2023年のワイン・スペクテーターで年間4位になったのがレイン(Raen)のピノ・ノワール「ロイヤル・セント・ロバート・キュヴェ2021」でした。このキュベの8ヴィンテージを垂直で飲むワイン会に出席してきました。
レインはカルロ・モンダヴィとダンテ・モンダヴィの兄弟によるワイナリー。この二人はナパのコンティニュアム(Continuum)のティム・モンダヴィの子供で、故ロバート・モンダヴィの孫にあたります。「ロイヤル・セント・ロバート・キュヴェ」のロバートは祖父に敬意を表して付けたものです。
モンダヴィ家はみなナパでワインを作っていますが、レインだけは冷涼なソノマ・コーストでピノ・ノワールとシャルドネを作っています。ソノマ・コーストのフリーストーンなどに20エーカー弱の畑を持っており、「ロイヤル・セント・ロバート・キュヴェ」はフリーストーンの近くの畑のものを中心に買いブドウと自社ブドウで作っているレインの中心となるワインです。
シャルドネや限定品のロゼも飲んでいますが、ここでは8ヴィンテージのピノ・ノワールのコメントをごく簡単に紹介します。
2022年 酸強くリーンなスタイル。赤果実に鉄や血液っぽい要素
2021年 2022年よりもふくよか、赤果実に紅茶。この日の2番目
2020年 レインのワインとしては酸が低めでやや甘さと柔らかさを感じる
2019年 果実と酸のバランスが非常にいい。ハーブや旨味が出ていてとても良い。この日のベスト
2018年 香りが香水のよう。きれい系で味わいはちょっと軽い
2017年 やや濃いめの味わい。赤果実にブラックベリーなどの黒果実の味わいが加わる
2016年 レインのワインとしてはやや甘めだがバランスよく飲みやすい
2015年 赤果実を中心とした果実味がまだフレッシュで美味しい
ちなみにVinousの評価は以下のようになっています。
2022年 94
2021年 94
2020年 92
2019年 92
2018年 93
2017年 94
2016年 90
2015年 94
2021年と2022年のスタイルが意外と大きく違っていたのがちょっと驚きでした。干ばつで収穫量が少なかったり、収穫時期が早まったりといった要素はありますが、どちらも良好なヴィンテージ。違いは収穫時期によって出てきているのでしょうか。彼らの目指すスタイルに一番近いのがどのヴィンテージなのか気になりました。
年間4位の2021年は、期待を裏切らない味でしたが、それ以上に素晴らしかったのが2019(Vinousの評価はそれほどでもありませんが)。個人的には96点くらいあげたいレベルです。
貴重な機会をいただきありがとうございました。
南アフリカワインを輸入しているマスダの試飲会に参加してきました。南アフリカは、個人的にはかなり注目しているというか気になっている国であり、エキスパートになろうとは思っていませんが、もっとよく知りたいところです。今回はたまたまいた場所の近くで試飲会を開くことを知って、飛び込みで参加させていただきました。
試飲は白ワイン、泡、赤ワインの順です。
ポークパインリッジのソーヴィニョン・ブラン2023(1800円税別、以下同)。クリスプな酸が心地よく、味わいには厚みもあり、1000円台のソーヴィニョン・ブランとしては秀逸。
キャサリンマーシャルのアンフォラ熟成シュナン・ブラン(5700円)。なめらかなテクスチャーとエレガントな味わい。ふくよかさもあり1ランク上のシュナン・ブランというイメージ。
ポールクルーバーのヴィレッジ・シャルドネ(2800円)。2000円台とは思えないほどの複雑さがあるワイン。とても美味しい。
カノンコップの「カデット・ピノタージュ・ロゼ」(2100円)。ピノタージュのロゼ。バランスよくまとまっている。幅広い食事に合いそう。
リーベックのスパークリング・ブリュット(2300円)。生産者の名前「Riebeek」ですがラベルには記されていないのでちょっとわかりにくいで。シャルドネとピノ・ノワールを使ったスパークリングワインでシャルマ方式で製造。フリーランジュースのみ使用、シュールリーで6カ月熟成と作りは豪華。さわやかで果実味がきれい。シャルマなので泡立ちの「持ち」は今一つかもしれないが、この価格ならとても良い。
こちらは瓶内二次発酵を使ったスパークリング「ボレアリス・ブリュット(3100円)」。イースト香がシャンパーニュを思い起こさせる。高級感あるがこの価格は立派。
キャサリン・マーシャルのピノ・ノワール2022(4300円)。果実の柔らかさが秀逸。上品で美味しい。
左はレイビッド&ナディアの「エルピディオス2021」(5700円)。シラー、カリニャン、サンソー、グルナッシュ、ピノタージュにのブレンド。全房を使っているらしい。うまみがとても強く複雑な味わい。とてもいい。
右はニュービギニングスの「ピノタージュ2021」(2200円)。南アフリカ初の黒人生産者らしい。きれいなつくりで飲みやすい。
ドルニエのピノタージュ(2900円)。うまみと果実味のバランスが秀逸
ライナカの「オーガニック・レッド2020」(2600円)。スムーズなテクスチャーでうまみが豊富。
ボッシュクルーフのシラー2021(4000円)。シルキーなテクスチャーが官能的。美味しい。
キアモントのシラー2016(4700円)。エレガントな味わい。美味しい.
カノンコップの「カデット・カベルネソーヴィニヨン2020」(3100円)。柔らかさがありとても良い。
コンスタンシア・グレンの「ファイブ2020」(5900円)。ボルドー系ブレンド。複雑さが素晴らしい。
最後に全体の感想を記します。
全般に酸が強いものが多い。酸がしっかりしたワインは好きですが、それだけでふくよかさがないと、ちょっとバランスが悪く感じられることもあります。結果としてチョイスしたワインはどれも酸とバランスが取れた果実味や複雑さなどがあるものになったと思います。白だとシュナンブラン、赤だとシラーなどに好みのものが多かったのもそのあたりから来ていると思われます。
試飲は白ワイン、泡、赤ワインの順です。
ポークパインリッジのソーヴィニョン・ブラン2023(1800円税別、以下同)。クリスプな酸が心地よく、味わいには厚みもあり、1000円台のソーヴィニョン・ブランとしては秀逸。
キャサリンマーシャルのアンフォラ熟成シュナン・ブラン(5700円)。なめらかなテクスチャーとエレガントな味わい。ふくよかさもあり1ランク上のシュナン・ブランというイメージ。
ポールクルーバーのヴィレッジ・シャルドネ(2800円)。2000円台とは思えないほどの複雑さがあるワイン。とても美味しい。
カノンコップの「カデット・ピノタージュ・ロゼ」(2100円)。ピノタージュのロゼ。バランスよくまとまっている。幅広い食事に合いそう。
リーベックのスパークリング・ブリュット(2300円)。生産者の名前「Riebeek」ですがラベルには記されていないのでちょっとわかりにくいで。シャルドネとピノ・ノワールを使ったスパークリングワインでシャルマ方式で製造。フリーランジュースのみ使用、シュールリーで6カ月熟成と作りは豪華。さわやかで果実味がきれい。シャルマなので泡立ちの「持ち」は今一つかもしれないが、この価格ならとても良い。
こちらは瓶内二次発酵を使ったスパークリング「ボレアリス・ブリュット(3100円)」。イースト香がシャンパーニュを思い起こさせる。高級感あるがこの価格は立派。
キャサリン・マーシャルのピノ・ノワール2022(4300円)。果実の柔らかさが秀逸。上品で美味しい。
左はレイビッド&ナディアの「エルピディオス2021」(5700円)。シラー、カリニャン、サンソー、グルナッシュ、ピノタージュにのブレンド。全房を使っているらしい。うまみがとても強く複雑な味わい。とてもいい。
右はニュービギニングスの「ピノタージュ2021」(2200円)。南アフリカ初の黒人生産者らしい。きれいなつくりで飲みやすい。
ドルニエのピノタージュ(2900円)。うまみと果実味のバランスが秀逸
ライナカの「オーガニック・レッド2020」(2600円)。スムーズなテクスチャーでうまみが豊富。
ボッシュクルーフのシラー2021(4000円)。シルキーなテクスチャーが官能的。美味しい。
キアモントのシラー2016(4700円)。エレガントな味わい。美味しい.
カノンコップの「カデット・カベルネソーヴィニヨン2020」(3100円)。柔らかさがありとても良い。
コンスタンシア・グレンの「ファイブ2020」(5900円)。ボルドー系ブレンド。複雑さが素晴らしい。
最後に全体の感想を記します。
全般に酸が強いものが多い。酸がしっかりしたワインは好きですが、それだけでふくよかさがないと、ちょっとバランスが悪く感じられることもあります。結果としてチョイスしたワインはどれも酸とバランスが取れた果実味や複雑さなどがあるものになったと思います。白だとシュナンブラン、赤だとシラーなどに好みのものが多かったのもそのあたりから来ていると思われます。
40近くのワイン・ブランドを所有するヴィンテージ・ワイン・エステーツがいくつかのワイン・ブランドを売却する方針であることが明らかになっています。
ワイン・サーチャーの記事によると、ナパのクロ・ぺガス(Clos Pegase)とソノマのヴィアンサ(Viansa)については売却の方針。一方で、BRコーン(B.R. Cohn)、ジラード(Girard)、クンデ(Kunde)、およびスーパーマーケット向け安ワインブランドのレイヤーケーキとチェリーパイについては「プライオリティ・ブランド」として今後も保持する方針です。
ここで言及されていないワイナリーとしてはキュペ(Qupe)、オーウェン・ロー(Owen Roe)、コセンティーノ(Cosentino)、スワンソン(Swanson)、キャメロン・ヒューズ(Cameron Hughes)などがあります。これらも売却される可能性は否定できないようです。
この発表の後、人員削減に踏み込んだことも明らかになっています。
ヴィンテージ・ワイン・エステーツは2021年に株式公開していますが、2022年以降は業績が低迷し、株価も下落しています。在庫管理の問題などもあるようで、落ち着くまではしばらくかかりそうです。
ワイン・サーチャーの記事によると、ナパのクロ・ぺガス(Clos Pegase)とソノマのヴィアンサ(Viansa)については売却の方針。一方で、BRコーン(B.R. Cohn)、ジラード(Girard)、クンデ(Kunde)、およびスーパーマーケット向け安ワインブランドのレイヤーケーキとチェリーパイについては「プライオリティ・ブランド」として今後も保持する方針です。
ここで言及されていないワイナリーとしてはキュペ(Qupe)、オーウェン・ロー(Owen Roe)、コセンティーノ(Cosentino)、スワンソン(Swanson)、キャメロン・ヒューズ(Cameron Hughes)などがあります。これらも売却される可能性は否定できないようです。
この発表の後、人員削減に踏み込んだことも明らかになっています。
ヴィンテージ・ワイン・エステーツは2021年に株式公開していますが、2022年以降は業績が低迷し、株価も下落しています。在庫管理の問題などもあるようで、落ち着くまではしばらくかかりそうです。
ジョン・コングスガードへのインタビューから、ジャッジ以外の部分を紹介します。
●ナパ・シャルドネについて
ナパ・ヴァレー・シャルドネは1996年のコングスガード創設時から作り続けているワインであり、生産量でもコングスガード全体の75%ほどを占めている重要なワインです。その根幹をなすのがナパのカーネロスにある二つの銘醸畑、ハイド(Hyde)とハドソン(Hudson)。ハイドを創設したラリー・ハイド、ハドソンを創設したリー・ハドソンとは古くから交流があり、特にリー・ハドソンは大学の同級生として、ずっと「どこにシャルドネを植えようか」という話をしてきたといいます。
ちなみに、ハイドは79年、ハドソンは大学を卒業した81年に土地を購入し、ブドウ栽培を始めています。もう一つついでに書いておくと、ジョン・コングスガードは代々ナパに住む第5世代目。文学で大学を出た後ワイナリーで働いてワインに興味を持ち、UCデーヴィスで改めて学んでいます。リー・ハドソンも園芸で大学を出た後にブルゴーニュでワインに目覚め、UCデーヴィスに入りなおしました。この時代、最初からワイン造りを志すよりも、ほかの分野から転身する人が多かったことがうかがえます。
ジョンのワイン造りに大きな影響を与えたのは前回の記事でも触れたNewton Vineyards時代。1983年にNewtonに入り、ハイドやハドソンのブドウを使ったシャルドネもそのときから作っています。足かけ40年の付き合いになるわけです。しかも、畑の同じブロックを使い続けているそうです。
このころ、ジョンは毎年2週間ブルゴーニュでワイン造りを学び、今も基本的にそのメソッドを使い続けています。今では高級シャルドネで当たり前のようにやられている「ノンフィルター」も1990年にNewtonで始めたのがカリフォルニアでは初でした。ただ、ノンフィルターだとどうしてもワインに濁りが出ます。そこで卸売業者などにフィルターを使ったものと使っていないものを両方試飲して、美味しい方を選んでもらう実験をしました。すると味ではフィルターなしが圧倒的。「にごり」について質問すると、全く問題ないという意見がほとんどでした。
さて、数あるカリフォルニアのシャルドネの中でも、ハイドとハドソンという銘醸畑中の銘醸畑を両方入れたというナパヴァレー・シャルドネですが、ここでずっと気になっていたことを質問しました。内容は、「ハイドもハドソンもどちらも単一畑でボトリングしてもおかしくない素晴らしい生産者。これをどうしてブレンドしようと思ったのか」ということです。
クラシック音楽好きのジョンは音楽に例えてこう答えました。「ソロ・バイオリンとオーケストラの違いと同じだ。ソロ・バイオリンは美しいがシンプルになってしまう。複数のワインを合わせることでコーラスのように広がりが出る」。実際2011年は、瓶詰めまでの2年間が過ぎてもまだハイドのワインが樽発酵が終わっておらず、ハイドなしで出したそうです。その結果としてはやはり味わいがシンプルになってしまったとのこと。
また、ハイドとハドソンの個性を聞いたところ、ハドソンは中間的な味わいで横に広がるイメージ。味わいに深みを与えてくれる。ハイドはハイノートで酸が強く、単独で飲むとアルザスのワインのよう、とのことでした。
また、逆に個性ある素晴らしいワインであっても、ブレンドするとうまくいかない、といったケースもあります。コングスガードではそういったワインはセカンドラベルの「Kingsfarm」に入れてしまうそうです。
なお、Kingsfarmのシャルドネは日本には入ってきていません。メーリングリストだけでほぼ売れてしまうそうです。
今回は2018年のナパヴァレー・シャルドネを試飲しました。
芳醇で香りがすばらしい。よく熟れた柑橘に白桃の風味。やわらかなまったりとした味わい。複雑で余韻も長く、やはりこれも素晴らしいワインです。
畑は前述のようにハイドとハドソンがメインですが、ほかにジャッジの畑の近くのブドウとカーネロスの畑のブドウもブレンドしているそうです。
前回、書き忘れたのですが、ジャッジの畑は1975年に植えられており、ジャッジのワインは2002年から。それまではどこで使われていたのでしょう。実は一番最初はZDのシャルドネで使われており、1983年から1996年まではNewtonのシャルドネにブレンドされていました。Newtonで10年以上ジャッジの畑のブドウを使ってきたことが、ジャッジのワインを作るときにも生かされています。また、コングスガードを始めたばかりの最初のシャルドネは、ジャッジの畑が3/4で、残りがハイドとハドソンという構成だったというからちょっと驚きです。
シャルドネの熟成については前回のジャッジのときにも書きましたが、ジョン自身は白ワインでは酸とフレッシュさを大事にしているため、熟成については10年ほどが目安としています。ナパヴァレー・シャルドネについても6~8年は熟成して良くなりますが、それ以上は良くなるときもあるけど良くならないときも多いとのことです。
●コングスガードのワイナリー(醸造設備)とケーヴについて
コングスガードの本拠地はアトラスピークにあります。コングスガード・ワイナリーを始めて、自社設備のための場所を探していました。Lunaというワイナリーでアトラスピークのカベルネ・ソーヴィニョンを使ったことがあり、それが縁で2004年にアトラスピークに土地を買うことになりました。それから2年間かけてセラーとケーヴを作りました。お金がなかったのでほとんど自分たちだけで作ったそうです。ちなみに現在めきめきと売り出し中のMacDonald VineyardsのGream MacDonaldは、ジョンが設備を貸すことを条件に無償で手伝ってくれる人を探したときに知己になり、10年間働いてもらったそうです。
2009年に畑の植樹を始めました。標高800mというのはナパでは一番の高さと思われます。畑はカベルネ・ソーヴィニヨンのほか、シャルドネ、ヴィオニエ、ソーヴィニヨン・ブランを作っています。シャルドネは個性が強く、ナパヴァレー・シャルドネにはブレンドされていません。将来は単一畑のワインとして作っていきたいとのこと。ヴィオニエやソーヴィニヨン・ブランは自社のワインに使われています。
●シラーについて
試飲したワインの最後が2018年のシラー。シラーはハドソンの畑のものを使っています。ハドソンの畑はカーネロスの中ではマヤカマス山脈に近いところにあり、北側は丘で隆起しています。冷涼なカーネロスの中では特別な場所だといいます。2.5エーカーの畑で250~300ケース作られています。
試飲しました。
ペッパーなどのスパイス、黒鉛に黒系の果実が緻密な味わいを構成します。ちょっと血液や皮のニュアンスもあります。酸が豊かでエレガント。きれいで上品なシラーです。ナパのシラーではコルギンのシラーも素晴らしいですが、そちらはより暖かさを感じる味わい。この冷涼感は他では得られません。
シラーを作り始めたきっかけは、やはりフランス。ヴィオニエの勉強をしにローヌのコンドリューに行ったとき、一日コンドリューの試飲をして疲れて宿に帰ってきたときに飲んだシラーが美味しすぎて、シラーに目覚めたそうです。コートロティよりはエルミタージュを目指しているとのこと。
赤についてはステンレスタンクで発酵し、3週間スキンコンタクト。発酵中はポンピングオーバーを行います。熟成は50%新樽とシャルドネよりは低くなっています。新樽を多く使うと影響が出やすくなるので、あまり多くしていません。
●ピノ・ノワールは作らない?
ブルゴーニュに大きな影響を受けているコングスガードですが、ピノ・ノワールは作っていません。なぜでしょうか。「もちろんピノ・ノワールは大好きだ。ただ、私はナパの住民であり、ナパでは最高のピノ・ノワールを作るのは難しいと思っている。ソノマ・コーストまで行けば素晴らしい畑があるが、片道3時間のドライブを毎日のようにするのは大変だ」とのことでした。
●多くの弟子について
Newtonは中規模のワイナリーで、常にいろいろなワイナリーなどから研修生を受け入れていました。ジョンはコンサルタントを含めて1983年から2005年までNewtonで働いておりそこで多くの「弟子」的な存在ができました。例えばアンディ・エリクソンは彼の一番弟子と言われています。
多くの弟子の中で、スコリウム・プロジェクトというワイナリーで、アバンギャルドなワインを作っているエイブ・ショーナー(Abe Schoner)についてどう思うか聴いてみたときの反応が面白かったです。いわく「弟子の中には『高名』なワインメーカーと言われる人も何人もいますが、唯一エイブだけは「悪名」の高さで知られています。彼のワインはあまり好んでいないようですが「Intellecual」な部分は評価していると苦笑いを浮かべ名が答えてくれました。
●クラシック音楽について
クラシック好きで知られるジョンに、音楽の分野で何をやっていくか聞きました。ジョンは「CHAMBER MUSIC IN NAPA VALLEY」というNPOの世話役をしており、そちらもかなり忙しいようです。そちらは今後も続けるため、新しいことは今は考えていないとのことでした。
●ナパ・シャルドネについて
ナパ・ヴァレー・シャルドネは1996年のコングスガード創設時から作り続けているワインであり、生産量でもコングスガード全体の75%ほどを占めている重要なワインです。その根幹をなすのがナパのカーネロスにある二つの銘醸畑、ハイド(Hyde)とハドソン(Hudson)。ハイドを創設したラリー・ハイド、ハドソンを創設したリー・ハドソンとは古くから交流があり、特にリー・ハドソンは大学の同級生として、ずっと「どこにシャルドネを植えようか」という話をしてきたといいます。
ちなみに、ハイドは79年、ハドソンは大学を卒業した81年に土地を購入し、ブドウ栽培を始めています。もう一つついでに書いておくと、ジョン・コングスガードは代々ナパに住む第5世代目。文学で大学を出た後ワイナリーで働いてワインに興味を持ち、UCデーヴィスで改めて学んでいます。リー・ハドソンも園芸で大学を出た後にブルゴーニュでワインに目覚め、UCデーヴィスに入りなおしました。この時代、最初からワイン造りを志すよりも、ほかの分野から転身する人が多かったことがうかがえます。
ジョンのワイン造りに大きな影響を与えたのは前回の記事でも触れたNewton Vineyards時代。1983年にNewtonに入り、ハイドやハドソンのブドウを使ったシャルドネもそのときから作っています。足かけ40年の付き合いになるわけです。しかも、畑の同じブロックを使い続けているそうです。
このころ、ジョンは毎年2週間ブルゴーニュでワイン造りを学び、今も基本的にそのメソッドを使い続けています。今では高級シャルドネで当たり前のようにやられている「ノンフィルター」も1990年にNewtonで始めたのがカリフォルニアでは初でした。ただ、ノンフィルターだとどうしてもワインに濁りが出ます。そこで卸売業者などにフィルターを使ったものと使っていないものを両方試飲して、美味しい方を選んでもらう実験をしました。すると味ではフィルターなしが圧倒的。「にごり」について質問すると、全く問題ないという意見がほとんどでした。
さて、数あるカリフォルニアのシャルドネの中でも、ハイドとハドソンという銘醸畑中の銘醸畑を両方入れたというナパヴァレー・シャルドネですが、ここでずっと気になっていたことを質問しました。内容は、「ハイドもハドソンもどちらも単一畑でボトリングしてもおかしくない素晴らしい生産者。これをどうしてブレンドしようと思ったのか」ということです。
クラシック音楽好きのジョンは音楽に例えてこう答えました。「ソロ・バイオリンとオーケストラの違いと同じだ。ソロ・バイオリンは美しいがシンプルになってしまう。複数のワインを合わせることでコーラスのように広がりが出る」。実際2011年は、瓶詰めまでの2年間が過ぎてもまだハイドのワインが樽発酵が終わっておらず、ハイドなしで出したそうです。その結果としてはやはり味わいがシンプルになってしまったとのこと。
また、ハイドとハドソンの個性を聞いたところ、ハドソンは中間的な味わいで横に広がるイメージ。味わいに深みを与えてくれる。ハイドはハイノートで酸が強く、単独で飲むとアルザスのワインのよう、とのことでした。
また、逆に個性ある素晴らしいワインであっても、ブレンドするとうまくいかない、といったケースもあります。コングスガードではそういったワインはセカンドラベルの「Kingsfarm」に入れてしまうそうです。
なお、Kingsfarmのシャルドネは日本には入ってきていません。メーリングリストだけでほぼ売れてしまうそうです。
今回は2018年のナパヴァレー・シャルドネを試飲しました。
芳醇で香りがすばらしい。よく熟れた柑橘に白桃の風味。やわらかなまったりとした味わい。複雑で余韻も長く、やはりこれも素晴らしいワインです。
畑は前述のようにハイドとハドソンがメインですが、ほかにジャッジの畑の近くのブドウとカーネロスの畑のブドウもブレンドしているそうです。
前回、書き忘れたのですが、ジャッジの畑は1975年に植えられており、ジャッジのワインは2002年から。それまではどこで使われていたのでしょう。実は一番最初はZDのシャルドネで使われており、1983年から1996年まではNewtonのシャルドネにブレンドされていました。Newtonで10年以上ジャッジの畑のブドウを使ってきたことが、ジャッジのワインを作るときにも生かされています。また、コングスガードを始めたばかりの最初のシャルドネは、ジャッジの畑が3/4で、残りがハイドとハドソンという構成だったというからちょっと驚きです。
シャルドネの熟成については前回のジャッジのときにも書きましたが、ジョン自身は白ワインでは酸とフレッシュさを大事にしているため、熟成については10年ほどが目安としています。ナパヴァレー・シャルドネについても6~8年は熟成して良くなりますが、それ以上は良くなるときもあるけど良くならないときも多いとのことです。
●コングスガードのワイナリー(醸造設備)とケーヴについて
コングスガードの本拠地はアトラスピークにあります。コングスガード・ワイナリーを始めて、自社設備のための場所を探していました。Lunaというワイナリーでアトラスピークのカベルネ・ソーヴィニョンを使ったことがあり、それが縁で2004年にアトラスピークに土地を買うことになりました。それから2年間かけてセラーとケーヴを作りました。お金がなかったのでほとんど自分たちだけで作ったそうです。ちなみに現在めきめきと売り出し中のMacDonald VineyardsのGream MacDonaldは、ジョンが設備を貸すことを条件に無償で手伝ってくれる人を探したときに知己になり、10年間働いてもらったそうです。
2009年に畑の植樹を始めました。標高800mというのはナパでは一番の高さと思われます。畑はカベルネ・ソーヴィニヨンのほか、シャルドネ、ヴィオニエ、ソーヴィニヨン・ブランを作っています。シャルドネは個性が強く、ナパヴァレー・シャルドネにはブレンドされていません。将来は単一畑のワインとして作っていきたいとのこと。ヴィオニエやソーヴィニヨン・ブランは自社のワインに使われています。
●シラーについて
試飲したワインの最後が2018年のシラー。シラーはハドソンの畑のものを使っています。ハドソンの畑はカーネロスの中ではマヤカマス山脈に近いところにあり、北側は丘で隆起しています。冷涼なカーネロスの中では特別な場所だといいます。2.5エーカーの畑で250~300ケース作られています。
試飲しました。
ペッパーなどのスパイス、黒鉛に黒系の果実が緻密な味わいを構成します。ちょっと血液や皮のニュアンスもあります。酸が豊かでエレガント。きれいで上品なシラーです。ナパのシラーではコルギンのシラーも素晴らしいですが、そちらはより暖かさを感じる味わい。この冷涼感は他では得られません。
シラーを作り始めたきっかけは、やはりフランス。ヴィオニエの勉強をしにローヌのコンドリューに行ったとき、一日コンドリューの試飲をして疲れて宿に帰ってきたときに飲んだシラーが美味しすぎて、シラーに目覚めたそうです。コートロティよりはエルミタージュを目指しているとのこと。
赤についてはステンレスタンクで発酵し、3週間スキンコンタクト。発酵中はポンピングオーバーを行います。熟成は50%新樽とシャルドネよりは低くなっています。新樽を多く使うと影響が出やすくなるので、あまり多くしていません。
●ピノ・ノワールは作らない?
ブルゴーニュに大きな影響を受けているコングスガードですが、ピノ・ノワールは作っていません。なぜでしょうか。「もちろんピノ・ノワールは大好きだ。ただ、私はナパの住民であり、ナパでは最高のピノ・ノワールを作るのは難しいと思っている。ソノマ・コーストまで行けば素晴らしい畑があるが、片道3時間のドライブを毎日のようにするのは大変だ」とのことでした。
●多くの弟子について
Newtonは中規模のワイナリーで、常にいろいろなワイナリーなどから研修生を受け入れていました。ジョンはコンサルタントを含めて1983年から2005年までNewtonで働いておりそこで多くの「弟子」的な存在ができました。例えばアンディ・エリクソンは彼の一番弟子と言われています。
多くの弟子の中で、スコリウム・プロジェクトというワイナリーで、アバンギャルドなワインを作っているエイブ・ショーナー(Abe Schoner)についてどう思うか聴いてみたときの反応が面白かったです。いわく「弟子の中には『高名』なワインメーカーと言われる人も何人もいますが、唯一エイブだけは「悪名」の高さで知られています。彼のワインはあまり好んでいないようですが「Intellecual」な部分は評価していると苦笑いを浮かべ名が答えてくれました。
●クラシック音楽について
クラシック好きで知られるジョンに、音楽の分野で何をやっていくか聞きました。ジョンは「CHAMBER MUSIC IN NAPA VALLEY」というNPOの世話役をしており、そちらもかなり忙しいようです。そちらは今後も続けるため、新しいことは今は考えていないとのことでした。
コングスガード(Kongsgaard)の創設者で共同オーナーであるジョン・コングスガードが初来日し、インタビューの機会をいただきました。1時間半にわたりいろいろ伺った(あっという間でした)のですが、その中から今回は、一番関心が高いと思われるシャルドネ「ザ・ジャッジ(The Judge、以下ではジャッジ)」についてまとめます。
ジャッジの最初のヴィンテージは2002年。そもそもジャッジの名前はジョンの父親が判事をやっていたことが由来ですが、その父が2001年になくなり、追悼の意味を込めて作ったワインでした。最初は樽2つだけで、法律学校の生徒さんに配ったといいます。それまではナパのシャルドネにブレンドされており、ジョンは単独のワインとして続けることは意図していなかったのですが、ロバート・パーカーが樽から試飲して「これを出さないとだめだ」と言ったことで、翌年以降も続けることになりました。
ただ、収量が少なく高価なものになってしまうため、最初はメーリング・リスト向けに「ジャッジ入りのものは100ドルプラス」という形を取ったとか。当時入手した人はラッキーでしたね。
現在の生産量は250ケースほど。今回の来日ではジャッジのマグナムを持参してきており2013年のマグナムのジャッジを試飲しましたが、マグナムは通常は販売せず、チャリティ・オークションへの出品などイベントでしか使っていないとのことです。シャルドネは酸とフレッシュさが大事で、熟成についてはあまり重視していないというジョンですが、「10年以上熟成させるならマグナムが一番」だとジョンは言います。本当に貴重なワインをいただきました。
その2013年のジャッジですが、白桃やはちみつのようなとろけるような香りと味わいに、熟成によるナッティな風味が加わります。穏やかな酸で極めて長いフィニッシュ。時間が経つとシャンパーニュのようなイーストの風味も加わります。また、ジョンによるとフィニッシュに塩味を感じるのもジャッジの特徴だとのこと。ただ、この塩味は低収量に関係しているとはいうものの、何によるものなのかはジョンにもわからないそうです。
さて、ジャッジの畑でなぜ、これほどまでに素晴らしいシャルドネができるのか。そこに大きく関係しているのが収量の低さです。コングスガードのナパヴァレー・シャルドネで使っているハイドやハドソンの畑が1エーカーあたり3トン程度あるのに対し、ジャッジの畑は1エーカーあたり1トンに行くかどうか。一般的に1エーカーあたり2トンを切ると極めて低収量と言われていますが、1トン以下というのはほとんど聞いたことがないレベルです。
この低収量はグリーン・ハーヴェストなど人為的に収穫量を減らしているわけではなく、自然によるものです。ジャッジの畑はクームズヴィルAVA内にあり、ちょっと小高くなった丘にあるようです(詳しい場所は明らかにしていません)。ヴァカ山脈系の火山性土壌が多いクームズヴィルで、ジャッジの畑も火山性土壌ですが、とにかく表土が薄くて岩ばかりなのと、その表土も、ちょっとピンク色がかった火山性の灰が中心で、窒素などの栄養分がほとんどありません。台木も樹勢が強くなるようなものを使っているのですが、それでも樹が育ちません。ジャッジの畑の一番古い樹は1975年に植樹したものですが、その樹でさえ、幹の太さが10㎝程度にしかなっていないそうです。
シャルドネのクローンは、いわゆるオールド・ウェンテ。ハドソンで使っているショット・ウェンテや、その他のオールド・ウェンテもあるようです。このクローンは非常にブドウの房が小さく、ブドウの実も小さくなるのが特徴。普通は4房程度で1ポンドの収穫になるのに、ジャッジの畑では10~15房も必要です。皮の比率が高いため、白ワインであるにもかかわらずタンニンを感じるとのこと。
写真でもその小ささがわかると思います。
コングスガードではシャルドネは24.5Brix程度で収穫しています。以前はもっと高い糖度にしていたそうですが、現在は抑え目になっています。発酵・熟成は小樽で行います。これも以前は100%新樽でしたが、今は70%程度になっています。
ジョンはNewton Vineyardsに在籍していた1980年代、毎年のようにブルゴーニュに行き、コシュ・デュリやドミニク・ラフォンなどの素晴らしい生産者の下でワイン造りを勉強してきました。コングスガードでは基本的に、そのときに学んだ伝統的なブルゴーニュの方式で醸造・熟成しています。例えば天然酵母での発酵や2年間の樽熟、フィルターなしでの瓶詰めといったことはすべてニュートン時代に始めており、コングスガードでも同じ方法にならっています。彼はUCデーヴィスでワイン造りを学んでいますが、そこでは基本的に「クリーンな」ワイン造りしか学ばないため、天然酵母はリスクが高いとして推奨されていませんでした。その時代においてジョンは先駆的な存在でした。
特に樽での熟成は常に空気に触れた状態になるため、ワインの変化も予想できないような形になります。例えば樽熟成の2年目くらいになると果実味はどこかに行ってしまい「水平線の向こうにワインを見る」ような状態になるといいます。それを乗り越えた先に素晴らしい結果が待っているのですが、現在のブルゴーニュでは熟成前酸化などのリスクを取る生産者はだんだん減ってきているとジョンはいいます。今では逆にブルゴーニュからコングスガードに勉強に来るそうです。
2年間の樽熟の後、ボトル詰めして半年間さらに熟成してから出荷します。
さて、ジャッジの畑の場所はジョンの母方の祖父が持っていた土地でした。祖父は石材業を営んでおり、サンフランシスコ周辺での護岸工事などに使われていました。
前述のように場所はクームズヴィルです。クームズヴィルはナパ市の東方、海からの距離が近いため冷涼ですが、カベルネ・ソーヴィニヨン系が有名です。例えばパルマッツやFAVIAなどがこの土地から素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンなどを作っています。
この土地になぜ、シャルドネを植えたのでしょうか。
ボーリュー・ヴィンヤードのワインメーカーやコンサルタントとして1940年代から80年代までナパの数多くのワイナリーに影響を与えたアンドレ・チェリチェフが、この近くに住んでいました。ジョンの父とも仲良しでした。ジョンはUCデーヴィスの学生時代からここに畑を作りたいと考えていて、アンドレに助言を求めました。そうしたら「ここはシャルドネしかない」と言い切り、それでシャルドネを植えたのでした。
アンドレ・チェリチェフの慧眼にあらためて恐れ入った次第です。
後編の記事では他のワインやアトラスピークのワイナリー、交友関係などを取り上げる予定です。
ジャッジの最初のヴィンテージは2002年。そもそもジャッジの名前はジョンの父親が判事をやっていたことが由来ですが、その父が2001年になくなり、追悼の意味を込めて作ったワインでした。最初は樽2つだけで、法律学校の生徒さんに配ったといいます。それまではナパのシャルドネにブレンドされており、ジョンは単独のワインとして続けることは意図していなかったのですが、ロバート・パーカーが樽から試飲して「これを出さないとだめだ」と言ったことで、翌年以降も続けることになりました。
ただ、収量が少なく高価なものになってしまうため、最初はメーリング・リスト向けに「ジャッジ入りのものは100ドルプラス」という形を取ったとか。当時入手した人はラッキーでしたね。
現在の生産量は250ケースほど。今回の来日ではジャッジのマグナムを持参してきており2013年のマグナムのジャッジを試飲しましたが、マグナムは通常は販売せず、チャリティ・オークションへの出品などイベントでしか使っていないとのことです。シャルドネは酸とフレッシュさが大事で、熟成についてはあまり重視していないというジョンですが、「10年以上熟成させるならマグナムが一番」だとジョンは言います。本当に貴重なワインをいただきました。
その2013年のジャッジですが、白桃やはちみつのようなとろけるような香りと味わいに、熟成によるナッティな風味が加わります。穏やかな酸で極めて長いフィニッシュ。時間が経つとシャンパーニュのようなイーストの風味も加わります。また、ジョンによるとフィニッシュに塩味を感じるのもジャッジの特徴だとのこと。ただ、この塩味は低収量に関係しているとはいうものの、何によるものなのかはジョンにもわからないそうです。
さて、ジャッジの畑でなぜ、これほどまでに素晴らしいシャルドネができるのか。そこに大きく関係しているのが収量の低さです。コングスガードのナパヴァレー・シャルドネで使っているハイドやハドソンの畑が1エーカーあたり3トン程度あるのに対し、ジャッジの畑は1エーカーあたり1トンに行くかどうか。一般的に1エーカーあたり2トンを切ると極めて低収量と言われていますが、1トン以下というのはほとんど聞いたことがないレベルです。
この低収量はグリーン・ハーヴェストなど人為的に収穫量を減らしているわけではなく、自然によるものです。ジャッジの畑はクームズヴィルAVA内にあり、ちょっと小高くなった丘にあるようです(詳しい場所は明らかにしていません)。ヴァカ山脈系の火山性土壌が多いクームズヴィルで、ジャッジの畑も火山性土壌ですが、とにかく表土が薄くて岩ばかりなのと、その表土も、ちょっとピンク色がかった火山性の灰が中心で、窒素などの栄養分がほとんどありません。台木も樹勢が強くなるようなものを使っているのですが、それでも樹が育ちません。ジャッジの畑の一番古い樹は1975年に植樹したものですが、その樹でさえ、幹の太さが10㎝程度にしかなっていないそうです。
シャルドネのクローンは、いわゆるオールド・ウェンテ。ハドソンで使っているショット・ウェンテや、その他のオールド・ウェンテもあるようです。このクローンは非常にブドウの房が小さく、ブドウの実も小さくなるのが特徴。普通は4房程度で1ポンドの収穫になるのに、ジャッジの畑では10~15房も必要です。皮の比率が高いため、白ワインであるにもかかわらずタンニンを感じるとのこと。
写真でもその小ささがわかると思います。
コングスガードではシャルドネは24.5Brix程度で収穫しています。以前はもっと高い糖度にしていたそうですが、現在は抑え目になっています。発酵・熟成は小樽で行います。これも以前は100%新樽でしたが、今は70%程度になっています。
ジョンはNewton Vineyardsに在籍していた1980年代、毎年のようにブルゴーニュに行き、コシュ・デュリやドミニク・ラフォンなどの素晴らしい生産者の下でワイン造りを勉強してきました。コングスガードでは基本的に、そのときに学んだ伝統的なブルゴーニュの方式で醸造・熟成しています。例えば天然酵母での発酵や2年間の樽熟、フィルターなしでの瓶詰めといったことはすべてニュートン時代に始めており、コングスガードでも同じ方法にならっています。彼はUCデーヴィスでワイン造りを学んでいますが、そこでは基本的に「クリーンな」ワイン造りしか学ばないため、天然酵母はリスクが高いとして推奨されていませんでした。その時代においてジョンは先駆的な存在でした。
特に樽での熟成は常に空気に触れた状態になるため、ワインの変化も予想できないような形になります。例えば樽熟成の2年目くらいになると果実味はどこかに行ってしまい「水平線の向こうにワインを見る」ような状態になるといいます。それを乗り越えた先に素晴らしい結果が待っているのですが、現在のブルゴーニュでは熟成前酸化などのリスクを取る生産者はだんだん減ってきているとジョンはいいます。今では逆にブルゴーニュからコングスガードに勉強に来るそうです。
2年間の樽熟の後、ボトル詰めして半年間さらに熟成してから出荷します。
さて、ジャッジの畑の場所はジョンの母方の祖父が持っていた土地でした。祖父は石材業を営んでおり、サンフランシスコ周辺での護岸工事などに使われていました。
前述のように場所はクームズヴィルです。クームズヴィルはナパ市の東方、海からの距離が近いため冷涼ですが、カベルネ・ソーヴィニヨン系が有名です。例えばパルマッツやFAVIAなどがこの土地から素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンなどを作っています。
この土地になぜ、シャルドネを植えたのでしょうか。
ボーリュー・ヴィンヤードのワインメーカーやコンサルタントとして1940年代から80年代までナパの数多くのワイナリーに影響を与えたアンドレ・チェリチェフが、この近くに住んでいました。ジョンの父とも仲良しでした。ジョンはUCデーヴィスの学生時代からここに畑を作りたいと考えていて、アンドレに助言を求めました。そうしたら「ここはシャルドネしかない」と言い切り、それでシャルドネを植えたのでした。
アンドレ・チェリチェフの慧眼にあらためて恐れ入った次第です。
後編の記事では他のワインやアトラスピークのワイナリー、交友関係などを取り上げる予定です。
ジョシュ・セラーズ(Josh Cellars)のワインがSNS上でバズっているそうです。
きっかけになったのが、X(旧Twitter)におけるこの投稿。
この投稿、今では1700を超える「いいね」と2000を超える「リポスト」がされ、2000万回以上のビューがあります。訳すと「ステラ&ベアフットを放っておいて、大人になれと言い続けるつもりはない」(by DeepL)となります。ここで「Stella」と「Barefoot」はポピュラーな安い甘口ワインのブランドです。手ごろな価格帯のドライなワインのお薦めの代表として「Josh」を取り上げた、そんな投稿です。
この投稿に対して最初はほかのドライなワインのお薦めなどが返信されていましたが、次第にJoshそれ自体をジョークとして使うような投稿が増えていったそうです。
これは4万以上の「いいね」と2000を超えるリポストがされています。
これは3万以上の「いいね」と2000を超えるリポスト。
5000を超える「いいね」。
どうやら、Joshの名前とラベルが広がる中で、「Josh」というありふれた名前が、ちょっと高級感のあるラベルと字体で描かれているというところに面白みを感じている人が多いようです。
ついにはJosh Cellarsの公式Xもこんな投稿をしています。
このアカウント、2019年から休眠状態でしたが、今回の「バズ」で復活してきたようです。インスタのアカウントではこんな投稿もしています。
なかなかこのあたりのジョーク感覚が日本人にはわかりにくいところですが、SNSでワインの名前がバズるのはこれが初めてでは、と言われております。
狙ってできる「バズ」ではないですが、何がどうはやるのか、興味深いものがあります。
きっかけになったのが、X(旧Twitter)におけるこの投稿。
I’m not gonna keep telling y’all to grow up and leave that Stella & Barefoot alone pic.twitter.com/XrkSN7zukC
— King Pisces (@OptimusGrind__) January 7, 2024
この投稿、今では1700を超える「いいね」と2000を超える「リポスト」がされ、2000万回以上のビューがあります。訳すと「ステラ&ベアフットを放っておいて、大人になれと言い続けるつもりはない」(by DeepL)となります。ここで「Stella」と「Barefoot」はポピュラーな安い甘口ワインのブランドです。手ごろな価格帯のドライなワインのお薦めの代表として「Josh」を取り上げた、そんな投稿です。
この投稿に対して最初はほかのドライなワインのお薦めなどが返信されていましたが、次第にJoshそれ自体をジョークとして使うような投稿が増えていったそうです。
oh hell naw jesus brought the josh pic.twitter.com/NnaIEACVZ6
— pavlo (@LaughterHaver) January 12, 2024
これは4万以上の「いいね」と2000を超えるリポストがされています。
josh wine on a friday night, pair of jeans that fit just right pic.twitter.com/0rf8p7WAlp
— horse dentist (@equine__dentist) January 12, 2024
これは3万以上の「いいね」と2000を超えるリポスト。
the height of luxury https://t.co/wgQsMKoeDE pic.twitter.com/Be6EVCF3mv
— Josh Cellars Wine (@joshcellars) January 19, 2024
5000を超える「いいね」。
どうやら、Joshの名前とラベルが広がる中で、「Josh」というありふれた名前が、ちょっと高級感のあるラベルと字体で描かれているというところに面白みを感じている人が多いようです。
ついにはJosh Cellarsの公式Xもこんな投稿をしています。
the height of luxury https://t.co/wgQsMKoeDE pic.twitter.com/Be6EVCF3mv
— Josh Cellars Wine (@joshcellars) January 19, 2024
このアカウント、2019年から休眠状態でしたが、今回の「バズ」で復活してきたようです。インスタのアカウントではこんな投稿もしています。
なかなかこのあたりのジョーク感覚が日本人にはわかりにくいところですが、SNSでワインの名前がバズるのはこれが初めてでは、と言われております。
狙ってできる「バズ」ではないですが、何がどうはやるのか、興味深いものがあります。
アカデミー・デュ・ヴァンのレストラン講座としてピーター・ルーガー・ステーキハウスでのワインディナーを開催しました。
料理が美味しかったのはもちろん、サービスも素晴らしく、思い出に残るディナーとなりました。
今回のワインはナパヴァレーからすべて選びました。
1. Schramsberg Blanc de Blancs 2019
2. Grgich Hills Fume Blanc 2020
3. Rombauer Chardonnay 2021
4. Far Niente Chardonnay 2021
5. Hudson Phoenix 2020
6. Shafer Relentless 2018
7. The Mascot 2018
8. Vine Hill Ranch Cabernet Sauvignon 2018
9. Bond Vecina 2004
10. Bond Melbury 2004
追加
11. Bond Pluribus 2004
12. Bond St.Eden 2004
白ワインの3本はいずれも樽を利かした(といってもGrgichはかなり上品ですが)ものを選びました。
前菜のベーコンのスモーキーさに、特に樽の効いたシャルドネが合うだろうと思ったのですが、その意図を伝えるのを忘れていたので、シャルドネが出たときに、もうベーコンを食べきっていた人が多かったのはちょっと誤算でした。
前菜の後はチキンの丸焼き。これも皮の香ばしさが素晴らしい。シャルドネも合いましたし、そのあとのハドソンのフェニックス(メルローベース)にも合いました。ハドソンのフェニックスは冷涼さのあるメルローでとてもよかったです。
次のワインはシェーファーのリレントレス(シラー)。ナパのシラー、作っているところは少ないですが、品質はどれも素晴らしいです。今回も「初めて飲んだけど美味しい」という感想をいただきました。
7本目からはカベルネ系が続きます。一応、ここもストーリーはあって、メインのボンドにつながる構成にしています。7番目のザ・マスコットはハーランやボンドなどのファーストワインを選んだ後のワインをブレンドしたもの。ハーランにはメイデン、ボンドにはメイトリアークというセカンドがあるので、一応これはサードという位置づけになると思います。とはいえ、非常に高い品質で、いいワインです。これが一番好きという方もいらっしゃいました。
8本目はヴァイン・ヒル・ランチ(VHR)。ヴァイン・ヒル・ランチはオークヴィルにある畑で、実はボンドのヴァシーナ(Vecina)はこの畑のブドウを使っています。畑つながりで選びました。濃厚ながらも上品さのあるワインでこれもよかったです。
メインはもちろんT-ボーン・ステーキ。表面のかりかり感と香ばしさ、肉の旨味の三重奏です。こう見てくるとピーター・ルーガーの料理のポイントは香りかなあと改めて思います。ナパのワインによく合うのもその香りとの相性の良さによるのでしょう。T-ボーンはサーロインとヒレと両方を楽しめますが、サーロインのところも和牛のサーロインとは全く違って脂はほとんどなく赤身のような味わい。ただうまみはすごいです。肉とワインが進みすぎるのが難点。
というところでメインの2つのワイン。どちらもヴィンテージは2004年。ヴァシーナは前述のようにヴァイン・ヒル・ランチのブドウ。オークヴィルの西側の沖積扇状地というと、かの有名なト・カロンもそうですし、ハーランの畑も近くです。緻密な黒果実の味わいが身上。ボンドの他のワインが知られざる畑を発掘したものなのに対し、ヴァイン・ヒル・ランチという定評ある畑のブドウを使った点は個人的には面白みにかけると思ってしまうときもありますが、やはり美味しいものは美味しい。個人的にはこの日のベストでした。
メルベリー(Melbury)はセント・ヘレナの東側、コン・ヴァレー(Conn Valley)と呼ばれる地域にあります。ナパの東側では珍しい粘土の土壌もあり、ボンドの全ワインの中でも一番エレガント。赤系果実の風味がひかります。
ここまでで本当は終わりなのですが、万が一ワインが足りなかったときに備えて、同じヴィンテージのボンドのセント・エデンとプルリバスを予備に持ってきていました。もちろん実費はいただくのですが、それでもいいかと聞いたところ皆さんぜひ飲みたいとのことで、そちらも追加することになりました(ちなみにこのボンドは格安で入手したので、この追加分はかなりお得だったと思います)。期せずしてボンド2004年の4畑を飲み比べすることになってしまいました。
プルリバス(Pluribus)はナパの西側、スプリングマウンテンの畑です。ボンドの中ではやや果実味に乏しいタイプだったからか、みなさんの人気はもう一つでした。
最後はセント・エデン(St. Eden)。オークヴィルの東側のヴァレーフロアにある畑。スクリーミング・イーグルの畑からもちょっとしか離れていません。これもヴァシーナと甲乙つけがたいワインでした。皆さんの人気はこれが一番。
最後にたっぷりのチーズケーキをいただいておなかいっぱいになりました。
料理が美味しかったのはもちろん、サービスも素晴らしく、思い出に残るディナーとなりました。
今回のワインはナパヴァレーからすべて選びました。
1. Schramsberg Blanc de Blancs 2019
2. Grgich Hills Fume Blanc 2020
3. Rombauer Chardonnay 2021
4. Far Niente Chardonnay 2021
5. Hudson Phoenix 2020
6. Shafer Relentless 2018
7. The Mascot 2018
8. Vine Hill Ranch Cabernet Sauvignon 2018
9. Bond Vecina 2004
10. Bond Melbury 2004
追加
11. Bond Pluribus 2004
12. Bond St.Eden 2004
白ワインの3本はいずれも樽を利かした(といってもGrgichはかなり上品ですが)ものを選びました。
前菜のベーコンのスモーキーさに、特に樽の効いたシャルドネが合うだろうと思ったのですが、その意図を伝えるのを忘れていたので、シャルドネが出たときに、もうベーコンを食べきっていた人が多かったのはちょっと誤算でした。
前菜の後はチキンの丸焼き。これも皮の香ばしさが素晴らしい。シャルドネも合いましたし、そのあとのハドソンのフェニックス(メルローベース)にも合いました。ハドソンのフェニックスは冷涼さのあるメルローでとてもよかったです。
次のワインはシェーファーのリレントレス(シラー)。ナパのシラー、作っているところは少ないですが、品質はどれも素晴らしいです。今回も「初めて飲んだけど美味しい」という感想をいただきました。
7本目からはカベルネ系が続きます。一応、ここもストーリーはあって、メインのボンドにつながる構成にしています。7番目のザ・マスコットはハーランやボンドなどのファーストワインを選んだ後のワインをブレンドしたもの。ハーランにはメイデン、ボンドにはメイトリアークというセカンドがあるので、一応これはサードという位置づけになると思います。とはいえ、非常に高い品質で、いいワインです。これが一番好きという方もいらっしゃいました。
8本目はヴァイン・ヒル・ランチ(VHR)。ヴァイン・ヒル・ランチはオークヴィルにある畑で、実はボンドのヴァシーナ(Vecina)はこの畑のブドウを使っています。畑つながりで選びました。濃厚ながらも上品さのあるワインでこれもよかったです。
メインはもちろんT-ボーン・ステーキ。表面のかりかり感と香ばしさ、肉の旨味の三重奏です。こう見てくるとピーター・ルーガーの料理のポイントは香りかなあと改めて思います。ナパのワインによく合うのもその香りとの相性の良さによるのでしょう。T-ボーンはサーロインとヒレと両方を楽しめますが、サーロインのところも和牛のサーロインとは全く違って脂はほとんどなく赤身のような味わい。ただうまみはすごいです。肉とワインが進みすぎるのが難点。
というところでメインの2つのワイン。どちらもヴィンテージは2004年。ヴァシーナは前述のようにヴァイン・ヒル・ランチのブドウ。オークヴィルの西側の沖積扇状地というと、かの有名なト・カロンもそうですし、ハーランの畑も近くです。緻密な黒果実の味わいが身上。ボンドの他のワインが知られざる畑を発掘したものなのに対し、ヴァイン・ヒル・ランチという定評ある畑のブドウを使った点は個人的には面白みにかけると思ってしまうときもありますが、やはり美味しいものは美味しい。個人的にはこの日のベストでした。
メルベリー(Melbury)はセント・ヘレナの東側、コン・ヴァレー(Conn Valley)と呼ばれる地域にあります。ナパの東側では珍しい粘土の土壌もあり、ボンドの全ワインの中でも一番エレガント。赤系果実の風味がひかります。
ここまでで本当は終わりなのですが、万が一ワインが足りなかったときに備えて、同じヴィンテージのボンドのセント・エデンとプルリバスを予備に持ってきていました。もちろん実費はいただくのですが、それでもいいかと聞いたところ皆さんぜひ飲みたいとのことで、そちらも追加することになりました(ちなみにこのボンドは格安で入手したので、この追加分はかなりお得だったと思います)。期せずしてボンド2004年の4畑を飲み比べすることになってしまいました。
プルリバス(Pluribus)はナパの西側、スプリングマウンテンの畑です。ボンドの中ではやや果実味に乏しいタイプだったからか、みなさんの人気はもう一つでした。
最後はセント・エデン(St. Eden)。オークヴィルの東側のヴァレーフロアにある畑。スクリーミング・イーグルの畑からもちょっとしか離れていません。これもヴァシーナと甲乙つけがたいワインでした。皆さんの人気はこれが一番。
最後にたっぷりのチーズケーキをいただいておなかいっぱいになりました。
UCデーヴィスが中心となる国際的な研究チームが北米産ブドウ9種類の「パンゲノム」(遺伝子全体の情報)を解析しました。
A super-pangenome of the North American wild grape species | Genome Biology | Full Text
北米産ブドウは、ワインにしたときの味わいの点ではヴィティス・ヴェニフェラと呼ばれる欧州産のブドウに劣りますが、病気に強く、より幅広い環境で生育できるという特徴があります。北米産ブドウの方が生育環境が幅広いのがその理由ですが、その様々な耐性を遺伝子のどの部分が担っているかといったことが、今回の研究で分かるようになります。
例えば、塩分の多い土壌に対応できる台木を選ぶ際などに、この情報が使われていくことになります。
研究にはE&Jガロなどが出資しています。
A super-pangenome of the North American wild grape species | Genome Biology | Full Text
北米産ブドウは、ワインにしたときの味わいの点ではヴィティス・ヴェニフェラと呼ばれる欧州産のブドウに劣りますが、病気に強く、より幅広い環境で生育できるという特徴があります。北米産ブドウの方が生育環境が幅広いのがその理由ですが、その様々な耐性を遺伝子のどの部分が担っているかといったことが、今回の研究で分かるようになります。
例えば、塩分の多い土壌に対応できる台木を選ぶ際などに、この情報が使われていくことになります。
研究にはE&Jガロなどが出資しています。
ボーグルは従来のガラス瓶と同じ750mlのアルミボトルを使った新しいワインシリーズ「Element[AL](エレメンタル) Wines」を1月17日に発表しました。ワインの種類はシャルドネ、ピノ・グリジオ、ロゼとピノ・ノワールの4種類。
アルミボトルの最大のメリットは軽量であること。ワインの栽培から流通までの二酸化炭素排出量を考えたとき、最大の排出要因はガラス瓶です。製造においてもかなりの排出があり、その重さから流通における排出量も大きくなります。ガラス瓶が平均500gするのに対し、今回のアルミボトルは90gで済みます。ガラス瓶と同じ本数をトラックに積載するとすると重量は5000㎏も少なくなります。また、サイズも少し小さくなるため、実際にトラックに積載できる本数は43%増え、それでも3%軽くなります。
また、アルミボトルはリサイクルのしやすさもガラス瓶を上回ります。アルミに組むはリサイクルによる品質の低下がほとんどなく、リサイクルの比率も高くなります。
「Element[AL]は、単なる新しいワインブランドの立ち上げではなく、ワイン業界の新しい考え方の始まりです。私たちは、既存のガラス瓶を軽量化する方法を模索することから始めましたが、その結果、消費者が受け入れる準備が整っていると感じる、より急進的なアプローチにたどり着きました」とボーグルのコンシューマー・リレーションの副社長であるジョディ・ボーグルは語っています。
低アルコールやノーアルコールの「ベター・フォー・ユー」と呼ばれるカテゴリーが成長を続けています。ニールセンの調査によると2023年の売上高は2年前と比べて35%増となっています。Z世代とミレニアル世代は、「ソーバー(sober)」と呼ばれるアルコール摂取を控えるライフスタイルへの傾倒が強く、こうした増加はさらに拡大すると予想されます。
米国でこの分野をリードするのがシャイド・ファミリーの「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(略称サニーワイン)」。2020年にソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シャルドネを発売し、2022年にはロゼとカベルネ・ソーヴィニヨンを追加しています。2023年初めにはスパークリングのロゼを発売しました。米国では唯一の糖分ゼロ・低アルコールの発泡ロゼとなっています。
サニーのブランドは年々急成長を遂げており、2020年の出荷量1万1000ケースから、2023年には10万ケース近くまで拡大しています。さらに、サニーはこのカテゴリーで最も評価の高いワインであり、90点以上のスコアを数多く獲得しています。10ドル以上の「ベター・フォー・ユー」米国ブランドでは、サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズが総合トップ3に入ってます。
日本でもオルカ・インターナショナルが初期から輸入しています。私も何回か飲んでいますが、普通においしく飲めるワインです。
ショップは「ワインと地酒の店 かたやま」です。
ワイン・スペクテーターが2023年のコスパワイントップ10を発表しました。40ドル以下で評価90点以上、一定以上の生産量の中からさらに選んだとのこと。
その中で1位に選ばれたのがラ・クレマのピノ・ノワール・ソノマ・コースト2021。米国で28ドルですが、日本でも3000円台で買えますので、日本のコスパで見てもなかなかだと思います。
ラ・クレマはケンダル・ジャクソンなどで知られるジャクソン・ファミリーのブランド。ジャクソン・ファミリーはソノマを中心に多くのブランドや畑を持っています。ソノマ・コーストのピノ・ノワールは、従来はソノマ・コーストといいつつ、実際にはやや温和なロシアンリバー・ヴァレーのブドウを半分くらい使っていました(ロシアンリバー・ヴァレーの大半がソノマ・コーストに含まれているので、もちろん嘘をついているわけであはありませんが)。
2021年のヴィンテージからはより冷涼地域のブドウが中心になりました。ロシアンリバー・ヴァレーに含まれるブドウは3分の1以下になり、ソノマ・コーストの北端で極めて冷涼なアナポリスの近くの畑や、強風で知られるペタルマ・ギャップの畑などが加わりました。さらに収穫もこれまでと比べて1週間ほど早くすることで、より冷涼感のあるブレンドになったようです。
ピノ・ノワールは大量生産には向かないブドウ品種と言われていますが、ラ・クレマは様々な個性を持つブドウをブレンドすることで、20万ケースという量で一定以上のクオリティをなしとげていること、素晴らしいと思います。
ちなみに、ラ・クレマはエノテカが輸入していますが、エノテカで定価で買うよりほかのショップで買う方が安くなります。
酒宝庫 MASHIMOです。
トスカニーです。
WINE NATIONです。
その中で1位に選ばれたのがラ・クレマのピノ・ノワール・ソノマ・コースト2021。米国で28ドルですが、日本でも3000円台で買えますので、日本のコスパで見てもなかなかだと思います。
ラ・クレマはケンダル・ジャクソンなどで知られるジャクソン・ファミリーのブランド。ジャクソン・ファミリーはソノマを中心に多くのブランドや畑を持っています。ソノマ・コーストのピノ・ノワールは、従来はソノマ・コーストといいつつ、実際にはやや温和なロシアンリバー・ヴァレーのブドウを半分くらい使っていました(ロシアンリバー・ヴァレーの大半がソノマ・コーストに含まれているので、もちろん嘘をついているわけであはありませんが)。
2021年のヴィンテージからはより冷涼地域のブドウが中心になりました。ロシアンリバー・ヴァレーに含まれるブドウは3分の1以下になり、ソノマ・コーストの北端で極めて冷涼なアナポリスの近くの畑や、強風で知られるペタルマ・ギャップの畑などが加わりました。さらに収穫もこれまでと比べて1週間ほど早くすることで、より冷涼感のあるブレンドになったようです。
ピノ・ノワールは大量生産には向かないブドウ品種と言われていますが、ラ・クレマは様々な個性を持つブドウをブレンドすることで、20万ケースという量で一定以上のクオリティをなしとげていること、素晴らしいと思います。
ちなみに、ラ・クレマはエノテカが輸入していますが、エノテカで定価で買うよりほかのショップで買う方が安くなります。
酒宝庫 MASHIMOです。
トスカニーです。
WINE NATIONです。
ダラ・ヴァレ(Dalla Valle)でThe Wine Independentのリサ・ペロッティ・ブラウンが全ヴィンテージのMayaを試飲し、合わせて歴代のワインメーカーが集まり、その写真がインスタグラムに出ていました。
左からトニー・ソーター、ナオコさん、ミア・クライン、マヤさん、アンディ・エリクソンです。
トニー・ソーターは90年代にアラウホやスポッツウッド、ダラ・ヴァレなどで名を馳せ、自身のエチュードでも素晴らしいワインを作っていましたが、ピノ・ノワールへの夢を絶ちがたく、2000年代にはオレゴンに移住してSoter Vineyardsを立ち上げ、今もそこでワインを作っています。
ミア・クラインはキャシー・コリソンやトニー・ソーターに師事し、中でもトニー・ソーターとは多くのワイナリーで一緒にワイン造りを手掛けました。現在は自身のSelene(セレーヌ、オレゴンのDomaine Sereneと間違いやすいので注意)をナパに持つほか、ナパのブレスラーやパルマッツでのワインメーカー、コンサルタントを続けています。
アンディ・エリクソンは現在もコンサルタントとして残っているほか自身のファヴィアやマヤカマスなどでワインを作り、2023年にはナパヴァレー・ヴィントナーズのチェアマンになるなど、今はナパの顔とも言っていい存在です。
トニー・ソーターの90年代のワインは大好きでした。オレゴンでもいいワインを作っていますが、最近は動静を聞くことがあまりなかったので懐かしいです。
左からトニー・ソーター、ナオコさん、ミア・クライン、マヤさん、アンディ・エリクソンです。
トニー・ソーターは90年代にアラウホやスポッツウッド、ダラ・ヴァレなどで名を馳せ、自身のエチュードでも素晴らしいワインを作っていましたが、ピノ・ノワールへの夢を絶ちがたく、2000年代にはオレゴンに移住してSoter Vineyardsを立ち上げ、今もそこでワインを作っています。
ミア・クラインはキャシー・コリソンやトニー・ソーターに師事し、中でもトニー・ソーターとは多くのワイナリーで一緒にワイン造りを手掛けました。現在は自身のSelene(セレーヌ、オレゴンのDomaine Sereneと間違いやすいので注意)をナパに持つほか、ナパのブレスラーやパルマッツでのワインメーカー、コンサルタントを続けています。
アンディ・エリクソンは現在もコンサルタントとして残っているほか自身のファヴィアやマヤカマスなどでワインを作り、2023年にはナパヴァレー・ヴィントナーズのチェアマンになるなど、今はナパの顔とも言っていい存在です。
トニー・ソーターの90年代のワインは大好きでした。オレゴンでもいいワインを作っていますが、最近は動静を聞くことがあまりなかったので懐かしいです。
ソノマで2番目に古いワイナリーで、家族経営ワイナリーとしては一番古いガンロック・バンシュー(Gundlack Bundschu)の親会社だるブンシュー・カンパニーが再生可能型有機認証(Regenerative Organic Certification=ROC)を取得しました。ROCは最先端の有機認証として注目されており、カリフォルニアではタブラス・クリーク、ボンテラ、ニール・ファミリー、ガーギッチ・ヒルズ、ドナム・エステートなどが取得しています。
この認証を取るためにはまずCCOFなどの公的な有機認証を得ている必要があり、その上で土壌の健康や動物の福祉、社会的公正といった従来はサスティナブルな認証に含まれていて有機栽培では取り入れられていなかった概念を取り込んでいます。有機栽培とサスティナブルが合体したような認証となっています。
バンシュー・カンパニーの社長兼CEOであるジェフ・バンシューは、「再生可能型有機認証がどういうものかを知ったとき、それが農法だけでなく生態系全体に広がり、炭素隔離率をさらに高めるという事実が、私にとって本当に魅力的でした。ROCは、将来の土地と気候の保全に焦点を当てながら、私たちが過去165年間ここでやろうとしてきたことを正式にしたもので、私たちにとって傾注すべき枠組みとなっています」と語っています。
この認証を取るためにはまずCCOFなどの公的な有機認証を得ている必要があり、その上で土壌の健康や動物の福祉、社会的公正といった従来はサスティナブルな認証に含まれていて有機栽培では取り入れられていなかった概念を取り込んでいます。有機栽培とサスティナブルが合体したような認証となっています。
バンシュー・カンパニーの社長兼CEOであるジェフ・バンシューは、「再生可能型有機認証がどういうものかを知ったとき、それが農法だけでなく生態系全体に広がり、炭素隔離率をさらに高めるという事実が、私にとって本当に魅力的でした。ROCは、将来の土地と気候の保全に焦点を当てながら、私たちが過去165年間ここでやろうとしてきたことを正式にしたもので、私たちにとって傾注すべき枠組みとなっています」と語っています。
オークションや個人売買などの2次マーケットは、株式市場などと同様に資産形成に使われるケースもあります。2次マーケットの価格指標を公表しているLiv-exが100の代表的ワインの価格からなる「Liv-ex 100」(株式でいえば日経平均のようなものです)の2023年末の指標を公開しました(Liv-ex 100 closes 2023 down 14.1% - Liv-ex)。
これによると2023年12月には指標が1.1%下落、2023年全体では14.1%下落しています。Liv-ex100は20年の歴史があり、その最初と比較すると285.5%増となります。これは年利にすると平均6.98%に相当しますから、少なくとも銀行預金などと比べると相当効率のいい資産増になっていました。また、過去5年で見ると15.5%増ということになります。これは年利2.92%に相当します。
Liv-ex Fine Wine 1000という世界の1000のワインからなる指標では12月の下落幅は0.7%とやや小さくなります。Fine Wine 1000のサブセットのインデックスの中ではItaly 100が12月も0.4%上昇となっています。
単体のワインで見ると、ギガルのラ・トゥルク2018が12月に11.4%と最大の上昇幅であり、年間通しても4.8%上昇しました。
日本では2次マーケットの市場はだいぶ小さく、資産形成に使っている例も少なさそうですが、ショップなどで売られているワインの中にも2次マーケットで仕入れたものが入っているケースもあるだろうと思います。ワイン全体の価格動向にも影響しています。
これによると2023年12月には指標が1.1%下落、2023年全体では14.1%下落しています。Liv-ex100は20年の歴史があり、その最初と比較すると285.5%増となります。これは年利にすると平均6.98%に相当しますから、少なくとも銀行預金などと比べると相当効率のいい資産増になっていました。また、過去5年で見ると15.5%増ということになります。これは年利2.92%に相当します。
Liv-ex Fine Wine 1000という世界の1000のワインからなる指標では12月の下落幅は0.7%とやや小さくなります。Fine Wine 1000のサブセットのインデックスの中ではItaly 100が12月も0.4%上昇となっています。
単体のワインで見ると、ギガルのラ・トゥルク2018が12月に11.4%と最大の上昇幅であり、年間通しても4.8%上昇しました。
日本では2次マーケットの市場はだいぶ小さく、資産形成に使っている例も少なさそうですが、ショップなどで売られているワインの中にも2次マーケットで仕入れたものが入っているケースもあるだろうと思います。ワイン全体の価格動向にも影響しています。
米国でワインの研究に費やされている資金はどれだけあるのでしょうか。
正式な統計があるわけではないので、正確な見積もりは難しいのですが、米国農務省によると2019年に2000万ドルだったといいます。また、2020年の山火事以降は煙害の研究に多くが咲かれており、年間500万ドルの助成金が出ています。
ただ、2020年の煙害だけでもワイン産業は約37憶ドルの被害を受けているとのことなので、被害の規模は大きく、今の研究費では全然足りない状況だそうです。
また、中国は米国以上に研究費を費やしており、学者は遅れを取ることを懸念しているようです。
2024年には5年間の米国農業法案が再承認される見込みであり、そこでの増額を期待する声が高まっています。
2000年ころのピアス氏病の問題のときもすぐにファンドが立ち上がりましたし、煙害についてもさまざまなプロジェクトが走っています。このあたりの動きはさすがに早いと感じていましたが、今のレベルでも足りないというのが研究者側の感覚のようです。日本の研究資金や体制はどうなのでしょう?
正式な統計があるわけではないので、正確な見積もりは難しいのですが、米国農務省によると2019年に2000万ドルだったといいます。また、2020年の山火事以降は煙害の研究に多くが咲かれており、年間500万ドルの助成金が出ています。
ただ、2020年の煙害だけでもワイン産業は約37憶ドルの被害を受けているとのことなので、被害の規模は大きく、今の研究費では全然足りない状況だそうです。
また、中国は米国以上に研究費を費やしており、学者は遅れを取ることを懸念しているようです。
2024年には5年間の米国農業法案が再承認される見込みであり、そこでの増額を期待する声が高まっています。
2000年ころのピアス氏病の問題のときもすぐにファンドが立ち上がりましたし、煙害についてもさまざまなプロジェクトが走っています。このあたりの動きはさすがに早いと感じていましたが、今のレベルでも足りないというのが研究者側の感覚のようです。日本の研究資金や体制はどうなのでしょう?
2024年1月1日からカリフォルニアの「ビバレッジ・コンテナ・リサイクリング・プログラム」が拡大され、ワインや蒸留酒のガラスボトルも対象に入りました。
新しいプログラムでは、消費者が空き瓶をリサイクルプログラムの施設に持ち込むことで5~10セントをもらえるようになります。これまで、対象は46オンス(約1360ml)以下の100%フルーツジュースと16オンス(約470ml)以下の100%野菜ジュースに限られていました。
2025年7月1日以降はラベルへの表示を義務付けられます。QRコードを付けるなど5種類のラベルオプションがあります。
新しい法律の目的の一つはリサイクルセンターの存続のためだといいます。カリフォルニアでは現在リサイクル率は70%ありますが、2018年の76%からは減少傾向にあります。また、リサイクルした材料の市場価格が下がっていることにより、リサイクルセンターは10年前の約半数に減っています。
ワイナリーは、この法律に対応するためCalRecycleという州のリサイクルのデータベースに登録する必要があります。また750mlのボトルの場合は消費者に償還する10セント/ボトルをCalRecycleに支払います。ワイナリーにとってはコストや手間など結構な負担になりかもしれません。
新しいプログラムでは、消費者が空き瓶をリサイクルプログラムの施設に持ち込むことで5~10セントをもらえるようになります。これまで、対象は46オンス(約1360ml)以下の100%フルーツジュースと16オンス(約470ml)以下の100%野菜ジュースに限られていました。
2025年7月1日以降はラベルへの表示を義務付けられます。QRコードを付けるなど5種類のラベルオプションがあります。
新しい法律の目的の一つはリサイクルセンターの存続のためだといいます。カリフォルニアでは現在リサイクル率は70%ありますが、2018年の76%からは減少傾向にあります。また、リサイクルした材料の市場価格が下がっていることにより、リサイクルセンターは10年前の約半数に減っています。
ワイナリーは、この法律に対応するためCalRecycleという州のリサイクルのデータベースに登録する必要があります。また750mlのボトルの場合は消費者に償還する10セント/ボトルをCalRecycleに支払います。ワイナリーにとってはコストや手間など結構な負担になりかもしれません。
しあわせワイン俱楽部で1月9日まで新春セールをしています。最大3割引きでラインアップは12月の楽天スーパーセールのときとほぼ同様。3割引きの商品も、「売れ残りだからセールに使おう」みたいな感じは全くなく、「こんな美味しいのがセールになってくれてありがとう」というものが並んでいます。
全部紹介したいですが、大変なので(笑)、ここでは鉄板の5本だけ書いておきます。
30%引きのフルリストはこちら
デコイ リミテッドのカベルネ・ソーヴィニヨンは年末にXのスペースで2023年に美味しかったおすすめワインでも紹介したコスパ抜群ワイン。ふだんの4000円くらいでも十分コスパ高いですが税込み3000円は安すぎます。
ヘスのパンテラ・シャルドネ2017。ブドウはロシアンリバー・ヴァレーのダットン・ランチが中心とのこと。リッチ系シャルドネですが、酸もきれいでバランスよく、むちゃうまいです。
クインテッサのイルミネーションはナパのソーヴィニヨン・ブランの中でも良質のもの。ナパ(+ソノマのベネット・ヴァレー)のソーヴィニヨン・ブランはほどよいリッチさがあって、ロワールのソーヴィニヨン・ブランともニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランとも違う魅力があります。
アーサー・セラーズのケー・アール・ランチ・ピノ・ノワール。KRランチというのは銘醸畑「キーファー・ランチ」なのですが、キーファーの権利をコスタ・ブラウンが買ってしまった関係で違う名前にしています。コスタ・ブラウンのキーファー・ランチだと2万円超えるのがこちらは4000円台という、利益があるのか心配なほどの安さです。
ナパの名門ボーリューのフラッグシップ「ジョルジュ・ド・ラトゥール」プライベートリザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン2018。2019の同ワインがジェームズ・サックリングの年間トップに選ばれましたが、2018年もそれに近い評価。ナパのトップワインのセカンドでも2万円を超えるのが普通の今、フラッグシップで1万円台は安いです。
全部紹介したいですが、大変なので(笑)、ここでは鉄板の5本だけ書いておきます。
30%引きのフルリストはこちら
デコイ リミテッドのカベルネ・ソーヴィニヨンは年末にXのスペースで2023年に美味しかったおすすめワインでも紹介したコスパ抜群ワイン。ふだんの4000円くらいでも十分コスパ高いですが税込み3000円は安すぎます。
ヘスのパンテラ・シャルドネ2017。ブドウはロシアンリバー・ヴァレーのダットン・ランチが中心とのこと。リッチ系シャルドネですが、酸もきれいでバランスよく、むちゃうまいです。
クインテッサのイルミネーションはナパのソーヴィニヨン・ブランの中でも良質のもの。ナパ(+ソノマのベネット・ヴァレー)のソーヴィニヨン・ブランはほどよいリッチさがあって、ロワールのソーヴィニヨン・ブランともニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランとも違う魅力があります。
アーサー・セラーズのケー・アール・ランチ・ピノ・ノワール。KRランチというのは銘醸畑「キーファー・ランチ」なのですが、キーファーの権利をコスタ・ブラウンが買ってしまった関係で違う名前にしています。コスタ・ブラウンのキーファー・ランチだと2万円超えるのがこちらは4000円台という、利益があるのか心配なほどの安さです。
ナパの名門ボーリューのフラッグシップ「ジョルジュ・ド・ラトゥール」プライベートリザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン2018。2019の同ワインがジェームズ・サックリングの年間トップに選ばれましたが、2018年もそれに近い評価。ナパのトップワインのセカンドでも2万円を超えるのが普通の今、フラッグシップで1万円台は安いです。