ナパの大人気ワイナリー「シルヴァー・オーク(Silver Oak)」から創設者の息子で現CEOのデイビッド・ダンカンさんが初来日し、新ヴィンテージなどの試飲セミナーを開きました。「ファミリーの作ったワインを共有できてうれしい」とダンカン氏。
シルヴァー・オークは1972年創設、ナパヴァレーとソノマのアレキサンダー・ヴァレーの二つのカベルネ・ソーヴィニョンに注力し「Life is a Cabernet!」のスローガンでも知られています。創設者の故レイ・ダンカンには4人の息子がおり、共同で所有していますが、デイビッドは実は一番年下です。
1999年に、カベルネ・ソーヴィニョン以外の品種にチャレンジするためにTwomey Cellarsを設立。Twomeyというのは、デイビッドの祖母の旧姓から取った名前です。
デイビッドはシルヴァー・オークのフィロソフィーについても語りました。第1のフィロソフィーはエクセレンス。最上のものを作ることを目的とし大量生産ではないワインを作ります。
第2のフィロソフィーはサスティナビリティ。畑における環境保護やワイナリーにおける電力や水などの節約はもちろんのこと、そこで働く人がサスティナビリティにコミットしていることが大事だといいます。
そして3番目のフィロソフィーは信頼。信頼のあるワインを作り続けたいといいます。重要なのは「まだ最高のワインを作っていない。もっとよくしていけるはずだ」と信じ、畑や醸造など高みにのぼれるようにがんばっているとのことです。
ワインは、自分の大切な人とおいしい食事をシェアしたり、お祝いをしたりといった特別な瞬間のためにある。その素敵な瞬間をいいものにするためにいいワインを作ろうとしている。評論家のスコアのような特定の一人の意見で評価されるのではなく、みんなに喜ばれるワインを作りたいと語りました。
試飲に移ります。
Twomeyからはソーヴィニヨン・ブラン 2022とピノ・ノワールが2種類。 アレキサンダー・ヴァレー 2020とロシアン・リバー・ヴァレー2020です。Twomeyはソノマのロシアン・リバー・ヴァレー、メンドシーノ、そしてオレゴンと3つのワイナリーを保持しています。それぞれワインメーカーも別になっています。アレキサンダー・ヴァレーのワイナリーは2019年にできた新しいものです。なお、Twomeyの最初のワインはメルローでしたが、現在はメルローはラインアップから外れています。
ソーヴィニヨン・ブラン 2022はナパとソノマの2つずつの自社畑のブドウを中心に作っています。ハーヴの香りや黄色い花の香、ピーチ、アーモンドなどがあり豊かな酸と厚みのある味わいが楽しめます、
醸造ではステンレスタンクのほか、ステンレスの樽、オークの旧樽を使っています。ステンレスのタンクはやわらかな口当たり、ステンレスタンクは酸の豊かさに貢献しています。
Twomeyピノ・ノワール アレキサンダー・ヴァレー2020は、腐葉土やマッシュルームといった熟成系の風味や、ザクロなど赤系の果実にちょっとブラックベリーなど黒系のダークな果実味が混じります。甘草のような甘やかさもあり、口当たりがやわらかです。酸はやや高め、複雑味があります。
Twomeyピノ・ノワール ロシアン・リバー・ヴァレー2020は、より果実味が豊かでカリフォルニアの太陽を感じるワイン。ラズベリー、カシス、ベーキングスパイスなどの風味。アレキサンダー・ヴァレーと比べ、なめらかで落ち着いた酸味があります。
ちなみにどちらも100%除梗で作られています。年によっては10数パーセント除梗する場合もあるとのこと。
Twomeyの次は、グループの中でも新しいワイナリーであるタイムレス(Timeless)です。シルヴァー・オークはナパ市の東側のソーダ・キャニオンと呼ばれるエリアに113エーカーという大きな畑を持っています(AVAはナパヴァレーになります)。シルヴァー・オークのナパヴァレーではこの畑のブドウに、契約栽培家のブドウなどを加えて醸造していますが、もっとこの畑のテロワールを表現するワインを作りたいとして始めたのがTimelessです。2017年が最初のヴィンテージです。シルヴァー・オークが1万ケースを超えるくらいの量を作っているのに対し、Timelessは2000ケース程度と少量です。
ちなみに、Timelessという名前はデイビッドが父親のレイ・ダンカン(創設者)のために作った曲の名前だそうです。2015年の誕生日(奇しくもデイビッドもレイも同じ10/23生まれでした)に披露するつもりだったのが、誕生日の2週間前に亡くなってしまい、この曲にちなんだワインを作ることにしたそうです。
Timelessではボルドー系の品種カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン、プティヴェルドをブレンドします。その年を表現するロットを選ぶのですが、今回試飲した2019と2020はどちらもメルローが半分くらい使っているそうです(ブレンド比率は公表されていません)。2023年は2/3くらいカベルネ・ソーヴィニョンになりそうとのことでした。
ちなみに、シルヴァー・オークはアメリカン・オークの樽だけを使うことで知られており、ミズーリ州に樽のメーカーを持っているくらい力を入れていますが、Timelessではフレンチオークを使っています。
試飲に移ります。
Timeless2020は赤果実に青果実の風味。腐葉土。コンポートのような甘やかさ。しっかりしたタンニンがありパワフル、余韻の長いワインです。
Timeless2019は2020よりもタンニンが強く、よりパワフルです。赤果実にカシス、花の香がありますが、2020よりもちょっと閉じているように感じました。
最後にシルヴァー・オークの試飲です。シルヴァー・オークの2014年からのワインメーカーはネイト・ワイズという人。50年の歴史の中で3代目のワインメーカーという、長期間務めるのも特徴です。
シルヴァー・オークの試飲では、現行ヴィンテージに加えて2012年という約10年たったヴィンテージも合わせて試飲しました。
シルヴァー・オーク アレキサンダー・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン 2019は腐葉土や杉、ココナツ、ザクロ、ブルーベリーなどの風味。酸が比較的高く、柔らかさとしなやかさがあります。
シルヴァー・オーク アレキサンダー・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン 2012はマッシュルーム、杉、甘草。まだタンニン強くパワフルなワイン、
シルヴァー・オーク ナパヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン 2018はやや固さを感じます。黒鉛、カシス、ブラックベリー、ココナツ。タニックですがバランスいいワイン。
シルヴァー・オーク ナパヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン 2012はまだまだ芳醇な果実味が残っています。それに加えてマッシュルーム、杉、アニス、甘草などの風味が感じられます。複雑さがあり美味しい。
ところで、シルヴァー・オークのナパヴァレーはこの2018年からラベル・デザインを変更しました。これまではボトルにエッチングを施したものだったのを、通常の紙のラベルに変更したのです。これまでのエッチングは、カナダのメーカーにボトルを送って作ってもらっていたのですが、ボトルの運搬やエッチングなどサスティナブルではないと判断したのが理由です。
質疑応答では、アルコール度数が高いのにバランスが悪くないのはどうしてか、といった質問がありました。デイビッド・ダンカン氏によると、それは収穫のタイミングを見極めて収穫しているからだろうとのことです。最適なタイミングは24時間くらいしかなく、そこで収穫をするのが大事。そのため、ナパでは自社の収穫部隊がいて、多くの畑で最適なタイミングで収穫しています。各地に畑があるため1日200マイルも移動することがあるとのことです。
最後に感想をまとめます。
Twomeyは、堅実にいいワインをいつも作っているのが印象的です。特にソーヴィニヨン・ブランは個人的にも好きなワインの一つで、きれいな酸に加えて果実の厚みが感じられ宇ところがカリフォルニアらしいと思います。
Timelessはまだ4ヴィンテージめということで、シルヴァー・オークのような確固としたスタイルを築くところまでは行っていないような気がしますが、志があるワインなので、まだまだ良くなっていくだろうと思います。難しいヴィンテージと言われる2020年も、みじんもネガティブさを感じませんでした。
シルヴァー・オークは、これまで何回飲んだかわからないくらい飲んでいますが、いつ飲んでも安定した味わいがさすがです。シルヴァー・オークらしさを持ちつつ、改善を怠らない姿勢にも感銘を受けます。やはりナパのリーダー的ワイナリーの一つだと言えます。
貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
あと、シルヴァー・オークにはOvidというワイナリーもあります。これは買い取ったワイナリーで一から育てた他のブランドとは位置づけが違うのでしょうけど、個人的にはそちらも試飲できるとうれしいです(と書いておこう)。特にOvidにはHexameterというカベルネ・フランの名作がありますから、私のあこがれのブランドの一つです。
ダラ・ヴァレのナオコさんとマヤさん親子に10の質問をするというインタビュー記事が出ていました(Napa mother daughter wine team leads Dalla Valle Vineyards)。
あまりメディアに出ることがないナオコさんの回答では特に興味深い回答がいくつかありました。
例えば、昔日本舞踊を習っており、もしずっと日本にいたなら日本舞踊を教えていただろうとか、20年ほど前に畑に大きなトラブルが起き、ほとんどワインを作れなくなったこととか(2007年に植え替えが終わってようやく復帰できたと同時に、有機栽培に転換したとのこと)。ご主人が1995年に亡くなって後を継いだときから、いつかはマヤさんが引き継いでくれることをひそかに期待していたとか。
行政への期待として、二人そろってファミリービジネスと大企業を分けてほしいことを挙げていたのも興味深く、またナオコさんが、ナパに公共交通機関がほしいと言っているのにも共感しました。
ところで、マヤさんは「人が知ったら驚きそうなこと」として馬場馬術の選手であることを挙げていましたが、インスタグラムへの投稿によると、ケンタッキー州で行われる米国選手権に出場することが決まったそうです。すごいですね。
ナパのカリストガにある人気ワイナリー「スターリング(Sterling)」が2020年のグラス・ファイアーの被害から再建し、ようやく再オープンにこぎつけました。丘の上に建つワイナリーまで麓から客を運ぶゴンドラも新しくなって再オープンしています。
スターリングはグラス・ファイアーの直撃を受け、ワイナリーやホスピタリティ・センターの内部が大きなダメージを受けました。醸造は今も外部(セント・ヘレナのベリンジャー)で行われており2024年から戻ってくる予定です。
ゴンドラは、リプレースが危ぶまれたものの、元の製造会社が現存だったことから、新しいより輸送力の高いものに変わりました。
ナパのダリオッシュなどを輸入するデプト・プランニングの試飲会から美味しかったワインを紹介します。カリフォルニアがメインのインポーターですが、ニュージーランドやスペインのワインもあります。
ニュージーランドのクルクルというかわいい名前のワイナリーのピノ・グリです。ピノ・グリ、そんなに好きな品種ではないのですが、これはおいしい。うまみがあるのと同時に酸もきれいです。後味の苦みがグリップ感となって味わいを引き締めます。
スペインのクロ・ポン・フロックスというワイナリーのカバです。レゼルバのブリュットとロゼ・ブリュット。レゼルバが3000円でロゼは3300円とかなりのコスパです。
ソノマの注目ワイナリー「アパーチャー・セラーズ」のカベルネ・ソーヴィニョンです。リッチでふくよかな味わい。きめの細かいタンニンが高級感を感じさせます。
ベンジャミン・シルバーの「724レディック・ストリート」というワイン。2010年と2011年をブレンドしたというノン・ヴィンテージのワイン。レッド・ブレンドです。これは初めて飲みましたがリッチで酸もあり、バランスよく美味しい。これが6000円はかなりのバーゲンです。
49%サンジョヴェーゼ、31%カベルネ・ソーヴィニョンなどをブレンドしています。
C.G.ディアーリのシエラフットヒルズのジンファンデル。豊かな果実味で美味しい。多くの人がイメージするカリフォルニアのジンファンデルの形といってもいいでしょう。
ダリオッシュのカベルネ・ソーヴィニョン。モダン系カベルネ・ソーヴィニョンのお手本のようないいカベルネです。素晴らしい。
デリンガーのピノ・ノワールとシャルドネ。シャルドネは樽もしっかり効かせたクラシックなスタイル。ピノ・ノワールは酸のきれいさが際立っています。
ダックスープ(Duxoup)というワイナリーも知りませんでしたが、シャルボノのワインが輸入されていることも知りませんでした。シャルボノは超マイナー品種で、カリフォルニアではごくわずかしか栽培されていません(絶滅寸前、シャルボノに惹かれる人たち)。私もシャルボノメインのワインは初めて飲みましたが、濃厚でタンニンも酸もしっかりあり、濃いワイン好きの方にはぜひ飲んでほしいワインです。
ジラソーレは9月のAmerican Wine Dayで試飲したときも印象の良かったワイン。メンドシーノで有機栽培で作られているワインです。親しみやすい味わいですが上品さもあり、いいワインです。
もう一つメンドシーノからエノトリアというワイナリーのドルチェット。ドルチェットもカリフォルニアではあまり見かけない品種です。これもかなりタンニンのしっかりしたワインですが、ふくよかさもあっておいしいです。
ナパの一等地であるオークヴィルで作るハイランズのジンファンデル。パワフルで果実味豊か。複雑さもあり美味しいです。
私市友宏さんの幻ワイナリーのロゼスパークリング。新商品です。リッチさがありますがテクスチャは極めてスムーズ。泡のきめこまかさも上質さを物語ります。
マルドナードのシャルドネは、高級感あふれる上質な味わい。カーネロスの自社畑のブドウを使っています。
ニコルスのオーナーのキース・ニコルスさんはもうワイン造りからは手を引いているそうなので、今残っているものがなくなればニコルスも終わることになりそうです。古いヴィンテージのものばかりでボトル差もあると思いますが、今回試飲した中ではこのジンファンデルがよかったです。リッチですがテクスチャはスムーズ。まだまだ若さを感じます。
プライドはナパとソノマにまたがって畑を持つワイナリー。スプリング・マウンテンの山のワイナリーとして名を馳せています。このカベルネ・ソーヴィニョンもかなりタニックでまだがちがちですが、山のストラクチャがあり山カベ好きにおすすめです。
ロス(Roth)のソーヴィニョン・ブランはバランスのいい味わい。コスパ高いです。
シルバー・ストーンのメルローはリッチな味わいですが、ストラクチャーもあり、秀逸なメルローです3000円はお値打ち。
テラ・ヴァレンタインはナパのスプリング・マウンテンにあるワイナリー。ラベルはいかにもヴァレンタインというラブリーな雰囲気ですが、ワインの味わいは山ならではのストロング・スタイル。プライドと並んで山カベ好きにおすすめです。プティ・シラーの方はさらにパワフル。濃厚ワインが飲みたいという方におすすめです。
ニュージーランドのクルクルというかわいい名前のワイナリーのピノ・グリです。ピノ・グリ、そんなに好きな品種ではないのですが、これはおいしい。うまみがあるのと同時に酸もきれいです。後味の苦みがグリップ感となって味わいを引き締めます。
スペインのクロ・ポン・フロックスというワイナリーのカバです。レゼルバのブリュットとロゼ・ブリュット。レゼルバが3000円でロゼは3300円とかなりのコスパです。
ソノマの注目ワイナリー「アパーチャー・セラーズ」のカベルネ・ソーヴィニョンです。リッチでふくよかな味わい。きめの細かいタンニンが高級感を感じさせます。
ベンジャミン・シルバーの「724レディック・ストリート」というワイン。2010年と2011年をブレンドしたというノン・ヴィンテージのワイン。レッド・ブレンドです。これは初めて飲みましたがリッチで酸もあり、バランスよく美味しい。これが6000円はかなりのバーゲンです。
49%サンジョヴェーゼ、31%カベルネ・ソーヴィニョンなどをブレンドしています。
C.G.ディアーリのシエラフットヒルズのジンファンデル。豊かな果実味で美味しい。多くの人がイメージするカリフォルニアのジンファンデルの形といってもいいでしょう。
ダリオッシュのカベルネ・ソーヴィニョン。モダン系カベルネ・ソーヴィニョンのお手本のようないいカベルネです。素晴らしい。
デリンガーのピノ・ノワールとシャルドネ。シャルドネは樽もしっかり効かせたクラシックなスタイル。ピノ・ノワールは酸のきれいさが際立っています。
ダックスープ(Duxoup)というワイナリーも知りませんでしたが、シャルボノのワインが輸入されていることも知りませんでした。シャルボノは超マイナー品種で、カリフォルニアではごくわずかしか栽培されていません(絶滅寸前、シャルボノに惹かれる人たち)。私もシャルボノメインのワインは初めて飲みましたが、濃厚でタンニンも酸もしっかりあり、濃いワイン好きの方にはぜひ飲んでほしいワインです。
ジラソーレは9月のAmerican Wine Dayで試飲したときも印象の良かったワイン。メンドシーノで有機栽培で作られているワインです。親しみやすい味わいですが上品さもあり、いいワインです。
もう一つメンドシーノからエノトリアというワイナリーのドルチェット。ドルチェットもカリフォルニアではあまり見かけない品種です。これもかなりタンニンのしっかりしたワインですが、ふくよかさもあっておいしいです。
ナパの一等地であるオークヴィルで作るハイランズのジンファンデル。パワフルで果実味豊か。複雑さもあり美味しいです。
私市友宏さんの幻ワイナリーのロゼスパークリング。新商品です。リッチさがありますがテクスチャは極めてスムーズ。泡のきめこまかさも上質さを物語ります。
マルドナードのシャルドネは、高級感あふれる上質な味わい。カーネロスの自社畑のブドウを使っています。
ニコルスのオーナーのキース・ニコルスさんはもうワイン造りからは手を引いているそうなので、今残っているものがなくなればニコルスも終わることになりそうです。古いヴィンテージのものばかりでボトル差もあると思いますが、今回試飲した中ではこのジンファンデルがよかったです。リッチですがテクスチャはスムーズ。まだまだ若さを感じます。
プライドはナパとソノマにまたがって畑を持つワイナリー。スプリング・マウンテンの山のワイナリーとして名を馳せています。このカベルネ・ソーヴィニョンもかなりタニックでまだがちがちですが、山のストラクチャがあり山カベ好きにおすすめです。
ロス(Roth)のソーヴィニョン・ブランはバランスのいい味わい。コスパ高いです。
シルバー・ストーンのメルローはリッチな味わいですが、ストラクチャーもあり、秀逸なメルローです3000円はお値打ち。
テラ・ヴァレンタインはナパのスプリング・マウンテンにあるワイナリー。ラベルはいかにもヴァレンタインというラブリーな雰囲気ですが、ワインの味わいは山ならではのストロング・スタイル。プライドと並んで山カベ好きにおすすめです。プティ・シラーの方はさらにパワフル。濃厚ワインが飲みたいという方におすすめです。
米国の農務省が農産物の輸出を増やすため、23憶ドルを拠出すると発表しました(USDA Bolsters Investments in International Trade and Food Aid | USDA)。
このうち10憶ドルは、世界的な飢餓の解消のために充てられ、13憶ドルが地域的な農産物のプロモーション・プログラムに充てられます。カリフォルニアワインもその対象に入っており、カリフォルニアワイン協会が今回の拠出を歓迎するむね発表しています。
このうち10憶ドルは、世界的な飢餓の解消のために充てられ、13憶ドルが地域的な農産物のプロモーション・プログラムに充てられます。カリフォルニアワインもその対象に入っており、カリフォルニアワイン協会が今回の拠出を歓迎するむね発表しています。
例年であればもうほとんど終わりが近い収穫時期ですが、2023年はまだ収穫が終わっていないワイナリーが多数あります。非常に素晴らしいヴィンテージになる可能性がある中、秋の深まりとともに腐敗のリスクも高まり、ワインメーカーはぎりぎりの選択を迫られそうです(Weather has Napa winemakers walking fine line between spectacular vintage and rot with late harvest)。
JaMセラーズなどで知られるジョン・アンソニー・ファミリー・ワインズのジョン・アンソニー・トルシャードによると、例年であれば11月には5~10%程度しか収穫が残っていないのに対し、今年は15~20%も収穫が11月にずれこみそうだと言います。
これまでちょっとした雨は2回ほど降っていますが、問題になるようなレベルではなく、順調な生育となっていますが、秋の深まりとともに気温が急に下がって霜が発生し、腐敗につながってしまうといったリスクが上がってきています。
フレーバーの成熟をどこまで持たせるか、ワインメーカーの判断が難しくなっており、場合によってはぎりぎりの判断を迫られることもありそうだといいます。
干ばつが続いた時期は収量も落ちていましたが、今年は豊富な収穫となっており、このまま順調に終われば質量ともに素晴らしいヴィンテージになりそうです。
JaMセラーズなどで知られるジョン・アンソニー・ファミリー・ワインズのジョン・アンソニー・トルシャードによると、例年であれば11月には5~10%程度しか収穫が残っていないのに対し、今年は15~20%も収穫が11月にずれこみそうだと言います。
これまでちょっとした雨は2回ほど降っていますが、問題になるようなレベルではなく、順調な生育となっていますが、秋の深まりとともに気温が急に下がって霜が発生し、腐敗につながってしまうといったリスクが上がってきています。
フレーバーの成熟をどこまで持たせるか、ワインメーカーの判断が難しくなっており、場合によってはぎりぎりの判断を迫られることもありそうだといいます。
干ばつが続いた時期は収量も落ちていましたが、今年は豊富な収穫となっており、このまま順調に終われば質量ともに素晴らしいヴィンテージになりそうです。
ケンダル・ジャクソンなど数多くのブランドを所有し、環境に先進的なワイナリーとしても知られているジャクソン・ファミリーがナパに所有する15の自社畑でカリフォルニアの有機認証CCOFを取得しました(Jackson Family Wines Achieves Certified California Organic Farmers (CCOF) Certification For Napa Valley Estate Vineyards)。
今回認証を得た畑の作付面積は480エーカーに及びます。AVAではオークヴィル、ラザフォード、マウント・ヴィーダー、ハウエル・マウンテン、スプリング・マウンテン、ダイヤモンド・マウンテンと様々であり、カーディナルやフリーマーク・アビー、ロコヤ、ラ・ホタ、マウント・ブレーブ、カラダンといったグループの一流ワイナリーで使われています。
ジャクソン・ファミリーでは2030年までに自社畑のすべてを再生可能型農法に転換することを目標にしており、有機認証はそこに至るプロセスの一部となっています。すでに多くの畑では再生可能型の農法を取り入れています(再生可能型農法では二酸化炭素の排出を減らすため、畑をなるべく耕さないなどの取り組みを行います)。
今回認証を得た畑の作付面積は480エーカーに及びます。AVAではオークヴィル、ラザフォード、マウント・ヴィーダー、ハウエル・マウンテン、スプリング・マウンテン、ダイヤモンド・マウンテンと様々であり、カーディナルやフリーマーク・アビー、ロコヤ、ラ・ホタ、マウント・ブレーブ、カラダンといったグループの一流ワイナリーで使われています。
ジャクソン・ファミリーでは2030年までに自社畑のすべてを再生可能型農法に転換することを目標にしており、有機認証はそこに至るプロセスの一部となっています。すでに多くの畑では再生可能型の農法を取り入れています(再生可能型農法では二酸化炭素の排出を減らすため、畑をなるべく耕さないなどの取り組みを行います)。
ギネス記録にもいろいろありますが、頭の上にワイングラスを何個載せられるかといった記録もあるそうです。キプロスのAristotelis Valaoritisという人が新記録の319個を載せた動画がX(Twitter)に出ていました。
最後まで見てくださいね。
こっちのウエイトレスもすごい。
New record: Most wine glasses balanced on the head - 319 by Aristotelis Valaoritis (Cyprus)
— Guinness World Records (@GWR) October 19, 2023
Come for the balancing, stay for the smash at the end pic.twitter.com/9lStjoSAZy
最後まで見てくださいね。
こっちのウエイトレスもすごい。
The strength of Oktoberfest waitresses is truly remarkable! pic.twitter.com/d7ktnYaPyx
— Wow Videos (@ViralXfun) September 21, 2023
ワイン・エンスージアスト誌が2020年のナパやソノマのカベルネ・ソーヴィニョンを総括する記事を上げています(Don’t Be Afraid of Napa and Sonoma’s ‘Smoke Vintage’ | Wine Enthusiast Magazine)。
2020年は二つの山火事によって煙の被害が出て、多くのワイナリーがワイン造りをあきらめた年。8月17日に発生したLNU Lightning Complex Fireはナパやソノマ、ソラノ郡などで雷から同時多発的に発生した火事で、特にナパの東部やソノマの西部で広い範囲が火事になりました。さらに9月27日に発生したGlass Fireはスプリングマウンテンなどナパとソノマの間で大きな火事になり、いくつかのワイナリーやブドウ畑、ホテルも焼失し煙の広がりも大きくなりました。こちらが特に多くのワイナリーが煙被害でワイン造りをやめた理由になっています。
結論としては97本のナパとソノマのカベルネ・ソーヴィニョンを試飲した結果、煙の影響が感じられたワインはほとんどありませんでした。ただ、ワインの数自体が例年よりずっと少ないため、2020年のワインを見つける機会はあまり多くないかもしれません。また、ヴィンテージ評価は88点と2011年以来初めて90点を下回りました。とはいえ難しかった2011年(あるいはこれも難しい年として知られている1998年も)は、熟成するときれいに飲みやすいという評価もあり、ヴィンテージ評価をうのみにする必要もないかもしれません。
評価の高かったワインの一つがコリソン(Corison)。セント・ヘレナの西側にあるワイナリーです。コリソンは他のワイナリーよりも早摘みの傾向があることと、セント・ヘレナのそのあたりが比較的煙の影響が少なかったことなどにより、問題なくワインが作れたといいます。同じセント・ヘレナ西部にあるスポッツウッドも他の評価誌で高く評価されていることから、セント・ヘレナは2020年のねらい目かもしれません。
また、2020年は掘り出し物が見つかる可能性もあります。例えば通常ならリザーブとして高く売るものも通常のボトリングにするなどワインの種類を減らしたワイナリーも多く、通常版のクオリティが上がっているケースもありそうです。Precision Wineは、主に買いブドウでコスパの高いワインを作るワイナリーですが、2020年はワイン造りをあきらめたワイナリーから多くのブドウを購入しています。そこから煙の影響を調べ、問題なかったものをワインにしています。結果として2020年のナパのワインの1割がPrecisionによるものだという試算があるというから驚きです。
白ワインも収穫の早さと、醸造時に皮を使わないことから煙の影響はほとんどありません。
2020年のワイン、少なくとも避けて通る必要はなさそうです。
2020年は二つの山火事によって煙の被害が出て、多くのワイナリーがワイン造りをあきらめた年。8月17日に発生したLNU Lightning Complex Fireはナパやソノマ、ソラノ郡などで雷から同時多発的に発生した火事で、特にナパの東部やソノマの西部で広い範囲が火事になりました。さらに9月27日に発生したGlass Fireはスプリングマウンテンなどナパとソノマの間で大きな火事になり、いくつかのワイナリーやブドウ畑、ホテルも焼失し煙の広がりも大きくなりました。こちらが特に多くのワイナリーが煙被害でワイン造りをやめた理由になっています。
結論としては97本のナパとソノマのカベルネ・ソーヴィニョンを試飲した結果、煙の影響が感じられたワインはほとんどありませんでした。ただ、ワインの数自体が例年よりずっと少ないため、2020年のワインを見つける機会はあまり多くないかもしれません。また、ヴィンテージ評価は88点と2011年以来初めて90点を下回りました。とはいえ難しかった2011年(あるいはこれも難しい年として知られている1998年も)は、熟成するときれいに飲みやすいという評価もあり、ヴィンテージ評価をうのみにする必要もないかもしれません。
評価の高かったワインの一つがコリソン(Corison)。セント・ヘレナの西側にあるワイナリーです。コリソンは他のワイナリーよりも早摘みの傾向があることと、セント・ヘレナのそのあたりが比較的煙の影響が少なかったことなどにより、問題なくワインが作れたといいます。同じセント・ヘレナ西部にあるスポッツウッドも他の評価誌で高く評価されていることから、セント・ヘレナは2020年のねらい目かもしれません。
また、2020年は掘り出し物が見つかる可能性もあります。例えば通常ならリザーブとして高く売るものも通常のボトリングにするなどワインの種類を減らしたワイナリーも多く、通常版のクオリティが上がっているケースもありそうです。Precision Wineは、主に買いブドウでコスパの高いワインを作るワイナリーですが、2020年はワイン造りをあきらめたワイナリーから多くのブドウを購入しています。そこから煙の影響を調べ、問題なかったものをワインにしています。結果として2020年のナパのワインの1割がPrecisionによるものだという試算があるというから驚きです。
白ワインも収穫の早さと、醸造時に皮を使わないことから煙の影響はほとんどありません。
2020年のワイン、少なくとも避けて通る必要はなさそうです。
シュレーダー(Schrader)とダブル・ダイヤモンド(Double Diamond)が2021年ヴィンテージのお披露目イベントを世界各地で開催。ニューヨークの次に開かれたという東京のイベントに参加しました。
紹介するのはコンステレーション・ブランズでシュレーダーのジェネラル・マネージャーを務めるジェイソン・スミスMS。27歳のときにマスターソムリエを取ったという才人で、チャーリー・トロッターやベラージオ、MGMグランドといったそうそうたる経歴を経てシュレーダーのGMになりました。
これまでシュレーダーは、こういったお披露目イベントをやっていませんでした。「創設者のフレッド・シュレーダーは『飲みたかったらまずボトルを買いな』というスタンスだった、それに対して自分はワインを皆とシェアするスタンスだ」と冗談まじりに語るジェイソン・スミス氏(まじめなイベントですが、ちょいちょいこういうジョークが混じります)。
ちなみに、コンステレーション・ブランズのラグジュアリー・ブランドのワイナリーにはシュレーダー、ダブル・ダイヤモンドのほか、マウント・ヴィーダー(Mount Veeder)、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー(To Kalon Vineyard Company)、オレゴンのリンガ・フランカ(Lingua Franca)が入っているそうで、これらもお披露目イベントを開きたいという話でした。
さて、今回は2021年ヴィンテージのお披露目ですが、2020年はシュレーダー、ダブル・ダイヤモンドともにワインをリリースしませんでした。言うまでもなく山火事の影響で「大災難だった」とジェイソン・スミス氏。それに対して2021年は干ばつは続いたものの素晴らしいヴィンテージで凝縮感のあるブドウができ、シュレーダーのワインメーカーであるトーマス・リヴァース・ブラウンも、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーの2022年までのワインメーカーだったアンディ・エリクソンもとても喜んでいたそうです。近年でも非常にいいヴィンテージの一つだった2018年と似ているとのこと。
ちなみに2023年は、巷間言われているように3週間ほど収穫が遅く、例年なら9月中旬に始まるところが先週末(10月上旬)に始まったとのこと。品質は「計り知れないほどだ」と絶賛しています。
ダブル・ダイヤモンドの説明と試飲に入っていきます。
ダブル・ダイヤモンドは日本に入ってきたのはここ数年だと思いますが、実は2000年から作っているワインだとのこと。シュレーダーは熟成に時間がかかりますが、ダブル・ダイヤモンドはすぐに楽しめるようなスタイルになっています。ブドウはすべてオークヴィル産で75%がト・カロンですが、ト・カロンよりも東側のナパ川に近いところの畑も使っているそうです。また、ダブル・ダイヤモンドは唯一、モンダヴィ(コンステレーション)のト・カロンとベクストファー・ト・カロンの両方のブドウが入ったワインですが、比率的にはモンダヴィのト・カロンの方がだいぶ多いようです(具体的な数字は不明)。モンダヴィのト・カロンの方がベクストファー・ト・カロンの4倍ほども面積があること。ダブル・ダイヤモンドは若木のブドウを中心に使いますが、モンダヴィのト・カロンの方が若木の比率が高いことが背景にあります。
ダブル・ダイヤモンドは2021年からラベルが変わりました。従来は赤いダイヤモンドが二つ絡み合うように描かれていましたが、文字がメインになりました。書体もシュレーダーのラベルで使われているものに合わせています。また、よく見るとラベルの下の方にドラゴンが描かれています。これはシュレーダーのフラッグシップであるオールド・スパーキーのラベルに描かれるラベルに合わせています。ドラゴンを意匠に使うのは火を噴いているイメージがシュレーダーのワインに合っているとフレッドの奥さんが選んだのだそうです。
ダブル・ダイヤモンドのワインのスタイルは果実味が前に出ているのと同時にタンニンが秘められているとジェイソン・スミス氏。トーマスのワインはすべてバランスがよいのが特徴だと言っていました。樽は半分が新樽。残りはシュレーダーからのおさがりだそうです。
若木の話が出たのでもう一つ。モンダヴィのト・カロンは木の植え替えをコンスタントに行っているとのこと。ブロックがおとに全体を植え替えるのではなく、生産量が落ちてしまった木ごとに植え替えているとのこと。クローンの比率が変わらないように、前に植わっていたのと同じクローンを植えるそうです。ト・カロンの現在植わっている木の平均樹齢は20年以下だそうで、結構植え替えはやっているようです。ちなみにト・カロンの中でも有名なIブロックにはカリフォルニア最古と言われる古いソーヴィニヨン・ブランが植わっています。
ダブルダイヤモンドでは樹齢5~10年の木を使っているとのこと。
ダブル・ダイヤモンドでは2021ヴィンテージから赤のブレンドのワインも出しています。2021年の品種比率はカベルネ・ソーヴィニョン50%、メルロー25%、カベルネ・フラン25%。カベルネ・ソーヴィニョンはト・カロンと「オークヴィル・ステーション」という畑から。カベルネ・フランはマウント・ヴィーダーのものも入っているそうです。
2021 Double Diamond Cabernet Sauvignon
色はやや赤みが強いようです。カシスやブルーベリーに加えて赤果実の風味もあります。皮革、甘草…。酸はやや強くタンニンも強いです。全体としては暖かさと丸みを感じるワインでした。
2021 Double Diamond Red Wine
ミントのような清涼感のある香り、ちょっと香ばしいアーモンドの風味。青や黒の果実よりも赤果実の風味が顕著に強く感じます。カベルネ・ソーヴィニョンよりも酸高く、しっかりしたタンニン、長い余韻。
どちらもかなり美味しく、1万円台のワインとしては秀逸なできでした。個人的には冷涼感あるレッド・ブレンドがよかったです。
シュレーダーの話に移ります。シュレーダーの最初のヴィンテージは1998年。2000年にベクストファー・ト・カロンと契約し、トーマス・リヴァース・ブラウンをワインメーカーに据えました。そして今は傘下に入ったコンステレーションから「ト・カロン」の名称を巡って提訴されたなんてこともありました(もちろん今回の発表会ではそのあたりはスルーですが)。98年、99年にだれがどんなワインを作っていたのかは不明だったのですが、スプリングマウンテンの畑のカベルネ・ソーヴィニョンだったそうです。その後、ワイン・アドヴォケイトなどで100点ワインを連発して注目を集めたシュレーダーですが、なんとこれまで通算の「100点」の回数は37回だそうです。これまでのヴィンテージの数の1.5倍くらいあるわけで。毎年数回100点を取っている計算になります。
シュレーダーのユニークなのは、畑名のカベルネ・ソーヴィニョンだけでなく、その中のクローン別のワインも作ったこと。ほかにもクローン別のワインを作っていたワイナリーはありますが、そのどれもが高い評価を得たことで注目を集めたのはシュレーダーくらいだと思います。さらに、コンステレーション傘下に入ってからは、ト・カロンのブロック別のワインも作るようになり、さらにラインアップが充実しました。現在は10種類のカベルネ・ソーヴィニョンを作っています。
シュレーダーのワインはどれもフルボディでパワフル、アルコール度数も15度を超えるものが珍しくありませんが、それでもバランスが取れていることがポイントで、いわゆる高いアルコール度数による「熱」のような感じはめったに受けません。発酵は天然酵母、清澄、濾過などはしない、ある意味かなりシンプルなワイン造りです。
トーマス・リヴァース・ブラウンが重視しているのは二つのことで「いつ収穫するか」「いつスキンコンタクトを終えるか」だそうです。後者は風味の抽出とタンニンの強さがトレードオフになっており、そこの見極めがポイントになるとのこと。
このあと、ト・カロンの畑の歴史などの説明がありましたが、長くなるのでここでは割愛します(知りたい方は「トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】」をごらんください)。
試飲に移ります。
2021 Schrader RBS Cabernet Sauvignon
RBSはベクストファー・ト・カロンでクローン337だけを使ったワイン。ダブル・ダイヤモンドと比べると色が濃く、赤というより黒みが強く感じます。濃厚で芳醇な果実味でやや甘やかさを感じます、黒鉛、杉、オリエンタルスパイス。酸はダブル・ダイヤモンドより低く、きめの細かいタンニン。緻密な味わいですが、全体としては硬質というよりやわらかさを感じます。
なおクローン337はナパを代表するようなクローンで、果実がルースにつき、収量が少ないのが特徴とのこと。
2021 Schrader Heritage Clone Cabernet Sauvignon
今回一番驚いたワインがこれ。Heritage Cloneは上の図にあるように、モンダヴィ側のト・カロンのブロック。ここはClone 31というト・カロンを最初に作ったハミルトン・ウォーカー・クラブが初期に植えたのではないかと言われているクローンが植わっています。このクローン、とにかく房が驚くほど小さいのです。手のひらの3分の1くらいのサイズ(写真を撮り損ねたのが悔やまれます)。畑を歩いていてこのブロックに来ると、感覚がおかしくなるとか。
味わいはシュレーダーの中では例外的なほど酸が豊かでタンニンも強くあります。赤果実感もとても強い。カベルネ・フランと言われたら信じそうな味わい。モンダヴィのト・カロン・リザーブにも通じるところがあります。シュレーダーらしくはないかもしれませんが個人的にはすごく好きです。
2021 Schrader Old Sparky Cabernet Sauvignon
2021年のワインの最後はオールド・スパーキー。名前はフレッド・シュレーダーのニックネームから取っており、マグナムだけが作られます。このワインはポジティブ・セレクションで、ベクストファー・ト・カロンの中から一番できのいいものを集めて作られます。そのためクローン4、6、337がブレンドされています。
RBS以上に緻密でパワフルな味わい。旨味も感じます。タンニンは高めで長熟向きです。酸もRBSより高い。
タンニンH、酸M+、旨味強い、緻密パワフル
ちなみにクローン4は、別名メンドーサクローンともいわれアルゼンチンから渡ってきたクローン。当初はマルベックと思われたそうです。緻密でミネラルも強いのが特徴。
クローン6はかなり貴重で、なかなか手に入らないクローンとのこと。
さて、最後にシュレーダーの熟成力を見るため2012年のRBSの試飲がありました。
2012 Schrader RBS Cabernet Sauvignon
色はややにごりを感じます。ちょっとアルコール感と赤果実の風味。タンニンはまだかなり強く、酸豊か。
まだまだ熟成の途中といったワインで、個人的にはもう数年前か10年くらい後に飲んだ方がよりおいしいのではないかという気もしました。
ところで、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは現在大規模改修中で、テイスティング・ルームもナパ市内に移転していますが、2024年にはシュレーダーやト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーなどのラグジュアリー・ブランド専用の醸造設備ができるそうです。シュレーダーは実は自前の醸造設備を持っておらず、これまでトーマスがワインメーカーを務めるアウトポストでワインを作っていましたが、ようやく自社の設備になります。
。
紹介するのはコンステレーション・ブランズでシュレーダーのジェネラル・マネージャーを務めるジェイソン・スミスMS。27歳のときにマスターソムリエを取ったという才人で、チャーリー・トロッターやベラージオ、MGMグランドといったそうそうたる経歴を経てシュレーダーのGMになりました。
これまでシュレーダーは、こういったお披露目イベントをやっていませんでした。「創設者のフレッド・シュレーダーは『飲みたかったらまずボトルを買いな』というスタンスだった、それに対して自分はワインを皆とシェアするスタンスだ」と冗談まじりに語るジェイソン・スミス氏(まじめなイベントですが、ちょいちょいこういうジョークが混じります)。
ちなみに、コンステレーション・ブランズのラグジュアリー・ブランドのワイナリーにはシュレーダー、ダブル・ダイヤモンドのほか、マウント・ヴィーダー(Mount Veeder)、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー(To Kalon Vineyard Company)、オレゴンのリンガ・フランカ(Lingua Franca)が入っているそうで、これらもお披露目イベントを開きたいという話でした。
さて、今回は2021年ヴィンテージのお披露目ですが、2020年はシュレーダー、ダブル・ダイヤモンドともにワインをリリースしませんでした。言うまでもなく山火事の影響で「大災難だった」とジェイソン・スミス氏。それに対して2021年は干ばつは続いたものの素晴らしいヴィンテージで凝縮感のあるブドウができ、シュレーダーのワインメーカーであるトーマス・リヴァース・ブラウンも、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーの2022年までのワインメーカーだったアンディ・エリクソンもとても喜んでいたそうです。近年でも非常にいいヴィンテージの一つだった2018年と似ているとのこと。
ちなみに2023年は、巷間言われているように3週間ほど収穫が遅く、例年なら9月中旬に始まるところが先週末(10月上旬)に始まったとのこと。品質は「計り知れないほどだ」と絶賛しています。
ダブル・ダイヤモンドの説明と試飲に入っていきます。
ダブル・ダイヤモンドは日本に入ってきたのはここ数年だと思いますが、実は2000年から作っているワインだとのこと。シュレーダーは熟成に時間がかかりますが、ダブル・ダイヤモンドはすぐに楽しめるようなスタイルになっています。ブドウはすべてオークヴィル産で75%がト・カロンですが、ト・カロンよりも東側のナパ川に近いところの畑も使っているそうです。また、ダブル・ダイヤモンドは唯一、モンダヴィ(コンステレーション)のト・カロンとベクストファー・ト・カロンの両方のブドウが入ったワインですが、比率的にはモンダヴィのト・カロンの方がだいぶ多いようです(具体的な数字は不明)。モンダヴィのト・カロンの方がベクストファー・ト・カロンの4倍ほども面積があること。ダブル・ダイヤモンドは若木のブドウを中心に使いますが、モンダヴィのト・カロンの方が若木の比率が高いことが背景にあります。
ダブル・ダイヤモンドは2021年からラベルが変わりました。従来は赤いダイヤモンドが二つ絡み合うように描かれていましたが、文字がメインになりました。書体もシュレーダーのラベルで使われているものに合わせています。また、よく見るとラベルの下の方にドラゴンが描かれています。これはシュレーダーのフラッグシップであるオールド・スパーキーのラベルに描かれるラベルに合わせています。ドラゴンを意匠に使うのは火を噴いているイメージがシュレーダーのワインに合っているとフレッドの奥さんが選んだのだそうです。
ダブル・ダイヤモンドのワインのスタイルは果実味が前に出ているのと同時にタンニンが秘められているとジェイソン・スミス氏。トーマスのワインはすべてバランスがよいのが特徴だと言っていました。樽は半分が新樽。残りはシュレーダーからのおさがりだそうです。
若木の話が出たのでもう一つ。モンダヴィのト・カロンは木の植え替えをコンスタントに行っているとのこと。ブロックがおとに全体を植え替えるのではなく、生産量が落ちてしまった木ごとに植え替えているとのこと。クローンの比率が変わらないように、前に植わっていたのと同じクローンを植えるそうです。ト・カロンの現在植わっている木の平均樹齢は20年以下だそうで、結構植え替えはやっているようです。ちなみにト・カロンの中でも有名なIブロックにはカリフォルニア最古と言われる古いソーヴィニヨン・ブランが植わっています。
ダブルダイヤモンドでは樹齢5~10年の木を使っているとのこと。
ダブル・ダイヤモンドでは2021ヴィンテージから赤のブレンドのワインも出しています。2021年の品種比率はカベルネ・ソーヴィニョン50%、メルロー25%、カベルネ・フラン25%。カベルネ・ソーヴィニョンはト・カロンと「オークヴィル・ステーション」という畑から。カベルネ・フランはマウント・ヴィーダーのものも入っているそうです。
2021 Double Diamond Cabernet Sauvignon
色はやや赤みが強いようです。カシスやブルーベリーに加えて赤果実の風味もあります。皮革、甘草…。酸はやや強くタンニンも強いです。全体としては暖かさと丸みを感じるワインでした。
2021 Double Diamond Red Wine
ミントのような清涼感のある香り、ちょっと香ばしいアーモンドの風味。青や黒の果実よりも赤果実の風味が顕著に強く感じます。カベルネ・ソーヴィニョンよりも酸高く、しっかりしたタンニン、長い余韻。
どちらもかなり美味しく、1万円台のワインとしては秀逸なできでした。個人的には冷涼感あるレッド・ブレンドがよかったです。
シュレーダーの話に移ります。シュレーダーの最初のヴィンテージは1998年。2000年にベクストファー・ト・カロンと契約し、トーマス・リヴァース・ブラウンをワインメーカーに据えました。そして今は傘下に入ったコンステレーションから「ト・カロン」の名称を巡って提訴されたなんてこともありました(もちろん今回の発表会ではそのあたりはスルーですが)。98年、99年にだれがどんなワインを作っていたのかは不明だったのですが、スプリングマウンテンの畑のカベルネ・ソーヴィニョンだったそうです。その後、ワイン・アドヴォケイトなどで100点ワインを連発して注目を集めたシュレーダーですが、なんとこれまで通算の「100点」の回数は37回だそうです。これまでのヴィンテージの数の1.5倍くらいあるわけで。毎年数回100点を取っている計算になります。
シュレーダーのユニークなのは、畑名のカベルネ・ソーヴィニョンだけでなく、その中のクローン別のワインも作ったこと。ほかにもクローン別のワインを作っていたワイナリーはありますが、そのどれもが高い評価を得たことで注目を集めたのはシュレーダーくらいだと思います。さらに、コンステレーション傘下に入ってからは、ト・カロンのブロック別のワインも作るようになり、さらにラインアップが充実しました。現在は10種類のカベルネ・ソーヴィニョンを作っています。
シュレーダーのワインはどれもフルボディでパワフル、アルコール度数も15度を超えるものが珍しくありませんが、それでもバランスが取れていることがポイントで、いわゆる高いアルコール度数による「熱」のような感じはめったに受けません。発酵は天然酵母、清澄、濾過などはしない、ある意味かなりシンプルなワイン造りです。
トーマス・リヴァース・ブラウンが重視しているのは二つのことで「いつ収穫するか」「いつスキンコンタクトを終えるか」だそうです。後者は風味の抽出とタンニンの強さがトレードオフになっており、そこの見極めがポイントになるとのこと。
このあと、ト・カロンの畑の歴史などの説明がありましたが、長くなるのでここでは割愛します(知りたい方は「トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】」をごらんください)。
試飲に移ります。
2021 Schrader RBS Cabernet Sauvignon
RBSはベクストファー・ト・カロンでクローン337だけを使ったワイン。ダブル・ダイヤモンドと比べると色が濃く、赤というより黒みが強く感じます。濃厚で芳醇な果実味でやや甘やかさを感じます、黒鉛、杉、オリエンタルスパイス。酸はダブル・ダイヤモンドより低く、きめの細かいタンニン。緻密な味わいですが、全体としては硬質というよりやわらかさを感じます。
なおクローン337はナパを代表するようなクローンで、果実がルースにつき、収量が少ないのが特徴とのこと。
2021 Schrader Heritage Clone Cabernet Sauvignon
今回一番驚いたワインがこれ。Heritage Cloneは上の図にあるように、モンダヴィ側のト・カロンのブロック。ここはClone 31というト・カロンを最初に作ったハミルトン・ウォーカー・クラブが初期に植えたのではないかと言われているクローンが植わっています。このクローン、とにかく房が驚くほど小さいのです。手のひらの3分の1くらいのサイズ(写真を撮り損ねたのが悔やまれます)。畑を歩いていてこのブロックに来ると、感覚がおかしくなるとか。
味わいはシュレーダーの中では例外的なほど酸が豊かでタンニンも強くあります。赤果実感もとても強い。カベルネ・フランと言われたら信じそうな味わい。モンダヴィのト・カロン・リザーブにも通じるところがあります。シュレーダーらしくはないかもしれませんが個人的にはすごく好きです。
2021 Schrader Old Sparky Cabernet Sauvignon
2021年のワインの最後はオールド・スパーキー。名前はフレッド・シュレーダーのニックネームから取っており、マグナムだけが作られます。このワインはポジティブ・セレクションで、ベクストファー・ト・カロンの中から一番できのいいものを集めて作られます。そのためクローン4、6、337がブレンドされています。
RBS以上に緻密でパワフルな味わい。旨味も感じます。タンニンは高めで長熟向きです。酸もRBSより高い。
タンニンH、酸M+、旨味強い、緻密パワフル
ちなみにクローン4は、別名メンドーサクローンともいわれアルゼンチンから渡ってきたクローン。当初はマルベックと思われたそうです。緻密でミネラルも強いのが特徴。
クローン6はかなり貴重で、なかなか手に入らないクローンとのこと。
さて、最後にシュレーダーの熟成力を見るため2012年のRBSの試飲がありました。
2012 Schrader RBS Cabernet Sauvignon
色はややにごりを感じます。ちょっとアルコール感と赤果実の風味。タンニンはまだかなり強く、酸豊か。
まだまだ熟成の途中といったワインで、個人的にはもう数年前か10年くらい後に飲んだ方がよりおいしいのではないかという気もしました。
ところで、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは現在大規模改修中で、テイスティング・ルームもナパ市内に移転していますが、2024年にはシュレーダーやト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーなどのラグジュアリー・ブランド専用の醸造設備ができるそうです。シュレーダーは実は自前の醸造設備を持っておらず、これまでトーマスがワインメーカーを務めるアウトポストでワインを作っていましたが、ようやく自社の設備になります。
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2017年のヴィンテージから続いているクインテッサ(Quintessa)の新ヴィンテージリリースの試飲。2020年のものはどうなるか心配していましたが、4月に現地でジェネラルマネージャーのロドリゴ・ソト氏に会ったときに、「今年もちゃんと出るから楽しみにしていて」との言葉をいただきました。その言葉の通り、今年もサンプルをいただき、試飲とインタビューをしました。
昨年までの記事はこちら。
クインテッサ2019は傑作2018を超える!?
クラシックスタイルのトップ級、さらに進化するクインテッサ
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
まずはクインテッサについて基本情報を記しておきます。
クインテッサはチリのコンチャイトロのCEOだったアグスティン・ヒューネウス(Agustin Huuneus)がナパのラザフォードに設立したワイナリー。設立以来、オーガニックで栽培をしており、現在はデメターからバイオダイナミクス(ビオディナミ)の認証も受けています。畑を切り開いた最初から有機栽培であり、土地に農薬が一度も使われていないという価値があります。
場所はラザフォードの東北部。ちょうどナパ・ヴァレーがぐんと幅を狭くしていくあたりです。西側はナパ・リヴァー、東側はシルバラード・トレイルに挟まれた200エーカーを超える広大な畑を持っています。ヴァレー・フロアではありますが畑の中に丘や池などがあり、5種類の斜面からなり、土壌などもかなり変化に富んだ畑です。
ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、カベルネ・フランやメルロー、プティ・ヴェルドなど。珍しいところではチリの固有品種であるカルメネール(正確にはボルドーから持ち込まれた品種ですが、現在ではほとんどチリだけで作られています)を一部植えています。
ワインはボルドー系ブレンドのクインテッサのほか、ソーヴィニョン・ブランのイルミネーションの二つだけを作っています。セカンドワインもありません。
クインテッサのワインのスタイルはクラシック。ナパのボルドー系ブレンドの中でもオーパス・ワンと並んでエレガントな作りです。
写真はクインテッサの畑を映したものです。南から北側を映しています、中央にため池があり、その両側も畑。東側はシルバラード・トレイル、西側はナパ川が区切りとなっています。
この写真からもわかるように、クインテッサの畑は斜面の向きや土壌の種類など、かなり多様性に富んでいます。数あるナパのワイナリーの中でもこれだけ多様な土地を持っているところはほとんどないのではないかと思います。ラザフォードの北部でナパヴァレーの谷幅が狭くなるあたり。東の山からの火山性の土壌とナパ川による退席性の土壌がどちらも畑の中にあります。クインテッサでは近年は土壌の専門家を招聘し、最適な品種や仕立てなどを追求しています。
今回のインタビューにおいても、ロドリゴ氏は多様性の維持が大事だと言っており、それがワインにもたらす要素を大事にしています。例えばため池の西側は石が多く、ストラクチャーの強いワインができます。そのためストラクチャーの元となるカベルネ・ソーヴィニョンを植えています。シルヴァラード・トレイルに沿ったところは火山由来の灰が多く、ワインにもチョーキーなニュアンスが出ます。ここにはカベルネ・フランを植えています。逆に川に近いところはちょっと重い土壌でワインは柔らかくなります。ここはメルローです。
このほかクインテッサの特徴としてはカルメネールがありますが、これもメルロー同様川に近いところがいいようです。
土壌の話が長くなりましたが、生物多様性も重視しており、多様な動物がいられる環境を作っています。これは地球温暖化や干ばつへの対策にもなると考えています。
ワイン造りでは新樽の比率を年々減らしており60%減ったとのことでした。ワインのピュアさを大事にしていくそうです。
ワインの試飲は2022年のイルミネーションから始めました。ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンドで、セミヨンは外部のブドウも使っています。具体的にはナパのカリストガ、ソノマはベネット・ヴァレーから調達しているそうです。発酵は古樽とコンクリートを使っています。
グレープフルーツにややトロピカルなグアバの印象。樽からくるヴァニラはかなり控えめ、アカシアの花、シナモン、貝殻など香り豊かで多彩。酸はやや豊か、ボディも比較的しっかりしており長い余韻を持っています。とてもいいソーヴィニヨン・ブランです。
なお、クインテッサはボルドー経由で日本に入ってきますが、イルミネーションはファインズの扱いになっています。
次にいよいよ2020年のクインテッサです。
2020年は9月下旬にグラス・ファイアーの火災が起き、ナパのスプリングマウンテンからセントヘレナにかけて延焼していきました。クインテッサのあるラザフォードもかなり近い地域です。温暖で収穫が早めに始まり、火事の前に収穫できたものがワインになっています。
香りは例年に比べるとソフトで温かい印象。ヴィンテージの温暖さが表れているようです。ブラックチェリーにプラム、バラ、生肉、白コショウ、トマトの葉などの香りを感じました。個人的にはより緊張感のある仕上がりだった2019年や2018年に比べると少し落ちるとは思いますが、十分にいいワインです。
最後に2023年について伺いました。今年は冬から春先に雨が多く、それで土壌の状態がかなり改善されたといいます。前の年と比べると5倍ほどの降水があったようです。そういったことから、ブドウに新鮮さと明るさがあるとのこと。素晴らしいできで9月26日から収穫を始めたそうです。
来年以降がまた楽しみになるクインテッサです。
昨年までの記事はこちら。
クインテッサ2019は傑作2018を超える!?
クラシックスタイルのトップ級、さらに進化するクインテッサ
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
まずはクインテッサについて基本情報を記しておきます。
クインテッサはチリのコンチャイトロのCEOだったアグスティン・ヒューネウス(Agustin Huuneus)がナパのラザフォードに設立したワイナリー。設立以来、オーガニックで栽培をしており、現在はデメターからバイオダイナミクス(ビオディナミ)の認証も受けています。畑を切り開いた最初から有機栽培であり、土地に農薬が一度も使われていないという価値があります。
場所はラザフォードの東北部。ちょうどナパ・ヴァレーがぐんと幅を狭くしていくあたりです。西側はナパ・リヴァー、東側はシルバラード・トレイルに挟まれた200エーカーを超える広大な畑を持っています。ヴァレー・フロアではありますが畑の中に丘や池などがあり、5種類の斜面からなり、土壌などもかなり変化に富んだ畑です。
ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、カベルネ・フランやメルロー、プティ・ヴェルドなど。珍しいところではチリの固有品種であるカルメネール(正確にはボルドーから持ち込まれた品種ですが、現在ではほとんどチリだけで作られています)を一部植えています。
ワインはボルドー系ブレンドのクインテッサのほか、ソーヴィニョン・ブランのイルミネーションの二つだけを作っています。セカンドワインもありません。
クインテッサのワインのスタイルはクラシック。ナパのボルドー系ブレンドの中でもオーパス・ワンと並んでエレガントな作りです。
写真はクインテッサの畑を映したものです。南から北側を映しています、中央にため池があり、その両側も畑。東側はシルバラード・トレイル、西側はナパ川が区切りとなっています。
この写真からもわかるように、クインテッサの畑は斜面の向きや土壌の種類など、かなり多様性に富んでいます。数あるナパのワイナリーの中でもこれだけ多様な土地を持っているところはほとんどないのではないかと思います。ラザフォードの北部でナパヴァレーの谷幅が狭くなるあたり。東の山からの火山性の土壌とナパ川による退席性の土壌がどちらも畑の中にあります。クインテッサでは近年は土壌の専門家を招聘し、最適な品種や仕立てなどを追求しています。
今回のインタビューにおいても、ロドリゴ氏は多様性の維持が大事だと言っており、それがワインにもたらす要素を大事にしています。例えばため池の西側は石が多く、ストラクチャーの強いワインができます。そのためストラクチャーの元となるカベルネ・ソーヴィニョンを植えています。シルヴァラード・トレイルに沿ったところは火山由来の灰が多く、ワインにもチョーキーなニュアンスが出ます。ここにはカベルネ・フランを植えています。逆に川に近いところはちょっと重い土壌でワインは柔らかくなります。ここはメルローです。
このほかクインテッサの特徴としてはカルメネールがありますが、これもメルロー同様川に近いところがいいようです。
土壌の話が長くなりましたが、生物多様性も重視しており、多様な動物がいられる環境を作っています。これは地球温暖化や干ばつへの対策にもなると考えています。
ワイン造りでは新樽の比率を年々減らしており60%減ったとのことでした。ワインのピュアさを大事にしていくそうです。
ワインの試飲は2022年のイルミネーションから始めました。ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンドで、セミヨンは外部のブドウも使っています。具体的にはナパのカリストガ、ソノマはベネット・ヴァレーから調達しているそうです。発酵は古樽とコンクリートを使っています。
グレープフルーツにややトロピカルなグアバの印象。樽からくるヴァニラはかなり控えめ、アカシアの花、シナモン、貝殻など香り豊かで多彩。酸はやや豊か、ボディも比較的しっかりしており長い余韻を持っています。とてもいいソーヴィニヨン・ブランです。
なお、クインテッサはボルドー経由で日本に入ってきますが、イルミネーションはファインズの扱いになっています。
次にいよいよ2020年のクインテッサです。
2020年は9月下旬にグラス・ファイアーの火災が起き、ナパのスプリングマウンテンからセントヘレナにかけて延焼していきました。クインテッサのあるラザフォードもかなり近い地域です。温暖で収穫が早めに始まり、火事の前に収穫できたものがワインになっています。
香りは例年に比べるとソフトで温かい印象。ヴィンテージの温暖さが表れているようです。ブラックチェリーにプラム、バラ、生肉、白コショウ、トマトの葉などの香りを感じました。個人的にはより緊張感のある仕上がりだった2019年や2018年に比べると少し落ちるとは思いますが、十分にいいワインです。
最後に2023年について伺いました。今年は冬から春先に雨が多く、それで土壌の状態がかなり改善されたといいます。前の年と比べると5倍ほどの降水があったようです。そういったことから、ブドウに新鮮さと明るさがあるとのこと。素晴らしいできで9月26日から収穫を始めたそうです。
来年以降がまた楽しみになるクインテッサです。
今年春に「カリフォルニア、カベルネ・フランの真髄」という記事で、ハーランのカベルネ・フランなどカベルネ・フランの超貴重ワインばかりのワイン会の話を紹介しました。同じ方から今度はメルロー会をやりましょうとのことで参加してきました。
メルローにこだわったというこの会、乾杯のスパークリングもメルローです。北海道余市のリタファーム&ワイナリーが作るペットナットのメルロー。レッドベリーの風味がチャーミング。
この会、料理も凝りに凝ったものが登場します。まずはすり身にイカ墨を合わせたトースト。見た目もおしゃれです。
ワインはいきなりお宝中のお宝です。なんとスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの1974年のメルローです。かのパリスの審判のワインの次の年のメルローです。
50年近く熟成したワインですが、まだ赤果実の風味が残っています。とにかくきれいでエレガント。酸もほどよくあり染み入るような味わい。酸化した風味もなく最高の熟成状態です。
こちらの料理はシラスに、1週間ホエイに漬けて発酵させた玉露を混ぜたもの。これも素晴らしい風味。ワインが酸化していたら、これにレモン風味を付ける予定だったそうですが、まったくその必要はありませんでした。
次のワインはポール・ホブスのマイケル・ブラック・ヴィンヤード2003。マイケル・ブラック・ヴィンヤードはナパのクームズヴィルにある畑。今はCohoというワイナリーがメルローを作っているようです。
こちらはマッシュルームやトリュフのようなキノコの風味や腐葉土など、熟成香が素晴らしい。メルローが熟成するともっと獣系の香りが出てくるのかと思っていましたが、植物系の熟成香が中心でした。ブラックベリーなどの果実味もあり、多少甘やかな味わいがカリフォルニアらしさを感じさせます。
これに合わせた料理がまたすごい。和牛のハラミを白味噌の汁に仕立て、グリーンカレーの風味を少しだけつけています。肉の旨味、汁の出汁、白味噌の甘味をグリーンカレーのスパイスが引き締めて、これがポール・ホブスに素晴らしく合いました。ペアリングの妙ということではこの日の一番だったかもしれません。
次はなんとメルローで作った白ワイン。長野の塩尻にあるヴォータノのメルロー・ブランです。ちょっとオレンジっぽい風味。酸がきれいでさわやかなワイン。
料理もさわやかに魚介のサラダ仕立て。緑黄野菜と長谷川農産ホワイトマッシュルーム、壱岐穴子の一夜干し、ヒラメの昆布締め、明石蛸、大ハマグリのサフランジュレがけ。
素材がどれも素晴らしく美味しいです。
ワインはダックホーンのメルロー、スリー・パームス・ヴィンヤード1988。スリー・パームスのメルローを飲んだことある方は結構いらっしゃると思いますが、1988年となるとほとんどいないだろうと思います。
ちょっとミンティな風味を感じます。果実味もきれいに残りエレガント。今回、メルローがこんなにきれいに熟成するのを初めて知りました。旨味もあり美味しい。
料理は牛すじ出汁と金針菜の煮込み。カイケム(アヒルの塩漬け玉子)と腐乳のソース。肉の旨味と出汁がむちゃくちゃ美味しい。今日の料理は基本的に和食の仕立てです。
次のワインはプライド・マウンテン。スプリング・マウンテンの山のメルローで一世を風靡したワイナリーです。ナパとソノマの境にワイナリーがあり、どちらのワインも作っている(ナパとソノマの両方のAVAがついたワインもあります)というのもユニークなワイナリーですが、今回のワインはソノマ側の畑のようです。Vintner’s Selectというキュベでワインメーカーのロバート・フォーリーの好きなロットも加えているとのこと。またカベルネ・ソーヴィニョンを20%入れています。
この日のワインでは一番リッチで濃厚なワイン。スパイシーでプルーンのような熟した果実の風味。酸もタンニンもしっかりしているところが山らしい。
これに合わせた料理がまた面白い。米ナスのナスの含め煮のキャラメリゼ。どんこ椎茸とジュンサイのゼリー掛け。ゼリーを含めて完全にヴィーガンな料理です。キャラメリゼの甘味がプライドの熟した果実感によく合います。
次のワインはブラインドで飲んだのですがまったくわかりませんでした。色はまあまあ濃く、果実味も結構あるのですが、香りはかなり熟成感があります。酸の強さもあり、90年代のメルローかと思ったのですが、実際には2012年のワイン。しかもフィリップ・メルカがボルドーのサンテミリオンで作ったワイン。カベルネ・フランが3分の2、メルローが3分の1です。いわれてみるとなるほどという感じ。ただ、果実味が強いところなど、ボルドーよりナパっぽい感じもします。
料理はこの日のゲストシェフの浅倉鼓太郎さん(銀座・鼓門)によるサーモンと黄韮のアンチョビソース。イクラはゆっくりと熱を入れて半熟卵状態になっており、ソースはそのイクラをさらに裏ごししたものという凝った料理。サーモンのかりかりの皮も美味しい。柑橘の風味がワインによく合います。
さて、豪華な会もついに最後のメルローです。コルギンのメルロー、ジュビレーション2002。コルギンは最近、ジュビレーションの名前でセカンドワインを作っていますが、これはセカンドではないジュビレーション。というか、そもそもコルギンがメルローを作っていたのも知らなかったです。2002年は自社畑IX(ナンバーナイン)エステートの最初のヴィンテージですが、そこのブドウなのかどうかもわかりません。
このワイン、素晴らしかったです。とにかく緻密でスムーズなテクスチャー。赤系・黒系の果実もまだしっかりしています。タンニンも極めてシルキー。「テクスチャーはごまかしが効かない」という話を今年だれかから聞いたのですが、それを思い出しました(誰が言っていたのか覚えている人教えてください)。
この日のもう一人のゲストシェフ古賀哲司さんによるブリスケのステーキ。火の入れ方がすばらしく、ブリスケを柔らかくうまみたっぷりに仕上げています。
これでワインは終了の予定でしたが…
もう1本くらい何か飲みましょうかというホストのありがたいお言葉で、セラーからワインを探します。コングスガードのメルローが2本あったので、メルローつながりでそれにしようかというところだったのですが、コングスガードならジャッジもありますよ、ということでセラーに2本あったザ・ジャッジの2004年をありがたくいただきました。
やや酸は低めですが、とろけるようなハチミツの風味がまるでデザートワインのよう(ワイン自体はドライです)。
デザートがゴルゴンゾーラの杏仁豆腐だったのですが、これともすごくよく合いました。
料理もワインもどれもすばらしく、めったに飲むことのできない熟成したメルローを堪能しました。カリフォルニアのメルローがこんなにきれいに熟成するというのも驚きでした。
メルローはカベルネ・ソーヴィニョンの陰にかくれて、なかなか位置付けが難しいブドウになっているところもありますが、メルローはメルローとしての良さがあることも改めて認識しました。
貴重な会に参加させていただき、ありがとうございました。
メルローにこだわったというこの会、乾杯のスパークリングもメルローです。北海道余市のリタファーム&ワイナリーが作るペットナットのメルロー。レッドベリーの風味がチャーミング。
この会、料理も凝りに凝ったものが登場します。まずはすり身にイカ墨を合わせたトースト。見た目もおしゃれです。
ワインはいきなりお宝中のお宝です。なんとスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの1974年のメルローです。かのパリスの審判のワインの次の年のメルローです。
50年近く熟成したワインですが、まだ赤果実の風味が残っています。とにかくきれいでエレガント。酸もほどよくあり染み入るような味わい。酸化した風味もなく最高の熟成状態です。
こちらの料理はシラスに、1週間ホエイに漬けて発酵させた玉露を混ぜたもの。これも素晴らしい風味。ワインが酸化していたら、これにレモン風味を付ける予定だったそうですが、まったくその必要はありませんでした。
次のワインはポール・ホブスのマイケル・ブラック・ヴィンヤード2003。マイケル・ブラック・ヴィンヤードはナパのクームズヴィルにある畑。今はCohoというワイナリーがメルローを作っているようです。
こちらはマッシュルームやトリュフのようなキノコの風味や腐葉土など、熟成香が素晴らしい。メルローが熟成するともっと獣系の香りが出てくるのかと思っていましたが、植物系の熟成香が中心でした。ブラックベリーなどの果実味もあり、多少甘やかな味わいがカリフォルニアらしさを感じさせます。
これに合わせた料理がまたすごい。和牛のハラミを白味噌の汁に仕立て、グリーンカレーの風味を少しだけつけています。肉の旨味、汁の出汁、白味噌の甘味をグリーンカレーのスパイスが引き締めて、これがポール・ホブスに素晴らしく合いました。ペアリングの妙ということではこの日の一番だったかもしれません。
次はなんとメルローで作った白ワイン。長野の塩尻にあるヴォータノのメルロー・ブランです。ちょっとオレンジっぽい風味。酸がきれいでさわやかなワイン。
料理もさわやかに魚介のサラダ仕立て。緑黄野菜と長谷川農産ホワイトマッシュルーム、壱岐穴子の一夜干し、ヒラメの昆布締め、明石蛸、大ハマグリのサフランジュレがけ。
素材がどれも素晴らしく美味しいです。
ワインはダックホーンのメルロー、スリー・パームス・ヴィンヤード1988。スリー・パームスのメルローを飲んだことある方は結構いらっしゃると思いますが、1988年となるとほとんどいないだろうと思います。
ちょっとミンティな風味を感じます。果実味もきれいに残りエレガント。今回、メルローがこんなにきれいに熟成するのを初めて知りました。旨味もあり美味しい。
料理は牛すじ出汁と金針菜の煮込み。カイケム(アヒルの塩漬け玉子)と腐乳のソース。肉の旨味と出汁がむちゃくちゃ美味しい。今日の料理は基本的に和食の仕立てです。
次のワインはプライド・マウンテン。スプリング・マウンテンの山のメルローで一世を風靡したワイナリーです。ナパとソノマの境にワイナリーがあり、どちらのワインも作っている(ナパとソノマの両方のAVAがついたワインもあります)というのもユニークなワイナリーですが、今回のワインはソノマ側の畑のようです。Vintner’s Selectというキュベでワインメーカーのロバート・フォーリーの好きなロットも加えているとのこと。またカベルネ・ソーヴィニョンを20%入れています。
この日のワインでは一番リッチで濃厚なワイン。スパイシーでプルーンのような熟した果実の風味。酸もタンニンもしっかりしているところが山らしい。
これに合わせた料理がまた面白い。米ナスのナスの含め煮のキャラメリゼ。どんこ椎茸とジュンサイのゼリー掛け。ゼリーを含めて完全にヴィーガンな料理です。キャラメリゼの甘味がプライドの熟した果実感によく合います。
次のワインはブラインドで飲んだのですがまったくわかりませんでした。色はまあまあ濃く、果実味も結構あるのですが、香りはかなり熟成感があります。酸の強さもあり、90年代のメルローかと思ったのですが、実際には2012年のワイン。しかもフィリップ・メルカがボルドーのサンテミリオンで作ったワイン。カベルネ・フランが3分の2、メルローが3分の1です。いわれてみるとなるほどという感じ。ただ、果実味が強いところなど、ボルドーよりナパっぽい感じもします。
料理はこの日のゲストシェフの浅倉鼓太郎さん(銀座・鼓門)によるサーモンと黄韮のアンチョビソース。イクラはゆっくりと熱を入れて半熟卵状態になっており、ソースはそのイクラをさらに裏ごししたものという凝った料理。サーモンのかりかりの皮も美味しい。柑橘の風味がワインによく合います。
さて、豪華な会もついに最後のメルローです。コルギンのメルロー、ジュビレーション2002。コルギンは最近、ジュビレーションの名前でセカンドワインを作っていますが、これはセカンドではないジュビレーション。というか、そもそもコルギンがメルローを作っていたのも知らなかったです。2002年は自社畑IX(ナンバーナイン)エステートの最初のヴィンテージですが、そこのブドウなのかどうかもわかりません。
このワイン、素晴らしかったです。とにかく緻密でスムーズなテクスチャー。赤系・黒系の果実もまだしっかりしています。タンニンも極めてシルキー。「テクスチャーはごまかしが効かない」という話を今年だれかから聞いたのですが、それを思い出しました(誰が言っていたのか覚えている人教えてください)。
この日のもう一人のゲストシェフ古賀哲司さんによるブリスケのステーキ。火の入れ方がすばらしく、ブリスケを柔らかくうまみたっぷりに仕上げています。
これでワインは終了の予定でしたが…
もう1本くらい何か飲みましょうかというホストのありがたいお言葉で、セラーからワインを探します。コングスガードのメルローが2本あったので、メルローつながりでそれにしようかというところだったのですが、コングスガードならジャッジもありますよ、ということでセラーに2本あったザ・ジャッジの2004年をありがたくいただきました。
やや酸は低めですが、とろけるようなハチミツの風味がまるでデザートワインのよう(ワイン自体はドライです)。
デザートがゴルゴンゾーラの杏仁豆腐だったのですが、これともすごくよく合いました。
料理もワインもどれもすばらしく、めったに飲むことのできない熟成したメルローを堪能しました。カリフォルニアのメルローがこんなにきれいに熟成するというのも驚きでした。
メルローはカベルネ・ソーヴィニョンの陰にかくれて、なかなか位置付けが難しいブドウになっているところもありますが、メルローはメルローとしての良さがあることも改めて認識しました。
貴重な会に参加させていただき、ありがとうございました。
これまで紹介したワインは
ピゾーニファミリーの輸入元は中川ワインに
中川ワインの試飲会で美味しかったワイン(2023年秋)前半
中川ワインの試飲会で美味しかったワイン(2023年秋)中盤
をご覧ください。
最後は「特別試飲コーナー」という高額ワインばかりが並ぶコーナーです。
まずはコーナー最初の3つのシャルドネがどれも素晴らしかった。
トアー(Tor)とリリックス(Lyrix)はどちらもナパのカーネロスの畑。トアーはリッチでボリューム豊かなスタイル。リリックスはかつてセインツベリーで名を馳せたブラウン・ランチのブドウで、ワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。2016年はデビュー・ヴィンテージで、今回2016~2018のワインが入荷しているようです。こちらは豊かな果実味と同時に酸もきれいでバランスが秀逸。ちなみに、このワイナリーは2023年以降、名前を変更するようです。
三つ目のシブミ・ノールはロシアン・リバー・ヴァレーのワイン。上記2つと比べると酸がより引き立った味わい。これも素晴らしい。
次は再びトアーからオークヴィルのカベルネ・ソーヴィニョン。4月に訪問したオークヴィルのTierra Rojaの畑のブドウを中心に使っています。ダラ・ヴァレの畑の真下にある畑。ワインはバランスが素晴らしい。1万8000円はこのクオリティでは安いでしょう。
ハーラン・エステートやプロモントリーの若木を使ったザ・マスコット。ハーランのメイデンや、ボンドのメイトリアークといった秀逸なセカンドワインがほぼ日本に入ってこなくなってしまった今、ハーラン系の廉価版はこれだけです。ハーランともプロモントリーとも違ったスタイルですが、リッチな果実味の説得力が圧倒的。美味しいです。
オークヴィルの銘醸畑ヴァイン・ヒル・ランチ(VHR)。ワイナリーとしてはやや地味な存在ですが、ここのワインはもっと高く評価されていいと思います。これもオークヴィルらしい緻密な果実味があり、バランスがいい。爆発的なワインではないですが、落ち着きを感じるワイン。
アミューズ・ヴーシュのレッドワインはメルロー主体のワインの中ではナパの最高峰と言っていいでしょう。秀逸な果実味に酸がきれいです。スケールの大きなワイン。
ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのカベルネ・フランブレンド「エライザズ・キュベ」。カベルネ・フラン中心のワインです。カベルネ・フラン主体のワインとしては、ややリッチ方向に偏っている感じもありますが、それも含めて個人的には好きなワイン。
長くかかってしまいましたが、中川ワインの試飲会からの今回の紹介はここまでです。
ピゾーニファミリーの輸入元は中川ワインに
中川ワインの試飲会で美味しかったワイン(2023年秋)前半
中川ワインの試飲会で美味しかったワイン(2023年秋)中盤
をご覧ください。
最後は「特別試飲コーナー」という高額ワインばかりが並ぶコーナーです。
まずはコーナー最初の3つのシャルドネがどれも素晴らしかった。
トアー(Tor)とリリックス(Lyrix)はどちらもナパのカーネロスの畑。トアーはリッチでボリューム豊かなスタイル。リリックスはかつてセインツベリーで名を馳せたブラウン・ランチのブドウで、ワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。2016年はデビュー・ヴィンテージで、今回2016~2018のワインが入荷しているようです。こちらは豊かな果実味と同時に酸もきれいでバランスが秀逸。ちなみに、このワイナリーは2023年以降、名前を変更するようです。
三つ目のシブミ・ノールはロシアン・リバー・ヴァレーのワイン。上記2つと比べると酸がより引き立った味わい。これも素晴らしい。
次は再びトアーからオークヴィルのカベルネ・ソーヴィニョン。4月に訪問したオークヴィルのTierra Rojaの畑のブドウを中心に使っています。ダラ・ヴァレの畑の真下にある畑。ワインはバランスが素晴らしい。1万8000円はこのクオリティでは安いでしょう。
ハーラン・エステートやプロモントリーの若木を使ったザ・マスコット。ハーランのメイデンや、ボンドのメイトリアークといった秀逸なセカンドワインがほぼ日本に入ってこなくなってしまった今、ハーラン系の廉価版はこれだけです。ハーランともプロモントリーとも違ったスタイルですが、リッチな果実味の説得力が圧倒的。美味しいです。
オークヴィルの銘醸畑ヴァイン・ヒル・ランチ(VHR)。ワイナリーとしてはやや地味な存在ですが、ここのワインはもっと高く評価されていいと思います。これもオークヴィルらしい緻密な果実味があり、バランスがいい。爆発的なワインではないですが、落ち着きを感じるワイン。
アミューズ・ヴーシュのレッドワインはメルロー主体のワインの中ではナパの最高峰と言っていいでしょう。秀逸な果実味に酸がきれいです。スケールの大きなワイン。
ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのカベルネ・フランブレンド「エライザズ・キュベ」。カベルネ・フラン中心のワインです。カベルネ・フラン主体のワインとしては、ややリッチ方向に偏っている感じもありますが、それも含めて個人的には好きなワイン。
長くかかってしまいましたが、中川ワインの試飲会からの今回の紹介はここまでです。
中川ワインの試飲会から後半です。なお、ピゾーニのワインについては「ピゾーニファミリーの輸入元は中川ワインに」をご覧ください。
まずはジンファンデルから、ペドロンチェリ・ジンファンデル・ブッシュネル・ヴィンヤード2021。ペドロンチェリは以前から中川ワインが輸入していますが、今回ラベルが変わりました。ワインもこれまでより少し高級ワインをめざしているようです。このジンファンデルもかなりタニックでパワフル、複雑味があります。
ベッドロックのオールド・ヴァイン・ジンファンデルは個人的にも大好きなワイン。今回の2021年はテクスチャもよく、ジューシーで旨味にあふれています。
ジャム・セラーズのバターといえばシャルドネのイメージですが、カベルネ・ソーヴィニョンもあります。バターの名に恥じないリッチ系の味わいですごく美味しい。カベルネ・ソーヴィニヨンの入門として飲んでほしいワイン。
デコイの上級版リミテッド・シリーズのカベルネ・ソーヴィニョンは5000円以下カベルネ・ソーヴィニヨンの中でトップクラスの味わい。
シャルドネでも紹介した新入荷のリンカーン・セラーズのカベルネ・ソーヴィニョン。ナパのヨントヴィルのブドウを使っており、ヨントヴィルらしい酸の高さと複雑味があります。
これも新入荷のナパのティストリアというワイナリー。リンカーン・セラーズがヨントヴィルの中心部のブドウを使っているのに対し、こちらはヨントヴィルの西側。ドミナスなどのある方面です。非常にバランスよく複雑さもあり美味しい。リンカーンとどちらがいいかは迷いますが個人的にはこちらに軍配を上げます。
ホーニッグのカベルネ・ソーヴィニョンはナパのカベルネ・ソーヴィニョンの中でも定番といっていいでしょう・ラザフォードの自社畑のブドウを中心にしています。黒鉛のような緻密な風味。複雑さがあって美味しい。
2010年代にナパで急成長したカベルネ・ソーヴィニョンの一つがテイクン(Taken)でした。モダンなラベルと価格を上回る品質で一躍人気ブランドになりましたが、それを始めたのがジョシュ・フェルプス。ドミナスなどでワインメーカーを務めたクリス・フェルプスの子供です。テイクンはトリンチェロと一緒に始めたのですが、2017年に持ち分をトリンチェロに売却。新たに自身のワイナリーとして始めたのがグラウンデッド(Grounded)です。写真のワインはそのグラウンデッドのステディ・ステートというカベルネ・ソーヴィニョン。ナパ各地のブドウをブレンドしており、バランスよく美味しい。
今回は、これまでやや手薄に感じられていた5000円から1万円未満のカベルネ・ソーヴィニョンが非常に充実しています。新入荷のものも多く、大変勉強になりましたが、このキャッターウォウル(Caterwaul)がその真打かもしれません。なんとワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。彼が作るカベルネ・ソーヴィニョンの中では最安ではないでしょうか。このブランドは彼がナパで6世代目の農家を継いだマット・ハーディンと組んで作るもの。キャッターウォウルというのは猫のギャアギャア鳴く声のことですが、二人の言い合う姿からこの名前を取ったそうです。それだけ真剣に取り組んでいるということなのでしょう。ブドウはハーディンの管理するポープ・ヴァレーやスタッグスリープなどの畑のものを使っています。トーマス・リヴァース・ブラウンらしい濃密な果実味ときれいな酸がありレベルが高い。彼のワインの入門としてもお薦めです。
そのトーマス・リヴァース・ブラウンといえばシュレーダーで名を馳せたわけですが、シュレーダーの廉価版で昨年はワイン・スペクテーターで年間1位を取って話題を呼んだのがダブル・ダイヤモンド。新入荷の2021年からはラベルが変わりました。相変わらずリッチで濃厚な味わい。世界で唯一モンダヴィ(コンステレーション)のト・カロンとベクストファー・ト・カロンの両方のブドウを使った贅沢なワイン。
スタッグリンからは今回営業のアンバー・ミーナさんが来日。別ブースでの試飲でした。スタッグリンはナパのラザフォードを代表するワイナリーの一つ。カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネをファーストとセカンド(サルース)の2つだけ作るというシンプルな製品構成。どれもナパらしい素晴らしい果実味を持ち、洗練さも感じさせる味わいです。今回知ったのはシャルドネはサルースとスタッグリンで使っているクローンが違うとのこと。サルースはマウント・エデンなどのカリフォルニアで使われているクローン、スタッグリンはムルソー由来のクローンだそうです。どちらもMLFはなし。リッチでパワフルですがきれいな味わいなのはそのためでしょう。
スタッグリンのカベルネ・ソーヴィニョンは洗練された味わいが特徴。ラザフォードのマヤカマス側のいわゆるラザフォード・ベンチのワインとしてトップの一つでしょう。おそらくライバルはイングルヌックのルビコンだと思いますが、ルビコンがボルドースタイルのクラシックな味わいなのに対してスタッグリンはモダンナパ系の味わい。セカンドのサルースもファーストほどの複雑さはないものの素晴らしいワインです。
今日の記事で最後までいくつもりでしたが、寝る時間がなくなりそうなので、残りは次の記事で!
まずはジンファンデルから、ペドロンチェリ・ジンファンデル・ブッシュネル・ヴィンヤード2021。ペドロンチェリは以前から中川ワインが輸入していますが、今回ラベルが変わりました。ワインもこれまでより少し高級ワインをめざしているようです。このジンファンデルもかなりタニックでパワフル、複雑味があります。
ベッドロックのオールド・ヴァイン・ジンファンデルは個人的にも大好きなワイン。今回の2021年はテクスチャもよく、ジューシーで旨味にあふれています。
ジャム・セラーズのバターといえばシャルドネのイメージですが、カベルネ・ソーヴィニョンもあります。バターの名に恥じないリッチ系の味わいですごく美味しい。カベルネ・ソーヴィニヨンの入門として飲んでほしいワイン。
デコイの上級版リミテッド・シリーズのカベルネ・ソーヴィニョンは5000円以下カベルネ・ソーヴィニヨンの中でトップクラスの味わい。
シャルドネでも紹介した新入荷のリンカーン・セラーズのカベルネ・ソーヴィニョン。ナパのヨントヴィルのブドウを使っており、ヨントヴィルらしい酸の高さと複雑味があります。
これも新入荷のナパのティストリアというワイナリー。リンカーン・セラーズがヨントヴィルの中心部のブドウを使っているのに対し、こちらはヨントヴィルの西側。ドミナスなどのある方面です。非常にバランスよく複雑さもあり美味しい。リンカーンとどちらがいいかは迷いますが個人的にはこちらに軍配を上げます。
ホーニッグのカベルネ・ソーヴィニョンはナパのカベルネ・ソーヴィニョンの中でも定番といっていいでしょう・ラザフォードの自社畑のブドウを中心にしています。黒鉛のような緻密な風味。複雑さがあって美味しい。
2010年代にナパで急成長したカベルネ・ソーヴィニョンの一つがテイクン(Taken)でした。モダンなラベルと価格を上回る品質で一躍人気ブランドになりましたが、それを始めたのがジョシュ・フェルプス。ドミナスなどでワインメーカーを務めたクリス・フェルプスの子供です。テイクンはトリンチェロと一緒に始めたのですが、2017年に持ち分をトリンチェロに売却。新たに自身のワイナリーとして始めたのがグラウンデッド(Grounded)です。写真のワインはそのグラウンデッドのステディ・ステートというカベルネ・ソーヴィニョン。ナパ各地のブドウをブレンドしており、バランスよく美味しい。
今回は、これまでやや手薄に感じられていた5000円から1万円未満のカベルネ・ソーヴィニョンが非常に充実しています。新入荷のものも多く、大変勉強になりましたが、このキャッターウォウル(Caterwaul)がその真打かもしれません。なんとワインメーカーはトーマス・リヴァース・ブラウン。彼が作るカベルネ・ソーヴィニョンの中では最安ではないでしょうか。このブランドは彼がナパで6世代目の農家を継いだマット・ハーディンと組んで作るもの。キャッターウォウルというのは猫のギャアギャア鳴く声のことですが、二人の言い合う姿からこの名前を取ったそうです。それだけ真剣に取り組んでいるということなのでしょう。ブドウはハーディンの管理するポープ・ヴァレーやスタッグスリープなどの畑のものを使っています。トーマス・リヴァース・ブラウンらしい濃密な果実味ときれいな酸がありレベルが高い。彼のワインの入門としてもお薦めです。
そのトーマス・リヴァース・ブラウンといえばシュレーダーで名を馳せたわけですが、シュレーダーの廉価版で昨年はワイン・スペクテーターで年間1位を取って話題を呼んだのがダブル・ダイヤモンド。新入荷の2021年からはラベルが変わりました。相変わらずリッチで濃厚な味わい。世界で唯一モンダヴィ(コンステレーション)のト・カロンとベクストファー・ト・カロンの両方のブドウを使った贅沢なワイン。
スタッグリンからは今回営業のアンバー・ミーナさんが来日。別ブースでの試飲でした。スタッグリンはナパのラザフォードを代表するワイナリーの一つ。カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネをファーストとセカンド(サルース)の2つだけ作るというシンプルな製品構成。どれもナパらしい素晴らしい果実味を持ち、洗練さも感じさせる味わいです。今回知ったのはシャルドネはサルースとスタッグリンで使っているクローンが違うとのこと。サルースはマウント・エデンなどのカリフォルニアで使われているクローン、スタッグリンはムルソー由来のクローンだそうです。どちらもMLFはなし。リッチでパワフルですがきれいな味わいなのはそのためでしょう。
スタッグリンのカベルネ・ソーヴィニョンは洗練された味わいが特徴。ラザフォードのマヤカマス側のいわゆるラザフォード・ベンチのワインとしてトップの一つでしょう。おそらくライバルはイングルヌックのルビコンだと思いますが、ルビコンがボルドースタイルのクラシックな味わいなのに対してスタッグリンはモダンナパ系の味わい。セカンドのサルースもファーストほどの複雑さはないものの素晴らしいワインです。
今日の記事で最後までいくつもりでしたが、寝る時間がなくなりそうなので、残りは次の記事で!
試飲会レポート4連続の最後は中川ワインです。こちらは品種別に並んでいます。
マックマニスのヴィオニエはヴィオニエという割と難しい品種を1000円台でうまくまとめたワイン。ヴィオニエらしさもちゃんとあり、美味しいです。
アルマ・デ・カトレアのソーヴィニョン・ブランはワインスペクテーターの年間トップ100にも入ったことがあるワイン。エレガントで旨味もあります。素晴らしい。
アルマ・デ・カトレアを作っているビビアナ・ゴンザレス・レーヴの上位品がこちらのシェアード・ノーツ。ソーヴィニョン・ブランではトップクラスの生産者です。ボルドータイプのこちらはセミヨンが20%ブレンドされています。リッチ感がありながらも極めてエレガント。新樽100%なのに樽の風味を最小限にしか感じないのもすごいワインです。
新入荷のナパのワイナリー「リンカーン・セラーズ」。シャルドネはリッチ系の味わい。4000円台とは思えないほどの高級感があります。瓶熟を4年間してから出荷するというユニークなワイナリー。ほどよい熟成が高級感につながっています。
ハドソンのシャルドネは今年になってから6回くらい飲んでいますが、いつ飲んでもすばらしいワイン。リッチでクリーミーですが下品さの一切ないワイン。カリフォルニアのシャルドネのすばらしさを体現しているワインの一つだと思います。
オー・ボン・クリマの「ミッション・ラベル」ピノ・ノワール2021。ミッション・ラベルはオー・ボン・クリマが中川ワイン用に特別に作っているワインで、実は銘醸畑ビエン・ナシードのブドウを100%使っているという価格に見合わないワイン。きれいでバランスがいいです。
アルマ・デ・カトレアのピノ・ノワール。チャーミングな味わいで果実味のおいしさが半端ないです。
オー・ボン・クリマの「ノックス・アレキサンダー」ピノ・ノワール2019。先ほどのミッションラベルと同じビエン・ナシードのワインですが、こちらは比較的ボールドな味わい。酸もきれいです。
ウエスト・ソノマ・コーストの北端にあるアストンのセカンドのピノ・ノワール。タンニンもあり複雑できれい。ウエスト・ソノマ・コーストの一つの「らしさ」を体現しているワインです。
先ほどのノックス・アレキサンダーと並ぶオー・ボン・クリマのフラッグシップ「イザベル」。さまざまな畑のブレンドなので「カリフォルニア」になります。バランスよい味わい。
アストンのファースト・ワイン2018年。以前飲んだときはセカンドとの差があまりなく感じたのですが、今回は瓶熟が進んだためか劇的に美味。素晴らしいです。
バークレーに新たにワイナリーを作ったというノリアの新作はロシアン・リバー・ヴァレーの「ウミノ」という畑。バランスよく酸がきれいで果実味もほどよくあります。
前半はここまで。
後半では濃い系の赤を中心にお届けします。
マックマニスのヴィオニエはヴィオニエという割と難しい品種を1000円台でうまくまとめたワイン。ヴィオニエらしさもちゃんとあり、美味しいです。
アルマ・デ・カトレアのソーヴィニョン・ブランはワインスペクテーターの年間トップ100にも入ったことがあるワイン。エレガントで旨味もあります。素晴らしい。
アルマ・デ・カトレアを作っているビビアナ・ゴンザレス・レーヴの上位品がこちらのシェアード・ノーツ。ソーヴィニョン・ブランではトップクラスの生産者です。ボルドータイプのこちらはセミヨンが20%ブレンドされています。リッチ感がありながらも極めてエレガント。新樽100%なのに樽の風味を最小限にしか感じないのもすごいワインです。
新入荷のナパのワイナリー「リンカーン・セラーズ」。シャルドネはリッチ系の味わい。4000円台とは思えないほどの高級感があります。瓶熟を4年間してから出荷するというユニークなワイナリー。ほどよい熟成が高級感につながっています。
ハドソンのシャルドネは今年になってから6回くらい飲んでいますが、いつ飲んでもすばらしいワイン。リッチでクリーミーですが下品さの一切ないワイン。カリフォルニアのシャルドネのすばらしさを体現しているワインの一つだと思います。
オー・ボン・クリマの「ミッション・ラベル」ピノ・ノワール2021。ミッション・ラベルはオー・ボン・クリマが中川ワイン用に特別に作っているワインで、実は銘醸畑ビエン・ナシードのブドウを100%使っているという価格に見合わないワイン。きれいでバランスがいいです。
アルマ・デ・カトレアのピノ・ノワール。チャーミングな味わいで果実味のおいしさが半端ないです。
オー・ボン・クリマの「ノックス・アレキサンダー」ピノ・ノワール2019。先ほどのミッションラベルと同じビエン・ナシードのワインですが、こちらは比較的ボールドな味わい。酸もきれいです。
ウエスト・ソノマ・コーストの北端にあるアストンのセカンドのピノ・ノワール。タンニンもあり複雑できれい。ウエスト・ソノマ・コーストの一つの「らしさ」を体現しているワインです。
先ほどのノックス・アレキサンダーと並ぶオー・ボン・クリマのフラッグシップ「イザベル」。さまざまな畑のブレンドなので「カリフォルニア」になります。バランスよい味わい。
アストンのファースト・ワイン2018年。以前飲んだときはセカンドとの差があまりなく感じたのですが、今回は瓶熟が進んだためか劇的に美味。素晴らしいです。
バークレーに新たにワイナリーを作ったというノリアの新作はロシアン・リバー・ヴァレーの「ウミノ」という畑。バランスよく酸がきれいで果実味もほどよくあります。
前半はここまで。
後半では濃い系の赤を中心にお届けします。
試飲会レポート第3弾は都光です。都光の試飲会ではカリフォルニアワインのブースが机2つ分あったのですが、実はそのワインの説明役として、私自身がサーブ差し上げました。ワインの説明をしながら、空になりそうなボトルがあったら次のを抜栓しておいておいたり、なかなか忙しくも充実した時間を過ごさせていただきました。
ということで、今回は美味しかったワインではなく、私が担当した範囲のワイン全般を紹介する形にします。
写真の左から順に行きます。
まずはヘス。都光といえばヘスを思い出すくらい定番アイテムになっています。ヘスの中でもいくつかのブランドに分かれていますが、最初はシャーテイル・ランチ。レストラン向けに作られたという、コスパの高さに加えて、食事にオールマイティに合わせやすい中庸さを持ったワインです。
・ヘス・シャーテイル・ランチス カベルネ・ソーヴィニョン(4500円)
果実味の豊かさが印象的なワイン。バランスよく飲みやすい。
・ヘス・シャーテイル・ランチス ピノ・ノワール(4500円)
今回私が担当した範囲ではピノ・ノワールはこれ1本。ちょっと甘やかさのある果実味豊かなタイプ。
・ヘス・シャーテイル・ランチス シャルドネ(3800円)
バランスよくエレガントさもあるシャルドネ。樽も比較的しっかりきいたおいしいシャルドネです。
ここからはヘスの本拠地であるナパヴァレーのワインです。
・ヘス・アローミ・カベルネ・ソーヴィニヨン(8500円)
ヘスはナパ・ヴァレーのマウント・ヴィーダーに自社畑があり、このほかナパの北東地域にも、畑があります。アローミは後者のワインでややリッチなスタイル。
・ヘス・ナパヴァレー・シャルドネ(6500円)
結構きれいな作りです。樽も利いています。おいしい
・ヘス・マウント・ヴィーダー・カベルネ・ソーヴィニョン(25000円)
ヘスを代表するワインといっていいでしょう。山のワインらしくしっかりしたタンニンとストラクチャーがあるワイン素晴らしいです。
・ヘス・アイロン・コーラル・カベルネ・ソーヴィニョン(18000円)
マウント・ヴィーダーの畑とヘスのアローミで使っている平地のブドウをブレンドしたもの。味わいもリッチさと複雑さがほどよくあっていい感じです。
次はヘスの「ライオン」シリーズ。ライオン・シリーズはスケアクロウなどのワインメーカーとして知られるセリア・ウェルチがコンサルタントとして入っており、洗練された味わいが特徴になっています。
・ヘス・ライオン・テイマー・カベルネ・ソーヴィニヨン(15000円)
このカベルネ・ソーヴィニョンはちょっとだけマルベックがアクセントになっているワイン。こなれたタンニンやチョコレートのような風味が印象に残ります。
・ヘス・パンテラ・シャルドネ(12000円)
ライオン・シリーズのシャルドネの中では下位(といっても1万円超えます)のワイン。リッチでスムーズ、酸もきれい。バランスよく余韻長く素晴らしい。個人的にはこの日のベストといってもいいくらい美味しいワインでした。
・ヘス・ライオン・カベルネ・ソーヴィニヨン(60000円)
6万円という、今回の担当範囲では一番高額なワイン。これを目当てに試飲にくる方もたくさんいらっしゃいます。なので少しずつ注がせていただきました。マルベックが16%くらい入っています。なんといっても緻密で滑らかなテクスチャが素晴らしいワイン。濃厚ですが重さを感じない。余韻も長いです。さすがの美味しさでした。
・ヘス・ライオネス・シャルドネ(25000円)
とてもリッチで果実味豊かなシャルドネ。風味の強さはさすがです。
次は新入荷のワイナリーでバージェス(Burgess)とインク・グレード(Ink Grade)。どちらも同じグループのワイナリーで、ハイツ・セラーなどと同様、カールトン・マッコイが率いています。ナパでも注目されているグループのワイナリー。
バージェスはハウエル・マウンテンの山沿いに畑があります(ハウエル・マウンテンAVAには入っていません)。斜度最大29度というナパではかなりの急斜面に作られたソレンソンズ・ヴィンヤードが中心になっています。前身となったワイナリーがスーヴェランで、ここは1960年代に、のちにパリスの審判で脚光を浴びることになるウォーレン・ウィニアルスキーやマイク・ガーギッチがともに修業したワイナリーでした。現在のワインメーカーはメーガン・ゾベックという人で、スクリーミング・イーグルでアシスタントをしていたそうです。
・バージェス・コンタディナ・カベルネ・ソーヴィニヨン(15000円)
バージェスの中ではエントリー・レベルになるカベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャがあり、ハーブの風味などエレガント系の味わいが山らしさになっています。
・バージェス・ソレンソンズ・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン(40000円)。
ハウエル・マウンテンの山沿いの畑の中でも古い樹齢(1979年植樹)のブドウを使ったワイン。山のワインとしては滑らかさを感じます。
・バージェス・ヒルサイド・ヴィンヤーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン(38000円)
最も山らしいストラクチャーと力強さ、エレガントな風味を持ったワイン。ヘスのマウント・ヴィーダーと比べると熟した果実の力強さをより感じます。
インク・グレードもナパのハウエル・マウンテン(こちらはAVAに含まれています)に畑を持つワイナリー。ラベルもおしゃれです。
・インク・グレード ナパ・ヴァレー アンドソル(20000円)
ジンファンデルにカベルネ・ソーヴィニョンをブレンドしたユニークなワイン。ジンファンデルの芳醇さにカベルネ・ソーヴィニョンの力強さがほどよくマッチしています。
・インク・グレード ナパ・ヴァレー カベルネソーヴィニヨン(30000円)
とても複雑味のあるカベルネ・ソーヴィニヨン。ヴァレーフロアにハウエル・マウンテンのブドウをブレンドしています。
・インク・グレード ハウエル・マウンテン カベルネソーヴィニヨン(50000円)
ハウエル・マウンテンらしい果実の濃密さとタンニンを持つすばらしいカベルネソーヴィニヨン。
私の担当はここまででしたが、隣にあったパルマッツのワインも少し試飲させていただきました。
・セダル・クノール・カベルネ・ソーヴィニヨン(18000円)
パルマッツではセカンドに相当するワインですが、非常にバランスよくよくできたワインでセカンド感が皆無です。
・パルマッツ アマリア シャルドネ(19000円)
ナパらしいふくよかさと、エレガントさを併せ持ったシャルドネ。そこはかとなくクラシックな味わいがあります。
・パルマッツ・カベルネ・ソーヴィニヨン2019(38000円)
以前飲んだときにはまだまだ固いなあと感じたワインですが、やっと本領を発揮してきた感があります。クームズヴィルというナパでは比較的涼しく、またヴァカ山脈系の鉄分の多い土壌の流れもひくというユニークなテロワールを感じさせるワイン。
布袋ワインズの試飲会から美味しかった、気になったワインを報告します。
基本的には品種別に並んでいます。まずはソーヴィニョン・ブランから。
新入荷のワイナリーShannon Family of Winesから「Shannon Ridge(シャノンリッジ)」と「Clay Shannon(クレイ・シャノン)」の2つのブランドのソーヴィニヨン・ブランです。このワイナリーはナパの北東にあるレイク・カウンティに1000エーカーもの有機栽培の自社畑を所有しています。レイク・カウンティはナパよりも内陸なので海の影響はほとんど受けませんが、標高が高いところが多く、冷涼感も得られます。ナパの開発が年々難しくなる中で、ナパを補完する存在としてのレイク・カウンティの重要さはこれからかなり増してくるだろうと思っています。Shannon Ridgeのブランドは標高が高いところの畑、Clay Shannonの方はトップレベルという位置付けのようです。Shannon Ridgeのソーヴィニヨン・ブランはリッチ感あり、Clay Shannonはさらにリッチ。あっさり系のソーヴィニヨン・ブランではなく、ナパのスタイルに近いソーヴィニヨン・ブランです。
続いて同じくクレイ・シャノンのシャルドネ。複雑さがあり、高級感ある味わいです。3900円は安い。
ジョーダンはカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネ1種ずつだけを作ってきたワイナリーです。かなり濃い系のイメージがありましたが、実際には相当エレガント。おいしいです。
フラワーズのシャルドネ。バランスの良さが光ります。
コスタ・ブラウンのダン・コスタが新たに始めたワイナリー。このピノ・ノワールはリッチなスタイルでロシアン・リバー・ヴァレーらしい味わい。
ザンダー・ソーレンのワインについては「カリフォルニアのピノの粋を表現する新ワイナリー、ザンダー・ソーレン」で紹介していますが、改めて試飲。このユーキ・ヴィンヤードはフリーマンの持つ畑。外部にブドウを供給するのはこれが初めてです。非常に得れたんとで香りが広がります。ウエスト・ソノマ・コーストらしさもある素晴らしいピノ・ノワール
キャッスル・ロックのピノ・ノワールはコスパ抜群。このメンドシーノのピノ・ノワールはバランスの良さが光ります。
平林園枝さんが作るシックス・クローヴズのピノ・ノワール アルダー・スプリングズ・ヴィンヤード。アルダー・スプリングズはメンドシーノの北方にある素晴らしい畑。畑のエネルギーを感じるワイン。
フラワーズのピノ・ノワールはウエスト・ソノマ・コーストの中でもフォート・ロス シーヴューにあるシー・ヴュー・リッジなどのブドウをブレンドしたもの。酸のきれいさ、力強さなど総合力がすばらしい。
シャノン・リッジのカベルネ・ソーヴィニョン。芳醇でテクスチャもあり、2000円台とは思えないハイレベル。
こちらの「OVIS」もシャノン・リッジと同じワイナリーのブランド。ラテン語で羊の意味で、サスティナブルな栽培のために活躍する羊へのオマージュ。リッチな味わいの高級カベルネ・ソーヴィニョン。
ファーディナンドはコングスガードのジェネラル・マネジャによるワイナリー。スペインなどの品種を中心に宇t食っています。このテンプラニーリョは3ヴィンテージのワインをブレンドし、NVとして販売。タンニンも酸もレベルが高いワイン。
最後はライブラリー・ワインとして熟成したものを提供するワインです。
レイミーのクラレット2008。クラシックな作り。美味しいです。
実はシルヴァー・オークを布袋さんが扱っていたのを知りませんでした。20年熟成したアレキサンダー・ヴァレーのワインは予想以上にバランスよく美味しい。
今回は特にシャノン・リッジのグループのコスパが目立ちました。お薦めです。
基本的には品種別に並んでいます。まずはソーヴィニョン・ブランから。
新入荷のワイナリーShannon Family of Winesから「Shannon Ridge(シャノンリッジ)」と「Clay Shannon(クレイ・シャノン)」の2つのブランドのソーヴィニヨン・ブランです。このワイナリーはナパの北東にあるレイク・カウンティに1000エーカーもの有機栽培の自社畑を所有しています。レイク・カウンティはナパよりも内陸なので海の影響はほとんど受けませんが、標高が高いところが多く、冷涼感も得られます。ナパの開発が年々難しくなる中で、ナパを補完する存在としてのレイク・カウンティの重要さはこれからかなり増してくるだろうと思っています。Shannon Ridgeのブランドは標高が高いところの畑、Clay Shannonの方はトップレベルという位置付けのようです。Shannon Ridgeのソーヴィニヨン・ブランはリッチ感あり、Clay Shannonはさらにリッチ。あっさり系のソーヴィニヨン・ブランではなく、ナパのスタイルに近いソーヴィニヨン・ブランです。
続いて同じくクレイ・シャノンのシャルドネ。複雑さがあり、高級感ある味わいです。3900円は安い。
ジョーダンはカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネ1種ずつだけを作ってきたワイナリーです。かなり濃い系のイメージがありましたが、実際には相当エレガント。おいしいです。
フラワーズのシャルドネ。バランスの良さが光ります。
コスタ・ブラウンのダン・コスタが新たに始めたワイナリー。このピノ・ノワールはリッチなスタイルでロシアン・リバー・ヴァレーらしい味わい。
ザンダー・ソーレンのワインについては「カリフォルニアのピノの粋を表現する新ワイナリー、ザンダー・ソーレン」で紹介していますが、改めて試飲。このユーキ・ヴィンヤードはフリーマンの持つ畑。外部にブドウを供給するのはこれが初めてです。非常に得れたんとで香りが広がります。ウエスト・ソノマ・コーストらしさもある素晴らしいピノ・ノワール
キャッスル・ロックのピノ・ノワールはコスパ抜群。このメンドシーノのピノ・ノワールはバランスの良さが光ります。
平林園枝さんが作るシックス・クローヴズのピノ・ノワール アルダー・スプリングズ・ヴィンヤード。アルダー・スプリングズはメンドシーノの北方にある素晴らしい畑。畑のエネルギーを感じるワイン。
フラワーズのピノ・ノワールはウエスト・ソノマ・コーストの中でもフォート・ロス シーヴューにあるシー・ヴュー・リッジなどのブドウをブレンドしたもの。酸のきれいさ、力強さなど総合力がすばらしい。
シャノン・リッジのカベルネ・ソーヴィニョン。芳醇でテクスチャもあり、2000円台とは思えないハイレベル。
こちらの「OVIS」もシャノン・リッジと同じワイナリーのブランド。ラテン語で羊の意味で、サスティナブルな栽培のために活躍する羊へのオマージュ。リッチな味わいの高級カベルネ・ソーヴィニョン。
ファーディナンドはコングスガードのジェネラル・マネジャによるワイナリー。スペインなどの品種を中心に宇t食っています。このテンプラニーリョは3ヴィンテージのワインをブレンドし、NVとして販売。タンニンも酸もレベルが高いワイン。
最後はライブラリー・ワインとして熟成したものを提供するワインです。
レイミーのクラレット2008。クラシックな作り。美味しいです。
実はシルヴァー・オークを布袋さんが扱っていたのを知りませんでした。20年熟成したアレキサンダー・ヴァレーのワインは予想以上にバランスよく美味しい。
今回は特にシャノン・リッジのグループのコスパが目立ちました。お薦めです。
アイコニックワイン・ジャパンの試飲会からよかったワインを紹介します。
地域別に並んでおり、サンタ・バーバラから開始です。
まずは新入荷のワイン。
サンタ・バーバラの銘醸畑ビエン・ナシードのオーナーが持つ、もう一つの銘醸畑がソロモン・ヒルズ。ビエン・ナシードよりも海に近い冷涼なところにあります。ワインの味わいも、シャルドネ、ピノ・ノワールともにビエン・ナシードのエステート以上に酸のきれいさが目立ちます。リッチさも求めるならビエン・ナシード、酸のきれいさを重視するならソロモン・ヒルズをお薦めします。
メルヴィルというとピノ・ノワールのイメージが強いと思いますが、今回はシャルドネとシラーがよかったです。シャルドネはきれいでエレガント。シラーも旨味あり、高級感を感じます。
サンタ・バーバラに移ります。
写真がぼけていてすみませんが、ユニオン・サクレ(Union Sacre)のオレンジワイン。品種はゲヴェルツトラミネールです。うまみたっぷりで美味しい。癖はないので自然派が苦手な人にもおすすめです。
これも写真がぼけぼけですみません。リアルな動物の絵のラベルが特徴的なファブリスト(Fableist)のメルローとカベルネ・ソーヴィニョン。メルローはやわらかさがあり酸もきれい、カベルネ・ソーヴィニョンはジューシーでテクスチャーも魅力的です。
写真がひどすぎて嫌になりますが、フィールド・レコーディングスの新作フィクション(Fiction)。ジンファンデル40%、シャルボノ20%、アリカンテ14%、シラー11%、カベルネ・ソーヴィニョン8%、カベルネ・フラン7%というユニークなブレンド。ブレンドから味わいが想像できないと思いますが、ジューシーでバランスよい味わい。
もう写真は雰囲気ということでお願いします。グランドワーク(Groundwork)のグルナッシュ・ブラン。華やかな味わいで美味しい。
パソ・ロブレスの老舗ワイナリー「エバレー(Eberle)」のシラー、スタインベック・ヴィンヤード。5900円は安くはないですが、パソの良質なシラーの代表格だと思います。リッチでタンニンもしっかり。グリップ感のあるシラー。
ピーチー・キャニオン(Peachy Canyon)のインクレディブル・レッド(Incredible Red)もパソを代表するコスパワインと言っていいでしょう。ジンファンデルベースですが濃い甘ではなく、ジューシーな味わいとバランスの良さが目立ちます。
レッジ(Ledge)はまだまだ知られていないと思いますが、パソ・ロブレスのシラー生産者の大注目株です。このMCAキュベは、ちょっと驚くようなワイン。なんとパソ・ロブレスの銘醸畑ジェームズ・ベリーと、サンタ・バーバラのビエン・ナシードのブドウをブレンドしています。カベルネに例えて言うならナパのト・カロンと、サンタ・クルーズ・マウンテンズのリッジのモンテ・ベッロをブレンドしたようなものといえばいいでしょうか。むちゃくちゃバランスもよく、ものすごく芳醇。7500円のレベルではありません。ローヌを得意とするJeb Dunnackも95点をつけています。
お次はモントレー。新入荷のモントーヤ(Montoya)。ピノ・ノワールはモントレーの中では比較的温暖なアロヨ・セコ産のブドウを使っていますが、ジューシーできれいな味わい。3200円はコスパ高いです。
最後はナパです。
カモミ(Ca'momi)はナパのコスパワインとして定番ですが、シャルドネとメルローが特によかったです。シャルドネはリッチ系で果実感爆発。メルローはまろやかな味わいでバランスよく美味しいです。
人気ブランド689セラーズが作る「ラッキー・ドロー」カベルネ・ソーヴィニョン。3300円はコスパいいです。リッチでタニック。
これもナパとソノマ有数のコスパワイナリー「マイケル・ポーザン(Michael Pozzan)」が作るジアポーザ(Giapoza)。このカベルネ・ソーヴィニョンはソノマのアレキサンダー・ヴァレーのブドウを30%使用しているとのこと。ラベルはすっきりしたイメージですが、味わいはストラクチャーがしっかりした本格派。
新入荷のプロヴィナンス(Provenance)。ナパで1999年に創設されたワイナリーで現在のオーナーはローダイをベースにするロンバルディ家。カベルネ・ソーヴィニョンとメルローと入っていますが、個人的にはメルローが特に好印象でした。芳醇でストラクチャーもしっかりあります。2017年はジェームズ・サックリングが94点、2018年は同じく93点をつけています。
こちらも新入荷のライド&リドゥン(Ride & Ridden)。大人気のスラムダンクと同じ会社が作っています。こちらはナパのカベルネ・ソーヴィニョンでロデオの写真が印象的です。味わいもクラシックでスラムダンクとは対照的、面白いワインです。
最後のワインも驚きました。ドミナスなどがあるナパのヨントヴィルのワインで5900円。ブドウの出所を明かさないことなどを条件に作っているワインとのことでバーマイスター(Burmeister)というワイナリーの情報もほぼ不明です。ヨントヴィルらしく、少し冷涼感のある味わいがとてもいいです。
地域別に並んでおり、サンタ・バーバラから開始です。
まずは新入荷のワイン。
サンタ・バーバラの銘醸畑ビエン・ナシードのオーナーが持つ、もう一つの銘醸畑がソロモン・ヒルズ。ビエン・ナシードよりも海に近い冷涼なところにあります。ワインの味わいも、シャルドネ、ピノ・ノワールともにビエン・ナシードのエステート以上に酸のきれいさが目立ちます。リッチさも求めるならビエン・ナシード、酸のきれいさを重視するならソロモン・ヒルズをお薦めします。
メルヴィルというとピノ・ノワールのイメージが強いと思いますが、今回はシャルドネとシラーがよかったです。シャルドネはきれいでエレガント。シラーも旨味あり、高級感を感じます。
サンタ・バーバラに移ります。
写真がぼけていてすみませんが、ユニオン・サクレ(Union Sacre)のオレンジワイン。品種はゲヴェルツトラミネールです。うまみたっぷりで美味しい。癖はないので自然派が苦手な人にもおすすめです。
これも写真がぼけぼけですみません。リアルな動物の絵のラベルが特徴的なファブリスト(Fableist)のメルローとカベルネ・ソーヴィニョン。メルローはやわらかさがあり酸もきれい、カベルネ・ソーヴィニョンはジューシーでテクスチャーも魅力的です。
写真がひどすぎて嫌になりますが、フィールド・レコーディングスの新作フィクション(Fiction)。ジンファンデル40%、シャルボノ20%、アリカンテ14%、シラー11%、カベルネ・ソーヴィニョン8%、カベルネ・フラン7%というユニークなブレンド。ブレンドから味わいが想像できないと思いますが、ジューシーでバランスよい味わい。
もう写真は雰囲気ということでお願いします。グランドワーク(Groundwork)のグルナッシュ・ブラン。華やかな味わいで美味しい。
パソ・ロブレスの老舗ワイナリー「エバレー(Eberle)」のシラー、スタインベック・ヴィンヤード。5900円は安くはないですが、パソの良質なシラーの代表格だと思います。リッチでタンニンもしっかり。グリップ感のあるシラー。
ピーチー・キャニオン(Peachy Canyon)のインクレディブル・レッド(Incredible Red)もパソを代表するコスパワインと言っていいでしょう。ジンファンデルベースですが濃い甘ではなく、ジューシーな味わいとバランスの良さが目立ちます。
レッジ(Ledge)はまだまだ知られていないと思いますが、パソ・ロブレスのシラー生産者の大注目株です。このMCAキュベは、ちょっと驚くようなワイン。なんとパソ・ロブレスの銘醸畑ジェームズ・ベリーと、サンタ・バーバラのビエン・ナシードのブドウをブレンドしています。カベルネに例えて言うならナパのト・カロンと、サンタ・クルーズ・マウンテンズのリッジのモンテ・ベッロをブレンドしたようなものといえばいいでしょうか。むちゃくちゃバランスもよく、ものすごく芳醇。7500円のレベルではありません。ローヌを得意とするJeb Dunnackも95点をつけています。
お次はモントレー。新入荷のモントーヤ(Montoya)。ピノ・ノワールはモントレーの中では比較的温暖なアロヨ・セコ産のブドウを使っていますが、ジューシーできれいな味わい。3200円はコスパ高いです。
最後はナパです。
カモミ(Ca'momi)はナパのコスパワインとして定番ですが、シャルドネとメルローが特によかったです。シャルドネはリッチ系で果実感爆発。メルローはまろやかな味わいでバランスよく美味しいです。
人気ブランド689セラーズが作る「ラッキー・ドロー」カベルネ・ソーヴィニョン。3300円はコスパいいです。リッチでタニック。
これもナパとソノマ有数のコスパワイナリー「マイケル・ポーザン(Michael Pozzan)」が作るジアポーザ(Giapoza)。このカベルネ・ソーヴィニョンはソノマのアレキサンダー・ヴァレーのブドウを30%使用しているとのこと。ラベルはすっきりしたイメージですが、味わいはストラクチャーがしっかりした本格派。
新入荷のプロヴィナンス(Provenance)。ナパで1999年に創設されたワイナリーで現在のオーナーはローダイをベースにするロンバルディ家。カベルネ・ソーヴィニョンとメルローと入っていますが、個人的にはメルローが特に好印象でした。芳醇でストラクチャーもしっかりあります。2017年はジェームズ・サックリングが94点、2018年は同じく93点をつけています。
こちらも新入荷のライド&リドゥン(Ride & Ridden)。大人気のスラムダンクと同じ会社が作っています。こちらはナパのカベルネ・ソーヴィニョンでロデオの写真が印象的です。味わいもクラシックでスラムダンクとは対照的、面白いワインです。
最後のワインも驚きました。ドミナスなどがあるナパのヨントヴィルのワインで5900円。ブドウの出所を明かさないことなどを条件に作っているワインとのことでバーマイスター(Burmeister)というワイナリーの情報もほぼ不明です。ヨントヴィルらしく、少し冷涼感のある味わいがとてもいいです。