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Date: 2024/0622 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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イタリアのアンティノリがワシントンでプレミアムなカベルネ・ソーヴィニヨンを作る「コル・ソラーレ(Col Solare)」の100%オーナーになりました。これまではワシントン州最大のワイナリーであるシャトー・サン・ミシェルと50%ずつを持つ形でした。

シャトー・サン・ミシェルはワシントン州のワイン生産の約6割を占める巨大ワイナリーですが、ここ数年は業績の悪化に苦しんでいます。昨年には、契約栽培農家に対して、5年間で4割購入ブドウを減らす旨を通告して、ワシントン州のワイン産業全体が大騒ぎになりました。

アンティノリとは以前から協業をしていましたが、昨年にはナパのスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの持ち分をアンティノリに売却、ナパのコン・クリークも売却(アンティノリも売却し、実質的にコン・クリークは廃業状態になりました)と事業の整理が相次いでいます。ソノマのパッツ&ホールも創設者が株を買い戻してオーナーに戻りました。

コル・ソラーレは1995年に設立、当初はサン・ミシェルの買いブドウからワインを造っていましたが、2007年にワシントンで最も温暖でプレミアムなワインのできるレッド・マウンテンにワイナリーを設立、26エーカーの自社畑も有するようになりました。これらはいずれも今回の買収に含まれています。
col solare
Date: 2024/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのカーネロスに本拠地を持つクライン・ファミリー・セラーズ(Cline Family Cellars)が、クラインの中では高級ラインになる「ソノマAVAシリーズ」の国内発売に伴い、日本で発表会を開催しました。

クラインのワインは、国内では2000~3000円台の価格帯のものが中心でした。ソノマAVAシリーズは希望小売価格が税抜き6500~7000円と、やや高級な部類に入ります。なお、米国では単一畑のシリーズも販売しています。ソノマAVAシリーズは米国外では日本が初だとのことです。

今回来日したのは創設者のフレッド・クライン、ナンシー・クラインの夫妻。1982年の創設以来、家族経営をつづけています。ナンシーさんは初来日、フレッドさんは30年ぶりの来日。フレッドさんが以前来たときはココファームの仕事だったとのことで、クラインの代表として来るのは初めてです。


クラインはワイナリー名に「ファミリー」と入っているように、家族をとても大事にしています。ワイナリーの哲学も「家族」で、子供たちが畑を走り回っても危険がないように、設立当初から自社畑では除草剤や農薬をつかっていません。今でこそ「サスティナブル」は多くのワイナリーのキーワードになっていますが、約40年前からそれを実践してきたわけです。なお、二人には子供が7人おり、そのうち4人はクラインで働いています。家族経営としての持続性もあるわけですね。


クラインでは上の写真にあるように羊や山羊を放し飼いにしています。彼らが適度に草やブドウのはっぱを食べてくれます。雑草を食べてもらうための羊や山羊をレンタルするサービスもカリフォルニアにはありますが、クラインでは自分のところで飼っている羊や山羊を使っています。このほかブドウの皮などはたい肥に使用、猛禽類のための巣籠を設置するなど、自然と共存した農業を実践しています。

クラインのワインは、以前はABC(Anything but Chardonnay、Anything but Cabernet)といってシャルドネやカベルネといった人気品種を避けて、ローヌ系品種やジンファンデルを中心としていました。今もそれらは大事な品種ではありますが、近年はシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなども作っています。ソノマAVAシリーズもシャルドネ、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンという構成で、それぞれその品種を得意とするAVAのブドウで造られており、その地域の特性をワインのニックネームに使っています。このシリーズを始めたのも、ワイナリーを子供たちに継承していくことが年頭にあるようで、子供たちが生まれ育ったふるさとであるソノマを代表するようなブドウのワインを造り、新しいクラインの姿を伝えていきたいと語っていました。 


シャルドネは「ハット・ストラップ」。畑はカーネロスの自社畑「J. Poppe」で、この畑が強風の通り道となっていることから、帽子を飛ばされないように紐を付けないといけないということで、そのニックネームが付きました。味わいは、まず柑橘などの果実味が口全体に広がります。豊かな酸で食欲もそそられるあじわい。白い花の香り、軽い樽の風味。アルコール分もたっぷりあり、濃密ですが上品なシャルドネです。

ピノ・ノワールも100%自社畑でソノマ・コーストのペタルマ・ギャップにある二つの畑のブドウを使っているようです。ニックネームは「フォグ・スウェプト」で、朝霧に覆われた地域を表現しています。チェリーやフランボワーズ、ザクロなど赤果実の風味。これも酸が高いです。エレガントですが、果実味がギュッと詰まったような濃密感や満足感のあるピノ・ノワールです。どうやら、この上品さと果実の豊かさによる濃密さの両立というのがこのシリーズの特徴になっているような気がしました。

ジンファンデルはドライ・クリーク・ヴァレーから。スクール・ハウス・クリーク・ヴィンヤードというレイク・ソノマの近くの畑のブドウを使っています。樹齢は40~100年。樹が1本ずつ自立した作りで、ブドウの枝を8方向に伸ばすという古来からの剪定方法を使っていることから「エイト・スパー」というニックネームが付きました。ラズベリーやクランベリーの柔らかな果実味で甘やかさと酸とのバランスがいいワイン。ジューシーな味わいはジンファンデルのお手本的です。

最後はカベルネ・ソーヴィニヨンで、アレキサンダー・ヴァレーのブドウを使っています。畑はRio Lagoという、アレキサンダー・ヴァレーの中では一番ロシアンリバー・ヴァレーに近いやや冷涼なベンチランドの畑です。メルローとプティ・シラー、アリカンテ・ブーシェがブレンドされていてプティ・シラー、とアリカンテ・ブーシェは自社畑のものです。アレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンというと代表するのがシルヴァー・オークやジョーダンで、どちらも濃すぎず芳醇な果実味が特徴です。このワインも果実味の豊かさはそのイメージ通り。味わいの底の方にタンニンがあり、じっくり味わうとそれがだんだんと出てくるような印象です。

ソノマAVAシリーズ、その名前通り、そのAVAらしさを出しつつ、親しみやすさはクラインらしいところでいいワインだと思います。特に、ソノマを勉強したい人は、このあたりから味わってみるのがいいかもしれません。

試飲会にはクラインの他のワインも出ており、また会場となった「俺のフレンチ グランメゾン大手町」(余談ですがこのお店、開店当時は「俺のGrill&Bakery」という名前でときどきステーキ食べに来ていました)によるソノマAVAシリーズとマリアージュする料理も出ていました。

この中で特に面白かったのがカベルネ・ソーヴィニヨンに合わせる料理として提供されていた「マグロとカラスミのカルパッチョ アホ・ブランコソース」。カベルネに魚を合わせるというのはあまり一般的ではありませんが、このカベルネは酸とのバランスがよく、やや軽快な味わいなのでよく合っていました。

ワインの感想を簡単に記しておきます。

クラインの「セブン・ランチランズ」シリーズの左がシャルドネで、右がソーヴィニヨン・ブランです。このシリーズは希望小売価格が3000円台のライン。シャルドネはよくできています。ソノマAVAシリーズと比べてもさほど見劣りしません。こちらの方がやや樽感が強く出てくるので、果実の良さをピュアに味わうならソノマAVAシリーズ、樽の風味を求めるならこちらがいいと思います。ソーヴィニヨン・ブランはステンレスタンク発酵・熟成タイプのもの。グレープフルーツの風味が豊かで教科書的ないいソーヴィニヨン・ブラン。


次はクラインのエントリーラインとなる「ファームハウス」シリーズのホワイトとレッドです。実売2000円強。ホワイトはアルバリーニョ、ヴィオニエ、ソーヴィニヨン・ブラン、マスカット・カネリのブレンド。前述のようにクラインは元々ローヌ系品種を中心としてきました。そのイメージを一番よく残しているのがこのシリーズです。

白は南ローヌの白のようなやわらかな味わいが心地よく、癒し系。最近はこういうワインを飲むと幸せに感じます。さくらアワードでダブルゴールドを受賞しているとか。赤も果実味にちょっとスパイスが入った印象。


最後は「エンシェント・ヴァインズ ジンファンデル」と、セブン・ランチランズ・シリーズのピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンです。

エンシェント・ヴァインズ ジンファンデルは、クライン創業の地であるコントラ・コスタの古木のジンファンデル。エレガントなソノマAVAシリーズのジンファンデルとは好対照なこのワイン。ビッグで果実味があふれるような味わい。多くの人のイメージするジンファンデルのスタイルだと思います。

セブンランチ・ランズのピノ・ノワールはベリーの香り豊かなワイン。ピノ・ノワールが一番ソノマAVAシリーズとの違いが大きかったように思います。カベルネ・ソーヴィニヨンはバランスよく作られた印象。スタンダードなワインです。

以前はクラインというとシラーやジンファンデルが中心という印象でしたが、もちろんジンファンデルもあるものの、イメージを変えつつあることを感じた発表会でした。
Date: 2024/0619 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで最も多くの有機栽培やバイオダイナミクスの畑を栽培しているのが誰だかご存じでしょうか。フロッグス・リープ? オーパス・ワン? デイビッド・エイブリュー?

答えは「ジャック・ニール&サン・ヴィンヤード・マネージメント」という畑の管理会社です。私も知らなかったのでほとんどの人が知らないと思いますが、ナパでCCOF(カリフォルニア有機栽培認証)を得ている畑や、バイオダイナミクスの畑の大部分を管理している会社で社員も420人もいる大会社です。

この会社の名前を聞いたことがなくても、「ニール・ファミリー・ヴィンヤーズ」というワイナリーは知っているかもしれません。昨年来、環境再生型有機栽培(Regenerative Organic Farming)がしばしば話題になりますが、その世界的認証であるROCをナパで初めて(米国では2番目)に取得したのがニール・ファミリーです。

ここはハウエル・マウンテンとラザフォードに畑を持っており、ROC認証を得たのはハウエル・マウンテンの方でしたが、ラザフォードの畑「ラザフォード・ダスト・ヴィンヤード」もとてもユニークな畑になっています。

それこそがこの記事の主旨である「ダブル・トレリス」と呼んでいる仕立て法です。
Rutherford dust

ブドウの樹が、上と下と2段になっています。よくわからないですか?
Double Trellis

これでどうでしょう。ブドウがヴぇレゾンすると上が黒ブドウで下が白ブドウになっているのがわかると思います。もちろん、一つの樹に黒ブドウと白ブドウの両方が出ているわけではなく、樹を1本おきに黒ブドウ、白ブドウとして、白ブドウは低く、黒ブドウは高く剪定しています。

この仕立て方の最大のメリットは収穫が倍になること。同じ場所に黒ブドウだけを植えていたときと比べて黒ブドウの収穫量は変わらず、白ブドウの分だけ収穫が増えているそうです。

剪定の労力は増えますが、倍ほどではなく効率はいいのです。収穫量が増えたら、ブドウの質は下がるのではないかと思う人もいるでしょう。少なくともこれまでのところでは、品質が落ちたということはないようです。例えば、ワイン・エンスージアストでは2019年のカベルネ・ソーヴィニヨンが97点、2021年のヴェルメンティーノが91点を取っています。ドウが水を競い合うことで、自然に枝の成長などが抑えられているそうです。

ここはスケアクロウなどの畑のすぐ近くでナパの中でも最高級のカベルネ・ソーヴィニヨンができる地域。当然、畑もほとんどがカベルネ・ソーヴィニヨンなどボルドー品種になっています。白ワインも作りたくても、ワインが高く売れるカベルネ・ソーヴィニヨンを優先せざるをえないという状況です。この仕立て方をすると、上段のカベルネ・ソーヴィニヨンには十分に日光が当たり、下段の白ブドウ(ソーヴィニヨン・ブランとヴェルメンティーノ)はその日陰で少し温度が低くなり、適度な温度になるとのことです。この地域で白ワインを作るための方法としても画期的です。

ナパはブドウ畑が飽和状態で、新しい開発もほとんど認められていません。これ以上収穫を増やすのは難しい状況です。近年は特にソーヴィニヨン・ブランなどの白ブドウが足りず、多くのナパのワイナリーが近隣の郡(レイクやソノマ、ソラノ)から調達するようになってきています。この方法を使えばナパ産の白ワインが復活することになるかもしれません。

また、この方法を使うことで二酸化炭素の放出もより少なくできるとニールは主張しています。環境にも優しい方法なのです。

この方法を採用する畑は少しずつ増えています。セント・ヘレナのソラレス(Solares)ヴィンヤードは4年前にダブル・トレリスに切り替え、上段にカベルネ・ソーヴィニヨンとプティ・シラー、下段ではアルバリーニョを育てています。Lola Winesというワイナリーがアルバリーニョを、アワーグラス(Hourglass)が赤を購入しているとのこと。

かの有名な「マーサズ・ヴィンヤード(Martha’s Vineyard)」も今年この方法を一部でとりいれました。ブドウの樹の勢いが強すぎるため、それを弱めるために採用したとのこと。ニールはこの畑の栽培を1980年代から担当しており、彼の判断に従ったそうです。採用した白ブドウはアルバリーニョとフィアーノです。

これからさらに増えていくのでしょうか。
Date: 2024/0618 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Point Fire
ソノマのドライ・クリーク・ヴァレーの北東部Lake Sonomaの近くでPoint Fireと呼ぶ山火事が発生しています。現地時間の6月16日昼頃に発生し、6月17日午前6時45分時点で1100エーカーに広がっています。延焼を防ぐ「コンテイン」の比率は20%とまだまだです。

レイク・ソノマ周辺では避難命令が発動されており、ヒールズバーグの近くまで避難警告が出ています。

月曜日には火事の範囲は広がる可能性が高いとしています。

まだ、煙の被害には早そうな気がしますが、心配なところです。
Date: 2024/0615 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シャトー・モンテレーナでエステート・ディレクターを務めるジョージ・ブランケンシー氏が来日、セミナーに参加してきました。


シャトー・モンテレーナといえば、だれでも引き合いに出すのが「パリスの審判」で白ワイン1位になったことでしょう。もちろん、その功績や影響は計り知れないほど大きなものがありますが、そこにあぐらをかいてきたワイナリーでないのも明らかです。

モンテレーナのウェブサイトを見ると、以下のようなことが書かれています。
モンテレーナでは、慣例や過去の方法論、あるいはもう少しうまくやる方法など、あらゆることに疑問を投げかける。

探求する自由があるからこそ、私たちは学ぶことができるのです。そして、「なぜ」と自問することで、「どうすれば」への道筋をよりよく理解することができるのです。

ワインのスタイル自体は基本的に変わっていないのですが、スタイルを守り続けることの中にも進化の過程が見られます。

ちょっと余談になりますが、以前CEOのボー・バレットが来日したときに「パリスの審判で1位になって一番良かったことは何か」と質問したことがあります。彼の答えは「シャルドネが売れて儲かったので、作りたかったカベルネ・ソーヴィニヨンに予定よりも早くトライできるようになったことかな」ということでした。ここからも、「シャルドネ1位」に甘えない姿勢が見えるような気がしました。

Montelena

ラベルにも描かれているワイナリーの建物は19世紀の1888年に完成したもの。これも見かけは変わっていませんが2011年には醸造設備などをリノベーション、耐震性も高めています。Napa Green Wineryの認証を取っており、電気は100%太陽光発電で賄っています。

2000年代には一時期ブショネの問題に悩まされたこともありますが、2010年代にDIAM30というブショネの起こらない合成コルクに切り替えています。

このほか、畑の植え替えも進めています。病害虫対策などを目的にしているとのこと。

ちなみに有機栽培については認証を取ると足かせになってしまう面もあるため、認証の予定はないとのこと。一方で畑の不耕起などを特徴とする「リジェネラティブ・ファーミング」については積極的に取り組んでいく姿勢だそうです。カバークロップを使って土壌の圧縮を防ぎ、有機物を増やすことを大事にしています。


今回は5種類のワインを試飲しました。

・シャルドネ ナパヴァレー 2021
オークノールの南東、少しだけクームズヴィルにかかっているところに長期契約の畑があります。パリスの審判のころからマロラクティック発酵しないスタイルで作られています。2021年は干ばつで収穫が少なかった年。2週間かけて発酵しています。
第一印象は甘いトロピカルなフルーツの香り。白い花の香りやヴァニラもあります。口に含むと豊かな酸があり、香りの印象よりもずっとバランスよく素直に美味しい。

・ジンファンデル ナパヴァレー 2019
カリフォルニアのヘリテージのジンファンデルが40%。イタリア由来のプリミティーボが60%。ジンファンデルとプリミティーボは品種としては同じであることが分かっていますから、クローン違いと捉えればいいかと思います。プリミティーボの方が実の付き方がまばらで均等に成熟するそうです。ジンファンデルは不均等に成熟するため、青い未熟な果実を避けようとするとどうしてもレーズン化してしまう果実もでてきます。それが濃厚な甘さやアルコール度数の高さにつながるのですが、プリミティーボではそういった面が避けられるとのこと。
レッドベリーなど赤果実の味わいが優勢で、少しブルーベリー感もあります。リコリスやアニス、コーヒー。白コショウ感もあり、ブラインドで飲んだらシラーと思うかも。酸やや高く、タンニンもジンファンデルにしては強い方でしょう。ストラクチャーもありバランスよくおいしいジンファンデル。多くの人のジンファンデルのイメージとは合わないかもしれませんが、非常にいいです。

・カベルネ・ソーヴィニヨン ナパヴァレー 2019
レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンです。畑はカリストガの自社畑と契約農家、オークノール(メルロー、シャルドネと同じ畑)にあります。以前はナパの様々な地域のブドウを使っていましたが、自社の畑の場所が中心になりました。
カシスにレッド・チェリー、ザクロ、ややタイトな香りでタンニンもしっかりあります。エレガント系の作りでバランスよいワイン。

・カベルネ・ソーヴィニヨン エステート 2019
カリストガの自社畑のカベルネ・ソーヴィニヨン。わずかにプティ・ヴェルド、カベルネ・フランが入っていますが99%カベルネ・ソーヴィニヨンです。
レギュラーのカベルネ以上に引き締まった味わい。杉やコーヒー、タバコなどの複雑な香りにカシスなどの青黒系果実。非常に美味しいですが、熟成させたらもっと良くなることが間違いないと思います。

最後はエステートのバックヴィンテージです。
・カベルネ・ソーヴィニヨン エステート 2008
2008年は前年の2007年が評価高かったのでちょっと埋もれがちなヴィンテージですが品質は上々です。ヒートスパイクがあり収量が少なかった年だとのこと。
2019年のエステートと比べて赤果実系の味わいをより感じます。トマトのようなうまみ、柔らかなタンニン、若いうちの引き締まった感じから、穏やかなワインに変わってきています。

シャトー・モンテレーナのワイン、特に赤ワインは「モダン・ナパ」と呼ばれるような果実味が前面に出たはでなタイプとは真逆でエレガントなスタイルを貫いています。いろいろ変わりつつもそのスタイルは健在であることを改めて確認しました。


Date: 2024/0614 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ナパのオークノールにあるワイナリー「マテッラ | キューナット・ファミリー・ヴィンヤーズ」のオーナー夫人とワインメーカーなどが来日し、そのセミナーに参加してきました。実はオーナー夫人は仙台出身の日本人で「美紀」さんといいます。ワイン造りをするとは夢にも思っていなかったそうですが、イリノイ州出身のご主人がいつか農業をしたいという気持ちを持っていて、ナパ旅行をきっかけに2007年に畑を買い、ワイナリーを始めることになりました。美紀さんは「そういう運命だった」と、米国の慣用句「It was meant to be」を使っておっしゃっていました。

とはいえ、群雄割拠のナパのワイナリーの中で、個性を出すのには苦労していた面もあったようです。それが近年大きく二つのテコ入れで魅力的なワイナリーになってきました。

一つが2019年から参画しているワインメーカーのチェルシー・バレット(写真左)。父親がシャトー・モンテレーナのボー・バレット、母親が「ワインのファーストレディ」と言われたハイジ・バレットという超エリート夫妻の娘です。ちなみにハイジ・バレットの父親のリチャード・ピーターソンも著名なワインメーカーです。シャトー・モンテレーナを庭として育ったチェルシーにとってワインメーカーはまさに天職であり、ジョエル・ゴットでワイン造りを始め、その後南フランスやワシントン州、オレゴン州、サンタ・バーバラなど様々なところでワインを造り、現在は母のハイジともアミューズ・ブッシュで一緒にワイン造りをしながら、マテッラのワインメーカーになりました。ワイン造りは科学だけど芸術的な面があることに惹かれるという彼女は、メルローを自社畑で育てているマテッラに魅力を感じたそうです。


左がチェルシー、右はディレクター・オブ・オペレーションズのキャリン・ハリソン。UCデーヴィスで医学を学びながらワインの授業を受けて興味を持ち、コースを変えたとのこと。タンニンや色の抽出などをラボで研究しているそうです。

チェルシーの紹介が長くなりましたが、もう一つのテコ入れが「ジャパン・シリーズ」と呼ぶ和食との相性も考えて作るワインです。和食に合うようなデリケートな味わいのワインを造る上でもチェルシーの実力やワインの好みが生かされています。

このシリーズを始めたのは、美紀さんが、ルーツである奈良の吉野に2016年に招待されたのがきっかけでした。それまで先祖には興味がなかったそうですが、実はひいおじいさんが「日本林業の父」とも呼ばれる土倉庄三郎という人であり、奈良の山の静けさを表すようなワインを造りたいと思ったのでした。現在はシャルドネとロゼ、カベルネ・ソーヴィニヨンの3種類のワインをジャパン・シリーズとして作っています。

マテッラのワイナリーとエステートの畑があるオークノールは、ナパ市のすぐ北、ヨントヴィルの南にあり、霧の影響実大きいナパの中では比較的冷涼なところです。ナパ川の流れも広くなり、粘土やロームといった川由来の土壌があります。メルローやシャルドネに向いた土地です。
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地図で☆マークで示したところがマテッラの自社畑があるところです。

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エステートの畑のブロック図です。メルローとシャルドネが多いのが分かります。ブロックが傾いているのは日当たりを考慮しているためだそう。

サスティナブルなワイン造りや栽培を目指しており、ナパ・グリーン・ワイナリー、フィッシュ・フレンドリー・ファーミングの認証を取っています。有機栽培やナパ・グリーン・ヴィンヤードの取得も目指しています。

試飲のワインに移ります。1本目は2023年が初ヴィンテージとなるアルバリーニョの「やまぶき」。ワインの色合いや香りがヤマブキに似た印象があることから名付けました。FOD(Field of Dreams)と呼ぶ畑に2020年に植えた樹で、まだ1エーカーあたり2トンしか収穫がありません。そもそもナパではアルバリーニョはレアな品種であり、模範となるようなワインもないので何もかもが試行錯誤のようです。
さわやかで海の香りやかんきつ系の香りがあります。テクスチャーはちょっと粘性が高くねっとりした感じ。すっきりとしながらも少しグリップ感があり、美味しいアルバリーニョです。発売は今秋になるとのこと。

2本目はジャパン・シリーズのシャルドネ「森閑」2022。吉野の杉の静けさを表すシャルドネでシュールリーでクリーミーさを出し、新樽4%、しかもライトなトーストの樽で少しストラクチャーを与えています。
酸高く、貝殻やチョーク、青リンゴ、ジャスミンを感じました。アフターに樽由来と思われるかすかな苦みがあります。カリフォルニアらしい果実味を強く出したシャルドネではなく、寄り添うような味わい。

3本目はレギュラーのシャルドネでヴィンテージは2021年。白桃やクリーミーなニュアンスがあるのでマロラクティック発酵による風味かと思ったのですが、マロラクティック発酵は行っていないとのことで(チェルシーはシャルドネはマロラクティック発酵しない派だそうです)、バトナージュによって生まれたテクスチャーを勘違いしたようです。ほのかなバニラの風味(新樽率は28%)でバランスのいいシャルドネです。ほどよいリッチさが良かったです。

4本目からは赤ワイン。ミッドナイト2021。これはマルベック29%、メルロー21%、プティ・ヴェルド20%、シラー17%、プティ・シラー7%、カベルネ・フラン6%というユニークな構成。ちょっともわっとくるけものっぽさがあり色濃くスパイシーなので最初はシラーかと思いました。濃厚パワフルで面白いワイン。

5本目はライト・バンク2021。ボルドー右岸を意識してメルロー91%というブレンドになっています。赤果実にマッシュルーム。しなやかなタンニン。ストラクチャーもあり、いいメルローです。

最後はカベルネ・ソーヴィニヨン ヒドゥン・ブロック2019。カベルネ・ソーヴィニヨンも美味しいです。バランスよくリッチ感もタンニンもしっかりあり、美味しいです。

試飲の後半は別件で離席してしまい、ワインメーカーのコメントは聞けなかったのですが、ナパのワイナリーの中でもちょっと個性的な位置付けで存在感を出していくことはできそうです。チェルシーもまだ4ヴィンテージしか作っていませんから、これからさらに良くなることも期待できそうです。

Date: 2024/0613 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「大日本農会」から緑白綬有効章を受けたり、岸田首相訪米の昼食会に招待を受けたりと、名誉が続くアキコ・フリーマンさんですが、今月にはノース・ベイ・ビジネス・ジャーナル誌から「ワイン業界の女性賞(Women in Wine Awards)」の「優秀ワイン醸造賞(Excellence in Winemaking Award)」を受けました。

Akiko

いくつかの賞がある中で、優秀ワイン醸造賞は「高品質のワイン生産において卓越した技術、革新性、一貫性を発揮した女性ワインメーカーを表彰」するとのことでまさにアキコさんにぴったりの賞だと思います。なお、シュラムスバーグのジェシカ・コガさん、ジョーダンのマギー・クルーズさんも同時に受賞しています。どちらも長年にわたって人気と実力を兼ね備えてきたワイナリーであり、そこに並ぶのも名誉だと思います。

フリーマンのワインの実力は、日本のカリフォルニアワインファンならだれでもご存じかと思いますから、賞を受けることは不思議でもなんでもありませんが、このように形として評価されるのは、日本人として嬉しいことです。

ここ数年で見ても、ブランドブランのスパークリングワイン、ロゼのスパークリングワイン、ロス・コブさんの畑からのリースリングと新たなワインをどんどん試みられており、2022年のウエスト・ソノマ・コーストAVA策定においてもご主人のケンさんが中心人物の一人として活動されていました。

あらためておめでとうございます。
Date: 2024/0611 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Warren Winiarski
ナパのスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag’s Leap Wine Cellars)の創設者であり、1076年の「パリスの審判」で赤ワイン1位になったカベルネ・ソーヴィニヨンを作ったウォーレン(ワレンとも)ウィニアルスキーが95歳で亡くなりました。自宅で平穏に死を迎えたとのことです。

ウォーレン・ウィニアルスキーはシカゴの出身のポーランド系アメリカ人。イタリアに旅をしたのがきっかけでワインに目覚め、ワイン作りをするためにカリフォルニアに来ました。苗字のWiniarskiはポーランド語で「vintner's son(ワイン醸造家の息子)」という意味だそうです。1966年から、誕生したばかりのロバート・モンダヴィでアシスタント・ワインメーカーを務めました。

モンダヴィで働きながら、自身のワイナリーのための畑を探していたところ、スタッグス・リープのネイサン・フェイ(Nathan Fay)という人のカベルネ・ソーヴィニヨンを飲んで衝撃を受け、その近くでワインを造りたいと考えました。たまたまその隣の土地が売りに出たため、購入。1970年のことです。

植樹を始めて、1972年にスタッグス・リープ・ワイン・セラーズを設立。この年には同じくパリスの審判で白ワイン1位になったシャトー・モンテレーナや、ナパのケイマス、シルバー・オーク、ダイヤモンド・クリークなどそうそうたるワイナリーが数多く作られています。

創設2年目の1973年のカベルネ・ソーヴィニヨンがパリスの審判で1位になり、一躍時代の寵児となりました。この畑がStag's Leap Vineyard。現在はS.L.V.という略称で知られています。ネイサン・フェイの畑も彼の引退時に取得してFAYという畑で、その単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンも作っています。また、この二つをブレンドして作った最高級のカベルネ・ソーヴィニヨンがCask23です。
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2006年に行われたパリ・テイスティングの30周年記念テイスティングでは、このワインはRidgeのMonte Belloに続いて2位。決して若い時だけのワインではないことを示しました。

ウォーレン・ウィニアルスキーは後継者がいないということから、ワイナリとS.L.V.、FAYの畑を2007年にワシントン州のCh. Ste. Michelleなどに売却。本人もワイン造りからは引退しましたが、クームズヴィルのアルカディア・ヴィンヤードだけは自身のものとして持ち続け、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズにブドウを供給していました。

彼はまた、ナパの農地保護の活動にも積極的に携わっていました。様々な意味でナパの先駆者のひとりだったと言えます。人柄も良く、皆に尊敬されていました。

昨年はマイク・ガーギッチが亡くなり、今年はウォーレン・ウィニアルスキー、歴史の証人がだんだん減っていきます。

Date: 2024/0608 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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X Japanのリーダーであり、アーティストのYoshikiが故ロバート・モンダヴィの孫のロブ・モンダヴィJrとのコラボレーションで作るワイン「Y by Yoshiki」。その新ヴィンテージのリリース・イベントに参加してきました。体調の問題で当日参加できるかわからなかったYoshikiさん本人も登場し、新ヴィンテージに華を添えました。

timeline
Y by Yoshikiのワインはカリフォルニアで作るものと、シャンパーニュのポメリーと作るものの大きく2つに分かれます。カリフォルニアの方は、全域のブドウから作る「California」、ナパのオークヴィルのブドウを使った「Oakville」のカベルネ・ソーヴィニヨン、ソノマのロシアンリバー・ヴァレーのブドウを使った「Russian River Valley」のピノ・ノワールの3種あり、さらにCaliforniaはシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンがあります。そして、今回Californiaにロゼが加わりました。

ロゼはバルベーラやピノ・ノワールを使っているとのこと。華やかでローズペタルやフランボワーズの風味。グリップ感があるので肉料理にも十分合わせられそうです。すごくオールマイティなワインで、ワインを初めて飲むといった人にもぜひ飲んでほしいワイン。

Californiaシリーズのシャルドネはきれいな酸と果実味があり、樽感もほどよく乗っています。同シリーズのカベルネ・ソーヴィニヨンは少し甘やかさがあり、まろやかな果実味が魅力的です。どちらもバランスよく飲みやすく仕上げられています。

オークヴィルのカベルネ・ソーヴィニヨンは本格的なカベルネ・ソーヴィニヨンの味わい。タンニンもしっかりあり骨格を感じられます。

昨年は山火事の影響でリリースされなかったピノ・ノワール。ロシアンリバー・ヴァレーらしい甘やかさのあるワイン。ピノ・ノワールファンというよりも、ピノ・ノワールを飲みなれていない人に喜ばれそうなワイン。


シャンパーニュの方も、華やかなボトルで舞台映えします。ハレの日のワインにぴったりのイメージ。



Y by Yoshikiはカリフォルニアワインの中でも高い知名度を誇ります。ここからワインファン、カリフォルニアファンが増えることを期待します。
Date: 2024/0606 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ウィリアムズ・セリエム
ソノマのロシアンリバー・ヴァレーにあるピノ・ノワールとシャルドネのトップワイナリーの一つである「ウィリアムズ・セリエム(Williams Selyem)をブルゴーニュのフェヴレが買収しました。

前オーナーのダイソン夫妻は2016年頃からワイナリーの譲渡先を探しており、投資会社や大会社でないところに売りたいという考えを持っていました。一方でフェヴレはブルゴーニュに120ヘクタールの畑を持ち、ブルゴーニュではこれ以上の拡張は考えず、海外への進出を考えていました。

両社の思惑が一致して2021年にフェヴレがダイソン夫妻から株式の一部を買っており、3年間を引き継ぎ期間と位置付け、問題がなければその後買収へとなる見込みを表明していました。結局、予定通りにフェヴレの買収となりました。なお株式の全部買うのではなく、一部はダイソン夫妻に残しています。

CEOも当面(3年間を予定)はジョン・ダイソンが引き続き務めます。ワインメーカーなども現在のまま移行を進めます。

ウィリアムズ・セリエムは元々バート・ウィリアムズとエド・セリエムが始めたガレージ・ワイナリーで、1980年代にロキオリのピノ・ノワールでカルト的人気になり、カリフォルニアでは最初のピノ・ノワールの人気ワイナリーとなりました。90年代末に、ワイナリーを売却しています。

ウィリアムズとセリエムの時代は、畑を持たずに買いブドウだけでワインを造っていましたが、現在は5つの自社畑を持ち、契約畑も20近くと大きく成長しています。
Date: 2024/0605 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部で楽天スーパーSALEに合わせて、最大30%引きのセールをやっています。

3割引コーナーは、アイコニックさん輸入のものがたくさん出ています。はっきり言うと、どれもはずれはないです、というよりも水準以上のワインばかりです。むちゃくちゃ選びにくいですが、5つだけお薦めを選んでおきます。どれも僕がワイン会に持参したことのあるワインですから、間違いはないです。

ストルプマンの「パラ・マリア」シラーはマセラシオン・カルボニックを使った芳醇なシラー。シラーあまり飲まないという人にぜひ試してほしいワイン。
フィールド・レコーディングスの「SKINS」オレンジワインは旨味がむちゃくちゃ素晴らしいワイン。
ホワイトホール・レーンの「トレ・レオーニ」はナパらしい芳醇なレッド・ブレンド。
カーボニストのタコ・ラベルのスパークリング。アルバリーニョのスパークリングで魚介に合います。
クレーン・アッセンブリーの「エル・ココ」。プリズナーの生みの親として知られているデイブ・フィニーが作る渾身のジンファンデル・ブレンド。






ここまで3割引のものを紹介しましたが、実は2割引のワインの方もちょっとびっくりするようなワインが出ています。

ラック&リドルのブリュットの2500円なんて言うのも地味に心惹かれますが、まずびっくりしたのはロバート・モンダヴィのオークヴィル・カベルネ2019。これってワインスペクテーターで年間6位になっているワインなのですが、当時はまだ日本では前のヴィンテージが売られていたので市場に出ていなかったんです。オークヴィルという名前ですが、中身はほぼ「ト・カロン・ヴィンヤード」という実はむちゃくちゃぜいたくなワイン。


なんでこんなのがセールに?の二つ目はデュモルのピノ・ノワール「Finn」。ワイン・アドヴォケイト96点取っているワインです。デュモルは何飲んでも美味しい、間違いないです。


なんでこんなのがセールにの3つ目はなんと「ドメーヌ・ド・ラ・コート」のピノ・ノワール。今や品薄で引っ張りだこのワインで、ブルゴーニュファンも触手を伸ばしているので、買えたらラッキーくらいなもの。セールにしなくても間違いなく売り切れると思うのですが…




なんでこんなのがセールにの4つ目はウルトラマリンのスパークリング・ロゼ「ハーシュ・ヴィンヤード」。2割引でも高いワインではありますが、そもそも楽天ではここでしか在庫がないワインです。


シネクアノンのDISTENTA 3のシラーとグルナッシュもセール対象。



ほかにも高額ワインや熟成ワインの出物が並んでいます。買えるものなら全部買いたいくらいのワインばかりですが…
Date: 2024/0604 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレーのすぐ東にあるサスーン・ヴァレー(Suisun Valley)で日本人が営むワイナリー「サンセット・セラーズ(Sunset Cellars)」。そのリリース・パーティが渋谷で開かれ、お招きいただいて楽しんできました。

サンセット・セラーズの過去記事
日本人エンジニアがカリフォルニアでワイナリーを買った話が面白い
ナパ近郊のワイナリーに「足湯」、日本人エンジニアがDIYで制作
ナパツアー初日ーーお隣のサスーン・ヴァレーに寄り道

サンセット・セラーズ・オーナーの4人。左からきょろさん、はとねさん、Fahさん(ワインメーカー)、Mioさん。

サンセット・セラーズではメーリング・リストのメンバーを「ツタ主」と呼んでおり、四半期ごとに3本のワインを買うことを条件に、畑のバルベーラの茎40㎝分(ブドウ1房分)を占有できるという形になっています。今回のパーティもこのツタ主を対象にしたものでした。




ワインはこの写真のほかに、委託醸造の形で作ったソーヴィニヨン・ムスケのワイン(香りとうまみがすごい)とか、アシルティコで作ったオレンジワイン、カリフォルニアでわずか6エーカーしか存在していないシャルボノのワインなど、ユニークなものもありました。ちなみにアシルティコは某有名ワイナリーがサスーン・ヴァレーで実験的に栽培しているものだそうです。

個人的にはこの日のナンバーワンはテルデスキのジンファンデル、2番目はロシアンリバー・ヴァレーのピノ・ノワールでした。テルデスキはソノマのドライ・クリーク・ヴァレーを代表するようなジンファンデルの古木の畑で、ベッドロックなどジンファンデルの大御所ワイナリーが最高と評する畑の一つです。もちろん、簡単にブドウを入手できるような畑ではないのですが、あるワイナリーの収穫後に残ったブドウを使っているそうです。摘み取られなかったブドウなので、房が小さかったりするわけですが、それがかえって均等な熟成になっていたりするのが面白いところです。このジンファンデルは、赤果実に黒果実が混ざった風味、スパイスもあり、なにより酸がきれいでバランスがいい。エレガントと呼んでもいいジンファンデルで素晴らしかったです。

ピノ・ノワールもやはり他のワイナリーの収穫後のブドウをわけてもらっているそうですが、ロシアンリバー・ヴァレーらしい果実の芳醇さときれいな酸があります。少しスパイシーさもありうまいです。

ワイナリーのサイトはこちら
SUNSET CELLARS (サンセット・セラーズ) - カリフォルニアのマイクロ・ファミリー・ワイナリー
ツタ主についてはこちら
Vine Owner's Club

今後は日本でのこういったイベントも積極的にやっていきたいとのことです。作っているワインも面白く、作り手との距離が近いワイナリーなので、ツタ主になるといろいろ楽しめると思います。


ペアリングの料理もいろいろあって、楽しかったです。
Date: 2024/0601 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ビッグ・スムース(Big Smooth)というブランドのカベルネ・ソーヴィニヨンがしあわせワイン倶楽部で輸入元協賛特価になっています。税込み1848円は、現地の実売価格の平均18ドル(ワイン・サーチャーによる)と比べてもかなり安い値段です。

ビッグ・スムースはソノマをベースにカリフォルニア各地のブドウからワインを造るドン・セバスティアーニ&サンズのブランドの一つ。同社はコスパ系のブランドをいろいろ持っていて、ペパーウッド・グローヴやスモーキング・ルーンなどがあります。ビッグ・スムースはその名の通り、芳醇でタンニンの柔らかなワインを目指したもの。温暖なローダイのブドウを使っています。

2020年のカベルネ・ソーヴィニヨンはワイン・エンスージアストで89点。このクラスのワインとしては高得点です。