今はシャトー・ラ・トゥールの資本が入ってアイズリー・ヴィンヤードというワイナリー名になり、パーカー100点も取ったこの畑ですが、その前20数年はアラウホが所有していました。
さらにそれより前は独立した畑としてワイナリーにブドウを売っていたのですが、最初はなんとリッジ(1970年代です)、その後コン・クリーク、そしてジョセフ・フェルプス時代に名声を築いたのでした。
そして、アラウホが買ったのは1991年なのですが、このヴィンテージだけはアラウホとフェルプス両方でワインが作られたのでした。
つまり、1991年はフェルプス版の最終ヴィンテージであり、唯一アラウホと2つのワイナリーでワインが作られた年でもあるのです。
ちなみに、亡くなったジョー・フェルプス(ジョセフ・フェルプスの創設者)が一番後悔していたのが、アイズリー・ヴィンヤードを買わなかったことだったとか。
こちらはもっと古いヴィンテージ。
キスラーはピノ・ノワール ソノマ・コースト2013。通常価格 11,945円 (税込 12,900 円)
オー・ボン・クリマはシャルドネ・ロス・アラモス・キュヴェ・V 2014通常価格 2,760円 (税込 2,980 円)
これがセットで価格12,630円 (税込 13,640 円)と2000円強安くなっています。
以前は日本のキスラーの価格は高いというイメージがありましたが、少なくともAVAもので見ると米国の価格とほとんど変わらないかむしろ安いくらいになっていますね。これに割引が入りますのでかなり格安なのは間違いないです。
【6/30まで期間限定】カリフォルニア紅白 2本セット(キスラー・オーボンクリマ) |
原則としては屋内栽培のみなのですが、ナパでは屋外での栽培を許可することが決まりました(Napa County Supervisors poised to allow outdoor, personal use cannabis cultivation | Local News | napavalleyregister.com)。
個人利用限定で6株までという制限は変わらないので、これで観光客に何かの影響が出ることはまずないでしょうが、もしかすると、大麻を目にする機会は増えるのかもしれません。
ワイン・アドヴォケイト最新号での評価は96点と、カリン・セラーズのワインとしては過去最高。このあとどうなるかわからないけど、今すぐに飲まなきゃいけないことはないとしています。
これが6000円台というのは、とんでもないバーゲンでもあります。キュベCHはまだ試飲したことありませんが、以前のキュベLD1994も非常にうまみのあるワインでしたから、これもきれいに熟成しているのではないかと思います。
カリン・セラーズ シャルドネ "キュヴェ・CH(チャールズ・ハインツ)" ソノマカウンティ [1995] (正規品) Kalin Cellars |
コーン氏は売却の経緯も説明。長年借金に苦しんできた同氏が銀行に強制された形での売却であったという苦苦しいストーリーを語っています。
ただ、ブルース・コーン氏には21エーカーの地所は残され、そこには7エーカーの畑もありました。BRコーンで使っていた畑であるカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルが植わっています。そのブドウを使ってこのほどTrestle Glen Vineyardsというワイナリーを始めました。生産量はカベルネ・ソーヴィニヨンが1500ケースとジンファンデルが250ケースと、かつてのB.R.コーンの8万ケースと比べるとかなり少なく、消費者への直接販売のみで売るそうです。
コーン氏の再起を祝したいと思います。
オーヴィッドはその中で、もしかしたら若干地味な存在に見えるかもしれませんが、ワイン・アドヴォケイトでは最高99点を取っており、実績は十分(下の表参照)。今回は、そこの共同オーナーであるジャック・ビットナー氏が来日したのに合わせたセミナーに参加してきました。
ちなみに、オーヴィッドには2年前にナパ・ヴァレー・ヴィントナーズのツアーで訪問しています(ナパ2日め(1)――プリチャードヒルに初めて行く)。このときのオーナーだったパガーノ夫妻はその後、シルバーオークのオーナーであるデビッド・ダンカンにワイナリーを売却。その際に今回来日したジャック・ビットナー氏も共同オーナーになっています。
セミナーではまずプリチャードヒルの解説から。
プリチャードヒルは地質的には火山系の地質が中心で、鉄分が多く、赤い土壌になっています。表土は極めて薄く、5cmほども掘ると下は岩という厳しいところ。下はオーヴィッドで畑を作っていたときの写真ですが、岩が大きいのでダイナマイトで崩しながら取り除くという大変な作業だったようです。同様の話は近隣にあるコルギンの開発でも聞いたことがあります。この地質のために、ブドウの樹にはかなりのストレスがかかり、いいブドウができると言われています。
下は私がオーヴィッドの畑で拾った石。その赤さがわかるでしょうか。
また、オーヴィッドは、ナパ・ヴァレー側から見るとダラ・ヴァッレ(Dalla Valle)の上になるそうです。ダラ・ヴァッレといえば有名なのはカベルネ・フランを多く含んだマヤ(Maya)。そことの共通性があるため、オーヴィッドではカベルネ・フランにかなり力を入れています。実際、私がオーヴィッドに行ったときに試飲のワインとして供されたのもカベルネ・フランを中心とした「ヘクサメーター」でしたし、ワイン・アドヴォケイトで99点を取っているのもヘクサメーターです。
ワインメーカーは生え抜きのオースティン・ピーターソン。有名なアンディ・エリクソンがコンサルタントに入っていましたが、オースティン・ピーターソンの成長により、今年からは完全にアンディ・エリクソンの手は離れたとのことでした。また著名コンサルタントのミシェル・ロランは年に3回、主としてブレンド決めのために訪問するそうです。
ワインの醸造では、コンクリートの発酵槽を使用しているのが特徴です。四角いものが大小合わせて16個、丸いものが4個と、わずか1000ケースのワイナリーにしてはかなりの数を持っています。
ここはすべて天然酵母を使って発酵させています。コンクリートの発酵槽では発酵がゆっくり進み、タンニンが落ち着いてワインに緊張感が出るとのことでした。
樽は14社とかなり多くのものを使っています。通常の225リットルのものだけでなく300リットルや500リットルの樽も使っています。後述しますが、さまざまな実験を行っているのもここの特徴です。新樽率は60~65%。かつては新樽率100%だったこともあるそうですが、現在はこの程度に落ち着いています。
さて、ワインの試飲に移りましょう。試飲は白1種と赤5種。
白は唯一自社畑以外のブドウを使ったワイン。オーヴィッドで作っている唯一の白ワインでもあります。アマドールの南にあるキャラベラス郡からのソーヴィニヨン・ブランとアルバリーニョ、ヴィオニエ、ルーサンヌ。シエラフットヒルズからのグルナッシュ・ブラン、ヴェルメンティーノをブレンドしたというユニークなもの「2016 Experiment W3.6」というワイン名が付いていますが、このようにここのワイナリーではさまざまな実験的ワインを毎年作っておりExperimentというシリーズになっています。同じ手法のExperimentは作らないという徹底さ。このワインの生産量は4樽わずか90ケース(他のExperimentも同様です)。
香り豊か、花の香り、はちみつ、マーマレード。酸は柔らかく、旨味がしっかりあります。かなり面白くおいしいワイン。
次もExperimentで2012年の「V6.2」これはプティ・ヴェルドを中心にしたものでVはプティ・ヴェルドのV。その次の6は6ヴィンテージ目。最後の2は2012年を表しているとのこと。
プティ・ヴェルドというものの実はプティ・ヴェルド自体は20%弱で、70%近くはカベルネ・フラン、残りがカベルネ・ソーヴィニヨンという構成です。プティ・ヴェルドのタニックさはあるものの。それ以上にカベルネ・フランのやわらかな味わいが印象的です。スパイシーさや鉱物的味わいなどがプティ・ヴェルドらしいところでしょうか。面白いワインです。
次もExperimentで「R8.3」。Rはルートストックで3309という台木のブドウを使っています。この台木を使うと受精は低く、小さな実で果実味が強いのが特徴だそうです。品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが66.71%。カベルネ・フランが28.86%、プティ・ヴェルドが4.43%。
カシスやブラックベリーの風味。緻密なタンニンときれいな酸があり、ストラクチャーがしっかりしています。非常にレベルの高いワイン。おいしいです。
4つめは最後のExperimentで「P5.5」。Pは500リットルの樽「Puncheon」の名前から。品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨンが46.23%。カベルネ・フラン33.99%。メルロー13.87%。プティ・ヴェルド5.91%。
タニック。ブルーベリーの風味。2015年という新しいヴィンテージでもあり、まだこの先どうなるのか判断するのは難しく感じました。
残り2種はレギュラーのワイン。ヘクサメーター2014はカベルネ・フラン51%。カベルネ・ソーヴィニヨン37%。メルロー12%。
香りよく、余韻長く、かろやかさを感じます。力強さもあるのですがそれ以上にエレガントさとピュアな味わいが印象的。個人的にカベルネ・フランが好きというのもありますが、この味わいはカベルネ・フランを使ったワインの中でも間違いなくトップクラスだと思いますし、カベルネ・ソーヴィニヨンと異なる魅力を発揮しているという意味でもすばらしいワインです。
最後はレッド・ワイン2014。カベルネ・ソーヴィニヨン60%。カベルネ・フラン35%。メルロー5%。
緻密でタニック、ストラクチャーがあり、すばらしい余韻。これもカベルネ・ソーヴィニヨン系のワインとしてはトップクラスの一つだと思います。
個人的にはまずお薦めはR8.3。レッドワインと同程度のクオリティながら価格は2万円ほど安くなっています。オーヴィッドの入門としてもいいワインだと思います。
次にはヘクサメーター。フラン好きなら迷わず最初からこれに行ってほしいですし、フラン好きでない人にもぜひ飲んでみてほしいワイン。
最後にレッドワインは王道ですね。文句の出ないワインです。
オーヴィッド エクスペリメント アール8.3.[2013] Ovid Experiment R8.3.[2013] |
オーヴィッド ヘクサメーター レッドワイン ナパヴァレー[2014] (750ml)赤 Ovid Hexameter Red Wine NapaValley[2014] |
オーヴィッド レッドワイン ナパヴァレー[2014] |
HdVの方は、マンガには「DRCの共同経営者であるヴィレーヌ家とソノマ・マウンテンのハイド家のジョイントワイン」と記されています。
ソノマ・マウンテンというのは後述するようにちょっと誤解がありそうです。ハイド家はカーネロスに有名なハイド・ヴィンヤードという畑を持っています。カーネロスを代表する畑の一つといっていいでしょう。そこではシャルドネとピノ・ノワール、メルローなどを育てています。カーネロスはナパとソノマにまたがっている地域ですが、ハイド・ヴィンヤードはナパ側にあります。
DRCの共同経営者であるオーヴェール・ド・ヴィレーヌ氏がハイド家のオーナーであるラリー・ハイドのいとこと結婚したのをきっかけに2000年に始めたのがHdV(Hyde de Villaine)です。ワイナリーは畑からはちょっと離れており、ナパのオーク・ノールという地域にあります。
ワインは10種類ほど作っていますが、最初に始めたのはシャルドネとシラー、カベルネ・ソーヴィニヨン。シャルドネとシラーはハイドの畑ですが、ここは冷涼でカベルネ・ソーヴィニヨンにはあまり向かないので、カベルネ・ソーヴィニヨンはナパのヨントヴィルにあるヴァイン・ヒル・ランチ(VHR)の畑から購入しています。
おそらく、DRCの共同経営者がピノ・ノワールを造ることにはちょっとはばかりもあったのでしょう。ピノ・ノワールを作り始めたのは2012年からとかなり最近です。そしてハイドのブドウではなく、ソノマ・マウンテンにあるVan der Kamp(ファン・デル・カンプ)という畑のブドウを使っています。このピノ・ノワールのAVAがソノマ・マウンテンなので、ハイド家をソノマ・マウンテンとしてしまったのでしょうが、ここのオーナーはファン・デル・カンプ家でハイド家とは無関係です。ここの畑はソノマ・マウンテンで標高が高く、霧がかからないところにあり、一方で、風で有名なペタルマ・ギャップからほど近く、常に強い風が吹き付けるところでもあります。涼しいけれど日がよく当たるというのは近年のソノマ・コーストあたりの人気の畑に通じるところでもあります。
HdVのピノ・ノワール「イザベル」2014年にはジェームズ・サックリングが97点をつけています。DRCの共同経営者が満を持して作ったピノ・ノワールということで、かなりの人気ワインになっているようです。
一方、ポール・ラトーは「ポーランド生まれの元ソムリエ、ポール・ラトー氏の造る珠玉のピノ・ノワールのひとつで特にこのキュヴェはDRCの『ラ・ターシュ』のクローンを植えたヴィンヤードの葡萄を用いています」と説明されています。
ポール・ラトー氏は、カナダの著名レストランのソムリエとして働いているときに、サンタ・バーバラのオー・ボン・クリマのオーナー、ジム・クレンデネン氏にワイン造りを教わり、2002年に移住してビエン・ナシードの畑とワイナリーで働き始めます。そこでごく少量作ったワイン(ピノ・ノワールとシラー)がロバート・パーカーに認められ、自身のワイナリーを始めました(余談ですが、パーカーのことをいろいろ言う人はいますが、彼のおかげで世に出たワイナリーも少なからずあります。彼のそのあたりの功績は忘れてはならないと思います)。
自社畑は持たず、サンタ・バーバラを中心にさまざまな畑からブドウを買ってワインを作っています。ワインはピュアな果実味とバランスの良さが特徴。カリフォルニアらしい果実の豊かさを感じさせながら、決して下品にならず上品さを感じるワインです。
今回取り上げられた「ランスロット」は、ポール・ラトーのワインとしては例外的にサンタ・バーバラ以外の畑からのもの。モントレーに近いサンタ・ルシア・ハイランズのピゾーニの畑のブドウを使ったピノ・ノワールです。マンガに書かれているように、ピゾーニの畑はラ・ターシュの畑に落ちていた枝を拾って米国に持って帰って植えたものと言われています。ピゾーニの畑のブドウは骨太の味わいで、かなり特異なものがありますが、ポール・ラトーはそれ以外のワインもおしなべて秀逸です。
日本にはilovecalwineが輸入しているほか、シャトー・イガイタカハのワインライフ社が「心」というブレンドもののワインを専用に作ってもらっていました(Paul Latoの新作は「心」、シャルドネとピノ・ノワールを試飲)。
その後、心シリーズはなくなり、現在はシャトー・イガイタカハの「Tokimeki」と呼ぶシリーズをポール・ラトー氏が作っています。また、ポール・ラトーの「マチネー」というピノ・ノワールは、ミシュラン三つ星レストランとして知られるフレンチ・ランドリーと協力して作ったもので、レストランで使いやすいよう、早い時期から飲みやすい作りになっており、値段もかなり安いです。
ポール・ラトー ピノノワール "マチネー" サンタバーバラカウンティ |
ポール・ラトー ピノ・ノワール "マチネー" サンタバーバラカウンティ [2015] (正規品) Paul Lato Matinee |
ポール・ラトー ピノ・ノワール "アッティクス(アティクス/アッティカス/アティカス)" サンタリタヒルズ [2015] (正規品) Paul Lato Atticus by John Sebastiano |
トキメキ・ピノ・ノワール・サンタバーバラ・カウンティ[2015]シャトー・イガイ・タカハ(赤ワイン) |
話としては、遠峰一青との次の戦いが中華とのマリアージュで、北京ダックに合うワインを探しているというところ。そこへ恋敵?のクリスが米国から持ってきたワイン3本を試すというところ。ただし、試飲はすべてブラインドで、しかも本番で使うワインは飲んでもいけない(香りだけで判断しなければいけない)という縛り。
前の回にはブルゴーニュのピノ・ノワールなどが登場しましたが、ブルゴーニュだと香りが華やかすぎるのと、北京ダックに添えるネギに味が負けてしまうのが弱点でした。
そこで米国のピノ・ノワール3本を試すのですが、最初のワインはブルゴーニュ的なエレガントさを持ち、新世界らしい果実の豊かさと香りの穏やかさがあるワイン。
ただ、女性的でネギの「怒」の部分を受け止めきれていないということになりました。
というわけで本番に使うワインではなく、銘柄も公開。HdVのイザベル2012でした。
2本目は典型的にアメリカで非常に質の高いワイン。でも普通のアメリカとは違う部分があるような気がする。
これも本番で使うワインではないと試飲。皇帝のくつろぐ姿が浮かんだとの表現。
そして、このワインはポール・ラトーのランスロット2013。普通のアメリカでないと感じたのは、ラ・ターシュのクローンと言われているピゾーニの畑だからでしょう。
そして3 本目。色はブルゴーニュよりやや濃く、香りは穏やか。心象風景には皇帝の謁見する大広間のイメージ。これだということで、このワインは試飲せずに素性は本番で明かされることになります。
さて、なんでしょうね、このワイン。ヒントは色がやや濃いのと、最後の心象風景くらい。なかなか難問です。
カーネロスのHdV、サンタルシアハイランズのピゾーニの畑と来たら、次はソノマかサンタリタヒルズでしょうか。
ただ、ポール・ラトーはサンタリタヒルズのワインも作っている中でピゾーニが選ばれているし、皇帝的なイメージのワインというのもちょっと思いつかないです。
そうなるとソノマで、ビッグネームだとマーカッサン、ピーター・マイケル、キスラーあたり?
予想の本命としてはピーター・マイケルのクロ・デュ・シエルとしておきます。
ビッグネームを外して考えるならば、リトライのハーシュとか、リヴァースマリーのスーマオールドヴァインかシルバーイーグル。大穴でボアズビュー。ちょっと候補挙げすぎでしょうか?
皆さんの予想も教えてくれたら嬉しいです。
コンセプトは「白ワイン用のグラスは小さいって誰が決めたの?」ということ。白ワインだけでなく、スパークリングワインやシェリーなどのプロデューサーも、普通のワインと同じように味わってくれることを期待しているそうで、一つのグラスで赤でも白でもなんでも対応するとのこと。
口と接する部分は極力薄く、しかし食洗機で洗っても大丈夫だそうです。価格は2脚で70英ポンド(約1万円)とやや高めですが、よさそうなグラスです。
こちらは水用のグラスで2脚50 英ポンド(約7000円)。ボウルの部分はワイン用と同じ大きさ、同じ作りになっているので、ステムレス版として、ワインに使うこともできます。リーデルのオーと同じですね。
このほか、古いワイン用のデキャンタと新しいワイン用のデキャンタ、水のカラフェも発売します。
販売は英国のハロッズ。
Richard Blendonというサイトでも売るようです。7月1日発売。
2017年と言えば誰もが気になるのは、火事とその煙のワインへの影響でしょう。もちろん、煙の影響を受けたワインもあれば、火事による停電の影響を受けたワインもあります。家事までに醗酵の大部分を終了していたワインについてはほとんど影響がなかったと言ってもよさそうです。
また地域でみるとハウエルマウンテンは比較的風上になることが多く、あまり煙の影響を受けなかったようです。例えばブランキエ(Blabkiet)のパラダイスヒル・ヴィンヤードは(AVAはヨントヴィル)火事の後の収穫でしたが、特に問題はなかったようです。
一方、スクリーミング・イーグルは火事の後の、畑でブドウを味見して諦めたとのこと。2017年はメルロー、ベースの「The Flight」だけを造ることになりました。
また、煙のワインの熟成における影響はまだほとんどわかっていないため、今回のワインを売らないワイナリーもボトルに入れて、今後どうなっていくか見て行くところが多いようです。
今後、秋の山火事は増える可能性が高いため、今回のことが知見につながることを皆期待しているようです。
参考:ナパ、ソノマの山火事続報、ワイナリー3軒が焼失など
このテイスティングルームは新しいワイナリーやテイスティングルームができる3年後まで使うそうです。
下の写真は火事で焼ける前のワイナリーです。
ケイネズ(Knez)はアンダーソン・ヴァレーのワイナリー。リトライもブドウを購入しているセリーズなどの畑を持っています。このワインはAVAものといってもセリーズと、もう一つの自社畑デムスのブドウをブレンド。単一畑に負けないレベルのワインです。
ワインメーカーはアントヒルのアンソニー・フィリベルティ。
リトライやアルノー・ロバーツに通じるようなピュアな味わい。ストロベリーやラズベリーの風味。濃くはないけど、緻密な味わい。果実味で押してくるのではなく、紅茶や腐葉土のような香りが印象的。一見、カリフォルニアてはないのではと思ってしまうようなピノ・ノワールでした。このレベルで5000円切るのは、かなりお買い得なワインだと思います。少し熟成させても面白そう。
セキュリティ・ツールで知られるトレンドマイクロのエバ・チェンCEOがナパで邸宅「メドウブルック・ファーム」を購入。そこに付属するブドウ畑のブドウは有名ワイナリーに売却していました。しかし、昨年火事の後、ブドウの引き取り手が見つかるかどうかわからず、著名なワインメーカー/コンサルタントであるスティーブ・マサイアソンに依頼して作ってもらったのがこのロゼ。ワイナリー名が「カンパイ・ワインズ」、ワイン名が「ヒノトリ」というのは日本生活が長いエバ・チェンの意向でしょうか(エバ・チェンは台湾の人ですが、トレンドマイクロの本社は1990年代に東京に移っています)。
これがうまくいけば、サイバーセキュリティだけでなく、リアルのセキュリティも上々ということになりますね。なお、このワインの売上の8割はチャリティに回されるそうです。
カンパイ・ワインズ ”ヒノトリ(火の鳥)” ロゼ カベルネソーヴィニョン ナパヴァレー |
ヒノトリ・ロゼ カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー [2017] (正規品/カンパイ・ワインズ) Hinotori Rose Kanapi Wines |
【6本〜送料無料】カンパイ ヒノトリ ロゼ カベルネソーヴィニヨン 2017 カンパイワインズ 750ml [ロゼ]Kanpai Hinotori Rose Cabernet Sauvignon Kan・Pai・Wains |
まずはドネラン(Donelan)のシラー「オブシディアン・ヴィンヤード(Obsidian)」2013。先日、ソノマのセミナーが開かれたとき、僕がぶっ飛んだワイン(そのときのヴィンテージは2014)です(参考「ソノマの多様性をAVAから解き明かすセミナー」)。ワイン・アドヴォケイトの点数では、私の試飲した2014年が95点なのに対し、2013はなんと99点。この畑の最高点です。そのとき聞いた範囲ではオブシディアンは日本には入荷しないのではということでしたが、入ってきていました。
そして、セミナーの記事でも書きましたが、この畑は昨年10月の火事で焼けてしまいました。先日の話では「植え替えることになるだろう」とのことでしたが、まだどうなるかははっきりしていないようです。仮に植え替えたとしても、今のクオリティに達するまでは最低10年近くはかかるでしょう。それからワインを作って…と考えると、もう出会えないワインになってしまう可能性も少なからずありそうです。
私の試飲した2014年も類稀なほど筋肉質のワインで、果実味の芳醇なイメージの強いカリフォルニアのシラーの中では他と一線を画しています。ロバート・パーカーの2013年のレビューではさらに「マジカル」とか「フィニッシュに50秒」といった賛辞が並んでいます。
次に紹介するのは、なんとあのレイミー(Ramey)が造るロキオリ(Rochioli)のシャルドネです。ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーを有名にしたのが1990年代ロキオリとウィリアムズ・セリエムのコンビでしたが、ロキオリがブドウを売る相手は極めて限られており、あとはゲイリー・ファレルと、アリシアン(ゲイリー・ファレルがゲイリー・ファレルの後、作ったワイナリー、現在は引退)くらいです。シャルドネの名手であるレイミーが、ロキオリからどんなワインを造ったのでしょう。既にワイン・エンスージアストでは97点が付いているそうです。
最後はヴァイン・クリフのカベルネ・ソーヴィニヨン2011。ナパ・ヴァレーものですが、この年はAVAもののオークヴィルが作られなかったので、オークヴィルのブドウもここに含まれているとのこと。スポットでなんと半額で入荷しています。5000円台前半ということは、例のナパ・ハイランズと比べても1000円も変わらず、とても魅力的な値段になっています。
コスタ・ブラウンは3万人のメーリング・リスト・メンバーを抱える人気ワイナリー。特にフラッグシップの4バレルは「12年待ち」だといいます。
バーローでのワイナリー見学と試飲は無料。「ギャラリー・テイスティング」はメーリング・リスト・メンバーは75ドル。新規加入者の場合は125ドル。
ギャラリー・テイスティングは別室でバック・ヴィンテージの試飲に加え、「オブザベーション・シリーズ」という、今後単一畑として出すことを考えているというワインを試飲できるとのこと。このシリーズはここでしか購入できません。
コスタ・ブラウンの現在のワインメーカーはニコ・クエバ(Nico Cueva)という人。以前よりは少し軽いスタイルになっているようですが「エレガント・インテンシティ」というマイケル・ブラウンが打ち出した方策からははずれていないとのこと。
出資者の変更が相次ぐワイナリーではありますが、依然として高い人気を保っているようです。
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福袋はタイムセールではありませんが通常より32%オフ。だれかください(笑)。
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これはジャッジじゃないほうのシャルドネだけどこの3本で5万円台は相当お買い得です。
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この法案は斜面におけるオークの木の伐採が、水の保持に悪影響を与えるとして禁止するというもの。これに対して、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズなどの反対派は、科学的根拠が示されていないなどとして反論。反対派、賛成派、文字通り真っ二つにわかれました。
投票の結果が注視されていましたが、現在のところ、賛成派が49.08%の得票率、反対派は50.92%の得票率と、わずか2ポイント以下の差ではありますが、反対票が上回っており、逆転は難しい状況となりました。
これが良かったのか悪かったのか私には判断しかねますが、結果が出たことでナパが落ち着きを取り戻すことを期待したいと思います。
皆さん、ワインをどうやって置いていますか? ワインセラーをお持ちの人であれば、ボトルを横に寝かせて並べて保存するのが普通だろうと思います。しかし、研究によるとボトルを寝かせて保存することには何の意味もなく、むしろ有害なことがわかっています(Storing wine on its side is nonsense, says scientist)。
一般にボトルを横向きにすることによって、コルクが湿った状態になり、乾燥して空気が入り込むことを防ぐと考えられています。しかし、実際には縦に置いても、ボトルの「ヘッドスペース」(液面とコルクとの間の空間)の湿度はほとんど100%で、コルクが乾燥する心配は不要だとのこと。同様に、ワインセラー内の湿度を上げることも全く不要です。
逆に横向きに保存してコルクがずっと濡れている場合、コルクが劣化してしまう可能性が出てくるため、横向きの保存はむしろ有害だとのこと。
こういったことは2005年にはすでに研究で結果が出ているのですが、なかなか一般には知識が広がりません。
また、ワインの熟成に関しては、コルクかスクリューキャップかといった栓の種類よりも保存する温度が重要だとのこと。温度が低いほど熟成はゆっくりになります。
20年くらい前には「玄人のオーパス・ワン」なんて異名もありましたが、実力の割に知名度が低いのは今も続いているのかもしれませんね。カリフォルニアワインファンなら知っているけどそうでない人は知らないというか…。
で、100点にこだわらないならおすすめは98年。エルニーニョで雨が多く、リリースされた2000年代初頭には評判の悪かったヴィンテージですが、近年では、評判のよかった97年よりも熟成すると美味しいと評する人もかなり増えています。当初の価格が安かったので、今でも比較的安く買えるのがメリット。これなら2万円台前半。
ちなみにワイン・アドヴォケイトにおけるインシグニア98の評価は92点でした(2013年に再評価した点数)。エレガント系のワインが好きな方には高得点のヴィンテージよりも好まれるかもしれません。
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ちなみに、現行の2014年は97点とかなり高い評価なのですが、実はこれも2万円台。先日の「リッジ」と並んでかなりお買い得なワインの一つです。
ジェファーソン・ボトルについては「読書感想:世界一高いワイン「ジェファーソン・ボトル」の酔えない事情―真贋をめぐる大騒動」という記事で書籍のレビューを書いているので、そちらをご覧になっていただくのがいいと思いますが、簡単にまとめておきましょう。
米国第3代大統領のトーマス・ジェファーソンが持っていたワインだとして、ローデンストック氏がオークション市場に出品し、約3000万円という価格を付け大いに話題になりました。
その後、ローデンストック氏は次々と「ジェファーソン・ボトル」を出品し、「偽造ではないか」と疑義が出されました。これは裁判になり、ローデンストック氏は敗訴していますが、本人は証拠がないとして罰金を拒否、結局最後まで罰金を払うことなく「疑惑の人」のまま生涯を終えました。
偽造ワインでは後に「ルディ・クルニアワン」という桁違いの事件が起こるわけですが、それまで代表的な偽造事件といえばジェファーソン・ボトルだったと言っていいでしょう。
参考:3分でわかるルディ・クルニアワン「ワイン偽造」事件
お店は乃木坂の「レソール 乃木坂」。比較的新しいレストランですがすでにかなりの人気のようです。
最初は泡で「バロン・ド・ロートシルト」のブリュット。クリスプですが、みつのようなとろっとした感じもあり、いいスターターでした。
アミューズ・ブーシュのトマトのスープとエビの揚げたもの。
私が持っていったのはダイアトムの「波紋」2010。神の雫にも取り上げられたワインです。今は漢字ラベルのワインはシャトー・イガイタカハから出ていますが、シャトー・イガイタカハに移管する前のダイアトムのワインです。樽を使わない作りですが、まだ酸がきれいに残っており、オレンジやパイナップルなどのトロピカルフルーツの風味も豊か。上品で美味しかったです。
キンメダイはシャルドネに合わせて白ワインベースのソースにしていただいたのに、出てきたときにはほとんど白が残っていなかったのがちょっと残念でした。
ワインはモカルトのワイン2種とオーパス・ワンの飲み比べです。とっても贅沢。
モカルトのワインはどちらも名前はあまり知られていませんが、著名ワイナリーにブドウを卸している優良生産者です。セントヘレナは名前の通りセントヘレナに、メランソンはプリチャード・ヒルにあります。セントヘレナはベリンジャーの近くに位置しており、メランソンはプリチャード・ヒルの中央あたり。コルギンのIXエステートと谷を挟んで向かい合うところにあります。メランソンのブドウ提供先はトーマス・リヴァース・ブラウンが造るプリド・ウォーカーや、トアー・ケンワードなど超一流ばかりです。
オーパス・ワンはカシスやブラック・ベリーの風味。オーパス・ワンらしいエキゾチックな風味も感じます。スパイスやグラファイト、トリュフのような香りも。非常にいいワインで、果実味に頼らない味わいは長期熟成にも向くと思います。
セント・ヘレナは直球ストレート。まさにカベルネ・ソーヴィニヨンの美味しさを集めたようなワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン100%で作られているシェーファーのヒルサイド・セレクトにかなり似ています。まろやかなタンニンでナパらしいワインですが、酸もきれいなためバランスがよくなっています。
メランソンは、いわゆる山カベに近い味わい。ブラックベリーやブルーベリーなどの果実味もありますが、鉱物的な風味もかなりあります。これも熟成したら面白そうなワイン。
カベルネ系といっても3者3様でとても楽しめました。モカルトの輸入するワインは、これまで試飲会で何回か試飲したことはあり、いいワインであることはわかっていましたが、やっぱりこうやってじっくり向かい合って飲むと、慌ただしい試飲会ではなかなか見えにくいところもわかり、より自信を持っておすすめできるようになりました。
で、ワインに気を取られてメインディッシュの写真を撮っていないという…
まず、いきなりですがコスパ大賞は「ブエナ・ビスタ」。シャルドネもピノ・ノワールもジンファンデルも2000円台としては十分すぎるクオリティ。
前日のランチョンでもいただいた「ザ・カウント」。レッド・ブレンドの中でも秀逸だと思いますし、それがこの価格はちょっとびっくり。創設者のアゴストン・ ハラツィーを全面的にあしらったラベルも重厚感があります。
レイミーのシャルドネはソノマ・コーストとロシアン・リバー・ヴァレーが出ていましたが、意外にもソノマ・コーストがリッチでトロピカルな風味。さすがに酸もきれいでレベルの高いシャルドネです。
ボトルがユニークなデローチ(デローシュ)のエステート・ピノ・ノワール。うまみがあって美味しいピノ・ノワールです。
アリシアンのロキオリ ピノ・ノワール 2012。ゲイリー・ファレル時代最後のピノ・ノワール。しかもロキオリ。美味しくないはずがありません。
スリー・スティックスのピノ・ノワールはバランスよく、うまみもあります。今後にさらに期待したいワイナリーです。
フリーマンのピノ・ノワールは、日本未輸入の新しい自社畑もの「Yu-ki」を含む数種類が出ていましたが、個人的にはピュアな味わいの「グロリア」がベスト。「Yu-ki」はまだ樹が若いかなあという気がしました。
前日にオブシディアンのシラーで圧倒されたドネランですが、この日はオブシディアンの出展はなし(日本未輸入)。しかし、このピノ・ノワールもおいしい。
ソノマの試飲会なのに、意外とジンファンデルが少なかったのはちょっと残念でした。秀逸なジンファンデルはたくさんあるのにね。セゲシオは5種類ほど出ていましたが、複雑さのあるこれが個人的にはベスト。
コービン・キャメロンのソーヴィニヨン・ブランは前日のセミナーで試飲しましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンもよかったです。日本の輸入元を探しているとのこと。
シュグは前日のセミナーでカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しましたが、シャルドネやピノ・ノワールも秀逸です。
ケンダル・ジャクソン系のアナコタは長熟タイプのカベルネ・ソーヴィニヨン。2012年のナイツ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンはまだまだタニックですが、将来に期待が持てるカベルネ・ソーヴィニヨンです。
デュモルのピノ・ノワールは前日の単一畑ものではなくAVAもののロシアン・リバー・ヴァレーでしたが、これも美味しいです。カベルネ・ソーヴィニヨンもよかったです。
扇谷まどかさんはシャンパーニュのインポーターThe Openerなどを経営しており、WSETのディプロマ資格を持っている人。
日本アドは1969年設立のクリエイティブエージェンシーであり、これまで、食品、ベビー用品、輸入自動車、輸入バイク、外国大使館、各種団体など数多くのクライアントをサポートした経験があるそうです。
どちらもカリフォルニアワインにおける経験は未知数ですが、今後に期待したいと思います。
また、今後カリフォルニア・ワイン・インスティテュートはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズなどとの相互協力も推進していくそうです。
写真はThe Openerのページから。
ワインの一覧を挙げておきましょう。
2017 Ferrari-Carano Fume Blanc, Sonoma County
2016 Eco Terreno Sauvignon Blanc, Alexander Valley
2015 Hartford Court, Fog Dance Chardonnay, Green Valley
2015 Chalk Hill Estate Chardonnay, Chalk Hill
2015 Jordan Chardonnay, Russian River Valley
2014 DuMOL Pinot Noir "Conner"
2016 Three Sticks Gap's Crown Pinot Noir, Petalma Gap
2014 MacMurray Estate Pinot Noir Russian River Valley
2014 Ramey Wine Cellar Syrah, Sonoma Coast
2013 Keller Estate Rotie, Petalma Gap
2015 Rodney Strong Vineyard Knotty Vines Zinfandel, Northern Sonoma
2015 Seghesio Family Vineyards Cortina Zinfandel Dry Creek Valley
2015 Buena Vista Winery "The Count" Red Blend, Sonoma Valley
2013 Silver Oak Cabernet Sauvignon, Alexander Valley
2008 Silver Oak Cabernet Sauvignon, Alexander Valley
フェラーリ・カラーノのフュメ・ブランは、最近では珍しいリッチ系のソーヴィニヨン・ブラン。何か昔から好きなんですよねえ。懐かしい味でした。
シャルドネ3種もどちらかというとリッチ系の味わいでしたが、中でもミネラルを感じたチョークヒルはさすがの美味しさ。これも昔から高級シャルドネの定番的存在です。
ピノ・ノワールではスリー・スティックスのバランスの良さもさすがなのですが、デュモルの「Conner」が圧巻。むちゃくちゃ美味しいです。あえてこのランチの一番を付けるならこのワイン。ところで、DuMolって子供の名前のDuncanとMollyをつなげたものだって知ってました? 僕は初めて知ってちょっと目から鱗が落ちたかも。
ピノに負けないくらい、魅力を放っていたのがシラーの2本。レイミーもケラーもすごく美味しい。どちらもどちらかというと抑制の効いたタイプです。カリフォルニアらしい陽性のシラーも美味しいですが、和食にはこういうタイプの方が合いそうです。
ジンファンデルもそれぞれおいしかったのですが、ブエナ・ビスタの「カウント」はあとから3000円台という価格を知ってちょっとびっくり。これはコスパ高いです。
最後のシルバーオークは安定の味わい。
ともかく、どのワインもおいしい。ソノマやっぱりいいですね。
最後に料理写真も。撮ってないのがあるのはちょっと酔ってたのかな。
もうひとつはなんとサンタ・クルーズ・マウンテンズのリース(Rhys)が唯一アンダーソン・ヴァレーに持つ自社畑「ベアワロー」。まさかベアワローのワインがリース以外から出てくるとはびっくりです。
それにしても、これだけすごい畑からブドウの供給を受けられるというのは、さすがトーマス・リヴァース・ブラウンです。きっと提供する側も、彼ならそのブドウからどういうポテンシャルを引き出してくれるのか知りたいのでしょうね。しかも、リトライの単一畑なら1万円超え、リースの単一畑なら2万円超えるのが、リヴァース・マリーはどちらも1万円切り。
これまでも何回か紹介していますが、ここのワインに関しては「なんでこんな値段で出していいの?」と思うことがしばしばあります。全力でお薦めします。
参考:
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
パーカー97点で1万円台、天才トーマス・リヴァース・ブラウンのカベルネ
現地価格より安いリヴァース・マリー単一畑とドミナスのセカンド
今年のホスピタリティ・チェアは故ピーター・モンダヴィの孫の4姉妹(昨年はフランシス・フォード・コッポラ監督)。壇上でセルフィーを撮るなど、これまでにない新風を巻き起こしたようです。
メイン・イベントであるライブ・オークションでは、オーパス・ワン6リットルやベルサイユへの旅行などを含むロットが2人落札で計140万ドルと最高を記録しました。
オークション・ナパ・ヴァレーはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが主催。売上はすべて、子供の教育などのチャリティに使われます。
まずは基本的なところをおさらいしましょう。
「ソノマの魅力は多様性――ソノマ・カウンティ・ヴィントナーズ ミニインタビュー」でも書いたように、ソノマが隣のナパと比べて勝っているところの第一は多様性です。
ソノマは東西68km、南北84kmというかなりの広さ。ぶどう畑はこの中で約6%を占めています。ちなみにぶどう畑だらけに見えるナパでも、総面積に対しては9%程度。選ばれたところにだけぶどう畑があると言えばいいのでしょうか。作られているブドウの種類は66もあります。
ソノマに入植者がやってきたのは19世紀初頭のこと。19世紀半ばには米国で最古となるワイナリー、ブエナ・ビスタ(Buena Vista)などが生まれました。
セミナーで試飲したのは以下のワイン。
コービン・キャメロン(Korbin Kameron)ソーヴィニヨン・ブラン2017(ムーン・マウンテン)
フリーマン(Freeman)シャルドネ「涼風」2016(グリーン・ヴァレー)
アーネスト(Earnest)ピノ・ノワール グランド・ヴェント・ヴィンヤード2015(ペタルマ・ギャップ)
アリシアン(Alysian)レッド・ブレンド エステート・グリスト・ヴィンヤード2014(ドライ・クリーク・ヴァレー)
シュグ(Schug)カベルネ・ソーヴィニヨン2014(ソノマ・ヴァレー)
ドネラン(Donelan)シラー オブシディアン・ヴィンヤード2014(ナイツ・ヴァレー)
順番に見ていきましょう。AVAの特徴やワインの試飲コメントを載せていきます。
ムーン・マウンテンは2013年に策定された新しいAVAです。ソノマとナパを隔てるマヤカマス山脈の西側の斜面でソノマの街の北側にあたります。標高が高いところにあるのが特徴で、海からの霧がかからず、比較的温暖です。そのためボルドー品種やジンファンデルなどが作られています。
コービン・キャメロンのソーヴィニヨン・ブランは青りんごの風味にはちみつ。グレープフルーツやレモンといった柑橘系の味わい。非常に香り高く、太陽をよく浴びたブドウで作られた感じがします。
次は、グリーン・ヴァレー。ロシアン・リバー・ヴァレーのサブAVAであり、ロシアン・リバー・ヴァレーの中でも太平洋に近く、涼しいところになります。
フリーマンのシャルドネ「涼風」は、グリーン・ヴァレーに吹く太平洋からの涼しい風をイメージして付けたワイン。上品なバニラの香りにオレンジ、レモンの風味。フルボディのシャルドネですが、酸の豊かさが上院さを演出しています。
ペタルマ・ギャップは2017年に策定された、ソノマでは最も新しいAVA。トランプ政権が誕生してから初めて認められたAVAにでもあります。ここの特徴は風。太平洋から、南のサンパブロベイまで、谷間を風が吹き抜けます。4000エーカーの土地の中で現在のワイナリーは9個。これからが期待されるAVAの一つです。
アーネストの畑「グランド・ヴェント」はフランス語(フランス語読みすればグランヴァン)で大きな風のこと。涼しい風と称したフリーマンと比べて荒々しい気候が想像できます。午後4時には下の写真のように霧に覆われてしまいます。
ワインは酸の強さが第一印象。きれいだけど張りのある酸にラズベリーなどの赤系の果実、ホワイトペッパーなどのスパイスの風味を感じます。ジャムのような煮詰めた感じもあるのですが、酸が豊かなので甘ったれた感じはありません。これはかなり気に入りました。
次のドライ・クリーク・ヴァレーは1983年に策定された古いAVA。ロシアン・リバー・ヴァレーの上流になり、海から離れる分、温暖になります。樹齢の高いジンファンデルの畑なども特徴の一つです。
アリシアン(Alysian)はロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールのパイオニアとして知られるゲイリー・ファレルが自身の名前のついたワイナリーを売却後に作ったワイナリー。ピノ・ノワールが中心ですが、2013年にゲイリー・ファレルが引退し、それ以外のワインにも力を入れるようになりました。
今回のレッドブレンドはジンファンデル50%、シラー40%、プティ・シラー10%という構成。2014年に作り始めたワインです。プラムやジャムっぽい味わいに、温暖な気候が感じられます。シラー由来と思われるブラック・ペッパーのニュアンスもあります。
次はソノマ・ヴァレー。シュグの創設者ウォルター・シュグはジョセフ・フェルプスでインシグニアを最初に作った人。その後、ソノマ・ヴァレーの入り口にシュグ・ワイナリーを設立。昨年惜しまれつつもなくなりました。
カベルネ・ソーヴィニヨンは非常に抑制された味わい。美味しいです。ここはソノマ・ヴァレーの特徴というよりシュグのワイン造りを堪能する感じでした。
最後はナイツ・ヴァレー。有名なワイナリーで言えばピーター・マイケルがここにあります。ナパのベリンジャーが作るナイツ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンも非常にコスパ高く人気のワインです。場所はナパのカリストガの北。地勢的に見ても、ナパの延長線上で考えた方がわかりやすいところだと思います。ボルドー品種が有名ですが、セントヘレナ山があり、標高が高いところもあるため、もう少し冷涼地向けのブドウも作られています。代表的なものにはピーター・マイケルのシャルドネがあります。
ドネランはシラーで有名なワイナリー。ソノマのシラーとして初めて「パーカー100点」を取ったワイナリーです。今回のオブシディアン・ヴィンヤードでも最高99点を取っています。
といった情報は後から調べたもので、セミナーでは先入観なく試飲したのですが、これはビックリ。ものすごくタニックでがちがちのワインなのですが、味わいの奥行きが半端ない。ナイツ・ヴァレーのシラーも初めてだと思いますが、すごいポテンシャルがあると思います。
ただ、一つとても残念な話があります。この、オブシディアン・ヴィンヤード、昨年10月の火事で灰燼に帰してしまったのです。普通はぶどう畑は防火帯として働くのですが、収穫後、水分もなくカラカラの状態になっていたそうで、数少ない、畑自体が燃えてしまった例になってしまいました。今後植え替えをするのだそうですが、すぐに同じクオリティのブドウができるわけではなく、少なくとも数年間はここのワインは作られないでしょう。
閑話休題。セミナーの翌日、布袋ワインズオーナーのビル・キャンベルさんと少し話をしたのですが、ソノマの焼け野原になったところ、今は青々と草が生えてとてもきれいだそうです。滅多に見られない景色なので、ソノマ方面に行かれる方は、その辺りもぜひ回ってみてください。
6つのAVAからの6つのワイン。どれもレベル高く、ソノマらしさも発揮していました。ソノマの多様性という題目は十分に出ていたと思います。
新レビュアーのウイリアム・ケリーがこの地域の可能性に期待してとのことですが、結果的には新発見よりも、これまでの高評価ワイナリーを確認するような感じだったとか。もっとプロのワイナリーツアーが増えてほしいとのこと。
そのなかで、高評価だったのはリース(Rhys)、マウント・エデン(イーデン)、ヴァーナー。特にリースは97 点などのワイン続出でした。
残念ながらこれが最後のヴィンテージとなるヴァーナーではアッパーピクニックブロックのピノが95点。有終の美を飾りました。
【ヴァーナー】 アッパー ピクニック ピノ ノワール [2013] 750ml・赤 【Varner】 Upper Picnic Pinot Noir |
■ヴァーナー・アッパー・ピクニック・ブロック・ピノノワール [2013]赤(750ml) Varner Upper Picnic Block Pinot Noir [2013]【出荷:7〜10日後】 |
リッジのモンテベッロでは2013年と1992年、1974年の3つのワインで100点が付きました。同誌でモンテベッロに満点がつくのは初めてのこと。なお、今回からレビュアーがウイリアム・ケリーに代わっており、彼の好みが顕著に出たもののように思われます。
なお、モンテベッロ2013はこれに先立ち、英国のデカンター誌でも100点。米英最大の雑誌でともに100点という栄誉を得ました。ドミナスの2013が同じく両方で100点を付けていますが、相当稀なことであるのは確かだと思います。ちなみに前任者のジェブ・ダナックはこのワインに97点を付けていました。
ただし、一つだけ注意があります。ジェブ・ダナックもウイリアム・ケリーも飲み頃は2023年以降としていること。最低5年間はセラーに寝かせる覚悟が要ります。
[Decanter100点]リッジ・ヴィンヤード ”モンテベロ” サンタクルーズマウンテン[2013] |
【正規品】リッジ モンテベロ[2013] |
【木箱発送可】 リッジ カベルネ・ソーヴィニヨン "モンテ・ベッロ" サンタクルーズマウンテン [2013] (正規品) Ridge Monte Bello |