東太平洋の赤道付近の海水温が上昇するエル・ニーニョが発生していることがほぼ確実になりました(Scientists Now Predicting Near 100% Chance Of Strong El Nino, But Rainfall Isn’t Always Guaranteed « CBS San Francisco)。既に2度程度海水温が上昇しています。かなり大規模なエル・ニーニョになると予測されています。
1997年から1998年にかけて起こった、20世紀最大のエル・ニーニョのときにはカリフォルニアは気温が低く、荒れた天気の日が続きました。その結果、1998年は難しいヴィンテージになりました。ここ20年ほどの間では2011年と並んで困難なヴィンテージだったと思います。
旱魃が続く今の状況では天気が荒れるデメリットよりも雨が降るメリットの方が大きく感じられますが、雨が増えるかどうかは分からないとのこと。
恵みの雨となってくれればいいのですが。
1997年から1998年にかけて起こった、20世紀最大のエル・ニーニョのときにはカリフォルニアは気温が低く、荒れた天気の日が続きました。その結果、1998年は難しいヴィンテージになりました。ここ20年ほどの間では2011年と並んで困難なヴィンテージだったと思います。
旱魃が続く今の状況では天気が荒れるデメリットよりも雨が降るメリットの方が大きく感じられますが、雨が増えるかどうかは分からないとのこと。
恵みの雨となってくれればいいのですが。
ナパの観光協会であるVisit Napa Valleyが2014年のナパの観光産業の調査結果を公表しました(Visit Napa Valley releases the 2014 Napa Valley Visitor Industry Economic Impact Report and Visitor Profile)。
前回の調査は2012年(そのときの記事は「2012年のナパの観光客は300万、9割以上が『また来たい』」)。2012年の観光客が294万人だったのに対し、2014年は約1割増えて330万人。特に外国人旅行客が88%と顕著な伸びを示しました。
観光客が消費した額は16億3000万ドル(約2000億円)。そのうち72%にあたる12億ドルはホテルの宿泊客による消費でした。ホテルの宿泊客は1泊当たり389ドルを使っており、その大部分はワインやレストランでの消費でした。
また、観光客の平均年齢は39.4歳。半分以上が年収10万ドル(1200万円)以上であり、平均は16万5070ドル(約2000万円!!)でした。
前回の調査は2012年(そのときの記事は「2012年のナパの観光客は300万、9割以上が『また来たい』」)。2012年の観光客が294万人だったのに対し、2014年は約1割増えて330万人。特に外国人旅行客が88%と顕著な伸びを示しました。
観光客が消費した額は16億3000万ドル(約2000億円)。そのうち72%にあたる12億ドルはホテルの宿泊客による消費でした。ホテルの宿泊客は1泊当たり389ドルを使っており、その大部分はワインやレストランでの消費でした。
また、観光客の平均年齢は39.4歳。半分以上が年収10万ドル(1200万円)以上であり、平均は16万5070ドル(約2000万円!!)でした。
先日「ブルゴーニュ大学が無料のオンラインワインスクールを今週開始へ」で紹介したワイン学校、最初のレッスンが公開されています。
内容は2本のビデオ(それぞれ5分~7分程度)を見て、クイズに答え、宿題を提出するというもの。ビデオはフランス語で、英語の字幕を付けられます。
英語の字幕だとなかなか頭に入りにくいので、それなりにハードです。宿題も結構大変です。でも、ちゃんと習ったことがないので勉強になります。
内容は2本のビデオ(それぞれ5分~7分程度)を見て、クイズに答え、宿題を提出するというもの。ビデオはフランス語で、英語の字幕を付けられます。
英語の字幕だとなかなか頭に入りにくいので、それなりにハードです。宿題も結構大変です。でも、ちゃんと習ったことがないので勉強になります。
アントニオ・ガッローニのVinousが家でワインを楽しむときのティップスを紹介しています(Tips for Enjoying Wine at Home (May 2015) | Vinous - Explore All Things Wine)。その中からワイングラスのところを紹介します。
基本的には、白ワイン用、ピノ・ノワール(ブルゴーニュ)用、カベルネ(ボルドー)用の3種類のグラスを持っておくのがいいとしています。
スパークリングワイン用のフルートグラスは使わず、白ワイン用を利用します。ほとんどの場合、そちらの方がおいしく感じるのだそうです。
また、リースリング用のグラスをこれに加えておくのも良いそうです。香り高い白ワインのほか、スパークリングワインやジンファンデルにも使える、とのこと。
グラスのブランドとしては、リーデルのVinumが無難な選択。入手しやすいし、値段もそれほど高価ではありません。リーデルのソムリエ・シリーズはスタイリッシュですが、高価であり壊れやすいのが難点。
Zalto(ザルト)というグラスもいいそうです。下部が突き出た独特の形状をしており、リーデルとくらべても細身ですが、以外に丈夫であるとのこと。リーデルと比べると多くの場合、こちらのグラスが勝つそうです。
日本だと、ちょっと高価ですけどね(ソムリエシリーズと比べたら全然安いですが)。
父の日のプレゼントなどにいいかもしれません。
基本的には、白ワイン用、ピノ・ノワール(ブルゴーニュ)用、カベルネ(ボルドー)用の3種類のグラスを持っておくのがいいとしています。
スパークリングワイン用のフルートグラスは使わず、白ワイン用を利用します。ほとんどの場合、そちらの方がおいしく感じるのだそうです。
また、リースリング用のグラスをこれに加えておくのも良いそうです。香り高い白ワインのほか、スパークリングワインやジンファンデルにも使える、とのこと。
グラスのブランドとしては、リーデルのVinumが無難な選択。入手しやすいし、値段もそれほど高価ではありません。リーデルのソムリエ・シリーズはスタイリッシュですが、高価であり壊れやすいのが難点。
Zalto(ザルト)というグラスもいいそうです。下部が突き出た独特の形状をしており、リーデルとくらべても細身ですが、以外に丈夫であるとのこと。リーデルと比べると多くの場合、こちらのグラスが勝つそうです。
日本だと、ちょっと高価ですけどね(ソムリエシリーズと比べたら全然安いですが)。
父の日のプレゼントなどにいいかもしれません。
Jプレゼンスアカデミーワイン教室は「ナパヴァレー・ロックス」と銘打ったセミナーを7月1日(水)に開催します(ナパヴァレー・ロックス 特別講座 | Jプレゼンスアカデミーワイン教室)。時間は19時~20時30分。受講料は税込み5400円。
ナパの歴史や気候などを学ぶほか、以下のワイン5種類の試飲があります。
Black Stallion Winery, Chardonnay, 2013
Cakebread Cellars, Merlot, 2012
Beringer Vineyards, Cabernet Sauvignon, 2011
Darioush , Cabernet Sauvignon, 2011
Somerston Estate, Cabernet Sauvignon, 2011
場所は
Jプレゼンスアカデミー 研修センター
〒107-0062 東京都港区南青山 3-1-31 NBF南青山ビル 5階
最寄り駅は外苑前です。
講師は村田みづ穂さん。現役フライトアテンダントである一方、先日のIPOBセミナーやハーラン・エステートのセミナーでは通訳を務めており、自身でワインの輸入もされています。私も親しくさせていただいていますが、頼りになる講師だと思います。
なお、残席わずかとなっています。
このセミナーは年4回開催するようなので、満席時には次の回にトライしましょう。
ナパの歴史や気候などを学ぶほか、以下のワイン5種類の試飲があります。
Black Stallion Winery, Chardonnay, 2013
Cakebread Cellars, Merlot, 2012
Beringer Vineyards, Cabernet Sauvignon, 2011
Darioush , Cabernet Sauvignon, 2011
Somerston Estate, Cabernet Sauvignon, 2011
場所は
Jプレゼンスアカデミー 研修センター
〒107-0062 東京都港区南青山 3-1-31 NBF南青山ビル 5階
最寄り駅は外苑前です。
講師は村田みづ穂さん。現役フライトアテンダントである一方、先日のIPOBセミナーやハーラン・エステートのセミナーでは通訳を務めており、自身でワインの輸入もされています。私も親しくさせていただいていますが、頼りになる講師だと思います。
なお、残席わずかとなっています。
このセミナーは年4回開催するようなので、満席時には次の回にトライしましょう。
デュモル(DuMOL)は高品質なシャルドネやピノ・ノワール、シラーで知られるソノマのワイナリー。ロバート・パーカーは「好きなワインの中で、シャルドネではトップ6、ピノ・ノワールではトップ12に入る」と評しています。
これまで、ケリー・マーフィー、マイケル・ヴァーランダーおよび、ワインメーカーのアンディ・スミスが共同オーナーでしたが、マイケル・ヴァーラーンダーの持ち分をケリー・マーフィーがすべて買い取ったとのことです(Change in Ownership Interests at DuMOL)。
近年では自社畑を増やしており、近頃グリーン・ヴァレーにあるマーシャル・ランチというリンゴ畑を購入しています。この畑はデュモルのこれまでの自社畑に隣接しており、今後シャルドネやピノ・ノワールを植樹する予定です。
また、2014年のヴィンテージからナパのカベルネ・ソーヴィニヨンを作り始めました。ナパの中では比較的涼しいクームズヴィルやスプリング・マウンテンのブドウを買っているそうです。2015年にはオークヴィルのカベルネも作り始める予定です。
これまで、ケリー・マーフィー、マイケル・ヴァーランダーおよび、ワインメーカーのアンディ・スミスが共同オーナーでしたが、マイケル・ヴァーラーンダーの持ち分をケリー・マーフィーがすべて買い取ったとのことです(Change in Ownership Interests at DuMOL)。
近年では自社畑を増やしており、近頃グリーン・ヴァレーにあるマーシャル・ランチというリンゴ畑を購入しています。この畑はデュモルのこれまでの自社畑に隣接しており、今後シャルドネやピノ・ノワールを植樹する予定です。
また、2014年のヴィンテージからナパのカベルネ・ソーヴィニヨンを作り始めました。ナパの中では比較的涼しいクームズヴィルやスプリング・マウンテンのブドウを買っているそうです。2015年にはオークヴィルのカベルネも作り始める予定です。
Wines &camp; Vinesにロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールについて、興味深い記事が載っていました(Wine & Spirits Magazine | News & Features: Accounting for Taste)。
ロシアン・リバー・ヴァレーはカリフォルニアのピノ・ノワールの名産地であり、ウィリアムズ・セリエムやロキオリを初めとして、1990年代から2000年代初頭の黎明期を担ってきました。今でも、これらのワイナリーは素晴らしいピノ・ノワールを作っていますが、全般的に言えば、ロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールは、アルコール度が高く、濃い味わいのワインになりがちです。これは気のせいというわけではなく、実際に以前は13%台のアルコール度だったワインが近年では14%台になったていることがしばしばあります。
この記事では、どうしてそうなっていったのかを、様々なワイナリーへと取材から分析しています。
例えば、剪定の方法の変化。かつては「California sprawl」と呼ばれる、雨傘のように開いた形の剪定が多く、ブドウの実は日影で成長していました。それが枝を縦に伸ばす剪定に変わったことで、ブドウの実が日光に直接さらされるようになっているといいます。
クローンの変化もあります。90年代後半から植え付けられることが増えていったDijonクローンは、熟すのが早く、涼しい土地に向いているといます。ロシアン・リバー・ヴァレーでは、やや強くなりすぎるようです。
また、ロキオリではかつて天然酵母で醸造していたのが、今は培養酵母に変わっています。天然酵母時代は糖度23で収穫したときに、アルコール度が12%くらいだったのが、今の酵母では13.9%にも達するとのことです。
このほか、気候の面でも、以前より気温が上昇しており、ロシアン・リバー・ヴァレーはリージョンIからリージョンIIに変わったというデータがあるそうです。
ただ、これら全てがネガティヴというわけではなく、例えば、剪定の変化はブドウの病気を減らしているそうです。メリー・エドワーズなど、IPOB的なアルコール度を下げる運動に懐疑的なワインメーカーもいます。
読み応えのある記事ですので、一読することをお勧めします。
ロシアン・リバー・ヴァレーはカリフォルニアのピノ・ノワールの名産地であり、ウィリアムズ・セリエムやロキオリを初めとして、1990年代から2000年代初頭の黎明期を担ってきました。今でも、これらのワイナリーは素晴らしいピノ・ノワールを作っていますが、全般的に言えば、ロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールは、アルコール度が高く、濃い味わいのワインになりがちです。これは気のせいというわけではなく、実際に以前は13%台のアルコール度だったワインが近年では14%台になったていることがしばしばあります。
この記事では、どうしてそうなっていったのかを、様々なワイナリーへと取材から分析しています。
例えば、剪定の方法の変化。かつては「California sprawl」と呼ばれる、雨傘のように開いた形の剪定が多く、ブドウの実は日影で成長していました。それが枝を縦に伸ばす剪定に変わったことで、ブドウの実が日光に直接さらされるようになっているといいます。
クローンの変化もあります。90年代後半から植え付けられることが増えていったDijonクローンは、熟すのが早く、涼しい土地に向いているといます。ロシアン・リバー・ヴァレーでは、やや強くなりすぎるようです。
また、ロキオリではかつて天然酵母で醸造していたのが、今は培養酵母に変わっています。天然酵母時代は糖度23で収穫したときに、アルコール度が12%くらいだったのが、今の酵母では13.9%にも達するとのことです。
このほか、気候の面でも、以前より気温が上昇しており、ロシアン・リバー・ヴァレーはリージョンIからリージョンIIに変わったというデータがあるそうです。
ただ、これら全てがネガティヴというわけではなく、例えば、剪定の変化はブドウの病気を減らしているそうです。メリー・エドワーズなど、IPOB的なアルコール度を下げる運動に懐疑的なワインメーカーもいます。
読み応えのある記事ですので、一読することをお勧めします。
ハーラン・エステートのオーナー、ビル・ハーラン氏の長男であるウィル・ハーラン氏がハーランの名代としては初来日をし、エステート・ディレクターのドン・ウィーバー氏とセミナーを開催しました。ドン・ウィーバー氏は2013年に続いての来日となります。
過去のハーラン・セミナーについては以下の記事をご参照ください。
Harlan EstateオーナーBill Harlan氏来日記念セミナー
ハーラン・エステートの4ヴィンテージを試飲して感じたこと
右がウィル・ハーラン氏、左がドン・ウィーバー氏
ウィル・ハーラン氏は1987年の生まれ。デューク大学を卒業後IT系の企業を立ち上げていましたが、ファミリービジネスのパッションを感じてハーラン・エステートの後を継ぐ決意をしたそうです。ビル・ハーラン氏は常々「200年計画」としてワイナリーを家族のビジネスとして永続させていきたい旨を表明していましたから、その意向に沿ったものと言えるでしょう。父親についてはメンターであり、共に学んでいると、帝王学を施している様子が伺えます。ワイナリーの今後についても、大きく何かを変えるということはなく、より土地を学んで漸進的によくしていくつもりであると言っていました。
またドン・ウィーバー氏からはワイナリー周りの写真を使って、畑の特徴などの説明がありました。
ビル・ハーラン氏が故ロバート・モンダヴィとフランスの銘醸畑を回って、いいワインを作るためにはヒルサイドの畑でないといけないと思ったという話は有名ですが、ただ、斜面というだけでなく非常に多様な畑であることが説明されました。
例えば、畑の標高は低いところで65mですが、一番高いところは374mにも達しています。また、単調な山の斜面というより丘の上に近い立地であり、斜面の向きも南だったり東だったり西だったりと様々です。
ワイナリーの建物よりも東側は火山性の土壌であるのに対し、西側は海洋堆積物の土壌になっています。
下にあるのがマーサズ・ビンヤード、奥のユーカリの樹も見える
この写真はナパの霧の雰囲気が分かるとともに、下にハイツのマーサズ・ビンヤードとその周囲のユーカリが見える点でも面白い写真だと思います。
和の雰囲気を持つゲストルーム
さて、今回の試飲は2011年のハーラン・エステートとセカンド・ワインのメイデン、それからバックヴィンテージとして2006年と2007年のハーラン・エステートが供されました。
2011年のハーランとメイデンは6月に国内出荷が始まる予定。メイデンは他国には輸出されていないとのことで、日本市場を大事にしていることが分かります。
2011年はナパとしては異例に雨が多く、気温が低い年で、通常は2000ケースくらい作るハーラン・エステートをこの年は850ケースしか作らなかったとのことです。
2011年のメイデンは、今飲んでおいしいワイン。もちろん若くてタンニンも強いですが、とてもアロマティックで酸が豊かなワインです。いわゆるナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージとはちょっと違うかもしれません(なお、畑の植樹比率はカベルネ・ソーヴィニヨンが70%でメルローが20%、カベルネ・フランが8%、プティ・ヴェルドが2%)。
2011年のハーラン・エステートはWine Advocate誌のレイティングが93点と、このワイナリーにしては低かったのですが、予想以上にいいワインでした。確かにほかのヴィンテージと比べるとおとなしめの味わいかもしれませんが、エレガントであり、ビロードのような舌触りはハーランならではのもの。むしろほかのヴィンテージよりも早い段階から美味しく飲めるワインかもしれません。とてもなめらかで重さを感じないワインでした。以前に試飲したものだと2005年の印象と似ているように思います。
2006年のハーラン・エステートは4年前にも試飲していますが、強さと美しさを兼ね備えた素晴らしいワイン。特に余韻の長さは驚くほどでした。すべてが高レベルでまとまっている印象。
最後は2007年のハーラン・エステート。Wine Advocate誌では100点がついているワインです。非常にスムーズなワインですが、今回の試飲では強さや余韻の点で2006年にちょっと負けているような気がしました。閉じている時期だったのかもしれません。以前のセミナーでドン・ウィーバー氏は「6~8年で一回閉じることがある」と言っていましたので、そういうタイミングだった可能性が高いと思います。
ハーランのボトルを持って
最後に余談ですが、ウィル・ハーラン氏が日本に着いてからこのセミナーまで1日足らずだったのですが、その間に既にラーメンを2回食べていたとのこと。どんなラーメンが好きなのか気になります。
過去のハーラン・セミナーについては以下の記事をご参照ください。
Harlan EstateオーナーBill Harlan氏来日記念セミナー
ハーラン・エステートの4ヴィンテージを試飲して感じたこと
右がウィル・ハーラン氏、左がドン・ウィーバー氏
ウィル・ハーラン氏は1987年の生まれ。デューク大学を卒業後IT系の企業を立ち上げていましたが、ファミリービジネスのパッションを感じてハーラン・エステートの後を継ぐ決意をしたそうです。ビル・ハーラン氏は常々「200年計画」としてワイナリーを家族のビジネスとして永続させていきたい旨を表明していましたから、その意向に沿ったものと言えるでしょう。父親についてはメンターであり、共に学んでいると、帝王学を施している様子が伺えます。ワイナリーの今後についても、大きく何かを変えるということはなく、より土地を学んで漸進的によくしていくつもりであると言っていました。
またドン・ウィーバー氏からはワイナリー周りの写真を使って、畑の特徴などの説明がありました。
ビル・ハーラン氏が故ロバート・モンダヴィとフランスの銘醸畑を回って、いいワインを作るためにはヒルサイドの畑でないといけないと思ったという話は有名ですが、ただ、斜面というだけでなく非常に多様な畑であることが説明されました。
例えば、畑の標高は低いところで65mですが、一番高いところは374mにも達しています。また、単調な山の斜面というより丘の上に近い立地であり、斜面の向きも南だったり東だったり西だったりと様々です。
ワイナリーの建物よりも東側は火山性の土壌であるのに対し、西側は海洋堆積物の土壌になっています。
下にあるのがマーサズ・ビンヤード、奥のユーカリの樹も見える
この写真はナパの霧の雰囲気が分かるとともに、下にハイツのマーサズ・ビンヤードとその周囲のユーカリが見える点でも面白い写真だと思います。
和の雰囲気を持つゲストルーム
さて、今回の試飲は2011年のハーラン・エステートとセカンド・ワインのメイデン、それからバックヴィンテージとして2006年と2007年のハーラン・エステートが供されました。
2011年のハーランとメイデンは6月に国内出荷が始まる予定。メイデンは他国には輸出されていないとのことで、日本市場を大事にしていることが分かります。
2011年はナパとしては異例に雨が多く、気温が低い年で、通常は2000ケースくらい作るハーラン・エステートをこの年は850ケースしか作らなかったとのことです。
2011年のメイデンは、今飲んでおいしいワイン。もちろん若くてタンニンも強いですが、とてもアロマティックで酸が豊かなワインです。いわゆるナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージとはちょっと違うかもしれません(なお、畑の植樹比率はカベルネ・ソーヴィニヨンが70%でメルローが20%、カベルネ・フランが8%、プティ・ヴェルドが2%)。
2011年のハーラン・エステートはWine Advocate誌のレイティングが93点と、このワイナリーにしては低かったのですが、予想以上にいいワインでした。確かにほかのヴィンテージと比べるとおとなしめの味わいかもしれませんが、エレガントであり、ビロードのような舌触りはハーランならではのもの。むしろほかのヴィンテージよりも早い段階から美味しく飲めるワインかもしれません。とてもなめらかで重さを感じないワインでした。以前に試飲したものだと2005年の印象と似ているように思います。
2006年のハーラン・エステートは4年前にも試飲していますが、強さと美しさを兼ね備えた素晴らしいワイン。特に余韻の長さは驚くほどでした。すべてが高レベルでまとまっている印象。
最後は2007年のハーラン・エステート。Wine Advocate誌では100点がついているワインです。非常にスムーズなワインですが、今回の試飲では強さや余韻の点で2006年にちょっと負けているような気がしました。閉じている時期だったのかもしれません。以前のセミナーでドン・ウィーバー氏は「6~8年で一回閉じることがある」と言っていましたので、そういうタイミングだった可能性が高いと思います。
ハーランのボトルを持って
最後に余談ですが、ウィル・ハーラン氏が日本に着いてからこのセミナーまで1日足らずだったのですが、その間に既にラーメンを2回食べていたとのこと。どんなラーメンが好きなのか気になります。
WTO(世界貿易機関)は5月18日、食肉のラベル付けに関する米国の法律が、カナダやメキシコからの食肉の非関税障壁になっているということを認めました(U.S. Loses Meat Labeling Case; Trade War Looms - NYTimes.com)。2009年にカナダがWTOに提訴したもので、これが最終決定になります。
米国がこの法律を変えない場合、数多くの米国からの輸出品に多額の関税が課せられることになります。その中にはワインも含まれており、100%の関税が予定されています。カナダは米国からのワインの輸出先として一番大きな市場であり、カナダのワイン市場の中でも米国ワインが最大のシェアを持っています。このままだと米国のワイン業界全体に深刻な打撃が加わることになります。
食肉のラベル付けルールとは、米国内で販売する食肉の起源を記さないといけないというもので、このルールをなくすことについては、米国内の消費者グループなどから反対の声があります。
日本に直接関係することではありませんが、米国ではワイン業界全体の浮沈にかかわることとみなされています。
米国がこの法律を変えない場合、数多くの米国からの輸出品に多額の関税が課せられることになります。その中にはワインも含まれており、100%の関税が予定されています。カナダは米国からのワインの輸出先として一番大きな市場であり、カナダのワイン市場の中でも米国ワインが最大のシェアを持っています。このままだと米国のワイン業界全体に深刻な打撃が加わることになります。
食肉のラベル付けルールとは、米国内で販売する食肉の起源を記さないといけないというもので、このルールをなくすことについては、米国内の消費者グループなどから反対の声があります。
日本に直接関係することではありませんが、米国ではワイン業界全体の浮沈にかかわることとみなされています。
先日、「カリフォルニアワインの玄関口」トップページをリニューアルしました。懸案だったスマホ対応をトップページやワイナリー紹介のページでも行いました。
この機会にと思い、カリフォルニアワイン業界の有名な方々に、厚かましいと思いつつも、サイトの推薦コメントをお願いしてみました。ありがたいことに、ワイン・インスティテュート駐日代表の堀賢一さんや、ナパヴァレー・ヴィントナーズの日本事務所など素晴らしい方々から、コメントをいただき、掲載いたしました。
カリフォルニアワインの玄関口#推薦の言葉
からご覧ください。
この機会にと思い、カリフォルニアワイン業界の有名な方々に、厚かましいと思いつつも、サイトの推薦コメントをお願いしてみました。ありがたいことに、ワイン・インスティテュート駐日代表の堀賢一さんや、ナパヴァレー・ヴィントナーズの日本事務所など素晴らしい方々から、コメントをいただき、掲載いたしました。
カリフォルニアワインの玄関口#推薦の言葉
からご覧ください。
ブルゴーニュ大学が無料のオンラインワインスクールを5月21日に開講します。言語はフランス語と英語。受講希望者はそれまでに登録しておく必要があります。欧米ではMOOCと呼ばれる、無料の大学講義が数多く公開されていますが、これもその1つとなります。講義はジュール・ギュイヨ・ワイン学校によるものだとのこと。
受講するにはまず「EMMA」への登録が必要です。
登録してログインしたら、「MOOC #OWU: Open Wine University (Université de la Vigne et du Vin pour Tous)」のページから「ENROLL」します。
これで手続きは終了です。今のところ英語での受講方法が不明ですが、おそらく字幕を使うのではないかと思っています。
受講期間は5週間。オンラインのセミナーのほか、ビデオ・ブログや試飲も含まれるとのこと。
というわけで僕も手続きはしてみました。
受講するにはまず「EMMA」への登録が必要です。
登録してログインしたら、「MOOC #OWU: Open Wine University (Université de la Vigne et du Vin pour Tous)」のページから「ENROLL」します。
これで手続きは終了です。今のところ英語での受講方法が不明ですが、おそらく字幕を使うのではないかと思っています。
受講期間は5週間。オンラインのセミナーのほか、ビデオ・ブログや試飲も含まれるとのこと。
というわけで僕も手続きはしてみました。
ソノマ州立大学の研究者が米国のワイン消費者の行動について分析をしました(Joe-Jo, Jessica & Jake: New Study Finds Three Segments of ...)。数年前にWine Market Councilが高頻度のワインドリンカーとときどきワインを飲むワインドリンカーに分かれているということを発表していますが、今回はさらに高頻度(週に数回以上ワインを飲む人)を3つのペルソナで説明できるとしています。
そのペルソナはジョー&ジョー、ジェシカ、ジェイクと名付けられています。
ジョー&ジョー(Joe & Jo)は通常10ドル以下のワインを買います。年齢は50代の男性または女性で、子供もいます。収入はあまり多くありません。ワインの知識はあまりないことを自覚しており、食料品店でワインを買います。ワイン・アプリでの価格チェックは怠らず、割引やクーポンでワインを買います。モットーは「おいしいワインは安くなければ。ワインは楽しんでリラックスするためのもの」。
ジェシカは10ドル~15ドルのワインを好みます。収入は比較的多く、年齢は40代前半の女性です。ワインの知識は人よりもあると思っています。ワインを買うときはコストコやTarget(米国の安売りストアの1つ、日本で言えばイオンみたいな感じかな?)に行きます。ソーシャルメディアで友人とワインの話をしたり、ワインのレビューを読むのも好きです。モットーは「友達や自分自身をおいしいワインでもてなしたいわ」。
ジェイクは15ドル以上のワインを買います。収入は比較的高く、男性で年齢は30代後半。自分でもワインのエキスパートだと思っています。ワインショップ、食料品店、コストコなどさまざまなところでワインを買います。オンラインやワイナリーのテイスティング・ルームでもよくワインを買います。技術に詳しくワインのソーシャルメディア・サイトやワインアプリを駆使して情報を集めたり交換したりしています。モットーは「世界の最高のワインを味わいたい」。
高頻度のワインドリンカーと一口に言っても、実はいろいろなスタイルがあるということを明らかにしているのは興味深いところです。
日本でも、こういった分析はされているのでしょうかねえ? サントリーとかは、やっていそうな気もしますが、公表されているものはなさそうです。
おそらくカリフォルニアワインを好む人は、ワイン飲み全般とはまた違うプロファイルになりそうですが、どちらも知りたいですね。
なお、調査手法など詳しいことは原文をご覧ください。
そのペルソナはジョー&ジョー、ジェシカ、ジェイクと名付けられています。
ジョー&ジョー(Joe & Jo)は通常10ドル以下のワインを買います。年齢は50代の男性または女性で、子供もいます。収入はあまり多くありません。ワインの知識はあまりないことを自覚しており、食料品店でワインを買います。ワイン・アプリでの価格チェックは怠らず、割引やクーポンでワインを買います。モットーは「おいしいワインは安くなければ。ワインは楽しんでリラックスするためのもの」。
ジェシカは10ドル~15ドルのワインを好みます。収入は比較的多く、年齢は40代前半の女性です。ワインの知識は人よりもあると思っています。ワインを買うときはコストコやTarget(米国の安売りストアの1つ、日本で言えばイオンみたいな感じかな?)に行きます。ソーシャルメディアで友人とワインの話をしたり、ワインのレビューを読むのも好きです。モットーは「友達や自分自身をおいしいワインでもてなしたいわ」。
ジェイクは15ドル以上のワインを買います。収入は比較的高く、男性で年齢は30代後半。自分でもワインのエキスパートだと思っています。ワインショップ、食料品店、コストコなどさまざまなところでワインを買います。オンラインやワイナリーのテイスティング・ルームでもよくワインを買います。技術に詳しくワインのソーシャルメディア・サイトやワインアプリを駆使して情報を集めたり交換したりしています。モットーは「世界の最高のワインを味わいたい」。
高頻度のワインドリンカーと一口に言っても、実はいろいろなスタイルがあるということを明らかにしているのは興味深いところです。
日本でも、こういった分析はされているのでしょうかねえ? サントリーとかは、やっていそうな気もしますが、公表されているものはなさそうです。
おそらくカリフォルニアワインを好む人は、ワイン飲み全般とはまた違うプロファイルになりそうですが、どちらも知りたいですね。
なお、調査手法など詳しいことは原文をご覧ください。
高品質なメルローで知られるダックホーンが畑の自社畑化を進めています(Duckhorn Wine Company Acquires Three Palms, Napa Valleys Famous ...)。
先日は、ダックホーンのワインの中でも品質の高さで知られるスリーパームズ(Three Palms)を購入したことを明らかにしました。
スリーパームズは1800年代には、サンフランシスコの「コイト・タワー」に名を残すリリー・コイトが所持していた土地。ランドマークとなっている3本の椰子の木はその次代に植えられたものです。
1967年にその父を購入したアプトン家がブドウを植えました。現在の樹齢は平均20年ほどだそうです。83エーカーのうち73エーカーがブドウ畑になっており、全量をダックホーンが買っています。
先日は、ダックホーンのワインの中でも品質の高さで知られるスリーパームズ(Three Palms)を購入したことを明らかにしました。
スリーパームズは1800年代には、サンフランシスコの「コイト・タワー」に名を残すリリー・コイトが所持していた土地。ランドマークとなっている3本の椰子の木はその次代に植えられたものです。
1967年にその父を購入したアプトン家がブドウを植えました。現在の樹齢は平均20年ほどだそうです。83エーカーのうち73エーカーがブドウ畑になっており、全量をダックホーンが買っています。
インポーターの布袋ワインズが、ワイン愛好家向けのテイスティング・パーティを開催します。
目玉はリトライ。オーナーのテッド・レモンが直々にワインを注いでくれます。通訳付きですので、いろいろ話を聞けるチャンスです。リトライのワイン各種の他にもいろいろ試飲できるようです。
申し込み方法などは、以下の案内をご覧ください。
日時:5月25日(月)19:00-21:00(21:30閉場)
会場:リビエラ 青山
〒107-0062 東京都港区南青山3-3-3
(地下鉄外苑前徒歩3分)
料金:¥8,640(税込)
ワイン・料理:
リトライのシャルドネ、ピノ・ノワールのラインナップ、布袋ワインズのニューリリースワインを含む約60種のナパの高級ワインなどカリフォルニアの銘醸ワイン、南米のユニークな高品質ワインをお楽しみ頂けます。
リトライ試飲(予定)ワイン:
http://www.hoteiwines.jp/winery/winery_detail.cfm?dmnID=51
※リトライのブースでは醸造家テッド・レモンが皆様をおもてなし致します。
(通訳:三木香奈)
直前のご案内で誠に恐縮でございますが、ユニークで美味しいワインがたくさん登場いたしますので、何卒皆様のご意見を頂ければ幸いです。
ご参加希望の方は下記リンクよりお申込み、または下記アドレス宛メールにてお申込み下さい。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
■お申込みサイト(英語のみ):
http://www.hoteiwines.com/go/?Ticket_20150525
■お申込み、お問い合わせメールアドレス(日本語・英語):
office@hoteiwines.com
目玉はリトライ。オーナーのテッド・レモンが直々にワインを注いでくれます。通訳付きですので、いろいろ話を聞けるチャンスです。リトライのワイン各種の他にもいろいろ試飲できるようです。
申し込み方法などは、以下の案内をご覧ください。
日時:5月25日(月)19:00-21:00(21:30閉場)
会場:リビエラ 青山
〒107-0062 東京都港区南青山3-3-3
(地下鉄外苑前徒歩3分)
料金:¥8,640(税込)
ワイン・料理:
リトライのシャルドネ、ピノ・ノワールのラインナップ、布袋ワインズのニューリリースワインを含む約60種のナパの高級ワインなどカリフォルニアの銘醸ワイン、南米のユニークな高品質ワインをお楽しみ頂けます。
リトライ試飲(予定)ワイン:
http://www.hoteiwines.jp/winery/winery_detail.cfm?dmnID=51
※リトライのブースでは醸造家テッド・レモンが皆様をおもてなし致します。
(通訳:三木香奈)
直前のご案内で誠に恐縮でございますが、ユニークで美味しいワインがたくさん登場いたしますので、何卒皆様のご意見を頂ければ幸いです。
ご参加希望の方は下記リンクよりお申込み、または下記アドレス宛メールにてお申込み下さい。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
■お申込みサイト(英語のみ):
http://www.hoteiwines.com/go/?Ticket_20150525
■お申込み、お問い合わせメールアドレス(日本語・英語):
office@hoteiwines.com
元NBAスターで229cmの長身で知られるヤオ・ミン(姚明)が、自身のワイナリーの資金をクラウドファンディングで集めています(Invest in Yao Family Wines | Crowdfunder)。近々目標の300万ドルに達する見込み。
2011年にNBAを引退した後、ワイナリー・ビジネスを始めたヤオ・ミンは、高額なワインなどで注目を集めました(参考:元NBAスター姚明の289ドルワインをめぐるあれこれ)。
出資をつのる理由については明らかにされていませんが、中国本土でのワイン販売が以前ほどでなくなってきたので、米国での販路を広げるのではないか、などと言われています。
2011年にNBAを引退した後、ワイナリー・ビジネスを始めたヤオ・ミンは、高額なワインなどで注目を集めました(参考:元NBAスター姚明の289ドルワインをめぐるあれこれ)。
出資をつのる理由については明らかにされていませんが、中国本土でのワイン販売が以前ほどでなくなってきたので、米国での販路を広げるのではないか、などと言われています。
ソノマの観光が順調に伸びています(Sonoma County tourism continues surge | The Press Democrat)。
2014年の観光収入は約16億5000万ドル。2013年よりも4000万ドル、およそ2.4%上回りました。5年連続の成長となっています。
2014年の伸びは税収にすると500万ドル。1家庭あたり760ドルの収入に相当するとのことです。
観光客の一番の目的はワインですが、決してそれだけではないそうです。景色の美しさがあり、そこで飲むワインだからこそ美味しく感じるということが観光客をひきつけているのだとか。
海外からの観光客も伸びており、観光客全体の10~15%になっています。一番伸びているのは中国人で、このほか北米、日本、オーストラリアからも多くの観光客が来ているそうです。
2014年の観光収入は約16億5000万ドル。2013年よりも4000万ドル、およそ2.4%上回りました。5年連続の成長となっています。
2014年の伸びは税収にすると500万ドル。1家庭あたり760ドルの収入に相当するとのことです。
観光客の一番の目的はワインですが、決してそれだけではないそうです。景色の美しさがあり、そこで飲むワインだからこそ美味しく感じるということが観光客をひきつけているのだとか。
海外からの観光客も伸びており、観光客全体の10~15%になっています。一番伸びているのは中国人で、このほか北米、日本、オーストラリアからも多くの観光客が来ているそうです。
IPOBについては、セミナーやインタビューなどの記事を書いてきました。ちょっと時間が経ってしまいましたが、まとめた感想を書いておきたいと思います。
まず、試飲会の感想ですが、予想以上に美味しいワインが多かったです。個人的に特に印象に残ったのはハーシュですが、ドメーヌ・ド・ラ・コートやリオコ、ビッグ・ベイスン、ウインド・ギャップなどもまた飲みたいと思うワインでした。
IPOBは濃い、アルコール度が高いピノ・ノワールへのアンチテーゼとして始まったこともあり、薄くて酸っぱいワインが多いのではないかと、実はちょっと心配していた面もあったのですが、実際に試飲会で出ていたワインは、予想以上にカリフォルニアらしいワインでした。カリフォルニアらしいというのは、いい意味で果実味が豊かなワインが多かったということです。IPOBがカリフォルニアの良さを殺してしまっているという批判は当たらないように思いました。
一方で、IPOBのワインについてテイスティング・コメントを書くのはなかなか大変でした。バランスの良さというのをコメントに落としこもうとしてもいい表現が出てきません。自分自身のテイスティング能力の低さを思い知らされました。
ところで、米国では「サードウェーブ」と言われる新しいコーヒー屋のブームが起きていました。これとの類似についても改めて強く感じました。
二昔まえまで、アメリカでコーヒーといえば、いわゆるアメリカン・コーヒーのような薄い風味のないものばかりでした。それに対して「セカンドウェーブ」として出てきたのがスターバックスなど「シアトル系」のコーヒー屋です。これらは米国のコーヒーのレベルを大きく上げましたが一方で、やや画一的な味わいになってしまった面も否定できないでしょう。
そこで登場したのがサードウェーブです。コーヒー豆を比較的浅煎りにして、ワインで言えばテロワールをより感じやすいようにしていることなど、IPOBでよく聞かれた「畑の味わいを引き出す」ワインに通じるような気がしました。味わい的にも濃く強い味わいのシアトル系に対して、浅煎りで薄い味わいのサードウェーブと、従来のカリフォルニアワインに対するIPOBの立ち位置によく似ています。
また、IPOBは比較的若い人がよく飲んでいるという話がありました。そのあたりもサードウェーブに通じるところがあるような気がします。
サードウェーブ・コーヒーの代表的な店の1つブルーボトルは先日日本でも店を開き、大変なにぎわいになっているといいます。IPOBもカリフォルニアワインを引っ張るような存在になるのでしょうか。
まず、試飲会の感想ですが、予想以上に美味しいワインが多かったです。個人的に特に印象に残ったのはハーシュですが、ドメーヌ・ド・ラ・コートやリオコ、ビッグ・ベイスン、ウインド・ギャップなどもまた飲みたいと思うワインでした。
IPOBは濃い、アルコール度が高いピノ・ノワールへのアンチテーゼとして始まったこともあり、薄くて酸っぱいワインが多いのではないかと、実はちょっと心配していた面もあったのですが、実際に試飲会で出ていたワインは、予想以上にカリフォルニアらしいワインでした。カリフォルニアらしいというのは、いい意味で果実味が豊かなワインが多かったということです。IPOBがカリフォルニアの良さを殺してしまっているという批判は当たらないように思いました。
一方で、IPOBのワインについてテイスティング・コメントを書くのはなかなか大変でした。バランスの良さというのをコメントに落としこもうとしてもいい表現が出てきません。自分自身のテイスティング能力の低さを思い知らされました。
ところで、米国では「サードウェーブ」と言われる新しいコーヒー屋のブームが起きていました。これとの類似についても改めて強く感じました。
二昔まえまで、アメリカでコーヒーといえば、いわゆるアメリカン・コーヒーのような薄い風味のないものばかりでした。それに対して「セカンドウェーブ」として出てきたのがスターバックスなど「シアトル系」のコーヒー屋です。これらは米国のコーヒーのレベルを大きく上げましたが一方で、やや画一的な味わいになってしまった面も否定できないでしょう。
そこで登場したのがサードウェーブです。コーヒー豆を比較的浅煎りにして、ワインで言えばテロワールをより感じやすいようにしていることなど、IPOBでよく聞かれた「畑の味わいを引き出す」ワインに通じるような気がしました。味わい的にも濃く強い味わいのシアトル系に対して、浅煎りで薄い味わいのサードウェーブと、従来のカリフォルニアワインに対するIPOBの立ち位置によく似ています。
また、IPOBは比較的若い人がよく飲んでいるという話がありました。そのあたりもサードウェーブに通じるところがあるような気がします。
サードウェーブ・コーヒーの代表的な店の1つブルーボトルは先日日本でも店を開き、大変なにぎわいになっているといいます。IPOBもカリフォルニアワインを引っ張るような存在になるのでしょうか。
米国の料理界の最高の賞と言われているジェームス・ビアード・アワードが発表されました(The 2015 James Beard Award Winners!)。ワイン・ビール・酒類のプロフェッショナル部門ではIPOBの創設者として知られているラジャ・パーが選ばれました。ただし「ミナ・グループ」として受賞しているので、IPOBの活動がどれだけ関係しているかは不明です。
なお、ラジャ・パーはワイナリーを経営する傍ら、ミナ・グループのレストランでワイン・ディレクターを務めています。
ラジャ・パーについては過去記事をどうぞ。
IPOBミニインタビューその4――ラジャ・パー、サシ・ムーアマン/サンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コート、ピエドラサッシ
全カリフォルニアが注目するIPOB、創設者ラジャ・パーが語る
IPOBのLiocoとSandhi、Domane de la Côteを試飲
なお、ラジャ・パーはワイナリーを経営する傍ら、ミナ・グループのレストランでワイン・ディレクターを務めています。
ラジャ・パーについては過去記事をどうぞ。
IPOBミニインタビューその4――ラジャ・パー、サシ・ムーアマン/サンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コート、ピエドラサッシ
全カリフォルニアが注目するIPOB、創設者ラジャ・パーが語る
IPOBのLiocoとSandhi、Domane de la Côteを試飲
5月2日、サンタ・ローザのVintners Innで「ソノマ郡バレル・オークション」が開催されました。売り上げは46万1700ドルでした(Sonoma Countys Inaugural Trade Barrel Auction Raises Over $460,000)。業界向けのオークションで、ナパで言えば春に開催されるプレミア・ナパ・ヴァレーに相当します。
参加したワイナリーは76(71ロット)。ワインは590ケースでしたから、ケース当たりの平均落札額は782ドル、1本65ドルと割と落ち着いた線だったようです。
ちなみに、ナパの「プレミア・ナパ・ヴァレー」の今年の落札額は600万ドル。1本あたり286ドルです。元々高額のカベルネが中心のナパと比較的安価なピノ・ノワールやジンファンデルが多いソノマとの違いもあるでしょうが、盛り上がりという面ではまだナパが大分上回っている印象があります。
なお、落札額が一番高かったのはジョセフ・スワンとコスタ・ブラウン、ウイリアムズ・セリエムのコラボレーションによるワイン、およびウイリアムズ・セリエムの10の畑の7つのクローンのブレンド「Reverence」。ともに2万4000ドルでした。ただ、これはどちらも20ケースのロットでしたから、1本当たりに換算すれば100ドルとなっています。
ソノマでは、初開催の今回のオークションのほか、一般向けのソノマ・ハーベスト・ワイン・オークションを9月に開催しています。
ナパと比べれば、普通の人でも参加しやすそうな雰囲気があります。
参加したワイナリーは76(71ロット)。ワインは590ケースでしたから、ケース当たりの平均落札額は782ドル、1本65ドルと割と落ち着いた線だったようです。
ちなみに、ナパの「プレミア・ナパ・ヴァレー」の今年の落札額は600万ドル。1本あたり286ドルです。元々高額のカベルネが中心のナパと比較的安価なピノ・ノワールやジンファンデルが多いソノマとの違いもあるでしょうが、盛り上がりという面ではまだナパが大分上回っている印象があります。
なお、落札額が一番高かったのはジョセフ・スワンとコスタ・ブラウン、ウイリアムズ・セリエムのコラボレーションによるワイン、およびウイリアムズ・セリエムの10の畑の7つのクローンのブレンド「Reverence」。ともに2万4000ドルでした。ただ、これはどちらも20ケースのロットでしたから、1本当たりに換算すれば100ドルとなっています。
ソノマでは、初開催の今回のオークションのほか、一般向けのソノマ・ハーベスト・ワイン・オークションを9月に開催しています。
ナパと比べれば、普通の人でも参加しやすそうな雰囲気があります。
Vinepairというサイトに、オーガニックのワインについての記事が載っていました(Here’s Why Your Organic Wine Is Actually Really Bad For The Environment)。タイトルをそのまま訳せば「そのオーガニック・ワインが環境に悪い理由」といったところです。
健康に悪そうなものばかりを食べているという印象がある米国ですが、オーガニックな食品の市場は急激に伸びています。世界における2018年のオーガニック食品の市場は1615億ドルと2013年の倍に達する見込みですが、そのうちの4割を超える662億ドルが北米市場とみなされています。
ただ、この記事の筆者が調べたところによると、オーガニックが環境に良いとは限らないとのこと。オーガニックな農業では、化学合成された農薬の代わりに自然の物質を使いますが、自然の物質だからといって、体や環境にいいとは限らないわけです。例えば、じゃがいもの緑色になった部分に含まれるソラニンという物質は人体に害がありますし、ボルドー液という有機農業で使われる農薬には硫酸銅が含まれています。これを大量に撒くことによって「ブドウ畑散布者の肺」と言われる症状を引き起こすことがあるといいます。
化学合成された農薬については、副作用なども詳しく調べられており、使う容量などもきっちりと制限されていますが、有機のものについては、そこまで詳しく調べられておらず、無節操に使われているケースもあるようです。
では消費者としたらどうしたらいいのでしょうか。
この記事の筆者は、有機農業であるかどうかを問わず、小規模生産者のワインを買うことを薦めています。大規模になればなるほど、農薬を大量に撒く傾向があるからだそうです。小規模なところではそういった使い過ぎはほとんどないとのこと。
そういえば、以前あるワイナリーで「有機農業にしないのか」と聞いたところ、「有機にするとかえって環境にダメージを与えるからやらない」と言われたことがありました。今回のものに通じるのかもしれません。
話はちょっとずれますが、最近増えている大手メーカーの「酸化防止剤無添加」のワイン。これも「自然で体にいい」ものと受け取られがちですが、疑問を持っています。大手メーカーがどうやって酸化防止剤を入れずにワインを作っているのか分かりませんが、すくなくとも濾過によって微生物を取り除いているのは確実でしょう。そもそも、これらのワインはかなりの低価格で売られており、おそらく輸入した濃縮果汁を還元して作ったワインだと思います。酸化防止剤を付加する普通のワインとくらべても、工業的に作られたワインであることは否めないでしょう。
オーガニックにしろ、酸化防止剤無添加にしろ、あまりマーケティング的に使われているケースについては、あまり鵜呑みにしてはいけないような気がします。
健康に悪そうなものばかりを食べているという印象がある米国ですが、オーガニックな食品の市場は急激に伸びています。世界における2018年のオーガニック食品の市場は1615億ドルと2013年の倍に達する見込みですが、そのうちの4割を超える662億ドルが北米市場とみなされています。
ただ、この記事の筆者が調べたところによると、オーガニックが環境に良いとは限らないとのこと。オーガニックな農業では、化学合成された農薬の代わりに自然の物質を使いますが、自然の物質だからといって、体や環境にいいとは限らないわけです。例えば、じゃがいもの緑色になった部分に含まれるソラニンという物質は人体に害がありますし、ボルドー液という有機農業で使われる農薬には硫酸銅が含まれています。これを大量に撒くことによって「ブドウ畑散布者の肺」と言われる症状を引き起こすことがあるといいます。
化学合成された農薬については、副作用なども詳しく調べられており、使う容量などもきっちりと制限されていますが、有機のものについては、そこまで詳しく調べられておらず、無節操に使われているケースもあるようです。
では消費者としたらどうしたらいいのでしょうか。
この記事の筆者は、有機農業であるかどうかを問わず、小規模生産者のワインを買うことを薦めています。大規模になればなるほど、農薬を大量に撒く傾向があるからだそうです。小規模なところではそういった使い過ぎはほとんどないとのこと。
そういえば、以前あるワイナリーで「有機農業にしないのか」と聞いたところ、「有機にするとかえって環境にダメージを与えるからやらない」と言われたことがありました。今回のものに通じるのかもしれません。
話はちょっとずれますが、最近増えている大手メーカーの「酸化防止剤無添加」のワイン。これも「自然で体にいい」ものと受け取られがちですが、疑問を持っています。大手メーカーがどうやって酸化防止剤を入れずにワインを作っているのか分かりませんが、すくなくとも濾過によって微生物を取り除いているのは確実でしょう。そもそも、これらのワインはかなりの低価格で売られており、おそらく輸入した濃縮果汁を還元して作ったワインだと思います。酸化防止剤を付加する普通のワインとくらべても、工業的に作られたワインであることは否めないでしょう。
オーガニックにしろ、酸化防止剤無添加にしろ、あまりマーケティング的に使われているケースについては、あまり鵜呑みにしてはいけないような気がします。
訪米中の安倍首相も乗った電気自動車テスラ。そのメーカーが新たに蓄電池ビジネスに参入することを発表したのに併せ、ケンダル・ジャクソンなどを擁するジャクソン・ファミリー・ワインが試験採用したことを明らかにしました(Jackson Family Wines Collaborates with Tesla Energy to Pilot Stationary Energy Storage Systems - Yahoo Finance)。
参考:テスラ、電気自動車の次は蓄電池で世界を変える(page 3) - エネルギー - 日経テクノロジーオンライン
テスラはパナソニックなどと巨大な蓄電池工場を建設中であり、それを自動車だけでなく、家庭用や産業用の蓄電池にも使っていくもよう。ジャクソン・ファミリーはケンダル・ジャクソンだけでなく、傘下の複数のワイナリーにこの蓄電池を設置し、総容量は4.2MWに達するとのことです。
既に設置済みの太陽電池と組み合わせることで、電気代をこれまでの4割に相当する200万ドル節約できるそうです。ただし、この蓄電池だけによるメリットがどれだけあるのかは明らかにしていません。
通常、太陽電池は設備の電力を賄うのと同時に、電気が余っているときは電力網に売電することで電気代を節約します。今回の蓄電池を使うと、電気が余っているときは蓄電池に保存できるので、従来の電力網に依存する割合が減るのが大きなメリットなのかと思います。
太陽電池など再生可能エネルギーの増加は、電力網の安定運用にとっても課題となりつつあり、今回の蓄電池はその問題の解決にもつながるものだと思います。
参考:テスラ、電気自動車の次は蓄電池で世界を変える(page 3) - エネルギー - 日経テクノロジーオンライン
テスラはパナソニックなどと巨大な蓄電池工場を建設中であり、それを自動車だけでなく、家庭用や産業用の蓄電池にも使っていくもよう。ジャクソン・ファミリーはケンダル・ジャクソンだけでなく、傘下の複数のワイナリーにこの蓄電池を設置し、総容量は4.2MWに達するとのことです。
既に設置済みの太陽電池と組み合わせることで、電気代をこれまでの4割に相当する200万ドル節約できるそうです。ただし、この蓄電池だけによるメリットがどれだけあるのかは明らかにしていません。
通常、太陽電池は設備の電力を賄うのと同時に、電気が余っているときは電力網に売電することで電気代を節約します。今回の蓄電池を使うと、電気が余っているときは蓄電池に保存できるので、従来の電力網に依存する割合が減るのが大きなメリットなのかと思います。
太陽電池など再生可能エネルギーの増加は、電力網の安定運用にとっても課題となりつつあり、今回の蓄電池はその問題の解決にもつながるものだと思います。