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Date: 2023/0927 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ilovecalwineの海老原さんが亡くなったことで、実質一人でやられていた同社もなくなり、同社が輸入していたワインの輸入元も宙に浮いた状態になっていましたが、ピゾーニ(Pisoni)ファミリーのワイナリーについては中川ワインが輸入することが判明しました。

扱うのはピゾーニブランドのほか、ピゾーニ・ヴィンヤード以外のワインのブランド「ルチア(Lucia)」、ピノやシャルドネ以外の買いブドウで作る「ルーシー(Lucy)」です。なお、ilovecalwineではLuciaを現地の発音に合わせて「ルシア」としていましたが、中川ワインでは「ルチア」名にしたようです。

今回、ピゾーニのピノ・ノワール以上にレアで、ごくたまにしか入荷しないピゾーニのシャルドネも入っています。

輸入アイテムは
ルーシー ピコ・ブランコ2022(ピノグリとピノブランのブレンド)5200円
ルーシー ロゼ・オブ・ピノ・ノワール2022 4900円
ルーシー ガメイ・ノワール2022 5900円
ルチア ピノ・ノワール エステート2021 10000円
ルチア ピノ・ノワール ソベラネス2021 12400円
ルチア ピノ・ノワール ゲイリーズ2021 14000円
ルチア シラー ソベラネス2021 11000円
ピゾーニ シャルドネ2021 17000円
ピゾーニ ピノ・ノワール2021 20000円

私の試飲結果からお薦めのものを挙げていくと、まずロゼ・オブ・ピノ・ノワール。ピノ・ノワールのジューシーな果実味を持ち、とてもきれいな味わいのロゼ。満足感高いです。

ルチアのエステート・ピノ・ノワールはエントリーレベルのピノ・ノワールになりますが、非常に複雑さもある作り。味わい的には上級品に負けません。

ルチアのゲイリーズは、試飲会の他のワインを含めてもトップに感じた素晴らしいワイン。ゲイリーズは、これまでピゾーニに似た味わいだけどピゾーニほどの洗練さがないと思うことや、ややボールドな味わいに行き過ぎに感じることもありましたが、2021は酸もきれいで味わいの深みも抜群。素晴らしい仕上がりになっています。

ピゾーニのシャルドネはリッチ系でクリーミーな味わいですが、酸もよくバランス取れて素晴らしい味わい。
ピゾーニのピノ・ノワールもピゾーニのイメージとは少し違うかもしれませんが、バランスの良さが光ります。ただ、やはりこれは少し熟成させた方がいいのではないかと思います。

柳屋では期せずしてお薦めピノが3つセットになっています。真似したみたいでちょっと悔しいですが、お薦めです。



Date: 2023/0921 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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9月15日に東京・大手町のパレスホテル東京グランドキッチンで開催された「ABC of Napa Valley」イベントに参加してきました。

「ABC」とはAnything But ChardonnayあるいはAnything But Cabernet Sauvignonの略。1980年代から90年代にかけて、濃厚で画一的なスタイルのシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンばかりが増えたことへのアンチテーゼとして使われるようになった言葉です。

今回は、ナパヴァレーワイン・ベスト・ソムリエ・アンバサダー2023の山田琢馬ソムリエが選んだシャルドネとカベルネ・ソーヴィニョン以外のナパワイン5種をペアリング・ディナーで楽しむという趣向です。琢馬君はソムリエとしての技量はもちろん、ペアリングにも秀でており、2月の試験ではペアリングの賞を獲得しています。普段のグランドキッチンのメニューを合わせるのではなく、今回のワインのためにシェフと特別メニューを考案してくれました。


挨拶をするナパヴァレー・ヴィントナーズの若下さんと琢馬君

写真を撮るのを忘れましたが、乾杯のワインはスティーブ・マサイアソンのロゼ。グルナッシュやバルベーラ、クノワーズなどをブレンドしています。僭越ながら乾杯の挨拶は私がさせていただきました。


ペアリング・ディナーの1本目はフロッグス・リープのソーヴィニヨン・ブラン。フロッグス・リープといえばナパの有機栽培のワイナリーの先駆けとして知られています。ラザフォードの畑などのソーヴィニヨン・ブランを使っており、樽は不使用。ステンレスタンクで発酵していますが、2%だけはコンクリートエッグを使っています。樽を使っていないスタイルですが、果実味も豊かでナパらしい良さを持った、ニュージーランドともロワールともスタイルの異なるソーヴィニヨン・ブランです。

合わせた料理はこちら。「スモールアペタイザー」とあります。フィンガーフードですが緑色に見えているのはワカモレ。アボカド・ベースのメキシカンなディップですが、メキシカンで食べるものほどスパイシーではありません。ちょっとひねりが効いているのが上にちょっと粗塩かかっていること。ライムの酸味と粗塩のミネラル感がソーヴィニヨン・ブランの酸味やミネラル感に合います。アボカド好きとしてはとてもよかったのですが、唯一の難点は一口でなくなってしまうこと。もうちょっとボリュームがあると言うことないのですが。


2本目はロゼ。ハイジ・バレットが作るアミューズ・ブーシュの「Prêt à Boire Rosé」2022

このロゼ、むちゃくちゃ美味しいです。今まで飲んだロゼの中でベストかもしれません。フレッシュ感を保ちながら味わいの深みも感じます。品種はグルナッシュとシラー。南仏的なダイレクトプレスだということですが、それにしては色も濃いです。ワインの名前の意味は「Ready to drink」だとのこと。

料理は「マグロのカルパッチョ ビーツのマリネ 赤紫蘇のヴィネグレット」
ペアリングのポイントは以下の4点とのこと。
・ワインの持つ真っ直ぐでフレッシュな酸× 酸の効いた赤紫蘇のヴィネグレット
・黒ブドウからくる厚みと余韻のほろ苦さ× マグロの厚みと脂質・粗く削った塩の塩味
・わずかに感じるタンニン× マグロの鉄分
・ワインの清涼感× マグロのハーバルなトーン
同じ品種のロゼでも乾杯のマサイアソンはもっと爽やかさが目立つスタイル。それだとこの料理には合わなかったかもしれません。素晴らしい。


3本目のワインはマサイアソンの「リボッラ・ジャッラ」。白ワインですがスキンコンタクトによって色を引き出した「オレンジ・ワイン」になっています。オレンジ・ワインらしいちょっとグリップの効いた味わいはそのまま飲むよりも料理を求めています。


料理はこちらです。「的鯛のカダイフ 牛蒡のブルーテ」

ポイントは
・ワインの滋味深いニュアンス× 牛蒡の土っぽさ
・ワイン全体を支える綺麗な酸× ソースの持つ酸味
・長いスキンコンタクトからくるタンニン× カダイフの塩気や的鯛の質感
だそうです。ちなみに「カダイフ」とは魚を包んでいる細い麺状の衣。ブルーテは「ホワイトルー(小麦粉とバターを焦げ色がつかないように炒めたもの)をフォンで溶きのばし、煮詰めて作ったソース」だそうです。

個人的にはこのペアリングが一番気に入りました。特に牛蒡のソースが、オレンジワインのスキンコンタクトからくる苦味をきれいにくるんでくれます。カダイフの食感もちょっとグリップ感のある味わいにマッチしています。

最後の赤ワイン2本はブラインドで来場者にセパージュを当ててもらうという趣向。選択式だったのでかなり正解率は高かったもようです。


4本目はマルベック、ワイナリーは「ザ・ヴァイス」です。クームズヴィルの畑。ナパでマルベック単体のワイン自体、それほど見かけませんが、特にクームズヴィルのマルベックを飲んだのはたぶん初めてだと思います。どちらかというともっと温暖な地域でチョコレートのような濃厚な果実味を持つものが多いイメージですが、これは冷涼感もあって面白い。マルベックも多様化が進んでいるのでしょうか。


5本目はカベルネ・フラン。ワイナリーは「アッシュ&ダイヤモンド」。ナパでも先進的なワインを作るワイナリーの一つで、最近では「SO2不使用」のワインを作ったなどの話題があります。実はこのワインもワインメーカーはスティーブ・マサイアソン。このワイナリーはワインメーカーが二人いてワインによって変えるというユニークなことをしています。ナパのカベルネ・フランとしてはエレガントなスタイルで、ちょっとピラジン香も感じます。


料理は「日南鶏のグリル 栗とキノコ モーレ ネグロソース」
・Malbec の厚みと引き締まったタンニン× 日南鶏の脂質
・Cabernet Franc の品種由来スパイシーさと熟成感× 栗とキノコの旨味
・2つのワインの樽由来の香ばしさ× モーレソースのスパイシーさ
ということで両方のワインを生かしたペアリングになっています。

というか、この鶏自体がとても旨味があって美味しいです。ソースも本当によく合って美味しかったです。

この後デザートも堪能してこの日のディナーは終わりました。ワインも多様でしたがお客さんも多彩な方々でとても面白かったです。
琢馬君のペアリングの才にも改めて感心しました。

ということで、今度は9月30日に琢馬君とナパヴァレー・ヴィントナーズの小枝絵麻さんによるフードペアリングの料理教室が開かれます。小枝さんは様々なレストランのメニュー開発などをしてきた料理のスペシャリスト。特にペアリングには天才的な感覚を持っています。夜の部はもう満席ですが昼はまだ席があるようです。
詳しくはこちら
Food Pairing Workshop with Ema & Taku | Peatix
Date: 2023/0916 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Tapestry
大手ワイン会社のトレジャリー・ワイン・エステートがパソ・ロブレスで「タペストリー(Tapestry)」ブランドのワインを始めました。最初のワインはレッド・ブレンドでカベルネ・ソーヴィニョン、シラー、プティ・シラーをブレンドしています。希望小売価格は24.99ドルです。

タペストリーといえば、ナパの名門ボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyard=BV)の高級レッド・ブレンドで使われているブランド。あれっと思ったのですが、実はトレジャリーはBVの親会社でもあり、このワインのワインメーカーであるミーガン・トゥイッツェルはBVのアシスタント・ワインメーカーも務めています。今回のタペストリーは、ナパのタペストリーが表現してきたブレンドによる複雑さなどをパソ・ロブレスでも表現したいという宣言のようです。

2024年春にはソーヴィニヨン・ブランも投入予定です。
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Date: 2023/0914 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Meet Napa's Newest and Biggest Organic Vineyard Owner, Jackson Family Wines, and Its Organic Napa Estates」によると、ナパで有機栽培の認証を得た畑を一番持っているのはジャクソン・ファミリー・ワインズです。この1年で大躍進を果たしました。2022年11月以降663エーカーの有機栽培畑の認証を取っています。

特に多いのは「山」の畑でマウント・ヴィーダーで274エーカー(ポテールなど)、ハウエルマウンテンで150エーカー、スプリングマウンテンで51エーカーなどとなっています。山では特に大規模な畑が多く。マウント・ヴィーダーのポテールが202エーカー、ハウエルマウンテンのキーズが109エーカー、マウント・ヴィーダーのヴィーダーが61エーカーなどとなっています。

GROUP 1 - MOUNTAIN AVAS

---Mount Veeder AVA - 274 Acres

Potelle, Mount Veeder AVA | 202 acres

Veeder, Mount Veeder AVA | 61 acres

Ho, Mount Veeder AVA | 11 acres



---Howell Mountain AVA - 150 Acres

Keyes, Howell Mountain AVA | 109 acres

La Jota, Howell Mountain AVA | 41 acres


---Spring Mountain AVA - 51 Acres

Wurtele, Spring Mountain AVA | 27 acres

Lokoya, Spring Mountain AVA | 24 acres


---Diamond Mountain AVA - 10 Acres

Wallis, Diamond Mountain AVA | 10 acres


---Calistoga AVA - 39 Acres (Hillsides)

Rhyolite Ride, Calistoga AVA (?) | 39

GROUP 2 - VALLEY PROPERTIES



---Oakville AVA - 80 Acres
Cardinale, Oakville AVA | 80 acres

---St. Helena AVA - 25 Acres
Wilson, St. Helena AVA | 14 acres
VanZ, St. Helena AVA | 5 acres
Ahern in St. Helena AVA | 4 acres (at Freemark Abbey)
Freemark Abbey, St. Helena AVA | 2 acres

---Calistoga AVA - 30 Acres (Valley)
Atalon, Calistoga AVA | 30 acres

ジャクソン・ファミリーは環境問題でも先進的なワイナリーとして知られており、カーボン・ニュートラルを目標に頑張っているところであり、有機栽培もその一環として進めているのだろうと思います。
Date: 2023/0913 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのハウエル・マウンテン(Howell Mountain)AVAが今年策定から40年を迎えます。現地では記念したセミナーが開かれました。

今年はカーネロスも40周年を祝っています
ナパではハウエル・マウンテンがカーネロスの次に策定された2番目のサブAVAとなっています。実はAVAの策定はナパよりもソノマの方がかなりペースが早く、カーネロスより前にドライ・クリーク・ヴァレーが策定されており、カーネロスとハウエル・マウンテンの間にもナイツ・ヴァレー、チョーク・ヒル、ロシアン・リバー・ヴァレー、グリーン・ヴァレーが決まっています。

Napa Valley 1981/1/28
Sonoma Valley 1981/12/4
Dry Creek Valley 1983/8/4
Carneros 1983/8/18
Knights Valley 1983/10/21
Chalk Hill 1983/10/21
Russian River Valley 1983/10/21
Green Valley 1983/11/21
Howell Mountain 1983/12/30

実はハウエル・マウンテンのあともソノマの方がサブAVA策定は早く、ナパとソノマで1980年代に決まったサブAVAは以下のようになっています。

Alexander Valley 1984/10/24
Sonoma Mountain 1985/1/23
Northern Sonoma 1985/5/17
Sonoma Coast 1987/6/11
Wild Horse Valley 1988/11/30
Stags Leap District 1989/1/27

ハウエル・マウンテン
記念イベントでは、AVA策定のきっかけになったのはハウエル・マウンテン・ヴィンヤーズというワイナリーを興したマイク・ビーティという人がこのワイナリーにあった温泉でランディ・ダンらと話をしたことだったと明らかにされています。

また、ラ・ホタ(La Jota)のクリス・カーペンター氏はハウエル・マウンテンから得られるものは「ミネラル成分を伴う深みのあるダークフルーツであり、ワインにはカリフォルニアの果実を伴うボルドーのような底流があり、ナパバレーでは勝てないテクスチャー成分がある」と語っています。

ハウエル・マウンテンはナパでは標高によって定義された初めてのサブAVAで1400フィート(約420m)より上の地域となっています。一番標高が高い畑のブラック・シアーズは2500フィート(約750m)の標高になります。カリフォルニアではリッジのモンテベロの畑やカレラのマウント・ハーランの畑などがこれくらいの標高にあります。

Date: 2023/0912 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年制定されたカリフォルニアワインの日にカリフォルニアワイン協会が主催する用賀倶楽部でのイベントに参加してきました。

用賀倶楽部、初めて行きましたが田園都市線の用賀駅から5分ほど。沿線住民としては近くてうれしい(徒歩5分という方もいらっしゃいましたが)。
このイベント、参加費は7000円ですが、リーデルのグラスと2000円分のワインチケットが付いていて料理もビュッフェスタイルでふんだんにふるまわれました。

リーデルのグラスは何だろうと思ったらステムなし「オー」のソーヴィニヨン・ブラン/リースリングにカリフォルニアワイン協会のロゴが入ったものでした。オーのこのグラスは同じ形のものを以前から持っているのですが、白ワイン用にとても使い勝手がよく、よほどいい白を飲むとき以外は基本このグラスです。嬉しい。


用賀倶楽部さん、料理もとても美味しかった。手前の分厚いステーキ。赤身主体で柔らかくうまみもあってむちゃくちゃ美味しい。これだけで200gくらいは食べたかもしれません。


手前の細長いパンは、この日のイベント用に特別に作ったものだそうで(用賀倶楽部さんはパン屋もやっています)、イベリコ豚のベーコンを巻き込んでいて、食べるとベーコンのうまみが口に広がり、無限にワインが飲めます。これも5本くらいは食べたはず。
その奥の揚げ物のところに入っていたハラペーニョとチーズのフリットも、個人的には大好きな味。いくつ食べたかは秘密です。
あと、写真に入り損ねていますが、タコスもよかった。パクチーがいい感じに利いていて、これも無限リピート味。この日のためにだいぶ研究して作ったそうです。

食べ物の話ばかり書いてしまいましたが、もちろんワインも充実しています。2000円でチケット5枚が付くのですが、ワインによってチケット枚数が決まっています。チケットは1枚から5枚まで。1枚でも3000円とか4000円くらいのワインがありますし、2枚なら7000円とか8000円くらいのワインも飲めます。5枚だと1本3万円以上のロバート・モンダヴィのト・カロン・リザーブとか、ケイマスのスペシャル・セレクションとか。コスパ的に言ったら5枚が一番かも。


チケット5枚軍団(笑)。



レイミーのシラーがチケット2枚はお得感高かったです。

チケットは足りなくなったら2000円で追加できます。追加して飲んでいたらちょっと飲みすぎました。最後には無料でデザートワインのふるまいもありました。


同じ時間帯に北は青森の八戸、南は兵庫の三田まで様々なレストランでイベントが開かれており、そこともオンラインでつながっていました。途中では全会場でビンゴ大会も。

カリフォルニアワインらしい、楽しいイベントでとてもよかったです。協会の扇谷さん手島さん、司会の山本香奈さんなどお疲れ様でした。
Date: 2023/0911 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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American Wine Dayの試飲会で美味しかったワインを紹介する後編です。
前編はこちら。


キューナット・ファミリー・ヴィンヤーズはブライアン・キューナットが2007年にナパのオーク・ノールで始めたワイナリー。ハイジ・バレットの娘のチェルシー・バレットがワインメーカー、ジェネラル・マネージャーは娘婿でハイツ創業者の家系のハリー・ハイツというナパの名門の構成で、マテッラ(Materra)というブランドが主軸です。写真はキューナットの妻の美紀が曾祖父のゆかりの吉野の山にインスパイアされて作るジャパン・シリーズ。和食との相性も考えているそうです。ナパのワインとしては主張が控えめでバランスのいい味わい。ラベルも素敵です。インポーターはボニリジャパン。


クレイ・シャノンはレイク郡で有機栽培の畑を持つワイナリー。レイク郡といってもイメージがわかないかもしれませんが、ナパの北側にあたります。畑を増やすのが難しくなったナパを補完するような役割で、レイク郡からブドウを調達するワイナリーは年々増えており、レイク郡自体への注目も今後上がっていくと思います。試飲会ではソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニョンが出ていましたが、どれもレベル高くバランスのいい味わいで価格も抑えめです。今回の掘り出し物の一つ。インポーターは布袋ワインズ。


ジャファーズのシラー。リッチタイプのシラーです。コスパよし。インポーターは布袋ワインズ。


リッジのメルロー2013。価格は1万円です。いい感じに熟成が進んでいます。このレベルの熟成メルローが1万円は安いです。インポーターは大塚食品。


ナパのワイナリー「ザ・ヴァイス」のオレンジワイン。品種はゲヴェルツトラミネールです。うまみ強くリッチですがさわやかさもあります。インポーターはオルカ・インターナショナル。


同じくザ・ヴァイスの「ザ・ハウス」カベルネ・ソーヴィニョン。テクスチャーがしっかりしていておいしい。


今年春のカリフォルニアワイン協会による試飲会ではウエスト・ソノマ・コーストがフィーチャーされ、セミナーも開催されましたが、そこに来ていたワイナリーの一つがアーネスト。当時はインポーターが決まっていませんでしたが、富士インダストリーズが輸入を始めました。そのときのウエスト・ソノマ・コースト・コーナーに出ていたワインの中でも一番エレガントなスタイルだったのがアーネスト。美味しいけど高いワインが多い同地区の中では比較的買いやすい価格もありがたいです。


ソノマのアレキサンダー・ヴァレーの標高が高い山麓にあるストーンストリート。パワフルな山カベスタイルです。インポーターは富士インダストリーズ。


古くからのジンファンデル好きには知られていたリメリック・レーンが日本市場に帰ってきました。インポーターはリエゾン。アウトポストも輸入が始まったし、ジンファンデルのラインアップが増えるのを期待しています。


日本初輸入のブリック&モルタル。バランスよく美味しいです。インポーターはリエゾン。ピノ・ノワールもお薦め。


pureCru Sangio Vettaは珍しいナパのサンジョヴェーゼ。ボディとスパイス感に加え、酸がきれいなのが素晴らしい。価格は6700円。インポーターはGrape Off。


ワイン・トゥ・スタイルは今回かなりいいワインを持ってきていました。ラシーヌとザ・ヒルトのピノ・ノワールはどちらもサンタ・リタ・ヒルズを代表するワインの一つと言っていいでしょう。ラシーヌは全体的にクオリティの高さを感じさせる仕上がり、ザ・ヒルトはうまみを強く感じました。


ボーンシェーカーのオールド・ヴァイン・ジンファンデル。リッチで芳醇。美味しいです。インポーターはワイン・トゥ・スタイル。



Date: 2023/0910 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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これまで大阪で10年近く開催されてきて、今年初めて東京で開催されたAmerican Wine Day。カリフォルニアだけでなく、オレゴンやワシントン、ニューヨークのワインなども出展されていました。ほぼすべてのワインを試飲して美味しかったワインを紹介します。


ニューヨークのカベルネ・フラン100%のロゼ。さっぱりしていますがうまみも感じます。インポーターはGo-to Wine


さわやかでジューシー。夏のロゼというイメージにぴったりです。これもGo-to Wine


冷涼なエドナ・ヴァレーのアルバリーニョ。鮮烈な酸とハーブのニュアンス。海っぽさもあって魚介に合いそうです。インポーターはワインライフ。


ポール・ラトーとワインライフの杉本夫婦が作る「心」シリーズのピノ・ノワールとシラー/グルナッシュ。ピノ・ノワールはかなりパワフルなタイプ。シラー/グルナッシュもリッチな味わい。うまみもすごい。


ベリンジャーのナパ・シャルドネ。定番アイテムだが安定して美味しい。今となっては3600円は安い。インポーターはサントリー


ヘンドリーのナパ産アルバリーニョ。暑いのでさわやかな白には甘くなりますね。これも酸がきれいです。インポーターはヴィレッジ・セラーズ



モントレーのコスパ王「シャイド・ファミリー」によるライダーとディストリクト7の2つのピノ・ノワール。ライダーの方が濃くてパワフルなスタイル。ディストリクト7の方はややエレガント。どちらもコスパ高いですが、スタイルがはっきりわかってよかったです。こちらもヴィレッジ・セラーズ。


ナパのワイナリー「マッケンジー=ミューラー」のカベルネ・ソーヴィニョン。日本限定のワイン。ナパらしいリッチさに、少しピーマン系の青さが入ります。ナパのワイナリーですから、もっとリッチな味わいに作ることも可能ですが差別化のためにあえて青っぽさを出しているのだそう。これもヴィレッジ・セラーズ


メンドシーノでオーガニックなブドウ作りをしているジラソーレのピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニョン。・ほどよい濃さとバランスの良さで美味しいです。個人的には特にジンファンデルがよかったです。インポーターはデプト・プランニング


ナパのカーネロスのシャルドネ。左の2020年もリッチで樽感もしっかりあり、高級感ありますが、右の2015年のものはさらにリッチで美味しい。オーベールとかが好きな人ならぜひ。これもデプト・プランニングです。
Date: 2023/0909 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Winters Highlands
カリフォルニアに新しいAVA「ウインターズ・ハイランズ(Winters Highlands)」が誕生しました。ソラノ郡とヨロ郡にまたがっており、サクラメント・ヴァレーの西端の東斜面にあるAVAです。

標高は100~400フィートで、プチ・シラー、シラー、テンプラニーリョ、マルベック、グルナッシュ、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョなどが栽培されています。土壌は濃い赤土の粘土質土壌の上に、水はけの良い砂利質のローム層が重なっています。

現在活動しているワイナリーはBerryessa Gap Vineyards、Turkovich Family Wines、Collina de Bella WineryでBarryessa Gapが中心になってAVAを申請しました。

近隣にあるWintersは美食の街としての認知が進んでいるそうで、地元産の食材を使った料理が評判で、地元ワインとのペアリングも期待できそうです。
Date: 2023/0908 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今やカリフォルニアのピノ・ノワールの中でもレア・アイテムになっているのがドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Cote)。そのワイナリーを持っているのがラジャ・パーとサシ・ムーアマンです。

ラジャ・パーの名前を有名にしたのが2011年に始めたIPOB(In Pursuit of Balance)。カリフォルニアワインに低アルコール化の流れを作る機運を作りました。それまでもサンフランシスコの著名レストラン「ルビコン」のソムリエに始まり、マイケル・ミーナという著名レストラン・グループでのワイン・ディレクターなどを勤め、ソムリエの世界では知られていましたが、IPOBでカリフォルニアワインの先導役の一人としての地位も確立しました。

ドメーヌ・ド・ラ・コート、サンディ(Sandhi)とサンタ・リタ・ヒルズに2つのワイナリーを持ち(ドメーヌ・ド・ラ・コートは自社畑、サンディは購入ブドウ中心)、オレゴンでも有名ソムリエのラリー・ストーンと、ブルゴーニュのコント・ラフォンが始めたイヴニング・ランドを買収し、オレゴン・トップクラスのワイナリーに仕立てました。

このラジャ・パーの4番目のワイナリーがフェラン・ファーム(Phelan Farm)です(ラジャ・パー4つ目のワイナリーはマイナー品種に特化の自然派)。

フェラン・ファームは2022年にAVAになったSLOコーストにあり、太平洋からわずか5㎞と大変冷涼な地域にあります。1851年にフェラン家が作った農場で1100エーカーの農場の中でわずか11.5エーカーだけがブドウ畑になっています。グレッグ・フェランが2007年に自根で植えたシャルドネとピノ・ノワールがありました。

このブドウ畑をリースしたラジャ・パーの当初の計画は、土地の耕起をしない再生型農業でなるべく自然のままでブドウを育てようというものでした。ラジャ・パーを含めたわずか3人のチームで畑仕事を全部賄い、収穫時も3人だけピッカーを雇うという最小の人員でのオペレーションを志しています。ちなみに、フェラン・ファームにおけるラジャ・パーの肩書は「ファーマー」となっています。ワインメーカーはおらずアンナ・パレーズという人が「セラー・マスター」をしています。

ブドウ畑の健康を強化するためにイラクサ、ヤナギの樹皮、ルーピンなど、自生する植物から作った発酵スプレーを散布しています。さらに、「ターメリックやニームオイルのプレップ(調合剤)は、海の水を使って作っています」とアーユルヴェーダ的なタッチを加えます。

2017年から2018年にかけては、接ぎ木によってフランスのジュラとかサヴォワ地区原産の15種類のブドウを植えました。植えた品種はモンデュース(Mondeuse)、サヴァニャン・ヴェール(Savagnin Vert)、サヴァニャン・ジョーヌ(Savganin Jaune)、プルサール(Poulsard)、アルテス(Altesse)、トゥルソー(Trousseau)、ガメイ・ノワール(Gamay Noir)など。また、サイダー用にハーフエーカーだけりんごも植えました。

ワインはすべて除梗なしで天然酵母を使って発酵、ニュートラルな樽で熟成します。SO2は添加しません。複数品種を使う場合は発酵時から混ぜて発酵する混醸をします。

要はいわゆる自然派、それもかなり徹底したものになっています。このフェラン・ファームのワインを10種類飲むワイン会に参加してきました。

裏側



裏側



裏側


ワインの資料は裏ラベルと、サイトに載っている資料があるのですが、実は一致していないところが結構あります。私はサイトに載っている方が正しい説(ラベルは1回印刷してしまうと修正するのが大変だから)を唱えているのですが、実際のところはどうなのでしょうね。

ということで、基本的にはサイトの資料をベースに説明および感想を書いていきます。

2020 サヴァニャン&シャルドネ。
サヴァニャンはフランスのジュラ地方の品種で「ヴァン・ジョーヌ」に使われていることで知られています。自然派らしいちょっと癖のある味わい。SO2なしですが、酸化のニュアンスは特に感じませんでした。ユニークな味わいですが、美味しいかといわれると難しいところ。実はこの時点でこの日はテイスティングノートを書くのをやめてしまいました。

2020 Misturado
2021 Misturado
Misturadoはスペインのガリシア地方にインスパイアされたメンシア(75%)とトゥルソー(25%)のブレンド。ワインの写真を撮っていませんが、実は2020年はかなり淡い色合いで、2021年はかなり濃くなっています。アルコール度数も2020は11.0%と低く、2021は12.5%となっています。品種比率は2021年のものを記していますが、2020年はトゥルソー比率がだいぶ高いのかもしれません。悪くはないですが、余韻や深みはあまりないというのが正直なところ。

また、裏ラベルによると2020年はサンタ・リタ・ヒルズのサンディで醸造されているようですが、2021年はSLOコーストのカンブリアにある「パー・ワインズ」で醸造されています。

2021 モンデュース
モンデュースはフランス、サヴォワ地方の品種。あまり記憶にありません。

2021 Leon
ジュラにインスパイアされたブレンドとのことで、トゥルソー、プルサード、ピンク・シャルドネ、サヴァニャン、シャルドネ、ピノ・ノワールが入っています。赤ちゃんの顔が印象的なラベル

2021 Autrement
サヴォワにインスパイアされたピノ・ノワールとガメイとモンデュースのブレンド。

最後は4種類の単一品種もの。いずれもヴィンテージは2021年。
2021 トゥルソー
2021 メンシア
2021 ガメイ・ノワール
2021 モンデュース

個人的にはこの中で一番可能性を感じたのはトゥルソーでした。チャーミングな味わいで酸がきれいに出ています。メンシアやモンデュース、ガメイ・ノワールはどういう味わいを表現したいのか、まだ中途半端な印象。これからヴィンテージを重ねていくと変わっていくのでしょうか。例えばサンディやドメーヌ・ド・ラ・コートのピノ・ノワールの味わい深さに達するのかというと、個人的にはちょっと疑問符がついてしまいます。とはいえジェイミー・グッドはかなりの高評価を与えているので、私の修業が足りないだけなのかもしれません(Rajat Parr Wines: Phelan Farm and Scythian Wine Company – wineanorak.com)。

ところで、この日のレストランは西馬込のイル・ド・コリンヌでした。これまで何度もうかがっていますが、この日のメニューはいつもとだいぶ違っていました。ワインに合わせて変えてくれたようです。

Date: 2023/0903 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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E&J. ガロがナパのワイナリー「マシカン(Massican)」を買収したと発表しました。8月29日にロンバウアー(Rombauer)を買収したばかりであり、わずか2日後の新たなワイナリー獲得となりました。

ただ、その買収内容は大きく異なっています。ロンバウアーは3カ所の醸造設備、2カ所のテイスティング・ルーム、ナパを中心に700エーカーに及ぶ畑を持っており、それらをすべて買収した形となりました。それに対してマシカンは醸造設備も畑も持っておらず、ブランドと在庫のワイン(2022年の生産量で7500ケース)しかありません。

マシカンは2009年にダン・ペトロスキ(Dan Petroski)が設立。ナパにありながら白ワインだけを作っています。
マシカン

特に、イタリアなど地中海の品種を好んで作っており、酸高くアルコール度数は低い、ロンバウアーとは対照的なスタイルを持っています。
ガロ傘下のワイナリーというと、どちらかというとロンバウアーのような味わいのはっきりしたタイプのワインを作るところが多いイメージを持っていましたので、マシカンのようなワイナリーを買収したのには驚きました。

なお、ダン・ペトロスキは今後5年以上、ワインメーカーにとどまることが買収条件に入っています。
Date: 2023/0901 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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山田琢馬ソムリエ
ナパのワインというと、カベルネ・ソーヴィニヨンと誰もが思うでしょう。白ならシャルドネ。確かにカベルネ・ソーヴィニヨンでもシャルドネでも世界トップクラスのワインが作られているナパですが、実はそれ以外にも魅力あるワインがたくさんあるのです。そういったワインとペアリング・ディナーを楽しめるイベントが9月15日にパレスホテル東京で開かれます。

ワインを選ぶのはNapa Valley Wine Best Sommelier Ambassadorの山田琢馬ソムリエ。

カリフォルニアワインには、濃厚で樽が効いたシャルドネばかりの時代に「シャルドネ以外の何かが飲みたい」と「Anything but Chardonnay(ABC)」という言葉が生まれたことがありました。同様に、カベルネ・ソーヴィニヨン以外の何かという意味でも「ABC」という言葉が使われました。今回のイベントタイトルはそれを逆手にとって「ABC of Napa Valley」となっています。ナパの多様性が楽しめると思います。

会場のパレスホテル東京「グランドキッチン」は先日訪問して「パレスホテル「グランドキッチン」でカリフォルニアワインと料理を堪能」という記事に書いていますが、料理もトラディショナルをベースにした、美味しいものを出しています。今回はペアリング・ディナーですから、どういう料理が出るのか楽しみです。ちなみに山田琢馬ソムリエはNapa Valley Expertの2次試験のペアリングで1位を取っています。

私は今回は主催者側ではなく、普通にお客さんとして参加します。ワインや料理の内容も聞いておらず、楽しみにしています。

<ABC of Napa Valley with Takuma Yamada>
日時:2023年9月15日(金)19:00-21:00(受付18:30〜)
会場:パレスホテル東京 グランドキッチン(1F)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目1−1
担当:NAPA VALLEY WINE BEST SOMMELIER AMBASSADOR 2023 山田琢馬さん
イベント内容:着席形式の解説つきペアリングディナー
会費:一般 22,000円(税込)、NAPA VALLEY WINE EXPERT認定者 20,000円(税込)

申込みはこちらから

問い合わせ先:Japan@napavintners.com