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Date: 2022/0930 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今、日本で一番人気が高いカリフォルニアワインは689(シックス・エイト・ナイン)ではないかと思います。楽天のアメリカワインのランキングでも、いつも上位に入っています。

実は689セラーズでは689以外のワインも作っています。


中でも「サブミッション(Submission)」のワインは689よりも価格も少し安く、いろいろな意味でお薦めです。



今回、サブミッションを輸入しているアイコニックワイン・ジャパンの試飲会に689セラーズのワインメーカーであるカーティス・マクブライドさんが来ていたので、689との違いなどの話を聞きました。

689のブランドでは「レッドブレンド」と「ホワイトブレンド」の2つのワインだけを作っています。ナパの優れたブドウで親しみやすいワインを作るというのがコンセプト。そのため、残糖とまでは言いませんが、オフドライでちょっと甘みを感じる作りになっています。ボトル1本を開けるというより「2杯くらいを美味しく飲む」というイメージで作っているとのこと。

それに対して、サブミッションではその品種らしい味わいを求めています。ピノはピノらしく、カベルネ・ソーヴィニヨンはカベルネ・ソーヴィニヨンらしく。親しみやすさでは689が勝りますが、ワイン好きの人にとってはサブミッションの味わいの方がいい、ということも少なからずありそうです。また、689はナパにこだわっていますが、サブミッションではAVAにはこだわらず、どれも「カリフォルニア」となっています。

今回、サブミッションが作っている5種を全部試飲しました。

ロゼはグルナッシュ50%、シラー40%、ムールヴェードル10%。爽やかですがコクもあり、エレガント。華やかさもありいいロゼです。
シャルドネは柑橘やフルーツの味わいと酸がきれい。爽やかでほどよく樽も効いています。ちなみに25%新樽で後はステンレスタンク熟成です。
ピノ・ノワールはベリー系の味わいがチャーミング。ふくよかですが甘い感じではなくバランスの良さがいい感じです。モントレー、ソノマ、メンドシーノのブドウを使っているとのこと。
カベルネ・ソーヴィニヨンは果実味豊かでストラクチャーもあります。甘やかさよりも芯の通った味わいのイメージ。ナパだけでなく、ソノマ、ローダイ、メンドシーノのブドウを使っています。
レッドブレンドはジンファンデル46%、グルナッシュ28%、マルベック19%、プティ・シラー7%。これは一番689に似ています。豊かなボディで甘やかさがあります。

これくらいの価格のワインはボリューム感を出すためにアルコール度数を高めに作っていることが多く、確かにサブミッションでもレッドブレンドやカベルネ・ソーヴィニヨンは14.5%ありますが、シャルドネやピノ・ノワール、ロゼは13.5%とそこまで高くしていません。このあたりにもこの3つはバランスを重視して作っている感じがあります。

というわけで689感を求めるならレッド・ブレンド、そうでなければ他のワイン、特にピノ・ノワールとシャルドネとロゼを飲んでみてほしいと思います。

実はアイコニックワイン・ジャパンではサブミッション以外に689セラーズが作る「ラッキードロー」「キラードロップ」というワインも扱っています。ラッキードローはストラクチャーのしっかりしたカベルネ・ソーヴィニヨン。キラードロップはちょっとおりんスイフトを意識したかのようなラベルが印象的なレッドブレンド。

こちらも良いワインですが、まずは希望小売価格2500円と求めやすいサブミッションから試すのをお薦めします。

ロゼ以外の4種と689の赤の入ったセット、いいですね。柳屋です。


サブミッション3種とキラードロップのセット。キラードロップは4000円しますから、結構お安いです。ベストワイン輸入販売大人の至高屋


ロゼは今のところ単体のみです。ベストワイン輸入販売大人の至高屋


Date: 2022/0929 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブリュワー・クリフトン(Brewer-Clifton)やダイアトム(Diatom)のワインメーカーとして知られるグレッグ・ブリュワーが、杉本隆英・美代子夫妻のブランド「シャトー・イガイタカハ(Ch.Igai Takaha)」創設以来続けていた「漢字ワイン」のワインメーカーを退任しました。

グレッグ・ブリュワーは1995年にスティーブ・クリフトンとブリュワー・クリフトンを設立。サンタ・リタ・ヒルズ(当時はまだAVA設立前)の様々な畑から、すべて同じレシピでシャルドネとピノ・ノワールを作るというテロワールを表現したワイン造りを行い、大人気となりました。また、ダイアトムでは樽熟成をしないシャルドネに特化して独自のワインを作りました。

2004年には杉本夫妻が東京の麻布十番に持っていたレストラン「カリフォルニアワインガーデン」でブリュワー・クリフトンのワインメーカーディナーを開き、以来夫妻とグレッグ、スティーブとの交友が続きました。
復刻:2004年のBrewer-Cliftonワイン会実録

2006年には杉本夫妻がグレッグにに「ダイアトムを樽熟成させたら、より和食に合う美しいワインになるのでは?」と提案し、それに賛同したグレッグがニュートラルな樽を使った「Samurai Beauty」を作り、「シャトー・イガイタカハ」のワインとしてリリースしました。このワインがワイン・アドヴォケイトで95点という高評価を得て一躍注目を集めました。
Ch. Igai Takaha "Samurai Beauty"についてのRAQ

これをきっかけに2010年ヴィンテージからはダイアトムの5つのワインに杉本美代子さんの書による「漢字ラベル」を採用して絆は深まっていきました。このダイアトム時代の漢字ワインは漫画『神の雫』にも取り上げられています。
今週の「神の雫」にDiatomの「波紋」が登場
神の雫のダイアトム続編

さらにシャトー・イガイタカハでもシャルドネの「侍」、ピノ・ノワールの「園」という2つのフラッグシップのワインをグレッグが作るようになりました。その後、グレッグは一時的にダイアトムをやめることになり、「シャトー・イガイタカハ」ブランドで、5つの漢字ワインも引き継ぐことになりました。こうして、シャトー・イガイタカハの漢字ワインはグレッグの手により作られてきました。2016年からは「園」がJALの国際線ファーストクラスのワインに採用され、今も使われ続けています。

2017年にはブリュワー・クリフトンをジャクソン・ファミリーが買収。それ以来、漢字ワインは「侍」と「園」の2つに絞ることになりました。また2020年にはグレッグがワイン・エンスージアストのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。非常に喜ばしいことでしたが、グレッグのジャクソン・ファミリーにおける重要さが増したことで、他社向けのワインを作るのが難しくなったということもあるようです。

「侍」と「園」は2022年のヴィンテージ以降はバブコックなどで修行したケネス・ガミア(Kenneth Gummere)氏が担当します。2011年からシャトー・イガイタカハにも携わっている優秀なワインメーカーです。

また、花偲・美夜・風音・鼓動の4種の漢字ワインについては、著名なポール・ラトー(Paul Lato)氏がワインメーカーに就任。「カリフォルニアのテロワールを表現する。産地を限定することなく、カリフォルニアの多様性を感じられる自由な発想と更なる進化を
目指したワイン造りを行う」としています。
イガイタカハ
2022年11月にはポール・ラトー氏による新たな漢字ワインの出荷が始まる予定です。

長く続いてきた杉本夫妻とグレッグのビジネス上の絆が、切れてしまうのは残念ですが、グレッグは日本の文化にも造詣が深く、きっとこれからも日本のことを大事に思ってくれるでしょう。それに友人としての絆は今後も続いていくと思います。また、新たなワインメーカーも才人ばかり。今後のワインにも大変期待ができます。

今後のシャトー・イガイタカハにもますます期待したいと思います。
Date: 2022/0928 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2022年9月15~17日、ソノマ郡のチャリティ・オークションが開催されました。

過去の落札額は2014年が400万ドル、2015年が450万ドル、2016年が470万ドル、2017年が520万ドル、2018年が570万ドル、2019年が610万ドルと増えていっていましたが、2020年はオンライン開催で117万ドル。2021年は170万ドルを超える落札額、今年は2021年をわずかに上回る180万ドルでの落札となりました。収益は400を超えるソノマのノンプロフィットに分けられます。

オークションでは特別なワイン醸造業者とシェフが表彰されます。今年はデローチやブエナビスタなど、カリフォルニアで20のワイン ブランドのオーナーであるヴィントナー賞受賞者のジャン-シャルル ボワセに贈られました。名誉シェフのダスティン・ヴァレットは、ヴァレット(Valette)とヒールズバーグのマセソン(Matheson)での革新的な料理で選ばれました。
Date: 2022/0927 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパの超一流ワイナリー「コルギン(Colgin)」から、初のエントリー向けワインが日本国内にわずかながら入ってきています。

コルギンのワインのラインアップは、自社畑でワイナリーのあるプリチャード・ヒルのIX Estate(ナンバー・ナイン・エステート)からのレッドワイン(ボルドー系ブレンド)とシラー、セント・ヘレナにある自社畑のティクソン・ヒル(Tychson Hill)のカベルネ・ソーヴィニヨン、コルギンのヴィンヤード・マネージャーであるデイビッド・エイブリューがセント・ヘレナに持つマドローナ・ランチなどの畑からのレッドワイン「カリアド(Cariad)」の4ワイン。

ハーランならザ・メイデン、ボンドならメイトリアーク、スクリーミング・イーグルならザ・フライト、オーパス・ワンならオーヴァチュア、スケアクロウならムッシュ・エタンなど、超高級ワインのワイナリーはセカンドワインあるいはセカンドと呼ばないにしてもエントリー向けのワインを持つことがほとんどです。

フラッグシップのワインに厳選したブドウを使うために格落ちのものをセカンドにするとか、植え替えによる若木のブドウを多少早飲みタイプに仕上げてエントリー向けにするなど、理由ややり方はワイナリーによって少しずつ違いますが、フラッグシップに摘んだすべてのブドウを使うことはないでしょうから、多かれ少なかれ残ったブドウで別のワインを作るのは当たり前といえば当たり前のことです。

コルギンも実は2016年のヴィンテージから、ボルドー系の3つのワインから早飲みタイプの樽を集めたジュビレーション(Jubilation)というワインを作っていたそうです。米国内では多少流通があるようですが、日本への出荷は2019ヴィンテージが初。それ以外はカナダのトロントにしか出していないとか。

ちなみにジュビレーションとは「祝祭」という意味。故エリザベス女王の即位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」が今年行われましたが、このJubilee(記念祭)と語源は同じだそうです。国内価格の5万円はファースト各種の約10万円のほぼ半額。コルギンのフルボディだけどエレガントな雰囲気をこの値段で味わえるのなら悪くないと思います。

ココスです。


Wassy'sです。


しあわせワイン倶楽部です。


なお、コルギンはIX Estateの近くに新たな土地を取得し、2020~2021年にかけて植樹したそうです。ここからのブドウも最初はジュビレーションに使われるでしょう。そうなると少し入荷も増えるかもしれませんね。
Date: 2022/0926 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインマンスのイベントで、9月24日、25日は青山のファーマーズマーケットに「カリフォルニアワイントラック」が登場しました。


24日は、ちょうどすぐ近くのアカデミー・デュ・ヴァンで「Capstone」の授業があったので、その後に行ってきました。
ワイントラックでは12種類のワインが1杯500円というオトクな値段で飲めました。さらに、人気ハンバーガーチェーン「カールズJr」の
ハンバーガーのトラックも。久しぶりに食べたカールズJrは美味しかった。


今年のカリフォルニアワイン協会のテーマはローダイなので、ローダイのワインをいただきました。

Old Soulのプティ・シラー。プティ・シラーらしい甘やかさと芳醇さがあります。濃い甘系が好きな人にはお薦め。

Ironstoneのカベルネ・フラン。ローダイのフランは珍しいですね。

25日にはTwitterで募集していた人気投票の結果も発表されました。

1位になった2つのワインはなんと無料で飲ませてもらえるという大盤振る舞い。

「ジャケ買い」1位のジャガーナットは僕も初めて飲みました。コスパワインで知られるボーグル(Bogle)の限定フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨンです。相当濃い系なんだろうと想像していたのですが、とてもバランスよく飲みやすい。プラスチックカップでも、その美味しさがしっかり伝わりました。さすがボーグル、上手に作るなあと、感心しました。
「飲みたい」1位のオー・ボン・クリマ「椿ラベル」ピノ・ノワールはまさにど定番ですね。カリピノとしてはエレガント系ですが、これも毎年安定した味わいで、その人気の高さがうかがえます。

24日は台風接近中で、時間帯によってはかなりの雨だったようですが(僕が立ち寄った時間はラッキーなことにやんでいました)、25日はカリフォルニアのような陽気。爽やかなワインも飲みたくなり、アルバリーニョとロゼも飲みました。


カリフォルニアでアルバリーニョ? と思うかもしれませんが、アルバリーニョは近年注目が高まっている品種です。冷涼地域も面白いですが、案外ローダイのような温暖なところのものも美味しいです。アルバリーニョは気温が高くても酸が落ちにくいとのことで、このワインもしっかりと酸があり爽やか。
ロゼはジンファンデルではなく「プリミティーヴォ」と書かれています。ジンファンデルのロゼだと、ちょい甘の「ホワイト・ジンファンデル」と間違えられるからかなあなどと思ったのですが、どうなのでしょうね。

ワイントラック楽しいイベントだったので、来年も続いてほしいものです。

ボーグルのジャガーナットのカベルネ・ソーヴィニヨン。


「クリンカー・ブリック(Klinker Brick)」のアルバリーニョ。

Date: 2022/0924 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのクロ・デュ・ヴァル(Clos du Val)の初代ワインメーカーであるベルナール・ポーテ氏が創業者の孫で現社長のオラフ・ゴレ氏と来日し、大阪のアカデミー・デュ・ヴァンでセミナーを開きます。

大阪校 鷲谷講師ナビゲーター 生産者来日セミナー クロ・デュ・ヴァル社 ~ワイナリー設立50周年の記念と日本への感謝を込めて~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン
10/10 (月) 開講クラス 月曜日 14:30~16:30 16,500円

試飲のワインは以下の4種
Clos Du Val Cabernet Sauvignon Red Blend 5,000円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 2019 7,200円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 2002 22,000円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 1982 (参考上代なし)

1982年のワインは、このセミナーのために持参してくるもの。現在では手に入れるのも極端に難しいワインです。

クロ・デュ・ヴァルは1972年に設立され、1976年のパリスの審判にも赤ワインの一つとして選ばれた有名ワイナリー。スタッグス・リープでクラシカルなスタイルのワインを作り続けています。ベルナール・ポーテ氏はその最初のワインメーカーです。

なお、参加者のみの特典として、以下のセット(45万円、3セット限定)の購入権があります。
=セット内容=
1979 CABERNET SAUVIGNON - RESERVE
1982 CABERNET SAUVIGNON
1993 CABERNET SAUVIGNON - RESERVE
2008 CABERNET SAUVIGNON - SLD
2015 CABERNET SAUVIGNON -HIRONDELLE
2019 YETTALIL

Date: 2022/0922 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シルヴァー・オークの樽で熟成した日本ウイスキー

の続きで、シルヴァー・オーク(Silver Oak)の試飲について書いておきます。

発表会では「イチローズモルト 秩父 シルヴァー オーク カスク フィニッシュ 2022」と同梱されるシルヴァー・オーク ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2015なども試飲しました。



前の記事でも記したように、シルヴァー・オークの最大の特徴は、アメリカン・オークの樽で熟成すること。ボトルに詰める前の樽の熟成期間も、他のワイナリーより1~3年ほど長くなっています。より良い樽を手に入れるため、自社で樽会社を持っているのもユニークです。

試飲はまずはシルヴァー・オークの兄弟ワイナリーであるトゥミー(Twomey)から。ソーヴィニヨン・ブラン2019とピノ・ノワール ロシアンリバー・ヴァレー2019です。

ソーヴィニヨン・ブランは樽を使わない軽快なタイプ。熟したグレープフルーツなどの柑橘系の風味が豊かです。

ピノ・ノワールは香り高く、甘やかさがあります。レッド・チェリーやレッド・ベリーなどの赤系果実の風味がチャーミングです。酸もしっかりしており、全体に風味豊かで美味しいです。

シルヴァー・オーク カベルネ・ソーヴィニヨン アレキサンダー・ヴァレー 2017はシルヴァー・オークが2つ作るカベルネ・ソーヴィニヨンのうち、やや早熟タイプになります。カベルネ・ソーヴィニヨンとしては明るい色あいで濃厚というよりバランスの良さを感じます。アジアンスパイスの風味がアクセントになって美味しいです。このワインはカリフォルニアワインを飲み始めたころにはまったもの。懐かしい味わいでもあります。

シルヴァー・オーク カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2015は、ストラクチャーがしっかりした熟成タイプのワイン。ナパのワインとしてはそれほど濃厚な作りではなく、リリース直後から飲み頃になっているのもこのワインの特徴です。

これは安いです(ヴィンテージは試飲したものと違います)。







いつも安定した味わいのワインを提供できるというのもさすがの実力です。
Date: 2022/0921 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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EUが今年以降のワインから、イタリア外でラベルに「Vermentino」と記すのを禁止したことで波紋が広がっています。

このルールを提案したのはイタリアで、DOCG「Vermentino di Sardina」に名前が使われていることから、他国での使用を禁止するようルール作りを依頼しました。それが認められ、今年から使えなくなったわけです。Vermentinoの栽培面積はイタリアよりもフランスの方が広いのですが、ラングドックなどの生産者は名前の使用が禁止されたことで困惑が広がっているようです。

実はフランスではVermentinoのシノニムとしてRolleという名称があるのですが、「キャッチーでない」という理由であまり使われていません。今回のルールには横暴と考えている人も多そうです。


カリフォルニアもルールと無縁ではなく、パソ・ロブレスのタブラス・クリークではヴェルメンティーノを栽培し、その名前でワインを売っています。ナパのマサイアソンもヴェルメンティーノを作っており、国内でも販売しています。ほかにもいくつか例があるようです。


また、オーストラリアでは数十のプロデューサーがヴェルメンティーノを作っており、現在対策を協議しているとのこと。

似たような例では「Prosecco」があります。品種名としてもワインの名前としても使われていたところ、名前を保護するために品種名を「Glera」に代えて他国での「Prosecco」の使用を禁止しました。オーストラリアではこの問題とも戦っている最中だそうです。

この問題を記事にしたワイン・サーチャーのWブレイク・グレイ氏は、「将来はシャルドネといった名前も使えなくなるのではないか」と警鐘を鳴らしています。

名前を守ることが大事なのはわかりますが、品種名に適用するのはなんだかなあと思います。
Date: 2022/0920 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シルヴァー・オーク(Silver Oak)と、秩父に蒸溜所を持つウイスキーメーカー「ベンチャーウイスキー」がコラボレーションして作ったウイスキー「イチローズモルト 秩父 シルヴァー オーク カスク フィニッシュ 2022」をJALUXが発売します。シルヴァー・オークのナパ・カベルネ・ソーヴィニヨン2015とのセットで11万円。10月発売予定です。

イチローズモルトは2018年にはオークションで1億円近い価格で落札されて注目を浴びたウイスキー。社長の肥土伊知郎氏は元々江戸時代初期から続く造り酒屋の家に生まれた人。この酒造所では戦後はウイスキーの製造もしていたがウイスキー衰退の波に抗えず、2004年には人手に渡ることになりました。

このときに廃棄を命じられた2000樽のウイスキーの在庫を引き取って始めたのがベンチャーウイスキーです。肥土社長は現場を知るために2年間で2000軒ものバーに行ってウイスキーを飲み、少しずつ市場を開拓していきました。そして、前述のように注目を浴びるウイスキーを作るほどになってきたのです。

一方、シルヴァー・オークは今年創設50周年。「Life is a Cabernet」のキャッチフレーズで知られ、アメリカン・オークの樽で熟成した2種類のカベルネ・ソーヴィニヨンだけを作り続けています。その樽のために、自ら樽工場の会社まで持っています。シルヴァー・オークによると自社で樽工場を持つワイナリーはここだけだとのこと。

そのシルヴァー・オークでワインの熟成に使った樽をウイスキーの「フィニッシュ」に使ったというのが今回のウイスキーです。肥土社長によると「朝の針葉樹を思わせるような爽やかな印象を与えてくれる」とのこと。確かに焼きりんごのような甘い香りの奥に、す~っと爽やかな味わいが来て、非常に後味がいいウイスキーです。

試飲では開けて1カ月たったというボトルのウイスキーも試しましたが、よりエレガント感が増した味わいでした。

製造量はわずか4樽とのこと。非常に貴重なウイスキーです。

シルヴァー・オークの試飲については別記事で。
Date: 2022/0918 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ちょっと前のこと、質問箱にこんな質問をいただきました。うーん、と考えた結果送った回答がこれ。
ニンニクのパンチがありますから、それを受け止める強さがあるワインが良さそうに思います。赤身ということでロンバウアーのシャルドネやモンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブのような樽の効いたタイプの白が合いそうな気がします。赤ならばダックホーンのメルローとかでどうでしょうか。後はソノマ・コーストのちょっとダークなフルーツ感のあるピノ・ノワール、例えばハーシュあたりを試してみたい気もします(ちょっと冒険ですが)。
質問箱は匿名なのでどなたが質問されたのかはわからないのですが、Twitterで質問された方から「モンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブを買ったので一緒に試してみませんか」とお誘いを受け、まだお会いしたことはない方でしたが、それまでも何回かやり取りはしていたので、一緒に食事にいったのでした。


肉だから赤と考えてしまうところですが、馬刺しは肉の味自体は割とさっぱりとしているので白の方が合わせやすいかと、そしてニンニクのパンチに樽の風味、と考えたのですが、実はそれ以上に個性的で風味が強いのが馬肉と一緒に仕入れているという熊本の醤油です。九州ならではの甘く少しねっとりとした醤油で、モンダヴィのフュメ・ブランとこの醤油が予想以上によく合い、刺し身の味も引き立てる効果がありました。2013年で少し熟成感が出ているのも良かったのかもしれません。

モンダヴィはワイナリーを作った60年代後半に、それまでカリフォルニアでは甘口のワインくらいしか作られていなかったソーヴィニヨン・ブランでシリアスなワインを作りたいと、樽を効かせて「フュメ・ブラン」(ピュイィ・フュメへのオマージュも含まれています)という名前を付けて売り出し、大ヒットになったのでした。

畑はト・カロン。カベルネ・ソーヴィニヨンならば1本200ドルはくだらないほどの高級ワインを作る畑ですが、ソーヴィニヨンは1945年に植えられた「iブロック」という有名な一角にあります。無灌漑で仕立て用のワイヤーを使わないヘッド・プルーンの仕立て。ブドウは生き延びるために深く根を張り、生産量も自然に生き残れるだけのバランスを取った形になります。


結局それ以外に、私が持っていったニュートンと、もう1本持ってきていただいていたKenzoのAsuka(カベルネ・フラン)も開け、料理もおいしく、話も楽しくちょっと飲みすぎて帰りました(無事に帰宅できましたが)。

お店はこちら。
フレンチ割烹 kamenote (カメノテ) - 八丁堀/フレンチ | 食べログ
Date: 2022/0917 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズは2021年度に引き続き、2022年度に第2回の「NAPA VALLEY WINE EXPERT認定試験」を開催します。ワイン講師向けの「NAPA VALLEY WINE EDUCATOR」、ソムリエやワイン・エキスパートの資格保持者向けの「NAPA VALLEY WINE EXPERT」に加え、資格を持っていない人でも受験できる「NAPA VALLEY WINE ENTHUSIAST」を新たに加えました。

昨年度と同様、EDUCATORとEXPERTについては成績優秀者で二次試験を行い、ベスト・エデュケーター、ベスト・ソムリエ・アンバサダーをそれぞれ一人ずつ選びます。
ベスト・エデュケーター
左から3人めがベスト・エデュケーターに選ばれた四家史一さん

一次試験の開催は2023年1月11日(水)。オンライン形式でどこからでも受験できます。試験に先立ち11月から4回のウェビナーを開催します。

教本も大幅に内容を向上させ、約100ページになっています。重要な畑や人物の一覧やコラムも追加したとのこと。試験中の閲覧も許可することになりました。
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受験セットの締め切りは10月15日ですが、ワインの数に限りがあるので早めの申込をおすすめします。
それ以外の締め切りは12月15日。

詳しくは ナパヴァレー・ワイン・エキスパート認定試験 2023 | ナパヴァレー・ヴィントナーズ

Date: 2022/0916 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ポール・ラトー(Paul Lato)のピノ・ノワール・ピゾーニ・ヴィンヤード(Pisoni Vineyard)「ランスロット(Lancelot)」2019が国内に入荷しています。ピゾーニは、山火事による煙の影響で2020年のピノ・ノワールを収穫しなかったので、これを逃すと次の入荷は2年後ということになります。

ピゾーニのピノ・ノワールというと骨太の味わいがトレードマークとなっていますが、ポール・ラトーのランスロットはピゾーニとしてはエレガントな作りのようです。

数あるピゾーニのピノ・ノワールの中でも、ピゾーニ・ヴィンヤーズそのものによる「ピゾーニ、ピゾーニ」を除くといちばん評価が高いのがポール・ラトーと言ってもいいでしょう。2019年はジェブ・ダナックは97点を付けています(ヴィナスはエレガントなスタイルが気に入らなかったようで91点と、ピゾーニにしては低い点数でした)。


Date: 2022/0915 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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先週の土曜日の話になりますが、豪徳寺のワインステーションさんで開かれた「安旨ピノ・ノワール」に参加してきました。

参加者は税込み3000円以下のピノ・ノワールを持参し、ブラインドで試飲して、トップ3のワインに1位=3点、2位=2点、3位=1点で投票。合計点で順位を付けるというものです。

私が持参したのはデコイのピノ・ノワール2020。デコイのピノ・ノワールは親会社のダックホーンがカレラを買収した後、カレラのセントラル・コーストで使っているブドウも使えるようになったため、品質がかなり上がりました。2000円台だとガーネット(外の人が持参していました)とかアルタマリアとかも候補に上がりますが、こういった「訳あり」系はあえて外した洗濯です。

ピノ対決

表の点数は、私が付けたもの。16種類もあると順位を付けるのも大変なので、思い切って点数を付けてしまって順位を決めることにしました。

自分が持参したワインに一番高い点を付けていますが、これはご祝儀点です。銘柄が見えないようにアルミホイルを巻いて持参していますが、ホイルの巻き方で自分が持って行ったのは分かってしまいました。持参したデコイはややタニックで閉じた感じがありました。そのときの状態で評価するなら87から88といったところだったと思います。

それを除くと一番高い点を付けたのは11番の「Pali Huntington Pinot Noir 2017」。これもカリフォルニアです。パリのハンティントンは「アイコニック ワイン・ジャパンの試飲会で美味しかったワイン(2019年春)」など、これまで何回も紹介しているワインで個人的にも非常に高く評価しています。ただ、現在の定価が4400円になっているので、3000円以下で買える候補としては見逃していました。

実は16種類のうち、一番最初に試飲したワインがこれでした。ちょっとそれでいきなり予想した水準よりかなり美味しいワインが来たのでかなりびっくりしたのでした。90点を付けるときも、これ以上美味しいのばかりだったらどうしようとちょっと躊躇したのですが、結果的にはこれを超えたのは個人的にはなかったです。

なお、全体の投票ではこのワインは2位。1位になったのはあいさん持参のブルゴーニュのピノ・ノワールでした。

3位を付けたのは15番のワイン。なんと私が持参したのと全く同じワインです。でも味わいはこちらの方が開いていました。ボトル差の範疇なのか、ショップや輸送の条件などによるものなのかわかりませんが、同じワインとは思いませんでした。

ただ、これも自分のワインよりかなり早くテイスティングしたのですが、味わい的には「自分が持ってきたワインかも」と思ったんです。でもホイルの巻き方が違うので、そんなはずはないと、同じワインと見抜く可能性を自分でつぶしてしまっていました。これわかったらかっこよかったんですけどね。結果的にはこちらのデコイは4位くらいだったと思います(私のは7位か8位かかろうじて半分より上でした)。

なお、より詳しいレポートは安ワイン道場師範のページをご覧ください。
2022年9月:稽古日誌

今買ったらやっぱり3000円超えてしまいますね(しあわせワイン倶楽部)。


ココスです。

Date: 2022/0914 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「2 Buck Chuck(2ドルのチャック)」の愛称で知られる「Charles Shaw」などのワインを生み出した、安ワイン界の巨人フレッド・フランジアが亡くなりました。79歳でした(Two Buck Chuck Founder Franzia Dies | Wine-Searcher News & Features)。

Two Buck Chuck

彼が1973年に兄弟やいとことともに作った会社「ブロンコ・ワイン・カンパニー」はワイン・ビジネス・マンスリーによると米国で9番目に大きなワイン会社。近年ではローゼンブラムなどの高級ワイン・ブランドもいくつか買収していますが、それまではForest Glenなどほぼ安ワインに特化して作ってきました。日本ではカルディコーヒーファームで売っている「レッドウッド」がブロンコのワインです。

1980年代から90年代にかけてはNapa Ridge、Napa Creek、Rutherford Vintnersといったブランドを買収し、セントラル・ヴァレーのブドウで作ったワインをこれらのブランドで売ったことから物議を醸しました。その後、これらの地名の入ったブランド名はそのブドウを使っていないといけないことに変わりました。

その裁判の決着後に売り出したのが冒頭に挙げた「Two Buck Chuck」こと「Charles Shaw」。トレーダー・ジョーズだけで売ることでマーケティング費用を省き、ガラス瓶やラベルなども極力安いものを使って作ったワインでした(ある意味SDGsの先駆者でもあります)。地域によって値段は違っていたものの、安いところでは1.99ドルで販売されて大ブームになりました。現在ではさすがに最安でも3ドルとなっていますが、それでもその価格帯では最高のコスパワインと言われています。

Two Buck Chuckが安すぎるとして「どうして水より安く売れるんだ」と聞かれたフレッドが「彼らは水に対して過剰に課金しているんだ、わからないのか?」と言い返したという有名な逸話もあります。

死因については公表されていませんが、セントラル・ヴァレーにあるレッドウッドの自宅で家族に見守られて安らかに亡くなったとのことです。ご冥福をお祈りします。

なお、安ワインのブランドとして知られる「Franzia」はブロンコとは無関係です。フレッド・フランジアの家族が持っていた会社ですが、ブロンコ設立同年の1973年にコカコーラに売却されています(その後、The Wine Groupへ売却)。

もう一つ蛇足を加えると、Franziaを設立したのはテレサ・フランジアという人で、その娘はガロの創設者のアーネスト・ガロと結婚しています。Franzia設立時にアーネストから金を借りたとのこと。
Date: 2022/0913 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にジェームス・ブライアント・ヒル(James Bryant Hill)ピノ・ノワールの2020年が入荷しています。

以前に「1000円台で予想外においしかったピノ・ノワール」で紹介したワインの新ヴィンテージですが、2020年は柳屋によると、より好印象のよう。

葡萄の育ちの良さを感じる、照りのある輝き。
芳醇で密度の高いブラックチェリーや完熟プラムの果実味に適度なボリューム感。
甘味には上品さが、またピノとしては豊富にあるタンニンからのほろ苦味があり、ジャミーな果実との調和が見事。
カリ・ピノにとってジャミーとはあまり良い表現ではない…と受け取られる方もおられるかもしれませんが、このジャミーさは素敵です。
極めて舌触りが滑らかで味わいも多彩。しかも厚みのある旨みが感じられ、いつもの豊満で芳醇なフルーツ旨味はそのままに、甘味自体は’19年より少し抑えられた印象。
そこにシナモンやユーカリ、赤いバラなどが漂い、またアフターに向かって土やしっとりした森の匂いも感じられ、フルーティなだけでなく、今年は複雑味もあります。

このワイン、前の記事でも書いてますが、モントレーでコスパワインといえばここ、というシャイド・ファミリーのブランドの一つです。畑はすべてサスティナブル。有機への転換も図っており、工場のように大量生産で安くしているイメージではありません。

ワイン・サーチャーによる平均価格は15ドルですから現在の為替レートでは税抜きで2000円超。柳屋の税込み1800円台の方がかなり安くなります。

2000円以下のカリフォルニアのピノ・ノワールの中ではぴか一と言っていいでしょう。お薦めです。


Date: 2022/0912 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワインマンスのイベントとして、Twitterでの人気投票でワインが当たるキャンペーンが始まっています。投票締切は9月18日。


申し込み方法は簡単。まず「【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報」のアカウントをフォローします。

【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報(@calwines_cp)さん / Twitter

次に「カリフォルニアワイン人気投票」のページから飲みたいワイン、あるいは「ジャケ買い」したいワインを、クリックあるいはタップします。
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すると、次のような画面が開きます。
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これで、「飲んでみたい!」あるいは「ジャケ買いしたい!」をタップ(クリックします)。
それで開いたところからツイートすれば申込み完了です。

キャンペーンの盛り上がりを期待しています(自分も申し込んだので、申込み少ない方が当たる確率は上がりますが)。
Date: 2022/0910 Category: おすすめワイン
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ワイン・アドヴォケイトでマイケル・クルーズにインタビューした記事とワインのレビューが掲載されました。2017年のウルトラマリン(Ultramarine)のロゼに97点と、カリフォルニアのスパークリングでは過去最高のポイントが付いています。

同誌で96点以上の評価を得ているカリフォルニアのスパークリングはわずか10本、マイケル・クルーズのウルトラマリンとクルーズ・ワイン、ベッドロックのモーガン・ピーターソンが作るアンダー・ザ・ワイヤー、それからシュラムスバーグとロデレール・エステートの4つのワイナリーです。ただシュラムスバーグとロデレール・エステートは10年以上前のワインだけであり、現行あるいは現行に近いヴィンテージで高評価を得ているのはマイケル・クルーズとモーガン・ピーターソンだけとスパークリングワインにニューウェーブが来ていることが見て取れます。
アドヴォケイト

この2つに共通するのはシャンパーニュでいうRM(レコルタン・マニピュラン)に近いスタイルであること。従来の複数ヴィンテージのワインをブレンドしていつも同じ味わいになることを目指すというより、そのヴィンテージ、その畑のテロワールをより意識したもにになります。

マイケル・クルーズのウルトラマリンとクルーズ・ワインのスパークリングもそれぞれ独自のアプローチがあるのですが、今回高評価を得たクルーズ・トラディション・ロゼもNVと称しながら実質的には2018年のワインだけで作られています。

ところで、今回のインタビュー記事で初めて知ったのですが、ウルトラマリンはクルーズ・ワインよりも早い2008年に設立されていたようです(インポーターのサイトにはどちらも2013年となっていました)。個人的なイメージとしてはニューカリフォルニア系のワインを軸として、スパークリングもやっていると思っていたのですが、どちらかというとスパークリングが最初から彼の興味の中心であり、スパークリングワインを作ることを念頭にさまざまなサイトを見ていると言っています。

ストラクチャーを持つ酸の味わいを作るためにはフェノールが大事だとか、プレス時に一番重要なのは酸化させないことだとか、これまでスパークリング・ワインの醸造でもあまり出てきていなかったような話もあり、非常に中身の濃い興味深い記事でした。

現在のカリフォルニアのスパークリングワインのプロデューサーの中では名実ともに一つ突き抜けた存在になったといってもいいかもしれません。

あとはウルトラマリンがもう少し入手しやすくなってくれるとうれしいのですが…

96点のクルーズ・トラディション・ロゼはわずかながら購入可能です(インポーターは既に品切れ)。
しあわせワイン倶楽部です。


ワインセラー エスカルゴです。

Date: 2022/0909 Category: 業界ニュース
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ジェイソン・ウイルソンというワイン評論家が「ヴィナス(Vinous)」などのワイン・メディアがスポンサーを優遇していることを暴露する記事を書いており、話題になっています(Wine Media Is Broken: A Case Study - by Jason Wilson)。彼自身、以前何回かヴィナスにレポートを書いたことがあります。

これにいち早く反応したのが、以前ワイン・アドヴォケイトのレビュアーだったジェブ・ダナック(Jeb Dunnuck)。以下のツイートから9つのツイートで意見を述べています。


今回、告発したのは大手ブランドやワイン産地の広報を行っている会社が、あるワイン・メディア(ヴィナスと特定はしていません)に年間2万5000ドル(約350万円)を払っているという話。ただ、これでレビューの点を上げているではありません。レビューが公開される2日前にレビューを見ることができるという権利と、点数が低いワインは掲載を取り下げてもらうという権利を得ているとのことです。また、ある別のワイン雑誌は、広告を購入しないと、その地域のワインはレビューしないと広告主に伝えているとも。

このほか、ジェイソン・ウイルソン氏自身の体験として、彼が書いたレビューの地域のワインをアントニオ・ガッローニが再レビューして高い点を付けたことがありました。その高い点が付いたレビューを調べるといずれも同じ広告主のワインだったことがわかりました。これも、高いレビューのワインだけを残しているのではないかと疑いをかけています。

そもそも、ワインレビューの草分けであるロバート・パーカーのワイン・アドヴォケイトは、広告を入れない独立したレビューであることを売り物に人気を伸ばしました。それでも2011年にはジェイ・ミラーというレビュアーがあるワイナリーに行くのに金銭を要求したというスキャンダルが発覚して大きな問題になったことがあります。

ヴィナスはこれまで清廉潔白なイメージがあったので、ちょっと今回の告発は驚きました。なかなか有料購読者からのフィーだけではやっていけないということなのでしょうか。

チャールズ・クリュッグのモンダヴィ家の女性姉妹も以下のようなツイートをしています。


また、ジェイソン・ウイルソンはヴィナスにレポートを書いたときの原稿料が1本3000ドルだったと公表しています。これで産地までの交通費や滞在費もカバーしないといけないということで、これが本当であればレビュアーも厳しい商売だと思います。

一方で、近年ではそもそも評論家のレビューやそのレイティングを重視する人はかなり減っているという話もあります。VivinoのようなCGMを重視する人や、インスタグラムのインフルエンサー、あるいは知り合いからのお薦めを中心にワインを買う人も多くなっているともいいます。レイティングの神通力が下がるなかでの今回の告発。ワイン評論家の時代の終わりの始まりなのかもしれません。
Date: 2022/0908 Category: おすすめワイン
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しあわせワイン倶楽部の今月の送料無料ワインとしてワインズ・オブ・サブスタンスのカベルネ・ソーヴィニヨン2019が出ています。12本までの同梱ワインも送料無料になるので、かなりお得です。

個人的にこのワインとの出会いは3年半ほど前。創設者でワインメーカーのチャールズ・スミスのセミナーに出たときでした。
参考:美味しさに嫉妬したワシントンの鬼才チャールズ・スミスのワイン

13万ケースと、一つのワインとしてはかなりの量を作っていますが、これだけの量を天然酵母を使い、37日間もかけて発酵。フレンチオークの樽で熟成させてフィルターも清澄もしていません。この量を天然酵母で一定以上のクオリティを保ち、フィルターも清澄もなしで瓶詰めするほど手間をかけているのに現地価格で20ドル弱しかしないのです。さらに日本でも税抜き2400円程度とほぼ現地価格に近い値段。

ワイン・レビューでの評価ももちろん高く、2018年にwine.comの年間売上トップワインになったり、2016年、2017年とジェブ・ダナックで93点という高評価だったり。今回の2019年ヴィンテージもジェームズ・サックリングが92点を付けています。

送料無料は今月いっぱいですが、11日の1時59分までは楽天のスーパーセールで、多くのワインが1割引になっているので、その期間に買うのがお薦めです。



合わせ買いで、これなんかもお薦め。高評価低価格で話題になったマリエッタのロット71。もうロット73(これも高評価)が国内入荷していきているので71は在庫限りです。


そもそも、この秋からワインは続々値上げになりますから、今買えるものは買っておくのが吉です。
Date: 2022/0907 Category: 業界ニュース
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ナパのラザフォードにある名門ワイナリー「クインテッサ(Quintessa)」のワイナリーの方に話を伺い、最新の2019年ヴィンテージを試飲しました。2017年、2018年に続いて3年連続でのインタビューと試飲になります。


2017年
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
2018年
クラシックスタイルのトップ級、さらに進化するクインテッサ

この3年間を比べると、2017年はやや暖かいヴィンテージ、ソノマとナパの間で大きな山火事があった年ですが、その影響は大きくなかったようです。2018年はやや涼しいヴィンテージ。暖かい年よりもやや涼しい年に品質が上がるカベルネ・フランの比率が上がっています。2019年はその中間的なヴィンテージとなりました。

一般的には2017は2013~2019年の中ではやや評価の低いヴィンテージです。山火事の影響で理想的な状態での収穫ができなかったワイナリーもありました。2018年と2019年は非常に評価が高いですが、2019年はフルボディになる傾向があり、2018年はややエレガント。どちらが好きか好みが分かれるところでもありますが、2018年の評価がだんだん上がっていっているように感じます。

クインテッサも2018年は非常に素晴らしいワインでした。2017年も、レベルは高かったですが、2018年はよりクラシックなスタイルで、長期熟成してもむちゃくちゃよくなりそうなワイン。ジェームズ・サックリングは99点を付けています。


クインテッサはすべて自社畑のブドウを使っていますが、上の図にあるように、中央に貯水池があり、それを囲むようにさまざまな向きの斜面があります。土壌の種類も多く、ワインの味わいに複雑さを出しています。

例えば東側(マップでは上側)は火山灰が多く白っぽい土壌。乾燥しやすくチョコレートの風味が出やすいといいます。一方、貯水池の周囲は火山性の土壌と沖積層が混じり合った土壌で水はけがよく、タンニンやグラファイトの風味が出ます。

ベンチと呼ばれる斜面はシストとクレイの混じった土壌。クラシックなナパのヴァレー・フロアの土壌で豊潤で柔らかいワインになります。

近年の干ばつについて質問したところ、貯水池があるので、他のワイナリーに比べると問題は少ないですが、非常にストレスを感じているとのこと。2021年も干ばつの影響で、木を刈り込んだりした結果、収穫は30~40%減ったそうです。

2019年のワインを試飲しました。
レッド・チェリーのような赤果実、カシス、ブラックベリーの黒果実の風味を感じます。ナパのカベルネとしてはやや明るめの味わい。チョコレートやコーヒー、グラファイト、ココナッツ、トーストなど。酸はやや強め。タンニンはかなり強いですが、ギシギシというより、いい意味での若さにつながっています。ストラクチャーがしっかりしており素晴らしい余韻があります。2019年はフルボディでリッチなワインというイメージがありましたが、だいぶ予想を裏切り、個人的には好みの方向の味わいです。2018とくらべても遜色ないレベルです。

なお、クインテッサはオーパス・ワンなどと同様、ボルドーのネゴシアン経由で世界市場に出荷しています(参考「ボルドーネゴシアン経由のワイン流通は成功の方程式か?」)。そのため、国内の固定的なインポーターはなく、どのインポーターでも輸入できる状態です。2019ヴィンテージは9月から出荷が始まっているので、そのうち日本にも入ってくると思います。

2018年、柳屋です。


よりレアなソーヴィニヨン・ブランもごく少量日本に入っています。

Date: 2022/0906 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天の「大人の至高屋」でシリタ(Sirita)の熟成カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローがスーパーセール割引で大幅に安くなっています。

シリタは米国でいちばん有名なソムリエといっても過言ではないラリー・ストーン(日本で言えば田崎真也さんくらい有名)がナパで作っていたワイナリー。彼はその後オレゴンに行きますが、コロナによる資金難で今年ついにワイナリーを手放してしまいました。そういう意味でも彼がナパで残したワイン。貴重なものです。

ここの店、あまりに安くすることがあるのでちょっと疑いましたが、実はインポーター直営です。なのでこの価格ができるのですね。なお、ショップでは他社輸入物も取り扱っています。



Date: 2022/0905 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のドラジェでスーパーセールの期間中、「バーレスク・オールド・ヴァイン・ジンファンデル」が普段の半額の税込み1089円、税抜きなら1000円切りになっています。

このワイン、国内ではドラジェ(および姉妹店のミュズレ)でしか扱っておらず、海外でもほぼ英国でしか売っていないようです。あまり詳しい情報はないのですが、英国での価格は10ポンド(税抜きで)なので1600円くらい。それと比べても今回のセール価格はかなり安いのは間違いありません。

Date: 2022/0904 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのラザフォードにあるニール・ファミリー・ヴィンヤーズ(Neal Family Vineyards)がブドウの木のユニークな仕立て法をしていることをSFクロニクルが記事にしています(This Napa vineyard looks totally bizarre. Here's why it could help with climate change)。


この仕立て法は、白ブドウ(シャルドネ)と黒ブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン)を2階建てにしています。カベルネ・ソーヴィニヨンの下でシャルドネを仕立てることで、ブドウの房に直射日光が当たるのを防ぐのが目的です。

ニール・ファミリーがこの仕立て法を始めたのは1997年と25年も前。ラザフォードで育てた白ブドウが日焼けしてしまって安く買い叩かれているのを見て考えた方法です。

やってみると、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを別々に植えるよりもトータルの灌漑量が減ることも分かりました。水不足が続く現状においても有効であると考えて、ラザフォードの畑ではすべてこの方法を使うことにしました。

最近では他の畑のオーナーもニールの畑を見に来て、自分の畑でも採用したいと相談されるそうです。この夏にはオークノールにあるバーゲス・セラーズのSaint Andrews Vineyardで実装したそうです。

ニールは彼が名付けたこの「Dual Varietal Trellis System」を採用するかどうかはともかく、ナパの栽培家は近い将来栽培の方法を変えざるを得なくなると考えています。これがその一つの回答になるかもしれません。
Date: 2022/0902 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会は2022年9月に、「カリフォルニアワインマンス」として様々なイベントを行います。

これまで、米国では9月に開催していましたが、日本では10月に行うのが通例でした。今年は米国に合わせた9月の開催となります。

関西を中心に展開する酒販店のリカーマウンテンではカリフォルニアワインフェアを開催、普段よりもカリフォルニアワインのラインアップを強化し、店内装飾やエンドディスプレイなどを通じてその魅力を訴求します。

都内ではカリフォルニアワインを搭載したフードトラックを都内の屋外マーケットに出店します。サステイナブル認証を取得したワインのみを集め、カリフォルニアワインにおけるサステイナビリティへの理解を深めてもらう狙いがあります。

9 月 11 日(日) 11:00〜17:00
YEBISU マルシェ (恵比寿ガーデンプレイス内ひろば 東京都目黒区三田 1−13−1)

9 月 24 日(土) /25 日(日) 10:00〜16:00
青山ファーマーズマーケット (国際連合大学前 東京都渋谷区神宮前 5−53

各会場では日替わりで12種類のワインが飲めます、飲んでおいしかったワインに投票すると、抽選で 10 名にカリフォルニアワインが当たる来場者限定の懸賞もあります。青山ファーマーズマーケットでは、「カールスジュニア」のフードトラックも出店するとのこと。

最後に、9月9日に公開する投票用サイトに掲載したカリフォルニアワインから、好きなワインに投票すると、抽選で10名にカリフォルニアワインが当たる懸賞があります。投票は「ジャケ買いしたいワイン」と「飲みたいワイン」をそれぞれひとつずつ選んで SNS で行います。上位に選ばれたワインは25日13日に青山ファーマーズマーケットで発表し、そこで1位のワインを試飲できます。

カリフォルニアワインマンス2022

情報は各種SNSでも発信されます。
Facebook
カリフォルニアワイン協会(@calwinesjp) • Instagram写真と動画
【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報(@calwines_cp)さん / Twitter
Date: 2022/0901 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワイナリー「セント・フランシス(St. Francis)」が9月21日と22日、ユニークなイベントを開催します。インスタグラムなどのSNSに「映える」写真をアップできるように、プロによるメーキャップやヘアスタイリング、フォトグラファーによる写真撮影が含まれており、加えてランチと、ランチにペアリングした4種のワインも飲めます。

コストは一人100ドルで最大4人のグループまで、4人で予約した場合は50ドルのディスカウントが受けられます。
もちろん要予約。
Experiences • St. Francis Winery & Vineyards

単純に考えてプロによるメーキャップやヘアスタイリングとプロによる写真がワイナリーで撮れるというだけでも100ドルを遥かに超える価値があるし、ランチとワインも付くのですから、かなりお得感はあります。おそらく今回の反響によって常設のツアーパッケージにするかどうかを考えるということなのでしょう。

セント・フランシスは1971年にソノマ・ヴァレーで設立されたワイナリー。オールド・ヴァインのジンファンデルなど「ソノマ・スタイル」のワインの確立に貢献したと言われています。ワイナリー専属シェフも早い時期からおり、サスティナブルへの取り組みでも他のワイナリーに先んじています。