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Date: 2012/1030 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Vin du 268の運営会社が社名をクラッシュパッドからワインライフに変更しました。以前に書いたように米国のCrushpadは今年経営破綻。日本は別会社であり、現在米Crushpadでワインを作っている顧客はいないので、特に影響を受けることはないのですが、社名は変更することになりました。

社名変更を記念してのセールは「Go Goセール」。何かというと歌手の郷ひろみさんがCrushpadで作ったワインを半額で売るというもの。畑はソノマのSplit Rock。定評ある畑です。11月6日までの限定価格です。

Date: 2012/1029 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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著名ブログFermentationで英国のワイン評論家ジャンシス・ロビンソンの新作のレビューが載っていました(The Most Important Wine Book in Years - Fermentation)。

この「Wine Grapes」という本、タイトルの通り、ワインに使う様々なブドウ品種の特徴を説明していくものです。「ブドウ品種? カベルネとかシャルドネとか知ってたらいいんだろ?」と思っている人もいるかもしれません。そういう人こそ、この本を読むべきです。

この本にはなんと1368もの品種が掲載されています。ページ数は1200。定価は175ドルですが、米Amazon.comの予約価格は110.25ドルとかなり安いです。

ワイン好きの人のギフトにあげたら喜ぶかもしれません。


Date: 2012/1028 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインの輸送や保管の状態、特に温度というのは愛好家にとって気になることの1つです。eProvenanceという冷却システムを開発している会社が、その影響を詳しく調べた結果を公表しています(Liv-ex Fine Wine Market Blog: Keeping cool)。

それによると、ワインの保管温度が20度を超えると酸化が加速し、色が悪くなり、二酸化窒素が減って、エチレン・カーボネートが生成されるようになります。その結果、アロマ、色、味わいに大きな影響が出ます。30℃以上では24時間もしないうちに、永久にアロマにダメージを受けます。

元記事には、高温にさらされている時間を6時間、18時間、36時間の3通りで、化学変化の量をグラフ化しています。

知識がある人が気が付くレベルでアロマが変わるのは、6時間だと39.5℃くらいとかなり高いですが、18時間だと30℃、36時間だと28℃にまで下がります。

ようやく日本も涼しくなりましたが、日本の真夏の部屋に1日放置しておいたら、明らかに劣化すると思ってよさそうです。
Date: 2012/1027 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2012年の収穫はカリフォルニア全般で良好なものとなったようです。どの地域でもネガティブな要因がほとんどないというのは、2007年以来でしょうか(Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - Rains Punctuate a 'Perfect' California Vintage)。

先週末から雨が降り始めましたが、それによってほとんどの畑が駆け込みで収穫を終了させたとのこと。雨の影響もほとんどないというのが一般的な見方です。

今年の頭から、これからワインが足りなくなるという観測が多く出ていました。今年のワインがすぐに市場に出るものではないとはいえ、質も量も満足できるものだったことで、ひとまず落ち着くのではないでしょうか。
Date: 2012/1026 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「カルト・ワイン」人気時代に一世を風靡したBryant Family VineyardsのワインメーカーHelen Keplingerがワインメーカーの職を辞しました(Helen Keplinger, Promising Young Napa Winemaker, Leaves Bryant Family Vineyard | News | News & Features | Wine Spectator)。2011年3月に就任して1年半。今年の収穫を前にしての辞職は異例です。今年のワイン造りはアシスタント・ワインメーカーのTodd Alexanderが手がけるとのこと。Helenの後任はまだ決まっていません。

Helenは「いい経験だったけど、不幸にしてうまく合わなかった」とコメントしています。以前はいくつかのワイナリのコンサルタントをしていましたが、Bryant就任時にすべて辞めており、今年は自身のワイナリだけとなるそうです。

2002年にスター・ワインメーカーのHelen Turleyと喧嘩別れして以降、Bryantのワインメーカーは落ち着きません。Helen Turley後任のPhilippe Melkaは2007年に首になり、その後はMark Aubertがワインメーカーに。2008年からは実質的にはRoss Wallaceという人がワインメーカーだったようです。

2011年に彼女が就任したときの記事に、「ともかく今回は長続きしてくれることを期待します。」と書いたのですが、結果的には過去最短で辞めることになってしまいました。
Date: 2012/1025 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Hundred AcreのJayson Woodbridgeというと、ワイン業界の中でも異端的な人として知られています。彼が新たに作ったイタリアのブドウによるワイン「If you see Kay」というワインのラベルが波紋を読んでいます(Rude wine label causing trouble in US)。

何が問題かは、ラベルを見てもらえれば一目瞭然。

If you see Kay

いや、びっくりしました。

ワインの説明ページによると、Jason Woodbridgeのフィロソフィーは「Wide open throttle or don't bother doing it at all」とのこと。何事も恐れずリスクを避けない。いや、だからといってこれはどうよ…

また、ワインのファクトシートには
kay is a creature; she is an embodiment of a lifestyle, a genre, a feeling in your gut. kay is a force of nature, a wanderer.She represents the philosophy of “Wide Open Throttle or don’t bother doing it at all”. She’s not trying to be, she just is. Always uncontrollable, She’s wanted.
と。何のことやらよく分かりません。

いや、大胆ですね。
Date: 2012/1024 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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Loring
Loringはサンタ・バーバラのワイナリですが、このワインの畑はオレゴンのShea Vineyard。ブドウ、どうやって運んでいるんでしょうね?
Loringのピノはおいしいのですが、若干方向性を探しあぐねている感じがしないでもないです。このワインも旨みはたっぷりありますが、北の冷涼感はあまりなかったような。

Seghesio
SeghesioはZinfandelで人気があるソノマのワイナリです。一般的にはソノマ・カウンティのジンファンデルが普及していますが、これは単一畑もの。2009年のHome Ranch。Wine SpectatorでSeghesioとしては過去トップの95点という高い評価を得ているワインです。2011年の同誌のWine of the Yearでは12位。
これはおいしいです。リッチで旨みたっぷり。香りも半端でない。しかもバランスもいいです。
さすがにこのヴィンテージはもう売っていませんが、2010年が出ています。この年の評価はどうなるでしょうか。

Date: 2012/1022 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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先月からランニングを始めたばかりの初心者ですが、この冬にはまずはハーフマラソン、来年にはフルマラソンに挑戦したいと思っています。ということで、ランニングの本を一冊読んでみようと買った本です。

本書の主なターゲットは、フルマラソンを走ったことがあるけれど、最後の方は歩いてしまったような人。ハーフも走っていない私は門外漢というところではありますが、いろいろ参考にはなりました。

まず、レースに参加する人には「前半突っ込み型」「後半ベースアップ型」「一定ペース型」の3タイプがあり、後半型をめざしましょう(一定ペース型は後半型の副産物だそうです)とのこと。これを読んでいなければ、間違いなく自分は前半突っ込んで後半ばててしまうタイプでしょう。

LSD(long slow distance)と呼ばれる練習が必要なことも初めて知りました。ゆっくり長く走るトレーニングです。フルマラソンで4時間切り(サブ4)を目指すなら1km7分で20kmをいつれも楽に走れるようにする必要があるとのこと。フルで記録を出すには、練習時間が相当必要なことも分かりました。最初は週末練習の半分以上はこれに割くべきとのことです。

レーステクニック実践編は、レースにまだ出たことがない自分にとってはかなり参考になりました。例えばマラソンのときには補給食としてエネルギー補給ゼリー(ウィダーインゼリーなどのことでしょう)を3~4個携帯する必要があるとか。

取り敢えずこの週末は第一歩として約10km走りました。1km6分ほどだったのでLSDになっているのかどうか分かりませんが、息は上がらない程度の速度です。

本当はフォームなどどこかでちゃんと見てもらうといいと思うのですが、なかなかそこまでは難しいですね。ちょっとずつ頑張って行きたいと思います。



Date: 2012/1021 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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あなたのワインタイプを診断するVinotypeというサイトができました(myVinotype | Learn about wines you love based on personal preferences!myVinotype | Discover wines you love!)。



質問に答えていくと最後にタイプが表示されます。

私は「Sensitive」。色々なタイプのワインが好きだと判定されました。ほかにはSweeties、Hypersensitive、Tolerantがあるようです。「ペルソナ」のページによるとSensitiveはJancisとGaryだとか(笑)。まあ試しにやってみてください。
Date: 2012/1021 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Forbes誌に「他では得られないカリフォルニアの7つのワイン経験」という記事が載っていました(7 California Wine Experiences You Can't Get Anywhere Else)。

取り上げられているのはRobert SinskeySchramsbergDarioushRaymondCastello di Amorosa、Medlock Ames、Ma(i)sonry。Medlock AmesがソノマのHealdsburgで後は全部ナパです。本サイトでもMedlock Ames以外は掲載しています。

掲載されている中でDarioushとCastello di Amarosaはカリフォルニアでしか経験できないというか、なんともアメリカらしいというか。Darioushはペルシャ宮殿のようであり、Castello di Amarosaはお城そのものを作ってしまっています。ラスベガスに行くとピラミッドがあったり、ベニスの運河があったり凱旋門やエッフェル塔があったりしますが、それに近い「ノリ」を感じます。こういうのは、「まがい物」とかってしかめっ面をするのではなく、素直に楽しむのが一番だと思います。

個人的にはRobert Sinskeyはお薦めです。親しみやすく、かつおしゃれな感じもあります。Ma(i)sonryは行ったことないですが、気になるところの1つ。ここは集合テイスティング・ルームで、ギャラリーもあり、金曜と土曜は9時までオープンしています。

唯一ソノマから取り上げられたMedlock Ames。記事に「地面に帰る。これがソノマまで出かける意味だ」とありますが、オーガニックの農園ツアーが売り物のようです。サイトに載っている羊の写真に胸キュン(死語?)してしまいました。ワイナリもなかなかいい感じです。
Date: 2012/1020 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワインショップ・フィッチでHeitz(ハイツ)のカベルネ・ソヴィニョンMartha's Vineyard 1998が税抜き9880円で出ています。

ハイツと言えば、「カルトワイン」の先駆的存在であり、単一畑のカベルネ・ソヴィニョンを始めたことでも歴史に名を刻んでいます。特に1974年のマーサズはロバート・パーカーが98点を付けた逸品。一時はマーサズの出荷が始まるときにはワイナリに買いに来る人で列が長大な列ができたと言います。

味わいの個性的なことでも知られており、ミントの風味が特徴的。

この安さで出ることは滅多にありません。柳屋などカリフォルニアワインを主とするワインショップだったら瞬殺もの。この機会にどうぞ。

Date: 2012/1018 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Trip Advisor誌がワイン好きのための旅行の目的地ベスト10の投票結果を挙げています(TRIPADVISOR PRESENTS TRAVELERS’ CHOICE WINE DESTINATIONS)。

その結果によると、米国では

Sonoma County, California
Napa Valley, California
Willamette Valley, Oregon
Finger Lakes, New York
Long Island, New York
Paso Robles, California
Temecula Valley, California
Walla Walla, Washington
Palisade, Colorado
Plymouth, California

という順番。SonomaとNapaの1位2位は妥当なところですが、カリフォルニアで3番めはPaso Roblesでした。Santa Barbaraが10位以内に入らなかったのは意外なところ。

ちなみに欧州では

Tuscany, Italy
Aquitaine, France
Provence, France
Umbria, Italy
Sicily, Italy
Languedoc-Roussillon, France
Burgundy, France
Champagne-Ardenne, France
Costa de la Luz, Spain
Porto District, Portugal

アキテーヌってどこよ、とおもったらボルドーのところですね。ブルゴーニュは意外と低いです。
Date: 2012/1016 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Valley Vintnersが、今年の収穫についての短いビデオをアップしています。9月は涼しく、いい気候が続いて、今のところなんの問題もないとのこと。ここ数年、特に昨年はいろいろ厳しい生育シーズンでしたが、今年は悪いコンディションがほとんどなく、期待できそうです。

ブドウ畑やワイナリの風景を見るだけでも気持ちいですね。


Date: 2012/1015 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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コスト・パフォーマンスが高いジンファンデルのプロデューサーとして一世を風靡したのがカストロ・セラーズ。久々に柳屋に入荷していました。税抜きで1000円台と、ますますお得になっています。

ちなみにCastoroというのはイタリア語でビーバーのこと。オーナーの子供の頃からのニックネームでした。決してカタカナで最初の2文字を入れ替えたりしないように。

Date: 2012/1014 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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正直に言って、このタイトルには無理がある。調べてみたら、この本を出している幻冬舎の新書には「仕事ができる人はなぜ」で始まる本が「筋トレをするのか」「レッツノートを使っているのか?」などある様子。要はブログのタイトルでよくある「~~をするたった1つの方法」と同じで釣りタイトルなのだ。

話の流れとしては、日本のお金持ち(日本で発表されている高額納税者ではなく、米Forbes誌が発表するビジネスパーソンの番付から日本人を調べたもの)にワイン好きが多く、それはお金があるからワインを飲むのではなく、若い頃からワインを飲んでいるのだということ。

もちろん、科学的でも統計的でもなく、この手法を使えばたいていのものは「仕事ができるひとはなぜ~~が好きなのか」にできてしまうだろう。例えば「仕事ができる人はなぜAKB48が好きなのか」、「仕事ができる人はなぜスキューバダイビングが好きなのか」、「仕事ができる人はなぜ自己啓発本を読まないのか」…。あ、最後はちょっと余計か。一番書きやすそうだけどね。

一番おもしろかったのは最後の章で「トップビジネスマンが語る仕事とワイン」(今どきの本で「ビジネスマン」なんて書くんだと、ちょっと思うけど)。元ソニーの出井さん、GMOの熊谷さん、Kenzo Estatesのオーナー辻本さん、本田直之さん、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤さんへのインタビュー。

これは2011年にSommlier誌に掲載されたものの転載。想像するには、これを元に本の企画ができて、他の章を作っていったというプロセスだったのではないかという気がする。後の章は、この内容をかいつまんで紹介しながらウンチクを垂れているような感じ。30分のひまつぶしとしては、800円はちょっと高く感じる(せめて電子書籍にしてほしかった)。

それから肝心のワインとビジネスの関係の話の中で、IT企業が集まるシリコンバレーと、ワイン産地との距離の近さに一言も触れていないのは、どうかと思う。また、金持ちだからワインを飲むんじゃなくて、お金がないときから飲んでいたという論理にしたいのであれば、ワインのアート的な側面だけでなく、カルチャー的な面にも触れるべきだろう。




Date: 2012/1014 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアのピノ・ノワールは毎年のように注目のニューフェースが出てくるため、よほどウォッチしていないと付いていけないところがあります。Loringというともう古参になってしまうのかもしれませんが、まだ10年そこそこのワイナリですから、一般的に見ればまだ新参者でしょう。

MelvilleやBrewer-Cliftonなどと並んでサンタ・バーバラの小規模ワイナリのリーダー格として有名になったLoringですが、Santa Babara地域だけでなく、様々なところからブドウを仕入れています。

実は今日たまたま飲んでいたのは、オレゴンのShea Vineyardのブドウを使ったLoringのワインでしたが、これもなかなか美味しかったです。

と、前置きばかり長くなりましたが、柳屋で紹介されていたのもサンタ・バーバラではなくSanta Lucia HighlandsのGarys'の畑のもの。Loringが作るワインの中でも人気・実力ともにトップクラスに入ります。昔は、濃くて甘いスタイルでしたが、近年はデリケートな作りに移行しており、ピノ・レポート誌などで高く評価されています。

日本では輸入量が少なくなかなか手に入らないワインなので、この機会にどうぞ。

Date: 2012/1012 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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中国の作家莫言(モオイエン)さんがノーベル文学賞を受賞しました。すごく好きな作家ですが、読んだことがある人は少ないと思うので、読んだ作品のレビューを一気に載せておきます。

莫言の作品の一番の特徴は土俗性と滑稽さでしょうか。大衆演劇を見ているような感じがします。洗練を極めた村上春樹とは対極的なところにいるのかもしれません。

それでは作品を見ていきましょう。基本的に発表年順に載せていきます。もちろん読んだ作品だけです。


莫言の初期の作品だが,おそらく小説それ自体よりも映画のほうが有名だろう。
最近の作品に見る滑稽さはあまりないが,土俗性や暴力性などは通じるものがある。ガルシア・マルケスからの影響が濃いということだが,個人的には中上健次の「枯木灘」あたりに近いものがあるように感じた。


この本、確かに読んだのだけど、どこにも感想を書いていなかった様子。きっとちょっと書きにくかったのだろうと思う。内容はタイトルの通り、胸もおしりも大きな女性に固執する男性の成長記。まあ、あれです。面白い。


比較的初期の短篇集。コーリャンが重要な小道具として登場する点など、赤いコーリャンに通じるところがある。短編ということで実験的な作品であったり、感情に訴えてくる作品であったりなど、長編とはまた違った味わいがある。


謀反を起こして捕えられた孫丙(そんへい),美人だが大足の娘の孫眉娘(そんびじょう),眉娘の夫である無能な趙小甲(ちょうしょうこう),その父で死刑執行人を長年続けている趙甲(ちょうこう),県知事で眉娘の愛人である銭丁(せんてい)をめぐる壮大な物語。趙甲による死刑執行シーンのすさまじさ,章によって語り部が変わることでの文体の妙など,大盤振る舞い。

下巻は,いよいよ孫丙の死刑に向かって,全員が動き出す。このうねりの中で大きな役割を果たすのが孫丙自身が開祖となった猫腔(マオチアン)という地方芝居。山東省高密県には実際に「茂腔」という地方芝居があり,茂と猫が同じ発音であることから作者が考案したのが,この猫腔らしい。
ニャオニャオという合いの手に乗せられることで,深刻な話にどことなくユーモラスさがただよう。
ただの娯楽大作と言ってしまってもいいほど爆笑シーンの多い作品であるが,猫腔や語り口の多様さ,各人それぞれの生き様が最後には感動に導いてくれる。すばらしい。

あまりの面白さにこれを読んでいた数日間はモオイエン,モオイエンとつぶやいてました。


食肉加工を専業とする「落とし」の村で生まれ育った羅小通(ルオシャオトン)を主人公とする物語。一炮から四十一炮まで41パートに分かれているが,各パートの中でも主人公が10年後に「和尚さま」を相手に語る部分と,10年前の幼少時代の話が並列しており,特に前者は幻想的でどこまで本当でどこから嘘なのかも曖昧な形になっている。

幼少時代のストーリーは莫言らしい土俗的なものだが,上巻では特に「野生ラバ」おばさんと父親が駆け落ちした後,母親と貧乏暮らしする話が中心。突然父親が「妹」を連れて帰ってくるあたりから話が急展開を始めるが,上巻はそこに辿りつくまでがちょっとまだるっこしい。

下巻は主人公が「肉」と会話できるようになり,幼少期のストーリーは俄然面白くなってくる。一方で10年後の方はエロチックな妄想も増えどんどん訳がわからないことに。

まあとにかく語りの面白さでは右にでるものがない小説。百聞は一見にしかず。読むしかない。


本書では西門鬧という地主が殺害されたあと,閻魔大王に無実の罪を訴え,現世に次々と転生していく。上巻では山羊,牛,豚となってかつての近親者の家畜となる。

下巻は上巻よりも話がスピードアップする。豚の章は特にのりのり。ついに人に飼われるだけでなく,飛び出してイノシシの群れを率いるようにもなる。犬の章では,もうひとりの語り手である藍解放の浮気シーンが秀逸。

奇想天外な物語に饒舌でリズムのいい語り,根底に流れる民衆の権威への反抗といったテーマは白檀の刑に通じる。ただ,話全体のまとまりで行くと,「白檀の刑」の方が良かった。それでも十分おもしろい。


中国の「一人っ子政策」をめぐる悲喜劇を描いた小説。二人目を妊娠したときに中絶させるという役割を担った「伯母さん」を中心とする。

莫言作品としては、シリアスな部分が多く、それだけ作者の思い入れが深い作品であることが感じ取られる。終盤になって、現代が舞台になるのもこの著者としては珍しい。


************
廃刊になっている「酒国」も抜群に面白いようなので、いつか読んでみたいと思ってます。中国の小説というとなかなかとっつきにくく感じるかもしれませんが、これを機会に少しでも読む人が増えてくれたらなあと思います。
Date: 2012/1011 Category: 技術系
Posted by: Andy
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iPhone5にして、約1週間経ちました。これまでauの普通の携帯とソフトバンクのiPhone4の2台持ちだったのから、基本的にauのiPhone5の1台持ちへの変更です。auの機種変更ではなく、ソフトバンクからのMNPで移しています(旧au携帯は2年しばりが切れるときに解約予定)。

まず、良くなったのは通信が全般に速くなったこと。LTEが入れば激速ですし、3Gでもソフトバンクより大分速く感じます。あと、意外とKDDIの無線LANが入る場所が多い(例えば半蔵門線渋谷駅など)。体感的には無線LANよりLTEの方が今は速く感じますが、将来LTEユーザーが増えることを考えるとなるべく無線に逃がしてあげる必要があるのは確かであり、ともかくこれまでまともに通信できなかったターミナル駅でも快適に使えるのは、かなりありがたいです。

iPhone自体も高速化しているはずですが、通信に比べると目立ちません。画面が広くなったのも特に大きな違いとは感じていません(違和感がないというだけでも立派かも)。

裸で使うと薄いです。今は保護性を重視してレザーケースを使っているので、それに入れているとあまり感じませんが(あ、でもこれはこれで良いケースです)。


もっと薄さを体感できるケースも買おうかと思っています。

iOS6のマップは評判の通り。マップだけなら他のアプリを使えばいいのですが、アプリ内蔵のマップがこれになってしまうのが痛いところ。あと、気のせいかマップがよく落ちるような。

機種変更ではまったのはキャリアメール(ezweb.ne.jp)の設定。今回MNPなので新しいアドレスを取得したのですが、メールアプリに設定がなかなかできませんでした。結局Apple Storeのジーニアスバーに行き、ネットワーク設定のリセットなどでなんとか設定。ただ、ジーニアスバーのお兄ちゃんによると、メールが設定出来ないケースは結構あるらしく、「メッセージ」の方で運用した方がいいかも、とのことでした。一応、設定後は動いているようなので今のところそのままにしています。

それから、今回妻がauの機種変更でiPhoneに。やはりメールではまってしまいました。もっともはまっているポイントは全然違います。

これまでの携帯ではメールの送信元によって着信音を変えられたのに、iPhoneではできないのです。「メッセージ」で受けるようにすれば個別設定できるのですが、長いメールのやり取りが多いのでメッセージにするのも難しく…昨日から責められております。Appleさん、何とかして下さい。
Date: 2012/1011 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ワインの在庫整理を兼ねて、軽くワイン会を開こうかと思い、Facebookで呼びかけて開催しました。特にテーマがあるわけではなく、ワインもそんなに高級なものはありません。お店は神田のヴィラ・ドゥーエ。持ち込みワイン会では有名な店です。

wines

簡単にワインの感想を書いておきます。
●Rusack Chardonnay Santa Barbara County 2010
 酸が効いていると紹介されていたワインですが、意外と樽も効いています。とても分かりやすい美味しさのワインです。

●Varnet Chardonnay Amphithiater Block 2010
 とても複雑な酸。古樽を使っているのか樽のニュアンスは最小限。とてもリーンなシャルドネ。もうちょっと時間を上げたかった感じ。

●Sierra Moon Estate Syrah 2006
 日本人「一ノ瀬千代」さんがSierra Foot Hillsで作るワイン。濃くて甘いシラー。エキスたっぷりという感じでおいしいです。輸入停止がもったいない。

●Rhys Pinot Noir Family Farm Vineyard 2008
 差し入れでいただきました。サンフランシスコの半島で作られているピノ・ノワール。最近のピノ・ノワールにしてはリーンな作り。なかなかおいしいです。

●Outpost Zinfandel Howell Mountain 2009
 初めて飲んだOutpostのジンファンデル。Zinfandel特有の甘酸っぱさはほとんどなくしっかりした作り。なるほどなあ、いいジンです。

最後は差し入れのボルドーでした。
Date: 2012/1009 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで10月7日、ギネス世界記録が誕生しました。「Napa Valley Wine Wave」というイベントで、487人による「ワイン・トースト」のリレーを達成したのです。2011年に中国で作られた321人という記録を抜きました(http://napavalley.patch.com/articles/napa-valley-wine-wave-breaks-guinness-world-record-for-largest-wine-toast)。

ワイン・トーストといってもなんだか訳が分からないと思うので、ミス・ナパによる次の動画を御覧ください。



要は、最初の人と次の人がグラスを合わせて乾杯。2番めの人は次に3番めの人とグラスを合わせて乾杯、というリレーを続けていくもののようです。

ま、これなら人をちゃんと集めればどこでも記録が作れそうですね。途中で失敗したら1からやり直さないといけないなど、細かいルールもいくつかあるようではありますが。

日本でも挑戦してみたらいかがでしょう。
Date: 2012/1008 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「ジェファーソン・ボトル」というのは米国第3代大統領でワイン好きとしても知られたトーマス・ジェファーソンが持っていたとされるワインのこと。これがオークション市場で高額で落札されたものの、真贋に疑義が出されるようになったのでした。

このあたりの話は『世界一高いワイン「ジェファーソン・ボトル」の酔えない事情―真贋をめぐる大騒動』という本に詳しく記されているので、興味がある方はそちらを読むことをお薦めします(この本の紹介記事)。

この問題については、“だまされた”側である大金持ちKochが、ボトルを売ったコレクターのローデンストックや、オークションハウスのクリスティーズを提訴したり、さらにはローデンストックがこの本の出版元であるランダムハウスを提訴したり、と実に醜いことになっています。これら裁判のうち、クリスティーズを対象にしたものが控訴裁で却下されたようです(Lawsuit over Thomas Jefferson's wine too late, court finds)。

Kochがボトルを買ったのは1987年と1988年。一方で疑義が呈されるようになったのは2000年ころからだったのですが、Kochが動き始めたのは2005年になってから。裁判所は“時効”と判断したとのことです。

なお、ローデンストックとの裁判では判事がローデンストック側に60万ドルの罰金を課すことを5月に勧告しています。


Date: 2012/1007 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ゲームメーカー「カプコン」の辻本憲三CEOが作ったワイナリ「Kenzo Estate」。設立当初はワイン不況のまっただ中でもあり辛口の記事が目についたのですが、今年になってWine Spectatorの注目のニューフェースに選ばれるなど、ようやく評価されるようになってきました。

さらに2012年11月にリリースされる2009年のヴィンテージは、同ワイナリとしては初の「エステート」ボトリング。それまで他社に間借りしていた醸造設備を自社で持つようになり、品質も上がったとしています。Twitterの担当者もかなりの自信を持っている様子。



Wine Spectatorで選ばれたのは、エステートになる前の2008年ですから、今年のワインはかなり期待できそうです。

10月18日には東京メトロの広尾駅近くにある「広尾店」でリリース・パーティが開かれます。「紫鈴 rindo 2009」だけでなく 同時リリースの「紫 murasaki 2009」 「藍 ai 2009」などもテイスティングできる貴重な場です。当日、これらの購入もできるとのこと。
Date: 2012/1005 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワイナリB.R. Cohnはロックバンド「ドゥービー・ブラザーズ」のマネージャーであるBruce Cohnが設立したワイナリ。今年の10月6、7日の夕末にはチャリティ・コンサートでドゥービー・ブラザーズが出演します(Bruce Cohn Pulls It Together Again - Sonoma Valley, CA Patch)。

それだけなら毎年恒例に近いのですが、今年はなんとドゥービー・ブラザーズ全盛時代のボーカリストであるマイケル・マクドナルドが土曜日のコンサートでゲスト出演するそうです。創設メンバーのトム・ジョンストンも登場したりと、豪華な内容。ファンだったら今からでも飛んでいきたいところではないでしょうか。
Date: 2012/1005 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワイン&地酒TODAの特売コーナー、カリフォルニアワインもかなり充実していて注目なのですが、なんとHarlan Estateの1993年が5万円切りで出ています。

最新ヴィンテージでも5万円切るなんてほとんどないのに、20年近く熟成したこれがこの値段というのはむちゃくちゃお得です。ちなみにWine Advocate誌の評価は95点で飲み頃は2021年まで。まだまだ飲み頃が続きます。

うーん、紹介する前に買ってしまおうかとしばし悩んだのですが、残念ながら先立つものがなかったので、結婚式ヴィンテージの別のワインを買ったのでした。

ほかにも1994年のPeter Michaelシャルドネが1万円台だったり、2005年のBondが1万8000円台だったり、AubertのUVピノが1万4000円だったり、プレミアムワインをお探しなら、一度は覗いて見たほうがいいと思います。

ワイン&地酒TODAの特売コーナー

Date: 2012/1003 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でHeitzのMartha'sが税抜き11800円と激安です。

カリフォルニアの伝説的なワインであり、そのミンティな特徴はほかのワインにはないものです。

Date: 2012/1003 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最近はワイナリや生産者団体などもビデオでのプロモーションに力を入れているような気がします。FacebookのCalifornia Wine Japanで紹介されていた動画2点を載せておきます。どちらも1分半程度でうまく魅力を伝えています。

1つはPaso Roblesの生産者団体が作った、Zinfandelを称えるビデオ。もう1つはWine Instituteが作ったさまざまな地域のワイナリの写真などを盛り込んだもの。後者はもうちょっとゆっくり見せてほしいところです。



Date: 2012/1002 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wall Street Journalによると、Amazon.comがワイン販売への参入を近々始めるとのことです。



Amazonのワインビジネスでは2008年にNew Vine Logisticsという会社と提携したものの、ワインの消費者への直接配送を禁止する法律を前にしてなかなか事業化が始まらず、結局New Vine社の経営破綻で幕を閉じたということがありました。

実は、拙ブログの記事によると、これだけでなく1999年にも参入を狙ったことがありました(Amazonがワイン市場に「再」参入へ)。そのときはwineshopper.comという会社を買収したものの、翌年に清算しています。

今回は、ワイナリと直接提携して販売するとのこと。ワイナリとの間にうまくサクセスストーリーが描ければ、多くのワイナリが参加することもあるかもしれません。
Date: 2012/1001 Category: 音楽系
Posted by: Andy
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週末でニュースもないので、暇ネタです。

最近、妙に脳内リピートしてしまうのがきゃりーぱみゅぱみゅのファッションモンスター。このPVのセンスは結構好きです。



少女時代はなぜか2年も前の「Oh!」を日本語版で発売。Oh!はアメフトが出てくるので、少女時代の曲の中で好きな方ですが、チアリーダーの格好はもう似合わないのではないかというのがPV見た正直な感想。



PVは、ちょっとコミカルでガーリーな雰囲気の韓国語版の方が上出来。