシラー(2020年、4400円)は力強くおいしい、ローヌ系白ブレンドの「コート・デュ・コースト」(2022年、5500円)はローヌ系らしいやわらかさと芳醇さがありバランスもいい。


ピーチーキャニオンのジンファンデル系赤ワイン「インクレディブル・レッド」(2021年、3200円)。ラベルがこれまでと大きく変わってびっくり。味わいは変わりません。コスパ抜群。


同じくピーチーキャニオンのウエストサイド ジンファンデル(4500円)。ブラインドで飲んだ人が「ピノ・ノワール」と答えたほどのエレガントさ。このレベルで5000円を切るのはジンファンデルはコスパ高いです。


ロアーのシャルドネ、ロゼラズヴィンヤード2022(12000円)とサンタルシアハイランズのピノ・ノワール2022(11000円)。ロゼラズのシャルドネは果実味が前面に出るというよりも美しさを感じるワイン。サンタルシアハイランズのピノ・ノワールはバランスよく、かみしめるようなうまみのあるピノ・ノワール


サンドラーのキュベ・海老原 ピノ・ノワール(2023年、9300円)。サンドラーの前インポーターで2023年に亡くなった海老原さんを偲んで作られたキュベです。オーナー、エド・カーツマンは2000年代初期のピノ・ノワール・ブームで非常に注目されていたワインメーカーの一人です。海老原さんも彼のファンで、当時輸入されていなかったサンドラーやオーガスト・ウエストをエドさんが「扱っていいよ」と言ってくれたことから、インポーターになったと生前語っていました。
ワインは優しい果実味がエドさんらしい味わい。親しみやすく美味しいピノ・ノワールです。


コブのドックス・ランチ・ピノ・ノワール(21年、17600円)とライス・スピーヴァック・ヴィンヤード ピノ・ノワール。前者は酸がきれいでうまみがあるピノ・ノワール。後者は今年から扱いはじめました。後者はうまみが素晴らしく、あとから果実味がやってきます。すばらしい。


ジョージのセレモニアル・ヴィンヤード2020(15400円)。ジューシーで果実味がすばらしい。ハンセン・ヴィンヤードピノ・ノワールは鰹節系のうまみが感じられるワイン。


バーマスターのカベルネ・ソーヴィニヨン ヨントヴィル2019(5900円)。うまみあり非常に美味しい。この日のベストワインの一つ


最後に紹介するのはプロヴィナンスのカベルネ・フラン カリストガ 2016(9000円)。
カベルネ・フラン感もありつつ非常に美味しい。


Date: 2024/1024 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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セミナーやディナーのレポートは何とか書いていましたが、多忙で試飲会のレポートがずいぶん置いてきぼりになっていました。ようやく9月の試飲会から手を付けていきます。

JALUXの試飲会ではフランスなどのワインも数多く出ていましたが、アイテム数が多いため、カリフォルニア中心に試飲してきました。


まずはオー・ボン・クリマのピノ・ノワール ノックス・アレキサンダー2020(11500円)とイザベル2021(11500円)です。なお、オー・ボン・クリマはJALUXのほかに中川ワインも輸入しています。日本向け独自の製品だと「ツバキラベル」がJALUXで「ミッションラベル」が中川ワインになります。ノックスやイザベルはどちらも販売しています。ノックスはエレガントですが、ストラクチャーもありバランスのいいワイン。イザベルは酸高くきれいな味わい。


ハーシュ(Hirsch)のピノ・ノワールからサンアンドレアス・フォルト2021(16000円)、ウエストリッジ2018年(16000円)、リザーブ・エステート2018(16000円)。サンアンドレアス・フォルトは全房発酵ぽい複雑さがあります(全房比率は12%)。ウエストリッジ2018(1万6000円)は果実のチャーミングさが印象的。リザーブエステート(2018年、16000円)は熟成向けの落ち着いた味わい。タイプは違いますが甲乙つけがたいできです。


ハーシュも良かったですが、それを超えてすばらしかったのがデュモルのピノ・ノワール。ハイランド・ディバイド2020(16500円)はデュモルの中ではエントリー的な位置付け。ストラクチャーのあるピノ・ノワールでした。フィン(Finn)2020(23000円)はスムーズでエレガント。この日のベストワインでした。ライアン(Ryan)2021(23000円)は、非常に複雑な味わい。これもすばらしい。


クロデュヴァルのナパヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨン2021(8300円)はバランスよくエレガントよりのカベルネ・ソーヴィニヨン。クラシックな味わい。リヴァイアサン2021(9600円)は複雑で熟成させたいワイン。どちらも万円切りとしては素晴らしいクオリティ。


デュモルがナパのクームズヴィルのメテオール(Meteor)ヴィンヤードのブドウで造るワイン。2019年で33000円。酸が豊かで複雑な味わい。


ダラヴァレのコリナ2019(22000円)。若木のブドウを中心にしたダラヴァレの中ではエントリー的なワイン。エレガントでうまみあって美味しい。


ダラ・ヴァレがイタリアのオルネライアと共同で作るDVO2020(55000円)。複雑ですが柔らかさのある味わい。


白に移ります。タリー(Talley)のビショップス・ピーク シャルドネ2022(3800円)はタリーのエントリー的なシャルドネ。冷涼なSLOコースト産だけあり、酸高くきれいで冷涼感があふれています。


もう一つタリーからエステートのシャルドネ(5300円)。これも酸高く、うまみのあるワイン。


オー・ボン・クリマのヒルデガード2020(6500円)はピノ・グリとピノ・ブラン、アリゴテをブレンドしたワイン。2年間の樽熟成を経てから出荷されています。複雑でうま味ありとても美味しい。6500円は破格です。


タリーのローズマリー・ヴィンヤード シャルドネ2020(11500円)はこの日の白のハイライト。ほどよい樽感ときれいな酸があり複雑なワイン。


マイケル・ポザーンのアナベラ・プラティナム オークヴィル カベルネ・ソーヴィニヨン2020(5800円)はコスパがすばらしい。複雑でストラクチャーがあります。通常のナパヴァレーのカベルネソーヴィニヨンが5200円で、これも悪くはないですが、600円の価格差ならだんぜんこちらを選びます。


トゥーミーのピノ・ノワール ロシアンリバー・ヴァレー2020(9800円)はややリッチ系のピノ・ノワール。果実感たっぷりで美味しい。


最後もタリーです。タリーのエステートピノ・ノワール2020(6600円)。コスパが素晴らしいです。うまみにリッチ感があります。

Date: 2024/1023 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパを代表する銘醸畑ト・カロン(To-Kalon)。そのオーナーであるコンステレーション・ブランズによるト・カロンのマスタークラスに参加してきました。シュレーダーの2022年、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーの2021年を中心に、シュレーダーのセカンドであるダブル・ダイヤモンドと、コンステレーション傘下のマウント・ヴィーダー・ワイナリーのワインも試飲しています。

昨年もシュレーダーとダブル・ダイヤモンドの2021年のお披露目イベントがありましたが、試飲対象を拡大しての開催となりました。なお、ナビゲーターは昨年と同じ、ジェイソン・スミスMSです。
シュレーダーとダブルダイヤモンド、2021ヴィンテージのお披露目

ワイナリーや畑の説明などは、昨年とほぼ同じなので割愛します。新情報としてはト・カロンが有機栽培の認証を取ったこと(本ブログでは既報です)、カルロ・モンダヴィ(ロバートの孫)が携わる新世代トラクターMonarchを導入したことなどがありました。

ヴィンテージの紹介からしていきます。
2020年は2回の山火事で大きな影響が出た年。特に2回目の火事となった9月下旬のGlass Fireはナパ中に煙を充満させ、ブドウが煙を吸ってしまったため、今回紹介しているワイナリーはいずれもワインを造るのを諦めました。

2021年は干ばつの年。ブドウの実が小さく、皮の比率が高くなったため、タンニンが強く力強い味わいのワインになりました。

2022年は記録上一番暑かった年でした。特に9月上旬には45℃を超える日が続き、タンニンが強いというよりもフルーツが前面に出た。早い時期に楽しむようなスタイルのワインになりました。熟成を待たずに飲むことが多い、レストランには向いているヴィンテージだとのことです。コンステレーションの畑では、ブドウ畑に灌漑をすることで、熱の影響をやわらげました。熱波の間、ブドウの成熟がストップしてしまったため、収穫は1週間くらい遅くなっています。

今回のワインはいずれも2021年か2022年のものですが、最近のヴィンテージにも言及がありました。

2023年は冬に雨が非常に多く、過去20年で一番涼しい年になりました。生育は例年より3週間遅く、収穫の最後は11月になりました。雨が降らず、服雑味が増え、完熟したワインができました。今から来年2023年を持ってくるのが楽しみだとのことです。

2024年はクラシックなナパヴィンテージ。特にマウントヴィーダーはハイクオリティで典型的ななヴィンテージとなりました。

試飲はト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのワインからです。ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは、銘醸畑ト・カロンから究極的に素晴らしいワインを造るために2016年から始まったブランド。最初のワインメーカーはアンディ・エリクソン。2022年から、HourglassやPlumpjackなどでワインメーカーを務めたトニー・ビアージが加わり、2022年はアンディ・エリクソンと協力して醸造、2023年からトニー・ビアージ一人でのワイン造りとなりました。今回は2021年なので、まだアンディ・エリクソンによるものです。

最初のワインは2021年のEliza’s(エリザズ、50000円)です。カベルネ・ソーヴィニヨン60%にカベルネ・フラン40%というカベルネ・フラン比率の高いワイン。Eliza(現地の発音はエライザ)はト・カロン・ヴィンヤードを作ったハミルトン・ウォーカー・クラブの奥さんの名前。その家が現在のカベルネ・フランのブロックのあたりだったことから名付けました。

ラズベリーやザクロ、カカオにハーブのニュアンス。酸高く、フルボディでありながら軽やかでエレガントさを感じさせるワインです。タンニンはしっかりあって芯が通っています。個人的には非常に好きな味わいです。

次のハイエスト・ビューティ(Highest Beauty、50000円)は、ギリシャ語のト・カロンの英語での意味から取った名前です。

スミレの花、カシスにブラックベリー、チョコレートやコーヒー、タバコのニュアンス。ストラクチャー強くタンニンも非常に強いワイン。タンニンが強固で飲み頃はまだしばらく先のようです。

このほか、100%カベルネ・ソーヴィニヨンで、シングルクローン、シングルブロックというHWCというブランドがあります。

次はシュレーダーです。シュレーダーは2022年のヴィンテージとなります。このヴィンテージからは従来のベクストファー・ト・カロンのブドウはなくなり、モンダヴィのト・カロンの畑からのワインだけになります。


3本目のワインはシュレーダーのト・カロン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン(90000円)です。中川ワインではこのワインを(シュレーダー、シュレーダー)と呼んでいるとか。

チョコレート、リキュール、カシスやブルーベリー、チョコレート。強いけどスムーズなタンニン。リッチで酸高くジューシー。とにかく香りが素晴らしく、グラスから30㎝離れていてもワインの香りが漂ってきます。

4本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード モナステリー・ブロック カベルネ・ソーヴィニヨン2022(90000円)。ト・カロン・ヴィンヤードの中でも最高のブロックとして知られています。

青系、黒系果実にミントやハーブ。リッチだけど酸高くタンニンもやや強い。バランスも良く素晴らしく美味しいワイン。

5本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード ヘリテージクローン カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(90000円)。ヘリテージ・クローンはブドウの房が握りこぶしの半分くらいしかない、レアなクローンを使ったワインです。あまりにもブドウが小さいので1アーカーあたり1トン程度しか収穫できません(通常2トンを下回ると極めて少ないと言われます)。ちなみにト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのHWCもこのクローンで作っています。

ラズベリーやザクロのような赤果実の香りが前に出てきます。カシスも感じられます。甘酸っぱくジューシー。これもフルボディで濃いワインですが、チャーミングさを感じます。個性的な魅力を感じさせるワインでした。

シュレーダーの最後に2021年のオールド・スパーキー(200000円)が供されました。これはベクストファー・ト・カロンのいくつかのブロックの最良のものから作るワイン。マグナムボトルだけの提供です。

極めてリッチでタニック。パワフルでストラクチャーも酸も強いワイン。飲んでいくと少し甘やかさを感じられるようになります。ベクストファー・ト・カロンの濃密さが堪能できるワインです。

シュレーダーとト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーを比べると、シュレーダーの方が最初から魅力全開。一方、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは少し奥ゆかしさがあります。なお、醸造においてシュレーダーは10~13日の発酵で。温度は高めで発酵させます。一方、アンディ・エリクソンのト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは低めの温度で約2週間かけて発酵させます。どちらもバランスの良さを目標にしており、それを実現していますが、シュレーダーはやや甘やかさを感じさせるワインです。

なお、2022年はオールド・スパーキーは作られませんでした。ブレンドしたもののオールド・スパーキーの品質に届かなかったとのこと。2023年からは、モンダヴィのト・カロンから同じように最良のものによるオールド・スパーキーが作られる見込みです。


別途試飲したワインのコメントを記します。

まずはダブル・ダイヤモンド カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(14800円)。

カシス、レッドベリー、アルコール高いがきれい。タンニンやや強く、ストラクチャーしっかり、鉄、黒鉛、タバコ。ストラクチャーの強さが特に印象的でした。

次にダブル・ダイヤモンド プロプライエタリー・レッド・ワイン 2022(14800円)。

カシスの香り高くブルーベリーも。カベルネ・ソーヴィニヨンよりリッチで濃密。チョコレートの風味。

最後はマウント・ヴィーダーのカベルネ・ソーヴィニヨン2021(13000円)です。
ブラックベリーに杉や腐葉土。山らしさを感じられるワインでした。
Date: 2024/1022 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー「ライソロジー(Lithology)」をヴィノスやまざきが扱うようになり、ワイナリーからマネージング・ディレクターのジェームズ・シルバー氏が初来日してディナーを開催しました。ライソロジーというのは岩石学という意味で、ワインのラベルにも、その畑の土壌から撮った写真が施されています。



オーナーのアレハンドロ・ブルゲローニ氏はアルゼンチン出身で石油やガスなどの事業を営んでいたビリオネア。60歳を過ぎてからウルグアイのガルソンなどのワイナリーを立ち上げ、イタリア、フランス、オーストラリア、そしてナパとワイナリーを造ったり買収したりしています。2018年のワインスペクテーターの記事によると4大陸で13のワイナリーを経営し、ブドウ畑の総面積は4500エーカー近くになるといいます。

ナパではハーラン・エステートが会員制で作っていた「ナパ・ヴァレー・リザーブ」のワイナリーを買い取り、それがライソロジーの基となっています。

また、ライソロジーは世界最高のワインを造るという目標でワインメーカーをフィリップ・メルカとミシェル・ロランという、超有名な二人に委託しています。

最初のワインはソーヴィニヨン・ブラン2022(35,000円)です。セント・ヘレナの東側にあるワイナリーの周囲の畑で、元々はカベルネ・ソーヴィニヨンが植わっていたのをソーヴィニヨン・ブランに接ぎ木し直したものです。周囲が樹に囲まれて日照がやや少ないことからソーヴィニヨン・ブランにより向いていると判断したとのこと。有機栽培の認証を得ています。非常に生産量の少ないワインで、今回2割をヴィノスやまざきが輸入したそうです。

グアバやパッションフルーツなどの熟した果実に、ハーブや草の香り。軽くヴァニラの香り。酸高くリッチな味わい。高級感あるソーヴィニヨン・ブランです。特に樽の使い方のきれいさが際立っており、果実の魅力と上品な味わいを両立させています。

次はシャルドネ リッチー・ヴィンヤード2021(35,000円)です。唯一ソノマのワイン。リッチー・ヴィンヤードはロシアン・リバー・ヴァレーのラグーナ・リッジと呼ばれる地域の畑。トゥファと呼ばれる石灰質の土壌があり、リッチでパワーを秘めたワインができるといいます。

ソーヴィニヨン・ブラン同様、こちらも樽がとても上品。 パンや柑橘などの香り、リッチさもありとても美味しい。

この後はナパのカベルネ系のワインが3つ続きます。
まずはベクストファー・ト・カロン・ヴィンヤードカベルネ・ソーヴィニョンです。ヴィンテージは2021年(10万円)。カシスなど黒系果実にチョコレート、黒鉛などリッチな味わい。少しリキュールのような感じもあります。ミントや杉、酸高く、タンニンもしっかりとしたパワフルでストラクチャーのあるゴージャスなワインです。今飲んでも美味しいですが、10年くらいは確実に熟成すると思います。

その次はベクストファー・ドクター・クレーンのカベルネ・フラン2021(10万円)。
ドクター・クレーンはセント・ヘレナの西側にある畑。ベクストファーの様々な畑の中でもト・カロンと並んで評価の高いワインができます。歴史的には1850年にまでさかのぼる由緒ある畑。カベルネ・フランはそこのわずか4列しかない貴重なもの。このカベルネ・フランは英デカンター誌で100点を取っています。

ベクストファー・ト・カロンより温暖な地域だけあって、通常のカベルネ・フランに感じられる赤い果実の要素はほとんど見られず、青系や黒系の果実が中心です。それでも酸が豊かなのはやっぱりこの品種のせいでしょうか。チョコレートや腐葉土の香り。特筆できるのはシルキーなテクスチャ。ドクター・クレーンの特徴の一つがシルキーな味わいになることだそうですが、特にこのワインはそれを強く感じます。これもカベルネ・フランらしさの現れだと思います。生産量50ケースにも満たないという貴重なワイン。

最後はオーナーの名前のついた「アレハンドロ・ブルゲローニ2017(12万円)」。7年経っているので腐葉土やマッシュルームといった熟成香が出てきています。非常にバランスよく作られたワイン。

ちなみに、今回の来日はヴィノスやまざきの広尾店のリニューアルに合わせたもの。地下鉄の出口のすぐ横にある広尾店は新たに2階でテイスティングができるようになったそうです。今や広尾は東京のワインショップのメッカにようになっています。広尾のワインショップツアーとかも面白そうですね。

今回のディナー会場はTOKYO NODE DININGという虎ノ門ヒルズのステーションタワーという新しいビルの上の方にあるところ。料理も素晴らしかったです。カベルネ・ソーヴィニヨンにアマダイを合わせるというのも面白かった(ソースが絶妙に美味しくワインに合いました)。


熊本県産天然真鯛のカルパッチョ


ホタテのコートレット ベニズワイガニのベシャメルソース


活き甘鯛のソテー ポルチーニの焦がしバターソース


赤城和牛イチボのロースト 赤ワインソース


24カ月熟成コンテチーズとオータムトリュフのリゾット


洋ナシのヴァシュラングラッセ
Date: 2024/1019 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのプリチャードヒルにあるワイナリー「ブランド(BRAND)」がワインメーカーを変更したと発表しました。これまではフィリップ・メルカが、直接自身でワインメーカーをしていました(多くのワイナリーではアトリエ・メルカという会社として契約しています)。

新しいワインメーカーはグレーム・マクドナルド(Greame MacDonald)。自身のマクドナルド・ワイナリーのほか、ブランキエ(Blankiet)でもワインメーカーをしています。
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マクドナルドは19世紀にハミルトン・ウォーカー・クラブが作ったオリジナルの「ト・カロン・ヴィンヤード」の一部を自社畑として所有しています。そのブドウは長年ロバート・モンダヴィに供給しており、故ロバート・モンダヴィは「ナパヴァレーで最高のブドウの栽培家」とマクドナルド家を称えていました。グレームにはUCデーヴィスへの進学を勧めたといいます。

現在はモンダヴィへの供給はやめ、自身のワイナリーでカベルネ・ソーヴィニョンを作っています。ワイン・スペクテーターで2021年のカベルネが99点を取得するなど、非常に高い評価を得ています。

フィリップ・メルカが直接携わる数少ないワイナリーだったBRANDが、わざわざそれをやめてマクドナルドと契約したことが非常に興味深いです。
Date: 2024/1018 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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10月16日にナパで17番目となるネステッドAVA「クリスタル・スプリングス(Crystal Springs)」が認可されました。ナパで新しいAVAが認可されるのは2011年のクームズヴィル(Coombsville)以来13年ぶりとなります。

Crystal Springs

新しいAVAはハウエル・マウンテンの南西、セント・ヘレナとカリストガの東側に当たります。ヴァレー・フロアではなく斜面のAVAなのでハウエル・マウンテンと共通性がありますが、ハウエル・マウンテンは標高1400フィート以上なのに対し、クリスタル・スプリングスは標高1400フィート以下。霧がかかるかかからないかという大きな違いがあります。

ワイナリーとしては一番有名なのがヴィアデル(Viader)があり、このほかBremer、Somniumといったワイナリーがあります。また、バージェス(Burgess)の畑があり、バージェス創設者のスティーブン・バージェスがAVA策定の原動力となりました。バージェスによるとクリスタル・スプリングスのカベルネ・ソーヴィニヨンは「非常に濃く、複雑なフレーバーとリッチなアロマがある」とのこと。

なお、クリスタル・スプリングスは従来のカリストガの一部を含み、両方が重なる部分がないように、カリストガの境界も修正されています。
Date: 2024/1017 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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経営破綻したヴィンテージ・ワイン・エステート傘下のワイナリー「オーウェン・ロー(Owen Roe)」を創設者が買い戻しました(Owen Roe founders buy back winery in Vintage Wine Estates selloff - Northwest Wine Report)。
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オーウェン・ローはワシントン州のヤキマ・ヴァレーにあるワイナリー。デイヴィッド・オライリーと妻のアンジェリカが1999年に設立しました。

その後ヴィンテージ・ワイン・エステートの傘下に入っていましたが、今回ワイナリーや住居、二つの畑、ブランド、知的財産権などすべて買い戻すことになりました。従業員も変わりません。価格は明らかになっていません。

これと同時に、ヴィンテージ・ワイン・エステートからカリフォルニアのアロヨ・グランデ・ヴァレーのレティシア(Laetitia)を3つの家族が買収しました。

ワインメーカーでジェネラル・マネージャーのエリック・ヒッキーなど地元の3家族が共同で購入する形です。ヒッキーは1988年からレティシアに携わっており、2000年からワインメーカーを務めるベテランです。

買収価格などは明らかになっていません。
Date: 2024/1016 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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有機栽培のワインに関する情報を発信している「Organic Wines Uncorked」によると、カリフォルニアで有機栽培認証を行ているCCOFで認証されたブドウ畑は2万3187エーカー。州内のブドウ畑は55万エーカーほどあるため、有機栽培の比率は4%ほどということになります。欧州の主要なワイン生産国では有機栽培の比率は18%ほどに達しており、それと比べるとカリフォルニアはまだだいぶ遅れている印象があります。

とはいえ、2016年には1万644エーカーにとどまっていたので、それから8年で倍増してきたことにはなります。

州内において有機認証で先行しているのはナパで、CCOF認証の24%がナパの畑です。ナパでは全体の12%ほどが有機認証を受けており、かなり比率が上がってきています。

続くのはソノマで州全体の11%。ナパの半分であり、ブドウ畑全体における比率は4%程度と、州全体とさほど変わりません。
Date: 2024/1010 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ハーラン・エステート(Harlan Estate)の40周年を記念して、現当主のウィル・ハーランとワインメーカーのコーリー・エンプティングが来日、マスタークラスを開催しました。現行最新ヴィンテージの2020年を筆頭に、2013年、2011年、2002年、1995年のハーラン・エステートを垂直で試飲するという贅沢なイベントです。

今回は、中川ワイン社長の中川誠一郎の質問に答えるという形でセミナーは進みました。

――ウィルさんは、2012年にハーランに入る前にITビジネスに携わっていましたが、ワインビジネスに入った理由は何だったのでしょうか。
 若いころは自分自身で仕事をしたいと思っていた。ハーランはファミリービジネスで、そこに自分がかかわることはないと思っていた。ワインにかかわるようになったのはマスコット(The Mascot)のプロデュースがスタートだった。その後、プロモントリー(Promontory)に携わることになって、それをトップでやるときにワインの道に進むことを決心した。現在はファミリービジネスをリードすることに自分自身の役割をはっきりさせないといけないと感じている。具体的には、今の仕事を少しずつでも良くしていくということが私の大事な責任だと思っている。
 父とは密接につながっている。ハーランやボンド(Bond)のポテンシャルをしっかりと見極めていくことで意見は一致している。プロモントリーには個人的な創造性を取り入れる余地があるが、ハーランは父が築いたものを続けていくのが基本だ。

――ワイン造りは年々進歩しているが、ハーランの第一世代と違うところは何か。
 マスコット、プロモントリー、ハーラン、ボンド、それぞれアイデンティティがあり、ビジョンも持っている。それぞれのブランドにおける文化を引き継いでいくということが非常に大切なことであり、各ブランドが自分の足で立っているということが重要だ。ワイン作りは農業からスタートするので、個性の違う畑をその個性に合わせて仕事をしっかりやっていくということ、その土地の個性を引き立てていくことを大事にしている。

――2020年にマネージング・ディレクターに就任して、グループの将来についてもっともわくわくすることは?
 ワインビジネスでは40年はまだスタート地点。この土地を耕し始めた人にとっては毎年が発見だっただろう。学ぶことはたくさんあり、終わりのない旅路だと思う。畑をしっかり理解してワインを造ることが大事。生産量を増やして大きくすることは考えていない。より良くすることだけを考えている。退屈で時間がかかるが、そこに興奮し、喜びを感じている。

――ウィルさんが生まれたのが87年。ハーランの設立が84年なので生まれたときからそこで育ってきたわけです。この特別なテロワールをどう表現しますか?
 240エーカーの敷地の中で40エーカーだけがブドウ畑であり残りは森である。ナパのような暖かいエリアにおいて、森に囲まれていることはとても大事。森の要素がワインから感じられる。森の中を歩き香りを嗅ぎ、湿気とか、少し暖かさといった、その森のニュアンスがハーランに影響を及ぼしていると思っている。

――次にハーラングループ全体のワイン造りの責任者であるコーリー・エンプティングさんに伺います。コーリーさんが初代ワインメーカーのボブ・リービーさんの下で働き始めたのが2001年。それから23年で栽培技術、醸造技術はどう進歩していったのでしょうか。
 栽培管理では、とても細かいことを丁寧に掘り起こすのが大切。樹齢が高まっていくにつれて樹が語ることをしっかり見る。人の力ができるのはブドウが何をしてほしいかを細かいところまで見ていくことだ。技術自体よりも、樹とともに生きることが大切。ハーランでは80%以上は灌漑しておらず、土を掘り起こすこともしない、農薬をまくこともしない。自然のままというとおかしいが、ブドウの声を聴いて、望むものを自然に行っていこうとしている。

――コーリーさんは創業時のメンバーとも働いているし、今の若い人とも働いている。伝統と変革と、どのようにバランスを取っていますか?
 創業者がやってきたことを引き継いで、それをいかに発展させていくか。やってきたことフォローしていくことも大切だと思っている。何かすごく変化をさせるということではなく微調整をしながら進めていくことが大事だ。自分がやっていることにボブ・リービーがうーんといったときには、本当にいいのか改めて考える。指示されたようにやるのではなく考えることが大切だ。

質疑応答しながらテイスティングに移ります。新しい2020年から順に飲んでいきます。

――2020年はハーランにとって重要なヴィンテージです。どのような収穫でどのようなタイミングだったのか教えてください。
 2020年は、私が長年ワイン業界に関わってきた中で一番大変な。そして一番大切なヴィンテージだ。ハーランでは2008年から灌漑なしのドライファーミングをしており、それが有効に働いた。ハーランではヴァインマスターという畑の役割があり、それが非常に重要である。
 これはハーランが独自で作り出したマスタープログラムで、栽培管理をする人にとってしっかり勉強して栽培管理をしていくことを目指している。マスターを取ると、それがリーダーとして自分のチームを持つことができ、そして自分の与えられた区画をしっかり管理していくということになる。
 2020年は火事が2回あった。最初の火事は8月18日でナパの東。ハーランでは火事の影響はなかった。火事のあと、すぐに畑でブドウを食べたところ成熟が確認され、収穫を始めた。9月27日にグラスファイアーが始まったが、その2週前には収穫終わっていた。煙が全域に広がったため、煙の影響全くなしに収穫できたワイナリーは10以下だろう。
 結果的に2020年は従来の1か月以上前に収穫が終わった。今テイスティングして、非常にバランスがとれたハーモニーがあるワインになった。中にぎゅっと要素が詰まっていて、ワインの中には力強さをしっかり持っているワインに仕上がった。ドライファーミングで作ってきたので早い収穫であってもしっかりした味になった。
 無灌漑は元々水源を確保するのが難しいことから始めた。樹のエネルギーをいかに引き出すか。余計な水分を与えないことで、樹自身がエネルギーを出すことを期待している。冬の剪定の段階から考えていかないといけない。どれだけ芽を出すかといったところから始まる。

筆者(アンディ)のコメント:赤果実中心に少し青い果実の香り。腐葉土や針葉樹、落ち着きのある香り。ピュアな味わい。とてもエレガント。きわめてしなやかだが、実はタンニンも強く、中央に芯を感じる。2020年のハーランは2月にも試飲していますが、そのときはもっと華やかさがあり、今回はそれが腐葉土や針葉樹など、落ち着きを感じさせる香りに変わってきている感じがしました。

次の2013年は暖かいヴィンテージで干ばつの2年目、ストラクチャーのあるワインだといいます。

筆者のコメント:濃密な香りで2020より少し重さを感じる。赤果実はわずかで黒果実主体、タバコやコーヒー、アニス。シルキーだが強固なタンニンとストラクチャー。この日のワインの中では一番濃厚でパワフル。

続く2011年は雨が多く、冷涼なヴィンテージ。ナパでは珍しくブドウが完熟しないワイナリーも多く、多くのワインメーカーが「これまでで一番難しかった年」といいます。

筆者のコメント:複雑な香り、マッシュルームや腐葉土。赤果実が主体だが、果実感は強くない。まだタンニンが強固。バランスが素晴らしい。

2002年は温暖な年。ナパのワインが最も濃厚に作られていた時期でもあります。

筆者のコメント:赤から青の果実。生肉や皮革のような動物的な熟成香。甘草の甘やかさ。20年以上たっているとは思えないほどの芳醇さ。強固なストラクチャー。

最後は1995年。前年の1994年が非常に素晴らしいヴィンテージであり、それに隠れがちなヴィンテージです。また、ハーランは1984年植樹なので、ブドウの樹齢はまだ11年くらいです。

筆者のコメント:色は少し褐色が入っている。赤い果実、皮革、腐葉土。濃密で集中した果実味。驚くほど若々しい。明るい味わい。

今回の試飲、どのワインも非常に素晴らしく甲乙つけがたいものでした。その中で2020年はこれからどうなっていくのかを含めて、興味深く、機会があればまた飲んでみたいと思うワインでした。また、あまりよくないと言われる2011年も非常に素晴らしく、バランスの良さではこの日、一番でした。また1995年も30年近く経っているとは思えないほどの若さがまだあり、無理して若作りしているのではなく、自然に残った若さが魅力的でした。

 「生涯の夢は世界中で一番のワインを造ること。熟成のポテンシャルを持つものを作っていく」と語るウィル。既に世界一と言ってもいいレベルにあると思いますが、200年に向けてこれからも家族経営で一つ一つを丁寧にやっていくと語っていました。

 また、2020年のスタイルがこれからのハーランのスタイルになっていくのかと聞いたところ、「スタイルを決めていくのではなく、各ヴィンテージや土地の理解を進めて反映させることを大事にしている。その中で2020年は特別なグローイングシーズンが反映されたワインになっている」とのこと。「2021年2022年にも期待してほしい。2021年は力強く、ストラクチャーのあるワイン、2022年はソフトで輝きのあるきれいなワインに仕上がっている」

ハーランの栽培や醸造における新たなアプローチとしては前述のヴァインマスタープログラムに注力しているそうで、それを強調していました。その中で、ハーランの一部の区画では、いわゆる「ヘッドプルーン」や「ゴブレット」などと呼ばれる垣を作らない仕立ても試しているとのこと。灌漑なしでの栽培に向いているのではないかという話でした。
ヘッドプルーンというと、ジンファンデルで樹間をかなり大きく取ったもののイメージがありますが、ハーランでは樹間が1m程度とかなり狭く取っているのも興味深いところです。

これはコーリー・エンプティングのスマホから。


コーリー・エンプティング

Date: 2024/1009 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロス・カーネロスのソノマ側で秀逸なピノ・ノワールやシャルドネを造るドナム(Donum)のディナーに参加しました。ドナムを輸入するワイン蔵Tokyoがイルドコリンヌで開催したイベントで、ドナム以外にもワイン蔵Tokyoが輸入するワインが供されました。

ワインメーカーのダン・フィッシュマンさん


グローバル・エステート・アンバサダーのマーク・デ・ヴィアMW

ドナムは2001年に設立されたワイナリー。ワイナリー名はギリシャ語でGiftの意味。土地からもらうギフトをワインにするという考えから名付けられたそうです。創設者のアン・モラー・ラッケは1981年にドイツから米国に渡り、1983年にカリフォルニア最古のワイナリとして知られているブエナ・ヴィスタでワインメーカーになりました。その後カーネロスの畑を大幅に拡張して、多くのワイナリにブドウの提供も始めました。2001年にブエナ・ヴィスタがアライド・ドメック社の手に渡った後、アンの手にTula Vista Ranchという土地が残り、そこが現在の本拠地となりました。2005年にはケネス・ユーハスをワインメーカーに迎えました。2011年にデンマークの投資家が買収、同年ダンさんもドナムで働き始めました。

オーナーが芸術好きで、畑にはそこかしこにアート作品が置かれています。
Love me

畑はDonumヴィンヤードのほか、そこから1マイル離れたTFVヴィンヤード、ロシアン・リバー・バレーのWinsideヴィンヤード、ソノマコーストに2019年に植樹したばかりのBodegaヴィンヤード、メンドシーノのアンダーソン・ヴァレーにAngel Campヴィンヤードと2023年に買収した有名なSavoyヴィンヤードがあります。栽培はオーガニックで、2023年にはROC(リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド)の認証も取っています。ROCは土壌の状態を昔のように健康な状態に持っていくことを主旨とした認証で、土壌にエネルギーとバイタリティを与えるとドナムでは評価しています。カーネロスでは初の認証です。ドナムは非常に栽培を重視しており、畑のテロワールを表現するワインを造ろうとしています。

カーネロスは粘土質の土壌が多く、必ずしもピノ・ノワールに最適な土壌というわけではありません。しかし、ROCを採用したことにより、土壌の状態がよくなって水はけも良くなってきています。ピノ・ノワールの栽培にはROCが特に大きな意味を持つようです。


生産の8割はピノ・ノワールで、あとはシャルドネです。カーネロスの畑にはごく少量だけメルローがあるとのことですが、ワイナリーを訪問した人しか買えないようです。

ワインの感想に移ります。

シャルドネは2021年のカーネロス・エステート(15950円)。柑橘の心地よい酸味とヴァニラの風味、白桃やネクタリンの柔らかな味わい。きれいで美味しいシャルドネです。ジェームズ・サックリングで95点。

シャルドネのクローンはオールド・ウェンテが中心。樽の風味はあまり付けたくないので新樽は1/3でトーストも軽くしています。MLFはしていません。ワインは結構ヴァニラ感があったので新樽率は高いのかと思いましたが、意外と低くて驚きました。


オーナーの夫人が中国人とのことで、ラベルには干支をモチーフにした絵柄があしらわれています。

ピノ・ノワールも2021年のカーネロス・エステート(18700円)。ワイナリー創設から毎年作り続けている唯一のワインとのことで、まさにドナムを代表するワインと言っていいでしょう。

ラズベリーやザクロの果実味に、紅茶やマッシュルームの風味。意外とタンニンもしっかりあります。カーネロスらしい落ち着きのあるピノ・ノワールです。


この後、このディナーのためにとダンさんが特別に持参されてきた「East Slope」という単一ブロックのピノ・ノワール(2022年)をいただきました。
East Slopeは東向きの斜面なので、朝日をしっかり浴びる一方で、午後の強い日差しはさえぎられます。またここはカレラ・クローンしかないそうです。わずか180ケースの生産量という貴重なワインです。

エステートのピノ・ノワールもかなりエレガントと感じたのですが、こちらを飲むと果実味のピュアさ、繊細な味わいがより強く感じられます。デリケートでありながら、芯には強さもあるピノ・ノワール。すばらしかったです。

ディナーでは、このほかカドレ(Cadre)のアルバリーニョ(これ、好きなんです)、ナパのエーカー(Acre)のメルロ、パソ・ロブレスのダオ(Daou)のカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブも供されました。個人的にはやはりCadreのアルバリーニョが良かったです。


Date: 2024/1008 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーンやカレラなどを擁するダックホーン・ポートフォリオ社が投資管理会社のバタフライに買収されることで合意しました。バタフライは現金で株式を買い取ります。ダックホーン・ポートフォリオは上場企業ですが、株主は1株あたり11.10ドルの現金を受け取ります。

バタフライは食料品に特化した投資管理会社。Milk Specialties Global、Chosen Foods、MaryRuth Organics、Orgain、Bolthouse Fresh Foods、QDOBAといった会社を保有しています。

買収は冬に完了する見込みで、買収が終わるとダックホーンは上場停止となります。

Date: 2024/1005 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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お得情報をいくつかまとめます。

ウメムラではスポッツウッドのエステート・カベルネ・ソーヴィニヨン2016と、オショネシーのハウエル・マウンテン・カベルネ・ソーヴィニヨン2015のセットが41800円。米国の税別価格で調べるとスポッツウッドが280ドル、オショネシーが130ドルくらいなので、スポッツウッドの価格だけで4万円を軽く超えます。

スポッツウッドはロバート・パーカーがしばしば「ナパのマルゴー」と呼んでいたワイナリー。エレガントなワイン造りに定評があります。畑は有機栽培でビオディナミも認証取得しています。2016年はアドヴォケイトもヴィナスも96+。オショネシーはハウエル・マウンテンを代表するワイナリーの一つ。ハウエル・マウンテンはナパの山の中では一番温暖で、ダークなフルーツとしっかりとしたタンニンが特徴となる地域です。


しあわせワイン倶楽部ではナパのエチュードが終売セール。好きなワイナリーだったので輸入停止はかなり悲しいですが。
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シャルドネとピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンがあります。個人的にはカベルネ推しですが、ピノ・ノワールでもナパのカーネロスを代表するワイナリーの一つです。


もう一つしあわせワイン俱楽部から、ジンファンデルの雄ターリーが3割引セール。次のヴィンテージからは大幅値上げになりそうなので、まとめ買いも推奨です。
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ジュヴナイル、オールド・ヴァイン、エステート、シダーマンの4つのジンファンデルが出ていますが、一押しはオールド・ヴィンテージ(2014年)のシダーマン。ちょうどこなれて飲み頃だと思います。


コスパダントツはオールド・ヴァイン。米国で実売38ドルが5000円台です。ジュヴナイルは若木のブドウで、こちらは古木。それほど価格が変わらないならやはり古木が魅力的です。

Date: 2024/1004 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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会社のロッカーの中から古いワインスペクテーター誌を発掘しました。2003年7月31日号、特集は「California’s New Generation」というタイトルで、ワインメーカーを中心に10人のワイン業界人を取り上げています。たぶん、この特集が読みたくて買ったのでしょう。日本の紀伊國屋書店のシールが貼ってありました。価格は1270円。米国では4ドル95セントとなっており、おそらく航空便で運んでいるのだと思いますが、価格は結構リーズナブルに感じます。

さて、特集の10人ですが、以下のようになっています(肩書は当時)
・Greg Brewer(Brewer-Clifton、Melvilleのワインメーカー)
・Thomas Brown(Outpost、Chiarello、Nicholson Ranch、Schrader、Tamber Bay、Frank Familyのワインメーカー)
・Marc Cuneo(Sebastiani)
・Kris Curran(Sea Smokeワインメーカー)
・Mat Garretson(Hospice du Rhone主宰など)
・Agustin Huneeus Jr.(Constellation Brandsの高級ワイン部門CEO)
・Brian Loring(Loring創設者)
・Philippe Melka(Bryant Family、Vineyard 29などのワインメーカー)
・Cecilia de Quesada(Ristowのビジネス・マネジャ)
・Vanessa Wong(Peay Vineyards)

特に興味深かったのがトーマス・リヴァース・ブラウン。

ワインマニアとしてトーマスがナパに移住したのが1996年。1997年にTurley Wine Cellarsで職を得、それからOutpostのジンファンデルなどで有名になりつつあったころです。Wine AdvocateでSchraderのワインが次々と100点を獲得して注目を受けたのはおそらくこの2、3年後でしょう。既に多くの顧客を抱え始めていますが、今ほど注目される存在ではなかったと思います。

ワインも常に高得点というわけではなく、アウトポストのジンファンデルでは1998年に早くも93点を取っていましたが、ニコルソン・ランチ ピノ・ノワール ソノマ・ヴァレー2001は84点とかなり低い点にとどまっています(いずれもスペクテーターで)。このワインのレビューでは「土っぽい、皮のようなアロマがスパイシー、ハーブ、ルバーブ、煮詰めたプラムのフレーバーへと続く。 滑らかなテクスチャーだが、リッチさと風味には欠ける」とスペクテーターの編集者ジェームズ・ロービーが書いています。この評価に対してトーマスは「ピノは常に色が明るく果実味豊かなものだ。私はピノらしい香りと味わいのピノが好きなんだ」と反論しています。暗に、ジェームズ・ロービーのピノの好みを批判しているようなコメントではありますが、信念を強く持ってワインを造るトーマスらしさも感じられます。

次のようなやり取りも書かれています。
ある日、顧客とワインの価格設定について話していたとき、ブラウン氏は「ワインを作るのにいくらかかったかを見て、そのように価格設定したらどうですか」と提案した。顧客は笑ってその考えを却下した。「初年度のワイン販売で全額回収することではなく、プロジェクトの長期的な成功に目を向けてほしいと願うだけです」とブラウン氏は言う。(日本語はGoogle翻訳による)
このとき、トーマスは理自身のブランドであるリヴァース・マリーを立ち上げかけているところで、まだワイナリー名も決まっていなかったのですが、リヴァース・マリーのリーズナブルな値付けは、上記のような考えから来ているのかと思われます。

また、彼はワインマニアであり、ワインの教育は全く受けずにナパに来たのですが、このころはワインマニア心をまだ多分に持っています(今でも内心はそうなのかもしれませんが)。
「ワインメーカーになったことで、ワインをもっと高く評価できるようになりました。今では、テイスティングのときに、ワインを逆から味わうことができるからです。完成した製品から感じ取ったものを、それが作られたプロセスと関連付けることができるようになりました。」(日本語はGoogle翻訳による)
このように、ワインマニアとしてワインメーカーになったことを喜んでいる様子がうかがえるのも面白い記事でした。

というか、こんなことをサラッと言えてしまうのが、やっぱりトーマスは天才だと改めて思った次第です。

ちなみに、表紙の写真、トーマスだけ入っていません。何か理由はあったのでしょうけど、彼らしいと思いました。

このほかの記事ではグレッグ・ブリュワーの寿司職人のようになりたいという話も興味深いものがありました。寿司職人が、魚という素材をシンプルな調理で寿司に仕上げるように、ブドウの味わいをワインに反映させたいというような意味です。彼のミニマリスト的アプローチ、特にこの後のダイアトムでのワイン造りに強く通じていると感じました。
Date: 2024/1003 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボルドーでは減反政策でブドウの樹が引き抜かれており、オーストラリアも巨大在庫にあえいでいますが、カリフォルニアも例外ではありません。2020年の山火事による収穫減や、2022年までの干ばつによる収穫減で、表面化していなかった「ブドウ余り」がついに現実のものになってきています(California Farm Bureau Reports 'Brutal' Wine Market Leaves Farms in Peril)。

多くのブドウ畑はワイナリーと契約を結んでブドウを栽培しています。通常は5年間などの長期契約を結びますが、それが切れた後に更新されないケースが増えています。契約なしに栽培されたブドウはスポットで市場に出てきます。これまではそれらも買い手を見つけることができていましたが、2024年はスポット市場の多くが買い手のないままになりそうです。ワイナリー側も在庫が多くて生産を増やす余裕がないのです。

400軒の栽培家のブドウを仲介するAllied Grape Growersのジェフ・ビター社長の試算によると、今年はスポット市場に出てくるブドウがカリフォルニア全体の3分の1に達するかもしれないとのこと。それらの多くが行き場がなくなってしまうかもしれません。

特に状況が厳しいのは、安価なワイン用のブドウを作っているセントラル・ヴァレー(インランド・ヴァレー)の栽培家です。ローダイのジンファンデルなども難しい状況に立たされています。
Date: 2024/1002 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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9月23日にイルドコリンヌで「カリフォルニアワインの玄関口」の25周年記念パーティを開きました。2部制で合計70人弱の方にお越しいただく大盛況でした。改めて皆様に感謝いたします。


今回は、わがままを言って、ワインの多くをインポーターさんに協賛いただきました。中にはレアなマグナムボトルもあり、すばらしいワインが並びました。ご協力いただいたインポーターの皆さま、本当にありがとうございました。

また、サイトをオープンした1999年のワインを持参した方は会費を半額にするということで、こちらも10数人の方にワインをお持ちいただきました。




この日の目玉のワインはBondのPluribus 2010マグナムボトル。これだけは喧嘩にならないように、ビンゴの景品で、前半後半それぞれ10人の方にお飲みいただきました。

さすがに最後の方はだいぶ酔っぱらったのと、人数も多かったので行き届かなかったところもあるかと思います。お話したくてもする時間がなかった方もいらっしゃったと思います。この場を借りて、謝罪いたします。

あっという間の5時間でした。

30周年は、もっと小規模に開くと思います。またお越しいただけたら幸いです。