しあわせワイン俱楽部でハーシュ(Hirsch)のピノ・ノワール3本セットが出ています。
うち1本は2021年のラシェン・リッジ(Raschen Ridge)。ヴィナスで100点を取ったピノ・ノワールです。ヴィナスは元ワイン・アドヴォケイトのアントニオ・ガッローニが始めたレビューサイトで、レビューの信頼性は今一番高いのではないかと思います。ちなみにヴィナスで100点を取ったカリフォルニアのピノはわずかに4本。2018 Rivers-Marie Platt、2018 Occidental SWK、2021 DuMOL McIntyre、そして2021 Hirsch Raschenです。
残りの2本は同ヴィンテージのサン・アンドレアス・フォールト、リザーブ・エステートでそれぞれ94、97点という高得点が付いています。これで68090円(送料無料)というのは、品質を考えたらかなり安いと思います。
カリフォルニアのピノはナパのカベルネや、ブルゴーニュのピノなどと比べると値上がりもさほどひどくなく、これらの地域のワインなら100点ワイン1本で5万円以下というのはまずありえません。ちなみにヴィナスで2020ヴィンテージ以降のブルゴーニュのピノで99点以上を取っているのが4本くらいありますが、どれも50万円は下りません。
ハーシュはウエスト・ソノマ・コースト(フォートロス・シーヴュー)AVAにあるワイナリー。太平洋に近く非常に気温が低いところですが、高台で霧がめったにかからないので日照を強く浴びます。さらにハーシュの畑はサン・アンドレアス断層の上にあり、畑のブロックごとに土壌や傾斜などさまざまなパラメーターが変わる複雑なところです。
100点のラシェン・リッジはかなりタンニンがつよく力強いワインになるところで、リザーブは古木のブロックを使い長熟向き。サン・アンドレアス・フォールトは様々なブロックのブドウをブレンドしており、ハーシュでは「フラッグシップ」と言っていますが、一番高級というよりも、一番代表的なワインというのがよさそうです。
ワインメーカーは創設者の娘のジャスミン・ハーシュ。2019年からワインメーカーになってこれが3ヴィンテージ目。ウルトラマリンのワインメーカーであるマイケル・クルーズがパートナーで、ワイン造りのアドバイザーでもあり、このヴィンテージからは完全除梗にしたとのこと。ボディが強いハーシュのワインには完全除梗が向いていたのか、このヴィンテージは軒並み高い評価になっています。アントニオ・ガッローニは「2021 年はまさにハーシュにとって魔法のようなヴィンテージです。私が試飲したワインはどれも素晴らしく、お気に入りを選ぶのは何よりも個人的な好みの問題です」と述べています。
うち1本は2021年のラシェン・リッジ(Raschen Ridge)。ヴィナスで100点を取ったピノ・ノワールです。ヴィナスは元ワイン・アドヴォケイトのアントニオ・ガッローニが始めたレビューサイトで、レビューの信頼性は今一番高いのではないかと思います。ちなみにヴィナスで100点を取ったカリフォルニアのピノはわずかに4本。2018 Rivers-Marie Platt、2018 Occidental SWK、2021 DuMOL McIntyre、そして2021 Hirsch Raschenです。
残りの2本は同ヴィンテージのサン・アンドレアス・フォールト、リザーブ・エステートでそれぞれ94、97点という高得点が付いています。これで68090円(送料無料)というのは、品質を考えたらかなり安いと思います。
カリフォルニアのピノはナパのカベルネや、ブルゴーニュのピノなどと比べると値上がりもさほどひどくなく、これらの地域のワインなら100点ワイン1本で5万円以下というのはまずありえません。ちなみにヴィナスで2020ヴィンテージ以降のブルゴーニュのピノで99点以上を取っているのが4本くらいありますが、どれも50万円は下りません。
ハーシュはウエスト・ソノマ・コースト(フォートロス・シーヴュー)AVAにあるワイナリー。太平洋に近く非常に気温が低いところですが、高台で霧がめったにかからないので日照を強く浴びます。さらにハーシュの畑はサン・アンドレアス断層の上にあり、畑のブロックごとに土壌や傾斜などさまざまなパラメーターが変わる複雑なところです。
100点のラシェン・リッジはかなりタンニンがつよく力強いワインになるところで、リザーブは古木のブロックを使い長熟向き。サン・アンドレアス・フォールトは様々なブロックのブドウをブレンドしており、ハーシュでは「フラッグシップ」と言っていますが、一番高級というよりも、一番代表的なワインというのがよさそうです。
ワインメーカーは創設者の娘のジャスミン・ハーシュ。2019年からワインメーカーになってこれが3ヴィンテージ目。ウルトラマリンのワインメーカーであるマイケル・クルーズがパートナーで、ワイン造りのアドバイザーでもあり、このヴィンテージからは完全除梗にしたとのこと。ボディが強いハーシュのワインには完全除梗が向いていたのか、このヴィンテージは軒並み高い評価になっています。アントニオ・ガッローニは「2021 年はまさにハーシュにとって魔法のようなヴィンテージです。私が試飲したワインはどれも素晴らしく、お気に入りを選ぶのは何よりも個人的な好みの問題です」と述べています。
シルヴァー・オーク(Silver Oak)の設立者はレイ・ダンカン(Ray Duncan)とジャスティン・メイヤー(Justin Meyer)の二人でしたが、現在はダンカン家が唯一のオーナーになっています。ジャスティン・メイヤーの家族はアンダーソン・ヴァレーにメイヤー・ファミリー・セラーズ(Meyer Family Cellars)というワイナリーを持っていますが、新たにナパのオークヴィルにワイナリーの許可を得ました。
新しいワイナリーはボニーズ・ヴィンヤード(Bonny's Vineyard)という名前で、1972年に3.5エーカーを取得。かつてはシルヴァー・オークのフラッグシップ・ワインとしてボニーズ・ヴィンヤードの単一畑ワインがありました。その後2010年に拡張して17エーカーになっています。ボニーはジャスティンの奥さんの名前です。
2024年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫は、収穫量は若干少な目になりそうなものの品質は上々でした。2023年は1年を通して涼しく、平年より3週間も遅い収穫になりましたが、2024年は比較的気温が高く早い収穫になりました。とはいえ、暑いだけのヴィンテージではなく、地域によっては9月に入って涼しい期間が入ったことでブドウが熟しすぎず、エレガントな仕上がりになったといいます。また、10月初旬に熱波が来たことで、9月中に収穫を終えたワイナリーが多いようです。
ナパのダックホーンのルネ・アリー醸造担当副社長は「美しい深い色のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが、凝縮した果実味、ふわふわのタンニン、鮮やかな酸味を伴って育っています。このヴィンテージはピラジンがほとんどなく、暑さを乗り切るのに役立ちました」と語っています。
同じくナパのスポッツウッドのワインメーカー兼ヴィンヤード・マネージャーのアロン・ワインカウフは「果実の特徴は素晴らしいです。私たちが望んでいた熟成度を達成し、ヴィンテージに大きな影響を残しかねない過熟の特徴を避けることができたと思います」と語っています。
ソノマでは、8月下旬から9月上旬に熱波が訪れましたが、ピノ・ノワールとシャルドネの生育は良好でした。「タンク容量や脱水症状などを心配し始めたちょうどその時、天候が急激に涼しくなったのです。そのため、ピノ・ノワールとシャルドネが樹上で回復し、水分を吸収して熟成を終え、均一かつ安定したペースで収穫できる2週間の猶予ができました。全体的に本当に素晴らしい品質です」とマクロスティのハイディ・ブリゲンハーゲン氏は語っています。
モントレーは比較的暑いヴィンテージで、シャイド・ファミリーのハイディ・シャイド副社長は「白ワインでは、優れた品種特性、強い芳香、バランスのとれた酸味が見られます。ピノ・ノワールが際立っており、複雑な味わいと酸味が印象的です」とのこと。
一方、パソ・ロブレスは春の霜と8月の高温で収穫量は減少しましたが、品質は上々でした。
サンタ・バーバラの人気ワイナリー「シー・スモーク(Sea Smoke)」の初代ワインメーカーとして知られているクリス・キュラン(Kris Curran)が12月11日に、亡くなりました。すい臓がんだったそうです。年齢は57か58と思われます。
ロスアンゼルスで生まれ、サンタ・バーバラのサンタ・イネズ・ヴァレーで育った彼女はワインには親しんでいましたが、ワイン造りに携わることは考えていませんでした。それが一転したのが1990年に、当時サンフォード・ワイナリーのワインメーカーだったブルーノ・ダルフォンソと出会ったこと。彼から、学位をとればワインメーカーになれると聞き、UCデーヴィスなどを経てフレズノ州立大学でワイン醸造の学位を取りました。1997年にカンブリア、1999年にケーラー、そして2000年にシー・スモークの初代ワインメーカーになりました。2003年にはワイン・スペクテーターの「カリフォルニアの新世代」にも選ばれています。
おりしも、映画「サイドウェイズ」のブームもあり、サンタ・バーバラのピノ・ノワールの人気が急上昇する中で、特にシー・スモークはカルト的人気を博しました。
2008年にシー・スモークをやめたキュランは、ウィリアム・フォーリーのフォーリーでワインメーカーを務め、その後は出会って以来のパートナーであるブルーノ・ダルフォンソとダルフォンソ・キュラン・ワインを設立。以降はそのブランドに専念していました。
ご冥福をお祈りいたします。
オーベール(Aubert)のワイン会に約8年ぶりに参加しました。以前はメーリング・リストで買われている方が時折開催していたのですが、いろいろな事情で途絶えていたのが、復活した形です。メンバーも懐かしい顔ぶれでした。
今回のラインアップは
Hudson 2014
Eastside 2014
Sugar Shack 2014
CIX 2014
Lauren 2014
Sonoma Coast 2013
Ritchie Vineyard 2012
UV-SL Vineyard 2012
とちょっと熟成したものです。主催者によると以前飲んだヴィンテージとのことでしたが、私の記録には含まれていないようでした。
まず、オーベールを取り上げるのは久しぶりなので、おさらいしておきましょう。オーベールの創設者であるマーク・オーベールは1961年生まれ。1985年にカリフォルニア大フレズノ校卒業後、ナパのモンティチェロ(Monticello)やラザフォードヒル(Rutherford Hill)で働き、カリストガのオール・シーズンズ・カフェでヘレン・ターリーと知り合いました。その後、ソノマのピーター・マイケル(Peter Michael)でヘレン・ターリー(Helen Turley、現Marcassin)の下で働き、1990年にピーター・マイケル(Peter Michael)の第2代ワインメーカーに就任。1999年には再びヘレン・ターリーの後任としてコルギン(Colgin)の第2代ワインメーカーになりました。同年、自身のブランドとしてオーベールを始めています。
カリフォルニアの5大シャルドネと呼ばれるワイナリーの一つであり、パーカー100点をシャルドネで7回取っています。これはマーカッシン、ピーター・マイケルと並んでカリフォルニア最多となっています。
ハドソンのシャルドネから飲んでいきます。ハドソンはこのサイトでも何度も取り上げているナパのカーネロスの畑。自社のシャルドネも素晴らしいものがあります。同じくカーネロスのハイドと双璧をなす銘醸畑ですが、オーベールのワインの中ではハイドとハドソンはちょっと価格が安く、格落ち感があるとのこと。なんとも恐ろしい(笑)。
とはいえ、むちゃくちゃ美味しいです。ミネラル感にやや強めの酸。蜜の香り、パイナップル、アプリコット。麦わらのようなニュアンスもあります。
次のイーストサイドはロシアンリバー・ヴァレーの東側にある契約畑。石がごろごろ転がっている土壌があります。やや温暖なところかと思いますが、ハドソンよりも酸高く、オレンジやミネラルの風味。
3つ目のシュガーシャックからは自社畑が続きます。これだけはナパにある畑。しかもかなり温暖なラザフォードです。シュガーシャックを飲むのは多分初めてなので、どういう味わいになるのか興味深々でした。
ラザフォードのシャルドネをどう仕上げてくるのだろうと思いましたが、予想外にきれいなワインで酸もしっかりあります。どうしたらラザフォードでここまで酸が残せるのでしょう。ほかよりも樽のニュアンスを強めに感じます。バニラや香ばしい香り。ネクタリン。
次のCIXも自社畑。ソノマのグリーン・ヴァレー(ロシアンリバー・ヴァレー、ソノマ・コーストにも含まれており、ソノマ・コーストの畑として書かれていることが多いです)にある畑。ちょっと熟成が進んでナッツの風味が出てきています。アプリコットなど有核果実の味わいも。
白の最後も自社畑のローレンです。ここはオーベールの初期に作られた畑であり、娘の名前を付けたフラッグシップの畑でもあります。実はCIXとは隣り合わせですが、ローレンがゴールドリッジと呼ばれる黄土色の土壌なのに対して、CIXは海の塩のようなテクスチャーを持つ白い土壌。これは石灰質ではないそうです。
過去のテイスティングでもローレンのすばらしさは際立っていたのですが、今回もやはりシャルドネでトップを選ぶとしたら100人中90人以上はローレンを選ぶでしょう。パイナップルのようなトロピカルフルーツの風味にミネラルやナッツ、豊かな酸があり、パワフルなのに恐ろしいほどにきれいなワイン。久しぶりに飲みましたが、改めてオーベールのシャルドネ、特にローレンは素晴らしいと思いました。
この後はピノ・ノワールが3種類です。
最初は唯一のAVAものであるソノマコースト。
レッド・チェリーなどの赤果実の味わいがあり、柔らかなテクスチャ。カリフォルニアらしさのあるピノ・ノワール。美味しいですが、シャルドネのような突出さはなかったような気がします。
次はロシアン・リバー・ヴァレーの銘醸畑リッチー。
ピノ3種の中では一番ボディのあるワイン。アルコール感も少し強く、熟したザクロの風味にブルーベリーも感じます。濃いですが酸もありバランスはいいワイン。
最後はUV-SL。UVはオーベールの畑の管理や開発を任されていた故ユリシス・ヴァルデスの略。SLはStotz Laneという道路の名前です。Rivers-Marieのシルバー・イーグルと実は同じ畑のことです。
3つのピノの中ではこれが一番エレガントで、個人的にも評価の高いワイン。赤い果実にきれいな酸、熟成による腐葉土の風味もでてきています。
久しぶりのオーベール、やはり特にシャルドネは只物ではないです。美味しかったです。
ナパのセント・ヘレナにあるフローラ・スプリングス(Flora Springs)を、ジャン・シャルル・ボワセとジーナ・ガロ夫妻が買収しました。
フローラ・スプリングスは1978年設立。フローラというのは創設者の妻の名前です。今回の買収まで、家族経営を保ってきました。代表的なワインとしては、レッド・ブレンドのトリロジー(Trilogy)があります。
2019年にワイナリーは生産量を半分以下に削減し、消費者への直接販売を中心にするという大きな変革をしました。ワイナリーも小ロットの生産に向いた形に更新しました。現在の生産量は約8500ケースとなっています。
新しいオーナーの下でも大きな変更はなく、ワインメーカーも同じ人が続ける予定です。
ジャン・シャルル・ボワセはフランス・ブルゴーニュのネゴシアンの出身。カリフォルニアではナパとソノマを中心に数々のワイナリーを所有。例えばブエナ・ヴィスタ、デローチ、エリザベス・スペンサー、レイモンドなどを傘下に持ちます。一方、妻のジーナ・ガロはガロの創設者兄弟のジュリオ・ガロの孫。ガロ初の女性ワインメーカーであり、テレビや雑誌広告の顔としても活躍してきました。
二人は2009年に結婚。二人の娘がいます。今回の買収は、それぞれの企業の顔である二人が初めて共同で所有するワイナリーとなります。ボワセでもガロでもなく夫妻のワイナリーです。今後Flora Springsがどうなっていくかも興味深いところです。
犬の嗅覚をワインの病気の発見・駆除に役立てようというプロジェクトがローダイで行われています。マルベック、ソーヴィ B、キャブ、ジニーという4匹の犬が、リーフロールウイルスを媒介するブドウコナカイガラムシを発見・駆除する訓練を受けています。
ブラック・ラブラドールのマルベックとイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのソーヴィBはコナカイガラムシを駆除する訓練を受け、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのキャブと、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのジニーはリーフロールウイルスを見つける訓練を受けています。
パイロットプログラムではリーフロールウイルスについては93.4%、ブドウコナカイガラムシについては97.3%という高確率で発見に成功。具体的に発見できなかった場合も、ほぼ100%存在には気づいていたといいます。
ちなみに、商用の検査機関でのリーフロールウイルスの発見率は93.4%。存在に気付いた率は91.4%と犬の方が優秀でした。
また、犬による発見の方が、樹のサンプルなどを取る必要がないため、早期発見が可能で樹を傷つけることもありません。ウイルスの蔓延を防ぐためには特に、苗木屋の段階で発見することが効果的だとパイロットプログラムを主導するボルトン氏はいいます。
犬による検知の方がコストもかかりません。例えば40エーカーの畑を2匹の犬と1人の調教師で調べた場合27000本のブドウの樹を調べて5200ドル程度で済むとのことです。ブドウの枝1本あたりにすると0.01ドルもかからないとのこと。サスティナビリティの面でも優れているとのことです。
ナパというかカリフォルニアのの代表的なスパークリングワインの生産者であるシュラムスバーグ(Schramsberg)から現オーナーのヒュー・デイヴィーズ(Hugh Davies)氏が来日し、極めて貴重な蔵出しの熟成ものを含むワインを試飲しました。
この日のラインアップは
2021 Blanc de Blancs
2018 Blanc de Blancs
2015 J. Schram Blanc
2004 J. Schram Late Degorge
2020 Blanc de Noirs
2018 Blanc de Noirs
2014 J. Schram Noirs
2007 Reserve Late Degorge
2004 J. Schram Late Degorgeと2007 Reserve Late Degorgeは、レギュラー品ではなく、デゴルジュしたばかりの極めて貴重な蔵出しのものとなっています。
シュラムスバーグの設立は1862年。創設者はドイツ移民のシュラム夫妻。ナパのダイヤモンド・マウンテンの先駆けとなるワイナリーでした。その後禁酒法でワイナリーはクローズし、打ち捨てられた状態だったのを1965年にデイヴィーズ夫妻が購入して、現在のシュラムスバーグが誕生しました。そのときに米国初の瓶内二次発酵方式のスパークリングワインを造ることにしたのですが、その理由をヒュー・デイヴィーズ氏に聞いたところ「元々スパークリングワインが好きだったのと、新しいものにトライしたいという気持ちが強かったのだろう」とのことでした。今年が60回目のヴィンテージになります。
ただ、ダイヤモンド・マウンテンはナパの北部にあり、シャルドネやピノ・ノワールを育てるには気温が高いところです。その時代はまだ品種ごとの適地といった知識もあまりなかったわけですが、だんだん冷涼な海に近いところがいいということがわかってきて、今はナパのカーネロスに加えマリン郡、ソノマ郡、メンドシーノ郡の畑からもブドウを調達しています。マリン郡などはワインの産地としては相当冷涼で、それだけ酸を大事にしているそうです。
温暖化による影響は、という質問がありましたが、今のところカリフォルニアでは寒流の温度には大きな変化がなく、気温もそれほど大きく変わっていないとのことでした。
ブドウは大体19Brixで収穫しますが、16~17Brix程度のかなり酸っぱいものも一部アクセントとして使っているとか。とにかく酸にこだわるのがシュラムスバーグの流儀です。
ワインのテイスティングに移ります。
Blanc de Blancs 2021
ブラン・ド・ブランはシュラムスバーグの生産の40%を占める主要なワイン。2021年は66%ソノマ、31%ナパ、2%メンドシーノ、1%マリン。樽発酵は18%、総酸量は9.0g/L、残糖は9.0g/L。樽発酵を入れるのはテクスチャーをリッチにして、ゆるやかに酸化させるためだとのこと。ニュートラルな樽を使っているので樽香はほとんどつきません。マロラクティック発酵は10%くらいしています。
フレッシュな酸があり柑橘にハーブ。焼きリンゴのようなちょっと甘い香り。イースト香もわずかにあります。
個人的な印象としてはシャンパーニュのブラン・ド・ブランと比べても酸のきりっとした感じが強いように思います。
次に2018年のBlanc de Blancs。総酸量は8.6g/Lとわずかに少なく、残糖も8.0g/Lと少し少なくなっています。
熟成によるアーモンドの風味があり、2021年よりも少し柔らかく感じられます。酸は高いですが、テクスチャーはまろやか。
3つめはJ. Schram Blancs 2015。8年間熟成させて今年2月から3月にデゴルジュしています。ブランですが、16%ピノ・ノワールが入っています。畑はナパのウィルキンソン、シュワルツ、ラムゼイ、マリンのスティーブンス、ソノマのぴ江戸ら・リブレ。総酸量は9.7g/Lとブラン・ド・ブランよりも多くなっています。残糖は9.0g/L。樽発酵34%。WEで98点を得ています。
アーモンドの風味とイースト香が顕著にあります。柑橘はレモンというよりもオレンジの印象。レイニアチェリー。ブラン・ド・ブランよりもリッチでクリーミー。テクスチャーが素晴らしいです。
ブラン・ド・ブラン系の最後はJ. Schram Late Disgorged 2004。2004年のワインですが、デゴルジュしたのは2022年9月。18年熟成させています。生産量はわずか120ケース。
ナッツにキャラメル、焼きリンゴ、焼き栗とトースト系の香りを強く感じます。とてもリッチでJ. Schram Blanc以上にテクスチャーもリッチです。ここまでのスパークリングワインを味わう機会はほとんどありません。
ブラン・ド・ノワール系に移ります。
まずは現行の2020 Blanc de Noirs。65%ソノマ、17%メンドシーノ、14%マリン、4%ナパ・ヴァレーという構成。ブラン・ド・ノワールですが、シャルドネが10%使われています。樽発酵18%。総酸量7.8g/L。残糖は8.0g/L。
白い花、オレンジ、アプリコット、チェリー、アーモンド、酸高くリッチでエネルギーを感じるワインです。
次は2018 Blanc de Noirs。シャルドネの比率が14%と少し高くなっています。
リッチで複雑な味わい。ストーンフルーツや香木といった、他のワインではあまり感じなかったフレーバーを感じます。ヒュー・デイヴィーズ氏によるとシーフード(ウニにも)に合うとのこと。
次はJ. Schram Noirs 2014。今年デゴルジュマンしたばかりのワインです。シャルドネの比率は19%。
エレガントでシックなワイン。ナッツやアプリコット、少し樽の風味もあります。
最後はReserve Late Disgorged 2007。今年8月にデゴルジュマンしたばかりのワイン。生産量234ケースという貴重なワイン。
ドライフルーツのようなリッチな感じにナッツ。エネルギーの詰まったワイン。コクがありさわやかな香りも感じます。素晴らしい。2014のJ. Schram Noirsと比べてもリッチで熟成感もあり、とても美味しいワインでした。
と、これで最後のはずだったのですが、おまけにもう1本登場しました。
Cremant Demi Sec
フローラ(Flora)というセミヨンとゲヴュルツトラミネールの交配で、UCデーヴィスで1940年代作られた品種を中心に使っています。シュラムスバーグでは1972年からナパのヨントヴィルで栽培しています。Demi Secとあるようにオフドライの巣アイルで残糖は35~40g/Lもあるとのこと。
ゴールドに輝いており、カスタードの香りに紅茶の風味、ストーンフルーツ。リッチでテクスチャー豊か。これはまた全然違っていて魅力的なワインです。酸の高さのためか残糖ほど甘さを感じないですが、リッチで豊かなフレーバーがあるので、食後酒的に飲んでもよさそう。
ちなみに2025年春には2000年のLate Disgorgedを出荷する予定だそう。200ケースでシャルドネとピノ・ノワール両方入ったものです。25年熟成のものを出すのは初めてとのこと。こういった長期熟成ものを出すためにワインを保存していますが、そろそろ2000年のものは最後だそうです。
一通り試飲した後は、アンダーズ東京の食事と楽しみました。魚介類は言うに及ばず、豚ロースのグリルといった料理にもピノ・ノワール系のものがしっかり合って、美味しかったです。
この日のラインアップは
2021 Blanc de Blancs
2018 Blanc de Blancs
2015 J. Schram Blanc
2004 J. Schram Late Degorge
2020 Blanc de Noirs
2018 Blanc de Noirs
2014 J. Schram Noirs
2007 Reserve Late Degorge
2004 J. Schram Late Degorgeと2007 Reserve Late Degorgeは、レギュラー品ではなく、デゴルジュしたばかりの極めて貴重な蔵出しのものとなっています。
シュラムスバーグの設立は1862年。創設者はドイツ移民のシュラム夫妻。ナパのダイヤモンド・マウンテンの先駆けとなるワイナリーでした。その後禁酒法でワイナリーはクローズし、打ち捨てられた状態だったのを1965年にデイヴィーズ夫妻が購入して、現在のシュラムスバーグが誕生しました。そのときに米国初の瓶内二次発酵方式のスパークリングワインを造ることにしたのですが、その理由をヒュー・デイヴィーズ氏に聞いたところ「元々スパークリングワインが好きだったのと、新しいものにトライしたいという気持ちが強かったのだろう」とのことでした。今年が60回目のヴィンテージになります。
ただ、ダイヤモンド・マウンテンはナパの北部にあり、シャルドネやピノ・ノワールを育てるには気温が高いところです。その時代はまだ品種ごとの適地といった知識もあまりなかったわけですが、だんだん冷涼な海に近いところがいいということがわかってきて、今はナパのカーネロスに加えマリン郡、ソノマ郡、メンドシーノ郡の畑からもブドウを調達しています。マリン郡などはワインの産地としては相当冷涼で、それだけ酸を大事にしているそうです。
温暖化による影響は、という質問がありましたが、今のところカリフォルニアでは寒流の温度には大きな変化がなく、気温もそれほど大きく変わっていないとのことでした。
ブドウは大体19Brixで収穫しますが、16~17Brix程度のかなり酸っぱいものも一部アクセントとして使っているとか。とにかく酸にこだわるのがシュラムスバーグの流儀です。
ワインのテイスティングに移ります。
Blanc de Blancs 2021
ブラン・ド・ブランはシュラムスバーグの生産の40%を占める主要なワイン。2021年は66%ソノマ、31%ナパ、2%メンドシーノ、1%マリン。樽発酵は18%、総酸量は9.0g/L、残糖は9.0g/L。樽発酵を入れるのはテクスチャーをリッチにして、ゆるやかに酸化させるためだとのこと。ニュートラルな樽を使っているので樽香はほとんどつきません。マロラクティック発酵は10%くらいしています。
フレッシュな酸があり柑橘にハーブ。焼きリンゴのようなちょっと甘い香り。イースト香もわずかにあります。
個人的な印象としてはシャンパーニュのブラン・ド・ブランと比べても酸のきりっとした感じが強いように思います。
次に2018年のBlanc de Blancs。総酸量は8.6g/Lとわずかに少なく、残糖も8.0g/Lと少し少なくなっています。
熟成によるアーモンドの風味があり、2021年よりも少し柔らかく感じられます。酸は高いですが、テクスチャーはまろやか。
3つめはJ. Schram Blancs 2015。8年間熟成させて今年2月から3月にデゴルジュしています。ブランですが、16%ピノ・ノワールが入っています。畑はナパのウィルキンソン、シュワルツ、ラムゼイ、マリンのスティーブンス、ソノマのぴ江戸ら・リブレ。総酸量は9.7g/Lとブラン・ド・ブランよりも多くなっています。残糖は9.0g/L。樽発酵34%。WEで98点を得ています。
アーモンドの風味とイースト香が顕著にあります。柑橘はレモンというよりもオレンジの印象。レイニアチェリー。ブラン・ド・ブランよりもリッチでクリーミー。テクスチャーが素晴らしいです。
ブラン・ド・ブラン系の最後はJ. Schram Late Disgorged 2004。2004年のワインですが、デゴルジュしたのは2022年9月。18年熟成させています。生産量はわずか120ケース。
ナッツにキャラメル、焼きリンゴ、焼き栗とトースト系の香りを強く感じます。とてもリッチでJ. Schram Blanc以上にテクスチャーもリッチです。ここまでのスパークリングワインを味わう機会はほとんどありません。
ブラン・ド・ノワール系に移ります。
まずは現行の2020 Blanc de Noirs。65%ソノマ、17%メンドシーノ、14%マリン、4%ナパ・ヴァレーという構成。ブラン・ド・ノワールですが、シャルドネが10%使われています。樽発酵18%。総酸量7.8g/L。残糖は8.0g/L。
白い花、オレンジ、アプリコット、チェリー、アーモンド、酸高くリッチでエネルギーを感じるワインです。
次は2018 Blanc de Noirs。シャルドネの比率が14%と少し高くなっています。
リッチで複雑な味わい。ストーンフルーツや香木といった、他のワインではあまり感じなかったフレーバーを感じます。ヒュー・デイヴィーズ氏によるとシーフード(ウニにも)に合うとのこと。
次はJ. Schram Noirs 2014。今年デゴルジュマンしたばかりのワインです。シャルドネの比率は19%。
エレガントでシックなワイン。ナッツやアプリコット、少し樽の風味もあります。
最後はReserve Late Disgorged 2007。今年8月にデゴルジュマンしたばかりのワイン。生産量234ケースという貴重なワイン。
ドライフルーツのようなリッチな感じにナッツ。エネルギーの詰まったワイン。コクがありさわやかな香りも感じます。素晴らしい。2014のJ. Schram Noirsと比べてもリッチで熟成感もあり、とても美味しいワインでした。
と、これで最後のはずだったのですが、おまけにもう1本登場しました。
Cremant Demi Sec
フローラ(Flora)というセミヨンとゲヴュルツトラミネールの交配で、UCデーヴィスで1940年代作られた品種を中心に使っています。シュラムスバーグでは1972年からナパのヨントヴィルで栽培しています。Demi Secとあるようにオフドライの巣アイルで残糖は35~40g/Lもあるとのこと。
ゴールドに輝いており、カスタードの香りに紅茶の風味、ストーンフルーツ。リッチでテクスチャー豊か。これはまた全然違っていて魅力的なワインです。酸の高さのためか残糖ほど甘さを感じないですが、リッチで豊かなフレーバーがあるので、食後酒的に飲んでもよさそう。
ちなみに2025年春には2000年のLate Disgorgedを出荷する予定だそう。200ケースでシャルドネとピノ・ノワール両方入ったものです。25年熟成のものを出すのは初めてとのこと。こういった長期熟成ものを出すためにワインを保存していますが、そろそろ2000年のものは最後だそうです。
一通り試飲した後は、アンダーズ東京の食事と楽しみました。魚介類は言うに及ばず、豚ロースのグリルといった料理にもピノ・ノワール系のものがしっかり合って、美味しかったです。
現在はシャトー・イガイタカハのプロデュースなどで知られている杉本隆英さんが、「カリフォルニアワインのファンクラブ(California Wine Fan Club=CWFC)」を設立したのが1999年12月1日。昨日で25周年となりました。
まだ、Webの文化が始まって間もない時期で、今のようなSNSもなく、ユーザー間の交流は「掲示板」を使うのが一般的でした。CWFCの掲示板には、ほとんど毎日のように様々な書き込みがあり、活発に交流が行われました。今から考えたら当時の自分は、知識も経験も非常に乏しく、いろいろと偉そうに書いていたことが恥ずかしく思い出されるところもありますが、とにもかくにも、当時の日本のネットにおけるカリフォルニアワイン情報の集積地であり、そのころに知り合った方々とは今もいろいろな形で交流が続いています。
杉本さんはフットワーク軽く、頻繁なワイン会でさまざまなワインの経験を積ませていただきました。また、麻布十番のレストラン「カリフォルニアワインガーデン(CWG)」をオープンして、カリフォルニアの様々な生産者が訪れる聖地にもなりました。
CWFCは、間違いなく日本におけるカリフォルニアワインファンを増やすのに貢献したと思いますし、私もそこでお手伝いができたことは大きな財産です。CWFCがなかったら、今の自分もなかっただろうと思い、感謝しております。
ちなみに、Internet Archiveには初期の掲示板のデータなどが残っております。
CWFC掲示板(Part1)
Part2(日付の年表示は平成だそうです)
Part3(上と同様)
まだ、Webの文化が始まって間もない時期で、今のようなSNSもなく、ユーザー間の交流は「掲示板」を使うのが一般的でした。CWFCの掲示板には、ほとんど毎日のように様々な書き込みがあり、活発に交流が行われました。今から考えたら当時の自分は、知識も経験も非常に乏しく、いろいろと偉そうに書いていたことが恥ずかしく思い出されるところもありますが、とにもかくにも、当時の日本のネットにおけるカリフォルニアワイン情報の集積地であり、そのころに知り合った方々とは今もいろいろな形で交流が続いています。
杉本さんはフットワーク軽く、頻繁なワイン会でさまざまなワインの経験を積ませていただきました。また、麻布十番のレストラン「カリフォルニアワインガーデン(CWG)」をオープンして、カリフォルニアの様々な生産者が訪れる聖地にもなりました。
CWFCは、間違いなく日本におけるカリフォルニアワインファンを増やすのに貢献したと思いますし、私もそこでお手伝いができたことは大きな財産です。CWFCがなかったら、今の自分もなかっただろうと思い、感謝しております。
ちなみに、Internet Archiveには初期の掲示板のデータなどが残っております。
CWFC掲示板(Part1)
Part2(日付の年表示は平成だそうです)
Part3(上と同様)