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Date: 2023/1230 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーのアキコ・フリーマンさんが公益社団法人「大日本農会」から令和5年度の農事功労者として緑白綬有効章を授与されました。

フリーマン

大日本農会は1881年に設立された歴史ある団体で、現在は秋篠宮殿下が総裁を務められています。表彰も100年を超える歴史があります。令和5年の表彰者は63人で、アキコさんは国外では唯一の表彰者となります。また、海外在住の女性として、初の受賞者となります。

大日本農会によると受賞理由は「2001 年に夫とともにワイナリーを設立。当初は原料を購入していたが、2006 年と 07 年に農地を購入しブドウを植栽。土の改良から始め、クローバー植栽のほか工夫を重ね、現在は有機栽培のブドウでワインを醸造している。ワイナリー売り上げの一部を寄付、困窮者への食事提供等を継続的に実施している」とのこと。また曽根在ロサンゼルス日本国総領事は、「フリーマン氏のワインは、駐日米国大使の公邸でも使われるなど、日米親善にも貢献頂いています。」と述べています。

また、アキコさんは「このような栄誉にあずかり、たいへん光栄に思います。これも私たちのワインを愛してくださる方々、ともに働く仲間たちの支えがあってのことです。国外での緑白綬有功章は私が女性第一号と聞きました。私の受章が、若い日系女性のワインメーカーの方々の励みになれればとても嬉しいです」とコメントしています。
Date: 2023/1227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンのインスタグラムでは、ナパのワインを紹介するシリーズをやっています。山田琢馬君担当と私の担当とありますが、両方紹介していきましょう。

一つのワイナリーについて、ワイナリー紹介とワインの試飲コメントと2回構成になっています。

まずはフリーマーク・アビー(Freemark Abbey)。パリスの審判に唯一赤と白と両方で出た名門ワイナリーですね。




次はダリオッシュ。ダリオッシュは今秋オーナーが来日したイベントの紹介記事も書いています。
ダリオッシュ、8年ぶりにオーナーが来日してのセミナー試飲会




次はトレフェッセン。自社畑のブドウだけを使ってワインを作るこだわりの生産者です。ナパでは珍しいリースリングを紹介しています。



ガーギッチ・ヒルズ。先日惜しくもマイク・ガーギッチさんが100歳でなくなりました。奇しくもその前の週には生産者イベントにも参加する機会がありました。
マイク・ガーギッチ、100歳で大往生
ガーギッチ・ヒルズ、パリスの審判の栄光にとどまらず進化を続ける




ナパセラーズです。ナパの中では比較的カジュアルに飲めるワイン。テイスティング・コメントではペアリングについても書くのですが個人的には結構一番の難関です。ただ、このナパセラーズのときは、たまたまケンタッキーフライドチキンで飲んだのが美味しく印象的だったので、そのまま載せてしまいました。




The Viceは比較的新しいワイナリーですが、ナパでも注目されているワイナリーの一つです。オーナーがモロッコ出身というのも珍しいですね。



最新はケークブレッド・セラーズ。今年創設50周年です。



まだまだ続きますのでお楽しみに。ナパヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンのインスタアカウントフォローをよろしくお願いします(ついでに私のアカウントも)。
Napa Valley Vintners Japan(@napavintnersjapan) • Instagram写真と動画
Andy Matsubara(@andyma) • Instagram写真と動画
Date: 2023/1226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズのYoutubeチャンネルに、入門動画3本上がっています。日本語の動画はちょっと埋もれてしまうので、ここで挙げておきます。


1本目は山本香奈さんと私でナパの魅力を中心にお伝えしています。我ながらわりと分かりやすく面白く伝えられているのではないかと思います。


2本目は「ワイナリーを知ろう」ということで、香奈さんと山田琢馬君の動画です。ナパの歴史を築いてきたワイナリーを中心に魅力的なワインを紹介しています。


3本目はナパヴァレー・ヴィントナーズの小枝絵麻さんと山田琢馬君、私の3人でペアリングの話をしています。絵麻さんによる「ブリッジ食材」と、それでワインの味がどのように変わって感じられたかをお話ししています。ブリッジ食材をうまく使うとペアリングのレベルが上がるので、これはナパのワインに限らず見た方がいいです。なお、琢馬君はさすがにソムリエらしく、すばらしくポイントをついたコメントをしておりますが、私のコメントはほぼおまけです(笑)。これだけ40分とちょっと長いのですが白ワイン編と赤ワイン編、中身は分かれておりますので、前半20分、後半20分、わけてみてもらっても大丈夫です。

インスタでもいろいろワイン紹介しているので別の記事で取り上げますね。
Date: 2023/1225 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズ主催で「Napa Valley Wine Expert」をお持ちのワイン講師の方にお集まりいただいたネットワーキング会を開催しました。

ワイン講師だけの会というのは、アカデミー・デュ・ヴァンの講師会くらいしか参加したことがないので、どうなるのか、そもそも人が集まるのか心配でしたが結果的には5人の講師の方に参加いただきました。それぞれ、立場や教えている環境、経歴も異なり、私も勉強になり、刺激を受けました。

私からは今年のヴィンテージの話や、注目の品種、オーガニックやサスティナブルの進展といったことをプレゼンさせていただきました。少しはお役に立てたかな?

なんで紙を丸めて持っているのでしょう? 自分でもわからない。

この後、各講師の方から教えている内容や悩みなどの話があり、授業で心がけていることなど、講師会らしい雑談が繰り広げられました。授業そのものの話って、なかなか他の講師の方とする機会がないのでとても興味深かったです。

ワインはNVVからは次の5本を提供。
Cakebread Cellars / 2021 Chardonnay, Napa Valley / Jeroboam
Silenus Winery / 2021 OKD Chardonnay / ADV
Materra | Cunat Family Vineyards / 2019 Right Bank / Bonilli
Arkenstone / 2018 NVD Cabernet Sauvignon, Napa Valley / CWC
Aloft Wines / 2017 Howell Mountain Cabernet Sauvignon / CWX



Cakebreadはかなりエレガントな作り。Silenusはオーク・ノールのブドウでCakebreadと比べると、やはりちょっと温かさを感じます。


Materraはオーナーの奥さんが日本人で日本とのつながりもあるワイナリー。ワインメーカーはハイジ・バレットの娘のチェルシー・バレット。ハイジもメルローを得意としていますが、MaterraのRight Bankもメルロー主体でまろやかな味わい。



ArkenstoneとAloftはハウエルマウンテンのワイナリー。ArkenstoneのNVDはハウエルマウンテンAVA外ですが、ナパの東側の山カベという意味では共通しています。Aloftはロバート・モンダヴィの弟ピーターの孫娘姉妹によるワイナリー。

このあたりのワインはまたインスタなどでも詳しく紹介していく予定ですのでお楽しみに。

さて、実はこの日の白眉はこれらのワインではなくレコール・デュ・ヴァンの谷口慎一郎先生が差し入れてくださった。Robert Mondavi Fume Blanc To-Kalon I-Block 2000です。なかなか20年以上熟成したソーヴィニヨン・ブランを飲む機会なんてないですよね。しかもTo-Kaon I-Blockといえば、北米最古のソーヴィニヨン・ブランの畑であり、近年では多くの樹が病気に侵されて生産量も激減していると聞きます。

ボトルも今とは違うデザイン。とてもきれいに熟成していて素晴らしかったです。山本香奈さんにブラインド出題したら、熟成したソーヴィニヨン・ブランと答えられたのは見事でした。


この日のもう一つの白眉は「ブリッジ食材」。NVVの小枝さんがワインに合わせたブリッジ食材を用意してくださいました。白ワインに合わせる「塩ゆず」も美味しかったのですが、カベルネ・フランやカベルネソーヴィニヨンに「ゆかり」が合うというのもとても面白かったです。ワイナリーへのお土産に持っていくという話も面白かったです。


Date: 2023/1219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Larkmead
ナパのカリストガにある歴史あるワイナリー「ラークミード(Larkmead)」がカリフォルニア州の有機栽培の認証CCOFを取得しました。

ラークミードは1895年に設立されたナパでも古い歴史のあるワイナリー。現在はソラリ-ベーカー家が所有しています。

有機栽培には2016年から取り組んでいます。115エーカーある自社畑の多くはボルドー品種が植えられていますが、ごく一部だけ100歳を超える樹齢のトカイフリウラーノが残っているそうです。

CCOFの認証を得るのは有機栽培への取り組みの一つの大きなゴールでした。
2019年からラークミードに在籍しているワインメーカーのエイブリー・ヒーランは、当初からCCOFステータス取得を常に強く支持してきた。「私たちは常に技術を学び、改善し続けており、認証を取得することで、責任ある農業へのコミットメントを示すことができます」と語っています。
Date: 2023/1218 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クリスマスや正月はいいワイン開けたいですよね。とはいえ、無制限にお金はかけられませんから、飲んでみたいワインをなんでも買うというわけにはいきません。

個人的経験からすると、1万円を超えるとやはりワインのランクは上がると思います。2万、3万となっていくと今度はより嗜好性が強くなる面もあります。そこでこの記事では1万円以下で、オーバー1万円の満足感が得られると思うワインを紹介します。

いきなり大本命から紹介します。
カベルネ系ではナパのファヴィアやマヤカマスのワインメーカーで、かつてはスクリーミング・イーグルやダラ・ヴァレのワインメーカーも務めていたアンディ・エリクソンが作るリヴァイアサン。彼がナパに限らずベスト・サイトからのブドウを使って作るワインで、このクオリティで8000円台で買えるのはちょっと驚きです。

しあわせワイン俱楽部です


ピノ・ノワールではカレラのド・ヴィリエ。カレラがマウント・ハーランに作った6つのピノ・ノワールの畑の中では5番目に植樹した畑です。場所はジェンセンの隣で、やや骨太の味わいはジェンセンに通じるところがあります。故ジョシュ・ジェンセンが一番苦労した畑でもあり、非常にタンニンが強いことからそれをコントロールするのが難しく、ここだけは全房の比率を下げて作っています。このワイン、米国で80ドル台なのが現状国内は8000円台で購入可能です。おそらく来年には1万円を大きく超えてしまう可能性が高いです。ド・ヴィリエに限らずカレラのワインは今のうちに買い込んでおくのが吉だと思います。

Cave de L Naotakaです。


ピノ・ノワールをもう一つ挙げると、オー・ボン・クリマのイザベルは7000円台で買えます。ここは故ジム・クレンデネンが値上げしないことをポリシーとして持っていたので、今でも価格はかなり抑えられています。フラッグシップで1万円切るのはここくらいでしょう。

ショップはウメムラです。


冷涼系ピノからアントヒル・ファームズのコンプチ・リッジを紹介します。ワイン・アドヴォケイトでは94点の高得点。ここはおしなべてコスパ高いです。


ジンファンデルではベッドロックのオールド・ヒル・ランチを紹介しておきましょう。1850年代に植樹された現存する最も古いジンファンデルの畑の一つです。カリフォルニアの宝と言っていいでしょう。
ショップはトスカニーです。


シラーではまだまだ無名の生産者レッジ(Ledge)のMCAキュベ。ワイン・アドヴォケイトで95+、ヴィナスで94点、ローヌ系を得意とするジェブ・ダナックで95点という高評価ワインです。なんとパソ・ロブレスの銘醸畑ジェームズ・ベリーと、サンタ・バーバラのビエン・ナシードのブドウをブレンドしています。むちゃくちゃバランスもよく、ものすごく芳醇。7000円台のレベルではありません。
Yanagiyaです。


シャルドネでは「シャルドネの魔術師」と言われたレイミーのワイン。単一畑ものは1万円超えますが、AVAものは1万円切ります。ところがフォートロス・シーヴューのAVAものは実はマルティネリの単一畑だというからわけがわかりません。むちゃうまです。
カリフォルニアワインあとりえです。


サンタ・クルーズ・マウンテンズのマウント・エデンも素晴らしいシャルドネの生産者。安定感抜群でいつ何を飲んでも美味しいです。
ココスです。


タリー(Talley)も素晴らしいシャルドネの生産者ですが、サン・ルイス・オビスポというマイナー生産地のせいか、あまり話題に上がりません。リンコンとローズマリーという2大自社畑のワインは常にトップクラスの一つです。個人的にもすごく心躍る生産者の一つ。

Date: 2023/1215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Grgich
「パリスの審判」で1位になったシャトー・モンテレーナのシャルドネを作ったワインメーカーであり、ガーギッチ・ヒルズの創設者であるミレンコ“マイク”・ガーギッチが12月13日に亡くなりました。享年100歳。100歳まで生きるというのは、マイクの最後の夢であり、それを自ら叶えて亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。

ガーギッチ・ヒルズについては先日「ガーギッチ・ヒルズ、パリスの審判の栄光にとどまらず進化を続ける」という記事で詳しく解説しています。このとき来日したマヤ・ジェラメスさんは「今も週に2、3回はワイナリーに来ている」と話されていましたが、それからわずかの訃報に驚きました。

パリスの審判の翌年にガーギッチ・ヒルズを設立してシャトー・モンテレーナを離れてからは、モンテレーナ創設者のジム・バレットとの間に確執もありました。モンテレーナの話を中心にパリスの審判を描いた映画『ボトル・ドリーム(原題:Bottle Shock)』ではガーギッチに相当する人物は登場していません。

この確執もジム・バレットの葬儀にマイクが出席したことでわだかまりが解け、今年行われたマイクの100歳を祝うパーティにはジムの息子のボー・バレットが出席していました。

クロアチアの出身で、実家もワイン造りをしていた彼は、クロアチアがユーゴスラビアの一部になったことで、ユーゴスラビアのザグレブでワイン造りを学びます。ただ、共産主義の政府の下でワイン産業は縮退し、教授が「パラダイス」と呼んだカリフォルニアへの移住を夢見てクロアチアを脱出します。ただ、ビザもコネもなく米国に入国するまで4年間もかかりました。

カリフォルニアでの成功後はクロアチアのワイン産業立て直しにも寄与します。兄弟の孫にあたるイヴォ・ジェラメス(前述のマヤさんの父親)を呼び寄せ、共産主義政府が倒れてクロアチアに戻れるようになってからはGrgić Vinaというワイナリーを設立し、土着品種を使ったワインを作っています。クロアチアの若者が米国でワイン造りを学ぶための奨学金を提供したり、クロアチアを含む戦争で荒廃した国々で地雷を除去し、農業を復興させる組織「ルーツ・オブ・ピース」の熱烈な支援者にもなりました。

ガーギッチ・ヒルズのワイン、今のナパの中ではやや過小評価されているのではないかと思っています。完全自社畑への転換、有機栽培への転換など品質向上のための努力を惜しまないワイナリーでもあり、おしなべて高い品質の割には価格もそれほど高くありません。

もし、飲んだことがないという人がいたら、ぜひ飲んでみてください。個人的にはシャルドネやフュメ・ブラン(ソーヴィニヨン・ブラン)が特におすすめです。100歳の記念ラベルのワインもすばらしく美味しいのですが、まだ販売はされていないようです。

リカータイムです。


リカータイムです。

Date: 2023/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、2023年の収穫について簡単な記事を書きましたが、一言でいえば「全く問題の起こらなかったヴィンテージ」というのが印象でした。ナパヴァレー・ヴィントナーズの最近のプレスリリースによると、さらに踏み込んで「一生に一度のヴィンテージ」と評価する人も少なからずいるようです。

カリフォルニアワイン協会のハーヴェスト・レポートを読んでも、問題があった地域はほぼゼロです。「例外的に素晴らしい」といった言葉が並びます。あえて欠点らしきところを拾うとすると、全体に気温の低いヴィンテージだったので、ワインはエレガントなできになる傾向がありそうです。ボールドな味わいを求める人にとってはちょっと物足りないということもあるかもしれません。

あと、懸念点としては前年までが干ばつで収穫量が少ない状態が続いていたので、水が豊富で豊作な今年に収穫を増やしてしまうと品質が意外と上がらないというケースもあるかもしれません。例えば2012年は豊作で良年と言われていましたが、前年の2011年が不作で量が少なく、それを取り戻すために収穫量を増やしすぎたワイナリーは、期待ほどの品質に達しなかったということがありました。近年は、ワイン余りの問題が取りざたされていますので、むやみに収穫を増やすワイナリーはあまりないだろうと思いますが。

ともかく、2023年は私にとっても思い出に残る年。そのワインを開ける日を楽しみに待ちたいと思います。
Date: 2023/1212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国で9番目に大きなワイナリーで年間600万ケースのワインを販売しているジャクソン・ファミリー・ワインがサスティナビリティの会計上でのメリットについて公表しました。

ジャクソン・ファミリー・ワインズで企業社会責任担当上級副社長のケイティ・ジャクソン氏は、オンラインインタビューで次のように語っています。「2015年以来、当社はワイン会社全体の持続可能性プログラムとインフラストラクチャに1900万ドル以上を投資してきました。これらすべての投資のおかげで、再生可能エネルギーと効率化の取り組み、ガラスボトルの軽量化により、2600万ドル以上の節約を実現しました。その結果、約400万ドルの投資収益率が得られます」

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この取り組みの中心になるのが「Rooted for Good」と名付けたプログラムです。4つのカテゴリーについて具体的な方法を詰めていっています。

#1) 水管理– ジャクソン・ファミリーでは雨水の回収、水のリサイクル、水を地元の流域に戻すなど、水を節約するための複数の方法を採用しています。節水促進のための従業員インセンティブプログラムも開始しました。年間2800 万ガロン以上の水を節約し、運営コストとして約 170 万ドルの節約を達成しました。

#2) 気候変動対策と温室効果ガス排出– サスティナビリティの利益の大部分は太陽光発電とボトルの軽量化から得られています。米国のワイン企業の中で最大の太陽光発電システムを備えており、多くのワイナリーの屋根に太陽光パネルが設置されているほか、風力タービンや一部の電気自動車などの他の再生可能エネルギー源も設置されています。エネルギーの 30% 以上が再生可能であり、これまでに約 1200 万ドルの経済的節約をもたらしており、これは毎年 1033 台の車を道路から外すことに相当します。

ワインボトルの軽量化では、これまでにワイン ​4ブランドで重量が 5%削減され、排出量が 2 ~ 3% 削減されました。これらの努力により、推定 650 万ドルの節約が達成されました。

#3) 土地の保全と農業- 2030 年までに自社畑をすべてを再生可能型有機農業に移行するという目標を掲げています。JFW はすでにナパバレーのすべてのブドウ園で有機認証を取得しており、他のエステートのブドウ園も持続可能な認定を受けています。しかし、再生農業はさらに進んでおり、被覆作物や堆肥化などの他の有機的で持続可能な実践とともに、CO2ガスが放出されないように土壌を低耕耘または不耕起することが求められます。

#4) 社会的責任– ジャクソン・ファミリー は、地域社会の繁栄を支援しながら、より多様で公平かつ包括的な ( DEI ) 労働力を構築するという目標を作成しました。例としては、包括的な政策を策定するためのIDEA Allianceと呼ばれる従業員主導のタスクフォースの創設、黒人歴史月間などの年間を通じて多様な文化月間を祝うこと、インターンシップやボランティアの機会の創出などが挙げられます。

ジャクソン・ファミリーは2030年までに二酸化炭素排出を半分に減らし、2050年には排出量よりも吸収量の方が多い「ポジティブ」を達成することを目標にしています。カリフォルニアのワイナリーの中でも環境保全に多くの力を注いでいるワイナリーです。
Date: 2023/1211 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイントレインが、新しいエンジン搭載車両を導入しました。ワイントレインはディーゼルエンジンを使っており、今回は米国環境保護庁(EPA)のTier 4という基準に適合するようになりました。Tier 4は一番厳しい基準で「この Tier 4 基準がどれほど厳しいものかを理解していただくために説明すると、米国の多くの場所では、Tier 4 適合エンジンの排ガスは、エンジンが取り込む空気よりもきれいになっているのです!」(EPA Tier 4 とは?)ということです。

ワイントレインでは2024年末までに3基のエンジンを追加で導入し、2025年からはすべてTier 4対応にするということです。

ナパの鉄道は1864年に「Napa Valley Railroad」として始まりました。今回の車両はそれを記念して1864号と名付けられています。

「機関車に対する最も厳しい空気品質基準を満たしているこの投資は、ナパバレー・ワイントレインの未来への取り組みを示すと同時に、ナパの名高い過去に敬意を表している」とワイントレイン関係者は述べています。
Date: 2023/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのガーギッチ・ヒルズ・エステート(Grgich Hills Estate)から、現ワインメーカーの娘であるマヤ・ジェラメス氏が来日。ランチイベントに参加してきました。



ガーギッチ・ヒルズの創設者はマイク・ガーギッチ。パリスの審判で白ワインの1位になったシャトー・モンテレーナで、そのワインを作ったワインメーカーです。サンフランシスコでコーヒー会社を営んでいたオースティン・ヒルズという人に見染められてパートナーシップを組んでワイナリーを立ち上げました。

オースティン・ヒルズは出資はするが口は出さないという素晴らしい人で、今も半分の権利を持っていますが、ワイナリーの経営自体はガーギッチの家族で行っています。今年100歳になったマイクは引退していますが今も週に2、3回はワイナリーに来るそうです。現在はマイクの娘のヴィクトリアが社長兼CEOで、マイクの甥でマヤさんの父親であるイヴォ・ジェラメスがワインメーカーと栽培を担当しています。

2008年にはすべてのワインを自社畑のブドウから作る「エステート」になりました。現在はナパヴァレーの5か所に計148ヘクタールの畑を持っています。栽培ではオーガニックからビオディナミ(バイオダイナミクス)に移行し、さらに2023年には環境再生型有機栽培(リジェネレーティブ・オーガニック)の認証「ROC」を受けています。この認証を受けたワイナリーは世界中で12しかありません。

通常、農業では地面を耕すのが基本になりますが、ROCでは耕さない方が基本になります。地中の二酸化炭素を排出させないというのと、耕すことによって土壌にスペースができ地中に雨がしみこみやすくなるのを避けるといった意味合いがあります。ROCではこのほか動物の福祉や社会的公正といったことも審査の対象になります。

有機栽培は、一般にコスト高と言われていますが、ガーギッチ・ヒルズの試算では1エーカー当たりの栽培の費用は11000ドル。ナパの平均は14000~15000ドルだそうで、それよりもコストがかかっていないそうです。




ワインは6本。
まずは
2020 フュメ・ブラン エステート・グロウン ナパ・ヴァレー
(「エステート・グロウン ナパヴァレー」は当然ながらどのワインにも付きます)
フュメ・ブランはロバート・モンダヴィが設立して間もないころにソーヴィニヨン・ブランのワインにつけた名前として知られています。当時のソーヴィニヨン・ブランは甘口がほとんどでした。モンダヴィも最初はソーヴィニヨン・ブランという名前で辛口かつ樽を使ったものを出したのですが、それではほとんど売れず、フュメ・ブランと名前を変えたところ大ヒットしたという経歴があります。モンダヴィがソーヴィニヨン・ブランを作ったのは熟成が必要なく、ワインの現金化が一番早くできるからという面もあり、ガーギッチも同じように最初にソーヴィニヨン・ブランを作りました。マイクは最初の「フュメ・ブラン」をモンダヴィで作ったワインメーカーであり、モンダヴィに敬意を表してこの名前を使い続けています。ただ、現在ではフュメ・ブランを知っている人の方が少なくなってしまったため、ソーヴィニヨン・ブランという品種名も書かれています。樽は旧樽で1500ガロンの大樽を80%使っています。畑はカーネロスとアメリカン・キャニオンでアメリカン・キャニオンが中心です。なお、アメリカン・キャニオンはAVAではなく、町の名前(AVAではナパ・ヴァレーだけになります)で、ナパの中でも一番サンパブロ湾に近いところです。
柑橘類に、熟しすぎていないネクタリンの風味。青さは感じませんがトロピカルフルーツまでの熟度はありません。ちょっとクリーミーなテクスチャ。後味にミネラル感。品よく美味しいです。ブラインドで飲んだらソーヴィニヨン・ブランとは思わないかもしれません。

2本目は
2020 シャルドネ エステート・グロウン ナパヴァレー
同じくカーネロスとアメリカン・キャニオンの畑ですがカーネロスが中心になります。2020年は干ばつの影響で例年の半分くらいしか作れなかったそうです。ソーヴィニヨン・ブランとは逆で8割が小樽、2割が大樽の発酵・熟成。新樽も4割使っています。
ヴァニラが上品に香ります。ピーチやマンゴーの香り、フレッシュな酸味があり余韻も長い。美味しいです。

3本目は今回特別に輸入されたもので「パリス・テイスティング・コメモラティブ」という名前の付いたシャルドネです。ヴィンテージは2020。
マイクが90歳になった2013年に始めたワインで、ガーギッチの畑の中でも樹齢の高い1989年に植樹されたウェンテ・クローンのブロックのみを使っています。畑はカーネロス。800~1000ケースという少量しか作っていません。なお、2020年はラベルも特別で、今年100歳になったマイクを祝ってマイク自身の絵が描かれています。
マンゴー、白桃のまろやかでやわらかい風味、キャラメルのような風味もあります。なめらかなテクスチャーは舌にまとわりつくようで、ついついグラスが進みます。後味にきれいな酸が残るのも好印象。すばらしいシャルドネです。

4本目はジンファンデル。ヴィンテージは2018。
ジンファンデルはマイクの故郷であるクロアチアが起源であることがUCデーヴィスのキャロル・メレディス博士によって明らかになっていますが、実はこの解明にはマイク自身が大きくかかわっています。マイクはカリフォルニアに来てジンファンデルを見たときに、クロアチアの主要品種である「プラディッツ・マリ」に似ていると思いました。クロアチアでもジンファンデルとプラディッツ・マリは同じだとする本も出ており、その話をキャロル・メレディス博士に紹介しました。クロアチアからプラディッツ・マリを取り寄せて調べたのですが、結局は違う品種であることがわかり、ただ近い品種であることもわかりました。博士はクロアチアに調べに行きたいと思い、現地の研究者とマイクを介して連絡を取りながら最終的にクロアチアで様々なサンプルを入手し、起源の解明につながったのでした。そういった意味でもガーギッチ・ヒルズにおいて大事な品種の一つとなっています。
ジンファンデルは非常にアルコール度数が高くドライフルーツのような風味が顕著なワインになることがよくあります。これはジンファンデルが不均一に成熟するという特徴から来ているもので、房のすべての実が熟すまで待つとどうしてもレーズン化してしまうブドウも出てきてしまうのです。そこでガーギッチ・ヒルズではなるべくブドウが均一に熟すよう、栽培途中でブドウの房の「肩」の部分の実を切り取り、房の中まで日が当たるようにしているとのことです。一般的にやられている方法なのか聞いたところ、ガーギッチ独自の方法とのことでした。
レッド・チェリー、プラムに熟したトマト、スパイスの風味を感じます。ジンファンデルとしてはタイトなスタイルでエレガント。

5本目は2018年のカベルネ・ソーヴィニヨン。
ヨントヴィルの自社畑のブドウを中心に、ラザフォードとカリストガのブドウをブレンドしています。カベルネ・ソーヴィニヨン80%、カベルネ・フラン7%、メルロー6.5%、プティ・ヴェルド6.5%。15000ケースほどの生産量のうち800ケースは毎年ライブラリとして保管し、5年あるいは10年後などに少しずつリリースしています。
青から黒果実の味わい。ローズマリー、フォレストフロア。酸の高さがヨントヴィルらしい感じです。かっちりとしたタンニン。熟成に向いたタイプのカベルネ・ソーヴィニヨンです。

最後は2019年の「ヨントヴィル・オールド・ヴァイン」カベルネ・ソーヴィニヨン。
これも限定品で、今回は特別に日本に入荷しています。シャルドネの「2020パリス・テイスティング・コメモラティブ」と同様、このヴィンテージはマイクが描かれたラベルになっています。
1959年に植樹された畑でイングルヌックのクローンが植わっています。ナパでは2番目に古いカベルネ・ソーヴィニヨン(一番はスケアクロウの畑)。イングルヌックから引き継がれたドミナスやレイルの畑もすぐ近くなので、おそらくかつてはイングルヌックにブドウを供給していた畑なのではないかと思います(スケアクロウも同様)。ちゃんと質問しておけばよかった。
レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンと比べて赤果実を感じます。タンニンのきめ細かさが秀逸。果実味と酸がきれいで、杉やスパイスの風味。きわめてなめらかなテクスチャー。これも素晴らしいワインです。

ガーギッチ・ヒルズのワインは総じてソフトでなめらかな口当たりが特徴です。栽培によるものなのか、醸造によるものなのかはわかりませんが。パリスの審判でモンテレーナが1位になったことは多くの人が知っていても、マイク・ガーギッチがワインメーカーだったことは意外とそれほど知られていないような気がします。そういう意味ではもっと知られていいワイナリーですし、その歴史にあぐらをかくわけでなく(他の1位のワイナリーももちろんそうですが)、環境再生型農業にいち早く取り組むなど進化を続けていることも立派だと思います。

ランチの店は銀座のウルフギャング・ステーキハウスTeppan。熟成肉を鉄板焼きでいただけます。鉄板焼きで焼く分、さっぱりと味わえます。



Date: 2023/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年の収穫のまとめをしないとと思いつつさぼっていたのですが、その理由の一つとして、特に書かなければいけないことが思い浮かばないほど順調すぎるヴィンテージだったことがあります。

2023年は冬の間に、それまで6年ほどの干ばつを補うかのようによく雨が降りました。春先まで気温が低い日が多く、芽吹きから遅れが目立つようになります。

平年と比べると3週遅れぐらいで、その後も推移します。これだけ収穫が遅くなると、雨のリスクも上がるのが普通ですが、今年はそういった問題もおこりませんでした。

久しぶりに土が水を多く含んでいる状態だったのでブドウの成長もよく、収穫量も多くなりました。畑によっては、収穫量があまりに多く、全部を収穫しなかったところもあるそうです。

結果として、高級ワインはもちろんのこと、安ワインでも品質が上がることになりそうです。