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Date: 2021/1230 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部で新春福袋の販売が始まっています。300セット限定で1月11日午前10時まで受付。17日以降の発送となっています。

気になる中身ですが、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンが6本という潔さ。清々しいです。定価4万4350円以上が40%以上の割引で2万5980円(税込み)となっています。1本あたり7000円強が4000円強(税別なら3000円台!)になるという感じですね。送料も無料です。

ナパで7000円というとトップクラスのワインはさすがに望めませんがセカンドクラスなら結構いいものがあると思います。ヒントを見てもそのあたりのものが多そう。テロワールやワイナリーの個性も十分に味わえる価格帯なので6本飲んでも飽きることはないと思います。しあわせワイン倶楽部はナパ・ヴァレーのワインの販売で1位になったショップなので目利きも十分だと思います。

ちなみに各ワインのヒントは
●オーパスワンの真隣!現地価格80ドル!ワインスペクテイター93点の高得点獲得ナパカベ
●ナパを代表するカベルネの一つである定価41,800円のトップキュヴェと同じ畑の若木も使用したセカンド的位置づけのナパカベ
●数々のナパの名門ワイナリーの立ち上げに携わった醸造家が手掛けるパーカー98点獲得カベルネのセカンドナパカベ
●1976年にフランスワインを撃破したパリスの審判出品ワイナリーが誇る自社畑ナパカベ
●抜群のコストパフォーマンスを誇るナパのワイナリーから飲み頃となった奇跡のコスパワイン!度重なる試飲を重ね遂に販売へ至ったナパカベ
●数々のシンデレラワインを生み出すナパを代表する醸造家がナパ各地の葡萄を巧みにブレンドしたナパカベ
となっています。


Date: 2021/1229 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2021年もあとわずかになりました。久々に年末のまとめをしてみたいと思います。本サイトが選んだカリフォルニアワインの10大トピックです。

10 有名人効果
カトゥーンが今年出した曲が「Roar」でRoarのワインが一時品薄になりました。ワインファンでない人にとっては相当高額なワインだと思いますが、ありがたいことです。また、世界的大人気のBTSの新曲は「Butter」。ロゴ?デザインがジャム・セラーズの「Butter」とそっくりで、これも結構売れたとか。このほか、メンタリストのDaiGoさんが失言で活動自粛する前にYouTubeで「Aril」のワインをべた褒めして、これも一時品薄になったようです。有名人効果といえば明石家さんまさんによる「ナパ・ハイランズ」の爆売れなどもありましたし、すっかり定着したYOSHIKIさんのワインもあり、市場拡大には相当な貢献があると思います。

9 Wine Advocate編集長交代
ロバート・パーカーの後を次いで編集長をつとめてきたリサ・ペロッティ・ブラウンが辞任しました。3代目の編集長はこれまでカリフォルニアの担当をしてきた人ではないので、これからレビューにどう影響が出るのか気になるところです。そもそも、ワインのレビューをするメディアもかなり増えましたし、消費者がそれらの点を気にしなくなってきたということもあります。再編の始まりになるのかもしれません。そういえばVinousではステファン・タンザーが「名誉評論家」になり、一線から引退するということもありました。

8 買収
2021年はびっくりするような大きな買収はなかったですが、先日のシャトー・セント・ジーンの買収など、いくつか動きがありました。コロナの影響で、というものは今のところ目立ってはいませんが、2022年にもいろいろ再編が起こりそうです。

7 スラムダンク
今年一躍大人気のワインになったのが「スラムダンク」。2000円台という価格とわかりやすい美味しさ、オレンジ色の目立つラベル、バスケットボールファンでなくてもすぐに覚えられる名前、とヒットする要素がたくさんありました。2000円台の高品質レッドブレンドというのは一つのジャンルになってきそうです。

6 限定格安品
「訳あり」で国内に格安で入ってきたワインも目立ちました。代表格は「セニス」。ヴェリテのピエール・セイヤンの娘が作っていたワインですが、ヴェリテのアシスタント・ワインメーカーになるためにブランドを終了、日本に格安で入荷してきました。味わいも本格的で美味しく、私も何本か購入しました。もう一つ、コロナの影響でセカンドラベルにファーストのワインを入れてしまったというのはフープラ2018。これも素晴らしいコスパです。この2つはあまりにもコスパが良すぎて、これが普通だと思われるとこれからきついなあと思わなくもないところです。

5 干ばつ
カリフォルニアで2021年のトピックといえば2016年以来の干ばつでしょう。過去最悪というレベルにまでなり、ソノマでは収穫をあきらめた畑もありました。ただ、懸念された乾燥による山火事はさほどなく、火事の被害という点ではここ数年で比較的少なく済んだ年でもありました。また、乾燥のため収量はどこも減っていますが、クオリティは高いと言われています。

4 コンテナゲドン
日本のインポーターにとってはおそらくこれが最大の問題でしょう。コロナの影響によるコンテナの「目詰まり」でワイン(に限らず世界中の様々な流通に影響しています)が日本に届かないという問題に悩まされています。港湾の労働力の問題が重要なのかと思っていましたが、先日書いたように実はコンテナの大半は空のまま米国から中国に行っているということで、このあたり効率的な配送ができるようにならないと、問題はなかなか解決できないと思います。

3 スティーブン・スパリュア
「パリスの審判」から45年の今年、スティーブン・スパリュアが亡くなりました。カリフォルニアワインにとっての功績はもちろんのこと、人格者として慕われた方でした。

2 カリフォルニアワインの資格
期せずしてナパ・ヴァレー・ヴィントナーズとカリフォルニアワイン協会が同時期にワインの資格試験を始めました。ただ、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの方は日本ソムリエ協会と組んだ日本独自のもの、カリフォルニアワイン協会は世界共通のプログラムと、内容は結構異なっています。これでカリフォルニアワインの勉強に取り組む人が増えるといいですね。

1 ジム・クレンデネン逝去
親日家としても知られたジム・クレンデネンが亡くなりました。サンタ・バーバラのワインの普及への貢献は極めて大きく、またその人柄で皆に愛された方でした。娘のイザベルさんは既にオー・ボン・クリマで働いており、日本の大学に通っているノックス君も卒業後はオー・ボン・クリマを継いでいく予定です。
Date: 2021/1228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マスター・ソムリエ
米国のマスター・ソムリエ協会でセクハラなどの問題が噴出したのが1年前のこと。
ワイン業界における人種問題、テイスティングルームやマスターソムリエで提起の声上がる
マスター・ソムリエ協会にはびこるセクハラ、NYタイムズが告発

今年11月には米国のマスター・ソムリエ協会の創設者でもあるフレッド・デイム(Fred Dame)など、6人のマスター・ソムリエが資格を剥奪ということで、とりあえず一件落着しました。しかし、そもそもマスター・ソムリエ自体が時代遅れなのではないか、という記事をW. ブレイク・グレイ氏が書いています(Master Sommelier Program Out of Time | Wine-Searcher News & Features)。

W. ブレイク・グレイはマスター・ソムリエ協会の健全化に向けた努力に対しては敬意を払っていますが、マスター・ソムリエが狭き門過ぎることと、マスター・ソムリエの資格を取った大半の人がソムリエからは卒業してしまうことに疑念を抱いています。

マスター・ソムリエの候補は現在800人弱いますが、これまでの統計から見るとこの中で試験に合格するのは30人程度ということになるでしょう。そうなるとほとんどの人がマスター・ソムリエ取得のためのすさまじい努力が実ることなく終わってしまうということになります。マスター・オブ・ワインの候補はこの半分程度であり、それくらいが適正な規模ではないかとしています。

マスター・オブ・ワインとマスター・ソムリエの試験の最大の違いとしてはマスター・ソムリエではサービスの実践が必要なことがあります。しかし、実際にはマスター・ソムリエを取得した人の大半はサービスを卒業してディレクターなどの職種についたり小売業に転職したりしています。これらの職種につくならマスター・オブ・ワインでも全く問題はなく、サービスの試験を通過した意味はあまりなくなっています。

結局マスター・ソムリエという枠組み自体を見直すことが必要なのではないかというのがグレイ氏の提言です。
Date: 2021/1227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・イン・スタイルの試飲会から美味しかったワインを報告します。ワイン・イン・スタイルは22年3月にnakatoのワイン部門と合併してWINE TO STYLEになる予定。ワイン・イン・スタイルとしては最後の試飲会になるのかと思います。


シルヴァラードのメルロ2017(5000円、希望小売価格税別〈以下略〉)はクームズヴィルの自社畑のブドウによるもの。クームズヴィルはナパの中でも歴史ある地域なのですが、AVAに認められたのは近年で、急激に注目度が高まっています。このメルローはボディがしっかりしてコクがあります。


ヒッチング・ポストのピノ・ノワール コルク・ダンサー2017(5000円)。映画サイドウェイで使われて人気になったレストランと同名のワインで映画にも登場しています。久しぶりに飲みました。エレガントなスタイルで旨味があります。


ザ・ヒルトのエステート・シャルドネ2017(5900円)とエステート・ピノ・ノワール2018(5900円)。ザ・ヒルトはスクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズに開いたワイナリー。サンタ・リタ・ヒルズの中でも一番冷涼なあたりに位置し、非常に高品質なシャルドネやピノ・ノワールを作っています。今や同地区の代表格の一つとなっています。ここの自社畑ワインはオールド・ワールド・スタイルのオールドガードとニュー・ワールドスタイルのヴァンガード、そしてその中間的なエステートと3種類あります。どれも高品質ですが、まずはこのエステートから試してほしいところ。シャルドネはとにかく美味しい、ピノ・ノワールはバランスの良さが光ります。


ザ・ペアリングはザ・ヒルトと、カベルネやシラーなどを作っているホナタのセカンドラベル。シラー2018(3500円)は、冷涼感あるきれいなシラー。これは相当お買い得です。


ラベルからアメリカ感がほとばしっているUSAのカベルネ・ソーヴィニヨン2017(2020円)。果実味満載で味わいもアメリカンな雰囲気たっぷりです。


トゥエンティ・ロウズのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ2019(3700円)もカリフォルニアらしい味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ちょっと甘やかな感じ。これも多くの人が期待するカリフォルニアワイン的なカリフォルニアワインです。


フリーマンのアキコズ・キュヴェ・ピノ・ノワール2018(11700円)はフリーマンのピノ・ノワールのフラッグシップ。このヴィンテージからは2つの自社畑のブドウがメインになっています。とてもきれいな味わい。


新入荷となったセバスチャーニのシャルドネ バターフィールド・ステーション2019(2700円)。大人気のブレッド&バター系シャルドネ。ビッグなシャルドネですがバランスは悪くない。



ファーニエンテ・グループの新ブランド「ポスト&ビーム」のカベルネ・ソーヴィニヨン2018(8200円)。価格的には安くないですが、コスパは高いカベルネ・ソーヴィニヨン。美味しいです。ナパらしい果実味としっかりしたボディ。1万円台のクオリティがあるワイン。

1月に入荷されるようです。



TNTはオークリッジ・ワイナリーがロウダイで作る廉価版ノンヴィンテージのワイン・シリーズ。ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネがありいずれも1400円。ピノ・ノワールはワイン王国の2000円以下ピノ・ノワールで五つ星を獲得したそうです。個人的お薦めはジンファンデル。ロウダイのブドウに一番合っているのはやっぱりジンファンデルだと思います。果実味よく美味しい。コスパ抜群です。




ボー・リヴァージュのシュナン・ブラン2018(3900円)。初めて聞いたワイナリーですが、ワインメーカーはなんとワイン・アドヴォケイトで今度副編集長になったウィリアム・ケリーとのこと。ミネラル感あり、芳醇さもたっぷり。個人的にはこれまで飲んだカリフォルニアのシュナン・ブランの中でベストだと思います。すばらしい。




アルノー・ロバーツのシャルドネ トラウト・ガルチ2018(7500円)。先日、カリフォルニアで「推し地域」はあるかと聞かれて「サンタ・クルーズ・マウンテンズ(SCM)」と答えたのですが、また一つSCMで素晴らしいシャルドネを見つけました。ミネラル感たっぷりでキレのいい酸。シャブリのようなシャルドネ。


クルーズ・ワインのタナ アルダー・スプリングス2019(5900円)。タナというと濃厚なイメージがありますが、バランスよくうまみを感じるワイン。


パックスのトゥルソー・ノワール(5900円)。出汁系のうまみを求めるならこれ。


メートル・ド・シェのジンファンデル2018(3900円)。ロウダイのスタンピードという畑に1940年代に植えられたジンファンデルなどのフィールド・ブレンドによるワイン。とてもエレガント。これが3900円はかなり安いです。




ニューヨーク州のフィンガーレイクにあるエレメント・ワイナリーはマスターソムリエのクリストファー・ベイツのワイナリー。ここのワインはどれも素晴らしい出来です。ピノ・ノワール2015(8500円)はニューヨークらしい冷涼さがありうまみもたっぷり。


ニューヨークからもう一つウォルファー・エステートのロゼ「サマー・イン・ア・ボトル2020」(4800円)。さわやかなロゼですが、これはなんといってもボトルがきれい。思わず手に取りたくなります。


Date: 2021/1226 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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フリーマン・ワイナリーが初めて作ったスパークリングワイン「20 Anniversary YU-KI ESTATE BLANC DE BLANCS Sonoma Coast 2019」を飲みました。自社栽培、自社醸造のシャンパーニュでいうRM(レコルタン・マニピュラン)のスパークリングになります。

畑は自社畑のYU-KI。これまではピノ・ノワールだけを作っていましたが、ごく少量だけシャルドネを栽培しており、そのブドウを使っています。オバマ大統領の晩餐会に使われたフリーマンのシャルドネ「涼風」は、チャールズ・ハインツなど購入ブドウで作っており、フリーマンの自社畑のシャルドネはここだけになります。

キメの細かい泡に、鮮烈な酸。軽いブリオッシュの風味。青りんごに洋梨。ドサージュで糖分を加えていないのでドライで非常にエレガントです。いわゆるスパークリングのブラン・ド・ブランよりもさらにエレガント。涼風シャルドネをよりスリムにして泡が入ったような感じといえば言えばいいでしょうか。

ドライなためか、いつもよりもワインがかなり早く進んでしまい、あっという間に飲みきってしまいました。また飲みたい(笑)。

スタイルとしてはやはりNVで作られる大手のスパークリングよりも、アンダー・ザ・ワイヤーなどの単一畑、単一ヴィンテージでテロワールを重視したスパークリングに近いものを感じました。例えばアンダー・ザ・ワイヤーのブロッソーあたりが好きな人ははまると思いますが、こちらの方がよりエレガントです。



日本ではワイン・イン・スタイルから発売される予定ですが、時期は決まっていません。
なお、フリーマンのアキコさんにもこのスパークリングのことなどインタビューしましたので、その内容は別途記事にします。
Date: 2021/1224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Container Ship
5月に「ワインが日本に届かない複雑な理由」という記事で、コンテナ船の問題を書きました。秋には少し船も来て、改善方向にあるのかと思っていましたが、問題はまだまだ続いているようです(‘Containergeddon’ at ports cost California farmers $2.1 billion in exports)。ついには「コンテナゲドン」という言葉まで登場しました。

この記事の試算によると、輸出の目詰まりによるカリフォルニアの農家の損失は21億ドルにものぼるとのこと。

また、これまでは港で荷下ろしができずに船が溜まるのが問題だと解釈していたのですが、それだけでなく米国からアジアへの船のコンテナはなんと8割が空のままだとのこと。米国の輸入が増えて運賃も上がり、船の持ち主にとっては時間をかけてアジア行きの荷物を積んで戻るよりも、空のままアジアに戻って、次の荷物を米国に運んだ方が得になってしまっているようです。

せめてアジア行きの荷物はちゃんと積んでほしい。切実にそう思います。
Date: 2021/1223 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパが世界に誇る銘醸畑ト・カロン。そのブドウの中でも最良のものだけを使えるという「ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー」の新しいワインが日本に上陸しています。

ト・カロンの商標はロバート・モンダヴィの親会社であるコンステレーション・ブランズが所有しており、コンステレーション傘下のワイナリー(ロバート・モンダヴィ、オーパス・ワン、シュレーダー、そしてト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー)と、同社と和解したベクストファー・ト・カロンの畑のブドウを使ったワインしかありません。

中でもこのト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーはワインメーカーにアンディ・エリクソンを迎え、プレミアム中のプレミアムを狙っています。最初のワインであるカベルネ・ソーヴィニヨンの「ハイエスト・ビューティ」は当初から評論家から高い評価を得て、上々の滑り出しとなっています。

その2番めのワインとして登場したのがカベルネ・フラン・ベースのエリザズ・キュベ(Eliza's Cuvee)。エリザとは、ト・カロンの中でも数少ないカベルネ・フランのブロックの土地の以前の所有者で、ナパのヨントヴィルの名の基となったジョージ・ヨントの妻の名前です(ジョージ・ヨントは2回結婚しており、どちらの奥さんも名前がエリザベスでその呼び名がエリザだったとのこと)。

ワイナリーのサイトにも載っていないこのワイン、ハイエスト・ビューティよりもかなり限られた数しか作られていないようで、レビューなどもほとんど出ていません。

唯一見つけたのがここくらい。
TO KALON WINES INSPIRE HOLIDAY CHEER




カベルネ・フラン好きとしては、憧れのワインがまた一つ増えてしまいました。

あと、蛇足ですが池田エライザさんのファンとしてはElizaはエライザと呼んでほしかったところです。
Date: 2021/1222 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ドイツ菓子とカリフォルニアワインをマリアージュさせるイベントに参加してきました。ドイツ菓子はDNO(Doitsu No Okashi & Pan)によるもの。オーガニック栽培の小麦粉などを使って「おいしくて健康に良いドイツ菓子とドイツパン」を作っているところです。

面白かったマリアージュの一つはバターの入ったクッキーと、バター風味のあるシャルドネ(ジャム・セラーズの「Butter」)との組み合わせ。クッキーが全粒粉を使っており小ぶりですが、味が濃くボリューム感があるので、ちょっとリッチなシャルドネがよく合いました。

もう一つはレープクーヘンとピノ・ノワールのマリアージュ。レープクーヘンは初めて食べましたが、ドイツではクリスマスの定番だそうです。オブラートの上にアーモンドとヘーゼルナッツの生地にオレンジピールやレモンピールを混ぜ込んだモノを乗せて焼いたもの。みかけは大ぶりのビスケットのようですが、味わいはフルーツケーキを素朴にしたような感じです。

レープクーヘン単体で食べてもとても美味しいのですが、これとピノ・ノワール(フリーマンのロシアン・リバー・ヴァレー)とのマリアージュが見事でした。レープクーヘンはちょっとスパイシーな風味もあり、それをピノ・ノワールが見事に受け止めどちらもさらに美味しく感じます。このお菓子を実際にフリーマンのアキコさんが食べてみてワインを選んだとのことでしたが、あまりエレガントなピノ・ノワールよりもロシアン・リバー・ヴァレーくらいの暖かさを感じるピノ・ノワールの方が合うだろうなと感じました。

買って帰ったレープクーヘンは結局、お茶菓子に食べてしまいましたが、またワインとも合わせてみたいものです。
Date: 2021/1221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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もう今年も10日しかありませんが、試飲会の報告がいくつかたまったままで、ちょっと焦っています。中川ワインの試飲会からは
オー・ボン・クリマのノックス君に気になるあのことを聞いてみた
ジンファンデル好きなら絶対に飲むべき ワンス・アンド・フューチャーの魅力
カリフォルニア版グラン・クリュ・スパークリング アンダー・ザ・ワイヤーの実力
と小出しに紹介してきましたが、他のワインを取り上げます。

まずはデコイから、上級品のデコイ・リミテッド。シャルドネ2020とピノ・ノワール2019、カベルネ・ソーヴィニヨン2019。いずれも4400円(税別希望小売価格、以下同)です。シャルドネはキレイ系、ピノ・ノワールはしっかり系、カベルネ・ソーヴィニヨンもボディがしっかりあるタイプで本格的な味わいです。デコイも各品種の特性が出てお手本のようにいいワインですが、ちゃんとその上級らしさのあるワイン。


ナパ・ハイランズはカベルネ・ソーヴィニヨンが人気ですが、あなどれないというか非常にいいのがこのメルロー2016(4800円)。カベルネ・ソーヴィニヨンのヴィンテージ2019より3年熟成していることにもよるのか非常にいい感じ。メルローというとまろやかで丸い感じをイメージすると思いますが、このメルローはちょっと重心が高く、しゅっとしたイメージです。


ティーター・トッターは、レアムのワインメーカーであるブノワ・トゥケの個人プロジェクト。非常にコスパ高いです。カベルネ・ソーヴィニヨン2019(10000円)はカベルネ・ソーヴィニヨン85%で、あとはジンファンデル7%、プティ・シラー5%、シャルボノ3%というユニークな構成。セパージュだけ見るとちょっと甘めのレッド・ブレンド系かと思ってしまいそうですが、意外?なことに非常に洗練された味わい。シルキーなテクスチャも魅力です。


渦巻ラベルが斬新なクレッシェアはフィリップ・メルカがなんとソノマで作るワイン。某ショップではソーヴィニヨン・ブランが瞬殺状態だったようですが、個人的に一押しはピノ・ノワール2018(1万8000円)。ソノマ・コーストのプラット・ヴィンヤードは、リヴァース・マリーのワインでヴィナス100点を取ったほどの銘醸畑。果実味豊かで問答無用系のおいしさです。


コスパ系ブランドのマックマニスのヴィオニエ2019(1980円)は、この価格帯のヴィオニエとしては秀逸。ヴィオニエらしい花の香りがあり、酸もしっかりしています。マックマニスではこのほかプティ・シラーもなかなか良かったです。


ペドロンチェリのジンファンデル ブッシュネル・ヴィンヤード2018(3300円)は、お手本のようなジンファンデル、ややタニックでボディもあります。美味。


ピエドラサッシのPSシラー 2019(4000円)もホワイト・ペッパーの風味があるお手本のようなシラー。とてもいいです。


コングスガードのセカンド格にあたるキングス・ファームのレッドワイン2018です。かなりレアなワインですが、非常においしい。1万6000円はブランド料ではありません。


ルイス・セラーズのセカンド格にあたるメイソンズのカベルネ・ソーヴィニヨン2018(10000円)。リッチでクリーミーな味わいはルイスならではのもの。この味が好きという人は多いはず。


ボアズ・ビューのピノ・ノワールは何回か飲んでいますがシャルドネは初めて。ヴィンテージは2018年です。35000円。リッチでミネラル感ありマーカッシン対抗感がしっかり出ています。
Date: 2021/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴンのウィラメット・ヴァレーの最南部に、南部では初のサブAVAとなるローワー・ロング・トム(Lower Long Tom)AVAが設立されました。オレゴンでは22個めのAVAであり、ウィラメット・ヴァレーのサブAVAとしては10個めとなります。
Lower Long Tom
ウィラメット・ヴァレーは343万8000エーカー(約1万3910平方キロメートル)、ナパ・ヴァレーのおよそ7倍という広大なAVAです。これまでもサブAVAが作られてきましたが、すべてウィラメット・ヴァレーの北西部に偏っていました。

ローワー・ロング・トムAVAの面積は2万5000エーカー。ぶどう畑は575エーカーとかなり少なく、畑は24、ワイナリー数は12となっています。ピノ・ノワール、シャルドネのほか、リースリング、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。リースリングはオレゴンでは比較的珍しい品種です。

このAVAの設立に奔走したのはハイ・パス(High Pass)ヴィンヤード・アンド・ワイナリーのディエター・ボームという人。東ドイツの出身で1984年にワイナリーを設立しています。

オレゴンにはコースト・レンジ(海岸山脈)が太平洋沿いにあり、それが太平洋からの強い冷気から守っていますが、ここは特にプレーリー山という標高1000メートルほどの山によって、比較的強く妨げられており、秋の雨もオレゴンの他地域と比べて少なくなっています。そのため比較的気温が高く、また収穫時期を11月程度まで遅らせることが可能になっています。リースリングが収穫できるのも収穫時期を遅らせられることが理由だとのことです。

また、表土が浅く、タンニンがしっかりとしているのも特徴だとのことです。
Wineries
Antiquum Farm
Bennett Vineyards and Wine Company
Bradshaw Vineyard
Brigadoon Wine Co.
Benton Lane Winery
Five Fourteen Vineyard
High Pass Winery
Pfeiffer Vineyards and Winery
Poco Collina
Rainsong Winery
Territorial Vineyards and Wine Company
Walnut Ridge Vineyard

Vineyards*
Bellpine Vineyard
Chardonnay Way
Davis Reid Vineyard
Evans Vineyard
Fitzpatrick Vineyard
Gelardi Vineyard
Grace Hill Vineyard
Hildebrand Ranch
Kliewers Weinberg
Kokkeler Vineyard
Moriah Vineyard
Priddy Vineyard
Stroda Vineyard
Sunny Mountain
Union School
Date: 2021/1218 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Twitterで話題になっていたCave de L Naotakaで販売している「鬼コスパ」ワインセット。鬼コスパセットは以前からありましたが、今回は有名な田邉公一ソムリエが選んだ10本セットということで、ワイン王国にも掲載されています。10本で32676円のところを39%オフの1万9800円(税込み、送料込み)。1本あたり2000円しないというセットです。その鬼コスパセットを、なんと田邉ソムリエによるペアリングで、田邉ソムリエやショップの社長である戸塚尚孝さんらと飲もうという素晴らしい企画に同席させていただきました。お店は麻布十番にある焼鳥の店「とさか」です。


とはいえ、このセットには残念ながらカリフォルニアワインは入っておらず、今回は純粋にファンモードで参加しております。ワインのメモくらいは取ってますが写真も人任せ。気楽で楽しい(笑)。

というわけでフルのレポートは安ワイン道場師範の記事におまかせします。
2021年12月:稽古日誌

ワイン1本目
Mas Xarot Gran Reserva N.V.
スペインのカバです。複雑さがあってなかなかおいしいです。

2本目
Cuvée Especial Albariño 2018
スペインのアルバリーニョ。いきいきとした酸があって魚介に合いそうな味わいです。

これに合わせた料理がこれ。鶏むね肉燻製のサラダですが、田邉さんのアイデアでアルバリーニョに合うようにジャコを加えています。塩味がうまくあいます。黄色いイクラ状のはオリーブオイル。面白いです。

3本目
Aaldering Estate Sauvignon Blanc 2019
南アフリカのソーヴィニョン・ブランです。個人的にはこのセットの中のベスト。単品で買ったら4000円超えるとのことです。ソーヴィニョン・ブランらしいグレープフルーツの味わいに、パッションフルーツのようなトロピカルな感じもあります。酸の尖った感じはなく丸い味わい。同席者によると「南アフリカらしい焦げたタイヤ感」があるとのことですが、南アフリカの経験が少ない私にはあまりわからず。


このソーヴィニョン・ブランに銀杏がベストマッチでした。

4本目
Vinkeler Riesling Trocken 2019
ペトロール香が感じられるドライなリースリング

5本目
Montefalco Grechetto 2020
グレケットというイタリアの品種の白です。イタリアの白というとあっさりした味のイメージがありますがこれはかなりコクがあり、複雑さもあります。シュール・リーとのことで、それによるものでしょうね。

6本目
Chianti "Santa Virginia" 2018
赤の1本目はキャンティです。赤系の果実味やきれいな酸など、キャンティらしさもありますが、全体としてはかなりボリューム感のある味わいでどちらかというとボルドー系かといった雰囲気でした。

7本目
Côtes du Rhone "Le Terroir" 2018
グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのいわゆるGSMです。GSMらしい熟した果実の味わいがあって個人的には結構好み。赤では一番、全体では2番めに好きなワインでした。単品価格は2750円と割とやすいのですが。

8本目
Indomita "Zardoz" 2019
赤の最後はチリのカベルネ・ソーヴィニヨン100%のワイン。果実味やミントの香りなど悪くないのですが、個人的にはもっとボディがほしい感じ。6本目のキャンティの方が重心が重い感じがしました。自分がイメージするカベルネ・ソーヴィニヨンらしさを求めるならば、ということになってしまいますが。

9本目
Chablis 2019 Dom. George Deschamps
9本目は白に戻ってシャブリ。鶏肉のお寿司に合わせます。このあたりになると記憶もだいぶ怪しい。「酸がしっかり」とメモには書いてありました。

10本目
Grande Cuvee 1531de Aimery Brut Rosé N.V.
最後は南仏のロゼスパークリングです。すみません。あまり記憶なし。

で、平均2000円のこのセット、最終的にどうだったかといえば、どのワインをとっても2000円以上のレベルだったと思います。ソーヴィニョン・ブランなど、2000円だったらびっくりするような出来のワインも入ってますからお得感はかなりあります。何よりもこうやって10本並べて飲んでも全く退屈しなかったのがセットとしてのバランスの良さも表していると思います。こういったワインセットを買うことはあまりないのですが、面白く、勉強になりました。


Date: 2021/1217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジェームズ・サックリングが米国ワインの年間トップ100を発表しました。サックリングはナパのカベルネ・ソーヴィニヨンに強い印象がありますが、トップ10のうち7本はナパのカベルネでした。2018年のナパが特にいいヴィンテージだったということもあり、コンテュニュアム、ドミナス、ジョセフ・フェルプス「インシグニア」など比較的定番のワインが上位に並んだ感じがあります。
トップ10

この中で目立ったワインをいくつか見ていきましょう。1位はオーベールのシャルドネ、シュガー・シャック2019。シュガー・シャックはナパのラザフォード西側、いわゆるラザフォード・ベンチにある畑。すぐ隣にDanaの畑があるなどカベルネ・ソーヴィニヨンの畑が並ぶなかでなぜかシャルドネを作っています。普通に考えたら暑すぎるのではないかと思いますが、非常に高く評価されているのでなにかあるのでしょうね。日本にも正規輸入ではこの畑は入ってきていないので飲んだことないですが、気になるところです。

2位のコンテュニュアム2018、3位のドミナス2018は順当なところでしょう。ドミナスはワイン・スペクテーターでも年間1位。非常に評価高いです。日本にこのあと入ってくるのかどうかが懸念材料です。コンテュニュアム2018は以前も紹介しましたが、この評価で3万円台前半で買えるのはかなりのバーゲン。今後はもう1、2万円上がってしまいそうな気がするので、今のうちに買っておくべきかもしれません。

7位のクインテッサ2018は以前紹介しましたが、クラシックなボルドー系のスタイルで素晴らしい出来です。トップ10に入るのもうなづけます。日本には今のところ入ってきていませんが、ビオディナミを実践しており自然派にも訴求できますから、入ってきてほしいものです。なお、これは正規輸入元は特になく、ボルドーのネゴシアン経由で各インポーターが輸入する形になります(オーパス・ワンと同様)。

9位のクリストム ピノ・ノワール ジェシー・ヴィンヤード2018はトップ10で唯一のオレゴンワイン。クリストムはオレゴンのピノ・ノワールとしては骨格がしっかりした印象があります。日本には次の2019も入ってきていますから2018を買うなら今のうちです。トップ10で唯一1万円を切るワインであり、コスパは高いです。

10位にモンダヴィ第3世代(ロバートの孫)のダンテとカルロが作るレイン(Raen)のピノ・ノワール シーフィールド・ヴィンヤード 2019。ニュー・カリフォルニア系のエレガントピノ・ノワールとして唯一トップ10入りしました。この畑は正規輸入はされていないようです。

Wassy'sです。


ココスは2018 or 2019となっていますからショップに要確認です。


ウメムラです。


カリフォルニアワインあとりえです。

Date: 2021/1216 Category: テイスティング・ノート
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12月15日の日経朝刊にY by Yoshikiの全面広告が出ていてビックリしました。下世話ですが、広告料を調べたら全面広告が2000万円で、カラーが500万円ということで、2500万円もかかっているようです。これだけかけて、カリフォルニアワインの認知度が上がれば嬉しい限りです。


昨日は、ソムリエの田邉公一さんとのワイン会があり、田邉さんが試飲しかけのこのワインをお持ちいただいたので、おすそ分けで試飲させていただきました。スタンダードなカベルネ・ソーヴィニヨンです。

香りは赤青系の果実に樽の香りが顕著です。特にアメリカンオーク由来と思われるココナッツの香りもします。

かなりムンムン系の香りに対して、味わいは甘やかさやきれいな果実味はあるものの意外とすっきり。タンニンは滑らかでスルスルと飲めます。

ワインマニアが唸るというより、カジュアルにときどきワインを飲む人が喜ぶワインかなと思いました。プレゼントなどにもいいと思います。


Date: 2021/1215 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ボーグルのピノ・ノワール2019が国内入荷しています。今年のワイン・エンスージアスト誌のベストバイ100で6位に選ばれたワイン。ボーグルは総じてコスト・パフォーマンスが高いですが、その中でも評判のいいワインです。ブドウは冷涼なモントレーのほか、温暖なロウダイやクラークスバーグ(セントラル・ヴァレー)のものを使っています。ボーグルは2019年には同誌のワイナリー・オブ・ザ・イヤーにも選出されています。

ココスです。


柳屋です。

Date: 2021/1214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのスプリング・マウンテンにあるニュートン(Newton)のオンラインセミナーに参加しました。単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨン3本が試飲用にいただけるという大変大ぶるまいのセミナーでした。
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ニュートンの創設者はピーター・ニュートンとその妻スー・フア・ニュートン。ピーター・ニュートンは1964年にナパのカリストガにスターリング(Sterling)を創設。ワインメーカーにリック・フォーマン(Ric Forman)を迎え、人気ワイナリーとなりました。1977年にスターリングをコカ・コーラに売却し、ニュートンを設立。未開拓だったスプリング・マウンテンのパイオニアとなりました。

ニュートンでも当初はリック・フォーマンがワインメーカーとなりましたが、リックが自身のワイナリー「フォーマン」(現在もすばらしいワインを作り続けています)を立ち上げるためにワイナリーを離れたため、2代目のワインメーカーとして、ジョン・コングスガードを迎えました。1996年にはジョン・コングスガードも自身のワイナリーを設立してニュートンから独立、彼のコングスガードもトップクラスのシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなどを造り続けています。

3代目のワインメーカーとして就任したのはピーターの妻のスー・フア・ニュートン。この人はとんでもない才人で、かつてはファッションモデルであり、様々な学位を持ち、母国である中国語のほか、育った英語、さらにフランス語もできます。ニュートンのワイナリーや庭園のデザインも手がけました。ワインについては当初は何も知らなかったものの、2人の優秀なワインメーカーから吸収して自らワインメーカーができる知識を身に付けたようです。

2008年にピーター・ニュートンが亡くなり、ワイナリーは現在はモエヘネシーディアジオが保有しています。スー・フア・ニュートンも離れ、

ニュートンのワインの中で最初のヒット作となったのが「アンフィルタード」のワイン。通常、ワインはボトルに詰める前にフィルターを通して不純物を取ります。これによって、ボトルの中で再発酵したり、変質したりすることを防ぎます。その代わり、ワインの質も少し落ちてしまいます。アンフィルタードとは文字通り、このフィルターを使わないことで、それでもワインが劣化しないように醸造過程などで細心の注意が必要になります。1990年のアンフィルタード・カベルネ・ソーヴィニヨンはロバート・パーカーが95点を付けました。アンフィルタードのシャルドネもパーカー95点以上の常連であり、ホワイトハウスの晩餐会でも複数回使われています。アンフィルタード・シャルドネはニュートンの代表的なワインと言っていいでしょう。現在はこれがニュートンの唯一の白ワインとなっています。

前述のようにスプリング・マウンテンのパイオニアであるニュートンは現在持っている57ヘクタールのうち85%が山にあるという、山へのこだわりも見せています。スプリング・マウンテンのほかマウント・ヴィーダー、ヨントヴィルにも畑を持っています。

また近年はサスティナブルにも熱心に取り組んでおり、ナパ・グリーンの畑とワイナリーの両方の認証を得ています。

ニュートンのフラッグシップのワイン「パズル」は自社畑をいくつものブロックに分けてそこからパズルのように組み合わせて一番いいワインを作るというブレンドによるワイン。今回はそのベースとなるマウント・ヴィーダー、ヨントヴィル、スプリング・マウンテンのカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。ヴィンテージはいずれも2014年で7年の熟成を経ています。
map

最初に試飲したのはマウント・ヴィーダー。

ナパは谷から見て東側の山をヴァカ山脈、西側の山をマヤカマス山脈と呼んでいますが、ヴァカ山脈側は木が少なく地肌が直接見えているところが多いのに対し、マヤカマス側は濃い森となっています。土壌や日照などの違いによるものと思われますが、結果としてマヤカマス側がやや涼しくなっています。中でもマウント・ヴィーダーは一番海に近く気温も低めです。ここのワインはマヤカマスの森を思わせる杉のニュアンスをよく感じますが、このニュートンのマウント・ヴィーダーも杉っぽさが顕著に見られます。レッドプラムやブラックベリーなど赤黒系の果実味もやや冷涼感を感じます。強固なタンニンがあり、酸も高め。非常に長い余韻。いわゆる「山カベ」の典型的なスタイルで、熟成も少し進んでいい感じになってきています。非常においしい。


ヨントヴィルは唯一平地の畑。ちょっと閉じている感じもありましたが、カシスやブルーベリーなど果実味もより暖かさを感じます。こなれてスムーズなタンニン。コーヒーやタバコなどの熟成によるニュアンスも感じました。ナパの平地のワインとしては、エレガントなスタイルです。


最後はスプリング・マウンテン。マウント・ヴィーダー同様山のワインですが、杉感はそれほどなく、その代わりにミンティなニュアンスを感じました。タンニンはやや強いですが、酸はマウント・ヴィーダーよりは低く、よりフルボディで強固な印象。

それぞれ、その地域らしさも出て、熟成による風味も現れてきており、非常に素晴らしいワインでした。最近、フラッグシップのパズルも試飲する機会がありましたが、パズルが非常に完成度が高く、その代わりにテロワールは意識させないような造りになっているのに対し、単一畑のものはそれぞれの地域が感じられるという点でまた別の魅力を発揮しているように感じました。

なお、ニュートンは2020年のグラス・ファイヤーで大きな被害を受け、ワイナリーや庭園、さらには畑までもほとんど焼けてしまいました。現在はそこからの復興に向けて努力しているとのことです。
Date: 2021/1213 Category: おすすめワイン
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サントリーが最近発売した缶ワイン「ONE WINE」4種を飲んでみました。250mlで500円くらいで売っています。

中身はジョルジュ・デュビュッフェによる南仏のワインだとのこと。白はシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、赤はメルローとピノ・ノワールです。

気に入った順に言うと、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シャルドネ、メルロー。

ソーヴィニヨン・ブランは爽やかで、軽快な飲み口。ソーヴィニヨン・ブランらしさがよく出ています。ピノ・ノワールは、「この価格帯ではどうなんだろう?」とあまり期待していなかったのですが、チャーミングできれいな果実味があります。

シャルドネはいい意味でも悪い意味でも中庸。それもシャルドネらしさではありますが。メルローはやわらかな味わいで飲みやすいですが、個人的にはボディがもう少し欲しかった。

ちなみに今回はワイングラスに移して飲みましたが、缶から直接飲むとまた印象が違うかもしれません。

250mlという量は、晩酌で飲むにはちょうどいい感じでした。

Date: 2021/1210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Chateau St. Jean Winery

ソノマ・ヴァレーの人気ワイナリー「シャトー・セント・ジーン(Chateau St. Jean)」をフォーリー(Foley)ファミリーが買収すると12月8日に発表しました。シャトー・セント・ジーンは1973年に設立され、ソノマの単一畑のシャルドネのパイオニアであり、ボルドー系ブレンド「サンク・セパージュ」でソノマのワインとしては初めてワインスペクテーターのワインオブ・ザ・イヤーに選ばれたことでも知られています。かつてはサントリーが所有していたことがありましたが、フォーリーの前はベリンジャーなどを保有するトレジャリー・ワイン・エステートがオーナーでした。

買収対象はソノマのシャトーやビジタ・センター、畑や醸造設備などを含みます。フォーリーは近年はあまりぱっとしなかったワインの評価を上げていく計画です。


ナパでは同日、1998年に設立されたエリザベス・スペンサー(Elizabeth Spencer)をジャン・シャルル・ボワセが買収しました。エリザベス・スペンサーはエリザベス・プレスラーと、スペンサー・グラームの夫婦によるワイナリーです。ラザフォードのハイウェイ29沿いにあります。畑は所有しておらず、ワイナリーとブランドの買収になります。ワイナリーとテイスティング・ルームは1872年に作られた郵便局の一部になっており、観光客の人気スポットになっています。

ボワセはオークヴィル・グロッサリー、レイモンドなどを保有しており、いずれもハイウェイ29沿いにあります。ナパ、ヨントヴィル、オークヴィル、ラザフォード、セントヘレナ、カリストガと各町にプロパティを保有しており、ジャン・シャルル・ボワセはハイウェイ29はいまや「ボワセ・ハイウェイ」だと冗談で言っています。

サンタ・バーバラではフィドルフィッド・セラーズ(Fiddlehead Cellars)が所有していた銘醸畑フィドルスティックス(Fiddlestix)が11月29日にタイラー・ワインズ(Tyler Wines)のジャスティン・ウィレットなどが買収しています。

最近ではテラ・ヴァレンタインの所有していたナパの畑をジャクソン・ファミリーが購入してロコヤに使っていくといった話もあり、ワイナリーや畑の買収が目立っています。いずれも売った側の理由などについては明らかになっていないので、コロナ禍の影響なのかどうかはわかりません。
Date: 2021/1209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ラリー・ストーンは米国で一番有名なソムリエと言っても過言ではないでしょう。米国で9人目のマスター・ソムリエであり、パリで開かれた国際ソムリエコンクールで米国人として初めて優勝、シカゴのチャーリー・トロッター、サンフランシスコのルビコンなどの著名レストランでソムリエとして活躍した人です。現在はオレゴンでリンガ・フランカ・ワイナリーのCEOをしていますが、彼がかつてナパに持っていたワイナリーがシリタ(Sirita)。そのワインが楽天スーパーセールで半額になっています(12月11日の1:59まで)。

2005年はシリタの最終ヴィンテージだと思います。「大人の至高屋」というショップは全く知らなかったので、最初は怪しいショップかと疑ってしまったのですが、インポーターの直営なので間違いはありません。2005年のシリタのカベルネ・ソーヴィニヨンは2021年の「サクラアワード」でゴールドに選ばれていますから、品質的にも上々と思われます。

カベルネは1本で4901円(税込み)。送料無料です。


カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、メルローの3種のセットもあります。値引率も高く一番オトク感があります。


こちらのセットもいい感じですね。

Date: 2021/1208 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・モンダヴィ・ワイナリーがNFT(非代替性トークン)技術を使ってワインを販売します。これは磁器メーカーのバーナードと組んで行うもので、ワインは1.5リットルの特製の磁器に入って売られます。



ワインは3種類あり、写真上からロバート・モンダヴィのチーフワインメーカーのジュヌヴィエーヴ・ジャンセンスによるもの、アンディ・エリクソンによるもの、トーマス・リヴァース・ブラウンによるものとなっています。本数はいずれも800本にも満たない数です。

購入者は2022年9月30日から2022年12月31日の間にロバート・モンダヴィのサイトでボトルの要求をしないといけません。また、購入時の支払いは米ドルまたは暗号資産のイーサリウムになります。なお、購入は米国在住者に限られます。

NFTを使うことによって、ボトルの真贋性が証明されるため、ワインの中でも極めてプレミアム性の高いものの中に使う例が徐々に増えています。ロバート・モンダヴィのような有名なワイナリーが採用したというのは一つのエポックメイキングなことだと思います。
Date: 2021/1207 Category: おすすめワイン
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日本で飲もう最高のワイン」は、「日本国内で手に入る全てのワインの中から一番美味しいワインを、何の先入観も持たずに探してみようという」イベントで2011年から始まっています(2020年からはコロナの影響で延期になっています)。

白は辛口・中辛口・甘口、赤はライトボディ、ミディアムボディ、フルボディの3部門でそれぞれシルバー、ゴールド、プラチナを選びます。さらに各分野で1本だけベストワインが選出されます。ワインの専門家だけでなく愛好家が選ぶ部門もあるのがユニークです。

この2017年で赤のフルボディでベストワインになったのが「マスート」というメンドシーノのワイナリーのピノ・ノワール2013。メンドシーノでオーガニック栽培のパイオニアとなったフェッツァーの3代目が作るワインです。このワインがしあわせワイン倶楽部でセール価格になっています。受賞当時も一般流通はしていなかったので、これが初の一般流通となっています。

購入して飲んでみましたが、ザクロやレッドプラムの果実味が濃厚できれいな酸があります。ちょっと甘やかな感じが誰にでも好かれそうなワインです。美味しい。8年経っていますが熟成感よりも果実味が印象に残ります。今が飲み頃ではないでしょうか。


もう一つ、このイベントで毎年のように上位に選ばれているのがアーサー・セラーズのピノ・ノワール。日本人の桃井隆宏さんが作るワインです。2016年には2014年のロシアン・リバー・ヴァレー ピノ・ノワールがミディアムボディの赤でベストワインに選ばれています。2017年は専門家でプラチナ、愛好家でゴールド、2018年は愛好家でプラチナ、専門家でゴールド、2019年は専門家でゴールドと、上位の常連です。特に専門家と愛好家の両方で上位に評価されるワインは意外と少ないので、このワインがいかに多くの人にアピールしているかがわかります。

以前は自社サイトの販売だけでしたが、今はネット販売も始まっています。2018年のKRランチ ピノ・ノワールは桃井さんいわく今が飲み頃。畑は以前キーファー・ランチと呼んでいたところで、この名前をコスタ・ブラウンだけが使えるようになったため、変更しています。コスタ・ブラウンのキーファー・ランチは安くても1万5000円しますから約3分の1とかなりお買い得です。おいしさはお墨付き。桃井さんのワインも果実味がきれいで、飲んで楽しくなるワインです。ワイナリーも在庫なく、今はしあわせワイン倶楽部にあるものだけとのこと。

Date: 2021/1206 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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プレミアムなシャンパーニュは別にして、レギュラークラスのスパークリングで見たらカリフォルニアも決してシャンパーニュに劣っていません。ここでは5000円以下のコスパ高いスパークリング・ワインを紹介します。

まずは著名なソムリエの田邉公一さんがお薦めするロデレール・エステートのカルテットから。ルイ・ロデレールがアンダーソン・ヴァレーで作るスパークリングの中でも一番レギュラーのものです。安定感抜群です。


価格は1000円ほど高くなりますが、ロゼもあります。


ソノマのラック・アンド・リドルはスパークリング専業の「カスタム・クラッシュ」として多くのワイナリーのスパークリング・ワインの醸造を手掛けています。当然生産者や栽培家とのコネクションも多く持っており、そこが自社ブランドで作るスパークリングに外れはありません。ブリュットはバランス良く何にでも合うワイン。実売2500円以下は相当お買い得。


テタンジェがナパのカーネロスで作るドメーヌ・カーネロスは日本の価格が不思議なほど安く現地価格以下。現地税抜き45ドルのロゼが日本で税込み4000円台、税抜きなら3000円台でも買えます。


イーターのスパークリングは、ココスではなんと税込み1200円以下。さすがに瓶内二次発酵ではなく、タンクで二次発酵するシャルマ方式を使っています。気楽にグビグビのむタイプのスパークリング。

Date: 2021/1204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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X JapanのYoshikiがマイケル・モンダヴィの息子のロブ・モンダヴィJrと組んで作るワイン「Y by Yoshiki」。その2021年度版の出荷が始まりました。今年のラインアップはレギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネのほか、プレミアム版のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン、そしてピノ・ノワールと昨年と同じ構成になっています。

プレミアム版は数も相当限定されているようです。ピノ・ノワールは既に完売したショップも出ているので、お早めに。

楽天で一番安いと思われるウメムラを貼っておきます。






Date: 2021/1203 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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サンフランシスコに本社があるクラフト・チョコレートの専門店「ダンデライオン・チョコレート」のチョコレートとナパのワイナリー「ホーニッグ(Honig)」のソーヴィニヨン・ブラン・リザーブのマリアージュセットがしあわせワイン倶楽部で3割引になっています。チョコレートの賞味期限が22年1月末と近づいているからですが、実はソーヴィニヨン・ブラン単体の価格とほとんど変わらないというかなりの大廉価。お薦めです。

チョコレートとワインというと普通はカベルネ・ソーヴィニヨンなどチョコの風味のある赤ワインを合わせることが多いですが、このセットは変わった組み合わせ。実は同じモノを、昨年オンライン・セミナーで試しましたがこれが本当に合うんです。ホーニッグのソーヴィニヨン・ブラン・リザーブは先週も試飲したところですが、ソーヴィニヨン的な青さはほとんどなく、爽やかな柑橘系に、ちょっとトロピカルなリッチでふくよかな味わいが合わさっており、そのあたりがチョコレートと組み合わせてもうまくいく理由だと思います。ベトナム産のカカオを使ったチョコレートもちょっと爽やかな風味があり白ワインと合いやすくなっています。

セミナーのときにはさらにチョコレートの上に薄切りにしたバナナと、細切りのジンジャーを乗せて合わせるということもやりましたが、これもチョコ単体のとき以上にワインに合いました。

チョコ好き、ワイン好きの人にプレゼントしても喜ばれそうです。

購入ページはこちら
Date: 2021/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・パーカーが創設したワイン・アドヴォケイトで、2013年から2代目の編集長として務めてきたリサ・ペロッティ・ブラウンが12月17日で編集長を退き、会社も辞めることが判明しました。辞めてからは新しいビジネスを始めるもようですが、それについては退任するまでは明らかにしないとのことです(ジェブ・ダナックがレビュアーを辞める前に独自のサイトを立ち上げることを表明したことを非難しているようです)。



新しい編集長はジョー・チェルウィスキー(Joe Czerwinski)。2017年にワイン・アドヴォケイトに加わり、ニュージーランド、オーストラリア、ローヌ、プロバンス、ラングドックを担当してきました。このほかマネージング・エディターとして、Webサイトのコンテンツのディレクションをしてきました。今年始めたサスティナビリティのプロジェクトも彼によるものです(ワイン・アドヴォケイト、「自然派ワイン」の検索を可能に)。ワイン・アドヴォケイトに入る前はワイン・エンスージアストで18年レビュアーを勤めてきた人で、最後はマネージング・エディターでした。同誌ではニュージーランドやオーストラリア、ローヌを担当していました。編集長に就任後はナパも担当します。


同時に、ウイリアム・ケリーが副編集長に就任します。ウイリアム・ケリーは元デカンター誌で、現在はフランスにいてブルゴーニュとシャンパーニュを担当しています。今後はボルドーも担当に加わります。

カリフォルニアワイン・ファンとしてはレビュアーが変わって継続性・一貫性がどうなっていくのかが一番気になるところ。パーカーからリサのときには、かなり継続性が高いと感じられましたが、新しいレビュアーでどうなるでしょうか。

また、ワイン・アドヴォケイトではこれを機に、新しいレビュアーをリクルートするとのこと。個人的には欧米以外のレビュアーも加えるべきではないかと思っています。以前は日本酒のレビューをした中国人のレビュアーがいましたが、今はやめてしまっているようで、欧米出身者に限定されています。
Date: 2021/1201 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天の柳屋で年末恒例の福袋の販売が始まっています。

ここの福袋の特徴は「余り物を入れない」こと。単体で販売しているワインではなく、この福袋のために仕入れるワインが入ります。インポーターから特別な値引きをしてもらっている場合もあるので、買った人が銘柄を公開するのは避けてほしいとしています。

ワインは5本ですべて新世界のもの。税抜き9999円も毎年同様です。今年も輸入元希望小売価格の合計が15100円のところが9999円になっているとのこと。

中身のヒントとしては
1本目、輸入元希望小売価格4200円のカリフォルニアのカベルネ2017年。
2本目、輸入元希望小売価格3200円のピノ・ノワール。「カリフォルニア・ファンなら誰もが知る大手名門ブランドオーナーによるアナザー・プロジェクト。
3本目、輸入元希望小売価格2600円のジンファンデル。3年連続「90点以上」を取っていて「ノースコースト」産だそうです。
4本目、輸入元希望小売価格3000円のシャルドネ。「高品質ブティックのセカンド」で、3ヴィンテージ前のものは販売していたとのこと。「美しい酸」が特徴。
5本目、輸入元希望小売価格2100円の南アフリカのソーヴィニヨン・ブラン。南アフリカのソーヴィニヨン・ブランの品評会でトップ10に入ったものとのこと。「素朴で、ナチュラルで、大自然を思わせる」味だそうです。

3本カリフォルニア、2本南アフリカとありますので白は2本とも南アフリカのようです。

ここからワインを推測してみるのも一興ですね。


Date: 2021/1130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が世界的に始めた認定プログラム「キャップストーン」。現在10月に始まったリアル講座が進行中ですが、1月からの第2期の講座の募集が12月6日に始まります。

今回からはアカデミー・デュ・ヴァンの青山校だけでなく大阪校でも開講。青山校はコンラッド東京の森覚ソムリエ、大阪校はTHE THOUSAND KYOTOの岩田渉ソムリエによる講座となります。
青山校 のプログラム紹介ページ
大阪校 のプログラム紹介ページ


(左が森ソムリエ、右が岩田ソムリエ)

キャップストーンはリアルの講座以外に随時受講できるオンラインだけの講座もあります。ただ、講座の内容がレベルが高いのと、オンラインではワインの試飲がないので、試飲をしっかりしたい、自習に自信がないという人はリアル講座を受けるのがお薦めです。逆にプログラムの認定試験には試飲はありませんので、そこを割り切ればオンラインで受講するのもありだと思います。なお、ワインの試飲メソッドは「マスター・ソムリエ協会」の「ディダクティブ・テイスティング」を採用しており、この方法を国内で学べるのはこの講座がほぼ唯一となります。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが日本ソムリエ協会と実施している「NAPA VALLEY WINE EXPERT」試験も来年1月に開催されるため、やや混同されているところがあるようです。キャップストーンはカリフォルニアワイン全般で世界共通のプログラム、NAPA VALLEY WINE EXPERTは日本だけのプログラムで、ソムリエ協会の資格を持っていることが条件、学ぶのはナパに限定、成績優秀者に特典あり、といったところが異なっています。

私はワイン・エキスパートなどの資格を持っていないのでナパの方は受験できませんが、有資格者であれば両方受けるのももちろんありだと思います。
Date: 2021/1129 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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peter luger
ニューヨークの著名ステーキハウス「ピータールーガー」が初めて海外に出店した恵比寿のピータールーガー ステーキハウス 東京に行ってきました。子供の二十歳のお祝いです。


前菜でまずはシュリンプカクテル。茹でた状態でも10cmくらいはある巨大なシュリンプです。ちょっとスパイスの効いたカクテルソースもおいしい。


シーザーサラダに厚切りベーコンのトッピング。ベーコンは単体で注文できますがシーザーサラダとの相性は抜群です。


乾杯のワインはシャトー・セント・ジーンのブリュット。シャトー・セント・ジーンは大昔初めてソノマに行ったときに最初に訪問したワイナリーで思い入れがあります。シャルドネやカベルネが有名なワイナリーですが、そのときもワイナリー限定だったスパークリング・ワインを買った記憶があります。今回のスパークリング・ワインはシャルマ方式(ボトルではなくタンクで二次発酵させる)で格安なもの。深みはありませんが爽やかな味わいでスターターには十分でした。



さて、メインの肉の登場です。上はTボーンでフィレとサーロインが楽しめます。下はリブアイ。

肉の味は熟成による旨味があり、言うことありません。フィレはややさっぱりで赤身の旨味、サーロインは脂を含んだ旨味。リブアイは一番柔らかくジューシーでした。人数にもよりますが、両方頼むの超絶おすすめです。シンプルに塩コショウや、バターベースのソースをかけて食べるのが美味しいです。このほかにもソースがありましたが、そちらは肉に使うのはもったいない。ただオニオンリングにはベストでした。

今回は4人でTボーンを2人用とリブアイ一つを頼みました。Tボーンは一人300g、リブアイは500gくらいだそうです。我が家は比較的よく食べるので、Tボーンを3人用にしても食べ切れそうでした。


ワインは持ち込みでインシグニアの2001年。子供の生まれ年のワインです。まだまだ果実味も豊かですが、熟成によるマッシュルームの風味もあり、タンニンはこなれてまろやか、美味しかったです。


メインが終わった時点では腹八分目でしたが、デザートで満腹です。これはホーリーカウというシグニチャーのデザート。ホイップクリームが軽めなので意外と食べられると言われましたが、それでも相当のボリュームです。ナッツが美味しい。

チーズケーキも超巨大。普通のケーキの4つ分くらいの大きさです。


誕生日プレートはレストランからのサービスです。


最後はメダル型のチョコレートをいただきました。

Date: 2021/1127 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダオ(Daou)についてはこれまで何回か取り上げてきていますが、まだ創設から10数年のワイナリーということで、「新星」といっても差し支えないでしょう。パソ・ロブレスで非常にコスト・パフォーマンスがワインを作っています。日本に輸入されるようになってからはまだ2年足らずというところで、まだまだ知られていないワイナリーですが、現在のパソ・ロブレスの実力を知るためにも飲んでおきたいワイナリーです。ちなみにワイン・アドヴォケイトはこのワイナリーだけの記事を2020年2021年と連続で書いています。それだけ注目に値するワイナリーです。今回はインポーターである新橋のワイン蔵Tokyoで試飲させていただきました。




ソーヴィニヨン・ブラン2019(3800円)は樽を使っていないタイプです。パイナップルなどのトロピカル・フルーツのフレーバーが豊かなワイン。パソ・ロブレスの陽光を感じます。旨味もありレベル高いワイン。

シャルドネ2020(3800円)は樽香やバターぽさもあるリッチなタイプ。果実味豊かで華やかです。リザーブ・シャルドネ(8000円)は2018年のものがワイン・エンスージアストの「世界のトップ・シャルドネ9選」という記事にえらばれています。今回はその次の2019年を試飲しました。普通のシャルドネも華やかですが、こちらの方がワンランク上。素晴らしいシャルドネでオーベールのAVAものあたりと比較しても面白いのではないかと思いました。

ロゼ(4800円)は、今回一番気に入ったワインの一つ。柑橘系にピーチのニュアンス。さわやかですが薄くなく美味しい。「世界のBEST ROSE30」に選ばれたというのも納得です。

赤ワインに移ります。

ボディガード2018(7500円)はプティ・ヴェルドがメインという珍しいワイン。プティ・ヴェルドが59%にプティ・シラーが41%。濃くてタニックな品種同士ですから、ノックアウトされそうなくらい濃くてパワフル。でも不思議にバランスの良さもあります。ワイン・エンスージアストで94点、ヴィナスで92点。

ペシミスト2019(5000円)はプティ・シラーが73%でジンファンデルが14%、シラー12%にグルナッシュ1%というブレンド。プティ・シラーらしいインクのように深みのある色合いでタニックでパワフル。ですが重さ一辺倒でなく、スパイシーさもあり、バランスもいい。これも今回非常に気に入ったワイン。ただ「ペシミスト(悲観論者)」という名前だけはなんとかならなかったのでしょうか。できたらオプティミストに改名してほしいところ。

カベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ2018(1万円)は果実味豊かでバランスのいいカベルネ・ソーヴィニヨン。いかにもカリフォルニアワインのカベルネという美味しさです。ワイン・アドヴォケイトで93~95点。

最後は2017年のソウル・オブ・ライオン(2万2000円)。これはもう何度も試飲していますが、シルキーなテクスチャで本当に素晴らしいワイン。ナパのトップクラスのカベルネ・ソーヴィニヨンと比べても遜色ありません。今のパソ・ロブレスの実力を知るためにも多くの人に飲んでほしいワイン。ワイン・アドヴォケイトで97点。ジャンシス・ロビンソンも20点満点で17.5点と非常に高い点を付けています。

ダオのワインはどれもパソ・ロブレスらしい果実味の豊かさがあり、濃いワインであってもバランスの良さを感じます。「濃けりゃいいんだろ」的なところがなく、とてもよくできています。今回は特に新しく試飲したロゼとペシミストが気に入りました。


Date: 2021/1126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2021」で小規模店の優秀賞に輝いた五反田のワインバーQuintetさんにお邪魔してきました。

場所はJR五反田駅からTOC方面に5分強歩いたあたり。繁華街からは少しはずれた静かなところです。ものすごく便利という立地ではありませんが、訪れたときは満席。にぎわっていました。

wine bar Quintet(大崎広小路/ワインバー) - Retty」によるとグラスワインは15種類程度、ボトルは100種類ほど用意しているとのこと。ワインリストに書いてあるもの以外にも、カウンターには見覚えのあるワインがいろいろ並んでいます。ワインはカリフォルニアワイン中心にオレゴンやワシントン、それからオーストラリアなどのワインもあります。


写真はロウワーのプティ・シラー。ロウワーはヴィオニエが格安で話題になったワイナリーですが、プティ・シラーは私も初めていただきました。プティ・シラーらしい濃厚な果実味はありますが、バランスのよい作り。美味しかったです。

このほか、コングスガードのGMが作る「ファーディナンド」のガルナッチャ・ブランカなどもありました。

ワインリストは3週間~1カ月で変わっていくそうなので、いつ行っても目新しいものが見つかりそうです。

あと、素晴らしいのがグラス。オーストリアのザルトのものがずらっと並んでいます。これを店長の渡部さんがピカピカに磨き上げており、その美しさだけでも満足感があります。もちろんワイングラスとしても秀逸です。
Date: 2021/1125 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアワインの父とも言われる故ロバート・モンダヴィ。彼が作ったワイナリーとしてはロバート・モンダヴィ・ワイナリーに、シャトー・ムートン・ロートシルトと共同で持つオーパス・ワンがあることは有名です。この2つのワイナリーは財政難で手放してしまいましたが、その後、2人の息子がそれぞれマイケル・モンダヴィとコンティニュアムを造り、孫たちもそれぞれ様々なワイナリーやワイン・ブランドのプロジェクト(例えばワイ・バイ・ヨシキもその一つ)に携わっています。

詳しくは「【保存版】モンダヴィ・ファミリーの系譜」をご覧ください。

どのワイナリーも一級品のワインを作っており、オーパス・ワンは2013年のものがジェームズ・サックリングで100点と年間1位の称号を得ましたが、まだどこも到達していないのが「パーカー100点」(ワイン・アドヴォケイトで100点)のワイン。

これに今、一番近いと目されているのがロバート・モンダヴィの次男ティム・モンダヴィが作るコンティニュアムの2018年。既にサックリングは100点(年間6位)となっており、最新のワイン・アドヴォケイトのレビューでは98~100点と、100点含みの点数が付きました。数年後に再レビューで100点になる可能性もありそうです。ヴィナスでも2016年のものは100点を取っており、2018年も同等の点数が期待できそうです。

先日、ワイン・イン・スタイルの試飲会でこのワインを試飲しました。コンティニュアムはアカデミー・デュ・ヴァンの講座でもしばしば試飲アイテムとして使わせていただいていますが、2018年はこれまでのヴィンテージと比べてもエレガントな雰囲気があります。カベルネ・ソーヴィニヨンが54%、カベルネ・フランが31%と、例年に比べてもカベルネ・フランの比率が高いのがその理由ではないかと思います。フルボディではありますが、トーンが高く、軽さを感じます。非常に複雑で余韻ながく、やはり素晴らしいワインです。

この試飲会ではなんと、コンティニュアムの初ヴィンテージである2005年のワインも供されました。現在のコンティニュアムはプリチャード・ヒルにある自社畑「セージ・マウンテン」100%のワインとなっていますが、最初の数年はまだ畑がなかったのでモンダヴィのト・カロンのブドウを100%使っています(数年間使える契約になっていました)。2005年のコンティニュアムはまだ生き生きと若く、ト・カロンらしい緻密なタンニンとボディで、これはまた非常に魅力的なワインでした。

当時は、ト・カロンが使えなくなった後は品質が落ちていくのではないかと懸念していましたが、プリチャード・ヒルでクラウド・ビューというワイナリーが持っていた畑を買い取って自社畑にしたのは、今から見ればすばらしい英断でした。当時もシャペレーやブライアント・ファミリーによってプリチャード・ヒルへの注目は高まりつつありましたが、今ほど有名な地区ではありませんでした。この畑の買収に当たっては故ロバート・モンダヴィも畑を見に行き、OKを出したとされています。亡くなる1、2年前のことで、コンティニュアムがロバート・モンダヴィにとっても最後のワイナリーとなりました。

コンティニュアム2018はウメムラで税込み3万2560円。税抜きなら2万円台です。その品質を考えたらかなり格安で、現地価格とも遜色ありません。


今回の高評価で、今後は値上がりの懸念もあります。今が買い時かもしれません。
Date: 2021/1124 Category: 業界ニュース
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恒例のワイン・スペクテーター年間トップ100が発表されました。

トップ10

トップ10は上記のようになています。カリフォルニアからはカベルネ系ばかり3本が入りました。1位にドミナス、3位にハイツのマーサズと、1980年代からトップ級を続けているワインが入りました。昨年一昨年はマヤカマスが上位に入りましたし、クラシックなスタイルのカベルネ・ソーヴィニヨンが復権しているということでしょうか。

とはいえ、ドミナスやハイツのような名声を確立して一定のファンがいるワイナリーが上位に来るのは、ちょっと面白みには欠けるような気もします。

この中でちょっと目を引いたのが9位に入ったサルベストリン。ドクター・クレーン・ヴィンヤードというのは1859年にドクター・ジョージ・ベルドン・クレーンという人が最初に植樹した畑の地所を引き継いだ名前です(なお、当時のブドウは数年で枯れてしまったと記録にあります)。ベクストファー・ドクター・クレーンが有名ですが、そのすぐ近くの畑です。

マップ
上の写真で緑色のところがベクストファー・ドクター・クレーン、茶色のところがサルベストリンのドクター・クレーンです。

これほどの土地で今どきカベルネ・ソーヴィニヨンが80ドルは安いです。

ちなみに日本にも以前は輸入されていたことがあったそうです。

11位以下では昨年トップ10に入ったオーベールが11位(イーストサイド・シャルドネ2019)。リッジのガイザーヴィル2019が24位、オレゴンのイヴニング・ランド シャルドネ2018が27位、スリー・スティックスのピノ・ノワール プライス・ファミリー・エステート2019が28位あたりが目についたところです。

該当するヴィンテージが日本に同じタイミングで入ることはあまりないのがちょっと残念なところでもあります。ドミナスは近年どんどん入手しにくくなっている感じがあり、これでますます入らなくなりそうな気がします。
Date: 2021/1123 Category: おすすめワイン
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ジョエル・ピーターソンのワンス・アンド・フューチャーを紹介したからには、こちらも紹介しないわけにはいきません。息子モーガンといえば、もちろんベッドロックでカリフォルニア最高レベルのジンファンデルを作っているわけですが、彼が営むもう一つのワイナリーがアンダー・ザ・ワイヤー。スパークリング専業のワイナリーです。今回の試飲会ではここのワインも3種揃い踏みとなりました。



カリフォルニアのスパークリング・ワインといえば、マムやシャンドン、ロデレールなどシャンパーニュのワイナリーが進出してシャンパーニュと同じようにノン・ヴィンテージで作るものが中心となってきましたが、そこに一石を投じたのがマイケル・クルーズのウルトラマリンでした。スティルワインのシャルドネとしても最高レベルのワインを産み出すチャールズ・ハインツのブドウを使い、単一ヴィンテージによるスパークリング・ワインで一世を風靡。今や最も手に入りにくいカリフォルニアワインの一つとなっています。

シャンパーニュのRM(レコルタン・マニピュラン)に影響を受けた(栽培は自社ではありませんが)もう一つがこのアンダー・ザ・ワイヤー。ヴィナスでの最高評価95点やワイン・アドヴォケイトでの最高評価96点はウルトラマリンに並びます。

さらにこちらはブドウのソースも様々です。今回はモントレー近くのシャローンにあるブロッソーのシャルドネとメンドシーノでも有名なアンダーソン・ヴァレーよりかなり北にあるアルダー・スプリングスのピノ・ノワール、そしてソノマの自社畑ベッドロックのなんとジンファンデルを使ったスパークリングを試飲しました。ヴィンテージはいずれも2016年です。

ブロッソー(シャルドネ)はシャープな酸が特徴。柑橘類の鮮烈さが際立ちます。普通のスパークリングではあまり感じられない余韻も非常に長いです。
アルダー・スプリングス(ピノ・ノワール)は赤系の果実味がきれいでクリスプ。こちらも深みのある味わい。泡がなくなってスティルのロゼとして飲んだとしても相当おいしいと思います。
ベッドロック(ジンファンデル)もジンファンデル的な濃さはなく薄めのロゼ。花の香りやオレンジピール、スパイスの風味。ベッドロックのジンファンデルとは全く違う味わいに感じられますが面白い。

これも三者三様で非常に面白いですが、個人的にはアルダー・スプリングスが一番好きでした。

しあわせワイン倶楽部です。



Date: 2021/1122 Category: おすすめワイン
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中川ワインの試飲会から「オー・ボン・クリマのノックス君に気になるあのことを聞いてみた」に次ぐレポートです。

ボンドやプロモントリーなど、トップクラスのワインも登場する試飲会ですが、私の心を一番捉えたのはワンス・アンド・フューチャー。レイヴェンズウッドの創設者であるジョエル・ピーターソンが近年始めたブランドです。

といっても、中川ワインの方のお話によると、最近はレイヴェンズウッド自体が知られておらず、レイヴェンズウッドの創設者といってもなかなか響かないとか。かつては「ジンファンデルの3R」の一つ(後の2つはRidgeとRosenblum)として、ジンファンデルのトップクラスのワインだったのですが…

今、ジンファンデルでトップクラスというとターリーにベッドロックが2強で、リッジ、カーライル、ビアーレが続くという感じでしょうか。ちなみにこの5ワイナリーは古木の畑を守るヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティの主要メンバーでもあります。

話がなかなか本題に行きませんが、このベッドロックのオーナーであるモーガン・ピーターソンの父親がジョエル・ピーターソンであり、今となってはモーバン・パパとでも呼んだ方が通りがいいのかも…

という戯言はさておき、今回の試飲会ではワンス・アンド・フューチャーの輸入されている6種が勢揃いしたのです。これは前の試飲会であったボンドの揃い踏みに近い興奮ですよ(価格は10分の1以下ですが)。

このうちマタロ(ムールヴェードル)が1つとプティ・シラーが1つ。これも無茶苦茶いいんですが、今回は置いておいて残りのジンファンデルが4種です。この畑がオークレイ・ロードにテルデスキ、ベッドロック、オールド・ヒル・ランチとなっています。オールド・ヒル・ランチは1852年に作られた続けて耕作されているカリフォルニアで一番古い畑で、その後植え替えされているものの1885年の樹が今も使われています。かつてはレイヴェンズウッドのフラッグシップの畑でしたが、今はワンス・アンド・フューチャーと、息子のベッドロックが使っています。

ベッドロックの畑はその名の通りベッドロックが保有していますがこれも1880年代の畑。テルデスキは1890年代。一番新しいオークレイ・ロードでも1900年とどれも今は120年を超える畑となっています。

実際に飲んでみると、これがまた畑ごとに個性豊か。オークレイ・ロードはスムーズでシルキーなテクスチャ。テルデスキは酸がしっかりとして複雑な味わい。ベッドロックは一番タニックでパワフル。オールド・ヒル・ランチはものすごく深みのある味わい。4者4様で甲乙つけ難いできです。

あえて言うなら、今飲むならシルキーなオークレイ・ロード。ポテンシャルならオールド・ヒル・ランチでしょうか。

ちなみに、オークレイ・ロード以外の3つはベッドロックも手掛けている畑。これがまたワンス・アンド・フューチャーとは味わいが違うので、畑の違いプラス造り手の個性の違い(簡単に言ってしまうと、ジョエル・ピーターソンはガツンとくる味わいで息子のモーガンはもっとじわっと味わい深いタイプ)が出て非常に面白いのです。

それから、「とにかく濃いワインが飲みたいんだ」という人はプティ・シラー行っちゃってください。絶対に後悔はないです。

ショップはトスカニーです。




Date: 2021/1121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「ソーヴィニヨン・ブランに感激、コクとキレが抜群の冷涼感白ワイン」という記事で紹介したエドナ・ヴァレーのタンジェント(Tangent)。このワイナリーを持つニヴェン家が営むもう一つのワイナリーがゾッカー(Zocker)です。

Zockerとはドイツ語でギャンブラーの意味。ゾッカーで手掛けているのはリースリングとグリュナー・フェルトリナーの2つだけ。カリフォルニアではメジャーとは言えない品種に取り組むことを自らギャンブルと称しているわけです。

実際のところ、リースリングはカリフォルニアでも結構作られていますが、グリュナー・フェルトリナーは600トン程度。ケース換算すると5万ケースくらいでしょうか(ゾッカーでは1400ケースほど作っています)。また、この品種について調べてみると「乾燥に弱い」と書かれているところもありました。これはカリフォルニアではなかなか厳しい条件であり、まさにギャンブルと言えそうです。私自身、カリフォルニアのグリュナー・フェルトリナーはこれまで未経験。グリュナー・フェルトリナー自体、WSETの授業で試飲したくらいしか経験ありません。

飲んでみました。

青りんごや洋梨、白い石などの味わい。いわゆるミネラル感を強く感じます。酸はかなり高めです。いわゆる食事に合うワインというタイプです。魚介などに合いそうです。寿司にも合いそうな気がします。よくできたワインで美味しいです。いくつかのワイン・コンペティションで「オーストリア以外のグリュナー・フェルトリナー」として賞を取っているそうです。



ちなみにこの品種、カタカナ表記のバリエーションが多く、検索泣かせです。
Date: 2021/1120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのカーネロスにあるワイナリー「セインツベリー(Saintsbury)」が40周年を迎えてパーティを開きました。

セインツベリーはデイヴィッド・グレイヴとリチャード・ワードが造ったワイナリー。カーネロスのピノ・ノワールのパイオニアとしてまさにこの地を切り拓いてきました。エレガントで滋味にあふれたワインは、2人の人柄を表すかのように暖かく美味しいもので、派手さはありませんが長年のファンが多数います。価格もこの20年間ほとんど変わっていません。

2017年にリチャード(ディック)・ワードが亡くなった後もデイヴィッド・グレイヴが支えてきましたが、この40周年を機に引退すると表明。ワイナリーはディックの息子さんに引き継ぐとのことで、2人が家族以上の家族だったことを改めて感じさせてくれています。

パーティには初代ワインメーカーだった日系2世のバイロン・コスゲさんを初め、歴代のワインメーカーも集結しました。こういったこともディックとデイヴィッドの人柄によるものでしょう。

セインツベリー、もっと評価されていいワイナリーだと思います。特にバックヴィンテージものはおそろしくお買い得でお薦めです。




Date: 2021/1119 Category: インタビュー
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先日、中川ワインの試飲会があり、オー・ボン・クリマのブースには今年亡くなったジム・クレンデネンの息子ノックス君が立っていました(写真撮り忘れ…)。ノックス君は大学生で東京の大学に通っており、来年卒業してからはオー・ボン・クリマで働く予定です。

いい機会なので気になっていたことを2つ質問してみました。

オー・ボン・クリマといえばピノ・ノワールの「イザベル」と「ノックス・アレキサンダー」の2つが特に有名です。イザベルは長女の名前、ノックスはもちろんノックス君の名前から取っています。

そこで、「オー・ボン・クリマのワインの中ではやっぱりノックスが一番好きなの?」と聞いてみました。

答えは「イエス」かと思いきや「ノー」。一番好きなのは白のブレンド「ヒルデガード」だそうです。前は赤ワインはちょっと苦手だったとのことで、白ワインの方が好きというノックス君でした。
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ちなみにイザベルは2018年から新しいラベルに変わっています。中央の女性のイメージが成熟した女性になりました。イザベルさんもワイナリーで働いていますからね。

さて、もう一つはちょっと真面目な質問。オー・ボン・クリマのワイン、ワイン自体の味には文句ないのですが、ボトルがすごく重いのが気になっていました。SDGsなどの観点からすると重いボトルというのはちょっと時代遅れな感じがします。

これについては、「次のヴィンテージからはもっと軽いボトルになる」とのこと。やっぱりそういうことも意識しているのですね。
今後のオー・ボン・クリマも応援したいと思います。

ちなみに一通り試飲した中で、個人的には今回のお気に入りはシャルドネの「ニュイ・ブランシェ2018」でした。毎年変わるニックネーム、今回は「Righteous Juice-Archie」。アーチーというのはサンタ・バーバラのワイン愛好家で様々なイベントを行い、ジムとも仲が良かったアーチー・マクラーレンという人のこと。その人だったら「なんておいしいワインなんだろう」と言っただろうと想像してジムが付けたタイトルだそうです。ヴィナスで95点と非常に高い評価です。




Date: 2021/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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セシル・パークはナパで唯一の韓国人女性ワインメーカー。畑の管理ではケークブレッドやゴーストブロック、ナパワインカンパニーなどの80を超える畑を請け負っています。彼女のプライベート・ブランドがInnovatus(イノヴェイタス)。ラテン語でinnovationの意味です。

新橋のワインバー「ワイン蔵tokyo」がこのほど輸入を始めたので試飲してきました。ワイン蔵としてはDaou(ダオ)に続く2つ目のワイナリーの輸入となります。

今回入ってきたのは2012年のピノ・ノワール(初回特別価格7000円)、2014年のレッド・ブレンド(同6000円)、2016年のカベルネ・ソーヴィニヨン(同1万円)の3種類。

2012年のピノ・ノワールはInnovatusの最初のヴィンテージのもの。畑はクームスヴィルにあります。
ハーブやキノコ、腐葉土といった熟成による香りがたっぷりとしています。赤系の果実味もありますが、そちらはやや抑えめ。熟成ピノ・ノワールが好きな人にお薦めです。

2014年のレッド・ブランドはシラー47%にカベルネ・フランが23%、プティ・シラー15%、ピノ・ノワール5%というユニークな構成。畑はカーネロスだそうです。ナパのシラーというと濃厚なワインを想像すると思いますが、これは非常にエレガント。赤系の果実にホワイト・ペッパーなどスパイスを強く感じます。アルコール度数は14.5%と低くないのですが、軽やかさがあります。

2016年のカベルネ・ソーヴィニヨンはラザフォードの畑のもの。ほどよい果実味で非常にバランスのいいワイン。酸もきれいです。ナパらしからぬエレガント系カベルネ・ソーヴィニヨン(ほめてます)です。
Date: 2021/1118 Category: 業界ニュース
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収穫
2021年のブドウの収穫が終わり、カリフォルニアワイン協会が収穫レポートを発表しています。干ばつで極端な乾燥状態が続き、山火事の恐れが大きかった今年ですが、シエラ・フットヒルズで避難命令が出て、観光地のレイクタホにまで迫ったカルドー・ファイアーを除いては、ワイン産地の近くでの大きな山火事は起こらず、多くの関係者が胸をなで下ろしました。

新型コロナウイルスの影響での労働者不足や、干ばつによってブドウの実が大きく育たなかったことによる収量の低下といった問題はありましたが、ブドウの味は凝縮し、品質は非常に高く、「近年の中ではベストの一つ」と評しているワインメーカーが多いようです。

以下は主な地域の短評です。

ナパ:干ばつによる水不足を除いては生育期間に問題はなかった。収穫は例年より早く始まった。ブドウの実は非常に小さく、2019年と比べて20~30%収穫が少なかったところもある(2020年と比較しなかったのは煙の影響でワインを断念したところが多かったため)。凝縮して完熟したため品質は非常に高い。
ソノマ:春先は涼しかったが、だんだん暖かくなっていった。温暖な地域ではブドウの熟す時期はやや早く、冷涼な地域は例年通りだった。収穫はやや早く始まり、急速に進んだ。干ばつで収量は少なめだったが、煙の問題がなかったため、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンは2020年を上回ったもよう。ブドウの味わいは凝縮して非常に高い。
ロウダイ:干ばつの影響や春先の霜のために収量は少なく、生育は不均等になった。特に古木の畑では収量は少なく、木が死んでしまったところもある。収穫は8月に始まり、9月になると様々な品種がほぼ同時に完熟していった。機械収穫のオペレーターを確保するのも大変な状況だった。ブドウの品質は高かった。特にカベルネ・ソーヴィニヨンやプティ・シラーは早く完熟し、自然の酸が残った。
モントレー:夏の間、霧に覆われて涼しく、酸が高く糖度がなかなか上がらなかった。9月に入って霧が晴れ、温度が上がり日照も増え、9月の後半から一気に収穫が始まった。収穫量は予想より多く、品質も良い。生育期間が長く、完熟した上PHは低くなった。
パソ・ロブレス:開花時期に強い風が吹いたため、ブドウの実はまばらになり収量は減った。西の丘陵地帯には熱波が押し寄せ、灌漑に使う水もなかった。収穫量は例年と比べ30~40%も少なかった。
サンタ・バーバラ:すべての点ですばらしい年だった。熱波もなければ霜の問題もなかった。9月には非常に湿気の多い霧に覆われ、ボトリティスの問題が生じたが、丁寧に対処したため大きな問題にはならなかった。サンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワールは収穫が2週間遅く、ハッピー・キャニオンのボルドー品種は早く成熟した。このため収穫時期のトラックや運転手の手配が問題になった。シャルドネとソーヴィニヨン・ブランが素晴らしい年で、ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニヨンも良好だ。
Date: 2021/1117 Category: おすすめワイン
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the hilt
ザ・ヒルト(The Hilt)は、ナパのカルト・ワイナリーとして知られるスクリーミング・イーグルのオーナーであるスタン・クロンキー(Stan Kroenke)がサンタ・バーバラに所有するワイナリーです。サンタ・バーバラの中でも冷涼なサンタ・リタ・ヒルズに畑を持ち、現在は、サンタ・バーバラを代表する高品質なピノ・ノワールやシャルドネを造っています。

ザ・ヒルトの中でも入門的な位置づけにあるのがエステートのシャルドネとピノ・ノワール。この2本セットがウメムラで年内限定の特別価格、さらに送料無料になっています。どちらも通常価格が5841円(税込み)のところ、送料込みで合わせて9493円(税込み)。送料を計算に入れなくても2割引です。

このワイン、現地価格でも税抜きで40ドル台半ばですから、ほぼそれと同等レベル。元々の価格設定もかなり安めなのですが、今回は相当お得です。

ヴィンテージはシャルドネが2017年、ピノ・ノワールが2018年。シャルドネの2017年はヴィナスで91点、ピノ・ノワールの2018年はヴィナスで93点と高評価が付いています。特にピノ・ノワールについてはレビューに「I loved it」と付け加えるお気に入りです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【送料無料・特別価格】ザ・ヒルト 紅白ワイン 満喫2本セット
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Date: 2021/1116 Category: おすすめワイン
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タンジェント(Tangent)はエドナ・ヴァレーにある白ワイン専門のワイナリー。といっても白の中で圧倒的にメジャーなシャルドネを手がけないというユニークなワイナリーです。パラゴン・ヴィンヤードという自社畑から、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョなどを造っています。

今回、ワインライフさんの厚意で3種類を一度に試させていただきました。

エドナ・ヴァレーはパソ・ロブレスとサンタ・バーバラの間にある、サンルイスオビスポ郡の海沿い(パソ・ロブレスも同じ郡内ですが内陸よりになります)の2つのAVAの一つ。もう一つのアロヨグランデ・ヴァレーと並んで太平洋からの風が吹き抜ける非常に冷涼なAVAとなっています。エドナ・ヴァレーを「カリフォルニアで最も冷涼なAVA」と評す人もいます。

ただ、このAVAは冷涼産地としてのポテンシャルが非常に高いにもかかわらず、メジャーなワイナリーがなく、廉価版のブドウの供給源というイメージが付いてしまっています。個人的には「不遇の産地」と勝手に称しています。

マイナーな産地で、あえてメジャーでない品種に取り組むという、なかなかチャレンジングなワイナリーですが、果たしてそのワインの実力はどうでしょうか。

まずはピノ・グリから。「マイナー品種」と書きましたが、実はピノ・グリはカリフォルニアではシャルドネに次いで2番めの生産量がある品種。ただ、ブドウの販売価格はシャルドネの半分くらいで、全体の平均もだいぶ下回っています。つまり安ワイン専用のような品種になっています。「ピノ・グリ」(あるいはピノ・グリージョ)としてのヴァラエタル・ワインとして日本に輸入されているものはあまりないのではないかと思います。

タンジェントのピノ・グリは白い花の香り、グレープフルーツ、鮮烈な酸で爽やかな味わいですが、少し甘やかなフルーツの味わいもあります。酸の切れ味と、フルーツのコクがある美味しいワインです。

次はソーヴィニヨン・ブラン。こちらは飲む前からソーヴィニヨン・ブランに間違いないと思う香り。味わいもグレープフルーツにグアバなど、青っぽさはほとんどなく、これも酸のキレの良さとフルーツのコクが素晴らしいワイン。一緒に飲んだ方々の間でもこれが一番人気でした。聞いたところによると、ソーヴィニヨン・ブランが一番収穫が遅く10月後半に収穫しているとのこと。それでも酸が落ちないのがさすが冷涼産地ですし、だからこその味わいの充実なのですね。

最後はアルバリーニョ。アルバリーニョは個人的には最近注目している品種の一つ。実は暑いところでも酸が落ちにくいというのが一つの特徴です。ただ、冷涼なエドナ・ヴァレーではこの特徴はあまり関係なさそうです。ではこのワインはどうでしょうか。
もちろん酸はかなりしっかりしています。レモンというよりはオレンジ系の味わい。ミネラル感もかなりあります。冷涼感があるのに意外とふくよかという面白いワイン。これまで飲んだアルバリーニョともちょっと印象が違いますが、これもかなり美味しいワインです。

3つのワインに共通するのは、やはり冷涼産地らしく、キリリと引き締まった酸があること。「カリフォルニアワインは甘い」と思っている人が飲んだらびっくりするかもしれません。一方で、果実味もきれいでボディもあるので、単なる酸っぱい痩せたワインではありません。単純に言えば「コクもあるけどキレもある」という感じです。特に、ソーヴィニヨン・ブランはすごくいいので、ぜひ皆さんに試してもらいたいワインです。

実はタンジェントと別ブランドで造っているグリューナー・ヴェルトリーナーもあるのですが、それは別に試飲したのでまた別記事で紹介します。

ワインライフのオンラインショップのタンジェントのページ

ドラジェです。




Wassy'sです。



Date: 2021/1115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会の日本代表でWSETのDiplomaである扇谷まどかさんが、Diploma Student向けに開催したオンライン・セミナーに参加させていただきました。講師はシュグ(Schug Winery)のClaudia Schugさんです。Schugさん自身WSETのDiplomaであり、今はお休みしているそうですがMWのCandidateとしての勉強もしていたという方です。

セミナーの内容はソノマの概要を中心としたものでした。

ご存知の方が多いと思いますが、ソノマはナパの西側にあります。西に太平洋、南はサンパブロ湾と2方向に海があり、そこから冷気や霧が入ってきます。ナパと比べるとかなり広い地域なので、冷気や霧の届き方も場所によって大きく異なり、多様性に富んでいます。また、ぶどう畑は総面積の5%程度と決して多くなく、地域の半分は森です。ワイナリーの数は500弱ですが畑は1800もあり、大規模にワインを作っているというより、小規模の栽培家がたくさんあるイメージです。

Schugの創設者Walter Schugはドイツ・ラインガウの生まれ。父親もワインメーカーで、ウォルターも大学で醸造と栽培を学び、ドイツのワイナリーでピノ・ノワールを作っていました。請われてカリフォルニアに来たのが1961年。まだRobert Mondavi Wineryも登場前の前時代のころでした。66年まではCalGrape、その後はE&J Galloで働き、600もの生産者との関係を築いていきました。1973年にジョセフ・フェルプスの立ち上げと同時にそのワインメーカーになり、カリフォルニア初のボルドー・スタイルのブレンドワインであるInsigniaを作ったほか、畑名を冠したワインやシラーなどで先頭を走っていました。

ウォルターはピノ・ノワールを造りたいという気持ちが強く、ジョセフ・フェルプスの最初のワインも実はピノ・ノワールだったそうです。しかし、フェルプスのピノ・ノワールは80年で終了してしまいました。

1983年にフェルプスをやめ、Schugの名前でピノ・ノワールを造り始めました。1989年にカーネロスのソノマ側に土地を買って畑を切り開きワイナリーを創設しました。カーネロスのパイオニアの一つとして今に続いています。ウォルターは2015年に亡くなりましたがその後も家族経営を続けています。

このセミナーでは受講生は各自Schugのワインを試飲しましたが、私は2018年のカーネロスのシャルドネでした。スイカズラやスミレの香り、レモンやレモンの皮といった柑橘系中心の味わいですが、軽くグアバのようなニュアンスも感じました。トーストやヴァニラといった樽の要素はありますが控えめ。上品ながらカリフォルニアらしい果実味も顔を覗かせる秀逸なワインです。


ちょうど、ブレッド&バターの試飲などをした後だったのでシャルドネのマロラクティック発酵についてどう考えているか聞いてみました。ウォルターがマロラクティック発酵によるバター的なニュアンスがあまり好きでなかったので、基本的にはあまり行わない方針だそうです。このあたりもウォルターの教えを守って続けているのが感じられました。

また、ヴィンテージについて聞いたところ、この2018年は割とフルボディで2019年はもう少しスリムな味わいになったそうです。また、2021年のヴィンテージは素晴らしいものになっているとのことでした。

ピノ・ノワールに関してはクローンの質問などがありました。シュグの畑のクローンはポマールが中心で、アーシーなキャラクターが特徴だとのこと。このほか購入しているブドウではマルティニやカレラ・クローンといった、いわゆるマサル・セレクションのものやディジョン・クローンもあるそうです。

扇谷さんからは、シュグのワインはコスト・パフォーマンスが優れているというコメントがあり、これについてはワイナリーやテイスティング・ルームを華美に装って客を呼ぶのではなく、地に足をつけて家族でやっていく方針だからだとのこと。

決して派手なワイナリーではなく、評論家からすごい点を取るような派手な味わいのワインを作るワイナリーでもありませんが、実質本位で本当に造りたいワインを造っているその姿勢は素晴らしいと感じました。
Date: 2021/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ニューオーリンズで11月6日に開催されたチャリティ・オークションで、単一ボトルのワインとしては新記録となる100万ドルで落札されたワインが誕生しました(Healdsburg Winemaker’s Bottle of Cabernet Sells for Record $1 Million - Sonoma Magazine)。

このワインはザ・セッティングズ(The Settings Wines)というワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨン、Glass Slipper Vineyard 2019の6リットル・ボトル。ワインメーカーのジェシー・カッツ(Jesse Katz)はソノマのヒールズバーグ在住。36歳という若さながら15ヴィンテージの経験があり、ペトリュスやスクリーミング・イーグルなどでも働いた経験がある人。2010年にはランカスターでヘッドワインメーカーになり、Roth Estateを立ち上げてワイン・スペクテーターのトップ100にも選ばれています。

また、フォーブス誌の「30 Under 30」(30歳以下の注目の30人)にワインメーカーとして初めて選ばれ、ワイン・エンスージアストの「40 Under 40」(40歳以下の注目の40人)にも選ばれた才人です。ちなみに父親は「Sony Artisan of Imagery」の一員にも選ばれた写真家です。
Jesse Katz

ジェシー・カッツはザ・セッティングズのほかアパチャー・セラーズ、デビル・プルーフ・ヴィンヤーズといったワイナリーも持っています。ザ・セッティングズは2014年に3人で立ち上げたワイナリーでGlass Slipper Vineyardはナパのクームズヴィルにある畑です。
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ちなみにこのワイン、通常の750mlのワインでは185ドルという価格。それがなぜ、これほどまでの高額で落札されたのかは不明です。なお、落札者についてはドン・スタイナー(Don Steiner)という名前と、落札したワインは手持ちで歩いて家に帰ったらしい
ということ以外に何もわかっていません。
Date: 2021/1111 Category: おすすめワイン
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ジョージ・ワイン・カンパニー(George Wine Company)のピノ・ノワール「セレモニアル・ヴィンヤード」2018がしあわせワイン倶楽部で税込みでも1万円切る価格になっています。

元々は税別で1万2000円だったのですが、日本のファンにもっと楽しんでもらいたいということで税別1万円に値下げ、それをさらに特別価格でという形です。

ジョージのピノ・ノワールは赤系の果実味がとてもきれいで若くても飲みやすい味わい。アルコール度数も13.4%とカリフォルニアのピノ・ノワールとしては比較的抑えめです。こういった特徴のためかレストランでの人気が非常に高く、年間生産量は1000ケース(1万2000本)に届かないほどなのに、300軒にもおよぶレストランで使われています。そのため、米国でも小売で見かけることはほとんどなく、日本で購入できるのはありがたいことです。

ある人が「まるでWordで作ったような」と評した、シンプルすぎるラベルデザインも、ずっと続けているとじわじわと味わいに変わってきているような気もします。


Date: 2021/1110 Category: 業界ニュース
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故スティーヴン・スパリュアが主宰していた英国のアカデミー・デュ・ヴァン・ライブラリーが「On California」というカリフォルニアワインの専門書を発行しました。
On California
多くの論客の記事からなるこの本、スティーヴン・スパリュア自身も1976年のパリ・テイスティングについて、当時の相棒だったパトリシア・ギャラガーと書いています。同様に、タイムズ誌の記者でパリ・テイスティングを唯一取材したジョージ・テイバーも書いていますし、ヒュー・ジョンソン、リサ・ペロッティ・ブラウンなどの評論家、「サイドウェイズ」を書いたレックス・ピケット、「ニュー・カリフォルニア・ワイン」のジョン・ボネ、カリフォルニアワイン協会の動画などで知られるエレン・チューカン・ブラウン、ワインメーカーからはウォーレン・ウィニアルスキー、ランドール・グラーム、ポール・ドレイパーなど、そうそうたる論客が執筆陣に並びます。

カリフォルニアワインファンにとってはバイブルの一つになりそうです。

日本のAmazonでも購入可能。
Date: 2021/1109 Category: 業界ニュース
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Twitterで

という投稿を見たので調べてみました(投稿に絵文字があると記事が保存できないので一部改変しています)。
それで見つかったのが「Bourbon Barrel-Aged Wine Isn't 'Real' Wine, and That's O.K. | VinePair」という記事です。VinePairに2019年に投稿されています。

それによると最初に始めたのはメンドシーノのフェッツァー。1980年代にフレンチオークの樽がなかなか手に入らなかったことからやむなく使ったのがきっかけだそうです。フェッツァーがバーボン樽で熟成したジンファンデル「1000ストーリーズ」を始めたのは2014年。5000ケースの生産から今では14万ケース以上へと伸びています。フェッツァーだけでなく業界全体でも2015年の80万ドルから2018年には9100万ドルへと100倍を超える成長を示しています。ちなみにガロのアポシック・インフェルノは2016年、モンダヴィ・プライベート・セレクションのバーボン樽熟成カベルネは2017年のデビューです。

オンラインワイン販売の最大手wine.comでも1年間で取り扱いブランドが1つから20個へと急増しています。

バーボン樽ワインは「本当の」ワインではないと非難する人もいます。樽香やスモーキーなフレーバーが強く、甘いヴァニラやベリーの味わいは弱く感じられます。フェデラリストはバーボン樽熟成ワイン専用のグラスも作っていますが、従来のワイングラスの形状とは異なり、蒸留酒用のロックグラスのような形をしています。楽しみ方もちょっと違うといっていいのかもしれません。





Date: 2021/1108 Category: 業界ニュース
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CiCi
ナパのワイナリー、トレフェッセン(Trefethen)がブドウの発酵時に発生する二酸化炭素をキャプチャーする装置を試験導入しました(Napa Winery Adopts Carbon Capture Technology | Wine Spectator)。

トレフェッセンは、ポルトガルのポート大手「テイラーズ・ポート」が主体となって始めたノンプロフィットの環境団体「ポルト議定書」に加盟しています。同議定書にはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズや、コッポラ、スポッツウッドなども加入し、カーボン・フットプリントの削減などを目指しています。

トレフェッセンはテキサスのアースリー・ラブズという会社が開発した「CiCi」というシステムを導入。これは当初はブルワリー向けに開発したもので、発酵時に発生する二酸化炭素を冷蔵庫大の装置に格納し、後から使えるようにするというものです。ワイナリーで試験導入するのはトレフェッセンが最初だとのこと。ワインの醸造に使うステンレスタンクには温度調整などのためにパイプが備えられており、そのパイプを増やすだけなので装着は比較的楽だったそうです。

これまでの試験によると醸造で発生する二酸化炭素はそれほど多くなく、10トンのブドウから2/3トンほどの発生にとどまっているそうです。ちなみに自動車は通常年間4.6トンほどの二酸化炭素を発生しているとのこと。

トレフェッセンでは集めた二酸化炭素を使う予定はあまりなく、ブルワリーなどに使ってもらうことを考えているそうです。
Date: 2021/1107 Category: おすすめワイン
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エノテカでケンダル・ジャクソンの5品種のセットが、1万8260円(単品合計価格)のところ1万2980円と約3割引になっています。毎回出るたびに売り切れになるというこのセット。セット数限定なので、今回も売り切れる可能性が高いです。

ワインはいずれもヴィントナーズ・リザーブのシリーズでカベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランの5品種となっています。ヴィントナーズ・リザーブのシャルドネは米国で20年以上売上1位を続けているまさにカリフォルニアのシャルドネの王道的ワイン。他のワインも米国ではいずれも定番のワインです。


Date: 2021/1106 Category: おすすめワイン
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モジ(Moji)はソノマのペレグリン・ランチが造る缶ワインの新しいブランド。ワインメーカーは、高品質なシュナン・ブランで知られているレオ・スティーンのオーナーでもあるデンマーク出身のレオ・ハンセンです。

モジという名前は「日本の絵文字が好きな彼らが毎日の友達とのテキストメッセージのやりとりのように親しんでほしいという願いを込めたネーミング」だそうです。

白とロゼがあり、容量は375ml。1/2ボトルサイズですから、一人でごくごく飲むというより、1本を2人で分け合うような飲み方が中心になるのかもしれません。AVAはナパ・ヴァレーとなっているのがまた面白いところです。

さっそく飲んでみました。ピノ・グリージョを使った白ワインはクリスプな酸が印象的、レモンやライムのような柑橘の味わいに、ちょっとアフターに苦味を感じます。爽やかで美味しい。

ロゼの方は100%ピノ・ムニエというのがまた面白いところ。こちらも爽やかで、いちごやラズベリーなどのフレッシュなベリーの風味が新鮮です。どちらも美味しいですが、個人的にはロゼが気に入りました。

ドラジェです。



こちらもドラジェで4本セット。


Date: 2021/1105 Category: 業界ニュース
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IWCA
国際環境アクションワイナリー(IWCA)というワイナリーの団体が、ワイン業界のCEOたちに向けてゼロ・エミッションのための活動に参加するよう提言しています。

この団体は2019年にスペインのトーレスとカリフォルニアのジャクソン・ファミリーが設立したもの。カーボンフットプリントの削減を目指しており、2019年のワインエンスージアストの賞を受けています。カリフォルニアからはほかにスポッツウッドやシルバーオーク、リッジなどのワイナリーが参加しています。

提言の内容は、科学的根拠に基づく取り組みを推進すること。2050年までに排出をゼロにすること、IWCAが開発したカーボンフットプリントの計算メソッドを普及させること、です。小さなワイナリーでも無理なく測定ができるようにしています。

IWCAはゼロエミッションを目指す「Race to Zero」に農業関係の団体として初めて加入したとのこと。

SDGsやサステナビリティが、消費者がワインを選ぶ際の選択理由として重要になってくる時代がやってくるのかもしれません。


Date: 2021/1104 Category: おすすめワイン
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パルマッツ(Palmaz)・ヴィンヤードはナパのクームズヴィル(Coombsville)にあるワイナリー。クームズヴィルは2011年にナパのサブAVAとしては16番目に認定された比較的新しいAVA。ナパの南東の端にありサンパブロ湾にも近いことから、ナパの中ではカーネロスに次いで涼しいAVAとなっています。比較的涼しいところとはいえ、素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンも生み出しており、例えばポール・ホブズやファヴィアといった超一流のワイナリーもここに畑を持っています。温暖化やワインのエレガント志向といったこともあいまって、注目が日増しに高まっている地域でもあります。

そんな新興地域なので、パルマッツも新しいワイナリーだろうと思いがちですが、実はそのルーツは19世紀1868年にまで遡ります。ナパで最初の商用ワイナリーが作られた1861年からわずか7年後のことです。ヘンリー・ヘーガンという人がシダー・ノール(Cedar Knoll)という畑を作ったのが今に至ります。

そんな昔にクームズヴィルにワイナリーがあったというのも驚きですが、残念ながら禁酒法の時代にワイン造りはやめてしまい、その土地を買ったのがアルゼンチン出身の医師ジュリオ・パルマッツでした。実はこの人、医学界では非常に有名な偉人です。パルマッツ・ステントという血管を広げる器材は広く使われており、日本心臓財団の50周年記念誌には「Palmaz 先生と Schatz 先生が開発した Palmaz-Schatz ステントは非常に効果的で、世界へ普及してゆきました」(原文ママ)と記されています。そのステントのシェアは一時90%に達したとされ、「IPインターナショナル誌」による「世界を変えた10個の特許」のリストに2回載ったとのこと。

パルマッツはシダー・ノール・ヴィンヤードを復活させ、丘にケーブを作って新しいワイナリーを築いています。週2回にわたってワイナリーの上空から取った航空写真で畑の状態を分析して灌漑する場所を決めるといった最新のテクノロジーも利用して古豪の再生を図っています。

前置きが長くなりましたが、そのパルマッツのワイン2つを試飲しました。ワインはインポーターの都光から提供を受けています。



左のパルマッツ・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨンがフラッグシップ、右のシダー・ノール(インポーターによる表記はセダール・クノール)


まずはセカンドから試飲しました。ヴィンテージは2017。この年は10月に大きな山火事がありましたが、クームズヴィルのあたりまでは影響はあまりなかったものと思います。
非常に色が濃く、ちょっと濁ったような感じもあります。香りも非常に強く、グラスから20~30cm離れていてもムンムンと香ってくるほど。味わいはカシスやブラックベリー、ブルーベリーといった、青黒系果実の風味、チョコレートや鉛筆の芯、畑名をほうふつとさせる杉っぽさ(Cedarは杉のこと)もあります。ドライなワインですが甘やかな印象もあり、非常に魅力的。フルボディで余韻も非常に長いワイン。これで、セカンドワイン?とちょっと驚くほどのクオリティです。


一方、ファーストのパルマッツですが、こちらもヴィンテージは2017です。93.19%カベルネ・ソーヴィニヨン、4.39%カベルネ・フラン、1.63%マルベック、0.79%プティ・ヴェルドという構成。
こちらも非常に香りは強いのですが、セカンドと比べると奥ゆかしく内に秘めた感じがあります。特徴はシルキーなテクスチャ。タンニンはセカンドよりも強く、シナモンやクローヴ、ミントのような風味も目立ちます。チョコやコーヒーの風味もあります。一方、果実味はそれほど強くはなく、セカンドの甘やかさではなく、しなやかさを感じるワインです。第一印象はむしろセカンドの方が強いかもしれませんが、こちらはじっくり付き合ううちに良さがわかってくるようなワインです。

医学界のレジェンドが造るワインですから、医療関係の方への贈り物などにもいいかもしれません。

Cave de L Naotakaです。


同じくCave de L Naotakaです。


Wassy'sです。

Date: 2021/1103 Category: おすすめワイン
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ナパで最高峰のシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなどを造るジョン・コングスガードの右腕でありジェネラル・マネージャーのエヴァン・フレイジャー。彼がコングスガードの設備を使って造る自身のブランドがファーディナンドです。以前「コングスガードGMが、コングスガードの5分の1の価格で作るアルバリーニョ」という記事などでも紹介していますが、このセミナー時にも言及していた、彼が一番作りたかった品種のワインが国内入荷しています。

その品種はガルナッチャ・ブランカ(グルナッシュ・ブラン)です。彼がファーディナンドを始めるときに探していた品種でしたが、カリフォルニアでは非常に生産量が少なく、ようやく見つけた畑のガルナッチャ・ブランカは既に他のワイナリーに予約済みでした。そこで同じ畑のアルバリーニョを造り始めたのですが、ついに念願かなってガルナッチャ・ブランカも作れるようになったのです。

試飲したところ、鮮烈な酸が印象的だったアルバリーニョに対して、こちらは酸はおだやか。複雑さのある滋味深い味わいでした。主張が強すぎず、和食に合わせやすいワインだと思います。

しあわせワイン倶楽部です。


Wassy'sです。


こちらも合わせてどうぞ(Wassy's)。

Date: 2021/1101 Category: おすすめワイン
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ワイン・スペクテーターに最近、ナパのヴァイン・ヒル・ランチの記事が出ていました(Vine Hill Ranch: One of Napa Cabernet's Best-Kept Secrets)。「Best-Kept Secrets」ということで、ハーランやドミナス、ベクストファー・ミズーリ・ホッパーといった錚々たる畑の近くにありながら、これまでそれほど知られていなかったこの畑についてこれまでの経緯などを見ています。

とはいえ、実は2年前にはヴィナスでヴァイン・ヒル・ランチのカベルネ・ソーヴィニヨンが100点を取っており、私もそのときの記事に「ナパの高級ワインの中にもまだまだ過小評価されているものがあります。その一つがヴァインヒルランチ(Vine Hill Ranch、VHR)だと言っても過言ではないでしょう。ワイナリーとしてもまだまだ知られていないし、ワインのラベルもかなり地味で「VHR」という字が目立つくらい。もしかするとそれがヴァインヒルランチの略であることも知られていないかもしれません」と書いていました。

実はヴァイン・ヒル・ランチの自社ワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨン、今回ワイン・スペクテーターでも非常に高い評価を得ています。価格もそれほど高くないし、今年のトップ10あたりに入ってくる可能性もあるのでは、と思っています。


Date: 2021/1030 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日「注目の国内新入荷ワイナリー「ファブリスト」」の記事で紹介したファブリストのジンファンデルが柳屋に入荷しています。



2000円台のジンファンデルとしては極めて秀逸ですし、甘いだけでないジンファンデルとしても味わってほしいワインです。

ジンファンデルついでにもう一つ紹介します。しあわせワイン倶楽部では2012年のリッジ「リットン・スプリングス」が入荷しています。このワイン、2つの点で面白いワインです。

まず、ヴィンテージからわかるように、最新ではなく少し熟成したものになりますが、ジンファンデルって一般的にはあまり熟成させて飲まないし、熟成しないと考えている人も多くいます。かつてのロバート・パーカーもその一人で、ジンファンデルは熟成しないと言っていたのですが、それに反対してジンファンデルも、いいワインはちゃんと熟成するというのをパーカーに飲ませて納得させたのがリッジのポール・ドレーパーで、そのワインがリットン・スプリングスでした。

もう一つ面白いのは、このワインは最新ヴィンテージのものより安いのです。リッジの親会社は大塚製薬ですが、ワインの輸入は大塚食品が担当しています。この会社、在庫のものについて後から値段を上げるというのをほとんどしないのです。だから古いものの方が熟成の手間もかかっているのに安くなるのです。フラッグシップのモンテ・ベッロなんかも同じなので、ちょっと狙い目だったりします。


Date: 2021/1029 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワイン協会が主催する認定プログラム「キャップストーン・カリフォルニア」が始まりました。初回の感想を記しておきます。
キャップストーン
なお、リアル講座は東京は満席となっており、これから申し込む方はオンラインの講座、あるいは来期のリアル講座(東京だけでなく大阪も始まります、日程などはまだ公開されていません)ということになります。

キャップストーンの説明
オンライン(セルフスタディ)の申し込みはこちら

レベル1のリアル講座は2時間半を4回となっています。

初回は歴史と地理、気候、そして土壌を学びました。
印象的だったのは、とにかくファンダメンタルを大事にしているということ。初級だから上っ面だけを学ぶというのではなく、初級からレベルが上がるにつれてさらに深く学べる構成になっているようです。

たとえば気候では単に「カリフォルニアは地中海性気候です」というのではなく、海流や気圧配置などから、なぜそういう気候になるのかというところからひもといていきます。そういう意味ではワインのことだけさらっと知りたいという人にはちょっと敷居が高く感じられる部分もあるかもしれません。逆に本当の知識を得たい人には素晴らしいプログラムだと思います。

なお、レベルが上がっても講座の構成は基本的に同じだそうで、歴史や地理、土壌などを含めてさらに深く学んでいくようです。

そして、もう一つの大きな特徴が、試飲のスタイルにマスターソムリエ協会の「ディダクティブテイスティング」を採用していること。

認定プログラムのテストでは一番上のレベルまでいかないと試飲は求められないのですが、リアル講座では初級からその方法を学べます。世界の標準的な方法の一つを学べるのは興味深いです。
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このようなシートにチェックしていく形で試飲していきます。マスターソムリエ協会では、どれをチェックしたかを元にワインの推測をするのですが、今回はワインの銘柄はオープンの形で試飲したので、推測はありませんでした。やっていることはWSETの試飲と大きく変わるわけではないですが、正しくチェックを付けるのはなかなか難しかったです。

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ちなみに今回試飲したワインはこの4種。時間があまりなかったので駆け足の試飲になってしまったのは、ちょっと残念でしたが、どれも美味しかったです。

キャップストーン・カリフォルニアは初級でもこれまで全くワインの勉強をしたことがない人にはちょっと難しく感じられるかもしれません。特に、ワインだけわかれば歴史や土壌などには興味がないという人にはお薦めしません。逆にそういったことも含めて総合的に学びたい人、向学心の強い人にはとてもいいプログラムだと思います。次回からはいよいよワインの話も始まるので、また楽しみです。
Date: 2021/1028 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ようやく酒類の制限が解除されたこともあり、せっかくのカリフォルニアワインマンスですし、2軒にお邪魔してきました。

まず訪れたのは新橋の「ワイン蔵TOKYO」。以前の場所から移転して中華料理の新橋亭の裏にあるビルの中になりました。以前は繁華街の真ん中で、他のフロアはキャバクラばかりという環境でしたが、今度はかなり静かなところです。

今回は全部グラスでいただきました。

最初は泡で、シュラムスバーグのブラン・ド・ノワール。カリフォルニアのブラン・ド・ノワールはかなりロゼに近いようなものが多いですが、シュラムスバーグのは比較的エレガントです。


次はワイン蔵が輸入しているダオ(Daou)のロゼ。このロゼはかなり秀逸です。スイカズラやローズペタルのアロマがあり、ドライですが白桃のような風味も感じました。品種はグルナッシュが95%とソーヴィニヨン・ブランが5%。ヴィナスは90点をつけています。


3杯目はサマーウッド(Summerwood)のSentioというボルドー系ブレンド。サマーウッドはあまり知られていないかもしれませんが、日本のEHという会社が運営するパソ・ロブレスのワイナリーです。どちらかというとローヌ系品種に強いワイナリーですが、今回はカベルネ・ソーヴィニヨン中心のブレンドでした。2003年のワインでかなり熟成が進んでいます。非常に濃厚でワインというよりリキュールのような感じ。面白いワインでした。



続いて伺ったのは神泉にあるNinety Plus。
カリフォルニアワイン専門のワインバーNinety Plus
グラスワイン用のサーバーを数多く備えているワインバーです。


カリフォルニアワイン中心のワインバーですが、最初にいただいたのはチャールズ・スミスの「カンフーガール」。品種はリースリングです。ちょい甘で親しみやすいワイン。ボトルでリースリング飲むことはあまりないのですが、グラスだとときどき頼みたくなります。


最後は初めて飲むワイン。Covertというワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨンです。ナパのクームズヴィルが産地のようです。クームズヴィルは個人的にかなり興味を持っているAVA。海に近く比較的冷涼ですが非常にすばらしいカベルネ・ソーヴィニヨンも作られています。このワインもナパらしい芳醇さがあり、おいしいカベルネ・ソーヴィニヨンでした。

カリフォルニアワインマンスは10月中開催。詳しくは「カリフォルニアワインマンス2021|カリフォルニアワイン」をご覧ください。
Date: 2021/1027 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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この週末は、北カリフォルニアで記録的な大雨となりました(CA weather: Heavy rain helps water supply, won’t cure drought | The Sacramento Bee)。100ミリから200ミリ程度の雨が降ったようです。強風により停電したところも多くありました。

「大気の川」と呼ばれる極めて湿度の高い空気が連続的に流れ込むことによって起こる、雨期のこの大雨は、カリフォルニアにとっては年間雨量に大きく影響するものとなっています。今回はその中でも「カテゴリー5」という最強レベルに分類されていました。

ただ、この大雨でも、ただちに干ばつの解消とまではいきません。この2年間、ほとんど雨が降らなかったため、土壌が干上がっており、降った雨はほとんどが土壌に吸い込まれてしまっています。

それでもロシアン・リバー周辺では取水制限が延期になるなど、やや緩和されており、今後の雨は貯水池の水量回復につながるものと期待されます。
Date: 2021/1026 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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コスパ系ピノ・ノワールとして人気の高いキャッスル・ロックのちょい熟2014年ものが国内輸入されています。

試飲させていただきましたが、鰹節系の旨味がきれいに出ていて、ちょうどいい感じの熟成具合です。これで2000円台というのはかなりのお買い得。米国ではこういったちょい熟ものはあまり市場がないので、このように日本向けに格安で出してもらえることがあります。熟成ピノをお手軽に楽しみたい方にお薦めです。

トスカニー


東京ワインガーデン


京橋ワイン


Wassy's

Date: 2021/1023 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カルディコーヒーファームで、モントレーのパライソ(Paraiso)のシャルドネがなんと68%オフ、税込み1408円になっています。店頭だけでなく、オンラインでも販売中です。
【お酒】パライソ・ヴィンヤーズ シャルドネ 2016(白) 750ml - カルディコーヒーファーム オンラインストア

パライソ

パライソのワイン、以前はヴィノスやまざきで扱っていました。かなりの人気アイテムだったと思います。モントレーらしい酸と果実実のはっきりしたワインだった記憶があります。

ラベルを見るとエステートと書いてありますからすべて自社畑のブドウを使っています。

これはどう考えても激安。まとめ買いもお薦めです。

ちなみに、パライソはワイン造りはやめ、今後は栽培に専念するそうです。

紹介ついでにもう一つ。カリフォルニアワインあとりえで25日12時までの限定でシェーファーのカベルネ・ソーヴィニヨン「ワンポイント・ファイブ」2018が安くなっています。通常価格から25%引き。楽天内最安となっています。2018は非常にいい年で、このワインもワイン・エンスージアストで97点を取っています。ワンポイント・ファイブはフラグシップのヒルサイドセレクトに次ぐ、レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンですが、非常に高品質です。

Date: 2021/1022 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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近年、マヤカマスなどクラシックなスタイルのカベルネ生産者が改めて見直されていますが、その一つに位置しそうなのがクロ・デュ・ヴァル。ワイン・スペクテーターでも3代目オーナーや新しいワインメーカーをフィーチャーした記事がちょうど掲載されたところです。

1976年の「パリスの審判」の参加ワイナリーであり、その10年後のリターンマッチでは見事1位に選ばれた名門ですが、クラシックなスタイルを守ってきた結果、ちょっと時流からははずれた感じもあったかもしれません。その代わり価格もナパの他のワイナリーと比べると高騰をまぬがれています。

スタンダードなナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンはスタッグスリープなどの自社畑100%の作りでありながらワイナリー価格は52ドル。しかも日本ではショップによっては税込みでも5000円そこそこと、現地価格よりもかなり割安になっています。

2017年はヴィナスやワイン・スペクテーターで91点。ちなみにヴィナスのアントニオ・ガッローニは同じ価格で同じ91点を付けた2016年の同ワインのレビューで「この価格帯では最良のワインの一つ」と書いており、米国の価格でも格安感があります。

ドラジェです。


Cave de L Naotakaです。


うきうきワインです。


Wassy'sです。


ウメムラです。

Date: 2021/1021 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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エレガント系シラーの生産者として有名で、ヴィナスで満点も取っているパックス(Pax)のパックス・マーレが、ソノマ・コーストのバンシー(Banshee)などを持つバロン・ジーグラーと共同で、メンドシーノの畑を購入したことが判明しました。

購入した畑はハルコン(Halcon)。自社のシラーが一部に熱狂的支持者がいるのに加え、パックスを含むいくつかの生産者にブドウを売っていました。ミネラル感のあるシラーとして知る人ぞ知る銘醸畑と目されていたそうです。

ハルコンは英国人のポール・ゴードンが2005年に開拓した畑。メンドシーノのヨークヴィル・ハイランズの約800メートルの高地にあります。ゴードンが両親の介護のため、英国に戻るのが売却の理由。

パックスとジーグラーが購入してからは、外部にはブドウを売らず、独自のワインを作る予定。既に2021年の収穫分はパックスのワイナリーで醸造しているとのことですが、おそらくパックスとは別の新たなブランドになるのだろうと思います。なお、パックス・マーレにとっては初の畑取得ということになります。

シラー好きにとっては目の離せないプロジェクトになりそうです。

パックス・マーレ
Date: 2021/1020 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・エンスージアスト誌が毎年発表する3種類のトップ100の中で、一番熟成用に向いているセラーセレクションの2021年版が公開されました。
Ramey

1位に選ばれたのはレイミー(Ramey)のシャルドネ、ハイド・ヴィンヤード2018。ワイン・エンスージアストで100点がついたワインです。レイミーといえば昔からシャルドネの名手として知られていますが、100点を取ったのはこれが初めてでした。

春先に少量入荷したときは瞬殺で全く手に入れられる気配がなかったですが、今は少しだけですが在庫が残っているようです。

カリフォルニアワインあとりえです。


Wassy'sです。

Date: 2021/1019 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パソ・ロブレスやサンタ・バーバラの2021年収穫の状況をブレイク・グレイ氏がまとめています(California Harvests Raise Optimism Levels | Wine-Searcher News & Features)。

2021年の特徴は春先の低温などにより、やや収穫量は減るものの、夏から秋にかけては問題らしい問題が起こらなかったこと。この地域は収穫時期が遅いので、まだすべて終わるまでは1カ月くらいかかりそうですが、生産者はクオリティの高さを喜んでいるといいます。

気温は全体的にやや低めで温暖なパソ・ロブレスでも華氏100度(摂氏38度程度)を超えた日はほとんどありませんでした。特に7月から8月半ばまで、夜間は低い気温を保ったため、酸がしっかりと残ったようです。

この地域では2007年がこれまで非常にいいヴィンテージとされていましたが、それを彷彿とされるということです。

今年は、懸念された火事もこれまでのところ大きな被害を与えるものはなく、カリフォルニアの多くの地域では胸をなでおろしていることでしょう。
Date: 2021/1018 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アイコニックワイン・ジャパンの試飲会から美味しかったワインを紹介します。なお。新入荷のファブリストについては「注目の国内新入荷ワイナリー「ファブリスト」」で紹介したのでそちらをご覧ください。




まずは、ファブリストにも関係しているフィールド・レコーディングスから4つのワインです。
スキンズ2020(Skins)(2900円)は白ワインを果皮に漬けたまま発酵させるいわゆるオレンジワインの手法を使ったワイン。これも新入荷です。果皮に漬け込むことで旨味がかなり増しています。白ワインのクリスプさも失っていないいいワインです。
ペットナット(3500円)もちょっと変わったワイン。シャルドネをホップと一緒に発酵させています。フレッシュでドライな味わい。どちらかというと夏向きな感じではありますがおいしい。
カベルネ・フラン2018(3300円)はこの価格帯では珍しいカベルネ・フラン。ちょっとピーマン的な青さもあります。
ネヴァーランド カベルネ・ソーヴィニヨン2017(3300円)はカベルネ・ソーヴィニヨンとしては非常にエレガント。フランとはまた全然違う味わいでカベルネ・ソーヴィニヨンらしさもしっかりあります。


グラウンドワークからはムールヴェードル2016(3600円)を紹介します。これもかなりエレガントなのですが、この価格帯としては非常に複雑味もあって美味しいワイン。すごくいいです。


ディヴァムのピノ・ノワール2015(2300円)は、カレラの元ワインメーカーが造るワインとして話題になったものです。1年ぶりくらいに試飲しましたが、この価格帯のピノ・ノワールとしては最良の部類に入ると思います。


サンタ・バーバラの銘醸畑として知られるビエン・ナシード。オー・ボン・クリマのワインを支える畑でもあります。そのビエン・ナシードの自身のワイナリーによるワインですからおいしくないはずがありません。シャルドネもピノ・ノワールもいいですが、特にピノ・ノワール 2018(1万1000円)は格上の味わい。問答無用のおいしさです。


サンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズを代表するワイナリーの一つであるメルヴィル。エステート・ピノ・ノワール2018(6500円)は非常にバランス良く、サンタ・リタ・ヒルズらしいダークなフルーツの風味もあるお手本的なピノ・ノワール。シラー ドナズ・ブロック 2018(8500円)は冷涼感の感じられるシラー。ピノ・ノワールのイメージの強いワイナリーですが、実はグレッグ・ブリュワーがワインメーカーを努めていた時代からシラーでも高く評価されています。


「ウニ」のラベルが印象的なその名もストルプマンの「ウニ」2019(4400円)です。ウニに合うと称している通り、ミネラル感や濃厚な旨味のあるワイン。品種はルーサンヌが70%、シャルドネが30%となっています。


日本で大人気のカリフォルニアワイン「689セラーズ」。その新たなブランドがこのサブミッションです。シャルドネ2019、レッド2019、カベルネ・ソーヴィニヨン2018(価格はいずれも2300円)。シャルドネはは適度な樽感が心地よく美味しいワイン。カベルネ・ソーヴィニヨンはここの定番でさすがの完成度。レッドはより親しみやすい味わいですが、よくあるレッド・ブレンドのように甘めの作りではなく酸がしっかりしていてバランスもよいワインです。


全く違うラベルデザインですが、これもサブミッションのシリーズ。キラードロップ 2018(3800円)というレッド・ブレンド。グルナッシュ56%、シラー29%、プティ・シラー15%という構成です。サブミッションのレッドと比べて、スパイス感がしっかりあり硬質な味わい。これはかなり美味しいです。



ナパで良質のワインを、手に入りやすい価格で造るカモミ。シャルドネ(2800円)もピノ・ノワール(3480円)もバランス良く、さすがの味わい。



最後はオーストラリアからの新入荷ワイン「ヘッド」。アレックス・ヘッドという人が造る急成長中のワイナリーです。北ローヌのシラーに魅せられたという彼が造るシラーは従来のオーストラリア的なイメージとは一線を画しています。「レッド」シラーズ2018(3500円)はコスパの高さに驚いたワイン。なんとジェームズ・ハリデーが96点を付けています。一方「ザ・ブルネット2018」(7900円)はむちゃくちゃ美味しいシラー。ジェームズ・ハリデーの点は95点とレッドより低いのが不思議ですが、ジェームズ・サックリングは96点を付けています。個人的にはこの日のベストワイン(僅差の次点はビエン・ナシードのピノ・ノワールです)。

最後に、この記事ではあえて紹介しなかったのですが、アイコニックで今年一番のヒット商品といえば「スラムダンク」があります。これはやっぱり美味しいです。カリフォルニアワインファンでまだ飲んでなかったら、ぜひとも飲んでください。

Date: 2021/1015 Category: おすすめワイン
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スクリーミング・イーグルのワインメーカーであるニック・ギスラーソンが造るラガービール「Hanabi」。20年秋から四季ごとに仕込んで発売しています。日本にも入ってきますがごく少量ですぐに売り切れてしまいます。500mlで税抜3000円とビールとしてはかなりの価格ですが、醸造に使うタンクや器具などもすべてニック自身が溶接して造る、まさに手作りのビールなのだそうです。醸造にも一般のラガービールの3~10倍もの時間をかけているそうです。高いですがそれだけの価値はありそうですね。

今回の21年秋バージョンは大麦の古代品種、ベア(Bere)を使用。アメリカ ワシントン州産のベアを使い、「ヘレススタイル」で発酵したとのこと。

ちなみに、名前のHanabiはもちろん花火のこと。ニックは12歳のときから花火師としても修行しており、毎年日本に花火の打ち上げにくるほどのマニアなのだそうです。

若くしてスクリーミング・イーグルのワインメーカーに抜擢された人ですが、それだけの才ではないというのもすごいですね。


Date: 2021/1014 Category: おすすめワイン
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アイコニックワイン・ジャパンがこの秋に輸入を始める「ファブリスト(Fableist Wine Co.)」のワインを試飲しました。



ファブリストはローヌ系品種を手掛ける「グラウンドワーク(Groundwork)」のカート・シャクリンと、非常にエレガントなシャルドネやピノ・ノワールなどを造る「フィールド・レコーディングス(Field Recordings)」のアンドリュー・ジョーンズによる共同のプロジェクトです。どちらもセントラル・コーストに拠点を置いており、特にアンドリュー・ジョーンズはセントラル・コーストのほぼすべての畑に足を踏み入れたことがあるというほどセントラル・コーストを熟知しています。

ファブリストとは寓話を語る人という意味で、各ワインのラベルはイソップの寓話をモチーフにしています。ワインはスパークリングのブラン・ド・ブランにスティルワインのアルバリーニョ、ジンファンデル、マルベック、メルローの5種類(上の写真の左からこの順)。いずれも価格は3000円前後と、高品質なワインとしてはリーズナブルな価格です(フィールドレコーディングズやグラウンドワークもほぼ同じ価格帯。こちらも非常に素晴らしいワインです)。

すべてのワインに共通するのは非常にフレッシュな味わいできれいな酸を持っていること。ブラン・ド・ブランはその中で、うまみやこくも感じられます。アルバリーニョはフレッシュさが魅力。この品種は気温が高くても酸を保つので、温暖化が進む中でカリフォルニアでも重要さを増すのではないかと思っています。味わいも魚介類に合いやすいなど、和食との相性もいいと思います。

赤ワイン3種も酸が印象的、アルコール度数はどれも14%以上あり、低くはないのですが、ワインは重さを感じません。マルベックはちょっとピーマンぽい風味もあり、カベルネ・フランかと思うような味わいでした。ジンファンデルも濃厚ではないスタイル。メルローは良質なものに出会うことが比較的少ない品種ですが、これはいいです。

正式な入荷は11月の予定だそうです。それまでは、フィールドレコーディングズやグラウンドワークのワインをどうぞ。




Date: 2021/1013 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「4割の生産者が来年の水不足が深刻なものになると懸念」の記事で紹介したシリコン・ヴァレー・バンクの業界レポート調査の一部が公開されています(SVB on Wine: 2021 will be the BEST YEAR EVER for a lot of Wineries!)。正式なレポートが出るのは毎年2月ごろになりますが、これはその調査に参加するワイナリーを増やすために調査中のデータを先出ししたものになります。

シリコン・ヴァレー・バンク

これは2021年がどういう年になっているかという質問に対する回答です。公開されている情報だけだとこの回答がワインビジネスとして聞いているのか、ワインの生産として聞いているのか不明ですが、ともかく3割を超えるワイナリーが「今までで一番いい」と回答しているのは、驚きでした。「いい方の年の一つ」という回答を含めると過半数。

何はともあれ、いい年という評価が多いのはいいことです。最終結果が待ち遠しい(まだだいぶ先ですが)。
Date: 2021/1012 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ブレッド&バターのシャルドネ、人気高いですね。楽天の米国産白ワインランキングでも1位の常連(今チェックしたら1位と2位でした)となっています。これと似たシャルドネはありますかと、以前質問箱でも聞かれたので、いくつかのワインを比べて試飲してみました。

集めたワインは6本。



上段中央がブレッド&バター、シャルドネ 2019です。実売価格は税込み3000円前後。
その左がジャム・セラーズのバター シャルドネ 2019。希望小売価格は3500円。スクリューキャップです。BTSの「Butter」にデザインが似ていることでも話題になりました。
右はウェンテのシャルドネ モーニング・フォグ 2019。実売価格は税込み2000円前後。スクリューキャップです。
下段は左からボーグルのシャルドネ 2020。インポーターの小売価格税込み2475円。
中央がランチ32のシャルドネ 2019。インポーターの小売価格税込み1958円。
右はオレゴンのキング・エステート シャルドネ 2018。インポオーターの小売価格税込み3410円。スクリューキャップ。
下段の3本はインポーターのオルカ・インターナショナルさんのご厚意で提供いただいています。


まずは「本家」のブレッド&バターから。色はかなり濃い目。香りの第一印象はバタースコッチ。その強さに圧倒されそうになりますが、スイカズラやナッツ、マンゴーやパイナップルの要素もあります。もちろんトーストも。フルボディ。酸はやや低め。
名前にちなんでトースト度とバター度をつけていきます。
これは文句なくどちらも10点。


次はジャム・セラーズのバターです。色はブレッド&バターほどではないですがやや濃い目。トーストやパイなどトースト系はかなり感じますが、バター感はそれほど強くありません。ヴァニラやメロン、アフターに軽い苦味。ボディはミディアムプラス、酸はミディアム。
トースト度は7、バター度は5としました。


次はウェンテのモーニング・フォグ。あの「ウェンテ・クローン」を生み出したシャルドネの名門です。このワインは以前から個人的に「推し」の一つです。
レモンやオレンジの柑橘系に品の良いヴァニラ、濡れた石。ミディアムボディで酸はミディアムプラス。
トースト度は4、バター度も4としました。

左から試飲順にグラスを並べました。

やはりブレッド&バターが一番濃いですね。


後半はランチ32からです。なぜか後半はボディと酸のメモがない…
クリームブリュレにスイカズラ、パイナップル。トースト度は7と高めに判定しましたが、バター感はそこまで強くなく、4としました。


次はボーグルです。マイヤーレモンにレーズン、ビスケット、ナッツとバター感は比較的強めで6。トースト度は6としました。


最後はオレゴンのキング・エステート。
これはやはりちょっと別物ですね。ディルなどのハーブやトマトの葉、青りんご、洋梨などの風味が強く、トロピカルフルーツやトーストの印象はあまりありません。トースト度は2、バター度も2としました。


グラス写真で見るとランチ32が一番濃く、ブレッド&バターに近いですね。

というわけで結論としては、トースト度、バター度に関してはブレッド&バターに並ぶワインはありませんでした。ボーグルとジャム・セラーズ、ランチ32が比較的近いところで、バター感こそ低いもののトースト度は高く、実売価格はほぼ半額と圧倒的に安いランチ32が「似たもの候補」としては一押しとします。

ただ、どれが美味しいかというのはブレッド&バターに似ているかとはまた別の問題です。似ているかどうかとは別に個人的評価としては、やはりモーニング・フォグは非常にいいワインだと思います。ランチ32もコスパは抜群で、ちょっとパンチがほしいならモーニング・フォグよりもこちらを選びたいところです。ボーグルやジャム・セラーズは、「ブレッド&バターほど濃くなくていいけど、バターやブレッド感の出ているもの」というときにはいい選択肢です。キング・エステートは、もっとデリケートでフルーツ爆弾でないようなワインが欲しいという人に向くと思います。いいワインですが、ブレッド&バター感を求めるとちょっと違うという感じになりそうです。

しあわせワイン倶楽部です。






ドラジェです。


最後に余談ですが、こんなにシャルドネばかり開けてしまったら後飲むのが大変ですが「コラヴァン使えばいいか」と思っていたのです。ところが実際にはスクリューキャップが3本あったので、それは急いで飲まないといけなくなってしまいました。
Date: 2021/1010 Category: おすすめワイン
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毎年クリスマス用にエッチングで掘られたワインを投入するクロ・デュ・ヴァル。そのデザインは、これまで雪だるまなどのかなり可愛い系だったのですが、全く新しいデザインに変わりました。


こちらがこれまでのもの。


これまでは3通りのデザインがありました。


こちらが新しいデザイン。だいぶスタイリッシュになっています
Date: 2021/1009 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパの中でもパーカー100点ワインを10本以上輩出するワイナリーとなると、シュレーダーやハンドレッド・エーカーなどごく一握りに限られます。その中でも近年特に目立つワイナリーがレアム(Realm)。ワイン・アドヴォケイトでも2年連続してレアムだけに特化した記事が書かれている、再注目のワイナリーで、9月に発表された2019年のレポートでも2本の100点ワインがあり、合計13本に達しています。

2000年代初期に生まれたころにはぱっとしなかったこのワイナリーを一躍エリートワイナリーにまで変えたのが2011年にワインメーカーに就任したブノワ・トゥケ。レアムの95点以上のワインはすべて彼が来てからのもので、2011年には破産の危機に瀕していたレアムを救った実力者です。先日公開した「ナパのトップ・ワインメーカー3人の競演!? 『夢の新プロジェクト』発進」のフェアリスト・クリーチャーズでもトーマス・リヴァース・ブラウンなどと並ぶ3人の一人に選ばれています。

このブノワ・トゥケの個人プロジェクトがティーター・トッター(Teeter-Totter)。ティーター・トッターとはシーソーのことで、ラベルにはネズミとゾウがシーソーに乗っている絵が描かれています。

ここのカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネがしあわせワイン倶楽部に入荷しています。ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは税込みでも7000円台。トーマス・リヴァース・ブラウンの個人プロジェクトで、やたらとコスパの高いリヴァース・マリーでさえ、カベルネ・ソーヴィニヨンは1万円を超える中で、破格の安さです。しかも評論家のジェブ・ダナックは2016年、2017年と続けて95点の高評価。今回入荷している2018年のレビューはまだですが、2016、17年と比べても評価の高いヴィンテージなので、これを下回ることはないのではないかと思っています。なお、ワイン・サーチャーによる平均価格は75ドルなので、それよりも国内価格は安くなっています。

シャルドネは2017年がジェブ・ダナックで91点の評価。税込み6000円台となっています。

また、同じく彼の個人プロジェクトで、単一畑の高級カベルネ・ソーヴィニヨンに特化したフェ・マン(Fait Main)のベクストファー・ラス・ピエドラス2015も入っています。こちらは税込みで32780円と、税抜ならば2万円台の価格。同じ畑のシュレーダーのワインならばその倍の価格ですし、比較的安いポール・ホブスのラス・ピエドラスでも5万円くらいするのと比べたらかなり安いです。またレアムのベクストファー・ト・カロンやベクストファー・ドクター・クレーンなら7万円台とさらに高くなります。こちらもかなりのバーゲン価格といえるでしょう。ちなみに入荷している2015年はアドヴォケイトで97点、ジェブ・ダナックで97+とさすがの高評価となっています。





Date: 2021/1008 Category: 業界ニュース
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ソノマのロシアン・リバー・ヴァレー、特にその中でも太平洋に近い冷涼な地域として知られるグリーン・ヴァレー。このあたりで素晴らしいワインを産み出す土壌として知られているのがゴールドリッジです。その土壌の記事がワイン・エンスージアストに掲載されていました(Russian River’s Goldridge Soil Has the Midas Touch | Wine Enthusiast Magazine)。

グリーン・ヴァレーの中心地セバストポールはかつてゴールドリッジ・ディストリクトと呼ばれていました。リンゴやプラムなどの果物の名産地で、ルーサー・バーバンクという人がセバストポールに「ゴールドリッジ・ファーム」という農場を作り、有名になりました。

このゴールドリッジ土壌は砂が中心でロームやクレイが混じっている非常に柔らかい土壌です。場所によってロームが多かったりクレイが多かったりしますが、その柔らかさと水はけの良さが特徴です。 米国農務省の定義によると、この土壌は「弱く固まった砂岩から風化した材料で形成されている」となっています。水はけはいいですが粘土質が含まれているために多少水を保持してくれるのも、乾燥したこの土地では重要です。

この土壌はほとんど栄養分を保持しない痩せた土地です。それがブドウ栽培にとっては好都合となっています。すなわち、栽培中に栄養分のコントロールをしやすいからです。 メリー・エドワーズのワインメーカー、ハイディ・フォン・デア・メーデンは次のように言っています。

「自然に樹勢が弱くなることで、ワイン生産者は果実の品質をよりコントロールできるようになります。必要に応じて堆肥を施したり、不足分の灌漑を行ったりして、ブドウの木のバランスを保ち、最高の品質を生み出すことができるのです」

また、この土壌のやわらかさがタンニンをきめ細かくするという説もありますが、それに関しては科学的根拠は得られていません。

私の印象としては特にシャルドネの生産者がゴールドリッジの土壌を好んでいるように感じます。ソノマが世界に誇る土壌として知られるようになったらいいですね。
Date: 2021/1007 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアのワイン業界の状況調査を毎年行っているシリコン・ヴァレー・バンク(SVB)が、調査中の今年のアンケート結果の一部を公開しました(SVB on Wine: SVB Survey Early Results: Water Worries)。

水の懸念
今回、公開したのは干ばつに関連した2つの設問の回答。まず、2022年に深刻な水不足に直面すると懸念しているワイナリーが42%もいました。ぎりぎり持ちこたえられるという回答が50%、大丈夫、あるいは気にしないという回答はごくわずかでした。

干ばつ対策
一方、干ばつに対して取る対策としては「新技術」という回答が16%と最多。ただ、15%とそれとほぼ並んでいるのが「特に変化は予定していない」という回答。これに対して、SVBのロブ・マクミラン氏は「神頼みは戦略とはいえない」と切り捨てています。

調査はあと1週間続く予定です。
Date: 2021/1006 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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シエラ・マードレ(Sierra Madre)ヴィンヤードはサンタ・バーバラのサンタ・マリア・ヴァレーにある歴史ある畑です。故ロバート・モンダヴィが1990年代に開墾し、シャルドネとピノ・ノワールが植えられています。シャルドネは人気の高いウェンテ・クローンを使っています。

多くの人気ワイナリーがこの畑のブドウを購入していますが、中でもこの畑の名前を上げたのがポール・ラトーです。ピノ・ノワールの「ザ・プロスペクト(The Prospect)」はパーカーポイントで最高96、シャルドネの「ル・スヴニール(le Souvenir)」は最高97点。シャルドネはポール・ラトーの中でもピゾーニのシャルドネ「イースト・オブ・エデン」に並ぶ高得点です。ポール・ラトーは「ウェンテ・クローンのスペシャルな畑を探しているときにラッキーにもここを見つけた」と言っています。

そのル・スヴニールの最高得点を取った2017年が国内入荷しています。もちろん本数はかなり少ないのでお早めに。

もう一つ紹介するのは同じシエラ・マードレのシャルドネですが、別のワイナリーのものです。一時期、国内で絶大な人気のあったワイナリー「タンタラ(Tantara)」のワインメーカーだったジェフ・フィンクが立ち上げたイーサー(Aether)。まだ名前が知られていませんが、実力は折り紙付き。シャルドネは2015年のものがワイン・エンスージアストで94点を取っています。価格はポール・ラトーのほぼ半額。お買い得さでは大きく上回ります。

どちらを選びますか?

ココスです。

柳屋です。

Wassy'sです。

こちらもWassy's
Date: 2021/1005 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新しい1年が始まりました。カリフォルニアの水のカレンダーでは10月1日からが新しい1年、9月30日に終わることになっています。つまり10月1日から新しい年度が始まったところというわけです。しかし、前年度は貯水池に93%水が溜まった状態で新しい年度を迎えたのに対し、今年は貯水池に平年の60%しか水がないという状況になっています。

California drought: Conservation falls short | CalMatters

知事などは水の節約を訴えていますが、実際には節水は進んでいないという状況もあります。特に南カリフォルニアでは前年度と比べても家庭での水の消費は増えているという数字もあります。

ともかくこの新しい年度で雨季の間にしっかり雨が降ってくれることを期待します。
Date: 2021/1005 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新しい1年が始まりました。カリフォルニアの水のカレンダーでは10月1日からが新しい1年、9月30日に終わることになっています。つまり10月1日から新しい年度が始まったところというわけです。しかし、前年度は貯水池に93%水が溜まった状態で新しい年度を迎えたのに対し、今年は貯水池に平年の60%しか水がないという状況になっています。

California drought: Conservation falls short | CalMatters

知事などは水の節約を訴えていますが、実際には節水は進んでいないという状況もあります。特に南カリフォルニアでは前年度と比べても家庭での水の消費は増えているという数字もあります。

ともかくこの新しい年度で雨季の間にしっかり雨が降ってくれることを期待します。
Date: 2021/1004 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ワシントン州で高品質なワインというと、カベルネ・ソーヴィニヨンが代表的な品種でしたが、近年ではむしろシラーが目立っています。パーカー100点を3回取っているカユース、そのライバル的存在がパーカー100点こそ取っていないものの99点は9本も取っており、ワイン・エンスージアストでは100点も取っているKヴィントナーズ。そのKヴィントナーズのオーナーでありワインメーカーであるのがワシントンワインの「顔」とも言えるチャールズ・スミスです。


Kヴィントナーズのシラーは非常に美味しいですが、やや値段が高いのと数が少なくてなかなか入手できないのがたまにきず。そこで登場したのが「リトルK」というシラー。参考小売価格は3900円です。この価格でもロイヤルスロープAVAのフレンチマン・ヴィンヤード単一畑。ロイヤルスロープAVAは2020年に策定された新しいAVAですが、Kのフラッグシップであるロイヤルシティがここのブドウで作られており、生産者からは「州内で最も優れたアペラシオン」という声も上がっています。やや南向きの斜面と標高の高さがここの特徴だとのこと。このAVAで自然農法で作られたブドウを使っており、ロイヤルシティの6分の1のほどの価格になっています。



飲んでみました。
スパイシーでけものっぽさもかなりあります。ブラックベリー、ブルーベリーにコーヒー、ホワイトペッパー。とてもシラーらしいシラーです。甘さはほとんど感じないのでオーストラリア系というよりは北ローヌ系と言っていいでしょう。もちろんロイヤルシティの圧倒的重厚感やビロードやなめし革のような妖艶さはないですが、それはこの価格帯に求めるのが贅沢すぎるでしょう。

最近は癖なく飲みやすいシラーも数多くありますが、もっとガツンと来るものを飲みたい人にお薦めです。

Wassy'sです。


ワインセラーパリ16区です。


古武士屋です。

Date: 2021/1003 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国では毎年9月をカリフォルニアワインマンスとしていますが、日本では10月がカリフォルニアワインマンス。9月はまだまだ暑いのでちょっと気温が下がってきた10月の方がワインを飲みたい気持ちも上がるしいいですね。今年は長く続いた緊急事態宣言やマンボウも解除され、やっとお店でワインを飲めるようにもなってきました。

ワインマンス
カリフォルニアワインマンス2021|カリフォルニアワイン

期間中は全国の小売店や料飲店が様々な形でカリフォルニアワインをプロモーションしています。また、今年はカリフォルニアの食材を楽しめるベストマッチングコンテストも同時開催します。ザクロやプルーンなどの果物やナッツ、チーズやオリーブオイルなどのカリフォルニア産の食材を使ったメニューです。果物を使った料理は、あまり得意でないと思っている人も多いかもしれませんが、すごくカリフォルニアらしい料理でもあり、実際に食べるとワインともよく合ってすごく美味しいのでこの機会にトライしてみてはいかがでしょうか。

レシピ

こんな感じでサイト上でメニューが公開されています。

安全に気を使いながらワインを楽しんでいきたいですね。
Date: 2021/1001 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジが国際環境アクションワイナリー(IWCA)というワイナリーの団体に加盟したと発表しました(Ridge Vineyards Joins International Wineries for Climate Action (IWCA))。

この団体は2019年にスペインのトーレスとカリフォルニアのジャクソン・ファミリーが設立したもの。カーボンフットプリントの削減を目指しており、2019年のワインエンスージアストの賞を受けています。

カリフォルニアからはこのほか、スポッツウッドとシルバーオークも加盟しています。いずれも環境関連の活動に熱心に取り組んでいるワイナリーです。
Date: 2021/0930 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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capstone
カリフォルニアワイン協会はキャップストーン(Capstone)と名付けられた認定プログラムについて日本における対応の説明会を開きました。

キャップストーンとは頂点や最高点という意味があり、WSETのディプロマやマスター・オブ・ワインを補完するような高度なプログラムになっています。「カリフォルニアワインの資格認定、カリフォルニアワイン協会とナパがそれぞれ開始」の記事で書いたように、レベル1から4(4はさらに2段階に分かれています)の認定プログラムとなっていますが、このうち1~3の3段階については日本でも日本語による教育を行う予定です。カリフォルニアワイン協会の扇谷さんによると、初級でJSAのワインエキスパート、あるいはWSETの2と3の中間程度のレベルとのことです。

また、このプログラムは基本的にはオンラインで実施するのですが、日本ではワインスクールにおける授業も行います。ワインの試飲についてはリアルのセミナーの方が優れているため、そうした形を取ったそうです。

またエデュケーターのリードとなるのが山本香奈さん、そして東京での講義ではソムリエの世界大会にも出場した森覚さん、大阪での講義は、こちらもソムリエ世界大会にも出場している岩田渉さんと、極めて優れた講師陣になっています。


山本香奈さんによる模擬授業もあり、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランのカリフォルニアにおける歴史などを簡単に勉強しました。とはいえ、カリフォルニアにおけるこれらの品種の歴史(持ち込んだ人やエポックメイキングなできごとなど)も入っており、その品種の元々の由来などカリフォルニアに限定されない内容も含んでいます。非常に好奇心をそそられるものでした。

また、ワインの試飲はマスターソムリエ協会の「演繹的テイスティング」に基づいた方法を採用しています。

写真のようなシートを使って試飲しながらポイントを抑えていくもので、「WSETの試飲法を勉強した人にはなじみやすい」と扇谷さん。

ただ、認定には試飲の能力は問われず(一番上のレベルを覗いては)、毎回授業後に受ける小テストと最後の認定テストに合格すれば認定されます。クラスで授業を受けた場合もこれらのテストはオンラインで受けることになります。

東京でのクラスは10月28日(木)と30日(土)に開講。全4回となっています。
申し込みはこちらから。
青山校 カリフォルニアワイン協会公認教育プログラム キャップストーン・カリフォルニア(Capstone California)レベル1資格認定講座 | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン

大阪は1月からの予定です。また、来年にはレベル2も開講される予定です。

ちなみに、この認定とは全く関係ありませんが、私が教えるオンラインの講座も募集が始まっています。
オンラインライブ配信 【ライブ配信】カリフォルニアワインの魅力と魔力(全2回) | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン
全2回で気軽に参加できる内容になっています。試飲のワインは毎回6種類。小瓶に入れて配送します、ワインの銘柄も公開していますので御覧ください。教室の講座で使うワインと比べるとややカジュアルですが、いいものを選んでいます。

教室に通えるかたはこちらをぜひ。
対決・カリフォルニアの名門ワイナリー
カリフォルニアワイン ベーシックマスター
どちらも内容には自信を持っております。楽しくカリフォルニアワインを学びましょう。
Date: 2021/0929 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のCAVE de L NAOTAKAでクリアランスセールを開催しています。カリフォルニアワインもいくつか出ていますが、有名なところではジョセフ・フェルプスのインシグニア2017が2万円台になっているのが目に付きました。2割引の価格です。

このほかにもナパのカベルネやサンタ・バーバラのシャルドネ、オレゴンのピノ・ノワールなどかなりの高級ワインが3割引などになっています。









その他のセールワインはこちら
Date: 2021/0928 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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CBD - Cannabis Medizin & Urlaub
米国で娯楽用のマリファナが合法化された州および地区は18にまで増えました。この4月にはニューヨーク州でも合法化されています。コロナ禍においても、この業界は「エッセンシャル」なものとされ、小売店やレストランなどを解雇された人たちの受け皿となっています(Marijuana jobs boom: The cannabis industry has become a refuge for retail and restaurant workers - The Washington Post)。

「Leafly Jobs Report」によると、2020年には8万人の雇用を生み出し32万1000人がこの業界で働くようになりました。この人数は歯科医や救急隊員、電気技師を上回るものとなっています。

マリファナを扱う薬局の時給は小売店や倉庫の仕事などと同等レベルですが、転職してきた人は、自由になる時間などが増えたと感じているようです。また、アマゾンが従業員のマリファナ使用を調べるのをやめたなど、より市民権を得る方向に動いているのは間違いありません。

今回引用した記事には言及がありませんでしたが、ワイン業界にとっては収穫などの畑作業の人材の取り合いという問題もあります。コロナ禍で収穫の人を集めるのが難しくなっていますが、マリファナ業界に人を取られているのも影響しているかもしれません。
Date: 2021/0927 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、「「山カベ」の真髄、ヘスのマウント・ヴィーダーが3割引、なんと日本割当は当面ゼロ」という記事で、ヘスについて書いたところですが、実はこのワイナリー、ヘス・コレクション(Hess Collection)からヘス・パーズソン・エステート(Hess Persson Estates)へと改名したところでした(9月16日発表)。その記事を書くときに、実はサイトの名前が変わっていて「あれ?」と思ったのですが、そのときは調べないで見過ごしてしまっていました。反省。

ヘス・コレクションはスイス人のドナルド・ヘスが創設したワイナリー。ワイナリーに美術館を併設しており、おそらく「コレクション」の名前はそこから来ているのだと思います。ドナルド・ヘスの2人めの妻ウルスラの娘サブリナとその夫のティモシー・パーズソンが現在のオーナーとなっています。

この10年間の最大の変化が「ヘス・コレクション」ブランドのワインだけでなく「ライオンズ・ヘッド」と呼ぶ新たなラグジュアリーブランドを始めたこと。「LION TAMER」と「PANTHERA」という名前のワインがこちらに相当します。

今回は、この2つのブランドがあることをより明らかにするため、総称としてのワイナリー名をヘス・パーズソンとしたようです。

ヘスのワインで今買うべきは、このエステートです。

Date: 2021/0926 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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終売で特別価格になり、大人気の「セニス」。このブログでも「現地価格より4割引!? パーカー94点、ヴェリテの弟格」の記事を皮切りに何度も取り上げています。特に今月は楽天のスーパーセールがあったり、しあわせワイン倶楽部でセニスが送料無料になっていたりで、購入した人がたくさんいたようです。

しあわせワイン倶楽部のセニスのリンクはこちら

というわけで、これをみんなで飲もうと、なんと19人で宴会してしまいました。
もちろん、オンラインです。
少なくともこれだけの人がセニスを買っているのだからすごいですね。

参加された人などは「安ワイン道場師範」の記事に記載されております。輸入元である都光の戸塚直孝社長も途中まで参加されました。
2021年9月:稽古日誌

一次会で2時間、二次会は途中で退出しましたが、1時間半くらい盛り上がっていたようです。もちろんセニスの話だけをしていたわけではありませんがいろいろな人と一つのワインの話ができるのもいいですね。

オンラインワイン会はワインの量も自分でコントロールできるし、リアルとはまた違った面白さや良さがあるなあと改めて思っています。
Date: 2021/0925 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・カウンティ・ワイン・オークションが2021年9月16~18日に開催されました。昨年はオンラインでのライブオークションでしたが、今年はワクチン接種済みか、検査で陰性を条件にしてリアル(一部オンライン)での開催となりました。また、シャトルバスとトイレではマスクが必要となっていました。会場は「ラ・クレマ」のサラリー・ヴィンヤードでオークション自体は屋外で開かれました。
scwa
過去の落札額は2014年が400万ドル、2015年が450万ドル、2016年が470万ドル、2017年が520万ドル、2018年が570万ドル、2019年が610万ドルと増えていっていましたが、2020年はオンライン開催で117万ドル。今年は170万ドルを超える落札額と、2019年までには届きませんが昨年を超える落札額となりました。

収益はソノマの子どもたちのために使われます。
Date: 2021/0924 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の下院は山火事や干ばつ、ハリケーンなどの被害を受けた週を対象に災害支援法案を可決しました。トータルで286億ドルの支援を行い、うち100億ドルは農業に充てられます。

支援の対象は2020年または2021年に災害によって被害を受けた様々な作物。最近のハリケーンなどの被害を受けたところも含んでいます。ワイン業界にとって大きいのは山火事による煙の被害でワイン造りを行わなかったワイナリーなども対象になることです。また、干ばつによる被害も対象です。2021年は干ばつのため、収穫量が少なくなることが想定されていますが、そういったものも支援対象になるようです。

米国はこういったときに思い切った支援を行うところは強いですね。
Date: 2021/0923 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会とナパ・ヴァレー・ヴィントナーズがワインの資格認定をそれぞれ始めます。

capstone
カリフォルニアワイン協会が始めるのはCapstone Californiaという4レベルのプログラム。 Introductory, Intermediate, Advanced and Expert/Ambassadorの4レベルにまだ日本では正式発表していませんが、米国のWine Instituteが発表しており、その中で2021年秋に日本でも導入予定とされています(New Capstone California Global Education Program Focuses Exclusively ...)。

【追記】日本でも正式発表されました。10月下旬にレベル1が開講です。オンラインだけでも受けられます。
カリフォルニアワイン協会公認教育プログラム「キャップストーン・カリフォルニア」この秋から日本でも受講可能に | カリフォルニアワイン協会
アカデミー・デュ・ヴァンでのリアル講座はこちら
青山校 カリフォルニアワイン協会公認教育プログラム キャップストーン・カリフォルニア(Capstone California)レベル1資格認定講座 | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン


サイトによるとIntroductory Level 1は6時間で175ドル。Intermediate Level 2は20時間で375ドル。Advanced 3は50時間で975ドル。Expert Level 4は125時間で3750ドル。Ambassador Level 4は125時間とカリフォルニアでのツアーで4250ドルとなっています。Ambassador Levelはブラインドテイスティングなども含んでおり、相当高度な知識が必要になります。その代わり、ここまで取得するとこのプログラムの講師としての資格も得られます。

nvv
ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが始めるのは「NAPA VALLEY WINE EXPERT PROGRAM」という日本オリジナルのプログラムで日本ソムリエ協会との協力で実施します。1st STAGEはNAPA VALLEY WINE EXPERT、NAPA VALLEY WINE EDUCATORという資格を得るもので60分のオンラインテストで認定します。WINE EXPERTは70点以上、WINE EDUCATORは85点以上で合格です。

これらの中から成績上位者は2nd STAGEに進むことができ、この中からNAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR 2022とNAPA VALLEY WINE BEST SOMMELIER AMBASSADOR 2022を一人ずつ選出します。ここではテイスティングと面接の試験があります。

また、これに伴い11月に試飲付きのオンラインセミナーを開催します。

詳しくは
NAPA VALLEY WINE EXPERT PROGRAM 2022 | ナパヴァレー・ヴィントナーズ

どちらも、とても本格的な認定試験のようです。こういった認定を行っていくのはいいですね。カリフォルニアワインについて勉強するモチベーションができると思います。私が今年オレゴンとワシントンの認定試験(カリフォルニアワイン協会のレベル1相当と思われます)を受けたときも、ちゃんとした基礎知識が得られたのと同時に、これらの地域への興味と関心もアップしたのを感じました。同じようにカリフォルニアワインに詳しく、親しみを感じ、興味を持つ人が増えてくれたら素晴らしいことです。

私もがんばってチャレンジしてみたいと思います。
Date: 2021/0922 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパでも最高級のシャルドネやシラーなどを作るコングスガード。そのジェネラル・マネージャーである副ワインメーカーでもあるエヴァン・フレイジャー氏の個人ブランド「ファーディナンド(Ferdinand)」のセミナーを聴講しました。

エヴァン・フレイジャー

ファーディナンドというのは、絵本に出てくる闘牛のキャラクター。フレイジャー氏のニックネームだったそうです。
Ferdinand

大学で哲学を学んだというフレイジャー氏とコングスガードをつないだのが、スコリウム・プロジェクトのエイブ・ショーナー氏。スコリウム・プロジェクトはカリフォルニアでもかなり異端な自然派のワイナリーですが、エイブ・ショーナー氏も哲学を専攻しており、またワイン造りをジョン・コングスガード氏に教わっていたのでした。セントジョンズカレッジという大学でフレイジャー氏とショーナー氏も学び、ショーナー氏はその後教授になっていました。

その後、ショーナー氏はフランスのラングドック・ルーションにあるモーリーに畑を買って移り住み、フレイジャー氏もそこに行きました。当時はそのあたりは非常に土地が安かったそうですが、グルナッシュやカリニャンなど、フィロキセラ以前の100年を超えるような樹齢のブドウもあったそうです。また、ここはピレネー山脈に近く、スペインのプリオラートと共通する土壌もあったとのこと。そういったことから自身のブランドではスペイン品種を作ろうと思ったのでした。

2010年にファーディナンドを始め、最初はグルナッシュとカリニャンのブレンド(1ヴィンテージのみ醸造)とアルバリーニョを作りました。本当はグルナッシュ・ブランを作りたかったそうなのですが、ロウダイのBorden Ranchにあったグルナッシュ・ブランは他のワイナリーで使われており、やむなく同じ畑のアルバリーニョを作ったとのこと。

アルバリーニョはカリフォルニアでは、かなりマイナーな品種で2019年の収穫量で3600トン程度。白ワイン全体のわずか0.2%ほどにすぎません。ただ、個人的にはこれから人気が上がってくるのではないかと思っています。

栽培上の特徴としては、温暖なところでも酸を保持すること。ファーディナンドのアルバリーニョも温かいロウダイで作られていますが、非常にバランスのいい味わいです。また、房がややバラけておりカビ病になりにくいことから有機栽培にしやすい品種でもあるそうです。Borden Ranchも2018年からは有機栽培認定されています。

フレイバーの特徴はフレイジャー氏によると「リースリングとソーヴィニヨン・ブランとシャルドネで三角形を作ったらその中央に位置する」とのこと。シャルドネのボディほど強くなく、リースリングやソーヴィニヨン・ブランほどアロマが突出しないそうです。

また、カリフォルニアのアルバリーニョはスペインと比べるとやや芳醇なアロマで桃や白桃の香りが強いとのこと。


試飲しました。

確かに酸はかなりしっかりとしています。スイカズラや濡れた石、白桃、オレンジピール、レモンの風味。非常にバランスよく、グラスをついつい重ねたくなるワインです。日本人初のマスターソムリエで、世界最年少のマスターソムリエでもある高松亨さんによると、酵母っぽさや塩味もアルバリーニョの特徴で、それが出ているとのことでしたが、そこはよくわかりませんでした。

ファーディナンドのアルバリーニョ、2~3年ほど前から個人的にはプッシュしているつもりのワインです。本当に美味しいのでぜひ飲んでほしい。

ちなみにコングスガードでもナパのブドウでアルバリーニョを作っていますが、価格は2万円近く。彼はこれとは違って手に入って飲みやすい価格帯のものを自身のブランドではやりたいそうです。

そして、2018年からはついに念願のグルナッシュ・ブランを作り始めたそうです。こちらは未試飲ですが非常に気になります。



Date: 2021/0920 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヘス・コレクションというと最近は安価なシャーテイル・ランチなどが話題になっていますが、元々はナパのマウント・ヴィーダーを代表する「山カベ」(ナパのヴァレーフロアでなく山地で作られるカベルネのこと)のプロデューサーです。この「マウント・ヴィーダー カベルネ・ソーヴィニヨン」がなんと日本への割当無期限ゼロになってしまったとのこと。カリフォルニアワインあとりえでは最後の在庫の3割引セールをしています。

山カベといってもナパの東側のハウエル・マウンテンあるいはプリチャード・ヒルあたりのものと、西側のマウント・ヴィーダー、スプリング・マウンテン、ダイヤモンド・マウンテンのものとありますが、いかにも山カベらしい、でタニックで引き締まった味わいのものというと、斜度の大きな土地が多く、東の山よりも気温がやや低くなる西のもの、特に一番南で冷涼なマウント・ヴィーダーが一番イメージにぴったりします。ここを代表するのが近年高評価続きのマヤカマスと、このヘス・コレクションといっていいでしょう。

ヘスのワインの中でもアローミなどはナパのポープ・ヴァレーと呼ばれる別の地域の畑のブドウで作られていますし、ヘス・セレクトなどより安価なラインは、AVAが「ノース・コースト」になりますから、より広いエリアからの買いブドウを使っています。ヘスのヘスらしいワインといえばやっぱりマウント・ヴィーダーのカベルネ・ソーヴィニヨンというのは衆目の一致するところです。

一方のマヤカマスは近年の高評価もあって価格が2万を超えてしまいますが、カリフォルニアワインあとりえでのヘスは税込みでも1万円切り。しかも2014年はパーカーポイントで94点と、このワインの長い歴史の中でも上から2番めの評価。アントニオ・ガッローニも92点を付けています。

山カベの真髄をぜひ味わってください。


Date: 2021/0919 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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塩尻ワインサークルの試飲付きオンラインセミナーに参加しました。日本ワインは、年々良くなっているという話は聞いていますが、なかなか自分で試す機会はなく、こういうセミナーはありがたいです。

解説はメルシャンの高瀬秀樹さん。桔梗ヶ原で醸造と最愛を担当されています。メルシャンの桔梗ヶ原メルローといえば、日本を代表する赤ワインですから、当然そこで作られているものと思っていたのですが、実は醸造設備ができたのは2018年と新しく、それまでは山梨の勝沼で醸造していたのだそうです。

桔梗ヶ原のあたりは標高700~900メートルとかなり高く、「黒ぼく土」(色が黒くてぼくぼくした感じの土だそうです)が多く柔らかくて水はけのよい土壌がメルローに向いているようです。

桔梗ヶ原のワイナリーのすぐ脇には「箱庭ヴィンヤード」という畑があり、今回は貴重なそこのブドウのワインも試飲アイテムに入っています。

最初のワインは北信シャルドネ2017。千曲川流域の北信地区(長野市・須坂市・高山村)のブドウを使っています。
おだやかで温かさを感じるシャルドネです。濡れた石や白桃、ネクタリンなど熟した果実の風味がします。芳醇で美味しいですが、個人的にはもう少し酸がほしい感じもしました。

2つ目のワインは桔梗ヶ原メルローロゼ2019。セニエ(赤ワインとして発酵途中の果汁を抜き取ってロゼに使う)を40%とダイレクト(白ワインのように除梗破砕してプレスする)を60%使っています。ダイレクトの比率が高いためか、かなり色が薄めのロゼです。バナナや白桃の風味。

3つ目と4つ目はメルロー。塩尻メルロー2018は桔梗ヶ原を含む塩尻のメルローで、桔梗ヶ原から北東方向にあるメルシャンの片丘ヴィンヤードのブドウも今回始めて使っているそうです。とてもエレガントで黒鉛やカシス、甘草などの風味。ちょっと青っぽさもありますが良質なメルローです。

最後は箱庭ヴィンヤードメルロー。メルシャンが塩尻で初めて垣根式栽培を始めた畑だとのこと。メルローのほか少量のカベルネ・フランもうわっており、このワインにも1%ほどブレンドされています。380本しか作られておらず、通常ではなかなか飲めないワインです。酸もタンニンもかなりしっかりしています。カシスや黒鉛、ミンティな風味もあり硬質でバランス良く美味しい。これはとてもいいですね。

セミナーではワイナリーや畑を歩き回っての映像もあり、とても楽しく勉強になりました。

9月27日にはオンラインでのブラインドワイン会も開催されるそうです。
【塩尻ワインパーティーオンライン/ブラインドワイン会】参加申込書
Date: 2021/0918 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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私もお手伝いさせていただいている「しあわせワイン倶楽部」さんが10周年を迎えました。全く畑違いからワインが好きだという思いだけで始められたショップ。最初は1年半も全く売上がないという状況から、今ではカリフォルニアワインといえば、というほどのショップに成長されました。ワインを買うと、水やワインの資料などおまけもおおく、本当に、買った人を幸せにしたいという気持ちが伝わってくるショップです。

その10周年記念としてワインを5本以上買えば必ず1本のワインをプレゼントするというキャンペーンを9月中行っています(なくなり次第終了、お一人様1回限り)。

プレゼントになるのは「絆」という意味のフランス産スパークリングワイン。ボルドー5級シャトーのオーナーであるボリー・マヌー家が手掛けているそうです。

このほか、5人に1人にワイナリーグッズをプレゼント、先着500人にハーブティまたはドライフルーツをプレゼントといつもに増しておまけ満載となっています。

今のおすすめワインとしては、今月中送料無料のセニスはぜひ抑えたいところ。


ロウアーのヴィオニエ、一時ほど話題になっていませんですが、このコスパはすごいです。


セインツベリーの熟成シラーはコスパ度で言えばセニスを上回るかもしれません。


サクラアワードでダイヤモンドトロフィーを取ったそのものです。


ウェンテのモーニング・フォグはカリフォルニアのシャルドネの原点と呼べるウェンテの中でも完成度の高いワイン。カリフォルニアワインファンだったら一度は飲んでおくべきワインです。

Date: 2021/0917 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ブリュワー・クリフトン、ダイアトム、シャトー・イガイタカハの漢字シリーズなどのワインで知られるグレッグ・ブリュワーが、シラーを作り始めています。「Ex Post Facto(エクス ポスト ファクト)」というのは「After the fact」という意味で、ブリュワー・クリフトンの枠から外れたワインを作ってみたいという意味合いがあるそうです。とはいっても別のワイナリーを作ったわけではなく、あくまでブリュワー・クリフトンのワインの一つとして売られています。

2016年のヴィンテージから作られていますが、国内輸入は2018年のヴィンテージから。このヴィンテージはヴィナスで94点、ワイン・エンスージアストでも94点と高い評価を得ています。

非常に冷涼な産地ですが、45~60日のスキンコンタクトと全房発酵によって、濃厚で個性あふれる仕上がりになったようです。

メルヴィルのワインメーカーだったころは秀逸なシラーをかなり作っていましたが、自身のブランドとしては初めてのシラー、興味深いワインです。

なお、輸入量はごく少量のようですので、買うなら早めに動くのが吉です。

Date: 2021/0916 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ひと目見たら忘れられない骸骨のラベルが印象的なクロニック・セラーズ。ラベルが派手なだけの色物のように見えてしまうかもしまいませんが、パソ・ロブレスの秀逸な生産者の一つです。先日コストコにいったら2種類入荷していたので飲んでみました。


左が2019年の「パープル・パラダイス」。セパージュはジンファンデルが70%、プティ・シラー17%、シラー9%、グルナッシュ4%です。ちょっと甘やかで、濃厚。甘草やスミレ、ブルーベリー、ドライプラムなどの味わいです。やわらかでふくよかなワイン。

右が2018年の「ソファ・キング・ブエノ」。セパージュはシラー58%、プティ・シラー27%、グルナッシュ10%、タナ4%、ムールヴェードル1%。スパイシーでやや硬質。フルボディで余韻も長い。個人的にはこちらの方が好みの味わいですが、ちょっと甘やかでふくよかなワインが好きならパープル・パラダイスをおすすめします。

ちなみにパープル・パラダイス2019はワイン・エンスージアストで88点、ソファ・キング・ブエノ2018は同じく90点でした。

今コストコでワイン買うならこれかマイケル・デイヴィッド、ヘスあたりが特にお薦めです。


Date: 2021/0915 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine-Searcherに世界で一番コスパの高い8ピノ・ノワールのトップ10を選んだ記事が載っていました(The World's Best Value Pinot Noirs | Wine-Searcher News & Features)。

ここでコスパの指標としては単純に評論家などのスコアを価格で割った数字を採用しています。また、スコアは91点以上のものだけ。あまりに入手しにくいものはリストから除外されています。

結果はこれです。
1 2017 Tabali Vetas Blancas Reserva Especial Pinot Noir, Limari Valley 6.06
2 2019 Errazuriz Aconcagua Costa Pinot Noir, Aconcagua Valley 4.97
3 2017 Tabali Talinay Pinot Noir, Limari Valley 4.89
4 2015 White Rose Estate Pinot Noir, Dundee Hills 3.39
5 2018 Domaine Nico Soeur et Freres Grand Pere, Mendoza 3.20
6 2017 Domaine Nico Soeur et Freres Grand Pere, Mendoza 3.17
7 2017 Cantina Terlano-Kellerei Terlan Monticol Pinot Nero Riserva, Alto Adige 3.10
8 2017 Hartford Family Winery Land's Edge Vineyards, Sonoma Coast 2.16
9 2018 Domaine Nico Soeur et Freres La Savante, Mendoza 2.02
10 2018 Anthill Farms Campbell Ranch Vineyard, Sonoma Coast 1.84

チリのリマーリ・ヴァレーにあるTabaliが1位と3位に入りました。アルゼンチンのDomaine Nicoが5、6、9位と3つランクイン。米国から3つ、イタリアから1つと、南北アメリカが優勢となる結果でした。カリフォルニアからはハートフォードのランズ・エッジ ピノ・ノワール 2017とアントヒル・ファームズのキャンベル・ランチ 2018が入っています。ちなみに2019年の同じリストではニュージーランドが9つはいっていましたが今回はゼロとなりました。

ヴィンテージ不明のものもありますが、日本で購入できるのは以下のワインです。

1位のタバリ ヴェタスブランカス Resエスペシアルです。


2位のエラスリス アコンカグア・コースタ。チリのジュヴレ・シャンベルタンという異名があるとか。


3位のタバリ タリネイ。
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10位のアントヒル・ファームズ。ヴィンテージも一致しています。コスパの高さで知られていましたが、今回数字でもそれが実証されました。


Date: 2021/0912 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ボーグルの最上級ワイン「ジャガーナット(Juggernaut)」が国内に入荷しています。ただし、非常に少量しか入っていないようなので入手は早いもの勝ち状態です。そして、最上級といっても税込み4000円前後なのがさすがボーグルといったところです。

輸入元のオルカ・インターナショナルの説明では以下のように書かれています。

カリフォルニアの超人気ワインBOGLEが保有する800ha以上の自社畑+91の契約農家のブドウ畑の中の最高ランクのブドウ、丘陵地の斜面/ヒルサイドのブドウのみを使用して造った ”Juggernaut~ジャガーナット” 
ジャガーナット:絶対的な力、不可抗力的なもの、人を犠牲にするもの

品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワール。ピノ・ノワールはロシアン・リバー・ヴァレーのAVA表記となっています。ラベルはかなりワイルドな感じ。

シマヤ酒店です。



Wassy'sです。


Date: 2021/0911 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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トーマス・リヴァース・ブラウンがワインメーカーを務める新しいプロジェクトがまた公開になりました(Napa Winery Project Finally Opens | Wine-Searcher News & Features)。が、今回は彼の入れ込み方も他のワイナリーと大きく異なっています。
エルーサ

このワイナリー「エルーサ(Elusa)」はナパのカリストガのフォーシーズンズホテルの中にあります。とはいえ現状ホテルはオープンしておらず、ワイナリーだけができた状態です。

このワイナリーのこだわりはカリストガ。自社畑もありますが、近隣の畑からもブドウを買い、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、ソーヴィニヨン・ブランを作っています。カベルネ・ソーヴィニヨンはカリストガらしい温かくジンファンデルやプティ・シラー、シャルボノといったカリストガらしい品種にも挑戦するようです。

特筆すべきなのは、このワイナリーはホテル開業に合わせて形だけ作ったようなものではないことです。なんと9年前の2012年からワインを作っています。カベルネ・フランなどは2013年まで自社畑で醸造、その後中断を経て2018年から別のブドウ畑から調達して再び作り始めたとのことです。

トーマス・リヴァース・ブラウン本人がカリストガに住んでおり、本人の入れ込み方も半端ではないようです。オフのときも、ホテルのバーでくつろぐ姿が見られそうです。


Date: 2021/0910 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴンワインの業界団体であるオレゴン・ワイン・ボードは2020年のレポートを公開しました(New Oregon wine industry report exposes effects of COVID and 2020 wildfires - Oregon Wine Industry)。天候不順や山火事の影響で収穫は大きく減りました。販売面では横ばいでしたが、海外への輸出は24%も増えています。

面積あたりの収穫量は24%減。これは晩春が冷え込んでブドウの房のサイズが小さかったことによります。
トータルの収穫量は秋の蒸気の収穫減と山火事の影響で29%減でした。
販売量は0.7%と微増。コロナの影響でテイスティングルームが開かれなかったため、消費者への直接販売(DtC)は27%減でした。
販売額は4%と販売量を上回る増加。単価が上がっているのがオレゴンの成長にとっては大きくなっています。例えばDtCで送付したワインの平均額は1本41.88ドル。ナパの59.92ドルの次に高い地域となっています。
海外への販売は24%増。おしなべてすべてのエリアで増えています。カナダへの輸出が輸出全体の46%と依然として多く、このほかメキシコ、英国、欧州、香港、日本が主要なマーケットです。
Date: 2021/0909 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジのブログに、エステートのカベルネ・ソーヴィニヨンの記事が出ていました(An Elegant Version of Monte Bello Made from Select Parcels - Ridge Vineyards)。リッジといえばフラッグシップのモンテ・ベッロのカベルネ・ソーヴィニヨンが有名ですが、この「エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン」はセカンドワインではなく、ファーストワインとして作っています。

以前は作ったワインの中から樽ごとに比べていいものをモンて・ベッロ、残りをエステートという形でファーストとセカンド・ワインという位置づけになっていましたが、現在は、最初からエステート用のぶどうを分けて作っており、どちらも「ファースト・ワイン」だといいます。

ではモンて・ベッロとの違いはなにかというと、熟成に要する時間です。モンテ・ベッロは長い期間熟成させてから飲むことを想定しているのに対し、エステート・カベルネ・ソーヴィニヨンは最初から美味しく飲めるように醸造しています。

リッジのエステート・カベルネ、1万円程度のカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンの中ではベストの一つだと思います。長期熟成向けではないといいっう、10年から20年くらいは余裕で熟成します。非常にすばらしいワインです。


Date: 2021/0907 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今期は6回の講座を2本と単発講座3本を出しています。

6回の講座の1つ目は「カリフォルニアワイン ベーシックマスター」。ナパ、ソノマなどカリフォルニアの代表的なワイン産地の特徴を学び、その地域を代表するようなワインを試飲します。4月から9月まで行った講座とタイトルは同じですが内容はブラッシュアップしています。試飲のワインもより面白く満足度が高いようなものを選んでいます(そのせいで受講料もちょっと上がってしまいましたが)。タイトルはベーシックですが、試飲のワインはベーシックレベルを超えているとのもっぱらの評判。フラッグシップ級のワインが必ず試飲に入ります。多少お勉強モードも入りますが、地域の特徴がよりよく分かると思います。

もうひとつは「対決・カリフォルニアの名門ワイナリー
第1回 ロバート・モンダヴィとオーパス・ワン、コンティニュアム
第2回 リッジとスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ
第3回 カレラとオー・ボン・クリマ
第4回 シェーファーとジョセフ・フェルプス
第5回 キスラーとオーベール
第6回 ターリーとベッドロック
という構成で、毎回2つのワイナリーを学んでそのワインを比較試飲するという面白く勉強になる講座です。カリフォルニアワインファンなら絶対楽しめます。

単発の講座は以前「カリフォルニアの超一流ワイナリー」として開講した3回のコースを1回ずつに分けたもの。この講座はワインがかなり高額で受講料も高くなるので、来られない回があるとかなりもったいない(他の講座に振替はできますが)。そこで、より申し込みやすいように1回ずつで申し込める形にしました。コルギン編が12月8日、シュレーダー編が1月19日、ハーラン編が3月2日です。

ワクチン接種が進めば、ワイン会などもできるようになるかなと思っていましたが、デルタ株の登場などで、まだしばらくは難しそうな状況が続きます。ワインスクールではマスク着用はもちろんのこと、換気も十分に行い、不必要な会話もなしで安全にワインが楽しめます。この状況だからこそぜひ受講いただけらばと思います。
講座イメージ
Date: 2021/0906 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ナパのラザフォードにある名門ワイナリー「クインテッサ(Quintessa)」の2018年を試飲し、ワイナリーの方々に話を伺いました。昨年に続くインタビューです。

昨年のインタビューはこちら。
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力



クインテッサの説明を全部再掲すると長くなりすぎるので、簡単にまとめておきます。
クインテッサはチリのコンチャ・イ・トロのCEOだったアグスティン・ヒューネウスが1990年に設立。当初から有機栽培、現在はバイオダイナミクスでブドウを栽培しています。ワイナリーの名の付いたカベルネ・ソーヴィニヨン系ワイン1つだけを作っており、セカンドワインも出していません。200エーカーを超える自社畑は斜面や土壌など多様な環境。ほとんど米国内にしか出荷していませんでしたが、2019年からはオーパス・ワンなどと同様に、ボルドーのネゴシアン経由で世界市場にも販売しています。

初めに、昨年の火事の影響(クインテッサはグラスファイアーでワイナリーの直接被害があったところからあまり距離がありません)を聞きました。

2020年はシェーファーなどワインの醸造を諦めたワイナリーも少なからずありましたがクインテッサでは収穫・醸造をしています。一番の理由は「火事はこの年だけでなくまた起こる」から。そのときにどうやって対処するのがいいのかを学ぶために収穫も醸造もしたとのこと。したがって最終的にどういう形でワインになるのか、あるいはならないのかはまだわからないようです。

また、2021年のヴィンテージについては干ばつの影響が大きく、ブドウの木が十分に育たず、タンニンがハードになりがちだとのこと。気温は温暖だが暑くはなく、早めの収穫になりそうだとのことでした。

コロナの影響で収穫の労働力確保が大変という話もありますが、クインテッサでは自社で収穫のチームを持っているため、そういった問題はなさそうです。

クインテッサでは現ジェネラル・マネージャーのロドリゴ・ソト氏の就任以降、畑をより精緻に調べ、最適な栽培法などを追い求めています。昨年話を聞いたときには土壌の影響を調べるために畑に穴を掘って根の張り方などを見ているといったことがありました。例えば火山性の灰が固まった「モン・カリース」という土壌では、想像以上に水を保持せず、それがここの区域のブドウのタンニンをきついものにしていることがわかりました。そこでカバークロップを増やしたり、灌漑の水を増やすことで、やわらかいタンニンに変わりました。それまではブレンドから除外されることも多かったブロックですが、今では最重要なブロックの一つだそうです。

2018年のヴィンテージではイタリアから剪定の専門家を呼んで剪定についても調べているとのことでした。その結果、太い幹を横には這わせないコルドンの方が合っていることがわかってきたそうです。ただ単にバイオダイナミクスで栽培すればそれでいいというわけではなく、ブドウ栽培のいろいろな要素がワインに複雑に絡み合っていることが伺えます。

さて、2018年のワインですが、2017年には入っていなかったカベルネ・フランが加わりました。92%CS、2%Merlot、3%CF、2%Carmenere、1%PVという構成です。カルメネールが入っているのが、コンチャ・イ・トロ出身の創設者のこだわりの一つです。

カベルネ・フランは温かいヴィンテージはあまりよくなく2017年には入れてなかったのですが、2018年は涼しかったので加えたそうです。

カシスやブラックベリー、ブルーベリーといった青黒系の果実未に加え、杉やコーヒー、トースト、タバコといったフレーバーが顕著に見られます。緻密なタンニン。酸はやや高め、フルボディで非常に長い余韻。素晴らしいワインです。モダンナパ系というよりも、CASK23やアイズリー、リッジのモンテ・ベッロのようなクラシックなスタイルに近いワイン。20年30年の熟成でむちゃくちゃ美味しくなると思いますが今も十分に楽しめます。

ちなみにジェームズ・サックリングはこのヴィンテージに99点を付けています。2018年は今月出荷が始まっているので日本市場にも年内には入ってくると思います。リッジのモンテ・ベッロやCASK23、アイズリーと比べれば1万円以上安いですから、このスタイルのワインが好きな人には狙い目のワインの一つです。

こちらは前ヴィンテージの2017。

Date: 2021/0905 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのカーネロスをピノ・ノワールの有力生産地として有名にした立役者であるセインツベリー。昨年はピノ・ノワールのほか、シャルドネ、シラーで10数年熟成したワインが格安で入荷していました。個人的にはその中でもシラーが優秀と感じていましたが、新たにシラーで別の畑のものが登場しました。

参考:セインツベリーのオールド・ヴィンテージ単一畑が格安で

今回はソノマ・ヴァレーのサウィ(Sawi)ヴィンヤードという標高の高いところにある冷涼な畑。検索すると女性ワインメーカーのカレン・キュラーのワイナリーでここのシラーを作っていますが、様々なメディアで90点前後の点を取っている優良な畑です。

ヴィンテージは2006年で、15年熟成。こちらも期待できそうです。

柳屋


こちらはもうひとつのシラーです。ショップはしあわせワイン倶楽部。

Date: 2021/0903 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パソ・ロブレスで最大級のワイナリーであるジャスティン(Justin)の親会社が、ナパの人気ワイナリーであるルイス(Lewis)を買収することが明らかになりました(Exclusive: Paso Robles' Justin Vineyards and Winery Buys Napa's Lewis Cellars)。買収金額は公表されていません。

ルイスはレーシングドライバーだったランディ・ルイスが1999年に設立したワイナリー。2016年には2013年のカベルネ・ソーヴィニヨンでワインスペクテーターのワインオブ・ザ・イヤーを獲得しています。果実味濃厚で、しっかりした味わいのワインとして人気を誇っています。

ジャスティンの親会社であるワンダフル・カンパニーはフィジィ・ウオーターやピスタチオ、アーモンドの会社など幅広く手掛けており、ソノマのランドマーク・ワイナリーも保有しています。


今回の買収の真意については不明ですが、敵対的なものではなく、ルイス側も歓迎しており、ランディ・ルイスや現社長でランディの亡き妻デビーの息子であるデニス・ベル以下全ての従業員もこれまで通りであるとしています。また、ルイスの輸入元である中川ワインにも変更ありません。

ルイスのインタビュー


Date: 2021/0831 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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このブログでも、ここ数年で何度も取り上げているのがシャイド・ファミリー。モントレーの優良生産者です。米国でもここ2、3年でメディアに取り上げられるのが急増していると思います。実際に生産量も大きく増え、人気のブランドを輩出しています。

ここは元々栽培家として始めたところで、他のワイナリーにブドウを販売するのが中心でした。それをこの10年くらいで自社生産に大きく力を入れるようになったのです。モントレーで最大の畑の持ち主で、しかもすべてサスティナブルの認証付き、今後は有機栽培にもしていくことを表明しています。

モントレーのサリナス・ヴァレーは海に近い冷涼なところだとサンタ・ルシア・ハイランズやシャローンなどがあり、海から離れた温暖なところだとアロヨセコなどがあり、様々な品種に向いた土地が見つかります。品種の特性を生かしたワインを安く作る、それがこのワイナリーの特徴となっています。

その代表的なブランドの一つがランチ32(Ranch32)。2000円前後のカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネでは、コスパ最高峰に間違いなく入るワインです。

ほかにも先日紹介したオッド・ロットや、低アルコール低カロリーを売りにするサニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズなど面白いものもいろいろありますが、まずはだまされたと思ってでもランチ32を飲んでみてください。

柳屋には新ヴィンテージが入っています。ラベルデザインが新しくなりました。


Date: 2021/0827 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Vineyard
ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが日本経済新聞社と、ワインと料理のオンラインセミナーを開催します。登録で無料視聴可能ですが、ダックホーンのメルローとメリーヴェールのソーヴィニヨン・ブランの付いた有料セットもあります。

カリフォルニアスタイルを味わう(初歩から学ぶナパワイン講座2021) | 日経イベント&セミナー

日時:2021/9/27(月) 19:30~21:30
受講料:無料(視聴のみ)、1万5000円(ワインを含む、送料・消費税込み)

有料参加者には以下の特典もあります。
・講師のプレゼンテーション資料(抜粋)をお渡しします。
・ZOOMウェビナーのQ&A機能を使って、講師に直接質問ができます。
・アーカイブ映像(限定公開)をご覧いただけます。
・ワインとともに、カリフォルニアプルーンのサンプルと、カリフォルニアプルーンを使ったレシピ集をお届けします。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズといえば、ワインと料理のペアリングの名手である小枝絵麻さんがいらっしゃいますから、料理の方も充実したものになるのではないかと思います。
Date: 2021/0826 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)には2つのインポーターに向けて日本専用に作っているワインが2つあります。中川ワイン用に作っているのが「ミッション・ラベル」、JALUX用に作っているのが「ツバキ・ラベル」です。ツバキ・ラベルと聞くと、椿の絵柄なのかと思ってしまいがちですが、そうではなく現代美術家の椿昇(つばき・のぼる)氏が初めてワインのラベルデザインとして手掛けたものです。「酵母の精霊」をイメージしたものだとのことです。2012年のヴィンテージから造られています。

オー・ボン・クリマのワインはコストパフォーマンスの高さで知られていますが、このツバキ・ラベルも実売3000円前後と、かなり格安になっています。今回はシャルドネとピノ・ノワールの2019年を飲みました。アメリカワインクラブのオンラインワイン会に参加させていただいて飲んだワインです。

シャルドネは第一印象は、割と樽が効いています。酸はやや高く、スイカズラや洋梨、白桃、濡れた石などの風味を感じます。きれいで品がいいワインですが、ほどよいオークの風味で万人受けする味わいに仕上げていると思います。

ピノ・ノワールは少量モンデュースがブレンドされているとのこと。そのせいかわかりませんが、甘草やザクロの風味でやや甘やかさを感じます。もちろんチェリーやストロベリーの風味も。

どちらも高級な味わいというより、だれもが喜んで飲む味わいを目指しているように思いました。サンタ・バーバラのワインの入門として間違いのないワインです。

しあわせワイン倶楽部です。



リカマンです。



ウメムラです。

Date: 2021/0825 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2021年は記録的な干ばつで非常に乾燥しており、山火事の懸念が大きくなっています。7月13日にシエラネバダ山脈で起こったディクシー・ファイアー(Dixie Fire)はまだ燃え続けており、単独の山火事としては過去最大、複合的な山火事を含めてもこれまでで2番めの規模となっています。ただ、この火事はワインの栽培地域からは北のほうにあり、これまでのところワイン産地での大きな影響は報告されていません。

ところが、8月14日に発生したカルドア・ファイアー(Caldor Fire)は、シエラフットヒルズの中でも中心的なエル・ドラド(El Dorado)AVAの中で発生しており、エル・ドラド郡のワイナリーには避難命令も出ています。日本でも人気の高いシダーヴィルの畑からは5kmのところまで火事が近づいてきているとのことで、かなり心配です。

レイクタホ

写真は火災から北東方向にある観光地レイクタホのもの。かなり煙が広がっています。また、北寄りの風が吹くときにはサンフランシスコ方面でもかなり煙の影響が出ています。

今のところエル・ドラド以外では煙汚染を含めて火事の影響は大きくは出ていませんが、今後の行方が気になります。


Date: 2021/0822 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのシュレーダーなどのカベルネ・ソーヴィニヨンで知られるワインメーカーのトーマス・リヴァース・ブラウン。20回を超える「パーカー満点」を取っているトーマス・ブラウンですが、ソノマ・コーストのピノ・ノワールでもトップクラスのワインメーカーです。自身のリヴァース・マリー(Rivers-Marie)ではVinousでカリフォルニア・ピノ・ノワールとしては初めての100点を取っています。

ナパでは二桁のワイナリーのコンサルティングをするトーマス・ブラウンですが、ソノマでは非常に限定したワイナリーでしか作っておらず、私の知る限りでは4つにとどまります。リヴァース・マリー、センシーズ(Senses)、ボアズ・ビュー(Boar's View)、そして今日の主題のアストン(Aston)です。この中でセンシーズはリヴァース・マリーでも扱うシエリオットの畑のオーナーの息子が始めたワイナリーで、トーマス・ブラウン自らワインメーカーを申し出たそうです。

残りの2つはシュレーダーの創設者であるフレッド・シュレーダーと始めたワイナリー。ボアズ・ビューはシュレーダーがオーナーで、マーカッシンとの対抗意識を打ち出したワイナリー。ラベルにイノシシのデザインをあしらい、畑はマーカッシンの畑を見下ろすところにあることからボアズ・ビューと名付けたと言われています。非常にパワフルでマッチョなピノ・ノワール。

一方、アストンはソノマ・コーストの北端の街アナポリス近くのワイナリー。シュレーダーとトーマス・ブラウンとあと一人の3人が共同オーナーとして開発しました。太平洋からも近い非常に冷涼なところに畑があります。ソノマの畑開発の第一人者と言われた故ユリシス・ヴァルデスに開発を依頼した畑(ボアズ・ビューもそうですが)。こちらはソノマ・コーストの冷涼感とパワーを併せ持った「細マッチョ」なワイン。個人的にはトーマス・ブラウンのピノ・ノワールの中でも一番魅力を感じているワインです。

ただ、セールス的には期待したほど伸びていないとの話もあり、今年4月にはトーマス・ブラウンが単独オーナーになっています。

それが関係しているのかどうかわかりませんが、国内の希望小売価格が2017ヴィンテージで1万3000円から1万円と3000円も下がりました。ショップによっては税込みでも1万円を切っています。

ソノマ・コーストの中でも「トゥルー・ソノマ・コースト」と呼ばれる北部の丘陵地帯にはマーカッシンをはじめ、ウェイフェアラーなどソノマのトップクラスのピノ・ノワールのワイナリーがひしめき合っていますが、実力的にはこれらと十分に張り合えるものがあるアストン。ソノマのピノ・ノワール好きなら飲んでおくべきワインです。

しあわせワイン倶楽部です。


柳屋です。


Wassy'sです。

Date: 2021/0820 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインあとりえにヘンドリー(Hendry)のカベルネ・ソーヴィニヨンが再入荷しています。ヘンドリーといっても知らない方が多いかもしれませんが、1980年代から90年代にかけてはオーパス・ワンやロバート・モンダヴィのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブにも使われていたという銘醸畑です。ヘンドリーのカベルネ・ソーヴィニヨン、特に「ブロック8」と名前が付いたワインも一時期日本で非常に人気がありました。このブロック8がヘンドリーの畑の中でも最良のブロックとされ、オーパス・ワンなどに使われていたところです。
ヘンドリー

ヘンドリーの畑はAVAでいうとオークノール。ナパ市近くのナパのAVAの中ではそれほど有名なところではありません。マヤカマス山脈の麓のなだらかな丘にあります。ヘンドリー家は1930年代からここに畑を持っており、1970年代にブドウを育て始めました。80年代にはモンダヴィにその品質を認められ、ピノ・ノワールやシャルドネ、そしてカベルネ・ソーヴィニヨンを供給するようになり、オーパス・ワンにも使われていました。1992年からはヘンドリー自身でもワインを作るようになり、次第に外部への供給は減っていったようです。なお、現在のオーパス・ワンはオークヴィルのト・カロンの専用ブロックを含む自社畑のブドウのみを使っています。

ロバート・モンダヴィでワイン醸造の責任者を長年勤めているジュヌヴィエーヴ・ジャンセンズは、この畑の実力を知り抜いており、彼女のプライベート・ブランド「ポートフォリオ(Portfolio)リミテッド・エディション」ではカベルネ・ソーヴィニヨンのメインのソースとしてヘンドリーを今も使っています。

現在はヘンドリーのワインでも「ブロック8」だけのものはなくなりましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンのメインの部分として使われています。3万円を超えるポートフォリオと同じ畑で1万円で買えるのは、やはり栽培家自身のワインのメリットと言えるでしょう。なお、HRWというセカンドのワインもあります。





Date: 2021/0819 Category: 業界ニュース
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ケンダル・ジャクソン、ラ・クレマ、ヴェリテなどで知られるソノマ最大のワイン会社ジャクソン・ファミリー・ワインズは2030年までにCO2の排出を半減すると発表しました。2050年には排出量よりも吸収量の方が多い「クライメート・ポジティブ」に転換するとしています。これらの活動を「Rooted for Good」と称しています。CO2の排出だけでなく、エステート・ヴィンヤードの再生可能な農業への移行、スマートな水管理方法の導入、従業員とコミュニティの健康のためにさらなる投資などを含んでいます。

Jackson Family


ジャクソン・ファミリーは2015年以降二酸化炭素の排出を17.5%減らしており、水の使用量も43%削減などサステナビリティに努めてきました。

今後は再生可能エネルギーへの投資を継続し、風力タービンやソーラーパネルの設置、ゼロエミッションの社用車への移行、ブドウ畑での土壌炭素隔離の取り組みを率先して行うことで、これらの目標を達成すると述べています。

二酸化炭素の排出は、ブドウをワイナリーに運ぶトラクターのガソリン、タンクでの発酵に必要な電力、ワイン小売店への大量のワインのトラック輸送などが含まれます。
Date: 2021/0818 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイン好きであれば、夢見るであろう驚くべきプロジェクトが明らかになりました(Fairest Creatures and Where to Find Them | Wine-Searcher News & Features)。

フェアレスト・クリーチャーズ(Fairest Creatures)というこのプロジェクト、なんとトーマス・リヴァース・ブラウン、フィリップ・メルカ、ブノワ・トゥケというナパのエリート・ワインメーカー3人が同じブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン)からワインを作るというもの。さらに3人が作ったワインの中から最良のものをミシェル・ロランがブレンドしたものまで作ってしまいます。

このプロジェクトを始めたジェイソン・フーという人はナパのカベルネのファンで、様々なワインを飲むうちに、いわゆるテロワール以上に、そのワインを作る人が大事だと思うようになったとのこと。そこで、このプロジェクトではオークヴィルやラザフォードなどナパの銘醸畑のいくつか(名前は明かされていません)からブドウを買ってそれを最高のワインメーカーに作ってもらうことにしたのです。
Fairest Creatures
レアム・セラーズ(Realm Cellars)やKata、自身のティーター・トゥッター(Teeter Totter)などで知られるブノワ・トゥケが作るワインは「シネ・フィーネ(Sine Fine)」。

レイル(Lail)やダナ(Dana)、自身のMelkaなどで知られるフィリップ・メルカが作るワインは「ポリスプライン(Polyspline)」。

シュレーダーや自身のリヴァース・マリーなどで知られるトーマス・ブラウンが作るのは「ペリヘリオス(Perihelios)」。

ワインのスタイルはメルカが一番クラシック、トーマス・ブラウンが一番果実味を前面に出したスタイル、ブノワ・トゥケがその中間となっているようです。

販売はメーリングリストで、各ワインが2本ずつの6本セットで4800ドル。また、3つからブレンドして作ったトリニセロス(Triniceros)はマグナムのみで6400ドルとさすがの強気のお値段です。

ドリーム・チームによるワインはどういう結果を生み出すのか興味深いものがあります。
Date: 2021/0817 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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有機栽培の畑が増えてきています。これまでは高級ワインにだけ使われていた印象がありますが、「2バック・チャック」の愛称で知られるCharles Shawなどの安ワインを作るブロンコ・ワインはセントラル・ヴァレーの4万エーカーのうち8000エーカーを有機栽培に転換し、4ドルのワインとして売っています。モントレーのシャイド・ファミリー(先日紹介したオッド・ロットの生産者)も3000エーカーの自社畑を有機栽培に転換している途中です。実は経済的に有機栽培の方が慣行栽培よりも儲かるという記事が出ていました(Why Organic Winegrowing Can Be More Profitable Than Conventional | SevenFifty Daily)。

大きく分けると有機栽培と慣行栽培のコストには以下の要素が絡んできます。
・栽培にかかわるコスト
・ブドウの収穫量
・ブドウ樹の寿命

栽培に関するコストはさらに以下のようなものからなります。
・薬剤などのコスト
・労働力
・資材などのコスト
・機材などのコスト

これらはこれまで有機栽培の方がかなり多いと思われてきましたが、近年はほとんど変わらなくなっているといいます。
例えば薬剤では慣行栽培の除草剤はかなりコストがかかっていました。肥料は有機栽培の方が少しかかりますが、防カビ剤などは有機の方が安くなっているといいます。トータルするとあまり変わらなくなっているとブロンコ・ワインの有機転換のアドバイザーであるルカ・ブリランテ助教授はいいます。

労働力は有機栽培の方がかかると言われ、実際畑のマネジメント会社によっては有機栽培で30%高い料金を設定しているところもありますが、ナパの有名な栽培家であるスティーブ・マサイアソンは、これも上手にやることでほとんど変わらなくなっているといい、実際に有機も慣行栽培も同じ料金にしているとのことです。

Monarch Tractor

ロバート・モンダヴィの孫でありRaen(レイン)ワイナリーでピノ・ノワールなどを作るカルロ・モンダヴィが携わる新世代のトラクター「モナーク」(写真)も労力の低減に役立っており、引く手あまたの大人気だそうです。太陽光発電で動き、さまざまなインテリジェントな機能を搭載しています。5万8000ドルと高価ですが、購入にはかなりの補助が出るようです。

ブドウの収量に関しては、有機の方が少なくなっています。ブロンコ・ワインでは面積あたりの収量は30%ほども減っているとのこと。ただ、これは慣行栽培の方がNPKと呼ばれる肥料によって「水栽培のように」(スティーブ・マサイアソン)育てているからだという見方もあります。実際、チリのエミリアーナのCEOであるクリスチャン・ロドリゲスによるとクローンやコンポストや栽培の向上でほとんど違いはなくなったといいます。

ブドウの寿命については有機栽培の方がかなり長いと見られています。実際どれだけ長寿になるかの数字はまだないようですが、「10年寿命が延びれば経済モデルとしてはすごくよくなる」とスティーブ・マサイアソンは言います。

最後に、販売面でのメリットがあります。フランスではオーガニックやバイオダイナミックの生産者の方がより利益が出ているというデータがありますし、評論家の評価が高くなり価格も高く付けられるとされています。過剰生産が問題になりつつあるカリフォルニアでは差異化を図れるという意味でも有機栽培のメリットは大きいと見られています。

栽培に関するコストなどは地域性も大きくかかわるため、この議論がすべての地域に通用するとは限りませんが、カリフォルニアに関して言えば、有機栽培のメリットはデメリットを上回ることが多くなってきそうです。

興味深い記事でしたが、より定量的な評価を見てみたいものです。
Date: 2021/0815 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部にポール・ラトーの新ヴィンテージのワインがいくつか入荷しています。

シラーのビエン・ナシード・ヴィンヤード「イル・パドリーノ」2018はジェブ・ダナックが100点、ワイン・アドヴォケイトでは96点,
ヴィナスでは95点が付いています。一番低い点のヴィナスのアントニオ・ガッローニでさえ「トータル・ノックアウト」「ファビュラス」と絶賛しています。

ナパの銘醸畑ハイドのピノ・ノワール「マジック・モーメンツ」2018はアドヴォケイトで97+。ジェブ・ダナックは96点。ただしヴィナスは88点というかなり辛口の評価。味が抜けてしまっているとしています。アドヴォケイトの方は「パワフルでありながら羽のように軽い、驚くべきワイン」と、ちょっと同じワインの評価とは思えないほどですが……

3つ目は同じくハイドのシャルドネ「ゴールドバーグ・ヴァリエーションNo.1」2018。アドヴォケイト96、ジェブ・ダナック97、ヴィナス94となっています。




Date: 2021/0814 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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「オッド・ロット」というのは、株式の用語で最少取引単位に満たないような端株のこと。ワインでは、ほかのワインに入らなかった余り物みたいな感じで使われる言葉のようです。こんな奇妙な名前を持つワイン「オッド・ロット」。ラベルにはアメリカの新聞漫画のキャラクターとして古くから人気のMuttとJeffのコミックをあしらっています。




最初の2016年のものはプティ・ヴェルドとプティ・シラーというかなりユニークなブレンドでしたが大人気。実売3000円弱という手に取りやすい価格でもあり、最初の輸入分はあっという間に完売してしまうほどでした。

最新の2019ヴィンテージは上記のブレンドに加えて、シラーとカベルネ・ソーヴィニヨンというブレンドも追加されました。カベルネシラーというのは、上記に比べれば珍しくありませんが、カリフォルニアではあまり見かけないような気がします。今回はこちらのワインを飲みました。

ブドウはモントレー・カウンティのもの。実はこのワイン、コスパワインでトップクラスのシャイド・ファミリーによるブランドの一つで、シャイドのモントレーの畑のブドウで造られています。

シラーとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドというとかなりビッグなワインを連想すると思いますが、非常に果実味豊かながらバランスもよく、それほどビッグな印象はありません。アルコール度数も13.5%と中程度です。果実味はカシスやブルーベリーなど青黒系が中心、タンニンは少なめでまろやか、酸がやや高いのが、バランス良く感じる理由だと思います。飲んで楽しいワイン。オススメです。

古武士屋です。
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ドラジェです。


ワイン・カリフォルニアです。
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ミュズレです。

Date: 2021/0812 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ペタルマ・ギャップにある有名なシラーの畑「Griffin's Lair(グリフィンズ・レア)が2021年の収穫を断念しました(Severe drought forces one of Sonoma’s foremost Syrah vineyards to make no wine this year)。

グリフィンズ・レアはベッドロックやパックス、アルノー・ロバーツ、ドネランといったシラーの名手たち御用達の畑。ワイン・アドヴォケイトではこれまで最高97点が付いています。

今年はこれまでで一番ひどいとも言われている旱魃で、水の利用が大幅に制限されています。その中で、ここの畑のブドウは完全に熟さない可能性がでてきてしまったと言います。それでもなんとか今年の収穫をするという選択肢もありえますが、オーナーのジョン・フリンによると、それをしてしまうと来年以降の樹の健康に大きな影響が出てしまうとのこと。

今年を取るか来年以降を取るかというところで、来年以降にかけることになりました。昨年の煙汚染に続き、多難なヴィンテージとなってしまいました。
Date: 2021/0811 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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昨日に続いてウメムラのセットです。こちらはナパの高級カベルネだけを4本集めて35200円。通常価格だと47718円するところが約12000円、3割近くも安くなっています。さらに2000円のクーポンも利用可能。ただ、送料は別途必要です。

ラインアップはなかなかのもの。スポッツウッドのセカンドに、スタッグスリープワインセラーズのセカンド(ナパブレンドもの)、フォーマン、オショネシーとなっています。

スポッツウッドはナパのマルゴーとも呼ばれるエレガント派。セカンドも定評あります。スタッグスリープワインセラーズは言わずとしれたパリスの審判の覇者。アルテミスは購入ブドウも含みますが、品質は上々です。フォーマンはナパ初期からのスターワインメーカー。40年を超えるキャリアを持ち、実質本位でワインの価格を上げないワイナリーでもあります。これはオフヴィンテージと言われる2011年ですが、アドヴォケートの評価は91-93と上々。収量を例年の半分に落として品質を維持したそうです。オショネシーはあまり名前は知られていないかもしれないですが、ここ10年くらいで台頭してきたワイナリー。今回の2016年はアドヴォケートで94点の高評価です。

1本あたり1万円足らずでこれだけの実力派がそろうのはかなりいいと思います。



Date: 2021/0810 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ウメムラでアメリカワインのセットが売られてます。9本で8本はカリフォルニア、残り1本はオレゴンのピノ・ノワールです。価格は2万6400円で通常価格より約5000円安くなっています。さらに、1000円のクーポンが利用可能、しかもクール便での送料無料とかなりお得です。

内容はカベルネ・ソーヴィニヨンが4本、ピノ・ノワールが2本、ジンファンデルが2本、メルローが1本と赤尽くし。

クロ・ペガスのミツコズ・ヴィンヤード メルローとか、コッポラのディレクターズカット カベルネ・ソーヴィニヨンとか、平均3000円足らずにしてはオッと思うワインが入ってますし、安いものも納得できる品質のもの。「これは要らないなあ」というワインがないのがいいところです。


Date: 2021/0809 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ピーター・マイケルのシャルドネ「ポイント・ルージュ」が勝田商店に入荷しています。ピーター・マイケルのメーリングリスト会員になっていても、このワインだけはめったに割当がないというレア物です。

ピーター・マイケルの初代ワインメーカーは、ヘレン・ターリー。今は自身のマーカッシンに専念している、「ワインの女神」です。彼女が樽から試飲したときに、特別に素晴らしいと思った樽に赤く目印を付けていたことから名付けられたワイン。

ピーター・マイケルのシャルドネはこれまで7回「パーカー満点」を取っていますが、うち5回はこのポイント・ルージュ(後の2回はもう一つの入手困難モノである、キュベ・インディジェネ、オールド・ウェンテ・クローンだけを使ったスペシャルワインです)。カリフォルニアのパーカー満点シャルドネの中でマーカッシン・マーカッシンが7回と最多ですが、次がこれ。コングスガード「ザ・ジャッジ」の3回を上回ります。

5万円という価格はもちろん安くないですが、上記2ワインと比べたらまだだいぶ安いです。





Date: 2021/0807 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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嫌になるほど暑い日が続きますね。夏は好きですが、さすがに濃い赤ワインよりは爽やかなワインに手を出すことが多くなります。今も格安なカベルネ・セットを見ながら「でも今これ買いたいか?」と思ってしまい、代わりに今飲みたい爽やかワインを紹介することにしました。

今年の初めに飲んだワインですが、ビリキーノのマルヴァジア・ビアンカ、ペティアン・ナチュレル。発酵中にボトル詰めする一次発酵の「ペットナット」です。

タイトルでは爽やかとしてしまいましたが、グレープフルーツのようなちょっと苦味のある爽やかさに加えて、トロピカルな風味もあるところが、普通のシャルドネベースのスパークリング・ワインと違っていて面白い味わいです。泡はきめこまかいですがペットナットなのでそこまで強くありません。「泡はあんまり」という人でもこれくらいなら大丈夫だと思います。



Date: 2021/0806 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2021年のブドウの収穫が始まりました(2021 Harvest is officially underway! | Harvest Napa Valley)。
honig
例年ならばDomaine Chandonが口火を切るのですが、今年はHonigとSt. Superyのソーヴィニヨン・ブランが3日に収穫を初めました。Chandonは続く4日に収穫開始。

今年の収穫は今のところ大きな問題はありませんが、旱魃が進んでいるため、心配事の絶えないシーズンになりそうです。

何より気になるのは山火事で、旱魃による乾燥のため、一度火がつくと燃え広がりやすく、大きな被害になる恐れが高まっています。

またワイナリーにとっては、山火事のせいで保険料が大幅に上がっていることも悩みのタネのようです。
Date: 2021/0804 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「しあわせワイン倶楽部」の今月の送料無料ワインにセニスが選ばれています。超格安で話題になったワイン、まとめ買いのチャンスでもあります。

セニスはパーカー100点を15回取っているソノマのヴェリテ(Verite)の親子銘柄。ヴェリテ創設時からのワインメーカーであるピエール・セランの娘がワインメーカーを努めます。

その娘が、高齢となった父を引き継ぎヴェリテを任されることになり、セニスは打ち切りへ。そのため今回限りの特別価格が実現したのでした。

ヴェリテの価格は7万円くらい。ピエール・セランが手掛けるもうひとつのワイナリー「アナコタ(Anakota)」も1万円台後半の価格。それと比べると今回のセニスの3000円台というのがどれだけ破格かわかるでしょう。しかも実際に評価も高くワイン・アドヴォケイトでは94点が付いているワインです。

以前に書いた試飲レポートです。
色は濃い目。香りは非常に強く、グラスを顔に近づける前から香りが漂ってきます。赤スグリ、クランベリー、ブラックベリー、濡れた石、トースト、杉に腐葉土やマッシュルームの風味もあります。2016年とまだ若いですが、少しだけ熟成の風味も出始めているようです。ボディはミディアムプラスからフルボディ。カベルネ・ソーヴィニヨンのような力強さにしなやかさをプラスしたような味わいと言えばいいでしょうか。この凝縮感で4000円はお買い得です。もう5、6年ほど熟成が進むとさらに美味しくなってきそうなワインです。


同梱ワインも送料無料になります。ただしこの時期、「クール便」は必ず付けましょうね。
Date: 2021/0803 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Arilのカベルネ・ソーヴィニヨンを紹介して、瞬間的に蒸発させてしまったメンタリストのDaiGoさんが今度はダブル・ダイヤモンドを紹介しています。
視聴はこちらから

非常に的確な説明で上手ですね。さすがです。
なんといってもモンダヴィのト・カロンとベクストファー・ト・カロンのブレンドという、シュレーダーでなければできない組み合わせを使ったワインですから1万円でも格安です。




ココスです。


しあわせワイン倶楽部


Wassy's

Date: 2021/0802 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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日本人醸造家の桃井隆宏さんが作るアーサー・セラーズのピノ・ノワール、2018年のKR Ranchを飲みました。KRランチというとどこだろう、という感じですが、実はコスタブラウンなどのワインで知られているキーファー・ランチのことです。

果実味が優しく、染み入る美味しさ。タイトルで「おいしくてうまい」と書いたのはただ果実味のおいしさがあるだけでなく鰹節系の旨味もしっかり感じられるから。

熟成しても美味しいと思うのですが、このままで十分に美味しいのでついつい若いうちに飲みきってしまうのが難点?かもしれません。コスタブラウンのキーファー・ランチと比べたら3分の1くらいと圧倒的に安いので、開けるときの罪の意識が少ないのです。

この親しみやすさは、桃井さんの師匠のエド・カーツマンさんのワインにも通じるところ。どちらもいいワインです。



Date: 2021/0731 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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7月21日に、E&J.ガロとボニー・ドゥーンのランドール・グラームが新しいワインを作るというニュースが出ていました。大量生産でコンシューマー向けの安いワインを作るというイメージの強いガロと、強烈な個性を売り物にするランドール・グラームとの組み合わせに真意を測りかね、記事にするのを迷っていたのですが、同じように不思議に感じたW.ブレイク・グレイ氏がグラームに取材して記事に書いていたので紹介します(Gallo and Grahm: Wine's Marvel Team-up)。

ランドール・グラーム

そのワインの名前はThe Language of Yes。グラームが得意なローヌ系などの品種を使っています。一方、ガロはローヌ系はあまり得意ではなくグラームに、サンタ・バーバラのサンタ・マリア・ヴァレーにあるランチョ・リアルという畑のブドウを今回提供しているそうです。ただ、ロゼは「Tibouren(ティブレーン)」というマイナー品種で、これはガロではなくパソ・ロブレスの生産者から購入したとのことです。このロゼは「赤い果実の香りがほのかにしますが、完全に淡い色で、多くの白ワインよりも軽いです」とのことで、ワインがガロのスタイルではなくグラームのスタイルで造られていることがわかります。

ほかにはランチョ・リアルのグルナッシュとシラーがラインアップにあります。グルナッシュは収穫後2日間乾燥させてから破砕するというユニークな作りで、これはグラームがボニー・ドゥーンで使ったことがあるテクニックだそうです。茎が木質化することでタンニンがまろやかになるそうです。

このように、Language of Yesのワインはかなりグラームの色が強く出たものになっているようです。また、販売もDtCを中心にするとのことで従来のガロとは大きく異なっています。ガロもこういうことをやってみたかったということでしょうか。今後のプロジェクトの進展が興味深いです。
Date: 2021/0729 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストのフォートロス・シーヴューAVAにはマーカッシンを初め、ウェイフェアラーやピーター・マイケル、ボアズビュー、ハーシュ、フラワーズなど、ソノマというよりもカリフォルニア全体の中でもトップクラスのワイナリーや畑があります。ワインのラベルに書かれることが少ないので、AVAとしては比較的無名ですが、実質的な注目度ではトップといってもいいかもしれません。

その中でも老舗の一つであり秀逸なワインを作り続けているのがペイ(Peay)です。ワインメーカーのヴァネッサ・ウォンはシャトー・ラフィットやブルゴーニュのジャン・グロで修行し、ヘレン・ターリー、マーク・オーベールの後を継いでピーター・マイケルのワインメーカーを務めた才人。夫のアンディ・ペイとその兄弟のニック・ペイの3人でペイを営んでいます。

自社畑のピノ・ノワールからはスタイルの違いによってポマリウム、スキャロップ・シェルフ、アマの3つのエステートのワインを作ります。畑やブロックが分かれているわけではなく、あくまでヴァネッサ・ウォンのブレンド技術によって違いを出しています。ポマリウムは一番濃厚、スキャロップ・シェルフはエレガント、アマはその中間となっています。

フォートロス・シービューのピノ・ノワールはほとんどが1万円を超える価格になってしまいますが、ペイはその中ではかなり格安。現在のワイナリー価格は65ドルしますから、ほぼ現地価格といっても過言ではありません。

ポマリウム2014はヴィナスで93点


スキャロップ・シェルフ2014はヴィナス94点。

Date: 2021/0728 Category: おすすめワイン
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ポール・ラトーのバターナ(Batana)というオレンジワインのシリーズがあります。1樽約300本程度しか造られない希少かつマニアックなワイン。現在2017年のソーヴィニヨン・ブランと2018年のマルヴァジア・ビアンカが日本に入荷しています。

マルヴァジア・ビアンカの方はアンフォラで熟成。アンフォラとは素焼きの壺で、ワイン発祥の地であるジョージアなどで古くからワインの熟成に使われています。

2016年のマルヴァジア・ビアンカはマスター・オブ・ワイン(MW)のグレッグ・シャーウッド氏が97点を付け「2018年に試飲した白ワインの中で最もエキサイティングなものの一つ」と評しています。またヴィナスのアントニオ・ガッローニも92点を付け「私がこれまでに試飲したポール・ラトーのワインの中で、最も興味をそそられるワインのひとつ」としています。さらにナパの三ツ星レストランフレンチランドリーでもリストに載っているとのこと。

ソーヴィニヨン・ブランは2017年が最初のヴィンテージ・サンタ・バーバラの「グリムスブラフ」ヴィンヤードのソーヴィニヨン・ブラン(ムスケとClone1)を使用。横長のシガー型の樽で30日間果皮に漬け込んだ後に天然酵母で発酵させたとのこと。

実はこのバターナ・シリーズはすでに生産終了しているとのことで、現在市場に出ているものが最初で最後になりそうです。希少性も非常にマニアックです。

しあわせワイン倶楽部です。


Wassy'sです。

Date: 2021/0727 Category: 業界ニュース
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4月から10月までの日毎の平均気温の総和によって気候を区分したメイナード・アメリンとアダム・ウィンクラーによる気候区分のインデックス。現在でもリージョン1~5まで、区分の基本として使われています。

ブドウの品種によって適地に植えなければいけないという基本が、この区分によって米国でも認識されるようになりました。これはカリフォルニアワインの進歩にも大きく貢献していますが、平均気温しか考慮しておらず日較差を無視していることなど時代遅れに感じられるところも大きくなってきています。

そこで、現在のテクノロジーを駆使した新たな気候区分を設けるべく、UCデーヴィスに4500万ドルを寄付したのが元スタッグス・リープ・ワイン・セラーズのウォレン・ウィニアルスキー。彼自身、ワイナリーを始めるときにこの区分が大いに役立ったといいます。

UCデーヴィス側ではBeth Forrestel助教授が担当になります。
新たな気候区分、いつ決まるのか気になります。
Date: 2021/0726 Category: テイスティング・ノート
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シェーファー(Shafer)のワインのうちフラッグシップのヒルサイド・セレクトを除いた4つのワインの最新ヴィンテージを試飲しました。2020年は山火事による煙の影響ですべてのワインを作るのをやめたシェーファー。急に市場からワインがなくなってしまうことはありませんが、1年に1回しか作れないワインというものは、ある意味、一期一会でもあるのだなあと改めて思いました。
ジョン・シェーファー
シェーファーについて、簡単にご紹介しておきます。
シカゴで出版業を営んでいたジョン・シェーファーがナパに移住したのは1972年。スタッグスリープ地区に土地を買い、カベルネ・ソーヴィニヨンの畑を当時は珍しかった斜面の土地に作りました。そのカベルネ・ソーヴィニヨン、中でもいいブドウができるブロックを選んで作るヒルサイド・セレクトは、パーカー100点6回などナパでもトップクラスの品質を誇ります。特に2016年のものはワイン・アドヴォケイトだけでなく、ヴィナス、ジェブ・ダナックと3つで100点を取っています。

まずは2018年のシャルドネ「レッド・ショルダー・ランチ」。カーネロスのブドウで作るシャルドネでマロラクティック発酵を行いません。冷涼な畑で収穫時期はカベルネ・ソーヴィニヨンより遅くなることもあるとか。

レモン、オレンジピール、カスタード、白い花、濡れた石。酸は高く、フルボディですが引き締まったフレッシュな味わいで、重さを感じません。シェーファーというと赤ワインのイメージが強いと思いますが、このシャルドネは「佳作」という言葉が似合うワイン。好きです。

次は2018年のTD-9。シェーファーといえばメルローと言われていたこともあるくらい人気だったメルローですが、収量が安定せず、品質もばらつきが大きかったため、ワイナリーとしてはなかなか難しいワインでした。そこでカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドの形にして「メルロー」と名乗るのをやめたのがTD-9です。2018年は56%メルロー、23%カベルネ・ソーヴィニヨン、21%マルベックという構成。スタッグスリープの畑やスタッグスリープの南端にある畑、ヨントヴィルの畑のブドウを使っています。

アルコール度数は15.3%とかなり高めです。いちごジャムやリコリスのような甘い香り。ブルーベリーやカシス、トースト。タンニンは中程度でやや強めのミディアムプラスボディ。以前、「一番おいしくなるブレンドを選んだ」と、オーナーのダグ・シェーファーは言っていましたが、親しみやすくくいくい飲んでしまうワイン。

次はワンポイントファイブ2018。レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンです。ワンポイントファイブとは不思議な名前ですが、ダグ・シェーファーが、自身をワイナリーの「1.5世代」として名付けたもの。98%カベルネ・ソーヴィニヨンで2%マルベック。ほぼすべてスタッグスリープの自社畑のブドウを使っています。

フルボディでシルキーなテクスチャ。やっぱり美味しい。リコリス、ブルーベリー、カシス、ブラックベリーに軽くミントの風味。トーストやタバコも感じます。ついついヒルサイド・セレクトに気を取られてしまいますが、レギュラーのカベルネでも十分すぎるくらい美味しいです。

最後にリレントレス2017。シラーです。リレントレス(容赦ない)とは風変わりな名前ですが、上の写真で左端に写っているワインメーカーのフェルナンド・イライアスの性格を表したものだといいます。彼の完璧主義なところをちょっとからかった感じもあります。シェーファーの赤の中ではちょっとマイナーなワインかもしれませんが、ワイン・スペクテーターで1位に選ばれたこともある一品です。86%シラーで14%プティ・シラー。

フルボディでパワフル。ブラックペッパーやプラム、ブルーベリーにトースト、タバコなどの風味を感じます。これもやっぱりレベル高いです。

以前、シェーファーのセミナーをやったときにシェーファーの特徴として「どのワインも美味しい」と説明したことがあります。今回もそれを再確認しました。

ショップはトスカニーです。




ワンポイントファイブはハーフもあります。


カリフォルニアワインあとりえです。


トリプル100点のヒルサイド・セレクト2016です。ショップはココス。

Date: 2021/0723 Category: テイスティング・ノート
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「寿司に合う」として昨年人気になったカーボニスト(Carboniste)のスパークリング・ワイン。タコのラベルのついたアルバリーニョのもの、サバのラベルの付いたピノ・グリージョのものがあります。その最新ヴィンテージ2020を試飲しました。

タコのラベルのアルバリーニョは瓶内二次発酵によるもの。柑橘系の風味がつよく酸がしっかりとしたハツラツとしたワイン。アフターにちょっと苦味を感じますが、このあたりが魚との相性になってくるのかと思います。

サバのラベルのピノ・グリージョは、いわゆる「ペットナット」によるもの。発酵の途中で瓶詰めし、そのまま発酵が続いて炭酸ガスをワインに閉じ込めます。最後に降りを取り除いて完成です。再び栓をする前に少しだけブドウのジュースを加えているそうです。

こちらの方が柑橘が弱く、柔らかな味わい。コクもあり、タコよりも寿司との相性はさらに良さそうです。

ちなみにどちらもコルクではなく王冠で閉じてあります。「モダン・スパークリングワイン」を標榜するこのワイナリーらしいところです。



Date: 2021/0722 Category: 業界ニュース
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ラック・アンド・リドル
ラック・アンド・リドルのスパークリングから、ブラン・ド・ブランの次に、ブラン・ド・ノワールを開けました。

参考:夏向きの爽やかスパークリング、ラック・アンド・リドルのブラン・ド・ブラン

100%ピノ・ノワールのこのスパークリング、2018年のサンフランシスコ・クロニクルのワイン・コンペティションでスパークリングワインのトップに選ばれています。ブラン・ド・ブランが「カリフォルニア」指定なのに対して、こちらは「ソノマ」となっています。

軽いイースト香にザクロ、フランボワーズを感じます。ブラン・ド・ブランほどの爽やかさはありませんが、適度なボディで料理にはとても合いやすいワインです。ほのかなピンクもきれい。

ブラン・ド・ブランの2000円台は相当安いですが、これも税込みで約3000円ですからお買い得感あります。

我が家の料理はペアリングとか一切考慮せず、食べたいものを作っていますが、この日はビビンパ。これにも素直に合わせられました。



Date: 2021/0721 Category: おすすめワイン
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5000円前後のナパ・カベルネというジャンルを作った立役者、ナパ・ハイランズから新たなワイン「メルロー」が登場しました。

先日はスパークリングワインの「カスタム・クラッシュ」としてラック・アンド・リドルを紹介しましたが、ナパ・ハイランズを作っているのはスティルワインのカスタム・クラッシュとして、カルトワインなどの醸造も行っているところ。ナパの様々な畑に精通していることから、高品質で低価格のブドウを調達できると見られています。

メルローも比較的冷涼なオークノールやヨントヴィルから温暖なカリストガ、セントヘレナと様々な畑のブドウをブレンドして作られています。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると早く出荷されることの多いメルローですが、このワインは樽熟30カ月とたっぷり時間を取っています。


カリフォルニアワインあとりえには、以下のようにテイスティングコメントがあります。
ナパ・メルロの美点を表す酒質。深紫の色調に惹きつけられ、ほのかなタバコの葉のニュアンスに、ブラックチェリー、ラズベリーの鮮やかなアロマがグラスから溢れ出します。口中ではアメリカンチェリー、ダークチョコレートを思わせるまろやかな果実味が広がり、控えめな樽香と柔和なタンニンが長くエレガントな余韻となり、メルロらしさを印象付けます。長期熟成のおかげで飲み頃も早く、それもまたありがたい点でしょう。

Date: 2021/0720 Category: 業界ニュース
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Jim Clendenen
オー・ボン・クリマのジム・クレンデネンがなくなって2カ月、ワイナリーからメールが届きました。だれもが気になっているワイナリーの今後についても書かれていました。

Au Bon Climat
だれもが心配なのがジム・クレンデネンなしでワイン造りが変わらないのかということだと思いますが、基本的にはほとんど変わりはありません。これまでもジムは年中世界を飛び回っていたので、その間ワイナリーをちゃんと守れるようにセラーのチームを整えてきました。もちろん重要な決定はジム自身がくだしていましたが、彼が作ったチームが彼のヴィジョンを枯れなしでも実行していけます。

ワイン造りを率いるのはジェネラル・マネージャーのジム・エイデルマンで、オー・ボン・クリマで30年も働いています。ほかのメンバーも長年一緒に働いており、ジム・クレンデネンの精神が皆に染み込んでいます。ワインのスタイルも文化も変わらないと述べています。「ジムへの尊敬の念を示すために我々がやることを続けることが我々のミッションだ」としています。

このほか、オー・ボン・クリマの最初の従業員であるセラーマスターのエンリケ・ロドリゲス、20年間ボトリングや在庫を担当するアルチュロ・アルバレス、アシスタント・ワインメーカーでジム・クレンデネンの姪にあたりマリサ・マテーラ、インターンから始まって今はアシスタント・ワインメーカーになったマーク・パイロ、10年以上セラーで働いているジャヴィエ・オーティス、ミゲル・ゴンザレス、エンリケ・ゴンザレスと、チームは強固です。

もちろん、ジム・クレンデネンの二人の子供もいます。イザベルはセールスでセールス・マネージャーのマイケル・メインを手助けしており、ノックスはまだ大学が1年残っていますが、その後はセラーで働き、将来はワイナリーのビジネス面に関わっていく予定です。

ウメムラです。

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オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール イザベル [2017]750ml
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希少なバックヴィンテージ。しあわせワイン倶楽部です。


Date: 2021/0719 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ラック・アンド・リドル
先日、紹介したスパークリング専業のカスタム・クラッシュ(ワインの製造を請け負う業者)「ラック・アンド・リドル」。そこが自分のブランドで作るスパークリングも好評だよと書いたら、輸入元のオルカさんから、試飲用のボトルをいただきました。

早速、ブラン・ド・ブランを開けてみました。

きめ細かい泡に、レモンの風味。爽やかです。でも軽すぎず、旨味もあるので、鶏肉や豚肉など白い肉にも合います。
今日は韓国料理のポッサムを食べたのですが、キムチにも合う順応性の高さです。

とにかく、夏の暑さにこの爽やかさはたまりません。

個人的にはボトル4分の1くらいが適量なのですが、2日でほとんどなくなってしまいました。



ところで、東京に4度目の緊急事態宣言が出て、ますますお酒への圧力がきつくなってます。飲食店が一番きついのは言わずもがなですが、インポーターも業務用の売上が激減して大変と聞いています。

消費者としてはとにかく飲むことと買うことで応援していくしかないので、セラー溢れてますが頑張って消費していきたいと、思ってます。みなさまもご協力いただけるとありがたいです。

そのため、しばらくはニュース系の記事よりワインの紹介やテイスティングノートが多めになります。よろしくお願いします。
Date: 2021/0717 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ワイン・エンスージアスト誌でシャルドネのレビューは現在2万8646本ありますが、その中で100点を取ったワインはわずか5本。しかもそのうち3本はシャンパーニュなので、スティルのシャルドネだとわずか2本ということになります。

その2本がレイミー(Ramey)の2018年ロキオリとハイド。2018年は特筆することが特にないというのが特徴の恵まれたヴィンテージ。理想的な生育環境だったと言われています。

シャルドネの名手として知られるデイヴィッド・レイミーによるロキオリとハイド。どちらも今年初めに入荷しましたが瞬時になくなりました。今回の再入荷もごく少量なので、おそらく数日残っていればいい方でしょう。

ショップはWassy'sです。



カリフォルニアワインあとりえです。


高評価シャルドネということでもう一つおまけに、キスラーのヴァインヒル2017です。2019年のLaguna Ridgeがパーカー100点を取るなど、スティーブキスラーが去った後も健在ぶりを見せつけているキスラーですが、この2017年のヴァインヒルはワインスペクテーターで年間6位になっています。

Date: 2021/0717 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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マリリン・モンローの名前をもじって登場した「マリリン・メルロー」。最初は色物的なワインかと思いましたが、実際にはナパのメルローの中でも秀逸なワインです。名前も「マリリン・ワイン」と変更して、メルロー以外のラインアップもそろいました。

1年ほど前に、日本への輸入が終わってしまっていたのですが、このたび新しい輸入元が決まり、ワインも入ってきています。

メルローは2018年が入ってきています。なお、ラベルの写真は毎年変わります。
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Date: 2021/0716 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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昨年、話題になったコスパ系ピノ・ノワールのDivum(ディヴァム)。1年ぶりくらいに飲んでみました。

昨年も書きましたが(超コスパ・ピノは旨味系でした)、やっぱりうまみ系ですね。熟成感もほどよく、昨年よりも体に染み入る感じがしました。しみじみおいしい。ほっとする味です。

ふと開けたワインがこういうほっとする味だとうれしいですね。爆発的においしいワインももちろんいいですが、こういうワインがセラーに常備してあると安心できます。ただ今はセラーからだいぶワインがあふれていますが……

今年になってシャルドネも入荷しています。

ショップはしあわせワイン倶楽部です。


葡萄畑ココスです。


Date: 2021/0715 Category: テイスティング・ノート
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南アフリカのシャルドネの中ではトップクラスと言われている「ストーム(Storm)」の「リッジ(Ridge)2019」を飲みました。

調べたところ、南アフリカの「Winemag」で96点と同誌の年間最高のシャルドネの評価を得たワインだそうです。ウォーカーベイの「ヘメル・アン・アード」の中でも標高の高い冷涼な畑のブドウを使っています。

第一印象としては、「ミネラル感」が前面にあります。濡れた石やスイカズラなど白い花の香り。洋梨、ライムなど果実の風味は柔らかさを感じます。ヴァニラなど樽由来の風味もおだやかで非常に上品かつバランスのいいワイン。カリフォルニアで言えば、マウント・エデンあたりが一番近いでしょうか。

上品で高級感のあるいいワインでした。

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Date: 2021/0714 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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サンタ・ルシア・ハイランズで一番有名な畑・ワイナリーといえば誰もが名前を挙げるのがピゾーニ(Pisoni)。そのピノ・ノワールは漫画「神の雫」の続編「マリアージュ」で、北京ダックに一番合うワインとして取り上げられたこともありました。非常に人気が高く1万円を超えるワインですが、国内市場では常に「瞬殺」になるほどです。

ピゾーニが作るワインにはピゾーニ以外にルシア(Lucia)、ルーシー(Lucy)がありますが、このうちルーシーはロゼ専門、というか一つしかワインを作っていません。それがピゾーニの畑のピノ・ノワールを100%使ったロゼです。ロゼで4000円というとちょっとお高い感じもしますが、赤ワインにすれば1万円を超えるブドウを使って4000円のワインを作っているのですから、ある意味極めて贅沢とも言えます。



最新のヴィンテージ2020を試飲しましたが、ロゼワインとしては非常にしっかりした味わいで、タンニンもそこそこあります。バラの香り、ラズベリーの味わい、コクもあり、非常に応用範囲の広いロゼだと思います。

何よりもピゾーニ100%のワインとしては最安であり、ピゾーニが作るピゾーニで実質手に入るのはこれくらいですから、その価値は十分にあります。



Date: 2021/0714 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州最大手のワイナリー「シャトー・サン・ミシェル」が投資会社の「シカモア・パートナーズ」に売却されました。これまでの親会社はフィリップ・モリスなどで知られるタバコ会社のアルトリア・グループでした。

ワシントンのワイン業界においてサン・ミシェルの影響力は莫大です。なんと、ワシントンのワイン生産の約2/3がサン・ミシェル傘下のワイナリーによるものです。
ste michelle
上の図はワシントン・オレゴンにおけるブランドですが、コロンビア・クレストや14ハンズなど20を超えるブランドを保有しています。

ワシントンのワイン業界は2020年、出荷量が8%減と非常に厳しい状況になりました。実はこの中でもシャトー・サン・ミシェルを除いた残りの1/3のワインで見ると出荷は増えています。サン・ミシェルの一人負けという格好だったのです。

シャトー・サン・ミシェルが得意とするのは10ドル以下の低価格帯のワイン。しかしこの価格帯のワインは米国では減少傾向にあります。コンステレーション・ブランズがカリフォルニアで多くのブランドをガロに売却したのも高価格帯にシフトするためでした。

シカモア傘下に入ることでどう変わるのかはわかりませんが低価格帯に何らかのテコ入れをしていく可能性は高いでしょう。この買収を扱った記事の中には、低価格帯でワシントン州のブドウを使い続けるかどうかという疑問を呈しているものもありました。

そうでなくてもワシントン州全体としてはブドウ余り、ワイン余りという状態ですから、サン・ミシェルがブドウ畑を手放すといったことになると業界全体にも影響が及ぶことになるかもしれません。

ちなみにサン・ミシェルはカリフォルニアにもいくつかのワイナリーを持っています。有名なところではスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ、パッツ・アンド・ホールなどがあります。そちらは高級価格帯が多く、事業状況も悪くないので、そのまま変わらないだろうと見られています。
Date: 2021/0713 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Twitter
ある人とのTwitterでのやり取りでしたが、「90年」とは!

さすがにまだ90歳にはなってないし、90年前はまだインターネットないし…
ということで大笑いさせていただきました。

本当は、後約1ヶ月で22年です。

ちなみに一昨日一番笑ったのはYouTubeで見たこのCM
ポインコ大好きです。
Date: 2021/0712 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週はアカデミー・デュ・ヴァンの「カリフォルニアワイン、ベーシックマスター」の4回目でセントラル・コーストの南部を取り上げました。パソ・ロブレスとSLO沿岸部のエドナ・ヴァレー、アロヨ・グランデ・ヴァレー、そしてサンタ・バーバラです。

この講座で苦心しているのは、地形や気候、その地域のワインの品種やスタイルといった一般論の話をしながら、その地域の代表的なワイナリー個別の話も織り交ぜていくこと。「ベーシック」の内容としては一般論だけでも成り立つと思いますが、一般論だけだとどうしても記憶も定着しませんし、そこのファンにもならない。アカデミー・デュ・ヴァンで講座を持つ最大の目的は「カリフォルニアワインファンを増やすこと」なので、そのためには個別のワイナリーのことを知って好きになってほしい。そのために二兎を追っています。

ただ、こうすると講座の準備もすごく時間がかかるし、2時間の講座時間では短すぎるくらい。今回も結局用意したGoogle Earthを使った産地ツアーは出番がありませんでした。先々週から先週にかけてブログの更新が減ってしまったのもそのためです。

ところで、サンタバーバラのサンタ・リタ・ヒルズはピノ・ノワールの産地として有名ですが、2月にはブドウが芽吹き、収穫は10月ころという生育シーズンの極端な長さが特徴です。それを実現するのがここの気候。
Lompoc
このように、夏と冬の最高気温がわずか4℃くらいしか違わないのです。8月の最高気温でも20℃をちょっと超えるくらい。むしろ10月の方が温かいくらいですが、それでも22℃です。加えて、太平洋から吹き付ける冷たい強風が、世界の中でも冷涼な産地を作っているのです。

試飲のワインはパソ・ロブレスとサンタ・バーバラが半々。今から思えばエドナ・ヴァレーかアロヨ・グランデ・ヴァレーも入れてあげたらよかったです。今回はブラインドで、どれがどのワインか当ててもらいました。

ワインの好みは結構ばらけましたが、オー・ボン・クリマのノックスとダオのソウル・オブ・ア・ライオン(カベルネ・ソーヴィニヨン)がトップ。ダオは、昨年初めて飲んでそのレベルの高さに驚き、今回どうしても試飲に入れたかったワイン。ソウル・オブ・ア・ライオンは中でもシルキーなテクスチャが素晴らしい逸品です。オー・ボン・クリマのノックスはかなりストラクチャーのしっかりとした味わいが特徴ですが、今回は意外なほどエレガントでした。タブラス・クリークのエレガントさにも驚いた人が多かったもよう。

試飲のワインとは別ですが。レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンは非常にコスパ高いです。これもいいワイン。





Date: 2021/0710 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年イチオシのシャルドネ「R8」がしあわせワイン倶楽部に入荷しています。税込みで2068円というリーズナブルな価格です。

R8は樽もそれなりに効いています。輸入元からは「ブレッド・アンド・バターと比べてどうですか?」と聞かれましたが、個人的にはブレッド・アンド・バターはちょっと樽効きすぎかなと思うので、R8の方が好みです。さらに、ブレッド・アンド・バターより800~1000円ほども安いですから、ブレッド・アンド・バターよりも安くておいしいの、と思って探している人にも納得のいくワインだと思います。

カベルネ・ソーヴィニヨンは割とクラシックな作り。この価格帯としては逆に押し出しが強くないのが好感が持てます。



Date: 2021/0709 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パーカーポイント100点2回やワイン・スペクテーターで年間2位など輝かしい経歴を持ち、ワシントン州で最高のカベルネ・ソーヴィニヨンを作るクィルシーダ・クリーク(Quilceda Creek)。そこのワインメーカーと2人のアシスタント・ワインメーカーが一斉に移籍するという「事件」が起こり、話題になっています。
Mattews
(写真はMattews Wineryのサイトより。左からワインメーカーのアレックス・スチュワート、オーナーのブライアン・オティス、アシスタント・ワインメカ―のジェス・シュミットとハル・インヴェイジョン)。

3人も一度に移籍してしまうとはよほどクィルシーダに問題があったのでは、と勘ぐりたくなってしまいますが、実際にはそんなことはないようです。マシューズのオーナーのブライアン・オティス氏とクィルシーダのアレックス・スチュアートは古くからの友人で以前から一緒にワインを作ることを考えていたそうです。それがついに実現したわけです。アシスタント・ワインメーカーも一緒に移籍したのはこれまでチームとして動いていたのでチームをそのまま維持したかったそうです。

また、クィルシーダ・クリークはカベルネ・ソーヴィニヨンだけを作っていますが、今度は他の品種のワインも作れるとのことです。

クィルシーダ・クリークは創設者の息子のポール・ゴリツィンが長年ワイン造りのディレクターを勤めているので、3人の移籍によって継続性が絶たれることはないとしています。現在新しいワインメーカーの採用に向けてインタビューを行っているとのこと。

ちょっとびっくりしたニュースですが、クィルシーダもワシントンのリーダーとして今後もがんばってほしいところです。ちなみに先日のオレゴンワシントンのセミナーで、クィルシーダ・クリークのカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンの中では圧倒的な品質でした。セカンドワインのCVRも1万円程度のカベルネ・ソーヴィニヨンとしては非常に高く評価されています。

ショップはココスです

Date: 2021/0708 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最近、スパークリングワインをラインアップに追加するワイナリーが増えています。昔からワイナリー限定品などでスパークリングを出しているワイナリーはありましたが、特に「ウルトラマリン」あたりがブームになって以降、「泡もやらなきゃ」というワイナリーが増えたような感じがします。

とはいえ、いわゆる瓶内二次発酵でスパークリングワインを作るのはかなりの手間がかかります。例えばルミアージュと呼ばれる、二次発酵でできた「オリ」をボトルをちょっとずつ傾けながら揺らすことでボトルの口近くに集める作業など、専用の器械があれば手間いらずですが、人力でやるのは大変です。

そこで、多くの場合、ワイナリーはスパークリングワイン用の「カスタム・クラッシュ」と呼ばれる醸造請負業者に頼むことになります。

その最大手と目されているのがソノマのヒールズバーグにあるラック&リドル。
ラックリドル
あまりにもニーズが増えすぎて設備が足りなくなり、年間45万ケースから60万ケースへと生産量を大幅に増やすことになりました。設備投資は250万ドルもかかるということですから、一つのワイナリーではなかなか手に負えないことが改めてわかります。

実はラック&リドル自身もそのブランドでスパークリングワインを作っています。醸造はお手の物だし、ほかのワイナリーと比べたら低いコストで作れますからコスパは文句なしと言われています。昨年にはノースベイ・ビジネス・ジャーナルでスパークリングワインのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

たまたま、このワインを輸入しているオルカ・インターナショナルの社長も、自分が大好きで自社のワインを買いまくっていると書いているのを今日読んだところでした。

私はスパークリング、もちろん嫌いじゃないですが、試飲してコメントを書くという立場ではちょっと苦手(泡に隠れて味の違いをつかみ取りにくく感じてしまう)としています。でもこれは久々に飲みたいと思いました。日本の価格も3000円前後と書いやすくなっています。

ショップはしあわせワイン倶楽部です。



Date: 2021/0704 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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大谷選手の活躍から目が離せない日が続いていますが、エンゼルスの公認ワインを売っているのをご存知でしょうか。
現地でもスタジアムと、ごく限られたワインショップでしか買えない限定品です。日本のインポーターも品切れ中のようなので、当面は現在ショップにあるものだけしか入手できません。スパークリングもあったようですが、今は「カベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ」だけです。

大谷選手の活躍を祝して開けるには、在庫のあるうちに買っておいた方がいいですよ。



Date: 2021/0703 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Goose Gap
6月に2つの新しいAVAが追加されたばかりのワシントン州に7月1日、もう一つ新しいAVAが追加されました。

名前はGoose Gap(グース・ギャップ)。ヤキマ・ヴァレーの中にあり、既存のレッド・マウンテンAVAのすぐ東側にあたります。
このあたりはワシントン州の中でも温暖な地域になりますが、周囲の多くが南あるいは南西斜面なのに対して、ここは北東斜面になり、日差しのあたりが弱くなる分、ゆっくり熟成するという特徴があります。

8000エーカーの区域の中で1800エーカーがブドウ畑になっており、20のワイナリーがここのブドウを使ったワインを作っています。
また、域内のワイナリーとしてはGoose Ridge(グース・リッジ)があります。

これでワシントン州のAVAは複数州にまたがっているものも含めて19になりました。
Date: 2021/0702 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・アドヴォケイトがオーガニックやバイオダイナミックで作られたワインの検索機能をサイトに追加しました。さらに「Green Emblem」という自然に優しいワイナリーを独自の認証で決めました。
robertparker.com

自然派のワインは現在のところ約2000本が対象になっています。約半数がフランスでオーストリア、イタリア、ドイツが100本以上、次いでニュージーランド、米国(64本)となっています。サード・パーティからこれらの認証を得たワインが対象になるとのことです。ワインは下のように検索したときに「Sustainable」の項目にマークが付きます。

サステイナブル

Green Emblemはスポッツウッドやリトライなどが選ばれています。自然派のマークが付いているワインとは必ずしも一致していません(例えばリトライは自然派のワインの検索ではヒットしません)。下のようにワイナリーの名前のところにマークが付きます。
Green Emblem

まだ、ちぐはぐなところも感じられる機能ですが、評論家のサイトにこういった要素が現れるということはエポックメイキングだと思います。それを最大手のワイン・アドヴォケイトが始めたところも興味深いです。他のサイトもこれに追随してくるような気がします。
Date: 2021/0701 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国酒類タバコ税貿易管理局(TTB)は2021年6月17日、カリフォルニアに1つ、ワシントンに2つの新しいAVAを設立しました(TTBGov - Three American Viticultural Areas Established)。

カリフォルニアに設立されたのは「Palos Verdes Peninsula(パロス・ヴェルデス・ペニンシュラ)」AVA。ロスアンゼルスの南西部にある小さな半島です。
パロス・ヴェルデス・ペニンシュラ
高級住宅街として知られるこの地域ですが、ワインづくりも昔から行われていました。現在はわずか7エーカーの畑があり「Catalina View Wines」と「La Caze Family Vineyard」の2つのワイナリーがあります。ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが作られています。

ワシントンで設立されたのは「White Bluffs(ホワイト・ブラフス)」と「The Burn(ザ・バーン)」の2つ。
White Bluffs
ホワイト・ブラフスはコロンビア・ヴァレーの中にあるサブAVA。周囲の地域よりも少し高台になっていて、温暖な気候。1127エーカーの畑があり9つの畑と1つのワイナリー「Claar Cellars」があります。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランが育てられています。

「ザ・バーン」もコロンビア・ヴァレーの中にあります。コロンビア・ヴァレーのサブAVAの中では最も南西にあり、コロンビア・リヴァーに沿って吹く風のために、温暖ですが生育期間が長いのが特徴です。現在のところワイナリーはなく畑が2つあり、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが育てられています。

というわけで、先日のオレゴン・ワシントンの講座ではワシントンのAVAは16個と習いましたが、現在は18になっています(実は講座のときから気づいてはいたのですが)。
Date: 2021/0701 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国酒類タバコ税貿易管理局(TTB)は2021年6月17日、カリフォルニアに1つ、ワシントンに2つの新しいAVAを設立しました(TTBGov - Three American Viticultural Areas Established)。

カリフォルニアに設立されたのは「Palos Verdes Peninsula(パロス・ヴェルデス・ペニンシュラ)」AVA。ロスアンゼルスの南西部にある小さな半島です。
パロス・ヴェルデス・ペニンシュラ
高級住宅街として知られるこの地域ですが、ワインづくりも昔から行われていました。現在はわずか7エーカーの畑があり「Catalina View Wines」と「La Caze Family Vineyard」の2つのワイナリーがあります。ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが作られています。

ワシントンで設立されたのは「White Bluffs(ホワイト・ブラフス)」と「The Burn(ザ・バーン)」の2つ。
White Bluffs
ホワイト・ブラフスはコロンビア・ヴァレーの中にあるサブAVA。周囲の地域よりも少し高台になっていて、温暖な気候。1127エーカーの畑があり9つの畑と1つのワイナリー「Claar Cellars」があります。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランが育てられています。

「ザ・バーン」もコロンビア・ヴァレーの中にあります。コロンビア・ヴァレーのサブAVAの中では最も南西にあり、コロンビア・リヴァーに沿って吹く風のために、温暖ですが生育期間が長いのが特徴です。現在のところワイナリーはなく畑が2つあり、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが育てられています。

というわけで、先日のオレゴン・ワシントンの講座ではワシントンのAVAは16個と習いましたが、現在は18になっています(実は講座のときから気づいてはいたのですが)。
Date: 2021/0630 Category: 業界ニュース
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オレゴン、ワシントンのワインの認定スペシャリストになったからというわけではありませんが、オレゴン、ワシントンのニュースです(Portland Hits 113, Seattle Reaches 106 In Second Day Of All-Time Record Heat)。

ここ数日、記録破りの高温が続いているパシフィック・ノースウエスト(PNW)。エオラ・アミティ・ヒルズAVAにほど近いセイラムではついに華氏で117°(摂氏47°)にも達し、新記録となりました。カナダのブリティッシュ・コロンビアでも113°、オレゴンのポートランドで112°、ワシントンのシアトルはほかより涼しいものの104°まで上がり、いずれも過去最高となっています。

幸いなことに、今のところブドウ栽培への大きな影響はなさそうです。開花時期も過ぎ、ベレゾンはこれからなので、酸が落ちるといったこともまだほとんど心配は不要です。今月初めにはウィラメット・ヴァレーでこの時期にしては多い降雨もあり、まだその湿り気が残っているため。運が良かったとも言えます。
Date: 2021/0629 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴン・ワイン・ボードとワシントン・ワインによる「パシフィック・ノースウエストワイン」の認定スペシャリスト試験に合格しました。オンラインで数時間の講義を聞き、今日は30種近いワインを試飲。最後にペーパーテスト30問を解きました。20問で合格、24問で「良」(Pass with Merit)、28問で「優」(Pass with Distinction)のところ27問で惜しくも優はならず。でも良以上なので、来年には「レベル2」が受けられるとか。レベル2に合格すると協会お墨付きで、教えられるようになるそうです。

この日の試飲も大変勉強になりました。AVAごとの試飲や土壌別の試飲など… これまで試飲会でさまざまなワインを試飲することはあってもゆっくり時間をかけて複数のワインを比べたことはなかったので、さまざまな気付きがありました。


特に、今回「発見」だったのはワシントンのメルロー。説明ではメルローがカベルネ・ソーヴィニヨンよりも堅くなると言っていましたが、「ちょっと大げさでは」と思ったものの、試飲したら確かにそうでした。すごくストラクチャーのしっかりしたメルローで、個人的にはかなり好きな味わい。これから注目していきたいと思います。


カリフォルニアとオレゴン、ワシントンは西海岸の地続きで、一見似たところのように見えますが、気候や土壌などを見ていくとそれぞれ全然違うことがよくわかりました。久々にちゃんと勉強して楽しかったです。
Date: 2021/0626 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コッポラのワイナリーがデリカート・ファミリーと合併すると、6月24日に発表されました(Delicato Family Wines Forges Partnership with Francis Ford Coppola ...)。

コッポラは映画監督のフランシス・フォード・コッポラが設立したワイナリーで、ダイヤモンド・シリーズなど人気のワインを数多く持っています。デリカートは4代続く家族経営のワイナリーで、ナーリー・ヘッドやボタ・ボックスなど多数のブランドを抱えています。

合併後の継続会社はデリカートになりますが、コッポラ監督はデリカートの取締役に就任します。

また、イングルヌックは別ブランドとして今回の合併には加わらず、今後もコッポラ家が運営します。

Date: 2021/0625 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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冷涼系ピノのファンに高い人気のアントヒル・ファームズの2018年を紹介します。

2018年は良年と言われている通り、アントヒルの評価も非常に高く、ワイン・アドヴォケイトではスタンダードなAVA(アンダーソン・ヴァレーとソノマ・コーストがあります)でも93点。ハーモニー・レーン(以前はフリーマンのアキコズ・キュヴェでも使われていたソノマ・コーストの畑)は96、キャンベル・ランチ(ソノマ・コーストでも最も北のアナポリス近くにある畑)は96+などと高評価が続出しています。
アントヒル
ヴィナスでもハーモニ・レーンのピノは94~96、キャンベル・ランチのシラーは94~97など同様に高評価。

これだけ高評価でありながら国内価格で5000~7000円程度なのですから、このあたりの評価の他のワインと比べると半額から2/3くらいの価格というイメージです。

リンクはショップごとにまとめます。
[フィッチ]






[ウメムラ]





割田屋【わりでんや】


Date: 2021/0624 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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テキスト
オレゴンとワシントンの勉強しています。カリフォルニアとは近いようで全然違う地域。いろいろ勉強になります。

このブログもカリフォルニアといいつつ、他の地域の話もたまに書いてますが、どうしてもカリフォルニアと比べるとフワフワした記事になりがちです。

もうちょっとしっかりした記事が書けるよう頑張ります。
Date: 2021/0623 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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中川ワインの試飲会で美味しかったワインを紹介します。
輸入復活メリーヴェール、何を飲んだらいい?
デコイから登場のセルツァーが国内発売、新鮮な味わいで美味しい
と合わせて読んでいただけると幸いです。

実は今回写真を撮り忘れていて、写真はもらいものです。いつもは印象深かったワインを最後に写真に撮っておいて、それを基に記事を作るのですが、今回は写真がないので、コメント頼り。基本的には試飲したすべてのワインのコメントをメモしていますが、1アイテムの試飲にかけられる時間は30秒くらいなので、その間にグラスに注いで口に含んでスピットしてメモしてまでやらないといけないため、3つくらいのワードを書くくらいです。しかも私はかなりの悪筆なので、あとで読み解くのも大変。そんなこんなで記事を書くのが遅くなってしまいました。

言い訳はこれくらいにしてワインの紹介です。

まずは先日、急逝したジム・クレンデネン氏のオー・ボン・クリマのワインから。噛みしめるように試飲してきましたが、あらためてどのワインもコスパ高くまた、バランス良く飲みやすく作られているのに感嘆しました。
特に、ピノ・ノワールのイザベルとノックスは、きれいな酸と複雑さがあるイザベル2017(6900円、様々な畑のブレンド)、ボディがしっかりしたノックス2016(6900円、ビエンナシードの単一畑)といつも好対照なワインです。そして十数年ぶりに作られた全房発酵の「ラーム・ド・グラップ2016」(1万6000円、下の写真)は、まだタニックですがうまみあり奥深い味わい。20年程度は熟成できそうなワインです。
ABC


リヴァース・マリー
シャルドネで印象的だったのが写真のリヴァース・マリー「ソノマ・コースト2019」(6500円)。複雑で高級感のあるワイン。AVAものですが品質的には単一畑ものに見劣りしないと思います。

カトレアのシャルドネ キュヴェ・ナンバー・ファイブ2018(8500円)はリッチで華やかなワイン。まさにカトレヤの花が咲いたかのような印象。カトレヤのピノ・ノワール キュヴェ・ナンバー・ワン2019(8500円)も華やかできれいなワイン。どちらもすばらしいワインです。

元コスタ・ブラウンのマイケル・ブラウンのシェヴ(Chev)は新入荷ワイン。これまでのサーク(Cirq)との位置づけはどうなのか、よくわからないところもありますが、ワインはすばらしいです。シャルドネ2018、ピノ・ノワール2018どちらも1万6000円。

ベッドロックが作る様々な品種をごちゃまぜにしたワイン「シェバング」(NV、2800円)はチャーミングな味わい。夏にいいですね。

ビーヴァン(Bevan)セラーズはハンドレッド・エーカーと並ぶ超高級カベルネの新進スターで、マニアからワインメーカーになったのもハンドレッド・エーカーと似ています。単一畑ものは3万円を超えますが入門的な「オントジェニー2017」(1万7000円)もかなり美味しいです。モカとかチョコレートの風味がたっぷり。







Date: 2021/0622 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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21日、22日とアマゾン・プライム・デーが開催されています。ワインも安くなっているものが結構あります。特に、1本買っただけでも送料無料なのでかなりお得感があります。


ガロのダークホース・カベルネ・ソーヴィニヨンが989円と相当お得です。普段の価格は1500円くらいします。


ボタボックスは、安ワインのイメージのあるボックスワインでヴァラエタル・ワインを実現した米国の人気ブランド。これはボトル4本にあたる3000mlで3000円弱と安いです。箱の中はプラスチックの袋で空気が入らないようになっているので、酸化しにくくなっています。


高級系ではベリンジャーの各種ワインが精算時に2割引となっています。プライベート・リザーブ・シャルドネはワインスペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたことがあるワイン。フルボディ系のすばらしいシャルドネです。カベルネ・ソーヴィニヨンのナイツ・ヴァレーはナイツ・ヴァレーが無名だったころからコスパの高さで知られていたワイン。


最後にカリフォルニアではないですが、コノスルのゲヴュルツトラミネール。600円台は安いですね。コノスルの中でも定番中の定番です。この値段でゲヴュルツトラミネールが飲めるのは嬉しい。

このほかタイムセールでもいくつか出てくるもようです。
気づいたものはTwitterでも随時書いていきます。
Date: 2021/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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西馬込のレストラン・ワインショップ「イルドコリンヌ」がカリフォルニアワインの生産者とオンラインでつないだセミナー・シリーズを開催します。その内容がすごすぎてびっくり。全部申し込んじゃいました。

<日時>
第1回:「マサイアソン ファミリーヴィンヤード」
7月17日(土) 10:00〜11:30  
 ゲスト:スティーブ・マサイアソン氏!(いきなり?!)
第2回:「ヴィヴィエア」 
8月1日(日)12:00〜13:30 
  ゲスト:ステファン・ヴィヴィエア氏 
 DRCのオーベール氏がその才能を買ってるフランス人が造るソノマのピノ!
第3回:「シェイファー」 ⇦え?
8月21日(土)11:30〜13:00
  ゲスト:ダグ・シェイファー氏 (えっと。大物中の大物。店主もビビってます!)来日したって一般の方へのイベントなんてほとんどないですし。なかなかお会いできません!
第4回:「ファーディナンド」
9月19日(日)12:30〜14:00 
  ゲスト:エヴァン・フレイジャー氏  
今注目のオルタナティブ品種!カリフォルニアの新しい風について伺いましょう。
第5回「カトレア & シェアードノーツ」
10月23日(土)11:00〜12:30
ゲスト:ビビアナ・ゴンザレス&ジェフ・ピゾーニ夫妻!(豪華共演!)

「シェイファーくらいしか知らないよ」と思う人も多いでしょうけど、この人達が携わっているワイナリーの名前を聞いたらびっくりすると思います。
スティーブ・マサイアソンはスポッツウッドやアイズリーといったナパの超一流生産者が依頼する畑のコンサルタント、ステファン・ヴィヴィエアはDRCの共同経営者であるオーベール・ド・ヴィレーヌがナパのハイドと造るHdVでずっとワインメーカーを勤めている人、ファーディナンドのエヴァン・フレイジャーはコングスガードのジェネラル・マネージャー兼アシスタント・ワインメーカー。ビビアナ・ゴンザレスはパルメイヤーがソノマ・コーストを開拓したウェイフェアラー(今やソノマ・コーストでもトップクラスのワイナリーとなっています)で栽培と醸造両方の責任者をしていた人で、ご主人のジェフ・ピゾーニは言うまでもなくサンタ・ルシア・ハイランズのトップ・ワイナリー「ピゾーニ」「ルシア」のワインメーカーです。
この人達のプライベート・ブランドですから品質は折り紙付き、値段はそこそこという知っておくとちょっと自慢できるワイナリーなのです。

通訳はもちろんイルドコリンヌの山本香奈さん。ナビゲーターはワイナートのカリフォルニア・ピノ・ノワール特集などで知られる(翻訳書も多数)立花峰夫さん。さらに5回中3回以上で日本人唯一のマスターソムリエ高松トオルさんがテイスティング・コメントで登場するそうです。

参加料は試飲のワインを購入するだけ。
マサイアソン カベルネ ・ソーヴィニョン ナパヴァレー 2015 ¥9680
ヴィヴィエア ピノ・ノワール ソノマコースト 2016 ¥8580
シェイファーTD9 2018 ¥9900
ファーディナンド アルバリーニョ 2019 ¥3960
カトレア シャルドネ キュヴェNO.5 ソノマコースト 2018  ¥9350
+ シェアード・ノーツ レ・ルッソン・デ・メートル 師匠の教え 2019  ¥12100
最終回のみ2本です。
送料は何本でも1100円(クール便別途400円)

また、全回参加の場合は55070円のところが4万9800円で送料無料とかなりお得になります。

5回は多いなあ…という人は、最後のビビアナ・ゴンザレスだけでもどうでしょう。個人的にはすごく注目している人ですし、カトレヤもシェアード・ノーツもむちゃくちゃ美味しいです。
それでなければファーディナンド。個人的にはカリフォルニアのアルバリーニョに注目するきっかけになったワイナリーです。
もちろん、王道のシェイファーは安定の選択。シェイファーのワインは、これまで何十本か飲んだり試飲したりしてきましたが、これほど「ハズレ」のないワイナリーもないと思います(ワイナリー立ち上げのころはいろいろ失敗もしたそうですが)。

申込締切は7月5日(月)。

申込みは
https://form.run/@omisegenki-1624093621
Date: 2021/0619 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ジンファンデルやローヌ系品種を格安で作っているクライン・セラーズ(Cline Cellars)。そのクラインが作る「Meadowhawk」というブランドのジンファンデルが入荷しています。ワイナリーのサイトにも載っていないこのワイン、実は英国輸出専用で作っているものですが、コロナ禍で厳しい外出制限が敷かれている英国で、昨年から売上が低迷して、日本に回ってきたのです。

コントラコスタの古木のワインという点ではクラインの「エンシェント・ヴァインズ」と格的には同等ですが、価格は1000円も安くなっています。なお、樽の使い方など内容は多少異なっているそうです。



クラインブランドはこちら。


クラインのオーナーの兄弟が作るスリーもコスパでは負けていません。

Date: 2021/0618 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1981年から続いていたオークション・ナパ・ヴァレーをコロナ禍で発展的に解消するとしていたナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが新しいプログラムを発表しました。これまでオークション・ナパ・ヴァレーの収益はすべて地元に寄付されてきましたが、それに代わる新たな慈善活動となります。
コレクティブ・ナパ・ヴァレー
名称は「コレクティブ・ナパ・ヴァレー」。以下のような活動をするとしています。

・ワイン先物オークション、収穫祭、ワイナリー・ディナー、醸造家主導のワイナリー体験などにおける、対面の募金活動
・特別なワインで行うワイン教育等のバーチャルな活動
・国内および国際市場において、ナパ・ヴァレーのつながりを広げるコレクティブ・ナパヴァレーとその慈善精神を拡充する活動

具体的な最初の活動は2022年6月1~5日に開催する「ザ・ナパ・ヴァレー・フューチャーズ・オークション」と決まっています。これがオークション・ナパ・ヴァレーの直接的な後継になると思いますが、タイトルなどから想像する範囲では、これまでのようなディナーや旅行をセットにしたものでなく、あくまでもワインの先物としてのオークションになるのではないかと思います。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズのリンダ・リーフ・プレジデント兼CEOは「私たちは、ワイン、土地、そして人、これら全てに情熱を持ったコミュニティです。それと同時に、ナパ・ヴァレーへの愛情を私たちと分かち合うワイン愛好家の皆さんのような、より大きなコミュニティの重要性も深く理解しています。コレクティブ・ナパヴァレーはまさに、そのどちらのコミュニティをもたたえるもので、善き行いに対し真摯に向き合う志を持った醸造家と愛好家をつなぐ存在となるはずです」と語っています。

これからのプログラム発展に期待したいですね。
Date: 2021/0617 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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南アフリカのワイン2本目に飲んだのはクリスタルム(Crystallum)。私でも名前を聞いたことがある南アフリカを代表するワイナリーの一つです。このピノ・ノワール「ピーター・マックス」はレギュラー版です。

ラズベリー、甘草、ブラックベリー。ちょっと甘苦いフィニッシュ。ピュアな果実味が心地よいワインです。

これで実売3000円台はすごいですね。南アフリカの実力の片鱗を見た気がします。



Date: 2021/0616 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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赤ワイン用のブドウ品種であるサンソー。ピノ・ノワールにピノ・ブランがあるように、サンソーにも突然変異によるサンソー・ブランという品種があり、その100%のワインを飲みました。カリフォルニアではなく南アフリカのラール(Rall)というワイナリーです。


サンソー・ブランで検索しても、このワイナリー以外のワインは見つけることができなかったので、かなり珍しい品種であるのは間違いないと思います。ワイナリーは2008年にドノヴァン・ラール氏がスワートランドに設立したもので、古木のワインを少量生産しています。このワインはわずか0.2ヘクタールの樹齢35年の畑のブドウによるもの。

第一印象は柔らかさ。白桃のような有核果実系や洋梨の味わいがあります。酸もかなりしっかりしています。どちらかというと軽い味わい。ちょっとグルナッシュ・ブランあたりに似ているような気がしました。

二日目以降はちょっと酸が強くなって白桃系の味わいは目立たなくなった感じです。個人的には1日めの味わいの方が好きでした。


Date: 2021/0615 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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California drought

米国西部での旱魃が「史上最悪」な事態になろうとしています。カリフォルニアでは既に州の3分の1が、旱魃の4段階のうち一番悪い状態である「例外的」になっています。

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2000年以降のD0~D4の比率を分布すると上の図のようになりますが、すでに2013年から2016年ころの状況に近づいており、秋までにはさらに悪化することがほぼ間違いありません。

この状況で鮭の稚魚が干上がってしまう恐れがあり、稚魚を運んで海に放すなども行われています。

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カリフォルニアの雨はほとんどが冬の間に降ります。しかもそのおよそ半分が「Atmospheric River」と呼ばれる、極めて湿度が高く豪雨をもたらす狭い大気のエリアによるものだとわかっています。この2年はこのAtmospheric Riverがほとんどカリフォルニアに来ていないことから旱魃が悪化しているとのことです。

旱魃によって、山火事の恐れも増しています。水が足りないのも困りますが、山火事の影響の大きさは昨年や2017年など、近年はクリティカルなレベルに達しています。いろいろ気がかりです。
Date: 2021/0614 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「カルトワイン」を巡って裁判が勃発しています。スクリーミング・イーグルとかハーラン・エステートといったいわゆる「カルト」ワインとは関係ありません。スーパーで15ドル程度で売られているような「カルトワイン」です。

The Cult Wine

一体なんのこっちゃという感じですが、ことの発端はサルベストリン(Salvestrin)というナパのワイナリーが「カルト」を2020年6月に商標登録したことによります。

一方、アペレーション・トレーディング・カンパニーという会社が「The Cult Wines」というブランドを立ち上げます(上の写真)。これに対してサルベストリンの弁護士から商法違反である旨の手紙が届きます。アペレーション・トレーディング・カンパニーはこれにさらに対抗して、商標が無効だとして訴えたというのが現在の状況です。

そんな十数ドルのワインを「カルト」と呼ばれても、というのが偽らざる感想です。商標取る方も取る方ですが、ブランドを立ち上げる方も立ち上げる方です。

不毛過ぎて取り上げるのやめようかと思っていたのですが、記録のために書いておきました(笑)。
Date: 2021/0613 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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廃業するワイナリーから仕入れた高級カベルネとして、3年ほど前から国内で安く売られているアリル(Aril)。このブログでも何回も紹介しています。
ワイナリー廃業による在庫処分で半額近くになったお買い得ワイン
コスパで選ぶ高級ナパワイン4選
中川ワインの試飲会で美味しかったワイン(2020年春)


このワインが、ここに来て爆売れしてほとんどのショップが売り切れになっています。
爆売れの理由はメンタリストのDaiGoさん(今は松丸亮吾君のお兄さんといった方がわかりやすいかも)が動画の中で紹介したから。

(動画の16分32秒あたりから)

それにしてもすごい影響力ですね。3万円というのはちょっと持ち上げすぎな感じもしますが、7000円台の味ではないのは確かです。

最近ではBTSのButterが、JaM CellarsのButterシャルドネに似ているということで売れているという話もあります。
Butter
JaM Cellars
どんな理由でも売れてくれるのは嬉しいです。


Date: 2021/0612 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの有名ワイナリー「メリーヴェール(Merryvale)」が久々に輸入復活しました。一通り試飲した中からお薦めのワインを紹介します。
メリーヴェール

メリーヴェールはナパの歴史の中でも重要な位置を占めています。前身となったのがサニー・セント・ヘレナ(Sunny St. Helena)というワイナリー。ロバート・モンダヴィが大学卒業後にワインビジネスを始めるにあたって最初に購入したワイナリーです。その後、モンダヴィがチャールズ・クリュッグを買収したことで、しばらく歴史の表舞台から去りましたがハーラン・エステートを作ったビル・ハーランがハーラン設立前の1983年に購入しました。ビル・ハーランはナパの様々な畑からブドウを購入してワインを醸造していました。売れるワインを作るのが目的なのではなく、最良の畑や最良の地域を見極めて、自身のワイナリーのための土地を購入するときのデータを得るためでした。また、このときの経験が後にボンドに生かされます。

ビル・ハーランはハーラン・エステート設立後、メリーヴェールを売ってしまいましたが、その後もワイン・スペクテーターの年間8位を記録するなど、ナパの人気ワイナリーの一つとなっています。

メリーヴェールのワインは、いくつかの階層があります。一番安いのがスターモント(Starmont)、白とロゼは3000円台、赤はピノ・ノワールが4000円台、カベルネ・ソーヴィニヨンが5000円台といったところ。もう一つ「フォワード・キッド(Forward Kid)」というワインで赤のブレンドが6000円です。

その上、メインとなるのがメリーヴェールで6000円前後の価格です(カベルネ・ソーヴィニヨンは1万円)、そして1番上が「プロファイル・コレクション」。ワイン・スペクテーターで年間8位になったワインもプロファイルでした。赤は2万8000円、白は1万円となっています。

さて、このようにワインは階層構造になっているので、品種ごとに複数のワインが輸入されます。そこで今回は品種ごとに特徴とお薦めを見ていきましょう。

まずはソーヴィニョン・ブラン。スターモント(3500円)、メリーヴェール(5800円)があります。スターモントはフレッシュな味ワインですが、メリーヴェールの方はリッチな作りで濃厚です。爽やかさを求めるならスターモント、リッチさを求めるならメリーヴェールがお薦めです。

次にシャルドネ。スターモント(3500円)、メリーヴェール(6000円)、プロファイルシリーズの「シルエット」(1万円)の3種です。スターモントはバランスよくなかなかいい作り、メリーヴェール(6000円)はヴァニラやカスタードなどリッチな味わいです。シルエットは、もっとリッチなのかと思いきや、意外とそうでもなく酸の切れ味が印象的でした。「らしさ」的にはメリーヴェールが好まれそうな気がします。

次にピノ・ノワールはスターモント(4500円)とメリーヴェール(6000円)。スターモントはベリー系の味わいがいいチャーミングなワイン。メリーヴェールも赤系果実がきれいです。これも好みが分かれるでしょう。

カベルネ・ソーヴィニヨンはスターモント(5500円)、メリーヴェール(1万円)、プロファイル(2万8000円)。スターモントはこのクラスにしては珍しいほどタニックでボディがしっかりしています。ソノマのブドウが3分の2入っている関係でしょうか。メリーヴェールはバランスいい作り。プロファイルはパワフルでチョコレートやカカオの風味が強くあります。個人的にはメリーヴェールが一番好みでしたが、ボディを求める人にはスターモントもお薦めです。プロファイルは比較対象というより全く別物です。

ここまで未紹介のものではロゼとフォワード・キッドのレッドワイン、メリーヴェールのメルロー、そして「アンティグア」というデザートワインがありました。この中で個人的に好みだったのがフォワード・キッド。プチ・シラーが47%、ムールヴェードルが19%、シラーが17%、マルベックが17%というなかなかユニークな作りです。プチ・シラーがこれほど入っているのに味わいが重くなく、どちらかというと赤系のベリーが優勢な味わい。シルキーなテクスチャが高級感を醸し出します。美味しゅうございました。

楽天では札幌ワインショップに既に入っていますが、残念ながらフォワード・キッドはないようです。



Date: 2021/0611 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週開催されたプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションに合わせて、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは2018~2020年のヴィンテージについての論考を3人のワイン評論家によるワインメーカーとのオンライン・パネル・ディスカッションで開催しました。その様子とそこから考えたことをW.ブレイク・グレイ氏が記事にしています(Napa Cabernet Explores its Non-binary Side | Wine-Searcher News & Features)。

まず、評論家は2018年の担当がジェームズ・サックリング、2019年がワイン・アドヴォケイトのリサ・ペロッティ・ブラウン、2020年はジェブ・ダナックでした。グレイ氏は3人のパネル・ディスカッションの進め方の違いを指摘します。ジェームズ・サックリングがワインメーカーの意見を聞きながら進めていたのに対し、リサ・ペロッティ・ブラウンは基本的にワインメーカーの意見は聞く気がなく、むしろ教えるような態度、ジェブ・ダナックは聞き役に徹して自分の意見はほとんど出さなかったもようです。
ジェームズ・サックリング
リサ・ペロッティ・ブラウン

ジェームズ・サックリングの担当した2018年とリサ・ペロッティ・ブラウンの2019年はワインのスタイルも大きく異なっています。2018年は非常に問題の少ない年で、比較的エレガントなスタイルでタンニンのしっかりしたワインになったようです。一方、2019年は暖かく柔らかで濃厚なワインが多かったもよう。リサ・ペロッティ・ブラウンは明らかに2019年が気に入っています。

グレイ氏によると、ワイン・アドヴォケイトはロバート・パーカーの時代から「エレガント」という言葉は褒め言葉になっていないとのこと。実際100点が付いたワインのレビューでエレガントという言葉が使われているのはごくわずかしかないようです。

一方、サックリングは2018年のスタイルが気に入っており「人々がワインをフルーツでなくタンニンで定義するようになったことを嬉しく思う」と語っています。サックリングのパネル・ディスカッションに登場したワインメーカーも2018年を非常に高く評価しており、むりやり濃いワインにする必要なく、きれいなワインになったと言っています。

確かに評論家による違いは結構あるし、ワイン・アドヴォケイトは一貫して濃厚よりだと思います。ただ、その一貫性がワイン・アドヴォケイトのいいところでもあるんですよね。時系列的に同じワインの評価を見るときにはなるべく評価軸がぶれないでほしいので、そういうときはワイン・アドヴォケイトにまさるメディアは今のところないと思います。

個人的には個々のレビューに関してはアドヴォケイトよりヴィナスを信頼することが多いですが、今回のパネルにはアントニオ・ガッローニは出てきていませんでした。ちょっと残念なところです。
Date: 2021/0610 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のセールでしあわせワイン倶楽部がほぼ全品10%引きのセールをしています。気がついたら残り1日を切っていました。これまで、本サイトで格安品として紹介してきたものも、多くが最安になっています。楽天内最安を確認したものから一部案内します。どれもコスパの非常にいいワインですが、それがさらに安くなっています。

レストラン用だったワインが日本向けの超格安で入荷したヘスのシャーテイル・ランチ。そろそろ市場在庫のみです。リンク置いてませんがヘス・セレクトもほぼ同価格。



「一世を風靡した」といっても過言ではないナパ・ハイランズ。現在は4000円台後半から5000円台前半で売っているショップが多い中で3000円台とダントツのやすさです。


寿司に最高に合うと評されたカーボニストのピノ・グリージョのペットナット。


2000円台のピノ・ノワールの中では圧倒的なクオリティのアルタ・マリア。


フラッグシップのピノ・ノワールでも5000円台。先日急逝したジム・クレンデネンさんのオー・ボン・クリマを代表するワイン「イザベル」。様々な畑のブレンドでバランスの良さが身上のワインです。


もう一つのフラッグシップ「ノックス」はなんと4000円台。こちらはワイナリーの隣りにありオー・ボン・クリマと共に成長してきたビエンナシード100%。イザベルより骨太の味わいです。

Date: 2021/0609 Category: 業界ニュース
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pnv
ナパでプルミエ・ナパ・ヴァレーのオークションが開催されました。今年はオンラインで現地以外からのビッドも可能になり、落札総額は270万ドルでした。

これは昨年の390万ドル、一昨年の370万ドルなどと比べて低いようですが、今回はロット数が少なかったことが影響しています。実際、ワイン・サーチャーの記事(Napa Auction Brings in the Big Money | Wine-Searcher News & Features)によると、ワイン1本あたりの金額にすると227ドルで、昨年の215ドルを上回っています。ちなみに昨年は2月に開催、まだコロナ禍が始まる前でした。

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今回、最高額で落札されのはシェーファーの「サンスポット」カベルネ・ソーヴィニヨン。フラッグシップであるヒルサイド・セレクトに使われている畑の中でも最良の区画のブドウを使ったものです。このオークションでは高額でビッドされる定番ですが、今回は11万ドル、1本あたり1833ドルで落札されました。

2番めに高額だったロットは6万5000ドルで、その倍近く。しかも2番めのロットは240本と非常に本数の多いものでした(ナパの4人の女性ワインメーカーが作ったもの)。

落札したのはイギリスのハロッズ。今回が初参加でオンラインによるビッドでした。

ワイン・サーチャーの記事によると、今回オンラインの参加者には事前にハーフボトルのサンプルが12本(24本の場合も)送られてきたそうです。すべてのワインが試飲できるわけではないので、何が来るかは運次第のところもあります。ハロッズはシェーファーのサンプルを入手したラッキーなビッダーの一つでした。

シェーファー社長のダグ・シェーファーは、サンプルが送られたビッダー一人ひとりにメールして、希望があればZoomで説明をしたとのこと。ただ、ハロッズはZoomのやりとりはなく、ただお礼の返事が来ただけだったといいます。

ともかく、コロナ禍以降初めての大きなイベントとも言えるプルミエ・ナパ・ヴァレーが成功したことは、ナパにとってもワイン業界全体にとっても朗報でしょう。

来年はまた2月に戻っての開催となる予定です。
Date: 2021/0608 Category: おすすめワイン
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かわばた酒店の20周年記念でブエナビスタ(Buena Vista)の「ザ・カウント」が限定(わずか6本!)で特化になっています。

ブエナビスタといえば、1857年に設立されたカリフォルニア最古のワイナリーとして知られています。現在のオーナーはナパのレイモンドやソノマのデ・ローチ、自身の名前を冠したジャン・シャルル・ボワセ(JCB)を所有するジャン・シャルル・ボワセ。彼の傘下に入ってからブエナビスタもリノベーションして、現在は博物館を併設しています。

その創設者がアゴストン・ハラジー(ハラスティ)。ハンガリー出身で、欧州から様々な品種の苗木をカリフォルニアに輸入したことでも知られています。カリフォルニアのワイン産業の基礎を築いた偉人の一人です。

Portrait of the Hungarian Count Agoston Haraszthy.jpg
不明 - 1=from Strong Wine: The Life and Legend of Aboston Haraszthy by Brian McGinty. 2= Wisconsincentral.net; Source-URL <a rel="nofollow" class="external autonumber" href="http://www.wisconsincentral.net/Culture012906.html">[1]</a>; Image-URL <a rel="nofollow" class="external autonumber" href="http://www.wisconsincentral.net/ImagesCulture/Roxbury/HaraszthyAgoston.jpg">[2]</a>, パブリック・ドメイン, リンクによる


ザ・カウントというのは伯爵のことでアゴストン・ハラジーが伯爵を持っていたことから名付けられたワインです。品種はシラーが38%、グルナッシュ20%、ジンファンデル22%、メルロー12%、プティ・シラー3%、テンプラニーリョ3%、ミッション2%と彼らしい多様な品種になっています。ワインのボトルにもアゴストンがエッチングで描かれており豪華です。これが税込み2000円台というのはかなりのやすさです。



シャルドネも同様にセールになっています。合わせ買いにどうぞ。


Date: 2021/0607 Category: 業界ニュース
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先日参加したオレゴン・ワシントンの試飲会で、オレゴンの白ワインといえばシャルドネが中心でした。冷涼な地域のためか酸がきりりと印象的なワインが多く、非常に高品質で価格も比較的抑えめに感じました。

とはいえ、オレゴンの資料を見るとオレゴンの白ワインといえばピノ・グリとなっています。実際10数年前まではオレゴンのワイン生産地の中心であるウィラメット・ヴァレーではシャルドネは減る一方でした。それが変わってきた様子をW.ブレイク・グレイ氏が書いています(Willamette Valley: The New Burgundy? | Wine-Searcher News & Features)。

シャルドネは極めて優等生なブドウ品種で、冷涼な地域から温暖な地域までさまざまな環境で生育し、その気候にあったワインになります。その柔軟性の高さや、自在に変化を遂げることから「ニュートラル」なブドウと言われていますが、オレゴンは涼しすぎてシャルドネには向かないと考えられていたのです。

それを打ち破ったのがウィラメット・ヴァレーの中でも冷涼な地域であるエオラ・アミティ・ヒルズに作られた「イヴニング・ランド(Evening Land)」でした。イヴニング・ランドにはブルゴーニュの名手コント・ラフォンが出資をし、シャルドネを育てていました。しかも普通よりも早く収穫をしたところ、非常に高品質のシャルドネが誕生しました。

その後コント・ラフォンはイヴニング・ランドから手を引き、現在はカリフォルニアのドメーヌ・ドゥ・ラ・コートなどで知られるラジャ・パーとサシ・ムーアマンが所有しています。また、これも当初出資していた著名ソムリエのラリー・ストーンも、現在はイヴニング・ランドから離れたものの、近くに「リンガ・フランカ(Lingua Franca)」というワイナリーを作っており、こちらも優秀なシャルドネを作っています。

イヴニング・ランドのレギュラーのシャルドネは5000円以下のシャルドネの中ではトップクラス間違いないレベルですし、フラッグシップの「ラ・スルス」も私がこれまで飲んだシャルドネの中でトップ10に入ってもおかしくない実力です。

オレゴンのシャルドネ、今後は注目も上がっていくでしょう。

柳屋です。


こちらも柳屋。


トスカニー


Wassy's

Date: 2021/0606 Category: 業界ニュース
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6月4日にワイン・アドヴォケイトのソノマのレポート前編が発表されました。レビュアーはエリン・ブルックスです。満点ワインが新たに3つ誕生したほか、2019や2020のヴィンテージレポートも書かれています。
レポート
注目はキスラーがついに100点を取ったこと。2019年のラグナ・リッジ、以前のキスラー・ヴィンヤードです(キスラー・ヴィンヤードはシャルドネとピノ・ノワールと別々にあり、シャルドネの畑は改名しました)。スティーブ・キスラーがワイナリーを去った後の100点ということになります。これまでは2014年のキュベ・キャスリーンと2005年のピノ・ノワール キュベ・エリザベスが99点でしたが、キュベ・エリザベスは現在はオキシデンタルのワインになっています。

そして、キスラーを去ったスティーブ・キスラーのオキシデンタル(オクシデンタル)もついに100点。こちらは2018年のキュベ・キャサリンです。こちらは時間の問題かと思っていましたが、ついに来たかという感じです。

そして、もっと驚いたのが、初めてカリフォルニアのマルベックが100点を取ったことです。これまでマルベックの100点はアルゼンチンで3本出ているだけでした。ワイナリーはデビル・プルーフ(Devil Proof)。日本語にしたら「悪魔の証明」です。日本にも以前のヴィンテージは輸入されていますが、これはどうでしょうか。

こちらは前ヴィンテージ。

Date: 2021/0605 Category: 業界ニュース
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ロシアン・リバー・ヴァレーの「ジョージ(George)」のワインが久々に国内入荷しています。

ジョージはニューヨークでボンド・トレーダーをしていたジョージ・レヴコフ氏が設立したワイナリー。Williams-Selyemのピノ・ノワールを飲んで感銘を受け、ソノマでワインを作りたいとマンハッタンからカリフォルニアに移住してきました。いくつかのワイナリーで働いた後、2003年にジョージ・ワイン・カンパニーを設立しました。

年産1000ケース弱という小規模なワイナリーですが、ワインを卸しているレストランは300にも上ります。それ以外もほぼメーリングリストだけで流通しており、米国で小売に回ることはほとんどないワインです。

彼のワインは一言で言えばジューシー。果実味のきれいさが際立っており、レストランで人気があるのもうなづけます。




Date: 2021/0604 Category: 業界ニュース
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一昨年「日本人エンジニアがカリフォルニアでワイナリーを買った話が面白い」という記事で紹介した、ナパの東側ススーン・ヴァレー(Suisan Valley)のワイナリー「サンセット・セラーズ(Sunset Cellars)」が「足湯」を開設しました。

エンジニアだけど米国で足湯を開湯した話 – SF Tech-Tech」にその経緯が詳しく書かれています。

カリフォルニアではコロナ禍でテイスティング・ルームがすべて閉鎖されましたが、屋外のテイスティングから順次許可されていっています。6月15日には制限がなくなる見込みです。サンセット・セラーズでは屋外の充実のためウッドデッキを作ることを計画。その際に足湯も作ってみてはどうかということになったそうです。

ただ、足湯の認可がわからないため、役所に相談にいったところ、深さ的に「水たまり」と変わらないという判断になったとか。日本の役所だと定められていないものはダメと言ってしまいそうですが、禁止されていないからOKというのはアメリカらしいおおらかさです。

ボイラーの制御など大変なところもありましたが、そこはITエンジニアだけあってプログラムで制御できるようにし、さらにクラウド経由でアプリで温度の制御や確認ができるようにしたとか。

アメリカ人は最初は衛生的に懐疑的だったようですが、UVライトを付けてその疑念も払拭。今では喜んで入っているそうです。

早く日本からもアメリカのワイナリーに行けるようになってほしいものですね。
温泉
Date: 2021/0603 Category: 業界ニュース
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アカデミー・デュ・ヴァンの「カリフォルニアワイン、ベーシック」の第3回でした。今回のテーマはセントラル・コーストの前半ということで、サンタ・クルーズ・マウンテンズとモントレー、カレラのあるサンベニートの話をしました。

どこも思い入れのある場所なので、今回も準備した内容全部はカバーできず。なかなか話のバランスが難しいです。どうしても教科書的な話になりがちなので、退屈にならないように頑張ったつもりでしたがどうだったでしょうか。

ワイン

ワインはピノ・ノワール3つ(カレラとロアーとマウントエデン)、リッジのモンテベロ2007、白はマウントエデンのリザーブにベッドロックのリースリングという最後はちょっと変化球です。

モンテベロ2007はいい感じに熟成しています。2年くらい前にのんだときよりももっといい感じ。

ピノ・ノワール3つは好みが分かれましたが、芳醇なロアーが好きという人が多かったようです。

次回はセントラルコースト後編。オー・ボン・クリマも試飲します。
Date: 2021/0601 Category: おすすめワイン
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スクリーミング・イーグルのオーナーがサンタ・バーバラで作るピノ・ノワールとシャルドネのワイナリーが「ザ・ヒルト(The Hilt)」。同じオーナーによるボルドー系を中心に作る「ホナータ(Jonata)」と並んで、サンタ・バーバラを代表するワイナリーの一つとなっています。

ザ・ヒルトのラインアップは、単一畑のほかに、ワインのスタイルを変えてブレンドした「ヴァンガード(Vangueard)」(リッチでモダンなスタイル)と「オールドガード(Old Guard)」(複雑さを重視したスタイル)そして自社畑のブレンドである「エステート」となっています。日本には単一畑は入っておらず、2つの「ガード」とエステートとなっています。

ヴァンガードとオールドガードは1万円を超える価格となっていますが、エステートは基本的には同じ自社畑のブドウを100%使いながら5000円台と非常に格安。ワイナリー価格の45ドルとほぼ同等になっています。

最新の2018年はヴィナスとジェブ・ダナックで93点と高評価。2017はさらに評価が高くヴィナスで95点、ジェブ・ダナック93~95、ワイン・アドヴォケイトは91点。サンタ・バーバラのピノ・ノワールの中でもオー・ボン・クリマと並んで非常にお買い得なワインになっています。

ちなみに、ホナータとザ・ヒルトのセカンドにあたるのが「ザ・ペアリング(The Paring)」でこちらも非常にコスパが高いです。例えば2018年のピノ・ノワールで見るとヴィナス89点、ジェブ・ダナック92点で、価格は税込みで3000円台。

スクリーミング・イーグルの「虎の威」を借りない値付けは嬉しいですね。

はせがわ酒店


トスカニー


ウメムラ


柳屋


しあわせワイン倶楽部

Date: 2021/0531 Category: 業界ニュース
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ナパの業界向けワイン・オークション「プルミエ・ナパ・ヴァレー」が2021年6月1日~5日に開催されます(Napa Valley’s Resiliency Shines Bright at Next Week’s Premiere Napa Valley Wine Auction)。
プルミエ・ナパ・ヴァレー
例年2月に開催されていましたが、今年はコロナの影響で延期。一方、毎年6月に開催されていた一般向けのワイン・オークション「オークション・ナパ・ヴァレー」は発展的解消ということになり、今年は開催されませんでした。

今年は会場におけるライブ・オークションだけでなく、インターネットによる入札も可能。149個のロットが予定されています(Wine Offerings - Premiere Napa Valley Live Auction)。

プルミエ・ナパ・ヴァレーのワインはすべてこのオークション用に特別に作られたもの。一般に売られるワインとは差異化が必須となっています。そのワイナリーのベスト・ブロックを使ったワインなどが提供されています。



Date: 2021/0529 Category: 業界ニュース
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ソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるジョーダン(Jordan)。シルバーオークと並んでアレキサンダー・ヴァレーを代表するワイナリーと言ってもいいでしょう。1972年の創設以来、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの2つのワインだけを作り続け、オーナー一家も不変、ワインメーカーも2019年に初めて交代と、「変わらない」ことをモットーにしてきました。

そのジョーダンがつい最近、創設以降初めてブドウ畑を購入したことで話題になりました。その背景をワイン・サーチャーでW.ブレイク・グレイ氏が解き明かしています(Stars Align for Jordan's Vineyard Move | Wine-Searcher News & Features)。

Jordan

ジョーダンは当初エステート・モデルを目指してアレキサンダー・ヴァレーのヴァレー・フロアに土地を買い、畑とワイナリーを作ったのですが、「シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン」の2ワインだけを作ることは変えていないものの、ブドウのソースは変化してきていました。

まずシャルドネについては、温暖なアレキサンダー・ヴァレーよりも冷涼なロシアン・リバー・ヴァレーのブドウを使うようになりました。また、カベルネ・ソーヴィニヨンは90年代に自社畑がフィロキセラでやられて以降、アレキサンダー・ヴァレーの中でちょっと高台になった「ベンチランド」のブドウを使うようになりました。自社畑はメルロー中心で少量のプティ・ヴェルドとマルベック、それといくらかカベルネ・ソーヴィニヨンも植わっていますが、ほとんどのカベルネ・ソーヴィニヨンは購入ブドウになっています。購入ブドウについては長期契約になっており、特に供給に問題が生じていたわけではありません。なお、ラベルにカベルネ・ソーヴィニヨンと入れる場合も25%までは他の品種を使えますから、自社畑のメルローなどはそういったブレンドに使われています。

今回購入した「Meola」ヴィンヤードはかつてカベルネ・ソーヴィニヨンを購入したことがある畑で、そういう意味では大きな方針の転換があったわけではありません。家族経営が多いソノマの畑が売り出しになることはそれほど多くなく、今後もジョーダンのプログラムにフィットする畑が買えるときには購入していくとのことです。「ジョーダンがやっていくことは3つ、カベルネ、シャルドネとおもてなし」だとオーナーのジョン・ジョーダンは言っています。


Date: 2021/0528 Category: 業界ニュース
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バーチャル・テイスティング

米Silicon Valley BankによるDtC(Direct-to Consumer)のレポートが公開されました。
Direct-to-Consumer Wine Report 2021 | Silicon Valley Bank

テイスティング・ルームでの実績から、メールやSNSでのマーケティングなど、消費者とワイナリーとの直接接触に関連する様々なデータを400を超えるワイナリーによるアンケートの回答からまとめています。

コロナ禍でほとんどのワイナリーがテイスティング・ルームを開けなかった昨年、これまでと全く違う手段としてZoomなどを使ったバーチャル・テイスティングを実施するワイナリーが急増しました。冒頭のグラフによると、1回もやらなかったワイナリーが22%と8割近いワイナリーが最低1回は実施したことになります。しかも28%のワイナリーは週1回以上という高頻度で実施しています。

これらは試飲用のワインの送付を伴うため、ワイナリーにとってはワインの販売に直結しているわけです。
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これは、ボトルの価格ごとにバーチャル・テイスティングの費用を見たものですが、少ないところでも平均60ドル近いフィーを取っていたことになります。ボトル価格が80ドル以上のワイナリーでは184ドルと2万円近いフィーが設定されていました。

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このほか興味深い結果としてテイスティング・ルームにおけるテイスティング・フィーの地域別平均のグラフを示しました。上が標準のテイスティングで下が「リザーブ・テイスティング」のフィーです。

とにかくナパが突出して高く、平均を大きく上げています。ナパとソノマだけが平均を越えています。

個人的には、日本のワイナリーももっとDrCのマーケティングを意識するべきと思っています。カリフォルニアと日本でいろいろ条件が違うところもありますが、非常に参考になるデータだけに有効に使えるとこともあると思います。
Date: 2021/0527 Category: 業界ニュース
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中川ワインがデコイの「デコイ・プレミアム・セルツァー(Decoy Premium Seltzer)」を発売しました。米国でも今年3月に発売されたばかりの新製品。4種類あっていずれも250mlで650円です。入荷予定は6月下旬。

デコイ

ソーヴィニョン・ブランをベースにした「ヴィブラント・ライム」、シラー主体のロゼをベースにした「ブラック・チェリー」、シャルドネをベースにした「レモン・ジンジャー」と「クレメンタイン・オレンジ」の4種類です。アルコール度数は5.5%とビールと同程度です。

試飲しましたが、どれも新鮮な味わいで美味しいです。変な甘さも、香料のきつさもなく後味がさわやか。

特に良かったのはまず「ヴィブラント・ライム」。ライムの軽い苦味がいいアクセントになっています。特にこれからの暑い季節に気持ちよく飲めそう。

とはいえ柑橘系は缶チューハイなどでもよくありますが、オリジナリティが高いのが「ブラック・チェリー」。チャーミングな味わいでこれも魅力的。

値段はちょっとしますが、これは飲んで楽しく、アルコール度数も低いので、楽です。こういうのももっと増えてほしいです。
Date: 2021/0526 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジム・クレンデネンが亡くなって早くも10日が経ちました。いまだに彼がもういないことが信じられません。とにかく彼を偲ぶ一番の方法は彼のワインを飲むことだと思い、ちょうどイタリア品種を飲むオンラインワイン会に参加する予定があってこともあり、オー・ボン・クリマではなく、「クレンデネン・ファミリー」のネッビオーロ2013を開けました。

そもそもカリフォルニアでネッビオーロはかなり珍しいですが、その中でクレンデネン・ファミリーのネッビオーロはワイン・アドヴォケイトで最高94点とカリフォルニアのネッビオーロとしては最高の評価を得ています。実はネッビオーロ、ピノ・ノワールの次に彼が好きだった品種だそうです(その次はグルナッシュ)。

畑はビエン・ナシード。ワイナリーに隣接する銘醸畑です。ピノ・ノワールやシャルドネが有名ですが、実はシラーなどもあり、ネッビオーロもあるのです。ネッビオーロはジム・クレンデネンの薦めで植えたものだそう。冷涼なサンタ・マリア・ヴァレーの気候はネッビオーロにもあっていたようです。

色は薄めのガーネット。マッシュルームや腐葉土の香り。熟成がいい感じに進んできています。するっと飲めてしまうやわらかさがありますが、しっかりしたタンニンのためボディも意外とあります。

本当にいいネッビオーロでした。


Date: 2021/0525 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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この春から「しあわせワイン倶楽部」さんとコラボしています。ここの店でワインを買うと、テイスティングコメントが付いてきたり、クリスタルガイザーが入っていたり、いろいろおまけが付いてきて楽しいのですが、そこに私の書いたカリフォルニアワインニュースも入れてもらうようになりました。A4で1ページ、2、3本のニュースを紹介しています。このブログに書くよりも、背景知識なども少し詳しくわかりやすく書いています。

先日、ツイッターを見ていたらこんなツイートがありました。

嬉しくて思わず返信してしまいました。



店長の木之下さんが書かれた本もお薦めです。ワインを飲んでしあわせになれる本です。

Date: 2021/0524 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今年最大の目玉ワインと言っても過言ではないセニス(Cenyth)が一部のショップで再入荷されたようです。セニスはパーカー100点を15回取っているソノマのヴェリテ(Verite)の親子銘柄。ヴェリテ創設時からのワインメーカーであるピエール・セランの娘がワインメーカーを努めます。

その娘が高齢となった父を引き継ぎヴェリテを任されることになり、セニスは打ち切りへ。そのため今回限りの特別価格が実現したのでした。

ヴェリテの価格は7万円くらい。ピエール・セランが手掛けるもうひとつのワイナリー「アナコタ(Anakota)」も1万円台後半の価格。それと比べると今回のセニスの3000円台というのがどれだけ破格かわかるでしょう。しかも実際に評価も高くワイン・アドヴォケイトでは94点が付いているワインです。

私も1本飲んで、何本か買い増ししたワインです。大お薦め。

葡萄畑ココス


柳屋


しあわせワイン倶楽部


Cave de L Naotaka

Date: 2021/0522 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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トゥエンティ・ロウズ(Twenty Rows)のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブが国内に入荷しています。以前から入っていたそうですが、私は知りませんでした。今回輸入元変更で価格もぐっと下がり、ワイナリー価格よりも安い、かなりお得なワインになっています。

2003年にブライアン・ナスが始めたこのワイナリー、最初に植えたナパのマウント・ヴィーダ―の畑が20畝だったことからこの名前が付いたそうです。現在はナパのいくつかの畑からワインを作っています。新樽比率は10%、アルコール度数は13%台というのは最近のナパのワインとしては抑えめ。バランスを重視して作っている姿勢が伝わってきます。また、カベルネ・ソーヴィニヨンはフード&ワイン誌でアメリカン・ワイン・アワードに2回選出されているとのこと。

シャルドネはワイナリー価格25ドル(税抜き)に対して国内では税込みで2500円~2600円台と、実質国内の方が安いくらいの価格です。

カリフォルニアワインあとりえ



はせがわ酒店
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シャルドネ ナパ・ヴァレー 2017 750ml 白 海外ワイン
価格:2552円(税込、送料別) (2021/5/22時点)




しあわせワイン倶楽部



ウメムラ


Date: 2021/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ郡が、2020年の農業生産の報告書をまとめました。

Crop Reports | Napa County, CA

既にカリフォルニアの「クラッシュ・レポート」によって昨年の大幅な生産減少は報告されていますが(カリフォルニアのブドウ収穫、2020年は大幅減少し過去10年で最少)、それをより端的に示す結果となっています。
生産高
ワインの生産は金額ベースでナパの農産物の99%近くを占めていますが、2020年は2019年から51%ダウンして4億6200万ドル。トータルも同様に51%ダウンとなっています。

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特に打撃が大きいのは赤ワイン用のブドウ。白ワイン用が2割くらいの減少で収まっているのに、赤ワイン用は54%ダウン。赤ワイン用の方が畑の面積で8割くらいを占めるため、そのまま全体に影響した形です。
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実は、畑の面積自体は増えており、煙などの被害で使えなかったブドウが多いことと、単価が大幅に下がったことがダブルで影響しました。

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白ワイン用は畑の面積も単価も横ばい。煙の被害で2割減った格好になります。
Date: 2021/0520 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のCave de L Naotakaでクリアランス・セールを開催しています。クーポン取得で20%、30%、50%の割引になります。

クリアランスセールはこちらから

オレゴンのアンティカ・テッラ(パーカー93点など)、ナパのメテオール(パーカー97点)は3割引きの対象。アンティカ・テッラはシネクアノンで修業した人が開いたワイナリーです。
いずれも先にクーポンを獲得する必要があるので注意してください。





Date: 2021/0519 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Au Bon ClimatのFacebookページにジム・クレンデネンさん追悼のコメントが出ています。それを受けて日本のインポーターの一つである中川ワインも追悼記事を公開しています。

訃報 オー・ボン・クリマのジム・クレンデネン氏が逝去 – 中川ワイン – カリフォルニアワイン

Au Bon Climatからのコメント「私たちは、ワイナリーの伝説的人物、真のアイコン、先駆者を失ったことを嘆いています。ジム・クレンデネンがいるべき場所には大きな空白があり、私たちはショックを受けており、その不在を痛感させられますが、彼の残したものはこれからも続きます」

長女のイザベルさんからのコメント「私の父は寛大で、明るく、率直な人で、ワインのみならず料理界への貢献度も非常に高い人でした。父は多くの人にとってのアイコンでしたが、私にとって最も重要なのは、とても思いやりのある父だったということです。父のおかげで弟と私はいつも満ち足りていました。父の死は多くの人に変化をもたらすでしょうが、父の影響力は私たちの誰にとっても決して失われることはありません。父が多くの人に祝福され、愛されていたことは、私にとって大きな意味があります」

なお、弟のノックスさんは日本に留学中。関係者の尽力で帰国できるようです。

本当に多くの人に愛された人でした。昨日から私のSNSタイムラインはジム・クレンデネンへの追悼で埋め尽くされたといっても過言でないほどでした。追悼記事も多くのサイトで公開されています。

ハーシュ・ヴィンヤーズのジャスミン・ハーシュさんのインスタグラムでは、彼から缶の「角ハイボール」を教わったというエピソードが公開されており、IPOBで来日したときの写真も掲載されています。



ジム・クレンデネンさんは2回結婚していますが、どちらも離婚。残された家族はワインに名前の付いた二人の姉弟ということになります。イザベルさんは既にワイナリーのセールス部門で働いていますが、ノックスさんはこれからどうするのでしょうか。上記にあるように仲のいい家族でしたから、バラバラにはならないように思うのですが。

目玉のオー・ボン・クリマの落札者とクレンデネン・ファミリー
写真は2018年のワインエイドから。左から2番めがノックスさん、その右がイザベルさんです。


追悼に選ぶならやはり姉弟の名前のついたワインでしょうか。ショップはカリフォルニアワインあとりえです。




Date: 2021/0518 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)の創設者・オーナー・ワインメーカーであるジム・クレンデネンが亡くなりました。68歳でした。死因は明らかにされていませんが、ジャンシス・ロビンソンの記事によると眠っているときに亡くなったとありましたので、心臓系か何かの病死ではないかと思います。
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ジム・クレンデネンは1982年にアダム・トルマック(現オーハイ)とオー・ボン・クリマを設立、サンタ・バーバラのサンタ・マリア・ヴァレーのパイオニア、特にこの地域におけるピノ・ノワール生産者の先駆けとして偉大なる足跡を残しました。1989年と90年にはロバート・パーカーに「世界のベスト・ワイナリー」の一つとして選ばれたほか、ロサンゼルス・タイムズなどでワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。
サンタ・マリア・ヴァレーではビエン・ナシード、サンタ・イネズ・ヴァレーではサンフォード・アンド・ベネディクトという2つの銘醸畑のブドウや自社のル・ボン・クリマという畑などから素晴らしいワインを作ってきました。豪放磊落な見かけとは裏腹にワインは繊細さを失わないものでした。特に、バランスの取れたワインを作ることにはずっとこだわっており、2010年代にIPOB(In Pursuit of Balance)ができたときには、時代が彼にようやく追いついてきたと感じたものです。評論家から高い点数を得ることよりも、自分が納得するワインを作り続けた人でした。
ただ一つ例外があって、フラッグシップのシャルドネ「ニュイ・ブランシェ」は当初「新樽200%」として発酵と熟成両方に新樽100%使いました。これはオー・ボン・クリマでは評論家から高い点は取れないと言われたことへの反発で作ったもので、実際にこれで高い評判を得てからは、バランスの取れたスタイルへと転換しています。

また、オー・ボン・クリマはワインを値上げしないことでも独自性を貫きました。2020年のワイナートのカリフォルニア・ピノ・ノワールの特集ではフラッグシップのピノ・ノワール「イザベル」(名前は長女より)の値段を最初の年から1ドルも変えていないと、明らかにしていました。

親日家としても知られており、日本には毎年複数回来ていました。イザベルさんは日本の漫画が好きで日本語を勉強し、日本のインポーターでインターンとして働いたことがあり、長男のノックスさんは現在日本に留学中です。そんなこともあって、コロナ禍の昨年秋にも来日されていました。私はそのときのイベントに出席予定だったのが、用事が入ってしまい行けなかったのですが、「どうせまた来たときに会えるだろう」と思っていたことが悔やまれます。
オー・ボン・クリマ

こちらの写真はアカデミー・デュ・ヴァンの講座でオー・ボン・クリマの解説をしたときのもの。彼の残したワイン、また飲みたいと思います。

参考:
IPOBミニインタビューその6――ジム・クレンデネン/オー・ボン・クリマ
オー・ボン・クリマのラベルはなぜ三角形なのか
IPOB解散――メンバーはどう受け止めたか(ジム・クレンデネン)
オー・ボン・クリマが11年ぶりに作る幻のフラッグシップ・ピノ・ノワール

しあわせワイン倶楽部


Date: 2021/0517 Category: テイスティング・ノート
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プティト・プティ
マイケル・デイヴィッドのプティ・シラー「プティット・プティ」を飲んでいます。名前がプティでありながらラベルには大きなサーカスの象が描かれているという、それだけでも楽しいですが、中身も秀逸です。

プティ・シラー85%にプティ・ヴェルドが15%。プティ・シラーの濃厚な果実味を、プティ・ヴェルドのタンニンでしっかり足元を固めるいった構成です。

これを果実味爆弾と呼ばないとしたら、何をそう呼んだらいいのか、というほどの味わい。カシスやブルーベリー、プルーン。でも不思議と後味は重くない感じです。飲んで楽しいワイン。カリフォルニアらしさも爆発していると思います。

酒宝庫MASHIMO


WINE SHOP CAVE


葡萄畑ココス


しあわせワイン倶楽部

Date: 2021/0514 Category: 業界ニュース
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ソノマで老舗のワイナリー2つがワイナリー設備を相次いで廃止しました。

先にやめたのはクロ・デュ・ボワ(Clos du Bois)。ガイザーヴィルにあるワイナリーです。1974年に設立された老舗ワイナリーですが、ワイナリーの従業員のほとんどにあたる40人程度を解雇しました。今後は他の場所でワインを作ります。

クロ・デュ・ボワは2019年に発表されたコンステレーション・ブランズからガロへの約30個のブランド売却によって売却されたワイナリーの一つ。そのまではシミ(Simi)やレーヴェンズウッド(Ravenswood)も売却されており、レーヴェンズウッドはテイスティングルームなどを閉じています。このブランド売却は独占禁止法の調査などで認可を得るまで約2年かかっており、その間にクロ・デュ・ボワの売上は大きく落ちたと報じられています。そのため、生産設備を閉じ、別の場所に集約することになったようです。

Sebastiani Winery

次いで、5月10日に生産設備をクローズすると発表したのはセバスティアーニ(Sebastiani)。ソノマのダウンタウン、プラザの近くにある人気ワイナリーです。1904年に設立された古いワイナリーです。

セバスティアーニの現在のオーナーはフォーリー(Foley)。生産設備が古く、場所の制約からリニューアルも難しいため、この場所での生産をやめて他の場所に移すことにしました。生産設備の従業員は解雇されることになります。

どちらも効率化ということで、大資本の傘下に入れば、免れないことでもあります。ただ、こうやってワイナリー設備を移してしまうと、そこにある意味がなくなっていき、地域に根ざさない単なるブランドということになってしまいそうです。
Date: 2021/0513 Category: 業界ニュース
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AVA Explorer
カリフォルニアなど米国のワインを勉強するときに大事なのがAVA(米国ブドウ栽培地域)を覚えることです。AVAのマップは目にする機会が比較的ありますが、それが実際の町や道路、山や川などとどういう関係になっているかは意外と分かりにくいものです。

今はGoogleマップなど便利なツールもあるので、これらの上でAVAの範囲が分かると、例えばあるワイナリーのアドレスを探して、それがどのAVAに入っているのかを知るようなことも簡単にできます。というわけでそういったサービスなどないか探していたところ、AVAを認定しているTTB(米国酒類たばこ税貿易管理局)が公開している「AVA Map Explorer」を発見しました。

地図上である場所をクリックするとそれがどのAVAに含まれるかすぐわかります。アドレスの策定時期も分かりますし、必要なら文書類へのリンクに飛ぶこともできます。ベースの地図も道路地図や地形図、衛星写真、「トポグラフィック」という地形と道路などが組み合わさったものを選べます。

さらにすごいのが、AVAの範囲データ(シェイプファイル)をダウンロードできることです。これによって他の地図サービスでもAVAのデータが使えます。

昨日のセミナーではGoogle Earth(のデスクトップアプリ版)にソノマの各AVAのデータを表示させて説明しました。まだ十分使いこなせていなかったですが、普通に地図を見せるよりは分かりやすかったかと思います。

シェイプファイルはGoogle Mapには直接読み込めないのですが、Google Mapで扱える「KML」形式に変換するツールはあるので、それもできるはずです。レイヤーのオンオフを簡単にできる点ではGoogle Earthが便利ですが、いろいろ使い道は広がりそうです。

もちろんAVA Map Explorerにはカリフォルニア以外の州のAVAもありますから、オレゴンやワシントン、ニューヨークなどの勉強にも役立つと思います。
Date: 2021/0511 Category: 業界ニュース
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シュレーダー・セラーズの創設者であるフレッド・シュレーダーが旧友であるロバート・ランディ・ローチ・ジュニアから訴えられました(Robert Randy Roach Jr., Sues Fred Schrader Over Involvement in ...)。

Schrader

シュレーダーのカベルネ・ソーヴィニヨンのラインアップにはRBSというワインがあります。このRBSは「Roach Brown Schrader LLC」の略で2002年に設立された法人の名前です。見てわかるようにシュレーダーとローチの名前が入っています(Brownはワインメーカーのトーマス・リヴァース・ブラウンのこと)。このことからローチはRBSのワインはローチとシュレーダーの共同プロジェクトだと主張しています。

シュレーダーは2018年にコンステレーション・ブランズにワイナリーを売却しましたが、このときにローチに対しては相談も補償もなかったことから、今回の訴えになりました。

裁判の過程で明らかになったこととしては、フレッド・シュレーダーはシュレーダー・セラーズの設立時にローチから13万5000ドルを借りていました。これは2005年から2010年の間に利子も含めて返却されています。また、シュレーダーは毎年ローチにRBSのワインを15~17ケース送っていましたが、売却後はそれがなくなったとのことです。

シュレーダー側はローチからは金を借りただけであって、シュレーダー・セラーズに関してはなんの権利も持っていないと主張しています。

かつてのパートナーを提訴というとブライアント・ファミリーとヘレン・ターリーの裁判などを思い出しますが、今回はどうなることでしょうか。
Date: 2021/0508 Category: 業界ニュース
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container ship leaving bay area
海外から日本へのワインの輸送が滞っており、ワインの輸入業者にとって頭の痛い問題になっています。ワインショップにとっても売りたいワインが届かなくて売れないし、ユーザーにとっても買いたいワインが売っていない残念な事態が生じています。例えば今年3月に発売されてコスト・パフォーマンスの高さで大きな話題になった「スラムダンク」は発売から数日で輸入業者完売になってしまい、入荷待ちが続いています。「セカンドのラベルと価格で中身は倍の価格のファースト」という「フープラ 2018」も同様にあっという間に完売で入荷待ちになりました。

ワインが届かないだけでなく、輸送コストもこれまでの2~3倍と大きく上がっています。港湾で船を待機している間の保管コストも余計にかかるため、ワインの価格にも影響してくる恐れがあります。

どうしてこんなことが起こっているのでしょうか。

ワインのほとんどは船で日本に運ばれます。ボージョレ・ヌーヴォーは解禁日に間に合わせるために空輸されますが、空輸のコストは船の20倍ほどもするため(米国西海岸からの場合)、普通は使われません。その船に乗せるコンテナが世界的に足りなくなっており、船便が目詰まりを起こしているのです。

コンテナが足りなくなったのは複数の原因がありますが、突き詰めていえばコロナのせいです。まず、コロナによるロックダウンによって港湾で働く労働者が足りなくなり、労働者への感染の広がりもあり、荷物の上げ下ろしができなくなりました。コロナ対策による様々な制限も作業が遅れる原因になっています。これらによって港湾の近くに荷物を積んだままの船が待機する状態が続きました。さらに、いち早くコロナからの立ち直りを見せている中国を中心にアジアでの物流が急増し、欧米にコンテナが回らない事態が起こっています。コンテナの多くは中国が所有しており、その意向に世界が左右されています。

ワインに直接関連するところでは、米国がバイデン政権に代わってトランプ政権が報復的に高くした関税が引き下げられたことにより、欧州から米国へのワインの輸送が急増しているというのも、日本向けのコンテナが足りない理由の一つとなっているようです。

欧州からの輸送もスエズ運河の座礁などで遅れがかなりありましたが、米国よりはまだましなようです。

米国ワインの関係者がやきもきする状況はまだ続きそうです。
Date: 2021/0507 Category: 業界ニュース
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サンタ・クルーズ・マウンテンズで長年ピノ・ノワールを作ってきたデイビッド・ブルースが2021年4月28日に亡くなりました。89歳でした(David Bruce, Pioneer of Santa Cruz Mountains Pinot Noir, Dies at 89 | Wine Spectator)。
David Bruce

1931年にサンフランシスコで生まれたデイビッド・ブルースは酒を全く飲まない家族のもとで育ちましたがスタンフォード大学で医学の勉強をしているときにDRCのリシュブールを飲んでワインに目覚めました。1956年に皮膚科専攻として大学を卒業し、医者として勤める傍ら、購入したブドウからワインを作るようになり、1961年にはサンタ・クルーズ・マウンテンズの標高2100フィートの高地に地所を購入し、自身の名前のついたワイナリーを立ち上げました。シャルドネとピノ・ノワールを作り、それがスティーヴン・スパリュアの目にとまって1976年のパリスの審判にもシャルドネで参加することになりました。

サンタ・クルーズ・マウンテンズのピノ・ノワールとしては、現在はマウント・エデンになっているマーティン・レイのワイナリーが先駆けでしたが、後に続くワイナリーはほとんどなく、デイビッド・ブルースの成功によって、初めてこの土地でのピノ・ノワール栽培が広がっていきました。

個人的にもピノ・ノワールを飲み始めたころによく飲んだワインでした。価格も手頃で味も親しみやすくいいワインでしたが、日本にはほとんど入ってきていないようです。

なお、ワイナリーは奥さんが引き継ぐとのことですが、今はWebサイトも動いてないようです。

ご冥福をお祈りします。
Date: 2021/0506 Category: 業界ニュース
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ナパ郡が、山火事対策として早期発見システムの導入を検討しています(Napa County May Install Early Warning Wildfire Detection System)。

このシステムはドイツで開発されたIQ FireWatchというもので、センサーと人工知能を使って山火事を見つけます。具体的には、高いポールの上にカメラを設置し、「空気の乱れ」を感知します。こういったポールを10箇所設置すると、提案したイリュミネーションズ・テクノロジーズは述べています。
ポール
ポールの設置例。木のように見せかけている

またイリュミネーションズ・テクノロジーズの計画によると、このほかにも24本のポールを立てて5Gなどの基地局設置に使うということです。
マップ
黄色いところがIQ FireWatchの設置場所

ただ、こういったポールの景観上の問題や、そもそも基地局設置が「健康と環境に問題を起こす」とするグループの反対もあり、そのまま設置されるかどうかは不明です。
Date: 2021/0505 Category: おすすめワイン
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ポール・ラトー(Paul Lato)といえばサンタ・バーバラを中心に銘醸畑から素晴らしいワインを作っていますが、ついにナパはカーネロスのハイド(Hyde)・ヴィンヤードのシャルドネとピノ・ノワールを作りました。

最近は他の産地と比べてちょっと影が薄くなっているカーネロスですが、やはりハイドは別格です。キスラー、オーベール、ポール・ホブズ、パッツ・アンド・ホール、TOR、デュモル、レイミーといったそうそうたるワイナリーがハイドのワインを作っています(実はマーカッシンのハイドというのも1990年に作られていたようです)。

ポール・ラトーはワインごとにオリジナルの名前を付けますが、ハイドのシャルドネは「ゴールドバーグ・ヴァリエーションズ(Goldberg Variations)、ピノ・ノワールは「マジック・モーメンツ(Magic Moments)」という名前になっています。生産量はピノ・ノワールがわずか100ケース、シャルドネも190ケースと少量です。

ピノ・ノワール2018はワイン・アドヴォケイトで97+の評価。実は同誌のハイドの評価で最高となっています。シャルドネも96という高評価。ピノ・ノワールはすでにインポーター完売だそうです。

ワッシーズ


柳屋

Date: 2021/0504 Category: おすすめワイン
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ロバート・パーカーの掲示板で「カリフォルニアのベスト・ピノ・ノワール・ワインメーカー」に選ばれた名匠エド・カーツマン。ご本人はいたって謙虚で人柄よく、名匠なんて付けたら嫌がりそうな方なのですが、あえてそう呼ばせていただきます。

テスタロッサやシャローンで力を付けた彼の名前を上げたのがオーガスト・ウエスト(August West)とロアー(Roar)。ロアーはサンタ・ルシア・ハイランズをピゾーニ(Pisoni)と並んで一流産地にした銘醸畑ゲイリーズ(Garys')やロゼラズ(Rosella's)のオーナーであるゲイリー・フランシオーニのワイナリーでエド・カーツマンは創設時からのワインメーカーでした。そしてゲイリー・フランシオーニとソノマのグラハム・ファミリー・ヴィンヤードのオーナーのハワード・グラハム、そしてエド・カーツマンがパートナーとして始めたのがオーガスト・ウエスト。フランシオーニのロゼラズのピノ・ノワールやシャルドネなどが大人気を博し、冒頭の人気1位につながったのでした。

彼の作るワインはチャーミングで、思わず笑みがこぼれるような美味しさを持ち、しかも熟成させる魅力も持っています。日本人にも特に人気が高く、彼に師事したのがフリーマンのアキコ・フリーマンさんとアーサー・セラーズの桃井隆宏氏。フリーマンのワインはオバマ大統領の晩餐会でも使われ、アーサー・セラーズのピノ・ノワールは品評会などで高く評価されています。

前置きが長くなりましたが、オーガスト・ウエストからはゲイリー・フランシオーニが手を引くことになり、現在ではソノマのグラハムのほか、サンタ・ルシア・ハイランズのコルタダ・アルタ(Cortada Alta)という畑からピノ・ノワールを作っています。コルタダ・アルタはサンタ・ルシア・ハイランズの中で最も標高の高い畑(標高1100~1600フィート)で、霧の影響は少ない一方で、朝晩は冷え込んで寒暖差が大きくなる畑です。

オーガスト・ウエストはこれらの畑から、単一畑名称ではなくAVA名称としてロシアン・リバー・ヴァレーとサンタ・ルシア・ハイランズのピノ・ノワールを作っています。生産量は2019年の場合でロシアン・リバー・ヴァレーが189ケース、サンタ・ルシア・ハイランズが46ケース。ワインはいずれも36ドル(税別)なので、ワインが全部売れても売上は10万ドル程度。こんなので商売になるのかと心配になるレベルです(エド・カーツマンはほかにサンドラ―としてもワインを作ってますがそちらも全部合わせて400ケースくらいです)。

しかも日本の価格は実売で税込み5000円と米国とさして変わらないレベル。いくらAVA名称で作っているピノ・ノワールとはいえ、エド・カーツマンが手塩にかけて作ったものですから、大量生産品とは比べられないです。なお、ヴィンテージはどちらも2018年。とにかくトラブルのほとんどなかった年であり近年のベスト・ヴィンテージと言われています。

紀伊国屋リカーズ



ワッシーズ

Date: 2021/0503 Category: 業界ニュース
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2017年、2020年とナパなどで山火事による煙汚染でワインの生産が大きな影響を受けました。その後、煙汚染への研究や対策が進みつつあります。その中から現在試みられている2つの新しいアプローチを紹介します(Trends in Winemaking: Two New Approaches to Smoke Taint Mitigation)。

一つ分かってきたことは、従来煙汚染の原因と考えられていた物質が必ずしも煙汚染のフレーバーの素にはなっていないことです。2つの方法の一つは清澄樹脂を使ったもの、もうひとつは膜による分離と固相抽出を組み合わせたものです。

前者の方法はジェフ・マレル(Jeff Murrell)という人が開発しているもの。ナパのセーフ・ハーバー・ワイン・ストレージでVinSciというワインの分析ラボを行っており、StaVinという会社で研究のディレクターもしています。彼が開発した清澄樹脂は、煙汚染による口当たりの問題を解決しようというものです。

この物質「SRxワインコラム」はすでにナパやソノマ、ウィラメット・ヴァレーのワインメーカーの間で話題になっており、この樹脂を入れたスティールのハウジングにワインを通すだけで効果が得られます。複雑な装備は必要ありません。現在FDAから食品での利用認可を得ようとしており、TTBによるワインのための樹脂利用のガイドラインに該当することを確認しています。マレルによるとワインメーカーはタンクからタンクに移すときや樽から樽に移すときなどに、これを利用できるとしています。チョーク・ヒルやパイン・リッジ、シーヴィー、ソコール・ブロッサー、コッポラなどがこの技術をすでに試しています。

マレルによると、これまでのアプローチの多くはアロマに注力していましたが、彼の分析では煙汚染されたワインの90%以上で香りは問題ないとのこと。逆に言うと、キャンプファイアーにいるような香りになってしまっているワインについては収穫されるべきではなく、そのような「行き過ぎた」ワインへの対処ではないとしています。

実際に試したワインメーカーによると、たしかにアロマにはあまり影響せず、灰のような苦さを取り除いてくれるとのこと。コッポラのワインメーカーであるコーレイ・ベックは「最初の実験結果はとてもよく、感銘を受けている」としています。

一方、膜を使った新しいアプローチは、逆浸透膜での処置のリーダーであるMavrik North Americaが開発しました。「汚染されたワインを吸うための迅速で完全かつ永続的な解決策」だとしています。こちらは煙のフレーバーとアロマに注力して取り除く方策です。ドン・セバスティアーニ・アンド・サンズは2020年に煙汚染されたサスーン郡のカベルネ・ソーヴィニヨンを大量に購入しました。煙にさらされたブドウは購入しない方針でしたが、栽培者が保険に入っていなかったなどの理由で購入したのでした。Mavrikの膜を2回使うことでフルーティなワインに仕上がったとのことです。

何よりも煙にさらされないことが一番ですが、こういった技術の進化で、煙汚染の被害が少なくなることを期待します。
Date: 2021/0502 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアなどの山火事で、空中から消火剤などを散布するのに使われていたボーイング747ベースの「スーパータンカー」が運用を終了しました(Wildfire-fighting Supertanker plane is ceasing operations)。
U.S Supertanker during the Carmel forest fires in Israel

このスーパータンカーはこれまで200回以上出動し、山火事の消火を手伝ってきました。昨年のグラスファイアー時にも出動しています。しかし、先週運用する会社が業務を停止することを公表してしまいました。

その存在感から地元にも親しまれており、停止が惜しまれていますが、運用を続けるには規制の問題などもあるようで、なかなか難しそうです。
Date: 2021/0501 Category: 業界ニュース
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アルコール度数が低い「体に優しい」ワインがブームになりつつあります(Better for You Wines Are The Hot Trend in 2021)。

サニー
このブログで何度か取り上げているシャイド・ファミリーの「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ」はウォルマートなどアメリカの多くのチェーンで取り扱うようになり、既にヒット製品になっていますし、コッポラなども低アルコール製品を投入しています。オーストラリアのイエローテールやニュージーランドのキム・クロフォードといった人気ブランドも低アルコール製品を発売しました。
コッポラ
伏線としてはハードセルツァーと呼ばれる日本の缶チューハイに似た分野のヒットがありました。日本の缶チューハイはアルコール度数高いですが、米国のハードセルツァーはアルコール度数が低くなっています。アルコール度数が高い酒類より体にいいという理由で飲む人も増えています。

ちなみにノーアルコールとローアルコールを合わせた「NoLo」アルコール飲料は米国で年率3割程度も伸びているという調査結果もあります。シャイド・ファミリーのハイジ・シャイドによると、ウォルマートなどはサンプルを持っていく前からこのワインの採用を決めていたといいます。

アルコールを取り除く技術としては逆浸透膜を使うところが主流ですが、トリンチェロはスピニング・コーンを使っています。シャイドによると両方試した結果として逆浸透膜を使っています。浸透膜を通した後、疎水性のフィルターを使うことでより効率よくまたフレーバーを落とさずにアルコールを落とせたとのこと。6000ガロンのタンクを処理するのに3日かかるというから結構たいへんです。

赤ワインと白ワインでは赤ワインの方が圧倒的に難しいとのこと。赤ワインはアルコール除去によってタンニンも減ってしまのでバランスの維持が難しいとか。私もシャイドの3つのワイン(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール)を飲んだ経験では赤よりも白がよく感じられました。

日本市場ではどうなるか木になります。




Date: 2021/0430 Category: 業界ニュース
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先日の記事の続きです。
アース・デイにサスティナビリティについて考えた

前回はワイナリーにとってのサスティナブルへの取り組みがどういう意味を持つのか考察しましたが、今回はセミナーでのシルバーオーク(Silver Oak)とリッジ(Ridge)のリットン・スプリングス(Lytton Springs)における取り組みの紹介です。

シルバーオークはカリフォルニアの中でもサスティナブルに最も力を入れているワイナリーです。これまでにLEEDプラティナム、カリフォルニア・グリーン・メダルのリーダー・アワード、リビング・ビルディング・チャレンジといった賞を受賞しています。

LEEDプラティナムはナパのオークヴィルのワイナリーが2016年、ソノマのアレキサンダー・ヴァレーのワイナリーが2018年に受賞。オークヴィルはワイナリーとしては初めてのLEEDプラティナムです。リビング・ビルディング・チャレンジは2020年にこれもワイナリーとしては初めての受賞。これまで受賞した最大の製造設備だといいます。リビング・ビルディング・チャレンジは世界で25施設しか受賞していない、非常にレベルの高い賞であり、水やエネルギー、マテリアルなど7つの分野で認められる必要があります。

シルバーオーク

例えば太陽光発電では1MWの発電が可能であり、ワイナリーで使う電力の100%以上を作っています。水利用も大幅に削減しています。ワイン自体には水は入れませんが、ワイン造りでは清浄などに大量の水を使います。以前は1ガロンのワインを作るのに7~8ガロンの水を使っていましたが、使った水の再利用などを徹底的に行い、わずか1ガロンで作れるようになったそうです。

栽培においては、科学の力、具体的には様々な計測を徹底的に行うことで、灌漑や使う薬剤などを最低限に押さえています。

サスティナブルはこういった物質的なことだけでなく、コミュニティなどの項目も含まれていますが、シルバーオークでは従業員の健康面や、若い人にワインの啓蒙を行うといったこともその一環で行っています。

サスティナブルに取り組むことでワインの品質にどういう影響があったかという質問に対しては、水資源の保護や薬剤利用の最適化、灌漑の最適化などで畑に対してプラスになっているとのことでした。

リッジはサンタ・クルーズ・マウンテンズのモンテ・ベッロとソノマのリットン・スプリングスのワイナリーがありますが、今回はソノマのワイナリーを取り上げています。カリフォルニアワイン協会のバイザグラスの今年のテーマがソノマなのでそれに沿っています。
リットン・スプリングス

リットン・スプリングスのワイナリーはもちろんリットン・スプリングスの畑の隣にあります。1900年代に植樹された120年近い樹齢の畑です。見てわかるように屋上にソーラーパネルが敷かれています。確かここがリニューアルされたのは2000年代の前半だったと思います。まだ太陽光発電を導入したというだけでニュースになった時代でした。

このワイナリーの最大の特徴は壁に藁を使っていること。
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風通しがいいので、エアコンが不要になりました。

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外壁には土をまぜて漆喰にしています。

藁や漆喰を使った建物というのは米国ではあまり見かけませんが、実はリッジのモンテ・ベッロの古い19世紀からある建物の床で漆喰が使われていたとのこと。カリフォルニアでは米も作られているので、藁は比較的容易に手に入るようです。

また、リッジでは畑の有機栽培も行っています。まだ100%有機ではありませんが、ほぼそれに近いところまで来ています。リットン・スプリングスに関しては2008年からとかなり早い段階から有機栽培に切り替えています。ソノマとサンタ・クルーズ・マウンテンズでいずれも最大の有機栽培畑を持っているとのこと。

また、サンタ・クルーズ・マウンテンズの畑では「土を耕さない」とのこと。土が流れ出すのを防ぎ、保水を考慮しています。

さて、この日は虎ノ門のホテル「東京エディション虎ノ門」でセミナーを受けており、2つのワイナリーのプレゼンの後はお楽しみのランチです。


シルバーオークとリッジのワインはもちろん、サスティナブルに取り組んでいる他の2つのワイナリー(Jとシャイド・ファミリー)のワインも飲みました。


シャイドのサニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズは低アルコールと低カロリーを実現したワイン。ここの畑はすべて有機栽培になっており、ワイナリーではモントレーの強い風を生かした風力発電を行っています。低アルコールのワインというと「おいしくない」というイメージがありますが、それを覆すかのようなしっかりとした味わいには驚いた人が多かったようです。


リッジのリットン・スプリングスに合わせたのは、このホテルのスペシャリテだというウィンナーシュニッツェル。ちょっと酸味の効いたソースがリットンの味わいによく合います。


そして、シルバーオークに合わせたのは、ワイナリーのシェフからのメニューだという「ファロット」。お米(リゾ)から作るのがリゾットで、大麦(ファロ)から作るのがファロットとのこと。カベルネ・ソーヴィニヨンには肉という常識に合わないような料理ですが、シルバーオークのアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ミディアムプラスくらいのボディで、赤系の果実味が結構しっかりするため、肉肉しい料理にはむしろ合わないのです。大麦とチーズの組み合わせが意外と思うほど、おいしくワインにも合っていました。
Date: 2021/0428 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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一世を風靡したナパ・ハイランズの上位版である「リザーブ」が国内入荷しています。最初の2015年はなんと500本というわずかな生産量。日本の入荷数ではなく生産量です。次の2016年も1000本と極めて少なく国内市場でも瞬殺状態でした。今回は3000本と大分生産量は増えましたが250ケースですから極めて少ないというのは間違いありません。

ナパ・ハイランズはテレビ番組で明石家さんまさんが激賞して市場から一瞬で消えてしまったというワイン。4000円台のナパ・カベルネという新たなジャンルを築いたワインであり、多くのインポーターがその価格帯に秀逸なワインを投入しました。今でもこの価格帯を代表するワインでリファレンスといえると思います。

リザーブ版はオークヴィルの西側斜面という超一等地の畑のブドウから作られています。ドミナスのユリシーズ(Ulyssys)や、ボンドのVicinaにも使われているヴァインヒルランチ(Vine Hill Ranch)などのある辺りの畑です。
Oakville

周りのワインを考えると税別で1万円切るワインはほとんど思いつきません。大体2万~3万円程度はするワインがほとんどです。定価約1万円はもちろん安ワインではありませんが、コスパはすごいです。

高級カベルネの入門編的に飲むのがいいのでは、と思います。

ノムリエ・ザ・ネット


葡萄畑 ココス


ワッシーズ

Date: 2021/0427 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン・バイザグラスのキャンペーンが5月末まで行われています。昨年は途中で中止となってしまいましたが、今年も再び緊急事態宣言が出る中、続いてはおります。都内のお店は酒類提供ができなくなってしまいましたが、ほかの地域はまだ大丈夫です。
カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2021|カリフォルニアワイン

なかなか外出も難しい昨今ですが、せっかくなので2軒行ってきました。バイザグラスなので一人でも行きやすいのはありがたいことです。

最初は銀座のワインバー「ジム・ルーム」。以前の「エド・パーラー」時代に伺ったことがありましたが、移転後は初めてです。

相変わらず入りにくい店構えですが、入れば笑顔で迎えられます。

まずいただいたのはあまり見かけないアレキサンダー・ヴァレーのカリニャン。

ZO Winesというワイナリーです。アレキサンダー・ヴァレーということでふくよか系かと思ったら意外とスリムな味わいでした。


もう一杯、今度はシャルドネをいただきました。中井ヴィンヤードの「すっぴん」シャルドネ2017です。樽を使っていないすっきり系。

ワインはこちらからサーブされます。

もう1軒伺ったのは(別の日です)、たまプラーザにあるアメリカ料理の店です。

ハンバーガーなどの定番メニューもありますが、Cal-Mexも割と充実しています。ということでケサディーヤからいただきました。サルサが美味しい。


もう一品は、バイザグラス用のスペシャルメニューの一つ「ビーフロール」。ハーブ類のペーストを牛肉で巻いて焼いた料理です。

ワインは689セラーズの「Lucky Draw」カベルネ・ソーヴィニヨン。ハーブのニュアンスがカベルネ・ソーヴィニヨンにとっても合っています。美味しかった。

都内の飲食店は、今の状況本当に大変だと思います。なんとか応援したいですね。
Date: 2021/0426 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コラヴァンよりも安く、スクリューキャップのワインなどにも利用可能な「Pivot」が国内でも販売になりました。

コルクに細い針で穴を開けてワインを出し、代わりにアルゴンガスを注入するコラヴァンは、保存期間が非常に長い一方、天然コルクを使ったワインでないと利用できません。そこで作られたのがPivotで、ワインを開けた後にストッパーを差し込み、専用の棒(コラヴァンの針よりも太いもの)を使ってワインの抽出とアルゴンガスへの置換を行います。

一回ボトルを完全に開けてしまうため、保存期間は4週間とコラヴァンよりも相当短くなりますが、より簡単にまた多くのワインに利用できるというメリットがあります。なお、ハーフボトルには使用できません。ガスのカプセルはコラヴァンと互換性があります。




Date: 2021/0425 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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この冬の少雨により、カリフォルニア州で旱魃の問題が広がっています。特にソノマとメンドシーノについてはニューサム州知事が4月21日に旱魃の緊急事態宣言を発令しています。

この地域の水の供給はロシアン・リバーへの雨水の供給に依存しており、今のままの状況が続くと10月までにレイク・ソノマとレイク・メンドシーノは2012~2016年の旱魃時以下の水準にまで落ち込むと見られています。

もっと広域での宣言をした方がいいという意見もあったようですが、前回の旱魃前と比べると都会における水の使用量は16%削減されていることなどもあって、一部の地域に留めることにしたとのこと。

また、マリン郡では日中の散水や家庭での洗車などが禁止になっています。

南カリフォルニアでは、地域の水よりもコロラド川などからの上水システムが中心になっており、そちらは当面問題なさそうです。
Date: 2021/0424 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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4月22日はアース・デイでした。日本ではまだまだ知られていない日ですが、米国ではテレビのニュースなどで取り上げるくらいでそこそこ知られている日です。

このアース・デイにカリフォルニアワイン協会がサステナビリティをテーマとしたセミナーを開催し、改めてサステナビリティについて考える機会となりました。

サステナビリティはなかなか難しいテーマです。似たようなものとして、オーガニックやビオディナミ(バイオダイナミクス)、自然派もありますが、これらとサステナビリティはどう違い、どういう意味があるのでしょう。

オーガニックや自然派は消費者に対してかなりのアピール・ポイントとなっています。「自然派ワイン」の店はありますが、サステナビリティのワインの店というのはまずありえないでしょう。マーケティング的な意味ではワイナリーにとってサステナビリティに取り組む意味というのは弱そうな感じもします。

また、オーガニックやビオディナミが、厳格な規定に則ることを必要とするのに対し、サステナビリティの方はちょっと曖昧な感じがあります。何をやっていればサスティナブルといっていいのか、何をやっていなければダメなのか、規定はありますが一言では説明しにくい感じがします。
要件

今回のセミナーでは、マーケティング的にもサスティナブルが浸透しつつあることが分かってきました。
マーケティング
米国のワイン愛飲家の71%がサスティナブルな方法で作られたワインの購入を将来検討すると回答、またミレニアル世代の9割がサスティナブルなワインにもっとお金を払ってもいいと考えているとのことです。前者の方は「将来」ということなので実際に消費者が今後どう動くかはなんともいえないところがありますが、後者からは若い世代にとってサスティナブルという言葉が、かなり重要に捉えられているということが伺えます。

実際、ワイン業界以外の企業にとっても昨今、SDGs(エスディジーズ、Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は避けては通れないものになりつつあります。SDGsは貧困や飢餓をなくすといったことも含むより広範な取り組みですが、17個の目標のうち
・目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・目標12: つくる責任つかう責任
・目標13: 気候変動に具体的な対策を
・目標15: 陸の豊かさを守ろう
といったものはワイナリーにおけるサスティナブルの取り組みと大きく関連しています。
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ワイン業界の企業にとってもサスティナブルが「頻繁に重要」となっている比率が3年間で10ポイントも上がっています。おそらくこれはSDGsの動きと無縁ではないでしょう。

サスティナブルなワイン造りは、農薬なども最低限の利用は認められている点でオーガニックやビオディナミのような厳格さはありません。だからといってサスティナブルが単なる「緩い」自然派と捉えてしまうのも一面的です。

オーガニックやビオディナミは栽培、あるいは醸造に関わる部分を規定していますが、サスティナブルはより広範な項目を扱っています。
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例えば節水や水質管理といった項目はオーガニックと無関係ではありませんが、特に規定はされていないはずです(誤解していたらすみません)。エネルギーの効率化や人的資源、近隣コミュニティ、空気の質といったこともサスティナブルでは項目に上がっています。つまり、トータルとして「より良い」生産活動を行おうというのがサスティナブルであり、むしろオーガニックやビオディナミと比べても志は高いと言えるのかもしれません。

また、サスティナブルはオーガニックと反するわけでもありません。今回のセミナーでは具体的な取り組みとして、シルバーオークとリッジが紹介されましたが、リッジの畑はほとんどがオーガニックの認証を受けています。

サスティナブルにすることでワインが美味しくなるとは言えませんが、ワインを選ぶときに「より良い活動をしている」ワイナリーを選ぶということには意味があると思います。栽培や醸造の方法論以外にも目を向けて、そう考える人が増えていくと、よりサスティナブルの活動が広がるのではないでしょうか。

私もこれからワイナリーの紹介をするときに、そのワイナリーのサスティナブルへの取り組みについても言及していきたいと思いました。

シルバーオークやリッジの取り組みについては別記事で取り上げます。

ではHappy Earth Day!(もう過ぎたけど)
Date: 2021/0423 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カルト中のカルトワインとして知られるスクリーミング・イーグルのオーナーが所有する兄弟ワイナリーがサンタ・バーバラに3つあります。ボルドー系の品種やシラーを作る「ホナータ(Jonata)」、シャルドネとピノ・ノワールを作る「ザ・ヒルト(The Hilt)」、この両者のセカンドに相当する「ザ・ペアリング(The Paring)」です。ホナータはサンタ・バーバラのボルドー系としてはトップクラスの高い評価を得ており、価格は1万~2万円台。ザ・ヒルトもピノ・ノワールで最高97点(ヴィナス)と高い評価では5000円強~1万円強、ザ・ペアリングは3000円台となっています。今やサンタ・バーバラを代表するワイナリーとなりつつあると言ってもいいかもしれません。

ザ・ヒルトは3つの畑を持っており、それぞれの単一畑(日本未輸入)のほか、ブレンドものを3種類作っています。「
新樽を多めに使い果実味と骨格が感じられる「ザ・ヴァンガード」、旧樽をメインに使いオールドワールドの繊細さとアロマをフィーチャーした「ジ・オールド・ガード」、そして両極端とも言えるこの 2 つのワインの「ちょうど真ん中」的なニュアンスでブレンドされるエステートワインがメインのラインナップです。
(インポーター資料より)

コスパで非常に優れているのがエステート。3つのワインは優劣というよりもスタイルの違いですが、エステートは特に格安になっており、ワイナリー価格48ドル(税抜き)が日本で税込み5000円台と、国内価格の方が安いくらいの設定になっています。しかも2017年のエステート・ピノ・ノワールはヴィナスのアントニオ・ガッローニが95点という高評価を付けています。価格からみて「ありえないほどの品質」であり「Don't miss it!」とまで書いています。

トスカニー


はせがわ酒店


ウメムラ


柳屋

Date: 2021/0422 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのシュレーダー(Schrader)やマイバッハ(Mybach)などのワインメーカーで、ソノマのリヴァース・マリーのオーナーであるトーマス・リヴァース・ブラウンが、ソノマ沿岸の最北端にあるワイナリー「Aston Estate」の全権利を買い取ったことを明らかにしました。

アストンは2001年にシュレーダーのオーナーだったフレッド・シュナイダーとトーマス・リヴァース・ブラウンで始めたワイナリー。その後、ヴァイン・クリフの創設者であるチャック・スウィーニーも経営に参加しました。ソノマ・コーストの最北部「アナポリス」の近くにあります。ピノ・ノワールだけを作っています。
トーマス・リヴァース・ブラウン
アストンは主にメーリング・リストで販売されており、3000人の登録者がいますが。トーマス・リヴァース・ブラウンという大物がやっている割には、ややマイナーです。過去に何回かテコ入れを図りましたが、あまり状況は変わりませんでした。シュレーダーが売却の意向を示し、トーマス・リヴァース・ブラウンが購入することになりました。

リヴァース・マリーのピノ・ノワールとはエレガントなスタイルですが、アストンは冷涼感がありながら非常にパワフルな作り。それは今後も買えないとのこと。

アストン、非常においしいですが確かにマイナー。ソノマ・コーストのピノ・ノワールのワイナリーが次々に有名になっていくなかで取り残された感じはあります。個人的にはラベルをもっとキャッチーにした方がいいのではと思います。


Date: 2021/0421 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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米国時間の4月25日に開催されるア●デ●ー賞の授賞式で使われるはずだったワインが日本市場にごくわずか入っています(賞の名前は出してはいけないらしいです)。今年は93回目なので「93Awards」と入っています。普通はそこ以外に出ることはないワイン。コロナの影響で参加人数が減ったために余ったもののようです。中身は見えない黄金色のボトルですが、白はロシアン・リバー・ヴァレーのシャルドネ、赤はアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニョンです。



Date: 2021/0421 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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一昨日公開した「オレゴン・ワシントンの試飲会で美味しかったワイン オレゴン編(2021年春)」は写真の貼り込みがおかしく、ラベルが見えていませんでした。修正しましたのでまた見ていただけると幸いです。また、この記事は昨日公開したはずだったのですが、記事がタイムアウトで消えてしまっていました。悲しい… オレワシに祟られているのでしょうか。

気を取り直してワシントン編です。ピノ・ノワール中心のオレゴンと異なり、内陸の産地が中心となるワシントン州は温暖でカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどで秀逸なワインがあります。ただ、温暖といっても朝晩と日中の温度差が大きかったり、9月になると急激に気温が下がったり、日照時間もどんどん短くなるなど、カリフォルニアのように太陽をさんさんと浴びたというよりも、抑制されたスタイルになることが多いように感じます。


オレゴン・ワシントンのインポーターといえばオルカ・インターナショナル。そのオルカが輸入する「ビューティ・イン・カオス」というワインです。2300円。カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーがありますが、個人的にはシラー推し。コスパ高く、名前もインパクトがあります。


カベルネ・ソーヴィニヨンならやはりこのワインははずせません。「ワインズ・オブ・サブスタンス」のレギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨン2018(2800円)。この価格帯ではカリフォルニア含めても最強の一つでしょう。非常に完成度の高いワインです。


Kヴィントナーズのシラー「ミルブラント2017」(5900円)。ワインズ・オブ・サブスタンスと同じくワシントンのスター・ワインメーカー、チャールズ・スミスが作るワインです。カリフォルニアのシラーがどちらかというとオーストラリア寄りだとすると、北ローヌ寄りのシラーのイメージです。


Kヴィントナーズのフラッグシップ「ロイヤルシティ2014」も試飲しました。これは言うことないです。濃厚だけど重くない。素晴らしいシラー。


Pepper Bridgeというワイナリーは初めて聞きましたが、実はレコール41などにブドウを提供している栽培家でもあります。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローがありますが、特に秀逸なのはメルロー(9000円)。引き締まった味わいで非常に美味しいです。


グラマシー・セラーズのヴィオニエ(4000円)は、個人的に大好きなワインの一つです。米国のヴィオニエの中ではベストの一つでしょう。酸がきれいでバランスがいいヴィオニエです。





Date: 2021/0419 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴンとワシントンの試飲会に参加してきました。カリフォルニアとつながった西海岸の2州ですが、緯度が違うためカリフォルニアとは大分生育環境が異なっており、またオレゴンの産地とワシントンの産地も大きく異なっています。

オレゴンの主要産地はウィラメット・ヴァレー。オレゴンのワイン産地の7割を占めています。赤ではピノ・ノワールが圧倒的に多く、白ではピノ・グリが主流ですが、日本に入ってきているものではシャルドネもかなりあります。緯度が高いため夏は日照時間が長く、気温もカリフォルニアの冷涼産地より高くなりますが、9月以降は一気に涼しくなります。気候的にはブルゴーニュにかなり似ています。

ワシントンの主要産地はコロンビア・ヴァレー。南端はオレゴンにも入っていますが大部分はワシントンです。緯度はさらに高くなりますが内陸なので日中の気温は高くなりますが、夜間は涼しくなります。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどが作られています。カリフォルニアのようなパワフルさではなく、エレガントできれいな印象を受けるワインが多いです。

では、ワインを紹介していきましょう。今回はオレゴンのワインを見ていきます。

アーガイル(Argyle)のピノ・ノワールとシャルドネ。オレゴンらしいきれいな味わい。ピノ・ノワール4300円、シャルドネ3600円は安いです。どちらも5000円台と言われても納得するレベル。


イヴニングランド(Evening Land)のピノ・ノワールとシャルドネ。どちらも4400円。オレゴンでもトップクラスの評価されているこのワインが5000円を切る価格に値下げされたときは驚きました。上位キュヴェの「ラ・スルス」はワイン・スペクテーターで98点を取って年間3位にランクされたこともある素晴らしいワイン。このレギュラーラインも非常にレベル高いです。サンタ・バーバラでドメーヌ・ド・ラ・コートやサンディのワイナリーを持つラジャ・パーとサシ・ムーアマンが現在のオーナーです。オレゴンで何を飲んだらいいか分からなかったらまず、ここから試すことをおすすめします。


イヴニングランドのあるエオラ・アミティ・ヒルズ(Eola Amity Hills)はオレゴンのウィラメット・ヴァレーのサブAVAで、非常に注目されている地域。クリストム(Cristom)のシャルドネも非常にレベル高いです。


ケリー・フォックスというビオディナミでブドウを作るワイナリーのピノ・ノワール「ミラバイ」。とてもチャーミングで上品なワイン。




Date: 2021/0417 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ北部のウィンザー(Windsor)の市長ドミニク・フォッポーリに性的暴行疑惑が巻き起こっています(Calls for Resignation over Sonoma Sex Claims | Wine-Searcher News & Features)。フォッポーリ家はクリストファー・クリークというワイナリーを所有しています。

先週、SFクロニクルに4人の女性がドミニク・フォッポーリによる性的暴行を告発した記事が掲載されました。さらに、かつてのガールフレンドも2日後に同様の告白を公表しました。フォッポーリ側は逆にウィンザーの女性議員を性的暴行で避難する文書を公表しましたが、女性議員側は事実はその逆でフォッポーリが彼女に暴行したのだとプレス・デモクラット紙にか合っています。

ただ、最後の議員の告発以外は古いものであり、時効を過ぎています。今後、警察がどう動くのかも注目されています。

また、プレス・デモクラット紙は、この問題をしばらく前から知っておきながら、アクションを起こさなかったとして避難を受け、謝罪しています。今回クロニクルの記事のレポーターの一人は以前プレス・デモクラットに勤めており、情報を握っていましたが、編集者が証拠が不十分だとしてボツにしていたのでした。

クリストファー・クリーク・ワイナリーは、フォッポーリとの縁を切ると表明しています。

ちょっと泥仕合になりかけていますが、どうなることでしょうか。
Date: 2021/0416 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アカデミー・デュ・ヴァンの「対決・カリフォルニアの名門ワイナリー」最終回はターリー対ベッドロック。これまで2年半セミナーやってきていますが、ジンファンデルメインで話すのは実はこれが初めてでした。

かなり気合を入れて資料作ったら、話が長くなりすぎて、途中端折ったにも関わらず、試飲になかなか入れませんでした。ちょっと入れ込み過ぎで反省。ワインの選択も反省の余地が多かったです。
ワイン

試飲したワインの中ではターリーのエステート・ジンファンデルとベッドロックのベッドロック・ヘリテージが人気。あと濃〜いワンス・アンド・フューチャー(ジョエル・ピーターソンのワイナリーです)はさすがにほとんどの人が正解でした。

残念ながら来期は不成立。なかなか同じ講座が続かないのが悩みです。
Date: 2021/0415 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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桃井隆宏さんがサンフランシスコで作るピノ・ノワールとシャルドネのワイナリー「アーサー・セラーズ」のワインがワインショップでも購入できるようになりました。これまでは専用のオンラインショップだけでの販売でしたが、楽天などでの販売も始まっています。

しあわせワイン倶楽部では2019ヴィンテージの「グロリア」と「ケイアールランチ」のピノ・ノワールのほか、アーサーのオンラインショップでももう買えない2018年の「スプリングヒル」のピノ・ノワールも販売中です。

グロリアはフリーマンの自社畑。実は桃井さんはフリーマンのワインメーカーであるアキコさんとは兄弟弟子の関係です。二人共「オーガスト・ウエスト(August West)」や「サンドラー(Sandler)」で知られ、かつては「ロアー(Roar)」のワインメーカーでもあったエド・カーツマン(Ed Kurtzman)にワイン造りを教わっています。

エド・カーツマンのワインとアーサーに共通するのは、果実味豊かでバランス良く、リリース直後からとても美味しく飲めること。そしてちゃんと熟成もきれいにしていくこと。ただ、桃井さんのワインはついつい開けてしまってなかなか熟成用に置いておけないのですが。

その特徴のためかアーサー・セラーズのワインは「日本で飲もう最高のワイン」の品評会で4年連続プラチナを受賞、最高評価のベストワインも取るという評価を得ています。

ケイアールランチは以前はキーファーランチ(Keefer Ranch)と言っていた畑。コスタ・ブラウンに畑の一部を売ったことなどにより、キーファーランチという名称は使えなくなったとか。

5000円を超えるワインではありますが、コスパとして考えたら非常にいいと思います。実際私も毎年購入しているワインです。




Date: 2021/0413 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ハーラン・エステートの創設者であるビル・ハーランがワイナリーを息子のウィルに譲ると発表しました(Bill Harlan Appoints His Son, Will, as Managing Director of Harlan Estate | Wine Spectator)。

かねてから80歳になったら引退すると表明しており、次世代に譲ることにしたとビル・ハーランは伝えています。
ハーランチーム
(写真右端がウィル・ハーラン)

ウィルはこれまでプロモントリーの責任者を努めており、また自身が立ち上げたブランド「Mascot」の責任者も兼ねています。今後もそれは続けた上でハーランとボンドも見ていくことになります。

ビル・ハーランは「創設者兼会長」として職にとどまる意向。ハーランとボンドのワインメーカーだったコーリー・エンプティングは「ワイングローイング担当マネージング・ディレクター」へと昇格します。この役職は前のワインメーカーだったボブ・リーヴィが努めていたので、彼は引退ということでしょうか。

ビル・ハーランは「200年計画」として長く続くワイナリーを志向しており、今回の禅譲もその計画を進めていく一端なのでしょう。
Date: 2021/0412 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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娘の誕生祝い(本当は2月ですが、息子の受験などでのびのびになっていました)で恵比寿ガーデンプレイスのロウリーズ・プライムリブに行ってきました。恵比寿の店での食事は2回めですが、前回は一人だったので家族で来るのは初めてです。米国駐在中にもシカゴとラスベガスで行ったことのある思い出のあるレストランです。シカゴ店が今回のコロナの影響で閉店してしまったと聞いて残念でした。

恵比寿の料理長の高知尾さんとは以前ナパのツアーでご一緒したことがあり、今回も大変よくしていただきました。感謝感激です。


まずは肉の写真を載せちゃいましょう。300gのロウリーズ・カットですが、骨付きのところなので骨を入れたら500gくらいありそうな大きなカットです。骨のところは最後、手で持ってむしゃぶりついてしまいました。


グラスのシャンパーニュはローラン・ペリエです。グラス自体もおしゃれですね。


前菜のスモークサーモンが、普通の切り身かと思うほど分厚くむちゃくちゃ美味しい。子どもたちは実は生牡蠣デビューでした。


サラダも懐かしい味。ブラックペッパーベースの専用調味料をふりかけるとさらに美味しいです。


クラムチャウダーもしっかりハマグリの出汁が効いています。息子の食べたロブスタービスクも濃厚でおいしかったですが、年寄はこっちのほうがいいです(笑)。


ワインはViaderの1997年。ワインスペクテーターで年間2位になったワインそのものです。カベルネ・ソーヴィニヨン62%にカベルネ・フラン38%。プライムリブはステーキほど味が濃くないので、意外とワインとのマッチングは苦労すると料理長もおっしゃっていましたが、僕もそう考えてカベルネ・フランが多めのワインにしてみました。

果実味はだいぶおちていましたが、それでもまだ少し残っています。酸はやや多め。マッシュルームや腐葉土のような熟成系の香りが強くします。きれいに熟成しています。ピークはちょっと越えているかもしれませんが、まだ5年くらいは美味しく飲めそうな気がします(同じワインがまだ2本くらいあります)。

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最後はデザートプレートです。

ロウリーズ、変わらない味で美味しかったです。妻の職場や娘の家から近くなので、またこういう機会を作りたいと思いました。
Date: 2021/0410 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スタッグリン・ファミリーがワイナリーのビジター数の上限で近隣住民と衝突しています。
スタッグリン
スタッグリンの現在の上限は1日10人。これを1日44人に増やしたい、また年間31回のイベントを開きたいとナパのプランニング・コミッションに申し入れています。コミッションはOKを出したのですが、地元住民による「ラザフォード・ベンチ・アライアンス」が反対して提訴。ナパのスーパーバイザー委員会がこの夏調停をすることになりそうです。

ワイナリーにとって顧客との関係を築くことは非常に重要です。特にスタッグリンのような最高385ドルもするワインを販売しているワイナリーにとって、以前は評論家の高い評価だけで売れたものが、現在は顧客がそのワイナリーと密接な関係を築くことで初めて売れるようになってきています。

一方、住民からのビジター数を増やすことへの抵抗も年々強くなっています。慢性的な渋滞に悩まされているということも大きく影響しているのだろうと思います。ただ、ワイン産業はナパの地域にとっても最も大きな産業であり、雇用を生んでいるわけですから、持ちつ持たれつのところはあって然るべきかと思います。

個人的には1日44人ならせいぜい車が20台来るか来ないかでしょうから、大した影響はないようにも思うのですが。
Date: 2021/0409 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ、ソノマ、コントラコスタの各郡は、2021年4月7日に「オレンジ層」に移行したことを確認しました。

オレンジ層とは、カリフォルニアが独自に定めた感染警戒のレベルで、人口10万人あたりの1日の新規感染者が2~5.9人、PCR検査の陽性率が2~4.9%というのがオレンジ層にあたります。
Tier System
日本だと人口10万人あたりの1週間の新規感染者が15人以上がステージ3なので、そことほぼ同じということになります。

オレンジ層になるとレストランの室内での食事が50%まで認められます、またワイナリーのテイスティングルームなども25%あるいは最大100人まで入れられるようになります。

また、現在の改善状況が続けば6月15日には完全に再オープンにこぎつけるという見通しも出ています。

ワクチン接種も順調に進んでいるようであり、日本よりも完全再開は早くなりそうな感じです。
Date: 2021/0408 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シャンパーニュのボランジェ(Bollinger)のオーナーであるボランジェ・ファミリーがオレゴンのポンジー(Pinzi)を買収したと発表しました(Bollinger Champagne Owners Buy Oregon's Ponzi Vineyards)。
ポンジー
買収金額は公表されていませんが、ウィラメット・ヴァレーにあるワイナリーとテイスティングルームなどのホスピタリティ施設、35エーカーの畑が含まれています。ポンジー家は100エーカーのブドウ畑を今後も所有し、長期契約に基づいてボランジェにブドウを売り続けます。

ポンジーは1970年に設立されたオレゴンのパイオニア。当時はまだこの地でピノ・ノワールができるとは思われていませんでした。創業者は1990年代に引退し、現在は娘2人が経営しています。CEOのアンナマリアは次のCEOが決まるまではセールスとマーケティングを引き続き担当し、栽培と醸造を担当するルイーザは今後も職を続ける見込みです。

ボランジェにとってはフランス国外における初のワイナリーとなります。緯度や気候が似ていることからオレゴンを選んだとしています。フランス以外にどこかに投資するとしたら米国だろうとずっと考えていたとのこと。

ポンジーはこれまで売却は考えていなかったが、ボランジェから提案を受けて光栄なことだと考えたとのこと。創業者である両親にも相談して決めたそうです。
Date: 2021/0407 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ラクレマ
ジャクソン・ファミリーとガロの間で繰り広げられている訴訟が第2幕に移りました。

最初の訴訟はガロの「ターニング・リーフ」のラベルデザインがケンダル・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネに似ているとして90年代に訴えていたもの。1997年に判決が出て、侵害はなかったという結論にいたりました。ケンダル・ジャクソンのジェス・ジャクソン社長によると、この件で1900万ドルの費用がかかっているとのこと。

それに加えて先ごろ始まったのが、ガロが投入しようとしている「Cask & Cream」というブランド名が、ジャクソン・ファミリー傘下のラ・クレマ(La Crema)と似ているとして訴えていること。
カスク

実はこの件も発端は1990年代。1996年にブランデーに「Cask & Cream」の名をつけ、2004年に米国の商標を取っています。2013年にそれをアルコール飲料全般に広げようとしたときに、ジャクソン・ファミリーが反対し、ガロは蒸留酒に限るとしたことがありました。ところが2019年にガロがワインにこれをひろげようとし、既にラベルの認可を得てしまっており今回の訴訟につながりました。

La CremaのCremaはCreamのことなので、共通点はありますが、ラベルデザインを見る限り、似ているとみなされる可能性は低そうな気がします。
Date: 2021/0406 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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「Cabernet Pfeffer」という品種をご存知でしょうか。そもそもどう発音するのかもわからないという人がほとんどだと思います。マスター・オブ・ワインでもあるモーガン・トウェイン・ピーターソンによると「ファイファー」に近い発音だそうです。ただ、調べてみるとPfefferというのはドイツ語のピーマン(英語だとPepper=ペッパー)のこと。この発音は「フェッファー」に近いようです(How To Pronounce Pfeffer)。

この品種、Pfeffer博士なる人がカベルネ・ソーヴィニヨンとトゥルソーをかけ合わせて作ったという説があったそうですが、現在はDNA鑑定によりそれは否定されており、フランス・ボルドー原産のMourtaou(ムルタウ)という品種と同じだということが分かっています(Pfefferの名前はペッパーのようなスパイスの風味があることから来ているようです)。といったもムルタウも極めて無名な品種であり、それを聞いても分かった感じはあまりしませんね。

Cabernet Pfefferはカリフォルニアで約12エーカー栽培されています。そのほとんどがCienega Valley(シエネガ・ヴァレー)にあります。カレラ(Calera)の少し南側にあるAVAです。仮に1エーカーあたり4トンの収穫があったとして年間400ケースほどにしかなりません。

こんなレアな品種のワインを2種類飲み比べるというので参加してきました。


左はブロック・セラーズ(Broc Cellars)のSOGIというワイン。名称は「South of Gilman」の略で、ワイナリーがあるバークレーのGilman地区と、今回のブドウ畑がニンニクで有名なギルロイのGilmanという道から南方向にあることに掛けているとか。また、ラベルに描かれているのは日本の酒蔵によくある「杉玉」です。畑はEnzという名前で1920年代に植樹されています。

ブロック・セラーズは「ニュー・カリフォルニア系」のワイナリーです。以前「「ニューカリフォルニア」の注目株、ブロック・セラーズの魅力」という記事で少し詳しく取り上げていますが、非常に急勾配だったり高樹齢だったりするところで、有機栽培やビオディナミなどで育てられている無名な畑のブドウを使い、天然酵母とニュートラルな樽で発酵・熟成させています。上記のようにサンフランシスコ対岸のバークレーにある都市型のワイナリーです。

Cabernet Pfefferは、カベルネと名前が付いたようにカベルネ・ソーヴィニヨンと似ていると思われていて、かなりタンニンが強くなりがちなブドウだそうです。そこでBroc Cellarsではボージョレ・ヌーボーで使われているカルボニック・マセレーション(炭酸ガス浸漬法)を使って柔らかな味わいにしています。実際に飲んでみるとレッド・チェリーやストロベリーなど赤系のチャーミングな果実味があり、タンニンはやや控えめ。それでもボディは意外としっかりしており、スパイス感もあります。個人的には赤系果実味とボディの雰囲気が「バローロ」に似ている感じがしました。

もうひとつのSer Wineryはニコル・ウォルシュという女性がオーナー・ワインメーカーをしています。彼女はサーファーで、サーフィンで人気のサンタ・クルーズに住んでおり、ワイナリーもそこにあります。ミシガン州の出身で、サンタ・クルーズ近くのボニー・ドゥーンで働きながら自分のワイナリーを立ち上げました。Serというのはスペイン語で「起源を表現すること」だそうで、いわゆるテロワールの表現に力を入れています。ラベルには波が描かれており、海の影響を受ける畑のブドウを中心にナチュラルなワイン造りをしています。

Cabernet PfefferはSer Wineryを代表するワインで、シエネガのWirzという畑のブドウを使っています。冒頭に挙げたモーガン・ピーターソンは同じ畑のリースリングを作っていて、それでCabernet Pfefferのことも知っているそうです。Histric Vineyard Society(Wirz Vineyard | Historic Vineyard Society)によると1960年代に植えられた畑となっていますが、このCabernet Pfefferは1920年代に植えられたようです。

このワインは5日間低温浸漬した後、天然酵母で10日間発酵。さらに10日間浸漬してプレス。最初の3カ月は新樽50%、中古の樽50%で熟成し、その後13カ月は中古の樽だけで熟成しています。

Broc CellarsのCabernet Pfefferと比べると、ボディもタンニンもかなりしっかりしています。赤系果実でもザクロのようにやや濃い目の味わいです。ホワイト・ペッパーなどのスパイス感も強くあります。Brocとはだいぶ違う味わいですが、こちらの方がCabernet Pfefferらしいのかもしれません。好みで言うとBrocかなあというところではあるのですが、こちらもよく出来ているワインです。



Date: 2021/0403 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが主催する年2回のオークションのうち、一般向けのオークション・ナパ・ヴァレーは中止かつ発展的解消が発表されていますが、業界向けのオークションで例年2月に開催されていたプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションについては6月第一週に開催すると公表されました。

昨年の写真
写真は昨年のもの

6月5日にメインイベントのオークションが行われますが、それ以外にセミナーやオークションワインの試飲会などが開催されます。これらについてもオンラインでも参加できるようにするとのことです。ナパヴァレー・ヴィントナーズ プレジデント兼CEOのリンダ・リーフは「苦難に満ちた2020年を終え、ワイン業界の友人やビジネス・パートナーとつながりを持つことは特に意味のあることだと考えます。ここナパ・ヴァレーで、あるいはオンラインで、皆様と素晴らしいひと時を共有できることをとても楽しみにしています」と語っています。

オークションについてはザッキーズのシステムを使うとのこと。入札はオンラインおよび、安全に十分配慮した少人数のグループに分けられた対面式の両方で行われます。

プルミエ・ナパ・ヴァレーは今年で25回めの開催。収益はナパ・ヴァレーのプロモーションなどに使われます。
Date: 2021/0402 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワイナリー「マーフィ・グッド(Murphy-Goode)」が理想の仕事(A Really Goode Job、Goodeはワイナリー名にかけています)の候補者選びを始めています(Murphy-Goode Announces A Really Goode Job Call for Entries for a ...)。
Murphy-Goode

この仕事に選ばれると2021年8月から1年間、月に1万ドルの給料をもらってヒールズバーグに家をあてがわれ、1年間マーフィ・グッドのワインが飲み放題になります。

実はこのキャンペーン、以前2009年にも行ったことがありました(マーフィ・グッドの「理想の仕事」がついに決定)。2009年と言えば、リーマン・ショックの翌年で景気が低迷していたとき。今回はコロナ禍で多くの人が職を失っているとき。人々が苦しいときに夢を与えるキャンペーンとして投入しているようです。

ただ、前回はSNSを通じてマーフィ・グッドの宣伝をするという目的もあり、それが候補者選びにも影響していましたが、今回はそういった仕事上の規定はあまりなく、ワインメーカーの手伝いをするなどになるようです。これによってワイン業界でのさらなる就職につなげたい人を選ぶことになりそうです。

応募期間は6月30日までで、ワイナリーのサイトに自己PRの動画を投稿します。日本からも応募は可能ですが、米国の就労ビザを持っていることが条件となります。



応募方法は
Date: 2021/0331 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日のカリフォルニアワイン試飲会で試飲したワインの中で、コスパ系シャルドネで最注目だったのが「R8」です。税込みで2200円程度、税抜きで2000円という価格です。

意外といいシャルドネに出会いにくいこの価格帯ですが、これまで個人的に最強と思っていたのがウェンテ(Wente)のモーニング・フォグ。これと甲乙つけがたいレベルですが、R8の方がやや樽がしっかり効いているでしょうか。ただ、人気のブレッド・アンド・バターほどの樽樽感はなく、上品さを保っています。個人的にはブレッド・アンド・バターよりこちらの方が好き。

カベルネも悪くないですが、どちらかを選ぶとしたら間違いなくシャルドネに行きます。ちなみにワインの名前は滑走路の向きだそうです。このワインを作っている共同ワイナリーの隣に「ソノマ・スカイパーク」という空港があり、そこの滑走路に由来しています。ラベルにも飛行機が描かれています。



ウェンテはこちら。

Date: 2021/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モントレーのシャイド・ファミリーが畑をすべて有機栽培に転換、有機栽培のブドウを使ったブランドを2021年6月に発売します(Organic Wines Uncorked: Scheid's Supersized Organic Plans)。
シャイド

4000エーカーある自社畑をすべて有機栽培に転換中で、セントラル・コースト最大、カリフォルニアで2番目に大きな有機栽培ブドウ畑になります。ちなみに、カリフォルニア最大の有機栽培のブドウ畑のオーナーはフレッド・フランジア。4万エーカーのうち8000エーカーをオーガニックに転換しました。2バック・チャックの愛称で知られる安ワイン「チャールズ・ショー(Charles Shaw)」のオーナーでもあり、有機栽培のブドウからは「ショー・オーガニック」というブランドをトレーダー・ジョーズに卸しています。

シャイドは有機栽培のブランド「グランデュール(Grandeur)」を6月からホールフーズで販売します。最初のワインはプティ・シラーのロゼになります。
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カリフォルニアの有機栽培ワインのブランドではフェッツァーのボンテラ(Bonterra)が有名。近年は年率10パーセント以上という成長を示しています。フェッツァーは1400エーカー余りのブドウ畑を持っていますが、それだけでは足りず、他の畑からもブドウを購入しています。

シャイドは昨年、健康志向の高まりに合わせ、低カロリー、低アルコールのワイン「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワー」を発売し、注目を集めました。今年は本命とも言える有機栽培のブランドを投入することで、さらに注目が高まりそうです。

Date: 2021/0329 Category: 業界ニュース
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ワイン・サーチャーにオレゴンのマルベックについての記事が出ていました(Malbec: Southern Oregon's Rising Star | Wine-Searcher News & Features)。

オレゴンというとピノ・ノワールのイメージが強いと思います。実際生産量の6割がピノ・ノワールと圧倒的です。2番めに多い品種はピノ・グリで14%。全体の1/4となる残りを10種程度の品種が分け合う形であり、どの品種もせいぜい数%という量です。

ボルドー系の品種やシラーなどは、オレゴンの北部では以前から作られています。ワラワラ・ヴァレー(Walla Walla Valley)やコロンビア・ヴァレー(Columbia Valley)はワシントン州のAVAというイメージがありますが、実際にはオレゴンにまたがっていて、内陸で温暖なためボルドー系品種がそのあたりでは主流です。

ただ、今回注目と言っているのはローグ・ヴァレー(Rogue Valley)やアムクワ・ヴァレー(Umpqua Valley)という、オレゴンの南端、カリフォルニアとの境界に近いところです。

従来、この地域で中心となっているのはテンプラニーリョでした。温暖な気候が長く続くカリフォルニアと異なり、オレゴンは緯度が高いため夏が短く、秋になると急に涼しくなります。夏の間は乾燥して暑く、テンプラニーリョが主要な品種であるスペインのリオハなどと近い気候です。

この気候はマルベックの産地であるアルゼンチンのウコ・ヴァレー(Uco Valley)にも似ており、マルベックにも合っていることがわかってきました。マルベックが熟すには暑さが必要ですが、熟すのにかかる期間は他のボルドー系品種よりも短いからです。

この地域の土壌の多様性もマルベックに向いているとのこと。

また、この地域のマルベックはボルドー系というよりもピノ・ノワールのようなフレッシュさを持っているそうです。

気になるワインではありますが、おそらく日本には全く入ってきていないと思います。オレゴンのテンプラニーリョも日本で見たことはないです。


Date: 2021/0327 Category: 業界ニュース
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バイザグラス
2021年4月5月の2カ月間、「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2021」が開催されます。レストランでカリフォルニアワインをグラスで楽しめるこのイベント、昨年は開始早々に緊急事態宣言で中止を余儀なくされてしまいましたが、今年はなんとか開催できそうです。

カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2021|カリフォルニアワイン

現在のところ、北は埼玉、南は熊本まで68の店舗が参加しています。なお、店舗によって全期間の参加でない場合もあります。

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今年は初めて「テーマ産地」が設定されており、「ソノマ」が対象になっています。多くの参加店舗でソノマのワインを飲めると思います(店舗によって取り扱わない場合もあります)。

バイザグラスでワインを飲んだ人にも特典があります。インスタグラムのキャンペーンで合計100人にカリフォルニアワインがプレゼントされます。

参加手順は3つ。
①ワインの写真やワインを楽しんでいる写真、ワインと料理の写真などを撮影
@calwinejp をフォロー
③ 「#カリフォルニアワインを楽しもう」を付けて「@calwinesjp」をメンションし、店舗の「位置情報を追加(または店舗名を入力)」して投稿で応募完了!投稿はフィードとストーリーズどちらでもOK!!

ストーリーズの場合はオリジナルのGIFスタンプも利用できます。
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できたらワイン友達とわいわい楽しく飲みたいところですが、まだまだそういう状況ではないので、ボッチ飲みででも楽しみたいと思います。
Date: 2021/0326 Category: おすすめワイン
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昨年、ブームを呼んだワインの一つがヘス・コレクションの「シャーテイル・ランチ」。元々、米国でレストラン専用に出していたワインが、コロナによるレストラン需要の激減で、やや投げ売り的に日本向けに特価で出したものでした。

そろそろこの特価販売も終わりになりますが、この売れ行きにはヘスも驚いたようで、それではと次の特価になったのが、以前から人気のヘス・セレクトです。従来、国内では3000円近くしていましたが、米国での実売と同等の税込み1000円台を実現しました。

ワインのレベルとしてはシャーテイルと同等ですが、シヤーテイルはレストラン向きにマイルドな作りになっているので、こちらの方が樽熟成の期間が長く、新樽の比率も高くなっているようです。

しあわせワイン倶楽部



柳屋



紀伊国屋リカーズ



Date: 2021/0325 Category: 業界ニュース
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今年はスラムダンク中身はファーストなセカンドワインとコスパ抜群で、あっという間に輸入元完売(今後入荷予定はあります)となったワインが続きました。コロナ禍も一役かっていますが、そういうコスパワインが目立つ年になりそうです。

先日のカリフォルニアワイン試飲会で見つけたコスパ系の目玉の一つが写真にあげた「96ポイント(96 Points)」というワイン。なんとも人を食ったような名前ですが、架空のワイン評論家「チャムリー・ヒル」が96点以上と認めたワインだとのことです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、「ワインの評価は主観的なものであり、だれかの評価に振り回されるのではなく、自身が決めた基準で96点以上と思ったワインを作っていく」という考えを示しています。

カベルネ・ソーヴィニヨン100%でロウダイのぶどうを使っています。一口飲めば果実味の豊かさがわかると思います。品種は違いますが、スラムダンクにも近い味わいで、3000円という価格も近く、いいライバルになりそうな気がします。


Date: 2021/0320 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワイン協会主催のスプリング・テイスティングが17日に開催されました。昨秋に続き、かなり綿密なコロナ対策を行っていました。

この試飲会は4月から始まる「バイ・ザ・グラス」のためのワインを業者が見つけるという面もあるため、出展されるワインの価格は比較的抑えめです。プラカップでの試飲ということもあり高級ワインのテイスティングはやや限界があります。

その中で今回高級ワインとして目に止まったのは「ダブル・ダイヤモンド」。昨年秋にも試飲したワインですが、そのときはリヴァース・マリーの「ハーブ・ラム」とか、ト・カロンの「ハイエスト・ビューティ」といったウォーと思うワインがあったため、あまりちゃんと紹介できませんでした。

今回改めて試飲して、前回よりもこなれて落ち着いた感じもあり、1万円クラスのカベルネ・ソーヴィニヨンの中でもピカイチといっていいレベルだと思いました。

元々ダブル・ダイヤモンドはシュレーダーの廉価版という位置付けでしたが、2018年のヴィンテージからはラベルも新しくなり、畑もベクストファー・ト・カロンとモンダヴィのト・カロンの両方のブドウを使うという超ぜいたくな構成になっています。それ以外の畑のブドウも使っていますが、ト・カロンで80%ほどだとのこと。申し訳程度に数%入っているのではなくト・カロン中心のワインとなっています。おそらくト・カロンをこれだけ使っているワインの中では最安でしょう。

ココスです。


しあわせワイン倶楽部


Wassy's

Date: 2021/0319 Category: テイスティング・ノート
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このブログでも「パーカー90点で2000円台、「むちゃくちゃお値打ち」と評された「スラム・ダンク」ワイン」という記事で紹介した「スラムダンク」。早くも輸入元完売で、ショップの在庫のみとなっています。今後も入荷は予定されていますが、このところ米国から日本への便がコロナの影響でだいぶ滞っているそうで、市中在庫も切れてしまうことがあるかもしれません。

55%もプティ・シラーが入っているので、相当濃厚な味わいを予想していたのですが、意外と軽やかです。もちろんカシスやブラックベリーなどの黒系の果実味も豊かで凝縮感もかなりありますが、酸が比較的強めで、ボディとのバランスが取れています。ホワイトペッパーなどのスパイスの風味も軽いアクセントになっています。

これはやはりいいですね。最初の一巡だけでなくリピートして買う人も多いと思います。

しあわせワイン倶楽部です。


柳屋です。


葡萄畑ココスです。


先日の試飲会では、これのライバルになりそうなワインもいくつか見つけました。また報告していきます。
Date: 2021/0318 Category: 業界ニュース
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世界で初めてとなる、古木のワインに特化した国際会議が2021年3月23日、24日に開催されます(The Old Vine Conference)。
old vine conference
中心となるのはレオ・オースティン、マスター・オブ・ワインのサラ・アボットおよびアルン・グリフィスの3人が設立したノンプロフィットの会社「オールド・ヴァイン・カンファレンス」。会議ではオールド・ヴァインの定義やベスト・プラクティスなどを話し合う予定です。今回はすべてオンラインで無料視聴可能です。

今後はオールド・ヴァインの試飲会なども企画される見込みです。

3月23日はスペイン、レバノン、シチリア島、南アフリカの生産者、24日はポルトガルやカリフォルニアのロウダイなどが参加する予定です。
Date: 2021/0317 Category: 業界ニュース
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ブームになりつつあるロー・アルコール・ワイン。そのアルコール度を検証した記事が出ていました(What is the Sweet Spot for Low Alcohol Wines?)。ライターはマスター・オブ・ワインのリズ・タッチ氏です。

ロー・アルコール・ワインの例

欧州の法律ではワインはブドウジュースを発酵させたものであればアルコール度は問わないのですが、米国の法律では7から22パーセントと決められています。ですので、ロー・アルコール・ワインと言う場合は7パーセント以上はアルコールが入っていることになります。

表

著者が調べた結果によると一つだけ10パーセントというのがありましたが、ほとんどは10パーセント未満となっています。日本でも売っているシャイド・ファミリーの「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ」の場合は9パーセント。色々試した結果、味わいとのバランスが一番良かったのがこのアルコール度だったといいます。

サニー

ただ、米国ではアルコール度がさらに低い「ハード・セルツァー」が急速に伸びています。これは簡単に言えば炭酸飲料にアルコールを混ぜたもの。日本の缶チューハイに似ていますがアルコール度は5パーセント程度と低くなっています。混ぜるアルコールとしてはワインも人気で、ガロの「ベア・フット・ハード・セルツァー」(アルコール度4パーセント)なとが売れています。2020年も前年比90パーセントという伸びを示しました。

消費者の健康志向の高まりとともに、こういったロー・アルコールのドリンクはむだまだ伸びそうです。
Date: 2021/0316 Category: 業界ニュース
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ckモンダヴィ
CKモンダヴィ・アンド・ファミリーは2021年3月15日、75周年を祝って色が変わるラベルを採用すると発表しました(CK Mondavi and Family Launches Color-Changing Labels to Celebrate ...)。

このラベルは13度くらいに冷えると、明るいクリーム色のラベルが、より明るい色に変わります。シャルドネはオレンジ色に変わり、ソーヴィニヨンブランとピノグリージョは異なる色合いの緑になり、モスカトは青緑色になります。

「私たちは常に、小売店でワインを本当にポップにする新しい方法を探しています。また、ファンにCKモンダヴィ・アンド・ファミリーに手を差し伸べる理由をさらに与えています」と、第4世代の家族でディレクターのリアナ・モンダヴィは述べています。

「部屋の向こう側にあるボトルを見て、再冷却する必要があるかどうかを確認できます。色が変わった場合は、少し温かくなっているかもしれません」と、CKMondaviのワインメーカーであるRandyHerron氏は説明します。「ワインを冷やしすぎているかどうかがわかります。本当に暗くなります。準備ができていない場合は、冷蔵庫から引き出して準備ができていないことを確認できます。もう1時間座っておく必要があるかもしれません。それはあなたが味わうべき温度についてのいくつかのガイドラインに役立ちます」。

温度で色が変わるラベルは、クアーズが既にビールで採用済みです。4℃くらいに冷えるとロッキー山脈の絵が青くなり、飲み頃であることを示します。

CKモンダヴィ・アンド・ファミリーは、故ロバート・モンダヴィが1946年にチャールズ・クリュッグ(Charles Krug)を買収して始めたワイナリー。その後、CKモンダヴィと改名し、さらにCKモンダヴィ・アンド・ファミリーと家族経営であることを強く押し出した名前に換えています。
Date: 2021/0315 Category: おすすめワイン
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楽天の勝田商店でカリフォルニアのグランヴァンが3月限定でかなり安くなっています。

一番の目玉はイングルヌック(残り1本ですが)。税込み20800円は税抜でも200ドルする現地価格を下回るやすさです。パーカー100点のドミナス・エステート2016も税込み39800円。オーパス・ワン2016の税込み44000円もかなり安いです。

イングルヌックは映画監督のフランシスコ・フォード・コッポラが所有するワイナリー。元々19世紀に誕生したナパの名門ワイナリーでしたが2016年に身売りした後は、安売りブランドに身を落としていました。

コッポラはイングルヌックが元々所有していたワイナリーのシャトーを購入。当初はイングルヌック創設者のグスタフ・ニーバウムに敬意を評して「ニーバウム・コッポラ」と名乗っていましたが、その後イングルヌックの名称の使用権を得てワイナリー名を変更し、名門復活に力を注ぎました。旧イングルヌック所有の畑もいくつか買い戻しています。ルビコンはフラッグシップで2016年はパーカー95点の評価です。シャトー・マルゴー出身の醸造家により長熟で複雑味のあるワインを作っています。

ちなみに、旧イングルヌックに関連するワイナリーとしてはほかにスケアクロウ(旧イングルヌックで使われていたナパで一番古いと言われる自根の畑を所有)やレイル(イングルヌックのオーナーだったジョン・ダニエル・ジュニアの娘がオーナー)があります。




Date: 2021/0313 Category: 業界ニュース
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しあわせワイン倶楽部にカレラのビエン・ナシード・シャルドネ2015が入荷しています。日本に入ってきたのがびっくりの超レアワインです。

まず、カレラのビエン・ナシード単一畑自体がレア。カレラのセントラル・コーストのシャルドネやピノ・ノワールにはビエン・ナシードも使っているので、両者の関係は古くからあるのですが、単一畑としてボトリングするのは収量が多かったときなど、不定期にしかありません。

しかも2015年はカレラの40周年で黒ラベルを採用しています。この組み合わせはこれまでこの1回しかありません。

ヴィナスでは91点の評価。アントニオ・ガッローニは「プリティなワイン」と評しています。

Date: 2021/0312 Category: 業界ニュース
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ナパのカーネロスにあるハイド・ヴィンヤードでブドウの発芽が始まりました(Bud Break Begins in Napa Valley)。これから1カ月ほどかけて、全域に広がっていく見込みです。

今年は気温が低く、発芽は昨年より2週間ほど遅れているとのこと。ただ、発芽すると今度は霜の被害が大きな問題になりますから、発芽が遅いのは悪いとは言えません。

今年は山火事などなくいいシーズンになることを期待します。
Date: 2021/0311 Category: 業界ニュース
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オーストラリアを中心とする巨大ワイン会社トレジャリー・ワイン・エステーツがザ・ワイン・グループに米ブランドの一部を売却すると発表しました(Treasury Wines licenses out US brands in $100 million deal)。

売却するのは、ベリンジャー・ファウンダー・エステート、ベリンジャー・メイン・アンド・ヴァイン、コースタル・エステーツ、メリディアン。売却額は1億ドル。ベリンジャー・ワイナリーは対象ではありません。

中国とオーストラリアの貿易摩擦によって、トレジャリーの業績は急激に悪化しており、再建が避けられない状況となっていました。安価なブランドを売却してプレミアム化を進めることで、生き残りを図ります。

トレジャリー傘下のワイナリーにはボーリュー、シャトー・セント・ジーン、エチュード、スタッグスリープ・ワイナリー、スターリング、アケイシアなどがあります。

Date: 2021/0310 Category: 業界ニュース
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Steven Spurrier - Stierch
「パリスの審判」の名前で知られる1976年のパリ・テイスティングの主催者であり、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の創設者であるスティーヴン・スパリュア氏が2021年3月8日、亡くなりました。79歳でした。

イギリス出身のスパリュアは1971年、パリに「レ・カーヴ・ドゥ・ラ・マドレーヌ」というワインショップを開き、1973年にワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」を始めました。当時はワインスクールはフランスではほとんどなかったため、人気を博したようです。

1976年にアメリカの建国200年を祝って何かイベントを開きたいと考えた彼は、スクールで彼の右腕として働いていたパトリシア・ギャラガーの発案を受け、当時ブティック・ワイナリーが次々と登場していたカリフォルニアワインとフランスワインのブラインド・テイスティング・イベントを行いました。当初はお祭り的なイベントで、カリフォルニアワインもこんなに美味しくなったよというのを見せようとしていましたが、最終的にはブラインド・テイスティングで真っ向勝負することになりました。

結果的には白(シャルドネ)も赤(ボルドー系)もカリフォルニアワインが勝利することになり、それをこのとき唯一取材していた米Times誌の記者ジョージ・テイバーが「Judgement of Paris」として記事を載せたことで一気に世界中にその快挙が轟き、カリフォルニアワインが世界の一流に並ぶきっかけとなったのでした。

おそらく、このイベントがなければカリフォルニアワインの地位が上がるのに、もう20年はかかったのではないかと思います。それだけインパクトが大きく、カリフォルニアだけでなく新世界のワイン生産者すべてに勇気を与えたものでした。

彼の功績はこれで終わったわけではなく、英デカンター誌にはたびたび記事を執筆し、現在に続く大イベントDecanter World Wine Awardsを始めました。ワインスクールも各地に開きましたが、現在はクローズしたものが多く、日本のアカデミー・デュ・ヴァンが一番成功しているようです。

ご冥福をお祈りします。
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「レ・カーヴ・ドゥ・ラ・マドレーヌ」の前にて(Academie du Vin Library)
Date: 2021/0309 Category: テイスティング・ノート
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アレハンドロ・ブルゲローニにアルゼンチン出身のビリオネア。現在はウルグアイ在住でウルグアイ唯一のビリオネアだとか。アルゼンチンだけでなくウルグアイ、イタリア、フランスなど様々なところでワインを作っています。2016年に、ハーラン・エステートのビル・ハーランによるプロジェクト「ナパ・ヴァレー・リザーブ」の畑やワイナリーを買い取り、ナパでワインを作り始めました。
アレハンドロ
その、2017年の「ベクストファー・ト・カロン」のカベルネ・ソーヴィニヨンを飲みました。子供の受験終了祝いでちょっと豪勢です。

第一印象は極めて濃厚ですが、飲み進めていくうちに。重くなく軽やかささえあるのが素晴らしいです。非常に複雑さもあり、さすがベクストファー・ト・カロンのブドウを使っているだけのことはあります。


Date: 2021/0308 Category: テイスティング・ノート
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セインツベリー
試飲済みアイテムですが、格安で売られているセインツベリーのブラウンランチ・シャルドネ2006を開けました。

熟成しすぎたワインはあまり好きじゃないのですが、これはちょうどいい熟成具合。ナッティな風味やキノコ、ハチミツの味わい、白い花、オレンジピール。

むちゃ美味しいです。美味しすぎて自分にしては飲みすぎました。



Date: 2021/0306 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー「フープス(Hoopes)」。ここが作るやや廉価版のブランド「フープラ(Hoopla)」2018が大変なことになっています。Hoopesが自社畑を中心としたナパのブドウを使っているのに対し、フープラは「カリフォルニア」表記。それでも3000円台のカベルネ・ソーヴィニヨンとしては屈指の出来でした。

ところが2018年、2019年はブドウが余ってしまった状態。さらにコロナ禍により良質なワインを作っているHoopesとしてもなかなか厳しい状況が続きました。高級ワインが売りにくいということで、ヨントヴィルの自社畑のブドウをタランソーという高級な樽で2年間熟成させたカベルネを安いHooplaにブレンドすることを検討しました。

それを知った、日本のインポーター・オーナーが、それならそのヨントヴィルのワインを日本のファンのためにブレンドしないで出してくれないかと依頼し、それを快諾して2018年のHooplaが生まれました。

Hooplaの価格は4000円弱、Hoopesは8000円台と倍以上しますが、中身はれっきとしたヨントヴィルのワイン。それを従来と同じ価格で売ってしまうという大盤振る舞いです。まさに「羊の皮をかぶった狼」状態と言ってもいいでしょう。

昨日紹介したスラムダンクは2000円台のダークホース(なんと既に輸入元完売だとか)ですが、こちらは3000円台の大お得ワインとなっています。

Date: 2021/0305 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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期待大の新しいワインが入荷してきています。個人的には未試飲ですが、これは間違いないでしょう。名前も「スラム・ダンク」と分かりやすく、オレンジ色のラベルは目立つし覚えやすいです。
Slam Dunk
オーナーのデイビッド・グリーン(David Green)はコンサルタントとしてダナ・エステートやクリフ・レイディといった「100点」のワイナリーやジョエル・ゴットなどに助言をしてきました。ワインメーカーのメイヤン・コスチスキー(Mayaan Koschitzky)はフィリップ・メルカの「アトリエ・メルカ」でメルカが手掛ける様々なワインを作ってきた人。ワイン・エンスージアスト誌では40歳以下の40人の流行仕掛け人に選ばれています。

その二人がマイケル・ジョーダンのドキュメンタリーを見て「スラム・ダンク」みたいなワインってどんなのだろうと考えて作ったのが今回のワイン。樹齢60年以上のプティ・シラーに40年を超える樹齢のジンファンデルをブレンドしています。評論家のジェブ・だナックが91点、ワイン・アドヴォケイトでは90点が付いています。アドヴォケイトでレビューしたリサ・ペロッティ・ブラウンは「it's a fantastic value! (むちゃくちゃお値打ち)」とわざわざ最後に付けています。

これで実売税込み2500円程度ですから安いです。

柳屋


しあわせワイン倶楽部

Date: 2021/0304 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アカデミー・デュ・ヴァンの「対決・カリフォルニアの名門ワイナリー」の講座でシェーファーvs. ジョセフ・フェルプスの回を行いました。
ワイン
ある意味よく似ていて、ある意味好対照なこのワイナリー、フラグシップもカベルネ100%のヒルサイド・セレクトに対して、ブレンドのインシグニアとなっています。

今回はどちらも良ヴィンテージの2016年。インシグニアはパーカー99点、ヒルサイド・セレクトはパーカーだけでなく、ヴィナスもジェブ・ダナックも100点のトリプル100点です。加えてシェーファーのTD-9(メルロー中心ブレンド)、ワン・ポイント・ファイブ(カベルネ・ソーヴィニヨン)、フェルプスのナパ・カベルネと5つ試飲しました。

これらはブラインドで試飲して、どれがどれだかあててもらったのですが、なかなかの好成績でした。インシグニアはほとんどの人が当て、TD-9も大部分の人が正解でした。

人気は一番がインシグニア、2番がヒルサイド・セレクト。インシグニアはバランスの良さが評価されたようです。

私はヒルサイド・セレクトのカベルネ100%の味わいがすごく好きでした。やっぱりこれは最高のカベルネです。

4月からの同講座も絶賛募集中です。
対決・カリフォルニアの名門ワイナリー


Date: 2021/0302 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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UCLAのMagali DelmasとフランスのKedge BusinessのOlivier Gergaudという二人の研究者が、オーガニックやバイオダイナミック(ビオディナミ)のワインが評論家によって高得点を付けられているという研究結果を発表しています(French Critics Rate Organic and Biodynamic Wines 6-12 Points Higher ...)。
グラフ

この研究ではゴー・ミヨなど3つのフランスのワイン雑誌における1995年から2015年の30人以上のワイン専門家による12万8000本以上のフランスワインの評価を集計しました。ワインは5ドルから450ドルの価格でした。

ワインは従来農法、リュット・レゾネ(サステナブル)、オーガニック、バイオダイナミックの4種類に分類しています。

分析の結果、従来農法のワインとサステナブルのワインでは評価は変わらず、オーガニックでは6ポイント、バイオダイナミックでは11.8ポイントも上がったとのこと。

ただし、これに反論する記事も出ています(Do Organic and Biodynamic Wines Get Higher Scores? That Isn’t What the Evidence Says.)。

実は、ワインの価格を調べるとオーガニックでは3.3%、バイオダイナミックでは10.6%の上昇が見られるとのこと。つまり、オーガニックだから高得点になるというより、価格との連動性の方が強いのではないかということです。

価格を正規化した場合にどういう結果になるか、この反論を書いた著者は研究者に質問を送るとのことなので、今後また進展があるかもしれません。
Date: 2021/0301 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アカデミー・デュ・ヴァンの4月開講講座の募集が始まっています。今期は2つの講座を出しています。

ベーシックマスター
カリフォルニアワイン、ベーシックマスター
この講座はあまりマニアックにならずにカリフォルニア全域のベーシックを押さえる講座です。残席僅少です。

対決
対決・カリフォルニアの名門ワイナリー
は、毎回2つのワイナリーを対決させる講座。オーパスワンやキスラーなど、人気ワイナリーがたくさん登場します。
こちらは絶賛募集中。よろしくお願いします。

Date: 2021/0227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シャイド・ファミリーの低アルコール・ワイン「サニー・ウィズ・ア・チャンス・オブ・フラワーズ(Sunny with a Chance of Flowers、以下ではサニー)」がワインビジネスマンスリーによる2020年のトップブランド10の一つに選ばれました(Sunny with a Chance of Flowers by Scheid Family Wines Named a 2020 ...)。
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米国のアルコール市場では低アルコールやノンアルコールのものが急激にシェアを伸ばしています。COVID-19で家で飲む機会が増えたことも関係しているのでしょう。

中でも市場を牽引しているのはハード・セルツァー。ハード・セルツァーはライムなどの風味が付いたアルコール入り炭酸飲料で日本で言えば缶チューハイに相当するがアルコール度数は低くなっています。

ワインはそれに比べると遅れていますが、サニーはその中で注目のもの。低アルコール、低カロリーで味わいもちゃんとしています(参考「低カロリー・低アルコールのヘルシーなワイン、味も本格派」)。低アルコールワインは美味しくないという「常識」をくつがえしました。

米国では相変わらず缶入りワインや箱入りワインも好調ですが、低アルコールワインも今後成長分野になってきそうです。



Date: 2021/0226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーン
ナパのワイナリー、ダックホーン(Duckhorn)などを運営するダックホーン・ポートフォリオ(Duckhorn Portfolio)社が上場を申請中であることを2月23日、明らかにしました。上場先はニューヨーク・ストック・イクスチェンジ(NYSE)で、上場後のシンボルは「NAPA」を予定しています。
Duckhorn
ダックホーンは1976年にナパのセント・ヘレナにダックホーン夫妻が設立したワイナリー。ナパの最初の40のワイナリーに含まれているといいます。1978年から作り始めたスリー・パームス・ヴィンヤード(Three Palms Vineyard、現在はダックホーンが所有)のメルローがフラッグシップで、2017年にはワイン・スペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーに輝いています。

名字に含まれるダックをもじったアヒル柄のラベルが特徴で、このほかにも鳥のラベルを使ったブランドとして低価格のデコイ(Decoy)やワシントンなどでワインを作るキャンバスバッグ(Canvasback)、アンダーソン・ヴァレーのゴールデンアイ(Goldeneye)、ソノマ・コーストなど冷涼地域のピノ・ノワールやシャルドネを作るマイグレーション(Migration)、カベルネ・ソーヴィニヨン系のブレンドを作るパラダックス(Paraduxx)、ワシントンのコロンビア・ヴァレーにあるグリーンウイング(Greenwing)といったワイナリーを保有しています。

このほか、買収で手に入れたワイナリーとしてセントラル・コーストのカレラ(Calera)、ソノマのコスタ・ブラウン(Kosta Browne)があります。

カリフォルニアのワイナリーには過去に上場していたところがいくつかありますが、いずれも他社に買収されてしまっています。シャローン(Chalone)はDiageoに買収され、フラッグシップのシャローンは現在はフォーリー(Foley)傘下にあります。レイヴェンズウッド(Ravenswood)はコンステレーション・ブランズに買収され、昨年ガロに売却されました。ロバート・モンダヴィはコンステレーション・ブランズの傘下に入りました。

ダックホーンのほかにはクロ・ペガス(Clos Pegase)などを保有するヴィンテージ・ワイン・エステート(Vintage Wine Estate)も上場を予定しています。

コロナ禍で産業構造が変わりつつある今だから、ということなのだと思いますが、今後どうこれらの会社が変わっていくのか気になるところです。
Date: 2021/0225 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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オンラインWassysでペイのエステート・ピノ・ノワール「ポマリウム2014」がセールになっています。ワイナリー価格の税抜59ドルに対して税込み6600円(税抜6000円)と現地よりも実質的に安くなっています。2014はヴィナスで93点と高い評価です。

ペイはソノマ・コーストの中でも非常に冷涼な地域のパイオニアの一つ。海から6km程度しか離れておらず、真夏でも20℃そこそこまでしか気温が上がりません。その代わり、下がっても10℃台と1年を通じて同じくらいの気温が続き、ブドウの生育期間が長くなります。

ペイはエステートと名の付いた自社畑オンリーのワインを3種類作っています。「アマ」と「スキャロップ・シェルフ」として「ポマリウム」です。畑はクローンや傾斜の向きなどによって25~30のブロックに分けて収穫され、それぞれ独立して醸造されます。そこからブラインドで試飲して、それぞれのエステートのワインを作っていきます。つまり特定の畑やブロックがあるわけでなく、3つ別々のスタイルを実現するためにブレンドを選びます。したがって年によってそれぞれのエステート・ワインの生産量も変わってきます。

スタイルとしては「スキャロップ・シェルフ」がエレガント、「ポマリウム」が筋肉質、「アマ」がその中間で蠱惑的な味わいだとのことです。



Date: 2021/0224 Category: 業界ニュース
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ラスティ
「The Prince of Pinot」ことRusty Gaffney(ラスティ・ガフニー)氏とのオンライン・ミーティング(ilovecalwine主催)に参加しました。ガフニー氏は元眼科医で2001年にリタイアしてから2002年にPinotFileというピノ・ノワール専門の無料のオンライン雑誌を概ね2週間に1回発行しています。通巻450号にも達しています。年齢的にはそろそろ80くらいになっているのではないかと思われますが、すばらしい精力です。
PinotFile
特に年に1回発表する「All Americans」は値段を考慮せずに品質的に最高な米国のピノ・ノワールを選出したものです。2020年はピゾーニのピゾーニ・ヴィンヤード2017が98点でトップとなっています。このほか注目のワイナリーとしてSolisteやBenoviaなどを挙げていました。

また、カリフォルニアのピノ・ノワールのトップAVAとしては1位がソノマ・コースト、2位がアンダーソン・ヴァレー、3位がロシアン・リバー・ヴァレー、4位がサンタ・クルーズ・マウンテンズ、5位がサンタ・ルシア・ハイランズ、6位がサンタ・リタ・ヒルズとのことでした。

彼自身はビッグなピノ・ノワールよりもエレガントなものが好きだとのこと。例えばMarcassinなどはあまり好みではないそうです。また、除梗せずに作るホール・クラスターのピノ・ノワールも複雑な味わいになり好きだとのこと。ホール・クラスターを使っているお薦めのワイナリーとしてはKutchとBig Basinを挙げていました。

オレゴンではエオラ・アミティ・ヒルズに注目しており、プロデューサーとしてはCrisotm、Evetham Wood、Bethel Heights、Walter Scott、Lingua Franca、Temperance Hill Vineyardなどを挙げていました。

このほかクローンの話など、2時間に渡って様々な話をうかがいました。貴重な時間を快く割いていただいたこと感謝です。




Date: 2021/0223 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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初の開催となるオンラインによるナパ・ヴァレーのライブラリー・ワイン・オークションが20日に閉幕しました(Napa Valley Library Wine Auction Reveals Robust Market for Napa Valley Wines)。
ナパ
約100ロットが出展され、総落札額は93万3000ドルに達しました。日本を含む12カ国からビッドがあったそうです。

1981年から続いていたオークション・ナパ・ヴァレーを2020年はコロナ禍でキャンセルし、新たなフォーマットとして登場したライブラリー・オークションですが、当初アナウンスされたようなオークション・ナパ・ヴァレーの代替ではなく、今後もライブラリー・オークションとして続いていくようです。オークション・ナパ・ヴァレーの代替は2022年に改めて登場する見込みです。

今回の売上はナパ・ヴァレーのプロモートのために使われます。その点でも地元への寄付となっていたオークション・ナパ・ヴァレーとは大きく違う点です。
Date: 2021/0222 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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フィールド・レコーディングス(Field Recordings)のシャルドネ「ワンダーウォール(Wonder Wall)」を飲みました。

フィールド・レコーディングスはアンドリュー・ジョーンズという人が作ったワイナリー。パソ・ロブレスなどセントラル・コーストのあまり有名でない畑を足で探し、そこから非常にコストパフォーマンスの高いワインを作っています。ニュー・カリフォルニア系と目されているわけではありませんが、天然酵母を使い、比較的熟度の低いブドウを使ってアルコール度数も比較的低めに抑えていることなど、ニュー・カリフォルニア系に近い特徴を持っているといっていいでしょう。

インポーターの説明には以下のように書かれています。
フィールド レコーディングスはアンドリュー・ジョーンズが自らの足で歩き、出会った畑や人々をワインという形で残した記録です。

得意なアメリカンフットボールで奨学金を受け大学に進学したジョーンズは農業経営学を専攻し、ブドウ栽培に出会います。ブドウ栽培にすっかり虜になったジョーンズはソノマコーストのガロでインターンとして勤め、本人曰く“すっかりはまった!”そうです。その後ブドウの苗木栽培所でアルバイトをしながら大学を卒業し、その後もそこで働き続けました。

仕事でカリフォルニア中を訪れ、特にセントラル・コーストやサン・ホワキン・ヴァレーの生産者を訪問するうち、毎年数百万の新しい苗木が植えられる中で自分用のワインができるほどのブドウを分けてもらうようになりました。こうして畑やブドウの品質を見極める目を養い、ワイン造りをする技術を身に着けていくうちに、知名度はなくともダイヤモンドの原石のように素晴らしいブドウに出会うようになり、そのブドウを使い高品質なワインを造り始めました。すべての畑、すべてのワインにはそれぞれのストーリーがあります。“フィールド・レコーディングス”は単一畑のブドウを使用しており、その土地やテロワールをワインとして記録したものです。いくつかの畑のブドウをブレンドして造ったものは、“ワンダーウォール”としてその大きなポテンシャルをボトルに詰め込みました。

地域や畑の知名度にとらわれず、ブドウの品質にこだわり探し求める彼の目にかなったブドウで造られるワイン達は個々の個性を持ち、それぞれ品種や生産地が異なっていてもどれもが一定の品質基準を保ち、ブドウのクオリティを実感させられる造りです。
今回飲んだワンダーウォール・シャルドネ2018はエドナ・ヴァレーの2つの畑のブレンド。エドナ・ヴァレーは、セントラル・コーストの中でもちょっと地味な地域ですが、海から近く非常に冷涼なところです。熟成はアカシア樽60%、アメリカンオーク樽40%(新樽25%)ということですが、樽感はわずかしかありません。非常に切れのいい酸が特徴的で、洋梨、レモン、りんご、スイカズラなどの香り。多分マロラクティック発酵はなしでしょう。

3000円レベルで、これだけきれいな酸を持つワインはなかなかないと思います。トロピカルフルーツ感や樽のまったりとした味わいを求める人には向きませんが、とてもいいワインです。

Date: 2021/0221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーのワイナリーを200近くも網羅し、ワイナリーの紹介やテイスティングコメントなど詳細に記した「Napa Valley Then & Now」という本があります。ワイン・イン・スタイルの方がFacebookで紹介されていたのですが、Amazon.comで見たら300ドル!? こりゃさすがに買えないなあと思っていたところ、ワイン・イン・スタイルに在庫があり、だいぶ安く買わせていただきました。

しかし…

大著なのは理解していましたが、届いて改めてびっくり。



どうです、この存在感。なんと重量6kgもあります。調べ物をするときにこれ一冊で間に合うような書籍、というのを志したようですが、これを持ってきて開くのが大変です。どこに置こうか、しばし考慮中。

それにしても紙もいいものを使っているし、装丁も凝ってます。300ドルも決して高くはないなと今にして思います。
Date: 2021/0219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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KAT-TUNの新曲のタイトルが「Roar」で、ツアーのオフィシャルグッズにワイングラスが含まれていたことからTwitterのトレンドに「ワイングラス」が入り、オンラインWassy'sさんの以下のツイートからRoar(ロアー)のワインにも注目が集まっています。

KAT-TUNのツアーグッズ発表後、高級ワイン「Roar」がバカ売れの理由 - エキサイトニュース」なんていうニュースも出ていますが、輸入元は「バカ売れ」というほどではないとのこと。ただ、かなりの売れ行きだったのは確かです。



KAT-TUNの亀梨和也君といえば、かつてドラマ「神の雫」で主役を演じたこともあり、酒好きと言われています。なので今回のツアーグッズも亀梨君の趣味で選んだのではないかというもっぱらの評判。確かに私もある歌手の方から、自分で使いたいものをツアーグッズに入れると聞いたことがあります。

では、このRoarどんなワインなのでしょうか。

Roarはカリフォルニアの「サンタ・ルシア・ハイランズ」というところにあるワイナリーです。有名な都市でいうとサンフランシスコから車で3時間くらいでしょうか。水族館で有名なモントレーから近いところです。白ワインのシャルドネと赤ワインのピノ・ノワール、シラーという種類のワインを作っています。中でも人気が高いのはピノ・ノワールです。

有名なワイン評論家ロバート・パーカーが作った「ワイン・アドヴォケイト」という雑誌では100点満点で最高96+という点数をもらっています。ちなみに96点以上のワインというのは「並外れたワインで、その品種の模範的ワインが持つべき要素をすべて持っており、深く複雑な味わいで、見つけるのも買うのも飲むのも特別なワイン」という位置づけになります。Roarのワインはどれも1万円前後とかなり高額ですが、それだけの価値はあります。

できたら大ぶりのグラスを使ってゆっくり時間をかけて飲んでください(もちろんツアーグッズのワイングラスでも)。冷蔵庫で30分くらい冷やした状態から飲んでいくと、ワインの味わいの変化もよりよくわかると思います。ピノ・ノワールという品種は赤ワインの中では比較的繊細で優しい味わいなので、料理もあまりガツンとしたものよりはチキンや豚肉の比較的あっさりとした味付けのものなどが合うと思います。



願わくば、亀梨くんにもRoarのワイン飲んでもらいたいですね。

PS 亀梨くん主演のドラマ「レッドアイズ」は見ているのですが、主題歌が「Roar」というタイトルとは気づいてなかったです。
Date: 2021/0218 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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パーカー94点で現地60ドル(税抜き)が税込み4000円程度と激安になっているセニス(Cenyth)。コラヴァンで1杯飲んでみました。

似たような価格帯で、カベルネ・フラン比率が高いことも共通するワインとして先日紹介したウオーターストーンの「スタジオ・レッド」がありますが(「2月19日まで3割引、カベルネフラン多めのエレガントブレンド」)、それと比べると色は濃い目。香りは非常に強く、グラスを顔に近づける前から香りが漂ってきます。赤スグリ、クランベリー、ブラックベリー、濡れた石、トースト、杉に腐葉土やマッシュルームの風味もあります。2016年とまだ若いですが、少しだけ熟成の風味も出始めているようです。ボディはミディアムプラスからフルボディ。

先日のスタジオ・レッドはかなりエレガントでカベルネ・フランの色彩が強かったですが、セニスはそれほどフランぽさは強くありません。カベルネ・ソーヴィニヨンのような力強さにしなやかさをプラスしたような味わいと言えばいいでしょうか。この凝縮感で4000円はお買い得です。

もう5、6年ほど熟成が進むとさらに美味しくなってきそうなワインです。

うきうきワインの玉手箱


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カリフォルニアワインの柳屋

Date: 2021/0217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「グランジ(Grange)」で有名なオーストラリアのワイナリー「ペンフォールズ(Penfolds)」がカリフォルニアワイン4種を発売しました。一番安いワインは50ドル、それから70ドル、149ドル、700ドルとなっています。
ペンフォールズ
ペンフォールズはトレジャリー・ワイン・エステーツ(Treasury Wine Estates)の傘下であり、同じ傘下にはナパのベリンジャー(Beringer)やスターリング(Sterling)、ボーリュー(Beaulieu、BV)、スタッグス・リープ・ワイナリー(Stags' Leap Winery)、エチュード(Etude)、アケイシア(Acacia)、ヒューイット(Hewitt)、ソノマのシャトー・セント・ジーン(Chateau St. Jean)などが含まれています。

今回は、トレジャリー傘下のナパ、ソノマ、パソ・ロブレスの畑からワインを作っています。

50ドルのBin 600はカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズのブレンド、70ドルのBin 704はカベルネ・ソーヴィニヨン、149ドルのBin 149はカベルネ・ソーヴィニヨンで、オーストラリアのカベルネを14.9%ブレンドされています。700ドルのQuantum Bin 98はカベルネ・ソーヴィニヨンですが、オーストラリアのシラーズも22%含んでいるとのことです。オーストラリア・ワインをブレンドしたものは「Wine of the World」とラベルに記されています。ヴィンテージはいずれも2018年です。

醸造や熟成には基本的にはベリンジャーのワイナリーを使っているとのことです。
Date: 2021/0215 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヴィノスやまざきの「ウォーターストーン スタジオ・レッド2015」をサンプルでいただきました。
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ワインの価格や情報を見ずに、試飲した印象は、「カベルネ系だけど、レッドカラントなど赤系の明るい果実の印象が強く、エレガント。ただやせた味わいではなく、芯は通った味わい。価格的には6000円なら十分納得、1万円だとちょっと高いかなあ」という感じでした。

カベルネ・フランが結構入っていそうと思って情報をみたところ、
カベルネ・ソーヴィニョン 48%(うちわけはチャイルズ・ヴァレーのSenseriが42%、カーネロスのTruchardが5%、セントヘレナのTitusが1%)
カベルネ・フラン 23%(セントヘレナのTitus)
メルロー 20%(チャイルズ・ヴァレーのSenseri)
プティ・ヴェルド 5%(パソロブレスのOpolo)
シラー 4%(カーネロスのTruchard)
となっていました。

Truchardのブドウがいろいろなところで使われているとは聞いていましたが、ここにも結構入っていますね。プティ・ヴェルドやシラーが意外と入っているのは、バックボーンをしっかりとさせたりボリュームを付けるためでしょうか。非常にバランスよくできているワインだと思います。濃厚なカベルネよりも少しエレガント系が好きな人にははまりそうな味わいです。ちなみに、セパージュの比率などは異なりますが2014年のものはジェームズ・サックリングが92点を付けています。

価格は実際には税抜き5800円とのことなので、納得価格です。ただ、2月19日まではセールで税抜き3980円と3割引き以上のかなりの割安になっています。これは相当安い。

ウォーターストーンはコロナで需要が減って、一時は廃業も考えていたそうですが、ヴィノスやまざきがワインを相当量買い付けて、ワイナリーを救ったそうです。このワインはそのお礼も兼ねて、すべてヴィノスやまざきに安価で譲ったとか。

その心意気も素晴らしいですね。


Date: 2021/0214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オークション・ナパ・ヴァレーが2020年のイベントをコロナで中止にした後、会場となっていたメドウッド・リゾートがグラス・ファイヤーで焼失といったこともあり、イベントの終了が公表されました。その暫定的後継となるオンライン・オークションが2月20日までの日程で始まっています。
ナパ・ヴァレー・ライブラリー・ワイン・オークション
ライブラリー・ワイン・オークションという名の通り、ワイナリーが在庫(ライブラリー)から放出したワインがオークションにかけられています。ロットの数は全部で96。現状一番高い入札価格が高いもので6000ドル、低いもので1100ドルとなっています。本数などはロットによって大きく異なっており、本数の多いものでは1本あたり30ドル以下と格安になっているものもあります。

全体的にはマグナムボトルを提供するところが目に付きます。マグナムのニーズはコロナ禍でパーティなどができないこともあり、下がっていると思われ、もうちょっと普通サイズのものが多ければよかったのにと個人的には思いました。
Date: 2021/0213 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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現地価格より4割引!? パーカー94点、ヴェリテの弟格」で紹介したセニスの2016年。早くも輸入元は完売とのことで市中在庫限りとなります。私も買いましたがもう少し買いましておこうか考え中です。

ともかくワイナリー60ドルが4000円前後。しかもパーカー94点と過去最高の評価なのですから、これ以上のお買い得はめったにないレベルです。

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カリフォルニアワインの柳屋

Date: 2021/0212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアの昨年のブドウ収穫量を報告する「クラッシュ・レポート」が公開されました(https://www.nass.usda.gov/Statistics_by_State/California/Publications/Specialty_and_Other_Releases/Grapes/Crush/Prelim/2020/202002gcbt00.pdf)。2020年はナパやソノマなどで山火事による煙の被害で収穫量が大幅減少、過去10年で最少となりました。

過去のレポート
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫

収穫量
2020年の収穫量は354万2000トン。2019年から14%減少となりました。8月や9月の山火事で煙の被害を受けたナパやソノマはさらに悪く、ナパは前年より39%減少、カベルネ・ソーヴィニヨンに限ると43%も減っています。ジンファンデルも47%、メルローは42%減少と赤ワイン用のブドウはおしなべて悪く、シャルドネは35%減少と比較的減少幅が少なくてすみました。これは9月の火事の前に収穫を終えたところもあったことや、白ワインでは皮を漬けこまない分煙被害の影響が出にくいといったことが関係していると思われます。

ソノマ(+マリン郡)は前年より36%減少。ピノ・ノワールは38%、メルローは55%、ジンファンデルは44%減。シャルドネも44%減を平均を超えました。

金額
ブドウの価格も下がっています。通常は収穫量が減ると価格は上がることが多いのですが、今回は逆に作用しました。ナパのカベルネは1トン当たり6200ドルで22%下がりました。これは2014年以来の低水準です。ソノマのカベルネ・ソーヴィニヨンは19%、ピノ・ノワールは18%下がっています。供給量が減っても価格が上がらなかったのは前年も供給過剰で、ブドウが余っていたためと見られています。2020年の低収穫で、余剰ブドウはだいぶなくなったそうです。

品種別
品種別でシャルドネ1位とカベルネ・ソーヴィニヨン2位は昨年と同じ。ほかも細かい順位の変動はありますが、特に大きな違いはなさそうです。
Date: 2021/0210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・エンスージアストに「世界最高のワインを生み出す10の畑」という記事が出ています(10 Vineyards Behind the World’s Most Famous Wines | Wine Enthusiast Magazine)。

載っている畑は
・ロマネ・コンティ
・モンラッシェ
・クロ・サン・ジャック
・クロ・デ・ゴワセ
・クレ・ド・セラン
・カンヌビ
・ト・カロン
・シェア(Shea)
・ビエン・ナシード
・オールド・ガーデン

ロマネ・コンティとモンラッシェは説明不要ですね。どちらもブルゴーニュのグランクリュとして世界最高の評価を得ています。文句なしでしょう。

クロ・サン・ジャックもブルゴーニュでジヴリ・シャンベルタンの畑です。ここはプルミエ・クリュですが、グランクリュにならなかったのは「格付けが上がって税金が増えては困る」といった理由があったようです。

次のクロ・デ・ゴワセはシャンパーニュのフィリポナの畑です。これは全然知らなかったです。

クレ・ド・セランはロワールでニコラ・ジョリーが持っている畑です。

次のカンヌビはバローロの畑です。

そしてついにカリフォルニアから「ト・カロン」の畑。ナパのオークヴィルですが説明不要ですよね。

その次はオレゴンからシェア(Shea)。

その次が再びカリフォルニアでビエン・ナシード。
ビエンナシード
そして最後はオーストラリアはバロッサ・ヴァレーの「オールド・ガーデン」。1853年に植えられた古い畑です。

ト・カロンとビエン・ナシード、どちらも文句ないところですが、ピノ・ノワールだったらピゾーニやハーシュあたりも入れたいという感じがします。
Date: 2021/0209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイングラス
WSETって何? という人は「WSETがワインの最初の資格としてお薦めの理由」からご覧ください。

まず、私はアカデミー・デュ・ヴァンのWSETのクラスに通いました。英語ではなく日本語です。ディプロマを絶対に受けるというのであれば英語で受けた方がいいと思いますが、そうでなければ日本語でいいかと思います。私の場合は、アカデミー・デュ・ヴァンのWSETの先生が知り合いだったので、どうせなら知っている人に教えてもらおうというので選んだのですが。

今はオンラインで受けられる授業もあるようです。ただ、試飲についてはフィードバックが大事なので、オンラインでも対面でも試飲をちゃんと教えてもらうことが大事だと思います。

WSETの試験は試飲と理論に分かれます。理論の方はさらに4択問題と記述問題に分かれます。

試飲についてはまずは回答項目に慣れることと、語彙を覚えること、自分でテイスティング・コメントを書くことをやりました。
覚えるものに関しては理論もそうですが、マルマンの「ルーズリーフミニ」という小さいルーズリーフをカード的に使って表に項目名、裏にその内容を書いていきました。

ワインは普段飲まない欧州のものを中心に週に1~2本を飲んではコメントを書くということをやっていました。
あとは、アルコールや酸、糖分、タンニンの多い少ないを味わい分ける練習を少ししました。
これは、「ワインの試飲能力を簡単に高める方法」で紹介している方法ですが、グラスを5種類用意し、基準となるワインをすべてに注ぎます。それから一つのグラスにはレモン汁、一つのグラスには蒸留酒(なるべく香りのないもの、甲類焼酎やウォッカがベター)、砂糖、紅茶のティーバッグを入れます。元記事にはティスプーンで1杯ずつと書いていますが、もっと少なくてもいいと思います。これで、順番にテイスティングして、感じ方がどう変わるかを覚えるという方法です。例えば酸が多ければ唾液が出てくることを感じ、アルコールが多いと熱っぽく感じるなどを体感します。WSETの試飲のこれらの項目を書く練習になります。

理論の方は基本的には教科書の内容をきちんと理解することが求められるので、教科書を読みながら上記のルーズリーフミニにまとめていくことを最初にしました。特に栽培と醸造はきちんと理解しておくことが大事だと思います。醸造では特殊なもの、例えば甘口ワインの作り方やロゼワインの作り方、マセラシオン・カルボニックなどはきちんと書けるようにまとめました。また、酒精強化とスパークリングは理論で必ず出ますから(試飲では出ません)、これも醸造方法をしっかり覚える必要があります。




前回も書きましたが、上記の本は教科書よりも詳しく醸造のことが記されています。教科書レベルより少し上になるのだと思いますが、読む価値はあります。

次に地域別の勉強です。いくらWSETが覚えることが少ないといっても、多少は覚えないといけないので、自分にとっては最大の難関です。

まず、基本的な地理感覚を身に着けないといけないので、これもルーズリーフミニにかんたんな地図を書いて位置関係や関連する地形などを覚えていきました。

ただ、これだけだと覚えきらないので、Excelの表に国名、地方名、地域や原産地呼称、ワインの種類、ブドウの種類、ワインのスタイル、気候、関連する地形などをまとめていき、地域名とそこで作られる品種などを覚えていきました。
エクセル
特に試験1週間前はこれらを覚えることに専念しました。これで理論の選択問題はだいぶできるようになりました。

勉強のスケジュールですが、当初は10月から2月ころまで教室があり、その後ゴールデンウイークに試験を受ける予定でした。そのため試飲の勉強は主に11月から2月ころにしていました。

その後、コロナで試験が延期になり、勉強も一時中断しました。結局8月16日に試験が決まり、7月の後半くらいから改めて理論の方を中心に勉強しました。とはいえ勉強時間は週末に1~2時間程度です。後は前述のように試験直前の1週間は毎日1時間程度やっていました。

これからWSETを受ける人に少しでもヒントになれば幸いです。もし、もっと知りたいという方がいらっしゃったらSNSなどで声をかけてください。
Andy Matsubara(アンディ松原)@カリフォルニアワインさん (@andyma) / Twitter
Andy Matsubara | Facebook
カリフォルニアワイン オフィシャルLINE
Date: 2021/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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これはマジでびっくりです。ソノマ最高峰のボルドー系ワイン「ヴェリテ(Vérité)」の弟格にあたるセニス(Cenyth)の2016年が税込み3960円ととんでもない価格になっています。米国での価格は60ドル(税別)ですから実質4割ほども安いことになります。

品質が悪いワインかといえばそうではなく、ワイン・アドヴォケイトでは94点。ヴィナスでも91~93点でセニス史上最高と評されています。

セニスのワインメーカーはエレーヌ・セイヤン。ヴェリテのワインメーカーであるピエール・セイヤンの娘です。ピエールが高齢でヴェリテのワインメーカーを退き、後任になったのがエレーヌです。そちらに注力するためにセニスの生産を終了することになったそうです。

セニス2016はカベルネ・フランが50%でメルローが33%、カベルネソーヴィニヨンが17%の構成。カベルネ・フラン好きとしても逃せないワインです。


Date: 2021/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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昔はカリフォルニアワイン=安ワインと言われていましたが、近年では1000円を切るカリフォルニアワインで良質なものはなかなか見当たらなくなっていました。そこへ最近登場したのが「ベンド(Bend)」のカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネです。定価990円(税抜き)ですが、税込みでも1000円足らずで購入できます。



このワイン、現地の実売価格で8ドルなので、実は国内価格はほとんど変わらないのですが、さて味は実際のところどうでしょうか。ということで飲んでみました。

カベルネ・ソーヴィニヨンはミディアムプラスのボディ。写真では色は結構濃く見えますが、実際にはそこまでは濃くない感じです。ダークチェリー、レッドプラムなど、赤系からやや黒系の果実の風味。非常にまろやかです。タンニンはほとんど感じません。樽香はありますがそんなに強いイメージではありません。軽く甘さを感じます。甘口というわけではなく、オフドライくらいでしょうか。このクラスのワインでは多少甘みがあった方がボディのふくよかさが保てる印象があります。全体にバランスも悪くなく、美味しいワインです。900円以上の価値はあるでしょう。

もうひとつのシャルドネはライチや白桃、白い花の風味、ミディアムボディで酸は中程度。柔らかな味わいでとても飲みやすいワイン。個人的にはカベルネ・ソーヴィニヨンよりシャルドネの方が好みです。

久々にこの価格帯でいいカリフォルニアワインに出合いました。デイリーワインとしてお楽しみください。


ショップはどちらもしあわせワイン倶楽部です。
Date: 2021/0206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「「マヤ」さんがダラ・ヴァッレの新ワインメーカーに就任」という記事の中で、ダラ・ヴァッレとイタリアのオルネライアがDVO(名称はDalla ValleとOrnellaiaの頭文字を取ったもの)という新しいプロジェクトをやっているという話を書きましたが、これについて、ジェームズ・サックリングがオルネライアとダラ・ヴァッレの両者にインタビューしています(Ornellaia announces new Napa project


これによると、プロジェクトを始めたのは2017年。きっかけは2013年にマヤがオルネライアでインターンをしたことだったそうです。マヤの亡父グスタフはイタリア人であり、それもきっかけの一つになったとか。2020年を含め、4ヴィンテージで既にワインを作っており、2017年はボトル詰めもしています。

ただ、2017年は9月に熱波や山火事があった関係でヴィンテージとしてはそれほどよくありません。そこでより品質が高い2018年を最初のヴィンテージとして今年発売することになります。ただ、2017は売らないということではなく、いずれ販売する予定だとのこと。

また、ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンベースですが、ダラ・ヴァッレの畑ではなくナパのいくつかの畑から購入したブドウで作っています。そのため、AVA表記はナパ・ヴァレーになります。オルネライアのワインメーカーであるアクセル・ハインツによると、将来はDVOの自社畑購入も見据えているとのことで、一過性のプロジェクトではなく長く続くものを志しているようです。

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Date: 2021/0205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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データ
カリフォルニア・サステナブル・ワイン・アライアンス(CSWA)が2020年のアニュアルレポートを公開しました。

昨年の記事:着実に進むサスティナブルなブドウ造り

認証を受けた畑の数は昨年から7%増えて2247に、ワイナリーの数は15%増えて171になりました。前年は畑の数が50%も増えましたが、今年はそれほどの伸びはありませんでした。認証を受けた畑の面積はカリフォルニア全体の32%になります。
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今回、一番成長したのはサステナブルのロゴを付けたワインの数です。前年は100万ケースに近づいたところでしたが、2000年は6倍以上増えて630万ケースに達しました。

カリフォルニアワイン協会も、カリフォルニアワインのイメージとしてサステナブルを前面に打ち出しており、今後さらに重要なキーワードになってくると思います。増えてきたとはいえ、まだまだやるべきこともたくさんあり、今後のアクションプランだけで2500を超えるとしています。
Date: 2021/0203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新ロゴ
カリフォルニアワイン協会が、世界的なブランド・キャンペーンを始めました。ロゴを刷新し、サスティナビリティに重点を置いたブランドの打ち出しをしていきます。
計画は10年にわたり、第一段階ではワイン好きの消費者を中心に認知度と評価を高めることを目標にしています。2年間で1000万ドル以上を投資する予定です。

春からは「ゴールデン・ステート・オブ・マインド ~ 輝くカリフォルニアの想い」キャンペーンとして、デジタル広告や4段階の認定プログラムなどを行います。

2030年には米国ワインの輸出額を25億ドルに上げることを目標にしています。2019年で13億ドルですから倍近くに増やすことになります。このうち約95%をカリフォルニアワインが占めます。
Date: 2021/0202 Category: 業界ニュース
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今をときめく人気ワインメーカー「マイケル・クルーズ(Michael Cruse)」。超入手困難なスパークリング・ワイン「ウルトラマリン(Ultramarine)」が大人気ですが、ニュー・カリフォルニア系の「クルーズ・ワイン」でも知られています。

そのクルーズ・ワインのエントリー的位置づけにあるのが「モンキー・ジャケット(Monkey Jacket)」。
モンキー・ジャケット
オレンジのアクセントが印象的なラベルのワインで、かつてはナパ・ガメイと呼ばれていたヴァルディギエ中心のブレンドとなっています。

でもなぜ「モンキー・ジャケット」なんでしょう?

モンキー・ジャケットとは、かつて水兵が着ていた腰までの長さのピッタリとしたジャケットのことです。
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マイケル・クルーズがワイナリーを立ち上げたときは、フルタイムの仕事をしながら2人の子どももいてとても大変だったそうです。コーヒーとパンク・ミュージックだけではもう眠気覚ましにはならなくて、彼はよく水兵の歌を聞きながら作業していました。

「バンクス・オブ・ニューファンドランド (Banks of Newfoundland)」という、2人の男が女と酒にお金が必要で自分たちのモンキー・ジャケットを質に出してしまい、捕鯨中の海上で低体温で死んでしまうという歌があって、当時はその曲をよく聞いていました。

そこで当時、ワイナリーを「モンキー・ジャケット」というニックネームで呼んでいました。

「最初は単に面白い響きだなと思って使っていただけだったのですが、時がたつにつれ、目の前の作業に対する集中力、出来栄え、そして熱心さを象徴する言葉のようになってきたんです。結局のところは、水兵たちに対する「気を引き締めろよ」という意味の曲ですからね」(マイケル・クルーズ)

2013年にクルーズ・ワインとしてワインを売り出したとき、チャールズ・ハインツのシラーとランチョ・チミレスのヴァルディギエだけしかありませんでした。

ところがこのヴァルディギエがその後ニューヨークでバカ売れしました。そこで価格を抑えつつ生産量を少し増やすために、ヴァルディギエ単体でなくブレンドとして売り出すことになりました。ワイナリーの主力商品になるということで、ニックネームだった「モンキー・ジャケット」を付けたのです。ラベルに帆船が描かれているのも上記の曲から来ています。

ワイナリーのニックネームを冠するほど思い入れのあるワイン。ヴァルディギエ主体でジューシーな味わい。思わずグラスが進んでしまうワインです。



Date: 2021/0201 Category: 業界ニュース
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米国の連邦裁判所は、コンステレーション・ブランズがザ・ヴィンヤード・ハウスをト・カロンの商標と知的財産権違反で訴えていた件でコンステレーション・ブランズの勝訴を認めました。
ラベル
この裁判は、上の図で示したようにザ・ヴィンヤード・ハウスのワイン・ラベルにTo Kalonの文字を使っていたことから起こったもの。To Kalonの商標はコンステレーション・ブランズが保持しており、コンステレーション・ブランズのほかには、かつて裁判で争い、和解したベクストファーだけが「Beckstoffer To-Kalon」として使用を認められています。

今回はコンステレーション・ブランズの勝訴が認められただけでなく、The Vineyard House側はワインにTo Kalonの名称を永久に付けてはいけないとされました。The Vineyard Houseのオーナーはニッケル&ニッケルやファーニエンテのオーナーであるジェレミー・ニッケルです。
Date: 2021/0201 Category: 業界ニュース
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先日、WSET(Wine and Spirits Education Trust、ダブリュセットと呼ぶ人もいますが本来はダブリュエスイーティーと読みます)のLevel 3に合格しました。ワインの資格を取ったのはこれが初めてです。



ワインの資格というと日本ソムリエ協会(J.S.A.)のソムリエが有名ですが、ソムリエになるには3年以上、飲食やワイン業界に従事していないといけないため、一般の人は受けられません。その代わりにJ.S.A.にはワインエキスパートという資格があります。ソムリエもワインエキスパートも一次試験は選択式のテストがあり二次試験はテイスティングです。ソムリエの方は加えて論述とサービスのテストもあります。

それに対してWSETはロンドンに本拠地を置く国際的な教育機関です。日本語で受けられる試験としてはワインのレベル1~3、それから日本酒のレベル1があります。ワインの試験は英語のものと内容的には同じです。

WSETをお薦めする理由を挙げます。
・ステップアップしやすい
・世界標準の教育である
・ワインエキスパートと比べると覚えなければいけないことが少ない
・テイスティングはあくまでワインを評価するためのもので、銘柄当ては必要ない
・良いワインはどう作られるかの理屈が理解できるようになる

・ステップアップしやすい
日本語で受けられるレベル1~3は、レベル1が「ワインに関わる仕事を始めようとしている人や、ワインへの関心を追求している人を対象とした、ワインに関する初心者レベルの概要」、レベル2が「業界のプロフェッショナルやワインの愛好家を対象とした、ワインについての知識を深める初級~中級レベルの資格」、レベル3が「ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格」となっています。

例えばレベル1の例題としては
以下のブドウ品種のうち、赤ワインを造るのはどれか?
 a カベルネ・ソーヴィニョン
 b ソーヴィニョン・ブラン
 c リースリング
 d シャルドネ
といったものがあります。試験は30問のマークシートです。基礎的な知識があればできそうですね。学習時間は試験時間の45分を合わせて6時間とされています。

レベル2の例題としては

ドイツとオーストラリアの両国で、上質な白ワインを造ると考えられているブドウの品種はどれか?
 a. メルロー (Merlot)
 b. セミヨン (Semillon)
 c. シラーズ (Shiraz)
 d. リースリング (Riesling)

以下のワイン生産地で、グラン・クリュ (Grand Cru)と表示ができるのはどれか?
 a. シャブリ (Chablis)
 b. ヴーヴレ (Vouvray)
 c. ミネルヴォワ (Minervois)
 d. エルミタージュ (Hermitage)

といった感じで、地域の知識などが加わってきます。また様々なぶどう品種の特徴を学ぶのがレベル2です。本当の初心者でなければレベル2からスタートするのが良さそうです。テストは50問の選択式となっていて、自由論述はありません。レベル2は16時間の講義と1時間の試験、11時間の自習が必要とされています。

レベル3は50問の選択式問題と論述問題、それから試飲となっていて、だいぶ難しくなります。選択式+論述の「理論」と「試飲」それぞれで55%以上の得点が合格条件です。

選択問題では以下のような感じの問題が出ます。

次のうち、ワイン中の微生物の安定化を保証するものはどれか?
 a. 無菌濾過
 b. ラッキング
 c. 深層濾過
 d. 低温発酵

ポートの生産に使用されないのはどのブドウ品種か?
 a. ティンタ・ロリス種
 b. トゥリガ・ナショナル種
 c. ユニ・ブラン種
 d. トゥリガ・フランカ種

次のうち、リベラ・デル・ドゥエロで重要な自然の要因はどれか?
 a. 海洋の影響
 b. 秋に発生する早朝の霧
 c. 標高の高さ
 d. ピレネー山脈から吹き降ろす冷気

このように、栽培や醸造、各国のルールについても知識が必要になります。30時間の講義、2時間半の試験、50時間の自習が必要とされています。

このようにだんだんレベルを上げていけるのがWSETのいいところです。それに対してワインエキスパートは試飲と知識と両方必要という点ではWSETのレベル3相当でしょうか。初心者にはかなりハードルが高いです。

・世界標準の資格である
WSETの資格内容はどの言語で受けても同じです。日本にいて英語で受けることもできます。
また、WSETにはレベル3よりも上の資格としてDiplomaもあります。Diplomaは日本人ではまだ100人足らずというかなり狭き門ですが。また、世界最高のワイン資格であるMaster of Wine(MW)は、WSET Diploma程度の資格を持っていることが応募の条件となっています。実質的にはDiploma取得が必須といっていいでしょう。もしあなたが世界のトップを目指すのならWSETを勉強するべきだと思います。

・ワインエキスパートと比べると覚えなければいけないことが少ない
以降は私の受けたレベル3とソムリエ/ワインエキスパートの比較になります。
記憶力の悪い私にとっては、これは大きなポイントです。ソムリエ/ワインエキスパートでは例えばブルゴーニュのグランクリュとかプルミエ・クリュとかを全部覚えたり、ボルドーの格付けシャトーの名前を全部覚えたりといったことが必要です。
WSETレベル3では、ブルゴーニュのグランクリュの畑名は一応教科書に出ていますが、基本的には村名まで覚えておけば大丈夫です。また、ワインのプロデューサーの名前は覚える必要がありません。カリフォルニア以外のワインの知識に乏しい私にとってはこれは重要でした。学習時間が80時間程度というのも、ソムリエ/ワインエキスパートと比べると格段に短いだろうと思います。

・テイスティングはあくまでワインを評価するためのもので、銘柄当ては必要ない
WSETのテイスティングは系統的テイスティング・アプローチ(SAT)といって、「ワインを正確に描写する能力と、そうした描写を基に妥当な結論を導く能力」を養うことを目的としています。
テイスティングのコメントは外観、香り、味わい、結論に分けて書いていきます。テイスティングで使う語彙は標準化されており、基本的にはその範囲で記述します。誰が書いても同じテイスティング・コメントになるような客観性を求めているのだと思います。
書く項目はソムリエ/ワインエキスパートと大部分共通しているようですが、ソムリエ/ワインエキスパートでは収穫年や生産地、品種を答えなければいけないのに対してWSET Level3ではそれらは必要ありません。飲んで客観的にその内容を評価することが大事であり「当てる」ことを目的としていないからです。

・良いワインはどう作られるかの理屈が理解できるようになる
WSET Level3では論述がかなりの要素を占めます。そこで大事なのは「論理」「理屈」です。例えばボルドーで小石の多い左岸ではカベルネ・ソーヴィニヨンを多く植えて、砂地の多い右岸ではメルローを多く植えるのはなぜか、土壌による温度の保持と品種の特徴とを結びつけて理解するといったことが大事になります。気候や斜面、気候に影響を与える地理的要素などを品種やワインのスタイルなどと結びつけて考えることが必要になります。また、醸造や栽培の方法についても知識が必要なのと同時に「なぜそうするのか」を理解する必要があります。逆に言えばこのように「理屈」でつなげて考えることができれば、覚えること自体はあまり増えずに済むのです。
またWSET Level3では価格と品質について考えることも大事です。安いワイン=品質が低い=悪いではなく、安いワインにも高いワインにも存在価値を認めていて、安いワインはどのように作られるから価格が抑えられるのか、高いワインはどのように作られるから品質が上がって価格が高くなるのかといった違いを理解できるようになります。

長くなったのでWSETの勉強法については別記事にしますが、教科書以外に読んだ本で唯一とても役に立ったものだけ先に紹介しておきます。



教科書の栽培や醸造の説明は「なぜ」の部分がちょっと足りずに理解しきれないところがあったのですが、この本を読んでだいぶすっきりしました。Level3の上のDiplomaを目指す人は必須の書籍の一つと言われているそうです。
Date: 2021/0130 Category: 業界ニュース
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マヤ・ダラ・ヴァッレ
ダラ・ヴァッレ(Dalla Valle)の新しいワインメーカーに、オーナーであるナオコ・ダラ・ヴァッレの娘であるマヤが就任しました。

ダラ・ヴァッレのフラッグシップ「Maya」の名前に使われていることでも知られているマヤさんは、2017年にディレクターとしてダラ・ヴァッレに就任しました。コーネル大学でワイン造りと醸造の修士号を取り、その後ボルドー国立農業技術学院で畑とワイナリー管理の修士を取得。オルネライア、マッセート、ペトリュス、シャトー・ラ・トゥールといったそうそうたるワイナリーで経験を積んできました。

2007年からワインメーカーを務めてきたアンディ・エリクソンはコンサルティング・ワインメーカーとして残ります。

マヤさんは1986年生まれ。その年にワイナリーを始め、次の年に「マヤズ・ヴィンヤード」と呼ぶ5エーカーのブロックを植樹しました。その畑から1992年に作られたワイン「Maya」がロバート・パーカーから100点を得たことで一躍「カルト」の仲間入りをしました。

マヤさんがダラ・ヴァッレに参加して以降、ワイナリーはバイオダイナミックに転換。また、オルネライアと共同でDVOというブランドを立ち上げています。
DVO Wine

Date: 2021/0129 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアワインあとりえにラベル不良などのアウトレット品が出ています。いずれも数はごく少々です。


ヘスのソーヴィニヨン・ブランは終売セール。税込み2400円台になっています。



ベンチはそうでなくても非常にコスパの高いワイナリーですが、さらに安くなっています。
いずれも現品限り。
お薦めです。
Date: 2021/0127 Category: テイスティング・ノート
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ワインライター/翻訳家の立花峰夫さんがカリフォルニアワインあとりえとコラボしてワインを紹介する企画で取り上げられていたワインの一つがスコリウム・プロジェクトのジンファンデル「FTP-Z」です。

スコリウム・プロジェクトはオーナーであるエイブ・ショーナーが一人で取り組むワイナリー。スコリウムというのは「school」などと語源を共にする語で、ワインに学ぶということを意図しているらしいです(scholiumの単語としては「傍注」といった意味があります)。基本的には先人がやってきたことから学んでワインを作るというプロジェクトなのですが、皆と同じようなワインを作るというのではなく、むしろほとんどメインストリームには乗らないようなワインがほとんどです。畑も、だれも聴いたことないような場所にあるものが多数。生産量もごくわずかです。

峰夫さんによると、エイブ・ショーナーはかなりの奇人。
カリフォルニアの醸造家にも、「奇人変人」のカテゴリーに属するひとたちが少なからずいます。

その1:いろんな理由で人格が破綻しているヒト
その2:ゴリ系の自然派的・野獣派的なひと
その3:人文系の学者あがり

それぞれのカテゴリーで、具体的な人物名と理由を記した詳細リストは別売りになりますが(ウソ)、スコリウム・プロジェクトのオーナー醸造家であるエイブ・ショーナー -Abe Schoener-は、上記その1~その3の全部にあてはまるという、なかなか残念な人物のようです。
ジョン・コングスガードやウォーレン・ウィニアルスキーといったまともな人に師事しているのですが、どうもその人達の負の部分ばかりを吸収してきたようで…

スコリウム・プロジェクトのワインもそれなりに試飲してきましたが、美味しく飲めるワインももちろんありますが、いわゆる「ニューカリフォルニア」系の生産者の中でも「おっとこれは」と思うものに当たる比率も、高い方になるかと。そういう意味ではちょっとドキドキしながら試飲するワイナリーです。ワイン・アドヴォケイト、ワイン・スペクテーター、ヴィナスでもあまりレビューはされておらず、時には「ファンキー」などと形容されることもあります。それでも、一部の愛好家には絶大な支持を得ているようです。
エイブ・ショーナー
今回のジンファンデルFTP-Zは峰夫さんが「このワインはマトモです。というか、ちゃんと美味しい。瓶詰め前の添加とはいえ、亜硫酸もちゃんと入っているから、めだった気まずい臭いもしません。若干の揮発酸臭はあるものの、ワタシ的には「赤いフルーツのアロマを、揮発酸が持ち上げてくれてるから、むしろオッケー」な感じですし、酸化臭、還元臭、腐敗酵母臭、マメ臭など自然派にありがちなイケナイ匂いはしませんです」と書いており、だまされたと思って買ってみたのでした。

畑はロウダイのキルシェンマン・ランチ。ターリー(Turley)のワインメーカーとして知られるティーガン・パサラクアが個人として所有している畑です。ターリーのほかベッドロックやカーライルといったジンファンデルの達人達がワインを作る銘醸畑。100年を超える古木の畑と言われています。

飲んでみました。赤系の果実がきれいで、意外といってもいいほど飲みやすいワイン。ザクロやラズベリー、ストロベリーの味わい。かすかにミンティな風味もあります。

濃厚さは全くないワイン。ワイン名のFTP-Zは「F*CK Tegan Passalacqua-Zinfandel」の略だそうで、あなたブドウ分けてもらってその言い方はないでしょうと思ってしまいますが、それでも許される魅力がこのひとにはあるんでしょうね。


Date: 2021/0126 Category: おすすめワイン
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ドラクストン(Draxton)はシュラムスバーグ、ガイザーピークなどで働いたマイケル・ドラクストンが1995年にソノマのヒールズバーグで設立したワイナリー。コロナ禍で廃業を決意し、そのカベルネ・ソーヴィニヨンとマルベックが国内に入荷してきています。そのマルベックが柳屋でセールになっています。

ワイナリー価格が税抜き36ドル、今のレートで3735円なのに対し、柳屋の価格は税抜き2880円(税込み3168円)。約23%も現地価格より安いことになります。

このマルベックは未試飲ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンは試飲済みで赤果実がきれいなワインでした。これだけきれいな作りをするのですからマルベックも期待できると思います。ヴィンテージも2013年とちょうどいい熟成度合いです。


Date: 2021/0125 Category: 業界ニュース
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市場調査会社bw166を主宰するジョン・モラマルコ氏によると、2020年の山火事でカリフォルニアのワイン業界の損失は37億ドルに達するとのことです(2020 Fires Caused $3.7 billion in losses for Wine Industry)。

これは火災による直接の損害、収穫したブドウの販売先がなくなること、ワインの販売減といったものを含んでいます。

また、今後の見通しについては、前半は厳しい状況が続くものの後半は好転する可能性があるとのことです。新型コロナの自粛からの反動が期待されるためで、これまで貯蓄に移っていた分が消費に回ると考えられています。

ただ、レストラン業界は大きな打撃を受けており、レストランの数は中長期的に25%減少するとモラマルコ氏は推計している。また、レストランのワインリストも縮小される可能性が高いため、これらはワイン業界の売り上げにも大きくかかわる。

モラマルコ氏はまた、煙の影響などを減らすための技術開発のため、UCデーヴィスに1000万ドルの資金を提供すべきとしています。多額になりますが、今後も火事の被害が続くことを考えると安い買い物かもしれません。
Date: 2021/0123 Category: おすすめワイン
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柳屋で久しぶりにアウトレットセールをやっています。アウトレットセールとはラベル不良などのワインを安く売るもので、ワインの品質には問題ありません。ラベルにうるさい日本ならではのセールです。

今回の目玉はロコヤの弟的存在のマウント・ブレイヴ(Mt.Brave)のカベルネが3割引で11550円(税込み)。WAで96点が付いています。また、パッツ・アンド・ホールのシャルドネ・ダットンランチも3割引で税込み5929円。WAでは91点、ジェブ・ダナックは95点を付けています。

サンタ・バーバラのリューセック(Rusek)のシャルドネ、ピノ・ノワールも税込み3000円台とかなり格安。

ラベルにこだわらない人はぜひ。当然ですが現品限りです。

アウトレットセールはこちら






Date: 2021/0122 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワインあとりえとワインライター/翻訳家の立花峰夫さんのコラボ第4弾でトレフェッセンのワインが紹介されていました。

立花峰夫さん紹介のワイン一覧

それに便乗して、一つエピソードを紹介します。

カリフォルニアワインがフランスワインを打ち負かした話というと1976年の「パリスの審判」が有名ですが、その3年後にも一つの事件がありました。フランスのレストラン批評で有名なゴ・エ・ミヨ誌が世界一のワインを決めようと「ワールド・ワイン・オリンピックス」というイベントを開いたのでした。もちろんフランスのワインが1位を取ることが期待されていたわけですが、33カ国のワインを集めた中でトレフェッセンのシャルドネ1976が1位を取ったのです。

ブルゴーニュの一流ワインも参加してのこのイベントでカリフォルニアワインが1位を取ったことはパリスの審判と同様、フランスにとっては大きなショックであり、納得できるものではありませんでした。そこで半年後にドルーアンが主催して、舞台をブルゴーニュに移して改めて対決が行われたところ、そこでもトレフェッセンが勝利。ロベール・ドルーアンもこの結果には納得するしかなく、トレフェッセンのシャルドネは「ほかのすべてのシャルドネを測る尺度になる」と褒め称えました。

実はトレフェッセンはこれらの結果が出るまで自社のワインがエントリーされていることすら知らされていませんでした。1位になったと聞いて最初は間違いか悪い冗談ではないかと思ったそうです。というのはゴ・エ・ミヨどころかフランスにワインを送ってもいかなったからです。世界一が間違いないとわかってから後も、どうしてトレフェッセンのワインがエントリーされたのかはミステリーのままでした。

この謎が解けたのはなんと40年近く経った2018年のことでした。トレフェッセンは創設50周年のイベントをロンドンで開き、そこでこの1976年のシャルドネも提供してこのエピソードを披露しました。そこでもエントリーの謎の話題が出たのですが、イベントに出席していたスティーブン・スパリア(パリスの審判の主催者です)が、実は自分がエントリーしたのだと明らかにしたのです。スティーブンはトレフェッセンの英国のインポーターで、1978年のワールド・ワイン・オリンピックスの審判の一人でもあったのですが、これまでエントリーについては一言も触れたことがなかったのでした。

今回のエピソードはこちらから。
World Wine Olympics

パリスの審判で1位になったシャトー・モンテリーナと比べるとトレフェッセンの世界一はあまり知られていないような気がしますが、フランスでフランスワインに勝ったという価値は同じくらいあります。さらに、トレフェッセンのワインはすべてナパの自社畑から作っており、栽培家としての栄誉もあります(モンテリーナのシャルドネはソノマのバチガルピなどからの買いブドウで作られていました)。

トレフェッセンのワインは決して派手ではないのですが、どれも実によくできています。安心して飲めるブランドと言っていいでしょう。個人的にはシャルドネ以外にカベルネ・フランもお薦めです(マルベック・ブレンドのドラゴンズ・トゥースがないのがちょっと残念)。



Date: 2021/0121 Category: 業界ニュース
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1981年から続いていたオークション・ナパ・ヴァレーを昨年キャンセル、その後11月に開催を全面的に見直すと表明していたナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが、2021年はオンラインでワイナリーのセラーの秘蔵品をオークションすると公表しています(‘Direct from cellar’ event to replace Auction Napa Valley)。
auction
オークションはザッキーズと組んで開催します。期間は2月11日から20日。「ダイレクト・フロム・ザ・セラー」としてワイナリーのライブラリー・ストックからワインを提供します。100を超えるロットが出るとのこと。

一方、毎年2月に開催していた業界向けのプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションは今年は6月に開催します。オンライン主体にはなりますが、人数限定で会場でのオークションも行います。こちらは今後も継続していくと表明しています。
Date: 2021/0120 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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マウント・エデン(イーデン)のカベルネ・ソーヴィニヨン 2016が国内に入ってきています。ヴィナスのアントニオ・ガッローニが98点を付けているワイン。レビューでは「ほかの地域だったら価格が2~3倍してもおかしくないようなワールド・クラスのワインだ」、さらには「並外れていて息を呑むようなワイン」と激賞しています。

価格も米国で95ドル(税別)が税込み1万2000円前後ですから、ほとんど変わらないくらいの安さです。

マウント・エデンのあるサンタ・クルーズ・マウンテンズは太平洋に近く非常に冷涼な地域ですが、山頂近くの標高の高いところは比較的温暖でカベルネ・ソーヴィニヨンも完熟します。この地域の代表的なカベルネ・ソーヴィニヨンというとリッジのモンテ・ベッロがありますが、マウント・エデンもそれに並ぶワインと言っていいでしょう。リッジと共通するのはクラシックな滋味深いスタイルを通していること。果実味が前面に出てくるようなワインではありませんが、じっくり飲みたい良さがあります。

【追記】Wine Advocateでも97+と過去最高の評価になっています




Date: 2021/0119 Category: 業界ニュース
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニがソノマのレポートを発表しています。注目はスティーブ・キスラーのオクシデンタル(オキシデンタル)のピノ・ノワールSWKヴィンヤード2018が100点を取ったこと。キスラー時代も含めて、実は100点は初(少なくともワイン・アドヴォケイト、ヴィナス、ワイン・スペクテーター、ワイン・エンスージアストでは)。
ソノマワイン

今回はソノマのプレビューということでレビューしているワイナリーは10軒にとどまっています。そして異例なことに、レビューの記事ではおよそ3分の2をここ数年のソノマの受難に割いています。

2017年はサンタ・ローザ近郊を焼き尽くしたタブズ・ファイヤーがあり、亡くなった方も大勢いらっしゃいました。2019年もアレキサンダー・ヴァレーからの山火事で、ソノマの大部分に避難命令が出されました。そして2020年は8月から大規模な山火事が発生して煙に覆われた地域が多く出たことから、多くのワイナリーが醸造を諦めています。さらには新型コロナでワイナリー訪問客が激減した上、レストラン経由での売上もほとんどなくなりました。

ソノマ(に限らないですが)は小規模な生産者が多く、さらにはまだワイナリーを始めたばかりの若者も多くいます。そういった小規模の生産者は今本当に苦境に立たされており、とにかくワインを買って支えてほしいとしています。

日本からもやはりワインを買って上げるのが一番の応援です。ここでは若い人が作っているワイナリーとして、Raen(レイン)、Senses(センシーズ)、Crossbarn(クロスバーン)、Six Cloves(シックス・クローヴズ)を挙げておきます。




Date: 2021/0117 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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毎年12月に100セット限定の福袋を発売する柳屋ですが、例年なら年明けまで販売しているのが昨年はわずか10日くらいで売り切れ。コロナで在宅が増えているためワインセットのニーズは上がっているようです。

そこで今回第2弾の福袋(福箱としています)を発売しました。福袋が6本で1万円とバリュー系のワインが中心だったのに対し、こちらは4本で税込み15378円。42%割引なので元値は1本平均6000円を超える高級ラインです。

目玉は1本1万円のナパカベ。5年熟成のまろやか系だそうです。後はサンタ・バーバラのピノ・ノワール、セントラル・コーストのシャルドネ、ノースコーストのソーヴィニヨン・ブランとのこと。奇をてらわないメジャー路線ですね。安心して買えるセットだと思います。

ちなみに、これは柳屋の新春セールの一貫となっていますが、新春セールのワインの中には、私がお薦めで書いたセインツベリーのシャルドネとシラーも出ています。特にシラーは福箱にも入っていないし、コスパ高いので合わせ買いお薦めです。




Date: 2021/0115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1998年来のウイリアムズ・セリエムのオーナーであるダイソン夫妻が株式の半分近くをブルゴーニュのフェヴレ家に売却したことを明らかにしました(Dysons Sell Stake in Williams Selyem to Burgundys Faiveley Family)。
2006 Williams Selyem Hirsch Vineyard
ウイリアムズ・セリエムはバート・ウイリアムズとエド・セリエムが1979年に趣味で始めたワイナリー。1985年のロキオリ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールがカリフォルニア・ステート・フェアで最優秀に選ばれたことで、一躍人気ワイナリーになり、ロシアン・リバー・ヴァレーがピノ・ノワール産地として注目されるきっかけとなりました。

1998年にダイソン夫妻に売却したときは、すべて契約畑のワインであり、ワインメーカーも新たに交代したので品質維持が疑問視されたこともありましたが、その名を落とすことなく、また新たに4つの自社畑を購入し、瀟洒なワイナリーも構築して現在に至ります。

今回の売却は夫妻の引退への布石ということだと思われますが、少なくとも後3年はワイナリーに残って日常業務を行っていくとしています。また2013年から3代目のワインメーカーとして働いているジェフ・マンガハスを中心としたワイン造りの体制にも変化はないとしています。
Date: 2021/0114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シリコン・ヴァレー・バンクによる米国ワイン業界の年間レポートが公表されました(2021 SVB Wine Report | Silicon Valley Bank)。1年前にはまだコロナの「コ」の字も出ておらず、前年のレポートでは米国ワインマーケットのオーバーサプライが最大の問題として取り上げられていましたが、今年のレポートでは激変したセールスチャンネルなどが取り上げられています。

言うまでもなく、eコマースの存在感は2020年に大きく増しました。これまで10年間の成長分をステイ・イン・ホームになった3カ月くらいで達成するほどの急成長でした。一方で、テイスティング・ルームなどは激減しているため、トータルで見るとそれほど変わっていない状況でした。ただ、セールスの状況についてはワイナリーごとの違いが非常に大きく、3割以上伸びたワイナリーもあれば逆に3割ほど減らしたワイナリーもあり、凸凹が際立つ結果となっています。

収穫
2020年はまたグラス・ファイヤーなど山火事の影響も非常に大きなものになりました。収穫量は大きく減り、冷害だった2011年並みだったようです。

地域別
特に、地域別に見るとオレゴンやナパ、ソノマでは過去最低に近い収穫量だったワイナリーがかなり多くなっています。
クオリティ
収穫量を減らした原因は火事による煙の要素が多分にあります。そのため、収穫量が減った地域ではブドウの品質もあまりよくなかったという評価が多くなりました。

2月に公開されるクラッシュ・レポートと合わせて米国の現状を知るための極めて重要なレポートです。産業としてのワインに関心がある人には必須の内容です。
Date: 2021/0113 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ビリキーノのマルヴァジア・ブランカを使ったペティアンナチュレル(ペットナット)2018を飲みました。写真の左端のワインです。爽やかで洋梨やグレープフルーツ、青りんごの風味。泡も結構しっかりあります。飲んで楽しいワイン。家族にも人気上々。寄せ鍋と合わせましたがポン酢との相性も上々でした。

このワイン、コルクではなく王冠だったのですが、栓抜きで王冠を外したら、中からかなり泡が出てワインもちょっとこぼれてしまいました。案外王冠は扱いにくいですね。

Date: 2021/0112 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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今年2本目のワインは、ギャリーファレル シャルドネ オリヴェット・レーン・ヴィンヤード 2015。少し熟成が始まっていてナッティーな風味があります。妖艶で大人のシャルドネという雰囲気。美味しいです。

ギャリー・ファレルは5000~7000円台あたりのシャルドネやピノ・ノワールの中では非常にいいものを安定して作っています。特にロシアン・リバー・ヴァレーのAVAものはコスパ高いですが、このワインは単一畑でほぼ価格は同じくらいとお買い得です。



合わせた料理は「ポテ」。豚バラ肉の塊を野菜と煮込んだフランスの郷土料理です。味付けは塩だけなので、赤ワインよりは白ワイン、そして豚肉の旨味に負けない味わいのワインを選びました。



Date: 2021/0111 Category: テイスティング・ノート
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今年最初に飲んだのは写真の右から2番め。アイアンストーン(Ironstone)のリザーブ・ジンファンデル ルース・ヴィンヤード 2017です。1909年に植樹された畑でラベルの「108」の数字は2017年が植樹から108年ということを意味しています。濃厚フルボディなワイン。スパイシーで熟した果実の味わいがいかにもジンファンデルという感じです。すき焼きに合わせて飲んだのですが、割り下の甘さと濃厚ジンファンデルはやっぱりよく合うと思います。



Date: 2021/0108 Category: おすすめワイン
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オーレロ(Olelo)は、サンタ・バーバラの銘醸畑ビエン・ナシードのオーナーが作る安価なワインのブランドです。このたび2016年のシャルドネが国内に入ってきています。ワイン・エンスージアストでは90点という高い評価。

試飲しました。

ピーチやオレンジの味わいがあります。くどくなく、適度な酸があり軽やかで爽やかな後味。2000円そこそこのシャルドネとしてはかなりのクオリティです。この価格帯だと、残糖によってリッチな風味を出していたり、酸が少なくもっさりした感じになるワインも少なくないのですが、これはバランス良くできています。かなりのコスパだと思います。



Date: 2021/0107 Category: 業界ニュース
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ガロ
2019年4月3日に発表された、コンステレーション・ブランズからガロへの30を超えるブランドの売却がようやく完了しました。これほどまでに長くかかったのは独占禁止法違反でFTCによる認可が得られていなかったからです。2020年末にFTCの許可が出ました。

【過去記事】
ガロ、コンステレーションからフランシスカン、レイヴェンズウッドなど30以上のブランドを取得
コンステレーションのワインブランド売却続報
コンステレーションからガロへのブランド売却、一部差し戻し

実際に売却されたブランドは Arbor Mist, Black Box, Clos du Bois, Estancia, Franciscan, Hogue, Manischewitz, Mark West, Ravenswood, Taylor, Vendange, Wild Horseなど。売却に伴い、これらのブランドは既に日本市場では販売が終了しています。また、これらの大部分はブランドだけの売却であり、畑は含まず、生産設備も5つほどだけとなっています。コンステレーションは比較的安価なワインのブランドを売却し、プレミアム志向を強めていきます。
Date: 2021/0106 Category: 業界ニュース
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニが2020年末に年間の総括記事を上げており、その中でワイナリー・オブ・ザ・イヤーとしてベッドロックを選んでいます。

理由としてはベッドロックの2018年のワインが素晴らしいこと。どのワインもその畑の特性を十分に引き出しており、逆にワインメーカーとしての個性は控えめだと言います。すべてのワインが、その畑の教科書になるとほめています。

例えばオールド・ヒル・ランチの2018年は96点。パワーとフィネスのバランスが素晴らしく、運良く買えた読者はラッキーだとしています。


ソノマの銘醸畑モンテ・ロッソも96点。こちらは上記のオールド・ヒルとは打って変わってエレガントでピュア、洗練されたワインだとのこと。


また、エヴァンジェーロのジンファンデルは、スイート・チェリーにザクロ、ブラッド・オレンジの果実味があるとのこと。これも美味しそうです。94点。



最後に自社畑のベッドロックも94点。こちらは筋肉質でパワフルなワインだとのこと。ちなみにベッドロックやモンテ・ロッソの畑は、ヴィナスで「カリフォルニア・ヴィンヤード・シリーズ」としても紹介されていて、ジンファンデルファンにとっては必須の内容になっています。


Date: 2021/0105 Category: 業界ニュース
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ヴィノスやまざきは25の直営店(2021年1月時点)で、直輸入のワインを中心に販売しています。一部のワインは他のショップでも販売していますが、基本的には直営店でしか買えないワインがほとんどです。ヴィノスやまざき専用に作っているワインも多くあり、カリフォルニアワインにもかなり力を入れています。

今回、直輸入のワインをいくつか試飲させていただきました。


まずは白ワインから。ストーンヘッジのメリタージュ・ホワイト2018(3500円、価格は税別(以下同))とウォーターストーンのシャルドネ2017(5000円)です。
ストーンヘッジのメリタージュ・ホワイトはソーヴィニヨン・ブラン中心のブレンド。ソーヴィニヨン・ブラン65%にセミヨン26%、ミュスカ9%のブレンド。ソーヴィニヨン・ブランのさわやかさとセミヨンのやわらかさがあり、青りんごにピーチ、グアバの風味。
ウォーターストーンのシャルドネはカーネロス産のブドウを使っています。軽い樽香にオレンジピール、洋梨、スイカズラ。複雑さがあり、いいシャルドネです。


赤ワインはまずストーンヘッジのメリタージュ2017(2980円)。別ヴィンテージのものを以前紹介したことがありますが、極めてコスパの高いワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン42%にメルローが22%。プティ・ヴェルド17%、マルベック11%、カベルネ・フラン8%。メルローが多いのが特徴で柔らかな味わいですがストラクチャーもしっかりとしており飲みやすく満足感の高いワイン。畑は近年注目度が高まっているクームズヴィルが52%でオークヴィルやラザフォードなども入っています。これを税別とはいえ2000円台で作るのはすごいと思います。
ウォーターストーンのカベルネ・ソーヴィニヨン2017(6800円)はナパのチャイルズ・ヴァレー(Chiles Valley)のブドウを中心にしています。カベルネ・ソーヴィニヨン78%にメルローが22%。こちらはタンニンも酸もしっかりとしたワインです。より本格的なカベルネ・ソーヴィニヨンの味わいを求めるならこちらがいいと思います。1月22日までの期間限定で3980円とかなりお買い得になっています。
もうひとつウォーターストーンから「スタディ・イン・ブルー」2017(10000円)。例年はカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーのブレンドでしたが、2017年は山火事の影響でシラーが手に入らず、カベルネ・フランを69%使っています。ブラックベリー、レッドプラムの果実味にカベルネ・フランらしい青っぽさがあり、タンニンもしっかりしています。ストラクチャがあり、美味しいワインです。

赤ワインの4本目はメンドシーノのDNAヴィンヤーズによる「コロ(Coro)2016」(5800円)。コロというのはメンドシーノで2000年に始まったプレミアムな赤ワイン・ブレンドで「メンドシーノのブドウを使って」「メンドシーノのワイナリーが作って」「ジンファンデル主体(40~70%)のブレンドで」といったルールがあります。さらに「Coro Mendocino」の委員会によるテイスティングで認証されることも必要です。2016ヴィンテージでは10ワイナリーが認証を受けており、このワインは裏ラベルにヴィノスやまざきの名前が入った形で認証されています。
チョコレートのような濃厚さのあるワイン。緻密でキメの細かいタンニンがあり、スムーズなテクスチャ。とてもおいしいです。メンドシーノというとピノ・ノワールやシャルドネなど冷涼感あるワインのイメージがありますが、アンダーソン・ヴァレーは南北に長く、南の方は海からの距離もあるため、意外と温暖で、こういうワインもできるのですね。ちなみに2017年のものはワイン・エンスージアストで91点を取っています。

後の2本は同社が「匿名ワイン」と呼んでいるシリーズのもの。ワイナリーからバルクで買い付けたワインをストーンヘッジで熟成させ、元のワイナリー名のイニシャルを付けてワイン名としています。以前はピノ・ノワールなどもありましたが、今はナパのカベルネ系の「M」(9800円)「I」(9800円)「J」(1万2800円)「C」(1万2800円)が販売されています。いずれもアメリカン・オークの樽を使って熟成させているのが一つの特徴です。
今回はIとCを試飲しました。「I」はナパの様々な地域のブドウを使っており、カベルネ・ソーヴィニヨン97%、カベルネ・フラン3%。ボリューム感と複雑さがあり、タンニンもかなりしっかりしています。2017年ですが、少し熟成感も出てきています。
「C」はアトラス・ピーク、オークヴィル、ヨントヴィルのブドウを使っています。カベルネ・ソーヴィニヨン95%にプティ・ヴェルドが5%。ブルーベリーやブラックベリー、スミレの花の香りにグラファイトや鉛筆の芯の風味があり、しっかりとした味わい。これはかなりプレミアム感があります。

以下はヴィノスやまざきの楽天市場店から。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ストーンヘッジ・メリタージュ・ナパヴァレー2017
価格:3278円(税込、送料別) (2021/1/5時点)




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

コロ by Vinos & DNA 2016(赤ワイン)(カリフォルニア)
価格:6380円(税込、送料別) (2021/1/5時点)




Date: 2021/0103 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部が新年セールをやっています。8日の朝10時まで、ほぼ全品が10%オフになっています。
さらにラベル不良による掘り出し物で30%引きになっている商品もいくつか。
しあわせワイン倶楽部のトップページはこちら

例えばヴィナスで94点のアリエッタのハドソン・メルローが税込み9438円。ワイン・サーチャーでの税別平均価格96ドルを大幅に下回っています。カリンセラーズの96年シャルドネキュベW(ウェンテ・ヴィンヤード)が税込み4774円。同じくウェンテのセミヨン2001年も4774円。これも通常は6000円台のワインです。




カリフォルニアではありませんが、ニュージーランドの自然派スーパーナチュラルのソーヴィニヨン・ブランを使ったペットナット。これが2464円はお買い得。私のように「自然派」であるかどうかにこだわりがない人にとっても、これはとても美味しいです。


ついでに、以前紹介した福袋も発売は8日までです。