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Date: 2008/0122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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JancisRobinson.comによるとSea SmokeのワインメーカーであるKris CurranがWilliam Foleyに引き抜かれたそうです(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。この最後の記事で「Bill Foleyからはしばらく目が離せないかもしれません」と書いていますが,本当に矢継ぎ早の動きです。
"Curran is the new winemaker at Foley Estates Vineyard & Winery, in the same Sta. Rita Hills appellation of Santa Barbara County in which Sea Smoke is located. She will oversee Bill Foley’s Foley and Lincourt brands and a new label, Two Sisters, and consult for other brands in the Foley Wine Group, including Firestone, also in Santa Barbara, and Merus, in Napa Valley."

Sea Smoke winemaker lured by Foley - JancisRobinson.com
引用したように,CurranはFoley,LincourtのほかAshley'sの畑の新ブランドTwo Sistersを担当するほか,FirestoneやナパのMerusのコンサルティングも行うそうです。まさにグループ全体のワイン作りにかかわるわけですね。Curranは彼女自身のワイナリも別に持っていますが,そちらに割く時間があるのかどうかちょっと心配です。

また,Sea SmokeはアシスタントのDon Schroederがワインメーカーに昇格,Foley/LincourtのワインメーカーだったAlan Philipsは自身のブランドをはじめるとともにBuelltonのカスタム・クラッシュ「Terravant」でワイン作りを指揮するそうです。

根拠があるわけではないのですがSea SmokeとKris Curranは一体のように思っていたので,今回の移籍には正直驚かされました。
Date: 2008/0121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1976年の「パリ試飲会」(パリスの審判)をテーマに二つの映画が製作されるという話を前に書きました。このうち,アラン・リックマンが出演する「Bottle Shock」がSundance Film Festivalで公開されました。

トレイラーは公式サイトで見られます。YouTubeの予告編を貼っておきます。



こちらにはレビューもありますがかなり厳しい評価です。焦点が定まっていないというのは確かにありえそうなこと。この映画はChateau MontelenaのBo Barrettが監修しており,Boと当時のワインメーカーであったMike Grgichの間に未だに確執があることは知られています。試飲会の主役であるスパリエも,この映画よりではありません。こういった背景が,映画にも現れてしまったのだとしたら残念なことです。
Date: 2008/0118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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第2回となるカリフォルニアワインの名誉の殿堂をThe Culinary Institute of Americaが発表しました。昨年は存命者がRobert Mondavi一人だったのに対し,今年は3名が選出。また,選出方法もワイン・ライター40人が選ぶ形に変わりました。

選ばれたのは以下の8人(7組)。

a. Ernest and Julio Gallo
b. Paul Draper
c. Miljenko "Mike" Grgich
d. Darrell Corti
e. John Daniel Jr.
f. Louis P. Martini
g. Carl Wente

昨年同様クイズにしてみますが,ワイナリの名前が入っている人が多いので,ちょいとひねってます。難しいかな?

1. パリ・テイスティングの勝者
2. 「テロワール」のパイオニア
3. 家族経営として続いている最古のワイナリ
4. サクラメントのワインショップ・オーナー
5. ワイナリ創設者の息子として後を継いだ
6. ワイナリ創設者の親族として後を継いだ
7. 世界最大のワイン会社を作った

検索はしないで考えてくださいませ。
Date: 2008/0117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Press Democratの記事によるとBeringerのワインメーカーを30年以上にわたって務めたEd Sbragiaが,ついにBeringerを完全にやめたそうです。数年前に故郷であるソノマのDry CreekにSbragia Familyというワイナリを開いたものの,Beringerのワインメーカーも続けるという言わば二足のわらじを続けていました。

昨年,旧Lake Sonomaのワイナリを買い取り,テイスティング・ルームが開けるようになったのを機会に,自身のワイナリに専念する形を取ったようです。後任は長らくアシスタントを務めたLaurie Hook。



SbragiaはBeringerでCabernetが高く評価されていたように,Sbragia FamilyでもCabernetを数多く作っています。そのほかはMerlot,Zinfandel,Chardonnay,Sauvignon Blanc。Pinot NoirやSyrahといった最近人気の品種がないのが「らしい」感じがします。

Sbragia FamilyではEdは長男のAdamとワインを作っており,2005年にはSFクロニクル紙でWinemaker To Watchに選ばれています
Date: 2008/0116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国では,州間のワインの送付がかなり不自由であるというのは,多くの人がご存知かと思います。禁酒法の流れで,州内における酒類の流通を,特定の業者に限定している州が多いからです。そういった州では他州の業者が郵便や宅配便でワインを送ることが「若年層の酒類購入につながる」などの理由を付けて禁止されています。数年前に裁判所で特定業者への制限が憲法違反だという判断が下されましたが,その後も状況は大きく進展していません。ただ,実際には「サンプル」などの名目や,「アルコール飲料」といった表示を“付け忘れ”たりすることで,アンダーグラウンドの流通があったのも事実です。

オンライン・ワイン販売の大手Wine.comがこの状況に噛み付きました。Wine.comはワシントン州で実際に州外のある業者からワインを購入し,それを違法な販売が行われている証拠としてワシントン州に提出。違法な業者を取り締まってほしいと強く訴えました。

Wine & Spirits Wholesalers Americaがこれに賛同する一方でワインブログとして著名なVinographyが,Wine.comのこの行動に強く反発。同ブログのコメント欄でもさまざまな意見が交わされる状況になっています。

Wine.comが取った行動は大人気ないと思いますが,法律を遵守して事業を進める中で,法律を守らない事業者が横行するのがいらいらする事態であったことは想像できます。一番いいのは州間移送の制限自体がなくなることですが。
Date: 2008/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Los Angeles TimesにOjaiのワインメーカーAdam Tolmachについての記事が掲載されています。OjaiといえばSyrahやPinot Noir,Chardonnayで人気の高いワイナリ。2004年のSyrahでは4種がWine Advocate誌で94点を取るなど,評論家からも高く評価されています。そのTolmach氏が「もうパーカーに高い点をつけてもらうためのワイン作りはしない」と宣言しました。
"Next year's harvest, he says, could be even earlier, and the following year may be earlier still. Tolmach is pushing up his harvest dates to pick less-ripe grapes and rejecting bunches that might have made the grade in previous vintages to bring his wines back in balance -- a balance he says he lost in the years spent trying to serve two masters: himself and wine critic Robert Parker."

Are California wines over the top? - Los Angeles Times

完熟したブドウを使った濃い味わいで高いアルコール度のワインはもういいというのです。自身が飲みたいワインでなくなってきたと。上のコメントにあるように,実際に2007年の収穫は例年より早く,これからも毎年段々収穫時期を早くしていく予定です。以前はアルコール度が低い=薄くて味のしないワインだったわけですが,現在の技術ではアルコール度が低くてもおいしいバランスの取れたワインは作れるとのこと。ただし,水を加えたり,技術的にアルコールを取り去るのではなく,あくまでも収穫時期の調整で行っていくとのことです。

Ojaiのワイン,今でも十分においしいとは思いますが,これからの変化も楽しみです。

ちなみに紹介したワインはWine Advocateで93点を取ったSauvignon Blanc。「One of the greatest California Sauvignon Blancs I have tasted over the last decade」と書いています。リリース価格26ドルで2980円はお買い得です。

Date: 2008/0109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Robert Mondavi夫人のMargrit Biever Mondaviがロイターのインタビューに答えています。ワイナリのオーナーはConstellation Brandsに移りましたがMargritはvice president of cultural affairsとして在籍しています。インタビューの内容は彼女の役割である芸術や食事とワインとの関係といった当たり障りのないもので「空気読んで」いるのかもしれませんが,いまいち。「ワイナリを手放す原因になったのではないか」というあたりなどもっと突っ込んでほしかったものです(参考)。

それよりも,長年のモンダヴィ・ファンとして衝撃的なのはRobertの現在の体調について明らかになったことでしょうか。
"Mondavi, 81, spoke to Reuters about her career and life with her 94-year old husband who is now confined to a wheelchair and unable to speak although doctors have not been able to pinpoint the cause."

Just a Minute With: Margrit Mondavi on wine | Lifestyle | Living | Reuters
先日の表彰式で,衰えは目に見えていましたが,全くしゃべれなくなっているというのはやはりショックでした。
Date: 2008/0104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前記事の続きです。

5位:Crushpadの注目高まる
いわゆる「Wine 2.0」的な動きの中でも,圧倒的に注目度と存在感が高いのがCrushpad。自分のワインを作るというワイン好きにとっての一番の夢を,これまでより圧倒的に低いしきいで実現できるのですから気にならないはずがありません。しかも自分のワインであれば質は問わないというのではなく,ワイン評論家に高く評価されるワインも次々に出てくるのですから,夢はさらに広がります。Crushpadで作られたワインが2006年ころから出てくるようになって,ただの宣伝文句ではなく本当に夢がかなうことが明らかになってきました。記事ではいろいろ取り上げているので,検索結果をどうぞ。

4位:ブショネ
【保存版】ブショネのワインを救う方法の記事は単独の記事としてはかなり多くのアクセスを集めました。検索語でも上位に入っています。ブショネのワインをサランラップで救済するという方法を紹介したもので,いろいろな人の実験によると,実際にかなりの効果があるようです。記事一覧はこちら

3位:カレラ再注目
5月にテレビ番組で取り上げられたのをきっかけに「1万円で飲めるロマネ・コンティ」としてカレラ・ジェンセンが再び注目を集めました。1990年代末はワインショップに朝から行列して買ったりしたものですが,今度はオンラインショップで争奪戦が繰り広げられました。本ブログでもカレラのオファーありますや,カレラ ジェンセンありますなどの記事が大分アクセスされました。カレラの再評価は日本だけのことではなく,米国でもWine Advocate誌で2004のSelleckが96点を取ったり(Jensenは94点),他のオンラインメディアでもCaleraの記事が出たりしました。SFクロニクル紙はWinemaker of the YearにJosh Jensen氏を選んでおりトップ100にMt. Harlan CuveeとRyanを選出しています。

2位:Gary Vaynerchuk
Wine Library TVのGary Vaynerchukが旋風を巻き起こしました。彼もWine 2.0の担い手の一人と目されていますが,それ以上にワインを多くの人になじみやすいものにしたことに意味があると思います。彼は視聴者に向かって「自分の味覚を信じよう」とか「You, with a little bit of me, are changing the wine world」と呼びかけます。「私の舌を信じろ」といったタイプのRobert Parkerとは大きく違います。NBCの「Late Night with Conan O'Brien」に出演して土をかじらせるなど,エンタテインメント性もすばらしいです。これも記事が多いので検索結果をどうぞ。ちなみにこの検索結果には入っていませんが,初出はこちらです。

1位:Ch. Igai Takaha
やっぱり2007年の1位はこれしかないでしょう。Wine Advocate誌で95点を取ったというのは歴史に残ることといっても過言ではないと思います。Crushpadで作ったピノやシャルドネも高品質です。これも検索結果でどうぞ。

番外:このほか,アクセスが多かった記事の中には飛行機の機内にワインを持ち込むための箱の話や,ナパのセミヌード・カレンダーの話がありました。
Date: 2008/0104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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もう2008年も4日目であり,既にいくつかの記事を書いていますが,昨年の総括ということで10大ニュースを発表したいと思います。

10位:拡大続けるWilliam Foley
サンタ・バーバラ地域でワイナリを営んでいたFoley氏が急速に買収攻勢を進めました。まずはBrewer-Cliftonなどでもブドウが使われているAshley'sの畑,8月にはFirestone Vineyardsの買収を発表しました。そのときにナパなどでもブランド買収を考えている旨明らかにしていましたが,早くも12月にMerus買収という形で現れました。Firestoneの旧オーナーのインタビュー記事の話もありました。

9位:ナパの新ワイナリ
観光客が多いナパだけあって,建物などに趣向を凝らした新しいワイナリができています。V. SattuiのDaryl Sattui氏はCastello di Amorosaというお城のようなワイナリを構築ツアーもワインより建物が主体のようです。Quixote(キホーテ)も2007年にワイナリをオープン。オーストリアの建築家Friedensreich Hundertwasserがデザインしたユニークな建物です。記事には書いていませんが,Craig Hall氏のHall Wineryも有名建築家が設計したワイナリを構築することを明らかにしています。

8位:やっぱりピノが好き
特にどの記事というわけではありませんが,ブドウの品種別に見るとピノを取り上げることが圧倒的に多くなっています。読者向けアンケートの結果を見てもピノが好きな人がダントツ1位。新しいワイナリがどんどん出てくる楽しさや,評論家などによる評価の高まりがその理由でしょうか。

7位:AVAで論争
カリフォルニアのワイン業界的に言うとこれが一番大きなニュースかもしれません。新しいAVAを作るときに,既存のワイナリと名前がかぶっていたらどうするか(Calistoga,関連記事1関連記事2),大きなAVAの中に小さなAVAを決める際のルールはどうあるべきか(Paso Robles,関連記事3関連記事4関連記事5)が紛糾を続けています。2008年に持ち越されたテーマでもあります。

6位:自然派の勃興
Biodynamics(ビオディナミ)に代表される自然派や,Sustainable(持続可能な)ワイン作りなど,自然に優しいワイン作りへの注目が高まっています。前者ではBonny Doonがビオディナミへの全面的転換のためにBig Houseなどの人気ブランドを売却した(2006年)ことなどが象徴的。シンポジウムも開かれましたし,ワイン掲示板でも大きなテーマになっています。後者では太陽電池が象徴的。ちょうど1年前にはソノマのClineがシャープのCMに出ましたが,Grgich HillsMontelenaも太陽電池化を果たしています。

5位~1位は次の記事で。