お勝手口的に振り返る2017年
2017年も大晦日、今年もお世話になりました。
10大ニュース的に今年をまとめてみようかと思ったのですが、リストアップしていったら、意外と増えてしまったので、どちらかというと時系列的にダラダラと今年を振り返りたいと思います。
17年、最初の大きなニュースはトランプ大統領の就任でした。16年のBrexitと並び、これまでの秩序が大きく崩れていく感じがしました。ワイン業界的には、移民に頼っている畑の労働者の確保といったことが大きな問題になるのではないかと見られています。2017年の収穫に関しては、無事にすみましたが、今後数年間どう変わっていくのか気になるところです。日本との関連では為替への影響を心配しましたが、これまでのところ大きな動きはないようです。ただ、TPPからの撤退は低価格ワインに関しては大きな打撃です。関税がなくなったことで大きく成長したチリワインには、なかなか太刀打ちできないでしょう。また、トランプ大統領のワイナリーという話もありましたね。
関連記事:
トランプ大統領はワイン業界にどう影響するか
トランプ・ワイナリー、日本でも売っています
娯楽用マリファナの解禁が16年11月に可決され、18年から合法的に吸えるようになります。これに向けてさまざまな動きが始まっています。特にメンドシーノなどマリファナ栽培が盛んな地域では、ワイナリーとの人手の奪い合いといったことも懸念されています。ワインの消費も上がる説、下がる説などいろいろ出ており、それに向けて右往左往しているというのが今年の状況でした。
関連記事:
フェッツァー創業の地もマリファナ畑に、グリーン・ラッシュ始まる?
マリファナでビールやワインに大打撃?
今年の初めは、カリフォルニアは大雨続き。長年続いた旱魃がついに終了しました。2015年や2016年は収穫時期や収量にも大きな影響があっただけにほっとした関係者が多かったのではないでしょうか。
関連記事:
カリフォルニアの旱魃はほとんど完了
日本では、1月にナパ・ウィークが開催され、多くの生産者が来日、セミナーなどが開かれました。特に、「ブリッジ食材」のセミナーは面白く、ためになりました。
関連記事:
ナパ・ウィーク開始、バイ・ザ・グラス優秀店を表彰
ワインと食事のマリアージュに「ブリッジ食材」のマジック
春には日本国内でようやくコラヴァンが発売になりました。窒素ガスを使うということで、アルゴンとどう違うか気になるところではありますが、普及してほしいものです。
関連記事:
日本版コラヴァンに早くも新機種で大幅安価に
ワイナリー関連で驚いたのはサンタ・クルーズ・マウンテンズのヴァーナーが、畑を失ってしまったこと。持ち主との契約が切れたのですが、畑を有名にしてくれたワイナリーをこうやって切ってしまうのはどうなのだろうかと思いました。今後はサンタ・バーバラでワインを作っていくとのことですが、才能はすばらしいと思うのできっとまたいいワインを作ってくれるでしょう。
関連記事:
なんと!ヴァーナーがサンタ・クルーズ・マウンテンズのワインを打ち切り
ヴァーナーと契約切ったニーリー、自らワイナリー始める
春にはトーマス・リヴァース・ブラウンの来日がありました。セミナーでは自身のリヴァース・マリーのワインを中心に試飲しましたが、この人は本当にすごいと思います。今後も要注目のワインメーカーです。
関連記事
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)
ワイナリーの買収・売却も驚くような話がいくつかありました。カレラがダックホーンに売却とか、ブリュワー・クリフトンがジャクソン・ファミリーに売却とか。サムサラの売却も驚きました。一方で、LVMHがコルギンを買収などはなるほどなあという感じも。カリフォルニアのワイナリーも世代交代の時期を迎えているところが多く、後継者がいなくて手放すといったケースや、小さなワイナリーがマーケティングに長けた大きなところに売却するといったケースは今後も続くでしょう。
関連記事:
仰天!カレラがダックホーンに売却される
速報●ブリュワー・クリフトンがジャクソン・ファミリー傘下に
これもびっくり! チャド・メルヴィル、サムサラを売却
コルギンが、ルイ・ヴィトンのグループに
秋の大きなニュースはなんといっても火事。ナパやソノマ、メンドシーノに大きな被害を与えた10月の山火事、12月の南カリフォルニアの山火事など、非常に規模が大きな火事が続けて起こりました。ソノマでは長沢鼎ゆかりのパラダイス・リッジが焼失といった悲しいニュースもありました。一方で、その後の応援や復興に向けて立ち上がる姿も見られています。
関連記事は、多過ぎるので割愛します。
ワインメディアで最大の影響力を持つWine Advocateでは今年2人のレビュアーが離れました。特にニール・マーティンがヴィナスに移籍したのは驚きましたが、当のWine Advocateからはこの件に関して正式なアナウンスはありません。現編集長になってからのガバナンスのあり方が気になるところです。
関連記事:
Wine Advocateのジェブ・ダナック、個人メディアを立ち上げへ
Wine Advocateに新レビュアー、Wine Enthusiastから移籍
衝撃!Wine Advocateのニール・マーティンがVinousへ電撃移籍
リサ・ペロッティ・ブラウンがWine Advocateのボルドー担当に、デカンター誌からウィリアム・ケリーが移籍
極私的には、7月に熟成ワインを飲む会に参加したのがとても勉強になりました。モダンな作りのワインとクラシックなワインでは熟成のしかたが大きく異ることがわかりました。
20年前のカベルネはどう熟成したか、Cask23、モンテベッロ、ピーター・マイケル、シルバーオークで検証
今年、試飲したワインで特に衝撃的だったのはジョエル・ピーターソンの新作「ワンス&フューチャー」。このワイナリーについては、これまでも取り上げていましたが、このワインは素晴らしいです。
これはすごい、カリフォルニアワインの親子鷹、ピーターソン父の新作
11月には恒例のWine Spectatorのワイン・オブ・ザ・イヤーにダックホーンのメルロー「スリー・パームス・ヴィンヤード」2014年が選ばれました。スリー・パームスの美味しさは、このヴィンテージにかぎらず格別なので、こうやってあらためて脚光を浴びたことはうれしかったです。
Wine Spectator、2017年の年間トップはダックホーン!
あと、12月には明石家さんまがテレビで取り上げたことで「ナパ・ハイランズ」が大ブレークしました。輸入元は大変だったようです。4000円前後のカベルネ・ソーヴィニヨンは密かな激戦区になっているので、これを機会に他のワインも売れてくれたらなあと思います。
最後に、8月にこのサイトのドメインを従来の「matsubarafamily.com」から「californiawine.jp」に変更しました。ディレクトリ構造もいじったので、アクセスがどうなるか心配しましたが、無事に検索インデックスも書き換わり、大きな問題なく移行できました。かといってこれでアクセスが増えたわけでもないのですが…。
来年はサイトやさまざまなことのテコ入れもちゃんとやりたいと思いつつ(毎年思っています)…皆様よいお年をお迎えください。
10大ニュース的に今年をまとめてみようかと思ったのですが、リストアップしていったら、意外と増えてしまったので、どちらかというと時系列的にダラダラと今年を振り返りたいと思います。
17年、最初の大きなニュースはトランプ大統領の就任でした。16年のBrexitと並び、これまでの秩序が大きく崩れていく感じがしました。ワイン業界的には、移民に頼っている畑の労働者の確保といったことが大きな問題になるのではないかと見られています。2017年の収穫に関しては、無事にすみましたが、今後数年間どう変わっていくのか気になるところです。日本との関連では為替への影響を心配しましたが、これまでのところ大きな動きはないようです。ただ、TPPからの撤退は低価格ワインに関しては大きな打撃です。関税がなくなったことで大きく成長したチリワインには、なかなか太刀打ちできないでしょう。また、トランプ大統領のワイナリーという話もありましたね。
関連記事:
トランプ大統領はワイン業界にどう影響するか
トランプ・ワイナリー、日本でも売っています
娯楽用マリファナの解禁が16年11月に可決され、18年から合法的に吸えるようになります。これに向けてさまざまな動きが始まっています。特にメンドシーノなどマリファナ栽培が盛んな地域では、ワイナリーとの人手の奪い合いといったことも懸念されています。ワインの消費も上がる説、下がる説などいろいろ出ており、それに向けて右往左往しているというのが今年の状況でした。
関連記事:
フェッツァー創業の地もマリファナ畑に、グリーン・ラッシュ始まる?
マリファナでビールやワインに大打撃?
今年の初めは、カリフォルニアは大雨続き。長年続いた旱魃がついに終了しました。2015年や2016年は収穫時期や収量にも大きな影響があっただけにほっとした関係者が多かったのではないでしょうか。
関連記事:
カリフォルニアの旱魃はほとんど完了
日本では、1月にナパ・ウィークが開催され、多くの生産者が来日、セミナーなどが開かれました。特に、「ブリッジ食材」のセミナーは面白く、ためになりました。
関連記事:
ナパ・ウィーク開始、バイ・ザ・グラス優秀店を表彰
ワインと食事のマリアージュに「ブリッジ食材」のマジック
春には日本国内でようやくコラヴァンが発売になりました。窒素ガスを使うということで、アルゴンとどう違うか気になるところではありますが、普及してほしいものです。
関連記事:
日本版コラヴァンに早くも新機種で大幅安価に
ワイナリー関連で驚いたのはサンタ・クルーズ・マウンテンズのヴァーナーが、畑を失ってしまったこと。持ち主との契約が切れたのですが、畑を有名にしてくれたワイナリーをこうやって切ってしまうのはどうなのだろうかと思いました。今後はサンタ・バーバラでワインを作っていくとのことですが、才能はすばらしいと思うのできっとまたいいワインを作ってくれるでしょう。
関連記事:
なんと!ヴァーナーがサンタ・クルーズ・マウンテンズのワインを打ち切り
ヴァーナーと契約切ったニーリー、自らワイナリー始める
春にはトーマス・リヴァース・ブラウンの来日がありました。セミナーでは自身のリヴァース・マリーのワインを中心に試飲しましたが、この人は本当にすごいと思います。今後も要注目のワインメーカーです。
関連記事
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)
ワイナリーの買収・売却も驚くような話がいくつかありました。カレラがダックホーンに売却とか、ブリュワー・クリフトンがジャクソン・ファミリーに売却とか。サムサラの売却も驚きました。一方で、LVMHがコルギンを買収などはなるほどなあという感じも。カリフォルニアのワイナリーも世代交代の時期を迎えているところが多く、後継者がいなくて手放すといったケースや、小さなワイナリーがマーケティングに長けた大きなところに売却するといったケースは今後も続くでしょう。
関連記事:
仰天!カレラがダックホーンに売却される
速報●ブリュワー・クリフトンがジャクソン・ファミリー傘下に
これもびっくり! チャド・メルヴィル、サムサラを売却
コルギンが、ルイ・ヴィトンのグループに
秋の大きなニュースはなんといっても火事。ナパやソノマ、メンドシーノに大きな被害を与えた10月の山火事、12月の南カリフォルニアの山火事など、非常に規模が大きな火事が続けて起こりました。ソノマでは長沢鼎ゆかりのパラダイス・リッジが焼失といった悲しいニュースもありました。一方で、その後の応援や復興に向けて立ち上がる姿も見られています。
関連記事は、多過ぎるので割愛します。
ワインメディアで最大の影響力を持つWine Advocateでは今年2人のレビュアーが離れました。特にニール・マーティンがヴィナスに移籍したのは驚きましたが、当のWine Advocateからはこの件に関して正式なアナウンスはありません。現編集長になってからのガバナンスのあり方が気になるところです。
関連記事:
Wine Advocateのジェブ・ダナック、個人メディアを立ち上げへ
Wine Advocateに新レビュアー、Wine Enthusiastから移籍
衝撃!Wine Advocateのニール・マーティンがVinousへ電撃移籍
リサ・ペロッティ・ブラウンがWine Advocateのボルドー担当に、デカンター誌からウィリアム・ケリーが移籍
極私的には、7月に熟成ワインを飲む会に参加したのがとても勉強になりました。モダンな作りのワインとクラシックなワインでは熟成のしかたが大きく異ることがわかりました。
20年前のカベルネはどう熟成したか、Cask23、モンテベッロ、ピーター・マイケル、シルバーオークで検証
今年、試飲したワインで特に衝撃的だったのはジョエル・ピーターソンの新作「ワンス&フューチャー」。このワイナリーについては、これまでも取り上げていましたが、このワインは素晴らしいです。
これはすごい、カリフォルニアワインの親子鷹、ピーターソン父の新作
11月には恒例のWine Spectatorのワイン・オブ・ザ・イヤーにダックホーンのメルロー「スリー・パームス・ヴィンヤード」2014年が選ばれました。スリー・パームスの美味しさは、このヴィンテージにかぎらず格別なので、こうやってあらためて脚光を浴びたことはうれしかったです。
Wine Spectator、2017年の年間トップはダックホーン!
あと、12月には明石家さんまがテレビで取り上げたことで「ナパ・ハイランズ」が大ブレークしました。輸入元は大変だったようです。4000円前後のカベルネ・ソーヴィニヨンは密かな激戦区になっているので、これを機会に他のワインも売れてくれたらなあと思います。
最後に、8月にこのサイトのドメインを従来の「matsubarafamily.com」から「californiawine.jp」に変更しました。ディレクトリ構造もいじったので、アクセスがどうなるか心配しましたが、無事に検索インデックスも書き換わり、大きな問題なく移行できました。かといってこれでアクセスが増えたわけでもないのですが…。
来年はサイトやさまざまなことのテコ入れもちゃんとやりたいと思いつつ(毎年思っています)…皆様よいお年をお迎えください。