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Date: 2019/0629 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・スペクテーターにベッドロックの自社畑であるベッドロック・ヴィンヤードのワイン「ベッドロック・ヘリテージ」の垂直試飲の記事が掲載されていました(Heritage Zinfandels: A Bedrock Vineyard Vertical Tasting | Wine Spectator)。

カリフォルニアの貴重な財産、古木の世界」の記事でもベッドロックについて取り上げていますが、オーナーのモーガン・ピーターソンのマスター・オブ・ワインの論文のテーマがこの畑の分析でした。1880年代に作られた畑で、ジンファンデルのほか、カリニャンやプティ・シラー、マタロ(ムールヴェードル)など10種類を超えるブドウが植わっています。

2004年にモーガンの父でレイヴェンズウッドの創設者であるジョエル・ピーターソンが購入し、2007年からベッドロックとして単一畑のワインを作っています。

今回の垂直試飲では2011年から2017年までを試飲しており、2011年と2016年に最高の96点がついています。ワイン・スペクテーターではジンファンデル系のワインでこれまで最高の得点が96点で、カーライルが取っているだけでした。これでベッドロックも名実ともにカリフォルニアのジンファンデルのトップの称号を得たといってもいいかもしれません。なお、2016年のものは昨年のワイン・スペクテーター年間トップ10に選ばれています。

また、2011年という気温が低く、比較的評価の低いヴィンテージのワインに高評価が付いたのも面白いところだと思います。ジンファンデル系のワインはどうしても過熟気味になり、アルコール度数も高くなりがちなので、冷涼な年の方がそれが抑えられるという面もあるのかもしれません。

このところ、前述の古木の記事、セミナーで暑かったリッジ「アカデミー・デュ・ヴァン3回目」、生産者が来日したスリー「100年超の畑のワインが3000円! 歴史伝えるワイナリー「スリー」」と古木関連のことが相次いでいますが、タイミングよくこの記事もでてきました。そういう流れなのでしょうか。

ベッドロックついでにもう一つニュースを書いておくと、レイヴェンズウッドのフラッグシップとして知られていたオールド・ヒル・ランチ。1850年代に開墾が始まった、現存するカリフォルニアで一番古い畑と言われています。ここのワインをベッドロックが作り始めました。オールド・ヒル・ランチ、近年の評価はあまりぱっとしていませんが、ベッドロックのワインとして生まれ変わることで、また大きく評価が変わるかもしれません。モーガンは「自分たちが作った最高のワインの一つだ」と評しています。



Date: 2019/0628 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントンの雄、チャールズ・スミスが作るワインズ・オブ・サブスタンスのカベルネ・ソーヴィニヨン。今年前半に試飲したワインの中でも、最も衝撃的だったと言っても過言ではないレベルのワインでした。

その新ヴィンテージの2017年が国内に入ってきています。

2016年はワイン・アドヴォケイト、ワイン・スペクテーター、ワイン・エンスージアスト、ジェームズ・サックリング、ジェブ・ダナックからこぞって90点以上の高い評価を得ていましたが、さすがにその高評価を続けるのは難しいかと思いきや…。

なんとジェブ・ダナックからは93点という前年と同じ、ワイン・スペクテーターからは前年より1点高い91点という評価。少なくとも前年より悪いことはなさそうという、恐るべき状況です。

2000円台でおいしいカベルネを探している人はぜひ飲むべきワインです。




Date: 2019/0628 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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日本のアマゾンで、海外配送が無料になるキャンペーンを開催しています。日本時間の7月7日23:59までです。10冊以上、合計3800円以上で「海外配送(エコノミー)」を選ぶ必要がありますが、海外在住で日本の本を買いたい人には朗報ですね。

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Date: 2019/0627 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カーネロスでトップクラスのピノ・ノワールを作っているドナム(Donum)の創設者アン・モラー・ラッケがドナムを辞め、個人のプロジェクト「ブルー・ファーム」に専念することが明らかになりました(Anne Moller-Racke Shifts Her Focus To Blue Farm)。

アン・モラー・ラッケはドイツからの移民。1983年にブエナビスタのワインメーカーになり、ワイナリーの拡張に貢献しました。2001年にブエナビスタが売却された後、ブエナビスタのカーネロスの畑を手に入れて始めたのがドナムです。

以来、カーネロスでトップクラスのピノ・ノワールを作り続けています。またドナムは農場のここかしこに様々なアーティストの彫刻を置いていることでも知られています。2011年にワイナリーを売却した後もとどまっていましたが、このほど醸造設備の刷新などが完成したのを機に、辞めることになりました。
草間彌生の作品
ブルー・ファームは彼女の自宅であるソノマのビクトリア調の農家の裏にブドウの木を植えたのが始まり。2013年に1861ヴィンヤードという畑を持っている人がパートナーになってワイナリーを始めました。今ではエステートのピノ・ノワールのほか、契約畑の単一畑やAVAものなどを作っています。
Date: 2019/0626 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界最大のマリファナ農園がサンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズに作られようとしています。147エーカー(約60ヘクタール)の広さで東京ドーム13個分ほどの広さに、温室が立ち並ぶ予定です(How Santa Barbara County opened its doors to the world)。そこから2マイル離れたところでは83エーカーの農園が既に作られています。

カリフォルニアでマリファナの娯楽利用で解禁され、許可を取ってマリファナを育てる農家は増加しています。ただ、多くの郡では栽培場所や広さなどをかなり限定しているのに対し、サンタ・バーバラは広さに制限を付けない方向に舵を切りました。そこで高級ワイン産地として知られるサンタ・リタ・ヒルズにさえもマリファナ農園が作られるようになってきたわけです。

ただ、マリファナには独特の匂いがあり、ワイナリーのテイスティング・ルームなどでもその匂いがかがれてしまう、といった弊害も出ています。温室に匂いをコントロールする装置を付けるよう指導はしていますが、それでも影響ゼロにするのは難しそうです。

また、ブドウ畑の近くにマリファナ農園ができた場合、農薬の散布が難しくなるといった問題もあります。マリファナから農薬が検知されると、それは販売できないからです。

マリファナ農園の多くが、もっと田舎に作られている中で、ワイン産地でもあるサンタ・バーバラが打った賭け、どのようになるのでしょうか。ワインファンとしても気になるところです。
Date: 2019/0625 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コントラコスタ・カウンティというマイナーな生産地で100年を超える古木、しかも自根・無灌漑の畑から、極めてリーズナブルな価格のワインを作っているのが「スリー(Three)」です。このたび、そのスリーの生産者であるマットとエリンのクライン夫妻が来日、話を聞く機会をいただきました。なおスリーとは、天、地、人の3つを表しているそうです。

なお、古木の世界については先週公開した「カリフォルニアの貴重な財産、古木の世界」の記事もご覧いただけると幸いです。



クラインというと、「あれ?」と思う人もいるかもしれません。ソノマにクライン・セラーズというワイナリーがありますが、マットはクラインの創設者でもあり、兄弟で経営していましたが、そこを2002年にやめて作ったのがスリーなのです。母親がコントラコスタの出身で、クラインもコントラコスタのブドウを使っていました。そういった縁もあり、独立したときに畑を探したのがコントラコスタでした。

また、実はマットさん、1988年から2年ほど、日本にいたそうです。栃木県のココ・ファーム・ワイナリーで働いていました。マットさんの後ココ・ファームでワインメーカーになり、現在は北海道でワイン造りをしているブルース・ガットラブさんを招いたのもマットさんだったとか。現在、スリーを輸入している布袋ワインズは、創設当時ブルース・ガットラブさんの紹介や目立てでワインの輸入を始めたという経緯があり、実は縁がつながっていたのですが、今回の来日で初めてそれが判明したそうです。

コントラコスタの市
さて、コントラコスタについてはワイン産地としてはほとんど知られていないと思うので、どのようなところか紹介しましょう。

サンフランシスコの半島があって、その内海が南側のサンフランシスコ湾と北側のサンパブロ湾になっています。サンパブロ湾はナパやソノマのカーネロスに接しており、そこからの冷涼な空気がナパやソノマのソノマ・ヴァレーにおいては大きな影響を与えているのはご存知の方が多いのではないかと思います。そのサンパブロ湾の東側、大学で有名なバークレーの北にリッチモンドという市があります。ここがコントラコスタの西端です。このように、サンフランシスコにも近く、郡内にもリッチモンドのほか、コンコードやウォルナット・クリークなどの市もあり、基本的には郊外の住宅地となっている地域です。

地勢的に見ると、サンパブロ湾の東側にサスーン(Suisun)湾あるいはサスーン海峡と呼ばれる浅い海があり、サン・ホアキン川とサクラメント川が流れ込んでいます。コントラコスタは内陸で気温は比較的高くなりますが、この海に近いところはサンパブロ湾からの冷気も流れ込んでくるため、比較的気温が低く、ブドウの生育にも適した土地になります。スリーの畑はコントラコスタの北東端にあるオークリーにあり、海に近いところです。夏場、非常に気温が高くなると、ブドウが光合成を止めてしまうといったことが起こりますが、ここは海からの風が吹くために比較的そういうことが起こりにくくなっています。なお、サクラメント川をさらに上流に行くとロウダイ(Lodi)があります。ロウダイはカリフォルニアのワイン生産の中心的な場所だったこともあるところで、ガロや、ウッドブリッジなどの本拠地はロウダイにあります。

また、ウォルナット・クリークの東側にはディアブロ山という標高1185mの山があります。冬には雪も降る山ですが、海の方から来る低気圧の雲がここに雨や雪を降らすため、オークリーなど、山の東側は非常に降水量が少なくなります。年間の雨量は600mm~900mm程度となっています。

また、スリーの畑のあるところの大きな特徴はその土壌です。デルハイ・サンズと呼ばれる、海からの風によって運ばれてくる極めてキメの細かい砂地になっています。この砂地のおかげで、スリーの畑は19世紀に自根で植えられたにもかかわらず、フィロキセラにやられずに済みました。また、20~30フィートくらいの深さのところに水の層があるため、降水量が少ないにもかかわらず、灌漑せずにブドウが育ちます。

畑のブドウの木は、古木では一般的な株仕立てですが、よく見かける盆栽のような丸い形ではなく、横に広がったような形。木と木の間は10フィート(約3m)とかなりたっぷり開いています。木と木が水を取り合うため、間隔を広くしているのだそうです。また、風が強いため、ブドウを上に伸ばすよりも横に伸ばすことを趣向しています。

古木紹介の記事にも書いたように、19世紀に植えられた畑のほとんどが「フィールド・ブレンド」といって複数の品種が畑の中に混ざって植えられています。スリーの畑ではジンファンデルとカリニャン、マタロの3品種が中心です。スリーの名前はこの3品種という意味合いもあるとのこと。ちなみにマタロはフランスでいうムールヴェードルです。スペイン・バルセロナのマタロの港から出荷されてきたことからその名が付いたと言われています。

この3品種は当時メジャーだった品種だそうですが、ソノマあたりの古木の畑で比較的多いプティ・シラーはあまり多くなく、また植えられているものも比較的後から植樹されたものだとのこと。このあたりの品種選択は、どこからの移民なのかによっても違っていたそうです。

スリーのワインは現状4種類が日本に輸入されています。フィールド・ブレンド オールド・ヴァインズ(2015年、2800円)、プティ・シラー コントラコスタ・カウンティ(2015年、3600円)、ジンファンデル オールド・ヴァインズ(2015年、3300円)、ジンファンデル ライブ・オーク(2015年、4700円)。



フィールド・ブレンド オールド・ヴァインズは39%カリニャンで26%マタロ、17%ジンファンデル、11%プティ・シラー、5%アリカンテ・ブーシュ、2%ブラック・マルヴォワジーという構成。非常に柔らかい味わいのワイン。優しい甘みにラズベリー、ブルーベリーの風味。タンニンはきめ細かくスムーズ。特にこの柔らかさが、スリーの味わいの特徴となっており、これがその入門的なワインになると思います。

次のプティ・シラーは打って変わってパワフルでタニック。ちょっと土っぽさも感じます。プティ・シラーのほか、カリニャンとマタロも入っています。スリーのワインの中では一番力強さを感じるワイン。

ジンファンデル オールド・ヴァインズは個人的に一番好きだったワイン。76%ジンファンデルで9%カリニャン、9%プティ・シラー、6%マタロ、1%アリカンテ・ブーシュ。柔らかさの中にしっかりとしたストラクチャーがあり、ブラック・ペッパーなどのスパイスの風味も豊か。3000円台前半でこのクオリティは素晴らしいと思います。

最後はジンファンデルのライブ・オーク。ライブ・オークはヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティにも登録されている畑です。オールド・ヴァインズと比べると洗練されてややエレガントな味わい。

ちなみに、今回のワインは新宿にある今半万窯 新宿サザンタワー店でいただきました。スリーの柔らかな味わいは和食と合わせても問題なく、予想以上にいいマッチングでした。もちろんすき焼きにはジンファンデルが合うことは言うまでもありません。





Date: 2019/0624 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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これはまじで安い、サンタ・バーバラの一流ワイナリーのワインが半額セール」という記事で紹介したアルタ・マリアのピノ・ノワール。ようやく家で開けた(最近、なかなか家でワインを開けることがないのです)のですが、カツオ出汁系のうまみがたっぷりで、上品な酸があり、とてもきれいなワインでした。

このレベルで2000円台はやはり相当なバーゲンです。在庫限りなので、再度おすすめしておきます。

Date: 2019/0623 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・スペクテーターにリッジのモンテベッロ(モンテベロ)の垂直試飲の記事が出ていました(Ridge Through the Ages: A Monte Bello Retrospective Wine Tasting | Wine Spectator)。有料会員向け記事なので、詳しい内容は伏せますが、樽による風味の違いなど、非常に興味深い内容も多く、かなり読み応えのある記事でした。

垂直試飲は一番古いもので1968年という、まだ「モンテベッロ」という名前を付ける前のものからという貴重さ。まだブレンドもされていない2018年のバレルサンプルまで18ヴィンテージにわたります。

個人的に特に興味を持ったのが、リッジの熟成について。

リッジのモンテベッロは、パリスの審判の30年後試飲会で1位になったように、カリフォルニアワインの中でも長熟型で知られています。若いワインでは、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンなどと比べると果実味が抑えられているため、むしろ物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、年々それが熟成の魅力に移っていきます。逆に、果実味中心のワインの場合、時間が経つにつれて果実味は落ちていきますが、熟成の魅力はあまり出てこないワインもあります。その点、リッジは確実に熟成して美味しくなるワインといえます。

今回の試飲では2007年より古いものになると、若さから熟成へと魅力が移り、「第2段階」に入ったと評されていました。

先日、私が講師をしたアカデミー・デュ・ヴァンのセミナーでも2007年を試飲しましたが、確かにただ時間がたって果実味が落ちたのではない、熟成の魅力が出始めていたワインでした。

もちろん、ヴィンテージによって異なるでしょうが、12年くらいが一つの目安になるのかもしれません。

古いものも、実は価格は新しいものとほとんど変わらないので、きちんと保管された熟成モンテベッロを買うのはかなりリーズナブルだと思います。熟成したワインを飲みたい方は一つの有力候補にしてください。

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Date: 2019/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのハイツ・セラーズがラザフォードのワイルドウッド・ヴィンヤードという50エーカーの畑を購入しました(Heitz Wine Cellars purchases 50-acre vineyard in Rutherford)。記録によると価格は2500万ドル。

"Heitz take home"by K Wudrich is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

ワイルドウッド・ヴィンヤードは従来スターリングが使っていた畑で、親会社であるトレジャリー・ワイン・エステートがオーナーでした。トレジャリーの代理人によると「この畑はビジネスのコアではない」と判断したとのこと。

ハイツ・セラーズは1961年にハイツ家が設立したワイナリーで、マーサズ・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンなどで知られています。2018年にアーカンサスのビリオネアであるゲイロン・ローレンス・ジュニアに売却されています。なお、マーサズ・ヴィンヤードはハイツ家がメイ家からリースされていたものであり、売却対象には入っていません。

ワイルドウッド・ヴィンヤードはハイツのトレイルサイド・ヴィンヤードのすぐ横の畑。近くにはケイマスやベクストファー・ジョージIIIなどの畑があります。
Date: 2019/0620 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アイアンストーン・オブセッション
シエラフットヒルズにある老舗ワイナリー「アイアンストーン」。ちょい甘な「シンフォニー」種のワインや古木のジンファンデルなどで知られるワイナリーですが、ここがはじめてのロゼを発売します。日本に輸入されるかどうかは不明です。

このロゼ、ボトルワインはなく375mlの缶のみです。白ブレンド、赤ブレンドの缶と同時に発売されます。価格はいずれも6.99ドル。

ロゼはホワイト・ジンファンデルにピノ・グリージョをミックスしたもの。ちょい甘でさわやか。ストロベリーの香りがあり、ザクロやシトラスの風味があるとのことです。

アイアンストーンついでといっては何ですが、紹介しそこなっていた格安ジンファンデルも合わせて紹介しておきます。これは日本市場での格安品。

格安品といっても安物ではなくむしろその逆。10ドル台のワインを中心とするアイアンストーンの中ではフラグシップの一つとなる単一畑のジンファンデル。昨日紹介した古木の畑の認定団体HVSに登録されている畑のものです。ワイナリー価格で35ドルするものが税抜きで3480円と現地価格より安くなっています。ボトルに畑の最高樹齢である107年(2016ヴィンテージ)が記されているのも面白いところです。

Date: 2019/0619 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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このところ、古木の畑の記事が公開されたり(Uncovering the Magic of Old Vines | Wine-Searcher News & Features)、自分のセミナーでリッジを取り上げたときに改めてリットン・スプリングスやガイザーヴィルについて調べたり、ベッドロックのモーガン・ピーターソンのマスター・オブ・ワインの論文を読んだりなど、古木について考える機会がいろいろありました。また先週はコントラコスタで古木の畑から素晴らしいコスパのワインを作っている「スリー」の生産者が来日し、話を聞く機会もありました。

スリーについては、きちんとまとめる予定ですが、英語の録音を全部聴き直すのにまだ数日はかかりそうなので、そのイントロダクションの意味も込めて、古木の世界を少し紹介したいと思います。

2011年から活動を始めた非営利団体の「ヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティ」には、現状126個の畑が登録されています(数え間違いでなければ)。また、未登録ですが登録候補となっている畑のリストがそれと同じくらいあります。登録の条件は、(1)現在もワインを作っているカリフォルニアの畑であること、(2)最初の植樹が50年以上前であることの証拠があること、(3)現在ワイン造りに使われている木の3分の1以上が最初の植樹に遡ること、の3つ。3つ目の条件はなかなか難しく、例えば1949年に最初に植えられたナパで一番古いカベルネ・ソーヴィニヨンの畑と言われているJJ Cohn(スケアクロウの畑)などが登録候補状態にとどまっているのはその条件がクリアできていないのではないかと思います。

古木の畑の中でも特に重要なのがジンファンデルの畑です。19世紀に植えられた畑で現存しているものの大部分はジンファンデルの畑です。そのほとんどがフィールド・ブレンドといって、畑の中に複数の品種が混じって植えられた形になっています。

複数の品種が混じった理由はいくつかありますが、ジンファンデルの特性が関係しているようです。ジンファンデルは成熟が一様でなく、一つの房の中でも完熟したブドウとまだ青いブドウが混じるといったことが普通に起こります。そこでワインが青臭くなるのを防ぐために、色の濃い他の品種を混ぜて植えたようです。

多くのワイナリーでは、これらを一緒に収穫して醸造する「コファーメント」の手法を使っています。これによって、複雑さが生まれると、多くのワインメーカーは考えています。色調が安定する効果もあると言われています。フィールド・ブレンドの比率は畑によって違いますから、ある意味それぞれが唯一無二の味わいを生み出しているとも言えるでしょう。

そもそもなぜ当時ジンファンデルが多く植えられたかというと、一つにはジンファンデルは房が大きく収穫量も多くなるといったことがあったようです。また当時の役所が「最もクラレット(ボルドーの赤ワインのこと)に近い味わいを出すのがジンファンデルだ」とジンファンデルを植えることを推奨したという話もあります(なぜカベルネ・ソーヴィニヨンを推奨しなかったのかは不明です)。また、ジンファンデルは比較的病害にも強く、19世紀末にフィロキセラの害が蔓延する中で、他の品種からジンファンデルに植え替えられたという例もあったようです。フィールドブレンドの畑でも19世紀末にジンファンデルの比率が上がっています。このほか、ジンファンデルは年をとった木でも、まだそれなりの収量があるため、植え替えられずに残ったということも関係していそうです。

ちなみに、カベルネ・ソーヴィニヨンは比較的若い木でもいいワインができる(例えばパリスの審判で1位になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのSLVの畑は当時樹齢10年以下でした)、年をとると極端に収量が落ちるといったことから、30年程度で植え替えられることが多く、なかなか古い木が残るケースが少ないようです。

とはいえ、ジンファンデルもやはり収量は落ちますから、経済的に古い畑を維持できる環境を作っていくことが大事になります。ヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティを作ったのも、古い畑の重要性に皆に気づいてもらうことが大きな目的だったと思います。

この団体の初期メンバーの一人であるベッドロックのモーガン・ピーターソンは、古い畑の維持に積極的に取り組んでいる一人です。彼の作る「オールド・ヴァイン・ジンファンデル」は、「オールド・ヴァイン」の広告塔的な役割を担うとともに、それなりの価格で売れるワインに使うことで、古木の維持につながるという目的もあって作られています。

もっと古くから古い畑のブドウを使ったワインを積極的に作っているワイナリーとしてはリッジやターリーがあります。リッジはリットン・スプリングスなどの有名な畑だけでなく、様々な畑のワインを「ATP(Advanced Tasting Program)」というクラブメンバー向けに提供しています。ターリーは30を超えるほどの数多くの古木の畑から単一畑のワインを作っています。

古木の畑が特に多い地域としてはソノマとロウダイがありますが、ソノマではセゲシオなども古い畑のワインを積極的に作っています。また、ロウダイではマイケル・デイヴィッドが人気ワインの「セブンデッドリージンズ」に使うために、古木の畑のブドウを積極的に購入していました(ブランド売却により、今後どうなるのかが少し心配ですが)。

また、「ニューカリフォルニア」系の生産者でもブロック・セラーズなど、無名の地域の知られざる古い畑でマイナー品種を作っているところ探してきてワインを作っています。こういった、ジンファンデル以外の活動も興味深いものがあります。

世界を見渡せば、オーストラリアのバロッサ・ヴァレーやギリシャのサントリーニ島など、もっと古い木が残る地域もありますが、カリフォルニアのオールド・ヴァインも貴重な歴史の一つです。カリフォルニアワイン・ファンとしては、それを守るワイナリーを応援していくことが必要だと思います。

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Date: 2019/0618 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナイツ・ヴァレーにあるロウアー・エステート(Lawer Estates)のヴィオニエ2014と2015が格安で国内入荷しています。米国では2014が24ドル、2015が28ドルですが、今回はそれが2800~2900円程度という格安。2014はロバート・パーカーが「最近飲んだヴィオニエの中では最も魅力的」として90点を付けています。

畑はシラーで100点を取ったことのあるオブシディアンのすぐ近くというローヌ系品種に向くと思われるところ。ワインメーカーは有名なジョエル・ゴットのお父さんであるカリー・ゴットとすごい名前が並びます。

スポットでの特別価格の入荷なので、今回限りの格安です。お早めに。

Date: 2019/0617 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界最大規模の家族経営のワイナリーとして知られているE&Jガロ。実際にはガロという一つのブランドではなく、ガロの傘下に数多くのワイナリーやブランドがあるといった形になっています。最近ではコンステレーション・ブランズから30を超えるワイン・ブランドを買収したことも大きなニュースになりました。

今回は、ガロ傘下のプレミアムなワイナリー「ウィリアム・ヒル」「オリン・スウィフト」「マクマレー・エステート」のワインを飲みながらそれに合わせて作った料理とのマリアージュを楽しむというイベントに参加してきました。しかもガロでグローバル・ソーシング・ディレクターを務めるマスター・オブ・ワインのニコラス・パリス氏がそれを解説するという贅沢さです。食事は銀座のビストロ・バーンヤード。


ビル・マクモラン アジア・パシフィック・バイス・プレジデント(左)とニコラス・パリスMW グローバル・ソーシング・ディレクター(右)

まず、3つのワイナリーについて簡単に紹介しておきましょう。

ウィリアム・ヒルは1976年にウィリアム・ヒルによって設立されたワイナリー。2007年にガロ傘下に入っています。ワイナリーはナパにあり、ナパのシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなどを作っています。

オリン・スウィフトは才人デイブ・フィニーが1998年に設立したワイナリー。「レッド・ブレンド」のプリズナーで一世を風靡しましたが、2010年にプリズナー・ブランドをヒュネイアス・ヴィントナーズに売却、現在はコンステレーション・ブランズがプリズナーを所有しています。オリン・スウィフトは2016年からガロ傘下になりましたが、今もデイブ・フィニーがワイン造りをしています。デイブ・フィニーとしてはガロ傘下になることで、ワインのマーケティングを任せ、ワイン造りに集中することができるようになったそうです。

マクマレー・エステートはピノ・ノワールを中心とするワイナリー。ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーなどに畑を持っており、100%自社畑のブドウでワインを作っています。俳優のフレッド・マクマレーが設立し、彼の死後1996年にガロ傘下に入っりました。


最初のワインはウィリアム・ヒルのナパ・シャルドネ2016。アメリカン・オークの樽を使い、シュール・リーで1年半熟成させており、マロラクティック発酵も100%行っています。最近では珍しいほどのフルボディのシャルドネで樽の香りもかなり強く、トロピカルフルーツやスパイシーさもあります。


これに合わせたのは「フェンネルの鉢植え仕立て 味噌とサワークリームのディップ添え」。左下には素揚げしたディルが付いています。

フェンネルは爽やかですが、サワークリームをつけるとそのまろやかさとクリーミーなテクスチャが濃厚なシャルドネとよく合います。またフェンネルの下にはナッツと味噌がありますが、これが樽香ともうまくマッチ。ニコラス・パリスMWによるとディルの香りもアメリカン・オークと共通するところがあるそうです。

一般には食事向けでないと一蹴されてしまいそうな濃厚シャルドネですが、このように合う要素を入れていくと予想以上に食事とマッチングするのが最初の一皿からわかります。

もう一つシャルドネが続きます。今度はオリン・スウィフトの「マネキン」2016。ラベルのマネキンの写真のコラージュが印象的です。

こちらも樽香がはっきり効いたパワフルなシャルドネです。ただ樽はフレンチ・オークを使っており、スパイシーさなどは少し穏やかになっている印象です。ニコラス・パリスMWによると、フレンチ・オークはナツメグやベイキング・スパイスの風味があるとのこと。ブドウはソノマとナパのアトラス・ピーク、カーネロスのものを使っているとのこと。涼しいところのブドウをブレンドすることで、きれいな酸味があります。


こちらに合わせた料理は「アサリ・ムール貝・アワビのタブレ仕立て フロマージュブランとタラゴンの香り」。こちらもナッティな風味やクリーミーさがあり、濃厚なシャルドネによく合います。あわびの肝の苦味がちょっとしたアクセントになっていて、ワインのパワーとよく合っていました。

3つ目のワインはマクマレーのロシアン・リバー・ヴァレー・ピノ・ノワール2016。

穏やかな酸味のピノ・ノワールで、赤い果実に加え、ブルーベリーの風味もあります。樽香とタンニンも比較的しっかりとした、いかにもカリフォルニアのピノ・ノワールという作りです。


料理は「鴨の冷製スモーク ドライフルーツ添え」。鴨とピノ・ノワールは鉄板の組み合わせですが、鴨を薄くスライスすることで、比較的軽い赤ワインであるピノ・ノワールに合うようにしているとのこと。さらに鴨をスモークすることにより、よりワインの樽の風味と合うようになっています。クアントロを煮詰めてワイン・ヴィネガーを合わせたというソースはちょい甘で複雑な風味を持ち、柔らかな味わいのピノ・ノワールによく合います。添えられたドライフルーツも酸味や軽い苦味など、ピノ・ノワールと共通する風味を持っており、これもうまくワインに合っていました。

4つめのワインはオリン・スウィフトの「アブストラクト」2017。このワインのイメージはイタリアに旅行にいったときに雑誌を見て思いついたもので、それから雑誌の切り抜きを230枚集めてラベルをコラージュしたとのこと。これをシラーとプティ・シラー、グルナッシュのブレンドというイメージに合わせたそうです。

とてもパワフルなワインで、濃厚かつ甘みを感じます。カシスなどの果実味に、ホワイト・ペッパーなどのスパイスが絡み、スムーズで蠱惑的な味わい。単体で飲むにはおいしいワインですが、料理にはどう合うのでしょうか。


料理は「穴子のスパイス煮」。赤ワインベースのソースにトマトを合わせ、シナモンやクローブなどのスパイスを加えています。軽い甘みとスパイスの風味がワインの特徴と合っており、これも素晴らしいマリアージュでした。

5つ目のワインはウィリアム・ヒルのカベルネ・ソーヴィニヨン。ブルーベリーなどの青系の果実味豊かなパワフルなワイン。酸味はおだやかで、しっかりとしたストラクチャーを持っています。ブドウの96%はクームズヴィルだとのこと。近年はこの地域からもいいカベルネ・ソーヴィニヨンが作られており、注目の地域の一つです。


合わせた料理は「黒毛和牛上クリ肉のロースト 黒トリュフ香るマディアのソース」。牛肉とカベルネ・ソーヴィニヨンですから合わないはずがないですが、さらにマディラのソースの甘みとトリュフの風味が、フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨンに見事に寄り添います。料理もワインも本当に美味しいです。幸せ。


最後のワインはオリン・スウィフトの「パピヨン」2016。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド、マルベック、カベルネ・フランにプティ・シラーのブレンド。ボルドー系でありながらプティ・シラーも入れているのが面白いところ。カベルネ・ソーヴィニヨンが60%とメルローが22%でこの2つが中心的になっています。フレンチ・オークで15ヶ月熟成。新樽率は45%。アルコール度数が15.7%もあるのにはちょっとびっくりしましたが、ウィリアム・ヒルと比べてやや柔らかくまろやかな味わい。オリン・スウィフトのワイン全般に言えますが、尖った味わいではなく丸さを感じるワイン。

デイブ・フィニーがこのワインを作ったとき2つの手のイメージに合わせる8文字の単語を探していたそうです。娘が蝶を見て「パピヨンだよ」と言ったのにインスピレーションを得て名前を決めたとのこと。ガロ傘下になったことで、ガロが買収したステージコーチのブドウも使えるようになったとのこと。


料理は「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」。ゆっくり時間をかけて煮込んだホホ肉は柔らかく、自然な甘みがあります。まろやかな味わいはワインの丸さと共通する味わい。これも素晴らしいマッチング。

今回の3つのワイナリー。ワイン造りについてはそれぞれ独立していますが、共通点としてはカリフォルニアらしく、果実味豊かで芳醇なワインであること。酸は比較的少なく、甘みを感じるワインになっています。近年増えている、早摘みしてアルコール度数を低く抑えてしっかりとした酸があるようなワインとは対極的な作り。これはいい悪いではなく方向性の違いということです。

こういったワインだと料理には合わせにくいというのが一般に言われるところですが、今回のビストロ・バーンヤードの料理はお世辞抜きで美味しく、どれもそれぞれのワインにしっかりと合っていました。ソースなどで少しずつ甘さを加えていたり、クリーミーなテクスチャでワインのまろやかさと合わせていたり、ワインと共通するようなスパイスの風味を加えているのが功を奏したのではないかと思います。ワインと料理の合わせ方という点でも非常に興味深く面白いディナーでした。

Date: 2019/0615 Category: おすすめワイン
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柳屋でセインツベリーのシャルドネが6月限定で25%オフのセールになっています。

セインツベリーと言えば、ナパのカーネロスにおけるピノ・ノワールやシャルドネのパイオニアの一つ。カリフォルニアワインとしては珍しいほど果実味を前面に押し出さず、デリケートで上品なワインを作り続けています。

2年前に創設者の一人のディック・ワードが亡くなり、最近はあまり話題に上ることは少なくなりましたが、ワインのスタイルも価格も20年前からほとんど変わらずにやっているのは立派だと思います。

ちなみに今回セールになっている2014年はワイン・エンスージアストとジェームズ・サックリングで91点と高く評価されています。6本で送料無料。


Date: 2019/0614 Category: 業界ニュース
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ナパで初めてとなる歴史博物館「1881 Napa」がオープンしました(Jean-Charles Boisset Introduces Napa Valley’s First Wine History Museum and Tasting Salon: 1881 Napa | Wine Industry Insight)。

開いたのはジャン・シャルル・ボワセ。レイモンドやソノマのブエナビスタ、デローチのオーナーです。ブエナビスタにも博物館を開いています。

1881ナパ

場所はハイウェイ29沿い。オークヴィル・グロッサリーの隣にあるビクトリア調の家を改装しました。なお、オークヴィル・グロッサリーもボワセが今年買収しています。

歴史的な展示だけでなく、ナパのサブAVAごとの地図や説明土壌サンプルがあるなど、ナパ自体を学ぶのにも役立ちそうです。

また、ここ用に作られた様々なワインも試飲できます。例えば12個のサブAVAのカベルネソーヴィニヨンを比較するものなどがあるとのこと。

入場は無料ですが、試飲は有料。予約を薦めるとのことです。

1881ナパ
Date: 2019/0613 Category: 業界ニュース
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昨日はアカデミー・デュ・ヴァンの「続カリフォルニアの名門ワイナリー第3回」でした。

テーマはジョセフ・フェルプス。寡黙なワイナリーで、メディアへの露出もあまりない、でも意外と新しいことにいろいろと取り組んできたちょっと不思議なワイナリーです。

インシグニアのセパージュや畑の変遷はなかなか興味深かったのではないかと思います。

インシグニアはやはり美味しかったです。
Date: 2019/0612 Category: おすすめワイン
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ソノマの一番新しいAVAであるペタルマ・ギャップ。太平洋からサンパブロ・ベイに強い風が吹き抜けるトンネルのような冷涼な地域です。この地域の代表的な生産者であるケラー(Keller)エステートのシャルドネ2013年が現地価格以下になっています。米国で平均38ドルが税抜きで2000円台なので、ざっと1000円以上は安い計算です。国内の通常価格だと税込みで5000円程度。それと比べたら2000円ほど安くなっています。

米国では最新ヴィンテージ以外のワインを売るのが難しい面があることからワイナリーが安価で卸してくれたものだとのこと。2013年のシャルドネはワイン・スペクテーターで88点となっています。

Date: 2019/0611 Category: 業界ニュース
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ナパの中でも非常に高額のワインを手がけるブライアント・ファミリーが元財務コンサルタントから契約不履行で訴えられ、その訴状からワイナリーに財務的な問題があることが浮かび上がってきました(Bryant Family Vineyards facing serious financial accusations in federal court | Wine Industry Insight)。

訴えたのはローレン・ライデンアワーという人で、元JPモーガン・チェース。2014年から個人としてブライアント・ファミリーの財務コンサルタントをしていました。

ライデンアワーは2015年に「ドナルドL.ブライアント・アート・トラスト」という信託のために1億ドルのローンをJPモーガンから得るよう依頼されました。9ヶ月の交渉で300万ドル以上の利子を節約したとのこと。

このローンが2019年4月に満期になる前に、2018年に再交渉するよう依頼を受けたライデンアワーは、銀行に提出するためにワイナリーの財務状況のデータを依頼、それに偽りがあったとライデンアワーは主張しています。

それによると、ワイナリーは過去3年で売上が40%落ちており1400万ドル分もの在庫を抱えているとのこと。これは約3万1000本に相当します。ローンの文書には年間の売上は600万~700万ドルとありましたが、実際には250万ドルにとどまっているそうです。

ライデンアワーがこれらを修正するよう依頼したところ、それを断って、契約も解除したことで今回の提訴につながたとのことです。

ブライアントというと21世紀初頭にはワインメーカーだったヘレン・ターリーとの訴訟もありました。まだ何が本当なのかわかりませんが、ワイナリーには様々な意味で傷を残しそうな訴訟です。
Date: 2019/0610 Category: おすすめワイン
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ウメムラにスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨン2015が入荷しています。ワイン・アドヴォケイトでは2002、2007、2010年に続いて4回目の満点を取ったワイン。ちなみに翌年の2016も100点。なお、どちらもレビュアーは編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンです。

30年以上トップクラスで続いていて、複数回満点を取ったワインというと、リッジのモンテベロ(モンテベッロ)、ドミナス、ジョセフ・フェルプス・インシグニアといったあたりがライバル的な存在といっていいでしょうか。

この中でも、しばしば「シャトー・マルゴー」になぞらえられるスポッツウッドは、ナパらしい親しみやすさとエレガントさを兼ね備えていると思います。

これら歴史のあるワインは満点を取ったからといって急に価格が高騰するわけではなく、毎年同じような価格(といっても少しずつ上がっていますが)で買えるのはありがたいところですが、半面入手性は年々低くなってきているような気がします。


Date: 2019/0609 Category: 業界ニュース
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1年ほど前に「ジャンシス・ロビンソンがワイングラス開発、一つでオールマイティ」という記事で紹介したワイングラスが日本でも発売されました。

一つのグラスで白ワインも赤ワインもスパークリングもなんでもOKというこのグラス。125cc注いだときに液面が一番広いところになるように設計されているそうです。

プロも納得の品質です。「1脚で多彩なワインに対応、ジャンシス・ロビンソン・グラス | WINE REPORT」によると、ソムリエの大越基裕さんは「バルーン型は香りが広がりすぎる傾向があるが、これなら甲州ワインや繊細なお茶にも適している。精度の高いペアリングは、短時間でアロマを引き出す必要があるが、適度なサイズなので理想的に開く」と言っているそうです。

見た目にもステムが細く、エレガントです。欧州のガラス職人が一つずつ手吹きで作っているとのこと。最高級のクリスタルですが、鉛は使っていません。

薄いグラスですが食器洗浄機で洗えるそうです。むしろ「手やブラシ、またはスポンジをグラスの中に入れて洗うことはお控えください」とのこと。「グラスを手洗いする場合はグラス半分まで温かい石鹸水を注ぎ、しばらく浸してください。その後、グラスを温水で丁寧にすすぎ、グラスの縁のまわりに残った汚れは湿った布巾で慎重に取り除いてください」だそうです。

父の日のプレゼントなどにも良さそうですよね(というかもらえたらうれしい、と書いておこう)。

Date: 2019/0608 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアの有機栽培ワインのパイオニアであり、有機栽培ワインとしては最大の売り上げを誇るボンテッラ。そのボンテッラが缶入りのワインを発売しました。オーガニックの缶入りワインは初です。
ボンテッラの缶入りワイン

オーガニックと缶入りワインはどちらも成長しているカテゴリー。特に缶入りワインは年間7割近い急成長を遂げています。

今回売り出すのは、ソーヴィニヨン・ブランとロゼ、それから「ヤング・レッド」という赤ブレンドものの3種です。缶入りワインをよく飲む若い世代や、アウトドアなどのシチュエーションに向いた品揃えと言えそうです。

容量は250ml。価格は4本パックでいずれも19.99ドルです。

Date: 2019/0607 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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いまや4万円前後するのが普通になったハーランのメイデン。ハーラン・エステートがカベルネ・ソーヴィニヨン主体なのに対し、メイデンはメルローの比率が高く、セカンドワインというよりも、別のワインといった方がいいかもしれませんが、ハーランの名に見合った高品質であることは確かです。

そのメイデンの2001年が期間限定で税込みでも3万円を切っています。6月11日の午前1時59分までですが、まず間違いなくそれまでに売り切れるでしょう。というか記事公開前に売り切れていたらごめんなさい。


次点の安いのも載せておきます。

Date: 2019/0606 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日はアカデミー・デュ・ヴァンの「カリフォルニアの名門ワイナリー」第3回。リッジ(Ridge)でした。



試飲のワインはこちら。エステートのシャルドネと、リットン・スプリングス、ガイザーヴィル、モンテベロが2007年と12年。

エステートのシャルドネは、非常に評判良かったです。リッジというと赤ワインのイメージが強いですが、このシャルドネはカリフォルニアでも最良の一つだと思います。果実味にバニラやヘーゼルナッツの風味、チョークのニュアンス、すべてが溶け込んでとても調和が取れています。

赤ワイン4種は銘柄公開のブラインドで。
今回は比較的わかりやすく、5グループ中4グループが全問正解でした。特徴がはっきり出ていて良かったです。
一番人気は07年のモンテベロで、次がリットンスプリングス。

僕自身は、若いけど素晴らしいポテンシャルを感じた12年のモンテベロを一押しにしました。
Date: 2019/0605 Category: おすすめワイン
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先日紹介したサンタ・バーバラの「アルタ・マリア」のワイン。そのときは柳屋のみを紹介しましたが、他のショップにも入ってきています。もっと安いところもあります。どちらにしても輸入元在庫限りではあるのでお早めに。

ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールともにワイナリー価格以下の値段になっています。ピノ・ノワールは、まさにこのワインがワインアンドスピリッツ誌で90点のベストバイに選ばれています。ワイン・アドヴォケイトでも90点。シャルドネは88点。

栽培家のジェームス・オンティヴェロスは9代続く農家で、「Native9」というワイナリーもやっています(以前、IPOBで来日したこともありました)。ワインメーカーのポール・ウィルキンスも2015年まではNative9もやっており、2011年にはSFクロニクルの注目のワインメーカーに二人で選ばれているほどです。

最安は「ココス」です。


次はアサヒヤワインセラー。


次はしあわせワイン倶楽部。


柳屋は6本で送料無料になります。

Date: 2019/0604 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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39回目となるオークション・ナパ・ヴァレーがナパのメドウッド・リゾートで開催されました。落札総額は1200万ドル弱と2年連続で減ってしまいましたが、ライブのゲストとしてケイティ・ペリーが参加するなど、盛り上がりを見せました。

なお、過去の落札額は2015年1580万ドル=史上3位、2016年1430万ドル、2017年1570万ドル、2018年1360万ドル。
katy perry

メイン・イベントのライブ・オークション前日は、バレル・オークション。今年は改装したルイ・M・マルティニ・ワイナリーで開催されました。
barrel auction

ライブ・オークションで最高落札額になったのは、一番最初のロットだったコンティニュアム。故ロバート・モンダヴィの父であるチェザーレ・モンダヴィが米国に渡ってから100年ということで、故郷であるイタリアへの旅行などが付いたロットでした。
auction
Date: 2019/0603 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヴィンヤード多摩は、東京のあきる野市にあるワイナリー。東京では5軒目のワイナリーだそうです。あきる野市に自社畑があり、そのワインを作っているほか、長野の塩尻、栃木の岩船のブドウを使ったワインなども作っています。

ここのコンサルタントを務めていたのが沼田実氏。私もFacebookでは「友達」になっていますが、友達というには恐れ多いすごい人です。

柳屋にここのワインならぬ「シードル」が入荷しています。シードルの経験はあまりありませんが、かなり爽やかで美味しそう。値段も親しみやすいレベルです。

僕もまずは買ってみました。東京のワイナリーを応援するためにいかがでしょうか。



ワインも紹介しておきます。
この「ロザート」(辛口のロゼ)はサクラアワードでゴールドを受賞しています。


赤ワインの「ロッソ」はシルバー受賞。


塩尻産ブドウを使ったスパークリングです。

Date: 2019/0601 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・ヴァレーのグレン・エレンにあるワイナリー「コトゥーリ(Coturri)」。1979年設立と、40年の歴史がありますが、これまであまり注意して見たことがないワイナリーでした。しかし、今のワインメーカーである創設者の孫のニッコロ・コトゥーリは、自然派の作りで新しいワインをいろいろと生み出しているようです(White Zin is in, again: Niccolo Coturri is giving the wine a new life - Los Angeles Times)。

中でも気になるのが、引用元の記事タイトルでも取り上げている「ホワイト・ジンファンデル」。ホワイト・ジンファンデルというと、ちょい甘で、元記事では「大学生しか飲まないキャンディでコーティングしたカリフォルニアワインのジョーク」などと書かれるようなワインが一般的。しかし、今回のコトゥーリのホワイト・ジンファンデル「ジン・コンタクト」はピュアな果実味があり、ミネラル感やきれいな酸も特徴なようです。これまでのホワイト・ジンファンデルの概念を覆すようなワインです。ただ、2樽しか作っていないとのことなので、入手するのはかなり難しそうです。

記事に書かれているシャルドネやピノ・ノワールも、いわゆるニュー・カリフォルニア系のぷピュアな作りでかなり美味しそうです。

ニュー・カリフォルニア系のワインが気になる方には要チェックなワイナリーの一つになりそうです。