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Date: 2022/1230 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今、一番気になるワインメーカーを一人挙げるとしたら、私はジェシー・カッツ(Jesse Katz)に一票入れます。

20代前半でスクリーミング・イーグルのワイン造りチームに入り、2010年にはナパのランカスターのワインメーカーに就任。米フォーブス誌の「30 Under 30」(30歳未満の注目30人)にワインメーカーとして初めて選ばれました。このほかにもジャスティン・ティンバーレイクの結婚式用にカスタムのワインを依頼されたり、オークションで1本100万ドルという新記録でワインが落札されたり…と話題に事欠きません。

現在、4つほどのワイン・プロジェクトに携わるジェシーですが、メインで手掛けるのはソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるアパチャー・セラーズ(Aperture Cellars)とデヴィル・プルーフ(Devil Proof、悪魔の証明)。中でもデヴィル・プルーフは米国初のマルベックでパーカー100点を取ったワイン。アパチャー・セラーズもボルドー系のワインで高い評価を得ています。マルベックで100点というのはほかにはアルゼンチンのワインしかありません。

ジェシーの父親のアンディ・カッツはワイナリーやブドウ畑の写真を撮るフォトグラファーとして有名な人で、欧州の著名なワイナリーでも多くの撮影をし、知己を得ています。ジェシーはそのつながりからもワインを学び、現在のワイナリーも父親と共同経営という形を取っています。

柳屋です。



しあわせワイン倶楽部です。




Date: 2022/1228 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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2022年の大きなトピックの1つはワイン・スペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーにシュレーダーのダブル・ダイヤモンド2019が選ばれたこと。ワイン・オブ・ザ・イヤーのワインが、発表時点で日本で売られていることが珍しい(多くの場合、それより前のヴィンテージがまだ流通している)上に、1万円台前半という比較的手を出しやすい価格もあって、国内の在庫はまさに「瞬殺」になりました。

ダブル・ダイヤモンドの受賞の理由としては、ワインの味はもちろんのこと、かのト・カロン・ヴィンヤードのワインがこの価格で飲めるというのも大きな要素になっていました。さらにいうとダブル・ダイヤモンドの場合は、ロバート・モンダヴィが持っていた(現在は親会社のコンステレーション・ブランズが所有)ト・カロンに加え、ベクストファー・ト・カロン(ト・カロンの名前を名乗れるのはこの2つの畑だけ)のブドウもブレンドされているという唯一無二のワインであることも魅力となっています。

ト・カロン+ベクストファー・ト・カロンというと、ダブル・ダイヤモンドの独擅場ですが、ト・カロン・ヴィンヤードのワインで言うと、ダブル・ダイヤモンドよりももっと安いワインもあります。

それがロバート・モンダヴィのオークヴィル・カベルネ・ソーヴィニヨン。100%ト・カロンではないようですが、90%以上はト・カロンのブドウが使われています。ほぼト・カロンといっていいワインだとのこと。

ワインの味わいも、オークヴィルらしい芳醇さとストラクチャーを兼ね備えて非常に美味しいです。この2019年もワイン・スペクテーターで年間6位に入ったのですが、現状日本で流通しているのは2018年のもの。ただ、スペクテーターでの評価はさほど変わらない(2019は94で2018は93)ことに加え、おそらく2019年は値上げになるでしょうから、コスパで言えば、2018の一択だと思います。

ダブル・ダイヤモンドほどの話題性はありませんが、ワインの品質としては負けていません。まじでお薦めのワインです。

しあわせワイン倶楽部です。


ドラジェです。


Date: 2022/1227 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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キャッスル・ロックは、日本ではあまり知名度が高くないと思いますが、非常にコストパフォーマンスの高いワインを作り続けているワイナリーです。

ワイナリーのメインのページでも「お手頃価格」を全面に出しているくらいですから、ワイナリー自身もそこに価値をおいているのは明らかです。カリフォルニア・ステート・フェアなど様々な品評会でも数多くのアワードを受けています。ワイン・スペクテーターでもワイン・オブ・ザ・イヤーのような目立った賞こそないものの、ウェブ・サイトで公開されている「ワイン・オブ・ザ・ウイーク」には何度も選ばれていますし、ピノ・ノワールなどの特集記事の中の「コスパ・ワイン」コーナーでは常連です。

1994年の設立以来、畑を持たず、醸造設備も持たないというスタイルでワインを作ってきています。醸造は畑と同じ地域で他のワイナリーなどの設備を借りています。栽培も醸造も人任せというわけではなく、どちらもキャッスル・ロックのマニュアルに従って委託する形です。現在では40もの栽培家からブドウを買っています。

個人的には特にピノ・ノワールは出色のできだと思います。2000円台のピノ・ノワールだと甘みを強調するような作りにするワイナリーもありますが、ここのピノ・ノワールはいずれもさわやかな酸味とピュアな果実味を生かしたワインになっています。

最近、しあわせワイン倶楽部とカリフォルニアワインあとりえで、送料無料の6本セットも出ています。しあわせワイン倶楽部の方が1000円高いですが、セットの構成が少し違います。また、カリフォルニアワインあとりえの方はセットの種類も2つあります。

しあわせワイン倶楽部のセット構成
・キャッスル・ロック シャルドネ セントラル・コースト
・キャッスル・ロック ソーヴィニヨン・ブラン メンドシーノ・カウンティ
・キャッスル・ロック プティット・シラー パソ・ロブルス
・キャッスル・ロック カベルネ・ソーヴィニヨン パソ・ロブルス
・キャッスル・ロック ピノ・ノワール メンドシーノ カウンティ
・キャッスル・ロック ピノ・ノワール モントレー・カウンティ

カリフォルニアワインあとりえのセットa構成
・キャッスル・ロック シャルドネ セントラル・コースト
・キャッスル・ロック ソーヴィニヨン・ブラン カリフォルニア
・キャッスル・ロック プティット・シラー カリフォルニア
・キャッスル・ロック カベルネ・ソーヴィニヨン コロンビア・ヴァレー
・キャッスル・ロック ピノ・ノワール メンドシーノ カウンティ
・キャッスル・ロック ロゼ・オブ・ピノ・ノワール モントレー・カウンティ

カリフォルニアワインあとりえのセットb構成
・キャッスル・ロック シャルドネ “ドレサージュ” セントラル・コースト
・キャッスル・ロック ソーヴィニヨン・ブラン カリフォルニア
・キャッスル・ロック プティット・シラー カリフォルニア
・キャッスル・ロック カベルネ・ソーヴィニヨン コロンビア・ヴァレー
・キャッスル・ロック ピノ・ノワール メンドシーノ カウンティ
・キャッスル・ロック ジンファンデル オールド・ヴァインズ ローダイ

しあわせワイン倶楽部のセットはピノ・ノワールがモントレーとメンドシーノの2本入っているのが特徴。カリフォルニアワインあとりえのセットaはピノ・ノワールが1本でその代わりロゼが入っています。ソーヴィニヨン・ブランとプティト・シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンは産地も違います。
カリフォルニアワインあとりえのセットbは「ドレサージュ」という樽を効かしたタイプのシャルドネが入るのと、ロゼの代わりにジンファンデルが入るのが特徴です。
どれも魅力がありますが、前述のように個人的にはピノ推しなので、しあわせワイン倶楽部が第一候補かなと思います。

しあわせワイン倶楽部です。


あとりえのセットa


あとりえのセットb

Date: 2022/1226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・レジスターにラジャ・パーの4つ目のワイナリーの記事が出ていました。数年前からやっているプロジェクトですが、全然知らなかったので紹介します。

raj parr
写真は2014年に来日したときのもの

ラジャ・パーは有名なソムリエ/ワイン・ディレクターで、サンフランシスコの著名レストラン「ルビコン」のソムリエに始まり、マイケル・ミーナという著名レストラン・グループでのワイン・ディレクターなどを勤めました。また、2011年に始めたIPOB(In Pursuit of Balance)は、カリフォルニアワインに低アルコール化の流れを作る機運を作り、自身のワイナリーであるサンディ(Sandhi)とドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Côte)では、エレガントなシャルドネとピノ・ノワールを作って注目を集めました。さらに、オレゴンで有名ソムリエのラリー・ストーンと、ブルゴーニュのコント・ラフォンが始めたイヴニング・ランドを買収し、オレゴンでもトップクラスのワイナリーに仕立てました。

ブルゴーニュ・ワインのファンであることを公言しており、これまでのワイナリーでも基本的にはシャルドネとピノ・ノワールだけを作ってきたラジャ・パーの4番目のプロジェクトがフェラン・ファーム(Phelan Farm)です。他のプロジェクトがサシ・ムーアマンと共同で手掛けているのに対し、フェラン・ファームはラジャ・パーだけのプロジェクトになっています。

フェラン・ファームは、今年AVAとして認定されたSLO(スロー、San Luis Obispoの略)コーストにあります。カリフォルニアで一番冷涼なAVAと言われていたエドナ・ヴァレーと、その隣のアロヨ・グランデ・ヴァレーを含む非常に冷涼なエリアです。フェラン・ファームも太平洋からわずか5kmしか離れていないところにあるというので、ブドウがちゃんと育つのかどうかも心配になるくらい冷涼なエリアになります。

フェラン・ファームは1851年にフェラン家が作った農場で1100エーカーの農場の中でわずか11.5エーカーだけがブドウ畑になっています。グレッグ・フェランが2007年に自根で植えたシャルドネとピノ・ノワールがあります。

このブドウ畑をリースしたラジャ・パーの当初の計画は、土地の耕起をしない再生型農業でなるべく自然のままでブドウを育てようというものでした。ラジャ・パーを含めたわずか3人のチームで畑仕事を全部賄い、収穫時も3人だけピッカーを雇うという最小の人員でのオペレーションを志しています。

ブドウ畑の健康を強化するためにイラクサ、ヤナギの樹皮、ルーピンなど、自生する植物から作った発酵スプレーを散布しています。さらに、「ターメリックやニームオイルのプレップ(調合剤)は、海の水を使って作っています」とアーユルヴェーダ的なタッチを加えます。

2017年から2018年にかけては、接ぎ木によってフランスのジュラとかサヴォワ地区原産の15種類のブドウを植えました。植えた品種はモンデュース(Mondeuse)、サヴァニャン・ヴェール(Savagnin Vert)、サヴァニャン・ジョーヌ(Savganin Jaune)、プルサール(Poulsard)、アルテス(Altesse)、トゥルソー(Trousseau)、ガメイ・ノワール(Gamay Noir)など。また、サイダー用にハーフエーカーだけりんごも植えました。

ワインはすべて除梗なしで天然酵母を使って発酵、ニュートラルな樽で熟成します。SO2は添加しません。ピノ・ノワールにガメイ・ノワールとモンデュースのブレンドなど、ユニークなワインも様々作っています。

1500ケースの生産量ですが、これまでのところ販売は順調のようです。
Date: 2022/1222 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パソ・ロブレスのジャスティン(Justin)に付属するレストラン「ザ・レストラン・アット・ジャスティン」がミシュラン・ガイドのカリフォルニアで一つ星を獲得しました。ワイナリー付属のレストランが星を獲得するのは、異例のことです。

ジャスティンは1991年にレストランを開設しました。その頃、パソロブレスはかなりの田舎であり、ワイナリーから数マイル離れないとレストランもないようなところでした。

躍進の理由は2019年に加わったエグゼクティブ・シェフのレイチェル・ハグストロム。ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ、ウルフギャング・パックのポストリオ(閉店)、そしてフレンチ・ランドリーで働いた経験があります。

レイチェル

ディナーは4皿で225ドルのコース。ジャスティンのワインとのペアリングもあります。

ワイナリーにとって、テイスティングでペアリングメニューを提供することは重要であり、ミシュラン星付きのレストランからシェフをひきぬくことも珍しくありません。

ただ、どこのワイナリーもジャスティンのようにできるかというと、難しいようです。ナパやソノマはワイナリーがフルサービスのレストランをやることも禁じられています。ペアリング・メニューなどをやっているところもありますが、かなりギリギリの線のようです。

パソ・ロブレスにいかれる方はぜひ、食事も楽しんでください。
Date: 2022/1221 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天の「ハードリカー楽天市場店」でオレゴンのシャルドネやピノ・ノワールが非常に安く売っています。

イヴニング・ランドのシャルドネはなんと税込み3000円台。インポーターの希望小売価格は6050円ですからなんと4割も安い。他のショップと比べても1000円以上安いです。



こちらは送料込み。


イヴニング・ランドのシャルドネはワイン・アドヴォケイトで最高95点を取っているオレゴンの中でも秀逸なもの。サンタ・バーバラのドメーヌ・ド・ラ・コートやサンディで知られるラジャ・パーとサシ・ムーアマンが作っているワインです。

もう1つフェイラ(Failla)のウィラメット・ヴァレー ピノ・ノワールも約4000円。フェイラはソノマ・コーストのワインでも有名ですが、エレガント系のピノ・ノワールで知られるこれも秀逸なワイナリーです。



送料無料版。


こちらはソノマ・コースト。

Date: 2022/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モントレーで2022年10月、新たなAVAが申請されました。名前は「カーメル・コースト(Carmel Coast)」。申請したのはPaleo、Messier、Albatross Ridgeといったワイナリーの代表者。


モントレー
図にあるように、現在はモントレーのサリナス・ヴァレーからサンタ・ルシア・ハイランズを挟んだ西側にカーメル・ヴァレーというAVAがあります。ここは非常に冷涼なモントレーとは異なり、冷たい風があまり入ってこないこのあたりでは例外的に温暖なところ。そのためカベルネ・ソーヴィニヨンなどのボルドー品種が中心に栽培されています。

今回申請されたカーメル・コーストのエリアは正確には不詳ですが、より太平洋に近く、遮るものなく冷気が来るエリアです。

トータルで4100エーカーということなので4km四方ほどのエリアだと思われます。ブドウ畑は現状ではわずか90エーカーしかありません。ほとんどがピノ・ノワールやシャルドネが植えられています。

今年はモントレーの南のサン・ルイス・オビスポ郡でSLOコーストAVAが認められ、ソノマではウエスト・ソノマ・コーストAVAがようやく認可されるなど、冷涼系AVAの認可が続いています。カーメル・コーストもこれらに続くことができるでしょうか。
Date: 2022/1219 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部でシリタ(Sirita)のメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンのセットが年内限定で4割引になっています。

このブログでも何度か紹介していますが、シリタは米国の超有名ソムリエであるラリー・ストーンがナパで作っていたプライベート・ブランド。2005年で生産を終了して、その後はオレゴンでイブニングランド、リンガ・フランカといったワイナリーに取り組みました。

しあわせワイン倶楽部の店長の木之下さんが、今年一番感動して特別価格を実現したとのこと。
セット内容は
・シリタ メルロー ナパヴァレー[熟成ワイン2003]
・シリタ カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレー[熟成ワイン2003]
・シリタ カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレー[熟成ワイン2004]

これだけのワインが送料込みで約2万円はお得です。


Date: 2022/1217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リヴァモア・ヴァレーにあるウェンテ・ヴィンヤーズ(Wente Vineyards)が、1883年の創設以来初めてボトル詰めラインを一新しました。

Wente

新しいボトル詰めラインは、これまでよりも大幅に軽量化したボトルに対応します。ワインの生産から販売における二酸化炭素の排出量の中で一番大きな割合を占めるのがガラスボトル。製造時に発生する二酸化炭素のほか、重く・長い距離を配送することによる排出量が大きな問題になります。ガラスの軽量化は二酸化炭素排出を減らすための最重要ポイントとも言えます。

新しいボトルの重量は410グラム。従来の620グラムのボトルの約3分の2の軽さです。また、新システムでは加熱に使った熱量を回収し、すすぎ水を再利用することで、エネルギーと水を節約できます。ガラスサプライヤーから直接出荷されるバルクガラスの統合により、再梱包業者へのガラス出荷のステップがなくなり、年間16400マイルの二酸化炭素排出量を削減できるといいます。

このほか、充填装置とワインの処理ラインを自動的に掃除するシステムや充填と栓詰めをHEPAフィルターで空気を濾過した環境で行うなど、自動化と清潔化を推し進めています。

ボトル200グラム軽量化はかなり大きいと思います。ワインを入れた状態でも1.2kgくらいで済む計算です。
Date: 2022/1216 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアのスパークリング・ワインも、最高級なところを除けばシャンパーニュに劣らない品質だと思いますが、高騰するシャンパーニュとくらべて価格は抑えめ。中でもなぜかプレステージのものが日本で現地より全然安く売られているものもあります。

一つはグロリア・フェラーのロイヤル・キュヴェのヴィンテージもの。ノンヴィンテージのものも、先日やまやで買って飲みましたが2000円台と無茶苦茶安いです。ネットだとヴィンテージものの方だけのようです。

輸入元のやまやのショップで税込み4620円。米国での価格は60ドル台とレギュラークラスのシャンパーニュよりも高いクラスですが、日本では普通のシャンパーニュ並み。味わいはやはりレギュラークラスとは一線を画します。


もう1つはドメーヌ・カーネロス(テタンジェのカリフォルニア版)が誇る最高級版「ル・レーヴ」。こちらに至っては米国での価格が100ドルを超えるのに、日本では税込み7000円台。米国の半額以下という驚愕の安さです。

前に、日本のインポーターにどうしてこんなに安くしているのか聞いたこともあるのですが、戦略的なもので、というくらいで明確な答えはわかりませんでした。ただとにかく、日本だけ質の低いものを出していたり、といったことではありません。同じものがこの価格なので、むちゃくちゃお買い得です。

とはいえ、円安が続くと値上がりも避けられないでしょうから、今年のクリスマスに味わっておくのはどうでしょうか。

Date: 2022/1214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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12月16日から公開される映画「チーム・ジンバブエのソムリエたち」の試写会に当選して、見てきました。WOSA(南アフリカワイン協会)さん、ありがとうございます!

ジンバブエはアフリカ南部の国家で南アフリカとも一部接しています。人口一人当たりのGDPは南アフリカの4分の1くらいしかない貧しい国です。産業はプラチナなどの鉱業や小麦などの農業など。かつては小麦の生産性が非常に高かったとのことですが、白人農家から強制的に土地を収用するなどの政策によってノウハウを持つ白人農家がいなくなって今は見る影もないようです。南アフリカよりも赤道に近く、内陸ですから気候は熱帯性。標高が高くむちゃくちゃ暑いということではなさそうですが、ワインを算出する国ではありません。

この貧しい国から南アフリカに難民としてやってきた人たちがいるわけですが、中には南アフリカでワインに触れ、一流レストランのソムリエにまでなった人もいます。

この映画はそういったジンバブエ難民のソムリエ4人がフランスで行われるブラインドテイスティング大会に出場する過程を描いたドキュメンタリーです。映画の紹介文の中にはワイン版「クール・ランニング」といった言葉もありましたが、ジャマイカのボブスレーチームのオリンピック挑戦を描いた「クール・ランニング」は史実を元にはしていますが、あくまで娯楽作品として作られたものであるのに対し、こちらはドキュメンタリー。リアルな人の感情が映し出されます。なお、監督はこれもドキュメンタリー作品である『世界一美しいボルドーの秘密』を撮ったワーウィック・ロス&ロバート・コー。

前半では4人それぞれのワインを飲むようになった経緯など、過去の振り返りが中心になります。4人は南アフリカのソムリエ・コンテストで上位に入賞し、チームを組んでブラインドテイスティング大会に挑戦することを決意します。ただ、お金がないのでクラウドファンディングで資金を集め、その過程でジャンシス・ロビンソンに注目されます。

映画の白眉は、フランスに行ってから。4人はコーチとしてドゥニ・ガレという、南アフリカの4500種のワインを試飲し、「世界のベストソムリエ」にも選ばれた人を雇いますが、この人が一筋縄ではいかない。ジンバブエ・チームは経験の浅さを補うため、大会の少し前にフランスに行き、フランスやドイツの各地で数多くのワインを試飲していきます。途中までは南アフリカのチームと一緒なのですが、途中で仲違いもあり…

前述のように、この映画はドキュメンタリーですから、これらは筋書きもなく、リアルに実際に起こったことを映し出しています。その緊張感が素晴らしい。

ワイン好きも、そうでない人も楽しめると思いますが、ブラインドテイスティングの場面ではブドウ品種や産地の名前もポンポン出てきますから、サンジョベーゼやグルナッシュなどと聞いて産地やワインのイメージができるとより楽しめると思います。


なお、今回の試写会では水天宮前の南アフリカ専門ワインショップ「アフリカー」さん提供で南アフリカワインの試飲もありました。重ねてありがとうございます。
ちなみに個人的には白(シャルドネ)の方が好みでした。
Date: 2022/1210 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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これまでお薦めしたものも含めて、今のお薦めを紹介します。

まずはやっぱりスラムダンク。映画もちょうど始まってますが、ワインはそのイメージにもぴったりだし、何より分かりやすく美味しいです。過去2年くらいお薦めカリフォルニアワインのトップに挙げています。

しあわせワイン倶楽部です


今の季節、泡の需要も高まりますが、シャンパーニュも高騰。ラック&リドルはスパークリング専用のカスタムクラッシュ(請負醸造所)として名を馳せており、コスパ抜群。セール価格とはいえ2500円切るのはお買い得です。紹介するのはブリュットですが、クリスマスのチキンなどに合わせるならブラン・ド・ノワールもお薦めです(値段は500円くらい上がります)。

しあわせワイン倶楽部です。


一方で、どうせ飲むなら最高のものを、というならウルトラマリンのロゼを。高いですが、そもそも極めてレアで見つけるのも大変なワインです。



この季節、いろいろな人が年間トップ〜などを発表しますが、ワイン評論家の中でも知名度トップではないかと思われるジャンシス・ロビンソンのお薦めリストから、ウェンテのジンファンデル。ウェンテといえばシャルドネが有名で個人的にも大好きですが、ジンファンデルは盲点でした。

トスカニーです。


アルマ・デ・カトレアは大注目のワインメーカー、ビビアナ・ゴンザレス・レーヴの手掛けるやや安価なブランド。ソーヴィニヨン・ブランがワインスペクテーターで年間28位になりました。ビビアナほどの実力者ならこれくらいの評価は当たり前かと思いましたが、本人のインスタグラム見るととてもうれしそう。今でもスペクテーターのトップ100に入るというのは格別なものがあるようです。
私もこのワイン、この秋の試飲会で飲んでお薦めしました。試飲会で1時間くらいの間に100種類近く試すわけですが、その中でも光って見えたワインの一つでした。

カリフォルニアワインあとりえです。


後、これが気に入ったらビビアナとピゾーニのジェフ・ピゾーニが作るシェアードノーツのソーヴィニヨン・ブランもお試しあれ。個人的一押しソーヴィニヨン・ブランです。

ピノ・ノワールではアストンのセカンドが驚きの一万円切り。品質的にはファーストとさほど変わらないレベルの高さです。

しあわせワイン倶楽部の価格はスーパーセール割引です。普段は8000円超えます。


先日、ドミナスを紹介しましたが、このあたりのブルーチップ銘柄(歴史あり、安定的に高品質なものを作り続けているワイン)が軒並み5万円クラスになっている中で、まだ3万円前後を保っているのがスポッツウッド。フルボディでも品の良さを感じるワイン。

ウメムラです。


最後に先日も紹介した熟成カベルネとブランド肉のセット。楽天スーパーセール価格なので11日午前2時までの限定です。


もう一つ本当に最後に、ピゾーニ・ピゾーニはあと1ヴィンテージのみ残っています。

Date: 2022/1209 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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2022年のワイン・スペクテーター年間トップになったダブル・ダイヤモンド2019は、ハーフボトルやマグナムも含めて、ネットでは完売しているようです。どこかで見つけたら「買い」ですね。

というタイミングで、2021年のワイン・スペクテーター年間1位のワインが国内にやっと入ってきているようです。

2021年の1位は「ドミナス(Dominus)2018」。言わずとしれたシャトー・ペトリュスなどを作るムエックスが1982年にナパのヨントヴィルに作ったワイナリーです。最初はパートナーとの共同経営でしたが1995年からは単独になっています。ナパのワイナリーの中でも名門中の名門。ヨントヴィルで手に入れたナパヌック・ヴィンヤードは、かつてのイングルヌックの畑だった銘醸畑。ムエックスはこの畑を無灌漑で栽培しています。

2018年のドミナスはワイン・スペクテーターで97点。ほかのワイン評論家でもジェームズ・サックリングで100点、ジェブ・ダナックも100点。ワイン・アドヴォケイトで99+、ヴィナスで98など、いずれも非常に高い評価を得ています。

ちなみに、2013年のドミナスはワイン・アドヴォケイト、ヴィナス、ジェームズ・サックリング、さらに英デカンターと4誌で100点という超高評価を取っていました。

歴史的にもオーパス・ワンに比肩する名門であり、ワインの評価でいえば、オーパス・ワンよりも一つ抜きん出ていると言ってもいいでしょう。価格もほぼ同程度。違うのは入手しやすさで、オーパス・ワンは生産量も3万ケース以上と多く、日本にもそれなりの数が入ってくるので、買うこと自体はそれほど難しくありません。それに対してドミナスは生産量は4000ケースにとどまっており、日本に入ってくる数もわずかです。市場で全く見つからない期間がかなりあるワインであり、入荷してきたときに買っておかないと、買えないワインです。

喜咲酒家です。


しあわせワイン倶楽部です。


Wassy'sです。

Date: 2022/1208 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国で今大人気なのが「ホワイト・ロータス(White Lotus)」というHBOのドラマ。同名の架空のリゾート・ホテル・チェーンに訪れる客や従業員の複雑な事情をシュールに描くコメディ×ミステリーだそうです。もともと6回の短い連続ドラマとして制作されましたが、あまりにも人気が高くてシーズン2が作られることになりました。最初のシーズンはハワイ、第2シーズンはイタリアのシシリーが舞台になっています。


このシーズン2ではシシリーでワイナリーを訪れる話が出てくるようです。サイドウェイズのように、ワイナリーめぐりがメインというものではありませんが、もしかするとこれでシシリーのワインが人気になることもあるかもしれません。

ちなみに日本ではU-NEXTで『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』というタイトルで配信されています。

U-NEXTの申込みはこちらから
Date: 2022/1208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部に「ピゾーニ・エステート(Pisoni Estate)」のピノ・ノワール2013、2014、2015が入荷しています。サンタ・ルシア・ハイランズをピノ・ノワールの銘醸地として有名にした立役者であり、「ラ・ターシュの畑から拾ってきた枝を使った」といわれていることや、サンタ・ルシア・ハイランズの中でも標高が高く、乾燥した土地で、水をやるにも車で運ばなければいけなかったほどの大変なところに畑を切り開いたことなど、豊富な逸話を持つワイナリーです。

こちらは、東急百貨店本店の名ソムリエ藤巻さんが書いたもの。ご参考まで。
カリフォルニアの宝石「ピゾーニ」

ピゾーニ・ヴィンヤードのブドウを使えるワイナリーは10ほどありますが、その中でも自身のピゾーニ・ワイナリーのものは「ピゾーニ・ピゾーニ」や「PのP」などと呼ばれて、珍重されています。

今回の2013はワイン・アドヴォケイトで96+と2008年の98点に次ぐ高評価のヴィンテージ、2014年も95点と高評価です(2015はレビューなし)。ヴィナスでも2013が94、2014、2015が95と評価はかなり高いです。




Date: 2022/1207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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中国の福建省で、福建省では最大の偽造ワインが摘発を受けました。シャトー・ラフィット・ロートシルトとオーストラリアのペンフォールズの偽造ボトル4万本を超え、市場価格に換算すると1100万人民元(2億円超)を超えていました(Over 40,000 fake Lafite and Penfolds wines uncovered in Fujian - Vino Joy News)。

警察が漳州市にある容疑者の倉庫 3 つを家宅捜索した結果、40084本の偽造ワインと、ペンフォールズとラフィットの大量のラベルや箱が発見されました。

福建省は中国の中でも裕福な省でワインの消費も多く、偽造ワインの標的になっているとのこと。

ちなみに、史上最大のワイン偽造事件として知られているルディ・クルニアワンは1年に1万本を超える偽造ワインを販売していたことがあり、2016年時点でまだ市場価値5億5000万ドルを超えるクルニアワン製の偽造ワインが出回っているとされています。

日本でもネットオークションではしばしば偽造ワインらしいワインが出回っています。出所が不明なワインにはくれぐれもお気をつけを。
Date: 2022/1206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コストコに行ったら、ワイン売り場で見慣れないワインがありました。「K Vintners」みたいなラベルだなあと思って裏ラベルを見たらビンゴ! K Vintnersのワインメーカーであるチャールズ・スミスが作ったワインでした。ワシントンのワルーク・スロープ・ヴィンヤードという畑の単一畑のようです。ワルーク・スロープAVAではチャールズ&チャールズのカベルネなども作っているようで、そのあたりの畑なのでしょう。このAVAはワシントンの中でもレッド・マウンテンと並んで温暖なエリアだといいます。


米国のコストコでは13.99ドル(税抜き)。日本では1788円(税抜き)でした。単純計算で1ドル127円くらいになりますから、今の為替で考えるより安いです。

肝心の味わいですが、さすがチャールズ・スミス。チャールズ・スミスのコスパ・カベルネといえば「ワイン・オブ・サブスタンス」という素晴らしいワインがありますが、それと比べても見劣りしなさそうです。ミディアム・プラスボディで、酸が結構しっかりしていてバランスがいいワインです。黒果実中心の果実味にタンニンもしっかりしていますが、渋いタンニンではなくこなれています。さすがですね。もう何本か買っておけばよかった。


Date: 2022/1205 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天の「大人の至高屋」で熟成カベルネとブランド牛のセットが、楽天スーパーセールの割引で激安になっています。カベルネ・ソーヴィニヨンはナパのSiritaの2004年のもの。米国では日本における田崎真也さんくらい有名なソムリエのラリー・ストーンが作っていたワインです。この単体価格が6860円なのですが、これに京都のブランド牛である平井牛のステーキ用赤身肉300g(150g✕2)がセットになって6980円。120円しか違いません。

サーロインとのセットだとさすがに1万円超えますが、熟成ワインと合わせるなら赤身の方がいいのでは、と思います。

どうしてこんなに安くできるのかというと、一つはこのショップがインポーター直営であるということ。また、そのグループ企業で精肉を扱っていて、その部分はほとんど儲けなしにセットにしているとのことです。ブランドのシールも付くそうなので、まがいものではありません。

年末やクリスマスのギフトにも良さそうですね。


ついでに載せておきますが、柳屋では恒例の福袋始まっています。早々に売り切れてしまうことも多い人気のセットです。赤4本白1本で、1万7000円相当が10000円になるという安さ。ヒントが出ているので、どのワインだか想像して待つのも楽しいと思います。


Date: 2022/1203 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアにおける有機栽培の認証というと、先日ト・カロンの有機栽培化で紹介したCCOFがあり、このほかバイオダイナミクスやそのフランス語読みのビオディナミという名前で知られるデメター(Demeter)があります。有機栽培はその名の通り、化学肥料や農薬を使わずに栽培する農法であり、バイオダイナミクスはオーストリアのルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、単に化学肥料や農薬を使わないだけでなく、天体の作用に基づく暦で作業が決まったり、特別な調合剤を使うといった取り決めも数多くあります。一般的に言うと、バイオダイナミクスの認証を受ける方が有機栽培よりも大変です。

ところが、これ以上に合格するのが難しいとされる認証があります。それが環境再生型有機認証(Regenerative Organic)です。土壌を改善して環境を修復するといった目的があり、地面を極力耕さないなどの特徴があります。また、従業員や動物の福祉といったところも審査対象になっており、理念としては「よりよい」活動をめざすSDGsに近いといえるかもしれません。

これをナパのニール・ファミリーがナパのワイナリーとしては初めて取得しました。カリフォルニアではほかにパソロブレスのタブラス・クリーク、メンドシーノのボンテラ(フェッツァー)が取得しています。世界的に見てもそれ以外のワイナリーではオレゴンのTroon Vineyard、アルゼンチンのDomaine Bousquet S.A.だけが登録されており、ニール・ファミリーは世界で5番目ということになります。

審査においては、従業員のインタビューなども含まれるのがユニークです。また、前述のように土地を耕さないというのが項目に入っていますが、ブドウ畑では土地を耕すのが一般的です。また、土を耕すと二酸化炭素が放出されるのがデメリットとされていますが、土を耕さない場合は、灌漑用の水がより多く必要になり、灌漑のための電力も必要になります。耕さなければいいというほど単純ではありません。そこでニール・ファミリーでは畑の畝の間を1列おきに耕すところとカバークロップを植えるところ、と分けて50%の耕起ということで認証を受けたといいます。

「自然派」の流れはこれからどうなっていくのでしょう。
Date: 2022/1202 Category: 業界ニュース
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リーデルの新しいマシンメイド・グラス「Veloce(ヴェローチェ)」シリーズのセミナーに参加しました。講師はなんとリーデルの当主であるマキシミリアン・リーデルその人です。ステムのない「O(オー)」シリーズを開発した人としても知られており、伝統を守りながらも新しいチャレンジに果敢に取り組む人というイメージがあります。



Veloceシリーズは最先端のマシンメイド技術で作られたグラス。「マシンメイドだけどハンドメイドと区別できないレベル」だと胸を張るマキシミリアン氏。グラスの技術者は厳しい労働で極めて人手不足だとのこと。マシンメイドで作れるというのは想像する以上に大事なことのようです。

写真でもわかると思いますが、かなり大ぶりなグラスでステムも長く、とても細い。一方で台座はかなり大きく、持ったときや置くときの安定感があります。素人からするとステムの細さばかりが気になりますが、実はマシンメイドで大きな台座を作るというのも大変な技術だそう。今回の直径10cmの台座というのを実現したのはかなりすごいことのようです。重さもかなり軽いです。

最近はユニバーサルタイプのいろいろなワインに使えるグラスの人気が上がっていますが、リーデルは品種に特化したグラスにこだわり続けています。もうひとつ今回の特徴として、グラスの種類が台座に記されています。


今回はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスで試飲しました。


ワインは3種類、シャルドネとピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンがプラスチックコップで供されます。

最初はシャルドネ。これをシャルドネのグラスとソーヴィニヨン・ブランのグラス、ピノ・ノワールのグラスで試します。プラスチックコップで供されるのは自分でグラスに入れることで、同じワインを入れていることを確認するためです。



マキシミリアン氏はまず、グラスを横向きにして1周回し、グラスにワインをまとわりつくようにします(これは今回試飲用でグラスに入れるワインの量が少ないためで、毎回これをやれというわけではありません)。

そして、横向きにしたところで上から見て、液体の形がどうなっているかを見るように指示しました。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、これがシャルドネ用のグラスの場合です。

これがソーヴィニヨン・ブラン用のグラスの場合。

これがピノ・ノワール用のグラスの場合です。

写真で見えにくいかとは思いますが、シャルドネのグラスの場合、グラスの縁に近い方の液体の形がやや丸みを帯びていて柔らかい曲線になっています。グラスの縁の部分が一番大きくなっているためですが、ワインが口に入ってくるときにも柔らかく入ってきてクリーミーな口当たりです。果実味を強く感じますが後からミネラル感もやってきます。

これが小ぶりなソーヴィニヨン・ブラン用のグラスの場合はミネラル感が強くなり、果実味はあまり感じられなくなります。アルコール感は強くなります。果実味を重視しない場合ならこれもありかもしれませんが、シャルドネらしい芳醇さが弱いのは否めません。

ではピノ・ノワール用のグラスだとどうでしょうか。大きさはシャルドネ用と似ていますが、口のところがよりすぼまっていて、グラスを横向きにしたときに液体が作るひし形も、より口の方に向かって細くなります。飲んでみると石灰や貝殻の風味を強く感じますが、果実味は弱く、全体にぼやけた味わいになってしまいました。この3種のグラスの中では明らかにこれが一番美味しくありません。

マキシミリアン氏に言わせると、ブルゴーニュの白と赤で同じグラスを使うのは大きな間違いだとのこと。シャルドネとピノ・ノワールの間にはテロワール以外に共通する要素がないといいます。

2番めのピノ・ノワールはピノ・ノワール用のグラスの他、シャルドネのグラスとカベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスで試飲しました。

ピノ・ノワール用のグラスはバランスよく、果実味を豊かに感じます。

一方、シャルドネ用のグラスでは、味わいがぼけてしまい、香りや味わいを取るのがちょっと難しくなりました。さらに意外とタンニンを強く感じ、苦味も強くなります。

また、カベルネ・ソーヴィニヨンのグラスでは、よりストラクチャーを感じますが、ワインのアロマは感じにくくなります。シャルドネ用のグラスよりはこちらがいいと思いましたが、ピノ・ノワールらしさはあまりなくなります。これも明らかにピノ・ノワール用のグラスが一番でした。

最後はカベルネ・ソーヴィニヨンの試飲です。これはカベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスのほか、ソーヴィニヨン・ブランのグラス、ピノ・ノワールのグラスで試飲しました。

カベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスでは黒果実や青果実、チョコレートや皮革などの味わい。カベルネ・ソーヴィニヨンらしさが出ていて美味しいです。

ちなみに今回試飲したワインはどれもケンダル・ジャクソンのグランド・リザーブ・シリーズのものだったようです。果実味豊かなカリフォルニアワインの場合はよりグラスの違いが際立って感じられるといった面もあったかもしれません。

こぶりなソーヴィニヨン・ブラン用のグラスだとタンニンや苦味が助長され、セカンダリーのアロマがあまり感じられなくなります。また、ピノ・ノワール用のグラスでは甘やかさが強くなり「アマローネのよう」(マキシミリアン氏)になります。また、これも不思議とスパイスや苦味を強く感じるようになります。

セミナーではこのほかマキシミリアン氏によるデカンティングの実演などもあり、終始なごやかで楽しいものでした。
試飲に使ったグラスも持ち帰れたのですが、最大の問題はこの大ぶりのグラス4つをどこに収納するかです…

ともかく、非常に高級感がありいいグラスであることは間違いありません。リーデルのマシンメイドのグラスではVinumをずっと使っていますが、ステムはやや太く、重さもあって、実用にはいいのですがちょっとやぼったさがあるのは否めないと思っていました。それに比べると今回のグラスは細くて軽く、よりワインが美味しく感じられるものになっています。

ソーヴィニヨン・ブラン用のグラスはスパークリングにも十分使えそうです(ブラン・ド・ノワールの場合はピノ・ノワール用のグラスをお薦めするとのこと)。ちょっといいワインを飲むときに使っていきたいと思います。





Date: 2022/1130 Category: 業界ニュース
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マーガレット
ナパのダックホーン・ヴィンヤーズの共同創設者であるマーガレット・ダックホーンが11月28日、亡くなりました(Margaret L. Duckhorn, the cofounder of The Duckhorn Portfolio, Dies at 83)。83歳でした。

マーガレットは夫のダンと1976年にワイナリーを始め、78年からナパ・ヴァレーのメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを作り始めました。メルローを単独でワインにするのが珍しい時代に、それを中核に据える決断をして、ニューワールドにおけるメルローブームの先駆けとなりました。

ダックホーンではパラダックスやマイグレーションといった派生ブランドの構築にも力を注ぎました。

ナパ・ヴァレーのワイン業界の中でも重鎮となり、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの社長やカリフォルニアワイン協会の会長といった要職を務めました。


2007年にダックホーンをGIパートナーズに売却した後もディレクターを続け、2016年にTSGコンシューマーパートナーズがオーナーになったときに引退しました。その後も現場からは離れたものの、ダックホーン・ポートフォリオの上場などを熱心に見守ってきました。

ご冥福をお祈りします。
Date: 2022/1129 Category: 業界ニュース
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ロバート・モンダヴィやト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーなど、カリフォルニアのみならず世界最高レベルのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑として知られるト・カロン・ヴィンヤード。オーナーのコンステレーション・ブランズがこの畑のオーガニック化をCCOF(California Certified Organic Farmers)に申請したことが明らかになりました。面積は331エーカーになります。

参考:ト・カロンのワインが6本、夢のようなセミナー



コンステレーション・ブランズは2023年に申請が認められることを予想しているとのこと。Organic Wines Uncorkedによると、株式公開している企業でナパに有機栽培のブドウ畑を持つのは初めてになるそうです。コンステレーション・ブランズはこのほか、最近パソ・ロブレスのブッカー(Booker)を買収しており、ここも有機栽培の認証を得ています。コンステレーションにとっては米国内で初の有機栽培のブドウ畑になります。

ト・カロン関連ではオーパス・ワンがト・カロンに保有するブロック100エーカーとHighway29を挟んだ反対側にある自社畑70エーカーを有機化しており、マクドナルド・ワイナリーも15エーカーの畑を有機栽培にしています。なお、ベクストファー・ト・カロンは有機栽培化を表明していません。

ナパの大手ではワシントンのシャトー・サン・ミシェルが保有するスタッグス・リープ・ワインセラーズの畑もオーガニックに転換中で2025年に完了する見込みだとのこと。

有機栽培にすることでワイン造りのコストは間違いなくあがります。自然環境への負荷も小さくなるとは限りません。SDGsの観点からはベストの回答とはいえなさそうですが、この流れには抗えなくなってきているように思います。
Date: 2022/1128 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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アサヒヤ・ワインセラーにジャファーズ(Jaffurs)のヴィオニエ2017が特価で入っています。

このワイン、先月布袋ワインズの試飲会で試飲しましたが、とてもエレガントできれいな花の香りがあります。カリフォルニアのヴィオニエとしては素晴らしいワイン。希望小売価格は5000円ですが、今回は税込み3828円と3割ほども安くなっています。

なんといっても畑がサンタ・バーバラを代表する銘醸畑のビエン・ナシードです。ビエン・ナシードのヴィオニエというのも個人的には初めてでしたが、シャルドネやピノ・ノワールでは世界に誇る畑ですからヴィオニエも冷涼系のスタイルに仕上がるのは納得です。

このワイナリーもお初ですが、1990年代からローヌ系品種を中心に作っているワイナリーです。ビエン・ナシードのシラーなども作っています。


Date: 2022/1126 Category: おすすめワイン
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インポーター「フィラディス」のワインショップでマイケル・デーヴィッドのワイン6本セットが4割引とお得です。さらに今は1万円以上で10%オフのクーポンも利用可能です(27日12時まで)。

セット内容は
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー フリークショウ・ジンファンデル』
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー フリークショウ・カベルネ・ソーヴィニヨン』
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー プティット・プティ』
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー フリークショウ・レッド』
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー シックス・センス・シラー』
■『マイケル・デイヴィッド・ワイナリー シャルドネ』

と赤5本に白1本。シラー以外は飲んだことありますが、どれも果実味豊かでいてバランスもよくできている。飲んでいて楽しいワインです。特に、濃厚好きな人にはプティ・シラーメインのプティト・プティはお薦めです。

マイケル・デーヴィッドはマイケルとデーヴィッドの兄弟によるワイナリー。キリスト教の七つの大罪をもじった「Seven Deadly Zins」というジンファンデルで一世を風靡して、ローダイでトップの人気ワイナリーになりました。その後Seven Deadly Zinsのブランドは売却して、現在はフリークショウなどのブランドに注力しています。ローダイの古木のジンファンデルの畑を多く買い取って守る活動も継続して行っています。

日本でももっと人気が上がっていいワイナリーです。このセットはお得なのでエントリーとしてとてもいいと思います。



Date: 2022/1125 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のアルコール・タバコ税貿易局(TTB)が、ワインを含むアルコール飲料のラベル表示について、義務化する項目を大幅に増やす方針であることが明らかになりました。

まだ、正式決定されたわけではありませんが、11月17日付けで、アレルゲンとアルコール含有量の表示に関する規則案を発行し、必須の成分表示に関する規制のプロセスを開始すると表明しています。

ことの発端は約20年前に遡ります。2003年にアルコール飲料のラベルに、ノンアルコールの飲料と同じレベルの透明性を持たせるべきという請願をしたのに対して、それが応じられていないとして2022年10月3日に3つの消費者団体がTTBを訴えました。

具体的には、容器に含まれるアルコールの量や、1杯あたりのアルコールの量、1杯の量、1つの容器から何杯取れるかといった項目を要求しています。例えばワインボトル750mlでアルコール度数が14%、1杯を50mlとすると、アルコールが105g(比重1として)、1ボトルが15杯、1杯に7gといった情報を書くことになるのだと思います。

これらの消費者団体はまた、すべてのアルコール飲料に成分リストを掲載するよう請願しました。これは、他の食品の標準機能になっています。

TTBはこれに対して2023年中に栄養分とアルコール含有量の表示義務、アレルゲン表示の義務化、成分表示の義務化を含む 3 つの規則制定を公表することを約束しました。

ラベル表示の義務の内容は資格試験にも出ることがあるので、2024年以降に資格を受ける人は関係して可能性が高いです。
Date: 2022/1124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで相次いでワイナリー関係者、しかも名門における醜聞が発覚しました。

カルロ・トリンチェロはサター・ホームやメナージュ・ア・トロワなどのブランドで知られるトリンチェロ・ファミリーのCEOであるロジャー・トリンチェロの息子。トリンチェロ・ファミリーでは高級ラインのディレクターを勤めています。カルロは6年前にはガールフレンドに暴行を加え、救急救命士にも乱暴したということで180日間服役したことがあります。

今回の容疑は銃器の不法所持。2017年に結婚した妻のステファニーとの間では離婚の争議中ですが、ステファニーは彼が覚醒剤を服用しており、「危険で予測し難い」として接近禁止を申請していました。

逮捕された後、5万ドルを支払って保釈されていますが、これからどうなるのでしょうか。これ以上の醜聞にはならないといいのですが。

もうひとつの醜聞は、ナパ最大の地主であり、ベクストファー・ト・カロンやベクストファー・ドクタークレーンなどのプレミアムな畑を所有するアンディ・ベクストファーの息子のタック・ベクストファーによるもの。タック・ベクストファーは以前は自身の名前のワイナリーとダンシング・ヘア・ヴィンヤードを所有しており、現在はアミュレット・エステート(Amulet Estate)という名称になっています。2016年には畑と農場の購入資金を得るためジェネレーション・キャピタルという会社から1900万ドルの融資を受けてパートナーになってもらっています。

ジェネレーション・キャピタルは2019年、タック・ベクストファーがワイナリーの資金を個人的目的に使用しているとして提訴しました。裁判所の記録によると自宅の造園に約10万ドル、自宅のインテリア デザインに3万4000ドル、フライフィッシング、狩猟遠征、銃の展示会などの個人旅行に16万5980ドル、半自動ライフルと弾薬に3万9000 ドルなどの私的利用があったとのこと。

このほかピックアップトラックをレーシング仕様に改造したり、プライベート・ジェットの使用権などにもワイナリーの費用を使っていたとのこと。

2020年にはワイナリーのCEOから外れることが決まり、ワイナリーが前述のアミュレットに改名しています。

ワイナリービジネスが大きくなると、こういった問題も頻発するような気がします。
Date: 2022/1122 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストのサブAVAとして新たに誕生したウエスト・ソノマ・コーストは、高級ピノ・ノワールのワイナリーがひしめき合う地域(といっても丘陵地帯で道も少なく、ワイナリーも畑もみなバラバラで実際の距離は遠く離れていますが)。

中でも高級感で抜きんでているのはマーカッシン(Marcassin)。ピノ・ノワールとシャルドネ専門のワイナリーとしては抜きんでた「パーカー100点」10回を取っています(しかも2015年以降はレビューさえされていません)。

このマーカッシンの畑を見下ろすところに畑を作り、その名もボアズ・ビュー(マーカッシンの意味はフランス語で子供のイノシシ、それに対してこちらはイノシシそのもの)と付けたのがナパのシュレーダーで知られるフレッド・シュレーダーとトーマス・リヴァース・ブラウンのコンビです。

こちらもデビューからパーカー95点という高評価で国内価格も4万円前後というかなりの高級ピノ。そもそもほとんど市場に出ないマーカッシンに対して、「買えるピノ」の中ではトップクラスといっていいでしょう。

ワインのスタイルもマーカッシン的なフルボディでパワフルなもの。万人受けはしないかもしれませんが、かなりの迫力があります。

そのボアズ・ビューが2019年からセカンドのピノ「B.D.R.」を作り始めました。BDRという名前は畑のあるBohan Dillon Roadにちなんだものだとのこと。「かって畑を『ボーハン・ディロン・ロードのはずれ』と呼んでいたことから命名」とインポーター資料には書いてあります。

ファーストのピノと比べて、より果実味を重視して早飲みに向くスタイルになっているようです。スタイルとしてもファーストより手に取りやすいかもしれないですね。

柳屋です


Wassysです。

Date: 2022/1121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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この秋はワイン映画が大豊作です。ブルゴーニュワインのドキュメンタリー「ソウル・オブ・ワイン」、シャトー・メルシャンの安蔵光弘さんをモデルにした「シグナチャー 日本を世界の銘醸地に」、日本ワインのドキュメンタリー「Vins Japonais」、ジンバブエから南アフリカに逃れた難民がソムリエになりブラインドテイスティングのコンテストに挑むという「チーム・ジンバブエのソムリエたち」(12月公開)、そして今回紹介する「戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン」。

どれも興味あるものの、メジャーではないワイン映画は上映館数が少なく、地元で気軽に見られないのが難点。今回はソムリエの田邉公一さんが上映の後にトークをするというので、ちょうど都内に出る用事もあり、吉祥寺まで見に行ったのでした。

そもそも私はレバノンワインについての知識はほとんど全くありません。WSETやソムリエ/ワインエキスパートの教本でも扱われていないので、多くの人にとっても同様だと思います。ただ、先日イスラエルワインのセミナーに出たので、政治的には大きな断絶がありますが気候などについては共通するところがあるのではないかと思っていました。あと、カリフォルニアワインとの関係でいうと、パソ・ロブレスのダオ(Daou)を設立したダオ兄弟がレバノン出身だったということくらい。要はほぼ知識ゼロということです。さらに言うと、レバノンの歴史についてもほとんど分かっていません。

以下、ネタバレもあるので、これから見る予定の人はご注意を。

この映画、普通のワイン映画とは大きく違います。テロワールの話も醸造技術の話もなければ、マーケティング的な話も全くありません。レバノンでどんな品種が作られているのか、それすらほとんど映画内では取り上げられていません。

では何が描かれているか… 戦争です。最初から戦闘シーンの映像が続きます。映画のために作られた戦闘シーンではなくリアルの戦争です。ほぼ廃墟と化した市街地や、戦車が火を吹くシーン。後半ではトラックがドローンに爆撃されるシーンも。実際にそこで傷つき、亡くなる人もいる戦闘シーンには胸が痛くなります(もちろん人が傷つくところが直接描かれているわけではないですが)。

レバノンのワイナリーのワインメーカーたちが戦時下で何を思い、どのような苦労をしてワインを作ってきたか、それがこの映画で描かれていることの中心です。天候やブドウの状態と相談しながら収穫時期を決めるのではなく、砲弾下でどう収穫するか悩んだり、収穫したブドウをトラックでワイナリーまで運ぶのに5日もかかったり… 平和な国の民としては、どうしてそこまでしてワインを造らなければいけないのか、と思うようなことばかりです。

登場人物の中で一番印象的なのは、冒頭から登場するシャトー・ミュザールのセルジュ・ホシャール。ちょっと人を食ったような飄々とした人柄で惹きつけます。

「爆弾が降り注ぐなか気づいた。人生もゆっくり味わうべきだと」

というセリフが紹介されていますが、人生だけでなくワインも1本を二人で6時間ほどもかけてゆっくり飲んでいくという話が出てきます。一緒に飲んでいた相手(著名作家のエリザベス・ギルバート)が途中で感想を言おうとすると、まだ早いとずっと引き伸ばしていき、ワインの味わいも一口ごとに変わっていくという… どこまで本当なの? と思ってしまうところもありますが、いいワインとか悪いワインとかを超越した変化を楽しむワインというのも、それもありなんだという気がだんだんしてきたから不思議です。

マサヤ・ワイナリーのラムジー・ゴスンによる「毎日を可能な限りいい日にする」というのも印象的でした。

結局、語られているのは人生観なのですね。ワインはそれを媒介するもの。極端なことを言えば、描くのはワイナリーでなくてもよかったのかもしれませんが、ワインには人生を投影しやすい何かがあるのかもしれません。

さて、映画の後は田邉ソムリエのトークショーです。


10年も前からレストランにレバノンのワインをオンリストしていたというから田邉さん、すごいです。実際にレバノンの産地も訪問されているそうです。

レバノンはフランス領だった時期があるため、フランスとの結びつきが強く、ワインもフランス風のクラシックな味わいのものが多いそうです。隣のイスラエルがどちらかというと新世界的なワインを作っているのと対照的です。


また、上映後にレバノンワインをグラスでいただきました。

このワイン「ダー・リヒ・ハナン」はシリア難民のアブダラ・リヒが作るワインだそう。カベルネ・ソーヴィニヨン(60%)、マルベック (29%)、サンジョヴェーゼ(11%)という構成で、柔らかい味わいながら、酸もしっかりとしてバランスのいい作り。なかなかいいワインでした。
Date: 2022/1118 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ジェームズ・サックリングが年間トップ100を公開しています。以前、年間トップにオーパス・ワン(2013だったと思います)を選ぶなど、話題には事欠かないリストの一つですし、40年を超えるキャリアとチームで年間3万本を超えるワインをレーティングしてきたその実績はあなどれません。

個人的には「カベルネが好きな人」というイメージもありますが、リースリングがトップ10に2本入るなど、今回は多様性も大分感じられました。

その中で1位はナパのカベルネ・ソーヴィニヨン。BV(ボーリュー・ヴィンヤード)のジョルジュ・ド・ラトゥール・プライベート・リザーブ2019です。これには大分びっくり。それこそ20年前にはまだナパのトップクラスの一つでしたが、そのころも既に「かつての名門」的な雰囲気は多少ありました。ちなみにかの有名なベクストファー・ト・カロンは元々BVの畑。アンディ・ベクストファーがヒューブレインから独立するときに、せしめた買い取った畑の一つです。そのままBVが持っていれば今も一流間違いなしだったと思いますが…。ともかく、名門復活的な1位(レーティングは100点)、素晴らしいです。残念ながら日本にはまだ前ヴィンテージまでしか入っていないようです。

今回、もう一つ紹介したいのがタイトルにも挙げた年間5位のワイン。ワシントンのKヴィントナーズのグルナッシュです。Kヴィントナーズといえば、シラーのイメージが強く、ロイヤルシティなど垂涎のシラーをいろいろ作っています。その代わり、値段もそこそこするものが多いですが、このグルナッシュ「ザ・ボーイ2019」は税抜きなら7000円台。米国でも50ドルと99点の高評価ワインとしては激安ですし、日本の価格も安めです。こちらはそのものが日本にも入っています(インポーターは売り切れ)。グルナッシュでこれほど高評価なものは個人的にもまだ飲んだことないので、大変気になります。

ほぼ真っ白なラベルが印象的なワインですが、インポーターには以下の説明があります。

フランスのミュージシャン、セルジュ・ゲンスブールの楽曲「I'm the Boy」から命名。ワインのバックラベルには、「僕は透明人間である事を楽しんでいる」という一節があります。チャールズがこの曲と歌詞に共感したのは、彼がワシントンで有名になり、レストランや買い物に行っても周りに顔を指されてしまう状況に陥った時でした。ラベルの、"The Boy "の文字がほとんど見えないことが、それを物語っています。チャールズは透明人間になりたかったのです。

豪放なイメージのあるチャールズ・スミスの繊細な一面がワインにも出ているのかもしれません。



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Date: 2022/1116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が2022年の収穫レポートを公表しています。収穫は10月下旬にほぼ終了しました。例年は最後の収穫は11月までずれ込むことが多いのですが、今年はほぼ10月中に終了。「ワインメーカーもハロウィンを楽しめた」といったジョークも出ていました。

干ばつが続き、山火事の危険性が懸念されていましたが、幸いなことにほとんどの山火事はワイン産地への影響がなかったようです。多くの地域で品質は上々。ただし春先の霜や干ばつの影響で、収穫量は例年よりも少なかったところが多くなりました。

今年の収穫での最大のトピックは「熱波」。9月上旬のレイバーデイ前後で1週間近くも華氏で100度(摂氏38度程度)を超えるような高温が続きました。天気予報で熱波が到来することは分かっていましたから、シャルドネやピノ・ノワールなど、収穫時期が早めなブドウはほとんどレイバーデイ前に収穫されました。熱波到来前の駆け込み収穫で、醸造設備が足りなくなるようなワイナリーもあったようです。熱波の後には降雨もありましたが、特に収穫の足かせになるようなものではなかったようです。

ワイナリーによっては同じ品種でもレイバーデイ前とレイバーデイ後に収穫が分かれてしまったところもあります。レイバーデイ前のブドウはタンニンが強く、かなりしっかりした味わいのワインになります。一方、熱波より後に収穫したブドウは芳醇でやわらかな味わい。レイバーデイ前とレイバーデイ後で大きく個性の異なるワインができます。そのため、同じワインで収穫が熱波の前と後に分かれてしまったようなところでは、これらをどうブレンドしていくかもワインメーカーの腕の見せどころになりそうです。

熱波以外では春先の霜が大きな出来事でした。ローダイなどの温暖な地域で、春に霜がおり、収穫量が大幅に減りました。また、干ばつはほとんどの地域で続いており、収穫減につながっています。

以下では各地域についてまとめます。
メンドシーノ:春先は好条件の天候が続き、品質も収穫量も大きく期待されました。ただ、レイバーデイの熱波と干ばつによって、収穫はややチャレンジングになりました。結果的には収穫量はやや多く、完熟したブドウの糖度は例年より少し低いくらいに収まりました。
ナパ:2021年の10月と12月には500mmほどの雨が降りました。2022年の芽吹きは3月で、春は温暖からやや冷涼。9月のレイバーデイの1週間は38℃を超える高温が続き、数日間は43℃~47℃ほどにまで上がりました。幸いなことに、夜は15℃程度まで気温が下がったのでブドウがリフレッシュされました。この熱波でブドウの成熟は早まり、例年より早い収穫になりました。品質は非常に良く、白は完璧な酸を残し、フレーバーとテクスチャーも素晴らしく、赤はストラクチャーがありフレーバーも素晴らしいです。
ソノマ:芽吹きは2月に始まりました。2月と4月には低温の時期があり、夏はややマイルド。収穫は予想より数週間早い7月29日に始まりました。収穫は10月半ばまでに90%終了しました。収量は平均より少なく、品質は素晴らしいものがあります。
ローダイ:春の霜は2008年以来の大きな被害をもたらしました。中には今年の収穫を諦めた生産者もいました。レイバーデイの熱波によって、一部のブドウは脱水して収穫量も少し減りました。熱波の前に収穫した白は素晴らしい品質です。
モントレー:21年秋には降雨があり、干ばつを少し和らげました。春の霜害もまぬがれ、非常に順調に進んでいましたが、レイバーデイの熱波によってブドウが脱水し、ピノ・ノワールは平年より25~40%も少ない収穫になりました。ただ、品質は上々です。
パソ・ロブレス:春先の霜害はほとんどありませんでしたが、晩春に異常な低温が続き、実付きに影響が出ました。8月には約1週間、気温37~40℃の熱波があり、続いて9月には10日ほど40~46℃もの熱波に襲われました。その後には雨が降って生産者をやきもきさせました。この地域には珍しく8月に赤ワイン用のブドウの収穫が始まりました。収穫量は干ばつや春の低温のため30%ほど減りました。味わいは凝縮して素晴らしいものになっています。
サンタ・バーバラ:9月の熱波の前に収穫したブドウは素晴らしい品質でした。春は霜の影響はなかったものの干ばつと低温、強風で最大30%ほど収穫が減ったところがありました。9月の熱波はブドウの状態に大きく影響し、熱波後は通常より糖度が低くなりました。その後の降雨量も多く、さらに糖度が下がりました。畑によって収穫時期も品質も大きく変わる年になりました。
Date: 2022/1115 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワインスペクテーターの1位のワインなどを紹介しましたが、100位までのリストが発表になりました。
All Lists of Top 100 Wines | Wine Spectator's Top 100

オレゴンのドルーアン・ローズロック ピノ・ノワール2020が15位。2019年は非常に高評価で本ブログでも紹介していますが、2020も良さそうです。

19位にはシュラムスバーグのBrut Blanc de Blancs 2018。定番のワインですね。

新しいワインで注目は28位に入ったアルマ・デ・カトレアのソーヴィニヨン・ブラン2021です。
このブログでも「今秋の大注目新入荷ワイン「アルマ・デ・カトレア」」で紹介しているワイン。その記事の中でも一番いいのはソーヴィニヨン・ブランと書いています。4000円台はソーヴィニヨン・ブランとしては安くない値段ですが、その価値は十分にあるワインです。


Date: 2022/1114 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日紹介したワイン・スペクテーターの年間1位に選ばれたシュレーダー ダブル・ダイヤモンド カベルネ・ソーヴィニヨン 2019。いくつかのショップに早速入荷しています。

ちなみに、インポーターの在庫は発表後一瞬でなくなってしまったそうです。本国でも取り合いでしょうから、今後の追加はあるかどうかわかりません。

ちなみに、このワインが1位に選ばれた最大の要素はコスト・パフォーマンスの高さ。ト・カロン(しかもモンダヴィのト・カロンとベクストファー・ト・カロンの両方)のブドウを使っていて80ドルという破格の値段です。日本の値段も税抜きで1万2000円程度ですからかなりお得になっています。そういえば、年間1位でコスパ系のワインが選ばれたのも久しぶりのような気がします(ちゃんと調べてません)。

古い記憶だとシャトー・セント・ジーンのサンク・セパージュが28ドルというのが大ヒットしましたが20年以上前の話です(これは本当に安旨だった)。

かわばた酒店です。


柳屋です。

Date: 2022/1112 Category: おすすめワイン
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ワインスペクテーターの年間トップ10が発表されました。昨年の1位はドミナス2018。今年はカリフォルニアは来ないだろうなあと思っていたのですが、6位、3位、1位がカリフォルニア。そして9位にはワシントンのクィルシーダ・クリーク2018(既に日本は売り切れ)が入りました。

そして、1位と6位はなんとこのブログでは同じ記事の中で紹介していたワインでした。
その記事がこちら。
リーズナブルにト・カロンを楽しむならこの4本

あの「ト・カロン」のブドウをふんだんに使って1万円台で飲めるというコスパワインです。
6位はロバート・モンダヴィ オークヴィル カベルネ・ソーヴィニヨン 2019
そして1位は
シュレーダー ダブル・ダイヤモンド 2019です。

モンダヴィのオークヴィルは、オークヴィルというAVA指定でありながら、実はほとんどのブドウがト・カロンという贅沢品。シュレーダーのダブル・ダイヤモンドはモンダヴィのト・カロンの畑に加えてベクストファー・ト・カロンのブドウも使っているという、唯一無二のワイン。

どちらも1万円台としてはすばらしいカベルネ・ソーヴィニヨンですが、まさか同時にトップ10入りとはさすがにびっくりしました。

モンダヴィの方は、売っているところが見つかりませんでしたが、ダブル・ダイヤモンドは現行ヴィンテージで購入可能です。

と、思ったら楽天はすでにマグナムのみでした。

Date: 2022/1112 Category: 業界ニュース
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大手ワイナリーのE&Jガロが、パソ・ロブレスの実力派ワイナリー「デナー(Denner)を買収しました(E. & J. Gallo Acquires Denner Vineyards in Paso Robles | Wine Spectator)。

デナーは1997年に設立されたワイナリー。パソ・ロブレスの中でも注目の地域の一つであるウィロー・クリークに畑を作り、カベルネ・ソーヴィニヨンのほか、シラーなどローヌ系の品種も育てています。特にフラッグシップの「ダート・ワーシッパー」などシラーが高く評価されています。

デナーは今後の発展を考えて、売却先を検討していたようです。近隣のBookerがコンステレーション・ブランズに売却されたことも後押しをしたようです。

ワインメーカーなどは今後ものこるとのこと。
Date: 2022/1111 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワイン協会は10月31日「グローバル・バイヤーズ・マーケットプレイス」と呼ぶ大規模な商談会を初めて開催しました。会場はナパ・ヴァレーのマリオットです。
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150を超えるワイナリーと、26カ国から80名以上のバイヤーが参加しました。日本からの参加者も7人おり、今後新しく輸入されるワイナリーが増えることが期待されます。会場はナパですが、ナパ以外にもカリフォルニアの様々な地域からのワイナリーが参加しています。
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また、ワイン・エデュケーターのイレイン・チューカン・ブラウンとケリ・A・ホワイトによるセミナーも開催され、カリフォルニアの現在のトレンドなどが解説されました。ナパでのイベントの後にはグループに分かれてカリフォルニアの各地で生産者を訪問するツアーも開催されました。
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2021年のカリフォルニアワインの輸出は約15億ドル。前年より1割以上の伸長を示しました。カリフォルニアワイン協会はこれを25億ドル以上に引き上げるという目標を持っており、今回のイベントはその一環として開催されました。

参加したインポーターの売上は合計100億ドル以上。「毎年 100 億ドル以上の売上総額を誇る、影響力のあるバイヤーや輸入業者の方々を世界の主要ワイン市場からお迎えできたことをとても嬉しく思います」と、カリフォルニアワイン協会国際部長のオナー・コンフォートは語っています。「私たちは購買者と販売者を互いに繋げるパイプラインを構築し、ワイントレードの皆様が普段味わう機会の少ないカリフォルニアワインを、より深く知っていただくための土台を提供しています」

円安など逆風も多い昨今ですが、輸入増加につながることを期待したいです。
Date: 2022/1109 Category: おすすめワイン
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サンタ・バーバラの人気ワイナリー「スター・レーン(Star Lane)」のカベルネ・ソーヴィニヨン2017がうきうきワインの玉手箱で11日1:59までセールになっています。税込み5478円と税抜きならば5000円切る価格。

このワイン、ワイナリー価格で50ドル、米国の小売で安いところでも40ドルしますから、1ドル120円としてもほぼ現地価格の安いところと同じくらい。しかも、ヴィナスのアントニオ・ガッローニは、この2017年を「米国のカベルネの中で読者が出会うことができる最も素晴らしいバリューの一つ」と評しており、92点を付けています。

スター・レーンはサンタ・バーバラのサンタ・イネズ・ヴァレーのサブAVAであるハッピー・キャニオンに位置しています。冷涼なサンタ・リタ・ヒルズから数マイル内陸に入ったところですが、この地域は少し内陸に行くだけで気温が大きく変わるため、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培にも適した土地となっています。2017年は温暖な年だったので、例年よりややリッチな味わいになっているようですが、複雑さもありいいワインです。

このクラスも近い将来7000~8000円くらいになってしまうでしょうから、今のうちに買っておくのが吉だと思います。


Date: 2022/1108 Category: 業界ニュース
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9月に経営破綻が報じられたスプリング・マウンテン・ヴィンヤードですが、売却される可能性が高くなりました(Napa Valley's Spring Mountain Vineyard May Be Sold)。

スプリング・マウンテンには、テレビドラマ「ファルコン・クレスト」で有名になった1885年に建てられたビクトリア様式の家屋「ミラヴァレ」や、約200エーカーのブドウ畑があります。

ワイナリーの借金は2億ドルにも上り、債務返済のためにワイナリーを売却することになりそうです。売却は2023年3月24日までに完了する予定です。
Date: 2022/1104 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアのワイナリーの中でも「変態」という形容詞が一番似合いそうなのがカリン・セラーズ(Kalin Cellars)です。10年以上熟成したワインしか出荷しないという極めてユニークなポリシーで、しかも次に出荷されるのがどのヴィンテージのどのワインなのか、オーナーのテリー・レイトンしか知らないのです。古い順番から出るわけではなく、ヴィンテージは行ったり来たり。畑や品種も様々です。

現行ヴィンテージとして、現在出回っているのは1997年のシャルドネ「キュヴェW」と2000年のピノ・ノワール「キュヴェDD」。




シャルドネのキュヴェWは、リヴァモア・ヴァレーのウェンテ(Wente)のブドウを使ったもの。ウェンテといえば、カリフォルニアのシャルドネのふるさとのようなもの(カリフォルニアで植えられているシャルドネの6割以上はウェンテ・クローンと言われています)。ウェンテ自身が作るシャルドネも非常に美味しく、コスト・パフォーマンスが高いワインでこのブログでも何度も紹介しています。
1997年のキュヴェWは写真でもわかるように色がかなり褐色化しています。上質のシェリーのような味わいですが、酸が非常にきれいに残っているのがちゃんとシャルドネらしさになっています。個人的には「ひねた」味わいが苦手で熟成したシャルドネが美味しい(熟成することによって魅力が増している)と感じることは割と少ないのですが、これは素晴らしいです。

2000年のキュヴェDDはソノマのワイン。インポーター資料には「アレキサンダー・ヴァレーで最も古いピノ・ノワールの単一畑である粘土とシルトに石灰が混じる土壌を持つデモスティニ・ランチのブドウを使用。ロシアン・リヴァーから近いこの畑で灌漑を行わないドライファーミングによって育てられる」と書かれています。
これは「旨味」が素晴らしい。ワインの「旨味」ってこれなんだなと納得するような味わいです。そしてこれも酸がきれい。こちらも「ひねた」感じはありません。

古いワインゆえ、ボトル差もあるでしょうが、少なくとも試飲したものは、これまで試飲したカリン・セラーズのワインの中でも上位に来ると思います。熟成したワインが好きな方は飲む価値大です。

なお、リコルクされていないので、コルクはかなり脆いです。抜栓は注意してください。コルクの両側から差し込んで抜くタイプのコルク抜きを使うのがいいと思います。

しあわせワイン倶楽部です。



ウェンテの今のワインを飲むなら。



Date: 2022/1102 Category: 業界ニュース
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アカデミー・デュ・ヴァンで開催された、イスラエルワインのマスタークラスを受講しました。講師はイスラエルワインのアンバサダーとして活動しているタル・サンダーランド・コーヘンさん。

これまで見つかっている最も古いブドウの種は紀元前8000年頃のもので、東地中海で発見されています。実際にイスラエルでも紀元前1600年頃のワインセラーが発見されています。紀元前700年から250年頃のヘレニズム時代がイスラエルにおけるワインの黄金時代だったといいます。

ただ、イスラエルは長らくイスラム教徒の住む地域であり700年から1850年までの1000年以上、酒類の製造が禁止されていました。新たなワイナリーができたのは1870年で、そこからイスラエルの近代ワイン史が始まります。つまりイスラエルはワインの起源に近いオールド・ワールドでありながら、ワイン産業という意味ではカリフォルニアとあまり変わらない時期からのスタートなのです。

現在作られているワインを見ても、いくつか土着品種はありますが、メインとなるのはカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種です。また、EUのようなワイン法はなく、作りたい品種を作りたいように育てて醸造できます。醸造についてもルールはほとんどないようです。

イスラエルワインの品質向上が始まったのは1983年から。この年、UCデーヴィスのコーネリアス・オウがイスラエルを訪問したのをきっかけに、ゴランハイツ・ワイナリーが生まれたのがそのきっかけとなりました。つまりカリフォルニアからイスラエルへの技術の逆輸入的なことが起こっていたのです。

それで思い出したのですが、イスラエルではサスティナブルの認定に、カリフォルニアのローダイで作られたローダイ・ルールズを採用しています。今もそういったイスラエルとカリフォルニアの交流があるのは面白いと思います。

イスラエルの気候は地中海気候。砂漠もあり基本的には暑いところですが、最主要産地であるガリラヤ地方は標高500~800mと標高が高いので涼しくなっているようです。



12種のワインを試飲しました。最初の2種だけ白ワイン、後は赤です。白はソーヴィニヨン・ブランと、ゲヴェルツトラミネールとソーヴィニヨン・ブランのブレンド。アルコール度数はそれぞれ11.5%、12%とかない低く。味わいも酸がキリッとしてエレガント。こんなワインができるんだとかなり驚きました(もしかしたら加水と加酸によるのかもしれませんが)。


上の写真はArgaman(アルガマン)という品種のもの。SouzaoとCarignanの交配品種だそうです。タンニン強く、ブルーベリーやチョコレートの濃厚な風味、腐葉土のような香りもあります。


このワインはジンファンデル85%、シラーズ10%、プティ・シラー5%という構成。ジンファンデルでなで肩ボトルに入れるのも珍しいです。
フローラルな香り、レッドチェリーなど赤果実の風味があり、カリフォルニアのジンファンデルと比べると非常にエレガントな作り。酸がきれいなのも印象的です。こんなジンファンデルがあるのかと驚きました。


カベルネ・ソーヴィニヨン90%とメルロー10%のブレンド。濃厚でリッチだけどバランスがいいワイン。入手困難なワインだそうです。


シラー100%のワイン。アルコール度数は15%もあります。非常に濃厚でスパイシー。濃い系のシラー(シラーズ)が好きな人にははまると思います。とてもおいしい。

イスラエルワインというとヤルデンが有名で、受講生の多くもヤルデンだけは知っているという人が多かったようです。今回試飲したワインは講師が持ってきたもので残念ながら日本では未発売。ちなみに、コストコには結構イスラエルワインがあるそうです。

今回のセミナー、また飲みたいと思うワインも多く、イスラエルワインのレベルの高さもわかりました。また今後に期待したいと思います。
Date: 2022/1101 Category: 業界ニュース
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ナパの老舗ワイナリー「ハイツ・セラー(Heitz Cellar)」のオーナーであるローレンス・ファミリー・ワイン・エステーツが、ボルドーのマルゴーにある格付け第2級のワイナリー「シャトー・ラスコンブ」を買収しました。ローレンスにとっては初めての欧州における取り組みです。

ローレンスはハイツのほか、米国ではBurgess Cellars、Ink Grade、Stony Hill Vineyardを保有。老舗のワイナリーを中心にポートフォリオを広げています。

そういう意味ではボルドーの2級ワイナリーを買うというのも筋道が通っているような気がします。今回の買収の詳細は明らかではないですが、2011年に前オーナーのMACSFが購入した際は2億8000万ドルだったそうです。

ローレンスは2018年にハイツ・セラーを購入。その後畑の購入などを行っています。

Date: 2022/1031 Category: 業界ニュース
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NAVA VALLEY WINE EXPERTの新しいテキストを読んでいます。これが素晴らしい。とてもよくできています。



目次は以下のようになっています。
はじめに
数字で見るナパ・ヴァレー
ボトルラベルのルール
CHAPTER 1 ナパ・ヴァレーの基本情報
CHAPTER 2 ナパ・ヴァレーの地理的特徴・土壌。気候
CHAPTER 3 ナパ・ヴァレーのAVA
CHAPTER 4 ナパ・ヴァレーのブドウ栽培・ワイン醸造
CHAPTER 5 ナパ・ヴァレーの歴史
CHAPTER 6 環境問題への取り組み
CHAPTER 7 コミュニティにおける責務
CHAPTER 8 ナパ・ヴァレー・ワインのフードペアリング
CHAPTER 9 ナパ・ヴァレー・ワインのヴィンテージ
CHAPTER 10 重要な畑、人物・生産者

このほか1ページのコラムが5つ入っています。

CHAPTER 1~7はNAPA VALLEY ROCKSという英語の教材がベースになっています。そんなに大きなボリュームではないですがバランスよく各項目を説明しています。土壌や歴史のあたりではあまり知らなかった情報もありました。CHAPTER 8のフードペアリングはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパン代表の小枝絵麻さんの得意とするところ。CHAPTER 10の重要な畑や人物、生産者の名前もナパのワインを知るためには抑えておきたい情報です。

基礎的な情報から、ナパに詳しくなったと思える情報までバランスよく盛り込まれていると感じました。

試験は年明けで、まだ申し込みはできますので、ナパのワインに詳しくなりたい人はぜひ。昨年は資格を持っている人でないと受験できませんでしたが、今年は申し込みできるようになりました。
ナパヴァレー・ワイン・エキスパート認定試験 2023 | ナパヴァレー・ヴィントナーズ
Date: 2022/1030 Category: おすすめワイン
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今月開催された中川ワインの試飲会で最注目だった新入荷ワインが「アルマ・デ・カトレア」。すぐにでも紹介したかったのですが、まだ国内のショップ用入荷がなかったときだったので、入ってくるまで紹介を待っていました。

アルマ・デ・カトレアのワインメーカーはビビアナ・ゴンザレス・レーヴ。ウェイフェアラー(ナパの人気生産者パルメイヤーがソノマ・コーストで始めたワイナリーですが、今ではナパのワイナリーは売ってしまってこちらに専念しています)をソノマ・コーストのトップクラスのシャルドネとピノ・ノワールのプロデューサーにまで仕立て上げた立役者です。2015年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた実力者。

現在はウェイフェアラーはやめ、自身のブランドである「カトレア」(シャルドネとピノ・ノワール)、夫のジェフ・ピゾーニ(サンタ・ルシア・ハイランズの雄ピゾーニのワインメーカー)と作るソーヴィニヨン・ブラン専門の「シェアード・ノーツ」としてこの「アルマ・デ・カトレア」を作っています。ちなみにカトレアは彼女の母国であるコロンビアの国花です。ワインの文化のない国で生まれ、それでもワインを作りたくてお金をためてフランスに行って勉強し、カリフォルニアに渡った苦労人でもあります。

アルマ・デ・カトレアで手掛ける品種はシャルドネとピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランにシラー主体のレッド・ブレンド。カトレア+シェアードノーツ+αのコスパ系となります。希望小売価格で4500~6000円と、他の2ブランドと比べると試しやすくなっています。

ビビアナの作るワインはどれもエレガント。ソノマの冷涼な地域のブドウを使っています。

特にお薦めはソーヴィニヨン・ブラン。ムスケ・クローンも含んでおりとてもアロマティックでピュア。シェアード・ノーツではボルドータイプ、ロワールタイプの2つのソーヴィニヨン・ブランを作っていますが、その両者のいいとこ取りをしたようなワインです。

シャルドネもとてもきれいで、ミネラル感のあるワイン。ニュートラルな樽を使っているので樽感は強くありません。カトレアのシャルドネがすごく好きなのですが、やはりそれを彷彿させるところがあります。

ピノ・ノワールはチャーミングな味わい。柔らかい赤果実にスパイスなどがからまり複雑な味わい。

レッドワインはシラー64%、カベルネ・ソーヴィニヨン22%、メルロー14%。オーストラリアのシラーズではなく北ローヌのシラーに近い作りというか、もしかしたらそれよりも冷涼感が強いかもしれません。筋肉質な味わいにかなりしっかりとしたタンニンがバックボーンを作ります。

カリフォルニアワインあとりえにはレッド・ブレンド以外の3種が入荷しています。





Date: 2022/1029 Category: おすすめワイン
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ザ・ペアリング(The Paring)は、スクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラで展開するザ・ヒルト(The Hilt、ピノ・ノワールとシャルドネ)、ホナタ(Jonata、ボルドー系とローヌ系)のセカンドにあたるブランドです。ザ・ヒルトとホナタはサンタ・バーバラでは既にトップクラスに入るブランド。ザ・ペアリングは非常にコスト・パフォーマンスの高いワインとなっています。

ザ・ペアリングのソーヴィニヨン・ブランは今春、NHKの番組「あてなよる」で激賞されていて、2ヵ月ほど品切れになっていた人気ワイン。個人的にはシラーもかなりいい出来だと思っています。

ウメムラの5本セットは1万6500円で送料無料。税抜き価格なら1本3000円相当です。ワイナリー価格の25ドルと比べてかなりお買い得。上記2品種のほかカベルネ中心のレッド、シャルドネ、ピノ・ノワールが入っています。

ただし、この価格は10月31日までの限定。11月1日には3割値上げすることが予告されています。買って損のないセット間違いなしです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【送料無料】ザ・ペアリング 飲み比べ 紅白5本セット
価格:16500円(税込、送料無料) (2022/10/29時点)


Date: 2022/1027 Category: 業界ニュース
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アカデミー・デュ・ヴァンのソノマの講座の第1回でした。6回かけてソノマ全域を勉強するというかなり充実した講座です。ありがたいことに満席になりました。

ソノマはカリフォルニアの中でも多様性に富んでおり、とても複雑な地域。特にAVAは複雑に重なり合って混沌としています(個人的には統廃合など整理した方がいいのではないかと思ってます)。

初回はその中でもサブAVAが多いソノマ・ヴァレー。初回ということでソノマ概論も話していたら、全然時間が足りなかったです。Google Earthで用意していたのもちょっとしか見せられず、Old Hill Ranchの動画も、ジンファンデルの名前の由来といった仕込んでいたネタも使えず。後の方の回は時間に余裕があるはずなので、そこで披露できたらなあというところです。

ソノマの講座以外では、11月18日(金)のハーランの講座(1回)が募集中。まだ催行人数に達していないので、みなさまよろしくお願いします。ワインは無茶苦茶素晴らしいです。ボンドのバックヴィンテージも出します。
青山校 カリフォルニアの超一流ワイナリー ハーラン編 | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン

また、1月からはもっと入門的なカリフォルニア講座も開きます(全3回)。こちらは資格試験などで勉強した人が、もう少し詳しく勉強する、というか資格でやらないような「今」の話なども織り込んだカリフォルニアワインのリアル入門編です。もちろん、資格の勉強していない人でも受けられる内容です。
青山校 カリフォルニアワインを楽しもう | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン
Date: 2022/1026 Category: おすすめワイン
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ワイン・エンスージアストで2022年のベストバイ100が公開されています(Top 100 Best Buys of 2022 | Wine Enthusiast)。

ラックリドル
5位に入ったのはソノマのスパークリング・ワイン専業メーカー「ラック・アンド・リドル」のブリュット。ラック・アンド・リドルといえば、ソノマ唯一のスパークリング・ワインのカスタム・クラッシュであり、多くのワイナリーから醸造を委託されています。そこが自ら作るスパークリングですからうまくないはずがありませんし、コスパも抜群です。ブリュットはその中でもオールマイティなタイプ。

しあわせワイン倶楽部です


OZV
10位に入ったのはローダイのOZVオールド・ヴァイン・ジンファンデル2020。いかにもローダイのジンファンデルといった、少し甘やかさのあるジンファンデル。「酸っぱいワインじゃないと嫌!」という人はやめておいた方がいいですが、とても飲みやすく美味しいジンファンデルです。実売では1000円台のところもあるのでかなりお買い得です。

なお、OZVを作っているオーク・リッジには、もう少し安価なブランドとしてINTOやTNTもあり、どれも果実実豊かなワインになっています。

ショップはフェリシティ



Date: 2022/1022 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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アルダー・スプリングス(Alder Springs)という畑をご存知でしょうか。どこにあるかまで大体わかっていたら、かなりのカリフォルニアワイン・マニアだと思います。個人的にはカリフォルニアでグラン・クリュの畑を選ぶとしたらそこに入れたい畑の一つです。

アルダー・スプリングス

畑の場所はメンドシーノ郡。メンドシーノというと有名なAVAではアンダーソン・ヴァレーがありますが、アンダーソン・ヴァレーがソノマのすぐ北にあるのに対し、アルダー・スプリングスはそれよりももっと北の方にあります。これだけの畑なのにAVAの指定されていないところです(アルダー・スプリングスがAVA申請すれば通ると思いますが)。

サンフランシスコから150マイルあるというから約240km。太平洋からはわずか18kmしかありません。6000エーカー(東京ドーム500個分以上)という広大な土地に140エーカーだけがブドウ畑になっています。標高は1700フィートから2700フィートとかなり高く、冬になると雪も積もります。

Stu
この土地を開拓したのはスチュアート・ビューリー(Stuart Bewley)という人。UCデーヴィスを卒業し、彼の理想にあったブドウ畑の土地を探して1980年代末からカリフォルニアの各地を回りました。1991年にメンドシーノの田舎に見つけたのがここ。元牛舎だった土地が売りに出ていたのを期待せずに調べたら、理想通りの土壌でそこを購入。1993年からぶどう作りを始めました。

ここを有名にしたのはパッツ&ホールでしょう。1990年代からシャルドネとピノ・ノワールを作っています。以前、元パッツ&ホールのドナルド・パッツさんが来日したときのワイン会で彼が言っていたのは「アルダー・スプリングスのワインは果実味を感じない。それが大きな特徴だ」ということ。もちろん果実味が本当にないわけではないのですが、それ以上にミネラル感や様々な複雑な味わいを強く感じるワインになります。パッツ&ホールのワインの中でも長熟タイプになります。

今ではパッツ&ホールのほか、リース(Rhys)、ベッドロック(Bedrock)、パックス(Pax)、クルーズ・ワイン(Cruse Wine)、アルノー・ロバーツ(Arnot-Roberts)、ケスナー(Kesner)といったそうそうたるワイナリーが、アルダー・スプリングスのブドウでワインを作っています。また、アルダー・スプリングス自身のワイナリーもあり、ワインメーカーはバイロン・コスゲ(Byron Kosuge)。日系人で元セインツベリーのワインメーカーです。
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さて、このような輝かしいアルダー・スプリングスのワインに、日本人作のものが加わりました。平林園枝さんが作るシックス・クローヴズのピノ・ノワールです。


前述のように、アルダー・スプリングスのワインはミネラル感が非常に強いので、若いときはかなり固く感じられることがしばしばあります。しかし、これは2021年ヴィンテージと、まだ1年しか経っていないにもかかわらず、柔らかさがあります。同時に非常に奥深い味わいも。普通のカリフォルニアワインのように果実を楽しむのではなく、時間をかけて変化を追ったり、少しずつその奥深さを味わうなど、ゆっくり・じっくり飲んでいきたいワインになっていました。

今月末には国内入荷されてくるということなので、そのときには改めて紹介したいと思います。




Date: 2022/1021 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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数年前、明石家さんまさんがテレビ番組の中で、愛飲していると発言してベストセラーというか、瞬時に市場から消え去ったのがナパ・ハイランズのカベルネ・ソーヴィニヨン。

私もその半年か1年くらい前に初めて試飲して、これは美味しいとお薦めしたワインでもあるのですが、残念ながら私のお薦めの何千倍もさんまさん効果は大きかったようです。

その後、半年くらいは次の入荷もなかったため、「次のナパ・ハイランズ」を狙うワインが続々と入ってきました。4000円台カベルネというのは、一つのジャンルになったと言ってもいいでしょう。

先日の中川ワインの試飲会ではナパ・ハイランズを含む、その価格帯のカベルネをまとめていくつか試飲できました。

で、その感想はといえば「やっぱりナパ・ハイランズうまい」と、なりました。どれも果実味華やかで、ストラクチャーもあり、よくできたワインなのですが、その中でもバランスの良さは格別。赤系果実の風味も少し入って明るく、かといって軽くもなく適度なタンニンがあり、畑のセレクション(ヨントヴィル、オークヴィル、ラザフォードのブドウをブレンド)もワインの作りも上手だなあとうならされました。何人か話をした知り合いも同じ感想だったようです。


ちなみにメルローもなかなか秀逸でしたが、メルローは別のお薦めもあるのでそれはまた今度ということで。

このセットは送料込みで1本4000円切ります。お薦め。しあわせワイン倶楽部です。



ココスです。6本以上買うと送料無料枠に達します。

Date: 2022/1020 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパやソノマの収穫は、11月初旬になるのが通例ですが、2022年は10月中旬でほぼ終了に近づいています。メンドシーノやレイク郡も同様に終わりに近づいています。

カリフォルニアは9月の終わりから温暖な日が続き、早めの収穫となったようです。今年は干ばつが続き、山火事の懸念もずっと続きましたが幸いなことに、大きな影響のある山火事はなく、無難な収穫を迎えています。

収穫量については干ばつや春の霜のためにやや少なめという見方が濃厚です。

何はともあれ大過なく終わりそうで良かったです。

Date: 2022/1018 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヴィオニエは白い花の香りなど、魅力的な品種ですが、なかなか美味しいのに出会わない品種とも感じています。特に安ワインではちょっとだるい感じのワインになりがちです。中川ワインの試飲会で希望小売価格1980円と、この品種にしては安価なマックマニスのヴィオニエを試飲しました。はたしてその実力は?


温暖なセントラル・ヴァレーのワインなので、やはり酸は弱めです。でも香りはとてもいい。ブラインドで飲んでも、多分多くの人がヴィオニエだと思うでしょう。素晴らしいとまではいえませんが、この価格帯では秀逸で魅力のあるヴィオニエだと思います。特に、酸っぱいのが苦手と思っている人にはいいと思います。スーパー「オリンピック」のバイヤーさんもお薦めとのこと。



実力的に言えば段違いなのはこちらのヴィオニエ。ワシントンのグラマシー・セラーズです。希望小売価格5800円と価格も3倍しますが、米国産のヴィオニエの中では個人的にはトップ3に入るワイン。果実の厚みもありますが、すごくきれいでエレガントなワイン。同じヴィオニエといってもだいぶタイプも違いますが、それぞれ良さはあります。

しあわせワイン倶楽部です。


ココスです。


これ、すごく安いですね。ショップはトスカニーです。


Date: 2022/1017 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・アドヴォケイトで100点25本など、超高評価のワインを作るハンドレッド・エーカー(Hundred Acre)の創設者・オーナーであるジェイソン・ウッドブリッジがナパ郡を提訴しました。


ナパでは現在新しいブドウ畑の開発は、事実上ほとんどできません。平地はあらかた開発され、斜面は土壌の保全のために開発が禁じられています。ジェイソン・ウッドブリッジは2020年のグラス・ファイアーで斜面に生えていた木が焼失していまいました。ナパ郡からは以前の植生に戻すよう命じられたのですが、ジェイソン・ウッドブリッジはそこにブドウ畑をつくろうとして、ナパ郡から差し止めされてしまいました。そこで、ジェイソン・ウッドブリッジが職権乱用だとしてナパ郡を訴えたわけです。

ナパ郡の斜面の開発のルールでは、地面を掘り返すなど斜面に手を加えてはいけないことになっています。そこでジェイソン・ウッドブリッジはは底の抜けた植木鉢のような器に肥料とブドウの苗木だけを入れて斜面に置いていくという方法を取りました。こうすると自然に苗が育って地中に根を張り、斜面の保全にも役立つとしています。

しかし、ナパ郡は以前の植生と異なっているとしてこれを認めませんでした。これに対してジェイソン・ウッドブリッジが提訴したわけです。

まだ裁判はこれからなので。どうなっていくかわかりませんが、ジェイソン・ウッドブリッジの意見には一理あるような感じはします。

そして、もしこの方法が認められるとすると、第2、第3のジェイソン・ウッドブリッジが登場しないとも限りません。特に、斜面の土地は持っているがブドウ畑の開発ができないというワイナリーにとっては朗報となる可能性もあります。
Date: 2022/1015 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日の「ト・カロンのワインが6本、夢のようなセミナー」ではト・カロンの素晴らしいワインを試飲しましたが、唯一の問題はト・カロンのワインは値段が高くてなかなか手に入りにくいこと。白のフュメ・ブラン リザーブが想定小売価格で1万5890円、赤の中で一番安いロバート・モンダヴィのト・カロン カベルネ・ソーヴィニヨン リザーブで3万3280円となっています。

そこで、セミナーではもっと安価に飲める「ト・カロン入り」のワインも別途試飲できるようになっていたので紹介します。

ロバート・モンダヴィからは写真の3本。ソーヴィニヨン・ブラン2019(このヴィンテージからフュメ・ブランではなくソーヴィニヨン・ブラン名称になりました)。6260円。樽発酵で6カ月シュール・リーで熟成しているとのことで、穏やかな樽の風味とシュール・リーによるパンのような酵母の風味がリッチさを与え、ソーヴィニヨン・ブランらしいグレープフルーツやちょっと草のような風味に高級感を与えてくれます。32%がト・カロンで68%はスタッグス・リープの畑です。

カベルネ・ソーヴィニヨンはナパ・ヴァレー(これはト・カロンは入っていません)とオークヴィル(なんと97%ト・カロン)です。想定小売価格はそれぞれ9400円、15890円。ナパ・ヴァレーはちょっと甘やかさがあります。リッチだけどストラクチャーもあって美味しいです。1万円切りではかなりのレベルの高さです。オークヴィルは黒鉛のようなしっかりとした風味があり、やっぱりストラクチャーのレベルが違います。ただ、きれいでバランスもよく非常によくできています。


一方、シュレーダーからはダブル・ダイヤモンド2019(1万2800円)。これはモンダヴィのト・カロンだけでなくベクストファー・ト・カロンのブドウも入っています。このほかオークヴィルの別の畑からの買いブドウもあります。パワフルさはこの4本の中でも格別で、ちょっと甘やかな風味はシュレーダーに通じるところもあります。これもさすがトーマス・リヴァース・ブラウンというワインです。







おまけ
2009年のフュメ・ブラン・リザーブのようです。安いですね。

「訳あり」ものですが安いですね。

Date: 2022/1013 Category: おすすめワイン
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アイコニック ワイン・ジャパンはカリフォルニアワインのインポーターの中でもパソ・ロブレスなどセントラル・コーストのワインを得意としており、3000円台くらいの面白いワインを数多く持っています。先日の試飲会では、特に自然派志向の新興ワイナリーのワインが気になりました。

あえて自然派志向と書いたのは、100%オーガニックだったり、SO2無添加といった定義を満たしているかどうかより、ワイナリーの姿勢としてナチュラルなワイン造りやテロワールの発現を志向しているといった意味です。

フィールド・レコーディングスはその名前が示すように、様々な畑の個性を記録していくようなワイナリー。ワインメーカーのアンドリュー・ジョーンズはブドウの苗木を売るナーサリーで働き、多くの畑を知り、そこからワインを作るようになりました。畑の75%はオーガニック、残りもサスティナブルになっています。

「スキンズ」は米国で一番売れているオレンジワイン。シュナン・ブランやピノ・グリ、アルバリーニョなどのブレンドです。フレッシュですが旨味もとてもあって美味しいワイン。
隣の「サラダ・デイズ」はオーガニックなブドウを使ったスパークリングワイン。さっぱりさわやかな味わいです。


カベルネ・フラン100%の「フラン」はかなりエレガントな作り。タンニンも意外としっかりあってグリップが効いています。

ファブリストはフィールド・レコーディングスのアンドリュー・ジョーンズがサン・リューズ/グラウンドワーク(これもアイコニック扱い)のカート・シャクリンが共同で作るブランドです。イソップ寓話からインスピレーションを得たというラベルがユニークです。ここも契約した畑のブドウを使っています。ワインの多くはヴィーガンで作られており、SO2も最低限になっています。


アルバリーニョは微発泡でフレッシュな味わい。きれいな果実味もあってスイスイ飲めてしまうワインです。


ジンファンデルは昨年の日本デビュー時にあっという間に売り切れてしまったワイン。エレガントで旨味もあります。むちゃくちゃ美味しい。


カベルネ・ソーヴィニヨンもエレガントで旨味たっぷり。


新入荷のユニオン・サクレはフランス出身のザビエル・アルノ―ダンと、独学でデザインを学んだミシガン州出身のフィリップ・マジーによるワイナリー。アルザス地方で多く造られているリースリングを中心に単一畑、単一種のワインに特化して生産しています。アルノーダンはファブリストのカート・シャクリンの下で働いていたこともあります。ゲヴェルツトラミネールは薄ピンクがきれいで、味わいもチャーミング。美味しいです。


ピノ・ノワールもカリフォルニアとは思えないほどの冷涼感。


最後はストルプマンの「So Fresh」シリーズ。ストルプマンはシネ・クア・ノンにもブドウを卸していた優秀なシラーなどで知られるワイナリー。2022年には100%ビオディナミでブドウを作るようになりました。So Freshシリーズはボージョレ・ヌーボーと同じカルボニック・マセレーションを使って発酵させたワイン。ブドウのフレッシュな味わいを残しているのが特徴。

大人気のLove You Bunchesはサンジョベーゼ、Crunch Roastie Rainbowはシラーとヴィオニエ、GGTはグルナッシュとガメイとトゥルソー。



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Date: 2022/1012 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアでグラン・クリュの畑を決めるとしたら、その中でも満場一致で選ばれるのが確実なのがナパのオークヴィルにあるト・カロン・ヴィンヤードです。このブログでも「トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】」を含め、これまで何度もこの畑については書いてきました。

そのト・カロンのワインを6種類試飲できるという夢のようなセミナーに参加してきました。

場所はコンラッドホテルです。ナパ・ヴァレー・ベストソムリエに選ばれた富満勇希ソムリエやカリフォルニアワイン協会公認教育プログラムの講師も務める森覚ソムリエがいらっしゃるまさに、この素晴らしいワインに合う最高のところです。

ト・カロン・ヴィンヤードを切り開いたのはハミルトン・クラブという人。1868年に地所を買ったのが最初で、当初はヘルモサ・ワイナリーという名前だったのを1886年にト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーに改称しました。なお、ト・カロンはギリシャ語で「最高の美」という意味です。

ロバート・モンダヴィが家族と経営していたチャールズ・クリュッグでもト・カロンのぶどうを使っていましたが、なんといってもその名前が知られるようになったのはロバート・モンダヴィが購入してからです。当初は樽熟成したソーヴィニヨン・ブランに「フュメ・ブラン」という名前を付けたものが大ヒットしましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンのフラッグシップもト・カロンのぶどうで作られました。

今、ト・カロンと名前の付く畑は、このモンダヴィが買った畑(一部はオーパス・ワン所有になっています)と、かつてボーリュー・ヴィンヤードが持っていた畑を、アンディ・ベクストファーが購入した「ベクストファー・ト・カロン」の2つしかありません。

このベクストファー・ト・カロンを有名にしたのがシュレーダー・セラーズ。一つの畑からクローンの違いによって複数のワインを作り、そのどれもが極めて高い評価を得ました。

ロバート・モンダヴィもシュレーダーも現在は、コンステレーション・ブランズの傘下に入っています。そして、コンステレーション・ブランズがト・カロン・ヴィンヤードで最高のワインを作るべく、著名ワインメーカーのアンディ・エリクソンを呼んで始めたのが、かつてのハミルトン・クラブのワイナリー名から取ったト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーです。

ロバート・モンダヴィの醸造責任者はジェネヴィエーヴ・ジェンセンズ。長らくモンダヴィに勤め、ト・カロンについても知り尽くしています。一方。シュレーダーのトーマス・リヴァース・ブラウンは、シュレーダーでのワインが大評判になって今では40社を超える畑のブドウを扱っている天才ワインメーカー。この二人に前述のアンディ・エリクソンが話し合って、ト・カロンの中で誰がどこを使うのか決めているのだそう(この話は初耳でした)。

今回はこの3つのワイナリーから2種ずつのワインを試飲しました。なお、以下の試飲コメントには自身の感想に、森覚ソムリエのコメントを一部取り入れさせていただいています。


最初のワインはモンダヴィのフュメ・ブラン2019です。ト・カロンのソーヴィニヨン・ブランといえば、1945年に植えられた「iブロック(i-block)」が有名ですが、iブロックは生産量が少なくて現在はごく少量のiブロックの名を冠したワインだけに使われているそうです。ただ、それで通常のフュメ・ブランの価値が下がるわけではなく、こちらもト・カロンの中で最高のブロックと言われている「モナストリー・ブロック」のブドウだけを使っています。2%だけセミヨンも使われています。

柑橘類に白い花、ヘーゼルナッツ、イーストっぽさがあるのはシュール・リーで熟成しているためでしょうか。酸がとてもきれいで伸びがあり、後味には石やミネラルの風味が味全体を引き締めています。

2本目はモンダヴィのト・カロン・ヴィンヤード・カベルネ・ソーヴィニヨン2018。モンダヴィのフラッグシップのワインです。93%カベルネ・ソーヴィニヨンで5%カベルネ・フラン、2%プティ・ヴェルドが入っています。

色は濃いですが、赤ワインの中ではそれでも一番薄いくらいです。杉の香りが顕著。ミントやブラックベリー。カシス。柔らかさがありますが、酸が豊かなのも特徴です。乳酸ぽい柔らかな雰囲気もあります。ハーブやチョコレート。モカの風味も。そしてタンニンがしっかりしていますが、全体に溶け込んだ印象です。

モンダヴィのワイン造りのコンセプトは「重くなく力強い」だそうですが、まさにこれを体現したワイン。これまで何度も飲んだことがあるワインではありますが、そのバランスの良さにはいつも驚かされます。

ちなみにこれも上記の「モナストリー・ブロック」のブドウだけを使っておりカベルネ・ソーヴィニヨンのクローンは「ヘリテージ・クローン」という手のひらの半分くらいしかない小さな房で凝縮感のある味わいになるクローンを使っています。

3本目と4本目はト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのワイン。ワインメーカーのアンディ・エリクソンはサンフランシスコで広告の仕事をしていましたが、ワインに魅せられ、アルゼンチンでワイン造りをしていたところ、ポール・ホブスに出会ってカリフォルニアで活躍するようになります。スクリーミング・イーグルの2代目ワインメーカーだったのは有名な話ですが、ハーランやスタッグリン、ダラ・ヴァレなどそうそうたるワイナリーで働きます。近年はマヤカマスのワインメーカーとしてその再生に貢献したことでも知られています。

ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは2016年が初ヴィンテージという若いワイナリー。今回は2018年に新たに追加されたカベルネ・フランの比率を上げたカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンド「エリザズ・キュヴェ」と、ここのメインのワインである「ハイエスト・ビューティ」カベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。ヴィンテージはいずれも2018。

エリザ(イライザ)ズ・キュヴェは、ハミルトン・クラブに地所を売ってト・カロン拡張に力を貸した「エリザ・ヨント」にちなんだもの。カベルネ・フランがその地所の一部に植えられています。名前でわかるように、ヨントヴィルの街を作ったジョージ・ヨントの未亡人です。ちなみにジョージ・ヨントは生涯で2回結婚していますが、ふたりとも名前が「Eliza」だったとのこと。

ミントのようなすっきりした風味。ラベンダーやすみれの花の香り、レッド・チェリーなどの赤果実の風味にカシスなどの黒果実の味わい。骨格がしっかりしているのですが、タンニンがとにかくシルキー。これは今まで飲んだカベルネ・フラン系のワインの中でも間違いなくトップクラスです。

ちょっと余談ですが、とあるワインショップの方と話をしていて、その方もこのエリザズ・キュヴェが大好きなのだそうですが、なかなかカベルネ・フラン・ベースのワインは売れないそうです。個人的に思うのは、多くの人がカベルネ・フランとしてイメージするのはシノンなどのちょっと青臭い味がするもの。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると格下のブドウと感じているのではないでしょうか。カリフォルニア、特にナパのカベルネ・フランは完熟するので青さはありません。パワフルになりすぎることもあるカベルネ・ソーヴィニヨンと比べて、赤果実系の風味や酸が残って非常にエレガントな味わいになります。カベルネ・フランだけだと少し線が細くなるかもしれませんが、このエリザズ・キュヴェ(ダラ・ヴァレのマヤやコンティニュアムなども含め)はカベルネ・ソーヴィニヨンも相当に入っているので、ボディの力強さも失われていません。もっとこの美味しさを多くの人に知ってほしいと感じています。

余談が長くなりましたが、この日の素晴らしいワインの中でも白眉の一つでした。

そして4本目はハイエスト・ビューティ。ト・カロンの名前を英語にしたワインです。グラファイトや石のニュアンスを感じます。ブラックベリー、ハーブ。非常にパワフルでタンニンもしっかりしています(これも溶け込んでいますが)。今飲んでも美味しいですが、今回のワインの中では一番熟成向けに感じました。

最後はシュレーダー・セラーズからベクストファー・ト・カロンのブドウを使った2本です。

シュレーダーと、ワインメーカーのトーマス・リヴァース・ブラウンについては下の2記事に詳しく書いているので、今回は省略します。
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(前編)
トーマス・リヴァース・ブラウンの凄さの一端に触れ、まさに「天才」だと思った話(後編)

シュレーダーからはRBSカベルネ・ソーヴィニヨン2019とオールド・スパーキー・カベルネ・ソーヴィニヨン2019の2本を試飲しました。

RBSはクローン337という比較的早熟でフルーツ感の強いクローンだけを使ったカベルネ・ソーヴィニヨン。第一印象はフルーツの風味の強さ。レッド・チェリーやブルーベリー。杉やタールのようなアクセントもあります。タンニンはあまり感じず非常にスムーズ。ジューシーでなめらかなワインです。

オールド・スパーキーはマグナム・ボトルしか作られないシュレーダーのフラッグシップ。私も今回初めて試飲しました。クローン4、6、337のブレンド。クローン4はタンニンが強く、クローン6はアーシーな風味を与えてくれるとのこと。

グラファイトやロースト、チョコの風味がありRBSよりタンニンがしっかりしていますが、やはりしなやかな味わいは共通です。無茶苦茶濃いけど、シルキーでスムーズ。超高級ブドウジュースを飲んでいるという感じです。RBSもそうですが、食事に合わせるというよりもこのワインだけをじっくりと味わってみたい、そう感じるワインです。森ソムリエは「ラフィットを飲んだときの感覚に似ている」と言っていました。

ト・カロンの素晴らしさは今さら私が言うまでもないですが、今回はロバート・モンダヴィ、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー、シュレーダーの3社3様の素晴らしさもわかり、とても勉強になりました。




Date: 2022/1011 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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UCデーヴィスで、地球温暖化と乾燥の進行に耐えられるブドウの仕立て方を研究した結果が発表されました(Frontiers | Adapting wine grape production to climate change through canopy architecture manipulation and irrigation in warm climates)。

現在、高級なワインで多く使われているのがVSP(Vertical Shoot Positioning)という仕立て方。ブドウのシュート(その年に伸ばす枝)を垂直に誘引し、その下側にブドウの房が来るようにします。ブドウの房の風通しがよく、日当たりもよく、作業や管理が楽といったメリットがあります。

ただ、これから温暖化が進行することを考えるとどんな仕立て方がいいでしょうか。

VSPはブドウの房が地面に近く、輻射熱を受ける上に、日光も直接当たるために温暖で乾燥した気候がこれまで以上に進むと、良くないと考えられています。

そこで、UCデーヴィスではいくつかの仕立て方を試してみました。


その結果、図の「E」に相当する「Single High Wire」が一番、暑さや乾燥に強いということがわかりました。

時間がなくて詳しく読めていないのですが、関心ある方はぜひ原文をお読みください。
Date: 2022/1009 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、オンラインワイン会でマリエッタのオールド・ヴァイン・レッド(OVR)ロット73を飲みました。

ノンヴィンテージで実際に複数ヴィンテージのブドウをブレンドしているこのワイン、詳しいデータは出ていませんが、ソノマとメンドシーノの自社畑の古木のジンファンデルを中心としてシラー、プティ・シラー、カリニャン、バルベーラが入っているそうです。

ソフトな味わいで、複雑さやブラックペッパーなどのスパイス感もあり、非常にバランスよく、よくできているワインです。これで2500円しないのはかなりのコスパです。




オンラインワイン会のメンバーも同じワインを飲んでいたわけですが、多くのメンバーが「こういうジンファンデルは飲んだことがない」というわけです。

これまで飲んできたジンファンデルは「果実味バーンという感じ」でそんなに好きではなかったとのこと。料理もバーベキューの甘いソースくらいにしか合わないと。

確かに、安価なジンファンデルになると、そういう傾向はあると思います。そういう味を求めている人がジンファンデルを選んでいるという面もあるでしょう。

なので、オンラインワイン会のときには「2000円以下ではいいのは難しいから2000円以上で探すのがいいのでは」と言いましたが、探せば2000円以下でもよくできたものもないわけではありません。というわけで以下ではそういうものをいくつか紹介します。

アイアンストーンはジャミーではあるけど、バランスの良さが感じられます。


OZV(オーズィーヴィー)のジンファンデルも古木の複雑さもある優秀なワイン


ナーリーヘッドは、ワイナリーの名前やラベルデザインが、ジンファンデルの古木のネジ曲がった枝を表しています。文字通りジンファンデルを得意としています。


ボーグルはコスパワインを数多く作っていますが中でもジンファンデルは得意です。


クラインもジンファンデルが得意でコスパ高いワインを作っています


ちょっと価格オーバーですが、ベッドロックが作る一番カジュアルなワイン「シェバング」。ジンファンデルだけでなくさまざまなブドウをごちゃまぜにブレンドして作っている面白いワインで、ジャンシス・ロビンソンもほめています。


ピーチーキャニオンのインクレディブル・レッド。前に紹介したことがありますが、すごくよくできているしコスパ高いです。


とりあえず、このあたりから試していただけるといいのではないかと思います。
Date: 2022/1007 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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大谷選手がついに打者の指定打席数、投手の規定投球回数の両方に到達しましたね。並の成績ならともかく、打者としても投手としてもトップクラスの成績なのですから一人で一流選手二人分の働きをしているわけで、控えめに言ってもすごすぎます。来季は移籍するんじゃないかと思っていましたが、1年契約で残留。移籍するにしても西海岸には残ってほしいなあと思っていたので、個人的にもほっとしています。

そんなこんなで大詰めのMLBですが、MLB公認のワインというのがあり、エンゼルスのワインもあります。


輸入元はワイン・トゥ・スタイルですが、今のカタログには掲載されていないので、今の在庫で最後かもしれません。
大谷選手の前代未聞の記録を祝うためにいかがでしょうか。

こんなセットもあります。


Date: 2022/1005 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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かのロマネ・コンティを有するDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)はルロワ家とド・ヴィレーヌ家の共同所有となっています。そのド・ヴィレーヌ家の当主を長年勤め、今年引退したのがオベール・ド・ヴィレーヌです。この人は、かのパリスの審判で審査員の一人でもあったのですが、それは置いておいて、実は奥さんはアメリカ人で、ナパのハイド・ヴィンヤードを作ったラリー・ハイドのいとこです。

そういった縁で、ド・ヴィレーヌ家とハイド家の共同ワイナリーとして2000年に始まったのが「ハイド・ド・ヴィレーヌ(HdV)」です。

ハイド・ヴィンヤードはカリフォルニアでも最高級のシャルドネやピノ・ノワールの畑を有しています。しかも、そのピノ・ノワールは「カレラ・クローン」。DRCから持ってきたと言われているカレラのブドウからのカッティングです。好事家としては、カレラ(Calera)の代名詞でもある「カリフォルニアのロマネ・コンティ」のお株を奪う本家の「カリフォルニア版ロマネ・コンティ」を期待したわけですが、当初はピノ・ノワールは作らず、シャルドネとメルローなどのレッド・ブレンドを作っていました。

ようやく2012年に初めて作ったのが「イザベル(Ysabel)」というピノ・ノワール。実は「神の雫」(正確には「マリアージュ~神の雫最終章~」)でも取り上げられているワインです。


このピノ・ノワール、ソノマ・マウンテンにあるVan der Kamp(ファン・デル・カンプ)の畑のブドウを使っています。漫画のセリフに「ソノマ・マウンテンのハイド家」とあるのは、畑の場所がハイドだと思ってしまったのでしょうか。

ともかくHydeのブドウでなかったのはちょっと肩透かしでもありましたが、2014年にはジェームズ・サックリングが97点をつけるなど、品質は優れていました。

その後、本命とも言えるハイドのピノ・ノワール「Ygnacia」も作るようになり、結局「イザベル」は2018年で打ち切りとなってしまいました。

と、前置きが長くなりすぎましたが、イザベル打ち切りで、日本の輸入元が売りつくしに入っており、しあわせワイン倶楽部で2017年と2018年がセールになっています。輸入元希望価格の2万3650円が26%オフで1万7380円。昨今のブルゴーニュ高騰を考えたら、ド・ヴィレーヌが作るワインがこの値段というのは「安すぎる」といってもいいかもしれません。なお、ジェームズ・サックリングは2017年に96点、2018年に94点を付けています。




Date: 2022/1004 Category: 業界ニュース
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Spring Mountain Vineyard
ナパのスプリング・マウンテンにあるスプリング・マウンテン・ヴィンヤード(Spring Mountain Vineyard)が日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)を9月29日付けで申請したことが判明しました。負債は1億~5億ドル、資産も1億~5億ドルとしています。

スプリング・マウンテン・ヴィンヤードは4つのワイナリーが融合してできたワイナリー。1992年にミラヴァル(Miravalle)エステートからスプリング・マウンテン・ヴィンヤードに名称を変えました。1980年代には「ファルコン・クレスト」というテレビ番組のロケ地として使われたことでも有名です。

2020年のグラス・ファイアー(Glass Fire)で畑の28%のブドウをや16個の建物、ワイナリー設備などが失われました。


そこからの再建を図っていましたが、コロナ禍なども影響して思うように立ち直れなかったようです。また、グラス・ファイアーの補償金を巡る保険会社との裁判に負けたことで(3500万ドルの補償を求めたが、1000万ドル上限という条項が付されていた)、チャプター11申請を決意したようです。

個人的にはナパ・ツアーで訪問したワイナリーの一つでもあり、すばらしい「山カベ」を作るワイナリーとしても尊敬の念を持っていました。とても残念です。
Date: 2022/1002 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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encore
ナパ・ヴァレーのワインを小売店や飲食店で気軽に楽しめる「ナパワイン・アンコールフェア2022」が10月1日から11月30日まで開催されています(ナパワインを気軽に楽しめるフェアがスタート 10月1日(土)から2か月開催 | ナパヴァレー・ヴィントナーズ)。

小売店では全国に27店舗あるヴィノスやまざきほか、西馬込のイルドコリンヌ、大阪のWassy's、オンライン専業のしあわせワイン倶楽部、広島の吉徳屋が参加。4種類以上のナパワインを扱っています。

飲食店では、北は北海道から南は福岡まで29店舗でナパのワインをグラス売りしています。

フェアのワインを飲んだ方はぜひ
#ナパワインで乾杯
#ナパワインフェア2022
のハッシュタグを付けて、SNSでシェアしてください。
Date: 2022/0930 Category: おすすめワイン
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今、日本で一番人気が高いカリフォルニアワインは689(シックス・エイト・ナイン)ではないかと思います。楽天のアメリカワインのランキングでも、いつも上位に入っています。

実は689セラーズでは689以外のワインも作っています。


中でも「サブミッション(Submission)」のワインは689よりも価格も少し安く、いろいろな意味でお薦めです。



今回、サブミッションを輸入しているアイコニックワイン・ジャパンの試飲会に689セラーズのワインメーカーであるカーティス・マクブライドさんが来ていたので、689との違いなどの話を聞きました。

689のブランドでは「レッドブレンド」と「ホワイトブレンド」の2つのワインだけを作っています。ナパの優れたブドウで親しみやすいワインを作るというのがコンセプト。そのため、残糖とまでは言いませんが、オフドライでちょっと甘みを感じる作りになっています。ボトル1本を開けるというより「2杯くらいを美味しく飲む」というイメージで作っているとのこと。

それに対して、サブミッションではその品種らしい味わいを求めています。ピノはピノらしく、カベルネ・ソーヴィニヨンはカベルネ・ソーヴィニヨンらしく。親しみやすさでは689が勝りますが、ワイン好きの人にとってはサブミッションの味わいの方がいい、ということも少なからずありそうです。また、689はナパにこだわっていますが、サブミッションではAVAにはこだわらず、どれも「カリフォルニア」となっています。

今回、サブミッションが作っている5種を全部試飲しました。

ロゼはグルナッシュ50%、シラー40%、ムールヴェードル10%。爽やかですがコクもあり、エレガント。華やかさもありいいロゼです。
シャルドネは柑橘やフルーツの味わいと酸がきれい。爽やかでほどよく樽も効いています。ちなみに25%新樽で後はステンレスタンク熟成です。
ピノ・ノワールはベリー系の味わいがチャーミング。ふくよかですが甘い感じではなくバランスの良さがいい感じです。モントレー、ソノマ、メンドシーノのブドウを使っているとのこと。
カベルネ・ソーヴィニヨンは果実味豊かでストラクチャーもあります。甘やかさよりも芯の通った味わいのイメージ。ナパだけでなく、ソノマ、ローダイ、メンドシーノのブドウを使っています。
レッドブレンドはジンファンデル46%、グルナッシュ28%、マルベック19%、プティ・シラー7%。これは一番689に似ています。豊かなボディで甘やかさがあります。

これくらいの価格のワインはボリューム感を出すためにアルコール度数を高めに作っていることが多く、確かにサブミッションでもレッドブレンドやカベルネ・ソーヴィニヨンは14.5%ありますが、シャルドネやピノ・ノワール、ロゼは13.5%とそこまで高くしていません。このあたりにもこの3つはバランスを重視して作っている感じがあります。

というわけで689感を求めるならレッド・ブレンド、そうでなければ他のワイン、特にピノ・ノワールとシャルドネとロゼを飲んでみてほしいと思います。

実はアイコニックワイン・ジャパンではサブミッション以外に689セラーズが作る「ラッキードロー」「キラードロップ」というワインも扱っています。ラッキードローはストラクチャーのしっかりしたカベルネ・ソーヴィニヨン。キラードロップはちょっとおりんスイフトを意識したかのようなラベルが印象的なレッドブレンド。

こちらも良いワインですが、まずは希望小売価格2500円と求めやすいサブミッションから試すのをお薦めします。

ロゼ以外の4種と689の赤の入ったセット、いいですね。柳屋です。


サブミッション3種とキラードロップのセット。キラードロップは4000円しますから、結構お安いです。ベストワイン輸入販売大人の至高屋


ロゼは今のところ単体のみです。ベストワイン輸入販売大人の至高屋


Date: 2022/0929 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブリュワー・クリフトン(Brewer-Clifton)やダイアトム(Diatom)のワインメーカーとして知られるグレッグ・ブリュワーが、杉本隆英・美代子夫妻のブランド「シャトー・イガイタカハ(Ch.Igai Takaha)」創設以来続けていた「漢字ワイン」のワインメーカーを退任しました。

グレッグ・ブリュワーは1995年にスティーブ・クリフトンとブリュワー・クリフトンを設立。サンタ・リタ・ヒルズ(当時はまだAVA設立前)の様々な畑から、すべて同じレシピでシャルドネとピノ・ノワールを作るというテロワールを表現したワイン造りを行い、大人気となりました。また、ダイアトムでは樽熟成をしないシャルドネに特化して独自のワインを作りました。

2004年には杉本夫妻が東京の麻布十番に持っていたレストラン「カリフォルニアワインガーデン」でブリュワー・クリフトンのワインメーカーディナーを開き、以来夫妻とグレッグ、スティーブとの交友が続きました。
復刻:2004年のBrewer-Cliftonワイン会実録

2006年には杉本夫妻がグレッグにに「ダイアトムを樽熟成させたら、より和食に合う美しいワインになるのでは?」と提案し、それに賛同したグレッグがニュートラルな樽を使った「Samurai Beauty」を作り、「シャトー・イガイタカハ」のワインとしてリリースしました。このワインがワイン・アドヴォケイトで95点という高評価を得て一躍注目を集めました。
Ch. Igai Takaha "Samurai Beauty"についてのRAQ

これをきっかけに2010年ヴィンテージからはダイアトムの5つのワインに杉本美代子さんの書による「漢字ラベル」を採用して絆は深まっていきました。このダイアトム時代の漢字ワインは漫画『神の雫』にも取り上げられています。
今週の「神の雫」にDiatomの「波紋」が登場
神の雫のダイアトム続編

さらにシャトー・イガイタカハでもシャルドネの「侍」、ピノ・ノワールの「園」という2つのフラッグシップのワインをグレッグが作るようになりました。その後、グレッグは一時的にダイアトムをやめることになり、「シャトー・イガイタカハ」ブランドで、5つの漢字ワインも引き継ぐことになりました。こうして、シャトー・イガイタカハの漢字ワインはグレッグの手により作られてきました。2016年からは「園」がJALの国際線ファーストクラスのワインに採用され、今も使われ続けています。

2017年にはブリュワー・クリフトンをジャクソン・ファミリーが買収。それ以来、漢字ワインは「侍」と「園」の2つに絞ることになりました。また2020年にはグレッグがワイン・エンスージアストのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。非常に喜ばしいことでしたが、グレッグのジャクソン・ファミリーにおける重要さが増したことで、他社向けのワインを作るのが難しくなったということもあるようです。

「侍」と「園」は2022年のヴィンテージ以降はバブコックなどで修行したケネス・ガミア(Kenneth Gummere)氏が担当します。2011年からシャトー・イガイタカハにも携わっている優秀なワインメーカーです。

また、花偲・美夜・風音・鼓動の4種の漢字ワインについては、著名なポール・ラトー(Paul Lato)氏がワインメーカーに就任。「カリフォルニアのテロワールを表現する。産地を限定することなく、カリフォルニアの多様性を感じられる自由な発想と更なる進化を
目指したワイン造りを行う」としています。
イガイタカハ
2022年11月にはポール・ラトー氏による新たな漢字ワインの出荷が始まる予定です。

長く続いてきた杉本夫妻とグレッグのビジネス上の絆が、切れてしまうのは残念ですが、グレッグは日本の文化にも造詣が深く、きっとこれからも日本のことを大事に思ってくれるでしょう。それに友人としての絆は今後も続いていくと思います。また、新たなワインメーカーも才人ばかり。今後のワインにも大変期待ができます。

今後のシャトー・イガイタカハにもますます期待したいと思います。
Date: 2022/0928 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2022年9月15~17日、ソノマ郡のチャリティ・オークションが開催されました。

過去の落札額は2014年が400万ドル、2015年が450万ドル、2016年が470万ドル、2017年が520万ドル、2018年が570万ドル、2019年が610万ドルと増えていっていましたが、2020年はオンライン開催で117万ドル。2021年は170万ドルを超える落札額、今年は2021年をわずかに上回る180万ドルでの落札となりました。収益は400を超えるソノマのノンプロフィットに分けられます。

オークションでは特別なワイン醸造業者とシェフが表彰されます。今年はデローチやブエナビスタなど、カリフォルニアで20のワイン ブランドのオーナーであるヴィントナー賞受賞者のジャン-シャルル ボワセに贈られました。名誉シェフのダスティン・ヴァレットは、ヴァレット(Valette)とヒールズバーグのマセソン(Matheson)での革新的な料理で選ばれました。
Date: 2022/0927 Category: おすすめワイン
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ナパの超一流ワイナリー「コルギン(Colgin)」から、初のエントリー向けワインが日本国内にわずかながら入ってきています。

コルギンのワインのラインアップは、自社畑でワイナリーのあるプリチャード・ヒルのIX Estate(ナンバー・ナイン・エステート)からのレッドワイン(ボルドー系ブレンド)とシラー、セント・ヘレナにある自社畑のティクソン・ヒル(Tychson Hill)のカベルネ・ソーヴィニヨン、コルギンのヴィンヤード・マネージャーであるデイビッド・エイブリューがセント・ヘレナに持つマドローナ・ランチなどの畑からのレッドワイン「カリアド(Cariad)」の4ワイン。

ハーランならザ・メイデン、ボンドならメイトリアーク、スクリーミング・イーグルならザ・フライト、オーパス・ワンならオーヴァチュア、スケアクロウならムッシュ・エタンなど、超高級ワインのワイナリーはセカンドワインあるいはセカンドと呼ばないにしてもエントリー向けのワインを持つことがほとんどです。

フラッグシップのワインに厳選したブドウを使うために格落ちのものをセカンドにするとか、植え替えによる若木のブドウを多少早飲みタイプに仕上げてエントリー向けにするなど、理由ややり方はワイナリーによって少しずつ違いますが、フラッグシップに摘んだすべてのブドウを使うことはないでしょうから、多かれ少なかれ残ったブドウで別のワインを作るのは当たり前といえば当たり前のことです。

コルギンも実は2016年のヴィンテージから、ボルドー系の3つのワインから早飲みタイプの樽を集めたジュビレーション(Jubilation)というワインを作っていたそうです。米国内では多少流通があるようですが、日本への出荷は2019ヴィンテージが初。それ以外はカナダのトロントにしか出していないとか。

ちなみにジュビレーションとは「祝祭」という意味。故エリザベス女王の即位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」が今年行われましたが、このJubilee(記念祭)と語源は同じだそうです。国内価格の5万円はファースト各種の約10万円のほぼ半額。コルギンのフルボディだけどエレガントな雰囲気をこの値段で味わえるのなら悪くないと思います。

ココスです。


Wassy'sです。


しあわせワイン倶楽部です。


なお、コルギンはIX Estateの近くに新たな土地を取得し、2020~2021年にかけて植樹したそうです。ここからのブドウも最初はジュビレーションに使われるでしょう。そうなると少し入荷も増えるかもしれませんね。
Date: 2022/0926 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワインマンスのイベントで、9月24日、25日は青山のファーマーズマーケットに「カリフォルニアワイントラック」が登場しました。


24日は、ちょうどすぐ近くのアカデミー・デュ・ヴァンで「Capstone」の授業があったので、その後に行ってきました。
ワイントラックでは12種類のワインが1杯500円というオトクな値段で飲めました。さらに、人気ハンバーガーチェーン「カールズJr」の
ハンバーガーのトラックも。久しぶりに食べたカールズJrは美味しかった。


今年のカリフォルニアワイン協会のテーマはローダイなので、ローダイのワインをいただきました。

Old Soulのプティ・シラー。プティ・シラーらしい甘やかさと芳醇さがあります。濃い甘系が好きな人にはお薦め。

Ironstoneのカベルネ・フラン。ローダイのフランは珍しいですね。

25日にはTwitterで募集していた人気投票の結果も発表されました。

1位になった2つのワインはなんと無料で飲ませてもらえるという大盤振る舞い。

「ジャケ買い」1位のジャガーナットは僕も初めて飲みました。コスパワインで知られるボーグル(Bogle)の限定フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨンです。相当濃い系なんだろうと想像していたのですが、とてもバランスよく飲みやすい。プラスチックカップでも、その美味しさがしっかり伝わりました。さすがボーグル、上手に作るなあと、感心しました。
「飲みたい」1位のオー・ボン・クリマ「椿ラベル」ピノ・ノワールはまさにど定番ですね。カリピノとしてはエレガント系ですが、これも毎年安定した味わいで、その人気の高さがうかがえます。

24日は台風接近中で、時間帯によってはかなりの雨だったようですが(僕が立ち寄った時間はラッキーなことにやんでいました)、25日はカリフォルニアのような陽気。爽やかなワインも飲みたくなり、アルバリーニョとロゼも飲みました。


カリフォルニアでアルバリーニョ? と思うかもしれませんが、アルバリーニョは近年注目が高まっている品種です。冷涼地域も面白いですが、案外ローダイのような温暖なところのものも美味しいです。アルバリーニョは気温が高くても酸が落ちにくいとのことで、このワインもしっかりと酸があり爽やか。
ロゼはジンファンデルではなく「プリミティーヴォ」と書かれています。ジンファンデルのロゼだと、ちょい甘の「ホワイト・ジンファンデル」と間違えられるからかなあなどと思ったのですが、どうなのでしょうね。

ワイントラック楽しいイベントだったので、来年も続いてほしいものです。

ボーグルのジャガーナットのカベルネ・ソーヴィニヨン。


「クリンカー・ブリック(Klinker Brick)」のアルバリーニョ。

Date: 2022/0924 Category: 業界ニュース
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ナパのクロ・デュ・ヴァル(Clos du Val)の初代ワインメーカーであるベルナール・ポーテ氏が創業者の孫で現社長のオラフ・ゴレ氏と来日し、大阪のアカデミー・デュ・ヴァンでセミナーを開きます。

大阪校 鷲谷講師ナビゲーター 生産者来日セミナー クロ・デュ・ヴァル社 ~ワイナリー設立50周年の記念と日本への感謝を込めて~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン
10/10 (月) 開講クラス 月曜日 14:30~16:30 16,500円

試飲のワインは以下の4種
Clos Du Val Cabernet Sauvignon Red Blend 5,000円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 2019 7,200円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 2002 22,000円(参考上代)
Clos Du Val Cabernet Sauvignon 1982 (参考上代なし)

1982年のワインは、このセミナーのために持参してくるもの。現在では手に入れるのも極端に難しいワインです。

クロ・デュ・ヴァルは1972年に設立され、1976年のパリスの審判にも赤ワインの一つとして選ばれた有名ワイナリー。スタッグス・リープでクラシカルなスタイルのワインを作り続けています。ベルナール・ポーテ氏はその最初のワインメーカーです。

なお、参加者のみの特典として、以下のセット(45万円、3セット限定)の購入権があります。
=セット内容=
1979 CABERNET SAUVIGNON - RESERVE
1982 CABERNET SAUVIGNON
1993 CABERNET SAUVIGNON - RESERVE
2008 CABERNET SAUVIGNON - SLD
2015 CABERNET SAUVIGNON -HIRONDELLE
2019 YETTALIL

Date: 2022/0922 Category: 業界ニュース
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シルヴァー・オークの樽で熟成した日本ウイスキー

の続きで、シルヴァー・オーク(Silver Oak)の試飲について書いておきます。

発表会では「イチローズモルト 秩父 シルヴァー オーク カスク フィニッシュ 2022」と同梱されるシルヴァー・オーク ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2015なども試飲しました。



前の記事でも記したように、シルヴァー・オークの最大の特徴は、アメリカン・オークの樽で熟成すること。ボトルに詰める前の樽の熟成期間も、他のワイナリーより1~3年ほど長くなっています。より良い樽を手に入れるため、自社で樽会社を持っているのもユニークです。

試飲はまずはシルヴァー・オークの兄弟ワイナリーであるトゥミー(Twomey)から。ソーヴィニヨン・ブラン2019とピノ・ノワール ロシアンリバー・ヴァレー2019です。

ソーヴィニヨン・ブランは樽を使わない軽快なタイプ。熟したグレープフルーツなどの柑橘系の風味が豊かです。

ピノ・ノワールは香り高く、甘やかさがあります。レッド・チェリーやレッド・ベリーなどの赤系果実の風味がチャーミングです。酸もしっかりしており、全体に風味豊かで美味しいです。

シルヴァー・オーク カベルネ・ソーヴィニヨン アレキサンダー・ヴァレー 2017はシルヴァー・オークが2つ作るカベルネ・ソーヴィニヨンのうち、やや早熟タイプになります。カベルネ・ソーヴィニヨンとしては明るい色あいで濃厚というよりバランスの良さを感じます。アジアンスパイスの風味がアクセントになって美味しいです。このワインはカリフォルニアワインを飲み始めたころにはまったもの。懐かしい味わいでもあります。

シルヴァー・オーク カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2015は、ストラクチャーがしっかりした熟成タイプのワイン。ナパのワインとしてはそれほど濃厚な作りではなく、リリース直後から飲み頃になっているのもこのワインの特徴です。

これは安いです(ヴィンテージは試飲したものと違います)。







いつも安定した味わいのワインを提供できるというのもさすがの実力です。
Date: 2022/0921 Category: 業界ニュース
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EUが今年以降のワインから、イタリア外でラベルに「Vermentino」と記すのを禁止したことで波紋が広がっています。

このルールを提案したのはイタリアで、DOCG「Vermentino di Sardina」に名前が使われていることから、他国での使用を禁止するようルール作りを依頼しました。それが認められ、今年から使えなくなったわけです。Vermentinoの栽培面積はイタリアよりもフランスの方が広いのですが、ラングドックなどの生産者は名前の使用が禁止されたことで困惑が広がっているようです。

実はフランスではVermentinoのシノニムとしてRolleという名称があるのですが、「キャッチーでない」という理由であまり使われていません。今回のルールには横暴と考えている人も多そうです。


カリフォルニアもルールと無縁ではなく、パソ・ロブレスのタブラス・クリークではヴェルメンティーノを栽培し、その名前でワインを売っています。ナパのマサイアソンもヴェルメンティーノを作っており、国内でも販売しています。ほかにもいくつか例があるようです。


また、オーストラリアでは数十のプロデューサーがヴェルメンティーノを作っており、現在対策を協議しているとのこと。

似たような例では「Prosecco」があります。品種名としてもワインの名前としても使われていたところ、名前を保護するために品種名を「Glera」に代えて他国での「Prosecco」の使用を禁止しました。オーストラリアではこの問題とも戦っている最中だそうです。

この問題を記事にしたワイン・サーチャーのWブレイク・グレイ氏は、「将来はシャルドネといった名前も使えなくなるのではないか」と警鐘を鳴らしています。

名前を守ることが大事なのはわかりますが、品種名に適用するのはなんだかなあと思います。
Date: 2022/0920 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シルヴァー・オーク(Silver Oak)と、秩父に蒸溜所を持つウイスキーメーカー「ベンチャーウイスキー」がコラボレーションして作ったウイスキー「イチローズモルト 秩父 シルヴァー オーク カスク フィニッシュ 2022」をJALUXが発売します。シルヴァー・オークのナパ・カベルネ・ソーヴィニヨン2015とのセットで11万円。10月発売予定です。

イチローズモルトは2018年にはオークションで1億円近い価格で落札されて注目を浴びたウイスキー。社長の肥土伊知郎氏は元々江戸時代初期から続く造り酒屋の家に生まれた人。この酒造所では戦後はウイスキーの製造もしていたがウイスキー衰退の波に抗えず、2004年には人手に渡ることになりました。

このときに廃棄を命じられた2000樽のウイスキーの在庫を引き取って始めたのがベンチャーウイスキーです。肥土社長は現場を知るために2年間で2000軒ものバーに行ってウイスキーを飲み、少しずつ市場を開拓していきました。そして、前述のように注目を浴びるウイスキーを作るほどになってきたのです。

一方、シルヴァー・オークは今年創設50周年。「Life is a Cabernet」のキャッチフレーズで知られ、アメリカン・オークの樽で熟成した2種類のカベルネ・ソーヴィニヨンだけを作り続けています。その樽のために、自ら樽工場の会社まで持っています。シルヴァー・オークによると自社で樽工場を持つワイナリーはここだけだとのこと。

そのシルヴァー・オークでワインの熟成に使った樽をウイスキーの「フィニッシュ」に使ったというのが今回のウイスキーです。肥土社長によると「朝の針葉樹を思わせるような爽やかな印象を与えてくれる」とのこと。確かに焼きりんごのような甘い香りの奥に、す~っと爽やかな味わいが来て、非常に後味がいいウイスキーです。

試飲では開けて1カ月たったというボトルのウイスキーも試しましたが、よりエレガント感が増した味わいでした。

製造量はわずか4樽とのこと。非常に貴重なウイスキーです。

シルヴァー・オークの試飲については別記事で。
Date: 2022/0918 Category: テイスティング・ノート
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ちょっと前のこと、質問箱にこんな質問をいただきました。うーん、と考えた結果送った回答がこれ。
ニンニクのパンチがありますから、それを受け止める強さがあるワインが良さそうに思います。赤身ということでロンバウアーのシャルドネやモンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブのような樽の効いたタイプの白が合いそうな気がします。赤ならばダックホーンのメルローとかでどうでしょうか。後はソノマ・コーストのちょっとダークなフルーツ感のあるピノ・ノワール、例えばハーシュあたりを試してみたい気もします(ちょっと冒険ですが)。
質問箱は匿名なのでどなたが質問されたのかはわからないのですが、Twitterで質問された方から「モンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブを買ったので一緒に試してみませんか」とお誘いを受け、まだお会いしたことはない方でしたが、それまでも何回かやり取りはしていたので、一緒に食事にいったのでした。


肉だから赤と考えてしまうところですが、馬刺しは肉の味自体は割とさっぱりとしているので白の方が合わせやすいかと、そしてニンニクのパンチに樽の風味、と考えたのですが、実はそれ以上に個性的で風味が強いのが馬肉と一緒に仕入れているという熊本の醤油です。九州ならではの甘く少しねっとりとした醤油で、モンダヴィのフュメ・ブランとこの醤油が予想以上によく合い、刺し身の味も引き立てる効果がありました。2013年で少し熟成感が出ているのも良かったのかもしれません。

モンダヴィはワイナリーを作った60年代後半に、それまでカリフォルニアでは甘口のワインくらいしか作られていなかったソーヴィニヨン・ブランでシリアスなワインを作りたいと、樽を効かせて「フュメ・ブラン」(ピュイィ・フュメへのオマージュも含まれています)という名前を付けて売り出し、大ヒットになったのでした。

畑はト・カロン。カベルネ・ソーヴィニヨンならば1本200ドルはくだらないほどの高級ワインを作る畑ですが、ソーヴィニヨンは1945年に植えられた「iブロック」という有名な一角にあります。無灌漑で仕立て用のワイヤーを使わないヘッド・プルーンの仕立て。ブドウは生き延びるために深く根を張り、生産量も自然に生き残れるだけのバランスを取った形になります。


結局それ以外に、私が持っていったニュートンと、もう1本持ってきていただいていたKenzoのAsuka(カベルネ・フラン)も開け、料理もおいしく、話も楽しくちょっと飲みすぎて帰りました(無事に帰宅できましたが)。

お店はこちら。
フレンチ割烹 kamenote (カメノテ) - 八丁堀/フレンチ | 食べログ
Date: 2022/0917 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズは2021年度に引き続き、2022年度に第2回の「NAPA VALLEY WINE EXPERT認定試験」を開催します。ワイン講師向けの「NAPA VALLEY WINE EDUCATOR」、ソムリエやワイン・エキスパートの資格保持者向けの「NAPA VALLEY WINE EXPERT」に加え、資格を持っていない人でも受験できる「NAPA VALLEY WINE ENTHUSIAST」を新たに加えました。

昨年度と同様、EDUCATORとEXPERTについては成績優秀者で二次試験を行い、ベスト・エデュケーター、ベスト・ソムリエ・アンバサダーをそれぞれ一人ずつ選びます。
ベスト・エデュケーター
左から3人めがベスト・エデュケーターに選ばれた四家史一さん

一次試験の開催は2023年1月11日(水)。オンライン形式でどこからでも受験できます。試験に先立ち11月から4回のウェビナーを開催します。

教本も大幅に内容を向上させ、約100ページになっています。重要な畑や人物の一覧やコラムも追加したとのこと。試験中の閲覧も許可することになりました。
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受験セットの締め切りは10月15日ですが、ワインの数に限りがあるので早めの申込をおすすめします。
それ以外の締め切りは12月15日。

詳しくは ナパヴァレー・ワイン・エキスパート認定試験 2023 | ナパヴァレー・ヴィントナーズ

Date: 2022/0916 Category: おすすめワイン
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ポール・ラトー(Paul Lato)のピノ・ノワール・ピゾーニ・ヴィンヤード(Pisoni Vineyard)「ランスロット(Lancelot)」2019が国内に入荷しています。ピゾーニは、山火事による煙の影響で2020年のピノ・ノワールを収穫しなかったので、これを逃すと次の入荷は2年後ということになります。

ピゾーニのピノ・ノワールというと骨太の味わいがトレードマークとなっていますが、ポール・ラトーのランスロットはピゾーニとしてはエレガントな作りのようです。

数あるピゾーニのピノ・ノワールの中でも、ピゾーニ・ヴィンヤーズそのものによる「ピゾーニ、ピゾーニ」を除くといちばん評価が高いのがポール・ラトーと言ってもいいでしょう。2019年はジェブ・ダナックは97点を付けています(ヴィナスはエレガントなスタイルが気に入らなかったようで91点と、ピゾーニにしては低い点数でした)。


Date: 2022/0915 Category: テイスティング・ノート
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先週の土曜日の話になりますが、豪徳寺のワインステーションさんで開かれた「安旨ピノ・ノワール」に参加してきました。

参加者は税込み3000円以下のピノ・ノワールを持参し、ブラインドで試飲して、トップ3のワインに1位=3点、2位=2点、3位=1点で投票。合計点で順位を付けるというものです。

私が持参したのはデコイのピノ・ノワール2020。デコイのピノ・ノワールは親会社のダックホーンがカレラを買収した後、カレラのセントラル・コーストで使っているブドウも使えるようになったため、品質がかなり上がりました。2000円台だとガーネット(外の人が持参していました)とかアルタマリアとかも候補に上がりますが、こういった「訳あり」系はあえて外した洗濯です。

ピノ対決

表の点数は、私が付けたもの。16種類もあると順位を付けるのも大変なので、思い切って点数を付けてしまって順位を決めることにしました。

自分が持参したワインに一番高い点を付けていますが、これはご祝儀点です。銘柄が見えないようにアルミホイルを巻いて持参していますが、ホイルの巻き方で自分が持って行ったのは分かってしまいました。持参したデコイはややタニックで閉じた感じがありました。そのときの状態で評価するなら87から88といったところだったと思います。

それを除くと一番高い点を付けたのは11番の「Pali Huntington Pinot Noir 2017」。これもカリフォルニアです。パリのハンティントンは「アイコニック ワイン・ジャパンの試飲会で美味しかったワイン(2019年春)」など、これまで何回も紹介しているワインで個人的にも非常に高く評価しています。ただ、現在の定価が4400円になっているので、3000円以下で買える候補としては見逃していました。

実は16種類のうち、一番最初に試飲したワインがこれでした。ちょっとそれでいきなり予想した水準よりかなり美味しいワインが来たのでかなりびっくりしたのでした。90点を付けるときも、これ以上美味しいのばかりだったらどうしようとちょっと躊躇したのですが、結果的にはこれを超えたのは個人的にはなかったです。

なお、全体の投票ではこのワインは2位。1位になったのはあいさん持参のブルゴーニュのピノ・ノワールでした。

3位を付けたのは15番のワイン。なんと私が持参したのと全く同じワインです。でも味わいはこちらの方が開いていました。ボトル差の範疇なのか、ショップや輸送の条件などによるものなのかわかりませんが、同じワインとは思いませんでした。

ただ、これも自分のワインよりかなり早くテイスティングしたのですが、味わい的には「自分が持ってきたワインかも」と思ったんです。でもホイルの巻き方が違うので、そんなはずはないと、同じワインと見抜く可能性を自分でつぶしてしまっていました。これわかったらかっこよかったんですけどね。結果的にはこちらのデコイは4位くらいだったと思います(私のは7位か8位かかろうじて半分より上でした)。

なお、より詳しいレポートは安ワイン道場師範のページをご覧ください。
2022年9月:稽古日誌

今買ったらやっぱり3000円超えてしまいますね(しあわせワイン倶楽部)。


ココスです。

Date: 2022/0914 Category: 業界ニュース
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「2 Buck Chuck(2ドルのチャック)」の愛称で知られる「Charles Shaw」などのワインを生み出した、安ワイン界の巨人フレッド・フランジアが亡くなりました。79歳でした(Two Buck Chuck Founder Franzia Dies | Wine-Searcher News & Features)。

Two Buck Chuck

彼が1973年に兄弟やいとことともに作った会社「ブロンコ・ワイン・カンパニー」はワイン・ビジネス・マンスリーによると米国で9番目に大きなワイン会社。近年ではローゼンブラムなどの高級ワイン・ブランドもいくつか買収していますが、それまではForest Glenなどほぼ安ワインに特化して作ってきました。日本ではカルディコーヒーファームで売っている「レッドウッド」がブロンコのワインです。

1980年代から90年代にかけてはNapa Ridge、Napa Creek、Rutherford Vintnersといったブランドを買収し、セントラル・ヴァレーのブドウで作ったワインをこれらのブランドで売ったことから物議を醸しました。その後、これらの地名の入ったブランド名はそのブドウを使っていないといけないことに変わりました。

その裁判の決着後に売り出したのが冒頭に挙げた「Two Buck Chuck」こと「Charles Shaw」。トレーダー・ジョーズだけで売ることでマーケティング費用を省き、ガラス瓶やラベルなども極力安いものを使って作ったワインでした(ある意味SDGsの先駆者でもあります)。地域によって値段は違っていたものの、安いところでは1.99ドルで販売されて大ブームになりました。現在ではさすがに最安でも3ドルとなっていますが、それでもその価格帯では最高のコスパワインと言われています。

Two Buck Chuckが安すぎるとして「どうして水より安く売れるんだ」と聞かれたフレッドが「彼らは水に対して過剰に課金しているんだ、わからないのか?」と言い返したという有名な逸話もあります。

死因については公表されていませんが、セントラル・ヴァレーにあるレッドウッドの自宅で家族に見守られて安らかに亡くなったとのことです。ご冥福をお祈りします。

なお、安ワインのブランドとして知られる「Franzia」はブロンコとは無関係です。フレッド・フランジアの家族が持っていた会社ですが、ブロンコ設立同年の1973年にコカコーラに売却されています(その後、The Wine Groupへ売却)。

もう一つ蛇足を加えると、Franziaを設立したのはテレサ・フランジアという人で、その娘はガロの創設者のアーネスト・ガロと結婚しています。Franzia設立時にアーネストから金を借りたとのこと。
Date: 2022/0913 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にジェームス・ブライアント・ヒル(James Bryant Hill)ピノ・ノワールの2020年が入荷しています。

以前に「1000円台で予想外においしかったピノ・ノワール」で紹介したワインの新ヴィンテージですが、2020年は柳屋によると、より好印象のよう。

葡萄の育ちの良さを感じる、照りのある輝き。
芳醇で密度の高いブラックチェリーや完熟プラムの果実味に適度なボリューム感。
甘味には上品さが、またピノとしては豊富にあるタンニンからのほろ苦味があり、ジャミーな果実との調和が見事。
カリ・ピノにとってジャミーとはあまり良い表現ではない…と受け取られる方もおられるかもしれませんが、このジャミーさは素敵です。
極めて舌触りが滑らかで味わいも多彩。しかも厚みのある旨みが感じられ、いつもの豊満で芳醇なフルーツ旨味はそのままに、甘味自体は’19年より少し抑えられた印象。
そこにシナモンやユーカリ、赤いバラなどが漂い、またアフターに向かって土やしっとりした森の匂いも感じられ、フルーティなだけでなく、今年は複雑味もあります。

このワイン、前の記事でも書いてますが、モントレーでコスパワインといえばここ、というシャイド・ファミリーのブランドの一つです。畑はすべてサスティナブル。有機への転換も図っており、工場のように大量生産で安くしているイメージではありません。

ワイン・サーチャーによる平均価格は15ドルですから現在の為替レートでは税抜きで2000円超。柳屋の税込み1800円台の方がかなり安くなります。

2000円以下のカリフォルニアのピノ・ノワールの中ではぴか一と言っていいでしょう。お薦めです。


Date: 2022/0912 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインマンスのイベントとして、Twitterでの人気投票でワインが当たるキャンペーンが始まっています。投票締切は9月18日。


申し込み方法は簡単。まず「【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報」のアカウントをフォローします。

【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報(@calwines_cp)さん / Twitter

次に「カリフォルニアワイン人気投票」のページから飲みたいワイン、あるいは「ジャケ買い」したいワインを、クリックあるいはタップします。
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すると、次のような画面が開きます。
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これで、「飲んでみたい!」あるいは「ジャケ買いしたい!」をタップ(クリックします)。
それで開いたところからツイートすれば申込み完了です。

キャンペーンの盛り上がりを期待しています(自分も申し込んだので、申込み少ない方が当たる確率は上がりますが)。
Date: 2022/0910 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワイン・アドヴォケイトでマイケル・クルーズにインタビューした記事とワインのレビューが掲載されました。2017年のウルトラマリン(Ultramarine)のロゼに97点と、カリフォルニアのスパークリングでは過去最高のポイントが付いています。

同誌で96点以上の評価を得ているカリフォルニアのスパークリングはわずか10本、マイケル・クルーズのウルトラマリンとクルーズ・ワイン、ベッドロックのモーガン・ピーターソンが作るアンダー・ザ・ワイヤー、それからシュラムスバーグとロデレール・エステートの4つのワイナリーです。ただシュラムスバーグとロデレール・エステートは10年以上前のワインだけであり、現行あるいは現行に近いヴィンテージで高評価を得ているのはマイケル・クルーズとモーガン・ピーターソンだけとスパークリングワインにニューウェーブが来ていることが見て取れます。
アドヴォケイト

この2つに共通するのはシャンパーニュでいうRM(レコルタン・マニピュラン)に近いスタイルであること。従来の複数ヴィンテージのワインをブレンドしていつも同じ味わいになることを目指すというより、そのヴィンテージ、その畑のテロワールをより意識したもにになります。

マイケル・クルーズのウルトラマリンとクルーズ・ワインのスパークリングもそれぞれ独自のアプローチがあるのですが、今回高評価を得たクルーズ・トラディション・ロゼもNVと称しながら実質的には2018年のワインだけで作られています。

ところで、今回のインタビュー記事で初めて知ったのですが、ウルトラマリンはクルーズ・ワインよりも早い2008年に設立されていたようです(インポーターのサイトにはどちらも2013年となっていました)。個人的なイメージとしてはニューカリフォルニア系のワインを軸として、スパークリングもやっていると思っていたのですが、どちらかというとスパークリングが最初から彼の興味の中心であり、スパークリングワインを作ることを念頭にさまざまなサイトを見ていると言っています。

ストラクチャーを持つ酸の味わいを作るためにはフェノールが大事だとか、プレス時に一番重要なのは酸化させないことだとか、これまでスパークリング・ワインの醸造でもあまり出てきていなかったような話もあり、非常に中身の濃い興味深い記事でした。

現在のカリフォルニアのスパークリングワインのプロデューサーの中では名実ともに一つ突き抜けた存在になったといってもいいかもしれません。

あとはウルトラマリンがもう少し入手しやすくなってくれるとうれしいのですが…

96点のクルーズ・トラディション・ロゼはわずかながら購入可能です(インポーターは既に品切れ)。
しあわせワイン倶楽部です。


ワインセラー エスカルゴです。

Date: 2022/0909 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジェイソン・ウイルソンというワイン評論家が「ヴィナス(Vinous)」などのワイン・メディアがスポンサーを優遇していることを暴露する記事を書いており、話題になっています(Wine Media Is Broken: A Case Study - by Jason Wilson)。彼自身、以前何回かヴィナスにレポートを書いたことがあります。

これにいち早く反応したのが、以前ワイン・アドヴォケイトのレビュアーだったジェブ・ダナック(Jeb Dunnuck)。以下のツイートから9つのツイートで意見を述べています。


今回、告発したのは大手ブランドやワイン産地の広報を行っている会社が、あるワイン・メディア(ヴィナスと特定はしていません)に年間2万5000ドル(約350万円)を払っているという話。ただ、これでレビューの点を上げているではありません。レビューが公開される2日前にレビューを見ることができるという権利と、点数が低いワインは掲載を取り下げてもらうという権利を得ているとのことです。また、ある別のワイン雑誌は、広告を購入しないと、その地域のワインはレビューしないと広告主に伝えているとも。

このほか、ジェイソン・ウイルソン氏自身の体験として、彼が書いたレビューの地域のワインをアントニオ・ガッローニが再レビューして高い点を付けたことがありました。その高い点が付いたレビューを調べるといずれも同じ広告主のワインだったことがわかりました。これも、高いレビューのワインだけを残しているのではないかと疑いをかけています。

そもそも、ワインレビューの草分けであるロバート・パーカーのワイン・アドヴォケイトは、広告を入れない独立したレビューであることを売り物に人気を伸ばしました。それでも2011年にはジェイ・ミラーというレビュアーがあるワイナリーに行くのに金銭を要求したというスキャンダルが発覚して大きな問題になったことがあります。

ヴィナスはこれまで清廉潔白なイメージがあったので、ちょっと今回の告発は驚きました。なかなか有料購読者からのフィーだけではやっていけないということなのでしょうか。

チャールズ・クリュッグのモンダヴィ家の女性姉妹も以下のようなツイートをしています。


また、ジェイソン・ウイルソンはヴィナスにレポートを書いたときの原稿料が1本3000ドルだったと公表しています。これで産地までの交通費や滞在費もカバーしないといけないということで、これが本当であればレビュアーも厳しい商売だと思います。

一方で、近年ではそもそも評論家のレビューやそのレイティングを重視する人はかなり減っているという話もあります。VivinoのようなCGMを重視する人や、インスタグラムのインフルエンサー、あるいは知り合いからのお薦めを中心にワインを買う人も多くなっているともいいます。レイティングの神通力が下がるなかでの今回の告発。ワイン評論家の時代の終わりの始まりなのかもしれません。
Date: 2022/0908 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部の今月の送料無料ワインとしてワインズ・オブ・サブスタンスのカベルネ・ソーヴィニヨン2019が出ています。12本までの同梱ワインも送料無料になるので、かなりお得です。

個人的にこのワインとの出会いは3年半ほど前。創設者でワインメーカーのチャールズ・スミスのセミナーに出たときでした。
参考:美味しさに嫉妬したワシントンの鬼才チャールズ・スミスのワイン

13万ケースと、一つのワインとしてはかなりの量を作っていますが、これだけの量を天然酵母を使い、37日間もかけて発酵。フレンチオークの樽で熟成させてフィルターも清澄もしていません。この量を天然酵母で一定以上のクオリティを保ち、フィルターも清澄もなしで瓶詰めするほど手間をかけているのに現地価格で20ドル弱しかしないのです。さらに日本でも税抜き2400円程度とほぼ現地価格に近い値段。

ワイン・レビューでの評価ももちろん高く、2018年にwine.comの年間売上トップワインになったり、2016年、2017年とジェブ・ダナックで93点という高評価だったり。今回の2019年ヴィンテージもジェームズ・サックリングが92点を付けています。

送料無料は今月いっぱいですが、11日の1時59分までは楽天のスーパーセールで、多くのワインが1割引になっているので、その期間に買うのがお薦めです。



合わせ買いで、これなんかもお薦め。高評価低価格で話題になったマリエッタのロット71。もうロット73(これも高評価)が国内入荷していきているので71は在庫限りです。


そもそも、この秋からワインは続々値上げになりますから、今買えるものは買っておくのが吉です。
Date: 2022/0907 Category: 業界ニュース
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ナパのラザフォードにある名門ワイナリー「クインテッサ(Quintessa)」のワイナリーの方に話を伺い、最新の2019年ヴィンテージを試飲しました。2017年、2018年に続いて3年連続でのインタビューと試飲になります。


2017年
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
2018年
クラシックスタイルのトップ級、さらに進化するクインテッサ

この3年間を比べると、2017年はやや暖かいヴィンテージ、ソノマとナパの間で大きな山火事があった年ですが、その影響は大きくなかったようです。2018年はやや涼しいヴィンテージ。暖かい年よりもやや涼しい年に品質が上がるカベルネ・フランの比率が上がっています。2019年はその中間的なヴィンテージとなりました。

一般的には2017は2013~2019年の中ではやや評価の低いヴィンテージです。山火事の影響で理想的な状態での収穫ができなかったワイナリーもありました。2018年と2019年は非常に評価が高いですが、2019年はフルボディになる傾向があり、2018年はややエレガント。どちらが好きか好みが分かれるところでもありますが、2018年の評価がだんだん上がっていっているように感じます。

クインテッサも2018年は非常に素晴らしいワインでした。2017年も、レベルは高かったですが、2018年はよりクラシックなスタイルで、長期熟成してもむちゃくちゃよくなりそうなワイン。ジェームズ・サックリングは99点を付けています。


クインテッサはすべて自社畑のブドウを使っていますが、上の図にあるように、中央に貯水池があり、それを囲むようにさまざまな向きの斜面があります。土壌の種類も多く、ワインの味わいに複雑さを出しています。

例えば東側(マップでは上側)は火山灰が多く白っぽい土壌。乾燥しやすくチョコレートの風味が出やすいといいます。一方、貯水池の周囲は火山性の土壌と沖積層が混じり合った土壌で水はけがよく、タンニンやグラファイトの風味が出ます。

ベンチと呼ばれる斜面はシストとクレイの混じった土壌。クラシックなナパのヴァレー・フロアの土壌で豊潤で柔らかいワインになります。

近年の干ばつについて質問したところ、貯水池があるので、他のワイナリーに比べると問題は少ないですが、非常にストレスを感じているとのこと。2021年も干ばつの影響で、木を刈り込んだりした結果、収穫は30~40%減ったそうです。

2019年のワインを試飲しました。
レッド・チェリーのような赤果実、カシス、ブラックベリーの黒果実の風味を感じます。ナパのカベルネとしてはやや明るめの味わい。チョコレートやコーヒー、グラファイト、ココナッツ、トーストなど。酸はやや強め。タンニンはかなり強いですが、ギシギシというより、いい意味での若さにつながっています。ストラクチャーがしっかりしており素晴らしい余韻があります。2019年はフルボディでリッチなワインというイメージがありましたが、だいぶ予想を裏切り、個人的には好みの方向の味わいです。2018とくらべても遜色ないレベルです。

なお、クインテッサはオーパス・ワンなどと同様、ボルドーのネゴシアン経由で世界市場に出荷しています(参考「ボルドーネゴシアン経由のワイン流通は成功の方程式か?」)。そのため、国内の固定的なインポーターはなく、どのインポーターでも輸入できる状態です。2019ヴィンテージは9月から出荷が始まっているので、そのうち日本にも入ってくると思います。

2018年、柳屋です。


よりレアなソーヴィニヨン・ブランもごく少量日本に入っています。

Date: 2022/0906 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天の「大人の至高屋」でシリタ(Sirita)の熟成カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローがスーパーセール割引で大幅に安くなっています。

シリタは米国でいちばん有名なソムリエといっても過言ではないラリー・ストーン(日本で言えば田崎真也さんくらい有名)がナパで作っていたワイナリー。彼はその後オレゴンに行きますが、コロナによる資金難で今年ついにワイナリーを手放してしまいました。そういう意味でも彼がナパで残したワイン。貴重なものです。

ここの店、あまりに安くすることがあるのでちょっと疑いましたが、実はインポーター直営です。なのでこの価格ができるのですね。なお、ショップでは他社輸入物も取り扱っています。



Date: 2022/0905 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のドラジェでスーパーセールの期間中、「バーレスク・オールド・ヴァイン・ジンファンデル」が普段の半額の税込み1089円、税抜きなら1000円切りになっています。

このワイン、国内ではドラジェ(および姉妹店のミュズレ)でしか扱っておらず、海外でもほぼ英国でしか売っていないようです。あまり詳しい情報はないのですが、英国での価格は10ポンド(税抜きで)なので1600円くらい。それと比べても今回のセール価格はかなり安いのは間違いありません。

Date: 2022/0904 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのラザフォードにあるニール・ファミリー・ヴィンヤーズ(Neal Family Vineyards)がブドウの木のユニークな仕立て法をしていることをSFクロニクルが記事にしています(This Napa vineyard looks totally bizarre. Here's why it could help with climate change)。


この仕立て法は、白ブドウ(シャルドネ)と黒ブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン)を2階建てにしています。カベルネ・ソーヴィニヨンの下でシャルドネを仕立てることで、ブドウの房に直射日光が当たるのを防ぐのが目的です。

ニール・ファミリーがこの仕立て法を始めたのは1997年と25年も前。ラザフォードで育てた白ブドウが日焼けしてしまって安く買い叩かれているのを見て考えた方法です。

やってみると、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを別々に植えるよりもトータルの灌漑量が減ることも分かりました。水不足が続く現状においても有効であると考えて、ラザフォードの畑ではすべてこの方法を使うことにしました。

最近では他の畑のオーナーもニールの畑を見に来て、自分の畑でも採用したいと相談されるそうです。この夏にはオークノールにあるバーゲス・セラーズのSaint Andrews Vineyardで実装したそうです。

ニールは彼が名付けたこの「Dual Varietal Trellis System」を採用するかどうかはともかく、ナパの栽培家は近い将来栽培の方法を変えざるを得なくなると考えています。これがその一つの回答になるかもしれません。
Date: 2022/0902 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会は2022年9月に、「カリフォルニアワインマンス」として様々なイベントを行います。

これまで、米国では9月に開催していましたが、日本では10月に行うのが通例でした。今年は米国に合わせた9月の開催となります。

関西を中心に展開する酒販店のリカーマウンテンではカリフォルニアワインフェアを開催、普段よりもカリフォルニアワインのラインアップを強化し、店内装飾やエンドディスプレイなどを通じてその魅力を訴求します。

都内ではカリフォルニアワインを搭載したフードトラックを都内の屋外マーケットに出店します。サステイナブル認証を取得したワインのみを集め、カリフォルニアワインにおけるサステイナビリティへの理解を深めてもらう狙いがあります。

9 月 11 日(日) 11:00〜17:00
YEBISU マルシェ (恵比寿ガーデンプレイス内ひろば 東京都目黒区三田 1−13−1)

9 月 24 日(土) /25 日(日) 10:00〜16:00
青山ファーマーズマーケット (国際連合大学前 東京都渋谷区神宮前 5−53

各会場では日替わりで12種類のワインが飲めます、飲んでおいしかったワインに投票すると、抽選で 10 名にカリフォルニアワインが当たる来場者限定の懸賞もあります。青山ファーマーズマーケットでは、「カールスジュニア」のフードトラックも出店するとのこと。

最後に、9月9日に公開する投票用サイトに掲載したカリフォルニアワインから、好きなワインに投票すると、抽選で10名にカリフォルニアワインが当たる懸賞があります。投票は「ジャケ買いしたいワイン」と「飲みたいワイン」をそれぞれひとつずつ選んで SNS で行います。上位に選ばれたワインは25日13日に青山ファーマーズマーケットで発表し、そこで1位のワインを試飲できます。

カリフォルニアワインマンス2022

情報は各種SNSでも発信されます。
Facebook
カリフォルニアワイン協会(@calwinesjp) • Instagram写真と動画
【公式】カリフォルニアワイン協会 キャンペーン情報(@calwines_cp)さん / Twitter
Date: 2022/0901 Category: 業界ニュース
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ソノマのワイナリー「セント・フランシス(St. Francis)」が9月21日と22日、ユニークなイベントを開催します。インスタグラムなどのSNSに「映える」写真をアップできるように、プロによるメーキャップやヘアスタイリング、フォトグラファーによる写真撮影が含まれており、加えてランチと、ランチにペアリングした4種のワインも飲めます。

コストは一人100ドルで最大4人のグループまで、4人で予約した場合は50ドルのディスカウントが受けられます。
もちろん要予約。
Experiences • St. Francis Winery & Vineyards

単純に考えてプロによるメーキャップやヘアスタイリングとプロによる写真がワイナリーで撮れるというだけでも100ドルを遥かに超える価値があるし、ランチとワインも付くのですから、かなりお得感はあります。おそらく今回の反響によって常設のツアーパッケージにするかどうかを考えるということなのでしょう。

セント・フランシスは1971年にソノマ・ヴァレーで設立されたワイナリー。オールド・ヴァインのジンファンデルなど「ソノマ・スタイル」のワインの確立に貢献したと言われています。ワイナリー専属シェフも早い時期からおり、サスティナブルへの取り組みでも他のワイナリーに先んじています。
Date: 2022/0831 Category: 業界ニュース
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米国の各州にワイナリーがありますが、寒冷地であるミネソタ(93ワイナリー)やウィスコンシン(139ワイナリー)あたりでは、ブドウの栽培はかなり困難です。そのため、実質的には他の州からブドウを購入してワインを作っているところが多いようです。

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ミネソタ大学では以前から寒冷地向けのブドウ品種を開発しており、1995年に作られたフロントナック(Frontenac)や2006年のマルケッテ(Marquette)などは既に市民権を得ています。そこに新たに白ワイン用のブドウとして開発した品種がクラリオン(Clarion)です。

クラリオンという命名は今年ですが、MN1220としてこれまで20年近く実験的に栽培が続けられており、コンスタントに高品質なブドウを生み出しています。

ミネソタ州の中には冬期の気温がコンスタントに華氏-30°(約-34℃)にまで下がるゾーン4の地域もあり、クラリオンはそこまでの寒冷地には耐えられませんが、華氏で-20℃(約-29℃)程度までのゾーン5の地域であれば大丈夫であり、アイオワ州やウィスコンシン州で育てられるとのこと。

VB86-4 (Seyval Blanc x Pinot Noir) とFrontenac (Riparia 89 x Landot 4511)をかけ合わせて作ったクラリオンは他の寒冷地対応ブドウよりも育てやすい特徴もあります。成長が遅いことと、枝が直立する性質があるためVSPに仕立てるのが容易です。ブドウの実の付き方はややまばらで病害を受けにくくなっています。芽吹きは比較的早いので霜の危険はありますが、収穫は9月半ばに可能です。

できたワインは洋梨、柑橘、メロン、アプリコット、カモミールの風味があるとのこと。
ミネソタ大学はクラリオンを「open variety」として広げる予定です。
Date: 2022/0829 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジェイク・ニュースタット(Jake Neustadt)はサンフランシスコ・ベイエリア出身の人。ジャーナリズムなどを学んだ後、ワイン造りに目覚め、リッジなどいくつかのワイナリーで働いた後、2016年からベッドロック(Bedrock)で働き始めました。

そこで取り組んだことの一つがコントラコスタにある1890年ころに植えられた古木の畑エヴァンゲーロを調べること。19世紀に作られた畑の常として「フィールド・ブレンド」といって畑に様々な品種が植えられています。ジンファンデルやマターロ(ムールヴェードル)などが中心のところ、100本ほど白ブドウのパロミノがあることが分かりました。

実はジェイクは大のシェリー好きで、シェリーの主要品種であるパロミノにも一方ならぬ興味がありました。それを知っていたベッドロックのモーガン・ピーターソンが彼にエヴァンゲーロのパロミノを使っていいよといって生まれたのが「ソレラズ・デル・パシフィコ(Soleras del Pacifico)」です。

Soleras del Pacifico

スペインのシェリーと同様、発酵後に酒精強化をして樽の上部に空気の層を持つ形で熟成させます。するとワインの表面にフロールと呼ばれる酵母などによる膜ができ、それによって熟成中に独特の風味が生まれます。さらに複数のヴィンテージのワインを熟成させるとき使う「ソレラ」システムも採用しています。

こうしてできたのがスペインのシェリーの「フィノ」のスタイルを持つワイン「フロール・オブ・エヴァンゲーロ(Flor of Evangelho)」です。このほど最初のワインがリリースされましたが、その熟成の仕組み上、ノンヴィンテージとなります。

カリフォルニアの畑にパロミノが植わっているというのも驚きでしたし、それを使ってシェリーのスタイルでワインを作っているのもびっくりでした。ごく少量の生産量で、一人3本までの制限だとか。

日本に輸入されてくることはまずないだろうと思うワインですが、非常に興味深いです。
Date: 2022/0827 Category: 業界ニュース
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フランシス・フォード・コッポラ監督のプレミアム・ワイナリー「イングルヌック(Inglenook)」が22000平方フィート(約2000平米)もの広さの新たなワイナリー兼地下カーヴを完成させました。2022年の醸造から利用します。


「ほとんどのワイナリーは、樽熟成や貯蔵のためにカーヴを設計しますが、私たちのカーヴは、ワイン製造チームがイングルヌックの世界的に有名でエレガントなワインを製造するためのカーヴとして際立っていると自負しています」とコッポラは述べています。

新しいカーヴは年間を通じて自然に低温を維持するため、冷暖房を必要としません。山火事の脅威からも安全で、カーヴ全体はスプリンクラーで保護されています。

カーヴには120基の断熱された遠隔操作可能なステンレススチール製発酵タンクが設置されています。235エーカーの有機栽培の自社畑のブロックごとに醸造できるようにしています。

ワイン醸造チームは、収穫直後のブドウがタンク内で発酵する際の状況をリモートで監視できます。例えば、夜中に発酵が停滞した場合、ワイン製造チームは直ちに通知を受け、遠隔操作でタンク内の温度を上げられます。タンクの大きさは2分の1トンから27トンまであります。ワイン醸造ディレクターであるフィリップ・バスカウルは、赤ワインの発酵に使うタンクは、背が高く直径が狭いものを好みます。これにより、抽出をよりコントロールしやすくなり、よりエレガントでニュアンスのあるワインを生み出すことができます。白ワインは樽とステンレスドラムで発酵され、そのために温度調節された別の部屋があります。

イングルヌックは1970年代から有機栽培を手掛けており1994年に認証を受けています。
Date: 2022/0826 Category: 業界ニュース
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ワインのセカンダリー市場のマーケットプレイスとして知られているLiv-Exがボルドーのネゴシアン「ラ・プラス・ドゥ・ボルドー」で流通するワインが増えていることに、記事を書いています(La Place de Bordeaux and the expanding fine wine market - Liv-ex)。

ラ・プラス・ドゥ・ボルドーはボルドーの「ネゴシアン」と一般に言われていますが、実際には300を超えるネゴシアンの集合体です。また、ボルドーのワインだけを扱っているように見えますが、そうではありません。春にはボルドーのプリムールを販売するのが主ですが、秋にはボルドー以外のワインの扱いがメインになります。

ラプラス

秋の扱いは1998年にアルマビーバで始まりました。オーパス・ワンも比較的初期から参加しており、ラ・プラスで流通するワインの代表格であり、成功例になっています。現在は100を超えるブランドがラ・プラスを使っており、米国も30近くになります(表以外にはオレゴンのボー・フレールがあります)。なお、国別ではイタリアが圧倒的に多くのブランドをラ・プラス経由にしています。米国は2番め。

ラ・プラス経由でワインを流通するメリットの一つは170カ国を超える国にネットワークを持てること。普通ならリーチが難しいニッチなマーケットに強いネゴシアンもおり、ワインの販売先は広くなります。また、現在のところラ・プラス・ドゥ・ボルドーでワインを流通させること自体がワイナリーにとってのプレステージという面もあります。一方、ネゴシアンにとってもボルドー・ワイン一辺倒でなくなるというメリットがあり、双方にとってプラスの面が目立つことからワイナリー数も増えているのです。

ただ、すべてのワインが成功しているわけではありません。ラ・プラス経由にしてから価格が下がってしまったワインもあります。例えばピーター・マイケルのレ・パボ(Les Pavots)がその一つです。ここに出せばオートマチックに成功できるというほど単純ではないのです。

功罪あるラ・プラスの利用ですが、現状では功の方に魅力を感じている生産者が多いと思います。ブランド増加傾向がこれからもしばらくは続きそうです。もうじき始まる秋の流通で価格がどうなっていくかに多くの人が注目しています。
Date: 2022/0824 Category: 業界ニュース
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米国の酒類タバコ税貿易管理局(TTB)が新しいAVA「ギャビラン・マウンテンズ(Gabilan Mountains)」を認可しました。9月14日より有効となります。

Gabilan
ギャビラン・マウンテンズはモントレー郡とサン・ベニート郡にまたがるAVA。サン・ベニート郡のマウント・ハーランAVAやモントレー郡のシャローンAVAを含んでいます。マウント・ハーランAVAにあるカレラや、シャローンAVAにあるうシャローンなどのワイナリーは今後既存のAVA以外にギャビラン・マウンテンズの名前をラベルに入れることが可能になります。

ギャビラン・マウンテンズは北西から南東に約50kmも広がるAVAで、標高の高さが特徴です。AVAの境界は1500フィート(約500m)にあり、平均で2370フィートもの標高があります。もうひとつの特徴は石灰岩で、カリフォルニアでは珍しい石灰岩の地層が広がっています。

これだけ広いAVAですが、現在のブドウ畑はわずか436エーカー(AVAの面積は9万8000エーカー)しかありません。しかもそのうちひとつの畑を除いては既存のマウント・ハーランまたはシャローンに含まれています。その残りの一つは30エーカーのコーストヴュー・ヴィンヤード(Coastview Vineyard)。AVAを申請したのもこのコーストヴューのオーナーでした。
コーストヴューではシラーやピノ・ノワール、シャルドネ、グルナッシュ、ボルドー系品種などが植えられています。サンタ・クルーズのビッグ・ベイスン(Big Basin)などが買い主になっています。

広いAVAの中でほかにもブドウ畑の適地はありそうですが、このあたりは水がないので、新たな開発は難しいようです。
Date: 2022/0823 Category: 業界ニュース
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ロキオリ・ワイナリー(Rochioli)の創設者で、ロシアン・リバー・ヴァレー、特にそのピノ・ノワールのパイオニアとして知られる、ジョー・ロキオリ・ジュニアが8月18日に88歳で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

ジョーの父、ジョー・ロキオリ・シニアは1911年にイタリアから米国に移住。ニューヨークを経てカリフォルニアに着きました。1930年代に現在のロキオリがある場所のフェルトン・エーカーズという農場で働くようになり、1950年代に農場を買い取りました。

当時は豆やプルーンなどが主な作物で、ジャグワイン用のブドウを一部で作っていました。1959年にUCデーヴィスからカベルネ・ソーヴィニヨンとソーヴィニヨン・ブランのカッティングを得て植えました。カベルネ・ソーヴィニヨンはうまくいかず、後に抜かれてしまいましたが、ソーヴィニヨン・ブランはよくでき、今ではカリフォルニアに残るソーヴィニヨン・ブランの一番古い畑の一つとなっています。

ジョー・ロキオリ・ジュニアは高校のときには身長180cm、体重72kgのがっしりとした体でスポーツのスターでした。大学を出た後、陸軍に入り、1959年に除隊して農場で働き始めました。上記のソーヴィニヨン・ブランのほか、1960年代にはピノ・ノワールも植えており、1973年にDavis Bynumにブドウを売ったのが、ロシアン・リバー・ヴァレーの最初のピノ・ノワールと考えられています。

1980年代にはウイリアムズ・セリエムが作ったロキオリのピノ・ノワールがステート・フェアで最優秀賞を得て、最初のブームを起こしました。

ジョー・ロキオリ・ジュニアはハードワークで知られ、特に接ぎ木の技術に優れていたそうです。1日に500本もの接ぎ木をしたこともあったとか。

このほか、夏場にブドウの葉を落として日光を適度にブドウに当てるようにするとか、夏場に実の一部を落として、品質を上げるといったことも、彼が始めたことでした。

2020年に脳卒中を患ってからは入退院を繰り返していたとのことです。
ロキオリ
手前がジョー・ロキオリ・ジュニア、左奥が現在のオーナーのトム・ロキオリ


Date: 2022/0822 Category: 業界ニュース
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ギャンブル・ファミリー・ヴィンヤーズ(Gamble Family Vineyards)オーナーのトム・ギャンブルはナパ郡資源保全ディストリクト(Napa Resource Conservation District=Napa RCD)と協力してミリオン・ツリーズ・ナパ(Million Trees Napa)という植樹プログラムを始めました。

Million Trees Napa
million trees napa

トム・ギャンブルは、近年の気候変動や大規模な山火事などを憂慮し、地域社会とこのプロジェクトを始めました。科学的根拠に基づいたアプローチで、適切な場所に適切な木を植え、その成果を長期にわたって追跡調査します。ミリオン・ツリーズ・ナパでは単に植樹をするだけでなく、環境教育などにも力を入れていきます。Napa RCDの「ドングリからオークへ」プロジェクトは、4000人以上の学生や地域住民にオークを植え、管理する力を与えてきました。

ギャンブル・ファミリーは既にこのプロジェクトに200万ドル以上を投資しています。

ギャンブル・ファミリーは、このプロジェクトとは別にThe Mill Keeperというサステナビリティを目的にマルチ・ヴィンテージのワインを作るプロジェクトを始めています。その利益の一部もミリオン・ツリーズ・ナパに使われます。Mill Keeperはナパに19世紀にあった製粉所の労働者をモチーフに使っています。
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Date: 2022/0821 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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江戸時代末期に、薩摩藩から英国に留学し(一行には森有礼や五代友厚もいた)、そこから米国に渡り、ソノマでファウンテン・グローヴ(今はAVAの名前で残っています)というワイナリーを設立し、Grape Kingと呼ばれたのが長澤鼎(ながさわ・かなえ)です。

かつてファウンテン・グローヴがあったところにワイナリーを持つのがパラダイス・リッジで、その縁で「カナエ・ザ・グレープ・キング」と長澤の名前を冠したシャルドネを作っていました。

ところが2017年に莫大な被害を出した山火事で、ワイナリーが焼失してしまいます。長澤の時代から唯一残っていた建物や、長澤鼎の資料館もなくなってしまいました。

ワイナリーはいまだ再建途中で、オーナーも代わり、残念ながら「カナエ・ザ・グレープ・キング」シャルドネも2018年のヴィンテージで終了となってしまいました。

先日、その2018年を試飲しましたが、非常にバランスよく、酸がきれいで上品かつ美味しいワインでした。

最後のワイン、ぜひ買ってあげてください。

カリフォルニアワインあとりえです。


ココスです。


ドラジェです。


柳屋です。送料無料でお買い得です。

Date: 2022/0820 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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これまで8月前半に収穫するワイナリーはスパークリングワイン用に限られていたローダイで、8月10日から収穫が始まりました。

早い収穫開始には3つのワインのスタイルが関係しています。
1. ドライスタイルのロゼ
 非常に色が薄く、自然な鋭い酸味を持つスタイルのドライなロゼが流行り始めています
2. 非常に軽い風味を持つ白ワイン
 従来の果実味を重視したカリフォルニアらしいスタイルから、軽く「ミネラル」を感じるワインが増えています。糖度でいうと22°Brixから、低いところでは19°Brixで収穫されています。出来上がったワインのアルコール度数でいうと11~12%程度になります。
3. 軽い風味を持つ赤ワイン
 若い世代を中心に、より「ヨーロピアン」なスタイルのワインを好む生産者が増えています。こちらもアルコール度数でいうと11~12%、果実味よりも花の香りや「アーシー」な風味を持つワインになります。

Braufrankisch
8月10日にマカロミ・リバー(Mokelumne River)AVAの東寄りにあるマカロミ・グレン・ヴィンヤードでツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュ(写真)の収穫が始まりました。どちらもドイツ原産の黒ブドウです。ワイナリーはサンタ・クルーズ・マウンテンズにあるトレイル・マーカー(Trail Marker)。収穫時の糖度はそれぞれ20°、21°でした。オーナーワインメーカーのドリュー・ハフィンは「とれも軽い赤ワインが好きなんだ。これらのブドウ品種は糖度が低くても、その個性を味わうことができ、色づきも酸もすばらしい。品種の良さを引き出したワインを作るのに超完熟になるまで待つ必要がないんだ」と語っています。トレイル・マーカーは「ナチュラル」なスタイルのワイナリーで、天然酵母で発酵させ、樽の風味もほとんど付けないワインを作っています。

8月11日にはマカロミ・リバーの西よりにあるチェリーハウス・ヴィンヤード(Cherryhouse Vineyard)でジンファンデルの収穫が始まりました。このブドウはナパのカリストガにあるタンク・ガレージ・ワイナリー(Tank Garage Winery)と、サクラメントにあるハーメイヤー・ワイン・セラーズ(Haarmeyer Wine Cellars)で使われます。糖度は21~22°で、タンク・ガレージはドライなスタイルの「ホワイト・ジンファンデル」を作ります。ハーメイヤーは赤ワインとして醸造します。ここも近年勃発している小さなナチュラル・スタイルのワイナリーです。

8月13日には上記のハーメイヤーが、シュナン・ブランの収穫を行いました。畑はボーデン・ランチ(Borden Ranch)AVAにあるパルメロ・ヴィンヤード(Palmero Vineyard)です。シュナン・ブランはかつてはローダイで最も多く栽培されていたブドウ品種でした。当時は果実味豊かで甘みのあるワインを作るために使われていましたが1980年代にシャルドネの人気が高まり、大部分が植え替えられてしまいました。ハーメイヤーではもちろんドライなシュナン・ブランを作ります。

8月14日にはマカロミ・グレン・ヴィンヤードでオーストリア原産のグリューナー・フェルトリーナーの収穫が始まりました。白胡椒の風味を特徴とするブドウですが、この品種については毎年決まった買い手が付いていないとのこと。今年はネバダ州のリノにあるネバダ・サンセット・ワイナリーが購入しました。

8月15日にはボーキッシュ・ヴィンヤードがロゼに使うグルナッシュと、アルバリーニョの収穫を始めました。アルバリーニョは2000年代前半から栽培していますが、当初はフルボディでトロピカルフルーツの風味を持つスタイルでした。それが年々軽くミネラル感を持つ仕上がりになっていっています。

8月16日にパーレゴス(Perlegos)が収穫したのは、なんとアシリティコ。ギリシャ原産のブドウです。これが2年めの収穫。この家族はギリシャ出身で、その由来を大事にするためにアシリティコの栽培を始めました。

8月17日にはアクイース(Acquiesce)ワイナリーがヴィオニエを収穫しました。アクイースのヴィオニエは今年の1月、サンフランシスコ・クロニクルのワイン・コンペティションで2000本のワインの中から1位に選ばれています。

ツヴァイゲルトにブラウフレンキッシュ、ジンファンデル、シュナン・ブラン、グリューナー・フェルトリーナー、グルナッシュ、アルバリーニョにアシリティコ、ヴィオニエ。1週間でこれだけの品種の収穫が行われたのも驚きですが、これだけ多様なブドウ品種がローダイで育てられているのもすごいことです。

Date: 2022/0818 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州に山火事による煙のセンサーネットワークを作るプロジェクトが始まっています。まず、ナパ・ソノマで実験的にセンサーの設置が始まりました(New Smoke Sensor Stations Installed in California Vineyards)。

センサー

これは米国農務省 (USDA) の特別作物研究イニシアチブ (SCRI) の総額750万ドルに及ぶ助成金の研究プロジェクトによるもので、UCデーヴィス、オレゴン州立大学 (OSU)、およびワシントン州立大学 (WSU) の研究者によって実施されています。

センサーは、PM 1.0、PM 2.5、PM 4、および PM 10 の粒子状物質 (PM) 濃度を測定できます。一酸化炭素、二酸化炭素、二酸化窒素、オゾン、二酸化硫黄、硫化水素、メタンなどの大気質(AQ)/汚染物質化学物質揮発性有機化合物 (VOC)を検知します。AQ センサーは、温度、湿度、風速と風向を監視する各サイトのローカル気象ステーション センサーと同時にデータを収集します。

今回の実験ではナパとソノマの21の畑にセンサーを設置しました。カベルネ・ソーヴィニヨンの畑がメインですが、シャルドネやピノ・ノワールなどの畑も含まれています。

設置した畑ではブドウの実を定期的に採集して、センサーによるデータと比べて行きます。研究者は、大気科学者と協力してデータを分析し、煙曝露リスクをモデル化するプログラムを開発します。時間の経過とともに、煙の組成、濃度、曝露時間の長さ、煙の動きと天候パターン、および新鮮な煙と熟成した煙の影響に関連して、ブドウとワインの品質に影響を与える可能性を予測するのに十分な情報を収集することが目標です。

センサーはワシントンのThingy IoT社のものを採用。電力消費は1ワット以下で、太陽電池やバッテリーで動作するため設置は非常に簡単です。

煙の被害はないに越したことはないですが、こういった研究でその被害を減らせるようになるといいですね。
Date: 2022/0817 Category: おすすめワイン
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ソノマ・コーストの北のはずれにアナポリスという人口400人ほどの小さな町があります。太平洋からはわずか8km程度。ソノマ・コーストの中でも有力なワイナリーの多いオクシデンタルからは北西に50kmほども離れた遠いところです。そのさらに北方に畑を持つのがアストン・エステート(Aston Estate)。ナパのベクストファー・ト・カロンのカベルネで一世を風靡したシュレーダー・セラーズのフレッド・シュレーダーと、そのワインメーカーであるトーマス・リヴァース・ブラウンが2001年に始めたワイナリーで、ピノ・ノワールだけを作っています。

2021年にトーマス・リヴァース・ブラウンがすべての権利を買い取って、単独のオーナーになりました。そのことと関係あるのかどうかは不明ですが、2018年のヴィンテージからセカンドラベルを始め、2019年のヴィンテージから日本にもセカンドラベルが輸入され始めました。

個人的にもアストンのピノ・ノワールは大好きです。ソノマ・コーストのピノ・ノワールは、冷涼感を持ちながら、日差しの強さから赤果実だけでなく黒果実の風味まで持つものが多いですが、アストンは海までの近さか標高の影響かは不明ですが鮮烈な赤果実の風味ときれいな酸を持ち、濃厚でありながらエレガントさも感じます。

セカンドラベルは10%新樽使用などワイン造りは基本的にファーストと同じです。違うのは1年早くリリースされること。また「ソノマ・コースト」名義になるので買いブドウを含むことができるのですが、2019年のヴィンテージについてはすべて自社畑のブドウを使っているということです。生産量は400ケースとファーストの650ケースよりも少量です。

価格はファーストの14500円に対して8500円と4割も安くなっています。2019年はジェブ・ダナックが94点と、2018年のファーストの93点よりも高評価を付けています。ファーストの14500円も、クオリティから考えれば高いとは思いませんが、セカンドの8500円はかなりのバーゲンです。

アストンの最大の難点(と個人的には思っている)であるラベルは、ファーストが大きく赤の✕印が入るのに対して、セカンドはそれがなくなっており、そこも好印象。これは「買い」です。


Date: 2022/0815 Category: テイスティング・ノート
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カルディで「決算チャンスボックス」という、ワインくじを買ってみました。
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1200円(税抜き)で、一番高いワインだと7500円のシャンパーニュが入っています。安くても1800円ということで損はありません。知り合いの中にはボトルの重さなどから見事シャンパーニュを選んだ人もいます。

こういったものには手を出すことはあまり多くないのですが、店頭で残り5本ということで気が向いて買ってみました。

結果はこれ。ラベルが安っぽい印象だったので、「こりゃ外れだな」と思ったのですが、チラシを調べてみたらシャンパーニュの次に高い4500円のイタリア産ボルドーブレンドでした。

というわけで、残り物には意外に福がありました。ただ、個人的には、どうせイタリアワイン飲むならネッビオーロとかモンテプルチアーノが飲みたかったかな、とも。

たまにこういうのも楽しいですね。
Date: 2022/0813 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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マリエッタ・セラーズ(Marietta Cellars)は1979年に故クリス・ブリブロがソノマで立ち上げたワイナリー。当時はまだ珍しかった、ジンファンデルの古木の畑からワインを作り「オールド・ヴァイン」と名前を付けました。まだ「オールド・ヴァイン」と名乗るワインは2つしかなかったといいます。

それ以上にユニークなのが、ノン・ヴィンテージでロット番号を付けてワインを作ること。年に2回ほど新しいロットを作っており、最新版はロット73になっています。複数ヴィンテージをブレンドしており、例えば2018年12月にリリースしたロット68は2014、2015、2016の3ヴィンテージを使っています。スパークリングワインを除くと、こういうノン・ヴィンテージのワインを作っているのは仮フォルにはではここだけではないでしょうか。

以前からロバート・パーカーの好きなワインとして知られており、2014年には年間のコスパワイン3本の一つとしても取り上げています。SFクロニクルでも2011年にトップ100に選ばれています。

最近ではロット71がワイン・アドヴォケイトで94点と高評価で日本市場でも話題になりましたが、さらに最新のロット73は95点と、18ドルのワインとしては破格の評価を得ています。日本の価格も2000円台前半で、現地価格よりも安いくらいです。

ブドウはメンドシーノの自社畑と、ソノマの契約畑を主に使っています。60%は古い樽で、40%はステンレスタンクで熟成しており、穏やかな樽の風味と、やわらかな果実味のバランスのいいワインです。

トスカニーです。


しあわせワイン倶楽部ではロット71が残っています。


ロット68、ショップはリカータイムです。

Date: 2022/0812 Category: テイスティング・ノート
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1990年代末から2000年代初期に「カルトワイン」のブームが起こり、スクリーミング・イーグルやハーラン・エステートなど超高品質なワインを少量作るワイナリーが脚光を浴びました。今世紀に入ってからも、その成功をなぞるようなワイナリーがいくつも出てきましたが、その中でもトップの一つに位置するのがレアム(Realm)です。

例えば、「パーカー100点」のワインをこの10年(2012年以降)のヴィンテージで何本取っているかを見ると、一番がハンドレッド・エーカーの18本、2番がコルギンの15本で、3番にレアム(と同率でシネ・クア・ノン)が13本となっています。

レアムは2002年にオークランドで看護師をしていたホアン・メルカドが設立しましたが、実は当初は芽が出ず、2011年には倒産寸前にまで追い込まれていました。ワインメーカーもやめてしまい、新たなワインメーカーとして就任したのがブノワ・トゥケ。この人はボルドー大学を出て、ミシェル・ロランに師事し、ロランの命を受けて米国に行き、アンディ・エリクソンのもとで働いていました。そして偶然ホアンと友人になり、ルームメイトにもなっていたのでした。さらに、ハーランやボンドで財務を担当していたスコット・ベーカーが経営に参加。ベクストファー・ト・カロンのブドウが使えるようになり、一気にスターダムに躍り出たのでした。

そんなレアムのワインを12本も開けるというワイン会に参加させていただきました。

ラベルも非常に素敵なものが多いです。

ワインはソーヴィニヨン・ブランが1本とロゼが1本のほかはすべてボルドー系でした。

最初はソーヴィニヨン・ブランの「フィデリオ(Fidelio)」2018。ナパのワイナリーが作るボルドー系の高級ソーヴィニヨン・ブランというイメージ通りのワイン。酸は中程度で全体に丸みを感じます。樽のニュアンス、青リンゴ、濡れた石、ハーブ。

次は2020年のロゼ。品種はメルロー90%でカベルネ・ソーヴィニヨン10%。2020年は山火事でナパの多くのワイナリーで収穫を諦めたり、ワインを作っても売らない判断をしたりしています。レアムの場合は、煙の害を防ぐために早く収穫したブドウを使ってロゼにしてみたということ。レアムにとって初のロゼであり、もしかしたら最後のロゼになるかもしれません。直接圧搾法で、黒ブドウで白ワインのように作ったワインです。なので色はかなり薄め。トマトやクランベリーの風味がします。色の割には、味わいは意外とふくよかです。

次は「テンペスト(Tempest)」2018。レアムのワインは単一畑の名前と品種名を冠したものと、畑名も品種名も入れていない「プロプライエタリー・ブレンド」のものとに分かれますが、これはプロプライエタリー・ブレンドの中でも初期からあるワイン。メルローが80%とメインになっています。まだ少し若さを感じます。タンニンはやや強く、フルボディで余韻も長いです。

4本目は「ファルスタッフ(Falstaff)」2019。カベルネ・フラン50%にカベルネ・ソーヴィニヨン38%、メルロー12%。ワインの名前はシェイクスピアの劇に登場する喜劇的キャラクターから取っています。ちなみに、プロプライエタリー系のワインの名前はどれもシェイクスピアのモチーフになっています。

第一印象で重心の高さを感じます。一方でインクや黒鉛のしっかりした風味もあります。非常にシルキーなタンニン。ブルーベリーやオリエンタル・スパイスなど、重層的で多彩な味わい。引き寄せられるような魅力があります。その多彩な味わいがファルスタッフの名前にふさわしいのだと思います。この日のワインの中でもかなり人気の高かったワインでした。

5本目は「ザ・バード(The Bard)」2018。The Bardとはシェイクスピアのニックネームで、ラベルにはリチャード二世のテキストが描かれています。レアムの中ではエントリー的な位置付けのワインで、日本にも比較的多く輸入されています。エントリー的といっても評価は高く2018年はワイン・アドヴォケイトで96+、2019年は97点となっています。様々なブランドのセカンドワインの中でも非常にいいワインの一つです。様々な畑のブレンドになっており、非常にバランスが良く、若くても飲みやすいのが特徴。早飲みという意味でもレアムの入門には最適なワインです。

ここから先は単一畑に入っていきます。

6本目はクームズヴィルにある自社畑ファレラ(Farella)のカベルネ・ソーヴィニヨン2018。2018年に自社畑になりましたが、ワインを作り始めたのは2003年。長年調達していた畑を購入した形です。ミネラル感が強く、ハーブや鉱物のニュアンスもかなりある硬質なカベルネ・ソーヴィニヨン。パワフルで、やや山っぽい雰囲気のあるカベルネ・ソーヴィニヨン。

ようやく半分を超え、7本目はプリチャード・ヒルにあるホウイ(Houyi)のカベルネ・ソーヴィニヨン2016。この畑は今年レアムが買い取っています。これもミネラルやハーブのニュアンスがありますが山っぽくはなくシルキーなタンニンが印象的です。美味しい。

8本目は「ムーンレーサー(Moonracer)」2017。2015年に買収したスタッグス・リープの畑のワイン。非常にパワフルですが、濃いだけではなく芯の通った味わい。

9~11本目はベクストファーの3つの畑のカベルネ・ソーヴィニヨン。最初はセント・ヘレナにあるベクストファー・ボーン2018。暖かい地域の畑ですが、ワインからは重心の高さを感じます。非常に美味しい。

次は「ベクストファー・ト・カロン」2018。なんというかスケールの大きなワイン。とても濃くフルボディのワインですが、同時にバランスもよく総じて素晴らしいワイン。さすがト・カロンという出来です。

11本目は「ベクストファー・ドクター・クレーン」2019。ト・カロンよりもさらにパワフルで濃厚。言う事ありません。バランスもよく完璧。2012年から2019年の8ヴィンテージで6回100点を取っていますが、その凄さを垣間見られるワインです。

最後の12本目は「アブサード(Absurd)」2017。レアムのフラッグシップといっていいでしょう。すべてのワインの中から最良のものを選んでブレンドしたワインです。同じようなコンセプトのワインとしてはハンドレッド・エーカーの「レイス(Wrath)」がありますが、アブサードもレイスを彷彿とさせるようなスケールの大きなワイン。

ト・カロンでほぼ完璧と思い、ドクター・クレーンで完璧と思ったわけですが、アブサードはさらにそれを超えてくるような迫力と美味しさがあります。こりゃすごいですね。

後半はすごいとしか書いていない気がしますが、レアムのワイン、期待を裏切らない出来でした。最後の3本は間違いなくナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのトップ中のトップに入るレベルですし、カベルネ・フラン主体のファルスタッフも非常に魅力的でした。また、ザ・バードは圧倒的に安いのに品質は高い。ナパにあまたあるセカンドラベルのワインの中でトップクラス間違いないワインです。レアムを体験したければ、まずそこから飲んでみてください。


ワインを提供してくださった谷口慎一郎さん


右は会場となったイル・ド・コリンヌの香奈さん

しあわせワイン倶楽部



柳屋

Date: 2022/0811 Category: 業界ニュース
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ワイン・ブログの老舗で、現在はジャンシス・ロビンソンのサイトのライターとしても活躍するVinography(のアルダー・ヤロー)。そこに興味深い記事が載っていたので紹介します(Carved From the Mountain: The Wines of WeatherEye Vineyard)。

この記事で取り上げているのはウェザーアイ(Weathereye)という畑。ワシントン州のレッド・マウンテンAVAにあります。アルダーはここがワシントン州で最も素晴らしいワインを作る畑になる可能性があり、この畑のワインはワシントン州だけでなく米国のなかでも一番血眼になって探されるようなワインになるかも、としています。

プロジェクトを立ち上げたのはネイサン・ミアボルドの弟のキャメロン・ミアボルド。ネイサン・ミアボルドは知らない人もいるかもしれませんが、マイクロソフトで初のCTOになったすごい人。1999年にマイクロソフトをやめてからはベンチャーキャピタルを経営し、900を超えるパテントを持っています。さらに料理界でも有名で「モダニスト・キュイジーヌ」という本で、料理を科学的にひもとき、今ではバイブル的な扱いになっています。



弟のキャメロンもマイクロソフトに勤めていましたが、兄ほどの有名人ではありません。その彼が、レッド・マウンテンの頂上近くにブドウ畑を開拓できないかと考えたことからこのプロジェクトは始まっています。レッド・マウンテンはワシントンのヤキマ・ヴァレーの中にあるサブAVAでその名の通り、赤い山があります。ヤキマ・ヴァレーはミズーラ洪水による堆積物が基本ですが、ここは火山性の土壌です。その頂上近くはそれほど標高が高いわけではありませんが、非常に強い風が吹き抜ける過酷な環境。そこでキャメロンはワシントンの畑のコンサルタントとして有名なライアン・ジョンソンを雇い、そこに畑の開発が可能か、調べてもらうことにしました。

その結果、冒険をいとわないのであれば25エーカーは開発できる、となり、開発が始まりました。

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畑の大部分では写真のような「エシャラ仕立て」を採用しています。ブドウの木ごとに支柱となる棒を立てています。ブドウの木の間隔は1m✕1mとかなり狭くなっています。このほか一部の畑ではゴブレットと呼ばれるような仕立ても使っていますし、とりわけ風の強いエリアでは、岩を砕いた石で、ブドウの木1本ずつに石垣を作って風から守る、といったことまで行っています。スペインのカナリア諸島で似たような石垣がありますが、そこ以外では見たこともないような畑です。

ブドウはシラーを中心にグルナッシュやマルサンヌ、ヴィオニエなどローヌ系の品種が中心。いくつかのワイナリーにブドウを売るほか、自身のワイナリーも始めています。ブドウの供給を受けるワイナリーの中には「Kobayashi Winery」という日本人の奥さんと米国人の夫によるワイナリーもあります。

Vinousでは既に95点などの高得点ワインが続出しています。日本に入ってくるワインがあるかどうかはわかりませんが、要注目です。
Date: 2022/0810 Category: 業界ニュース
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wildfoote
シェーファー(Shafer)が、スタッグス・リープ・ディストリクトにあるワイルドフット(Wildfoote)ヴィンヤードを購入しました。これまでのオーナーはジャン・フィリップス。スクリーミング・イーグルの創設者として知られており、不動産のブローカーをしていたことから、数々のナパ・ヴァレーの畑の売買に携わっており、少数の畑を自身で持っています。ワイルドフットは2011年にピラーロック(Pillar Rock)から購入した畑でした。

ワイルドフット・ヴィンヤードはシェーファーからシルバラード・ドライブを少し南下したところにある畑。中央に大きな丘があり、その左右にブドウが植わっています。ブドウはカベルネ・ソーヴィニヨンが中心で一部メルローです。丘の東側は、スタッグス・リープ・ワイナリーのすぐ隣になります。西側はシルバラード・ドライブに沿っており、シルバラード・ドライブを挟んでまた丘が連なる、スタッグス・リープ・ディストリクトの中でも一番幅の狭い平地部分になります。

ワイルドフットのブドウはこれまでビーヴァン(Bevan)セラーズが一部を使っており、残りはシェーファーが購入していました。今回畑が売りに出たため、シェーファーがブドウの確保のために購入したという格好です。シェーファーは「これほどの一等地の畑を買えるチャンスはめったになく、購入した」と表明しています。
Date: 2022/0809 Category: 業界ニュース
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アカデミー・デュ・ヴァンの秋冬期の募集が始まりました。このところ、人数が足りずに不催行になることが多かったのですが、今回は捲土重来、3つの講座を出しています。


1つ目は「カリフォルニアの縮図、ソノマを味わおう
ナパだけの講座やナパのワイナリー中心の講座は何回もやっていますが、ソノマだけの講座は初めてです。というか、正確には春夏でも出したのですが、人数が足りずに不催行になってしまいました。今回は、試飲ワインも見直し、クオリティを落とさずにちょっとコストを下げて受講料も少しですが下げられました。これで集まらなければソノマ単独の講座は諦める覚悟で出しています。

ソノマは私自身もまだまだわかっていないところがたくさんある奥深いエリア。例えば「パーカー100点」のワインだけを見ても、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シラー、マルベック、シャルドネと5種類もの品種があります。冷涼な地域も太平洋の影響の大きなウエスト・ソノマ・コースト、ロシアンリバーの影響の大きなロシアンリバー・ヴァレー、太平洋からの風の影響が大きなペタルマギャップ、サンパブロ湾の影響が大きなカーネロスと、理由も特性も様々。本当に奥が深いのです。この講座ではそれをできるだけわかりやすく楽しく、ひもといていきます。

2つ目は「カリフォルニアワインを楽しもう
これは私の出している講座の中では一番入門的な位置付けです。3回でカリフォルニア全体を扱います。ワインも他の講座に比べるとちょっとカジュアルなレベルです(といっても1本平均8000円くらいにはなっています)。入門的なワインの講座を受けた後や、ソムリエ/ワイン・エキスパートの試験の後に受けるようなことをイメージしています。講座開始は1月なので、まだ時間はあります。

3つ目は「カリフォルニアの超一流ワイナリー ハーラン編
3回連続の講座で出していたときも含めると、4回めとなるハーラン単独講座です。ハーランファミリーのワインを横並びで飲める貴重な機会です。今回はボンドの単一畑も2種類出します。11月18日開催です。

講座もコロナに振り回されているところは少なからずありますが、教室は換気もしっかりして、感染対策に力を入れています。状況が許せば、クラス会で親睦を深められたらとも思っています。ご受講お待ちしています。
Date: 2022/0808 Category: 業界ニュース
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ナパのホーニッグ(Honig)で8月2日にソーヴィニヨン・ブランの収穫が始まりました。ナパでは2022年の初収穫となります。2021年はサン・スペリー(St. Supery)のソーヴィニヨン・ブランが初収穫だったので2年連続で、ソーヴィニヨン・ブランから収穫が始まりました。

従来は、マムやシャンドンといったスパークリング・ワインのプロデューサーがカーネロスで始めることが多かったのですが、ここ2年はソーヴィニヨン・ブランが先んじました。気候的な変化によるものなのか、ワイン・スタイルの変化によるものなのか、どうなのでしょう? ちなみにマムの収穫は8月5日に始まったそうです。

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ソノマでも8月5日に、ロシアンリバーヴァレーのマーティン・レイ・ヴィンヤーズでピノ・ノワールの収穫がはじまっています。これはスパークリングワイン用のものだとのこと。これは昨年より1週間早く、これまでで一番早い収穫だったとのこと。

今年は春先に霜があったことから、収穫量としては平年よりもやや少なくなりそうです。
Date: 2022/0807 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインのパッケージデザインを審査する「PACK」アワードが行われ、ベスト・イン・ショーにシニョレッロ(Signorello)の「S」が選ばれました。

「S」のラベルは中央にSの字が描かれています。このラベルは、現オーナーのレイ・シニョレッロがワイナリーを設立した父、レイ・シニアから贈られたモノグラムのカフスボタンにインスピレーションを受けて作られたそうです。モノグラムの背景には、地形と複数のブドウ畑を示唆するエンボス加工のモダンな「S」パターンが施されています。その美しさとシンプルさが審査員に高く評価されたようです。

私がこのワインを紹介した記事「ナパの上級カベルネが現地価格以下、シニョレッロの新作「S」」でもラベルを褒めています。

あと、ワインも非常においしく、実は現地価格よりも安いので、かなりおすすめのワインです。

ココスです。


Wassy'sです。

Date: 2022/0805 Category: 業界ニュース
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ワインをベースに柑橘類などのフレーバーを付加し、軽く炭酸も入ったデコイのプレミアム・セルツァー。夏にぴったりの爽やかな味わいで個人的にもお気に入りです。


このデコイのセルツァーにいい話と悪い話が…

いい話は、ネット通販で気軽に買えるようになったこと。これまでは限定的な店舗にしか置いてなかったのですが、しあわせワイン倶楽部などのネット通販でも取り扱うようになっています。

一方、悪い話は…

なんと、既に米国では生産中止になってしまったとのこと。あまり売れなかったのでしょうか。
まだインポーターには在庫があるようですが、今の在庫がなくなってしまったら終了とのことです。というわけで、今のうちに買い込んでおくのが吉だと思います。

しあわせワイン倶楽部です。



ドラジェです。




トスカニーです。


フェリシティです。

Date: 2022/0804 Category: 業界ニュース
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ボンテラ
メンドシーノで有機栽培のパイオニアとして知られるフェッツァー・ヴィンヤーズ(Fetzer Vineyards)が、社名をボンテラ・オーガニック・エステーツ(Bonterra Organic Estates)に変更したと発表しました。

フェッツァーは1968年にフェッツァー家が設立。有機栽培に力を入れ、1980年代には有名ブランドのボンテラ(Bonterra)を立ち上げましたが1992年に大手酒造メーカーのブラウン・フォーマンに売却しました。その後、2011年にチリのヴィーニャ・コンチャ・イ・トロに売却され、現在に至ります。

今後もフェッツァーブランドは残りますが、会社名としてはボンテラが使われることになります。

なお、フェッツァー家の子息の多くは、現在はメンドシーノ中心にそれぞれのワイナリーを持っています。
Date: 2022/0803 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのオーク・ノールにあるワイナリー「トレフェッセン(Trefethen)」のセカンドラベル、「エシュコル(Eshcol)」のワインを試飲しました。

トレフェッセンは1968年設立、1979年にはパリで行われた「ワイン・オリンピック」というイベントでシャルドネが世界一に選ばれています。世界一という点ではパリスの審判のシャトー・モンテレーナと較べてもすごいのですが、意外と知られていない歴史です。設立から今まで家族経営を続けています。

オーク・ノールのワイナリーの周囲に400エーカー、マヤカマス山地に40エーカーの自社畑を持っていて、サスティナブルで栽培しています。すべて自社畑のワインで、今回のエシュコルも自社畑を使っています。

ワインは2020年のシャルドネと2019年のレッド・ブレンド。

シャルドネはバランスの良さが際立ちます。先日紹介したテザーのような樽感やバターの風味はなく、白い花や柑橘、ミネラルなど高いトーンの味わいです。ちなみに発酵は樽17%。熟成はフレンチオークの樽ですが、新樽率は5%と隠し味程度です。セカンドラベルといえどナパのシャルドネの中でもバランスの良さでは上位に入りそうです。

レッド・ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー44%、プティ・ヴェルド3%、マルベック2%、カベルネ・フラン1%の構成。カシスやブラックベリーの黒系果実にレッド・チェリーの赤系果実の風味もあります。ややパワフルですが濃厚一辺倒ではなく、複雑味もかなりあります。これもセカンドラベルとしては非常に秀逸です。新樽率13%とシャルドネよりは少し高く、アメリカンオークも使っています。

トレフェッセン、ナパのワイナリーの中ではちょっと地味な存在かもしれません。評論家から100点やそれに近い評価を受けているわけでもないし、ワイナリーの場所もオークヴィルやラザフォードのような、輝かしい畑のひしめくところではありません。しかし、ワインは本当に真面目に作っていて、爆発的な味わいはなくてもしみじみ美味しいものばかりです。このエシュコルも先日のテザーと好対照で、テザーがナパらしい爆発感が売りなのに対してこちらはじっくり味わいたいワインです。

また、ナパのワイナリーの多くではセカンドラベル(セカンドティアといった方がいいかもしれません)には、他の栽培家から購入したブドウも使っています。例えばロバート・モンダヴィでは「オークヴィル」などAVA名の付いたものより上だけが自社畑100%で、カベルネ・ソーヴィニヨンなら1万円を超えてきます。エシュロンはシャルドネで4000円前後、レッド・ブレンドで5000円前後ですが、この価格帯で100%自社畑は非常にレアです。

個人的にも非常にいいワイナリーだと思っているし、応援したいところでもあります。ぜひみなさん買ってください。

トスカニーです。



Wassy'sです。


Date: 2022/0801 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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布袋ワインズが輸入を始めた「テザー(Tether)」のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。ワインメーカーはアナとマリオのモンティチェリ夫妻。アナはサンテミリオンのシュヴァル・ブランやナパのプリチャード・ヒルにあるブライアント・ファミリーといったトップワイナリーで働き、マリオはイタリアで修行後、フィリップ・メルカのアシスタントやトリンチェロなどで働いた後、自らのブランドを立ち上げました。

すでにスタックハウスというブランドが輸入済みですが、テザーはそれよりちょっと高価格帯になります。

ナパ・ヴァレーAVAのシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンでどちらもナパ内の複数のサブAVAからブドウを調達してブレンドしています。

シャルドネは、今どき珍しいほど樽感がしっかりあります。100%マロラクティック発酵しておりバターっぽさもしっかり、クリーミーなテクスチャーが印象的です。樽感とバターというとブレッド&バターを思う人が多いと思いますが、ブレッド&バターよりも全体に上質な味わいで果実味もきれい。上手にまとめています。多くの人が思う「ナパのワインってこういう感じだよねえ」というのをストレートに実現した味わい(意外とそういうワインってありません)。

カベルネ・ソーヴィニヨンの方もモダンスタイルできれいに溶け込んだタンニンと果実味の芳醇さが印象的な味わい。ナパの高級カベルネの入門的な感じもあります。

ヴィンテージはどちらも2019年で、シャルドネはジェブ・ダナック92点、ワイン・アドヴォケイト90点。カベルネはどちらも92点となっています。

ちなみにテザーというのはロープでつながっているということ。世界各地で修行した二人ですが、奥底ではいつもナパとつながってきたということを表しています。ラベルに描かれたロープにつながる宇宙飛行士も印象的です。

しあわせワイン倶楽部です。


Date: 2022/0730 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2020年のグラス・ファイアーでワイナリーや畑の大半を焼失する大きな被害を受けたナパのスプリング・マウンテンのニュートン・ヴィンヤード(Newton Vineyard)。このほどカリストガにテイスティング・ルームをオープンしました。


場所は 1171 Tubbs Lane, Calistoga
シャトー・モンテレーナと同じ道沿いで1kmほど南西側にあります。

テイスティングは予約のみで着席形式。フラグシップのThe Puzzleを含む4種の山のワイン、シャルドネ、2種の単一畑カベルネ・ソーヴィニヨンで100ドルとなっています。

また、この場所は今後ニュートンのワイナリー(醸造設備)としても使われるようです。
Date: 2022/0729 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フランスのアクサ生命のグループでワインビジネスを行っているアクサ・ミレジムがソノマのプラット・ヴィンヤード(Platt Vineyard)を買収しました。ワイナリーではなく畑の買収です。

アクサ・ミレジムという名前は初めて聞きましたが、フランスやハンガリー、ポルトガルと米国にワイナリーを所有しています。例えばボルドーではメドック2級格付けのシャトー・ピション・ロングヴィル・バロンを、ブルゴーニュではドメーヌ・ド・ラルロ、カリフォルニアではアウトポストのオーナーになっています。

プラットはウエスト・ソノマ・コーストにある畑。リヴァース・マリーの2018年のプラット・ヴィンヤード・ピノ・ノワールがヴィナスで100点を取っています。リヴァース・マリーのトーマス・リヴァース・ブラウンによると、このあたりの「フリーストーン・ベンチ」は「ソノマ・コーストの中でもピノ・ノワールの最も偉大な地域になりつつある」といいます。例えば谷を一つ隔てたところにはスティーブ・キスラーのオクシデンタルの畑などがあります。

Platt

アクサ・ミレジムによると、ピション・ロングヴィル・バロンに呼応してアウトポストを手に入れたように、ドメーヌ・ド・ラルロに呼応して素晴らしいシャルドネとピノ・ノワールの畑を手に入れたということです。今後はトーマス・ブラウンやアウトポスト社長のフランク・ドツラーとこの畑のポテンシャルを引き出していきたいという意向。プラットのワイナリーも作るということなのでしょう。

ちなみに、今回調べていて初めて知ったのですが、プラットのこれまでのオーナーはフラナガン・ワイン。日本ではマッシュ・ワインが輸入していますが、非常に素晴らしいワインを作るワイナリーです。
Flanagan Wines フラナガン ワインズ
また、プラットの畑の名前はこの畑を作った故ルー・プラットから来ています。ルー・プラットはHPにエンジニアとして30年以上勤め、社長兼CEOにまでなった人。有名なカーリー・フィオリーナの前任者です。フィオリーナの就任時には半ば追われるようにやめたプラットでしたが、その後フィオリーナが成果を上げられずに退任するに至り、改めてプラットの功績が見直されたようです。HP退任後はケンダル・ジャクソンのCEOに就任し、ワイナリー売却などの道筋を探りましたが、結局ケンダル・ジャクソンは創業一族が見ることになり1年ほどで退任。退任の際に、ソノマに小さな畑を作り、そこに専念すると言っていたのがこのプラットの畑のことでしょう。

プラットは2003年にはボーイングの非常勤会長になりましたが2005年に脳動脈瘤で亡くなってしまいました。ワイン業界ではそれほど大きな足跡を残したわけではありませんが、こうして注目される畑を作ったことは彼の最後の大きな功績だったのかもしれません。
Date: 2022/0728 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日も紹介した元セインツベリーのブランド「ガーネット」のシャルドネとピノ・ノワールを試飲しました。モントレー産のシャルドネ2016と、ソノマ・コースト産のピノ・ノワール2013です。

シャルドネは濃いイエローで、見た目は熟成感ありませんが、飲んでみると意外と熟成しています。バランスよく、まったり感のあるシャルドネ。美味しいです。

ピノ・ノワールは9年経っているので、色合いもちょっと煉瓦色になっています。少し漬物感もあります。個人的には漬物感はあまり得意としていないのですが、これはほどよい感じです。チェリーなどの赤果実もまだ残っていますし、バラの香りもあり、ちょうど飲み頃と言って良さそうです。逆に言うと、これ以上は熟成させない方がいいかもしれません(好みによりますが)。

シャルドネは税込みでも1000円台、ピノ・ノワールは税込みで2000円台前半という実売価格としては十二分のクオリティです。

柳屋です。



アサヒヤです。



セインツベリーの熟成シラーとのセット。これもかなりお買い得です。

Date: 2022/0726 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニア州は、2022~2023年度の州予算で、農家や牧場が有機栽培に移行するための助成金や技術支援、教育などのために500万ドルを拠出することを決めました。

CCOF(California Certified Organaic Farmars)によると、このプログラムでは、社会的に不利な立場にある農家や牧場主への資金も確保されています。熟練の有機栽培のメンターによる指導が、移行のための技術支援の重要な要素であるとして、それらへの拠出も行います。

このほか、CCOFはカリフォルニア大学農学自然資源学部の有機農業研究所(OAI)の強化にも取り組んでおり、OAIでの有機研究および技術支援を支援するためにも85万ドルを確保したとのこと。

Date: 2022/0725 Category: おすすめワイン
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ilovecalwineの試飲会で、コブ(Cobb)の新入荷ワインを試飲足ました。

コブはデイビッドとロスの親子が始めたワイナリー。当初はコーストランズ(Coastlands)という畑でピノ・ノワールを育ててウイリアムズ・セリエムなどに売っていましたが、2001年から自身のワイナリーを立ち上げています。ワインメーカーのロス・コブは、ウイリアムズ・セリエムやフラワーズなどでソノマの冷涼地域のワインを造り、その経験を自社のワインでも生かしています。

ソノマ・コーストのピノ・ノワールは冷涼さによって酸がしっかり残りながら、強い日差しによってアルコール度数が高く、パワフルさも持つことがしばしばありますが、コブのピノ・ノワールは非常にエレガント。アルコール度数も13%台。畑に霧が残る時間などによるものなのでしょうか。非常にピュアなフルーツの味わいがあり、熟成も期待できるワインです。

今回はソノマ・コースト・ピノ・ノワール2020とライススピーパック・ピノ・ノワール2018を試飲しました。

ソノマ・コーストのAVA版のピノ・ノワールはワイナリーのページにも掲載していないワイン。ちょっとでも手の届きやすいワインということで造ってもらっているそうですが、細かい情報はほとんどありません。ストロベリーやラズベリーのジャム、酸がとてもきれいです。これを飲んでカリフォルニアのピノ・ノワールだと思う人はほとんどいないのでは? とても美味しく、安い値段ではないですが、それでもコスパ的に優秀と感じました。

ライススピーパックはセバストポールの町の近くにある畑で、砂混じりのロームと火山灰とが混じった土壌。ディジョン系とスワンのクローンを使っています。ソノマ・コーストと同様、ピュアな果実味がとてもエレガントで、旨味系やミネラル系の風味もあります。ソノマ・コーストよりも熟成を楽しむタイプといっていいでしょう。個人的には、今飲むならソノマ・コーストで十分だと思いますが、10年熟成させるなら、こちらを選びたいと思います。

ピノ・ノワール2種に加えてコール・ランチ・リースリング2020も試飲しました。こちらは非常にドライなリースリング、白い花や濡れた石、ミネラル感にあふれたリースリングです。カリフォルニアではリースリングを飲むことはあまりないので、きちんと評価するのは難しいですが、とても美味しく感じました。




Date: 2022/0722 Category: 業界ニュース
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輸入量
カリフォルニアワイン協会が財務省貿易統計データから調べたデータによると、2021年6月から2022年5月の1年間における米国産ワインの輸入額は154億1919万9000円で、フランス、イタリア、チリに続く4位でした。1年前のデータではスペインが5位で米国が6位でしたが、順位を一つ上げました。

ただ、数量ベースではスペインとオーストラリアも下回って6位。1年前はオーストラリアをわずかに上回って5位だったので順位は一つ下がっています。

なお、今年の順位は2019年6月~2020年5月の順位と同じなので4位に返り咲いたとも言えます。

金額自体を見ると2019年6月~2020年5月が149億1100万円(10万円以下四捨五入、以下同)だったのに対し、コロナ禍が始まった2020年6月~2021年5月が121億5900万円と大幅に落ちており、2021年6月~2022年5月はコロナ前の金額よりも上がったことになります。

数量ベースでみると2年前の1503万リットルから1年前は1273万リットルと急減、今回は1306万リットルと1年前は上回っていますが、2年前には及んでいません。コロナ禍の副作用として船舶による流通の問題、いわゆるコンテナゲドンが起こっていることはこのブログでも何回か解説しています。カリフォルニアワイン協会によると2022年に入ってからは輸入量が急増しているとのことですが、全体ではそれほど伸びていないということで「2021年中の輸入が大変厳しかったことがうかがえる」としています。

また、1リットル当たりの輸入額は1181円と、この3年で初めて1000円を超えました。1000円を超えているのは後はフランスの1951円とニュージーランドの1006円だけですから、米国産ワインはかなり高級側にシフトしていることになります。

これらのデータは米国産ワイン全体のものですが、カリフォルニアワインは輸入の約95%を占めていますので、カリフォルニアワインの輸入の現状もほぼこの通りと考えていいでしょう。
Date: 2022/0721 Category: 業界ニュース
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ラジエメレディス
ナパのマウント・ヴィーダーにあるラジエ・メレディス(Lagier Meredith)が、畑やワイナリーを同じマウント・ヴィーダーのワイナリー「ポット・ワインズ(Pott Wines)」のオーナーであるアーロン・ポット夫妻に無償で譲ることが判明しました。

ラジエ・メレディスはロバート・モンダヴィで長らくワインメーカーを務めたスティーブ・ラジエと、UCデーヴィスの研究者でジンファンデルのルーツを発見したことで知られるキャロル・メレディス夫妻のワイナリー。ナパにありながら、シラーやモンデュース、トリビドラグ(ジンファンデルのルーツにあたるクロアチア産のブドウ)などを作っており、カベルネ・ソーヴィニヨンには手を出していません。

アーロン・ポットは自社のワインのほか、数多くのコンサルタントをしている人です。

スティーブ・ラジエとキャロル・メレディス夫妻は高齢で引退を考えていましたが、住まいとしてはそのままマウント・ヴィーダーの家にいることを望んでいました。老後の資金は蓄えてあるため、あえて地所を売る必要もありませんでした。そこで同じところに住みながら畑やワイン造りを譲れる人として、以前から親交のあったアーロン・ポット夫妻を選んだということです。

また、引退といっても、まだリリースしていないワインも残っていますし、日常的なワイナリーの管理や山火事対策なども行っています。そういう意味では本当に引退するまではまだ2、3年かかる見通しです。



Date: 2022/0720 Category: おすすめワイン
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ilovecalwineの試飲会でポール・ラトー(Paul Lato)が作るハイド・ヴィンヤードのシャルドネとピノ・ノワールを試飲しました。

これまでサンタ・バーバラやサンタ・ルシア・ハイランズなどセントラル・コーストのワインで非常に高評価を得てきたポール・ラトーがついにナパの銘醸畑ハイドのワインを作ったということで、シャルドネやピノ・ノワールのファンなら見逃せないワインです。

畑ごとにワインにニックネームを付けるポール・ラトーですが、ハイドのシャルドネは「ゴールドバーグ・ヴァリエーションズ(Goldberg Variations)」。それに今回は#2と加えられています。2019年のワインでこれが2ヴィンテージ目だからということでしょうか(2018年は#1が付いていました)。また、ピノ・ノワールの方は「マジック・モーメンツ(Magic Moments)」。ヴィンテージは2020です。

シャルドネは香りの豊かさに加えてバランスが素晴らしい。オーベールのハイドのような濃厚な味わいではなく、すべての要素がタイトに引き締まっており、しかもレベルが高い。おそらく長期の熟成でさらに魅力を発揮するワインだと思います。

ちなみにこの試飲会では非常にレアかつ高評価かつ人気が高いピゾーニのシャルドネ「イースト・オブ・エデン2019」も試飲しました。イースト・オブ・エデンはミネラル感が強く、人によってはそちらを選ぶと思いますが、個人的にはハイドに軍配をあげます。

ピノ・ノワールはカレラのクローンを使っているとのこと。黒果実や青果実の風味まで感じられるところなど、カレラの雰囲気と少し似ているかもしれません。ただ、カレラは少し重さを感じることが多いですが、ポール・ラトーは軽やか。これも非常にバランスがいい。シャルドネよりもさらにレベルが上かもしれません。

久しぶりに興奮するくらい美味しいシャルドネとピノ・ノワールでした。

Wassy'sです。



柳屋です。


ココスです。

Date: 2022/0719 Category: おすすめワイン
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かつてセインツベリーのセカンドラベルだった「ガーネット」ブランド。現在はブロンコ傘下になっていますが、そのシャルドネとピノ・ノワールがスポットで国内入荷しています。

シャルドネは2016年で産地はモントレー、ピノ・ノワールは2013年で産地はソノマ・コースト。シャルドネは税込みでも1600円台、ピノ・ノワールは税込みで2068円(税抜きなら1880円と1000円台)とかなりお買い得です。

コロナ禍で需給バランスが崩れた影響で、売れ残っていたものをインポーターの布袋ワインズが安く入荷したもの。オーナーがソノマに住む同社ならではの買付です。

ショップはアサヒヤワインセラーです。


Date: 2022/0715 Category: おすすめワイン
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楽天のワインショップ ドラジェでナパのワイナリー「ドメーヌ・ナパ」のナパ・ヴァレー・シャルドネ2014が税込み2728円と安くなっています。

ドメーヌ・ナパについては調べてもほとんど情報が出てきません。おそらく現在は廃業してしまったか、輸出専用のブランドかといったところでしょう。インポーターの布袋ワインズが現地で売り先に困っていたものを発掘したといった感じだと思います。

ナパ・ヴァレーのAVA名の付いたシャルドネでこの価格は、かなり安いと思います。ヴィンテージ的にも飲み頃といっていいでしょう。ショップのコメントを見ると、樽の効いたリッチ系の味わいのようです。

なお、同じワイナリーのナパのピノ・ノワール(産地はアトラスピーク)も3000円台とかなり安いです。



Date: 2022/0714 Category: おすすめワイン
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ナパのレアム・セラーズ(Realm Cellars)のロゼが日本市場に入ってきています。レアムといえば「パーカー100点」を12本も輩出している超プレミアム・ワイナリー。カルトワインブーム以降に誕生したワイナリーの中ではハンドレッド・エーカーと並んで高評価を得ています。

ロゼを作ったのはこれまで2020年の一度きり。2020年は「グラスファイアー」と呼ばれる山火事でナパにも大きな被害が出た年で、特に赤ワインの生産量は3割ほども減っています。特にプレミアムなワイナリーでは生産を諦めたところが多いのですが、レアムは早摘みしたメルローを使ってロゼを作ることにしたのでした。

あくまで窮余の策として作ったワインですから、通常のコンディションであれば今後は作られないはずのワイン。むしろそうあってほしいと願うところです。

1万円を超えるロゼとしては相当高価なワインですが、ワイン・アドヴォケイトでは90点とロゼにしてはかなり高い評価も出ています。

また、柳屋で売っている「プレシャスツイン」も同じワインですが、ボトルの調達の問題でボトリング時期がずれたため、別の名前にしているとのことです。

ココスです。


青山ワインマーケットです。


柳屋です。


ロゼついでに紹介しておきます。プリズナーのロゼも国内入荷しています。日本に入ってきたのは120本だけというからこれも相当の珍品ですが、値段は控えめです。品種はピノ・ノワールとシラー、グルナッシュ、ムールヴェードル。

柳屋です。


カリフォルニアワインあとりえです。

Date: 2022/0713 Category: 業界ニュース
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Shauna
1980年代や90年代に「ジンファンデルの3R」と呼ばれていたのがリッジ(Ridge)、Ravenswood(レーヴェンズウッド)、ローゼンブラム(Rosenblum)でした。ラファネリ(Rafanelli)を加えて4Rとも呼ばれ、古木のジンファンデルなどをリードしてきました。

その一つであるローゼンブラムの創設者ケント・ローゼンブラムの娘のシャウナ・ローゼンブラムがリッジのリットン・スプリングスのワインメーカーに就任しました(Shauna Rosenblum named Lytton Springs Winemaker for Ridge Vineyards)。

シャウナは3歳で、ブドウのBRIXの調べ方を父から教わるなど英才教育を受け、12歳でボトリングラインで手伝うようになり、10代のうちにブレンディングに同席するようにもなっていたとのこと。

2008年にローゼンブラムをブロンコに売却してからは、父とともにロック・ウォール・ワイン・カンパニーを設立し、ワインメーカーに就任していました。2018年にケントが亡くなり、その後は社長兼会長となっていしたが、コロナ禍で経営が傾き、2022年2月に廃業を発表していました。

リッジはサンタ・クルーズ・マウンテンズのモンテベッロと、ソノマのリットン・スプリングスにワイナリーを所有しており、リットン・スプリングスでは主にリットン・スプリングスの畑のワインを醸造しています。ワイナリーの壁に藁を使い、自然の空調を生かした省エネの構造になっていることなどでも知られています。
名門ワイナリー2軒のサスティナブルへの取り組み

なお、ジンファンデルの4Rのうち、ローゼンブラムは前述のようにブロンコ傘下になり、レーヴェンズウッドはガロ傘下に入りましたが、ラファネリは家族経営を続けています。
Date: 2022/0712 Category: おすすめワイン
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2021年のワイン・スペクテーター「ワインオブ・ザ・イヤー」を獲得したドミナス(Dominus)2018が国内に入荷しています。

ドミナスはシャトー・ペトリュスなどを有するムエックス家のクリスチャン・ムエックスがナパのヨントヴィルに開いたワイナリーです。1980年代からナパのトップワインの一つとして高い評価を受け続けています。

例えばワイン・アドヴォケイトでは100点4回、99点以上が7回、今回の2018年も99+という点数です。アントニオ・がっローニのヴィナスでは100点は1回だけですが、2018年は99点とやはり高評価。このほかジェームズ・サックリングとジェブ・ダナックも2018年のドミナスに100点を付けています。

ユニークなのは当初から灌漑なしで栽培をしていること。ナパではかなり珍しいです。また、有機栽培を行っています。そういう意味ではここも自然派と言えなくはないですが、自然派の文脈で語られることはほとんどないようです。

価格は5万円台~と、オーパス・ワンと同等クラス。評論家の評価で言えばこちらの方が上ですが。



Date: 2022/0711 Category: 業界ニュース
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オレゴン州に新たなAVAが誕生しました。正式名称は「マウント・ピスガー・ポークカウンティ・オレゴン(Mt. Pisgah, Polk County, Oregon)」。マウント・ピスガーという山はいくつかの州にあり、オレゴン州の中にもレーン・カウンティというところにもあるそうです。というわけで郡の名前と州の名前まで入っています。ちなみにカリフォルニアでもGreen ValleyというAVAはロシアン・リバー・ヴァレーとソラノ郡にあるので、「Green Valley of Russian River Valley」、「Solano County Green Valley AVA」というのが正式名称になっています。

新AVAについて詳しくは「オレゴン州に23番目の新AVA誕生|ワシントンとオレゴンのワイン輸入してます。|note」で紹介されていますので、ここではごく簡単に。

このAVAはウィラメット・ヴァレーの11番目のサブAVAであり、ウィラメット・ヴァレー北部の中では一番南にあります。


現在ぶどう畑は10個、ワイナリーはAmelie Robert Estate、Ilahe Vineyardsの2つがあります。日本に輸入されているワインでは、ケン・ライト・セラーズのフリーダム・ヒル・ヴィンヤードがあります。


Date: 2022/0708 Category: グルメ
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先日のナパのセミナーの後、講師の四家さん、ナパヴァレー・ヴィントナーズの若下さんと表参道のビストロ「クプレ」に行ってきました。カウンター14席、テーブル8席の小さなビストロです。

ビストロクプレ

表にはフランスの国旗が掲げてありますが、ちゃんとカリフォルニアワインも置いてあります。

乾杯はグラスのクレマン・ダルザスをいただきましたが、ワインはせっかくなのでナパのものから、ということでまずはルイスのソーヴィニヨン・ブラン。ルイスらしい濃厚で樽もしっかりと効いたソーヴィニヨン・ブラン。肉のパテにもよく合います。

メインの鹿肉に合わせたのはシャトー・モンテレーナのジンファンデル。バランスのよいミディアム・ボディで鹿肉の美味しさをよく引き出してくれました。
料理もワインも美味しくて、めずらしくちょっと飲みすぎました。
Date: 2022/0706 Category: おすすめワイン
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3月に「ドルーアンが造る高評価のオレゴンピノが格安」という記事で紹介したドルーアンがオレゴンで作る「ローズロック」。ドルーアンといえばブルゴーニュからオレゴンに来たパイオニアですが、そこがエオラアミティヒルズに新たに作った畑が「ローズロック」です。

ここの2019年に評論家が軒並み高評価を付けているのです。

ワイン・アドヴォケイトではスタンダードのピノ・ノワールとゼフィリーヌ(Zephirine)というポジティブ・セレクションのピノ・ノワールがともに97点、シャルドネはマリゴールド(Marigold)というポジティブ・セレクションが97点で、なんとスタンダードのシャルドネが99点。ワイン・スペクテーターでもスタンダードのピノ・ノワールが95点、ジェームズ・サックリングもスタンダードのピノ・ノワールに94点を付けています。

3月の入荷分はものの2日ほどで売り切れてしまっていましたが、別のショップで今は50本ほども在庫があります。価格は税込み4000円台で、ワイナリー価格の35ドルと較べても今の円安で計算すると、むしろ安いくらい。超お買い得であるのは間違いありません。


Date: 2022/0705 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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初代ナパヴァレー・ベスト・エデュケーターに選ばれた四家史一(しけ・ふみかず)さんがアカデミー・デュ・ヴァンで開催した講座に参加してきました。



2時間のセミナー、半分が講義で半分が6本のナパのワインを試飲するという構成。講義が始まったときはちょっと緊張で固くなっている感じもありましたが、だんだんこなれてきて非常にいいセミナーでした。資料もかなりの労作でした。

試飲のワインは以下の6本。
Silverado Vineyards Sauvignon Blanc Miller Ranch 3,630円(税込)
Shafer Red Shoulder Ranch Chardonnay 10,200円(税込)
Girard Old Vine Zinfandel 5,280円(税込)
Merryvale Carneros Pinot Noir 6,600円(税込)
Duckhorn Merlot Napa Valley 8,690円(税込)
Stonehedge Trophy Premium Cabernet Sauvignon Rutherford 11,000円(税込)


シルヴァラードのソーヴィニヨン・ブランは非常に香り高く、コスパのいいワイン。シェーファーのレッド・ショルダー・ランチ・シャルドネは何度も飲んでいるワインですが、マロラクティック発酵なしでフレッシュさときれいな果実味がいつも心地よいワイン。ジラードのオールド・ヴァイン・ジンファンデルはその柔らかさと芳醇さに驚いた人が多かったようです。私ももう何回リピートしているかわからないくらい飲んでいます。メリヴェールのピノ・ノワールはちょっと甘やかさのあるチャーミングな味わい。ダックホーンのメルローはもう間違いのない味ですね。最後のストーンヘッジは四家さんの勤めるヴィノスやまざきが輸入しているワインでヴィノスやまざきのために特別に作っているキュベです。濃厚でパワフル、期待を裏切らないワインでした。

なお、今回は満席で9月に2回めが開催されます。講義内容は基本的には同じですが、試飲のワインはさらに厳選されたものが登場するようですよ! すでに席も埋まりつつあるとのことなので、お申し込みはお早めに。

【追記1】
と、書いたところで気が付きましたが2回めもすでに満席のようです。きっと3回めもあるでしょうからまたお知らせします!

【追記2】増席したようです!
青山校 ここから始める!ナパ・ヴァレーワインの初歩 ~NAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR が語るNAPAの魅力~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン


Date: 2022/0702 Category: テイスティング・ノート
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ウェンテ(Wente)のカベルネ・ソーヴィニヨン サザン・ヒルズ(サウザン・ヒルズ)2018を飲みました。ウェンテといえば、カリフォルニアのほとんどのシャルドネの元祖と言ってもいいほどシャルドネが有名で、特に「モーニング・フォグ」のシャルドネは個人的フェイバリット。2000円弱で買えるシャルドネとしては驚くほどバランスよく、いつ飲んでもおいしいワインです。

今回のサザン・ヒルズもモーニング・フォグと同じく「エステート・ティア」という自社畑のシリーズ。リヴァモア・ヴァレーの自社畑のブドウを使っています。国内価格は2000~2500円といったところ。

カリフォルニアに最初にカベルネ・ソーヴィニヨンを持ち込んだのはチャールズ・ウェットモアという人で、リヴァモアにシャトー・マルゴーからの苗木を植えたのですが、この畑も現在はウェンテの所有になっており、実はカベルネも元祖的存在なのです。

このサザン・ヒルズのカベルネ・ソーヴィニヨンも、モーニング・フォグと同様に非常にバランスよく、ミディアムプラスボディで酸もタンニンも中庸。きれいな果実味と余韻があって2000円クラスとは思えないレベルです。このクラスだと、樽を強めに効かせたり、ちょっと甘めの造りにするなどボディを強めに作って印象を強くしたワインが多いのですが、そういう奇をてらわずに正攻法でおいしいワインを作っている感じがします。

そもそもこのワイン、ワイナリー価格が20ドルで、輸送費とかを考えずに単純に計算しても3000円。普通は国内価格が4000円台になるくらいのワインです。ちょっと値付けが安すぎる感じがします。

とはいえ昨今の円安だと、今後値上がりする可能性もかなりありそうなので、今のうちに買っておくのが吉かもしれません。




Date: 2022/0630 Category: 業界ニュース
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フランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)がナパのワイナリー、ジョセフ・フェルプス(Joseph Phelps)を買収しました(LVMH buys California wine giant Joseph Phelps as high-end drinks market soars)。

ジョセフ・フェルプスは故ジョセフ・フェルプス氏が1973年に設立したワイナリー。以来家族経営を続けてきました。初代のワインメーカーである故ウォルター・シュグが作ったボルドー系ブレンド「インシグニア(Insignia)」で知られるワイナリーです。ナパの様々な銘醸地に自社畑を所有し、そのブレンドで作っているワインです。インシグニア以外にもオークヴィルのバッカス・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンも著名であり、ソノマ・コーストの中でも冷涼なフリーストーンにも畑を開発してピノ・ノワールやシャルドネを作っています。

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LVMHとしてはハイエンドのカベルネ・ソーヴィニヨンのブランドがほしかったとのこと。LVMHはシャンパーニュのドン・ペリニオンやモエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、クリュッグを初め、シュヴァル・ブランやシャトー・ディケムなどを持ち、カリフォルニアではニュートンとシャンドンを保有しています。またコルギンの大株主にもなっています。

インシグニアはブランド力があるのはもちろん、生産量もかなり多く、LVMHのニーズに応えやすかった面がありそうです。一方、これまでのオーナーのフェルプス家はあまり表に出ることがなく、どういう経緯だったのかは今回のニュースでも明らかになっていません。
Date: 2022/0629 Category: 業界ニュース
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今年1月に浅草橋駅近くの自社ビルに移転した中川ワイン。その自社ビルで行われるミニ試飲会に参加してきました。普段の試飲会と比べると3分の1くらいのアイテム数で、ゆっくり試飲できます。今回は「中川らしいワイン」がテーマだとのこと。新入荷のワインもいくつか出ていました。


まずは新入荷からイーター(Iter)のピノ・ノワールです。イーターはスパークリングの輸入から始まりましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンが追加され、今回シャルドネとピノ・ノワールも入りました。2300円とリーズナブルな価格帯で、ベリーの味がさわやかでやや軽快なピノ・ノワールです。これからの夏の季節にも向きそうなワインです。


もうひとつ夏向きのワインとしてホーニッグ(Honig)のソーヴィニヨン・ブラン(3500円)です。スタンダードなソーヴィニヨン・ブランで酸がきれい。


リヴァース・マリー(Rivers-Marie)のシャルドネ ソノマ・コースト2019(6500円)です。リヴァース・マリーというと、Vinousで100点を取ったピノ・ノワールや、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージが強いですが、実はシャルドネも美味しいです。これは一番エントリーの位置付けですが、リッチでクリーミー、しかもエレガントですべての要素が溶け込んでいます。クオリティ的には1万円クラスに引けを取らないと思います。


ダックホーン・グループからゴールデンアイ(Goldeneye)のピノ・ノワール。アンダーソン・ヴァレー2019(7000円)とアンダーソン・ヴァレー ゴーワン・クリークヴィンヤード(1万1000円)。冷涼なアンダーソン・ヴァレーのワインであり、酸がよく利いています。果実味もどちらもきれい。単一畑ものはミネラル感もあります。


デコイ(Decoy)のやや高級版であるリミテッドのカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(4400円)。ナパ・ハイランズのヒット以来激戦区になった価格帯ですが、ここで勝負できるだけのリッチさとバランスの良さを併せ持っています。樽もほどよく利いています。


今回の目玉といっていいでしょう。新入荷ワインとなったマウント・ヴィーダー(Mount Veeder)のカベルネ・ソーヴィニヨン 2019(1万2000円)です。ワイナリーの名前の通り、ナパのマウント・ヴィーダーのブドウを使ったワイン。山のワインらしい強固なタンニンと、ハーブの風味、ジューシーな果実味があり、非常においしい。近年いわゆる「山カベ」で1万円台のものはほとんどなく、大体が2万円以上になっていたので、この価格帯では貴重なワインです。

この後は、プレミアム系のセカンド・ワインシリーズ。

まずはラッド(Rudd)のセカンドのクロスローズ(Crossroads)からカベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル 2017です(1万2500円)。ストラクチャーがしっかりしているのが特徴。


コングスガードのセカンド・セレクション「キングスファーム」のカベルネ・ソーヴィニヨン2018(1万6000円)です。パワフルでフルボディ。酸もしっかりあってバランスもいい。レアものですが、純粋にワインとしてもすばらしい。


先日、単品でも紹介したザ・マスコット(The Mascot)。ハーランとボンド、プロモントリーの若木のブドウを使ったワインです。ハーランのセカンド「メイデン」やボンドのセカンド「メイトリアーク」が非常に入手しにくくなっている中で、2万3000円という価格もありがたいですし、クオリティ的にもよくできているワインです。




Date: 2022/0627 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Twitterの中高年の知り合いが集まった「お達者クラブ」、北は青森、南は福岡からの参加で、思い出したかのようにときどきオンラインで、皆で同じワインを飲むワイン会をしています。今回からは若い女性も2人「介護役」として参加しました。
メンバーなどは安ワイン道場の「2022年6月:稽古日誌」に載っておりますのでここでは割愛。

今回はテーマワインを選んだのは私。選んだのは「オッド・ロット レッド・ブレンド 2019」です。


このワイン、プティ・シラーとプティ・ヴェルドのブレンドというちょっと珍しい(ほかにもありますが)構成。2000円台と比較的リーズナブルな価格で果実味豊か。ジューシーさをしっかりとした酸とタンニンが支えて、甘ったるい仕上がりにはなっていないところもいいワインです。

これを選んだ一番の理由は、プティ・シラーが中心であること。

カリフォルニアらしいブドウ品種というとジンファンデルを思い浮かべる人が多いと思いますが、ジンファンデルはイタリアのプリミディーボと同じ品種であることが判明しており、イタリアでプリミディーボのワインは結構作られているので、実はカリフォルニアの専売特許というわけでもありません。一方、プティ・シラーはシラーとプールサン (Peloursin)という品種を交配したもので、正式名称はデュリフ(Durif、開発した人の名前から取ったもの)。19世紀にフランスで作られた品種ですが、今はカリフォルニア以外ではごくごく少量しか作られていません。また、プティ・シラーは非常に色が濃く、タンニンも酸も豊富な品種で、昔から「歯を紫に染める」ワイン(日本でいうとお歯黒ですね)とも言われていました。そういう意味でも、ジンファンデル以上にカリフォルニア的なブドウではないかと思って選んだわけです。

また、このワインを作っている「シャイド・ファミリー」はモントレーのブドウ畑の約1割を持つ栽培家であり、近年は様々なコスパブランドで名を馳せています。畑はすべてサスティナブル、有機栽培認証も取ろうとしています。モントレーという産地や、シャイドのことも知ってほしいという気持ちで選んだワインです。

介護役の二人が、このワインでなく「カベルネ・ソーヴィニヨン+シラー」のもうひとつのオッド・ロットのワインを買ってしまったというお笑いの一幕もありましたが、せっかくの機会なので、上記のような話も勝手にプレゼンさせていただきました。

カベルネ・ソーヴィニヨン+シラーのワインについてはこちら(コミックのラベルが楽しいユニークなブレンド第2段、味もあなどるなかれ)。

ラベルもユニークでかわいいので、個人的にも気のおけない友人へのプレゼントなどに使わせていただいているワインです。





Date: 2022/0624 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にフィールド・レコーディングスのピノ・ノワールが入荷しています。エレガント系ピノ・ノワールとしては極めてコスパ高く、個人的にはコロナ直前の2020年初頭から大プッシュしているワインでありワイナリーなのですが、今一つ扱いが増えないのを残念に思っていました。ようやく柳屋にも入った(以前からシャルドネとオレンジワインの「SKIN」は扱っていましたが)ので、これから人気が上がるのではないかと期待しています。

コスパがいいのも当然で、ワイナリー価格が25ドルですから、仮に1ドル130円としても3250円。消費税を入れたら3500円を超えます。それが税込み3000円そこそこで買えるのですから、にほんの価格はかなりがんばっているのです。

加えて、このワインのブドウの産地であるエドナ・ヴァレーは今でこそマイナー産地ですが、今後このあたりは注目されていくでしょう。今年はエドナ・ヴァレーを含む「SLO(スロー)コースト」AVAが認定され、これからは隣のアロヨグランデとともにSLOコーストとしてブランディングされていくことになると思います。カリフォルニアの中でも一番冷涼な産地であり、冷涼系がもてはやされる時代にマッチしています。


Date: 2022/0623 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ウメムラで「ザ・ペアリング」の5品種セットが送料込みで16856円と安くなっています。

NHK「あてなよる」でザ・ペアリングのソーヴィニヨン・ブランを激賞

この記事で取り上げたソーヴィニヨン・ブランも入っています。番組後はすぐに市場から消え去り、ようやく次の入荷が来ました。

ザ・ペアリングはスクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラに持つ2つのワイナリー「ヒルト(Hilt)」と「ホナタ(Jonata)」のセカンドワインという位置付けです。ヒルトはブルゴーニュ系の品種、ホナタはボルドー系やローヌ系を手掛けています。このセットにはヒルト系のピノ・ノワールとシャルドネ、ホナタ系のレッド(カベルネ・ソーヴィニヨン主体)、シラー、ソーヴィニヨン・ブランと、代表的な5つのワインが入っており、サンタ・バーバラの実力を比較的手頃な価格で体験できます。

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Date: 2022/0622 Category: 業界ニュース
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ウォルト・ディズニーの長女ダイアン(2013年に79歳で死去した)が夫のロンと設立したナパのシルバラード(Silverado)を、ソノマなどカリフォルニア各地にワイナリーを持つウィリアム・フォーリーが買収したとワイン・スペクテーターが報じています。買収金額は1億5000万ドル強(200億円ほど)とのこと。


シルバラードはスタッグス・リープ・ディストリクトにワイナリーを持ち、スタッグス・リープのほか、クームズヴィルやヨントヴィルにも畑を持っています。フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨン「ソロ」は約2万円の高級ワインです。

フォーリーはサンタ・バーバラのフォーリーに始まり、セントラル・コーストではリンコートやファイアーストーン、シャローンなどを持ち、ソノマではチョーク・ヒルやセバスティアーニなどを保有しています。近年ではソノマのフェラーリ・カラーノやシャトー・セント・ジーンなどを買収しています。

ナパではメラス(Merus)などを持っていますが、非常に規模の小さいワイナリーです。シルバラードは現状6万8000ケースですが14万ケースまでは許可を持っており、フォーリーにとっては大幅な拡充となります。
Date: 2022/0621 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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カリフォルニアのロゼばかりを持ち寄ったワイン会に参加してきました。

写真の左から
★Daou Discovery Rose Paso Robles 2020 (Grenache, Sauvignon Blanc)
★Pax Trousseau Gris Russian River Valley 2019 (Trousseau)
★Eugenia Rose of Cinsault Central Coast 2017 (Cinsaut)
★Mattiasson Rose California 2020 (Syrah, Grenache)
★Cedarville "Susan Marie" Rose Fair Play 2020 (Syrah, Grenache)
★Flowers Rose Sonoma Coast 2020 (Pinot Noir)
★La Sirena Rosato Amador County 2018 (Primitivo)
★Amuse Bouche Pret a Boire Rose Napa Valley 2017 (Grenache, Syrah)

事前に「泡もあり」と聞いていたので1本くらいは泡があるかと思ったら全部スティルでした。

最初に開けたのは左から3番めのサンソーのロゼ。日本未輸入のものです。8本の中で一番色が薄かったのでこれから開けましたが、意外と味わいはしっかり。オレンジ系の風味が印象的でした。ロゼというよりオレンジワインぽい雰囲気。

2本目はマサイアソン(左から4番目)。私が持参したワインです。これはしみじみ旨いワイン。マサイアソンは全般にしみじみ系ですが、これは特にそれを感じました。

次はフラワーズ(だったかな?)。右から3番めです。意外にも唯一のピノ・ノワール・ベースのロゼです。これは皆大好きな味。やっぱりピノ・ノワールのロゼはいいですね。

パックス(左から2番め)は真っ白のラベルにエンボス加工でPaxの字が入っています(写真だと全然わかりませんが)。トゥルソーグリを使ったワインで、チャーミングな味わい。

ダオ(一番左)はグルナッシュとソーヴィニヨン・ブランのブレンドという珍しい組み合わせ。グルナッシュらしい風味がしっかりあります。酸もきれいで個人的にはかなり気に入ったワインです。

残り3本はブラインド(といってもラインアップは公開)で飲みました。

一番左のアミューズ・ブーシュは見るからに濃厚で、一番しっかりした味わい。赤ワインに近い味を求めるならこれですね。
ラ・シレナは非常に親しみやすい味。ちょっと残糖もあるかもしれません。
シダーヴィルはマロンペーストの風味が面白いワイン。輸入元のMitsyさん持参のワインです。

料理もロゼに合わせた形で用意していただきました。店は西馬込のイルドコリンヌです。





2時半からのワイン会で終わってもまだ6時前。この季節だとまだ外は明るいです。ロゼはこんなシチュエーションにも似合います。

正直、ロゼだけで飽きないかとか、ちょっと心配だったのですが、杞憂でした。ロゼばかり飲む機会とかめったにないので、こんなに違うんだということも分かり面白かったです。
Date: 2022/0620 Category: おすすめワイン
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オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)のフラッグシップのシャルドネ「ニュイ・ブランシュ・オー・ボージュ(Nuits-Blanches au Bouge)」。新ヴィンテージの2019年がリリースされ、Wassy'sに入荷しています。
独歩
毎年キャッチフレーズが付くこのワイン。2015年の「無二」、2017年の「唯一」と、このところ1年おきに日本語のキャッチフレーズが付いていましたが、2019年は「独歩」と三度日本語となりました。

昨年亡くなった創設者のジム・クレンデネンが日本好きで、コロナ前は年に数回来日するのが当たり前のほどだったほか、二人の子供イザベルさんとノックスさんも日本好き。イザベルさんは日本の漫画が大好きで日本語を勉強していましたし、ノックスさんは、この春まで日本で大学に通っていました。そういったこともあっての日本語キャッチフレーズですが、特に今回は二人がこれからワイナリーを引き継いでいく決意も表しているようです。

まだ若く、経験もほとんどない二人ですが、幸い周囲のワイナリースタッフは変わっていないようですから、ワイン造りもこれまで通り進み、二人も成長していくことだろうと思います。


Date: 2022/0617 Category: おすすめワイン
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ハーラン・ファミリーの作るワインの中で最も安価なマスコット(Mascot)の最新ヴィンテージ2017年が国内に入荷しています。

ハーラン・ファミリーではハーラン・エステートを筆頭として、そのセカンドにメイデン(Maiden)があり、またナパの「グラン・クリュ」のカベルネ・ソーヴィニヨンの畑からテロワールを表現するワインを作るボンド(Bond)にはセカンドとして各畑のブレンドであるメイトリアーク(Matriarch)があります。

また、3つめのプロジェクト「プロモントリー(Promontory)」には「ピナルティマット(Penultimate)」というセカンドと思しきワインが2020年に追加されました。

一方、マスコットはハーランやボンド、プロモントリーの畑から若木のブドウを中心にして作ったもので、今や当主となったウィル・ハーランが、ハーランで働くようになって最初に手掛けたワインでもあります。日本に入り始めたころは4万円近くしましたが、現在は実売2万円程度からと価格もだいぶ下がっています。

実は前述のメイデンやメイトリアークは、輸入元の中川ワインでも現在ほとんど扱いがありません。畑の樹が成熟してきてセカンドに回るものが減り、輸出されなくなっているようです。ピナルティマットについては、そもそもメーリング・リストだけの販売と思われます。

マスコットは若木の成熟で味わいも当初より向上しています。おそらく収穫から5年以内の早飲みならば、ファーストのワインと比べても遜色ないのではないかと思います。実際、ハーランのセミナーではマスコットが一番おいしく感じたという人も珍しくありません。

個人的にはオーパス・ワンのセカンドワイン「オーバチュア」に3万円出すなら、マスコットの2万円の方がだいぶ魅力的に感じます。

円安がしばらく続きそうなことを考えても。今は買い時かもしれません。

トスカニーです。


Wassy'sです。ヴィンテージは2016。


ココスです。ヴィンテージは2016。


しあわせワイン倶楽部です。2016年。


カリフォルニアワインあとりえです。

Date: 2022/0615 Category: 業界ニュース
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ナパヴァレーのベストエデュケーターに選ばれた四家さんによる講座が7月3日に表参道のアカデミー・デュ・ヴァンで開催されます(青山校 ここから始める!ナパ・ヴァレーワインの初歩 ~NAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR が語るNAPAの魅力~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン)。

7700円とかなりお得な受講料になっています。試飲予定のワインは以下の6本です。


Silverado Vineyards Sauvignon Blanc Miller Ranch 3,630円(税込)
Shafer Red Shoulder Ranch Chardonnay 10,200円(税込)
Girard Old Vine Zinfandel 5,280円(税込)
Merryvale Carneros Pinot Noir 6,600円(税込)
Duckhorn Merlot Napa Valley 8,690円(税込)
Stonehedge Trophy Premium Cabernet Sauvignon Rutherford 11,000円(税込)

さすが、いいワインが並んでますね。代表的な6品種を網羅しています。

お申し込みはお早めに!
Date: 2022/0614 Category: 業界ニュース
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ナパの新世代カルトというべきワイナリーの一つであるレアム・セラーズ(Realm Cellars)がプリチャード・ヒルのナイン・サンズ(Nine Suns)ワイナリーと、その畑ホウイー(Houyi、名前は中国の伝説的な弓の名手から取ったもの)を購入しました。ナイン・サンズのブランドも購入しています。買収額は明らかにしていません。
Nine Suns
レアム・セラーズは2002年に設立されたワイナリーですが2011年には倒産寸前にまで追い込まれました。そこからワインメーカーにボルドー出身のブノワ・トゥケを得、ベクストファーからのブドウの調達に成功し、劇的な立て直しに成功します。これまで13本の「パーカー100点」ワインを生み出すなど、そのワインは非常に高く評価されています。

2015年にはすタッグス・リープのハートウェル(Hartwell)を買収、2018年にはクームズヴィルのファレラ(Farella)ヴィンヤードを購入しました。いずれも長年ブドウを買っていた栽培家やワイナリーであり、買収後もその関係を維持しています。ホウイーのブドウもかねてからレアムで使っており、オーナーだったチャン家と非常に良好な関係を持っていました。ナイン・サンズには多くの企業が名乗りを上げていましたが、レアムを選んだのは金額ではなく、将来も関係を維持できると考えたからのようです。実際、チャン家の新しいプロジェクトではホウイーのブドウを使うことになっており、レアムもその関係を続けるとしています。

ホウイー・ヴィンヤードはコルギンのIXエステートの畑に隣接しており、オーヴィッドなどもすぐ近隣にあります。南斜面で比較的暖かく、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植えられています。

プリチャード・ヒルの畑の開発は非常に大変であり、斜面の畑の開発が許可されることも難しくなっています。現在の20弱の畑の数から今後も大きく増えることはないでしょう。レアムにとっては非常に貴重な畑を手に入れたことになります。
Date: 2022/0613 Category: 業界ニュース
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カレラ(Calera)の創設者であり、カリフォルニアのピノ・ノワールのパイオニアの一人であるジョシュ・ジェンセン(Josh Jensen)氏が6月11日に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

ジョシュ・ジェンセンはサンフランシスコの対岸にあるオリンダで歯科医の息子として育ち、一家の友人でサンフランシスコ・フード・アンド・ワイン協会を設立したジョージ・セレックという人からワインを教わりました。エール大学で学んだ後、英国のオックスフォード大学に留学しましたが、オックスフォードではワイン漬けの日々を送っていたとのこと。そのころ、カリフォルニアでワインを作ることを志しました。1969年、ブルゴーニュへ行きDRCで収穫を手伝いました。翌年も収穫を手伝いに行き、DRCのセラー責任者のアンドレ・ノブレにワイナリーで働きたいと告げ、職を得ました。ところが、ラルー・ルロワに嫌われて追い出されてしまい、その後はデュジャックやコンドリューでも収穫を手伝い、米国に帰国しました。

ブルゴーニュで偉大な畑はすべて石灰岩の土壌にあると考えたジョシュは、鉱山監督省で地質分布図を取得し、フォルクスワーゲンのキャンピングカーでカリフォルニアを回りながら地質と気候を調べていきました。塩酸を持ち歩いて、土壌に石灰質があるかを確認していったそうです(石灰質があると水素が発生して泡が出る)。

そうして見つけたのがマウント・ハーランの頂上近くの土地でした。このときに出資したのがビル・リードという人で、前述のセレックやリードといったお世話になった人の名前を畑の名前に付けています。

有名なエピソードとして、カレラの畑のブドウはロマネ・コンティの枝を拾ってきたものからできている、というのがありますが、ジョシュ・ジェンセンは以下のように語っています。

クローンがロマネ・コンティから来たものであろうがあるまいが、それだけでロマネ・コンティのワインと同じ味のワインが造れるわけじゃない。単に、にせものではなくて、素性の知れた、よく選別されたピノ・ノワールの苗を手に入れたということにすぎない。野球のピッチャーにたとえれば、ツーストライクを取ってあとはとどめをさすだけだという心境ではなくて、まだ相手はバッターボックスに立っただけで何でもありという感じかな。
『ロマネ・コンティに挑む~カレラ・ワイナリーの物語~』より

カレラのマウント・ハーランは他のワイナリーからかなり離れたところにあり、山の麓は夏場になると気温40℃近くになるようなところ。畑は標高が高く、海からの風も当たるのでそこまで温度は上がりませんが、周りからは異端の目で見られることが多くありました。

その中でカレラの人気が高かったのが日本。漫画『ソムリエ』において、ブラインドで出されたワインを主人公が最初ロマネ・コンティだと思ったものの、考え直してカレラだと当てた、というエピソードがブームのきっかけになりました。
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漫画「ソムリエ」第1巻より(原作 城アラキ、監修 堀賢一、1996年)

以前カレラに問い合わせたときには生産量の4割を日本向けに出荷していると言っており、カレラにとって日本市場が非常に大きいものだったことがわかります。

果実味よりも熟成能力を重視するスタイルも、当初評価が上がらなかった理由の一つだと思いますが、だんだん評論家の評価も上がっていき、重要なワイナリーだとみなされるようになりました。2007年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。

その後、ワインメーカーはマイク・ウォーラーに譲り、2017年にはワイナリーをダックホーンに売却しました。コロナ禍で引退状態になり、その後は健康状態も優れなかったようです。

昨年5月に急死したジム・クレンデネンさんに続き、ピノ・ノワールのパイオニアを失いました。

参考:カレラ・セミナー:セントラル・コーストとジョシュ・ジェンセン・セレクションの違いが分かった
Date: 2022/0612 Category: 業界ニュース
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ソノマの新しいAVA「ポケット・ピーク(Pocket Peak)」がTTB(米国財務省・酒類タバコ税貿易管理局)に申請されました(Petition Filed to Establish Pocket Peak AVA in Sonoma County)。

Pocket Peak AVA | Sonoma County, CA

ポケット・ピークはアレキサンダー・ヴァレーのサブAVAとなります。簡単にいえばアレキサンダー・ヴァレーの北半分の丘陵・山岳地帯です。ちなみにポケット・ピークという名前は近くにある標高2256フィートの山の名前から取ったものです。この山だけでなくガイサー・ピーク(Geyser Peak)、ブラック・マウンテン(Black Mountain)と計3つの山がこの地域を形作っています。



ワイナリーとしては有名なのがジャクソン・ファミリーのストーンストリート。標高の高い畑のカベルネ・ソーヴィニヨンからタニックなワインを生み出します。一般にアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンというと、ふくよかでやわらかな味わいのものが多いですが、それとは一線を画していると言っていいでしょう。

また、昨年オークションで1本100万ドルという史上最高額で落札されたワインを造ったジェシー・カッツのワイナリー「アパチャー・セラーズ」もここにあります。ジェシー・カッツはデビル・プルーフというもう一つのワイナリーで、カリフォルニア初の「100点マルベック」も造っています。アパチャー・セラーズも「山麓の斜面にあるやや冷涼感のあるところでミネラル感のあるカベルネ・ソーヴィニヨン」を造っているとのこと。

ワインの独自性も地域の独自性もかなりしっかりありそうなので、近い将来認められる可能性が高いのではないかと思います。
Date: 2022/0611 Category: 業界ニュース
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デカンター誌が毎年開催する世界最大のコンペティションDecanter World Wine Awards(DWWA)の2022年の結果が発表され、米国産ワインがベストインショー1本と4本のプレミアム、9本のゴールドなど合計で314ものメダルを獲得しました。

審査が厳正なことでも知られるこのコンペティションでは41人のマスター・オブ・ワイン、13人のマスターソムリエを含む250人のエキスパートが18244本のワインを審査しました。

ベストインショーに輝いたのはナパのクロ・デュ・ヴァルのヒロンデール・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン2019でした。
プラティナムの4本も3本がナパで1本がカーネロスのソノマ側(Donum East Slope Pinot Noir 2019)でした。ナパの3本はClos du Val Estate Cabernet Franc 2019、Trefethen Cabernet Sauvignon 2019、Matt Parish Special Bottling Petit Verdot 2019です。ちなみに、トレフェセンのカベルネは2年連続ベストインショーという快挙を続けていましたが、今回は惜しくもプラティナムにとどまりました。



ちなみに日本からはプラティナムが1本(安心院 諸矢 甲州 2021)、ゴールドが4本、シルバーが16本、ブロンズが33本という結果でした。

Date: 2022/0610 Category: 業界ニュース
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ソノマのムーン・マウンテンAVAにある銘醸畑モンテシッロ(Montecillo)をナパのヨントヴィルにテイスティング・ルームを持つスチュワート・セラーズ(Stewart Cellars)が購入しました。価格などは明らかにされていません。


モンテシッロは1964年に植樹されたカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルの畑で特に秀逸なカベルネ・ソーヴィニヨンで知られています。ソノマ・ヴァレーのワイナリー「ケンウッド(Kenwood)」の畑で、ケンウッドのフラッグシップであるアーティスト・シリーズに使われていました。2014年に欧州大手のペルノ・リカールにワイナリーを売却した後も、創設者のマーク・リーがモンテシッロの畑を所有し続けました。

その後、モンテシッロのブドウをアルノー・ロバーツやベッドロック、デュモルなど気鋭のワイナリーが使うようになり、畑としての名声も上がっていったところでした。例えばアルノー・ロバーツの2019年のモンテシッロ・カベルネ・ソーヴィニヨンはヴィナスで98点。

特にカベルネ・ソーヴィニヨンで50年以上前に植えられた畑は少なく、非常に貴重なものです。実は、そのブロックの生産量が少ないため、リー家が植え替えしようとしたのをモーガンが止めたということもあったそうです。

デュモルの2016年はヴィナスで95点。


スチュワート・セラーズは2000年にマイケル・スチュワートが設立したワイナリーで、これまで自社畑は持たず、ベクストファー家が持つト・カロンやドクター・クレーン、ジョージIIIなどのカベルネ・ソーヴィニヨンを中心にカベルネ・ソーヴィニヨンなどを造ってきました。ワイン・アドヴォケイトでは最高97点を取得しています。

モンテシッロのあるムーン・マウンテンはナパとソノマの境であるマヤカマス・マウンテンズの南端マウント・ヴィーダーのソノマ側にあたります。モンテシッロはその中でもほぼ北東端にあり、マウント・ヴィーダーにかなり近いところにあります。モーガン・トゥエイン・ピーターソンもマウント・ヴィーダーとの違いはほとんどないと言っています。

ちなみに、キスラーのキュベ・キャスリーンのシャルドネの畑であるキスラー・ヴィンヤードも目と鼻の先にあります。

スチュワートは、今後もこれまでモンテシッロのワインを造ってきたワイナリーにブドウの供給を続けるとしています。
Date: 2022/0609 Category: 業界ニュース
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Vinousのソノマ・ヴァレーのヴィンヤード・マップが届きました。

サブAVAであるカーネロス(のソノマ側)、ソノマ・マウンテン、ムーン・マウンテン、ベネット・ヴァレー、そしてそれらを除いたヴァレーの中心部分(マップの名前はセントラル・コリドール)と5つに分かれています。

オールド・ヒル・ランチやモンテ・ロッソ、ベッドロックなど古木の重要な畑もたくさんあるこの地域、これまであまり語られてこなかったサブAVAの話も含めて非常に興味深いものです。

ちなみに5つのマップを別々に買うと120ドルですが、まとめて買うと90ドルとかなりお安くなります。海外への送料も含んでいるのは嬉しいところです。
Vinous Maps of Sonoma Valley | Vinous - Explore All Things Wine
Date: 2022/0608 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オークション・ナパヴァレーの後継となるコレクティブ・ナパヴァレーという慈善プログラムの初のリアルイベント「バレル・オークション」が開催されました。四季ごとに開催されるこのイベント、3月にはオンラインのみでのオークションが開かれ、6月は初のリアルでの(オンラインも可能)オークションとなりました。


(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography

ワイン・サーチャーにW.ブレイク・グレイ氏が書いた記事「Napa Auction a Reserved Affair | Wine-Searcher News & Features」によると、オークション・ナパヴァレーの派手さは失われましたが、ワインが主役となって落ち着いたものになったといいます。実際、2010年代のオークション・ナパヴァレーは出品されるもののほとんどがワインよりもディナーや旅行がメインであり、普通のワイン愛好家には手が届かないものである一方で、参加するビリオネアもやや飽きてしまって最後は落札額も下降気味になっていました。

とはいえ、1000万ドル以上の落札があったオークション・ナパヴァレーと比べると、今回は150万ドルと控えめな落札額でした。一つのロットは基本的に10ケースあり、一番低価格で落札されたものでは1ケース250ドルと、普通にナパのワインを買うよりも安いくらいになったそうです。入札をスマホのアプリからする形式のため。ライブ・オークションといっても従来のような盛り上がりには欠けていた様子です。

それが悪かったということではなく、地に足が着いたイベントになったことを、グレイ氏も評価しているようです。

なお、今回の落札額はナパの子供のメンタルヘルスのために使われます。

次回は11月4~5日にヴィンテージ・セレブレーションとライブ・オークションを開く予定です。

(C) and photo credit to Alexander Rubin Photography
Date: 2022/0607 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州で20個目となるAVA「ロッキー・リーチ(Rocky Reach)」が認定されました。
ロッキー・リーチ
広大なコロンビア・ヴァレーAVAのサブAVAであり、近隣にはレイク・シェラーンAVAがあります。ロッキー・リーチはコロンビア・ヴァレーの中でも温暖で、かなり南にあるレッド・マウンテンと同じくらいの気温になるといいます。現在はカベルネ・ソーヴィニヨンが中心ですが、ローヌ系品種も植えられています。

この地域にブドウ畑が作られたのは2015年からと、非常に歴史が浅いのも特徴です。ロッキー・ポンド(Rocky Pond)というワイナリーが造ったダブルDという畑が最初のものです。現在ではブドウ畑は8つに増えているとのこと。

このAVAについての非常に詳しい記事をオルカ・インターナショナルが上げています。
ワシントン州に新AVA Rocky Reach ロッキーリーチ|ワシントンとオレゴンのワイン輸入してます。|note
元記事はこちら。
Rocky Reach: an in-depth look at Washington’s newest appellation | Sean P. Sullivan - Washington Wine Report
Date: 2022/0605 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カルトワインMayaのワイナリーとして知られているダラ・ヴァレ(Dalla Valle)とイタリアの「スーパータスカン」の代表格であるオルネライア(Ornellaia)。この2つの超一流ワイナリーの友情から生まれたプロジェクト「DVO」(名前は両者の頭文字を取ったもの)の国内輸入が始まり、輸入元のJALUXによるセミナーに出席しました。ダラ・ヴァレのワインメーカーであるマヤさんとオルネライアのアクセル・ハインツ氏はナパからのリモートでの参加です。

マヤさんの亡き父グスタフがイタリア出身(有名なスキューバ・ダイビング・グッズのScubaPro創業者)ということもあり、ダラ・ヴァレ家とオルネライアとの間には以前から親交があり、2013年にはマヤさんがインターンでオルネライアで修行しました。さらに、その後マヤさんがボルドーの大学院で修士課程に取り組んだ際も、修士論文のメンターになったのが同じ大学出身だったアクセル・ハインツ氏でした。ちなみにその論文はナパを詳しく掘り下げたもので、新しいブランドの構築をどうすればいいか、といったことにも言及しており、それもDVO設立の元になったとのことです。

オルネライアとしても、以前ロバート・モンダヴィがオルネライアを所有していたことや、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのシンポジウムなどでナパにはなじみがあり、いつかはナパでワインを作りたいという希望があったそうです。そのときに単独で進出するのではなく、ナパに深く根ざした人とパートナーになることを考えていたため、その意味でもダラ・ヴァレがベストマッチであり、同じ価値観を共有できるパートナーだと言います。

プロジェクトを考え始めたのは2015年、2017年から実際にワインを造っています。ただ、2017年は少し難しいヴィンテージだったので、最初のワインとしてリリースするのはやめ、今回の2018年が世界的に初リリースのワインとなっています。2017年もいつかは世に出す予定ですが、まだ時期は決まっていないとのこと。

同じ北半球にあるイタリアとカリフォルニアでは収穫時期も近いため、アクセル氏はあまり頻繁にはナパには来れませんが、ブドウの生育期、収穫時期、ブレンドするときと3回は必ず来ており、それ以外にも綿密に連絡を取り合ってプロジェクトを進めています。コロナ禍においてもサンプルを送るなどで乗り切ったそうです。

ダラ・ヴァレはナパのオークヴィルに自社畑を持っていますが、DVOはこのブドウは使わず、すべて購入したブドウで造っています。両者で作るワインは「間違いなくナパのワインでありながらイタリアの考えを持ったもの」にしようということで、使用するブドウの畑を選んだとのこと。その結果オークヴィル、マウント・ヴィーダー、クームズヴィルの3地域を選びました。オークヴィルのリッチさに、やや冷涼なマウント・ヴィーダーとクームズヴィルのハーブの風味を加えたいという理由です。

使う畑はヴィンテージによっても多少変わりますが、今回リリースした2018年についてはオークヴィル2つ(Wine Spectatorの記事によると、うち一つはVine Hill Ranchのようです)、マウント・ヴィーダー、クームズヴィル各1つとなっています。比率で言うと50:40:10。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン86%でカベルネ・フランが14%。カベルネ・フランはオークヴィルとマウント・ヴィーダーのものです。

マヤさんによると、マウント・ヴィーダーのような山のブドウは、ダラ・ヴァレのブドウと比べて優しく扱うことが必要であり、低い温度でゆっくりと抽出しているそうです。新樽率は70%で22カ月樽熟成後ボトリングしています。樽もダラ・ヴァレのものとは別に選んでいて、ミディアムからミディアムプラスでトーストしてもらっているとのことでした。

試飲しました。

色は非常に濃く、見るからにダーク。パワフルでフルボディのワインです。カシスやブラックベリーの黒果実の風味に加え、レッド・チェリーなどの赤果実の風味もあります。杉や森の下草の香り、スパイス、熟成肉、豊かな酸がナパのカベルネ・ソーヴィニヨンに欧州の雰囲気を加えています。タンニンもきめ細かいですが、かなりしっかりしており、20年以上の長期間の熟成でさらに良くなるだろうと思います。

デビューのリリースとしては非常に完成度の高いワイン。アクセル氏も考えていた方向性がちゃんと出たワインだと自信を持っている様子でした。

このほか、質疑応答ではナパとトスカーナ(ボルゲリ)との違いなどを聞きました。

一番の違いはナパの方が海に近く、その影響を大きく受けていること。特に昼と夜との温度差がナパは非常に大きいとのことでした。一方、トスカーナは灌漑なしで栽培しているのに対し、ナパでは多くの場合灌漑が必要です。また、ナパの方がオープンで、皆で助け合う風潮が強いそうです。

このほか、DVOのトスカーナ版の計画はないのか、という質問には「計画にはなかったが、よく聞かれるので考え始めている」ということで、今後さらに発展があるかもしれません。

ただ、生産量は年間400ケースと非常に少なく、日本に入ってきている数もごく少量です。日本での希望小売価格は5万円。

しばらくは生産量が大きく増えることはなさそうで、かなりのレアワインになりそうです。
Date: 2022/0603 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニア料理の先駆者であり、地産地消などのコンセプトを実証してきたのがバークレーにあるレストラン「シェ・パニーズ」。そこでワインディレクターを長年勤めてきたジョナサン・ウォータースが自転車の事故で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

SFクロニクルなどの追悼記事では、彼のワインリストのポリシーなども書かれていました。

シェ・パニーズのワインリストは何よりもシェ・パニーズの料理に合うものが選ばれていました。例えば新鮮な野菜の風味を殺さない、そんなワインです。ですから、近隣のナパヴァレーのビッグワインが並ぶというわけではなく、トリッキーな味の自然派ワインが並ぶというわけでもありませんでした。

シェ・パニーズの代表的なワインの一つが南仏バンドールのドメーヌ・タンピエのロゼ。シェフのアリス・ウォータースが一番好んでいるワインとも言われています。同じバークレーにあるワインショップ「カーミットリンチ」が輸入しているもので、カーミットリンチのワインはシェ・パニーズのリストで大きな要素を占めています。

SFクロニクルのエスター・モブリーは「究極のシェ・パニーズ・ワインはハウス・レッドであるグリーン・アンド・レッドのジンファンデル」だとさらに述べています。

グリーン・アンド・レッドはナパのチャイルズ・ヴァレーにある小さなワイナリーで、オーナーは1960年代にUCバークレーで教えていてアリス・ウォータースと知り合い、シェ・パニーズの感化されてワイナリーを始めたとのこと。

そのジンファンデルはフレッシュな味わいで、料理を引き立てるものです。また、シェ・パニーズの地産地消のコンセプトにもマッチします。

グリーン・アンド・レッドのジンファンデルは昨年くらいから日本にも入ってきています。ビッグなジンファンデルとは一線を画した味わいで、ぜひ試してみて欲しいワインの一つです。

Date: 2022/0602 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのワインメーカーの中でも、他の追随を許さない独自の道を歩んだショーン・サッカリー(Sean Thackrey)が79歳で亡くなりました。10年に及ぶがんとの闘病の末の旅立ちでした。
ショーン・サッカリー
ショーン・サッカリーはサンフランシスコの北のマリン郡にあるボリナスというヒッピーのコミュニティに住み、アート・ディーラーをしていました。1979年にナパのスタッグス・リープにある銘醸畑Fayのブドウを調達してワイン造りを始めました。

彼は、ワイン造りの古い文献の収集家でもあり、そこで書かれている古くから使われている方法でワインを造りました。例えばギリシャの詩人ヘシオドスが書いたものから、収穫したブドウを1日野ざらしにした後、発酵に移すといった方法を取っていました。科学的にはバクテリアの汚染の可能性があるものですが、彼は古くからやられている方法には意味があるとして、決してそれを変えようとはしませんでした。

その結果、彼のワインは常に「クリーン」だったというわけではないのですが、そこにはある程度寛容だった一方、彼自身が「欠陥がある」と感じたときにはワインを売らない決断をするのもやぶさかではなかったといいます。

彼のワイン造りの姿勢は、現在の「自然派」に多く通じるものがありますが、彼自陣はマーケティング的なレッテルを貼られることを極度に嫌がり、自身を「自然派」とすることはありませんでした。「テロワール」といった言葉も「ゲリマンダーのようなマーケティング的なギミック」だとして嫌っていたといいます。

サッカリーのフラッグシップ・ワイン「オライオン(Orion)」はロバート・パーカーが最高98点、点数の辛いステファン・タンザーも96点を付けたことがあります。セント・ヘレナのロッシ(Rossi)ヴィンヤードの20世紀初頭に植えられたフィールドブレンドのブドウを使ったワインで、プティ・シラーが入っているということ以外、いまだに詳しいことは調べられていません。

孤高のワインを造り続けたショーン・サッカリー、この4月には蔵書をオークションで処分していました(売上は全部で200万ドルに達したといいます)。余命を知ってのことだったのかと思います。

ご冥福をお祈りします。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サッカリー”プレアデス”26・NV
価格:5500円(税込、送料別) (2022/6/2時点)



Date: 2022/0601 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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低アルコール、糖分ゼロ、低カロリーで米国では早くも人気ブランドになったサニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(以下ではサニーと略します)。これまでソーヴィニョン・ブラン、シャルドネとピノ・ノワールがありましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンとロゼが追加されました。インポーターのオルカ・インターナショナルからサンプルをいただき、飲んでみました。



最近では低アルコールだけでなく、アルコール度数1%を下回る「ノンアルコール」のワインも増えてきています。その中でサニーの9%というアルコール度数は中途半端じゃないの、と思われるところもあるかもしれません。確かに、そういう考え方もあると思いますが、私が今まで試した範囲では、やっぱりノンアルコールになるとだいぶ味わいが変わってしまうんですよね。ノンアルコールの市場もあると思いますが、それはどうしてもアルコールがダメな場合に限られてしまうと(今のところは)思っています。

サニーのいいところは、実際に飲んだときに「低アルコール」とか「低カロリー」とかをほとんど意識しないこと。ワインとして普通に美味しいです。それでいて価格も2000円前後とリーズナブルな範囲です。

さて、今回のカベルネ・ソーヴィニヨンとロゼに話を戻しましょう。

まずはカベルネ・ソーヴィニヨンから。前述のようにサニーは糖分ゼロ、いわゆる残糖がありません。実は低価格なカベルネ・ソーヴィニヨンは多くの場合、残糖があります。以前、ワインに砂糖を溶かして味わいがどうなるか試したことがありますが、少量でもワインのふくよかさが大幅に増します。酸のきりっと利いたワインが好まれる白ワインでは残糖ゼロの影響はあまりないですが、カベルネ・ソーヴィニヨンでは大きなハンディとなります。

実際に飲んでみると、やはり多くのカリフォルニアのカベルネやレッド・ブレンド、特に低価格のものでよく見られるふくよかさ、ボディの厚みはあまりありません。肉に合わせるとしても牛肉よりも鶏のもも肉くらいではないでしょうか。それでも、ブラックベリーやカシスの果実味があり、それなりに凝縮感も感じられます。一般的なカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンをイメージするとだいぶ違いますが、決して悪いワインではありません。上にも書いたようにチキンステーキに合わせたい感じです。

さて、もうひとつのロゼですが、インポーターのお勧めのように白ワインと同じくらい冷やして飲みました。オレンジピールやラズベリー、ビン・チェリーの風味にきれいな酸が乗っています。これはかなり美味しいです。低アルコールをいいことにグビグビ飲んでしまいたくなるほど。

冷やして美味しいワインなので、夏に飲むのにとてもいいと思います。「映え」もあるし、ビーチとかキャンプにも合いそうです。

まだ、サニーを扱っているところがあまりないのは残念ですが、見つけたらぜひ試してみてください。



サニーのシャルドネ。ココスです。



Date: 2022/0531 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ワインセラーに入り切らないワインが一向に減らないため、その消費を兼ねてワイン会を開きました。せっかくなのでセラーにずっといた熟成ワインを中心に飲みました。



ワインのラインアップはこの6本。
Bevan Cellars Sauvignon Blanc Dry Stack Vineyard 2019
Patz&Hall Chardonnay Alder Springs Vineyad 2000
Saint Joseph Lou Dumont lea Selection AOC Saint Joseph 1999
Saintsbury Syrah Rogers Creek Vineyard 2007
Patz&Hall Pinot Noir Pisoni Vineyard 2000
Spottswoode Cabernet Sauvignon 2005

3本目だけローヌのシラーです。ブルゴーニュ「ルー・デュモン」の仲田晃司さんが蔵出し古酒を厳選した「レア・セレクション」として販売されたもの。元々、これとカリフォルニアの熟成シラーを比べてみたいというのも、会の目的の一つでした。

お店は赤坂の「あじる亭Annesso」です。あじる亭は赤坂に2店舗ありますが、こちらに来るのは初めてです。



酸化したワインばっかりだときついなあと1本目は古酒でないソーヴィニョン・ブランです。

Bevan Cellars Sauvignon Blanc Dry Stack Vineyard 2019

ビーヴァン・セラーズのオーナー・ワインメーカーであるラッセル・ビーヴァンは、ワインマニアからワイン造りに転向した中でも稀有の成功例といわれています。ナパとソノマの様々な畑からワインを作っており、ナパのワインでは「パーカー100点」を10回以上取得しています。

このソーヴィニョン・ブランはソノマのベネット・ヴァレーのドライ・スタック・ヴィンヤードのもの。イタリア由来のクローンを使っているとのことです。カリフォルニアでもトップクラスのソーヴィニョン・ブランに名を連ねようとしているワイン。

無濾過で作られているため、ワインに濁りが見られます。ソーヴィニョン・ブランではかなり珍しい。青っぽい要素や、グレープフルーツ的な軽い苦味を伴う酸味もありません。はちみつやメロンの香り、パッションフルーツ、白い花。非常に香り豊かです。甘ったるいわけでもなくほどよい酸味でバランスもいい。とてもレベルの高いソーヴィニョン・ブランです。前の週に飲んだシェアード・ノーツとは全く違ってそれもまた面白い。


暑い日に嬉しいガスパチョ。ソーヴィニョン・ブランにもよく合いました。

Patz&Hall Chardonnay Alder Springs Vineyad 2000

2番めのワインは一番心配だった2000年のシャルドネです。
パッツ&ホールはドナルド・パッツ、ジェームス・ホール(ワインメーカー)と二人のパートナーであるヘザー・パッツ、アン・モーゼスが1988年に設立したワイナリー。当時は珍しかった「ネゴシアン」タイプのワイナリーで、ソノマを中心に優れた畑と契約してシャルドネとピノ・ノワールを造っています。現在はドナルド・パッツ夫妻はパッツ&ホールを離れて別のワイナリーを始めています。アルダー・スプリングス・ヴィンヤードはメンドシーノの畑で、有名なアンダーソン・ヴァレーよりもまだだいぶ北の人里離れたところにある畑です。海から18km程度、標高600~900m、急斜面という厳しい環境でブドウを栽培しています。この畑のワインは、カリフォルニアワインにしては珍しいほど果実味よりもミネラル感などを感じられるもの。2000年のこのワインについてはロバート・パーカーは「バタール・モンラッシェを彷彿とさせる」と書いています。


琥珀から、やや褐色になりかかった色合い。味はまだかろうじて生きています。シャルドネであるのはわかりますが、さすがに熟成のピークは過ぎてしまっています。杏やちょっと紹興酒っぽさもでています。


前菜のお皿はいろいろ乗っていて楽しい。マヨネーズを使っていないポテトサラダがお気に入りでした。

さて次はシラー仏米対決?です。
Saint Joseph Lou Dumont lea Selection AOC Saint Joseph 1999

グラスの写真を取り忘れましたが、茶褐色でかなり熟成は進んでいます。シラーのスパイス感や獣っぽさなどはほとんどなく、赤ワインとしかいいようのない状態。これはこれで美味しくいただきましたが、シラーとして期待するものとはちょっと違うところに行ってしまった感じはありました。


魚介の煮込みです。

Saintsbury Syrah Rogers Creek Vineyard 2007
さて、一方カリフォルニアのシラーはセインツベリーのもの。セインツベリーというとピノ・ノワールが有名ですが、実はシラーも作っています。このワインはインポーターの布袋ワインズがワイナリーの在庫から発掘してきたもの。現在は別の畑の熟成シラーが売られています。

こちらも写真を取り忘れましたが、まだ赤紫色がかなり残っており、若々しさもあります。スパイスやグラファイト、鉛筆の芯、ブルーベリーなどまだまだ元気。本当に15年経っているの? と思うほどでしたが、ボトルには大量の澱が残っておりそこに熟成感を感じました。まだ10年くらいは全然大丈夫そうな雰囲気です。シラー好きとしてはやっぱりこれくらいシラーらしさがある方が美味しく感じます。

Patz&Hall Pinot Noir Pisoni Vineyard 2000
ピゾーニですよ、ピゾーニ! サンタ・ルシア・ハイランズをピノ・ノワールの銘醸産地として世界に認めさせたその立役者といっていいでしょう。パッツ&ホールは1990年代からピゾーニのピノ・ノワールを作っています。私自身ピゾーニの畑のことを最初に知ったのはパッツ&ホールのメーリングリストでのことでした。なかなかこれくらい熟成したピゾーニを飲む機会はないので、私自身この日一番楽しみにしていたワインです。


写真でみてもわかるように、22年経っているとは思えないほどの若々しさ(ちなみに右のグラスがセインツベリーですね)。フランボワーズやザクロなどの赤系果実の風味もしっかりのこっています。熟成によるマッシュルームのような要素もあります。さすがにリリースしたてのような爆発感はないですが、非常にきれいに熟成しつつ、若さも保っておりとても美味しい。ここまで元気とは予想しませんでした。素晴らしい。


料理は赤ワイン煮込みで、この後の稚鮎のパスタは写真撮り忘れました。どちらかというと稚鮎にピノ・ノワールをあわせたほうがよかったかも。

Spottswoode Cabernet Sauvignon 2005
最後はスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨンです。

これは、まだまだ行けるに決まっているだろうと思って出しましたが、その通り。もう10年くらいしたほうが良かったかもしれません。パワフルでしなやか。素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンです。



デザートも美味しゅうございました。店長兼ソムリエの野村美紀子さんには古いワインの抜栓ばかりでだいぶ苦労をおかけしてしまいましたが、気持ちよくサービスしていただきました。

うちのセラーには、これくらいのもう飲んであげたほうがいいだろうなというワインがまだいくらかありますから、お暇な方はお付き合いください。

セインツベリーの熟成シラー。むちゃくちゃお買い得だと思いますよ。

Date: 2022/0530 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、1/3)
新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、2/3)
に続く3回めです。


パックスのトゥルソー2018(5900円)です。フランスのジュラ原産のトゥルソー、ニューカリフォルニア系では人気の品種で、なかなか入手できないワインです。ジュラでは非常に力強いワインを生み出す言われていますが、ニューカリフォルニア系のトゥルソーはそこまでパワフルな印象はなく、赤系果実と旨味がしっかりしたチャーミングな味わいです。


マリエッタのオールド・ヴァイン・レッドは2000年代前半、ロバート・パーカーがコスパ系ワインとして激賞しており、私も見かけると買っていました。ヴィンテージ表記はなく、複数ヴィンテージをブレンドして年に数回ロット番号を付けて出荷されるというユニークなスタイル。最近ではロット71がワイン・アドヴォケイトで94点を取って話題になりました。今回試飲で出ているのはロット73(2500円)。古木らしい深みのある味わいで、これで2500円は相当安いです。

評判のロット71はこちら。



もうひとつコスパ系のジンファンデルでOZV(オー・ジー・ヴィー)のオールド・ヴァイン・ジンファンデル2019(2300円)です。ちょい甘な感じで、このクラスに求められるジンファンデルらしい味わいだと思います。


ラシーヌはブルゴーニュとシャンパーニュとカリフォルニアの4人のコラボで生まれたワイナリーで2017年に最初のワインをリリースした新しいワイナリーです。サンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズをベースにしています。シャルドネも非常にいいのですが、個人的にはピノ・ノワールに特に感銘を受けました。サンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワール2018(10,000円)は実にエレガントで果実味もきれい。銘醸畑サンフォード&ベネディクト2018(18,000円)は複雑さもあり素晴らしい。


トゥエンティ・ロウズのシャルドネ2000(2700円)とカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ2020(3700円)。シャルドネはトロピカル・フルーツの味わい。果実味が爆発しています。樽はそれほど強く感じません。カベルネはジューシーで親しみやすい味わい。


ヴァイン・クリフのカベルネ・ソーヴィニヨン2019(12,000円)。果実味豊かでナパらしい味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャーもしっかりあります。


最後はニューヨークのワインです。ラモロー・ランディング(Lamoreaux Landing)のエステート・レッドキュベNV(3500円)。バランスよく旨味あり、ほっとする味わいのワインです。
Date: 2022/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前半はこちら「新生WINE TO STYLEの試飲会で美味しかったワイン(2022年春、前半)」です。2回のつもりでしたが3回にするので、これは中盤ということで。


かなりレアなワインも並ぶ試飲会ですが、さすがにウルトラマリンはなく、ウルトラマリンを作るマイケル・クルーズの「トラディション」とヴァルディギエのペティアンの2つのスパークリングが出ていました。ヴァルディギエはチェリーのような風味で親しみやすく、トラディション(いわゆるRMタイプ)は旨味がしっかりと出ていて、高級感もあります。トラディションはNVですが、今回のは2017年が94%で、リザーブワインが6%入っているそうです。


ちなみにこのあたりはニューカリフォルニア系が並んでいます。アイ・ブランド&ファミリーはイアン・ブランドというワインメーカーのワイナリー。SFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれている優秀なワインメーカーです(「SFクロニクルが2018年のワインメーカーオブザイヤーを発表」。インポーターの紹介文には「キモかわエチケットに似合わぬシリアスで本格派な冷涼系シャルドネ」と書いてあります。とてもきれいでミネラル感もあり、3300円とは思えないレベルのワインです。


同じくアイ・ブランド&ファミリーのカベルネ・フラン2018(5400円)。エレガント系のカベルネ・フラン、美味しいです。


メートル・ド・シェはスコリウム・プロジェクトにいたアレックスとレオ・スティーンで修行したマーティが作る自然派系ワイナリーです。カベルネ・ソーヴィニヨン2019(6800円)はナパのクームズヴィルとアトラスピークの間にあるマウント・ジョージの1000フィートのところにあるガラ・マウンテンというバイオダイナミクスの畑からのもの。これもナパとは思えないほどのエレガントさ。驚きのワインです。ジンファンデル2018(3900円)はベッドロックのモーガンに紹介された畑のものだそう。プラムの風味。価格以上の満足度です。


マサイアソンの入門編レッド・ブレンド「タンデュ」2019(2900円)。バルベーラ、アリアニコ、モンテプルチアーノ。、サンソー、カリニャンというカリフォルニアではかなりのマイナー品種のブレンドですが、堅苦しいことを考えず気軽に飲むのがいいワインです。甘酸っぱくチャーミング。


個人的、この日のトップがこのマヤカマスのカベルネ・ソーヴィニヨン2012。今はアンディ・エリクソンがワインメーカーを務めていますが、これは先代のボブ・トラヴァースの最後のヴィンテージです。当時は資金面などかなり大変なこともあったようですが、クラシックなスタイルをずっと続けています。長熟型のワインですが2012年はいい感じに飲み頃に入っていると思います。これぞ山のカベルネという味わいです。

2回で終わる予定でしたが、もう1回に分けます。
Date: 2022/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シエラフットヒルズのアマドール、エルドラド、カラベラスの3つの郡が災害援助をカリフォルニア州に申請しました(Sierra Foothills Counties File For Disaster Aid, Though Frost Damage Still Being Assessed in West Coast Vineyards)。

4月半ばに起こった低温ではオレゴンのウィラメット・ヴァレーやカリフォルニアのローダイ、シエラフットヒルズなどに被害が生じました。

今回援助を申請した3郡では今年の収穫が最大で60%減ってしまう見込みだといいます。ただ、実際のロスがどれくらいになるかは、芽がダメになった後に出てくる2番目の芽からどれくらいの収穫ができるかに寄っており、簡単には推計できないそうです。

低地のサンホアキン郡では、今のところ災害援助を申請するほどの被害ではないとしています。
Date: 2022/0527 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・イン・スタイル改めWINE TO STYLEになって初めての大きな試飲会が開かれました。合併したナカトのワインも含むため、新世界だけでなく、フランスやイタリアなどのワインも出されていました。268種ものワインがあったため、さすがに全部を試飲するのは無理。新世界のワインを中心に試飲しました。旧世界もいくらか試飲してはいますが、今回の記事では省かせていただきます。


ファー・ニエンテと、その兄弟ワイナリーであるニッケル&ニッケルのシャルドネ2019(13,500円)です。ファー・ニエンテは樽のイメージが強いと思っていましたが、マロラクティック発酵なしの作りであり、樽も思っていたより抑制が効いていて非常によくできていました。ニッケル&ニッケル2020(9200円)の方はカーネロスのトゥルシャードの畑のシャルドネを使っており、ファー・ニエンテよりもさらにエレガント感があります。どちらも非常にいいシャルドネで、この日のシャルドネの白眉といっていいと思います。


ハーンのピノ・ノワール2020(2450円)。AVAはカリフォルニアとなっていますが、モントレーの時差畑のブドウを使っているようです。バランスよく非常にコスト・パフォーマンスの高いワイン。


スミス&フックのレッド・ブレンドとカベルネ・ソーヴィニヨン。ヴィンテージはどちらも2019年、希望小売価格も4700円と同じです。レッド・ブレンドは非常に柔らかさのある味わい。カベルネ・ソーヴィニヨンはシルキーなテクスチャが価格以上の満足感を与えてくれます。バランスも素晴らしい。レッド・ブレンドは今年のサクラ・アワードでダイヤモンド・トロフィーと特別賞の女性ワインメーカー賞を受賞しているそうです。


ミウラのピノ・ノワール、ピゾーニ・ヴィンヤード2016(13,500円)。ピゾーニのワインとしては最安の部類になります。パワフルさがピゾーニらしく、ストラクチャーもしっかりしています。


ザ・ヒルトのエステート・シャルドネとピノ・ノワール。ヴィンテージはどちらも2018で価格は5900円。何度も紹介しているワインですが、やはりこれはいいです。シャルドネはほどよい樽感があり、コクもあります。ピノ・ノワールは果実味に旨味もしっかり。


ザ・ヒルトの兄弟ワイナリーであるホナータのフロール ホワイトワイン2019(12,000円)とトドス・レッドワイン2018(9000円)。フロールはボルドー系の白ワイン。旨味がありしっかりした味わい。トドスは非常にパワフルで濃いワイン。45%シラーに21%カベルネ・ソーヴィニヨン、14%プティ・ヴェルドなど。


アルノー・ロバーツのシラー2018(6200円)。「うまい!」とメモしてあります(笑)。

今日はここまで。前半を紹介しました。後半ではこの日一番と思ったワインが出てきます。
Date: 2022/0525 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ジョシュ・セラーズ(Josh Cellars)は、ジョセフ・カーのワイナリー。ニューヨークのホテルなどで働き、一念発起して2001年にカリフォルニアに移り、ワイナリーを始めました。最初はナパで高級ワインのジョセフ・カーを立ち上げ、2005年に始めたのがカジュアルなジョシュ・セラーズです。当初のワインメーカーはベテランのトム・ラーソンという人。余談ですが、トム・ラーソンがソノマで営むラーソン・ファミリー・ヴィンヤードは今年3月火事でテイスティング・ルームなどが燃えてしまうという災難にあっています。

2010年ころから売上が伸び始め2015年には100万ケースを造るほどになりました。2019年には11ドル以上のワインの売上高で全米ナンバーワンになっており、2021年にはワイン・エンスージアストのアメリカン・ワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。

その代表的なワインがカベルネ・ソーヴィニヨンで、2019年のカベルネ・ソーヴィニヨンやバーボン・バレル熟成のカベルネ・ソーヴィニヨンが、17ドルという価格ながらワイン・エンスージアストで91点と高得点を取っています。カベルネ・ソーヴィニヨンは同誌のエディターズ・チョイスにも選ばれており、バーボン・バレル熟成のものも「バーボン・バレル・スタイルのワインの中でベストの一つ」と評価されています。ちなみにこの両ワインに加えて2020年のシャルドネと2020年のジンファンデルが今年のサクラアワードでゴールドに選ばれています。

価格も実売税込みで2000円台前半からですので、今の為替レートではワイナリー価格より安いくらいです。





Date: 2022/0524 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のTTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)が新しいAVA「West Sonoma Coast」を2022年5月22日に承認しました(TTB Approves California's Newest Sonoma AVA: The West Sonoma Coast)。ソノマでは19番目のサブAVAとなります。

ソノマの太平洋沿岸にはこれまでも「ソノマ・コースト」AVAがありましたが、このAVAはあまりにも広大で、AVAとしての意味が希薄ではないかと以前から考えられていました。実はAVA策定時に、大手ワイナリーのソノマ・カトラー(Sonoma Cutrer)が自社の畑の場所をほぼこのAVAに入れたため、非常に広大になったと言われています。太平洋沿岸だけでなく、南はサン・パブロ湾のほど近くまで、内陸ではロシアン・リバー・ヴァレーAVAのほとんどの部分を含んでいます。

そこで、太平洋沿岸だけの「True Sonoma Coast」のAVAを作ろうというグループができたのが2011年のことでした。ここにはフリーマンやリトライ、ファイラなどが参加していました。AVAの申請を出そうとしたものの、その地域が既存のグリーン・ヴァレーなどと重なっているところがあったため、「完全に包含するのはいいが部分的な重なりは認めない」というTTBの方針変更を受け、なかなか認可されませんでした。

そうしている間に、ソノマ・コーストの中でも太平洋からサンパブロ湾方面につながる谷間の地域は「ペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)」AVAとして2017年に認可されています。

こうして、残る大物AVAとして、今か今かと待ち望まれていたわけですが、トランプ政権時代はAVAの認可が非常に降りにくく(ペタルマ・ギャップは例外中の例外のような感じでした)、バイデン政権になってからはコロナ禍もあり、今まで延びていたのでした。


新しいAVAはソノマ・コーストに完全に含まれ、ロシアン・リバー・ヴァレーやペタルマ・ギャップと接する形になっています。フォートロス・シーヴューは完全に内包しています。

マーカッシンや、ウェイフェアラー、ボアズ・ビュー、フラワーズ、ペイなどの大物ワイナリーの畑も含まれており、あまり使われなかったフォートロス・シーヴューと異なり、今後は多くのワインのラベルに名前が登場することが予想されます。例えばフリーマンでは、「Yu-ki」の畑がウエスト・ソノマ・コーストに入るので、次のボトリングから「Yu-ki」のピノ・ノワールとスパークリングのラベルに使うと表明しています。

今年は3月に「San Luis Obispo Coast(SLOコースト)」AVAが認可され、これで二つの大物AVAが決まったことになります。
Date: 2022/0523 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ネット上では20年来の知り合いであり、でもリアルで合ったのは半年前が初めてという安ワイン道場師範のサイト25周年パーティに参加してきました。場所は豪徳寺駅近くのワインステーションさん。南アフリカワインとオレンジワインを主体とするワインバーです。

ワインは各自の持ち寄り。総勢17名でワインも17種です。
会の詳しいことは「2022年5月:稽古日誌」に記されているので省きますが、私が持って行ったのがシェアード・ノーツ(Shared Notes)の「レ・ルッソン・デ・メートル(Les leçons des maîtres) 2019」です。記事の中でのNaotakaさんのコメントは「カリフォルニアの美味しい白ワイン」。そりゃそうですが、あまりにも情報量がないので、自分の感想を書いておきます。

このワインを選んだのはワインの名前が「師匠(師範)の教え」という意味だからですが、カリフォルニアの中でも素晴らしいソーヴィニヨン・ブランだと思っているからでもあります。

このワインはソーヴィニヨン・ブランとセミヨンを使ったいわゆるボルドー系のブレンドです。シェアード・ノーツではこれとソーヴィニヨン・ブラン100%のロワール系の2つのソーヴィニヨン・ブランだけを作っています。

ワインメーカーは元ウェイフェアラー(Wayfarer)のビビアナ・ゴンザレス・レーヴと、ピゾーニ(Pisoni)のジェフ・ピゾーニという超一流ワインメーカー夫婦。ビビアナはボルドーのシャトー・オー・ブリオンで修行していたことがあり、そのためにこの「師匠の教え」という名前を付けたそうです。

自分の持って行ったワインなので、ちょっとだけ真面目に飲みました。華やかな香りですが、トロピカルというよりは道端の白い花のイメージ。いきいきとした酸味、熟し切る手前の桃、セージのようなハーブ。うっすらと木の香り。

このワイン、新樽100%なのですが、いわゆる樽香ムンムンではありません。ローストをかなり軽くしているそうで、どちらかというと新しい家のようなすがすがしい木の香りに近い感じがします。また、マロラクティック発酵をしていないので酸もフレッシュな感じを保っています。ちなみに、このワインを最初に作るとき、マロラクティック発酵をするかどうかで夫婦げんかがあったそうです。ビビアナは「師匠の教え」通りにマロラクティック発酵をするつもりだったのですが、ジェフがしない方がいいといい、結局はなしにしました。今ではビビアナもしなくて良かったと言っています。

近年増えているソーヴィニヨン・ムスケを使った香りむんむんのソーヴィニヨン・ブランも好きですが、これはこれでとてもスタイルを持っていて好きなワインです。持って行ってよかったと自画自賛。


Date: 2022/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アイコニックワイン・ジャパンの試飲会に参加してきました。2000円から5000円ほどの中程度の価格帯で非常にいいワインをたくさん持っているインポーターで、特にモントレーからサンタ・バーバラまでのセントラル・コーストに強みを持っています。


カモミの「ロッソ・ディ・ナパ2020」(希望小売価格2450円)です。1000円台前半で人気の高かった「ロッソ・ディ・カモミ」はなくなり、ナパのワインになった分値段は上がっていますが、ナパのワインとしては最低価格帯でしょう。実売で安いところは2000円そこそこです。よくできています。


689セラーズの「689」カベルネは今や一番人気のカリフォルニアワインになっていますが、689セラーズはほかにもワインを造っています。この「キラードロップ2019」(3800円)もその一つ。かなりタンニンもしっかりしていて濃いワインですが、バランスは取れています。


昨年登場して一気に人気ワインになった「スラムダンク2019」(2700円)。名前やラベルの魅力もありますが、ワイン自体バランスよく、とても美味しいワインです。1年経ってもやっぱりいいものはいいです。


これも近年コスパワインの製造元として注目されているマイケルポザーン(ポーザン)のワイン。「ジアポーザ」のシャルドネ2018(2900円)。酸がきれいに出ていて、樽も突出せずいい感じです。


先日「2022年のイチオシ!? 「ほぼオーパスワンが5000円」」という記事で紹介したワインの一つですが、これもマイケルポザーンです。「ナパ1847」2018(5000円)。カベルネ・ソーヴィニヨンらしさがしっかり出ていて、この価格帯にしてはストラクチャーもしっかりしています。


ナパのホワイトホール・レーンがソノマのマヤカマス山麓に持つ「ラッシ」の畑のカベルネ・ソーヴィニヨン(2018年、4500円)。これもストラクチャーがしっかりしていて山らしいタンニンが感じられます。好きです。


先日、「ビエン・ナシード・オーナーが造る抜群のコスパワイン」という記事でバラード・レーンを紹介していますが、同じオーナーが造る別ブランドがバレル・バーナー(Barrel Burner)。文字通り樽を効かしたワインですが、樽感はもちろんしっかりあるものの、バランスもよく、いい感じに仕上がっています。シャルドネ2018、カベルネ・ソーヴィニヨン2018いずれも2800円はかなり割安感があります。

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パソ・ロブレスのデナー(Denner)が造るシラー「ダートウォーシッパー2017」(10,500円)。スパイス感や複雑さもしっかりあって美味しいシラー。レベル高いです。パソ・ロブレスがシラーの名産地であることがうなづけるワイン。


パソ・ロブレスのファイヤーストーンのカベルネ・ソーヴィニヨン2017(3240円)。この価格にして非常に完成度の高いワイン。美味しいです。


フィールド・レコーディングスの「ワンダーウォール」シリーズのシャルドネとピノ・ノワール。いずれもヴィンテージは2020年で3300円です。以前はミュージシャンのラベルでしたが、シンプルなラベルに変わってしまいました。ワンダーウォールは複数の畑のブレンドものです。シャルドネもピノ・ノワールもエレガント。シャルドネは特にミネラル感を強く感じます。この価格でこのレベルは恐るべしです。


リアルな動物モチーフのラベルで人気を集めたファブリストの「ブラン・ド・ブラン2019」(3700円)です。これはうまみがしっかりあって思わず「うまっ!」と声が出てしまいました。


サンタ・バーバラのサン・リージュの南ローヌ系ブレンド「オファリング2016」(5000円)。とてもバランスよく美味しい。


サンタ・バーバラの人気ワイナリーメルヴィルの「シラー ドナズ・ブロック2018」(8500円)です。今回はシラーでいいものが目立ちました。複雑さもしっかりあります。


最後もシラーになってしまいました。ストルプマンの「ラ・クローチェ 2019」(1万円)。むちゃくちゃ美味しい。最後の方なのでコメントが雑になってしまいすみません。
Date: 2022/0520 Category: おすすめワイン
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故ロバート・モンダヴィの次男ティム・モンダヴィが造るコンティニュアム(Continuum)。今やプリチャード・ヒルのみならず、ナパを代表するワインの一つと言ってもいいでしょう。プリチャード・ヒルに畑を買うときには、存命だったロバート・モンダヴィも畑を見に行ってOKを出した、モンダヴィ翁にとっても最後のプロジェクトとなるワイナリーです。カベルネ・フランが3割程度入ることで、濃厚でありながらも軽さやエレガンスを出している素晴らしいワインです。



先日のWINE TO STYLEの試飲会では最新ヴィンテージの2019を試飲しました。カベルネ・フランの比率は37%とこれまでで一番高くなっています。そのためか、これまで以上にエレガンスさが出てきているように感じました。ちなみに、2018年については「モンダヴィ系プレミアムカベルネの頂点 コンティニュアムが格安」の記事でコメントを書いていますが、カベルネ・フランが31%と上がって、よりエレガントになったと、同じようなことを言っていますね。

そういえば、ハーランも2020年以降、スタイルを少し変えてより軽い作りを目指しているということで、ナパのワインのエレガント志向がこれから強くなってくるのかもしれません。

というわけで2019年も非常に素晴らしかったのですが、残念ながら価格は大幅に上がります。希望小売価格4万5000円。今の為替と近年の高評価を考えたら仕方ないですが、きついですね。

2018年はまだ店頭にはいくらか残っており、3万円台で購入できます。はっきり言って、ナパのワインでこのクオリティで3万円前半はバーゲンといってもいいくらいです。円安が解消されない限りはもう難しいかもしれません。今が買い時なのは間違いありません。

ウメムラです。

ノムリエ・ザ・ネットです。

カリフォルニアワインあとりえです。

柳屋です。

Date: 2022/0518 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアのAVAでどこが好きか一つだけ挙げるとしたら、サンタ・クルーズ・マウンテンズ(Santa Cruz Mountains)かなあと思っています。オークヴィルとかソノマ・コーストとかロシアン・リバー・ヴァレーといったメジャーなところではないですが、非常に魅力的なワインが作られる産地です。
SCM
この地図で示したように、サンタ・クルーズ・マウンテンズはサンフランシスコの南方の半島を中心にしたAVAです。シリコンバレーと太平洋の間の山地になります。

歴史的に見ると、境界を標高で決めた初めてのAVAとして重要です。標高で霧の入り具合が決まるからです。

サンタ・クルーズ・マウンテンズで一番有名なワイナリーといえばリッジ(Ridge)です。2006年の「パリスの審判30年後」のブラインド・テイスティングで1位になったモンテベッロのカベルネ・ソーヴィニヨンがこの地域の畑です。というとカベルネ・ソーヴィニヨンが有名なようですが、実はカベルネ・ソーヴィニヨンはサンタ・クルーズ・マウンテンズの中では内陸よりの標高が高いところくらいしかなく、地域でメジャーな品種というわけではありません。太平洋に近いところは非常に冷涼で、酸のくっきりとしたピノ・ノワールやシャルドネが生まれます。個人的には特にこの地域のシャルドネは非常に好きです。リッジやマウント・エデンのシャルドネなど、凛とした味わいがあります。

一方、この地域の弱点はリッジを除くと小規模な生産者ばかりなこと。サンタ・クルーズ・マウンテンズのAVAの面積はナパの1.5倍もありますが、畑の面積は30分の1以下。1300エーカーしかなく、そのうち1割を超える140エーカーほどがリッジの畑です。文字通り山地が中心であり、畑を切り開くのはかなり大変です。特に近年は斜面の畑の開発には自然保護の面からなかなか許可が得られなくなっています。今後も大規模な生産者が登場する可能性は低いでしょう。

反面、小規模な生産者を探す楽しみはある産地だと思います。大量生産ができる地域ではないので、作られるワインはほぼ高級品といってもいいでしょう。アルノー・ロバーツやセリタスといった、注目されている生産者がこの地域のブドウを調達してワインを造っているのは決して偶然ではありません。







Date: 2022/0517 Category: テイスティング・ノート
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どうしてもピノ・ノワールが飲みたくなったのですが、手頃なワインが見当たらず、ちょっといいワインを開けてしまいました。

桃井隆弘さんが作るアーサー・セラーズのピノ・ノワール、2019年のKR Ranchです。KR Ranchは以前はKeefer Ranchと呼んでいましたが、コスタブラウンが畑を買って、その名前が付けられなくなったため変更したのでした。それだけの銘醸畑です。

味わいは赤系のベリーにかつお節系の旨味がたっぷり。酸も強すぎず、癒やし系のワインです。カリフォルニアワインというとガツンとした味わいのものばかりというイメージもありますが、こんな優しくて美味しいワインもあります。

2020年は火事の煙の影響でワイン作れず、今年のリリースはないそうですが、毎年楽しみなワインの一つです。



Date: 2022/0516 Category: おすすめワイン
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サンタ・バーバラでグラン・クリュの畑を選ぶとしたら、確実にその一つに入るのがサンタ・マリア・ヴァレーのビエン・ナシードです。そのビエン・ナシードを開拓したオーナーであるミラー・ファミリーが手掛けるコスパ系ブランドの一つがバラード・レーン(Ballard Lane)。サンタ・バーバラの中でも冷涼から温暖まで多様な気候を持つサンタ・イネズ・ヴァレーでワインを造っています。

先日開催されたアイコニックワイン・ジャパンの試飲会で、コスパの高さで一番目を引いたのがここのワインでした。


ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンと5種類いずれも希望小売価格2200円(税抜き)。ワイナリー価格の15ドルと比べても遜色ない、かなり安い値付けになっています。

全種類試飲した中では特にシャルドネとピノ・ノワールが良かったです。シャルドネは樽もしっかり効いたフルボディの作り。そこまではこの価格帯でもほかにも対抗馬がありますが、このワインは特にミネラル感がたっぷり。これは2000円前後のワインではなかなか見られない味わいです。

ピノ・ノワールはプティ・シラーを2%ブレンドしています。ボディは結構しっかりしていて、果実味も豊かですが、これはさらにスパイスの風味が味わえます。プティ・シラーをブレンドした効果でしょうか。2000円前後のピノ・ノワールの中では抜群の出来だと思います。

ヴィンテージはいずれも2018年。非常にコンディションのいい年ですから、そのおかげもあるのでしょう。

ココスです。


Date: 2022/0513 Category: おすすめワイン
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プリズナーは今世紀最大のカリフォルニアワインのヒットブランドと言っていいでしょう。創設者のデイブ・フィニーは何の資金も後ろ盾もなくワイン造りを志し、最初はロバート・モンダヴィで働き始めました。次の年になんとかジンファンデルのブドウを調達してワイン造りを始め、2000年に始めたレッド・ブレンド「ザ・プリズナー」が大ヒットします。近年のレッド・ブレンド・ブームはほぼこのブリズナーのヒットにあやかったものと言っていいでしょう。

このワイナリー「オリン・スイフト」から2016年にはプリズナー・ブランドを約300億円でコンステレーション・ブランズに売却、さらにオリン・スイフトもガロに売却しています。プリズナーは今ではナパにテイスティング・ルームもオープンし。大人気ブランドとしての地位を確立、オリン・スイフトも次々にヒット作を造っています。

このプリズナーのワイン、日本ではネット販売が許可されていなかったのが、今回「アンシャックルド」というカベルネ・ソーヴィニヨンが解禁になりました。同時にこれまで6000円台とちょっと割高感があった価格も税込み4000円台半ばに変更、ワイナリー価格26ドル(税抜き)からみて妥当な範囲になりました。

これまでもプリズナーのワイン、ネットに全く出ていなかったわけではないのですが、割高感からこのサイトではほとんど紹介していなかったのですが、今回の値段なら十分ありなワインだと思います。基本的に果実味のしっかりした濃厚系のワインですので、フルーツ爆弾的なワインが好きな方にお薦めします。

しあわせワイン倶楽部です。


カリフォルニアワインあとりえです。

Date: 2022/0512 Category: 業界ニュース
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ナパのケイマス(Caymus)がナパに隣接するソラノ(Solano)郡のサスーン・ヴァレー(Suisun Valley)に新しいワイナリーを建設、ケイマス・サスーン(Caymus-Suisun)として力を入れ始めています(Napa’s famous Caymus opens tasting room unexpected Bay Area location)。


テイスティング・ルームは全体がガラス張りで外にいるかのような感覚を得られます。この場所は非常に風が強くそれを感じさせる工夫でもあります。屋外でのテイスティングもできますが、風の強さでグラスが倒れるため、ステムレスのグラスを使っているほどです。

ケイマスがこの場所に滲出した大きな理由は、ナパではワインの製造量を増やせないこと。ケイマスはかつてそれに違反したとして100万ドルの罰金を払ったこともあります。そういうわけで最初はワインの製造やボトル詰めの拠点としてだけ考えており、実際に醸造はこの場所に移転しています。また、ナパではワイナリーにおけるイベントの制限が大きいことも、理由の一つでした。例えばナパのワイナリーでは結婚式は開けません。新しいワイナリーでは150人規模のイベントが可能だとのこと。
ケイマス
サスーン・ヴァレーAVAは、ナパの南東になります。ナパの南東端にあるワイルド・ホース・ヴァレーAVA(KenzoのあるAVAです)はソラノ郡にも入っていて、ソラノ郡のソラノ・カウンティ・グリーン・ヴァレーAVAとも共通部分があります。グリーンバレーの東側に接しているのがサスーン・ヴァレーです。

ケイマスは、実際に進出してからはワイン造りの面でも大きな可能性を見出しているようです。600エーカーの地所を購入し、プティ・シラー(ここではGrand Durifと呼んでいます。なおPetite Sirahの正式名称はDurifです)を造っています。SFクロニクルの記事によるとグルナッシュも素晴らしいものができそうだとのこと。

いろいろなものが高くなりすぎたナパから、田舎的雰囲気を残したソラノへの進出、ケイマスだけではないかもしれません。
Date: 2022/0511 Category: おすすめワイン
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ドラジェでナパ・ソノマのワイン3本のセットがお得です。
ナパからはトレフェッセンのメルロー2016。先日別の記事でも紹介していますが通常より2割ほども安い5000円台前半になっているワインです。ドラジェの価格は5280円(税込み)。もう1本ナパからはコスパの高いワインを次々に出しているマイケル・ポザーンの中でも人気の高いアナベラ。単体価格は3135円です。
ソノマからはハウス・オブ・カーズのシャルドネ2019。このワイナリーはあまり知りませんが、ケンダル・ジャクソンのワインメーカーなどを務めてきた人のワイナリーだそうです。単体価格は2990円。
合計すると11,405円のところが9900円と1割以上安く、さらに送料も無料です。実質的に2割くらい安くなっている感じですね。

トレフェッセンのメルローだけでも送料いれたら8000円近くの店もあるくらいですから、かなりお得感はあると思います。


Date: 2022/0510 Category: 業界ニュース
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2021年12月には月商6000万円を超えたという楽天の「しあわせワイン倶楽部」。1年前の2020年12月には初めて月商3000万円を超えたとのことであり、1年間で売上倍増の急成長をしています。楽天の「Walk Together」という店舗向けの冊子にも「Rakuten Dream物語」として取り上げられているほどです。この4月には新しいオフィス兼倉庫に引っ越したとのことで、訪問してきました。

左が社長の木之下嘉明さん、右が妻で取締役の木之下麻衣子さん


新しいオフィスは調布駅から徒歩20分くらいのところ。1階が倉庫兼梱包場所、2階が倉庫とオフィスで訪問したときにはまだ2階の倉庫はほぼ空でした。

全くワイン業界とは縁のなく、趣味でワインを飲んでいた木之下さんが独立してワインショップの開業を考え始めたのは2009年頃。前職でECに携わり、ワインでも行けるのではないかと手応えを感じたそうです。2010年にはワインエキスパートを取得、2011年にECのみでワインの販売を始めました。

倉庫は自宅の四畳半。断熱材とエアコンでセラー代わりにしていました。

最初は売上もほとんどなかったそうですが、転機の一つになったのが「ナパ・セラーズ」を扱うようになったこと。



その味わいとコスパで、「これはぜひ扱いたい」と思ってインポーターに問い合わせたそうです。実はこのワインの輸入元はコルドンヴェール。やまやとイオンの合弁会社で、基本的にやまやとイオン系スーパーやショップのためのインポーターです。他のワインショップに卸すことはほとんどないのですが、熱意を認めてもらって取り扱いできるようになったといいます。今楽天で調べてもしあわせワイン倶楽部のほかはやまやでしか扱いがありません。

その後は自社輸入物を増やすなどして(現在は自社輸入はほぼゼロ)徐々に軌道に乗り、当初の自社サイトのみから2015年に楽天での出店も始めました。

しあわせワイン倶楽部でワインを買うと、「おまけ」がたくさんついてくるのに驚きます。クリスタルガイザーのペットボトルに、購入したワインのテイスティングノート、それから当サイトとのコラボによるカリフォルニアワイン・ニュースも同梱していただいています。

ワインは1本ずつラップと紙で巻かれており梱包も丁寧、発送も平日15時までの注文は即日出荷されます。外部に倉庫を借りて出荷を行うことも可能ですが、しあわせワイン倶楽部では梱包と配送こそ力を入れるところだと考えており、新しい倉庫もそれを念頭に作られています。

こういったことで購入した人がファンになりリピート買いすることが右肩上がりの売上につながっています。昨年末の記録も、特別な策を講じたというよりも「年末には一度買った人がだいたい戻ってきて買ってくれる」とリピート客に支えられています。

また、顧客から送ってもらったコルクをコルクリサイクルに使うというプロジェクトも行っており、これも顧客とのつながりに貢献しているとのこと。

会社のミッションは「ワイン文化の定着」。ワインを通じて人生を楽しみ、ワインによって人生を豊かにする人を生み出し続けること。そして未来のビジョンとしては「3世代が一緒にワインを楽しむ社会の実現」だといいます。

売上や利益といった金銭面ではなくこういったビジョンやミッションを大事にしているからこそ、ファンが増える店舗になっているのだということを改めて感じました。

なお、2019年には日本ワインのショップもオープン。今後はシャンパーニュの専門店も予定しています。

私もビジョンの実現に、少しでもお役に立てるよう、協力していきたいと思います。
Date: 2022/0509 Category: 業界ニュース
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1972年に設立されたワイナリーが今年50周年を迎えます。その多くが今もなおカリフォルニアワインを牽引していると言っても過言ではない名門ワイナリーです(California’s ‘class of 1972’ wineries continue to raise the bar)。

19世紀に急激に広がったカリフォルニアのワイン生産でしたが20世紀に入り、1920年から33年までの禁酒法の期間に多くのワイナリーが廃業に追い込まれました。ワイナリーが減ったこと以上に大きかったのが、消費者が美味しいワインを求めるという嗜好を失ったことで、禁酒法期間の倍以上の30年間ほど、高品質なワイン造りはイングルヌック(Inglenook)やボーリュー(Beaulieu)などごくごくわずかなワイナリーを除いてはほとんど行われていませんでした。

1960年代に入り、ハイツ・セラー(Heitz Cellar)、シュラムスバーグ(Schramsberg)などの今に続く高級ワインのワイナリーが少しずつ誕生してきました。その象徴的存在が1966年に設立されたロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)であり、モンダヴィ傘下で働いた人たちが次々と名門ワイナリーを興すようになるのです。60年代にはすでにスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)がオープンしていますが、その動きがさらに活発になったのが1972年でした。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズによるとこの年、少なくとも8個のワイナリーが開業しており、60年代全体に匹敵するほどでした。ナパでは70年代に40を超えるワイナリーがオープンしていますが、まさにカリフォルニアワインが開花を始めた時期と言っていいでしょう。

1972年にオープンしたのはケイマス(Caymus)やシルバー・オーク(Silver Oak)、ダイヤモンド・クリーク(Diamond Creek)、クロ・デュ・ヴァル(Clos du Val)、マウント・ヴィーダー(Mount Veeder)、スミス・マドローン(Smith Madrone)など。また、そのまではドライ・クリーク・ヴィンヤード(Dry Creek Vineyard)やジョーダン(Jordan)がこの年に生まれています。ケイマスやシルバー・オーク、ジョーダン、ドライ・クリークなど創業した家族が今も経営を続けています。

ちなみに冒頭に写真を載せたシャトー・モンテレーナ(Chareau Montelena)は1882年設立と設立は古いのですが、禁酒法以降は休眠状態であり、1972年にそれを買い取ったジム・バレットによって再生を始めたのでした。翌年のシャルドネが1976年のパリスの審判で1位になったのは周知の通りです。

何百年も続いている欧州の名門に比べれば歴史の短いカリフォルニアワインですが、それでもしっかりと年を刻んできています。50年ともなると、ブドウの樹は植え替えも経ているのが普通であり、シャトー・モンテレーナでも現在3回めの植え替えをしているとのこと。歴史の浅さが品質の低さになるようなことはもうないと言っていいでしょう。

Date: 2022/0508 Category: 業界ニュース
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ダックホーン・ポートフォリオ(ダックホーンやカレラなどを所有する会社)はパソ・ロブレスで289エーカーの畑を購入しました(Duckhorn Acquires 289-acre Paso Robles Vineyard)。ダックホーンにとってはセントラル・コーストではカレラの畑に次ぐ自社畑ということになります。

畑の名前はボトム・ライン・ランチ(Bottom Line Ranch)。パソ・ロブレスのサン・ミゲル・ディストリクトにあり、カベルネ・ソーヴィニヨンが265エーカーに植わっています。サン・ミゲル・ディストリクトはパソ・ロブレスの中でも比較的温暖なところです。

この畑のブドウはデコイやポストマークに使われる見込みです。
Date: 2022/0506 Category: 業界ニュース
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ナパ郡で、年間5000ガロン(約2100ケース)以下の小規模ワイナリーの開設許可が3年間の期間限定で容易になりました。これまでは開設計画を郡の委員会に提出し、審議の上で認められる必要がありましたが、この期間においては一定の条件を満たすワイナリーであれば、審議不要で開設できます(Napa County Micro-Winery Ordinance Goes Into Effect May 5, 2022 - DPF Law)。

条件としては生産量は201ガロンから5000ガロン、自社で製造設備を有し、75%のブドウは自社畑である必要があります。ワイナリー設備の面積は5000平方フィート(約464平方メートル)以下。ツアー、試飲、小売販売は午前9時から午後6時まで。ツアーや試飲以外のマーケティングイベントは許可されていません。

また、ワイナリーへの訪問者はオーナーや従業員、デリバリー、ビジターなどを含めて1日平均車10往復となっています。少々ややこしいですが、フルタイムのオーナーとパートタイムの従業員がいたらそれで2往復分となり、残り8往復がビジター分となります。車1台で2.6人と計算することになっており1日平均19人のビジターを受け入れられるという計算です。

3年後にこの方式を継続するか打ち切るかを改めて決める予定です。
Date: 2022/0505 Category: おすすめワイン
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先日「レーヴェンスウッド復活、都光の試飲会から美味しかったワイン」という記事で紹介した「ナパ・バイ・ナパ」。もちろんナパ産のワインですが、インポーター資料では希望小売価格5400円となっていました。それが今、半額セールになっており税込みでも2000円台で買えます。

いかにもナパらしい華やかな味わい。5000円台だとブームになったナパ・ハイランズを初め、強力なライバルも多く、これだけが突出しているとは言えないところですが、2000円台ではナパ産のワインはあまりありません。ナパのワイナリーであってもこの価格帯では他地域のブドウを使っていることがほとんどです。

文句なくお買い得です。

カリフォルニアワインあとりえです。



ドラジェです。



セラー専科です。4本1万円で送料無料。

Date: 2022/0504 Category: 業界ニュース
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ナパのケークブレッド・セラーズ(Cakebread Cellars)の創設者であるジャック・ケークブレッドが4月26日に亡くなりました。92歳でした(Jack Cakebread, Photographer Turned Napa Vintner, Dies at 92 | Wine Spectator)。おわかりになるようにワイナリー名は名字そのものです。意外と知らない人が多いのでは。

ジャック・ケークブレッドはカリフォルニアの生まれ。父親はオークランドで車の修理業者を始めた人でした。10歳のときにコントラコスタ郡に農場を購入してアーモンドやくるみ、ストーンフルーツなどを育てるようになりました。

ジャックは父親の車の修理業を手伝いながらフリーランスで写真家もやっていました。

1972年に「The Treasury of American Wines」という書籍の仕事でナパに行き、ラザフォードの友人宅で食事をしました。そのときに友人に、いつか土地を売るときがあったら僕が買うよといったところ、その日の午後に電話があり、土地を購入することになりました。

その後は近隣に土地を買い足したり、カーネロスにシャルドネやピノ・ノワールのための畑を買ったりして現在に至ります。環境に気を使っているワイナリーの代表格の一つでもあります。

ジャックは2002年に社長を息子のブルースに譲りましたが、2015年まではCEOを続けていました。一緒にワイナリーを始めた妻のドロレスは2020年に亡くなっています。

ナパを築いてきた一人がまた亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

ケークブレッドのフラッグシップはこのワイン。パーカー100点を取っているそのものです。


廉価版のブランドもあります。


Date: 2022/0503 Category: おすすめワイン
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先日「レーヴェンスウッド復活、都光の試飲会から美味しかったワイン」という記事でも紹介したように、ブランド売却後に途絶えていたレーヴェンスウッド(Ravenswood、レーヴェンズウッド)の輸入が再開されました。ヴィントナーズ・ブレンドとローダイの2つのジンファンデルです。早くも柳屋で販売が始まっています。

ヴィントナーズ・ブレンドは2000円前後のジンファンデルのベンチマーク的といってもいいでしょう。安心して飲めるブランドです。一方のローダイは「カントリー・シリーズ」と呼ぶ1ランク上級のジンファンデル。このシリーズ、以前は他の地域のものも輸入されていましたが、その中でもコスパで抜きん出ていたのがローダイで、今回もそれが選ばれたのは納得です。柳屋では税込み2000円台と安くなっています。

1000円近い価格差がありますが、個人的にはこの2本ならローダイを選びたいところです。複雑さが全然違います。これで2000円台はお買い得でしょう。



Date: 2022/0502 Category: おすすめワイン
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トレフェッセン(Trefethen)のメルロー 2016が税込み5000円台前半と、安く入荷しています。コロナの影響によるバックヴィンテージの特別入荷で通常の2割引になっているようです。

トレフェッセンはナパのオーク・ノールにある老舗ワイナリーでパリスの審判の3年後の1979年にはゴーミヨ誌による「ワインオリンピック」でシャルドネ世界一にもなったことがあります。

オーク・ノールに自社畑を持ち、そこで多様な品種を栽培しています。ナパの中では冷涼系のカーネロス、カベルネ・ソーヴィニヨンなど温暖系の品種が中心になるヨントヴィルの間という気候を生かしています。ナパの中ではエレガント系のしみじみ美味しいワインを造るワイナリーです。




Date: 2022/0430 Category: 業界ニュース
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california green medal
カリフォルニア・サスティナブル・ワイングロウイング・アライアンス(CSWA)は2022年のグリーン・メダル受賞者を発表しました(2022 WINNERS – California Green Medal)。

リーダー賞:ウェンテ・ファミリー・エステーツ
環境賞:トレフェッセン・ファミリー・ヴィンヤーズ
コミュニティ賞:マックマニス・ファミリー・ヴィンヤーズ
ビジネス賞:ジャクソン・ファミリー・ワインズ

ウェンテはリーダー賞として「環境的に健全で、社会的に公正で、経済的に実行可能な慣行」の3点で秀でているとされています。畑を「耕さない」という手法でカーボン排出を抑えたり、電気で動くトラクター「Monarch」を導入したり。
Date: 2022/0428 Category: 業界ニュース
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ナパの有名ワイナリー「ハイツ・セラー(Heitz Cellar)」がイタリアの樽製造業者ガンバ(Gamba)を提訴しました(Heitz Cellar Sues Cask Manufacturer)。

ハイツはガンバから樽5つを2020年2月に57175ユーロ(約775万円)で購入。1100リットルの樽が一つと、2200リットルが2つ、3300リットルが2つでした。指示されていた通りに1回水で満たしてからワインを入れました。

しかし、樽の一つは複数のところから漏れがあり、どうにもなりませんでした。

さらに2200リットルの樽の一つはTCAに汚染されていたことが分かり、その樽に入れていたワインは破棄せざるを得ませんでした。

そのため、ハイツは樽2つ分の価格の弁償を要求しましたが、ガンバ側が拒否したため提訴したとのことです。

なお弁償として要求したのは樽の価格だけで、ダメになってしまったワインは含んでいないとのこと。

樽に入れていたのはTrailsideのカベルネ・ソーヴィニヨンで小売価格は1本150ドル。2200リットルで44万ドルに相当します。

Date: 2022/0427 Category: 業界ニュース
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今年1月に「NHK『あてなよる』でザ・ペアリングのソーヴィニヨン・ブランを激賞」という記事でサンタ・バーバラの「ザ・ペアリング(The Paring)」のワインが番組にちらっと出た話を書きました。

NHKですから番組ではワイン名は言わず、ラベルも半分くらいしか見えなかったのですが、それでもこのワイン、すぐに売り切れてしまい、しばらくありませんでした。

このほどやっと再入荷があったようです。

ちなみに、前の記事にも書いていますが、ザ・ペアリングはヒルト(Hilt)とホナタ(Jonata)のセカンド・ワイン。スクリーミング・イーグルのオーナーが所有するワイナリーで、ヒルトはブルゴーニュ系、ホナタはボルドー系やローヌ系の品種を手掛けています。どちらもサンタ・バーバラのトップ級のワインであり、ザ・ペアリングはコスト・パフォーマンスが非常に高いです。ワイナリー価格が25ドルですから、2000円台で売っているところは現地価格以下でもあります。



Date: 2022/0426 Category: 業界ニュース
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オレゴンで大規模な霜の害が発生しています(Willamette Valley could lose half its grape crop after frost hits Oregon vineyards)。

被害が一番大きいと見られているのがオレゴンのワイン生産の大半を占めるウィラメット・ヴァレーで、新芽だけでなく副芽までやられてしまったケースが多く、収穫の半分がなくなるのではないかという観測もあります。

また、品種によっても被害状況は異なり、芽が出るのが遅いローヌ系品種では比較的被害は軽そうで、シャルドネやピノ・ノワールの方が被害が大きいもようです。

まだ、被害状況の全貌はつかめていませんが、過去25年で最悪という話もあります。

カリフォルニアでは温暖なローダイなどで霜の被害が生じています。これも比較的珍しいことです。こちらも被害の全貌は掴めていません。
Date: 2022/0425 Category: テイスティング・ノート
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スペシャリスト
ちょっと傷を入れてしまいましたが、印象に残るラベルのワインです。インポーター情報によると、ワイナリー名の由来は以下の伝説で、ラベルはそれを描いたもののようです。
「スペシャリストの伝説を知っている?ロダイの伝説的な古木ジンファンデルに登り夜遅くまで月明かりに照らされながら、ブドウにセレナーデを聞かせる姿を畑で見たと何人かが証言している。彼は錬金術師だ。元素を超自然的なワインに変換させる事が出来る。
ブドウ畑とジンファンデルのブドウに献身的に尽くし、その深い知識が真にジンファンデルに特化したワイン造りを後押しする。」

ブラックベリーやアメリカンチェリーの風味。タンニンは少なめでスムーズな飲み心地。甘やかさはありますが、濃すぎず、美味しいジンファンデルです。実売2000円程度のワインとしてはかなり秀逸といっていいでしょう。

後から知ったのですが、実は2021年のサクラアワードで、ダイヤモンド・トロフィーと特別賞(コストパフォーマンス賞)を受賞しているのだそうです。

これからの季節は10℃くらいまで冷やして飲むのもお薦めです。酸やタンニンが強い赤ワインは冷やすと渋さや酸っぱさが引き立ってしまいますが、これはひやしても大丈夫。温度が上がっての変化も楽しめます。


Date: 2022/0424 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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インポーター「都光(とこう)」の試飲会に行ってきました。カリフォルニアワインメインのインポーターではありませんが、カリフォルニアワインも「ヘス(Hess)」を中心に16種類ほど出ていました。ほかの国のワインも試飲していますので、それも含めてレポートします。

とはいえ、まずはカリフォルニアワインから。
ヘスは、エントリーの位置付けが州内の買いブドウで造る「セレクト」で、次がナパの本拠地とは別の畑で造るアローミ、今回は出ていなかったですが、マウント・ヴィーダーの自社畑のワイン、それから「ライオン」シリーズとなっています。加えてコロナ禍以降は、米国のレストラン向けに出していた「シャーテイル・ランチ」が国内に入ってきています。
多くの人が気にするのがセレクトとシャーテイルとどちらを選ぶのかというところだと思います。カベルネ・ソーヴィニヨンの場合、どちらも実売では2000円程度になっています。今回の試飲では、甘やかさや濃厚さ、パワフルな味わいを求めるならセレクト、ストラクチャーやエレガントさを求めるならシャーテイル・ランチがいいと思いました。個人的にはシャーテイル・ランチの味わいの方が好きです。


シャルドネもなかなかよくできています。まろやかな味で食事にも合いそう。


新入荷の「ナパ・バイ・ナパ」。名前もラベルも振り切った感じがいいですね。カベルネ・ソーヴィニヨンは華やかな味わい。


レーヴェンスウッドも新たにラインアップに加わりました。レーヴェンスウッドは2019年にコンステレーション・ブランズからガロに30超のブランドが売却されたときにその一つとなっていました。このときに売却されたワイナリーのワインはそこで輸入がストップしており、国内で人気があったフランシスカンやシミなどもなくなりました。それが復活した形になります。かつてのようなジンファンデルのトップクラスのイメージはもうありませんが、ヴィントナーズ・ブレンドのジンファンデルはバランスよく、カントリー・シリーズのローダイのジンファンデルは複雑さがある味わいでした。


チリの人気ワイナリー「インドミタ」の中では「グラン・レゼルバ 」のカベルネ・ソーヴィニヨン2020(1280円)が突出した出来でした。これは価格帯(1280円)を超えたレベルの高さです。


オーストラリアのタスマニアのワイナリー「デヴィルズ・コーナー」のピノ・ノワール(2800円)。冷涼感があっていいピノです。タスマニアワイン売上No.1のワイナリーだとのこと。リースリングも秀逸でした。


スペインの「ガッジーナ・デ・ピエル」の「イキガイ 2020」(1800円)。「イキガイ」は日本語の「生きがい」だそう。エル・ブジのソムリエが造るワインです。フレッシュで旨味もあり美味しい。


最後は王道のシャンパーニュからパルメの「ブリュット・ロゼ・ソレラ NV」です。シェリーのようなソレラ・システムで継ぎ足して熟成したピノ・ノワールを使っているとのこと。さすがの複雑さがあり美味しいシャンパーニュでした。

セラー専科(都光のワインショップ)です。







Date: 2022/0421 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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日本酒「獺祭」を造る山口県の旭酒造会長の桜井博志さんのセミナーがアカデミー・デュ・ヴァンで開催され、参加してきました。3回シリーズの第1回です。

桜井博志さんが亡くなった父親の後を継いで社長になったころ(父親とは折り合いが悪くそれまでは全くノータッチだったそう)、旭酒造の売上は10年で3分の1にまで落ち込み、商売を続けるのも難しい状況だったそう。それを獺祭で「純米大吟醸」に振り切るまでの話が初回でした。

杜氏がやめてしまって、素人でもできるようにデータに頼って造っているという話は有名ですが、あくまでデータはモニターのためであって、実際に酒造りの手を動かすのはほぼ人であり、製造スタッフだけで日本の酒造最大の160人もいるという話など、かなりおもしろかったです。

試飲では獺祭の純米大吟醸45(45%まで精米)、純米大吟醸磨き三割九分(39%まで精米)、純米大吟醸磨き2割3分(23%まで精米)、そして純米大吟醸スパークリング45(45%まで精米)の4種類が出てきました。

純米大吟醸45は獺祭のエントリー版という位置付け。ピーチやバナナ、いちごの香り、軽い酸と旨味があり華やかで美味しい。これで720ml1650円というのは安いですね。

磨き三割九分、磨き二割三分と精米度合いが上がっていくと、よりすっきりしてピュアな味わいになっていきます。複雑さはむしろ薄れて、研ぎ澄まされていくような感じ。色も水かと思うほどクリアです。ただ、余韻はだんだん長くなっていくような気がしました。

打って変わってスパークリング45は白く濁ったお酒。泡はシャンパーニュなどと比べるとちょっと弱めです。瓶詰めするときに粗越しした醪(もろみ)を加え瓶内二次発酵させています。

これ、なかなかおいしいです。にごり酒のせいか、旨味を強く感じます。甘やかさもあります。バナナや甘草の風味で柔らかな味わい。泡のクリスプさと中和させるために、やや甘めの造りになっているようです。個人的にはこの日のベストでした。


Date: 2022/0420 Category: 業界ニュース
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インポーター「ラ・ラングドシェン」の試飲会に行ってきました。カリフォルニアワイン専門のインポーターではないので、他国のワインも含めて試飲しました。その中から美味しかったもの、気になったものを紹介します。

いきなり、ニュージーランドからですが、ハンターズ(Hunter's)のソーヴィニヨン・ブラン2021(3000円、希望小売価格・以下略)です。パッション・フルーツなど華やかな果実味があり、さわやかさも持っています。いかにもマルボロらしいソーヴィニヨン・ブランで美味しいです。


サンタ・バーバラのフェス・パーカー(Fess Parker)のシャルドネ2020(3400円)。この価格帯にしては高級感のある味わいでバランスもいい。


ローダイのオーク・ファーム(Oak Farm)のアルバリーニョ2020(3500円)。豊かな酸と塩味を感じるアルバリーニョらしい味わい。


この日の白ワインのベストだったのがマテッラ(Materra)のシャルドネ2020(4800円)。ナパのオーク・ノールに自社畑を持つワイナリーで、このシャルドネもオーク・ノールのものです。ワインメーカーはハイジ・バレットとボー・バレット(シャトー・モンテリーナ)の娘のチェルシー・バレット。ナパのシャルドネとしてはとてもエレガントで高級感があります。とても美味しい。


ボルドーのサンテミリオンにあるシャトー・クロワ・ド・ラブリー(Chateau Croix de Labrie)のレ・オート・ド・クロワ・ド・ラブリー サンテミリオン グラン・クリュ 2018(5300円)。スムーズでボディもしっかりしており、これで5300円は安いと思います。


オーストラリアのマーヴェリック(Maverick)のツインズ・バレル・セレクト・シラーズ2017(Twins Barrel Select Shiraz、3900円)。3000円台とは思えない複雑さがあり深みのある味わい。美味しいです。


ローダイのオーク・ファームのティエヴォリ レッド・ブレンド 2019(Tievoli、4200円)。フレッシュかつ濃厚な果実味が素晴らしいワイン。Tievoliは逆から読むと「I love it」とのこと。なるほど。


前述のマテッラのワインで右がミッドナイト2018(10000円)、左がカベルネ・ソーヴィニヨン ヒドゥン・ブロック 2017(1万1000円)。ミッドナイトはマルベックを中心にしたブレンド。タニックで美味しい。

Date: 2022/0419 Category: 業界ニュース
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ソノマのフリーマン・ワイナリーが初めて造ったスパークリング・ワイン「ユーキ・エステート 20周年記念 ブラン・ド・ブラン ソノマ・コースト 2019」が今月、国内で正式にお披露目されました。ちなみに20周年というのは、2001年に創設されたフリーマンが20周年を迎えた2021年にリリースするために造ったという意味です。

エレガントの極み、フリーマンの新作スパークリング
「レイト・ディスゴージやロゼ・スパークリングも造ってます」――フリーマン・アキコさんに訊く

このブログでは上の2つの記事でテイスティング・ノートとアキコさんへのインタビューを紹介しています。

内容としては特に付け加えることはありませんが、前回の試飲から3か月半経って、より美味しくなっているのを感じました。昨年12月は鮮烈な酸が印象的でしたが、今回は酸の美しさはそのままで、よりこなれて複雑さも増してきている感じでした。個人的にも1本購入しましたが、2・3年置いておいてから開けようかなと思っています。

日本への輸入は少量で、特に一般流通分はごくわずかです。

Date: 2022/0417 Category: 業界ニュース
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ナパとソノマを中心に、高級ソーヴィニヨン・ブランが増加しています(Napa and Sonoma Winemakers Market Luxury Sauvignon Blanc. Is Anyone Buying? | Wine Enthusiast Magazine)。これまではカリフォルニアの高級な白ワインというとシャルドネの独擅場という感がありましたが、ソーヴィニヨン・ブランも、それに対抗する、とまではいかなくても、高級ワインの一角を占めるようになってきました。

私が思うには、スクリーミング・イーグルのソーヴィニヨン・ブランというのがやはりインパクトが大きかった。最初は「こんな高いソーヴィニヨン・ブラン誰が買うの?」と思いましたが、ワイン・アドヴォケイトでカリフォルニアのソーヴィニヨン・ブランとしては最高の98点を取り、現在はカベルネ・ソーヴィニヨン以上の高価格で取引されています。ビー・ヴァン・セラーズなど、2000年以降に台頭してナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのトップクラスに入っているワイナリーもソーヴィニヨン・ブランを造るようになっています。

高級ソーヴィニヨン・ブランの躍進を支えている一人が著名ワインメーカーのフィリップ・メルカ。フランス出身でソーヴィニヨン・ブランにもこだわりを持っており、自身のフィリップ・メルカのソーヴィニヨン・ブランや、立ち上げ時からワインメーカーを務めるレイル・ヴィンヤーズの「ジョージア」ソーヴィニヨン・ブランなどの高級ソーヴィニヨン・ブランを造っています。昨年日本への輸入が始まったクレシェアのソーヴィニヨン・ブランもメルカが造っています。

このほかちょっと変わり種としては、元ウェイフェアラーのビビアナ・ゴンザレス・レーヴとピゾーニのジェフ・ピゾーニ夫妻によるシェアードノーツがあります。ボルドータイプのセミヨンとのブレンドとロワールタイプの2種のソーヴィニヨン・ブランだけを造るワイナリー。どちらも非常にレベルが高いです。

2種のソーヴィニヨン・ブランを造っているところとしてはピーター・マイケルも知られています。ただ、こちらはどちらもセミヨンとのブレンド。90%ほどソーヴィニヨン・ブランのラプレ・ミディと半々のクール・エ・クールです。後者は生産量も少なくかなり入手困難な銘柄。

あと、忘れてはならないのが、ロバート・モンダヴィです。1966年にワイナリーを立ち上げた後、最初のヒット商品となったのがフュメ・ブランという名前で売り出した樽熟成のソーヴィニヨン・ブラン。当時のソーヴィニヨン・ブランは甘口のものが主流だったのですが、これで初めてシリアスなソーヴィニヨン・ブランが知られるようになったといっていいでしょう。ト・カロンの畑の「Iブロック」にはカリフォルニアで一番古いと言われているヘッド・プルーンのソーヴィニヨン・ブランが植えられています。現在も素晴らしいソーヴィニヨン・ブランを生み続けています。

スポッツウッドのソーヴィニヨン・ブランは比較的リーズナブルな価格で、高級ソーヴィニヨン・ブランの入門としてもいいと思います。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

スポッツウッド ソーヴィニヨン・ブラン [2019]750ml (白ワイン)
価格:4950円(税込、送料別) (2022/4/17時点)









Date: 2022/0416 Category: 業界ニュース
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ケンダル・ジャクソン(Kendall-Jackson)などのワインブランドで知られるジャクソン・ファミリーがワシントンのワラワラ・ヴァレーに畑を購入しました(Jackson Family Expands to Walla Walla Valley, Entering Washington State Winemaking | Wine Enthusiast Magazine)。

この畑は元々Abejaというワイナリーが所持していたところでアッパー・ミル・クリークという地域にあります。標高450m程度と高く、昼の温度と、夜の気温の差が非常に大きくなる土地です。

ここから生まれたワインはビッグで筋肉質、タニックで酸も豊かになるといいます。

ジャクソン・ファミリーはここからカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーを造る意向。
Date: 2022/0415 Category: 業界ニュース
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米国の酒類タバコ税貿易管理局(TTB)がアルコール飲料における「クリーン」という言葉の使用法について注意を喚起しています。
TTBGov - Use of the Word ‘Clean’ in Alcohol Beverage Labeling and Advertising
TTB Issues Statement on Clean Wine Claims | Wine Institute

「クリーン・ワイン」は2020年に元俳優のキャメロン・ディアスが発売したワインが「クリーンだ」と主張したことで論争になりました。これまでのワインは何が含まれているかユーザーにはわからなかったが、もっと「クリーン」なワインを提供するとディアスは主張しましたが、清澄にベントナイトクレイやえんどうタンパクを、また酒石酸の結晶化を防ぐために酒石を使用していることなどから、クリーンの名に値しないのではないかと非難を受けたのです。ちなみに酵母も天然酵母ではなく培養酵母を使っています。

Good Clean Wine
その後も、「クリーン」を掲げるワインはいくつか登場しています。例えば上にインスタグラムからのキャプチャを載せたGood Clean Wineは、頭痛を起こさないなどと主張しています。

今回のTTBの注意喚起では、例えば「Xというワイナリーがクリーンでクリスプなワインを造っている」といった表現は許容されます。しかし、クリーンを健康上のメリットなどと結びつける表現は許容できないとしています。

誤解を招きやすい、またあえて誤解を招くような使い方になりがちな「クリーン」に一定の歯止めをかけたことは、歓迎されているようです。
Date: 2022/0414 Category: おすすめワイン
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アイコニックワイン・ジャパンの谷口さんが葡萄畑ココスのYouTubeチャンネルで「ほぼ!オーパスワンなのに5000円で購入できる!? 2022年イチオシのカリフォルニアワインをご紹介!」としてワインを2本紹介していました。

どちらもナパのワインで希望小売価格は5000円台と、決して安いワインではありませんが、動画では「オーパス・ワンの8割」とか85%などとその味わいを評価しています。

本当にオーパス・ワンの8割の美味しさなのかは置いておきますが、私も試飲会でチェックしていた美味しかったワインに入っていました。

ラザフォード・ロードの方はカベルネ・ソーヴィニヨン100%、ラザフォードが90%でオークヴィルが10%とまさに王道を行く構成。ナパらしい芳醇さを求めるならこちらでしょう。一方のナパ1847というのは1847年にナパがカリフォルニア州の「郡」になったことを意味する名前。こちらはカベルネ・ソーヴィニヨン90%で、メルローが6%、プティ・ヴェルドとマルベックが2%ずつ。スプリング・マウンテンのブドウも30%含まれており、よりストラクチャーを意識した作りになっています。

どちらもやっぱり高いよ、という人には写真左のジアポーザもお薦めです。こちらはナパのブドウを40%使っています。

ちなみにこれらのワインはすべてマイケル・ポザーン(Michael Pozzan)ワイナリーによるもの。ここは、今ナパのコスパワインとしては大注目のワイナリーです。これらのほかに「マイケル・ポザーン」や「アナベラ」のワインも国内で売られています。

ココスです。



柳屋です。


Date: 2022/0413 Category: おすすめワイン
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ドラジェでウェンテのシャルドネ「モーニング・フォグ」がセールになっています。税込み1815円という価格は、ワイナリー価格の税抜き18ドルと比べても安くなっています。

リヴァモア・ヴァレーの自社畑のブドウから作ったワインで、わずかにゲヴュルツトラミネールが入っています。

カリフォルニアのシャルドネの8割ほどがウェンテ由来のクローンとも言われており、中でもオールド・ウェンテと呼ばれるクローンはキスラーがそれを使っているブドウ畑だけを選んでいるなど最高級のシャルドネを生み出しています。モーニング・フォグにはウェンテのいくつかのクローンをバランス良く入れているとのこと。

このシャルドネは価格帯にしては非常にバランス良く作られているのが特徴。作り方にもそれが現れており、樽発酵とステンレス発酵を半々にし、ステンレス発酵のうち半分をシュール・リーで熟成させています。新樽は使っておらず、樽の風味も強すぎずにいい感じです。

ウェンテはもっと上の価格帯のものもいいのですが、このワインのコスパが良すぎて他にあまり目が行かないのが、もしかしたら最大の難点かもしれません。


Date: 2022/0412 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアワイン協会の試飲会で美味しかったワインのシリーズです。

先日「1000円台で予想外においしかったピノ・ノワール」という記事でジェームズ・ブライアント・ヒルのワインを紹介しましたが、今回もこのワインと同じくモントレーのシャイド・ファミリーによるピノとピノのロゼです。

ここはすべて自社畑でサスティナブルの認証を受けています。近々有機栽培の認証も取る予定です。これで安くて美味しいのですから、文句のつけようがありません。ディストリクト7はジェームズ・ブライアント・ヒルと比べて果実のみずみずしさが光るような味わいでした。

ショップはトスカニーです。


Date: 2022/0411 Category: おすすめワイン
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3月に開催されたカリフォルニアワイン協会の試飲会で見つけたコスパワインを紹介します。ファブリストは昨年「注目の国内新入荷ワイナリー「ファブリスト」」などで紹介していますが、高品質でエレガント系のワインを手頃な価格で提供しています。今回は特にマルベックが印象に残りましたが、昨年人気でそうそうに売り切れたジンファンデルなども上出来です。




Date: 2022/0410 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアワインの試飲会で印象に残ったワインの一つです。南カリフォルニアでは随一の知名度を誇るテメキュラにあるウィルソン・クリークの「アーモンド・スパークリングワイン」は、実際にアーモンドの果汁を加えたスパークリングワイン。

ほの甘で、たしかにアーモンドの風味がします。どこかで味わったことがあると思ったら杏仁豆腐でした。デザートワインほどは甘くないのですいすい飲めてしまう感じです。アルコール度数も11%とやや低め。

単体で飲んでもおいしいですし、インポーターによるとチョコレートにもあい、ピクルスや和食にも合うとのこと。パーティなどで出しても喜ばれそうな気がします。



Date: 2022/0409 Category: 業界ニュース
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米国の著名なマスター・ソムリエであるラリー・ストーンがオレゴンに所有するワイナリー「リングア・フランカ(Lingua Franca)」をコンステレーション・ブランズに売却しました。

ラリー・ストーンはサン・フランシスコのルビコンなどのレストランで働き、ナパのシリータ(Sirita)でカベルネ・ソーヴィニヨンなどを造ってきましたが、その後、オレゴンのエオラ・アミティ・ヒルズに、ブルゴーニュのコント・ラフォンらとイヴニング・ランド(Evening Land)を設立しました。

イヴニング・ランドの畑は以前からあったものでしたが、彼は畑作りを1からやりたいと考え、イヴニング・ランドの隣にあった地所を購入。イヴニング・ランドを手放してそちらに移りました。そこがリングア・フランカで、ワインメーカーはコント・ラフォンのドミニク・ラフォンが務めています。

リングア・フランカの立ち上げで、ナパのワイナリーなど私財をほぼすべてつぎ込んでしまった彼に、さらなる困難がやってきました。コロナ禍と2020年の山火事です。コロナ禍でワイナリーを訪れる客がいなくなったのに加えて、山火事による煙の汚染で2020年のワインの醸造を諦めました。これで資金が苦しくなり、今回の売却にいたったといいます。

ラリー・ストーンはブランド・アンバサダーとしてワイナリーに残り、ワインメーカーのトーマス・セイバーとドミニク・ラフォンも残ります。

リングア・フランカのピノ・ノワールとシャルドネは、エオラ・アミティ・ヒルズの中でも最良のものの一つです。オレゴンらしい鮮烈な酸とピュアな果実味の魅力は、ラリー・ストーンが以前にいたイヴニング・ランドと並んで素晴らしく、コスパも高いワインです。



Date: 2022/0408 Category: 業界ニュース
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4月20日開講のアカデミー・デュ・ヴァン青山港「カリフォルニア・ソノマ探訪」受講者募集中です。来週水曜日までに申し込みが増えないと未開講になってしまいますので、ぜひご受講を。

青山校 カリフォルニア・ソノマ探訪 | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン

ソノマだけの講座をやるのは初めてです。これまでの講座だとソノマは1回とか2回でさらっとやるしかなかったから、多様なソノマを紹介するのには不完全燃焼感が強く、今回の講座を企画したのでした。

ナパと比べるとちょっと地味かもしれませんが、ピノ・ノワールやシャルドネ、ジンファンデルなどとてもいいワインを試飲で出します。今のところ6回で35種、約36万円分のワインを試飲する予定です。

カリフォルニアに詳しくなくても、ワインの試飲だけで十分楽しめると思います。
お申し込みをお待ちしております。
Date: 2022/0407 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が主催するキャップストーン・カリフォルニアの「中級レベル2」のリアル講座がスタートしました。リアル講座はアカデミー・デュ・ヴァンで開かれますが、オンラインだけの受講も可能です。私はレベル1に引き続き、リアル講座で受講しています。
キャップストーン
講座の内容やテスト自体はリアルもオンラインも同じで、認定はオンラインの試験で行いますが、リアル講座の場合はワインのテイスティングがあるのが大きな違いです。

マスターソムリエで使われる「ディダクティブ・テイスティング」というテイスティング方法で、様々な要素のあるなしなどを評価し、そこからどういったワインであるかを理屈を付けて推測するというのがその方法。レベル1ではワインが明らかにされていたため、推測の部分はなく、要素のあるなしを感じ取る練習という感じでしたが、レベル2ではブラインドである程度どういったワインかを推測します。

オンライン講座ではこの部分はないので、特に上位のレベルを目指す場合は重要な部分になるかと思います。

6月からは東京と大阪で森覚ソムリエ、岩田渉ソムリエによるリアル講座も始まります。
森覚クラス@青山校:金曜日 19:00~21:30 
6/17、7/1、8/19、9/9、10/14、11/25、12/16、1/20 
岩田渉クラス@大阪校:月曜日 19:00~21:30 
6/20、7/18、8/15、9/19、10/17、11/14、12/19、1/16

申込みは4月21日からです。
詳しくは
カリフォルニアワイン協会公認教育プログラム「キャップストーン・カリフォルニア」、初級レベル1に引き続き、中級レベル2を新たにリリース〜座学かオンラインのいずれかを選択可能〜 | カリフォルニアワイン協会
をご覧ください。
Date: 2022/0406 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの人気ピノ・ノワール・プロデューサー「コスタ・ブラウン(Kosta Browne)」が、ブルゴーニュのワインをこの夏に発売することが明らかになりました(Kosta Browne Ventures into Burgundy | Wine Spectator)。

コスタ・ブラウンはダン・コスタとマイケル・ブラウンが設立したワイナリー。2000年代初期のサイドウェイズからのピノ・ノワール・ブームに乗って大人気になったワイナリーです。酸味の少ない濃厚なスタイルで一世を風靡し、一時は手に入れるのも大変なほどでした。

現在は、ダックホーン傘下になり、創設者の二人もワイナリーを去りました。ワインのスタイルもだいぶエレガントなものに変わりましたが、今も高い人気を誇っています。

今回加わるのは、ボーヌ、ジュヴレ・シャンベルタン、ポマール、ヴォルネイのピノ・ノワールにムルソーのシャルドネ。ヴィンテージはいずれも2020年です。


2012年からワインメーカーを務めるジュリアン・ハウスピアンは、祖母がニュイ・サン・ジョルジュの近くで生まれたなど、ブルゴーニュはふるさとのようなところ。かつてから、ブルゴーニュのワインを作りたいという希望を持っていたそう。

ずっと話はしていたのですが、2020年にようやく、ネゴシアン・モデルでワインを作れることになりました。現地で醸造を担当するワイナリーを見つけ、できる限りのコントロールをして醸造・熟成。その後タンクで米国に運んでチェックをしてからボトル詰めしたとのこと。

全部で4000ケースとのことで、コスタ・ブラウンの人気からすれば、すぐに売り切れてしまいそうな気がします。ワインの出来や、スタイルは気になるところです。
Date: 2022/0405 Category: おすすめワイン
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先月のカリフォルニアワイン試飲会で見つけたワインの一つです。シャルドネが大人気(ピノ・ノワールもケンタッキーに合うワインとして紹介しました)のブレッド&バターからスパークリングが登場しました。

米国では55ドルするナパ・ヴァレー産のスパークリングやロゼはラインアップされていますが、このワインは未公表。現状日本向けだけに出しているそうです。シャルマ方式(タンク内二次発酵)を使っています。

青りんごや白桃の味わい、はつらつとした酸があります。トーストの風味にブレッド&バターらしさを感じます。カジュアルに楽しむタイプのスパークリングワイン。品種はシャルドネが35%ですが、あとは未公開とのこと。

一人でじっくり飲むよりもパーティなどで皆で楽しみたい感じのワインです。





Date: 2022/0403 Category: 業界ニュース
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パリスの審判で白ワイン1位となったシャトー・モンテリーナのシャルドネを造ったワインメーカーであり、現在もナパのワイナリー「ガーギッチ・ヒルズ(Grgich Hills)」の創設者/名誉ワインメーカーであるマイク(ミレンコ)・ガーギッチが4月1日に99歳の誕生日を迎えました。

クロアチア生まれでアメリカン・ドリームを夢見て米国に移住を決意したマイク。米国のビザが取れずに、西ドイツから1回カナダで働くなど移住にこぎつけるまでも大変な苦労をしてきました。当時の先端的なワイナリーの一つだったスーヴェランに職を得てようやく渡米を果たし、その後ロバート・モンダヴィに移ってから輝きを始めます。

1972年に高給でシャトー・モンテリーナに引き抜かれました。当初からカベルネ・ソーヴィニヨンが最終目標でしたが、そのためのキャッシュを得るために造ったのがシャルドネで、これでパリスの審判の栄光を勝ち取りました。

翌年、オースティン・ヒルズという人から出資を得てガーギッチ・ヒルズを設立。現在は100%有機栽培の自社畑のブドウを使ってワインを造っています。

ガーギッチ・ヒルズのワインは最近ではあまり話題に上ることはないかもしれませんが、個人的にはナパの中でも過小評価されているワイナリーの一つだと思います。特に、カーネロスとアメリカン・キャニオンの畑のブドウを使ったシャルドネはバランス良く生き生きとした味わいでナパのシャルドネの中ではトップクラスといってもいいと思います。



Date: 2022/0402 Category: おすすめワイン
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先日、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の共同オーナーを引退して甥に譲ったことで話題になったオベール・ド・ヴィレーヌ。彼がカリフォルニアでハイド・ヴィンヤードのラリー・ハイドと造るワインがHdVです。ちなみに両家の関係はラリーのいとこがオベールの妻だということ。

HdVでは「カリフォルニアのDRC」としてピノ・ノワールを期待されたわけですが、2002年の設立から10年以上ピノはつくらず、初めて作ったピノは意外にもハイドではなくソノマ・マウンテンのぶどうを使ったものでした。このワイン「イザベル(YSABEL)」は「神の雫」にも取り上げられていますが、現在は造られなくなっており、今HdVが造るピノ・ノワールはハイドの「YGNACIA」となっています。

さらに言うと、HdV設立からずっとワインメーカーを努めてきたステファン・ヴィヴィアーは2020年にHdVをやめており、現在は自身のヴィヴィアー(Vivier)とロング・メドウ・ランチ(Long Meadow Ranch)だけになっています。

そういう意味でも貴重なイザベルの一連のバックヴィンテージがしあわせワイン倶楽部に入っています。限定数なのでお早めに。






Date: 2022/0331 Category: おすすめワイン
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先日、恵比寿のWINE MARKET PARTYで購入したのがこのワイン。店内のPOPには「果実味タップリのグラマラスなスタイルのピノ・ノワール」と書いてあったので、ブレッド&バターのピノ・ノワールとかメイオミのピノ・ノワールのような甘みの強いタイプかと想像したのですが、意外にもしっかり酸もあってバランス良く美味しいピノ・ノワールでした。

ジェームズ・ブライアント・ヒルというのはゴールドラッシュのころにモントレーにやってきて畑を開墾した人だそうです。その畑の場所にブドウ畑を作ったのでゆかりの名前を付けたということのよう。あまり情報がないのですが、モントレーでサスティナブルな自社畑のブドウでワインを作っているということで閃きました。「モントレーのコスパ王」と個人的に呼んでいるシャイド・ファミリー傘下のワイナリーではないかと。

実際、シャイドのブランドの一つであることも確認できました。いや、さすがですね。意外にもモントレーにベースがあるのに、これまでシャイドのピノ・ノワールはほとんど飲んだことなかったのです。

1000円台のピノ・ノワールは、これまでマックマニスくらいしか飲んだことなかったですが、これくらい気軽に飲めて美味しいワインがあるといいですね。


Date: 2022/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年恒例のカリフォルニアワインのバイザグラス・プロモーション。コロナ禍で中止や時期変更などありましたが、今年は例年通り4月5月の2カ月間で開催されます。


2020年度からは「テーマ産地」も設けられています。20年の「ナパ」、21年の「ソノマ」に続いて22年は「ローダイ(Lodi)」。ナパやソノマほどの知名度はありませんが、生産量は非常に多く、ジンファンデルの古木の畑も多数残っている地域です。コスト・パフォーマンスが高いワインが多いので、レストランとしても使いやすいのではないかと思います。ちなみにカリフォルニアワインの父と呼ばれるロバート・モンダヴィの一家がミネソタ州からカリフォルニアに引っ越してきたときに住み着いた場所がローダイ。現在もモンダヴィ傘下のウッドブリッジはローダイにあります。

バイザグラス・プロモーションでは、参加店舗はカリフォルニアワインをグラスで提供しています。
店舗リストはこちらから。店舗によって参加日程が違うところもあるので、そちらも確認の上訪問してください。
参加店一覧|カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2022
Date: 2022/0329 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワインメーカーは総勢8人、しかもランディ・ダンやフィリップ・メルカ、ミシェル・ロランといった高名揃い。そんなワイナリーは想像できないと思いますが、実際にそれをやっているのがワシントンのロング・シャドウズ(Long Shadows)です。

創設者のアレン・シャウプが考えたのはワシントンのワールドクラスのブドウを使って世界の一流ワインメーカーがワインを作ったらどうなるだろうか、ということ。そこで、このワイナリーではワインメーカーごとに自分のワインを造るということを始めたのです。例えばランディ・ダンが造るのは「Feather」という超熟型のカベルネ・ソーヴィニヨン、ミシェル・ロランは「Pedestal」というメルローベースのワイン。フィリップ・メルカは「Pirouette」というボルドーブレンドを作っています。

造るワインごとに発酵槽も熟成槽もワイン造りも違うため、ワイナリー側はとても大変だそうですが、面白いプロジェクトですね。ワインメーカーによってどういうワインができ、どう違うのか。また同じワインメーカーのカリフォルニアとワシントンの違いなど低スティグしたら楽しそうです。

ランディ・ダン


フィリップ・メルカ


ミシェル・ロラン


ジョン・デュヴァル(グランジのワインメーカー)
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ロング・シャドウズ シークオル・シラー2014No.107185
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アンブロージオ・フォロナーリとジョバンニ・フィオナーリ

Date: 2022/0327 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サムネール
カリフォルニアのワイナリーの中でも一流と認められたワイナリーのリスト「ザ・カリフォルニア・リスト」が英国で誕生しました。カリフォルニアワイン協会の英国担当が中心となりジャンシス・ロビンソン、マーク・アンドリュー、サラ・ノウルズ(以上3人はマスター・オブ・ワイン)、ローナン・セイバーン(マスターソムリエ)、そして多くのカリフォルニアの著書を持つステファン・ブルックの5人が選者となって選びました。

The California List

選択基準は品質・英国における入手性・インパクト。品質を15点、入手性を5点、インパクトを5点として採点しました。インパクトというのは選者の主観によるものでカリフォルニアワインの中でその生産者がどれくらい重要かによって点を付けています。英国における入手性という項目が入っているので、全世界に向けたリストではなく、英国向けであることがわかります。

200以上のワイナリーを審査し、最終的に51のワイナリーがリストに入りました。以下にそのワイナリーを挙げます。なお、実際のリストはアルファベット順に羅列しており、ここではわかりやすくするために、私がいくつかのジャンルに分けています。

●カベルネ/ボルドーブレンド中心
Bond
Cain
Cardinale
Caymus
Chateau Montelena
Colgin
Corison
Dalla Valle
Diamond Creek
Dominus
Dunn
Eisele
Frog’s Leap
Harlan
Heitz Cellars
Inglenook
Joseph Phelps
Mayacamas
Opus One
Robert Mondavi
Screaming Eagle
Shafer
Silver Oak
Spottswoode
Stag’s Leap Wine Cellars
Staglin
Vérité

●ピノ・ノワール/シャルドネ
Au Bon Climat
Chanin
Domaine de la Côte
Hirsch
Kistler
Kutch
Littorai
Radio Coteau
Sandhi
Williams Selyem

●シラー/ローヌ系
Sine Qua Non
Tablas Creek

●ジンファンデル
Seghesio
Turley

●スパークリング
Roederer Estate
Schramsberg

●ニューカリフォルニア
Arnot-Roberts
Matthiasson

●その他
Hyde de Villaine(シャルドネ、ボルドーブレンドなど)
Kongsgaard(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなど)
Mount Eden(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール)
Peter Michael(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール)
Ramey(シャルドネなど)
Ridge(カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデルなど)

過半数の27ワイナリーがカベルネ・ソーヴィニヨン中心で、そのうちソノマのVéritéを除いた26ワイナリーがナパにあります。世界的に見てもナパのカベルネ・ソーヴィニヨン系ワインはトップクラスを占めていますから、妥当なところでしょう。また、Hundred AcreやSchrader、Realm、Bevanといった新興のワイナリーは含まれず20世紀に造られたワイナリーで占められているのも特徴です。

次いで多かったのがピノ・ノワールとシャルドネをメインとするブルゴーニュ系品種のワイナリーで10ワイナリーが選ばれています。サンタ・バーバラから4つのワイナリー(Au Bon Climat、Chanin、Domaine de la Côte、Sandhi)が選ばれており、しかもうち2つ(Domaine de la CôteとSandhi)はラジャ・パーとサシ・ムーアマンによるワイナリーというところがちょっと意外でした。個人的にはサンディを入れるよりはCaleraとかサンタ・ルシア・ハイランズのPisoniではないかという気もしますが、このあたりは英国での入手性によるものかもしれません。Chaninのような若いワイナリー(ご存知ない方は「弱冠26歳にして2つ目のワイナリを手に入れるGavin Chaninとはどういう男か」をご覧になってください)が選ばれているのもカベルネ・ソーヴィニヨン系と対称的で興味深いです。あとの6ワイナリーはいずれもソノマ・コースト(ロシアン・リバー・ヴァレーも含む)をメインとするワイナリーで、ちょっと場所は偏り気味です。MarcassinやAubertのような濃厚系は入らずバランス重視型のワイナリーが選ばれているのも興味深いところ。

ジンファンデル系では、個人的にはBedrockは入ってほしかったですが、これも入手性が関係するのかもしれません。

ニューカリフォルニア系でArnot-RobertsとMatthiasonが入りました。このジャンルから選ぶならこの2ワイナリーというのは妥当な感じがします。

ローヌ系はSine Qua NonとTablas Creek。AlbanとかSaxumとかも入って良さそうな気もしますが、Tablas Creekが選ばれたのは歴史的重要性などが評価された面もあるのかもしれません。

スパークリングのSchramsbergとRoederer Estateは妥当なところ。

以上の分類に当てはまらなかったワイナリーは「その他」にしましたが、面白いのはここに分類したワイナリーの中でRidge以外は一番のワインがシャルドネであること。カリフォルニアというとカベルネ・ソーヴィニヨンなど赤ワインのイメージが強いかもしれませんが、シャルドネも本当にいいと思うんですよね。そういう意味ではこのセレクションも納得するところがあります。

さて、これは英国向けのリストですから日本向けのリストができてもいいということだと思います。日本のカリフォルニアワイン協会もぜひリストを作ってください。
Date: 2022/0326 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日行われたカリフォルニアワインの試飲会で美味しかったワインの一つとして記録しておいたのがシニョレッロ(Signorello)の新作カベルネ・ソーヴィニヨン「S」。

シニョレッロとして作っているワインはナパの自社畑からのエステート・ワインのみ。自社畑はナパの中ではかなり南の方、オーク・ノールをわずかに東にはずれたところにあります。一方、この「S」はセント・ヘレナやハウエル・マウンテンなどナパの他地域のブドウを使って仕上げたもので、高級カベルネらしい凝縮感やしなやかなタンニンを持ちながら、非常にバランスのよい作りになっています。

シニョレッロには、ソノマのアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンを使った「エッジ(Edge)」やより安価な「トリム(Trim)」もありますが、こちらはより飲みやすい作り。高級感という意味では「S」の方がかなり上手です。ジャンシス・ロビンソンのサイトへのレギュラー寄稿者であるアルダー・ヤローは10点満点で9~9.5としています。

Sは昨秋デビューしたばかりのワインで、最初のヴィンテージが日本にも入ってきています。米国で75ドルが8000円台は円安の今は、現地価格以下。かなりお買い得で魅力的なワインです。シンプルなデザインもおしゃれ。


エッジの新ヴィンテージも入っています。

Date: 2022/0325 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ドルーアンといえば、ブルゴーニュからオレゴンにワイナリーを作った先駆者として知られています。そのドメーヌ・ドルーアンはオレゴンで最初に開拓されたダンディー・ヒルズにありますが、2013年にエオラ・アミティ・ヒルズに新しい畑ローズロックを購入し、「ローズロック・ドルーアン・オレゴン」というブランドを構築しました。

エオラ・アミティ・ヒルズはイヴニングランドやリングア・フランカなどがある、オレゴンの中でもホットな地域。西側に海岸山脈のギャップがあり、太平洋からの冷たい空気が直接入ってくるため、オレゴンの中でも冷涼な地域になります。WANDSマガジンの記事によると「ダンディー・ヒルズのピノ・ノワールがエレガントなシャンボール・ミュジニーならば、エオラ・アミティ・ヒルズはストラクチャーのあるジュヴレ・シャンベルタンだ」とのこと。

このローズロックの2019年が大変な高評価になっています。ワイン・アドヴォケイトではスタンダードのピノ・ノワールとゼフィリーヌ(Zephirine)というポジティブ・セレクションのピノ・ノワールがともに97点、シャルドネはマリゴールド(Marigold)というポジティブ・セレクションが97点で、なんとスタンダードのシャルドネが99点。ワイン・スペクテーターでもスタンダードのピノ・ノワールが95点、ジェームズ・サックリングもスタンダードのピノ・ノワールに94点を付けています。

国内にはピノ・ノワールが入荷しています。税別なら4000円台というのは評価を考えたらかなり格安。ワイナリー価格の35ドルは普通なら6000円くらいになりますから、その面でも格安。この高評価を考えると早々に売り切れそうです。シャルドネはそもそも入荷してくるかどうか…




Date: 2022/0324 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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napa
毎年6月に開催されていたオークション・ナパヴァレーはその収益を地元の慈善活動にすべて寄付していました。コロナ禍でオークション・ナパヴァレーがなくなり、その後継として新たに始まったプログラムが「コレクティブ・ナパヴァレー」です。会員制で、無料会員と年間1000ドルの「エンスージアスト」、年間5000ドルの「プレミアム・エンスージアスト」の3レベルからなります。

そのコレクティブ・ナパヴァレーの最初のイベントが3月24日午後5時半(日本時間の25日午前9時半)から開催されます。今回は無料会員も対象になっています。

今回のイベントは「SOMM TV」や20人のオールスター・ワインメーカーと協力したライブ・ブロードキャストで、カーネロスからカリストガまでのヴァーチャル・トリップなどを予定しているそうです。

コレクティブ・ナパヴァレーの会員は1000人を超え、寄付金も100万ドルに達しています。

ちなみに会員費は、慈善活動への寄贈という形になるので、日本のふるさと納税などと同様、米国では所得税の削減に役立ちます。おそらくイベントを通じてワインなどを購入した場合も同じ扱いになるのでしょう。そういう意味では税金対策として有効なのですが、日本からだとそういったメリットを見つけにくいのがちょっと難点ではあります。
Date: 2022/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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韓国のガールズグループTwiceのメンバーのナヨンとツウィがワインを飲んでいる動画が公開されています。動画内でも本人たちが「ワインを飲むところを公開するのは初めてだよね」と言っていました。
メンバー内で一番年下のツウィは1999年6月14日生まれ。2015年10月20日にTwiceがデビューしたときはまだ16歳の高校生でしたから、大人になったんだなあと、感無量です。Twiceの中ではおとなしく控えめな性格のツウィが陽キャ代表格のナヨンとデートという組み合わせも意外で、個人的には面白い動画でした。

飲んでいるワインのラベルは小さくてよくわからなかったのですが、Twitterで質問したところ教えていただけました。
Potel Aviron
「Potel Aviron Juliénas Vieilles Vignes」。フランスはボージョレの古木のブドウによるワインです。映像で色合いからピノ・ノワールかと思いましたがガメイでした。Potel Avironというブランドはブルゴーニュのニコラ・ポテルが、ステファン・アヴィロンという人と組んで始めたもので、最高のボージョレを目指しているとか。Juliénasという畑は「クリュ・デュ・ボージョレ」と呼ばれる特級畑だそうです。

ラベル中央の絵は動画で見たときは「ニワトリ?」と思いましたが、古木をデザインしたものですね。ただ、このワインを調べていると絵のないラベルもあるようです。下のリンク先のもそうですね。


Date: 2022/0322 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マルシェ・ドゥ・シャンパーニュ東京2022というシャンパーニュだけの試飲会に行ってきました。プロ向けの試飲会というわけではなく、一般の方が試飲して、その場で割引価格で購入できるというものです。インポーター32社が187種のシャンパーニュを提供していました(一部は有料試飲)。

カリフォルニアワインしか知らない私にとってはだいぶ敷居が高い感じもしましたが、スパークリングワインを理解には、シャンパーニュを知らないと始まらないので勉強と思って参加しました。

まずはグラスを受け取りましたが、スピット用の紙コップやバケツがないのに驚きました。紙コップは後から提供されましたが、使っている人はごくわずかだったようです。私はそれほどアルコールに強いわけではないので、スピットなしで1ブース試飲しただけで「これはきつい」と思い、紙コップが来るのを待って試飲を進めました。

というわけで、以下はシャンパーニュ素人の感想なので、そう思って読んでいただけるとありがたいです。

感想その1 シャンパーニュはやっぱり高い
この試飲会に出ていたシャンパーニュだと、安いものでも5000円以上。もちろん市販品で3000円程度のものなどあるのは知っていますが、ボリュームラインがこのあたりからだとすると、やはりかなりの高級品感があります。ただ、1万円を超えるものはあまり多くなく、価格レンジは5000~10000円にかなり集まっていました。これはこの試飲会の特性なのかもしれませんが。

感想その2 スタンダードなものは美味しい
有名どころが全部出ていたわけではありませんが、例えばポメリーのブリュット・ロワイヤル、ルイ・ロデレールのコレクション242、243(新入荷らしいです。ハーフボトルのみでした)あたりは非常にバランス良く、誰もが美味しいと感じそうな味わい。さすがと思いました。

感想その3 ムニエが多い
なんとなくシャンパーニュというとシャルドネとピノ・ノワールがメインでムニエは補助的な役割みたいなイメージを持っていたのですが、ムニエ100%だったりムニエ主体のものがかなりたくさんありました。少し柔らかな味わいで親しみやすさがある作りのものが多かった感じがします。これもこの試飲会固有のことなのか全体の傾向なのかまではわかりませんが。

感想その4 自然派系のものが美味しかった
スタンダード品以外で、印象に残った美味しかったものとしては自然派系のものがありました。自然派を選んだというわけではなく、たまたま印象に残ったものが結果的にそうだったということです。

これはシャヴォスト・ブラン・ダッサンブラージュ・ビオというシャンパーニュ、シャルドネ47%、ピノ・ノワール6%、ムニエ47%。有機農法でSO2無添加、ドザージュゼロという作りです。旨味やミネラル感のある味わい。
自然派ではないですが、同じインポーターのブールーデル・ガロワというムニエに特化した造り手のドザージュゼロのものもよかったです。

こちらはアントワーヌ ブヴェという造り手で、こちらも有機農法のシャンパーニュです。インポーターには「ワイン造りでは、人が手をくわえることを極力おさえて、ワインにワイン造りを任せることを大切にしています。補糖、酵素添加はせず、ブドウの果皮についている天然酵母のみを利用して発酵させます。マロラクティック発酵も自然に任せ、フィルターによるろ過をせず、自然冷却して、澱熟成させます。この間、できる限りポンプ等の使用に頼ることなく重力を利用して作業します。ブドウは、畑の区画毎、村毎、セパージュ毎に醸造します。澱を瓶口に集めるためのルミュアージュ(動瓶)は、今でも木製の台(ピュピートル)を使用して手作業で行われています。また、ドザージュに使われるリキュールは、アントワーヌブヴェの自家製です」と書かれています。左が2015年のヴィンテージものでシャルドネとピノ・ノワールが半々、右はピノ・ノワール100%で2016年のものです。

これはサリマ & アラン コルドイユのオリジンというシャンパーニュ。2012年のヴィンテージものです。有機農法でドザージュゼロ。

余談ですが、シャヴォストの写真を撮りに行ったときに(写真のできがひどすぎですが)、アカデミー・デュ・ヴァンのA先生とばったり出会いました。先生もこのシャンパーニュ気に入ったそうで、また上記のアントワーヌ・プヴェなどを輸入しているindigoブースも目星を付けているとのことで、私の感想もそれほど的外れではなさそうかと思いました。

感想その5 残糖は…
シャンパーニュやスパークリングワインの勉強をすると残糖が12g/リットル未満だとBrutなど、残糖による呼び名の違いを学びますが、この試飲会で出ていたものでSec以上のものはなかったのではないかと思います。甘いものはかなり減っているということなのでしょうか。

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ル モン ド ラ ヴァレー 生産者 アントワーヌ ブヴェ
価格:7800円(税込、送料別) (2022/3/21時点)





Date: 2022/0321 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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4本セット9999円という格安で買ったワインのうちの1本を開けました。実は単体だと7000円台ということで、むちゃくちゃお買い得だったのですが、そのあたりを調べずに開けてしまったのは少しもったいなかったかもしれません。ラベルがかなり派手なので、そんなにいいワインではないのではと先入観を持ってしまいました。
ブートレグ(Bootleg)というワイナリーはナパをベースにしていますが、このワインはソノマ産。シラー主体でプティ・シラーをブレンドしています。ジャクソン・ファミリー傘下のワイナリーです。ウェブサイトにはあまり詳しい情報はなく、2019年からはGabe Valenzuelaという人がワインメーカーをしていますが、このワインは2015年なのでそれよりも前です。
濃厚フルボディですが、重くなく意外なほどスルスルと飲めてしまうワイン。シラーらしいホワイト・ペッパーなどのスパイス感があります。余韻も上々。これは1本あたり2500円の味ではないなとさすがに思いました。ワイン・アドヴォケイトとジェブ・ダナックが93点をつけています。見かけによらず、凄いやつです。これは美味しい。


Date: 2022/0319 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリーKenzo Estateのワインメーカーを創設以来務めてきたハイジ・バレットが辞めたことが判明しました(California Cult Winemaker Walks Out on Winery | Wine-Searcher News & Features)。

ハイジ・バレットはスクリーミングイーグルやグレースファミリーなどのワインメーカーとして名を挙げ、ロバート・パーカーから「ナパのファーストレディ」と呼ばれた著名ワインメーカー。現在もアミューズ・ブーシュやラ・シレナ、ランボーン・ファミリーなどでワインメーカーを続けています。夫のボー・バレットはシャトー・モンテリーナのオーナー兼ワインメーカー。夫妻でバレット・アンド・バレットというワインも作っています。

今回の辞任は2020年のワインに関する意見のすれ違いによるもの。ハイジ・バレットは大規模な山火事で煙汚染の可能性のある2020年に関しては赤ワインを全く作らない方針でした。しかしワイナリー側からどうしても作れと言われたため、ワイナリーを去ることにしたとのこと。

Kenzo Estateの赤羽厚執行副社長は辞任の詳細については語らなかったものの、ワインメーカーは、実質的にマーク・ネインスというアシスタントがほとんど行っていて、ハイジ・バレットは最終ブレンドに立ち会うだけの(ミシェル・ロランが多くのワイナリーで務めているような)役割だったと述べています。

ただし、ハイジ側はブレンドだけでなくワインメーカーとして全責任を負ってきたとしており、ここでも意見のすれ違いが見られます。なお、ワイナリーのウェブサイトにはハイジ・バレットはワインメーカーとして記されています。

ヴィンテージを一つスキップするというのはワイナリーにとっては非常に重い決断になりますが、一流のワインメーカーを失うこととのどちらが重要だったのでしょうか。Kenzoのワインは設立当初はお金だけかけてと揶揄されることも多かったですが、近年は高く評価されるようになってきていました。例えばワイン・アドヴォケイトでは2019年のカベルネ・ソーヴィニヨン藍が95+などの高評価を得ています。今後がどうなっていくか、懸念されるところです。
Date: 2022/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのロシアン・リバーからの水を2022年はブドウの灌漑用に全く使えないおそれが出てきました(Sonoma Growers Face a Changeable Future | Wine-Searcher News & Features)。昨年は8月からだった取水制限が
、今年は早ければ4月にも発動される状況です。

ロシアン・リバーの水は飲水に使われるほか、他の農業にも使われています。ワイン以上に影響が大きいのが酪農です。牛乳などの乳製品はソノマではワインの次に重要な農産物となっていますが、オーガニックの指定を受けるためには120日間の屋外での飼育が必要となっています。しかし、草が生えないと他の飼料を与えなければならず、オーガニックに牛乳を売るために他の地域から牛乳を輸入してくるといった、本末転倒的なことも行われています。

このほか、サケ・マスのためにも水が必要です。今のままだとニジマスやギンザケの稚魚が川を下って海に出るための水がたりないとのことです。昨年はジャクソン・ファミリーが自身が持つ貯水池の水を提供してしのいだそうですが、今年はそういったプライベートな貯水池のオーナーにお願いしても、良い返事が得られていないとのこと。

干ばつ問題、かなり深刻な域に達してしまいそうです。
Date: 2022/0317 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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国際環境アクションワイナリー(IWCA)というワイナリー団体が、カリフォルニアワイン協会の試飲会に合わせてセミナーを開催しました。この団体は2019年にスペインのトーレスとカリフォルニアのジャクソン・ファミリーが設立したもの。カーボンフットプリントの削減を目指しており、2019年のワインエンスージアストの賞を受けています。カリフォルニアからはほかにスポッツウッドやシルバーオーク、リッジなどのワイナリーが参加しています。
IWCA
いわゆる「自然派ワイン」と比べると、直接ワインの品質に関わるわけではないのでわかりにくいですが、私はワイナリーが「よりよい企業」になるための活動と捉えています。そういう意味では消費者が、どのワイナリーがそういった活動をより積極的に行っているかを知ることが大事だと思います。

今回のセミナーに登壇(オンライン)したジャクソン・ファミリー、シルバーオーク、スポッツウッドはIWCAの中でも主導的なワイナリーであり。非常に環境活動に熱心に取り組んでいるワイナリーです。

さて、今回はゼロ・エミッションやカーボン・ニュートラルと呼ばれる二酸化炭素の排出をプラスマイナスゼロにするための活動がテーマでした。

IWCAは昨年11月、ワイン業界の排出をCEOに向けて、ゼロ・エミッションへの活動を低減しています。提言の内容は、科学的根拠に基づく取り組みを推進すること。2050年までに排出をゼロにすること、IWCAが開発したカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の計算メソッドを普及させること、です。小さなワイナリーでも無理なく測定ができるようにしています。

ジャクソン・ファミリーのケイティ・ジャクソンCSR担当上席副社長からはカーボンフットプリントの測定などについて説明がありました。同社では2009年に初めての測定を行い、2015年に徹底的に見直しをしました。さらにそれ以降17.8%の削減を達成しています。
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主な取り組みとしてはボトルの重量を減らしたこと。また太陽光発電を大規模に導入しています。ボトルの軽量化では、最も⽣産量の多い4つのボトル⾦型でボトル重量を5%削減したことで、⾃社の排出量を年間2〜3%削減しました。また、年間約100万ドルのガラスコストと年間約50万ドルの燃料コストを削減しました。

なお、缶や箱といったガラスボトル以外のパッケージングの採用について質問したところ、さまざまなものを調べているとのこと。熟成能力もある程度必要と考えて選びたいとのことでした。

スポッツウッドのモリ―・シェパード エデュケーショナル・ワインメーカー兼サスティナビリティからはカバークロップについて、シルバーオークのネイト・ワイス醸造担当副社長からは土壌耕起の削減やコンポスト、生け垣と原生林の活用などについての話がありました。いずれも炭素隔離の実践事例となります。

カバークロップは有機物の増加や窒素保持、線虫抑制などさまざまな効果があります。ただ、カバークロップ自体、植物ですから水を必要とします。昨今の干ばつの状況ではカバークロップを使うのがいいのかどうかは難しい判断になりそうです。

土壌耕起削減という話は今回初めて聞きましたが、土壌の質感が二酸化炭素の排出にかかわっているそうで、土壌の中の粘土とシルトの比率が高いと排出量が減るとのこと。耕起(土地を耕すこと)を減らすことで植物が抱え込む二酸化炭素が増え、排出量が減ることになるそうです。ただ、全く耕起しないよりは少し耕起したほうがいいそうで、そのあたりの理屈はまだわかっていません。


セミナーではワインの試飲もありました。ジャクソン・ファミリーからはケンドール・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネ2019。30年間米国での売上トップをほこるシャルドネです。
このワイン、95%樽発酵を使っており、樽の風味とマロラクティック発酵によるバターの風味でまろやかな味わい。酸が非常にしっかりしているのであまやかさよりもバランスの良さを感じます。
樽は洗浄が大変で、サスティナビリティの面では難しいところもあるのですが、ジャクソン・ファミリーでは洗浄の水を3回まで再利用するシステムを入れて水の利用を抑えています。また、前述のようにボトルを軽量化しており、再生ガラスも55%使っています。

同じくジャクソン・ファミリーからのカンブリア ジュリアズ・ヴィンヤード ピノ・ノワール2015はサンタ・バーバラのピノ・ノワール。ザクロやクランベリーなどやや甘やかな果実味にベーキング・スパイスやシナモンのスパイス風味が美味しいピノ・ノワール。酸もしっかりしています。

スポッツウッドからはカベルネ・ソーヴィニヨン2018。ナパを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンの一つです。カシスやブラックベリーの風味、コーヒー、トースト、皮革。フルボディで非常に長い余韻。ナパのワインとしては酸もしっかりしています。タンニンがまだ結構強いので、こなれるまで少しかかりそうでした。

シルバーオークからはアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン2017とタイムレス 2018。タイムレスというのはシルバーオークがナパのソーダ・キャニオンに持つメインの畑の単一畑ものです。アレキサンダー・ヴァレーがミディアムボディーでまろやかなタンニン、非常に飲みやすいワインであるのに対し、タイムレスはストラクチャーがしっかりしており、タンニンも強固な山系を感じさせるワイン。20年以上の熟成が期待できそうです。

セミナーの内容はかなり難しいところもありましたが、今後はワイナリーを選ぶ基準としてもその取組を注視していきたいと思います。
Date: 2022/0316 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのヨントヴィルにあるミシュラン三つ星レストラン「フレンチ・ランドリー」。その創設者であるサリー・シュミットが3月5日にメンドシーノのファイロにある自宅でなくなっていたことが判明しました。90歳でした。

The French Laundry.jpg
By Peter Merholz - Flickr, CC BY-SA 2.0, Link

サリー・シュミットはサクラメント・ヴァレーで育ち、UCバークレーを卒業。結婚後、夫が「Vintage 1870」(現「The Shops at The Marketplace」)の開発プロジェクトに携わることになり、1967年にヨントヴィルに引っ越し。同ショッピングモールのハンバーガーとサンドイッチの店を皮切りにレストランビジネスに入っていきました。

その後、夫妻はかつてフランスのスチームランドリー(兼バーと寄宿舎)だった石造りの建物を購入。予約のみのレストラン「フレンチ・ランドリー」を1978年にオープンしました。

プリフィックス・メニューにローカルな食材を使ったメニューを提供していましたが1994年にトーマス・ケラーに売却。その後はナパで最も予約の取れないレストランとして人気を博し、2006年にミシュラン・レストラン・ガイドのサンフランシスコ版が出たときから三つ星を続けています。

シュミット夫妻はその後、ファイロでアップル・ファームを経営。サリーは料理教室なども手掛けていました。
ご冥福をお祈りします。
Date: 2022/0312 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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木曜日は東京・目黒の雅叙園でカリフォルニアワインの試飲会でした。午前中はセミナー、午後は3時過ぎまで試飲でバタバタと。終わってかなり遅いランチを食べて(さすがにやっている店が少なくだいぶうろうろしました)、あとは帰るだけというところで、目黒で知り合いのワインバーがあるのを思い出して、実は行ったことがなかったので、まだやっていないだろうと思いつつ場所だけ確認して帰ろうとしました。

と、ビルを出る前にそのオーナーの江藤愛さんに遭遇。開店前の仕込みで忙しいところ、ちょっとお邪魔させていただきました。
店内の写真も取り忘れましたが、カウンター8席程度のこじんまりとした店です。

ワインのメニューを見せてもらいましたが、グラスワインがかなり豊富。コラヴァンも使っていろいろなワインをグラスで出せるようにしているようです。価格も1杯1000円程度のものがかなりたくさんあります。もちろんボトルワインもありますが、グラスでいろいろ試すのが楽しそうです。


まずグラスでいただいたのはサブミッションのロゼです。優しい味でほっとします。試飲会で気に入ったワインの一つでもありました。ただ、試飲会では1アイテム数十秒くらいでどんどん次のものを試飲しないといけないし、飲み込んでいたら酔っ払ってしまうので基本スピットしますから、試飲会のあとでこうやってゆっくりワインを飲むのはすごく贅沢な気分になります。


すぐ帰ろうと思っていましたが、もう1杯。アリシアンのピノ・ノワールです。ロシアン・リバー・ヴァレーらしい暖かみのあるピノ・ノワール。


せっかくなのでちょっと料理もいただきました。野菜がたくさんでこれも嬉しい。自分で普段料理をしていると、こうやって素材がたくさん使われているのがどれだけ贅沢なことかよくわかります。そしてどれも新鮮で素材の味がしっかりします。軽くドレッシングは添えられていますがほぼ素材の味わいを生かしたものになっています。「生ハムと何か」とお願いしたのですが、こんなに素敵な料理がいただけると思っておらず、感動しました。

愛さんとは、いつも試飲会でお会いしますが、挨拶するだけでなかなかゆっくり合うことはなかったので、お店に伺えてよかったです。今度はもっとちゃんと料理をいただきたいです。

aizbar
東京都品川区上大崎2-26-5 メグロードビル2F
03-5434-0117
(現在は18:00~21:00の短縮営業、前日までの予約のみになっています)
Date: 2022/0310 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のアルコール・タバコ税および貿易局(TTB)は2022年3月9日、新しいAVAとして「サン・ルイス・オビスポ・コースト(San Louis Obispo Coast、SLO Coast)」を認定しました。4月8日から有効になります。

SLOコーストは、既存のエドナ・ヴァレー(Edna Valley)とアロヨ・グランデ・ヴァレー(Arroyo Grande Valley)を含んでおり、サン・ルイス・オビスポ郡の沿岸地域全体をカバーしています。太平洋に近く非常に冷涼、また緯度が低いため太陽の日照時間は非常に長いといった特徴があり、シャルドネやピノ・ノワールの名産地です。
SLOコースト
この2つのAVA、以前セミナーで「不遇の冷涼産地」と紹介したことがあります。潜在的な力はすぐ南にあるサンタ・バーバラに負けず、特に海に近い冷涼さという点では、サンタ・バーバラ以上の面があるにも関わらず、カリフォルニアの中でも知る人ぞ知るといった位置づけになっていました。その理由の一つとして、エドナ・ヴァレーとアロヨ・グランデ・ヴァレーをまとめた呼び名がないというところがあったので、今回のSLOコーストAVA策定によって、メジャー産地になっていく可能性が上がったのではないかと思います。

ちょっとややこしいですが、その背景をさらに説明すると、実はサンタ・バーバラはカリフォルニアの「郡」の名前であって、AVAとしてサンタ・バーバラというのはありません。同様にソノマも郡の名前であってソノマ全域を束ねた形のAVAはありません(ナパはナパ・ヴァレーというAVAとナパ郡が一致した形になっていますが、これは例外的です)。モントレーも同様です。

ですから総称として郡の名前を使うというのは一般的であり、分かりやすくアピールもしやすいのです。ただ、エドナ・ヴァレーとアロヨ・グランデ・ヴァレーの場合は郡の名前がサン・ルイス・オビスポ(SLO)で、サン・ルイス・オビスポ郡の中にはパソ・ロブレスも含まれているのです。パソ・ロブレスはやや内陸に入っているため温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨンやローヌ系品種などが主に造られており、エドナ・ヴァレーやアロヨ・グランデ・ヴァレーとは大きく性質がことなります。そのため、この2つのAVAの総称としてサン・ルイス・オビスポやSLOは使えなかったのです。

そこで、これまでも一部ではSLOの沿岸地域といった言い方はされていましたが、今回のAVA策定で大手を振って「SLOコースト」と呼べるようになりました。

これまではやや「2軍」的な位置づけになりがちで、他地域のワイナリーの低価格版をこの地域のブドウで造るといった形がやや多かった感がありますが、これからはメジャー産地の一つに成長してくれるのではないかと期待しています。
Date: 2022/0309 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Green
ナパのサスティナブル認証プログラムは2004年に策定された「Napa Green Land」と「Napa Green Winery」の構成となっていましたが、2022年1月から土地の認証の方が「Napa Green Vineyard」にアップグレードしました。既存の認証を受けているところは新しいプログラムへの移行に1年間の猶予期間があります。

2004年に策定されたプログラムの主眼はナパ・リヴァーの保全や、それに関連して山からの土砂の流出を防ぐところにありました。それに対してNapa Green Vineyardではカーボンフットプリントの削減や、再生農法、そして社会的公正の実現といったところを含むようになりました。より、現在のSDGsの流れに近いものになったとも言えると思います。

オーガニックやビオディナミの農法といったいわゆる自然派のワインは、ワイン自体の味わいに影響するため、消費者にとってもわかりやすいですが、サスティナブルは、例えば農薬の使用は完全に禁じられているわけではないなど、自然派的な見方からは緩かったり不完全だったりに感じられるかもしれません。そのあたりが、サスティナブルのわかりにくさにつながっているかと思っていますが、サスティナブルはSDGsと同様、ワイナリーが社会的に正しい方向に進む道を示しているのだと思います。消費者としても、もっとそこに関心を持って、ワインを選ぶときの判断材料の一つとして使えるようになるのが望ましいのではとも感じています。
Date: 2022/0308 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのワインとしては異例のコスパを誇るカモミ(Ca' Momi)。シャルマ方式(タンク内二次発酵)でコスパの高いスパークリングワインを造るイーター(Iter)、実売1000円切りもあり安旨のシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンで早くも定番ワインの一角に名を連ねるようになったベンド(Bend)、ナパ中心の高品質ワインを2000円台で造るインディゴ・アイズ(Indigo Eyes)。

これらカリフォルニアの安旨ワインで有力なブランド、実はすべて同じワインメーカーが造っています。その凄腕がダリオ・ディ・コンティ(Dario di Conti)とステファーノ・ミゴット(Stefano Migotto)の二人。ステファーノは北イタリアで3代続くワイナリーの出身で1991年に「アメリカン・ドリームを夢見て」ナパに移住してきました。ダリオ・ディ・コンティもイタリアの出身で、14歳から「門前の小僧習わぬ経を読む」スタイルでワイン造りを学び始め、大学でも醸造を勉強しました。2003年に米国に移住し、ステファーノと共同でワインを作りはじめました(二人はイタリア時代から知り合いだったようです)。

二人が造るワイナリーは、調べられた範囲で以下の7つがあります。「Pra Vinera」以外は国内に入荷しています。実は大人気の「ブレッド・アンド・バター」の設立にもこの二人は携わっており、ブランド売却前はワインメーカーをしていました。安旨ワインの請負人と呼んでもいいかもしれません。

Adulation
Bend Cellars
Ca' Momi Winery
Indigo Eyes
Iter Cellars
ObscuRED
Pra Vinera Wines

この中でも、プレミアム寄りで力を入れていると言っていいのがカモミでしょう。ナパに自社畑を複数持ち、自社畑中心でワインを造っています。最近、カモミの中でも人気ワインだったレッド・ブレンド「ロッソ・ディ・カモミ」が生産中止という話が出ていますが、代わりに新たなブランドとして登場したのが上記の「ObscuRED(オブスキュアード)」です。このワイナリーではレッド・ブレンド1種類だけを造っています。

彼らの造るワインはどれも肩肘張らず、気楽に飲めるスタイルでわかりやすい美味しさを持っています。スパークリングで瓶内二次発酵の代わりにタンクでの二次発酵を使ったり、オブスキュアードで樽熟成の代わりに、オーク・ステーブと呼ぶ樫の木の板をタンクに入れて樽の風味を付けたり、と醸造でコストを削り、その分高品質なブドウの調達に注力しているようです。そういった点も安旨ワインのお手本といえそうです。

しあわせワイン倶楽部です



ココスです。


セラー専科です。



ココスです。


カリフォルニアワインあとりえです。



しあわせワイン倶楽部です。


Date: 2022/0305 Category: 業界ニュース
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Napa Valley Wine Growersは3月2日、カーネロスのシャルドネで芽吹きを確認したと発表しました。来週中にはナパ・ヴァレー中で芽吹きが始まるだろうとのことです。

新しい年の始まるを告げる芽吹きはうれしいものですが、半面霜の被害もしばらく気になるところです。霜を防ぐ手段としてはスプリンクラーや空気を循環させる装置などが有名ですが、畑のカバークロップを刈り取ってしまうことも効果があるそうです。その方が土壌が熱をため込めやすくなるとか。
Date: 2022/0304 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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エレガントの極み、フリーマンの新作スパークリング」という記事で紹介したフリーマンの初めてのスパークリングワイン「20 Anniversary YU-KI ESTATE BLANC DE BLANCS Sonoma Coast 2019」の先行予約が始まりました。

先行予約はFacebookで「フリーマン・ワイン・クラブ」に「いいね」している人が対象となります。申込方法もそちらに記述されています。本数は限定36本で、それを超えた場合は抽選になります。

価格は税別1万500円。今回は以下の特典があります。
1.日本国内であれば、送料無料にてお届け
2.ご購入後、アキコ・フリーマンさんとのトークセッションにご招待※
3.ワイナリー限定のノベルティをプレゼント
※希望される方のみでご都合をすり合わせた上で、少人数制度グループトークとなります

本当に繊細でエレガントなワイン、フリーマンらしいスパークリングです。
Date: 2022/0303 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部にデビル・プルーフ(Devil Proof)のマルベック「フォロー・ランチ(Farrow Ranch)」2019が入荷しています。2018年の同ワインはワイン・アドヴォケイトでカリフォルニアのマルベックとしては初の100点を取ったワイン(ほかにアルゼンチンで3本の100点があります)。2019年の評価はまだ出ていませんが、2019年も良好なヴィンテージなので高い点が出る可能性はかなりあるでしょう。

デビル・プルーフのワインメーカーであるジェシー・カッツは昨年、1本100万ドルというワインのオークション落札金額トップのワインを造った人でもあり、注目のワインメーカーの一人です(1本100万ドル、オークションで落札新記録 ソノマの無名ワインがなぜ?)。


Date: 2022/0302 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ベスト・ソムリエアンバサダーの富滿さんとベスト・エデュケーターの四家さんが紹介するナパヴァレーのワイン第2段としてシルヴァー・オーク(Silver Oak)が登場していました。

こういった老舗ワイナリーのワインは、あまりブログで取り上げる機会はないので、久しぶりに紹介させていただきます。

1972年にRaymond Twomey Duncan(レイ・ダンカン)とJustin Meyer(ジャスティン・メイヤー)が設立したワイナリーで「Life is a Cabernet」のキャッチフレーズで知られています。ナパとソノマのアレキサンダー・ヴァレーの2つのカベルネ・ソーヴィニヨンだけを作り続けています(他の品種のワインは2000年ころからTwomeyのブランドで造っています)。動画でも紹介していますが、熟成にアメリカン・オークの樽を使うのが大きな特徴で、樽の甘やかな風味があるワインです。また、他のワイナリーよりも出荷までの熟成期間が1~2年長く、リリース直後から飲み頃になっているのも特徴です。「最も素晴らしいワインというわけではないかもしれないが、飲みやすいワインなんだ」とレイ・ダンカンは言っています。ある意味、最もカリフォルニアらしいカベルネ・ソーヴィニヨンですが、それほどガツンとくる味わいではなく非常にバランスのいいのも特徴です。

近年はサスティナブルなワイン造りに非常に力を入れており、環境に気を使っていることではカリフォルニアの中でもトップのワイナリーと言ってもいいでしょう(ワイナリーとしては初のLEEDプラティナムの認証を受けていたり、カリフォルニア・グリーン・メダルのリーダー・アワードを受賞していたりします)。



Date: 2022/0301 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サザビーズとの全面協力になって初めて開催されたプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションが終了しました。ライブラリー・ワインのオークションを含めた落札総額は270万ドルを超えたとのこと。かつては600万ドルを超えた年もありましたが、コロナ禍でオンラインとの併用になった状況や、山火事の影響で品質が懸念されていた2020年のワインが出品されたことなどを考えると、かなり良い結果だったのではないかと思います。

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その2020年ヴィンテージのワインですが、赤ワインの平均落札額が234ドルに達しました。ペブル・ビーチ・リゾートのウェンディ・ヘイルマンは「明るく、鮮やかで、本当に素晴らしい品質」だったと評しています。

また、1本当たりの落札額が一番高かったのはファヴィアとアワーグラス、ブエナビスタとチャールズクルッグ、レイノルズ・ファミリーとケイナードといずれもジョイントのワインで1本当たり325ドルでした。レイノルズとケイナードのものはカベルネ・フランで、カベルネ・ソーヴィニヨンが圧倒的に強いこのオークションで、カベルネ・フランのワインが上位に来るのはかなり珍しいと思います。

このほか白ワインの落札額も平均108ドルと100ドルを超えたこと、マルベックやネッビオーロ、リースリングやアルバリーニョなども出品され、いつになく多様化が目立つオークションとなりました。
Date: 2022/0228 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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アメリカンフットボールのNo.1チームを決めるスーパーボウル。今年の優勝チームであるロスアンゼルス・ラムズのオーナー、スタン・クロンキーはナパのカルト・ワイナリー「スクリーミング・イーグル」のオーナーでもあります。そして、彼がサンタ・バーバラで造るブルゴーニュ系品種のワイナリーがザ・ヒルト(The Hilt)。冷涼なサンタ・リタ・ヒルズの中でも海に近く強風が吹き荒れる過酷なところに畑を持ち、冷涼感のあるシャルドネとピノ・ノワールを造っています。今やサンタ・リタ・ヒルズを代表するワイナリーの一つと言ってもいいでしょう。

ヒルトのワイン、日本の価格はかなり格安感がありますが、その中でさらにウメムラがシャルドネとピノ・ノワールのセットを3月いっぱいまでセールになっています。どちらもヒルトの中ではエントリーレベルですが自社畑のブドウを100%使っており、エントリーレベルというのは品質が低いのではなく、上位レベルのものがニューワールドスタイルとオールドワールドスタイルに2分しており、その中庸であることがエントリーレベル。すなわち一番とっつきやすいワインという位置づけです。

シャルドネもピノ・ノワールもワイナリー価格が45ドル(税抜)のところが2本セットで税込み9493円。15%ほど現地価格より安い計算になります。

2018年は冷涼感のあるブドウにとっていいヴィンテージであり、Vinousではピノ・ノワールが93点、シャルドネが92点という評価になっています。


Date: 2022/0226 Category: おすすめワイン
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高品質で低価格のヴィオニエで話題を読んだロウアー(Lawer)の2014年のカベルネ・ソーヴィニヨンが特別価格で入ってきています。4割引で税込みでも6000円強。現地価格では税抜で65ドル(ワイナリー価格は税抜75ドル)ですから、かなり安いです。

ロウアーのワインメーカーはケイリー・ゴット(Cary Gott)。ワインだけでなくハンバーガーショップなどでも有名なジョエル・ゴットの父親です。マムやスターリング、ラウンドポンド、ラムズ・ゲートなどで働き「ハイプロファイルなナパのワイナリーを造るレシピがあるとしたら、ケイリー・ゴットはそのキーの要素になるだろう」とナパ・ヴァレー・レジスター紙で書かれたほどの有名人です。

本数僅少ですのでお早めに。


Date: 2022/0224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年2月に開催されてきたプルミエ・ナパヴァレー・オークション。昨年はコロナ禍で6月に開催されましたが2022年は2月開催に戻りました。また、2021年はザッキーズとの協力でオンラインと併用する形でしたが、ナパヴァレー・ヴィントナーズとサザビーズの提携によって、今回はサザビーズのシステムを使ってオンライン・オフラインのどちらでも参加できる形になっています。

また、今回は2001年から2010年までのワインによる「回顧オークション」があることや、新ヴィンテージのワインが2019年から2021年までかなりばらけた形で登場していることなど、新たな工夫が見られます。

ワイン流通関係でないと参加できないのはこれまで通りですが、日本からでもオンラインでビッディングできるので敷居は下がったと言えそうです。26日まで開催しています。
Date: 2022/0222 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Liv-ex
英国の高級ワイン取引市場「Liv-EX(ライブ・エックス)」におけるカリフォルニアワインの取引数が増えています。2021は504と初めて500を超えました。取引額のシェアはこの10年で0.1%から7.9%に上がりました。ワインの高品質とブランド力強化とともに、ボルドーのネゴシアンシステム「ラ・プラス・ド・ボルドー」を通じて売られるワインが増えていることがシェア向上に寄与しているとのこと。現在ではオーパス・ワンやダラ・ヴァレ、クインテッサ、プロモントリーなどが「ラ・プラス・ド・ボルドー」経由で海外へ販売しています。なお、取引されたカリフォルニアワインの8割以上はナパ産のもので、中でもスクリーミング・イーグルが大きく寄与しています。スクリーミング・イーグルの取引価格は2013年頃は3本セットで58万円くらいだったのが、3本で190万円にも達しています。


Date: 2022/0221 Category: 業界ニュース
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「ワインを買ったらもれなく生きている蛇がもらえる」という前代未聞のキャンペーンを始めたのは缶入りワインのメーカーのアーチャー・ルース(Archer Roose)。
Archer Roose
このプログラムはアーチャー・ルースの缶ワインを10万ケース買うと、生きている蛇がプレゼントされるというもの。CMでは女優のエリザベス・バンクスが実際に蛇を手に持ってプログラムを紹介しています。もちろん、これは冗談で話題作りのためのものですが(なお、アーチャー・ルースは冗談だとは言っていないので実際にそれだけ買えば蛇がもらえるかもしれません)、エリザベス・バンクスがインスタグラムに投稿した動画は5万あ6000回見られ、アーチャー・ルースのアカウントは7000増、この1年でトップ4に入るトラフィックを達成したとのことで、かなり有効な宣伝になったようです。

商品を買ったら何かをもらえるというプログラムはいろいろな会社がやっていますが、これはその中でもウィットが効いています。アイデアは広告エージェンシーと、昨年から同社のCMに出ているバンクス自身が出したとのこと。

なお、SFクロニクルの記事によると、生きた蛇を郵便で送ることはできませんが、FedEXなら特定の条件を満たせば可能だとのこと。日本まで送ってくれるかどうかは不明です。
Date: 2022/0220 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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お友達のMAMIさんが、私がお薦めしていたモンターニュ・ルース(Montagne Russe)のピノ・ノワールを飲んでツイートしていました。


モンターニュ・ルースのワイン、以前以下の2記事で紹介していますが、冷涼系でバランス良く美味しいピノ・ノワールとしてはリーズナブルな価格で売っています。生産量はそれぞれ数十から数百ケースとかなり少なく、国内と米国の価格もあまり変わりません。
4000円台とは思えない秀逸なソノマコーストのピノ・ノワール
秀逸なリッチ系シャルドネが5000円台前半で

2018年のピノ・ノワールはワイン・スペクテーターで91点、ソノマの40ドル以下コスパワイン13本という記事で取り上げられています。



シャルドネも以前より安くなっています。
こちらは特定区画のブドウだけを使った上級版で、ワイナリー価格は2019ヴィンテージで54ドル。日本の方がだいぶ安くなっています。

Date: 2022/0219 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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近年増えている「ユニバーサル」タイプのワイングラス。赤ワインでも白ワインでも美味しく飲めるので便利ですが、やや価格の高い製品が多いのがネックでした。例えば、このタイプを広めた立役者の一つであるジャンシス・ロビンソンのグラスだとペアで1万4000円となかなか高価。ちょっと躊躇してしまう価格です。

そのユニバーサルタイプのグラスの一つ「Gabriel Glas」が並行輸入品ですが安価で売っています。1脚税込み2190円、2脚なら送料無料のショップもあります。ちなみに正規輸入品では6600円となっています。


このグラスを知ったのは、SFクロニクルのライターによるグラスの記事で、彼女が使っているグラスがこれだとのこと。Gabriel Glasにはマシンメイドと手作りのものがあり、彼女は高価(正規輸入品では1万4850円)な手作りの方を使っているようですが、基本的に形やサイズはどちらも同じです。手作りの方は100gを切る超軽量なのが魅力ではありますが。

我が家も子供が成人になったのでグラスを増やしてもいいかと思い、購入してみました。確かに超軽量ではありませんが、それほど重いわけではないし、香りも取りやすく使い勝手もいい感じです。あまり軽量なものは洗うのも拭くのも怖いですし。


家で使っている他のグラスと並べてみた写真です。このほか白ワインではリーデル「オー」のリースリング/ソーヴィニヨン・ブラン用のものをよく使っています。

並べたグラスは左がリーデルVinumのカベルネ・ソーヴィニヨン用、右が木村硝子店のサヴァ24ozです。Vinumの方は20年以上使っていますが、丈夫で使い勝手のいいグラスです。カベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスとしてはスタンダードといっていいのではないでしょうか。

Vinumのピノ・ノワール用も使っていましたが、それを割ってしまい、代わりに購入したのが木村硝子店のサヴァ24oz。超軽量で洗うときはいつもドキドキですが、ピノ・ノワールやいいシャルドネのときには素晴らしいグラスです。

Gabriel GlasはVinumのカベルネ・ソーヴィニヨンよりもちょっと背が高く腰高のスタイル。重さを図ってみたところ148gでした。サヴァ24ozは92gと本当に軽く、Vinumは200gとGabriel Glasよりもまだだいぶ重量級でした。

Gabriel Glas、お薦めです。





Date: 2022/0218 Category: 業界ニュース
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ワイン・アドヴォケイトで2019年以来の日本酒のレビュー記事が掲載されました(Japan: Sake – G.I. Nadagogo - Robert Parker Wine Advocate)。

ワイン・アドヴォケイトの日本酒レビューといえば2016年にリストの漏洩疑惑が持ち上がりました(Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ)。そのときの中国人のレビュアーが2019年までは年1回ほど記事を上げていましたが、その後はレビュアーリストからも消えてしまっていました。

今回は初めて日本人によるレビューです。レビュアーは日本ソムリエ協会の理事で姫路の「YAKINNIKU HOUSEれんがや」の星山厚豪(ほしやまあつひで)氏。WSETのディプロマも所持しています。

今回のレビューのテーマは灘五郷で、まさに星山さんの地元ですね。今なお日本の酒製造の3割を占めるという灘の酒の歴史などを踏まえた記事になっています。

レビューされている日本酒は101本で、うち17本が90点以上のレイティングとなっています。
95点以上ついた3本はいずれも「白鶴」のもので3年熟成した「白鶴 天空 袋吊り 純米大吟醸 みとせ」が96点、「白鶴 天空 袋吊り 純米大吟醸 山田錦」と「超特撰 白鶴 天空 袋吊り 純米大吟醸 白鶴錦」が95点となっています。

以下のリンクは白鶴のネットショップです。



Date: 2022/0217 Category: 業界ニュース
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韓国の新世界プロパティによるシェイファー(Shafer)の買収が決まりました(Shinsegae acquires Napa Valley winery for W299.6b)。買収金額は2996億ウォン、2億5030万ドルだとのことです。

これによって韓国の同社のワインショップでシェイファーを扱うようになります。日本への割当に影響があるのかどうか、気になるところです。

なお、シェーファーからの公式のアナウンスはまだ出ていません。

【追記】
シェーファーからもアナウンスありました。ダグ・シェーファー、ワインメーカーのイライアス・フェルナンデス初め、スタッフは当面今のままワイナリーに残るとのこと。
Date: 2022/0216 Category: 業界ニュース
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2021年は干ばつの影響で、多くの地域で生産量が減ってしまいました(山火事の影響が大きかった2020年よりは多いですが、過去10年では2番めに少ない量でした)。今後も干ばつが心配されていますが、この2021~2022年の雨季はこれまでのところ、過去2年よりはましだが解消にはほど遠いといった状況です。

10月は過去102年間で2番めに降雨量が多かったのですが、11月は平年の半分、逆に12月は平年の1.6倍と上がったりさがったりが続いています。年が開けてからは1月は平均のわずか16%、2月も乾燥が続いています。これまでのところ平年の雨量を上回っていますが、今後の降雨次第では平均以下に落ち込むかもしれません。

似たような展開だった1998年は非常に降雨が多い年でした。今後どちらに転ぶのかが気になるところです。
Date: 2022/0215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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韓国のビジネスコレアの報道によると、韓国の新世界グループが、ナパのワイナリー「シェーファー(Shafer)」を買収する意向だとのこと(Shinsegae Group Seeking to Acquire U.S. Winery - Businesskorea)。

新世界グループは新世界百貨店を中心とするグループで、新世界L&Bというワインのインポーターも持っています。今回の買収は新世界プロパティという不動産会社を通じて行うとのこと。

シェーファーは1972年にシカゴから移住してきたジョン・シェーファーが設立したワイナリー。現在は息子のダグ・シェーファーがオーナー。移住当時は高校生で、父と共にワイナリーを作ってきたため、移住「1.5世代」と称しています。これはカベルネ・ソーヴィニヨンの「ワン・ポイント・ファイブ」という名前に現れています。またワインメーカーのイライアス・フェルナンデスは1980年代からワインメーカーを務めており、ヒルサイドセレクトなどのカリフォルニアを代表するレベルのワインを作ってきました。

ダグには2人子供がいますが、いずれもワイナリーを継ぐ意志はないと聞いています。

いずれは事業継承の問題は出てくると思いますが、今回の買収案に応じるのかどうかは不明です。
Date: 2022/0214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2022年のナパヴァレー・ベスト・ソムリエ・アンバサダーが決定」に続いて、ナパ・バレー・ヴィントナーズの教育に携わるベスト・エデュケーターが決まりました。
ベスト・エデュケーター
選ばれたのはヴィノスやまざきの四家史一氏。一次試験の「NAPA VALLEY WINE EDUCATOR」合格者3名のなから四家氏とワインアンドワインカルチャーの境徳子氏の2人が二次試験を受け、四家氏が選ばれました。

二次試験の内容
・ブラインド・テイスティング(30分)
・筆記試験(40分)
・グループ・ディスカッション(30分)
・グループ面接(40分)
ということで、かなりの難関を越えて選ばれたことになります。

ナパヴァレー・ヴィントナーズは2022年秋に次の認定プログラムを発表する予定です。

四家さん、おめでとうございます。
Date: 2022/0213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアの昨年のブドウ収穫量を報告する「クラッシュ・レポート」の暫定版が公開されました。

過去のレポート
カリフォルニアのブドウ収穫、2020年は大幅減少し過去10年で最少
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫

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2020年は山火事の影響で収穫はかなり少なく2021年は385万8841トンと前年を8.7%上回りました。
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1トン当たりの価格で見ると赤ワインが圧倒的に高く、前年よりもかなりあがり、2年ぶりに1000ドルを超えました。
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品種別に見ると、シャルドネが1番を続けています。カベルネ・ソーヴィニヨンとの差はわずかに0.7ポイントですが。ジンファンデルが増えて全体の3位になりました。白ワイン用ではシャルドネの次はフレンチ・コロンバード、ピノ・グリ、マスカット・オブ・アレキサンドリアとなります。ソーヴィニヨンはその次です。
マイナー品種を見るとアルバリーニョやマルヴァジア・ビアンカなどはかなり増えています。とはいえまだ桁は違いますが、これらの品種のブームがどう定着するか、気になっています。
Date: 2022/0210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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赤ワインを飲んで頭痛を起こすという人は少なからずいますが、その本当の理由はいまだにはっきりとしていません。亜硫酸塩が原因とされがちですが、一部に亜硫酸塩に対するアレルギーがある人はいますが、その場合の症状は頭痛よりもずっと激しく、逆にアレルギーでない人が亜硫酸塩で頭痛を起こすという証拠はありません。

また、ヒスタミンは頭痛を起こす物質として知られていますが、頭痛を起こしにくいと思われている自然派のワイン、特に亜硫酸塩を加えていないものは、ヒスタミンを多く含んでいることが分かっています。

そこで、UCデーヴィスではこの問題を解くための研究資金を調達するため、クラウドファンディングを開始しました(Red Wine Headaches Under the Microscope | Wine-Searcher News & Features)。

UC Davis
本来は米国国立衛生研究所(NIH)などから資金を調達するところですが、NIHはもっと危険な病気などで忙殺されており、頭痛の研究に対しては協力的ではないのだそうです。そこでクラウドファンディングを使うことにしました。

目標は2万5000ドルと、医学の研究としては慎ましやかなものとなっています。実際にはその倍は必要なのだそうですが、これだけあれば研究に取り掛かることは十分にできるといいます。

募集期間は2月いっぱいとなっています。ただ、現時点では1240ドルとやや低調ではあります。

クラウドファンディングのページはこちら。
UC Davis | Uncovering the Source of Red Wine Headaches

Donor WallでInternationalを見ると国別の寄付件数がわかります。日本がゼロというのもちょっと悲しいのでささやかながら寄付してきました。何ドルからでも寄付できますので、みなさまもぜひ。
Date: 2022/0209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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タブラスクリーク
パソ・ロブレスの老舗ワイナリー「タブラス・クリーク(Tablas Creek)」が95ドルの箱ワインを発表しました(Tablas Creek Vineyard Blog: Why we believe the time is right for a $95 box of wine)。容量は3リットルで、ワインは2021 Patelin de Tablas Rosé。1本28ドルのロゼワインです。中身は4本分に相当しますからガラス瓶だと112ドル、箱ワインの方が17ドル分安いことになります。

箱ワインを投入する最大の理由はカーボンフットプリント。二酸化炭素の排出量を減らすためです。California Sustainable Winegrowing Alliance(CSWA)の調査によると、ワインのカーボンフットプリントの約半分はパッケージングによるものです。
チャート
ガラス瓶は製造時に高温を必要とし、輸送にも大きなエネルギーがかかります。軽量なボトルを使うことで1割くらいの削減が可能ですが、3リットルの箱ワインを使えば4割削減できるのです。

箱ワインは高級化が進んでいますが、それでも4リットルで30ドル程度がこれまでの上限。タブラスクリークのワインは安いものでも1本25ドルですから、だいぶ価格帯が違います。

一方で箱ワインは中にビニールの袋が入っていて、開封後もワインは空気に触れないので、冷蔵庫に入れれば数週間から数カ月保存できます。収納スペースでも有利ですし、トータルの重さも軽くなります。そういったメリットも考えて、今回テスト的に販売(トタル100ケース)を決めたそうです。

逆に箱ワインは長期熟成には向きませんから、熟成して飲むタイプではないロゼワインを最初に投入することになりました。

先日もガラス瓶の問題を取り上げましたが、ワイン業界でも二酸化炭素排出量を減らすことは今後大きな課題になることが予想され、そのときにガラス瓶問題はより重要になってくるでしょう。熟成させるワイン以外ではある程度箱ワインなどが増える可能性は高いのではと思っています。
Date: 2022/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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サンタ・バーバラで銘醸畑というとオー・ボン・クリマのお膝元であり、数々のワイナリーが素晴らしいワインを造っているサンタ・マリア・ヴァレーのビエン・ナシードが一番有名ですが、それと肩を並べるのがサンタ・リタ・ヒルズのサンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードです。1971年に植樹されたサンタ・リタ・ヒルズで最も古いブドウ畑であり、サンフォードやオー・ボン・クリマなどが素晴らしいワインを造っています。

実はオー・ボン・クリマで一番高価なピノ・ノワール「ラーム・ド・クラップ」もサンフォード&ベネディクトのブドウを使ったワイン。茎まで熟成した年だけに全房発酵で造られるレアワイン。2001年と2005年に造られた以降は2016年まで10年以上も造られなかったという幻のワインです。

このサンフォード&ベネディクトのピノ・ノワールを造るワイナリーの一つがサンディ(Sandhi)。今やサンタ・リタ・ヒルズで最高のピノ・ノワールを造っているといっても過言ではないドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Cote)の姉妹ワイナリーです。著名なソムリエであるラジャ・パーと日系2世のワインメーカーであるサシ・ムーアマンによるワイナリーで、自社畑のブドウを使ったワインをドメーヌ・ド・ラ・コート、買いブドウを使ったワインをサンディとしています。

サンディのサンフォード&ベネディクトは以前は1万円したのですが、価格改定でなんと6000円台に突入。かといって評価が低いわけではなく、今回の2017年はパーカー93+、ヴィナスで94点、ワイン・エンスージアストで93点と後方家です。この価格ながら実は184ケースしか造っていないレアワインでもあります。こんなワインが日本に入ってきているだけでもありがたいと思う今日このごろです。


Date: 2022/0207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、NHKの「あさイチ」で激安ワインを簡単にグレードアップする方法が紹介されていました。紹介した人は、葉山考太郎さん。ソムリエと書かれていたけど葉山さんてソムリエなのかな? というのは置いておいて、試飲のグラスには「ACADEMIE DU VAN」の文字。アカデミー・デュ・ヴァンで撮影したんですね。
葉山

で、肝心のその方法。番組ではクイズでしたがそこは端折って、解答は「割り箸を折ってボトルに突っ込む」というもの。




そのまま10分くらい置いておくと、木のフレーバーがついて高級感がでてくるそうです。「甘みがあって、しかもバニラの香りがする」「ちょっと高級感のあるワインに仕上がっています」と葉山さんは語ってます。

ちょっと乱暴では、という気もしましたが、安ワインだからこその技でしょうね。ワンコインくらいの凝縮感に欠けたワインならこうやって風味をつけるのも面白そうと思います。

ちなみに、割り箸の材質は4種類くらいあるそうで、それによる風味の違いも紹介されていました。

一番ポピュラーなのが、このホワイトポプラなのだそうです。




葉山さんによると、ホワイトポプラは「1500円くらいの味」、竹は「1800円くらいの味」、杉は「2000円くらいの味」、ひのきは「2500円くらいの味」と、ヒノキが一番いいらしいです

そのうち試してみようと思います。
Date: 2022/0205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日も紹介したシリコンバレーバンクによる業界年間レポートでは、サプライチェーンの問題も取り上げています。トラックドライバーが足りないなど、様々な局面で足りない問題が出てきていますが、アンケートの結果によると、76%と圧倒的に多くの回答が出ているのがガラス瓶不足です。

Short Supply

必要なときに必要なところでガラス瓶が手に入らないことで、ワインの生産にも大きな影響が出ています。

一方で、これに対して「ガラス・パッケージング協会」の会長は「ボトルが足りないというのは迷信だ」という声明を出しています。
Wine Bottle Shortage Is A Myth Says Glass Packaging Institute President | Wine Industry Insight
ガラスの材料も調達できているし、ガラスが足りなくなったことはない、というのがその主張です。

実際にはシリコンバレーバンクのレポートもちゃんと読むと、ガラス瓶不足は海外メーカーへの過剰な依存が原因の一つとして挙げられています。おそらくガラス・パッケージング協会の会長も、それをわかった上でもっと米国産のボトルを使えということを暗に言っているのではないかと思います。

カーボン・ニュートラルやサスティナブルもワイナリーにとって大きなテーマですが、ボトルの輸送はワイン生産における二酸化炭素排出の中でもかなりの部分を占めています。そういった問題の解消も含めて、国産ボトルへの回帰ということが起こってきそうです。
Date: 2022/0204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が主催する認定制度「キャップストーン」の初級レベル1に合格しました。

名前が文字化けしてしまってますが、そこはご愛嬌ということで。

講座の内容は地理や歴史、土壌、栽培や醸造などファンダメンタルな部分もかなり多く、予想以上に濃いものでした。ただ、認定テスト自体はそれほど難しいわけではなく、習ったことを一通り理解していれば合格は問題なくできると思います。また、テストに不合格だったとしてもオンラインで好きなだけ再テストできますから、一発勝負で成績が決まるわけではありません。

半面、今回の初級レベル1だけではカリフォルニアがわかったという感じにはあまりならないかもしれません。例えば各地域の説明については4回の講義のうち最後の回の1時間ちょっとの説明でしたから、本当に一通りさらっと見る程度です。このあたりは次のレベル以降に期待したいと思います。

最後に、リアルの講座を受けるか、オンラインで受講するかですが、オンラインでは講義内容のスライドを自分で見て覚えていかないといけないので、ちょっと退屈なところはあるかもしれません。その代わり、場所を問わず、好きなときに受講できるのは大きなメリットです。また、テイスティングの講習はリアルでしかできません(認定テストにはテイスティングは含まれません)。リアルの講座を受けられるならば、そちらがお薦めですが、1月開始講座は既に募集終了しています。春ごろにはまた次の講座が開くと思いますが、それを待つ必要があります。


Date: 2022/0203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパヴァレー・ヴィントナーズと日本ソムリエ協会が行う、ナパヴァレー・ワイン・エキスパートの認定試験が行われ、ベスト・ソムリエ・アンバサダーとしてコンラッド東京の富滿勇希氏が選ばれました。


1月17日にオンラインで開催された一次試験では受験者の20%にあたる55名が合格。そのうちソムリエ以上の資格保有者の成績上位5名が二次試験に進んでベスト・ソムリエ・アンバサダーが選出されました。富滿さんは一次試験で最高得点を取り、二次試験でも最も好成績だったとのこと。二次試験に進んだのは以下の5人でした。

市川朋依 氏 (株式会社榎本)
稲吉矜持 氏 (株式会社KEY PIECE)
沖中亮真 氏 (株式会社ジェイアール東海ホテルズ)
須藤亜希 氏 (ヨシミチ)
富滿勇希 氏 (コンラッド東京)

一次試験ではワイン教育に携わる人の中からナパヴァレー・ワイン・エデュケーター3名(当日受験者の1%)も選ばれました。こちらの二次試験は、体調不良による欠席者がいたため延期されています。

富滿さん、おめでとうございます!
Date: 2022/0202 Category: 業界ニュース
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昨年、「【比較試飲】大人気ブレッド&バターに対抗するシャルドネは?」という記事で紹介したように、今日本で一番売れているカリフォルニアワインの白はブレッド&バターです。樽がこってりと効いていて、バターの風味も濃厚なまさに「ブレッド&バター」な味わいです。

ブレッド&バターは2014年に設立された、まだ非常に若いワイナリーですが、オバマ大統領のランチミーティングで使われ、ニールセンの急成長企業に選ばれるなど米国でもすごい勢いで成長しています。

このヒットに触発されて、似たようなワインを造るところも増えてきました。

昨日、Twitterで知ったのがこのワイン。

モンダヴィよ、お前もか、という感じです。

1990年代にはこういったバタリーなシャルドネの全盛期だったわけですが、当時生まれた言葉が「Anything But Chardonnay」、略してABCです。こういったシャルドネに辟易したワインファンが「コテコテのシャルドネ以外のものを飲ませてくれ」ということで造った言葉です。

この20年間は、カリフォルニアのシャルドネは基本的にはエレガントな方向に向かっていっていっていて、近年では逆に樽のこってり効いたシャルドネの方が少ないのではないかという印象でした。昔のスタイルを残しているロンバウアーが、ある意味残存者利益のような形で人気を集めてはいましたが。

それがここにきてのバタリーシャルドネ人気。

誤解があるといけないのですが、バタリーなシャルドネを好む人を否定する気など全くありませんし、良くないワインだとも思っていません。ワインはあくまで嗜好品ですから、好きなものを好きな人が飲めばいいわけで。ただ、一度あれだけ否定されたものがまた人気になってくるという時代の巡りが面白いなあと思って見ています。ファッションのリバイバル人気みたいなものでしょうかね。

話はちょっとずれますが、ある人がワインについて「イノベーションのジレンマ」のことを書いていましたが、嗜好品についてはイノベーションのジレンマはあまり当たらないかなあとも思っています。

イノベーションのジレンマは、「これまでの製品より品質は少し落ちるけれども便利なものがでてきたときに、従来の製品のメーカーが新しいものを品質が落ちるということで否定し、その間にそちらの品質がどんどん上がって市場を席巻してしまう」というのが基本構図です。アナログレコードからCDへの変化とか、まさにその例の一つだったわけですが、音楽を聴くツールが嗜好品にまでいたったことで、今では逆にアナログレコードの方が売れるといったことがおきています。「写ルンです」の再ヒットみたいなものもそうですね。便利さや画質で言えばスマホのカメラの方が圧倒的に上なのに、面白さで売れる。

おそらくABCの時代はカリフォルニアワインがまだまだ発展途上で、栽培的にも醸造技術的にも試行錯誤も多かった、ということも多様性よりも分野の否定につながったということがあったのではないかと思います。

バタリーなシャルドネのヒットは、カリフォルニアワインの成熟が生んだ新たな姿なのかもしれません。
Date: 2022/0201 Category: おすすめワイン
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しあわせワインクラブにピゾーニ・ヴィンヤードのピノ・ノワール(通称ピゾーニ・ピゾーニ)の2008年と2009年が入荷しています。国内入荷は年間数十本というレア物。毎年争奪戦になっています。

2008年は特にワイン・アドヴォケイトで98点と過去最高得点を取った年です。

売り切れていたらすみません、



Wassy'sには2019年のマグナムが残っています。

Date: 2022/0131 Category: おすすめワイン
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一時期輸入が途絶えていたナパのワイナリー「ピーター・フラヌス(Peter Franus)」の輸入が再開しています。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、メルロー、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンとフルラインアップがそろっており、いずれも完成度の高いワインになっています。

その中でも特筆すべきなのはマウント・ヴィーダ―のブランドリン・ヴィンヤード(Brandlin Vineyard)のブドウを使ったジンファンデルとカベルネ・ソーヴィニヨンです。標高300~400mほどのところにある畑で、マウント・ヴィーダ―らしいしっかりとしたストラクチャーとフレーバーが楽しめます。特にジンファンデルはマヤカマス山脈のナパ側ではあまり見かけない品種のように感じます。複雑さがあり、ジンファンデルの中でもかなり高レベルといっていいでしょう。あまあま系ではなく筋肉質でひきしまったジンファンデルです。



Date: 2022/0130 Category: おすすめワイン
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ケンタッキー
ソムリエの田邉さんが「ケンタッキーフライドチキンとワインのペアリング|田邉 公一 Wine director|note」という記事を書かれていたのが気になっていました。ブレッド&バターのピノ・ノワール、飲んだことなかったし、ケンタッキーに合うワインというのを考えたことがなかったし。また、記事中にケンタッキー州といえばバーボンで、バーボンも合うとあったことから、最近増えているバーボン樽のワインはどうなんだろうと思ったのでした。

試したワインは以下の3つ。
ワイン
バーボン樽のワインじゃなくスコッチ樽熟成のナーリー・ヘッドにしてしまいましたが、そこはご愛嬌ということで。ピーチー・キャニオンのジンファンデル・ブレンドは先日開けたものがまだ残っていたので、これも合わせてみました。多分、自分で考えたらケンタッキーにはジンファンデルを選びそうということもあります。

で、結論から言うと、この3つの中ではブレッド&バターのピノ・ノワールがベストでした。このピノ・ノワール、かなり甘やかさがあって樽の風味もしっかりあります。その風味やボリューム感にフライドチキンの脂やスパイス感がすごくよく合いました。田邉ソムリエさすがです。甘やかさやボリューム感など似た系統の味のピノ・ノワールだとメイオミもよく合いそうです。




ナーリー・ヘッドのシャルドネはリアルワインガイドで旨安大賞に選ばれたワイン。スコッチ樽熟成で樽感はしっかりあるのですが、甘やかさはブレッド&バターほどはなかったです。むね肉のところだと結構あいますが、もも肉など脂の多い部所には、もう少しワインのボリューム感がほしい感じです。同じナーリー・ヘッドでもバーボン樽熟成のカベルネ・ソーヴィニヨンとかカーニヴォのバーボン樽熟成とかの赤ワインの方が合いそうな気がします。




ピーチー・キャニオンのジンファンデル・ブレンド「インクレディブル・レッド」は先日の記事で「レッド・プラム、レッド・チェリーなどの赤系の果実味を最初に感じます。ブラックベリーなど黒系も少し。タンニンは中程度。酸はやや高く、ふくよかですが昨今のジンファンデル系レッドブレンドのような甘さはありません。ミディアムプラス程度のボディ。トーストやスパイスの風味もあって、余韻も上々」と書いています。

これもすごくおいしいジンファンデルなのですが、ケンタッキーと合わせるにはもっと甘い系のレッド・ブレンドがいいと思います。プリズナーとかオリン・スイフトのアブストラクトとか。手頃な価格帯だと人気の「689」のレッドとかも良さそうです。

Date: 2022/0128 Category: おすすめワイン
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カーネロスのソノマ側にあるワイナリー「クライン(Cline)」が英国向けに作っているワインがコロナ禍でキャンセルになって日本に限定入荷されています。クラインといえば、非常にコスト・パフォーマンスが高いジンファンデルやローヌ系のワインで知られていますが、クライン本体のものよりもさらに安くなっています。

ワインの名前はメドウホーク・セラーズとなっており、クラインの名前はありません。ブドウはコントラコスタのものでジンファンデルのオールド・ヴァインとなっています。

コントラコスタは砂地の土壌に100年を超える樹齢の自根のジンファンデルが残っています。有名な畑だとベッドロックが買い取ったエヴァンジェロ・ヴィンヤードがあります。ただ、有名産地ではないため、格安なワインになるのも特徴です。

とはいえ、クラインのコントラコスタのジンファンデルだと3000円くらいしますが、このワインは税込でも2000円切り。かなり格安になっています。輸入元は完売ということで在庫限りです。


Date: 2022/0127 Category: 業界ニュース
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ソノマのヒールズバーグにあるレイミー・ワイン・セラーズ(Ramey Wine Cellars)の創設者・オーナーであるデイヴィッド・レイミーがソノマ・カウンティ・ヴィントナーズによる生涯功労賞を受賞することが決まりました(Winemaker David Ramey to get Sonoma County Vintners’s 1st lifetime achievement award)。

Ramey

ソノマのマタンザス・クリーク、チョークヒルを立ち上げ、ナパではドミナスのワイナリー構築のプロジェクト・マネージャーやジラードの再興などに尽力した後、1996年にRamey Wine Cellarsを設立しました。

ソノマでのワイン造りは1972年からと歴史は長く、ワイン造りの技術に関しても、白ワインでのスキン・コンタクトをしないことや、白ワインの醸造初期にわざと酸化をさせること、熟成時のシュール・リー、シャルドネのマロラクティック発酵、天然酵母による発酵、フィルターなしでのボトリングなど、多くの高級ワインで使われている技術を早くから実践してきました。

最近ではワイン・エンスージアストで2本のシャルドネ(2018年のハイドとロキオリ)が100点を得るなど、今も変わらずシャルドネの第一人者の1人として活躍しています。


Date: 2022/0125 Category: 業界ニュース
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ワイン・アドヴォケイト前編集長のリサ、新しいメディアを立ち上げへ」という記事で、リサ・ペロッティ・ブラウンが新しいワインメディアを立ち上げる話を書きましたが、この件についてW.ブレイク・グレイ氏が2016年に起こった「日本酒リスト漏洩疑惑」を解く鍵になるのではないかと述べています(The Gray Report: Lisa Perrotti-Brown makes some interesting accusations, and maybe solves the Wine Advocate sake mystery)。

この件をご存知な方はあまり多くないと思いますが、詳しくは「Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ」をご覧ください。当サイトとしてはこのころかなり熱心に取り組んだテーマの一つですが、残念ながら日本のワイン界ではほとんど話題になることなく終わってしまいました(そういえばこの件で某国のテレビ局のインタビューを受けたことがありましたが、あれはどうなったんだろう?)。

リサ・ペロッティ・ブラウンは新メディア設立のコメントの中で既存メディアが中立とは言えないということで2つの例を挙げています。一つは特別なフィーを払った会社に対しては、一般に記事を公開するよりも先に情報を出すことがあること。もう一つはメディアが主催するイベントでスポンサーになる会社に対していいスコアを出すこと。リサ・ペロッティ・ブラウンがこれまで働いたワインメディアはワイン・アドヴォケイトだけなので、グレイ氏は、これはいずれもワイン・アドヴォケイトが実際にやっていることではないかと推測しています。

その上で、日本酒のリストが事前に漏れていたと考えられる点についても、このような「特別なフィー」を払った会社だったからではないかと推測しています。

やっと出たWine Advocateの日本酒レビュー漏洩疑公式声明」によると、ワイン・アドヴォケイトの正式なコメントとしては事前にリストが漏洩した事実はなく、レビュアーがその会社に、一部の日本酒についての技術的情報の入手を依頼したからだとしています。

いろいろなことが曖昧なまま、うやむやにされたこの問題、気がついたら、当時のレビュアーもいつのまにか消されていますし、残念ながら日本酒のレビューも継続されていません。

疑惑の渦中にあった会社でもかつて働いていたことがあるリサ・ペロッティ・ブラウン、新メディアのクリーンなイメージを追求するのであれば、過去の問題についてもきちんと説明してほしいとは思います。
Date: 2022/0124 Category: おすすめワイン
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数ヴィンテージぶりにもどってきたという、ピーチーキャニオンの「インクレディブル・レッド」を飲んでみました。
peachy canyon
ピーチーキャニオンはパソロブレスのワイナリー。良質のジンファンデルで知られており、このワインはジンファンデルブレンドでエントリーレベルのものになります。
ブドウの大半が自社畑になったとのこと。サスティナブルの認証も受けています。

レッド・プラム、レッド・チェリーなどの赤系の果実味を最初に感じます。ブラックベリーなど黒系も少し。タンニンは中程度。酸はやや高く、ふくよかですが昨今のジンファンデル系レッドブレンドのような甘さはありません。ミディアムプラス程度のボディ。トーストやスパイスの風味もあって、余韻も上々。

今回、しあわせワイン倶楽部の限定価格で税込み1000円台でしたが、3000円クラスの味わいと思います。こるはコスパ高い。お薦めです。

Date: 2022/0122 Category: おすすめワイン
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ヴィナスでソノマのレポートが公開されました。山火事の影響が大きい2020年のヴィンテージについては、シャルドネは影響が少なく、ジンファンデル特に古木の畑も比較的影響が小さかったようです。一方、シラーは比較的煙の影響を受けやすいことなどがわかってきました。

それはそれとして、ソノマのワインをいくつか調べていたら、ジンファンデルの雄として知られるベッドロック(Bedrock)の2020ヴィンテージが大幅値上げになりそうな気配です。現在価格が出ているのはモンテ・ロッソのジンファンデルだけですが、2018年の希望小売価格8900円から2020年は1万3000円。為替の影響とか海運とか、値上げ要素はたくさんあるのでやむを得ないとは思いますが、これだけの値上げはかなりきついです。

まだ市場には2018年も残っているので、ジンファンデルファンは2018年をはやめにゲットしておくことをお薦めします。

ちなみにヴィナスでは96点。「エレガントでピュアで洗練されている」と書かれています。

ジンファンデルというと、濃厚で甘いといったイメージを持っている人も多いかもしれませんが、このクラスのものになると、そういうイメージはかなり変わります。特にモンテ・ロッソはエレガント系(といっても、ピノ・ノワールの薄旨な感じではなく、きれいな赤果実な感じ)の印象があります。また、畑ごとの味わいの違いもかなりあります。いわゆるテロワールによる部分もありますし、元々フィールド・ブレンドで植わっている品種の比率も違うので、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールなどよりも畑の違いを感じやすいかもしれません。

多くの人に、この世界を知ってほしい、と思うワインの一つです。



Date: 2022/0121 Category: 業界ニュース
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米国のワイン業界に大きな影響力を持つシリコンバレーバンクの年間レポートが公表されました。

Silicon Valley Bank State of the Industry Report

米国のワイン業界のアンケートから様々な面を分析していますが、その中から干ばつの影響について紹介します。

水不足の懸念
水不足を非常に心配していて深刻な影響がありえるという回答が43%、懸念しているがなんとかなるだろうという回答が51%と懸念している人が9割を超えています。

2022年の対応
2022年に干ばつに対応して何をするかという質問に対しては新しい技術を使うという回答が32.2%と約3分の1を占めて一番多い回答でした。一方で2番めに多い回答は、特に新しいことをしないというもので、対応は分かれています。3番めに多い回答は新しい井戸を掘るでした。

水不足のインパクト
実際に干ばつの影響を受けているかどうかについてはパソ・ロブレスでは9割近くが受けていると回答。ナパやソノマ、サンタ・クルーズ・マウンテンズとモントレーでも8割近くが受けていると答えています。ワシントン州では30%とかなり低く、ヴァージニア州ではゼロでした。

今のところ、今年の雨季は比較的雨もしっかり降っているようですが、まだまだ心配は大きいようです。また、干ばつとともに山火事も懸念されるわけですが、これまでより保険に入りにくいといった状況も生まれています。これもまた難しい問題です。
Date: 2022/0120 Category: おすすめワイン
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昨年11月に「1本100万ドル、オークションで落札新記録 ソノマの無名ワインがなぜ?」という記事で1本100万ドルという史上最高額でワインが落札された話を紹介しました。

このワインを造ったのがジェシー・カッツ(Jesse Katz)。Forbes誌の「30歳以下の30人」やワイン・エンスージアストの「40歳以下の40人のテーストメーカー」にも選ばれたことのある才人です。この人のメインのワイナリーであるアパーチャー・セラーズ(Aperture Cellars)のカベルネ・ソーヴィニヨンがしあわせワイン倶楽部に入荷しています。

ジェシー・カッツはもうひとつのワイナリーデビル・プルーフ(Devil Proof)で、カリフォルニアのマルベックとしては唯一の100点をワイン・アドヴォケイトで取得しています。このアパーチャー・セラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンもワイン・アドヴォケイトで97点。「花のようなニュアンスを持つ素晴らしい香り」があると評価しています。ちなみにここでもマルベックが7%使われています。1万円台のカベルネ・ソーヴィニヨンとしてはかなりの高評価です。

ソノマのアレキサンダー・ヴァレーはシルバー・オークやジョーダンなど、ソノマの中でも素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンが作られる地域。このワイナリーでは山麓の斜面にあるやや冷涼感のあるところでミネラル感のあるカベルネ・ソーヴィニヨンを収穫しているといいます。


Date: 2022/0119 Category: 業界ニュース
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95年前に1927年に米国に寄贈された甲州を、ナパやオレゴン、そして日本でもワインに育てようというプロジェクトが進行しています。

これはインポーター「Sun Bridge」の鬼崎徳朗さんが米国に留学中だった2006年に始めたプロジェクトで、ようやく今年ワインとして醸造される見込みになっています。

このブドウは現・宮崎大学のある教授が1927年に個人的に米国に寄贈したもので、UCデーヴィスで保管されていました。それを鬼崎さんが見つけたものの、苗木がウイルスに侵されており、ウイルスを除去して培養し、少しずつ増やしていっています。ウイルスを除去するには、春にブドウが芽吹いたら、ウイルスに侵されるまえにそれを取り、培養液で培養するといった、かなり地道な作業で、今年はやっと7000本の穂木を収穫できました。

米国ではナパに「Napa Koshu LLC.」を設立して、Mount Veeder、Rutherford、Hope Valleyに植樹しました。2022年にはようやく植樹もできる本数になってきました。

鬼崎さんは、さらにこの甲州を日本に持ち帰り、日本でもこのクローンを使って甲州を育て、ワインにしていく計画(上の写真)。また、米国ではナパ以外にオレゴン州でも栽培する予定です。

甲州は、現在は山梨県以外ではほとんど栽培されていません。これを打ち破ることも鬼崎さんの目的の一つです。ナパやオレゴンといった、山梨と大きく異なる栽培環境で甲州種がどういうワインになるのか、非常に楽しみです。

Date: 2022/0118 Category: 業界ニュース
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wine independent
2021年12月にワイン・アドヴォケイトを辞任したリサ・ペロッティ・ブラウンMWがスウェーデンの写真家ヨハン・ベルグルンドとともに新しいメディア「ワイン・インデペンデント」を5月に立ち上げると発表しました。

The Wine Independent - Completely independent expert wine reviews

「ワイン・インデペンデントは、世界中の高級ワイン愛好家のために、完全に独立し、視覚的に画期的な出版物を発行します。専門家によるレビューに、魅力的な写真や映像を織り交ぜ、素晴らしいワインを求める世界中の旅に導きます。プロのバイヤー、本格的なコレクター、個人的な愛好家など、どのような方にも、必要なときに必要なワインについての信頼できるレビューをお届けしていきます」

と抱負を述べています。
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広告を入れず、独立したレビューを掲載するというのはワイン・アドヴォケイトもヴィナスも同じですが、リサ・ペロッティ・ブラウンは「近年では、ワイナリーにイベントのテーブルを売ったり、高額な購読料で小売店にスコアを先出ししたりするなど、数多くの利益相反が明るみに出ています。独立系を謳う著名な出版物の中にも、そのような行為に手を染めているものがある。その結果、ワインレビューへの信頼は、もはや誰が信頼できるのか分からないほど損なわれています」といいます。

これがワイン・アドヴォケイトのことを指しているのかは不明ですが、同誌を飛び出して新しいメディアを造るということは、そういうことなのでしょう。

また、レビューはリサ一人が行うのではなく、ワイン・アドヴォケイトと同様に地域ごとの専門のレビュアーを雇う計画であるとしています。
Date: 2022/0117 Category: 業界ニュース
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edge hill
ジョエル・ゴット・ワインズ(Joel Gott Wines)がナパのエッジ・ヒル(Edge Hill)・ワイナリーをラッド・エステート(Rudd Estate)から買収しました(Joel Gott Wines Buys Napa's Historic Edge Hill Winery)。買収にはワイナリーの名称やセント・ヘレナにある1867年に作られた3階建てのワイナリー、25エーカーの畑、現在の在庫が含まれています。

ジョエル・ゴットはエッジ・ヒルの畑から赤ワインブレンドを造る予定。2009年からジョエル・ゴットのセールスとマーケティングを担当しているトリンチェロ・ファミリーとのパートナーで取り組む予定です。

エッジ・ヒルは1867年に創設。3階建ての重力を利用したワイナリーは、ファーニエンテやイングルヌックよりも古いもので、ナパで最も古いと考えられています。

ラッドは1999年にエッジ・ヒルを買収し、再生を図ってきましたが、ラッド・ブランドに集中するために今回の売却となりました。金額は明らかにされていません。
Date: 2022/0116 Category: 業界ニュース
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freeman sparkling
エレガントの極み、フリーマンの新作スパークリング」という記事でフリーマンのスパークリングワイン「ブラン・ド・ブラン」を試飲しました。これに合わせてフリーマンのアキコさんにインタビューした内容を紹介します。インタビューは2021年12月に都内で行ったものです。涼風シャルドネを飲みながらだったので、自然とシャルドネの話から始まりました。

――米国のフリーマンのサイトを見ると「Hawk Hill」という単一畑のシャルドネもあるんですね。どういう縁で始めたんでしょうか。

2017年に畑のオーナーの方から突然電話をいただいたんです。それまで、この畑のブドウはウイリアムズ・セリエムに卸していたのですが、フリーマンのシャルドネが好きなのでうちにワインを造ってほしいと畑の側からスカウトされたんです。珍しいことです。

Hawk Hillのブドウはシュラムスバーグにも卸していて、フラッグシップのJ.Schramに使われています。非常に酸が立っていてきれいで。うちは一切フィルター類を使わないので、瓶内での発酵を防ぐために100%マロラクティック発酵をしていますが、ここのワインの場合はそうでないとレモネードを飲んでいるかのような酸っぱさになってしまうのです。

――自社畑ではシャルドネを作らないんですか。
Yu-Kiという畑に1エーカーだけシャルドネがあります。それをどうしようかと考えて、ちょうどワイナリー創設20周年なのでワインクラブの人に飲んでもらおうとスパークリングを造りました。Brut Natureといって、ドザージュで糖分を添加しない作り方になっています。

シュラムスバーグのワインメーカーを15年勤めたCraig Roemerという人にスパークリングのコンサルタントに入ってもらっています。この方は、シュラムスバーグをやめた後、2年ほどハワイでサーフィン三昧だったそうですが、それにも飽きてこちらに戻ってコンサルタントをされています。聞いた話ではコスタ・ブラウンでもコンサルタントをしているとか。誰でも面倒を見るというわけではないのです。うちの場合は最初に「畑を見せてください」と言われて、それでYu-Kiの畑を見にきてもらったらCraigさんから「これはぜひやらせてください」と言って、コンサルタントをお願いできました。

最初はカスタム・クラッシュで造ることを考えたのですが、独自性を出したいと考えて酔狂ですが自分のところで造っています。

――Brut NatureにしたのはCraigさんの意向ですか?
いえ、どういうワインを造りたいかということで、ドザージュをいろいろ変えて試飲をしたんです。(アキコさんの師匠の)エド・カーツマンにも入ってもらって。3人で試飲をした結果、Natureで行きましょうということで意見が一致しました。今でもエドさんには、何かあると「お願い、ちょっと来て」といってセカンドオピニオンみたいな感じで意見を伺っているんですよ。

――Craigさんが畑を見て気に入った理由は何だったんですか?
シャルドネはクローン5というクローンを植えています。このクローンは量産型で多くの収量があるんですが、Yu-Kiの畑くらい涼しいと、これでやっと普通の収量くらいになるんです。急斜面で水はけがよくて、ブドウを食べてもらったら「酸がすごくいい」ということで気に入ってもらったようです。

――確かピノ・ノワールも比較的収量が多いディジョン系でしたよね。
ディジョン系とあとスイス系のクローンも使っています。マリアフェルド、23と2Aというクローンを使っています。

――スパークリングはどれくらい造ったのでしょうか。
300ケースくらい造っていますが、そのうち半分を今回ディスゴージして、残りは「レイト・ディスゴージ」にしようと思っています。
最初は1ヴィンテージだけで終わりにするつもりだったのです。ですが、2020年は山火事による煙の影響を避けるために早摘みしてしまったため、また造ることにしました。ピノ・ノワールとシャルドネそれぞれ300ケースくらいをスパークリングにしています。ピノ・ノワールはロゼにしています。このロゼを飲んでみたら、とてもおいしかったので結局2021年もスパークリングを作ることになりました。

――スパークリングワインを実際に造ってみていかがでしたか。
手間がかかりますしステップも多いので、学ぶのに時間がかかっています。一方で、ボトルに詰めたら次の作業までの間は倉庫に預けておいても構わないということもわかりました。カーヴがボトルで一杯になることはないので、とりあえず大丈夫だとほっとしました。

――生産量は全部でどれくらいになりますか。
スパークリングが300ケースずつ。アキコズ・キュベが300ケース、Yu-Kiが450ケース、KRランチが450ケースくらい、ソノマ・コーストやロシアン・リバー・ヴァレーは800~1000ケースくらい。Ryofuが600、Hawk Hillが300ケースくらいです。以前はスティルのロゼも造っていましたが、今はやめてしまいました。
ロゼは当初セニエで造っていましたが、その後Yu-Kiのブドウからもっと軽いプロヴァンス風のロゼを作るようになりました。828のクローンを使っているのですが、そのブロックが現在スパークリングに割り当てています。

――自社畑もやられて、スパークリングも造ってとなると大変ですね。
そうですね。働けば働くほど忙しくなるような感じです(笑)。

――畑は管理会社を使っているんですか?
アート・ログレトさんというソノマ・カトラーで働いていた人の会社にお願いしています。

――West Sonoma CoastのAVAの方はまだ動きがありませんか?
そろそろ決まりそうな感じになってきました。それで2023年にはアジアツアーをしたいと考えています。

――ワイナリーは全部でいくつくらいになりますか。
25くらいになります。そちらの活動は主人が中心にやっています。

――最近はアンフォラとかコンクリートエッグとかで発酵・熟成させるワイナリーもありますが、そのあたりはどうですか。
うちはまだ使ってないです。

――シャルドネは樽発酵、ピノ・ノワールはオープントップの発酵槽でしたっけ。
はい、そうです。シャルドネもステンレスタンクで発酵を始めて、糖度が17~18Brixになったら樽に移すという形にしています。以前は最初から樽で発酵させていたのですが、発酵が途中で止まってしまうことがよくあったのです。樽はカーヴに置くのでどうしても温度が低くなってしまうので。ステンレスタンクで始めて樽に移す方法は、リトライのテッド・レモンさんに勧められたんです。ご近所でよくランチも一緒にするので、そのときに相談したら、うちもそうしているからやってみたらいいよって。それで発酵が止まることがなくなりました。

コンクリートを使う方は最近増えましたね。コンクリートは中が洗えないので衛生的に大丈夫かちょっと心配しています。意外とひびが入ることもあるようなので。うちは失敗するほど量がないので、あまりリスクは取れないのです。

このほかステンレスの樽もありますが、なにか味がメタリックになるような気がしてしまうんですよね。木の樽の柔らかい感じが好きです。

――ピノ・ノワールやシャルドネ以外をやることは考えていますか。
私自身はリースリングが好きなんです。実はうちの向かいにロス・コブさんの畑があって、そこでリースリング造っているんです。いいなあと思って見ているのですが、まだ自分で作るのはやっていないです。ウエスト・ソノマ・コーストのワイナリーの方も家ではリースリング飲んでいる方意外と多いんですよ。

エド・カーツマンはシラーが大好きで、レストランに行ってワインを選んでもらうと必ずシラーを頼むんです。彼のシラーはすばらしくて、すごくきれいに熟成するんですよ。うちにいらしていただけたら彼のシラーがいかに花開くか飲んでいただきたいです。主人はシラー好きで、うちでも考えたことはあるのですが、ディストリビューターに反対されてやめてしまいました(笑)。
Date: 2022/0114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2021年にシエラ・ネバダ方面で起きたディクシー・ファイアー(Dixie Fire)。100万エーカー(約40万ヘクタール)近くを焼き尽くし、鎮火するまで3カ月以上もかかった大規模な山火事で、単独の火事としては史上最大、複合的な火事(同時多発的な火事をまとめて一つとする)を含めても史上2番めの大きさでした。
Dixie Fire

先日、この火事の原因がPG&E(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック)の送電線にあると発表されました。強風で倒れた木が送電線に当たり、その火花から火事になったということです。2017年にソノマなどで大きな被害を出したTubbs Fireも送電線由来であり、2019年には「過去6年の山火事のうち1500件が送電線による」というデータも出ています。PG&Eは1万マイルの送電線を地中化することによって、山火事を防ぐ考えを示していますが、まだ実行には至っていません。

2017年と2018年の火事の補償によってPG&Eは連邦破産法11条の申請を発表したこともあります。2020年にこの危機からは脱したものの、山火事問題は解決には程遠い状態です。
Date: 2022/0113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの業界団体ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは1月10日、2019年で終了したオークション・ナパ・ヴァレーの後継となる「コレクティブ・ナパ・ヴァレー」のプログラムを発表しました。

オークション・ナパ・ヴァレーは年に2回開かれていたナパのオークションのうち6月に開催されていた一般向けのオークション、1981年に始まったナパ最大のイベントで、オーパス・ワンがここで発表されるなど、ナパの歴史を彩ってきました。

新型コロナの影響で2020年からは未開催となっており、昨年にはプログラムを変更する旨が発表されていました。
ロゴ

コレクティブ・ナパ・ヴァレーはオンラインおよびオフラインで行われ、春・夏・秋と季節ごとにイベントを開催します。春は「ヴァーチャル・ナパ・ヴァレー」として試飲などを行います。夏は「フューチャーズ・バレル・オークション・ウイークエンド」です。オークション・ナパ・ヴァレーで開催されていたバレル・オークションを引き継いだもので、今年は6月2~4日に開催します。レイモンド・ヴィンヤーズで樽からの試飲を含めたイベントを行います。

秋は「ヴィンテージ・セレブレーション」として、オークション・ナパ・ヴァレーに似たライブ・オークションを開催します。今年は11月3日から4日に開きます。

コレクティブ・ナパ・ヴァレーに参加するには事前にプログラムに登録する必要があります。無料と、1000ドル、5000ドルのメンバーシップがあります。

コレクティブ・ナパ・ヴァレーが実際にどういう感じで開催されるのか、まだよくわからない感じもありますが、とりあえず無料ででも会員登録しておくことをお薦めします。

Collective Napa Valley
Date: 2022/0112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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というツイートを見て、1月6日に放映された「あてなよる」をNHKプラスで見逃し試聴しました(元々は1年前に放映されていたようです、今回の見逃し配信は1/13(木) 午後2:49まで)。

この番組『酒の肴(さかな)のことを日本人は愛情を込め「あて」と呼ぶ。酒にあてがうもの、酒の味を引き立ててくれる伴奏者。極上の「あて」と酒でたのしむ大人のエンターテインメント。』とのことで料理研究家の大原千鶴さんと、銀座エスキスの支配人兼ソムリエの若林英司さんが料理とお酒を出していきます。この回はタレントの辺見えみりさんがゲストでリモート飲み会の形式。若林さんと大原さんがそれぞれ3種類のお酒とそれに合わせた料理を辺見さんに送っており、それを一つずつ開封しながら飲み食べるという趣向です。

その2番目に登場したのがザ・ペアリング(The Paring)のソーヴィニヨン・ブラン。
ザ・ペアリング
といってもNHKですから、名前がちゃんと紹介されたわけではなく、カリフォルニアのソーヴィニヨン・ブランとだけ紹介されています。映像にもラベルの一部が映っているだけですが、これで特定する人が結構いるのはすごいですね。

なお、ザ・ペアリングはスクリーミングイーグルのオーナーがサンタ・バーバラで作るワイン。ボルドー系やシラーなどの「ホナタ(Jonata)」とピノ・ノワールとシャルドネの「ザ・ヒルト(The Hilt)」のセカンドという位置付けです。ホナタ、ザ・ヒルトともにサンタ・バーバラのトップクラスであり、ザ・ペアリングもコストパフォーマンスが非常に高いワインです。

辺見えみりさんは樽が利いてバターの風味があるシャルドネが好きだということでしたが、こちらのソーヴィニヨン・ブランも樽香があり、果実味も豊かで「ソーヴィニヨン・ブランというと酸っぱいイメージがあったけど全然違う」とご満悦でした。若林さんによると「樽の利いたシャルドネとの違いはアフターにちょっと苦みを感じるところです」とのこと。

ちなみにこれに合わせた料理はタイ風のエビ揚げパン。とても美味しそうでした。


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ザ・ペアリング・ソーヴィニョン・ブランカリフォルニア 2018
価格:4400円(税込、送料別) (2022/1/12時点)



Date: 2022/0111 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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2021年ヒットしたワインの一つ「スラムダンク」。品切れ時期もありましたが、今は順調に出回っているようです。

このワイン、2000円台という手に取りやすさ、果実味豊かでわかりやすいおいしさに加え、オレンジ色で映えるラベルに覚えやすい名前と売れる要素が満載。ワイン・アドヴォケイトも「ファンタスティック・ヴァリュー」と褒め称えています。

さらに有名人効果も加われば鬼に金棒というところですが、実は2022年秋にはアニメ「スラムダンク」の映画が公開されるんです。これで今年も大ヒットは間違いないでしょうね。

あと、気になるのは次のヴィンテージの味わいがどうかというところと、船便の遅れでまた品切れにならないかというところです。

現行は2019年で次の2020年はナパやソノマなどは山火事で大きな被害が出たヴィンテージ。ただ、このワインのブドウはロウダイやシエラフットヒルズのものを使っているので、おそらくは火事の影響もほとんどないだろうと思います。

もし、飲んだことない人がいたら、ぜひ飲んでみてくださいね。




Date: 2022/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニが2019年のワインを中心とする最新のナパ・ヴァレーのレポートを公開しました。

山火事の影響が大きかった2017年に対して2018年はトラブルのない良好なヴィンテージ、2019年は2018年よりもフルボディで濃厚なスタイルで同じく良好なヴィンテージと考えられています。ただ、ガッローニは1年前の時点では2019年の方が少し上回ると考えていたのに対して、今回2018年の方が良さそうだと述べています。

理由としては2018年のワインが非常に良好で、この1年でさらに良くなってきていること、2019年は酸が低くタニックで、ワイナリーによる出来不出来が2018年よりも大きいことなどが挙げられています。また、2020年が2017年以上に山火事の影響が大きく収穫量が大幅に減っており、その分2019年のワインは量を増やそうとしているワイナリーも多くなっているようです。

今回、100点のワインが13本出ていますが、そのうち過半数の7本は2018年のワインです。昨年のレポートでは100点9本のうち8本は2018年で2017年は1本だけでした。ここからも2018年の方が優れている感じは伺えます。

通常、この時期のレポートには今年の秋にボトル詰めされる2シーズン前のワインの初期レポートも含まれますが、今回は2020年のレビューは省略されました。前述のように山火事の影響が大きく、ワイナリーによって完全にワイン造りをやめたり、赤だけやめたりなど状況が様々なことが一つ。また、ガッローニのようなベテランでもまだ2020年のヴィンテージの全体像をつかみかねていることが一つ。ともかく非常に難しく、消費者としても良い選択眼を持つ必要があるヴィンテージとなりそうです。

また、ガッローニは今回の特筆事項として、カベルネ・フラン単独のワインが増えてきたことを挙げています。フラン好きのわたしとしては嬉しいですが、ガッローニは割と辛口で、今のところあまりできが良くないものが多いとしています。その中で「2019 Sinegal Estate Cabernet Franc Old Vine」、「2019 Kapcsándy Family Winery Rapszodia」の2本が100点を取っているのは注目に値します。今回がデビューとなった「2019 Morlet Family Vineyards Force Tranquille」もカベルネ・フラン・ベースで98点。ガッローニも注目のニューカマーに挙げています。「2019 The Vineyardist Notre Mystere」も今回初リリースのワインでカベルネ・フランが65%。97点の高評価を得ています。「2019 Gandona Meia」も今回初リリースで96点。



Date: 2022/0107 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・スペクテーターが初めての「Value wine of the Year」を発表しました。これからトップ10も順次公開されていく予定です。
2021 Wine Value of the Year

映えある初の1位に選ばれたのはニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン「アラン・スコット ソーヴィニヨン・ブラン マルボロ 2021」でした。93点、米国での価格は17ドルです。

今でこそニュージーランドはソーヴィニヨン・ブランの産地として世界に名だたる地位を築いていますが、その歴史は50年足らず。このアラン・スコット氏が1973年に「モンタナ・ワインズ」のために植えたのが最初でした。その後も他のワイナリーのためにブドウを栽培していましたが1990年に自身のワイナリーを立ち上げました。

日本にも輸入されていて、Wassy'sの価格は税込み2090円ですから、今の為替水準だと日本のほうが安いくらいですね。

Wassy'sのテイスティング・ノートには「新鮮さと快い刺激を持ち、ジューシーで豊かな味わいが楽しめるニュー・ワールド・スタイルのワインです。刺激のあるパッション・フルーツやトロピカル・フルーツ、新鮮なハーブなどが感じられ、辛口で後味のバランスがとれています。キリっと爽やかなワインです。アルコール度数12.5%」と書かれています。



ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン、一時期は割と飲んでいたのですが最近はご無沙汰してしまっていました。ニュージーランドのイメージも今はピノ・ノワールのほうが強くなっている感じがありますが、久しぶりに飲んでみたくなったワインです。
Date: 2022/0105 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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「ニューカリフォルニア」系を代表するワイナリーの一つ、ブロック・セラーズが輸入元変更になり、柳屋でジンファンデルが38%割引のセールになっています。

参考:「ニューカリフォルニア」の注目株、ブロック・セラーズの魅力

ニューカリフォルニアはアルコール度数が低く、新樽は使わない、SO2は最小限、天然酵母、マイナー品種やマイナーな地区の古木の畑などのブドウを使う、といった特徴がありますが、このジンファンデルもアルコール度数は12.5%とかなり低めになっています。

畑はソノマ・ヴァレーのArrowhead Mountainとロシアン・リバー・ヴァレーのBuck Hill Vineyardをブレンド。きれいな酸や赤系果実の味わいがエレガントなワインに仕上げています。

ワイナリー価格が40ドルのところが今回は税別3200円と現地価格割れ。ニューカリフォルニア系の中にはトリッキーな味わいのものも散見されますが、これは飲みやすく取っ付きやすいワイン。ニューカリフォルニア系気になるけど飲んだことないといった人にもお薦めです。


Date: 2022/0104 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ロバート・パーカーがかつてコスパ最強として賛美していたワインがマリエッタのオールド・ヴァイン・レッドです。スティル・ワインとしては異例なノン・ヴィンテージとして作られるワインで実際に複数のヴィンテージをブレンドして作られています。品種の構成も公開されていませんが基本的にはジンファンデルをベースにしてシラーやプティ・シラーなどをブレンドしています。

年に数回のボトル詰めごとにロット番号が割り振られます。日本には現在ロット68が出回っており、71が今月入ってくるところです。このロット71はワイン・アドヴォケイトのエリン・ブルックスが昨年末の「レビュアーズ・フェイバリット」の1本に上げており、94点という高得点を付けています。

米国での価格は18ドルですが、日本は希望小売価格2500円とかなりリーズナブル。ショップによっては税込みで2000円台前半とほぼ現地価格で極めてお買い得になっています。

ワイン・イン・スタイルが輸入しているこのワイン、実は先日の試飲会でも個人的にはお気に入りの一つに入れていました。ただお薦め記事を書くときに、試飲会で書いたテイスティング・コメントが「濃厚」という部分しか読み取れず、記事に載せるのをやめてしまったという、ちょっと苦い記憶が…

そんなわけで私からもお薦めとさせていただきます。


Date: 2022/0102 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カレラといえば「カリフォルニアのロマネコンティ」という異名を持つワイナリーとして知られています。このニックネームの由来は、ロマネコンティで働いていたことがある創設者のジョシュ・ジェンセンが、ロマネコンティの畑のブドウの枝を持ち込んで植えたという「伝説」によるものですが、こういった、正規ルートでない枝の持ち込みは「スーツケース・クローン」といって、現在は厳しく禁止されているので、一応今は否定も肯定もしない、ということになっています。

さらに、漫画「ソムリエ」で、主人公がブラインドで出されたワインを最初ロマネコンティだと思ったものの、カレラのジェンセンだと見破ったというエピソードがあり、日本ではカレラ、特にジェンセンの人気が高くなりました。

私のアカデミー・デュ・ヴァンの講座でも何回かカレラを取り上げていますが、受講生の「飲んだことがある」比率はかなり高いワインです。ただ、一方で「昔飲んだけど、最近は全く」という人も多く、意外と見過ごされているワイナリーでもあるのかもしれません。

実際にはカレラはコンスタントに高品質なワインを作り続けており、値段はほとんど上がっていないので、現在では品質に比べてかなりリーズナブルに買えるワインの一つでもあります。

カレラの単一畑は、ジェンセン、セレック、リード、ミルズ、ライアン、ド・ヴィリエの6つがありますが、特にジェンセンの人気が突出して高く、次いで超熟型のセレックとなっています。価格も概ねこの順で、ジェンセンはド・ヴィリエやライアンの倍近い価格なのですが、ワイナリー価格で見ると1.5倍程度なのでド・ヴィリエやライアンのほうがかなり現地価格に近くなっています。例えばド・ヴィリエ2017のワイナリー価格65ドルに対し、国内は税込み8300円程度と、ほぼ現地価格といっていいレベルです。

また、アカデミー・デュ・ヴァンの講座では複数の単一畑をブラインドで試飲しましたが、畑間の品質差はほとんどないというのが実感です。特に、ド・ヴィリエはジェンセンに一番近い畑であり、ややタニックなところはありますが、酒質も一番近く感じます。

現行市場に出回っている2017年はかなり評価の高い年で、ヴィナスの評価ではセレックが96、ジェンセンが95、リード、ミルズ、ド・ヴィリエが94、ライアンが93となっています。

しあわせワイン倶楽部では11日まで初売りで10%引きとなっていて、ド・ヴィリエは7000円台。この機会にお薦めです。