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Date: 2017/1130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年の夏にコラヴァンをスクリューキャップで使えるようにする製品が出た時、ワインライターのWブレイク・グレイ氏が実感したけどうまくいかなかったという記事を書いていました。それを読んだコラヴァンが、再実験を申し入れ、その結果の記事が公開されました(W. Blake Gray's Great Coravin Climbdown)。

ワインはオーストラリアのシラーで、まず6本のワインを持ってきて、うち3本をコラヴァンでオープン。試飲しました。1本でなく3本開けたのはボトル差を見るためなのかと思います。ワインはすべて、グレイ氏とマスターソムリエのピーター・グラノフ氏がサインしました。

3カ月後、コラヴァンがそれらのボトルを持ってきて検証しました。今度はコラヴァンで開けたボトルと、今回初めて開けるボトルを1本ずつ選び、コラヴァン側が両氏に見えないように、5つのグラスに注ぎました。どちらが2つのグラスでどちらが3つのグラスに入っているかを当てるというクイズです。

結果は予想した以上。どちらを2つのグラスに入れたか以前に、五つのグラスの区別がつかなかったのでした。見事に汚名返上したスクリューキャップ用コラヴァンです。普通のコルク用と比べて長期保存できないと言われていますが、少なくとも3カ月は大丈夫なことが立証されました。

ところで、我が家のセラーにも7月にコラヴァンで開けたワインが1本入っています(借りたコラヴァンで開けたので、現在手元にコラヴァンはありません)。

一応半年経ったら残りを飲んでみようかなと思っています。もう4分の3くらい空になっているので、条件としては結構ハードです。セラーで横置きにしているのも気体に触れる表面積が大きくなるので、厳しい条件なはず。これで、状態変わらなければ、窒素でもかなり行けるなあという感じがします。
Date: 2017/1129 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週「衝撃!Wine Advocateのニール・マーティンがVinousへ電撃移籍」というびっくりするようなニュースがありましたが、空席となったボルドーのレビューは編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンが担当することになりました(Perrotti-Brown named Bordeaux reviewer at The Wine Advocate)。

リサはこのほかカリフォルニアのソノマとナパ(公式アナウンスはありませんが、最新号からパーカーに代わって担当しています)の担当があり、以前のロバート・パーカー並みのカバー範囲を受け持つことになります。

また、ブルゴーニュは英デカンター誌で編集をしていたウィリアム・ケリーがWine Advocateに移籍して担当することになります。ウィリアム・ケリーはカリフォルニアのセントラル・コーストも担当します。ウィリアム・ケリーはこれまでデカンターでカリフォルニアワインの記事を数多く書いており、かなり面白いものが多かったので今後も期待できそうです。

2017年6月にはWine Enthusiast誌からジョー・チェルウィスキーが移籍してきましたが、それに続く大手メディアからの移籍ということになります。

ワイン・メディアの戦国時代が始まり、という感もありますが、一方で専門家の権威が以前ほど絶対的でなくなってきているという感じも強く受けます。

例えば、今回のニール・マーティンの移籍でWine Advocate誌のフォーラムではさまざまな意見が出ていましたが、アントニオ・ガッローニのヴィナス(Vinous)を評価する声の中で意外と大きかったのが、「ヴィナスのサイトはセラー・トラッカーと連携していて便利」というものでした。

セラー・トラッカーはいわゆるCGM(Consumer Generated Media)で、一般のユーザーがワインの感想を書き合う形です。もちろん、個々のレビューの品質で言えば専門家にはかないませんし、好みの違いということもあります。ただ、複数のレビューを見ていると、なんとなく傾向だったり熟成の度合いだったりが見えてくるということもあります。日本で言えば食べログのレビューにも通じるところがありますが、評点そのものよりも書かれている内容には参考になる部分があります。

これがただちに評論家の権威失墜につながるとは思わないのですが、ワインのレビューにもいろいろな形があり、「パーカーポイント」だけではない、ということは重要な動きなのだと思います。この問題については、半年くらい前からずっと考えていて、実は書きかけの記事をずっと放ってあるのですが、まだ結論は出ていません。

ともかく、今回のニール・マーティンの移籍に伴うさまざまな動きは、ワイン・メディアの大きな地殻変動であり、それは評論家だけの問題ではないということは、ワイン・マニアとして心にとめておきたいことだと思います。
Date: 2017/1128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiast誌が2017年の年間トップ100ワインを発表しました。米国産ワイン30本の一覧を下の方に載せておきます。うちカリフォルニアは16本。Wine Spectatorの年間トップ100と比べるとカリフォルニアの比率はやや低くなっています。

また、選ばれている顔ぶれを見ると、Wine Spectatorとは全く重なっていません。こちらの方が地域や品種などかなりユニークなものが多い印象です。Wine Spectatorは比較的有名どころが上位に入っていますが、こちらは10位にアマドール郡にあるイーストン(Easton)のジンファンデルが入っていたり、15位にハイツ(Heitz)が入っていると思ったら、カベルネとかではなくグリニョリーノという品種のロゼだったり、大分意表をつかれました。35位にはニューヨーク州のハーマン・J・ウィーマー(Hermann J. Wiemer)のリースリングが選ばれています。知らないワイナリーもだいぶありました。

1位はGary Farrell(ギャリー・ファレル、ゲイリー・ファレル)のシャルドネ。大手資本に売却されてどうなってしまうのか一時は心配だったワイナリーですが、最近は以前にも増して高品質になってきている様子。6位にもソノマからウィリアムズ・セリエム(Williams Selyem)。

18位にはアイアンホースのウェディング・キュヴェ。32位はモンダヴィ、トカロンのフュメ・ブランと懐かしい名前も入っています。

1位:Gary Farrell 2015 Russian River Selection Chardonnay (Russian River Valley、WE95、$35)
6位:Williams Selyem 2014 Coastlands Vineyard Pinot Noir (Sonoma Coast、WE98、$75)
10位:Easton 2014 Old Vine Rinaldi Vineyard Zinfandel (Fiddletown、WE95、$30)
11位:Trisaetum 2016 Ribbon Ridge Estate Dry Riesling (Ribbon Ridge、WE96、$32)
14位:Sineann 2015 Wy'east Pinot Noir (Columbia Gorge (OR)、WE95、$36)
15位:Heitz 2016 Grignolino Rosé (Napa Valley、WE95、$24)
17位:Shea 2014 Shea Vineyard Chardonnay (Willamette Valley、WE95、$35)
18位:Iron Horse 2013 Wedding Cuvée Sparkling (Green Valley、WE94、$44)
21位:Koehler 2014 Mourvèdre (Santa Ynez Valley、WE95、$30)
23位:Gundlach Bundschu 2016 Estate Vineyard Dry Gewürztraminer (Sonoma Coast、WE94、$25)
27位:Stolo 2014 Estate Syrah (San Luis Obispo County、WE96、$40)
31位:Two Vintners 2014 Syrah (Columbia Valley (WA)、WE93、$21)
32位:Robert Mondavi 2015 Reserve To Kalon Vineyard Fumé Blanc (Napa Valley、WE92、$52)
35位:Hermann J. Wiemer 2015 Dry Riesling (Seneca Lake、WE93、$19)
36位:Clendenen Family 2013 Le Bon Climat Pinot Noir (Santa Maria Valley、WE96、$50)
40位:Miraflores NV Muscat Canelli (El Dorado、WE95、$50)
45位:Talley 2015 Oliver's Vineyard Chardonnay (Edna Valley、WE95、$38)
47位:Bonterra 2014 Made With Organic Grapes Cabernet Sauvignon (California、WE92、$16)
51位:Stolpman 2016 Para Maria de los Tecolotes Red (Santa Barbara County、WE93、$22)
53位:Galerie 2016 Naissance Sauvignon Blanc (Napa Valley、WE94、$30)
59位:Vina Robles 2013 Suendero Red (Paso Robles、WE95、$56)
62位:Quady North 2015 Steelhead Run Vineyard Viognier (Applegate Valley、WE93、$23)
67位:K Vintners 2014 The Boy Grenache (Washington、WE94、$50)
70位:Mt. Brave 2013 Cabernet Sauvignon (Mount Veeder、WE95、$75)
79位:Kevin White 2015 Red (Yakima Valley、WE92、$18)
82位:Raptor Ridge 2015 Pinot Gris (Willamette Valley、WE92、$20)
83位:Woodward Canyon 2014 Artist Series #23 Cabernet Sauvignon (Washington、WE93、$59)
88位:Alloro 2014 Estate Pinot Noir (Chehalem Mountains、WE93、$35)
93位:Cadence 2015 Coda Red (Red Mountain、WE92、$28)
99位:No Girls 2014 La Paciencia Vineyard Grenache (Walla Walla Valley (OR)、WE94、$75)

18位に入ったウェディング・キュヴェ

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アイアン・ホース ウェディング キュヴェ
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35位に入ったニューヨーク州のリースリング


36位はオー・ボン・クリマのジム・クレンデネンによる別名義のワイン。


47位は有機ワインで有名なボンテッラ(Bonterra)。16ドルという比較的安価で、日本でもよく見かけるブランドです。この価格でトップ100入りは快挙でしょう。

Date: 2017/1127 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今年はパルメイヤーのシャルドネが、Wine Spectator の年間トップ10に入り、注目されていますが、パルメイヤーが現在とても力を入れているのが、ソノマコーストにあるウェイフェアラー(Wayfarer )です。

シャルドネとピノ・ノワールの専業で、今後はマーカッサン(Marcassin 、マーカッシン)やキスラー(オキシデンタル)、ピーター・マイケルなどと並んで、ピノ・ノワールのビッグネームになる可能性があると思います。

2017年11月頭に発表されたWine Advocateの最新号では、編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンがウェイフェアラー単独の記事を書いています。

リサが今年一番感激した畑だというその畑は、フォートレス・シーヴューにあり、標高12007フィート、太平洋からも近い涼しいところ。マーカッサンの畑から道を上がって行ったところにあるそうです。実はこの場所を発見したのも当時はパルメイヤーのワインメーカーだったマーカッサンのヘレン・ターリー。畑作りはデイビッド・エイブリューが担当しています。

当初はパルメイヤーのワインとして作られましたが、2008年以降独立したブランドに。2012年に新しいワインメーカーを迎えて品質に磨きがかかっています。

例えば同誌の評価だと、2015年のウェイフェアラー、ヴィンヤードのピノ・ノワールが96点。同じくシャルドネは96+。

近隣だとマーカッサンをライバル視するシュレーダー傘下のボアズ・ヴュー(Boar's View)、マイケル・ブラウンのサーク(Cirq)なども注目ですね。エレガント系ではモンダヴィ系のレイン(Raen)などもあります。ピノ・ノワール・ファンにとっては見逃せない地域です。

2012年は94点。


2013年のトラベラーも94点,


2013年のマザーロックも94点。

Date: 2017/1126 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのウォリス・ファミリー(Wallis Family)というワイナリーが輸入停止になり、カベルネ・ソーヴィニヨン リトル・シスター2010が5000円台(税抜き)の特価になっています。ワインメーカーは、あのトーマス・リヴァース・ブラウン。

トーマス・リヴァース・ブラウンについては、このあたりをご参考に。
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)
今年のWine Spectator年間7位もトーマス・リヴァース・ブラウン作でした。
Wine Spectator年間7位はトーマス・リヴァース・ブラウン作

ウォリス・ファミリーはナパのダイアモンド・マウンテンのワイナリー。いわゆる山カベですね。かなりタニックな作りのようです。リトル・シスターはそこのセカンド的なワインですが、ヴィナスのアントニオ・ガッローニがWine Advocate時代に今回のワインをレビューしています。レイティングは89と決して高くないのですが、悪い評価をしたというよりも、試飲をした2012年の段階ではあまりにもタニックで閉じていて、「ほとんど評価不可能」だったとのこと。飲み頃は2016~2025年としていますから、もしかしたら今はすごくおいしくなってきているかもしれません。

いずれにしろ、トーマス・リヴァース・ブラウン作のカベルネで1万円切るのは滅多にないこと、というか初めて見るような気がします。


ちなみに、トーマス・リヴァース・ブラウンのリヴァース・マリーのピノ・ノワールは1万円切るものもかなりあります。個人的にはかなりおすすめ。自社単一畑のスーマでも税別なら6000円台。


ソノマ・コーストなら5000円台。これも相当おいしいです。

Date: 2017/1124 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日、知り合いのFacebookで古い時代のラベルのレッド・カーを入手したというのが話題になっていました。

レッド・カーは2000年にロスアンゼルスで設立。当初は趣味のワイン作りで、派手なラベルにワインも濃い味付けだったのが、ソノマ・コーストに畑を購入し、バランス重視派になっていきました。

今のレッド・カーのワインもおいしいのですが、昔のケレン味のあるワインも捨てがたい、というか、それはそれで良かったと思うんですよね。特にワインごとに違っていたラベルも統一してしまったので、なんだか普通のワイナリーみたい、と思ってしまうのです。

アントニオ・ガッローニはWine Advocate時代に、ファンシーな名前やラベルをやめるのは、今の真摯なワイン造りにあっていると書いていますが、そこは違うんじゃないかと。「そのセリフ、マンフレッド・クランクル(シネ・クア・ノンのオーナー)にも言えるのか?」と小一時間問い詰めたい所存です。

もう、市場に出回っているレッド・カーのワインはほとんどが新ラベルのものになっていますが、まだ「トロリー」シリーズなど少しは残っています。買うなら今のうち、のワインです。

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レッド カー ワイナリー キュヴェ 22 シラー 2009
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Date: 2017/1123 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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マンガ『神の雫』の原作者である樹林伸さんが、初めてワインの小説を書きました。題して『東京ワイン会ピープル』。

第1会 DRCエシュゾー2009年
第2会 シャトー・マルゴー1981年
第3会 ドン・ペリニヨン・ロゼ2004年
第4会 シャトー・ディケム1910年
第5会 ドメーヌ・不ルーロ・ラローズ ル・モンラッシュ1991年

という5話の構成で、タイトル通り、東京で開かれるワイン会での人間模様を描いています。

主人公は26歳で不動産会社に勤めるOLの桜木紫乃(しの)。紫という字を使ったのはワインの色にかけているのか、それとも源氏物語の紫の上とイメージを重ねているのか。というのは、彼女は第1会で、同僚の雨宮千秋に初めてワイン会に連れられていき、そこでIT会社社長の織田一志と知り合いになるのです。織田はワインに詳しく、毎週のようにワイン会を主催しているのですが、事情があってしばらくそれに出られなくなります。そこで紫乃に代わりにそれに出て報告を送ってもらうというそういう契約をするのです。この、織田が紫乃をワインマニアとして育てていく感じが、ちょっと源氏物語チックに感じられたのですが、それは穿ち過ぎでしょうか。

ともかく、こうしてワイン会に参加するようになった紫乃ですが、彼女は『神の雫』ばりにイマジネーション豊かなテイスティング・コメントをつぶやくのです。織田もその才能に惚れ込んだということなのでしょう。ただ、神の雫のテイスティング・コメントは、いきなり情景の中に飛び込んでしまうのに対し、この小説ではもっと普通の、アロマや味わいを表現する言葉も使われています。その分、こちらの方が実際の味は想像しやすい感じがします。

このように、味覚・嗅覚、そしてそれを言葉にすることは天才的な紫乃ですが、ワインについては素人ですから、一生懸命勉強して知識を身に着けていきます。本書はそういったワインの教科書的な部分もあります。ワインを知らない人が、これを読んで「ワインっておいしそう」「このワインの世界に触れてみたい」と思えば、作者にとっては願ったりかなったりだと思います。正直、僕もここに出てくるワインを飲みたくなりました。

ちなみに、カリフォルニアワインで登場するのは第1会の初めてのワイン会で「ザ・プリズナー」が出てきたのと、第3会でオーパス・ワンの2013年が出てきただけでした。どちらも、否定的には書かれていなかったのでよかったです。

小説の中での取り上げやすさを考えると、やはりボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュになってしまうだろうな、というのはわかります。それでも1話くらいニューワールド系を主役にしてほしかったとも思います。フランスのワインへのあこがれでワインを飲み始めた人は、どうしてもニューワールドを下に見てしまいがちですから(そういえば、第1会の最初のワイン会はニューワールドが中心で、織田さんはそれをちょっと否定的なニュアンスで使っていました。そこは気になったところ)。

という愚痴は置いておいて、気軽に読めて、ワインを飲みたくなる、そんな小説です。

Date: 2017/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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キスラーは創設者の一人であるマーク・ビクスラーが2017年11月16日に亡くなったことを公表しました。現在、Webサイトに弔文が掲載されています(Home | Kistler Vineyards)。

マーク・ビクスラーはMITやUCバークレーで化学を学び、キスラーではラボを担当するほか、セールスやマーケティングも一手に引き受けていました。

キスラーのメーリングリストも彼が立ち上げたもの。リストの顧客からも大変高く支持されていました。

キスラーの顔といえばもう一人の創設者で、ワイナリー名にもなっているスティーブ・キスラーですが、現在はワインメーカーを元ハドソン・ヴィンヤードのジェイソン・ケスナーに譲り、新ブランドのオキシデンタルに注力していると言われています。それに引き換え、マーク・ビクスラーは現在もセールスやマーケティングなどの中心であり、今後の運営が気がかりです。
Date: 2017/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ルイ・ヴィトンの親会社であるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)がコルギンの株式の過半数を購入することが発表されました(LVMH buys majority stake in Napa Valley's Colgin vineyard)。

コルギンのワイン

購入する株式は60%。残りはアン・コルギン夫妻が所有します。

LVMHはシャンパーニュではクリュッグやドン・ペリニヨン、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコなどを所有、ボルドーではイケムやシュヴァル・ブランを所有、このほかニュージーランドのクラウディ・ベイなど、多数の有力なブランドを抱えています。

カリフォルニアではこれまでニュートンだけを所有していました。

Date: 2017/1121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1位から10位まで発表済みだったWine Spectatorの年間トップ100、全リストが公開されました(All Lists of Top 100 Wines | Wine Spectator's Top 100)。

カリフォルニアだけ抜き出した結果がこちらです。

1位:Duckhorn Merlot Napa Valley Three Palms Vineyard 2014(WS95)
8位:Meyer Cabernet Sauvignon Napa Valley 2014(WS95、$70)
9位:Pahlmeyer Chardonnay Napa Valley 2015(WS95、$75)
10位:Booker Oublié Paso Robles 2014(WS95、$80)
12位:Bedrock Zinfandel California Old Vine 2015(WS93、$25)
16位:Turley Zinfandel Paso Robles Ueberroth Vineyard 2014(WS95、$48)
21位:Hartford Family Zinfandel Russian River Valley Old Vine 2015(WS94、$38)
22位:Saxum James Berry Vineyard Paso Robles Willow Creek District 2014(WS97、$98)
24位:Justin Justification Paso Robles 2014(WS94、$50)
25位:Roederer Estate Brut Anderson Valley NV(WS92、$24)
26位:Tablas Creek Patelin de Tablas Blanc Paso Robles 2015(WS93、$25)
28位:Kendall-Jackson Chardonnay California Vintner's Reserve 2015(WS91、$17)
53位:PlumpJack Syrah Napa Valley 2014(WS94、$60)
57位:Mason Sauvignon Blanc Napa Valley Yount Mill Vineyard 2016(WS90、$19)
67位:The Calling Chardonnay Russian River Valley Dutton Ranch 2015(WS91、$32)
77位:Oberon Merlot Napa Valley 2015(WS90、$23)
79位:Alban Syrah Edna Valley Reva Alban Estate 2013(WS94、$98)
81位:Dutton-Goldfield Pinot Noir Russian River Valley Dutton Ranch 2015(WS92、$44)
82位:Pali Wine Co. Pinot Noir Sonoma Coast Riviera 2015(WS90、$22)
86位:Lancaster Cabernet Sauvignon Alexander Valley 2014(WS94、$75)
89位:Daou Cabernet Sauvignon Adelaida District Estate 2014(WS94、$85)
93位:Revana Cabernet Sauvignon Napa Valley 2014(WS96、$165)

11位以下ではまず12位にベッドロックのオールドヴァイン ジンファンデル2015。ベッドロックのオールドヴァインについては、このブログでも再三取り上げていますが、ベッドロックらしさ、カリフォルニアの19世紀に植えられた古木の畑らしさ(ジンファンデルがメインではありますが、同じ畑に多数の品種が植えられています)をいかんなく発揮していて、価格もむちゃくちゃ高くはないという、よくできたワインです。カリフォルニアワインのファンだけでなく、ほかの国のワインのファンにもぜひ飲んでみてほしいと思うワイン。ベッドロックが過去にトップ100に入っていたかどうか未確認ですが、12位という上位はすばらしいです。日本にも当該ヴィンテージが入っています。


16位、21位とジンファンデルが続きます。そういえばトップ10常連だったセゲシオは今年は入ってないですね。

24位にはパソ・ロブレスの雄、ジャスティンのジャスティフィケーション。ちょっと懐かしい名前です。


22位にはサクサムのジェームス・ベリー・ヴィンヤード ウィロー・クリーク・ディストリクト2014。ジェームス・ベリーは飲んだことありますが、これはさらに一区画のブドウだけを使ったもの。日本にも現物が入ってきています。


25位にはロデレール・エステートのブリュット。日本にはなぜか廉価版のカルテットと、高級版のエルミタージュだけが入っていて、普通のブリュットは入っていないようです。

28位にはなんとケンダル・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネ2015。なんというか、こんなメジャーなワインがこのリストに入るのはなんだか不思議な感じもしますが、よほどこのヴィンテージがよかったのでしょうか。日本には次の2016年も入ってきています。2015はこちら。


77位、オベロンのメルロー2015。日本にも当該ヴィンテージが入っています。


81位のダットン-ゴールドフィールド、ダットンランチ・シャルドネ2015も当該品が入っています。これは日米価格差もかなり少ないです。


93位にはレヴァーナのカベルネ・ソーヴィニヨン2014が。これは8位のMeyerと同じくトーマス・リバース・ブラウンがワインメーカーを務めるワイナリーです。
Date: 2017/1121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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元Wine Advocate誌のアントニオ・ガッローニが主宰するヴィナス(Vinous)に、Wine Advocateのリード・レビュアであるニール・マーティンが移籍することが明らかになりました。

ニール・マーティンはWine Advocateではボルドーとブルゴーニュ、南アフリカ、ソーテルヌ、トカイを担当。同誌がワイン業界に影響力を一番持っているボルドーのプリムールなども担当しています。

Wine Advocateは、今年ローヌやカリフォルニアのセントラル・コーストなどを担当していたジェブ・ダナックが自身のメディアを立ち上げるために独立しており、2人の重要なテイスターを失ったことになります。

ジェブの担当分野や、これまでパーカーが担当していたナパ、ソノマは現在編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンが担当していますが、注目度の高いボルドー、ブルゴーニュの担当を失うのは大きな痛手です。代わるレビュアーがどうなるのか、今後の同誌の運営が問われることになります。

【追記】
Wine Advocate誌のフォーラムでは、現在の契約期間が終わったら、Wine Advocateをやめるという表明が次々に出ています。
Date: 2017/1120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロウダイ随一のプロデューサーとなったマイケル・デイヴィッドがジンファンデルの古木の畑を購入しました(Michael David Winery Purchases Historic Lodi Old Vine Zinfandel ...)。

デルーカ(DeLuca)ヴィンヤードというこの畑は1961年に自根で植樹されたものでデルーカ家がこれまで管理していました。マイケル・デイヴィッドは2004年からセブン・デッドリー・ジンズ用に購入を始め2009年からは全量を購入していました。

セブン・デッドリー・ジンズ用の畑の中でも高品質のブドウを作る畑であり、今回同家から畑自体を購入するこおtになりました。

マイケル・デイヴィッドのワインは名前がちょっとユニークで際物に見えるかもしれませんが、品質はすごくまっとうで、パーカーも高く評価しています。ジンファンデルとプチ・シラーは特にいいと思います。もし飲んだことなかたらお試しいただきたいワインです。

Date: 2017/1119 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー、サン・スペリー(St. Supery)のカベルネ・ソーヴィニヨン「ダラーハイド」が新ヴィンテージの2013年になっています。1年前に輸入が始まったときは2010年で「パーカー95点で、限定超お買い得のサン・スペリー単一畑」と書いていますが、2013年もWine Advocate誌では93点と高い評価です。Decanterでも91点。

価格はWine-Searcher.comで調べても76ドル~(平均86ドル)するのが日本では5000~6000円台。ナパでエステートの単一畑ものでこの価格となると、もう比較の対象になるワインもないくらいです。ちなみにワイナリー価格は100ドルですから約半額。

あの「シャネル」が所有するワイナリーということで、ブランドとしても価値は十分。

ワインのタイプはビッグでフルボディーな、いかにもカベルネ・ソーヴィニヨンというタイプ。そういうタイプのワインを飲みたい人にはぜひ候補に入れて欲しいワインです。

Date: 2017/1118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌のワイン・オブ・ザ・イヤーが発表されました。先日、10位から8位までカリフォルニアのワインが続いたと書きましたが(Wine Spectator年間7位はトーマス・リヴァース・ブラウン作)、その後7位から2位まではワシントン州のKヴィントナーズが1つはいったものの、あとは米国はなし。このまま尻すぼみで終わるのかと心配していたら、1位で来ました。ダックホーンのメルロー「スリー・パームス」2014年です。
2014 Duckhorn Merlot Three Palms
前年の2013年のこのワインは何度か試飲しているのですが、そのたびに「これはおいしい」と思います。例えば「ダックホーン/パラダックス・セミナー 試飲編」では、
そしてスリー・パームスはやっぱりこの日のハイライト。90年代のメルローブームのときに粗悪なメルローに山ほど当たってきた私としては、映画「サイドウェイ」のマイルズのように「くそったれなメルロー」と言いたい気持ちはよくわかるのですが、このメルローは文句なし。しなやかでエレガント、でもしっかりとストラクチャーもある。
と書いています。錚々たるワインが並ぶ中川ワインの試飲会でも、このワインの美味しさは目立っています。ちなみに2013年のWine Spectatorでの評価は92点、今回の2014年は95点。ということで2014年のものはさらにおいしいようです。

これは楽しみですね。

Date: 2017/1117 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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オー・ボン・クリマのピノ・ノワール「ノックス・アレキサンダー2013」がワイン・エンスージアスト誌が選ぶ2017年のセラー・セレクションで17位に選ばれています。

セラー・セレクションというのはワインセラーに置いておきたい、熟成を楽しめる価値のあるワインのリスト。

ちなみに、これより上位にランクインしているカリフォルニアワインだと4位にスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨン2013、9位にシュラムスバーグのJシュラム・ロゼ2008、13位にジョセフ・フェルプスのインシグニア2014といったそうそうたるワインが入っています。50ドルという定価は、25位までの最安。日本でもほとんど同じ価格、というかむしろ安いくらいで買えるのがありがたいワインです。

以前からたびたび書いていますが、オー・ボン・クリマは今の日本ではすごく過小評価されていると思います。価格も安すぎるくらい。カリフォルニアのシャルドネやピノ・ノワール飲むなら買わないともったいないワイナリーです。

しあわせワイン倶楽部では、現在このワインのセール中(今回の情報もここのメルマガで知りました)。

Date: 2017/1117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの創設者で1976年の「パリスの審判」で赤ワインの1位となったワインを作ったウォーレン・ウィニアスキー(Warren Winiarski)が11年目となるカリフォルニアの名誉の殿堂に選ばれました(Warren Winiarski Named 11th Annual California Hall of Fame Inductee)。

ワイン関連ではこれまで、第2回(2008年)に故ロバート・モンダヴィが、第3回(2009年)に、シェ・パニース・レストランのアリス・ウォータースが選ばれています。また、ワインで選ばれたわけではないですが、第8回(2014年)にはフランシス・フォード・コッポラも選ばれています。

カリフォルニアの名誉の殿堂は、2006年に、カリフォルニアの先進的な精神を実現し、歴史に名を刻んだ人物を称えるために設立され、サクラメントにあるカリフォルニアミュージアムにその功績が展示されます。

なお、これはCulinary Institute of Americaが選ぶカリフォルニアワインの名誉の殿堂(Vintners Hall of Fame)とは別物です。こちらは2007年から2013年まで選ばれ、その後ストップしています。2017年内に「Wine Hall of Fame」と改名する予定になっています。
Date: 2017/1116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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中川ワインが、火事のチャリティでワイン会を開催」の記事で紹介したチャリティ・パーティが開催されました。入場料の2/3を寄付に回したり、オークションの売上を回したりで、総額636万5000円もの寄付金が集まりました。今後、被害にあった地域の基金などに寄付されます。

あいさつをする中川誠一郎社長
オークション風景

さすが中川さんですね。すばらしい顧客をたくさん抱えているからこそ、この実績ができたのだと思います。

次は12月5日に「ワインエイドが、ナパなどの大火事に向けチャリティパーティ開催」で紹介した「#California Kizuna Project」ですね。みなさんも奮って参加ください。
Date: 2017/1115 Category: 業界ニュース
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Wine Spectatorの年間トップ100、昨日の10位、9位に続いて、8位、7位が発表されました。

8位はナパのカベルネ・ソーヴィニヨン「Meyer」(メイヤー)。フライパンで有名なブランドのオーナーが作ったワイナリーで、ナパの南東の端ゴードン・ヴァレーというところにあります。ナパも、オークヴィルやラザフォードなど中心部分はほとんど開発しつくされているので、ナパ郡の中でも地理的なナパ・ヴァレーをはずれたクームズヴィルやチャイルズ・ヴァレーなどがこれからは面白そうです。

ワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。さすがですね。

参考:
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)

残念ながらこのワインは日本には輸入されていないようです。

10位から8位までカリフォルニアワインが続きました。例年3~5本くらいだと思うので、今年は多いですね。山火事の後で忖度があった? というのは冗談ですが。上位にも期待したいところです。

7位はフランスのサンテミリオンのワイン。シャトー・カノン・ラ・ガフリエール2014。これは日本にも入っています。


トーマス・リヴァース・ブラウン自身のブランド「リヴァース・マリー」のカベルネ・ソーヴィニヨンなどは日本にも入っています。ほかにレヴァーナ、プリド~ウォーカー、シュレーダーなどありますが、どれも高価です。

Date: 2017/1114 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日の「ニュー・カリフォルニア」試飲会で、非常に珍しいヴァラエタルのワインがありました。ブロック・セラーズの「ミッション」 “サマーズ・ヴィンヤード”です。

ミッション種というのは、スペインの宣教師がキリスト教の布教のために伝道所「ミッション」をカリフォルニアに次々と建てていったのですが(南はサンディエゴ、北はソノマまで21のミッションが作られ、それをつなぐ道が「エルカミノ・リアル」でした)、そこでワインを作るために植えられた品種が「ミッション」です。

いわば、カリフォルニアで一番古いワイン用ブドウの品種ともいえるわけですが、現在ではミッションはほとんど残っていません。このサマーズ・ヴィンヤードのブドウもいつ植えられたものだかはっきりしないのですが、最低でも60年は経っているものとみなされています。

ミッション種は赤ワインようのブドウですが、色がさほど濃くならないため、このワインではボージョレ・ヌーボーと同じマセラシオン・カルボニックで色を抽出しています。比較的淡い味わいで、一般的なカリフォルニアワインとは大きく異なりますが、カリフォルニアワインの歴史を感じられるワインとなっています。

で、タイトルに戻りますが、このミッション種はチリでも同様に布教とともに広がり(カリフォルニアより古く16世紀のことです)、「パイス」と呼ばれています。パイスは庶民用のワイン(酸化した味わいで決しておいしいものではないらしいです)を作るために使われたため、今でも広く作られていますが、近年ではより洗練されたワインを作るために使う生産者も増えています。

カリフォルニアワインのインポーターである布袋ワインズもそういった歴史に共鳴してパイスのワインを輸入しています。これも軽い味わいでおいしいワインです。Wine Advocate誌で92点。濃いワインに高い点を付けると言われている同誌ですが、こういったワインもちゃんと評価しているのはさすがだなあと思います。

このほか、色が濃くないことをいかしてロゼのスパークリングを作っている生産者もいます。エノテカが輸入しているミゲル・トーレス・チリのものは試飲したことがありますが、チャーミングで予想以上においしいスパークリングでした。

古くて新しいワイン、パッションとパイス。ある意味、「ネオクラシカル」などといわれる流行の最先端のワインです。

Date: 2017/1114 Category: おすすめワイン
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Wine Spectatorの年間トップ100の発表が始まりました。10位はパソ・ロブレスのブッカー「Oublié」(オブリエ)2014。ムールヴェードル、グルナッシュ、クノワーズのブレンド。これまでシラーの上位はあったと思いますが、ムールヴェードルやグルナッシュ、しかもカリフォルニアワインというのは初では?(調べてませんが) 近年グルナッシュやムールヴェードルは「来てる」感じがしていましたが、それに拍車がかかりそうな気がします。

9位はパルメイヤーのシャルドネ2015。パルメイヤーのシャルドネというと映画「ディスクロージャー」を思い出してしまうのですが、この映画は1995年。もう20年以上前ですね。最近はあまり話題に上がらなくなってしまったパルメイヤーですが、実はいいワイン作っています。ただ、私としては、パルメイヤーがソノマ・コーストで作る「ウェイフェアラー」に結構気を取られていたので、パルメイヤー自身のワインはちょっと盲点になっていました(ちなみにウェイフェアラーのピノはおいしいですよ、要注目です)。

日本には今のところ前のヴィンテージまでしか入っていないようですね。

Date: 2017/1113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジのCOO兼モンテベロ・ワイナリー醸造責任者であるエリック・ボーハー氏が来日し、リッジの最高峰モンテベロ(Monte Bello)を垂直試飲するセミナーが開かれました(ちなみに、リッジにはモンテベロのほか、ソノマでジンファンデル系のワインを中心に作るリットン・スプリングスがあります)。エリックは1994年から20年以上リッジでワイン作りに携わっており、ポール・ドレーパー引退後に責任者になりました。ポール・ドレーパー同様、ワイン醸造に関する専門教育は受けておらず、味や香りをどう感じるかを中心にワイン作りを行っているとのことです。
2013年のモンテベロ
エリック・ボーハー氏

まずはモンテベロの畑について基本的なことをおさらいです。サンタ・クルーズ・マウンテンズの山の上の方にある畑で標高は406~815m。海底火山が隆起した地形で石灰岩があるのが特徴です。石灰岩はワインにミネラルや酸、リッチなタンニンを与えるとされており、世界の偉大なワインの多くが石灰岩の土地に畑があります。カリフォルニアでも、カレラが石灰岩の畑を求めて人工衛星の画像を調べたという逸話は有名です。

1999年から有機栽培に取り組んでおり、モンテベロのカベルネ・ソーヴィニヨンは2017年から100%オーガニックになっています。発酵は天然酵母で行い、畑の区画ごとに醸造しています。ポンプ・オーバーを使ってやさしい抽出を行っています。そのまま3~4カ月貯蔵している間にマロラクティック発酵は自然に進みます。また、リッジはアメリカンオークの樽を使っていることでも知られています。注意深く作れば、フランス製の樽と品質は変わらず、コストは半分以下に抑えられるとのことです。

モンテベロのカベルネ・ソーヴィニヨンは、できたワインのうち40%程度のものから作られます。ブレンドを決めるのは、醸造と栽培のチーム・メンバーだけ。マーケティング的な視点はいれず、純粋においしいワインを作るという目的だけでブレンドを決めているとのこと。これはかなり珍しいそうです。

6種類のワインを試飲

試飲はモンテベロのシャルドネ2012からです。これもアメリカンオークを使っています。レモンの香りにチョーク、バニラ、はちみつといった香りもします。味わいは香りに比べると少しまろやかで、オレンジにチョーク、ストラクチャーのしっかりとしたシャルドネです。16カ月シュール・リーで熟成しているとのことで非常に風味豊かです。出荷時のPHは3.2とのことで、やはり酸度はかなり高いです。収穫から5年たってもまだフレッシュな風味を残しているのはそのためなのでしょう。個人的に、昔からすごく好きなシャルドネの1つです。

ちなみに、リッジには1970年代からのこのワインが貯蔵されているそうですが、こういった古いワインを今開けてもやはりフレッシュさが残っているそうです。

次はメルローのエステート。エステートの畑とはモンテベロのことです。モンテベロと名乗らない理由については聞き損ねました。カシスや花の香りに、チョークを感じるのは石灰岩という刷り込みが頭に入っているせいでしょうか。タンニンも酸もしっかりとあるワインで、メルローとしては非常にストラクチャーを感じます。ちなみに、このメルローはフランスのポムロールから苗木を持ってきたものだとのこと。クローンの選択はメルローにおいて非常に重要だそうです。ちなみにカベルネ・ソーヴィニヨンのモンテベロは当初カベルネ・ソーヴィニヨン100%でしたが、今はメルローをブレンドしているそうです。

以下4種はカベルネ・ソーヴィニヨンのモンテベロです。ヴィンテージは2013年、2012年、2010年、2008年。

2013年は旱魃の影響でメルローのできが悪く、5%しかメルローを使っていません、代わりにプチ・ヴェルドを8%入れています。カシスやブルーベリーの果実味がしっかりとあり、甘草やロック、ブラックペッパーなどさまざまな風味が出ています。モンテベロの特徴はこういった果実味以外の風味をしっかりと持っていることです。非常に味が詰まった感じがします。

2012年は2013年と比べると赤系の果実がゆたかです。リッチでカラフル、パワーもあります。香りがすばらしい。22%

2010年になると熟成の雰囲気が出ています。カシスやブラックベリーの果実味に、杉や洗練されたタンニン。いいですね。

最後の2008年はオレンジにピールの味わい、カシス。ストラクチャーを感じます。酸は2010年と比べると少なめ、これも味が詰まったワイン。

リッジのモンテベロをこれだけ試飲したのは初めてです。とても貴重な経験ができました。ただ、この美味しさを言葉で使えるのはちょっと難しいですね。


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リッジ シャルドネ・モンテベロ [2012]Ridge Chardonnay Monte Bello
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Date: 2017/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シェーファーが2015年のヴィンテージからメルローをやめ、代わりに「TD-9」というブレンドワインを作り始めました(実は以前「布袋ワインズの試飲会から気になったワイン(2017年秋」にも書いています)。この新しいワインの宣伝のために、オーナーのダグ・シェーファーが来日し、ランチに参加しました。
ダグ・シェーファー
まずは、火事の話から。ダグ・シェーファーの自宅はセント・ヘレナにあるのですが、日曜日の夜10時10分ごろ、息子がスタッグス・リープ方面に火や煙が出ているのを見つけ、急いで車で向かったそうです。ものすごい強風で、火と煙は竜巻のようになっていたそうです。朝7時にはワイナリーぎりぎりまで火が来ましたが、ブドウ畑が自然の防火帯になって、ワイナリーや近くにある父親の家は難を免れたとのこと。レンタルハウスが1つ燃えてしまったのが最大の被害でした。

この日は本当に風が強く、カリストガで発生したタブズ・ファイアーの場合、そこからサンタ・ローザまでわずか3時間で燃え広がってしまったそうです。

シェーファーでは収穫も済んでおり、5日間停電はありましたが、その間は発電機でまかなえたのでワイン作りにも支障はきたさなかったとのこと。

あと、一般論として煙の被害については確かに否定できないのですが、対処法についてのマニュアルもあるので、各ワイナリーのワインメーカーは最善を尽くすでしょうとのこと。そして、ナパは何よりも品質を大事にする地域なので、実際のワインに汚染が認められたら、それをそのまま出荷することはなく、実際に出荷するワインの品質が落ちる心配はさほどないのではないか、とのことでした。例えば近年だと2011年は雨が多く難しい年でした。クオリティーに達しないワインは売ってしまったので、実際に作られたワインの品質は担保されたといいます。

余談ですが、そういえばシェーファーには以前「ファイアーブレーク」(防火帯)というサンジョベーゼ・ブレンドのワインがありました。このワインは、1981年の山火事の際に防火帯となっていたところを畑にしたことから名付けられたのですが、今回は畑そのものが自然の防火帯になったとのことでした。

今回飲んだワイン
ワインは2015年のシャルドネ・レッド・ショルダー・ランチ、2015年のTD-9、2014年のカベルネ・ソーヴィニヨン・ワン・ポイント・ファイブ、そして2013年のカベルネ・ソーヴィニヨン・ヒルサイド・セレクトでした。

まずはシャルドネからです。これがびっくりするくらいおいしい。シェーファーというと赤ワインのイメージが強いですが、これは主役を張れるくらいの実力があります。例えば、オーベールのAVAものと同レベルに感じました。ダグも「おいしいでしょ」っていっていたので、かなり自信あるのでしょう。なお、25%ステンレスのバレルを使っているとのこと。

オレンジやクリーム、はちみつの香り、華やかな果実味にバニラやクリームブリュレのようななめらかな味わい。ホワイトペッパーの風味。フルボディのワインだが、マロラクティック発酵を行っていないので、フレッシュな味わいを強く残しています。

次が新作TD-9。

シェーファーにとってメルローは頭痛の種でした。自社畑はあるのですが、収量が安定せず、購入したブドウも合わせて作られていました。2015年の収穫時期のある日、ワインメーカーのイライアス・フェルナンデスがダグにいいました。「メルローという名前をやめればもっといいワインができるよ」。メルローと名乗るためにはメルローを75%以上使っていないといけないわけですが、その縛りを解きたいというのです。「ならやってみてよ」とダグ。エルナンデスが研究室にこもって1時間。「できたよ」というので行ってみたところグラスが2つ用意されていました。比べてみたところ「右のグラスがいい」と二人の意見が一致。それが、ブレンドになりました。それで、メルローという名前をはずすことにし、代わりに、シェーファー家がナパに来て最初に買ったトラクターの名前をワインに使うことにしました。

TD-9のコンセプトは「一番おいしいブレンドを作る」ことなので、ブレンド比率は毎年変わります。最初のものはメルローが56%になりました。残りはカベルネ・ソーヴィニヨンが28%、マルベックが16%。自社畑のブドウがメインで、メルローは外からの購入を止めたそうですが、マルベックなどは買いブドウも含まれているそうです。

日本ではシェーファーのメルローは昔から人気のワイン。確かに、このサイトを始めた1990年代末期にもシェーファーといえばメルロー、カリフォルニアのメルローといえばシェーファーといっても過言ではないくらいポピュラーなワインでした。それをやめてしまうことについては、素直に「ごめんなさい」とのこと。ただ、メルローは今でも好きだし、メルローを今も育てているし、それをやめる気はさらさらない。ただ、それを使ってもっといいブレンドを作るのだということで理解してほしいと、ダグは言っていました。

さて、実際のワインですが、やわらかさとストラクチャーを併せ持ったワインです。濃いですが重くない。洗練されたタンニン。後述のカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインがストラクチャーを前面に出したような味わいであるのと比べると、TD-9はメルローの比率が多いぶん、ソフトで飲みやすい印象があります。若いときに飲むのならこちらの方がおいしいくらい。いいワインです。

次は2014年のワン・ポイント・ファイブ。ワン・ポイント・ファイブというのは「1.5世代」という意味。シェーファーを作ったジョン・シェーファーと現当主であるダグ。ダグも最初からワイン作りに携わっていたので第2世代というよりも、1.5世代だということだそうです。

ワインはTD-9と比べるとストラクチャーがよりしっかりとし、スパイシーな味わいもあります。カベルネ・ソーヴィニヨンが95%とのこと。

最後は2013年のヒルサイド・セレクト。カベルネ・ソーヴィニヨン100%で作られるシェーファーのフラッグシップです。

カシスやブルーベリーなどの濃厚な果実味。しっかりとしたストラクチャー。ヒルサイド・セレクトを飲むといつも、そのかっちりとした味わいに、いいカベルネ・ソーヴィニヨンだなあと思います。100%のカベルネ・ソーヴィニヨンのお手本といってもいいワインでしょう。杉やなめし革のような複雑な味わいもあるので、熟成してもおいしいのは間違いないでしょう。というか、開くのにある程度時間がかかるので、すぐに飲むなら、これよりもTD-9やワン・ポイント・ファイブの方がおいしく感じられるかもしれません。

最後に、会場となったANAインターコンチネンタルホテル「ステーキハウス」の料理を紹介します。どれも美味でした。
グリーンサラダ
パンプキンスープ
ステーキ
デザート


シャーファーのメルローが懐かしいという人は今のうちに買っておきましょうね。

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シェーファー メルロー ナパヴァレー
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Date: 2017/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Vinsightという会社がGIS(地理情報システム)を使って山火事の被害を調べました(Using data to assess damage of wine country fires – Vinsight – Medium)。

リンク先には地図がありますが、山火事で焼けた範囲の地図と、ブドウ畑の地図を重ね合わせることで、直接被害を受けた畑を調べています。

それによるとソノマは800エーカー、ナパは700エーカー、計1500エーカー(約6平方キロメートル)が被害を受けており、これは両地域の畑の面積の1.6%に相当するとのこと。

1.6%を大きいと思うか小さいと思うかその評価は難しいところですが、データとしては参考になります。
Date: 2017/1110 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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コングスガードの最新ヴィンテージが国内入荷しています。2015年は旱魃の影響で収量が少なく、日本への割り当ても減ったとのこと。

コングスガードといえば、シラーなどもむちゃくちゃ美味しいですが、やっぱり白眉はシャルドネですね。2013年にWine Advocateで100点を取ったフラッグシップの「ザ・ジャッジ」は個人的にもカリフォルニアで最高のシャルドネだと思っている一品で本ヴィンテージも98-100という点数が付いています。ただし、今回は単体販売はなさそう。ナパ・シャルドネも96-98という高評価。





ジャッジ入りは、今は12本のアソート(うち1本だけジャッジ)しかないようです。


別ヴィンテージならジャッジ単体もあります。2009年は98+の評価。


2014年は98点。

Date: 2017/1109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コスタ・ブラウンが、トレードマークとなった過熟気味なスタイルから変わろうとしているという記事が出ていました(Kosta Browne reverses course on its lush, ripe Pinot Noir style - San Francisco Chronicle、有料会員のみ閲覧可能)。

参考:
Kosta Browne Winery: ピノ時代の寵児になった21世紀的ワイナリ

Kosta Browne Pinot Noir

コスタ・ブラウンは2018年春に、初めてテイスティング・ルームをオープンする予定。そして、創設者のダン・コスタとマイケル・ブラウンは、出資者としては残るもののワイナリーのオペレーションから離れていくことになります。

未だに、メーリング・リストは数年の待ち行列ができていますが、社長兼CEOのスコット・ベッカーは、「このままでは滅びてしまう」と懸念しています。

こんなエピソードがあります。2015年からワインメーカーを務めるニコ・クエバとベッカーがニューヨークの有名なレストラン「ブレスリン」に行ったとき、ニコ・クエバは「ジョリー・レイド」という、ソノマでマイナー品種のワインを作るワイナリー(このブログで紹介しているワイナリーだと、マイケル・クルーズやブロック・セラーズのようなところ)のTシャツを着ていったところ、ソムリエは「そのワイナリーから来たの? そこのワインは好きだよ」といい、コスタ・ブラウンという名前については「聞いたことない」という反応だったそうです。

IPOBのような活動においても、コスタ・ブラウンは「濃くて甘くて、食事に合わないワイン」の典型だとしてやり玉にあがることが多くあります。そのスタイルでの成功が自らを苦しめる元になりつつあるのです。

現在、マイケル・ブラウンとダン・コスタはそれぞれのプロジェクトを始めています。マイケル・ブラウンは「サーク(Cirq)」、ダン・コスタは「アルデンアリ(AldenAlli)」です。どちらもソノマ・コーストのブドウを使い、コスタ・ブラウンと比べてエレガントなスタイルになっています。

コスタ・ブラウンでも、大樽を使った醸造や熟成、天然酵母などを試しているとのことで、今後は大きくスタイルを変えていくことになりそうです。そういえば、2016年には「コスタ・ブラウンがアンダーソン・ヴァレーのセリースを買収」というニュースもありました。リトライで知られる「薄旨」系のセリースの畑を買ってどうするのだろうと思ったものですが、背景にはこういったスタイルの変革があるのですね。

分かれていく3者がいずれも同じような方向性に行くというのも、ちょっと奇妙な感じがしないでもないですが、コスタ・ブラウンでさえも、時代の流れには逆らえないということでしょうか。個人的には、コスタ・ブラウンだけは、あのスタイルを堅持してくれてもいいのではないかとも思うのですが。

コスタ・ブラウンが「ブレイク」するきっかけになった2003年の貴重なワインです。この年のワインがWine Spectatorで絶賛されたことがピノ・ノワール・ブームの走りにもなりました。


2012年の単一畑もの。10年前は単一畑どころかAVAものも入手困難でした。


調べていて気付いたのですが、このサークはむちゃくちゃ安いです。Wine-Searcherの平均価格で172ドルですから。世界一安いかも。全力でおすすめします。
参考:サーク(Cirq)はやっぱりおいしかった(キスラーも)

Date: 2017/1108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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東日本大震災以来、被災地への寄付のために毎年パーティをやっているワインエイドという団体があります。インポーターやソムリエなどが参加するこの団体がナパやソノマなどの大火への応援として、チャリティパーティを開くことが決まりました。
Kizuna Project
概要:
開催日:2017年12月5日(火) 18:30開場 19:00開演
会  場:アグネスホテルアンドアパートメンツ東京
      〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-20-1  
      TEL : 03-3267-5505
      http://www.agneshotel.com/access/
会  費:10,000円(税込)
※会費より利益のすべてを支援金として寄付いたします。また10,000円以上のご入金を頂いた場合は差額の全てを寄付いたしますので何卒よろしくお願い申し上げます。

来場者数は最大120名。

申込みはこちらからです。ワインエイドが集金などをうけおっています。
Date: 2017/1107 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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コンティニュアム(Continuum)のティム・モンダヴィの息子、カルロとダンテがナパを離れてソノマで作ったワイナリーがレイン(Raen)です。
参考:
モンダヴィ家の最新ワイナリーはピノ専業で高評価
【保存版】モンダヴィ・ファミリーの系譜 ←余談ですが、これ本当に力作なんです。モンダヴィ関係でだれがだれだかわからなくなったら、僕もこの記事で復習しています。

記事タイトルでも「ピノ専業」などと書いてしまっていますが、実はシャルドネも始めているんだよということで、最初のヴィンテージを早速購入されたKさんからお誘いを受けました。

ワイン会にきちんとは参加できなかったのですが、ちょっとでもということでずうずうしく試飲だけさせてもらいに行ってしまいました。場所は赤坂の「あじる亭 カリフォルニア」です。
ConundrumのスパークリングとRaenのシャルドネ
レインだけいただくつもりだったのですが、ほかに持ち寄られたワインもいただいてしまいました。本当に恐縮です。

まずは、ケイマス系列のコナンドラムが25周年で作ったスパークリングという珍しいワインです。軽いイースト香、花の香りやメロンの風味など、ヴィオニエ風の味わいに、アフターをちょっと引き締めるような軽い苦味はソーヴィニヨン・ブラン由来でしょうか。セパージュの詳細は明らかにされていませんが、白のコナンドラムと基本的に同じだそうです。スパークリングとしては比較的酸がおだやかなので、ふだんスパークリングを敬遠している人でもすいすい飲めるようなワインです。

次が本命のレインのシャルドネ。2016年で畑はソノマ・コースト(AVAはフォートレス・シーヴュー)のチャールズ・ランチ。フランスワイン風のラベルは畑の名前よりも「フォートレス・シーヴュー」というAVAの名前が目立つユニークなデザイン。

image
ボトル番号が振ってあり、111番というのは奇しくもこの日の日付11月1日と重なっています。

オレンジなど柑橘系の香りが、びっくりするような濃度で押し寄せてきます。飲んでみると、意外と果実味は少なく、エレガントさが引き立つ味わい。酸はかなり強め。ハーブやいわゆるミネラルっぽさなど、果実味以外の要素がしっかりと感じられるワインなので、5年以上熟成させると魅力がさらに上がってくるのではないかと思いました。カリフォルニアワインファンからすると、もう少し果実味を前面に出してもいいのでは、という気もしました。

a.p. vin garys
次はA.P. Vinのピノ・ノワール ゲイリーズ・ヴィンヤード2014。ゲイリーズのワインを飲むのも久しぶりです。A.P.Vinは、ローリングやオーガスト・ウエストなどの流れを引くワイナリーですが、比較的エレガントなワインを作るとされています。一方、ゲイリーズは、サンタ・ルシア・ハイランズの3大著名畑と言っていいピゾーニ、ゲイリーズ、ロゼラズの中でも芯の太いワインができるので有名な畑。エレガント系かボールド系かどちらに行くのだろうと味わってみると、煮詰めたジャムのような、あま苦さがあり、これはまさにゲイリーズ。久しぶりにこの味飲みました。最近、ピノ・ノワールもかなりエレガントな方向にスタイルが移行していますが、ここまでゲイリーズらしさを打ち出すのは、逆にすがすがしいですね。個人的には好きです。

参考:A. P. Vin: 新世代ピノ・メーカーの筆頭格

Switchback Ridge
最後はナパのワイナリー「スイッチバック・リッジ」のカベルネ・ソーヴィニヨン2002。15年たって果実味が落ちてきて、それ以外の要素が次第に出てこようとしている感じのワイン。もうちょっと時間をかけて味を引き出したかったです。

ワイン持ち寄られた方々、ごちそうさまでした。
Date: 2017/1106 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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高級ワインの専門店「Wine Cellar Katsuda」が11月9日1時59分までの楽天セールに合わせて、大幅な割引をしています。

前回はハーランなどがかなり安くなっていましたが、今回の目玉はオーパス・ワンの1980年代や1990年代のもの、それからダラ・ヴァレのフラッグシップ「マヤ」です。

オーパス・ワンは1984年が4万9800円、1985年が5万9800円など、税抜き価格ですが4万円台から5万円台で多くのヴィンテージが出ています。古いヴィンテージは保存状態などが気になるところですが、このショップはフランスの銘醸ワインのオールド・ヴィンテージものなども数多く扱っているので信頼はできるでしょう。キャップシールの腐食や、ラベル破損などについてはサイトに写真付きで載っています。全部で10ヴィンテージほど出ています。

オーパス・ワンのセール品一覧

マヤはWine Advocate誌で100点がついた2013年が7万9800円、98+点だった2010年が4万9800円、96点だった2008年が4万4800円(いずれも税抜き)など。マヤが税込みでも4万円台というのは、これまで見たことあるかどうか…1990年代末のカルトワインブームのときにサンフランシスコのワインショップで300ドル台で売っているのを見て、値段の高さにびっくりしたものですが、当時から日本では7万円くらいしましたから、高級ワインが全般に当時の2~3倍程度に値上がりしていることを考えると、相対的にはずいぶん安くなった感じがあります。スクリーミング・イーグルやハーラン、コルギンあたりに比べると話題に上ることは少なくなりましたが、おそらくそれはワイナリー側があえて積極的なマーケティングをしていないだけだと思います。評価は相変わらず高いです。

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というかマヤをこれだけのヴィンテージそろえて売っているだけでもかなりすごいです。
マヤの一覧
Date: 2017/1105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レーヴェンスウッドのジンファンデル最高峰といえば、ソノマで1852年に植えられた畑のブドウから作る「オールド・ヒル」です。このワインが10月の大火の影響で2017年は作られないことが判明しました。

過去30年以上にわたって作られてきたこのワインですが、畑はバックリン(Bucklin)という家が持っています。10月の山火事で、ソノマのグレン・エレンやケンウッド、ナパのマウント・ヴィーダ―(先日、今年のワインをあきらめたという話を紹介したマヤカマスはここにあります)に大きな被害をもたらしたナンズ・ファイアーで建物2軒が焼けたほか、畑周辺の木も燃え、ソノマで最も古いといわれているジンファンデルの古木も一部焼け焦げてしまいました。

収穫はかなり済んでいましたが、レーヴェンスウッドの親会社であるコンステレーション・ブランズの契約しているブロックはまだ手付かずでした。そのブロックそのものは火にはやられませんでしたが、何日も濃い煙にまかれた状態が続きました。

火事が一段落した後、コンステレーションがブドウを調べたところ、煙の汚染物質がブドウから見つかり、コンステレーションは今年のブドウを購入しないことを決めたそうです。

しわよせがワイナリーではなく、畑の生産者に来るのはなんだかかわいそうです。そういったことに対応する保険もあるそうですが、バックリン家は加入していませんでした(今後は加入する意向だとか)。バックリン家では、自家のワイナリーでこのブドウを使ってみる予定ですが、ワインとして売れるかどうかはわからないとのこと。


ジンファンデル以外のフラッグシップが「アイコン」。いくつかの古木の畑のブドウをブレンドしており、オールド・ヒルも使われています。

Date: 2017/1104 Category: グルメ
Posted by: Andy
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最近、コンビニのアイスの充実ぶりはすごいものがありますが、中でもセブンイレブンはオリジナル商品のレベルがとても高いと思っています。そんなセブンイレブンの冬アイスの試食会に参加しました。

冬アイス

試食したのは4つの新作。まずは11月の下旬に発売される「セブンプレミアム 苺のケーキサンド」です。
セブンプレミアム 苺のケーキサンド
まだ、パッケージも完成していないとのことで、ジッパー付きの袋で配られたこのアイス、サンドしている生地がふわふわで柔らかいのです。亀屋万年堂のナボナのようなやわらかさと食感、味わいの生地でした。アイスはコチコチに凍った状態なのに、生地でこの柔らかさを出すのはかなりの技術が必要だったようです。中のアイスは苺の風味がよく、甘さは少し控えめな感じ。アイスクリームケーキ的なアイスです。

次もサンド系で「チョコが濃厚なブラウニーサンド」。生地はブラウニーになっています。
チョコが濃厚なブラウニーサンド
チョコが濃厚なブラウニーサンド
先程のとは打って変わって、サンドはサクサクした食感。かなり濃厚なチョコレート感。バニラアイスとの相性もいいです。かなり満腹感のあるアイスでした。

次は10月下旬に発売した「どら焼きアイス」です。
どら焼きアイス
どら焼きアイス
この生地もスポンジケーキのようにふわふわですが、先程の苺のケーキサンドほどは柔らかくなく、まさにどら焼きのよう。粒餡のあんこもあずきバーのように固くなく、ほどよい感じ。餡や生地の香りや食感もすばらしいです。これはどら焼きとしても新しいジャンルを築くのではないかと思うほど秀逸です。どら焼き好き、あんこ好きの人にはぜひ食べて欲しいアイスです。

最後は「トップスチョコレートケーキアイスバー」。
トップスチョコレートケーキアイスバー
赤坂のケーキ屋さんトップスのチョコレートケーキは有名ですが、これをアイスバーにしたものです。今年4月に一度発売したそうなのですが、そのときは瞬殺。あっという間に売り切れてしまったとか。

写真がピンぼけでわかりにくいですが、中にくるみが入っていて、食感も味わいもまさにトップス。トップス好きの人なら納得する味わいだと思います。あえて難点をいうと、ほかのアイスよりもちょっと溶けるのが速く、若干食べにくかったこと。このアイスを食べるときは食べることに集中した方がいいとおもいます。

今回のアイス4作。さすがの美味しさでした。なお、こういった新作のアイスは工場と、生産個数で契約をしているようで、一定個数売れたら売り切れということになります。大体1~2カ月くらいの製品寿命を見込んでいるそうですが、売れ行きがいいともっと早くなくなる可能性もあります。特に「トップス」は早く売り切れてしまう可能性が高そうなのでお早めに。
Date: 2017/1103 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー、シェーファーに知り合いの木村さんが訪問し、ワイナリーから見た焼け跡の写真をFacebookに挙げていました。許可を得て転載します。
シェーファー
シェーファー
シェーファー
見て分かるようにワイナリーのすぐ裏手の岩のところまで焼けています。今は焼け跡で黒くなっていますが、これが真っ赤に燃えていたらと思うと、ぞっとしますね。木村さんからは「山火事が寸前まで迫っていたのは、恐怖でした。シルバラード方面のワイナリーは火が寸前で消し止められているところが多くみられました」というコメントをいただいています。

スタッグス・リープ・ディストリクトのシルバラード・トレイルより東側のワイナリーは、多かれ少なかれ、同じような恐怖に直面したのだと思います。同じ道沿いのダリオッシュもかろうじて被害を免れたとの話でした。

火事で行くのを躊躇されいてる方もいらっしゃると思いますが、Visit Californiaは以下のような投稿をしています。

訪問することが現地の元気につながると思います。

久しぶりに火事関連の記事を書いているのでいくつかアップデート情報を記しておきます。

まず、ナパやソノマなどに大きな被害をもたらした山火事はいずれも10月末に「100% Contained」の状態になりました。まだすべて火が消えたわけではありませんが、とりあえず、一定の地域内に収めたという形になります。「Contained」という言葉の意味するところについては、また項を改めて説明したいと思います。それにしても3週間近くの火災、奮闘した消防士の方々は本当にお疲れ様でした。

ナパのマウント・ヴィーダ―にある老舗のワイナリー「マヤカマス」(先日の「ニュー・カリフォルニア試飲会でおいしかったワイン(後編」でも紹介しています)も、大きな被害を受けたワイナリー。ワイナリーのメイン・ビルディングは無事でしたが、隣のレジデンスは焼け落ち、畑も2割近く焼けてしまいました。そして2017年のワインはすべてダメになった可能性が高いようです。というのも、当時ワインは醸造中で蓋のついていない醸造槽に入っていました。そこで何日もの間、煙に触れてしまったので、まずだめだろうということです。残念なことです。

地域全体の被害額については、いろいろな試算が出ています。10億ドルといった数字も上がっていますが、それはかなり少なめの数字で、現在は30億ドルとか60億~80億ドルといった数字が出ています。
Date: 2017/1102 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのセントヘレナにある人気ワイナリー「フランシスカン」が2017年10月末で閉鎖しました。といっても、ワインを作るのをやめたのではなく、テイスティングルームを閉じたということです。実際のワイン造りはここではなく、ラザフォードにある設備で行っており、そちらは影響ありません。

で、閉じたテイスティングルームがどうなるかというと、今度は模様替えして「プリズナー」のテイスティングルームになるとのこと。オープン時期は未定です。

実は、フランシスカンもプリズナーもコンステレーション・ブランズ傘下のワイナリー(モンダヴィやクインテッサなどもあります)。だから同じグループ内でテイスティングルームを交代したということです。

確かに、大人気ワイナリーのプリズナーがテイスティングルームを持っていないのはもったいない。フランシスカンのテイスティングルームはハイウエイ29沿いで人が集まるセントヘレナの町からも近い、超一等地。企業論理的には理解できますが、何か寂しいですね。

余談ですが、フランシスカンは以前はフランシスカン・オークヴィル・エステートと名乗ってました。そして、実はワインの大半はラザフォードのブドウを使っており、テイスティングルームはセントヘレナ。なんだか面白いなあと思ってました。「ラザフォードベンチ」はもうないのかなあ…

なお、フランシスカンのカベルネは間違いなくお買い得なワイン。超おすすめです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

フランシスカン ナパヴァレー カベルネソーヴィニヨン
価格:2862円(税込、送料別) (2017/11/2時点)



上級版のマニフィカもあります。

Date: 2017/1101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2社分の試飲の後、特別ゲストとして、西麻布のレストラン「サッカパウ」のソムリエ梁世柱(やん せじゅ)さんによるセレクションのコーナーがありました。セレクションの中にはダン(Dunn)のカベルネ・ソーヴィニヨンもあり、「ニューカリフォルニア」でありながら「オールド・カリフォルニア」でもあるところが面白いと思いました。

アルノー・ロバーツ@New California試飲会
アルノー・ロバーツのシャルドネ「トラウト・ガルチ・ヴィンヤード」2016。畑はサンタ・クルーズ・マウンテンズにあります。きれいな酸とふくよかなボディ。レモンやオレンジの柑橘系フレーバー。最近のカリフォルニアのシャルドネは本当においしいものが増えていると思います。

Rivers-Marie@New California試飲会
リバース・マリーのピノ・ノワール「スーマ・オールド・ヴァイン」2013。リバース・マリーの作るワインの中でもうまみが強く、複雑味があり、果実味以外の要素を多く持っているワイン。

Piedi Grandi@New California試飲会
昨日の記事でも紹介したラ・クラリーヌ・ファームの「ピエディ・グランディ」2015。ネッビオーロとムールヴェードルのブレンド。果実味もしっかりしているのですが、旨味も強くおいしいワイン。

ここからは布袋ワインズ輸入のワインです。
レオ・スティーン@New California試飲会
レオ・スティーン(Leo Steen)の「シュナン・ブラン ジュラシック・パーク・ヴィンヤード」2014は、今回始めて試飲したワイナリー。シュナン・ブランも最近取り組むところが増えている印象があります。親しみやすい味わいのものが多いですが、このシュナン・ブランは複雑さがあり高級感のある味わい。

New California試飲会
ベンチと、その左にあるバリックは同じ作り手が作っているそうですが、味わいはかなり違います。個人的な好みはベンチの方。はちみつやオレンジの芳醇な味わいに爽やかさもあります。3000円台のシャルドネとしては出色では。

カリン・セラーズ@New California試飲会
カリン・セラーズの「シャルドネ キュベLD」1994年はもう4、5回試飲していると思いますが、そのたびに感心するワインです。20年以上の熟成でうまみたっぷり。これだけきれいに熟成した白ワインはそうそうないのではないかと思います。これのどこがニュー・カリフォルニアワインなのかというと難しいところではありますが、唯一無二の個性を放っているというのも今の時代に合っているような気はします。

New California試飲会
リトライの「ソノマ・コースト ピノ・ノワール2015」。リトライの本領を発揮するのは単一畑ものだと思いますが、1万円以下でリトライらしさを味わえるという点では、このAVAものも捨てがたい気がします。

パラダイス・リッジ@New California試飲会
地震でワイナリーが全焼してしまった、パラダイス・リッジのジンファンデル。ラベルに長沢鼎があしらわれています。ミディアムボディでおいしいジンファンデルです。

New California試飲会
カベルネ・ソーヴィニヨン3連続。右のベンチと左のスカラー&メイソンはタニックでクラシックな作り。バリックはこの中では一番モダンなスタイル。「ニューカリフォルニア」という意味では形容矛盾なようですがクラシックな両脇の方が面白いです。



ここからはワイン・イン・スタイルが輸入するワインです。
タトマー@New California 試飲会
タトマーはサンタ・バーバラのワイナリー。リースリングをメインで手がけている珍しいワイナリーです。個人的にはあまり飲まない品種ではありますが、この「ヴァンデンバーグ 2015」はおいしかったです。

Scribe@New California 試飲会
Scibe@New California 試飲会
スクライブ(Scribe)はソノマに2007年にできた新しいワイナリー。「テロワール」を重視したワイン作りをしています。
上の写真の左はドライなリースリング。酸がきれいです。右はいわゆる「ペティアン・ナチュール」(発酵途中に瓶詰めすることによってできる微発泡なワイン)のリースリング。最近ペティアン・ナチュールが人気だという話はここかしこで聞き、実際試飲すると、とても口当たり良く飲みやすいワインが多く、その人気もなるほどと思っています。このペティアン・ナチュールも問答無用なおいしさ。本来クラブメンバー限定のワインをごく少量輸入するそうなので、どれだけ出回るかわかりませんが、今回の試飲会のワインの中でも一番「今っぽい」ワインかもしれません。
下は「サン・ローラン」という品種のワイン。この品種を飲むのは多分初めてです。軽いけれども美味しいワインです。

Raen@New California 試飲会
レイン(Raen)はロバート・モンダヴィの孫(父親はコンティニュームのティム・モンダヴィ)がソノマで作るワイン。「ロイヤル・セント・ロバート・キュベ ピノ・ノワール2015」。酸がきれいでうまみもあります。

マサイアソン@New California 試飲会
マサイアソンのシャルドネは柑橘系の味わいとバランスのよさを感じるワイン。IPOBのメンバーでした。

New California 試飲会
ハンゼルはIPOBにも入っていました。シャルドネもピノ・ノワールも高品質です。

New California 試飲会
マヤカマスは懐かしい味。特にカベルネ・ソーヴィニヨンはタニックですが山カベのよさが出ています。

New California 試飲会
フェイラのワインはどれもレベル高いです。特によかったのは「シャルドネ エステート・ヴィンヤード フォートロス・シービュー2015」。「ピノ・ノワール ソノマ・コースト2015」もコスパが光ります。

New California 試飲会
ユニークなワインを作るスコリウム・プロジェクトでは一番左のサンソーを使った「1MN」がよかったです。

終盤はちょっと息切れ気味。どれが美味しかったか以上のコメントがあまりできていません。すみません。精進します。