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Date: 2024/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カレラのインポーターがJALUXからエノテカに変わります。エノテカでの発売は4月1日ですが、すでに販売ページはできています。
セントラル・コースト シャルドネ 5500円
セントラル・コースト ピノ・ノワール 6000円

マウント・ハーラン シャルドネ 11,000円
マウント・ハーラン ヴィオニエ 9,900円
マウント・ハーラン ド・ヴィリエ ピノ・ノワール 14.300円
マウント・ハーラン ライアン ピノ・ノワール 14,300円
マウント・ハーラン ミルズ ピノ・ノワール 14,300円
マウント・ハーラン セレック ピノ・ノワール 22,000円
マウント・ハーラン リード ピノ・ノワール 22,000円
マウント・ハーラン ジェンセン ピノ・ノワール 22,000円

ということで、単一畑のピノ・ノワールは1万円を大きく超える価格になります。おそらく他のショップからの価格はもう少し安くなると思いますが、1万円を切ることはないでしょう。ただ、これはエノテカが高い価格を付けているわけではなく、ド・ヴィリエのワイナリー価格で100ドル近くになっていますから、為替を考えれば決して高くない水準です。

現状はまだ、JALUX分が残っているショップもあり、セントラル・コーストのシャルドネは3000円台から、ピノ・ノワールは4000円台から、ヴィオニエが5000円台から、マウント・ハーランのシャルドネが6000円台から、ド・ヴィリエとライアンが8000円台から、ミルズが9000円台から、リードが1万6000円台から、セレックが1万8000円台から、入手可能です。

なお、現状ジョシュ・ジェンセン・セレクションというシャルドネとピノ・ノワールがありますが、これはJALUX専用に作っていたキュベですので、エノテカの扱いには入らないと思います。

単一畑ものの中でジェンセンは安定してレベルが高く、セレックは熟成したときの魅力は抜群です。後の4つの畑についてはそれほど大きな差はないかと思います。また、ブラインドではド・ヴィリエを一番と評する人も多く、味的には一番ジェンセンに近いと感じます。

ということで、JALUX扱いのボトルが残っている今が買い時です。特に単一畑ピノが1万円以下で買えるのはこれが最後と思った方がいいでしょう。

リンク先は「セラー専科」です。




うきうきワインです。


オーリックです。


セラー専科です。


リカオーです。


Date: 2024/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine to Styleの試飲会から輸入再開されたボニー・ドゥーン(Bonny Doon)のワインを紹介します。

ボニー・ドゥーンは1983年にランドール・グラームによってサンタ・クルーズに作られたワイナリー。当初はブルゴーニュ品種を作ろうとしていましたが、人と同じことをやっていてはつまらないと、ローヌ系品種の栽培を始めます。1986年に始めたGSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンド)「ル・シガール・ヴォラン」がヒットし、カリフォルニアのローヌ系生産者の先駆けとなりました。1989年にはワイン・スペクテーターで「ローヌ・レンジャー」として紹介され、同名のワイナリーグループが作られるきっかけにもなりました。

nuWSl
この月光仮面のような扮装をした人がランドール・グラームです。彼のユニークな言動はワイン業界でも有名で、ワインも「その風変わりなラベル、風変わりなブドウの組み合わせ、ユーモラスな名前のワインで最もよく知られています」(Wikipediaの和訳)。ちなみに「ル・シガール・ヴォラン」というのは葉巻型のUFOのことで、シャトーヌフ・デュ・パプのある村が、UFOのぶどう畑への着陸を禁止する条例を決めたことを皮肉って付けた名前だといいます。

こんなことから「色物」的なワイナリーかと思ってしまうところですが、彼は実はカリフォルニアにおけるバイオダイナミック(ビオディナミ)の先駆けでもあります。2000年代初めには栽培に力を入れるために、生産量の多いブランドをいくつか売却してしまうということもありました。現在のボニー・ドゥーンのワインは契約栽培のブドウもあるため、すべてがバイオダイナミックで栽培されているわけではありませんが、今も継続してそちらへの以降を志しているようです。

ユニークな品種や風変りなラベルといった要素は、その後のニュー・カリフォルニアにもつながっていますし、昨今の「ナチュラル・ワイン」と同じようなことを20年前からやっているとも言えます。醸造も天然酵母を使い、SO2の添加もごくわずかですから、ナチュラル・ワインや自然派ワインと呼んでも一向に差し支えないのではないかと思います(前述のように、契約農家のブドウの栽培については不明ですが)。

なお、ランドール・グラームは2020年にボニー・ドゥーンを売却していますが、今もワイナリーの顔でありワインメーカーとして携わっています。ちなみに彼は「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト」といったこともやっています。このクラウドファンディングには私も出資したので、今も定期的にメールで状況報告が来ます。新しい品種を作るというところはだいぶシュリンクしているようですが、グルナッシュ系のものを「ポープルシューム」という畑で作っており、ワインも2年ほどまえから生産しています。


写真は右から「ヴァン・グリ・ド・シガール」「ル・シガール・オレンジ」「ル・シガール・ヴォラン」。
ヴァン・グリはロゼワインでサンソー50%、グルナッシュ43%、クレレット・ブランシュ5%、ムールヴェードル2%。さわやかな味わいでうまみもあります。
オレンジはオレンジワインで品種はグルナッシュ・ブラン44.5%、ピノ・グリ25%、グルナッシュ・グリ14%、オレンジ・マスカット9.5%、シュナン・ブラン7%。これむちゃくちゃうまいです。酸もしっかりあってうまみもすごい。ロゼもすごくいいのでどちらを選ぶか悩むところですが、個人的にはこちらのオレンジの方が好き。試飲会で数少ない「Very Good」を付けたワインです。
ル・シガール・ヴォランは現在はGSMではなく、ムールヴェードルの代わりにサンソーとプティ・シラーが入っています。やわらかくバランスのいい味。

このほかピクプール主体のワイン、「ル・シガール・ブラン」というヴェルメンティーノとグルナッシュ・ブランのブレンドもあります。

ル・シガール・ヴォランが希望小売価格3500円(税抜き)、あとは同2900円と価格的にもだいぶ求めやすいところ。特にオレンジとロゼはぜひ試してもらいたいワインです。






Date: 2024/0328 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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渡米して最初の働き口がスクリーミング・イーグル! テロワール重視の実力派ワインメーカー
「すげえうまい」ダックホーン/デコイの実力
に続いて、中川ワインの試飲会からお薦めのワインを紹介します。

ベッドロックのソーヴィニョン・ブランは初めて試飲したような気がします。うま味あり、リッチ系のソーヴィニョン・ブランで美味しい。


マックマニスのヴィオニエは定番ですね。1000円台でこのクオリティはすばらしい。リッチですがきれいな味わい。


左のイーターのシャルドネはブレッド&バター系の味わい。ブレッド&バターと比べると少しさわやかでコスパ高い。
右のペドロンチェリのシャルドネは果実味がいい。樽はそこまで強くなく、美味しくコスパ高いです。


左のナパ・グレンのシャルドネもナパらしいリッチな味わいですが、バランスもよく美味しいです。右のリンカーン・セラーズはヴィンテージ2018年で、少し落ち着いた感じとリッチな味わいで高級感があります。


高級系シャルドネ3本です。左のリースは、リースの中ではエントリーにあたるサンタ・クルーズ・マウンテンズのキュベで8000円。うまみと酸が高次元でバランスを取っています。リースの入門としてもいいですし、クオリティは1万円超えのレベルです。ルチアのエステート・キュベはピゾーニの自社畑、ピゾーニ・ヴィンヤードとソベラネスのブドウを使ったもの。これも9500円は格安。サンタ・ルシア・ハイランズらしい濃密な果実味と酸があります。右のハドソン・シャルドネはハドソンの看板ワイン。リッチで複雑、酸がきれいで言うことありません。


シャルドネが続きます。センシーズは先日生産者ディナーで詳しく紹介しましたが、非常にきれいな作りのワイン。果実味も素晴らしい。スタッグリンのセカンド「サルース」のシャルドネは、ナパの中でもリッチ系シャルドネの代表格の一つといっていいでしょう。上品な樽感と濃密な果実味。高級感あるシャルドネです。
一番右のウェイフェアラーはいまやウエスト・ソノマ・コーストを代表するワインの一つといっていいでしょう(このワインはフォートロス・シーヴューとソノマ・コーストになっています)。冷涼な地域だけあって酸が素晴らしいし、それに負けない果実味の密度がこれまた素晴らしい。むっちゃうまいと思ったらパーカー98点ついてました。


もう一つシャルドネ続きます。中川ワインというとナパのカベルネのイメージが強いですが、今回これだけすごいシャルドネを揃えてきたのはちょっと驚きのレベルです(これまでの試飲会はワイナリーごとに並んでいたので分散して気づかなかった面もあるかもしれません)。
リースはマウント・パハロ・ヴィンヤードの2018年。5年ほど経つと酸や果実、樽の風味がすべて溶け込んで一体感が素晴らしい。これくらいで飲むのが一番美味しいような気がします。リリックスのシャルドネは、かつてセインツベリーで一世を風靡したブラウン・ランチの畑。今回のシャルドネの中ではどちらかというとリッチ系のうまさ。これも2018年。最後はシブミ・ノールのブエナ・ティエラ・ヴィンヤード。ロシアン・リバー・ヴァレーらしいやや重厚感ある味わい。リリックスとシブミ・ノール、それからひとつ前の写真のセンシーズはトーマス・リヴァース・ブラウンがワインメーカー。それぞれ味わいも違っており、トーマス・リヴァース・ブラウンのすごみを感じます。


ルーシー(ピゾーニ)のロゼはピノ・ノワール100%。果実のジューシーさと酸がきれいなロゼ。ロゼというとローヌ系品種のものが多いですが、ピノのロゼはチャーミングでちょっと違った良さがあります。


右のノリアのピノ・ノワールはロシアン・リバー・ヴァレーのウミノ・ヴィンヤードのもの。日本人の故海野さんが作った畑だそうです。きれいでエレガントなピノ・ノワール。左のルシア(ルチア)はピゾーニ・ヴィンヤードのピノ・ノワールを60%も使ったぜいたくな作り。これでピゾーニの判琢以下なのだからコスパ高いです。果実味の豊かさと高い酸が素晴らしい。


右のゴーストブロックのジンファンデルはオークヴィルのペリッサ・ヴィンヤードのもの。オーパス・ワンの隣でジンファンデルを作るという贅沢なワインです。複雑で重厚、うまみあるジンファンデル。これは美味しい。左のベッドロックのベッドロック・ヘリテージは1880年代に植えられた自社畑のブドウによるもの。複雑で重厚、酸もありレベル高いワイン。


ナパ・ハイランズのリザーブ・メルロー2020です。メルローらしいまろやかさとリッチでパワフルな味わい。美味しいです。


ハドソンのフェニックスはメルロー主体(84%)のブレンド。冷涼なカーネロスのメルローでエレガントな味わい。一般的なナパのメルローのイメージとは大きく違いますが、非常に素晴らしい。カーネロスはピノよりもメルローやシラーの方がいいのかもって思います(今回はシラーはありませんが)。


ナパ・ハイランズのカベルネは完全に定番になりました。酸もあってバランスよくトータルでよくできたワイン。リンカーン・セラーズのカベルネ・ソーヴィニョン2019はナパのヨントヴィルのブドウを使っています。しなやかなタンニンでレベル高い。個人的にはこの二つではリンカーン・セラーズを推します。


キャッターウォウルもトーマス・リヴァース・ブラウンの作。濃い旨系カベルネです。濃いの好きな人はたまらないでしょう。


フェ・マンはレアムのワインメーカーとして知られるブノワ・トゥケが自身で作るブランド。リッチ系ですが複雑な味わいも感じられます。


トネラ・セラーズのカベルネ・ソーヴィニョン2019。トネラ・セラーズの畑はナパのラザフォード、ハイウェイ29のすぐ西側でイングルヌックの隣にある小さな畑です。ここで100年続く畑でブドウはヘッドプルーンで植えられているというのは興味深いです。ワインはラザフォード・ダストと呼ばれるアーシーな味わいが特徴。最近のナパのワインとしては珍しいほどの土っぽさがあるクラシック・スタイルのワイン。これまであまり知らなかったワイナリーですが、とてもいいです。


次のモリソリも同じくラザフォードの西側でイングルヌックやJJコーン(スケアクロウの畑)のすぐ近くです。これもクラシックでアーシーなスタイル。素晴らしい。


レアムのザ・バードはセカンド的な位置付けのワイン。さまざまな単一畑のワインを作っているレアムで、これはいろいろな畑のブドウをブレンドして作られています。濃い旨系ですが非常にバランスよく作られています。

Date: 2024/0327 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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TTB(酒類・たばこ税貿易管理局)は2024年3月15日、カリフォルニアの新たなAVAとしてコントラ・コスタ(Contra Costa)を承認しました。
Contra Costa

コントラ・コスタはサンフランシスコの東方、ススーン湾(Suisun Bay)の南側になります。近隣のAVAを見ると、少し南にウェンテのあるリヴァモア・ヴァレー(Livermore Valley)、北東方面にはローダイ(Lodi)、北西方面にはナパヴァレー(Napa Valley)があります。

また、コントラ・コスタAVA自体はサンフランシスコ・ベイ(San Francisco Bay)という広域のAVAに含まれており、さらにはセントラル・コースト(Central Coast)の一部でもあります。AVAの部分的な重なりを防ぐために、今回サンフランシスコ・ベイとセントラル・コーストの領域がコントラ・コスタを完全に含むように修正されています。

コントラ・コスタAVAはススーン湾に面しているため、内陸でやや温暖ですが海からの冷気の影響も受けます。全体に標高は低く、なだらかな丘が連なっています。

ブドウ品種としてはジンファンデルなどが作られており、有名な畑としては1890年代に植えられたジンファンデルなどの畑エヴァンゲーロ(Evangelho)などがあります。

なお、コントラ・コスタは郡の名前でもあるので、これまでもラベルにコントラ・コスタと記したワインはあります。コントラ・コスタAVAはコントラ・コスタ郡に含まれていますが領域は完全に同じではありません。今後は単にContra Costaト記した場合はAVA名ということになります。

同じように郡名と同じAVA名を持ったものには、Monterey、El Dorado、San Benitoがあります(ほかにもあるかもしれませんが調べきれていません)。

Date: 2024/0326 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マーヤン・コシツキーに続いては中川ワインの試飲会からお薦めワインを紹介します。試飲会のときはまずは端からひたすら試飲して簡単にコメントを書き、特にブログで紹介したいものなどはG(Good)やVG(Very Good)、あるいはCP(コスパ良い)といったマークを書いておきます。一通り試飲が終わるとメモを参考にこれらのマークを付けたワインの写真を撮っておいて後からまとめるという形です。試飲や写真を撮っている間は結構集中していますので、どの銘柄が多いとかはほとんど意識しないのですが、今回は改めて写真やメモを見るとダックホーンやエントリーレベルのデコイのものが多く、今回はそれだけを紹介します。


デコイのフェザーウェイトという低アルコール(9%)、低カロリー(通常の2/3)の新しいシリーズのソーヴィニョン・ブランです。軽やかな味わいですが、うまみもあって低アルコールや低カロリーであることを感じさせません。


デコイのピノ2021はソノマなどの沿岸部の涼しい地域の畑を使っており、酸がきれいでバランスの良い作り。酸っぱいという感じではなく果実味によるふくよかさもあるので、多くの人に好まれる味になっています。このレベルで2000円台は優秀です。
左のマイグレーションもダックホーンのグループで冷涼地域のシャルドネとピノ・ノワールに特化しています。このワインはロシアン・リバー・ヴァレーとソノマ・コーストのAVA名が記されています。デコイと比べてやはり冷涼感があり、飲むと酸が口中に広がる感覚がさわやかです。
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デコイ ピノ・ノワール [2021]Decoy Pinot Noir
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デコイの上位版のリミテッド。デコイとダックホーンの中間だと思っていただければいいのですが、価格はデコイ寄り、品質はダックホーン寄りでコスパは素晴らしいです。2019年はカベルネがとにかく素晴らしかったですが、2021はこのアレキサンダー・ヴァレーのメルローが非常に良かったです。メルローとしては酸もあって非常にきれいな作り。




本家ダックホーンからも2つのメルロー。通常のナパヴァレーのメルローはバランスの良さが秀逸で、メルローとしてはストラクチャーもあります。このストラクチャーがダックホーン・メルローらしいところと感じます。
もう一つのカーネロスのメルローは限定品でメルロー100%。カーネロスは実は秀逸なメルローが作られる地域。このメルローはしなやかできれい。タンニンもシルキーで美味しいです。ここまできれいなメルローはなかなかないと思います。





ダックホーンのカベルネ・ソーヴィニヨン2021。これも非常にバランスがよく美味しい。1万円以下のカベルネ・ソーヴィニヨンとしては現状ベストかもしれません。




こちらもダックホーンの限定版カベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのラザフォードのものです。自分のコメントでは「すげえうまい」と書いています。バランスが秀逸で、複雑さも十分にあります。

良ヴィンテージの2021が入ってきているのもあるでしょうけど、まとめて見てもやはりメルローとカベルネを中心に、非常にバランスよく作られたワインが多いと思います。やはりダックホーン、実力のあるワイナリーだと改めて感じました。
Date: 2024/0324 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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現在のナパでトップ3のワイン・コンサルタントを挙げるとしたら、トーマス・リヴァース・ブラウン、フィリップ・メルカ、アンディ・エリクソンといったところになるでしょうか。セリア・ウェルチの方がとか、やっぱりハイディ・バレットが、とか異論はもちろん認めますが上記3人の実力がトップクラスであることはだれもが認めると思います。

この中でも数多くの顧客をかかえることで知られているフィリップ・メルカの下でワインメイキング・ディレクター、つまりはワイン造りの実質的な責任者を務めるのがマーヤン・コシツキー(Maayan Koschetzky)が来日して開催したセミナーに参加してきました。ちなみに、先日まではメイヤン・コチスチキーと記していましたが、来日を機にインポーターの中川ワインが確認したところマーヤン・コシツキーが一番近い表記ということになりました。「胸騒ぎの腰つき~♪」で覚えてねとインポーターの弁。

マーヤンはイスラエルの出身。柔道の黒帯で柔道のために日本に来たこともあるそう。マルガリットというイスラエルトップクラスのワイナリーで働いていましたが、2010年にイスラエル以外でワインを作りたいと米国に来ました。米国で得た職場がなんとスクリーミング・イーグル。たまたまスクリーミング・イーグルで人を募集していると聞いて、インタビューのために最初の渡米をしたそうです。インタビューでは家族やワインへの愛、人とのコミュニケーションなどを聞かれたそうなので、スクリーミング・イーグルで働きたい人はそういうことを考えておきましょうね。

おそらく人としての魅力が優れていたのでしょう、マーヤンは首尾よくスクリーミング・イーグルで職を得て、奥さんと息子、犬を連れてナパに移り住みました。スクリーミング・イーグルではちょうど地下のカーヴに新しい醸造設備を作り始めたところで、その経験がとても大きかったようです。畑を55のブロックにわけて別々に醸造してブレンドするなど、スクリーミング・イーグルではある意味究極的に手の込んだワイン造りをしていました。

最初はスクリーミング・イーグルでしばらく働いた後はイスラエルに戻るつもりだったのですが、他のワイナリーも見てみたいと思ったところでフィリップ・メルカに出会い、1年だけ働こうと彼の会社「アトリエ・メルカ」に移りました。

アトリエ・メルカではナパの北から南まで15の畑、25のワイナリーを6人のチームで担当していました。1年で10年分以上の経験が得られたといいます。ワイナリーによってエステートの畑を持っているところ、栽培は栽培家まかせのところ、ワイナリーのワインメーカーがいてコンサルタントはその人にアドバイスするところ… ワイナリーごとにコンサルタントのかかわり方も違います。ブレンドにこだわるところと単一畑にこだわるところもあります。

アトリエ・メルカでは就職1年後に6人のリーダーとなるディレクターに就任し、現在に至ります。

これだけでも十分すごいのですが、アトリエ・メルカ以外のワイナリーでもワインを作っています。自身のワイナリーとして作っている「ラ・ペレ(La Pelle)」と、ワインメーカーとして直接携わっている「ブリリアント・ミステイク(Brilliant Mistake)」。このほか実は2000円台の人気ワイン「スラムダンク」のワインメーカーでもあり、Royal Prince、Stralaというワイナリーでもワインメーカーをしています。

今回はラ・ペレとブリリアント・ミステイクのワインを試飲しました。

左の5本が「ラ・ペレ」。フランス語でシャベルの意味で、ラ・ペレはシャベルをかたどっています。写真の部分は畑の土壌。どれがどのワインだかは裏を見ないとわからないのがちょっと難しい。新しいヴィンテージではもう少しわかりやすくなるそうです。ブリリアント・ミステイクのボトルはおしゃれです。



ラ・ペレは栽培管理の会社とのコラボレーションで作ったワイナリーです。ナパのブドウ畑はどこも非常に高額なので、いろいろな畑のブドウを使ってワインを作るには大変なお金がかかります。栽培管理会社とコラボしたのは様々な畑のブドウを使えるようにするためです。きちんと栽培を管理している畑のブドウを使って1990年ころのようなワインを作りたいとのこと。前述のように名前は「シャベル」の意味です。栽培においても醸造においてもシャベルは必需品なので、この名前を付けました。

最初のワインはソーヴィニョン・ブラン ナパヴァレー2020。1981年に植えられた畑で無灌漑の有機栽培。剪定はカリフォルニア・スプロールと呼ばれる、ワイヤーを使わず樹1本1本が独立した形で立つ形です。マーヤンはサンセールのディディエ・ダグノーが好きとのことで、そのスタイルを目指しているそうです。例えば発酵と熟成に使う樽はダグノーと同じ葉巻型と呼ばれる細長い形のものを使っています。樽のメーカー自体、サンセールに近いところのものです。発酵は10℃くらいの低温で6~8週間かけて行い、18カ月樽熟成します。樽熟成中には様子を見てバトナージュアルコール度数11.5%というのはナパのソーヴィニョン・ブランとしては異例の低さ。PHは2.9~3.0。酸度が高く、SO2添加などをしなくてもマロラクティック発酵は進まないそうです。

第一印象としては豊かな酸と華やかな香り。最初はかんきつ系が中心ですが、時間が経つにつれて華やかさが増してグアバやパイナップルのような熟度の高いフルーツの味わいが出てきます。濡れた石や石灰岩の風味が全体を引き締めています。シリアスなスタイルのソーヴィニョン・ブランです。

次はカベルネ・ソーヴィニヨン ナパヴァレー 2019。この後は単一畑が3本続きますが、こちらは6つの畑のブレンドもの。畑別に醸造して後からブレンドします。2019年は柔らかい味わいのものになったとのことですが、飲んでみると結構タニックで骨格があるワインです。

3本目から5本目は単一畑のワインが並びます。クームズヴィルのセニーザ・ヴァインヤード、オークノールのレッド・ヘン、セント・ヘレナのアルヴィウム・ヴィンヤードです。クームズヴィルやオークノールはナパの中では比較的冷涼なAVA、セント・ヘレナは一番暖かいAVAです。

クームズヴィルのセニーザは「灰」という意味。火山性の細かい灰がある地域です。畑はオーガニックの栽培です。9月末の収穫。黒果実と赤果実。酸高く、しっかりしたタンニン。複雑味がありクラシックなスタイルのカベルネ・ソーヴィニヨンです。

オークノールの畑は砂交じりのローム。バイオダイナミクスの栽培です。収穫は一番遅く10月半ば。スタイルとしてはセニーザに似ていますが、より酸が高く、赤果実の風味が支配的。個人的にはこれが一番好きな味でした。

セント・ヘレナのアルヴィウムは沖積扇状地の土地。沖積扇状地というと水はけがよく細かい土のイメージですが、扇状地を作ってきた川の流れの変化などによって場所ごとに少しずつ違った土壌になっているそうです。畑はリア仕立て。ここはリッチなワインを作るのは簡単で、それをどう抑えるかが腕の見せ所とのこと。3本の中では明らかに一番リッチで凝縮感のあるワイン。多くの人がイメージするナパのカベルネのスタイルです。バランスよく美味です。おそらく8割くらいの人はこれが一番好きというだろうと思います。

最後のワインはブリリアント・ミステイクのg3カベルネ・ソーヴィニヨン 2019です。
2014年に始めたワイナリーで、オーナーはライナート夫妻。
ライナート夫妻
見るからにアート系の二人で、印象的なワイナリー名とボトルのデザイン。ワイン名のg3はベクストファー・ジョージ・ザ・サード(George III)ヴィンヤードから。もともとボーリュー・ヴィンヤード(BV)でNo.3という畑だったところをベクストファーが購入した畑です。150エーカーというかなりの広さの畑ですが、ブリリアント・ミステイクでは、この中でも砂利質土壌の好きなブロックを選んで使っているそうです。ラ・ペレの新樽率が60%なのに対し、こちらは80%。アルコール度数も1%ほど高い作りです。飲んでみるとやはり樽香しっかりで全体的にリッチさが増しています。ミントやハーブのニュアンスが濃いだけのワインになるのを防いでいます。

今回のセミナー、比較的少人数で最初からほぼフリートーク。質問割込みも自由という感じで「どうやってスクリーミング・イーグルに就職したの?」などぶっちゃけ質問も数多く出ました。この記事ではエッセンスのみを書いていますが、ほかにも樽トークなどいろいろと面白い話が聞けて楽しいセミナーでした。
Date: 2024/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州のワイン業界団体「ワシントン・ワイングロワーズ」がブドウをカナダのブリティッシュ・コロンビアに輸出するためのガイドラインを作成しました。

ワシントン州と米国とカナダの国境を挟んでつながっているカナダのブリティッシュ・コロンビアでは今年、寒波によってブドウの樹の多くが死んでしまい、97~99%もの収穫減になると見込まれています。ブリティッシュ・コロンビアでは昨年も寒波によって大きな損害を受けており、多くのワイナリーが存続の危機に直面しています。

一方、ワシントン州ではブドウ余りが顕著です。2023年の収穫も摘まれないまま残ったブドウがあり、さらには最大手のシャトー・サン・ミシェルが2024年のブドウ受け入れを4割カットすると表明しており、栽培家の多くがブドウの引き抜きを強いられています。ブドウが足りないブリティッシュ・コロンビア、ブドウが余っているワシントン州でどちらにも渡りに船の話です。

ただ、簡単には行かない面もあります。カナダのワイナリーの規定で一定比率以上、地元のブドウを使っていないといけないというものがあります。またワインのラベルにどう書くかといった問題もあります。ブリティッシュ・コロンビアのワイナリーの中には同じカナダ内で東部のオンタリオの方から調達を図っているとこもあります。

規定を無視するわけにはいきませんが、このままだとブリティッシュ・コロンビアのワイン産業やそれにまつわる観光など、産業がなくなってしまう恐れさえでてきている状況であり、何らかの特例措置が図られるのではないかと思います。また、多くのブリティッシュ・コロンビアのワイナリーにとってはオンタリオよりもワシントンの方がずっと距離が近く、ブドウ品種の親和性なども高いため、そちらから調達する方が自然でしょう。

互いにいい結果につながってほしいと切に願います。
Kelowna
Kelownaエリアのブドウ畑by Mack Male
Date: 2024/0321 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワイン・スペクテーターが選ぶ2023年のコスパワイン世界一はラ・クレマのピノ・ノワール ソノマ・コースト 2021でした。エノテカでこのワインを購入して飲みました。写真はなぜか撮っていません。

ラ・クレマのピノ・ノワールはこれまで何回か飲んだことがあります。非常に親しみやすいピノ・ノワールで、エレガント系というよりも米国らしいやや骨太の酸味が低めのピノ・ノワールだったように覚えています。

2021年のソノマ・コースト ピノ・ノワールはきれいな作り。酸もありますが、突出するわけではなく、とてもバランスよくするする飲めてしまいます。完成度高いのでピノ・ノワールの入門的にもいいと思います。

ワイン・スペクテーターの記事によると、2021年はそれまでよりも収穫時期を早めているとのこと。2020年は山火事の影響で、少し早めの収穫になったのですが、怪我の功名で、これくらい早く摘んでも全く問題がないという結論に至ったそうです。

ブドウの供給元も以前とは変わっています。ソノマ・コーストは巨大なAVAでロシアン・リバー・ヴァレーの大半が含まれ、カーネロスも一部が含まれています。ラ・クレマは、ケンダル・ジャクソンなどと同じジャクソン・ファミリーのワイナリーであり、ソノマに数多くの畑を所有し、契約農家も多数あります。ソノマ・コースト内にも多数の供給元があるのですが、以前はやや温暖なロシアン・リバー・ヴァレーに含まれるところが多かったそうです。2021年は極めて冷涼なアナポリスに近い畑や、強風の吹くペタルマ・ギャップの畑がメインのコンポーネントとなり、冷涼な地域にだいぶシフトしています。

こういったことすべてが、このバランスの良さにつながっているのでしょう。なお、ラ・クレマにはモントレーなど他地域のブドウを使ったピノ・ノワールもありますので、購入時には気を付けてください。

米国価格28ドルが3000円台というのも頑張った価格ですね。



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ラ・クレマ・ソノマ・コースト・ピノ・ノワール[2021]
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Date: 2024/0320 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パッツ&ホール(Patz&Hall)がワシントン州のシャトー・サン・ミシェルの傘下に入ったのが2016年。創設者のジェームズ・ホールが2024年3月18日、ワイナリーを買い戻して独立したと発表しました。

ジェームズホール

「サンミッシェル・ワイン・エステーツからワイナリーを取り戻すこの貴重な機会は、パッツ&ホールでの過去35年にわたる私のライフワークの集大成です。パッツ&ホールが現在作っているシャルドネ、ピノ・ノワール、スパークリングワインは、私のキャリアの中でも最高級のものです。この素晴らしいワイナリーの将来の成功に貢献できることに興奮しています。」とジェームズ・ホールは語っています。

パッツ&ホールは「ネゴシアン」スタイルのワイナリーの先駆者の一つ。ソノマを中心に、ハイドやマルティネリ、ダットンなど素晴らしい栽培家と契約してワインを作ってきました。創設者でワインメーカーのジェームズ・ホールは現在は「名誉ワインメーカー」の位置づけ。2023年5月にはジェームズ・マックシーニーがシニア・ワインメーカーに就任しています。

ちなみに、もう一人の創設者のドナルド・パッツは、独立して現在はSecret Door、Maritana、Terminimというワイナリーを経営しています。

個人的にも好きなワイナリーの一つなので、今後も頑張ってほしいです。一度大手資本の傘下に入ったワイナリーが独立するという例はあまりないので期待しています。
Date: 2024/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジョセフ・フェルプス(Joseph Phelps)をご存じでしょうか。インシグニアというボルドー・ブレンドが有名なナパのワイナリーです。私がカリフォルニアワインにはまり始めた1990年代頃には「玄人のオーパス・ワン」といった異名もありました。オーパス・ワンはだれもが知っているカリフォルニアの名門ですが、詳しい人は実力で優るインシグニアを選ぶよ、といった意味が込められていたと思います。

実際、ロバート・パーカーのレイティングでは100点を4回取っており(オーパス・ワンは0回)、ワインスペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーも受賞したことがあります(オーパス・ワンはなし)。評論家の評価ではインシグニアが上回っているといっても過言ではないでしょう。

ただ、カリフォルニア・ワインに詳しい人も、「インシグニアって畑は何?」とかって聞かれたら答えられない人がほとんどではないかと思います。オーパス・ワンならト・カロン、ドミナスならナパヌック、シェーファーならヒルサイドなど、そのワイナリーのある地域の畑と結びつくイメージを持つことが多いですが、インシグニアにはインシグニアという名前以上のイメージがあまりありません。

また、ジョセフ・フェルプスは様々な分野でナパをリードしてきたワイナリーでもあるのですが、そのこともほとんど知られていません。オーパス・ワンと同じレベルで知られていいワイナリーでありワインであるのですが、意外とちゃんと知られていない、そういう面があります。

建築業を営むジョー・フェルプスが設立したジョセフ・フェルプスは、ジョーの死後も家族が支えてきましたが、2022年にLVMH(日本ではMHD)傘下に入りました。元オーパス・ワンのデイビッド・ピアソンが社長に就任しています。

この体制になって初めての国内のイベントが開かれて、参加させていただきました。


ジョー・フェルプスは1960年代にサンフランシスコにオフィスを持ち、ナパにおけるワイナリーの建築にも携わるようになりました。それがきっかけでナパに土地を買い、1973年にワイナリーを始めます。最初のワインメーカーはドイツ出身のウォルター・シュグ。彼のリードによってナパで初めてのワインをいろいろと生み出します。まず、インシグニアはいわゆるボルドー・ブレンドの先駆者であり、一方で単一畑の名前を付けたワインでも先駆者の一つとなっています(アイズリー・ヴィンヤード)。このほかナパで初のデザート・ワイン、ナパで初のシラーなど次々に新しい試みを行っていきました。

1990年代にはソノマ・コースト(現在のウエスト・ソノマ・コースト)のフリーストーンにシャルドネとピノ・ノワールの畑を作りました。ナパのワイナリーで現ウエスト・ソノマ・コーストに進出した例は、後にウェイフェアラー(ナパのパルメイヤー)、ボアズ・ビュー(ナパのシュレーダー)などがありますが、1990年代にここに狙いをつけたのは慧眼といっていいでしょう。

また、ジョセフ・フェルプスは実はナパの中でも大地主です。ワイナリーのあるセント・ヘレナのほか、ラザフォード、オークヴィル、スタッグスリープ・ディストリクト、オーク・ノール、カーネロス、そしてサブAVAのないところを含めて9つの畑を持ち、総面積は425エーカーに上ります。例えばスタッグスリープに二つある畑の一つは有名なFAYの隣、もう一つはクリフ・レイディのポエトリーの畑のはす向かいなど、どの畑もびっくりするくらい一等地にあります。

インシグニアは、2004年以降は自社畑のブドウのみで作られています。普通のワイナリーだったら、それぞれ単一畑のワインを作っても全くおかしくないような畑のブドウをブレンドして作られているのがインシグニアなのです。単一畑としての最高を目指すのではなく、ブレンドによって最高を目指す、そんなワインです。ブレンドでフラッグシップを作るのはオー・ボン・クリマのイザベルもそうですが、意外とレアな存在であり、そもそもインシグニアがそういうスタイルであることももっと知られていいと思います。ちなみに、各ヴィンテージの畑の比率は公開されていますが、結構毎年比率は異なります。例えば今回試飲した2019年は比較的暖かい年だったせいか、やや冷涼なオーク・ノールの「Yountville」という畑のブドウが多く使われています。

自社畑における栽培では再生農法に取り組んでいます。これは土をかつての健康な状態に戻すというコンセプトの農法で、2023年頃からしばしば話題に上るようになりました。ナパではガーギッチ・ヒルズが認証を取っており、ハーランも同じような取り組みをしています。

今回はインシグニア2019とナパヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨン2021を試飲しました。ステーキとのペアリング付きです。




インシグニアは100%フレンチオークの新樽で2年間熟成。その後9カ月の瓶熟を経て出荷されます。
2019年は鉛筆の芯やカシス、ハーブ、生肉、コーヒーの風味があり、濃厚でパワフルなワイン。タンニンは強いがしなやかで非常に長い余韻を持ちます。多くの人がイメージするナパのカベルネの最高峰といっていいでしょう。
一方、ナパヴァレーのカベルネは新樽率は48%で、樽の半分はアメリカン・オークを使っています。その樽からくるココナッツのような甘やかな香りが特徴で、インシグニアと比べるとややタンニンが強くがっしりとしたストラクチャーを持ちます。インシグニアの洗練さと比べるとちょっと武骨な印象のあるワインです。
デイビッド・ピアソン氏はジョセフ・フェルプスのワインはしなやかなタンニンがあるので、魚料理にも合うとしていました。単純にどの魚料理でも合うわけではありませんが、特にインシグニアは幅広い料理にも合わせられそうです。

ジョセフ・フェルプスは2015年にワイナリーを拡充し、従来のワイナリー部分をゲストセンターにしています。今後はワイナリーに来る人たちをファンにすることにも一層力を入れていくようです。

インシグニアのすごさ、少しは伝わったでしょうか。機会があったらぜひ飲んでみてください。

Date: 2024/0313 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コッポラ
フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーが、ダイヤモンド・コレクションのシリーズに「ヴァイブランス」というピノ・グリジオを追加すると発表しました。急速に市場を広げようとしている低カロリー、低アルコールの流れに沿っています。具体的には5オンス(約140ml)で80カロリー、アルコール度数は8%。

コッポラ・ポートフォリオのマーケティング・ディレクターであるメアリー・ワコヴィッチは、「低カロリー、低アルコールのワインに対する需要は昨年来急増しており、ダイヤモンド・コレクション "Vibrance "は、ライト・ワイン・カテゴリーで最も人気のある品種と価格帯でその需要に応えています」とコメントしています。スーパープレミアムワイン(11~14.99ドル)は、ライトワインカテゴリーの中でも活況を呈しているセグメントで、ライトワインの中で最も売れている価格セグメントとして、総売上額の40%という大きなシェアを占めます。

日本でも低アルコール、低カロリーの流れが来るでしょうか。このワインが売れるか売れないかは別問題で気になるところです。
Date: 2024/0312 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Library TVというYouRubeチャンネルをご存じでしょうか。YouTubeが今のようにメジャーになる前に人気のあったチャンネルです。2006年に始まり、2008年までほぼ毎日10数分の動画を更新していた人気のチャンネルでした。このチャンネルが名前を変えて復活するという話が出ていました(The Original Wine Influencer Is Back Making Wine Content Great Again - Men)。

チャンネルの主宰者はゲイリー・ヴェイナーチェック(Gary Vaynerchuk)という人。ゲイリーヴィー(Garyvee)というニックネームで知られています。ベラルーシの出身で家族で米国に移住。ニューヨークでワインショップを営む父親のもとで始めたのがWine Library TVでした。
彼の情熱的な語りは多くのファンに支持され、人気チャンネルとなってテレビ出演やベストセラー本の出版などにつながりました。彼はその後、ソーシャルメディア・マーケティングなどを行う起業家として活躍。今にいたります。

ちなみにYouTubeチャンネルの登録者は3万8000人と、今の水準から比べるとだいぶ少ないです。今とは時代の違いを感じます。以前はYouTube以外でも配信していたような気もしますが、さすがに遠い話で忘れました。ともかく、ゲイリーヴィー自身、今ではSNSのフォロワーが4400万人を超えるというから、すごいものです。

その彼が、ワインのチャンネルを新たに始めたのが今回のニュース。WineText TVという名前で視聴者に新しいワインの発見を促し、流行のワインの間違いを暴くことを目的としているそうです。

動画を見るとだいぶふけたなあとは思いますが、しゃべりは変わっていないですね。


Date: 2024/0309 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「自然派ワインは、ブドウ品種の特徴が分かりにくい」と言われています。これがどうしてだろうという疑問をXやFacebookで投稿したところ、いろいろとご意見をいただきました。自身の覚書を兼ねて、まとめておきたいと思います。

といっても、そもそもこの命題自体があいまいなものであり、ミスリーディングにつながる可能性もあります。ひとつには自然派ワインという言葉自体がきちんと定義されたものではないからです。一般には、有機農法による栽培を実践していて、醸造は天然酵母で、SO2は瓶詰め時にごくわずか使うか、あるいは全く使わないといったところが共通項かと思いますが、実はこれだけだと、オーパス・ワンなんかも自然派ワインと呼べてしまうことになります。もちろん、オーパス・ワンを自然派ワインと呼んでも構わないですが、「自然派ワイン」と聞いてオーパス・ワンをイメージする人はほとんどいないでしょう。

それから、すべての自然派ワインがブドウ品種の特徴が分からない、というわけではありません。あくまで一般論としてそういうものが多いという話です。

あと、転載許可をいただいていないので、一応お名前は伏せさせていただきます。

ワインショップWさん
私的な意見では、ブドウの熟度が低めで個性差が出る前のため、単純な酸と糖のみで構成されてる事が大きな原因かと、完熟した時に香りや色で他の生物を引き付け広まるというのが一般的な生物学的な話やったと思うので、、 
またSO2控える事で使える技法にも制約あるので幅広い味合いを作るにはハードル高いとは感じています。
因みにテロワールに関しで、土壌や気候はワインの成熟のプロセスに関わる要素と言う事であると考えると、成熟が完全に進む前に収穫するとその差も感じにくくなる様に思います。

WSET Diploma Hさん
個人的にはブドウの熟度の問題と結局品種特徴が出るのには人の手が掛かっているということが要因かなと思ってます。
野生酵母自体はナチュラルワインに限らず一般的に使用されていますが、SO2添加がされないことによりバクテリアとかのコントロールも不自由になるからそういったものがはたらいているが故の味に近づくのではないですかねぇ。
熟度が高いブドウを使ってクリーンに作られてちゃんと特徴が出ているワインももちろんありますが、一般にナチュラルワインと巷で言われるものは一方向を向いてますよね。
単純ゆえにウケてるという部分もあるのでしょうがファッションの側面も強いから扱いが難しいですね。

WSET Diploma Tさん
皆さんがコメントされてるように熟度や酵母といった理由はもちろんあると思いますが、最も大きな理由は品種個性を出すための介入をきちんとしていないからだと思います。
乱暴な言い方をすれば、これまで品種個性を強調するための先人たちの努力を無視した造りをしているから、でしょう。
例えばソーヴィニヨンブランの特徴的なアロマ。要因となる化学物質の特性をよく理解しているからこそ、収穫方法・温度・酸素との接触といったオプションを適切に行い、その個性を活かしてきました。それらをしていなければ、当然個性は失われます。
例えるなら良い食材と適切な調理法の組み合わせです。正しい火入をすることによって得られる風味や食感、それは調理法のみによってはえられず、やはり食材がなければ生まれません。そういうことかと認識しています。

ワイン講師Iさん
醸造上のナチュール系という事に限れば、似た味わいになるのはブレットと酸化によるものと思っています。酸化の部分は長期熟成のワインが似た風味になるのと同じ原理かと。
栽培のナチュール(バイオダイナミックなど)ではむしろテロワールの違いがはっきり出るように思います。かつてシャプティエとソノマのベンジガーのブランドマネージャー時代にその違いは徹底的に経験して来ました。現在BMのシャンパーニュ・トリボーも有機栽培転換以来、明確に品種、テロワール特性を感じる様になりました。

有名ソムリエYさん
「ナチュラル」に属するワインの全てに起こる現象では全くない、という前提が必要ではありますが。。。
一部のワイルド系ナチュラルでは、揮発酸、ブレタノミセス、還元臭といった「クラシック」でもごく普通にある風味香味が過度に出過ぎて「欠陥」の領域に入ることがあり、それらは確かにテロワールと我々が呼んでいる特徴に厚いヴェールをかけてしまうと思います。いわゆる「ネズミ臭(通称、マメ)」と呼ばれる欠陥だけは論外ですが。。。
ただし、これらの現象が発生する理由が、醸造過程における亜硫酸無添加が直接的なものとは言い切れませんね。むしろ、温度管理等を含めた醸造中の様々なコントロールの不備によるものが大きいかと考えられます。実際に瓶詰め前の極々僅かな亜硫酸添加のみで、クリーンなワインとなっているものも多々ございますので。
野生酵母を使用して問題が起こるケースは、むしろ葡萄畑の方に原因があると考えるのが、現状では一般論かと思います。(農薬を使用し過ぎて、酵母の質と量がよろしくない。収穫期の雨で酵母が流れた、などなど。)
過度の添加物を使用し、醸造技術で矯正しまくったタイプの「クラシック」もテロワールは歪んで金太郎飴状態になりますので、このあたりはどっちもどっちと考えるのがフェアかと思います。
一応、「カーボニック・マセレーション」や「バトナージュ」などの一般的なテクニックでも大なり小なり同様、とまた前置きしておきますが、あくまでもテロワールや葡萄品種の個性が分かりにくくなるだけで、消える訳では無いというのが私見です。
どれだけ揮発酸が出ていても、ジュラはジュラの味がしますし。。。
ご指摘の通り、かつては無添加醸造を目的とした低pH収穫(つまり早摘み)が主流になりつつあった時代がありましたが、現在この点に関しては大幅に改善されています。ポリフェノール類が未熟な葡萄は、亜硫酸の助け無しに自身を守りきれないと、多くのナチュラル派生産者がすでに理解しています。

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早摘みや醸造上の不備が品種特性を覆い隠す原因になっていそうなことは分かってきましたが、ケースバイケースの部分もかなりあるということなのでしょう。また、「自然派ワインは」と一緒くたに語ること自体、いい意味でも悪い意味でも視野を狭めてしまうことになるのでしょう。確かに「カリフォルニアワインは…でしょう」と雑なまとめ方をされてあまりいい気持ちはしませんから、同じことは言えると思います。

まとまったようなまとまらないようなことですが、いろいろ考えさせられる部分もあり、個人的には質問を投げかけてよかったと思っています。
Date: 2024/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2023年のカリフォルニアの「クラッシュ・レポート暫定版」が公開されました。カリフォルニア州各地のブドウの収穫量、取引価格、糖度を品種別に調査したものです。

過去のレポート
カリフォルニアの2022年のブドウ収穫量、2020年を下回り過去十数年で最少
カリフォルニアのブドウ収穫、2021年は前年より増加
カリフォルニアのブドウ収穫、2020年は大幅減少し過去10年で最少
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫


収穫量
全体の収穫量は372万9000トン。2022年の335万トン、2021年の360万トンを上回りました。ただ、この両年は続く干ばつで収穫量がかなり減っていたとき。2018年には450万トンありましたから、それをだいぶ下回っています。2023年は雨が豊富で非常にコンディションの良かった年。収穫量は意外と増えていないというのが正直な感想です。

ワイン・サーチャーの記事「California 2023: More Better Wine」によると、どうやら実際にはブドウの売り先が見つからずに収穫されないままのブドウが少なからずあったようです。需要の伸び悩みが収穫量に反映されていると思われます。

赤ワイン用ブドウは2.3%増の195万9000トン、白ワイン用ブドウは15.3%増えて170万9000トンと、赤と白の差がだいぶ小さくなりました。これも白ワインの需要が増えていることを表していると思われます。

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価格は上昇を続けています。赤ワイン用のブドウは2022年と比べても1トンあたり100ドル以上上がっています。価格では赤ワイン用ブドウの上昇が大きく2022年から13.6%上昇、白ワイン用ブドウは6.4%増えて733.33ドルでした。

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品種別の収穫量では2022年にカベルネ・ソーヴィニヨンが1位になりましたが、2023年はまたシャルドネが1位に返り咲きました。3位フレンチ・コロンバール、4位ピノ・ノワールは昨年と同じです。
Date: 2024/0307 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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しあわせワイン俱楽部のお薦めは前の記事に載せたので、他のショップからのお薦めを紹介します。

「業務用酒販 ふじまつ」のパイン・リッジ シュナン・ブラン/ヴィオニエ。このワイン、さくらアワードで女性ワインメーカーの賞を受賞しています。癒される味わいで個人的にも好きなワイン。他の店は1900円程度しますので1300円台は安いです。


「赤坂ワインストア エラベル」のコッポラ ダイヤモンドコレクション カベルネ・ソーヴィニヨン。他の店が2800円以上、輸入元のエノテカだと3600円しますから2100円台は安いです。


「リカオー:のシャンドン スパークリング ロゼ。そもそもほかに売っている店を見かけませんが、2200円台という価格には文句のつけようがありません。


「リカオー」のカレラのエントリーレベルのシャルドネ。3100円台は他のショップより300円程度は安いです。


という上のワインは見せ球で、実は本命はこっち。カレラのマウント・ハーランの自社畑のシャルドネです。送料込みで4600円台は間違いなく激安。他のショップより2000円以上安いです。ショップは上と同じリカオー。


同じくリカオーからボーリュー(BV)のタペストリー・リザーブ。濃い系カベルネ好きにお薦め。これも他のショップより2000円以上安い。


「業務用酒販 ふじまつ」のロバート・モンダヴィ オークヴィル カベルネ・ソーヴィニヨン。1万1000円台は1ランク下のナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンの価格レベル。オークヴィルは実質ト・カロン・ヴィンヤードというぜいたくな作りで実は「一番安いト・カロンのカベルネ・ソーヴィニヨン」なのです。これはお得。

Date: 2024/0306 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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楽天スーパーセールに合わせてしあわせワイン倶楽部でいろいろ安くなっています。さすがに昨年秋のセールのときほどの大盤振る舞いではないですが、今回もいろいろ安いです。特に驚いたのがレイン(Raen)のセント・ロバート・キュベ ピノ・ノワール2021が2割引になっていること。

このワイン、昨年のワイン・スペクテーターで年間4位というワインです。当然ながらインポーターは完売しています。私も「WSで年間4位のレイン、8ヴィンテージを垂直で飲む」で飲んでおりますが、そこでも良ヴィンテージでちょうど飲み頃に入った2019に次ぐ美味しさに感じました。おそらくこれも数年熟成させればさらに良くなるでしょう。

ちなみに4位が決まった瞬間に1本購入していますが、そのときよりも今回の方が2000円以上安いです。おそらく世界最安といってもいいでしょう。



30%オフのコーナーではコスパ系がお薦め。
ディヴァムは元カレラの人が作っているワインとしてここ数年コスパ系シャルドネ/ピノ・ノワールの人気ワインになっていますが、今回はピノ・ノワールが3割引きで1584円。ほかの店は2000円超えますからまとめ買い推奨です。現地価格は20ドルとのこと。


もう一つコスパ系カベルネとシャルドネの「ジ・アトム」のシャルドネの方が1276円とこれも現地価格割れ。ほかの店は1700円以上します。リッチでカリフォルニアスタイルのシャルドネです。


さらに、瓶内二次発酵方式の中ではコスパ抜群のラック・アンド・リドルのブリュットも2233円。普通は3000円程度するスパークリングでその価格でも十分お得なのにこれは安いです。


20%オフではピーチー・キャニオンの「ウェストサイド」ジンファンデルもお薦め。先日の「Aliveテイスティング」のレポートでもお薦めにあげているワインです。3000円台で本格ジンファンデルは安いです。


ストルプマンといえばシラー、シラーといえばストルプマンというくらいシラーが得意なストルプマンからは「パラ・マリア」。カーボニック・マセレーション(ボージョレ・ヌーヴォーと同じ方式です)を使うことで、ふくよかでチャーミングなシラーに仕上げています。この味がきらいな人はいないだろうと思うワイン。


チャールズ・スミスのリースリング「カンフーガール」はときどき飲みたくなるワイン。甘酸っぱさがほっとさせてくれます。


高いけど安いのがフォーチュネート・サンのカベルネ。「カルト・ワイン」系の雄であるハンドレッド・エーカーの姉妹ブランド。2万6224円は高いけど割安です。


Date: 2024/0305 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマですばらしいシャルドネやピノ・ノワールを作ってきたフリーマンのアキコさんと新作をいただきながらランチする機会をいただきました。

2019年のランチ・セミナー
ソノマのエレガンス、フリーマンのワインを堪能
2020年のウェビナー
フリーマンのアキコさん、スパークリングに挑戦中と表明
2021年のインタビュー
「レイト・ディスゴージやロゼ・スパークリングも造ってます」――フリーマン・アキコさんに訊く
直近のフリーマン関連の記事
フリーマンのアキコさん、農業への功績で表彰 国外女性では初

前回インタビューしたのは2022年に初めてのスパークリングを発売する直前でした。その後2023年にはロゼ・スパークリングを出しましたが、もともとこれはイレギュラーの産物。2020年の山火事で、ピノ・ノワールの早めの収穫を余儀なくされたため、スパークリングにしたのでした。このロゼが好評だったため、次のヴィンテージからも作り続けることになりました。最初のワインは2ヴィンテージ目となる2021年のロゼです。


畑は前ヴィンテージと同じくウエスト・ソノマ・コーストの自社畑「ユーキ・ヴィンヤード」。その中でも一番果実が熟すのが遅い、斜面の下の部分のブロックを使っています。Brix17で摘んでいるとのこと。上の方のブロックとは熟すのが2週間くらい違うそうで、スパークリング用の収穫がスティルワイン用の収穫よりも遅くなることさえあるそうです。

ロゼは色が大事で、玉ねぎの皮の色を目指しているそう。カリフォルニアのロゼ・スパークリングはかなり色が濃いものも多く、ブラン・ド・ノワールでもこれくらいの濃さのことがありますが、色一つ取ってもフリーマンらしい奥ゆかしさが感じられます。

ちなみに、2020年のロゼは色が薄くなりすぎて、スティルのピノ・ノワールを少し足して色を出したそうです。スパークリングは安定させるために、マロラクティック発酵が終わった後にワインを冷やして酒石を析出させて取り除くそうなのですが、そのときに酒石に色が取られてしまったとのこと。今回は色を少し濃く出すために、果実をプレスして果汁を出した後、数時間果皮と接触させて色を付けているそうです。

一次発酵後はピノ・ノワールの古樽で熟成させました(前ヴィンテージはシャルドネの古樽)。またドザージュは1リットルあたり1g。ブラン・ド・ブランはノン・ドザージュですが、これは酸のエッジを取るために少しだけ糖分を入れています。

2021年のロゼは口に含むと酸が広がり、オレンジのような柑橘感を強く感じます。イースト香もかすかにあり、アニスの香りがアクセントになっています。第一印象は酸の高さから、色を見なければシャルドネと思ってしまいそうですが、多少グリップのある味わいがピノ・ノワールを思わせ、また幅広い料理に合いそうです。「酸が基調になっていて、クオリティの高さに驚いた」とマンダリンオリエンタル東京の野坂ソムリエ(全日本最優秀ソムリエ)。

この日のレストランはマンダリンオリエンタル東京の中華料理「Sense」。非常に上品なそして素晴らしい香りの料理でフリーマンのワインともとても良く合いました。

蒸し点心

京鴨と芽葱のダックロール

次のワインは新作のリースリング。リースリングについては2021年のインタビューでこのように語っています。
私自身はリースリングが好きなんです。実はうちの向かいにロス・コブさんの畑があって、そこでリースリング造っているんです。いいなあと思って見ているのですが、まだ自分で作るのはやっていないです。ウエスト・ソノマ・コーストのワイナリーの方も家ではリースリング飲んでいる方意外と多いんですよ。
アキコさんの家ではタイ料理を作ることも多く、フリーマンのシャルドネやピノ・ノワールはそれにはあまり合わないため、それもリースリングをよく飲む理由の一つだそうです。

すると、アキコさんが出張で留守にしているときにご主人のケンさんがロス・コブさんと話をしてリースリングを1トン分けてもらえることになったとか。アキコさんは事前に何も聞いておらず最初はどうしようと思ったそうですが、ロス・コブさんが作り方も教えるよということでついに初のリースリングを手がけました。

コブのリースリングというと「コール・ランチ」という自社畑のものが有名ですが、今回の畑はそれとは別の「アビゲイル」。もともとバーローさんという人が所有するピノ・ノワールの畑だったところを、マット・ペリーという人が手に入れました。この人はロス・コブさんの資金面の援助もしていて、またアキコさんのリースリング飲み仲間でもあったそう。そんなことから2019年にピノ・ノワールの一部を接ぎ木してリースリングに変えました。アビゲイルというのはマット・ペリーさんの娘さんの名前だとのこと。

コブではリースリングを2回に分けて収穫するのですが、フリーマンではそのうちの早摘みしたものを使っています。シャルドネの古樽で樽発酵・熟成しています。

フリーマンのシャルドネは涼風という名前が付いていますが、リースリングは光風。日本国語大辞典によると「雨あがりの、日をあびた草木に吹く風。また、春の日がうららかに照っている時さわやかに吹く風。」という意味だそうです。涼風も光風も季節を表す言葉ということで選んだのだとか。


ボトルはドイツやアルザスの細長いタイプではなくシャルドネと同様のもの。ボトルの高さが変わると梱包材も変えないといけないので、アルザス風にはしなかったそうです。

スパークリングと共通するのは、芯の通った酸があること。残糖があるタイプのリースリングではなく完全にドライなので酸が際立ちます。レモンオイルのようなオイリーさがあり、白桃のような熟した果実の風味やナッツもわずかに感じます。白檀のようなすっとした香りもあります。ドイツやアルザスのリースリングとはまた違った個性的なリースリングで「酸フェチ」だというアキコさんらしい味わいになっています。なお、アルコール度数は12.2度とカリフォルニアのワインとしてはかなり低いです。


シロクチベラの葱生姜蒸し

「海鮮仏跳牆(ぶっちょうしょう)」。修行僧も壁を飛び越えて食べにくるというスープ。とんでもなく香りがいい。

次のピノ・ノワールに行く前に、昨年フリーマンに加わったアソシエート・ワインメーカーの赤星映司さんについて伺いました。赤星さんとは昨年4月にナパでSilenusのワインメーカーとして会ったことがあります。南米の生まれで、かの長沢鼎の親戚筋でもあります。アキコさんと赤星さんは10年以上前に日系人のワインメーカーの集まりで会ったことがあったそうです。

フリーマンではアキコさんがワインメーカーとして清掃などの力仕事も全部やっていますが、ケンさんがもう少し楽にしたらということで、アシスタントを探し始めました。赤星さんがその噂を聞いて、メールしてきたそうです。これまでは主にナパのワイナリーで働いてきましたが、ピノ・ノワールを作りたいという夢があったそう。話をしたら、実は先祖が知り合いだった、醸造を学んだフレズノ大学はアキコさんの師匠のエド・カーツマンの母校でもあり、エド・カーツマンの講義を赤星さんが受講したことがあるなど、つながりもありました。そんなことからアソシエート・ワインメーカーとして来てもらったそうです。


活蝦夷鮑のオイスターソース煮込み

さて、最後のワインはピノ・ノワールのフラッグシップ「アキコズ・キュベ」です。


フリーマンでは、フラッグシップのピノ・ノワールをバレル・セレクションで作ります。アキコさんだけでなく、ケンさんや、師匠のエド・カーツマンさんも、自分がいいと思う樽を選んでブレンドし、ブレンドしたものを全員でブラインド・テイスティングしてどれにするかを決めます。アキコさんが勝つと「アキコズ・キュベ」という名前にするのですが、これまでアキコさんが全勝というのがすごいところ。ちなみにケンさんが勝ったら「ケンズ・スペシャル」、エドさんが勝ったら「エドズ・オーサム」という名前を付けることになっているそうです。

アキコさんにブレンドの秘訣を聞きました。「いろいろな味が口の中でヒットするように作っている」、例えば「香りがいい、スパイス感、ミッドパレット、フィニッシュがいいものなどを選抜する」とのことで、米国のファンはアキコズ・キュベの味わいを「パーティ・イン・ア・マウス」と呼ぶそうです。

これには私も納得というかなるほどと思いました。アキコズ・キュベは何度も飲んでいてその美味しさはもちろん知っていますが、味の形容が意外と難しいとも感じていました。非常にバランスがよく、一方で何か突出して素晴らしいというのとも違うからです。アキコさんのブレンドの秘訣を聞いて、なるほど、そのように計算されて作られていたのだなと合点したわけです。

フリーマンではフランスの樽メーカー5社から樽を仕入れています。ピノ・ノワールでは新樽率35%、シャルドネは10%程度。畑やクローンと樽との相性などもあり組み合わせはものすごい数になります。ワインは1年に1回しか作れないことを考えると最適な組み合わせを見つけるのはむちゃくちゃ大変そうです。

2020年は作れなかったアキコズキュベ。2021年は収穫量は少なかったですが平穏な年でした。
味わいはフランボワーズやざくろ、赤果実の風味ですが熟度の高さを感じます。タンニンもありストラクチャーがしっかりしています。もちろん酸も通っています。さすがの美味しさです。

バランスの良さとストラクチャーの感じはカレラ・ジェンセンあたりにちょっと通じる気がしますが、カレラは赤果実というより黒っぽさがあるので、それともまた違うんですよね。オクシデンタルも、もう少し黒系に寄っている気がするし、赤果実のキレイさとストラクチャーを持っているピノというのは意外と見つかりにくいかもしれません。


皮付き豚ばら肉と花彫紹興酒の角煮。豚はメキシコ産でチルドで来るそうです。日本の豚は皮の下の脂肪が多く、皮を付けたものはメキシコ産が向くとのこと。


ズワイガニと天使エビのワンタンメン




来年には赤星さんも連れて来日したいというアキコさん。今後のワインもますます楽しみです。
Date: 2024/0304 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストやロシアン・リバー・ヴァレーの銘醸畑からすばらしいワインを作るセンシーズ(Senses)が国内本格輸入が始まり、創設者のひとりであるクリストファー・ストリーターが来日し、ディナーでワインをいただいてきました。

センシーズの国内輸入は2019年に始まっていました。ただ、ワインショップ「パリ16区」の独占販売という形だったので、同ショップとつながりがない人には届いていなかったかもしれません。当時、ワインのサンプルをいただいた記事がこちらになります。
センシーズのワインを検証、トーマス・ブラウンの実力にうなる

今回、中川ワインが輸入を始め、より手に入りやすくなりました。

クリストファーは昨年のAliveテイスティングにウエスト・ソノマ・コーストのワイナリーの一つとして参加しており、そのときに対面しています(実は忘れていたのですが、彼から「去年会ったよね」と言われました)。



今回のワインは6種。シャルドネとピノ・ノワールが3種類ずつです。
シャルドネ ロシアン・リバー・ヴァレー 2019
シャルドネ チャールズ・ハインツ ソノマ・コースト 2021
シャルドネ エル・ディアブロ ソノマ・コースト ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
ピノ・ノワール MCM88(キーファーランチ) ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
ピノ・ノワール デイ・ワン(ヒルクレスト・ヴィンヤード) ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
ピノ・ノワール ボデガ・ティエリオ・ヴィンヤード ウエスト・ソノマ・コースト 2021

センシーズは幼馴染の3人で始めたワイナリー。その一人のマックス・ティエリオットは銘醸畑として知られるB.A. ティエリオットの畑のオーナーの息子であり、もう一人のマイルス・ローレンス・ブリッグスも両親がヒルクレストという畑の創設者です。クリストファーは大学では経済や財務を学び、卒業してジャクソン・ファミリーで働き始め、創設者のジェス・ジャクソンからワインビジネスの面白さと難しさを学んでワイナリーをやりたいと思ったそうです。弱冠22歳(あとの2人は21歳)のときに、3人でワイナリーを始めることにし、最初は100ケースからスタートし、徐々にビジネスを拡大して現在は5000ケースにまだなりました。マックス・ティエリオットは俳優としても有名で、マーケティングなどを担当。芸能人の知り合いなどハイエンドのワインが好きな顧客とのコネクションが高品質なワイン造りにも役立っているとのことです。またマイルスは料理が大好きで、畑の管理を主に担当しています。

畑の持ち主の息子ということから近隣の他の銘醸畑とのコネクションも数多く持っており、それがセンシーズのワインに生かされています。また、ワインメーカーはかの有名なトーマス・リヴァース・ブラウン。彼から3人に声をかけてワインメーカーになったという、引く手あまたの有名ワインメーカーから見染められるというのも異例の展開ですが、これもティエリオットの畑があったからこそです。クリストファーによると彼はとても賢い人だから、ティエリオットのブドウを手に入れるチャンスだと思ったのだろう」とのこと。実際、トーマスはティエリオットのシャルドネをその後作るようになりました。また、トーマスは多くの場合「コンサルタント」としてワイナリーに携わっていますが、センシーズではワインメーカーとして密にワイン造りを行っています。醸造もナパのカリストガにあるトーマスのワイナリーで行っています。

ワインの話に移りましょう。
シャルドネ ロシアン・リバー・ヴァレー 2019
名目上はAVAものですが、実際には超有名栽培家のダットン・ランチのブドウをメインで使っています。ちなみにダットン・ランチはキスラーやパッツ&ホールなどもワインを作っており「ダットン・ランチ」の名前を付けていますが、実際には単一畑ではなく数多くの畑の集合体になっています。センシーズで使っている畑はグリーン・ヴァレーのブッシュ・ヴィンヤードというダットンの畑だそうです。センシーズのポリシーとして、安いワインを作るために質の低いブドウを調達するようなことはしないとのことで、レベルの高い畑からだけブドウを買っています。

ついでにちょっとややこしい話をするとラベルにはロシアン・リバー・ヴァレーと書いてありますが、実質的にはグリーン・ヴァレーと名乗ることもできるし、ソノマ・コーストと名乗ることも可能です。どれを名乗るかはワイナリーの選択次第でどちらかというとマーケティング的な面が大きくなります。センシーズの場合、シャルドネ・ソノマ・コーストというAVAもの(日本未発売)もあるので、こちらはロシアン・リバー・ヴァレーとしているのでしょう。

ミネラル感やレモンオイル、ほのかなバニラの香り(新樽率は5%くらいと低いです)。リッチですがすごく上品できれいなワイン。センシーズのシャルドネの中ではエントリー的な位置付けですが、それにしてはレベルの高いワイン。


この日のレストランはエディション東京の「The Jade Room」。イギリス出身のシェフによる「今のイギリスの料理」を出しています。フランス料理と比べると素材の味をより生かしているように感じます。

2本目のワインに移ります。
シャルドネ チャールズ・ハインツ ソノマ・コースト 2021
チャールズ・ハインツも言わずと知れた銘醸畑。近年では入手困難なスパークリングワイン「ウルトラマリン」が使っている畑としても知られています。
最初のワインと比べるとゴージャスなワイン。白桃やパイナップルなど熟度の高いやわらかい果実味にはちみつやブリオッシュの風味。かといってビッグすぎないバランスの良さも光ります。センシーズは風味を引き出すために収穫は比較的遅めにしているのですが、チャールズ・ハインツの畑では貴腐化したブドウが必ず一部に入るとのこと。はちみつの風味はそのあたりから来ているようです。


ビーツにすだち、キャビア、干し草

シャルドネ エル・ディアブロ ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
エル・ディアブロはロシアン・リバー・ヴァレーのミドル・リーチと呼ばれる比較的温暖なところにある畑。センシーズの使っている畑の中では一番内陸にあります。オーベールの「East Side」と同じ畑だとのこと。センシーズの多くの畑がゴールドリッジという水はけの非常にいい土壌であるのに対し、ここは粘土質が多く表土も深いところ。温暖なこともあり、収穫時期は早く、チャールズ・ハインツと比べると1カ月ほども変わることがあるそう。
温暖な畑なのでトロピカルフルーツの風味が出てくるのかと思いきや、収穫時期が早いせいか意外と冷涼感を感じます。酸がきれいでミネラルや黄桃の風味。チャールズ・ハインツとの甲乙を付けるのは難しいですが、こちらの方が開くのに時間がかかるとクリストファー。



ピノ・ノワール MCM88(キーファーランチ) ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
ピノ・ノワールの1本目はMCM88というワイン。この名前は3人の頭文字に生まれ年の88を付けたもの。MCMはローマ数字で1900になるので「MCM88」で1988年生まれを表しています。畑は実際にはキーファー・ランチというコスタ・ブラウンで一世を風靡した畑ですが、契約上その名前が使えないためにこうしています。現在はオリジナルの名前であるPerry Ranchというのが畑の名称になっているようです。ダットンから紹介されて使えるようになった畑で現在の栽培管理もダットンが行っています。スイスクローンと呼ばれるクローンを使っています。
ピノ・ノワールとしてはややダークな果実味。ザクロやネクタリン。濃厚ですが重くなく酸とのバランスが秀逸です。ハーブ感もあります。


合わせるのが難しいあん肝を使った料理ですが、意外とピノともよく合いました。

ピノ・ノワール デイ・ワン(ヒルクレスト・ヴィンヤード) ロシアン・リバー・ヴァレー 2021
ヒルクレストはマイルスの家が持っていた畑でセンシーズの自社畑の一つとなっています。グリーン・ヴァレーの中でも最も海に近い冷涼なところの畑。1974年に植樹された、このあたりではかなり古い畑です。
ストラクチャーのあるピノ・ノワール。ハーブ、レッド・チェリーやフランボワーズといった明るい赤果実。ストラクチャーは全房から来ているのかと思ったのですが、全房発酵は基本的にやっていないそうです。クローン4種類のブレンドになっており、そのうちのカレラ・クローンがグリップ感を与えてくれるとのことだったので、そのあたりから個性が来ているのかもしれません。



ピノ・ノワール ボデガ・ティエリオ・ヴィンヤード ウエスト・ソノマ・コースト 2021
最後のワイン、ボデガ・ティエリオは2016年に植樹された新しい自社畑。ウエスト・ソノマ・コーストにあるオクシデンタルの畑の隣にあります。2021年が最初のヴィンテージ。
これがちょっと驚きのすばらしさ。赤果実に少しブルーベリーの風味も加わります。ちょっとのダークさが深みを与え、きわめてジューシー。このダークさはオクシデンタルのピノ・ノワールにも通じますが、極めて冷涼で海からの風で果皮が厚くなることから来ているようです。酸が豊かでエレガントさもあります。最初のヴィンテージでこの完成度はすごい。将来はオクシデンタルのピノ・ノワールや、同じく近隣の畑であるプラット・ヴィンヤード(トーマスのリヴァース・マリーがここからヴィノス100点のピノ・ノワールを作っています)にも並ぶ存在になりそうです。





以下のショップはいずれも「カリフォルニアワインあとりえ」。店長の野村さんもこのディナーに来られて、ワインを堪能されていました。各ページには野村さんのコメントも紹介されています。







Date: 2024/0301 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
パソ・ロブレスのセミナーレポートに続いて試飲会のレポートです。

最初にちょっと言い訳というか弁解を。

今回の試飲会、東京の回は750を超える試飲ワインが出ていたそうです。4時間半という長丁場の試飲会ではありましたが、さすがに全部を試飲するのは無理です。なので、あくまでもたまたま私が試飲した中でのおすすめワインという形になります。特にこういう大きな試飲会では、単独の試飲会に参加している中川ワイン、Wine to Style、布袋ワイン、アイコニックワインあたりはどうしてもパスしてしまうことになりがちですのでご了承ください。

あと、試飲会では安いワインも高いワインも平等に試飲するのがモットーなので、立ち寄ったブースの多くではすべてのワインを試飲しています。逆に言うと、立ち寄っているブースと全く立ち寄っていないブースでどうしても分かれてしまいます。行けなかったところは申し訳ありません。

コメントを書いたワインを数えてみたら240くらいありました。だいたい3分の1くらい試飲したという計算です。4時間半を240本で割ると1本あたり平均1分10秒弱になります。飲むだけでなく話もするのでこれくらいにはなってしまいますね。

言い訳ばかり書いていてもしょうがないので本編に進みます。


デプト・プランニングが輸入するベンジャミン・シルバー。サンタ・バーバラのワイナリーです。今回は本人自ら来日してワインを注いでくれました。ピノ・ノワールを得意とするワイナリーですが、今回光っていたのはカベルネ・フランです。赤果実がきれいで6000円はむちゃくちゃコスパ高いです。


昨年はテーマ産地ウエスト・ソノマコーストの一員として来日していたアーネスト。当時はインポーターがありませんでしたが、富士インダストリーズが輸入しています。シャルドネもピノもピュアな果実の味わいがたまらないワイン。8000円台はこの地域のワインとしては安め。きれい系のシャルドネ、ピノ好きはぜひ。


今年のテーマ産地のパソ・ロブレスから「ホール・ランチ」のカベルネ・ソーヴィニヨン。パソ・ロブレスのワインとしては酸もしっかりしていてバランスよくコスパ高いです。
写真が切れていますがその右のビリキーノ「マルヴァジア・ビアンカ」は甘酸っぱい果実味が魅力。なじみのない品種かもしれませんが、試してほしいワイン。


ディアバーグはサンタ・バーバラの優秀なワイナリー(インポーターはモトックス)ですが、なんとこのピノとシャルドネは畑の植え替えでなくなってしまうそうです。個人的には酸のきりりとしたシャルドネが特に好印象。


こちらもモトックスが輸入する「トゥルー・ミス」。シャルドネはしっかり目の樽感が魅力。ピノ・ノワールは果実味が強く、カベルネは意外とキレイ系です。


アーサー・セラーズは日本人の桃井さんがソノマで作るワイン。ソノマの高級ピノ・ノワール/シャルドネの中では安価ですが、素晴らしい畑のブドウばかりを使っています。右のグロリア・ヴィンヤードはフリーマンの畑。桃井さんとフリーマンのアキコさんはエド・カーツマンの兄弟弟子とい関係です。2019年と、少し長めに熟成したものをニューリリースで出しています。果実味と酸のバランスがいいきれいなワイン。左のチェリー・リッジ・ピノ・ノワールはソノマ・コーストで超エレガントなワインを作っているロス・コブの畑のブドウを使ったもの。桃井さんのワインはチャーミングな果実味を持ったものが多いですが、このワインはその中でもひときわエレガント。昨年も同ヴィンテージのものを試飲してお薦めに挙げていますが、1年たってさらにいい感じにこなれてきています。


樽の風味とマロラクティック発酵によるバターの風味を前面に押し出したのが大人気のブレッド・アンド・バター。輸入元はGrepe Offでしたが、昨年秋に輸入元が変更され、その代わりに輸入を始めたのがこのレベルリッジ・シャルドネ。樽の風味とバターの風味がしっかりあるのは同様ですが、酸もありバランスよく美味しいです。価格も2割ほど安くなります。


カストロ・セラーズのワイン、ずいぶんひさしぶりに飲みました。テーマ産地であるパソ・ロブレスのワイナリーです。インポーターはJALUX。どれも果実味豊かでジューシー、バランスよく美味しいです。


同じくJALUXからタリーのエステート・シャルドネ。酸がきれい。これほど高品質なシャルドネが5300円はコスパ高いです。


明治屋が輸入するウェンテのワイン。オープン価格ですが、どれも2500円くらいということで、コスパ高いです。特にメルローとカベルネ・ソーヴィニョンがお薦め。


オニール・ヴィントナーズの「バックハウス・カベルネ・ソーヴィニヨン」と「バックハウス・ジンファンデル」。輸入元はジェロボームです。どちらも1000円台でコスパ高いです。特にカベルネはいいです。ジンファンデルはちょっと甘系ですが、甘やかなワインが飲みたいときにはいいと思います。


エフセラーズが輸入するワインからグリーン&レッドのジンファンデル チャイルズ・ミル・ヴィンヤードとエインシャント・ピークスのワンストーン カベルネソーヴィニヨン。グリーン&レッドはバランス系ジンファンデル。有名レストランのシェ・パニーズで長年ハウスワインで使われているくらい食事に合うワインです。ワンストーン カベルネソーヴィニヨンはジューシーな果実味が美味しくコスパ高いです。


中川ワインが輸入するアルマ・デ・カトレア。今回ワインメーカーのビビアナさんが来日されていたので、ビビアナさんのワインだけ試飲しに行きました。レッドワインはシラー中心。ビビアナさんのワインの中では一番パワフルですが、ちゃんときれいさもあり美味しい。


いまさら紹介するまでもないワインですが、リッジのメルロ・エステート2013(1万円)とカベルネ・エステート2016(1万3500円)。メルローは果実味のやわらかさがいいです。カベルネはまさにお手本的ワイン。いろいろワインが高騰する中で、これくらいの熟成ワインがこの価格は安いと思います。


WINE TO STYLEのブースでは目についた一部のワインを試飲しました。ボニー・ドゥーンはローヌ系品種のパイオニア的ワイナリー。創設者のランドール・グラームのユニークなキャラクターでも知られていましたが、ここ10年くらいは輸入がなくなっていたかと思います。ル・シガール・ヴォラントはローヌ系赤でここの代表的ワイン。うまいです。ル・シガール・オレンジはオレンジワイン。うまみがにじみ出てくるワイン。ピクプールという品種にはなじみがない人が多いかと思いますがジューシーで良かったです。


ナパのオークノールにあるマッケンジー=ミューラー(インポーターはヴィレッジ・セラーズ)。左のナパ・ジャズはラベルが素敵ですがカベルネ・フラン主体で、ナパのカベルネ系としてはエレガントなワイン。個人的にはかなり好きです。右のカベルネ・ソーヴィニヨンは日本限定のワイン。ストラクチャーがしっかりしています。


テーマ産地のパソ・ロブレスの試飲コーナーはワイナリーごとのブースになっています。


比較的新しいワイナリーながら、パソ・ロブレスを代表するような人気ワイナリーになったダオ。輸入元はナニワ商会です。新しいヴィンテージでは特にレギュラー・クラスの「ディスカバリー」シリーズのカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネがお薦め。どちらもリッチ系の味わいで、コスパ高いです。


セミナーでも試飲したピーチー・キャニオンですがバランスよくジューシーでコスパ高いのがウエストサイド・ジンファンデル。セミナーで試飲したナンシーズ・ヴューはエレガントで素晴らしいのですが、価格は倍します。コスパで見ればこちらをお薦めします。


タブラス・クリーク(インポーターはジェロボーム)は、パソ・ロブレスの中でも皆に尊敬される存在です。ローヌのシャトーヌフ・デュ・パプの名門「シャトー・ド・ボーカステル」のぺラン家がパソ・ロブレスに作ったワイナリー。ローヌ系品種をパソ・ロブレスに広げるために苗木の供給なども行っています。どれもきれいでバランスよくお手本のようなワイン。



J.ロアーからはプティ・シラーとセブン・オークスのカベルネをお薦め。プティ・シラーは濃厚な果実味がたまらないワイン。セブン・オークスは米国の15ドル以上のワインで売り上げ2位というベストセラー。ベストセラーになるだけあってバランスの良さが光ります。